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バレエ(情報)

2017/03/26

オペラ座が舞台のアニメ映画『バレリーナ(原題)』8月日本公開予定

以前もこのブログでご紹介した、パリ・オペラ座を舞台にしたフランスのアニメ映画「Ballerina」が、今年8月に日本で公開されることが決定し、公式サイトもオープンしていました。

映画『バレリーナ(原題)
http://ballerina-movie.jp/

8月新宿ピカデリー他全国ロードショー予定だそうです。キノフィルムズ、木下グループ配給。

フランスの大手映画製作・配給会社ゴーモンが製作。ピクサー社のアニメのようなスタイルの3Dアニメで、共同プロデューサーの中には、大ヒット映画「最強のふたり」(アカデミー賞外国語映画賞ノミネート)のプロデューサー Quad ProductionのNicolas Duval Adassovsky, Yann Zenou, とLaurent Zeitouがいます。

ヒロインの英語版吹き替えにエル・ファニングで、日本の公式サイトでもエル・ファニングの名前が出ていることから、英語版での公開もありそうです。

この映画の中に登場するダンスの振付はオーレリー・デュポンとジェレミー・ベランガールが監修しています。

ストーリー
1884年にブルターニュの孤児院を逃れパリにやってきた、バレリーナになるという夢を抱いている貧しい11歳の少女フェリーチェが主人公。わがままなライバル、カミ―ユの身分を詐称し、不思議な掃除婦オデットの教えの下必死にバレエを稽古し、発明家を目指す友人ヴィクトールに出会い、そしてパリ・オペラ座学校に入学するという冒険が始まります。

海外予告編

映画評サイトRotten Tomatoesでもトマトメーターが79%と評価が高い作品、日本でも観ることができるのは嬉しいですよね。

******

今年の6月から夏にかけて、バレエ/ダンス関連の映画の公開が多数あり、嬉しい限りです。

「ザ・ダンサー」 モダンダンスの祖と言われる伝説のダンサー、ロイ・フラーの半生を描く伝記ドラマ。6月3日公開
http://www.bunkamura.co.jp/cinema/lineup/17_danseuse.html

「ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣」セルゲイ・ポルーニンの半生を追ったドキュメンタリー映画。7月15日公開
http://www.uplink.co.jp/dancer/

「パリ・オペラ座 夢を継ぐ者たち」パリ・オペラ座の356年の夢と伝統はどうやって守られてきたのか?オペラ座の舞台裏を追ったドキュメンタリー映画。7月22日公開
http://backstage-movie.jp/

ボルドー・オペラ劇場バレエ、シャルル・ジュドが芸術監督を退任

1977年にパリ・オペラ座のエトワールに任命され、引退後1996年以来ボルドー・オペラ劇場バレエの芸術監督を務めているシャルル・ジュド。ヌレエフ時代の人気エトワールでした。

そして現在63歳のシャルル・ジュドが、20年間務めた芸術監督の座を追われることになりました。今シーズン末で、退任することが発表されました。

http://www.leparisien.fr/bordeaux-33000/accord-a-l-amiable-entre-l-opera-de-bordeaux-et-son-directeur-de-danse-suspendu-23-03-2017-6791178.php

ボルドー・オペラ劇場バレエは昨年末にトラブルに巻き込まれていました。現在、フランスのほとんどのバレエ団は、コンテンポラリー作品が中心となっており、古典を上演しているのは、パリ・オペラ座バレエとボルドー・オペラ劇場バレエくらいでした。(そのパリ・オペラ座も、作品数で言えば現代作品の方がずっと多くなっています) ボルドー市はバレエ団の予算を削減し、39人在籍しているダンサーを13人削減するように伝えたのです。26人という人員では、古典全幕作品を上演することは不可能となります。

バレエ団のダンサーたち (エトワールは3名、うち2名は元ミハイロフスキーバレエのオクサーナ・クチュルクとロマン・ミハリョフ)
http://www.opera-bordeaux.com/charles-jude-ballet

ボルドーオペラ劇場バレエは、フランスで2番目に古いという伝統のあるバレエ団で、「国立」という称号がついている2つのカンパニーの一つでもあります。ヌレエフ振付作品など古典全幕の他、リファールなどフランスバレエの伝統を組む作品、そしてもちろん現代作品も上演しています。

