バレエのDVD・ビデオ

2009/11/02

チューリッヒ・バレエ「Peer Gynt」DVD ハインツ・シュペルリ振付

Music : Edvard Grieg, Brett Dean, Mark-Anthony Turnage arranged by Heinz Spoerli
Conductor, Musical Direction : Eivind Gullberg Jensen
Choreography : Heinz Spoerli
Recorded in December 2008 at the Opernhaus Zurich

Peer Gynt : Marijn Rademaker / Philipp Schepmann
Solveig : Yen Han
Ase : Ana Carolina Quaresma
Ingrid : Juliette Brunner
Anitra : Julie Gardette
The King of the Mountain : Arman Grigoryan
The King of the Mountain's Daughter : Sarah-Jane Brodbeck
Death : Vahe Martirosyan

Singers
Solveig, Soprano : Chritiane Kohl
Peer Gynt, Tenor : Boguslaw Bidzinski

Zürich Ballet, the Zürich Opera Orchestra and the Zürich Opera Chorus

Filmed at the Zürich Opera House, 11 & 12/2008
Bel Air Classiques
Duration : 110min NTSC Region All

待望のマリイン・ラドメーカー(シュツットガルト・バレエ)主演のチューリッヒ・バレエ「ペール・ギュント」のDVD化。ストーリーは基本的にはイプセンの原作に沿ったものとなっているが、グリークの音楽だけでは振付家の意図を伝えるのに不足しているということで、シュペルリはBrett DeanとMark-Anthony Turnageに作曲を依頼。現代音楽的なこれらの曲を使用したところでは、ダンスのスタイルもコンテンポラリー的なものになっている。さらに、ペール・ギュントの内面の声については、俳優を語り手としており(英語字幕表示可能)、またペール・ギュントとソルヴェイグをはじめオペラ歌手による独唱もある。

シュツットガルト・バレエのDVDが最近まったくリリースされなくなってしまったので、マリイン・ラドメーカーの若く美しい姿を映像に収めてくれてありがとう、とまずはファンとして感謝。HDで収録した映像は非常に美しく、マリインの美貌を堪能できるし、定評のあるチューリッヒ・オペラの演奏も素晴らしい。

「ペール・ギュント」は過去にノイマイヤーが振付をしたことがあるようだけど、それは未見で、オペラ作品を含めて映像化されたことがほとんどないはず。もともと、イプセンの戯曲自体が、舞台化を目的として書かれたものではないので、題材そのものは魅力的なれど、舞台化するのは難しい作品だと思う。

シュペルリ得意の、モダンでありながらも幻想的な作風は、作品世界にはよくマッチしている。舞台は魔の山やモロッコ、エジプトとエキゾチックな場所を移り変わっていき、ブルーを基調とした魔術的な照明がドラマティックだし、砂を敷き詰めた舞台が、永遠のさすらい人ペール・ギュントの心情も表現していて効果的だ。

現実感に乏しく、夢見がちな青年ペール・ギュントのイメージに、マリインはぴったり。輝く金髪と際立つ容姿の美しさでオーラを放ち、物語の核となる存在感があり、ロマンティックな狂気を感じさせてくれる。美しいつま先による軽やかな跳躍もさることながら、彼は上半身のアラインメントやポール・ド・ブラに神経が行き届いていて非常に美しく、正しいクラシックダンサーとしての踊りをしている。敷き詰められた砂の上で長いソロを踊るシーンがあるのだが、砂を撒き散らしながらも、足元の不安定さなどを微塵も感じさせずに、うっとりするような軌跡と残像を見せてくれる。

ソルヴェイグのイェン・ハンはミスキャスト。何よりもメイクがダメなのだと思うけど、若く美しいマリインの相手役を演じるには老けたイメージで華がなく、外見的な釣り合いがまったく取れていない。北欧が舞台の作品にアジア系は似合わないし、表現も平板で弱く哀れな雰囲気しかない。せめてもう少しメイクや衣装を工夫できなかったのだろうか。

他のダンサーでは、山の魔王のアルマン・グリゴヤンがダイナミックな跳躍、インパクトのある役作りでとても印象的だった。結婚式のシーンや、トロールたちのシーンでの男性ダンサーによる群舞も面白い。アニトラの官能的なダンスも見所。ただ、台詞が出てくるのに違和感を感じる人もいると思う。「ペール・ギュント」のあらすじを頭に入れておけば、台詞の内容は理解できなくても問題ないように思える。果たして、台詞専用の役者を用意することが適切だったのかは、私にはわからない。一方、歌手による独唱は、グリーグによる美しいスコアが耳に残り、また歌い手の実力も十分でドラマティックな効果をあげることに成功している。

全体的には面白い作品で楽しめたけど、ペール・ギュント役にマリインのようなスター性のあるダンサーを起用しないと、魅力が半減してしまうと思った。

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なお、この「ペールギュント」はARTE(フランス、ドイツのテレビ局)にて11月30日に放映されるとのことです。

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2009/09/26

ナタリア・マカロワ版「ラ・バヤデール」(ロイヤルバレエ) Royal Ballet La Bayadere DVD (1991)

いよいよ今日から東京バレエ団のナタリア・マカロワ版「ラ・バヤデール」が開幕しました。私が観に行くのは明日
なのですが、「ラ・バヤデール制作日記」では、ゲネプロの様子などが次々とアップされています。特に、僧侶たちのヘアメイクの裏側は初めて知って、とっても面白かったです。

予習として連休最終日にロイヤル・バレエの「ラ・バヤデール」のDVDを観ました。ずいぶん前に観てから久しぶりに観直してみると、出演者の豪華さに眩暈がするほどです。

ロイヤル・バレエ The Royal Ballet
「ラ・バヤデール」La Bayadere

振付:ナタリア・マカロワ Natalia Makarova
編曲/指揮:ジョン・ランチベリー John Lanchbery
衣装:ヨランダ・ソナベント Yolanda Sonnabend
収録:1991年 コヴェント・ガーデン ロイヤル・オペラハウス  123分

ニキヤ:アルティナイ・アスィルムラートワ Altynai Asylmuratova
ソロル:イレク・ムハメドフ Irek Mukhamedov
ガムザッティ:ダーシー・バッセル Darcey Bussell
大僧正:アンソニー・ダウエル Anthony Dowell
ラジャ:デヴィッド・ドリュー David Drew
黄金の仏像:熊川哲也 Tetsuya Kumakawa
苦行僧:ピータ・アベグレン Peter Abegglen
影の王国ソリスト:ニコラ・ロバーツ Nicola Roberts / フィオナ・ブロックウェイ Fiona Brockway / ヴィヴィアナ・デュランテ Viviana Durante

以前この映像を観た時に、アンソニー・ダウエルの大僧正の濃い演技があまりにも強烈で、この作品の主役は大僧正なのかと思ってしまうほどだったけど、今回観てもその印象は変わらず。威厳あふれる中に、情欲で燃えたぎる一人の男の性を熱演していて、思わず彼に感情移入してしまいそうになるほど。ニキヤとソロルの逢瀬を覗き見てうろたえ、嫉妬にメラメラと身を震わせる姿も色っぽい。ニキヤのヴェールをこっそりといとおしそうに隠し持っているところなんかも、相当粘着質な感じ。毒蛇に噛まれたニキヤに解毒剤を渡すも、彼女がガムザッティの手を取って歩き去るソロルの姿を見て絶望して解毒剤の小瓶を落とす時の、大僧正の哀しみと驚きの混じった表情も、胸を打たれた。彼のように一人の人間として舞台の上に存在している役者がいると、作品がぐっと重厚でドラマティックになる。

美しいプロポーションと愛らしい顔立ちのアスィルムラートワは、神に仕える巫女というよりは一人の恋する女性として演じられている。とても情感豊かに、歌い上げるように踊っていて、一つ一つの感情のゆれが立体的に伝わってきた。ソロル役のムハメドフは、キャリアの後半とはいえ、勇壮な戦士ソロルがとてもよく似合っていて、説得力がある。影の王国でのヴァリエーションにはキレがあって、男らしさ炸裂。このときまだとても若かったダーシー・バッセルは、若さゆえの傲慢で我儘なお姫様という役柄がとっても似合っていて、ソロルに恋する可愛らしいところもあったりしてとても魅力的。鼻の先がちょっとツンと上がっているのがすごく可愛いのだ。改めて彼女の長くて細いプロポーションの素晴らしさにうっとり。やっぱりガムザッティ役のバレリーナは、これくらいの華がないと、盛り上がらない。

熊川哲也のブロンズ・アイドルも若さ炸裂で、背が高くないからすごく高く跳んでいるって感じではないけど回転が凄くて、軽やかで敏捷。姿かたちもいかにも仏像っぽくて良い。あれだけの金粉塗りたくりだと、皮膚呼吸が大変そうだけど!

コール・ドが全然揃っていないのは、ロイヤルだから仕方ない。影の王国でのカメラワークも、全体を映していないところがあってちょっとだけストレスを感じた。第3ヴァリエーションがヴィヴィアナ・デュランテということからも、この映像でのキャストの豪華さが伺えるというもの。パ・ダクシオンも、ニコラ・トラナ、デボラ・ブル、クリストファー・サウンダーズ、マイケル・ナンとかなり強力なメンバーだし。今のロイヤルでは、主演3人を始め、これだけのスターを揃えられる舞台は難しいのかなとちょっと寂しく思う。

マカロワ版は、ロシア系の「バヤデルカ」と違って太鼓の踊りや壷の踊りがないのが物足りない。最後に結婚式のシーンがあるのは、ドラマティックさと加わりわかりやすいけど、ニキヤの幽霊が出てくるのがちょっと怖く、かつチープな印象が出てきちゃう。ただ、ラストシーンの、白いヴェールを持ったニキヤが天へと上っていくところはとても美しい。

キラ星のような主演3人の輝きとダウエル様の濃厚な演技による愛憎渦巻く世界をじっくりと堪能できる名盤。東京バレエ団の「ラ・バヤデール」を観た後はこちらをぜひ。

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マカロワ版「ラ・バヤデール」は、スヴェトラーナ・ザハロワとロベルト・ボッレ主演のミラノ・スカラ座のDVDもあります。今回の東京バレエ団の公演は、スカラ座の衣装を借りているとのことなので、同じ衣装で観られます。こちらも、究極の美男美女による美しい踊りをじっくりと味わえます。収録年代が新しいので、映像がとても綺麗。感想はこちら。
http://dorianjesus.cocolog-nifty.com/pyon/2006/12/post_865c.html

ミラノ・スカラ座バレエ団「ラ・バヤデール」(全3幕) [DVD]ミラノ・スカラ座バレエ団「ラ・バヤデール」(全3幕) [DVD]

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2009/09/11

ロイヤル・バレエなどのバレエ舞台映像を映画館でデジタル上映

ソニーからこんなプレスリリースが出ていました。

映画館で楽しむ世界のオペラとバレエ 「WORLD CLASSICS @ CINEMA」 http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/200909/09-105/

~デジタルライブコンテンツ製作・配給サービス “Livespire(ライブスパイア)”にて、
2009年12月から、計8作品を映画館へ配給~

「World Classics @ CINEMA
 ~映画館で楽しむオペラとバレエの世界紀行~」 シリーズ 配給予定作品

日本では初の試みとなる"バレエ"の舞台映像をデジタルシネマ上映します。

オペラ(5作品)

◆英国 「グラインドボーン音楽祭」の2作品(『チェネレントラ』、『愛の妙薬』)
◆英国 「ロイヤル・オペラ・ハウス」の2作品(『ドン・ジョヴァンニ』 他1作品)
◆イタリア・ミラノ 「スカラ座」の1作品(『椿姫』)

バレエ(3作品)

◆ロシア 「マリインスキー・バレエ」の1作品(『白鳥の湖』)
◆英国 「ロイヤル・バレエ」の2作品(『くるみ割り人形』『オンディーヌ』)

ということで、METオペラのライブ・インHDが日本でも定着し、そして最近は欧米の映画館でバレエを上映するということは行われていましたが、日本でもようやくバレエ公演映像が映画館で観られるようになったのですね。

今回上演されるバレエ作品は、

チャイコフスキー 『白鳥の湖』 マリインスキー・バレエ(2006年上演) 
これは写真から判断すると、DVD化されているロパートキナとコルスンツェフの「白鳥」のようです。

ヘンツェ 『オンディーヌ』 (2009年上演)ロイヤル・バレエ
リリースにもあるとおり、吉田都さんが主演した舞台ですね。今度NHKハイビジョンで上演されます。

チャイコフスキー 『くるみ割り人形』 (2008年上演) ロイヤル・バレエ
これは誰が出演した「くるみ」なのか、とっても気になります!ballet.coでも、「くるみ」がヌニェス&ソアレスの「白鳥」、ロホ&アコスタの「ラ・バヤデール」、「オンディーヌ」とともに、イギリスで映画館で上映されるようだということが書かれていますが、キャストは不明のようです。また、「くるみ」に関しては、DVD化されるかどうかも未定とのこと。

<上映日時・場所について(予定)>
-上映日時:2009年12月より、順次公開予定(2010年春~夏まで)
-上映場所:「新宿バルト9」ほか全国映画館にて
-鑑賞料金:当日一般3,500円(予定)

最新情報及び詳細は、10月に開設される、“Livespire”「World Classics @ CINEMA」のホームページにてお伝えいたします。下記のLivespire公式ホームページをご覧ください http://www.livespire.jp


そういえば昨日、Opus Arteに注文したマリアネラ・ヌニェスとティアゴ・ソアレスの「白鳥の湖」(ロイヤル・バレエ)が届きました。注文してから届くのがめっちゃ早かったです。週末に見るのが楽しみです。(まだAmazon.co.jpには出ていないんですよね)

一方、Amazon.ukからは、チューリッヒ・バレエの「ペール・ギュント」(マリイン・ラドメーカー主演)の発売が延期になったというメールが来ました。10月10日過ぎに届くようです。

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2009/09/01

ベルリン国立バレエ「カラヴァッジオ」(ビゴンゼッティ振付)DVD Caravaggio by Mauro Bigonzetti

『カラヴァッジオ』~マウロ・ビゴンゼッティによる2幕のバレエ
音楽:ブルーノ・モレッティ Bruno Moretti (原曲:モンテヴェルディ Claudio Monteverdi)
出演:
 ウラジミール・マラーホフ Vladimir Malakhov
 ポリーナ・セミオノワ Polina Semionova
 ベアトリス・クノップ Beatrice Knop
 ミハイル・カニスキン Mikhail Kaniskin
 ドミトリー・セミオノフ Dmitry Semionov
 エリサ・カリッロ・カブレラ Elisa Carrillo Cabrera
 中村祥子 Shoko Nakamura
 ミヒャエル・バンジャフ Michael Banzhaf
 レオナルド・ヤコヴィナ Leonard Jakovina
 ベルリン国立歌劇場バレエ団 Staatsballett Berlin
演奏:ポール・コネリー Paul Connelly(指揮)ベルリン国立歌劇場管弦楽団 Staatskapelle Berlin
コレオグラフィ:マウロ・ビゴンゼッティ Mauro Bigonzetti
照明・装置:カルロ・チェッリ
衣装:クリストファー・ミラー、ロイス・スワンデル

収録時期:2008年
収録場所:ベルリン国立歌劇場 Staatsoper Unter den Linden
特典映像:メイキング(29分、字幕:英語・独語・仏語・西語・伊語・ルーマニア語)
収録時間:119分(本編90分、特典29分)
画面:カラー、16:9
音声:PCMステレオ、ドルビー・デジタル5.1サラウンド、DTS5.1サラウンド
NTSC Region All

デレク・ジャーマン監督の映画「カラヴァッジオ」(1986年作品、若き日のショーン・ビーンが出演)がとても好きだったので、この波乱万丈の人生を送った16世紀の画家カラヴァッジオをマラーホフが演じ、ビゴンゼッティが振付けると聞いてわくわくしていた。

DVDを見て、最初に思ったのは、クローズアップが多すぎということ。最近のバレエのDVDには、その傾向が強くて非常に困る。顔や足先といったパーツを切り取るように映しているので、全体がどうなっているのがわかりにくい。そして、この作品に明確なストーリーがないこともあって、最初は「美しいけど、難解」というイメージを持ってしまった。

