2024年11月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

ブログパーツ

  • HMV検索
    検索する
無料ブログはココログ

マシュー・ボーン

2021/02/11

マシュー・ボーンin シネマ「赤い靴」2月11日劇場公開

2月11日より、マシュー・ボーンin シネマ「赤い靴」(映画版)がBunkamuraル・シネマで劇場公開されます。(順次全国公開)

https://mb-redshoes.com/

Photo_20210210140801

Photo by Johan Persson

アンデルセンの名作童話をもとに映画化されたクラシック映画の不朽の名作『赤い靴』。目くるめく幻想的な劇中劇シーンの美しさは、あらゆる映画のダンスシーンの中でも最も夢幻的で輝かしいものでした。この作品を舞台化したのがマシュー・ボーン。2016年に初演され、2017年にはローレンス・オリヴィエ賞で2部門受賞。米国ツアーではNYCBのサラ・マーンズ、当時ABTのマルセロ・ゴメスもゲスト出演しました。昨年夏に来日公演を行う予定が、コロナウィルス禍で残念ながら中止になってしまいましたが、2020年1月に収録された公演が映画館に上陸します。

2_20210210170201

Photo by Johan Persson

名作映画をベースにしながら、ボーンならではの魔法のようなストーリーテリング手法が取られていて、とても見ごたえがあります。ボーン作品では欠かせないレズ・ブラザーストンの舞台美術が秀逸で、プロセニアム・アーチを活用して劇中劇の場面への転換が巧みに行われ、1940年代の当時のバレエ界の雰囲気を醸し出します。

オリジナルの映画「赤い靴」では、バレエ・リュスをモデルにしたバレエ団や登場人物が現れ、靴屋の役で登場するのはバレエ・リュスを代表するダンサー、振付家であるレオニード・マシーン。ヒロインのヴィクトリアは英国ロイヤル・バレエで活躍したモイラ・シアラーが演じました。そしてバレエ団の団長であるレルモントフは、バレエ・リュスを率いた興行師セルゲイ・ディアギレフがモデル。このレルモントフ役を、今回は20年ぶりにニュー・アドベンチャーズ作品に出演したアダム・クーパーが陰影たっぷりに演じます。

1_20210211005501

Photo by Johan Persson

バレエ界が舞台なので、ボーン作品の中でもバレエ色が強く、題名通り赤いポワントシューズがモチーフなので、振付もバレエ寄りだけどボーンならではのユニークさは群舞に現れます。これはリファール作品か!とかバレエ・リュスらしさが衣装や装置に現れているので、この辺の知識がある人はニヤリとすることでしょう。最初のほうに出てくるのは、バレエ・リュス初期の作品「レ・シルフィード」。シャネルの衣装で知られるニジンスカの「青列車」そっくりの作品まで登場します。

3_20210211005601

Photo by Johan Persson

ヒロインのバレリーナ、ヴィクトリアは踊ることを愛していると同時に、作曲家のジュリアンと恋に落ちて、バレエ、芸術への愛と個人としての愛に引き裂かれます。真の芸術家は芸術に身をささげるべきだというレルモントフの逆鱗に触れてバレエ団を去りますが、赤い靴に象徴される、バレエへの思いは断ち切りがたく…。一度赤い靴に魅せられたら、死ぬまでこの靴を脱ぐことはできず死ぬまで踊り続けなければならない、という芸術家の魂を描いています。アダム・クーパー演じるレルモントフは、ポワントを履いた足の彫像を愛でる偏執狂的な男で、ヴィクトリアに対する愛憎相容れた感情が見事に演じられていました。団員ロモラと結婚した愛人ニジンスキーを追放したディアギレフを思わせますが、ヴィクトリアに対する思いは、男女の愛ではなく、芸術を伝えるミューズ、手塩にかけて育てた芸術品に対する崇拝のようなものでした。

8 

Photo by Johan Persson

オリジナルの映画「赤い靴」は劇中劇の幻想的な美しさに圧倒されますが、ボーンはまた違った魔術的なアプローチで魅せてくれます。ヴィクトリアの劇中パートナーを演じるリアム・ムーアの踊りが魅惑的で、また靴屋/振付家のグレン・グラハムの濃いキャラクターによるダンスや群舞は強烈です。ヴィクトリア役のアシュリー・ショー、ジュリアンのドミニク・ノース、プリマ・バレリーナのミケーラ・メアッツァとニュー・アドベンチャーズのおなじみのダンサーたちが出演しているのもうれしいところです。

4_20210211015801

Photo by Johan Persson

ボリス・レルモントフ(バレエ団プロデューサー)
アダム・クーパー
ヴィクトリア・ペイジ(新星バレリーナ)
アシュリー・ショー
ジュリアン・クラスター(苦悩の若き作曲家)
ドミニク・ノース
イリナ・ボロンスカヤ(プリマドンナ)
ミケラ・メアッツァ
イヴァン・ボレスラウスキー(プリンシパル)
リアム・ムーア
グリシャ・リュボフ(バレエマスター)
グレン・グラハム
5
Photo by Johan Persson
演出・振付:マシュー・ボーン
舞台・衣装デザイン:レズ・ブラザーストン
照明:ポール・コンスタンブル
音響:ポール・グルーサス
音楽:バーナード・ハーマン
原作:映画『赤い靴』(監督:マイケル・パウエル&エメリック・プレスバーガー)および、ハンス・クリスチャン・アンデルセンによる同名童話
先日、マシュー・ボーンのオンラインイベントが開催されました。そのアーカイブが今視聴できますので、ライブでご覧になれなかった方はぜひご覧ください。モデレーターはニュー・アドベンチャーズで活躍した友谷真実さんです。