12月31日には、バレエ団のダンサーたちはストを計画しましたが、結局ストは決行されませんでした。しかしカーテンコールで、ダンサーたちは、失われると想定される人数分を減らして登場して、人員削減がどれほどの影響を与えるのかアピールしました。

https://www.francemusique.fr/actualite-musicale/des-danseurs-de-l-opera-de-bordeaux-vont-saisir-la-justice-administrative-32295

また、オンラインでの署名も募集されました。(日本語での説明もあり)8000人ほどの署名が集まっています。
https://www.change.org/p/direction-de-l-op%C3%A9ra-national-de-bordeaux-soutien-au-ballet-classique-%C3%A0-bordeaux-support-the-classical-ballet-in-bordeaux

このキャンペーンに関連して、フランスでの古典バレエの重要性を訴える動画。(英語字幕付き)

ボルドー市は、市街地が初めて世界遺産に指定された歴史的な都市で、オペラ劇場も大変美しい建築物です。また、2017年度のロンリー・プラネットで、世界で最も魅力的な都市として選ばれました。

今年の2月6日には、2年契約での更新が予定されているダンサー7人の契約が1年契約となっていることも明らかになりました。もう一つの問題は、2017年に「国立オペラ劇場」の名称を使えるかどうかを文化省と交渉することになっているのですが、これが果たしてこの人数が減らされた状態で使用できるかどうかが不透明となっていました。

そしてシャルル・ジュドは2月10日に劇場側に非協力的であるということで停職処分が下され、現在に至っていました。

先週の木曜日、ボルドー・オペラの芸術監督である指揮者マルク・ミンコフスキーとシャルル・ジュドは、ボルドー・オペラ劇場バレエでは新しい振付プロジェクトを進めるために、新たな人を招聘する、という共同声明を発表しました。「国立オペラ劇場」の名称を今後5年間にわたって引き続き使えるかどうかは、文化省と2017年に交渉するとのことです。そして最後に、「ボルドー・オペラ劇場バレエの芸術監督として活動したのち、ジュドは2016-2017シーズンの終わりに、引退することに合意しました」、と結んでいます。

ボルドー・オペラ劇場のプレスリリース(フランス語)
http://www.opera-bordeaux.com/presse-2774

なお、ボルドー・オペラ劇場では、7月にジュド振付「ロミオとジュリエット」が上演されます。このリリースでは、ジュドの功績をたたえるセレモニーが行われる予定であると記しています。


なお、やはりパリ・オペラ座エトワールのニコラ・ル=リッシュの新作「Sur la grève 」が、3月30日にボルドー・オペラ劇場バレエで初演を迎えます。ダンソマニにル=リッシュのインタビューが載っています。この作品は、ジュドの依頼により振付けられたものです。一部では、ジュドの後任の有力候補にル=リッシュの名前が挙がっている噂がありますが、まだ声などはかかっていないとル=リッシュは語っていますが、この仕事には興味はあるとも。

フランスにおいては、政治家から見ると古典バレエは古臭いものであるという固定概念があるようです。その一方で、コンテンポラリーダンスを支援することは、若くて活気のある芸術に理解のあるイメージを政治家に与えるということで、より好まれているとのことです。古典作品を上演することにこだわったジュドの命運は、ここで尽きてしまいました。

(といいつつ、オハッド・ナハリンの「マイナス16」など現代作品も上演されています)

古典軽視、コンテンポラリー重視の傾向は、ウラジーミル・マラーホフ、そしてナチョ・ドゥアトが退任し、サシャ・ヴァルツが芸術監督に就任することになったベルリンでもいえることです。(ベルリン国立バレエの件については、また別個に報告できればと思います)これは世界的な傾向であり、古典バレエ中心の日本というのは異例中の異例かもしれません。

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2017/03/24

映画『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン』のプロモーションのためセルゲイ・ポルーニンが来日

映画『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン』7/15(土)の公開に先駆けて、セルゲイ・ポルーニン来日が決定しました。

http://www.uplink.co.jp/dancer/

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4/27(木)東京藝術大学奏楽堂
映画上映+パフォーマンス+トーク(w/箭内道彦氏)