ところが、この作品は観ているうちに中毒になって、気がつけば何回も何回も繰り返して観るようになってしまった。振付の独創性や面白さ、ダンサーの美しい肉体を浮かび上がらせ、陰影がくっきりとした照明の美しさもあるのだけど、何よりもカラヴァッジオとほぼ同時代に生きた作曲家モンテヴェルディの音楽(「ポッペーアの戴冠」「オルフェオ」やマドリガーレ集より)をベースにオーケストレーションされた音楽が耳に残り、素晴らしいのだ。

作品は第一部と第二部に分かれており、第一部は、カラヴァッジオと、彼を取り巻くルネッサンス期からバロック期の過渡期の世界を描いている。ビゴンゼッティは、その世界を「光、闇、聖、生、技術、信頼、そして好奇心」と語っている。彼のミューズ的な存在であり、「光」を象徴するポリーナ・セミオノワ、暗い欲望そして「死」を象徴するベアトリス・クノップ。この二人の存在が、彼の人生を支配する。ルネッサンス時代のローマを思わせる色彩豊かな衣装に包んだ若いカップルたちが、生き生きとした様子で画面を横切る。ルネッサンスの自由さと活気が満ちている。それに対して、肌色の腰布一枚のカラヴァッジオは、聖セバスチャンのような受難の姿をしていて、身を刻まれるような創造の苦しみに苛まれている。他のソリストたちも肌色をベースとしたドレープが巻きついた衣装をまとっている。中村祥子さんとミハイル・カニスキン、エリサ・カリッロ・カブレラとドミトリー・セミオノフ&カニスキンといった組み合わせの踊り。十字架のように両腕を広げたマラーホフと、背中を深く反らせたポリーナの姿が絵画の中に収斂していく。

第二部は、カラヴァッジオの内面によりフォーカスした、親密で妖しい世界が展開する。カラヴァッジオの生は性と暴力で彩られていく。美青年レオナルド・ヤコヴィナとのセクシャルなパ・ド・ドゥ。クノップによって踏みつけられるマラーホフ。ヤコヴィナと重なったマラーホフの身体の上に、深紅の血飛沫が降り注ぐ。そして差し出された盆の中にカラヴァッジオが手を突っ込むと、その手は赤く染まり、禍々しい血の刻印を取り巻く人々に刻み付けていく。後半生には殺人にも手を染めたカラヴァッジオを象徴させるように。

光と影を巧みに駆使したカラヴァッジオの作風をダンスで表現したともいえるこの作品。あるときは厳かに、あるときは神々しく、そしてあるときには生々しく。ダンサーの肉体をくっきりと陰影によって浮かび上がらせ、滅び行く運命にあるからこそ美しい、肉体の瞬間の美を切り取った賛歌となっている。創造の苦痛と喜びを喘ぐように体現し憑依した演技は、マラーホフならではのもので、彼以外の人がこの役を演じるのを考えるのは難しい。

ビゴンゼッティの振付はとても独創的だ。ソロ、パ・ド・ドゥ、パ・ド・トロワ、さらに複数のダンサーを複雑に絡ませた踊り、群舞と組み立て方が面白いし、クラシックの技術をベースにしながらもそれにとらわれていない。とても美的に完成された作品なのだけど、美しさにこだわるあまり、暴力性や残酷さはあまり前面に出ていない。

カラヴァッジオの絵画を思わせる作品に、アンジェラン・プレルジョカージュの「MC14/22 "Ceci est mon corps"~これが私の体」がある。ビゴンゼッティとの違いは、暴力性の度合いである。プレルジョカージュの作品は圧倒的で暗黒的な暴力性と理不尽さから浮かび上がってくる崇高さがあった。「カラヴァッジオ」は、振付の古典的な典雅さ、唯美的な面ではずっと高度だと思うのだけど、きれいにまとまりすぎているところがあるのかもしれない。

それでも、この作品の光の扱い方の巧みさ、耳に残る音楽、美しい肉体の饗宴とビゴンゼッティの独創性には快い刺激があり、何回も繰り返し見直したくなる魅力がある。ポリーナ・セミオノワ、中村祥子、ベアトリス・クノップ、エリサ・カカリッロ・カブレラと女性ダンサーたちはいずれも非常にパワフルで美しい。彼女たちは、古典よりもこういう現代作品の方がずっと魅力を発揮できるのではないかと感じさせた。

******
特典映像は、ビゴンゼッティはじめ、音楽、照明、衣装のスタッフと、マラーホフ、ポリーナ・セミオノワ、ベアトリス・クノップ、レオナルド・ヤコヴィナのインタビュー、そしてリハーサルシーンのドキュメンタリーが約30分。輸入版でも、日本語字幕を選ぶことができる。ビゴンゼッティは、振付を行うときにも自分でかなり動いて見せるのだけど、現在48歳の彼がえらくカッコいい。ナチョ・ドゥアトをちょっと華奢にした感じ。
また、ベルリン国立バレエのソリストであるマリア・ヘレナ・バックリーMaria-Helena Buckley が撮影した、想像力を掻き立てる舞台写真とリハーサル写真(各5分)も特典映像としてついている。(ジャケットの写真も彼女の手によるもの)

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できれば、デレク・ジャーマンの映画「カラヴァッジオ」も併せて観るとさらに面白いと思うのだけど、残念ながらこちらの国内盤は廃盤。PALフォーマットの英国盤は、Amazon.co.ukで入手可能(私もUK盤を持っている)

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2009/08/29

Oggiに上野水香さん&康村和恵さん/日経MJに西島千博さん

友達に教えていただいたのですが、ファッション誌「Oggi」の特集「女ですもの、美脚が命」の、美脚の有名人がその脚を維持する秘訣を語るページで、杉本彩さんや神田うのさん、西川史子さんらと並んで、上野水香さんが登場していました。ミニのニットのワンピースの水香さん、確かにとても長くて細く、きれいな脚の持ち主ですよね。ローザンヌに出場した頃から、中山式快癒器をずっと愛用されているそうです。

そして、雑誌の後ろの方では、「シリーズ 仕事を楽しむ、自分を楽しむ」の「プリンシパルとして燃え尽きるその瞬間まで」と題して、K-Ballet Companyの康村和恵さんが4ページにわたって登場していました。康村さんは、出産のために休団し、息子さんがクリスマスに生まれた後、わずか2か月で復帰して「放蕩息子」に出演されたのですね。

康村さんは、ローザンヌ・コンクールでスカラシップを得てハンブルク・バレエ学校に留学。ドレスデン・バレエに入団し、代役で「ジゼル」に主演したことがきっかけでファースト・ソリスト(プシンリパル)に昇進。そして25歳で帰国してK-Balletに所属。お子さんが生まれたことで、今までバレエ一筋だった人生から、いろいろなことに目が向けられるようになったとのこと。それにしても、康村さんの華奢なこと!小さな顔に細く長い手脚と、バレリーナとしては理想的な体型ですよね。康村さんは、K-Balletの「ロミオとジュリエット」のジュリエット役で11月3日、6日そして7日に熊川哲也さんと共演します。
http://www.k-ballet.co.jp/schedule/2009-romeo.html

日本では、子供を育てながらプロのバレリーナとして舞台に立ち続けている例はそれほど多くはないわけですが、ミテキ・クドーさんの本「パリ・オペラ座のバレリーナ」では、パリ・オペラ座のバレリーナの3分の1くらいは子育てをしていると書いてありました。東京バレエ団の小出嶺子さんが最近出産されたとのことなので、彼女の復帰も待ち遠しいですよね。

http://oggi.tv/info/index.html

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会社で購読している「日経MJ(日経流通新聞」の8月28日の最終メンでは、「バレエで踊るラジオ体操」と題して、西島千博さんの「バレエ・ストレッチ」が紹介されていました。4月に発売されたこのDVD、4ヶ月あまりで1万枚も売れたそうです。当初はこんなに売れるとは思わず、初版は250枚だったとのこと。ピアノとヴァイオリンが優雅に奏でるメロディは、よく聴くとおなじみのラジオ体操の曲で、CDとDVDがセットになっています。ラジオ体操をバレエ風にアレンジしたストレッチなのだそうです。ラジオ体操の振りはみんな覚えているため、このストレッチは振付を覚える必要もなく簡単なのが好評の理由だそうで、中高年の方からの問い合わせも多いとか。紙面では、西島千博さんによる美しいお手本の写真も載っています。

西島さんによると、「元々、身体がしなやかになる動作が多く盛り込まれていて、運動量としても毎日続けるのに最適」だそうでダイエット効果もあるとのこと。真剣にやると、翌日筋肉痛になるほどの運動にもなるそうです。実際にバレエ教室に通っている人も、このDVDのストレッチを楽しんでいるというコメントもありました。この記事を読んで、ちょっと興味がわいてきました。最近私は週1回のバレエレッスンだけで、運動不足気味なもので。

それにしても、DVDが1万枚も売れるなんて凄いですね。これでバレエファンになる人が増えたら、確かにとても良いことだと思います。

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2009/07/02

マリイン・ラドメイカー主演チューリッヒ・バレエ「Peer Gynt」DVD化 DVD of "Peer Gynt" Marijn Rademaker

シュツットガルト・バレエのマリイン・ラドメイカーが客演して、2009年ドイツダンス賞に輝いた「ペール・ギュントPeer Gynt」(ハインツ・シュペルリ振付)がBel Air ClassiquesからDVD化されるとのことです。Amazon.frでは商品ページができていて、予約可能になっています。9月10日発売だそうです。

Peer Gynt: choregraphie H. Spoerli
http://www.amazon.fr/exec/obidos/ASIN/B002DMIJQA/

いつもDVDに関して詳しい情報をお知らせしてくださるSide B-alletのゆうさんに詳しい情報を教えていただきました。ありがとうございます!他のキャスト等詳しい情報は、以下Side B-alletさんリンク先でご覧くださいね。
http://sideballet.com/archives/2009/06/29-192421.php

この作品、昨年12月にチューリッヒで上演された時には、スイスのテレビで生中継されました。今年3月、エッセンで行われたドイツ・ダンス賞の授賞式ガラで、マリインが踊る予定だったのですが、怪我のために上演されず、ダイジェスト映像が上映され、観ました。ちょっと癖がありますが、とてもユニークな作品です。

マリインのオフィシャルサイトにもお知らせが載っています。
http://www.marijnrademaker.de/Marijn_Rademaker_-_Principal_Dancer_-_Stuttgart_Ballet/News_and_performance_dates.html

P1030858s

ドイツ・ダンス賞の授賞式で販売されていたプログラム (マリイン特集)はダウンロードできます。(会場では15ユーロで売っていたのですよね。ただし、売っていたやつはカラー写真もありますが、PDF版は全部モノクロです)
http://www.ballett-intern.de/downloads/festschrift_zukunft-2009.pdf (PDF)

マリインの写真が満載です。子供時代の写真の写真も何点かあって、想像つくと思うけど超可愛くて天使みたいです。女の子たちの間で一人男の子がバーレッスンしているのって、「リトル・ダンサー」っぽくて本当に可愛いんですよね。

ドイツ・ダンス賞ガラの感想はこちらです。
http://dorianjesus.cocolog-nifty.com/pyon/2009/03/german-dance-pr.html

なお、マリインですが、6月にドイツ・カールスルーエでのガラに「椿姫」でスージン・カンと踊ったものの、その後怪我をしてしまい、チリのサンチアゴ・バレエのガラ出演はキャンセルになってしまいました。今シーズンはもう踊らないそうです。このガラには、マニュエル・ルグリとレティシア・プジョルも出演し、やはり怪我で舞台から遠ざかっていたレティシアがノイマイヤーの「シルヴィア」からのパ・ド・ドゥを踊り、見事に復活したとのこと。

*****
シュツットガルト・バレエ関連でもう一つ。7月8日、9日にシュツットガルトオペラ劇場に隣接した小劇場Schauspielhausにて、「若手振付家の夕べJunge Choreographen 2009」が開催されます。
こちらは、日々これ口実のebijiさんに教えていただきました。

http://www.staatstheater.stuttgart.de/ballett/spielplan/

今回振付を行うのは以下の方々です
Demis Volpi, Evan McKie, Stefan Stewart, Mikhail Soloviev (alle: Stuttgarter Ballett)
Armando Braswell (Gauthier Dance, Stuttgart)
Joseph Morrissey (Bayerisches Staatsballett, München)
Lucas Jervies (Scapino Ballet, Rotterdam)
Raimondo Rebeck (Berlin)

シュツットガルト・バレエのダンサー4人、そして他に4人の振付家の作品が登場します。レイモンド・レベックは、去年夏のProuds and Hope of Japan Galaのプロデューサーをつとめられていましたね。
残念ながら今シーズン限りでシュツットガルト・バレエを退団して、本格的に振付家に転身するステファン・スチュワート、そして新プリンシパルのエヴァン・マッキーの作品も上演されます。エヴァンも今シーズンは出演はないそうです。

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2009/06/16

DVD「マラーホフのプレミアム・レッスン2『白鳥の湖』 Malakhov's Premium Lesson Swan Lake

この間東京バレエ団の「ジゼル」を観に行ったときに、ついつい買ってしまったDVD。「ジゼル」を観に行ったのに、シリーズ最初の「ジゼル」じゃなくて、なんで「白鳥の湖」を買ったのかは、自分でもよくわからない(笑)。

ウラジーミル・マラーホフが東京バレエ団の佐伯知香さんと長瀬直義さんに「白鳥の湖」の2幕のアダージオを教えるという趣向。レッスンごとに、2002年の「マラーホフの贈り物」での、マラーホフとジュリー・ケントが共演した「白鳥の湖」の映像が、模範演技として紹介される。この映像が思いのほかたくさんあって、得した気分。

マラーホフの指導は非常に丁寧で、優しくダンサーに語りかけている。基本的には英語で指導を行い、通訳の方が訳しているのだけど、時々「左!」とか「前に」とか「難しいね」と達者な日本語も飛び出す。マラーホフ自ら手本を見せてくれていることも多いのが、嬉しい。

生徒役の佐伯さんは非常に呑み込みが早いし、基礎がきちんとできているのがわかる。みるみるうちに上達していっているのが見える。彼女がオデットを踊る日も、そう遠くはないだろう。やや小柄だけどプロポーションに恵まれているし、愛らしい容姿の上、テクニックもある。

Lesson1 オデットの登場(第2幕より)
2幕でオデットが登場して、自分の身の上物語をマイムで王子に切々と語る場面。毎回、生徒の二人が演じて見せるたびに、その動きを台詞でマラーホフが説明してくれる。リハーサルの時には、心情を表現するためにその場面の台詞を口に出しながら演じてみるのも良いというアドバイスをした。「私は白鳥の女王です」と王冠を示すマイムは、観客から見てもしっかり見えるように大きくして、など、なぜそうなのかを教えてくれる。有名なマイムの場面だけでなく、オデットの一つ一つの動きがどういう意味なのかも説明してくれるので、とてもわかりやすいし、バレエを踊る側ではなく観る側である私たちにとっても、面白い。

Lesson2 グラン・アダージオ(第2幕より)
このシーンは、パートナーリングが重要なところ。マラーホフは、ここで王子の役割の重要性を強調していた。2幕はオデットが中心となって観客の視線を集めているので、王子はいかにオデットを美しく見せるか、オデットを踊りやすくさせるかを第一に考えてサポートしなくてはならない。普段私たちが「白鳥の湖」を観てもなかなか気がつかないけど、王子がどうすればオデットが踊りやすいかというのが判って面白い。「動きが止まらないからアダージオなのだから、ずっと動き続けるように」なるほど!
このアダージオは、テクニックよりもずっとパートナーシップの方が大事だとマラーホフは言う。ピルエットを一回失敗しても観客は忘れてしまうけど、素晴らしいパートナーシップによってドラマティックな舞台を演じることができたら、観客はずっと覚えていてくれる、と。

Lesson3 オデットのヴァリエーション(第2幕より)
ここは、マラーホフが「どんなバレリーナもこのシーンを踊る前は緊張する」という難しいパート。今までのどのパートナーも、ここを踊り終えた後はホッとしているのがわかるそう。そして、ここでマラーホフの美しいお手本がたくさん見られるのだ。白鳥の翼の動きをマラーホフが見せてくれるなんて、ファンにとってはたまらないことだろう。そして、本当にその腕の動きが柔らかく美しいのだ。佐伯さんが踊って見せるのを見て、「もっと柔らかく!」「そんなに脚を高く上げなくていいから、バランスを大事に」とアドバイスする。