このオンラインイベントの内容を一部紹介します。

マシュー・ボーンが初めてバレエに触れたのが、映画「赤い靴」だったとのことです。あまりバレエの舞台に接するような家庭に育っていなかったのでバレエとの出会いは映画でした。今まではバレエ作品を振り付けてきたけれども、今回はバレエ作品を離れて、映画をもとにバレエを作ろうと思ったとのこと。ドラマティックな物語であり、情熱と犠牲というテーマに惹かれてこの作品をバレエ化しようと思ったそうです。

アダム・クーパーは舞台版「赤い靴」のプレミアにやってきて、レルモントフ役を機会があれば演じたいとその時話しかけたそうです。「白鳥の湖」のリハーサルに手伝いしてきて、とても身体もよく動いて調子がよさそうだったので、出演をオファーしたとのこと。

映画をダンス化するにあたって、3人の人間関係をダンスを通して表現することに苦労されたとのこと。レズ・ブラザーストンとは感覚が似ており、美、芸術に対する感覚が似通っていて、調査のために一緒にモンテカルロにも出かけていきました。ボーンはヴィクトリアの衣装は作品の前半ではもっとつつましいものにしたいと思っていたのですが、彼はグラマラスなものにしたそうです。

昨年の来日公演は残念ながら中止になってしまいましたが、いずれこの作品は、来日公演に持って行きたいと願っているとのこと。映画からのインスピレーションに加えて、新しい要素も加えています。

音楽のバーナード・ハーマンはヒッチコックの「サイコ」や「めまい」などの映画音楽を手掛けており、別の作品で彼の音楽を使おうとしていたところ、「赤い靴」にぴったりだとボーンは気が付いたとのこと。彼の音楽は舞台作品では使われたことがないのだけど、とてもドラマティックでロマンティックでエキサイティングな音楽であり、これらの映画を見たことがない人、そして日本の皆さんにもこの音楽を楽しんでほしいと思っているそうです。

9_20210211022301

Photo by Johan Persson

■配給:ミモザフィルムズ

■2021211日(木・祝)よりBunkamuraル・シネマほか全国順次公開

撮影場所:サドラーズ・ウェルズ劇場/撮影時期:20201月/上映時間:97

提供:MORE2SCREEN/配給:ミモザフィルムズ/配給・宣伝協力:dbi inc.

後援:ブリティッシュ・カウンシル

© Illuminations and New Adventures Limited MMXX

【公式サイト】mb-redshoes.com

オリジナルの映画「赤い靴」劇中ダンスシーン(さすがにここだけは越えられなかった…)

2021/02/03

2月6日マシュー・ボーン出演『赤い靴』オンライントークイベント開催

英国バレエ界の鬼才マシュー・ボーンの話題作が映画『マシュー・ボーン IN CINEMA/赤い靴』として、2021211日(木・祝)よりBunkamuraル・シネマを皮切りに全国順次公開されます。

https://mb-redshoes.com/

Photo_20210203154801

Photo by Johan Persson

クラシック映画の名作『赤い靴』(1948年)とアンデルセンの童話をもとに発表された本舞台は、2016年のワールドプレミアで開幕前にソールドアウトを記録、見事ローレンス・オリヴィエ賞2冠に輝き、「マシュー・ボーン史上、最高傑作」と評された話題作です。さらに20201月のロンドン公演を収録した本作では、世界的ダンサーのアダム・クーパーが20年振りにマシュー・ボーン作品に戻り、本作の象徴的なキャラクター、レルモントフを演じたことでも話題となりました。

9

Photo by Johan Persson

『赤い靴』は、オリジナルの映画『赤い靴』の芸術への愛と現実世界の愛に引き裂かれるバレリーナの姿を描いているだけでなく、マシュー・ボーンならではのめくるめく魔術的な手法で、ダンスで雄弁に物語っていました。試写で拝見しましたが、ボーン作品の中でもダンスの比重が多く、胸に強く迫る作品でした。(後日作品評もアップします)アダム・クーパー演じるレルモントフはディアギレフをモデルとしているということもあり、登場する作品もバレエ・リュス的だったりして、バレエファンが観るとさらに面白いのではないかと思います。ボーン作品と言えば必ず美術を担当するレズ・ブラザーストンによる舞台装置も美しく効果的です。リアム・ムーア、アシュレー・ショー、ドミニク・ノース、グレン・グラハムらニューアドベンチャーズ作品に欠かせないキャストも、魅力を発揮していますし、なんといってもアダム・クーパーの渋く重厚な演技には圧倒されます。

この舞台版『赤い靴』は、2020年6月に日本公演が予定されていましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて中止となってしまいました。しかし、この舞台を収録した映画が、今年2月11日に日本のスクリーンに初上陸します。

1_20210203160301

Photo by Johan Persson

オンラインイベントについて

日本での映画公開を記念し、本作の振付・演出を手掛けたマシュー・ボーン氏をスペシャルゲストに迎え、オンライントークイベントの開催が決定しました。配給のミモザフィルムズのYouTube公式チャンネルから無料でライブ配信の予定です。マシュー・ボーンは、代表作『白鳥の湖』を始め、古典作品を斬新な解釈で甦らせてきた英国バレエ界を代表する振付家・演出家であり、イギリスの革新的なダンスカンパニー、ニュー・アドベンチャーズを主宰しています。