4/1(土)10時チケット発売

日時 2017年4月27日(木)18:30開場/19:00開映
会場
東京藝術大学奏楽堂
上映作品 映画『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣』(85分)
出演
セルゲイ・ポルーニン プレゼンテーター:箭内道彦
料金
¥2,500(全席指定)
チケット発売
2017年4月1日(土)AM10:00 イープラスチケットぴあ

映画上映終了後にYouTubeで1900万回以上再生された「Take Me To Church」のパフォーマンスとトークを行うそうです。

本予告編も配信開始。
公開日も7月15日(土)Bunkamuraル・シネマ、新宿武蔵野館に正式決定となりました。

私もこの作品の劇場用パンフレットに寄稿している関係で、試写を拝見しました。

セルゲイを一流のダンサーにするために家族は出稼ぎしてまで必死に働き、彼はロイヤル・バレエスクールに入学して天才ぶりを発揮します。が、結局両親は離婚し、家族はバラバラとなってしまいました。家族と一緒に過ごすために努力してきたセルゲイの心は折れてしまい、ロイヤル・バレエ入団後も成功を収めて男性では史上最年少のプリンシパルとなりますが、目標を見失い、そして電撃退団…天才的な才能を持つことが一種の呪いとなってしまい、踊ることが楽しく思えなくなり、そして孤独とプレッシャー、母親との葛藤。セルゲイの幼少期から現在に至るまでふんだんに踊る映像も盛り込まれ、見所がたくさんある作品ですが、ダンサーというのはいかに辛く厳しく孤独な職業であるかということを思い知らされた次第です。バレエファンのみならず、多くの若い人に観てもらいたい作品です。

そのセルゲイ・ポルーニンを生で観ることができるチャンスは見逃せませんね。2012年の「アリーナ・コジョカル・ドリーム・プロジェクト」で来日して以来の日本へのお目見えです。

セルゲイ・ポルーニンは、3月14日から18日まで、サドラーズ・ウェルズ劇場にてProject Poluninという公演を行いました。共演はナタリア・オシポワほかで、自身の振付作品Narcissus and Echoも初演されました(デヴィッド・ラシャペルらと共同制作)。批評家からは辛口の批評がほとんどだったものの、チケットはソールドアウトで彼の人気のほどを証明しました。

「アシュトン・セレブレーション」のDVD。タマラ・ロホとセルゲイ・ポルーニンの「マルグリットとアルマン」が収められています。

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リンカーンセンターフェスティバルに、勅使川原三郎&オーレリー・デュポン出演

ニューヨークのリンカーンセンターで毎年夏に開催されるリンカーンセンターフェスティバル。

http://www.lincolncenter.org/lc-festival/

今年は7月10日~30日に開催されます。演劇、音楽、ダンスなど様々なジャンルの芸術パフォーマンスが行われます。昨年は、宝塚歌劇団が「シカゴ」を上演しました。

7月13日から15日には、ローズ・シアターにおいて、勅使川原三郎さん振付の「Sleeping Water」が上演されます。

http://www.lincolncenter.org/lc-festival/show/saburo-teshigawara-karas

この「Sleeping Water」は、2014年夏に上演された「睡眠―Sleep」に、「ミズトイノリ」の要素も加えてアップデートした作品とのことです。今年の2月には、フランスのマルティーグでも上演されました。

出演は、勅使川原三郎さん、佐東利穂子さん、鰐川枝里さん、加藤梨花さんのKARASメンバーに加え、東京バレエ団の岡崎隼也さん。そしてパリ・オペラ座バレエ芸術監督のオーレリー・デュポンも出演します。オーレリー・デュポンは、「睡眠―Sleep」にも出演していたので、今回はどのような踊りを見せてくれるのでしょうか。

ローズホールは、リンカーンセンターといっても実際には、コロンバスサークルにあるタイムワーナーセンターの5階に位置しています。
http://www.lincolncenter.org/venue/rose-theater

勅使川原三郎さんとオーレリー・デュポンといえば、パリ・オペラ座バレエの来シーズンにも、勅使川原三郎さんの新作が上演される予定です(10月25日~11月16日)。以前勅使川原さんがオペラ座で振付けた「Darkness is Hiding Black Horses」も、オーレリー・デュポンが出演しており、勅使川原さんにデュポンの信望は厚いようですね。
https://www.operadeparis.fr/en/season-17-18/ballet/balanchine-teshigawara-bausch