映像特典のインタビューも、「白鳥の湖」という作品に対してのマラーホフの考え方がよくわかってとても面白い。彼にとってやはりこの作品で一番重要なのは2幕であるし、オデットの方がずっと重要とのこと。レッスンを通しても、このインタビューを通しても、マラーホフはバレエはドラマだと考え、台詞がない分、腕などの動きでどうやって物語を伝えるのかということを大切に思っているのが伝わってくる。オデットを踊ってみたいと思ったことはありますか?と聞かれて残念ながらそういう機会はない、と真面目に答えていた。クランコ版の「白鳥の湖」は、オディールが通常王子のソロの曲で踊るとのことだが、オデットの曲で王子が踊るという作品はないそうだ。

彼は今まで数え切れない「白鳥の湖」のヴァージョンを踊ってきたけど、中でもお気に入りは、エリック・ブルーン版、そしてヌレエフ版とパトリス・バール版だそうだ。他にも、クランコ版、セルゲイエフ版の4幕のヴァリエーションなど、お気に入りを一つに絞るのは難しいとのこと。悲劇で終わるのが好きだそうだ。一口に「白鳥の湖」といっても、数限りなくヴァージョンはある。でも、2幕の湖畔のシーンだけは、ほとんどの振付がプティパ/イワーノフの原振付に忠実である。それだけ、あのシーンは完成度が高いし、作品の中でも最も重要な部分だということなのだろう。

バレエを学んでいる人だけでなく、観るだけの人にとっても「白鳥の湖」という作品を理解するのにとても勉強になるDVD。Part1の「ジゼル」も観たくなった。

http://www.fairynet.co.jp/SHOP/4560219321830.html

DVD,カラー、本編86分+特典映像11分、2009年

内容
Lesson1 オデットの登場(第2幕より)
Lesson2 グラン・アダージオ(第2幕より)
Lesson3 オデットのヴァリエーション(第2幕より)
※ジュリー・ケント&ウラジーミル・マラーホフによる舞台映像から、それぞれのレッスンの該当シーンをあわせて収録しています。

出演
ウラジーミル・マラーホフ(ベルリン国立バレエ芸術監督/プリンシパル)
佐伯知香&長瀬直義(東京バレエ団ソリスト)

特典映像
インタビュー:マラーホフ、『白鳥の湖』を語る


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2009/06/15

DVD「ドン・キホーテ」マリインスキー・バレエ The Mariinsky Ballet Don Quixote

ミンクス:バレエ『ドン・キホーテ』
マリインスキー劇場バレエ団 The Mariinsky Ballet Don Quixote

オレシア・ノーヴィコワ(キトリ) Olesia Novikova
レオニード・サラファーノフ(バジル)Leonid Sarafanov

ウディーミル・ポノマレフ(ドン・キホーテ)Vladimir Ponomarev
アントン・ルコーフキン(サンチョ)Anton Lukovkin
イゴール・ペトロフ(ロレンツォ)Igor Petrov

ヴラディーミル・レペーエフ(ガマーシュ)Vladimir Lepeev
アンドレイ・メルクーリエフ(エスパーダ)Andrei Merkuriev
エカテリーナ・コンダウローワ(街の踊り子)Yekaterina Kondaurova
ヤナ・セーリナ、ヤナ・セレブリャコーワ(花売り娘)Yana Selina, Yana Serebriakova
ガリーナ・ラフマーノワ(メルセデス)Galina Rakhmanova

アリーナ・ソーモワ(ドリアードの女王)Alina Somova
エフゲーニャ・オブサスツォーワ(キューピッド)Yevgenia Obraztsova

ポリーナ・ラッサーディナ、ニコライ・ズブコフスキー(ジプシー・ダンス)Polina Rassadina, Nikolai Zubkovsky

リュウ・ジ・ヨン(オリエンタル・ダンス)Ti Yon Riu
エレーナ・バジェーノワ、カレン・イワンニシャン(ファンダンゴ)Elena Bazhenova, Karen Ioannisyan
オルガ・エシナ(ヴァリエーション)Olga Esina

マリインスキー劇場管弦楽団
指揮:パヴェル・ブベリニコフ
振付:マリウス・プティパ

収録:2006年、サンクトペテルブルク、マリインスキー劇場
映像監督:ブライアン・ラージ

画面:カラー、16:9
NTSC Region All  Decca

3年前に収録された作品が、ようやくDVD化された。3年前のサラファーノフって、今よりも明らかに若い。可愛い。髪型も、今の短髪ではなくてちょっと長め。テクニックは本当にものすごいのだけど、サポートがあまり上手ではないのと、テクニックに走りすぎてちょっと踊りが荒いところが見受けられた。とはいっても、本当にこの頃の荒削りなサラファーノフの技術はすごい!プレパレーションなしでトゥールザンレールを何回も連続で飛んで見せたり、斜め向きのままきりもみ状態で空中回転したり。3幕のグラン・パ・ド・ドゥのマネージュでは、アチチュードのまま空中で方向転換しているし、本当に一体何者?って感じだ。ただ、今の彼の方がサポートは丁寧になっているし、踊りもずっとエレガントになってきたのではないかと思う。この映像では、片手リフトもあまり高く上がっていないし、とにかくサポートが最大の弱点というのが判ってしまう。

キトリのオレシア・ノーヴィコワは白い肌に黒髪、大きな瞳でとても愛らしい容姿、やや小柄でどちらかといえば姫向けの外見だ。現在彼女は産休中なのだけど、2002年入団ということなので、収録時は本当に若いはず。身体は柔らかいし、ワガノワ仕込みの美しいポール・ド・ブラ、跳躍する時のきれいに開いた脚、身体能力やテクニックは申し分ない。ただ、サポートつきピルエットで軸がずれまくるのと、音楽性があまりないという欠点が見受けられる。特に、夢のシーンでのドルシネア役は、キューピッドのオブラスツォーワの音楽性が非常に優れているだけに、少々音痴なのがわかってしまって。3幕のグラン・パ・ド・ドゥのフェッテは後半もダブルを入れてきて、軸もしっかりとしてとても上手に踊っているし、技術はしっかりとしたものをもっているはずなのだけど。この映像収録後も彼女は大きな役はたくさん踊っているし、「オブラスツォーワとノーヴィコワのヴァリエーションレッスン」のDVDでは、非常に真面目な性格が見受けられるので、きっと今はもう少し完成されているのではないかしら。

若いサラファーノフのスーパーテクニックの次に魅力的なポイントとして、マリインスキー在籍時のメルクーリエフのエスパーダが挙げられると思う。去年の新潟県中越沖地震チャリティ・ガラでの彼のエスパーダも素敵だったけど、もう少し若くて青い感じのエスパーダをここではじっくり堪能できる。ちょっとメイクは濃いけれども、容姿は美しくセクシーだし、鮮やかなマント捌き、柔らかい背中、アッサンブレを跳んでいるときの足先のきれいさ、惚れ惚れするほどカッコいい。眼福。私のベスト3・エスパーダはマルセロ・ゴメスとデヴィッド・ホールバーグ、そしてこのメルクーリエフの3人だ。

街の踊り子役のエカテリーナ・コンダウローワは、長身と華やかな美貌で、迫力いっぱいの姉御を踊ってくれた。1幕だけの出番なのがもったいないくらい。あまりの迫力に、メルクーリエフのエスパーダもちょっと気圧されていた感じ?でも、森の女王を彼女で見たかった気がする。

夢のシーンでは、キューピッドがエフゲーニャ・オブラスツォーワ、そして森の女王がアリーナ・ソーモワ。こうやってキャストを並べてみると、まさに今マリインスキーが売り出している若手女性ダンサーが勢ぞろいしている映像だと言える。ジェーニャのキューピッドは、可愛いこと、可愛いこと。しかも、前述のように音楽性がとびきり優れていて、見ていて小気味良い。夢のシーンで一番上手なのがキューピッドというのもどうかという気がしなくもないけれど、キューピッドはハマリ役。でも、以前NBAバレエ団のゲストとして出演したジェーニャのキトリを観て、本当に素晴らしかったので、今後はもう彼女のキューピッドは観られなくなるだろう。

で、問題のソーモワについては、以下省略、と行きたいところだけど…。彼女は、ノーヴィコワに輪をかけて音感がない。長くて甲が出ていて素晴らしいアーチをした美脚をしているのだけど、イタリアン・フェッテで耳の横まで脚を上げてしまうものだから、音からずれまくるのだ。ここまで脚を上げていると、もはやマニエリスムであり、シュールレアリズムだ。本当に、誰か彼女に注意すればいいのに。せっかく美人でプロポーションも抜群なのだから、これではもったいない。

マリインスキーの女性コール・ドは、そもそも衣装の色が派手で、さらに3幕のアントレの衣装の色がバラバラだったりするものだから、揃っているかどうかも判別できない。みんな上半身はきれいだし、グラン・ジュッテするときにみんながみんな、ものすごい角度まで開脚していて高く跳んでいるのは流石だと思うのだけど。3幕ヴァリエーションのオルガ・エシナも、ちょっとソーモワ入っていて、脚をぶんと高くあげ、あごを突き出しているクセが気になってしまう。

と、ここまで若干辛口入ってしまった。でも、この映像は楽しい。その楽しさの源は、芸達者なキャラクター・ダンサーたちが作ってくれている。ドン・キホーテ役は大ベテランのウディーミル・ポノマレフ。多分60歳過ぎているけど、味わい深く可笑しくてちょっと哀しいドン・キホーテを見事に演じている。それから、メルセデスのガリーナ・ラフマーノワ、ジプシー・ダンスのポリーナ・ラッサーディナ、ファンダンゴのエレーナ・バジェーノワという、マリインスキーが誇る美しきキャラクテールの姐さんたちが本当にセクシーでカッコよくて。女に生まれたからには、こう生きたいね!と思わせてくれる。他の「ドン・キホーテ」にはないオリエンタル・ダンスがあって、ここでは、リュ・ジ・ヨンがこれまた妖しく踊ってくれる。これだけ多くの、美しくも芸達者なキャラクターダンサーを揃えているバレエ団は世界中探しても他にはないだろう。

全体的なレベルは言うまでもなく、めちゃめちゃ高い。若手中心とはいえ、これだけ多彩な役者をそろえた「ドン・キホーテ」の映像は貴重だ。若いサラファーノフ、メルクーリエフ、そしてオブラスツォーワの3人を観るだけでも買い、だと思う。

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2009/06/10

DVD「ザハーロワ/ロパートキナ」~ロシア・バレエの新たな伝説~Zakharova and Lopatkina

ザハーロワ(約27分) Svetlana Zakharova Tsarine de la Danse
■出演:スヴェトラーナ・ザハーロワ
■収録作品(抜粋)および共演ダンサー
「白鳥の湖」 A.ウヴァーロフ
「眠れる森の美女」 A.ウヴァーロフ
「シェエラザード」 F.ルジマートフ
「ミドル・デュエット」 A.メルクーリエフ
「ジゼル」「ドン・キホーテ」
「ラ・バヤデール」「瀕死の白鳥」

ロパートキナ(約27分) Ulyana Lopatkina L'Ame de la Danse
■出演:ウリヤーナ・ロパートキナ
■収録作品(抜粋)および共演ダンサー
「白鳥の湖」
J.マルティネズ/D.コルスンツェフ/E.イワンチェンコ
「病める薔薇」 I.クズネツォフ
「三つのグノシエンヌ」 I.クズネツォフ
「ラ・ヴァルス」 S.クラエフ
「愛の伝説」「ダイヤモンド」

Les films de Laurent Gentot

ザハーロワ/ロパートキナ~ロシア・バレエの新たな伝説~
発売日: 2009年4月22日
仕様: DVD/COLOR/ ドルビーデジタル・モノラル /片面1層/4:3/オリジナル言語(露)・日本語字幕付
時間: 約54分
価格: 4,410円

現在のロシア・バレエを象徴するふたりのバレリーナを追ったドキュメンタリー。フランスのmezzo制作の2本のドキュメンタリーを一つのDVDに収録。

ザハーロワ編は、彼女の「瀕死の白鳥」から始まります。ロパートキナはガラなどでよく「瀕死の白鳥」を踊るけれども、ザハロワがこれを踊ったのを観るのは初めて。彼女には、あまりこの作品を踊るというイメージがなかったけど、こうして観てみると、さすがに腕の動かし方も繊細でとても美しい。そのうち舞台で観る機会があるかしら。

そして、ニコライ・ツィスカリーゼのコメント。小さな町出身である彼女を、昔から知っているという話をしていたのがちょっと意外でした。

ザハロワは、まさに今咲き誇る華という感じで、彼女が登場するだけで舞台も稽古場も、大輪の花が咲いたように華やかになります。久しく観ていないザハロワのオーロラは本当に可愛らしくて、また観る機会があればいいなって思いました。ボリショイに移籍してからの彼女の師は、かつての名プリマ、リュドミラ・セメニャカ。師弟は非常に強い絆で結ばれている。ザハロワがとても彼女を頼りにしているのがよく伝わってきます。「ポーズを取った時にしか、自分の姿は鏡で確認できない。それ以外のときは、教師に見てもらうしかないの」

ザハロワの言葉で印象的だったのは、バレエは愛だけでなく、その裏の憎しみという負の感情も描いているものであるということ。そして、オデットの神秘性に対して、オディールの強さがあり、今の自分はオディール=強いキャラクターを演じたい、と語っていること。

ほとんどがボリショイ時代の映像なのですが、唯一、ルジマトフと共演した「シェヘラザード」の映像がありました。DVD「Kirov Dances Nijinsky」の時よりもう少し成熟した彼女の姿が観られます。

*****
ロパートキナ編は、とても知的で内省的な彼女の言葉が印象的です。「人は誰でも、人生が辛ければ辛いほど、芸術を必要とするものだと思う。観客は実生活にもつながる強い感情を求めている。それを芸術に見出すことで、人生はより豊かになるわ」 今のように不景気で閉塞感がある時代だからこそ、芸術がより一層輝ける、かけがえのない存在なんだなって私も思います。

リハーサルシーンでは、イワンチェンコのコメントがあったのがちょっと嬉しい驚きでした。

ロパートキナは、舞台が終わった後、眠りに着く前もその日の舞台を、パのひとつひとつに至るまで振り返って、魂を解放して、もう一人の自分と対話するとのこと。芸術家肌で完ぺき主義者的なところが見受けられます。挿入される映像-「病める薔薇」や「愛の伝説」「三つのグノシェンヌ」「ダイヤモンド」とも、一つ一つの動きが磨き抜かれている「動く芸術」で、ザハロワとはまた違った究極の美を感じさせます。
(そして、「病める薔薇」「三つのグノシェンヌ」のイリヤ・クズネツォフが素敵♪イワン・コズロフくんはどこに行ってしまったのでしょうか)

そんな中、ワガノワバレエ学校の卒業公演での「ラ・ヴァルス」の映像では、まだうら若い彼女の可愛い姿も観ることができます。

「白鳥の湖」は、ダニーラ・コルスンツェフ、ジョゼ・マルティネス(!)そしてエフゲニー・イワンチェンコをパートナーにしている3つのパターンで観られます。ロットバルトはもちろん、イリヤ・クズネツォフ。ダニーラの愛情あふれるサポートが素敵です。

新しい映像作品であるため、映像はとてもきれいなのですが、惜しむらくは、一つ一つの舞台映像が抜粋になっているため短いのです。せっかく映像があるんなら、もっともっと見せて欲しいという欲求不満に陥ってしまいます。2本合わせて54分だからちょっと短いのです。でも、今が盛りのトップバレリーナの、色々なパートナーと組んだ様々な作品の映像、そして素顔や肉声が聞けるのは貴重だし、面白く見ることができました。この二人のダンサーのファンなら必見です。


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2009/06/06

オランダ国立バレエ「ジゼル」DVD化 「GISELLE」 Dutch National Ballet

オランダ国立バレエの「ジゼル」が、2009年夏にDVD&Blu-Ray化される予定とのことです。発売元はNVC Artsです。(まだNVC Artsのサイトには記載なし)

制作会社3minuteswestのサイトに詳細が掲載されていました(ジャケット写真つき)。ロパートキナ、ラカッラ、レジュニナらが出演した「Hans Van Manen Festival」の映像を制作したところですね。

http://www.3minuteswest.com/giselle.htm

Cast:
Giselle - Anna Tyskgankova
Albrecht - Jozef Varga
Myrtha - Igone de Jongh
Hilarion - Jan Zerer

Choreography:
Marius Petipa, after Jean Coralli and Jules Perrot
Production and additional choreography:
Rachel Beaujean and Ricardo Bustamante

Recorded at Het Muziektheater, Amsterdam, February 2009
To be released on Blu-Ray / DVD summer 2009.