さらに、モデレーターとしてダンサー、振付家の友谷真実さんの参加も決定。友谷さんは、日本人で初めてニュー・アドベンチャーズに入団し、主役を演じた『くるみ割り人形』他、多くのマシュー・ボーン作品に出演しています。マシュー・ボーン氏本人をよく知る友谷さんの視点から、本作『赤い靴』の魅力について掘り下げていく予定です。また、イベントではファンからの質問コーナーも実施、事前に質問を受け付ける予定です。※期間限定でアーカイブ配信もある予定。

<マシュー・ボーン出演オンライントークイベント開催概要>

●日時:     26日(土)20:0021:00終了予定)

●配信方法:   ミモザフィルムズYouTube 公式チャンネルよりLive配信

         https://www.youtube.com/channel/UCQBeTDxe4Xx7uKUhpfjVT9g

●ゲスト:    マシュー・ボーン(振付家・演出家、ニュー・アドベンチャーズ主宰)

モデレーター: 友谷真実(ダンサー、振付家) *敬称略

3

Photo by Johan Persson

【プロダクション】

演出・振付:マシュー・ボーン/舞台・衣装デザイン:レズ・ブラザーストン/照明:ポール・コンスタンブル

音響:ポール・グルーサス/音楽:バーナード・ハーマン

原作:映画『赤い靴』(監督:マイケル・パウエル&エメリック・プレスバーガー)および、ハンス・クリスチャン・アンデルセンによる同名童話

【キャスト】

アダム・クーパー、アシュリー・ショー、ドミニク・ノース、ミケラ・メアッツァ、リアム・ムーア、グレン・グラハム 

撮影場所:サドラーズ・ウェルズ劇場/撮影時期:20201月/上映時間:97

提供:MORE2SCREEN/配給:ミモザフィルムズ/配給・宣伝協力:dbi inc./後援:ブリティッシュ・カウンシル

公式サイト https://mb-redshoes.com/

2_20210203162401

Photo by Johan Persson

2021年211日(木・祝)よりBunkamuraル・シネマを皮切りに全国順次公開

2020/06/05

『マシュー・ボーン IN CINEMA/ロミオとジュリエット』6月5日より公開

新解釈版『白鳥の湖』でバレエ界に新風を巻き起こした英国バレエ界の鬼才、マシュー・ボーンの新作舞台『ロミオとジュリエット』が、いち早く日本のスクリーンに初登場します。試写を観たのはだいぶ前ですが、その激しさ、鮮烈さは忘れがたく、有料配信でもう一度観ました。

6.5(金)よりYEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次ロードショーされます。

http://mb-romeo-juliet.com/

Photo_20200605022001

時代を超えて語り継がれてきたシェイクスピアの伝説的古典を、巨匠プロコフィエフの名曲に乗せてコンテンポラリー・バレエに大胆にアレンジした完全な新演出版。本プロジェクトのために新たに発掘された若い才能をスタッフ・キャストに迎え、不朽の名作に新たな風を吹き込んだ本作は、「2019年で最も待ち望まれた舞台!」と評され大絶賛をもって迎えられた。厳しい管理下に置かれ、自由を奪われ愛が禁じられた近未来を舞台に、運命に翻弄された2人の若き恋人たちの悲劇的な愛の物語が、まだ誰も見たことのない新世代の『ロミオとジュリエット』として蘇る。

Mb_

STORY

今からそう遠くない近未来、反抗的な若者たちを矯正する教育施設「ヴェローナ・インスティテュート」では、若者たちは男女別に分断、接触を禁じられ、厳しい監視下のもと自由を奪われて暮らしている。ジュリエットは、暴力的な看守のティボルトから目を付けられ、その脅威に怯えていた。ある日、有力政治家の両親から見放され施設に入れられたロミオは、施設で開催されたダンスパーティーでジュリエットと出会う。瞬く間に恋に落ちた2人は、看守の目を盗んで逢瀬を重ね、仲間たちに祝福されながら遂に愛を誓いあうのだった。しかし、幸せもつかの間、突如酒に酔ったティボルトが銃を振りかざして現れ、乱闘の挙句、仲間の1人マキューシオが命を落としてしまう。怒りに燃えるロミオとジュリエットたちは、ティボルトに立ち向かうも、さらなる悲劇が彼らを待ち受けていた…。

1_20200605022301

様々な振付家が手掛けてきたバレエ版の『ロミオとジュリエット』。待ち望まれていたマシュー・ボーン版は、近未来の矯正施設に閉じ込められた若者たちの愛と死と暴力の物語。今まで見てきたどの『ロミオとジュリエット』よりも疾走感があって激しく、鮮烈で痛ましく残酷だ。真っ白い矯正施設のベッドの上で血まみれになってこと切れているロミオとジュリエットの死体が冒頭に映し出されるところからして強烈だ。