*****
なお、リンカーンセンターフェスティバルの目玉としては、バランシンの『ジュエルズ』の上演があります。
http://lincolncenter.org/lc-festival/show/jewels-2?_ga=1.250942464.707936068.1487876770

これは、パリ・オペラ座バレエ、ボリショイ・バレエ、ニューヨークシティ・バレエが共演するということで大きな話題を呼んでいます。7月20日と22(昼夜)日は、「エメラルド」をオペラ座、「ルビー」をNYCB、「ダイヤモンド」をボリショイが踊ります。21日と23日は、「エメラルド」をオペラ座、「ルビー」をボリショイ、「ダイヤモンド」をNYCBが踊るという趣向となっています。

さらに、ボリショイ・バレエは、リンカーンセンターで、マイヨー振付『じゃじゃ馬馴らし』も上演します。7月26日~30日の6公演です。
http://lincolncenter.org/lc-festival/show/bolshoi-ballet

2017/03/22

マリインスキー・バレエ夏のロンドン公演のキャスト

マリインスキー・バレエは、今年の夏、7月24日から8月12日までロンドン公演をロイヤル・オペラハウスで行います。

http://www.roh.org.uk/about/mariinsky

この公演のキャストが発表されていました。

「ドン・キホーテ」

7月24日 テリョーシキナ、キム
7月25日 バトーエワ、スチョーピン
7月26日 シャキロワ、シクリャーロフ
8月2日(マチネ) エフセーエワ、エルマコフ
8月2日(ソワレ) マトヴィエンコ、アスケロフ


「白鳥の湖」

7月27日 スコーリク、パリッシュ
7月28日 コンダウーロワ、イワンチェンコ
7月29日(マチネ) オスモルキナ、ラティポフ
7月29日(ソワレ) マトヴィエンコ、アスケロフ
7月31日 テリョーシキナ、シクリャーロフ
8月1日 チェビキナ、パリッシュ
8月2日 スコリーク、キム
8月7日 オスモルキナ、スチョーピン

「アンナ・カレーニナ」

8月3日 ヴィシニョーワ、ズヴェレフ
8月4日 テリョーシキナ、シクリャーロフ

カルメン組曲(アロンソ)、インフラ(マクレガー)、パキータ グラン・パ(プティパ)
8月8日
ヴィシニョーワ、ズヴェレフ、イワンチェンコ、コンダウーロワ、マトヴィエンコ、テリョーシキナ、バトーエワ、セルゲーエフ、スチョーピン、エルマコフ、キム、トカチェンコ、シクリャーロフ
8月9日
コンダウーロワ、アスケロフ、ベリャコフ、マトヴィエンコ、シャキロワ、バトーエワ、セルゲイエフ、スチョーピン、エルマコフ、キム、トカチェンコ、パリッシュ

「ラ・バヤデール」

8月10日 スコリーク、キム、マトヴィエンコ
8月11日 テリョーシキナ、シクリャーロフ、バトーエワ
8月12日(マチネ) スコーリク、エルマコフ、エフセーエワ
8月12日(ソワレ) コンダウーロワ、アスケロフ、オスモルキナ

怪我をしているというロパートキナの出演は今回はありません。

「白鳥の湖」では、エカテリーナ・オスモルキナが2回主演するというのが目を引きます。実はオスモルキナは以前ロイヤル・バレエの「白鳥の湖」に主演しており、高い評価を得ました。(その時は、彼女はまだマリインスキー・バレエでは「白鳥の湖」に主演していま円でした)ベテランで、実力が高いのになかなかプリンシパルに上がれない彼女ですが、もしかしたら次のプリンシパルは彼女かもしれません。