このDVDからの舞台映像(ジゼルの狂乱の場面、ウィリとしての登場シーン、アルブレヒトのヴァリエーションなど)と特典用インタビュー、リハーサルの一部がYouTubeに、制作会社によって投稿されています。インタビューは英語なので聞き取りやすいです。YouTubeでの映像がとても素敵で、この映像、かなり期待できそうです。

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2009/06/05

白鳥の湖 SWAN LAKE 新国立劇場バレエ団オフィシャルDVD BOOKS New National Ballet Theatre

新国立劇場バレエ団「白鳥の湖」 Swan Lake New National Ballet Theatre TOKYO

【DVDの内容】
白鳥の湖 全4幕 約134分
振付:プティパ/イワーノフ 作曲:チャイコフスキー
改訂振付・演出:牧 阿佐美
主演:酒井はな/山本隆之
2006年11月18日 新国立劇場収録

【特典映像】
新国立劇場バレエ団 ソリスト・セレクション 約42分 (舞台ハイライトシーンとインタビュー)
眠れる森の美女 / 川村真樹
ドン・キホーテ / 寺島ひろみ・小嶋直也
カルメン / 本島美和
オルフェオとエウリディーチェ / 酒井はな・山本隆之

【書籍の内容】
白鳥の湖
あらすじ(小学生高学年向けにルビつき)
プロダクション・ノート
DVD映像出演者一覧
『白鳥の湖』改訂振付にあたって 牧阿佐美
主演プロフィール&インタビュー 酒井はな・山本隆之
白鳥の湖 10の扉 長野由紀


オデット/オディール:酒井はな Hana Sakai
王子:山本隆之 Ryuji Yamamoto
ロットバルト 貝川鐵夫
パ・ド・トロワ 高橋有里、さいとう美帆 マイレン・トレウバエフ
道化 グレゴリー・バリノフ
小さい4羽の白鳥: 遠藤睦子、西山裕子、本島美和、大和雅美
大きい4羽の白鳥: 真忠久美子、厚木三杏、川村真樹、寺島まゆみ
スペイン 楠元郁子、厚木三杏、マイレン・トレウバウエフ、冨川祐樹
ナポリ 井倉真未、小野絢子、八幡顕光
ルースカヤ 湯川麻美子
ハンガリー 西山裕子、市川透
花嫁候補 真忠久美子、本島美和、川村真樹、寺島まゆみ、丸尾孝子、堀口純
2羽の白鳥 厚木三杏、川村真樹

やっとこのDVDを観られた!「ライモンダ」同様、ハイビジョン映像に慣れてきた身には、画質があまりよくないのがひじょうに残念なのだけど、公演の内容は非常に良かった。

先日、新国立劇場の「白鳥の湖」(ザハロワ主演)を観に行ったのだけど、2年ちょっとの間に、世代交代によってかなり主力メンバーが変わってしまったのではないか。このDVDに収録されている「白鳥の湖」のコール・ドの方が、段違いに素晴らしい。映像で観ていても、これだけ揃っていて美しいのだから、実際の公演はもっと凄かっただろう。この日の公演は観に行っていなくて、やはりザハロワ主演の日を観に行っていた。その時も、やはり群舞が素晴らしいと思っていたはずなんだけど、今回映像を観て、あの時もこんなにも惚れ惚れして感動するほど美しかったのだろうな、としみじみ考え込んでしまった。世代交代というのは必要なことなのだろうけど、現在の新国立劇場のコール・ドは、残念ながら、このレベルまでは到達していない。過去これほどまでに素晴らしかったのだから、きっともう少しすれば、またこの映像に刻まれた完璧なコール・ドが戻ってくると思うのだけど。

酒井はなさんの踊りが素晴らしくて、彼女のオデットがこうやって映像に残って良かった、と思った。はなさんのオデットは、とても丁寧に心を込めて踊っているのがよくわかる。腕の雄弁な、しかも繊細な表現力が見事。プロポーションの美しさでは外国人には勝てない日本人バレリーナが、磨きぬかれた表現力でそのハンディを見事に克服している。彼女がここまでの高みに到達するまで、どれほどの鍛錬と努力、年月を要したのだろうか、と思うほどだった。とても筋肉質なのと、メイクの印象もあって、マリーヤ・アレクサンドロワのオデットを少し思い出させたのだけど、はなさんの方が細やかだし、ドラマティックで悲劇的だと思った。彼女のオデットは儚げな感じはあまりなくて強さも感じさせるのだけど、圧倒的な悲劇性を感じさせる。だから、どうしても、とってつけたようなハッピーエンドになっている牧阿佐美版の演出には違和感がある。4幕最後のオデットの微笑みはとても可愛らしくて、ホッとさせてはくれるのだけど。

そして、はなさんのオディールは艶やかで魅力的だ。あからさまな媚も邪悪さもないけれども、圧倒的な魔力、吸引力があって、王子がその魅力に抗うことができなくなっていくのがわかる。技術的にも非の打ち所がなく、グラン・フェッテはダブルを入れて安定して回っていた。きちんと白鳥と黒鳥と演じ分けているのが感じられる。

山本さんの王子は、甘くてとてもノーブルで、雰囲気は王子様そのもの。サポートもうまい。ただ、彼は古典のテクニックは強くなく、三幕のヴァリエーションのカブリオールでは、脚が思いっきり内股だったのが残念だった。男性ダンサーの強化は新国立劇場の大きな課題だと思う。

パ・ド・トロワの3人は、最高に良かった。マイレンが素晴らしいのは言うまでもなく、完璧なアンドゥオール、きれいな着地、端正で実に美しい。そして高橋有里さん、さいとう美帆さんも、派手さはないけれども、音によく乗ってきちんと正確に踊っていた。先日の「白鳥の湖」初日での、誰とは言わないけどひどいパ・ド・トロワとは大違いだ。

バリノフくんは道化の衣装がとってもよくお似合いで、愛嬌があって魅力的。3幕の民族舞踊もみんなそれぞれすごく良いメンバーをそろえている。スペインのマイレンが笑っちゃうほど濃くて目が吸い寄せられてしまうのはもちろんだけど、楠元さんがとてもいいダンサーだなって改めて思った。最近彼女は「白鳥の湖」では王妃だったり、小林紀子バレエシアターの「眠り」ではカラボスだったり、「ラ・シルフィード」ではマッジだったりと、キャラクター役が多くて。演技が上手な方だからそれも頷けるのだけど、踊る役でももっと観たいな、って思った。それから、花嫁候補の顔ぶれが、改めて見るとかなり豪華なメンバーで、さすがにちゃんとお姫様らしい立ち居振る舞いや演技になっていて、観ていて面白かった。2羽の白鳥の厚木さんと川村さん、特に川村さんがすごくたおやかで美しくて、本物の白鳥みたい!

というわけで、このDVDに収録された公演はとても出来が良くて見ごたえたっぷり。ピーター・カザレットによる舞台衣装や装置も荘厳さと洗練を両立させていて美しい。やっぱり最大の見所はコール・ドとはなさんの白鳥だろう。この映像で、新国立劇場バレエ団の(この時点での)レベルの高さがよく判ると思う。

****
このDVD、映像特典が非常に充実している。まずは、主演の二人のインタビュー。特に酒井はなさんのインタビューは、オデットという役を々考えているのかが、よくわかって面白かった。山本さんは、舞台映像で素敵だっただけに、インタビューで声がすごくしわがれているのにちょっとびっくり。

新国立劇場バレエ団 ソリスト・コレクションでは、4つの作品のハイライトと、出演者のインタビューが収められている。「ドン・キホーテ」はグラン・パ・ド・ドゥだと思っていたら、小嶋直也さんの1幕のパ・ド・トロワと、寺島まゆみさんの3幕のヴァリエーションだった。小嶋さんのバジルの映像は貴重!川村さんのローズ・アダージオは、とてもキラキラしていて、お姫様らしい鷹揚さがあって素敵だった。

そして何より嬉しかったのが、「オルフェオとエウリディーチェ」の抜粋。これが一番長いハイライト映像。改めて観てみると、とてもクリエイティブで面白い作品だったと思った。山本さんはやっぱりコンテンポラリー作品で光る人だと思うし、はなさんの表現力の豊かさにも、目を瞠らされる。ぜひこの作品は、また酒井はなさん、山本さん主演で再演して欲しい。42分もの特典映像は、本当にありがたい。

写真満載の美しい本もついていて、この値段は本当にお買い得!映像がもう少し美しければ、言うことがなかったのだけど、企画は本当に素晴らしいので、ぜひ第三弾以降も出して欲しいと思う。

白鳥の湖 SWAN LAKE 新国立劇場バレエ団オフィシャルDVD BOOKS (バレエ名作物語 Vol. 1)白鳥の湖 SWAN LAKE 新国立劇場バレエ団オフィシャルDVD BOOKS (バレエ名作物語 Vol. 1)
牧 阿佐美(新国立劇場バレエ団・芸術監督)

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ところで、今日新国立劇場から封書が届いて、なんだろうって開けてみたら、ミニ色紙に山本隆之さんのサインと、新国立劇場特製一筆箋が入っていました。DVDの予約特典で先着100名様にサイン色紙プレゼント、とあったけど、けっこうぎりぎりになってから申し込んだもので、100人には入っていないだろうな、と思っていたので嬉しいです。一筆箋は、「ムツェンスク郡のマクベス夫人」でアンケートに答えたら貰って、それからDVDにも同封されたので、これで3冊目です!

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2009/05/30

新国立劇場バレエ団「ライモンダ」DVD 「Raymonda」DVD New National Ballet Theatre Tokyo with Zakharova

このDVDの映像本編は家に届いてからすぐ観たのですが、ボーナストラックまで観る暇がなくて、やっと今日、DVDを観終わりました。「白鳥の湖」の方はまだ1幕までしか観ていません。

この映像が収録された2009年2月14日の公演は実際に観に行っていますので、その日の詳しい感想は以下でお読みください。

http://dorianjesus.cocolog-nifty.com/pyon/2009/02/214-f17c.html

ザハロワの、存在しているだけで神々しいまでの美しさ!奇跡のような曲線美を描く脚と腕!3幕のヴァリエーションは輝くばかりに美しいのですがちょっと硬質で、個人的にはもう少し柔らかい方が好みです。ここでのザハロワは、1,2幕でのお姫様というより、女王様の威厳を感じるほどの貫禄がありますね。手を打ち鳴らしていたのは一番最後だけでした。

デニス・マトヴィエンコは上手いダンサーですね。この役では自己主張も抑え目で、ザハロワをうまく立てている感じですが、テクニックは確実です。森田さんのアブデラクマンがワイルドでバネのある踊りで、良いです。この牧阿佐美版では、アブデラクマンの出番が少ないのがもったいないです。

クレメンスとヘンリエットは、良くなかったです。ザハロワと一緒に踊っていると、あまりの体型や容姿の違い、テクニックの違いに気の毒になってしまうくらい。西川さんは、チャルダッシュではとても良いんですよね。丸尾さんは、この役を踊るには相応しいとは思えなかったです。あと、西山さんのヴァリエーションが音によく乗っていて、とても良いです。パ・ド・シャの跳躍がとても大きくてきれい。もちろん、マイレンのチャルダッシュは、もう最高です!歩幅の大きなステップと深いプリエ、アクセントのつけ方が絶妙だし、きれいにアンドゥオールしていて気持ちよいです。

新国立のコール・ドは改めて映像で観て、動きの揃い方といい、スタイルの統一感といい、素晴らしいと実感しました。舞台美術や衣装も本当に美しい。

惜しむらくは、もともと記録用の映像として収録されているため、画質があまり良くないこと。最近のバレエのDVDは、HDで収録するのが常識になっているし、ブルーレイ化が前提となっていることもあって、画質がきれいな映像になじんでしまっていました。まるでVHSから作られた古いDVDを観ている気になってしまいます。画面は4:3の比率だし。せっかくの舞台美術の美しさや照明の美しさが生きていません。ダンサーの顔が白飛びしてしまっておて、コール・ドともなると顔の判別も難しいです。映像の撮り方自体は、不必要なクローズアップや画面の切り替えが少なくて、正統派で良いのですが。

*******

特典映像は、リハーサルの画質が悪くて眩暈がしそうになりましたが、内容そのものはとても面白いです。ソリストの小野絢子さんが新国立劇場のバックステージを案内して回るという趣向で、まずは舞台袖から始まります。舞台袖に、小道具の置く場所が用意されていて、置く場所もきちんと決まっているんですね。決闘の時にジャンが使用する刀は、金属製のものを使っています。すぐに飲めるようにコップに注がれたミネラルウォーター、汗を拭くためのティッシュの他、急な怪我などに備えて、痛み止めのスプレーや正露丸などが用意されていました。終演後の、スタッフが舞台袖の床についた松脂を一生懸命はがしている姿を見せてくれました。

楽屋なども小野さんが案内してくれます。衣装さんが、それぞれの楽屋の前に衣装をかけたハンガーを置いておいてくれるので、ダンサーは衣装を取りに行く必要がなくて便利です。トレーナー用の部屋があって、マッサージや鍼治療が受けられるそうで、寺島まゆみさん(←訂正:ひろみさんではなくまゆみさんでした)がちょうどマッサージを受けていました。また、衣装さんの部屋もあって、公演のたびに衣装が破れたりするので、毎回こまめに修理するそうです。「ライモンダ」では特に、シルクでできている芸人の衣装が破れやすいそうです。

「ライモンダ」のチュチュなど、美しい衣装もクローズアップで見せてくれます。ドリ伯爵夫人の衣装も、グラデーションがとても美しいそうなのですが、重いそうです。衣装デザインを行ったルイザ・スピナッテリによるデザイン画から始まり、衣装を制作した大井昌子さんのインタビューがあります。ダンサーによって、身体の柔らかさなども違うため、チュチュなどはダンサー一人一人の体型に合わせて微調整をするそうです。ダンサー全員の体型の特徴を覚えているそうで、すごい、と思いました。

本番直前に、衣装を着けて袖で待機しているダンサーの姿などもちょっと見せてくれたりして、とても面白く貴重な特典映像です。

それから、バーレッスンやリハーサルの映像がちょっと流れます。ザハロワのバーレッスンやセンターレッスンもちょっと見ることができます。さすがにザハロワは、バーレッスン一つとっても、ありえないほど美しいですね。ザハロワだけでなく、新国立のバレリーナはやはりスタイルが美しい人が多いと思いました。

5分程度の、ザハロワのミニインタビューもあります。髪を下ろしてメイクがナチュラルのザハロワは、しゃべり方も含めてとても可愛らしいです。新国立劇場の美しいコール・ドを世界レベルだと絶賛していて、とても気持ちよく踊ることができると語っています。また、バレリーナを志す若い人へのアドバイスも行っていました。きちんとした先生について、先生の教えを守ること、そして何よりも基礎が大事だということを強調していました。基礎がしっかりしていれば、どんな踊りをすることもできる、と。当たり前の話かもしれませんが、ザハロワが語ると、非常に説得力があります。

DVDブックということで、美しい舞台写真が満載された本がついています。ルビつきで読みやすい物語のあらすじ、「ライモンダ」の10の見所(ヴァリエーションなど)の解説、そして衣装制作の大井昌子さんのインタビューが載っています。新国立劇場のほとんどの衣装を制作してきた大井さんは、橘バレエ学校の一期生という元バレリーナであり、それゆえダンサーのことをよくわかって衣装を制作されているのですね。

画質に不満はあるものの、ザハロワの神々しい美しさが堪能できるし、公演そのものも良い出来ですし、特典映像の企画も良いので、新国立劇場バレエ団のファン、ザハロワのファンは買って損はないと思います。そもそも、「ライモンダ」という作品自体、最近の映像はなかったわけですし。画質を改善した上で、ぜひ、第三弾以降も出して欲しいですね。