6

矯正施設に閉じ込められて自由を奪われた若者たちを暴力で支配する残忍な看守のティボルト。裕福な両親によってこの施設に入れられてしまう気弱な青年ロミオ。奔放な魅力のある少女だがティボルトにしつこく目を付けられて怯えているジュリエット。マキューシオとバルサザールという男性カップル。若者たちのやり場のないエネルギーが全編ほとばしりパワフルなダンスが次から次へと繰り広げられる。ジュリエットとロミオのバルコニーのパ・ド・ドゥも情熱的で、内に秘めていた二人の思いが激しく炸裂している。二人が床の上を転がりながらもリフトも展開され、バルコニーも有効に使って力強い。極限状況の中でどうしようもなくお互いを求めあう熱情が伝わる最後のパ・ド・ドゥは痛ましくも美しい。レズ・ブラザーストンによる舞台装置はシンプルながら非常に効果的で、真っ白な矯正施設が行き場のない閉塞感を象徴している。白い制服を着せられたダンサーたちのなかで、赤い髪のジュリエット、そして流れる赤い血が鮮やかに浮かび上がる。暴力とトラウマがメーンのモチーフとなっていて、そのトラウマが結局恋人たちを破滅へと追いやってしまうのだ。

2

音楽の順番を大胆に入れ替えた意外性とキャラクターの設定変更もユニークだ。1時間30分ほどの上演時間があっという間に通り過ぎ、見たことのない衝撃に心撃ちぬかれる、そんな痛ましくも熱情溢れる作品。ぜひ大スクリーンで体験してほしい。『シンデレラ』や『マシュー・ボーンの『白鳥の湖』『眠れる森の美女』などで主演してきた繊細さと大胆さのバランスが絶妙なコ―デリア・ブライスウェイト、やはり『シンデレラ』で頭角を現した若く美しいパリス・フィッツパトリックなど、若いキャストが活躍するのも、この作品の焦燥感、疾走感に寄与している。

恵比寿ガーデンシネマでの上映スケジュール
6月5日(金)〜11日(木)は
10:30/15:40/17:50

【プロダクション】演出・振付:マシュー・ボーン/舞台・衣装デザイン:レズ・ブラザーストン/照明:ポール・コンスタンブル/音響:ポール・グルースイス/音楽:セルゲイ・プロコフィエフ

【出演】ロミオ:パリス・フィッツパトリック/ジュリエット:コーデリア・ブライスウェイト/ティボルト:ダン・ライト/マキューシオ:ベン・ブラウン/バルサザー:ジャクソン・フィッシュ

撮影場所:サドラーズ・ウェルズ劇場/撮影時期:2019年/上映時間:91

提供:MORE2SCREEN 配給:ミモザフィルムズ 配給・宣伝協力:dbi inc.

後援:ブリティッシュ・カウンシル

© Illuminations and New Adventures Limited 2019

http://mb-romeo-juliet.com/


2019/12/12

【公演中止】マシュー・ボーンの『赤い靴』日本公演決定

【マシュー・ボーンの『赤い靴』公演中止のお知らせ】

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の状況を受け、マシュー・ボーンの『赤い靴』来日公演の実現に向けてニュー・アドベンチャーズとの協議を重ねてまいりました。現時点におけるあらゆる可能性を検討した結果、英国より公演を招聘することが困難であると判断し、誠に残念ながら、本公演を中止することと致しました。

<中止公演>
マシュー・ボーンの『赤い靴』
2020年6月17日(水)~28日(日) 東急シアターオーブ 全16公演

 

ご観劇を心待ちにしておられたお客様には、多大なるご迷惑をお掛け致しますことを、深くお詫び申し上げます。関係者一同、将来的な日本ツアーの実現を願っております。

払い戻し方法についての詳細は、5月7日(木)以降に弊社ホームページにて改めてご案内を致します。
現在お持ちのチケットは、失くさずに保管ください。
何卒、ご理解・ご了承くださいますよう宜しくお願い申し上げます。

主催:ホリプロ/TBS/BS-TBS

https://horipro-stage.jp/pickup/information20200415/

バレエ映画の金字塔であるマイケル・パウエル&エメリック・プレスバーガー監督の『赤い靴』、そしてアンデルセンのおとぎ話をもとに奇才マシュー・ボーンが2016年に発表した『赤い靴』の来日公演が決定しました。

Main

https://horipro-stage.jp/stage/redshoes2020/

ローレンス・オリヴィエ賞では2部門(ベスト・エンターテインメント賞/ベスト・コレオグラフィー賞)を獲得し、北米ツアーを行ったほか現在も英国ツアーの一環としてサドラーズ・ウェルズ劇場で上演中の話題作がやってきます。

Sub5
(C) photo by Johan Persson

■演出・振付:マシュー・ボーン
■原作:映画「赤い靴」(監督:マイケル・パウエル&エメリック・プレスバーガー)および、 ハンス・クリスチャン・アンデルセンによる同名童話
■音楽:バーナード・ハーマン
■出演:ニュー・アドベンチャーズ

<ストーリー>

踊るために生まれてきたヴィクトリア・ペイジは才能を見出され、バレエ団のスターとして人気を博すようになる。世界一のプリマを目指すバレリーナ ヴィクトリアと、彼女を育てるために情熱を注ぐ辣腕プロデューサー レルモントフ。2人の夢は順調に実現に向かっているようにみえた。


しかし彼女が作曲家 ジュリアン・クラスターと恋に落ちた時、運命の歯車が狂い始める—

Sub1

(C) photo by Johan Persson

<東京公演>
期間:2020年6月17日(水)~6月28日(日) <全16回>
会場:東急シアターオーブ
主催:ホリプロ/TBS/BS-TBS

※東京公演のみ

2016年、 母国イギリスよりナイトの称号を得たマシュー・ボーンは、 「長年かかえている野望」として「赤い靴」の舞台化を挙げていた。 インタビューではこう語っている。 「映画「赤い靴」は、 私が初めて観たバレエです。 それは怪しくもあり、 また素晴らしいバレエの世界を教えてくれるものでもありました。 バレエとはとても魅力的なものに思え、 歴史というパズルのひとかけらをありありと見た気がしたのです」