2017/03/21

ローザンヌ国際バレエコンクール2017の入賞者の行き先

ローザンヌ国際バレエコンクール2017の入賞者の行き先が発表されています。

http://www.prixdelausanne.org/the-prize-winners-2017-their-choices/

1. Michele Esposito (イタリア) オランダ国立バレエジュニアカンパニー

2. Marina Fernandes da Costa Duarte (ブラジル) ミュンヘン・バレエ

3.中尾太亮 (日本) ロイヤル・バレエ・スクール

4.山元耕陽 (日本) チューリッヒ・ダンス・アカデミー

5. Lauren Hunter (米国) ロイヤル・バレエ・スクール

6. Stanislaw Wegrzyn (ポーランド) ロイヤル・バレエ (研修生)

7. Diana Georgia Ionescu (ルーマニア) シュツットガルト・バレエ (研修生)

8. Sunu Lim (韓国) スカラシップを辞退、代わりにFangqi Li (中国) ABTスタジオカンパニー(研修生)

皆さまおめでとうございます。

振付家トリシャ・ブラウン逝去

ポスト・モダンダンスの旗手、振付家で、トリシャ・ブラウン・カンパニーを率いているトリシャ・ブラウンが亡くなったと、カンパニーのサイトとニューヨークタイムズに訃報が掲載されました。

https://www.trishabrowncompany.org/

Trisha Brown, Choreographer and Pillar of American Postmodern Dance, Dies at 80
https://mobile.nytimes.com/2017/03/20/arts/dance/trisha-brown-dead-modern-dance-choreographer.html

トリシャ・ブラウンは、3月18日にサンアントニオで逝去しました。享年80歳。2011年以来、脳血管性認知症の治療を受けていたそうです。2012年12月に、2011年に振付けた2つの作品が最後のものであると発表されていました。

30年以上にわたって、トリシャ・ブラウンは振付家として国際的に活躍しました。パリ・オペラ座バレエに作品を振付け、ミハイル・バリシニコフとコラボレーションを行い、ロバート・ラウシェンバーグなどのビジュアルアーティストに舞台美術を依頼するなど幅広く活動していました。彼女ほどの影響力が大きく、ダンスの知性と官能的な面を組み合わせたクリエーターは少なかったとされています。21世紀にいたるまで、主にニューヨークで発表された彼女の作品は、モダンダンスの創造者たちの新世代を作り上げることに貢献しました。

1983年の『セット・アンド・リセット』でアメリカだけでなく、ヨーロッパでも高い評価を得ました。音楽はローリー・アンダーソン、舞台美術はロバート・ラウシェンバーグに委嘱したこの官能的な作品は、ポスト・モダンダンス作品ではもっとも愛された作品の一つです。

1988年にフランス政府はトリシャ・ブラウンにレジオン・ドヌール勲章のシェヴァリエを授与。2000年には同勲章のオフィシエ、2004年にはコマンドゥールを授与されました。

トリシャ・ブラウンは1936年11月25日にワシントン州に生まれました。1961年にニューヨークに拠点を移し、ジャドソン・ダンス・シアター・グループの創設メンバーに加わります。共に活動したデヴィッド・ゴードン、スティーヴ・パクストン、イヴォンヌ・レイナー同様、超絶技巧、アカデミックなテクニック、演技、音楽性といったマーサ・グレアムなどが切り開いたモダンダンスの特徴(バレエの影響も)を遮断した作品を創造しました。

1970年には自らのトリシャ・ブラウン・カンパニーを設立。これらの年代においては、ブラウンは、通常考えられない場所において、音楽なしの作品を創造しました。1970年代終わりまで、「ポスト・モダンダンス」という言葉は確立されておらず、後年になって、ブラウンやジャドソン・ダンス・シアターグループのメンバーたちがモダニズムの過激さの中にダンス界をリードしていたことが認識されています。

ブラウンが尊敬していた振付家マース・カニンガムは、ダンスを音楽とデザインから独立した存在としました。そして彼女は、さらにそれを進めてダンスを技術の負荷から自由なものとし、70年代には音楽の伴奏なしでそれを見せたのです。これが「デモクラティック・ダンス」であり、新しいコンビネーションを使っているにもかかわらず、ダンスの訓練を受けていない平均的なダンサーができる動きで構成されていました。いくつかのダンスは裸足で上演され、他のダンスはスニーカーでの上演でした。

1971年にブラウンが振付けた歴史的な3作品は、その題名だけで内容を物語っています。『建物の壁を歩く』『ルーフ・ピース』『累積』。『建物の壁を歩く』は、ダンサーがハーネスで吊るされて壁の間を歩く作品、『ルーフ・ピース』はソーホーの10のブロックにおける12の屋根の上にダンサーたちを広げ、重力を使って反重力に挑みました。『累積』は、動きの単位が一つずつ加算されては元に戻って反復される、正確なカウントと記憶を要求する数学的なシステムに従った作品です。これらの作品に体現されたその時代の実験的なダンスは、従来の美学に対抗するものでありましたが、ブラウンは、新時代の巨匠となったのです。