ライモンダ 全3幕 約129分 Raymonda
振付:プティパ 作曲:グラズノフ
改訂振付・演出:牧阿佐美

ライモンダ:スヴェトラーナ・ザハロワ Svetlana Zakharova
ジャン・ド・ブリエンヌ:デニス・マトヴィエンコ Denys Matviyenko
アブデラクマン:森田健太郎
ドリ伯爵夫人:楠元郁子
アンドリュー2世王: 市川 透
クレメンス:丸尾孝子
ヘンリエット:西川貴子
ベランジェ:マイレン・トレウバエフ
ベルナール:芳賀望
第一ヴァリエーション:厚木三杏
第二ヴァリエーション:寺田亜沙子
スペイン人:湯川麻美子、江本 拓
サラセン人:遠藤睦子、寺島まゆみ、千歳美香子、吉本泰久、八幡顕光、古川和則
チャルダッシュ:西川貴子、マイレン・トレウバエフ
グラン・パ ヴァリエーション:西山裕子
パ・ド・カトル 陳秀介、江本拓、芳賀望、今勇也
パ・ド・トロワ さいとう美帆、寺島まゆみ、小野絢子
新国立劇場バレエ団
指揮:オームズビー・ウィルキンス
管弦楽:東京交響楽団

2009年2月12・14日 新国立劇場収録

【特典映像】
All about 新国立劇場バレエ団 約20分
1ザハロワ特別インタビュー&リハーサル
2『ライモンダ』バックステージ・ツアーby 小野絢子
3新国立劇場バレエ団レッスン風景

【書籍の内容】
あらすじ/ライモンダ10の扉/牧阿佐美インタビュー/ザハロワの魅力/憧れのチュチュ。衣裳工房探訪 ほか

ライモンダ RYMONDA (バレエ名作物語 vol.2) 新国立劇場バレエ団オフィシャルDVD BOOKS (バレエ名作物語 Vol. 2)ライモンダ RYMONDA (バレエ名作物語 vol.2) 新国立劇場バレエ団オフィシャルDVD BOOKS (バレエ名作物語 Vol. 2)
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2009/05/17

グラン・ガラ ロシア・バレエのスターたち Grand Gala avec les Etoiles de Ballets Russes

[出演]
ナタリア・オシポワ(ボリショイ・バレエ)Natalia Osipova (Bolshoi Ballet)
イワン・ワシーリエフ(ボリショイ・バレエ)Ivan Vasiliev (Bolshoi Ballet)
アンドレイ・メルクーリエフ(ボリショイ・バレエ)Andrei Merkuriev (Bolshoi Ballet)
エカテリーナ・オスモールキナ(マリインスキー・バレエ)Ekaterina Osmolkina (Mariinsky Ballet)
エレーナ・エフセーセワ(マリインスキー・バレエ)Elena Evseeva (Mariinsky Ballet)
コンスタンチン・ズヴェーレフ(マリインスキー・バレエ)Konstantin Zverev (Mariinsky Ballet)
ナタリア・オシポワ(レニングラード国立バレエ)Natalia Osipova (Mikhailovsky Ballet)
キリル・ミャスニコフ(レニングラード国立バレエ)Kirill Myasnikov (Mikhailovsky Ballet)
オクサーナ・クズメンコ(モスクワ音楽劇場バレエ)Oksana Kuzmenko (Stanislavsky Ballet)
アレクセイ・リュビーモフ(モスクワ音楽劇場バレエ)Alexey Luybimov (Stanislavsky Ballet)

[内容]
●「眠れる森の美女」第3幕より グラン・パ・ド・ドゥ Sleeping Beauty
(エフセーエワ、メルクーリエフ) Elena Evseeva, Andrei Merkuriev

●「白鳥の湖」より Swan Lake
第2幕 アダージョ(オスモールキナ、ミャスニコフ) Ekaterina Osmolkina Kirill Myasnikov
第3幕 スペインの踊り (オシポワ※、ミャスニコフ)Natalia Osipova( Mikhailovsky Ballet) Kirill Myasnikov
黒鳥のパ・ド・ドゥ(クズメンコ、リュビーモフ) Oksana Kuzmenko, Alexey Luybimov

●「アダージョ」Adajo(メルクーリエフ) Andrei Merkuriev

●「パリの炎」よりFlames of Paris (オシポワ、ワシーリエフ) Natalia Osipova, Ivan Vasiliev

●「バヤデルカ」La Bayadere第1幕より アダージョ(エフセーエワ、ズヴェーレフ)Elena Evseeva、Konstantin Zverev

●「ロシアの踊り(白鳥の湖より)」Russkaya(オシポワ※) Natalia Osipova 

●「くるみ割り人形」Nutcracker 
第2幕より (オシポワ※)Natalia Osipova 
葦笛の踊り (ミャスニコフ、バレエ学校の生徒) Kirill Myasnikov

●「シンデレラ」より アダージョ Cinderella by Alexei Ratmansky (オスモールキナ、メルクーリエフ )Ekaterina Osmolkina, Andrei Merkuriev

●「海賊」より Le Coisaire
グラン・パ・ド・ドゥ(エフセーエワ、ズヴェーレフ)Elena Evseeva Konstantin Zverev
アダージョ(クズメンコ、リュビーモフ)Oksana Kuzmenko, Alexey Luybimov

●「ドン・キホーテ」より Don Quixote
エスパーダ(闘牛士)たちと街の踊り子
(オシポワ※、ミャスニコフ、メルクーリエフ、ズヴェーレフ)Natalia Osipova( Mikhailovsky Ballet) Kirill Myasnikov Andrei Merkuriev Konstantin Zverev 
男性・女性ヴァリエーション、コーダ(オシポワ、ワシーリエフ)Natalia Osipova, Ivan Vasiliev

昨年9月3日にフランスのリヨンで行われたガラ、Grand Gala avec les Etoiles de Ballets Russes の映像化。芸術監督は、レニングラード国立バレエ(ミハイロフスキー劇場)の名キャラクテール、ナタリア・オシポワ(ボリショイのオシポワとは別人ですが、ボリショイのオシポワも出ています)。おそらくは地元のバレエ学校とおぼしき生徒たちがいっぱい出ています。

ベテランからフレッシュな顔ぶれまで、ロシアの代表的なカンパニーのダンサーを揃えた公演で、踊り自体の内容は良いのですが、撮影の仕方は良くないです。上から映してみたり、クローズアップで顔ばかり映したり、ブツ切りにカメラを切り替えたりするのは最近の流行なのでしょうか?踊りの全体像がわからなくて、特に足を映してくれないことが多くて、観ていてちょっとストレスがたまります。

アンドレイ・メルクーリエフが4演目も出てくれて、彼のファンにとっては必見の映像。オープニングに引き続いての「眠れる森の美女」では、ちょっと踊りが重くて荒い感じですが、美しいソロの「アダージオ」、しっとりとした麗しい王子様の「シンデレラ」と、とっても美しくてうっとりしてしまいます。ラストの「ドン・キホーテ」では、エスパーダが3人登場しますが、マント捌きのうまさや、やわらかくよく反った背中といい、カッコよさといい、ピカイチです。「アダージオ」では、アンドレイの顔が美しいのは判ったから、もっと全身を映してよ、って思ってしまいました。

「シンデレラ」で、メルクーリエフのパートナーを務めたエカテリーナ・オスモルキナ。ここでの彼女の踊りは伸びやかで柔らかく、理想的なワガノワ・ラインを描いていて、なんと綺麗なんでしょう。メルクーリエフとの並びも美しく、この「シンデレラ」の映像があるだけで、このDVDは買いです(バカンス明けのせいか、彼女の背中はこんがりと日焼けしていますが)。せっかく今年年末のマリインスキーの来日公演メンバーに入っているのに、「眠れる森の美女」での彼女の主演がないのがもったいないです。「白鳥の湖」のアダージオも良いと思うのですが、何しろ映像がぶつ切れなので、良さが伝わりにくくて残念。オスモルキナやオブラスツォーワのようなおっとりとしていて清楚、可憐なバレリーナが、今のマリインスキーではあまり待遇が良くない感じがして、残念ですね。ラトマンスキー版の「シンデレラ」、全幕を観てみたいと思いました。

「白鳥の湖」でオスモルキナのパートナーだったのが、レニングラード国立バレエのベテラン、キリル・ミャスニコフ。最近来日メンバーに入っていなかった彼ですが、実に端正な王子様です。立っているだけで王子なのです。サポートも上手だし、地味ながらも年齢を感じさせないスマートさがあります。「くるみ割り人形」の葦笛の踊りでは、バレエ学校の生徒たちに対する教師をお茶目に演じていて、また別の魅力も発揮しています。

この公演の芸術監督、ナタリア・オシポワは、これぞロシアのキャラクターダンサーって踊りをたっぷりと見せてくれます。特にルースカヤはかっこいいのですが、こちらもぶつ切り映像が残念。

元レニングラード国立バレエで、去年マリインスキーに移籍したエレーナ・エフセーエワは、冒頭の「眠れる森の美女」ではあまりのお化粧の濃さにちょっとびっくりしてしまい、ついでに脚を元気良く高く振り上げていてちょっとソーモワ入ってしまったかと残念に思いました。が、その後の「バヤデルカ」では叙情的な本領を発揮。レニングラード国立バレエの「バヤデルカ」では彼女はガムザッティ役を踊っていましたが、ニキヤ役も似合います。いつもながら、ウェストがほっそりとしていて真っ白な肌がきれいです。「海賊」では圧倒的な華も感じさせてくれました。エフセーエワもワガノワ卒業生らしい、美しく伸びやかなポール・ド・ブラの持ち主です。

マリインスキーではまだコリフェだけど、昨年のアメリカツアーの「ドン・キホーテ」でエスパーダを踊ったりと、抜擢が続いている若手のコンスタンチン・ズヴェーレフ。背が高くて、ルックスがとてもいいので、来日したら人気が出るかもしれません。「バヤデルカ」のソロルはとてもよかったのですが、「海賊」のアリを踊るにはちょっと踊りがノーブルすぎたところがあります。でも、伸び代があるのを感じさせて、今後が楽しみなダンサーのひとりとなりました。

ダンチェンコからは、アレクセイ・リュビーモフとオクサーナ・クズメンコが参加。ドラマティックなバレエを身上とするダンチェンコらしく、リュビーモフはガラであっても白鳥の王子の演技の手抜きは無くて、憂いのある表情が素敵です。彼もとてもノーブルなダンサーで、サポートが抜群に上手いです。クズメンコは一昨年のダンチェンコの来日公演に参加していましたね。この二人による、「海賊」のアダージオが素晴らしかったです。振付がドミトリー・ブリャンツェフとありますので、多分ダンチェンコで採用している版なのでしょう。音楽が、「シルヴィア」のアダージオの曲を使っていてとても美しく、踊りの方も、音楽を生かして非常に叙情的で流れるようで、ふたりの世界に連れて行ってくれて素敵でした。

最近は世界中のガラでの常連の、ボリショイのオシポワとワシーリエフ。ワシーリエフの踊りが非常に荒くて、ちょっと残念と思いました。「パリの炎」では、高くアントルラッセしながら、空中で2回脚を打ち付けるという超絶技巧を見せてくれたものの、勢いあまっていたり、着地があまりきれいじゃなかったり。年末のボリショイの公演で「ドン・キホーテ」全幕を観たときには、ここまで荒くなかったので、バカンス明けで調子が良くなかったと思うことにします。若いので、きっと美しさはこれから身につけてくれることと期待することにします。「パリの炎」は残念ながら女性ヴァリエーションが入っていなかったのですが、オシポワはいつもながらの跳躍力で、全身バネのような身体で、頭と脚がくっつきそうなほど大きく背中をそらせた跳躍を見せてくれます。最後の「ドン・キホーテ」のグラン・フェッテでは、余裕たっぷりにトリプルをいくつも入れていて、軸もぶれなくて、見事なものでした。

全体的な公演の質は高かったのですが、「白鳥の湖」の時など、バレエ学校の生徒たちが邪魔かも、と思ってしまうことがあって、出演者が一流なのに発表会チックに見えることもありました。バレエ学校の主催公演だったのでしょうか。でも、これだけロシアバレエをたっぷりと見せてくれる映像はなかなかないし、それぞれのダンサーも良いし、楽しく観ることができました。

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2009/05/16

マラーホフ主演、ビゴンゼッティ振付「カラヴァッジオ」DVD化!/Bigonzetti: Caravaggio

Ballet Talkで見つけた情報ですが、久々に嬉しいニュースです。(その前にBlu-Rayのプレイヤーを買わなくてはならないけど)

なんと、マウロ・ビゴンゼッティ振付、ウラジーミル・マラーホフ主演、ベルリン国立バレエの「カラヴァッジオ」がDVDとBlu-Ray化されます!

出演は、マラーホフのほか、ポリーナ・セミオノワ、中村祥子、ドミトリー・セミオノフ、エリッサ・カリッリョ・カブレラ、ミハイル・カニスキン、ベアトリス・クノップほかです。本編93分、29分のボーナスがついています。

ベルリン国立バレエでの作品紹介のサイトはこちら
http://www.staatsballett-berlin.de/spielplan/spielplan_detailansicht.php?id_event_date=0&id_event_cluster=66835&id_language=2

アマゾンUKの他、日本のアマゾンにも、製品のページはできているようです。アマゾンUKでは6月1日発売予定で、ARTHAUS MUSIKからのリリース、予約も受け付けています。

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日本のアマゾンのサイトでは、DVDになっています。

5/23追記:日本のアマゾンでもDVDの輸入盤が予約できるようになりました!6月30日発売予定だそうです。お値段も結構手ごろですね♪

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2009/04/14

ザハロワのガラ/新国立劇場バレエ団「白鳥の湖」「ライモンダ」DVD続報

ジャパン・アーツのバレエ・舞踊ブログで、ザハロワの新作「ザハロワ・スーパーゲーム」をフィーチャーした、モスクワでのザハロワ・ガラのレポートが載っていました。

http://ja-ballet.seesaa.net/article/117463463.html

ザハロワのガラが本拠地であるボリショイ劇場で開かれるのは初めてのことだったんですね。そして、この「Zakharova Super Game」という不思議な題名の新作ですが、レポートを読み、写真を見てみると、本当にコンピューターゲームをモチーフにした作品だったことがわかります。衣装が、戦士っぽいのです。レベル5までいくと、ラスボスであるメルクーリエフ扮するクロノスが登場するんですね。

振付家のフランシスコ・ヴェンティリアは、ミラノ・スカラ座の現役ダンサーで、まだ29歳。ザハロワが今度の来日公演「ザハーロワのすべて」で踊る「Black」の振付家でもあります。

こちらで
http://www.for-ballet-lovers-only.com/bolshoi-zakharova-gala2009.html
「ザハロワ・スーパーゲーム」はじめ、このガラの写真をいくつか見ることができます。平山素子さん振付の「Revelation」の写真がたくさんあります。「ザハーロワのすべて」でも披露される「トリスタンとイゾルデ」も。

そして、「シンフォニー・インC」では、ザハロワとアレクサンドロワ、アンドリエンコ、ゴリャーチェワという贅沢な並びで踊ったんですね。

他にも、イーゴリ・ゼレンスキー、ダニール・シムキン、メラニー・ユレル、アレッシオ・カルボネらが出演したとのことです。

このサイトでは、同じくバレエ・舞踊ブログで初演の様子が紹介された、ヴィハレフ復元による「コッペリア」(アレクサンドロワ主演)の写真を見ることもできます。
http://www.for-ballet-lovers-only.com/bolshoi-coppelia2009.html

ザハーロワのすべて」、ぴあで割引のチケットが出ていたり、ゴールデンウィークという時期が災いしたのか、意外とチケットの売れ行きが苦戦しているようです。かくいう私も、観に行きたいのに行けない訳ですが。ザハロワが踊る現代作品はぜひ見てみたいですし、写真を見る限り面白そうなんですよね。出演者も豪華だし。今回ぜひ公演が成功して、定例公演となってほしいなって思います。

**********
ザハロワといえば、新国立劇場で収録された「ライモンダ」のDVDが発売されます。すでに、情報をご存知の方も多いかと思いますが、AmazonにDVDの詳細が出ていました。

ライモンダ
【DVDの内容】
ライモンダ 全3幕 約150分
振付:プティパ 作曲:グラズノフ
改訂振付・演出:牧阿佐美
主演:スヴェトラーナ・ザハロワ/デニス・マトヴィエンコ
2009年2月12・14日 新国立劇場収録