ニューアドベンチャーズの公式サイト

https://new-adventures.net/the-red-shoes

ロイヤル・バレエのプリンシパル、モイラ・シアラーが主演し、バレエ・リュスの振付家・ダンサーであるレオニード・マシーンも出演した映画版の『赤い靴』は不朽の名作で、特に15分間にわたる、妖しく幻想的なダンスシーンの美しさ、素晴らしさは映画史上に残る名場面です。バレリーナが恋を選ぶのか、踊ることを選ぶのか、決断を迫られ、そして決して脱げない赤い靴で踊り続けて悲劇的な結末を迎える本作には、普遍的なテーマがあります。

現在ロンドンのサドラーズ・ウェルズ劇場にて1月19日まで公演中の本作は、その後英国内のツアーを6月6日まで行い、来日します。来日キャストは現在のところ発表されていませんが、英国でのキャストはこちらです。アシュリー・ショー、コ―デリア・ブレイスウェイト、ドミニク・ノース、グレン・グラハム、リアム・ムーアなどおなじみのダンサーの他、サドラーズ・ウェルズ劇場公演限定で、レルモントフ役で、あのアダム・クーパーが出演しています。クーパーが来日するかどうかが気になるところですね。

Sub6

(C) photo by Johan Persson

【プレミアム会員先行】2020/1/18(土)9:00~1/24(金)23:59

【一般発売】2020/2/29(土)

【抽選先行】2020/1/25(土)10:00~2/2(日)23:59

【先着先行】
2020/2/8(土)10:00~2/27(木)23:59

<お問い合わせ>
ホリプロチケットセンター 03-3490-4949(平日10:00~18:00 / 土10:00~13:00 / 日祝休)

https://horipro-stage.jp/stage/redshoes2020/

 

2018/10/04

マシュー・ボーンの「白鳥の湖」新演出版、2019年7月に来日

2019年7月、マシュー・ボーンが演出・振付を手がける「マシュー・ボーンの『白鳥の湖~スワン・レイク~』」が東京・Bunkamura オーチャードホールで上演されることが発表されました。

http://hpot.jp/stage/swanlake2019


マシュー・ボーンの代表作ともいえる作品で、多くの人にインスピレーションを与えてきた名作です。今回が5回目の来日になるそうです。

”今回は新演出での上演”とのことですが、どのあたりが変更になったのかは今のところはわかりません。が、今までも、上演を繰り返すたびに、少しずつ演出が変更になっている部分がありました。

英国では、このニューアドベンチャーズの「白鳥の湖」のツアーはすでに9月23日より始まっています。
https://new-adventures.net/swan-lake

12月4日から1月27日まではサドラーズ・ウェルズ劇場、5月25日までは英国内のツアーです。

そして、現在のニューアドベンチャーズ「白鳥の湖」での大きな話題は、ザ・スワン/ザ・ストレンジャーに、ロイヤル・バレエの若きプリンシパル、マシュー・ボールがキャスティングされていること。彼がリハーサルを行う様子は、ワールド・バレエ・デーでニューアドベンチャーズが公開した映像の中でも見られます。

しかしながら、ロイヤル・バレエは2019年6月に来日公演を行う予定であり、7月にはロサンゼルスのツアーもあることから、今回の「白鳥の湖」来日公演マシュー・ボールの参加はちょっと難しいような気がします。

英国での公演でやはりザ・スワン/ザ・ストレンジャーを演じているマックス・ウェストウェルは、元イングリッシュ・ナショナル・バレエで、退団後は「パリのアメリカ人」に主演してきました。また、今年の年末に公開される映画「くるみ割り人形と秘密の王国」では、花のワルツのキャバリエ役で出演しているそうです。もう一人のウィル・ボジアーは、「赤い靴」「眠れる森の美女」「シザーハンズ」といったボーン作品に出演してきたほか、ミュージカルへの出演経験もあるダンサーとのこと。

いずれにしても、男性ダンサーたちが白鳥を演じ、ダイナミックな踊りと英国王室を思わせる設定、見事な舞台装置と共に、人を愛することや人間の尊厳、苦悩、そして生きる喜びについて描いた名作中の名作なので、まだご覧になっていない人はぜひ観ていただきたいと思います。中毒症状になって何十回も劇場に通う人が出てくるのもお分かりいただけるのではないでしょうか。


なお、マシュー・ボーンのもう一つの代表作である「シンデレラ」が、現在、シアターオーブにて上演中です。
https://mbcinderella.com/

こちらは、第二次世界大戦下のロンドンを舞台にした作品で、ボーンならではのひねった設定や、マジカルな舞台体験が味わえます。英国での初演では、シンデレラ役は、ロイヤル・バレエのプリンシパルだったサラ・ウィルドーが演じました。私も3公演分ほどチケットを買っているので、観るのが楽しみです。


「マシュー・ボーンの『シンデレラ』」
2018年10月3日(水)~14日(日)
東京都 東急シアターオーブ

演出・振付:マシュー・ボーン
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ

キャスト
シンデレラ:アシュリー・ショー / コーデリア・ブレイスウェイト
ハリー(パイロット):アンドリュー・モナガン / エドウィン・レイ
天使:リアム・ムーア / パリス・フィッツパトリック
継母:マドレーヌ・ブレナン / アンジャリ・メーラ