バービカン・センターで『建物の壁を歩く』が上演された時の映像

しかし1979年からは方向性を転換し、新しいダンスシアターの形態を作り上げます。ラウシェンバーグのようなデザイナーとコラボレーションし、ローリー・アンダーソンやほかの音楽家のスコアを使い、今までの純粋さを新しい演劇性のなかに転換する魅惑的で新奇な作品群を振付けました。「なぜ音楽のない作品を振付けるのをやめたのですか?」と問われ、「観客が咳をするのを聞くのにうんざりしたからよ」と彼女は答えました。

80年代に振付けた作品群は、大きな熱狂を呼びました。これらの作品は発明的な振付に基づく純粋なダンスの創造ではあったのですが、音楽、衣装や舞台芸術によって、演劇性も持ち、視覚効果や音楽によって強い雰囲気を持ちました。

特に『セット・アンド・リセット』は、ブラウンに新しい世界的な名声をもたらし、彼女のカンパニーはニューヨークのシティ・センター、ロンドンのサドラーズ・ウェルズ劇場で定期的に公演を行い、フランスのダンス界でも高い人気を獲得しました。そしてこのスタイルは、2011年の最後の作品『I’m going to toss my arms — if you catch them they’re yours』まで維持されました。この作品は、夫バート・バーが舞台美術を担当し、アルヴィン・カランの音楽を使用していました。バート・バーは昨年11月に亡くなっています。

1980年代末からは、ブラウンは次のフェーズ、クラシック音楽との新しい関係を築きます。モンテヴェルディ、バッハ、シューベルト、ラモー、ビゼーの音楽を使いながらも、彼女の音楽への反応は音楽性においても演劇性においても、型にはまったものとは違っていました。2002年にはシューベルトの『冬の旅』を振付けましたが、バリトンのスター歌手、サイモン・キーンリーサイドが出演し、素晴らしい動きを見せました。

ブラウンはダンサーとしても非常に優れていました。1989年にミハイル・バリシニコフがバレエからアメリカのモダンダンスを探求することに方向転換した際に、彼はブラウンとコラボレートすることを好みました。『You Can See Us』(1996)では、二人はデュエットを踊り、バリシニコフは前を向いていますが、ブラウンは観客に背を向けたまま動きませんでした。

2011年が彼女の最後の活動となるというニュースは、2009年のマース・カニンガムの死と2011年12月に彼のカンパニーが解散するというニュースと共に、一つの時代の終わりを告げました。それまでにブラウンは100以上の作品を振付け、多くは映像として収録されています。彼女のカンパニーの今後の計画も発表されていました。

2016年1月に、ブルックリン・アカデミー・オブ・アーツ(BAM)が彼女のカンパニーの「プロセニアム」シリーズ最後の公演を行いました。2015年以降、「In Plain Site」というシーズンはいくつかの特別の場所で開催され、彼女のレパートリーからダンスの抜粋を作り、様々なダンスを観るためにいろんな部屋を歩く回るように観客に求めるという形で上演されています。これはブラウンのアイディアによるものです。

1980年代以降、ブラウンの作品は他のカンパニーでも上演されてきました。『セット・アンド・リセット』は、フランスのダンスを学ぶ学生の学校カリキュラムに加えられています。パリ・オペラ座バレエでは、『O zlozony / O composite』(2004)が委嘱され、レパートリー入りしています。

トリシャ・ブラウン・カンパニーは引き続き、旺盛な活動を行っています。
しかしながら、ブラウンの作品を分析するのは難しく、20世紀のカジュアルな舞踊言語を知らない世代にとっては、彼女の作品の舞踊言語は理解しにくいものであるかもしれません。すべてのダンスの遺産は脆弱であり、彼女の作品についてもそうかもしれません。

パリ・オペラ座のダンサーたちが2013年に名作「Glacial Decoy」(1979)をリハーサルする様子を捉えたドキュメンタリー映画「IN THE STEPS OF TRISHA BROWN」が製作され2017年2月にプレミアを迎えたばかり、現在各地の映画祭で上映されています。
http://icarusfilms.com/new2017/trisha.html