【特典映像】
All about 新国立劇場バレエ団 約30分
1ザハロワ特別インタビュー&リハーサル
2『ライモンダ』バックステージ・ツァーby 小野絢子
3新国立劇場バレエ団レッスン風景

【書籍の内容】
あらすじ/ライモンダ10の扉/牧阿佐美インタビュー/ザハロワの魅力/憧れのチュチュ。衣裳工房探訪 ほか


白鳥の湖
【DVDの内容】
白鳥の湖 全4幕 約150分
振付:プティパ/イワーノフ 作曲:チャイコフスキー
改訂振付・演出:牧阿佐美
主演:酒井はな/山本隆之
2006年11月18日 新国立劇場収録

【特典映像】
新国立劇場バレエ団ソリスト・セレクション 約30分 (舞台ハイライトシーンとインタビュー)
1眠れる森の美女:川村真樹
2ドン・キホーテ:寺島ひろみ/小嶋直也
3カルメン:本島美和
4オルフェオとエウリディーチェ:酒井はな/山本隆之

【書籍の内容】
あらすじ/白鳥の湖10の扉/牧阿佐美インタビュー/主演ダンサーインタビュー ほか

舞台そのものも期待できますが、特典映像がとっても嬉しい内容になっていますね。川村さんの眠りや小嶋さんのバジル、見逃してしまったもので。

「白鳥の湖」の収録された日ですが、キャストは、

ロットバルト 貝川鐵夫
パ・ド・トロワ 高橋有里、さいとう美帆 マイレン・トレウバエフ
道化 グレゴリー・バリノフ
小さい4羽の白鳥: 遠藤睦子、西山裕子、本島美和、大和雅美
大きい4羽の白鳥: 真忠久美子、厚木三杏、川村真樹、寺島まゆみ
スペイン 楠元郁子、厚木三杏、マイレン・トレウバウエフ、冨川祐樹
ナポリ 井倉真未、小野絢子、八幡顕光
ルースカヤ 湯川麻美子
ハンガリー 西山裕子、市川透
2羽の白鳥 厚木三杏、川村真樹

と、ベストに近いキャストですね。これは絶対に買わなくちゃ。

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2009/04/11

パリ・オペラ座 バレエ ノイマイヤー「椿姫」 NHKハイビジョン放映映像 La Dame aux camélias

La Dame aux camélias (Lady of the Camellias)

Music : Frederic Chopin
Choreography: John Neumeier

Marguerite : Agnès Letestu
Armand Duval : Stéphane Bullion
Manon : Delphine Moussin
Des Grieux : José Martinez
Gaston Rieux : Karl Paquette
Monsieur Duval : Michaël Denard
Nanine : Béatrice Martel
Le duc : Laurent Novis
Prudence : Dorothée Gilbert
Olympia : Eve Grinsztajn
Le comte de N. : Simon Valastro
Les Étoiles, les Premiers Danseurs et le Corps de Ballet

マルグリット : アニエス・ルテステュ
アルマン・デュヴァル : ステファン・ビュヨン
ムッシュー・デュヴァル : ミカエル・ドナール
マノン : デルフィーヌ・ムッサン
デ・グリュー : ジョゼ・マルティネス
プリュダンス : ドロテ・ジルベール
オリンピア : エヴ・グリンツテイン
ガストン : カール・パケット
公爵 : ローラン・ノヴィ
ナニーヌ : ベアトリス・マルテル
伯爵 : シモン・ヴァラストロ

制作: Opera National de Paris / LGM
収録: 2008年7月2,5日 パリ・オペラ座・ガルニエ宮

結局感想を書けていないのだけど、昨年6月28日にガルニエで観た、アニエス・ルテステュとロベルト・ボッレの「椿姫」は素晴らしかった。アニエスの渾身の演技、そして純粋で美しく情熱的なロベルト。

さて、この「椿姫」は本来、アニエスとエルヴェ・モロー主演でDVD化される予定だったのが、初日にエルヴェが怪我をして途中降板。急遽代役として踊ったステファン・ビュヨンが出演したところ、彼が初めて通しで踊った7月2日「椿姫」が映像化となったのだった。

改めて映像になって、テレビで放映されたものを観ると、やはり生の舞台とテレビのモニターで観るのとでは違う。家でテレビのモニター、しかもハイビジョンで大画面のテレビで観ると、何もかも見えすぎてしまうし、どうしても冷静な目で観てしまう。映像で観るという行為は、結局のところ生の舞台の代償行為にはなりえないということを実感してしまった。

さらに、この映像はクローズアップが多すぎる。「椿姫」は演劇的なバレエということになっているので、演技を見せるために表情をアップにしたくなる気持ちはわからなくはない。だけど、主役二人が舞台の上にいるのに、片方だけ映っているというのは残念だ。ノイマイヤーの作品の場合、さらに、主役以外の登場人物の動きというのにも意味が込められていることが多いので、なおさらだ。特にアニエス・ルテステュのアップが多い。アニエスはとても綺麗な人だけど、いくら美しいアニエスでも、大きな画面でアップになってしまうと演技が大仰に見えてしまうし、少し表情が強面の時がある。同じ公演を劇場で観た分には、おそらくそんなに演技を作っているようには見えないだろう、きっと。これは映像ならではの問題なのだと思う。

ロベルトとの舞台を観たときに、アニエスのマルグリットは気品と華があると共に、とても知的な女性だと感じた。しっかりとした自分の意思を持ち、自立した大人の女であろうとしたけれども、果敢に運命に対して戦いを挑み、哀れにも敗れてしまった女性だと。

ところが、このクローズアップの多い映像を観てしまうと、アニエスがあまりにも頭で考えて演技をしていて、理性が勝ちすぎている印象が強く残ってしまう。アニエスは演技はとても上手くて、特にアルマンに侮辱されてから死を迎えるまでの、蝋燭の火が燃え尽きていくような弱り方、苦しい息の中ででも毅然と生きようとする様子、今際の際に見えたアルマンの姿へと歩み寄ろうとして斃れる様、どれも演技としては一級品だ。踊りの技術も申し分ないし、少々背は高すぎるものの(とはいっても、原作のマルグリットも背が高いという設定)、素晴らしいプロポーションと美貌。言ってみれば、あまりにも完璧すぎて破綻や隙がない故、色香が感じられないのが欠点なのだと思った。高級娼婦とはいえ、マルグリットは娼婦なのだけど、アニエスのマルグリットは全然娼婦には見えない。

また、ほぼ初役のステファンを相手にしていることで、緊張感も現れてしまっている。ロベルトがパートナーの時には、もっとりラックしていて、余裕が感じられていた。

そのステファンは、ほぼ初役ということで、サポートにかなり苦労をしていた。ステファン自身、背が高いしPOBの男性の中でもマッチョなほうなのだが、何しろアニエスが長身ということもある。サポートがめちゃめちゃ上手なアレクサンドル・リアブコのアルマンを観た直後だというのも分が悪い。特に黒のPDDでは、ぐだぐだになってしまっていた。

ステファンは演技、そして一人で踊っているときは健闘している。彼は白い肌に薔薇色の頬、黒い巻き毛に長身、美貌なのだけどダークな印象が強くしかも男性的なダンサーだ。その思いつめたような暗さが、アルマン役に良く合っている。しかも、基本的には無表情で不器用そうなのがいい。身体が決して柔らかくない、どちらかといえば硬いことでさえも、その青く一途な、狂気すれすれの情熱を表現するのに適しているようだった。無表情で寡黙、生硬な彼が、ごくまれに感情を爆発させるかのように苦悶の表情を浮かべたり、逆に幸福感に震えていると、この人は今本当にこんな風に感じているんだな、と演技が実感がこもっているように感じられてくる。彼独特の純粋な暗さが、いかにもマルグリットを侮辱して傷つけてしまう残酷さに説得力を持たせている。彫りの深い顔に影を落としながら、マルグリットの遺した日記を吸い込まれるように一心不乱に読むアルマンは、深い悔恨に沈み込んでいる。それでもマルグリットが息を引き取る寸前に彼の幻影を見たのでは、というところで安堵を見せて、ほんの少しの救いを結末に加えている。

デルフィーヌ・ムッサンのマノンは、素晴らしかった。彼女のマルグリットもとても素敵だったけどマノン役は、格別。マノンの持つ強い生命の輝きと、思わず引き込まれそうになる底なし沼のような吸引力、堕ちていけば堕ちていくほど、逆に崇高なまでの美しさが立ち上って透明になっていくさまが感じられた。デ・グリューのジョゼ・マルティネスはその点、ノーブルで踊りは綺麗なのだけど、妖しさ、そしてマノンの死で見せる極限での愛の表現が弱い。ガルニエで観た時のクリストフ・デュケンヌの方が個人的には良かったと思う。ノイマイヤーの「椿姫」では、実は主役二人よりも、マノンとデ・グリューの物語の方に胸を締め付けられてしまう。だからこの役は、本当に大切だと思う。

プリュダンスのドロテ・ジルベールは若いのに演技がとても達者だ。プリュダンスは年増でお金に汚く手癖の悪い女性という設定なのだけど、本当に手癖は悪いし、親切そうに見えて実は狡猾なところがとてもよく出ていた。一方、オランピアのエヴ・グランツステインは美人なのに化粧が非常に濃くて老けて見えるし、演技が過剰というかわざとらしかった。オランピア役は、可愛い顔をしてとても意地悪なミリアム・ウルド=ブラムが良かった。

ガストンのカール・パケットはキラキラの美形ぶりで、ものすごく目の保養になる。夏の光のようなカールの輝きと、笑顔の中にも暗い影を漂わせるステファンは、対極のような存在。カールに限らず、マノンの崇拝者3人や、2幕に出てくる若者たちの容姿が美しいのは良い。N伯爵のシモン・ヴァラストロ、報われなくても一途にマルグリットを愛し続ける彼の演技はとても心を打つ。ハンブルク・バレエのヨハン・ステグリの真面目そうな演技もとてもよかったけれども、シモンのは彼と解釈が違っていて、可愛いいだけに余計に哀れだった。

アルマンの父役のミカエル・ドナールは残念ながら良くなかった。威厳も気品もなく、マルグリットに見せる態度の変容にも説得力がない。そこらへんのおじさんのようで。クルベリ・バレエから客演してきていたアンドレイ・クレムのほうがずっと良かった。もちろんハンブルク・バレエのカーステン・ユングも素敵だったのだけど。伯爵役のローラン・ノヴィは上品で、魅力的だった。

いろいろと書いたけど、オペラ座ならではの華やかさもあるし、上演そのもののクオリティは高かったと思う。ただ、いろいろとアクシデントもあったのでやむにやまれぬところがあったとしても、主役ペアの一回目の共演ではなく、もう少し合わせた後で収録した方が良かったのではないかと思われるところが、勿体無い。

本家ハンブルク・バレエでの上演(もちろん、アレクサンドル・リアブコとジョエル・ブーローニュの共演)と、おそらく収録されているはずのアレッサンドラ・フェリ&ロベルト・ボッレの共演も、DVD化して欲しいと思う。

Opus Arteのサイト(DVD) 黒のPDDの動画が少し見られます。Opus Arteからは5月1日に発売。
http://www.opusarte.com/pages/product.asp?ProductID=285
Chopin - La Dame aux camélias (Paris Opera Ballet)
RELEASED: 01/05/2009

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2009/04/09

バレエDVD発売情報いろいろ

2週間ぶりにバレエのレッスンに行ったら、センターに全然ついていけなくてへとへとになった上、自分ではとても対応しきれないくらい責任重大な仕事がやってきてしまって、これから2ヶ月ほど、バレエどころじゃなくなっちゃうかもしれないので、ちょっと落ち込み気味です。最悪GWの旅行や「エスプリ」すら観に行けないかもしれません。本業あっての趣味バレエとはいっても、お金もつぎ込んで、いろいろと手配をして楽しみにしていたことがダメになったら、大ショックだわ。休日出勤でも残業でも持ち帰りでもやるから、神様お願い、って心境です。本当にこの不況は何とかならないものでしょうかね。

さて、Amazon.co.jpのニューリリースのところを見ていたら、いろいろとバレエ関係のDVDがこれから発売になるんですね。

バレエDVD新着ニューリリース

まず、VHSでは出ていたものの、入手困難となっていたモニク・ルディエールの「Comme Les Oiseaux」(VHSのタイトルは、「鳥のように」)がDVD化されるんですね。Amazonでは5月12日発売予定。リージョンコードは、まだ確認できていません。
Comme Les Oiseaux (B&W) [DVD] [Import]

それと、輸入盤では最近発売されたロイヤル・バレエの「三人姉妹」(ダーシー・バッセル、イレク・ムハメドフ、アダム・クーパー)の国内盤が出ます。6月24日発売。
三人姉妹 振付:ケネス・マクミラン [DVD]

面白いところでは、先日NHKで放送された「プロフェッショナルの流儀」のボリショイ・バレエ、岩田守弘さんの回がDVD化されるんですね。これは6月26日発売。
プロフェッショナル 仕事の流儀 第V期 バレエダンサー 岩田守弘の仕事 [DVD]

旧譜の廉価版ということで、ワーナーミュージック・ジャパンより6月24日発売で何枚か出ます。

マリインスキー・バレエのマハリナ&ゼレンスキーの「白鳥の湖」、メゼンツェワ&ザクリンスキーの「ジゼル」、アンナ・ポルカルポヴァ(現ハンブルク・バレエ)出演の「石の花」

パリ・オペラ座のマリ=クロード・ピエトラガラとパトリック・デュポンの「白鳥の湖」、ニコラ・ル=リッシュやカデル・ベラルビら出演の「ピカソとダンス(青列車、三角帽子)」、マニュエル・ルグリとオーレリー・デュポンの「眠れる森の美女」がお手ごろな値段で再発売されます。

チャイコフスキー:バレエ「白鳥の湖」全3幕 [DVD]

ジゼル 全2幕 [DVD]

プロコフィエフ:バレエ「石の花」全3幕 [DVD]

パリ・オペラ座「白鳥の湖」

ピカソとダンス「青列車」「三角帽子」 [DVD]

ルドルフ・ヌレエフ振付・演出「眠れる森の美女」プロローグ付3幕 [DVD]


また、先月号のダンスマガジンの「白鳥の湖」特集で絶賛されていた、イヴリン・ハートとペーター・シャウフス主演、ロンドン・フェスティバル・バレエ、ナタリア・マカロワ版の「白鳥の湖」が発売されています。新書館からDVDが発売されていたのですが、ダンスマガジンの記事によれば、廃盤になったとのことです。こちらもリージョンコードは未確認ですが、私は持っていないのでぜひ欲しい一枚です。

Swan Lake [DVD] [Import]Swan Lake [DVD] [Import]
Tchaikovsky

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もちろん、近日発売で最大の目玉は、4月22日発売の「ザハーロワ&ロパートキナ」「グラン・ガラ ロシア・バレエの輝けるスターたち」 だと思いますが、最近は本当にたくさんのバレエのDVDが発売されているんですね。ロイヤル、パリ・オペラ座、マリインスキーに偏っている気もしますが。(他のカンパニーの映像も観たいところです)

ザハーロワ&ロパートキナ [DVD]ザハーロワ&ロパートキナ [DVD]
スヴェトラーナ・ザハロワ, ウリヤーナ・ロパートキナ, アンドレイ・ウヴァーロフ, ニコライ・ツィスカリーゼ

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グラン・ガラ ロシア・バレエの輝けるスターたち [DVD]グラン・ガラ ロシア・バレエの輝けるスターたち [DVD]
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そしてもちろん、問題はこれらのDVDが家に山積みになっていて、観る時間が全然ないことです。

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2009/04/04

(速報)新国立劇場バレエ団「白鳥の湖」「ライモンダ」DVD発売/追記あり

今日「こどものためのバレエ劇場『しらゆき姫』」を観に行っていた友達から聞いたのですが、会場で、新国立劇場バレエ団の「白鳥の湖」「ライモンダ」のDVDが発売されるという告知チラシが配布されていたそうです。

気になるキャストは、「白鳥の湖」が酒井はなさんと山本隆之さん、「ライモンダ」がスヴェトラーナ・ザハロワとデニス・マトヴィエンコが主演とのことです。

詳細がわかりましたら、またお知らせします。今までTVでの放映はありましたが、DVDの発売は初めてなので楽しみですね。


追記:お友達に詳細を教えていただきました。感謝!

