イル・ヴォーロ来日記者会見
イタリア出身の若手テノール・トリオ、イル・ヴォーロ(IL VOLO)が初来日し、11月29日、12月1日にコンサートを行いました。2公演ともソールドアウト。公演を前に、紅葉の美しいイタリア大使館で、イタリア大使同席の中記者会見が行われました。
フィギュアスケーターの羽生結弦選手が、2016~17年シーズンのエキシビションの音楽に、イル・ヴォーロの曲「ノッテ・ステラータ 星降る夜(スワン)」を使用したことで話題になりました。また、エフゲニー・プルシェンコ選手は2016年NHK杯のスペシャルエキシビジョンで彼らの「グランデ・アモーレ」を使用しています。
メンバーはジャンルカ・ジノーブレ(22)、イニャツィオ・ボスケット(23)、ピエロ・バローネ(24)の3人。テレビ局のオーディション番組にそれぞれソロ歌手で出演したのがきっかけでユニットを組み、14~15歳の若さで10年にCDデビュー。デビューアルバムが2011年にビルボード初登場10位で、6位まで上り詰めたそうです。最新盤『グランデ・アモーレ』はビルボードではクラシカル、ラテン・ポップの2部門で1位、ラテンチャートで2位に輝くなど大ヒットを記録しています。2016年にフィレンツェで開催された「三大テノールに捧げる」ライブでは、プラシド・ドミンゴとの共演を果たしました。YouTube再生回数は一億回を超え、ヨーロッパ、北米・南米でスタジアム級の会場を満員にしているそうです。
この若い年齢とは思えない、芳醇で深みがあり、ドラマティックな歌声の持ち主である3人。ひげを蓄えて少し大人っぽくは見えますが、素顔は20代前半のイタリアの男の子。茶目っ気のある受け答えとイタリア人らしい底抜けの明るさ、その中に歌を愛する心が伝わってくる会見でした。
「3人のメンバーとも、祖父の代から音楽好きで、特に3大テノール(パヴァロッティ、ドミンゴ、カレーラス)のコンサートに影響を受けました。とはいっても、ポップスからロックまで興味は持っており、自分たちならではのオリジナリティを持った、イタリアを代表する歌手グループになりたいです」(ピエロ・バローネ)と思っているとのこと。3人とも同じテノールですが、「声の特徴がそれぞれあり、ジャンルカの声が温かい声質なので、彼の声から始めるようにしていて、曲の配分を割り振っています」(イニャツィオ・ボスケット)
羽生結弦選手については、彼が自分たちの曲を使っていることを知った後で、彼がどれほど素晴らしいフィギュアスケート選手であるかということを知ったそうです。「音楽とダンスが一緒になって素晴らしいものを見せてくれるアーティストであり、早く怪我が治ることを祈っています」(この曲はコーチのタチアナ・タラソワが羽生選手に贈ったとのことです)
スペイン語圏でも非常に人気があってラテンチャートでは2位に輝いた彼ら、次のアルバムはスペイン語のものとなるそうですが、最新アルバム「グランデ・アモーレ」のようなオリジナル曲だけでなく、「オペラの魅力を若い人たちに知ってもらいたい」とともに、イタリアで愛されている歌曲も歌い続けるそうです。
「イタリアの理容師がみな死んでしまったので、ひげが伸び放題になってしまいました」というお茶目な彼ら。お互いを評する言葉もとてもユーモラスです。「ピエロは決心したらその考えは必ずやり抜く。要するに石頭です」「ジャンルカは「まるで日本人のように完全主義者」「イニャツイオは13歳の時から小さなクマでした。明るくしてくれるムードメイカーです」「ジャンルカは美しさを保つために氷風呂に入って年を取らないようにしてください」和気あいあいとして仲良しな様子もうかがえます。
記者会見に出席した記者が居眠りをしていたのに気が付いて、ジャンルカが突然その記者に近づいて美しいアリアを披露するというサプライズも。ラストも、お世話になった日本人女性のために美しいハーモニーを聴かせてくれました。
20代の若者がこのようなクラシカルクロスオーバーの曲を歌うのが、このトリオの特徴であり、今後もグループとしての活動を大事にしたいと考えているそうです。30代、40代になった時にどうしていたいかと聞かれると「イタリア人なので先のことは考えず、今日が最後の日だと考えて懸命に生きています」と答えました。
プラシド・ドミンゴも絶賛した才能、まだ若い彼らのこれからの活躍が楽しみです。
フィレンツェのサンタクローチェ広場で、プラシド・ドミンゴ指揮「トゥーランドット」より「誰も寝てはならぬ」を歌うイル・ヴォーロ
愛聴していますが、ドラマティックでポップで聴きやすく、とてもいいアルバムです。
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