マシュー・ボーンの『白鳥の湖』2010年版<ブルーレイ> [Blu-ray]
ワーナーミュージック・ジャパン (2014-08-27)
売り上げランキング: 95,944

2018/06/09

マシュー・ボーン「白鳥の湖」にロイヤル・バレエのマシュー・ボールが出演

マシュー・ボーンの名作「白鳥の湖」は今年9月22日から再演されます。

12月4日から2019年1月27日までは、ロンドンのサドラーズ・ウェルズ劇場での8週間の公演が行われます。その後英国内でのツアーを5月まで続け、さらに海外ツアーへと旅立つとのことです。

そして、この「白鳥の湖」のキャストが発表されました。
https://new-adventures.net/news/full-casting-announced-for-matthew-bournes-swan-lake

何より注目は、英国ロイヤル・バレエのファースト・ソリストでプリンシパルに最も近い位置にいると言われている、マシュー・ボールがザ・スワン/ザ・ストレンジャーの役でゲスト出演することです。


マシュー・ボールのプロフィール
https://new-adventures.net/profile/matthew-ball
PHOTOS & VIDEOSのタブで、美しい写真をたくさん観ることができます。

またさらに、現在公演中で来日公演も10月に行われる「シンデレラ」に主演している Will Bozierと、元ENBで、ミュージカル「パリのアメリカ人」のロンドン公演に主演しているMax Westwellもザ・スワン/ザ・ストレンジャーの役で出演します。

王子の役は、おなじみのドミニク・ノースと、「ビリー・エリオット」初演でビリー役を演じたリアム・ムーアー、そして 新人のJames Lovellが演じます。

ザ・スワン/ザ・ストレンジャーは、全く新しいメンバーが踊るということで、それだけで大変興味深いのですが、容姿、技術も揃っていてロイヤル・バレエで最も注目されているマシュー・ボールには、さらに熱い視線が集まることでしょう。


マシュー・ボールは、今年の夏に開催されるロイヤルエレガンスの夕べに出演します。
http://royalelegancenight.com/japanese/dancers.html

また、現在映画館で上映中の英国ロイヤルオペラハウス・シネマシーズンの「バーンスタイン・センテナリー」、そのうちのウィールドン振付「コリュバンデスの遊戯」にも出演しています。
http://tohotowa.co.jp/roh/movie/bernstein.html

マシュー・ボーンの「シンデレラ」は今年10月にシアターオーブで来日公演を行います。
http://theatre-orb.com/lineup/18_cinderella/

マシュー・ボーンの「白鳥の湖」もぜひ来年の来日を期待したいですね!

2016/02/29

マシュー・ボーンの『眠れる森の美女』9月14日~25日東京公演

鬼才マシュー・ボーンが手掛けた、ゴシックで美しく魅惑的な「眠れる森の美女」。

2012年に初演されて大評判を呼び、ロサンゼルスドラマ批評家賞3部門など、数多くの賞に輝きました。ボーンの作品の中で、最も興行的に成功した作品の一つです。ボーンはこの作品の成功により、英国ナショナル・ダンス賞のニネット・ド・ヴァロワ賞を受賞するとともに、大英帝国勲章(OBE)を受章しました。

http://new-adventures.net/sleeping-beauty

この「眠れる森の美女」は、DVD化されるとともに、映画館でも上演されたのでご覧になった方は多いかと思います。

そして、ついに待望の来日公演が実現しました。

http://mbsb.jp/

公演期間: 9月14日(水)~25日(日) 東急シアターオーブ

ホリプロオンラインチケットに、チケットの発売の詳細について書いてあります。

http://hpot.jp/stage/sleepingbeauty

先行抽選受付:3月12日(土)~3月21日(月・祝)23:49
抽選日:3月24日(木)
一般発売開始:4月16日(土)10:00~

チケット料金
ビューティーシート ¥14,000
(1~4列目センターブロック)
S席 ¥12,800
A席 ¥9,800
B席 ¥5,500
(全席指定・税込)

また、気になる来日公演キャストの方はまだ発表されていません。

ニューアドベンチャーズの公式でのキャストはこちらにあります。
http://new-adventures.net/sleeping-beauty/cast-creatives

昨年10月に始まった英国ツアーでのキャストはこちら
http://new-adventures.net/sleeping-beauty/news/casting-announced-for-sleeping-beauty-uk-tour

オーロラ役にアシュリー・ショーとコーディリア・ブレイスウェイト
レオ役にドミニク・ノースとクリス・トレンフィールド
ライラック伯爵にクリストファー・マーニーとリアム・モーワー
カラボスとカラドックの二役にアダム・マスケルとトム・クラーク

この通りのキャストで日本で観られると嬉しいですよね。キャスト発表が待たれます。

Sleeping Beauty: A Gothic Romance [Blu-ray] [Import]Sleeping Beauty: A Gothic Romance [Blu-ray] [Import]


売り上げランキング : 61596

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


2015/08/10

ニュー・アドベンチャーズのジョナサン・オリヴィエが事故死

コメントでお知らせいただきましたが、ニュー・アドベンチャーズの来日公演「白鳥の湖」でザ・スワン/ザ・ストレンジャー役を演じたジョナサン・オリヴィエが8/9の朝に交通事故に遭い亡くなりました。38歳の若さでした。