新国立劇場バレエ団のオフィシャルDVDBOOKが5月18日に発売。

「白鳥の湖」 酒井はな・山本隆之

「ライモンダ」スヴェトラーナ・ザハロワ、デニス・マトヴィエンコ

公演全幕が収録、あらすじも字幕で紹介されています。牧阿佐美やダンサーのインタビューあり。特典映像にはソリストによるハイライトシーンをそれぞれのダンサーのインタビューを交えて収録。小野絢子さんによるライモンダのバックステージツアーあり、レッスン映像ありだとのこと。

アトレ会員には特別価格ありで、2巻同時購入のプレゼントあり。価格は3780円の予定だそうです。
お値段も手頃で良いですね!

詳しくは、6月号ジ・アトレでご案内するそうです。

(注)会員価格でのお求めは、新国立劇場シアターショップ(03-3372-1252)、WEBシアターショップ(http://www.theatreshop.jp/)をご利用下さい。


追記:Amazonで予約を受付中です。DVDジャンルではなく、書籍のところにありますのでご注意ください。

白鳥の湖 SWAN LAKE 新国立劇場バレエ団オフィシャルDVD BOOKS (バレエ名作物語 Vol. 1)白鳥の湖 SWAN LAKE 新国立劇場バレエ団オフィシャルDVD BOOKS (バレエ名作物語 Vol. 1)
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2009/03/17

パリ・オペラ座「椿姫」(ルテステュ主演)/ロイヤル・バレエ「白鳥の湖」(ヌニェス主演)DVD発売

ダンソマニ日本版様からのありがたい情報です。いつもありがとうございます!

今週末にNHK BShiでの放送が予定されている『椿姫』(ジョン・ノイマイヤー振付)がリリースされます

発売予定日は、2009年5月1日。 Opus Arteからで欧州向けですが、このレーベルからリリースされる作品の最近の仕様に倣い、All Formats、All Regions のようです。 2枚組。

Chopin- La Dame aux Camelias
http://www.opusarte.com/pages/product.asp?ProductID=285

Marguerite Gautier: Agnes Letestu
Armand Duval: Stephane Bullion
Monsieur Duval: Michael Denard
Prudence Duvernoy: Dorothee Gilbert
Manon Lescaut: Delphine Moussin
Des Grieux: Jose Martinez
Olympia: Eve Grinsztajn
Gaston Rieux: Karl Paquette
Le Duc: Laurent Novis
Nanine: Beatrice Martel
Le Comte de N.: Simon Valastro

The Paris Opera Ballet
Orchestra of The Opera national de Paris
Conductor: Michael Schmidtsdorff
Stage Director: John Neumeier

ハイビジョンを観られない方にもうれしいお知らせですね!先日のハンブルク・バレエでの来日公演と比較するのも一興かと。

Chopin - La Dame aux camelias (Paris Opera Ballet)
同時にブルーレイディスクも出るようです。
http://www.opusarte.com/pages/product.asp?ProductID=286

追記:Opus Arteのサイトを見ていたら、もう一つリリース情報を見つけました。
9月発売とだいぶ先ですが、マリアネラ・ヌニェスとティアゴ・ソアレス主演のロイヤル・バレエ「白鳥の湖」です。

Tchaikovsky - Swan Lake (The Royal Ballet)
http://www.opusarte.com/pages/product.asp?ProductID=290

Odette/Odile: Marianela Nunez
Prince Siegfried: Thiago Soares
Choreographers: Marius Petipa & Lev Ivanov
Conductor: Valeriy Ovsyanikov
Stage Director: Anthony Dowell

CAT NO: OA1015D
FORMAT: All Formats
REGIONS: All Regions
PICTURE FORMAT: 16:9
RELEASED: 01/09/2009
NO OF DISCS: 1

こちらはアンソニー・ダウエル振付版ですね。

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2009/02/15

DVD「グラン・ガラ ロシア・バレエの輝けるスターたち」と「ザハーロワ&ロパートキナ」

いつもDVDの新発売情報についてすばやい情報を提供してくださるSide B-alletのゆうさんから頂いた情報です。本当にいつもありがとうございます>ゆうさん。

「グラン・ガラ ロシア・バレエの輝けるスターたち」
以前、当サイトのエントリでも紹介した、「Grand Gala avec les Etoiles de Ballets Russes」のDVD化です。このガラの情報については、M's daily life様から頂いていました。フランスのリヨンで2008年9月3日に開催された、ボリショイ、マリインスキー、ミハイロフスキーのダンサーたち出演のガラです。mezzoで放映され、DVD化されるとは聞いていたのですが、日本発売されるとは思っていなかったので、嬉しいお知らせですよね。クリエイティヴ・コアより4月22日発売とのことです。

グラン・ガラ ロシア・バレエの輝けるスターたち

【内容】
「眠れる森の美女」第3幕より グラン・パ・ド・ドゥ
「白鳥の湖」第2幕より アダージョ
「白鳥の湖」より 黒鳥のパ・ド・ドゥ
「パリの炎」
「ラ・バヤデール」第1幕より パ・ド・ドゥ
「白鳥の湖」より ロシアの踊り
「シンデレラ」より アダージョ
「海賊」より パ・ド・ドゥ、アダージョ
「ドン・キホーテ」より トレアドール、グラン・パ・ド・ドゥ

【出演】
ナタリア・オシポワ(ボリショイ・バレエ)
イワン・ワシーリエフ(ボリショイ・バレエ)
アンドレイ・メルクーリエフ(ボリショイ・バレエ)
エレーナ・エフセーエワ(マリインスキー・バレエ)
エカテリーナ・オスモールキナ(マリインスキー・バレエ)
キリル・ミャスニコフ(ミハイロフスキー劇場)

【収録】2008年 フランス
【仕様】ドルビーデジタル/ステレオ/16:9/カラー/120分

これはロシア・バレエのファンにとってはたまらないガラですね。どの演目を誰が踊っているかについては、上記Mさんのエントリのコメント欄に記述がありますので、参考にしてくださいね。

あと、このガラのレビューがSt Petersburg Timesに載っています(英語)
http://www.sptimes.ru/index.php?action_id=2&story_id=27257

グラン・ガラ ロシア・バレエの輝けるスターたち [DVD]グラン・ガラ ロシア・バレエの輝けるスターたち [DVD]
ナタリア・オシポワ, イワン・ワシーリエフ, アンドレイ・メルクーリエフ, エレーナ・エフセーエワ

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*****

「ザハーロワ&ロパートキナ」
2007年にフランスで制作されたドキュメンタリーとのことです。こちらも、クリエイティヴ・コアより4月22日発売。

ザハーロワ&ロパートキナ / スヴェトラーナ・ザハーロワ, ウリヤーナ・ロパートキナ

【収録演目(抜粋)】
ザハーロワ:白鳥の湖、眠れる森の美女、ジゼル、ドン・キホーテ、ラ・バヤデール、瀕死の白鳥、他
ロパートキナ:白鳥の湖、ジュエルズより ダイヤモンド、バランシン ワルツ、愛の伝説、病めるバラ、他

【キャスト】
スヴェトラーナ・ザハーロワ
ウリヤーナ・ロパートキナ
アンドレイ・ウヴァーロフ
ニコライ・ツィスカリーゼ
ファルフ・ルジマートフ
ジョゼ・マルティネズ 他

【制作】2007年 フランス
【仕様】カラー/モノラル/4:3/約54分

こちらも出演者が大変豪華ですね。お財布が大変なことになっちゃって悲鳴を上げそうです。

ザハーロワ&ロパートキナ [DVD]ザハーロワ&ロパートキナ [DVD]
スヴェトラーナ・ザハロワ, ウリヤーナ・ロパートキナ, アンドレイ・ウヴァーロフ, ニコライ・ツィスカリーゼ

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2009/02/07

パリ・オペラ座「シンデレラ」DVD CENDRILLON/Cinderella

185分(本編123分+特典映像62分)、2枚組
字幕:フランス語・ドイツ語・スペイン語・イタリア語・英語

〔出演〕
シンデレラ:アニエス・ルテステュ Agnes Letestu
映画スター:ジョゼ・マルティネズ Jose Martinez
継母: ステファン・ファヴォラン Stephane Phavorin
シンデレラの姉妹:レティシア・ピュジョル、ステファニー・ロンベール Laetitia Pujol - Stephanie Romberg
プロデューサー:ウィルフリード・ロモリ Wilfried Romoli
ダンス教師:クリストフ・デュケンヌ Christophe Duquenne
LE METTEUR EN SCENE Richard Wilk
LE PERE Cyril Fleury
L'ASSISTANT Fabien Roques
LE PRINTEMPS FEMME Melanie Hurel 春:メラニー・ユレル
COUPLE FEMMES Marie-Solene Boulet - Laura Hecquet
COUPLE HOMMES Julien Meyzindi - Florian Magnenet
L'ETE FEMME Dorothee Gilbert 夏:ドロテ・ジルベール
COUPLE FEMMES Aurelia Bellet - Laurence Laffon
COUPLE HOMMES Bruno Bouche - Axel Ibot
L'AUTOMNE FEMME Nolwenn Daniel 秋:ノルウェン・ダニエル
COUPLE FEMMES Fanny Fiat - Muriel Zusperreguy
COUPLE HOMMES Mathias Heymann - Gil Isoart
L'HIVER FEMME Emilie Cozette 冬:エミリー・コゼット
COUPLE FEMMES Laure Muret - Geraldine Wiart
COUPLE HOMMES Bertrand Belem - Mallory Gaudion

振付:ルドルフ・ヌレエフ
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
演奏:コーエン・ケッセルス指揮  パリ・オペラ・オーケストラ
美術:ペトリカ・イオネスコ
衣装:森 英恵
照明:グイード・レヴィ
収録:2008年4月、パリ・オペラ座 ガルニエ宮

ヌレエフ版の「シンデレラ」といえば、シルヴィ・ギエムがシンデレラを踊り、映画スターにシャルル・ジュド、義理の姉にモニク・ルディエールとイザベル・ゲラン、プロデューサーはヌレエフ本人という豪華なキャストのビデオ(1987年収録)が出ていたのだけど、実は私はそれを観てあまり面白いと思わなかった。ギエムが苦手というのが最大の理由で、こっちの新しい収録を見て、改めて、やっぱりギエムが好みではないからあの映像は楽しめなかったのだと思った。こちらの「シンデレラ」は、面白いんだもの。映画スターはジュドの方が素敵だけど。


背が高く、どこから見ても超美人でクールなアニエス・ルテステュがシンデレラ役を演じるというのは、意外な感じもしたけれども、ハリウッドを舞台にしたこの作品なら納得できる。特典映像に「Cinderella Goes to Hollywood」というインタビューを中心にしたドキュメンタリーがある。この中で、芸術監督のルフェーブルが、アニエスは美人だけど、ちょっと不幸な感じがするところが、シンデレラ向きだと語っていたけどそれは当たっていた。「誰もシンデレラになんかなりたくないでしょう、継母と義理の姉妹にいじめられて、一日家事をしていなくちゃならないなんて」。やっぱりアニエスは、シンデレラの灰かぶり衣装を着ていても美しくてエレガントなんだけど、不幸の影が漂っている。とともに、芯の強さも感じられ、幸福を自分の手でつかもうという意志が見られる。ハリウッドに行ってからの輝くばかりの華やかさと優雅さは、さすがトップエトワール。ヌレエフ版の「シンデレラ」は、アシュトン版と違って、シンデレラが2幕(ここでは、映画の撮影スタジオ)で登場する時には、ポアントではなく、キラキラ光るダンス用のハイヒール。パパラッチに囲まれ、彼らを踏みつけて登場した彼女が、映画スターと踊るのは、ボールルームダンスのワルツで、これがまたエレガント。かと思うと、チャップリンの衣装を着て楽しげなタップダンスなどを見せてみたり。ポアントの上にタップシューズを重ね履きするのだから大変だと思うけど、彼女のようなスタイル良しだから、チャップリンの格好も似合うのかな、と。アニエスの意外な芸達者ぶりがたっぷりと味わえる。

でも、この作品で最高なのは、ユーモアたっぷりの義理の姉たち、ステファニー・ロンベールとレティシア・プジョルと、継母役のステファン・ファヴォラン。特に、ファヴォランの継母は凄い!ほとんどのシーンでポアントを履きっぱなしで、よく見ないと女性が踊っているかのようなのだ。ポアントを履いて踊るテクニックは男性としては天下一品、アティチュードで回るピルエットも見事なもの。ユーモアたっぷりで色っぽくて芸達者。しかも、図々しくも撮影現場では映画スターに迫ってみせたり、映画スターが靴の持ち主を探している時には、この母親もどさくさに紛れて、シンデレラの靴を履こうとしたりするのだから。ポアントを脱いだら、男性の大きな足が出現するのだから映画スターも困っちゃう!

ステファニー・ロンベールとレティシア・プジョルの義理の姉たちは、アシュトン版の可愛い姉たちよりも意地悪で暴力的で図々しいのだけど、女性がこの役を演じているだけあって、キュートさや色っぽさもあって生き生きとしている。その上、技術的にはすごく大変そう!クリストフ・デュケンヌ演じるダンス教師に教わってバレエのレッスンを受けるところなど、わざと下手に踊らなくてはならないところもあるけど、あくまでも、本当は上手なんだけど下手に踊っているという風に踊らなくちゃいけないし。背が高くて押しの強いロンベール、小柄でお茶目なプジョルの凸凹コンビの組み合わせもいい。さらに、この作品では、映画スターがシンデレラを求めて、スペイン、中国そしてロシアを旅するエピソードもあり、ロンベールがスパニッシュ、プジョルがチャイナドレスで中国の踊り、さらにファヴォランがロシアのコサックダンスとキャラクターダンスを踊るという趣向がすごく楽しい。ホントにこの3人は踊りも演技も弾けていて、素晴らしいバイプレイヤー振りを見せてくれている。

ジョゼの映画スターは、義理の姉たちや継母に困らされている演技が楽しい。例によって鬼のようなヌレエフ振付のヴァリエーションも、彼だから安心して見ていられる。カブリオールにフェッテアラベスクを組み合わせていたり、方向転換が多かったり、ランベルセが入ったと思ったら、最後はクペ・ジュッテ・アン・トゥールナンで、並大抵のダンサーでは踊れるものではないだろう。彼の脚の長さや美しさには惚れ惚れするのだけど、ちょっと残念なのが、衣装がジョッパーズのように腿の部分が太いので、脚のラインが十分堪能できないこと。1930年代を舞台にしているとはいえ、86年の作品なので、ちょっと時代性が出てしまったのだろうか。

四季の精がメラニー・ユレル、ドロテ・ジルベール、ノルウェン・ダニエル、エミリー・コゼットとなかなか豪華で、その中でもエミリー・コゼットはこういうクールな役が似合うなと思った。彼女は、シンデレラ役でエトワールに任命されたのだけど、ちょうどこの作品が収録された頃だったはず。デュケンヌのダンス教師も、テクニックが冴えていて、ちょっとユーモラスでなかなか良い。ロモリのプロデューサー役も、すごくよく似合っている。ヌレエフ版では、プロデューサーが仙女の役目を果たしているのが一つのポイント。

ヴェールを使った、ふたりきりのラストシーンがとても美しくて、余韻が残る。

特典映像「Cinderella Goes to Hollywood」は、本編の抜粋とインタビューで構成されているけど、このインタビューが面白い。セットをデザインしたペトリカ・イオネスコのインタビューでは、ヌレエフが彼にこの作品のデザインを依頼した経緯がすごく興味深い。彼は、バレエの「シンデレラ」は観たことがなくて、バレエのセットを作ることには興味がないと言ったところ、逆にヌレエフが興味を示したという。2週間寝ないで作ったデザイン画を見てヌレエフは最初激怒したのだけど、後にそのデザインが彼にこの「シンデレラ」という作品のインスピレーションをもたらして、ハリウッドを舞台にした物語になった。