ダンス界は偉大なアーティストを失いました。

トリシャ・ブラウン「ダブル・ビル」は、クラシカ・ジャパンでかなり頻繁に放映されています。これはリヨン・オペラ・バレエのダンサーが『M.G.へ:映画』(1991年)『ニューアーク』(1987年)を踊っている映像です。
http://www.classica-jp.com/program/detail.php?classica_id=CNT1402

桜井圭介さんによる「 トリシャ・ブラウン初期作品集 1966-1979 」
http://d.hatena.ne.jp/sakurah/20160320/p1

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2017/03/18

トランプ大統領、全米芸術基金や全米人文科学基金の廃止を、連邦政府予算案で提案

1月に、トランプ合衆国大統領が、全米芸術基金(NEA)と全米人文科学基金を廃止する意向であるという記事を紹介したところ、大きな反響がありました。

ただし、これはヘリテージ財団の青写真に基づく内容のものを政治専門紙「ザ・ヒル」が報じたもので、見通しに関する記事でした。


このたび、トランプ大統領は、3月16日に発表された第1回目となる連邦政府予算案の中で、全米芸術基金や全米人文科学基金の廃止を提案しています。

ドナルド・トランプ大統領、全米芸術基金や全米人文科学基金の廃止を提案
http://nme-jp.com/news/35278/

Trump wants to axe NEA and other culture agencies
http://theartnewspaper.com/news/trump-wants-to-axe-nea-and-other-culture-agencies/

Trump Proposes Eliminating the Arts and Humanities Endowments
https://www.nytimes.com/2017/03/15/arts/nea-neh-endowments-trump.html?_r=1

先に報じられた全米芸術基金や全米人文科学基金(NEH)だけでなく、放送局PBSや非営利ラジオ局のネットワークの主財源となる国家放送法人、博物館図書館サービス振興機構(米国の博物館・図書館サービス法(Museum and Library Services Act)によって制定された連邦行政府内の独立行政機関)、ならびに学者のためのウッドロー・ウィルソン・インターナショナル・センターの解体も提案しており、19もの団体が廃止されてしまう危機にあります。

全米芸術基金と全米人文科学基金は、1965年に当時のリンドン・ジョンソン大統領がどの「先進的な国家」も芸術や人文科学、文化的な活動を十分評価する必要があると宣言して設立されており、基金の廃止を呼びかけた大統領はこれまでにいませんでした。

両基金ほか19団体を合わせた年間の予算は、国家予算1.1兆ドル(約124.59兆円)のうちの約30億ドル(約3397億円)となっています(NEA,NEHがそれぞれ1億4千800万ドル、連邦政府予算のわずか0.003%)。一方で、トランプは大幅に軍事予算を増加させる予定で、523億ドルも増加させ、メキシコと米国の間の壁を構築するなどで、入国管理局の予算も28億ドルも増加させるとのことです。また、トランプタワーの年間の警備費は、1億8300万ドルで、NEAやNEHの予算よりも大きな金額です。

もちろん、芸術に関連する団体、美術館や博物館などは歩調を合わせて、この削減や廃止への反対を表明しています。たとえばNEAは、脳に外傷を負った軍人が入院している全米12の病院に、リハビリのためにアートセラピストを配置したりもしています。また、NEAは米国内のGDPの4.2%にあたる7300億ドルという市場規模、480万人が雇用されている芸術文化産業において、基金のマッチングで年間6億ドルも生み出していて、大きな経済効果を生んでいます。

National Center for Arts Research (NCAR)によれば、美術館/博物館は99億5千万ドルの売り上げを米国経済に貢献しており、またコミュ二ティに根差したアート団体も36億ドルの寄与があるとのことです。

メトロポリタン美術館も、抗議の声明を発表しています。
http://www.metmuseum.org/press/news/2017/march-16-statement

全米各地の劇場も抗議声明を発表し、NEAの重要性を強調しています。
http://www.broadwayworld.com/philadelphia/article/In-Their-Own-Words-Arts-Organizations-on-the-Importance-of-the-National-Endowment-for-the-Arts-20170218