サドラーズ・ウェルズ劇場で上演されていた「ザ・カー・マン」のルカ役で出演していた彼は、千秋楽の舞台に向かう途中、劇場の近くて車との衝突事故が起こり亡くなったとのことです。公演は中止とされました。

http://bbc.in/1IwezBr

Dancer killed in motorbike accident hours before he was due to perform
http://www.theguardian.com/uk-news/2015/aug/09/dancer-jonathan-ollivier-killed-motorbike-accident?CMP=twt_gu

カリスマ性の高いダンサーであるとともに、人柄も優れていて多くの人に愛された彼。ニュー・アドベンチャーズの同僚や多くの人々が彼の悲劇的な死を悼んでいます。

マルセロ・ゴメスのツイート
https://twitter.com/marcelogomes47/status/630579224924024832

「白鳥の湖」での彼のザ・スワンは、クラシックバレエの高い技術、美しい踊りとともに、父性を感じさせ包容力のあるキャラクターで素晴らしかったです。ザ・ストレンジャーには大人の男性のセクシーな魅力がありました。ニュー・アドベンチャーズには欠かせない、かけがえのないダンサーを失ってしまったのは悲しくてたまりません、ご冥福をお祈りいたします。

Some words from Matthew about our dear friend, colleague and company member, Jonny. http://new-adventures.net/news/jonathan-ollivier-1977--2015

Posted by Matthew Bourne's New Adventures on 2015年8月10日

朝日新聞にも記事が
バレエダンサーのジョナサン・オリビエさん、交通事故死
http://www.asahi.com/articles/ASH8B6J9MH8BUHBI01G.html

マシュー・ボーンからの弔辞
http://new-adventures.net/news/jonathan-ollivier-1977--2015

「昨夜、私たちの「スワン」と「カーマン」を失いました。ジョナサン・オリヴィエは、同世代のダンサーの中でも最もカリスマ性がありパワフルな一人でした。優しさと傷つきやすさを持った非常に男性的な存在感で、「ザ・スワン」、「プレイ・ウィズアウト・ワーズ」の謎めいたスペイト役、そして最後の役となった「ザ・カーマン」のルカ役など、ニュー・アドベンチャーズのレパートリーにおける輝かしい役柄には完璧に合ったダンサーでした。その「ザ・カーマン」のルカ役を、昨夜のサドラーズ・ウェルズ劇場での最終公演で彼は踊る予定でした。

温かくチャーミングなジョニーは、本物のジェントルマンで、同僚に愛され尊敬され、観客には舞台上での忘れがたいパフォーマンスだけでなく、楽屋口でのフレンドリーで誠実な人柄によって熱愛されました。彼の羨むべきテクニックと魔法のような舞台上での存在感に追いつくべく必死に働いた、様々な世代の若いダンサーにとってのインスピレーションであり、お手本となる存在でした。

昨日の出来事は、ニュー・アドベンチャーズのファミリーの心を引き裂きました。私たちは、ジョニーの家族と友人たちに心からのお悔やみを贈るために共に行動します。かけがえのないこのアーティストの死を悼む中で、私たちは、彼が残した記憶と遺産で心を癒すことにします」

マシュー・ボーン

韓国公演でのジョナサン・オリヴィエを取材した映像(舞台映像も少しですがあります)

なお、ニューアドベンチャーズは、ジョナサンの家族にお悔やみのメッセージを送りたい人は誰でも、メールか郵便で以下のアドレスに送ってくれれば届けるとのことです。

メール drew@new-adventures.net

郵便
New Adventures, c/o Sadler’s Wells Theatre, London, EC1R 4TN England

ジョナサンとクリストファー・マーニーの「白鳥の湖」

2015/05/28

マシュー・ボーンの「白鳥の湖」3D 試写会

マシュー・ボーンの「白鳥の湖3D」が、恵比寿ガーデンシネマ、ユナイテッド・シネマ キャナルシティ13(福岡)を皮切りに6月6日より全国で公開されるにあたり、先日恵比寿ガーデンシネマで試写会が開催され、行ってきました。

D_2

公式サイト
http://matthewbournecinema.com/

リニューアルオープンされた恵比寿ガーデンシネマ、とてもお洒落で素敵な空間に生まれ変わっていました。カフェコーナーができていて、ドリンクもフードも充実。以前はこの劇場、場内は飲食禁止だったと記憶していますが、今は飲食ができるようになっています。また、リニューアルオープン直後ということもあり、お手洗いがとてもきれいで、洗面所には往年のハリウッドスターの写真がコラージュしてあってスタイリッシュです。広々としたパウダールームもあって、女性に嬉しい映画館になりました。

さて、マシュー・ボーンの「白鳥の湖」は、私ももう50回くらい実演の舞台を観ているのですが、映画館の大スクリーンで、しかも3Dで観るといろいろな発見があります。この作品は、2幕と4幕の男性ダンサーたちによる群舞が大きな魅力の一つですが、3Dで観るとこれが立体的になって、すごい迫力です。サドラーズ・ウェルズ劇場での公演を収録しているのですが、劇場の舞台の奥行きが深いのがわかって、群舞のフォーメーションもよくわかります。生の舞台だと、やはり主役に目が行ってしまうし、コール・ドの動きまで気が回らないのですが、映画館ならある程度落ち着いて観られます。この映像は、DVD/Blu-rayでもリリースされている映像がベースなのですが、家庭では3Dでは視聴することができません。

カメラのアングルについては、いろいろな考え方があり、正面固定で観ることを好む方も多いでしょう。この作品では、斜めのアングルも結構使われているので、この点については賛否両論かもしれません。しかし、ボーン作品は演劇性が強く、踊りではなくて演技の要素が強いシーンもあるので、そういう場面では出演者の顔の表情もしっかりわかるのは面白いです。舞台を観ていたら気が付かないことがいろいろわかるのが良いですよね。

それと、新しい映像なので、映像も音もとても良いです。さらに恵比寿ガーデンシネマは、音響の素晴らしさにも定評のある映画館です。マシュー・ボーンは音楽にも強いこだわりを持っている人なので、音の響きがとてもクリアなことで、さらに演出効果も盛り上がります。映画館ならではの大音響でチャイコフスキーを浴びると、自分がまるで劇場の最前列でこの舞台を観ているような気持ちになります。それどころか、自分も公園でこの白鳥たちに取り囲まれているような気分にすらなってしまいます。

Resize0614
(c)Bill Cooper

キャストは、ザ・スワン/ザ・ストレンジャーにリチャード・ウィンザー、王子にドミニク・ノース。リチャードのザ・スワンは以前の来日公演で観たことがあるのですが、正直私の好みではないのです。クラシック・バレエをきっちりと踊れるダンサーがこの役を演じるべきだと私は思っているからです。(ただし、2005年のジェイソン・パイパーのようにコンテンポラリーのダンサーでも、強烈な個性があればまた話は別)。リチャードはクラシック・バレエの教育を受けている割には、技術が弱くて踊りにあまり美しさがありません。でも、この映像では、彼の欠点はあまり目立たなくて良く見えるし、彼はハンサムなので大画面に映えます。それに大柄なので、いかにも白鳥たちのボスという雰囲気があるのが良いですね。

ドミニクは、繊細で線が細いため、前回来日公演で王子を演じたクリストファー・マーニーとはまた別の王子像を作り上げています。若くてイノセントでひたむきで。彼は踊りが伸びやかで美しく、たとえばザ・スワンとユニゾンで踊るときも、彼の方がきれいに踊っているのがわかります。前回の来日公演にはドミニク・ノースは来なかったのですが、また次公演があれば彼の王子も改めて観てみたいと思いました。ガールフレンドのマドレーヌ・ブレナンは軽薄だけど人柄は良さそうでかわいらしく魅力的です。女王役のニナ・ゴールドマンは、威厳がありながらも、母としてよりも一人の女として生きたい女性の業を感じさせて、好演していました。

このボーン版「白鳥の湖」は大変中毒性の高い作品で、特に4幕のバイオレンスにあふれた悲劇的な終幕には強烈なインパクトとカタルシスがあり、何回観ても思わず涙がこぼれてしまいます。舞台でも何十回と通い詰めてしまうリピーターが出たように、この3D映画版にもリピーターが多数出て、ヒットするんじゃないかな、という予感がします。生の舞台には敵いませんが、それでもやはりこの迫力の映像と音響はたまりません。ボーン「白鳥」マニアの方も、また観たことがない方も、ぜひ体験してみていただければ、と思います。

********
上記公式サイトに加えて、Facebookサイトも開設されていて、頻繁に公開情報のアップデートがされています。
https://www.facebook.com/matthewbournecinema

そして公開劇場もずいぶん増えました。
http://matthewbournecinema.com/theater01.html

東京 恵比寿 YEBISU GARDEN CINEMA 6月6日〜
埼玉 浦和 ユナイテッド・シネマ浦和 近日
札幌 札幌 ユナイテッド・シネマ札幌 7月25日〜
愛知 名古屋 109シネマズ名古屋 6月20日〜
大阪 梅田 テアトル梅田 7月18日〜
福岡 福岡 ユナイテッド・シネマ キャナルシティ13 6月6日〜



恵比寿ガーデンシネマでは、6月6日より4週間の上映予定のようで、引き続き、ボーンの「眠れる森の美女」が上映されます。こちらも、とてもゴシックでユニークで面白い作品なのでお勧めです。

http://matthewbournecinema.com/nemurerumorinobijo.html

予告編
http://youtu.be/u7a2U-d66Oc

2015/03/24

マルセロ・ゴメスがニュー・アドベンチャーズ「ザ・カー・マン」にゲスト出演

日本でのマシュー・ボーン版「白鳥の湖」が大好評だったマルセロ・ゴメス。ニュー・アドベンチャーズとの関係は、この作品限りではなく、今度は、ロンドンのサドラーズ・ウェルズで上演される「ザ・カー・マン」にゲスト出演することが発表されました。

http://new-adventures.net/the-car-man/news/marcelo-gomes-to-guest-star-in-the-car-man-at-sadlers-wells

7月14日から8月9日までの、サドラーズ・ウェルズ公演で、ルカ役を、日本での「白鳥の湖」でザ・スワン役を分け合ったジョナサン・オリヴィエ、クリス・トレンフィールドとのトリプルキャストで演じるのだそうです。

ニューアドベンチャーズは通常ゲストを迎えるということはしませんが、マルセロはすっかりファミリーの一員として受け入れられたようですし、マルセロにとっても「白鳥の湖」への出演は、生涯に残る経験だったようです。「カルメン」を下敷きにしたこの作品のルカ役も、とてもセクシーな役柄。ご覧になれる人がとても羨ましいですね。

今年の世界バレエフェスティバルに彼が出演しないのは、そういう理由だったのですね。

ザ・カー・マン [DVD]ザ・カー・マン [DVD]

ワーナーミュージック・ジャパン 2012-03-07
売り上げランキング : 163113

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

より以前の記事一覧