もちろん、米国のバレエ団もNEAから基金を提供されていました。たとえば1995年には、ABT(アメリカン・バレエ・シアター)はNEAから125万ドルの基金の提供を受けています。

米国のDance Magazineでは、1月の報道があった時には、まだ楽観的な内容の記事を掲載していました。
The NEA is Not Going Anywhere…Yet
http://dancemagazine.com/views/nea-not-going-anywhere-yet/

2017年のNEAのダンス関係の基金提供については、アスペン・サンタフェ・バレエの米国内ツアーとアウトリーチ活動の支援、ディブロ・ダンス・センターの支援、ジョージ・バランシン財団のビデオアーカイブ作成への支援などを行う予定となっています。

ダンス/バレエ団体への公的な金銭的な支援が行われなくなるのも大きな問題ですが、もっと大きな問題としては、米国内の公立学校や、小さなコミュニティにおけるアート関連のプログラムが削減される可能性が高くなっています。多くのダンサーは、これらのNEAによって支援されたプログラムで教えることによって生計を立てています。またこれらの資金援助が行われないことにより、地方や金銭的に恵まれない地域における子供、さらには大人も芸術に触れる機会が減ってしまうことになります。

ただし、この段階ではあくまでも廃止の「提案」なのであって、廃止されることが決まったわけではありません。反対、抗議の声を上げていくことが必要だと、Dance Magazineの記事でも書いており、請願の送り先や、ソーシャルメディアでNEAの重要性を訴えることを書いています。
http://dancemagazine.com/views/how-to-save-the-nea/

2017/03/14

ウィーン国立バレエ ライヴストリーミング「アルミードの館」「春の祭典」

本日ですが、ウィーン国立バレエのライヴストリーミング「アルミードの館」「春の祭典」(ノイマイヤー振付)が行われます。

http://www.staatsoperlive.com/ja/live/380/le-pavillon-darmide-le-sacre-2017-03-13/

ウィーン国立歌劇場のライブストリーミングは、有料で14ユーロかかりますが、時差がある地域を考慮して、日本時間だと、3月14日の午前3:00から、3月17日の午前2時までの72時間内の視聴時間を選ぶことができます。

予告編

リハーサルの様子

「アルミードの館」について語るノイマイヤー

出演

現在
ヴァスラフ・ニジンスキー ミハイル・ソスノヴィチ
ロモラ・ニジンスキー ニーナ・ポラコワ 

過去
ヴァスラフ・ニジンスキー デニス・チェレヴェチコ
シャムのダンサー ダヴィデ・ダト 
タマラ・カルサヴィナ マリア・ヤコヴレワ 
セルゲイ・ディアギレフ ロマン・ラツィク 
アレクサンドラ・バルディナ ニーナ・トノリ

ほか


作品の内容については、たまにはオーストリアちっく パート3さんの感想がとても詳しいので参考になると思います。(3公演分について書かれています)

http://happawien.jugem.jp/?eid=2570

2017/03/08

ロイヤル・バレエの「ジュエルズ」リハーサル中継

ロイヤル・バレエの「ジュエルズ」リハーサルの中継が、3月6日に行われました。

http://www.roh.org.uk/news/watch-insights-balanchine-jewels-rehearsals

時差の関係で、日本時間は7日の早朝となりましたが、録画はロイヤル・オペラハウスの公式YouTubeチャンネルで観ることができます。

指導はバランシン財団のパトリシア・ニアリー。新国立劇場バレエ団のバランシン上演でも指導をされている方ですね。

「ルビー」はサラ・ラムとスティーヴン・マックレー、「ダイヤモンド」はマリアネラ・ヌニェスとティアゴ・ソアレスのリハーサルです。大変見ごたえがあります。

******

なお、このロイヤル・バレエ「ジュエルズ」は、ロイヤル・オペラハウス・シネマシーズン2016/17で、日本でも映画館で観ることができます。6月2日より劇場公開。
http://tohotowa.co.jp/roh/

ちなみに、、ロイヤル・オペラハウス・シネマシーズン2016/17では、
「ウルフ・ワークス」は3月31日より、
「眠れる森の美女」は5月12日より、
そして「マルグリットとアルマン」「真夏の夜の夢」「シンフォニック・ヴァリエーションズ」は9月1日よりと
日程も決まっています。

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