ヌレエフは映画が大好きで、実際、ルドルフ・ヴァレンチノ役を映画の中で演じたことがあった。この「シンデレラ」にも、チャップリンが登場したり、チャップリンの「キッド」がモチーフになっているところがあったり、ラストシーンは「雨に唄えば」のシド・シャリシーにオマージュを捧げているとのこと。アニエス・ルテステュがヌレエフの思い出を語ったり(彼が、彼女をコール・ドの中から見出した話)、ロモリが、ヌレエフが演じていたプロデューサーの役を演じることについて語ったり、ファヴォランがポアントで踊ることの大変さについて話したり、面白い話がたくさん聞ける。

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2009/01/30

世界のプリマバレリーナたち vol.4 オブラスツォーワ&ノーヴィコワのヴァリエーション・レッスン

世界のプリマバレリーナたち vol.1のヴィシニョーワvol.2のロパートキナがとても面白かったので、vol.4のオブラスツォーワ&ノーヴィコワのヴァリエーション・レッスンも買ってみた。なんでvol.3がないかって?いや、テリョーシキナの「グラン・パ・クラシック」は観たいですよ。でも、ソーモワの(以下自粛)。←(冗談です。お財布に余裕があるときに、買います)

ワガノワ・バレエ・アカデミーの同じクラスで学んでいたOlesia Novikovaオレシア・ノーヴィコワとYevgenia Obraztsovaエフゲーニャ・オブラスツォーワ。ノーヴィコワを指導するのは、往年のプリマで、ワガノワの直弟子でもあるオリガ・モイセーエワ。オブラスツォーワの教師は、現役ダンサーでもあるエルヴィラ・タラソワ。ノーヴィコワも、オブラスツォーワも、二人とも若くて(共に入団は2002年)、どちらかといえば小柄なほうでとても可憐な雰囲気を持っているけど、タイプはちょっと異なる。

vol.1とvol.2はマリインスキーどころか世界を代表するトップバレリーナの二人が、自分たちがどのように役を解釈し、どういうテクニックを使ったり注意して踊っているかについて語ってくれている。今回の二人は主役も数多く踊っているファーストソリストとはいえ、若手なので、教師の指導を受けているところを見せてくれるという、いわば「スーパーバレエレッスン」形式。

白い肌に黒髪、大きな瞳のノーヴィコワは、まずは「ジゼル」の1幕のヴァリエーション。彼女を指導するモイセーエワは80歳を過ぎている往年の大プリマなのだけど、とてもかくしゃくとしているし、自分で演技を見せてくれていてとっても元気が良い。ノーヴィコワの踊りを見て、そのように控えめな表現は昔流のやり方なので、今はもっと今らしい表現にしなければ、と注意したりする。最初のパンシェアラベスクでは、もっとアラベスクを高く上げて、と指示したり。ノーヴィコワは叙情的なダンサーで、まず上半身の使い方、腕がとても美しい。マリインスキーのバレリーナだ、と思う。素人目に見れば十分上手く踊れていると思っても、教師から見るとまだまだ物足りないようで、注意を受けては何回も何回も同じところを繰り返す。「(ポワントで片脚で立ち、もう片脚はアティチュードドゥヴァンで進むところで)オペラ座では、この場面でもっと前に進めていたわ」などとモイセーエワは注意をしていた。
もう一つは「ドン・キホーテ」の3幕のキトリのヴァリエーション。扇子を持って、エシャッペではなくパッセを繰り返す方をやっている。小刻みのパ・ド・ブレでキトリが前に進むという動きはとても愛らしいのだけど、実は鋼鉄のように強靭な脚じゃないと踊れないそうだ。短いヴァリエーションの中に、非常に難しいテクニックが詰まっている。モイセーエワによると、ノーヴィコワはとても努力家なのだそうだけど、この映像を観ても、とにかく一生懸命に取り組んでいるのがとてもよくわかった。真面目なあまり、ジゼルの1幕のヴァリエーションでも必死の形相になっているところがあって、だけどうまく踊れるようになってくると、自然と笑みがこぼれる。

金髪でお人形さんのように可愛い小柄なオブラスツォーワは、一つ目は「サタネラ」のヴァリエーション。この曲だけは、レッスンの音楽がピアノではなくテープだった。現役のバレリーナであるタラソワの指導は、かなり厳しくて、踊っている間中、ものすごくたくさんの指摘や注意が入る。しかしタラソワによると、オブラスツゥーワはとても頭の良いバレリーナなので、2,3回、多くても5回くらいやれば正しい踊りができるようになるそうだ。このヴァリエーションは、音楽はゆっくりしているのに、ピルエットがとても多くて、3回転なども入るので、軸がずれないように回るのが大変そう。腕の使い方、背中の使い方、アンドゥオールなど、本当に細かく注意をされていた。音楽性がとてもあるバレリーナなのは、レッスンをしているところを見てもよくわかる。
二つ目は、「アレキナーダ」のコロンビーヌのヴァリエーション。とても速い音楽に合わせて、きびきびと動かなければならない。オブラスツォーワはアレグロはとても得意のようで、特に最後のシェネはとても上手でタラソワにも毎回褒められていた。これだけのすばやい動きのヴァリエーションを何回も何回も踊って練習すると疲れそうだけど、そういうところは全然見せないのがさすが。

二人とも、レッスンの時には途中でうまくいかなくなって、音楽を止められちゃったり、「なかなかうまくできません」と言うこともあって、一流のバレリーナでもそういうことがあるんだなとちょっと親しみを持つことができた。毎日のこのような地道な努力の結果が、美しい舞台につながっていくのだと感じた。注意をされていくうちにみるみる完成度が高くなっていくところを見ると、プロはすごいなって思う。そして、そんな彼女たちを的確に指導できるバレエ教師というのも、さらにすごい存在なんだと改めて思った。

vol.1とvol.2ほどの華やかさはないけれども、面白く見ることができたし、一生懸命なところを見せてくれた二人のバレリーナには、とても好感を持つことができた。きっとこの二人は、今年の年末のマリインスキーの来日公演でも大きな役を踊ることになるから、観られることだろう。

追記:書き忘れていたのだけど、少しだがマリインスキーでのバーレッスンのシーンが観られる。オブラスツォーワ、ノーヴィコワのほか、テリョーシキナ、それからダニーラ・コルスンツェフがちょっと映っているのが個人的に嬉しい。あとファジェエーエフも?

[レッスン内容]
●オレシア・ノーヴィコワ(指導:オリガ・モイセーエワ)

「ジゼル」第1幕より ジゼルのヴァリエーション
「ドン・キホーテ」第3幕より キトリのヴァリエーション

●エフゲーニャ・オブラスツォーワ(指導:エルヴィラ・タラソワ)

「ヴェニスのカーニバル」より サタネラのヴァリーション「アルレキナーダ」より コロンビーヌのヴァリエーション

*それぞれ舞台映像、レッスン、インタビューを収録。

2008年ロシア制作
音声:ドルビーデジタル MONO 映像:4:3 カラー

収録時間:70分 日本語字幕

世界のプリマバレリーナたち vol.4 オブラスツォーワ&ノーヴィコワのヴァリエーション・レッスン [DVD]世界のプリマバレリーナたち vol.4 オブラスツォーワ&ノーヴィコワのヴァリエーション・レッスン [DVD]
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世界のプリマバレリーナたちVol.2 ロパートキナのヴァリエーションレッスン [DVD]世界のプリマバレリーナたちVol.2 ロパートキナのヴァリエーションレッスン [DVD]
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2009/01/18

パリ・オペラ座デルフィーヌ・ムッサンのドキュメンタリー「Ma Soeur L'Etoile」

パリ・オペラ座・ガルニエのショップで、デルフィーヌ・ムッサンのドキュメンタリーDVD「Ma Soeur L'Etoile」を購入した。最初「デルフィーヌ・ムッサンのDVDはありますか?」と聞いてもショップの人がわからなかったようなので、英語で「My Sister is an Etoile」と聞いたら理解してくれた。英語字幕の入ったヴァージョンも収められている。

http://ma-tvideo.france2.fr/video/iLyROoaftDC3.html
http://limousin-poitou-charentes.france3.fr/emissions/38458077-fr.php
(ちょっとだけ映像が観られる)

フランスのテレビ局France3で放映されたもので、デルフィーヌ・ムッサンを、4歳年上の姉カロリーヌとともに追ったもの。仲の良い姉妹はまず最初に姉がバレエを習ったけど、ロシア人の教師に妹も習うようにと言われた。そして背が高くて美しいカロリーヌは16歳で世界的なモデルとなり、デルフィーヌはオペラ座学校に入学。今、カロリーヌは自分のバレエ教室で教える一方、デルフィーヌはエトワールに任命された。今でもとても仲の良い二人。

カロリーヌの可愛い小さな教え子たちに話を聞かせるデルフィーヌ。「エトワールになることよりも、主役をもらえることの方が難しい」。今まで一番大変だったことは何か、と聞かれたデルフィーヌの答えは「シンデレラ」の主役を踊った時に腕を骨折してしまい、医師には踊るなといわれても特殊な石膏で固めて踊ったこと。そしてその腕で踊った時、デルフィーヌはエトワールに任命された。というわけで、2005年5月3日にエトワールに任命された時の映像も紹介。カール・パケットが王子だったのだ(これがも~キラキラの笑顔が眩しい王子様!)。そしてもちろん、その時にはデルフィーヌの夫君リオネル・ドラノエと、カロリーヌも見守っていた。

2006年の日本公演に備えて、エルヴェ・モローとデルフィーヌが「白鳥の湖」のリハーサルを行う様子がたっぷりと収められている。デルフィーヌの教師は、元エトワールのフロランス・クレール。リハーサルでは彼女がロットバルト役まで演じている。ヌレエフの薫陶を受けたフロランスが役作りについて語るところはとても面白い。1ヶ月の間のリハーサル。新しいチュチュをあつらえてもらうのは、エトワールの特権。そして日本公演の様子も。リハーサルの合間には、カロリーヌの娘とショッピングに出かけてストレスを発散。東京バレエ団のリハーサル室でさらにリハーサルを重ね、そして本番。思ったより長い時間、エルヴェとのパ・ド・ドゥの舞台映像が収められているのが嬉しい。この公演は私も4階席から観ていて、デルフィーヌのオデットはじめ、本当に素晴らしい公演だったので思い出深い。舞台袖で待っているカロリーヌとその娘、そしてドラノエ。踊りきった後も舞台を振り返ってしっかりとダメだしを自分で行っているところはさすが。ファンサービスに応じた後、ホッとした表情で電車に乗り込むデルフィーヌ。

最後には、ビーチにあつらえた特設野外ステージでオーケストラを背に「瀕死の白鳥」をデルフィーヌが踊る。いつまでも仲良く支えあっている姉妹の姿がとても印象的。1時間弱と短いけれども、「白鳥の湖」のリハーサル映像がたっぷりと観られて、とても面白かった。カロリーヌが教える大人クラスの生徒たちもとても上手だったのがまた印象的。教室のスポンサーでもある大人バレエの生徒が、リハーサルの見学をした後に見せた、バレエへの思いを語るキラキラした表情もまぶしかった。

パリ・オペラ座のサイト(今オペラ座のサイトのリニューアルで、どこにオンラインショップがいってしまったのか見つけられない)やFNACのサイトで購入することが可能。PALのリージョン2。
http://video.fnac.com/a2246055/Ma-Soeur-l-Etoile-DVD-Zone-2

パリ・オペラ座は現在ツアーで、ジュネーヴで「ジゼル」を公演中。
http://www.letemps.ch/template/galerie.asp?NLArtID=15739
で、デルフィーヌ・ムッサンのジゼル、エミリー・コゼットのミルタほか、舞台袖からの様子も伺える、ドラマティックでとても美しい写真のスライドショーを見ることができます。

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2008/11/27

ロイヤル・バレエ「三人姉妹」DVD発売

ダーシー・バッセルとイレク・ムハメドフが主演し、他にもアダム・クーパー、ヴィヴィアナ・デュランテ、アンソニー・ダウエル、ギャリー・エイヴィス、ニコラ・トラナらが出演しているマクミラン振付「三人姉妹」(Winter Dreams、ロイヤル・バレエ)がようやくDVD化されます。

何ヶ月か前にVHSで買っちゃった私はあほですね(笑)
Amazon.co.jpでは1月27日発売予定です。125分。(追記:リージョン1ということなので、気をつけてくださいね)

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VHSの方の特典は、イレク・ムハメドフのドキュメンタリー「イレク・ムハメドフ 力と芸術」(55分)がついて合計97分でした。

このDVDの裏ジャケットを見ると、
http://www.amazon.co.jp/gp/product/images/B001KL3H0I/ref=dp_otherviews_1?ie=UTF8&s=dvd&img=1
映像特典は、
Out of Line, "a documentary portrait of the influential British choreographer, Kenneth MacMillan, with extracts from many of his ballets including The Burrow, Romeo and Juliet, Gloria, Manon and The Prince of the Pagodas. Produced and Directed by Derek Bailey.
「ロミオとジュリエット」「グロリア」「マノン」「パゴダの王子」などの抜粋が入っているとのこと。
(追記:Side B-alletのゆうさんのエントリによると、「パゴダの王子」の映像特典と同じもののようです)


本編は42分なので、かなり長いドキュメンタリーなのか、それとも、こちらにもムハメドフのドキュメンタリーがついているのか、どっちなんでしょう。

Kulturの方のサイトはこちらです。
http://estore.websitepros.com/1652646/Detail.bok?no=1390

それにしてもキャストの豪華さに目を見張ります。今ロイヤルに在籍しているのはギャリー・エイヴィスだけですよね。

K-Balletで観た時には、スチュワート・キャシディの演技が素晴らしかったです。あと芳賀望さんも好演していました。

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2008/11/14

アリーナ・ソーモワがマリインスキーのプリンシパルに!?

けいちかさんのサイトで教えていただいたのですが、アリーナ・ソーモワがマリインスキーのオフィシャルサイト(英語)の、プリンシパルの欄に名前が書いてあります。また、一度名前が消えて引退したと思われていたジャンナ・アユポワの名前も復活しています。

http://www.mariinsky.ru/en/company/ballet/

驚きのあまり言葉になりません。

ソーモワの教師チェンチコワ女史は、夫君のワジーエフがミラノ・スカラ座バレエの芸術監督に就任するに当たり、スカラ座のミストレスになるそうです。その前に凄い置き土産をしていきましたね。

きっと各地のバレエフォーラムがこれから数日間、面白いことになるんじゃないかと思います。

と思ったら、早速Ballet.coとBallet Talkでは話題になっていますね。12月にはマリインスキーのロサンゼルス公演もありますし、もっと盛り上がることでしょう。

********
なお、ゆうさんのサイトで教えていただきましたが、クリエイティブ・コアから出ている「世界のプリマバレリーナたち/ヴァリエーション・レッスン」シリーズ、ロパートキナ、ヴィシニョーワに続く第3弾は、

オブラスツォーワ/ノーヴィコワのヴァリエーション・レッスン」「ソーモワ/テリョーシキナのヴァリエーション・レッスン

だそーです。テリョーシキナの踊りはアカデミックなので観てみたいな、と思いますが残りは微妙…(オブラスツォーワはいいバレリーナですし、ノーヴィコワも最近伸び盛りで良いですけどね)
HMVで予約できるようです。2009年1月21日発売予定。

「世界のプリマバレリーナたち/ヴァリエーション・レッスン」は、すでに発売されているロパートキナ編、ヴィシニョーワ編が2枚とも、とても素晴らしい出来で、役作りをどう行っているか、演技についての考え、作品についての考え、そうやってレッスンしていけばいいかについて深い示唆がありました。果たして、これから出る2枚にはそういうものがあるのでしょうかねえ。

世界のプリマバレリーナたちVol.1 ヴィシニョーワのヴァリエーションレッスン世界のプリマバレリーナたちVol.1 ヴィシニョーワのヴァリエーションレッスン
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Kaoruさんが以前コメントされていた、「カイゼル髭のような八の字ジュッテ」という表現が今でもツボにはまっています。軸の定まらないフェッテとか、ひどく音楽性に欠如しているバランシンとか…つっこみどころを上げるときりがありませんが、このへんで。

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2008/11/02

サンフランシスコ・バレエのハロウィン/「くるみ割り人形」のDVD

昨日10月31日はハロウィンでしたね。私は新宿で友達と飲みに行っていたら、真っ白な二階建てバスを借り切ってパーティをしている人たちがいて、なかなか素敵なことをやるな、と見ていました。新宿駅でも仮装をしている人を何人か見かけたりして。

サンフランシスコ・バレエがしばらく前にオフィシャルのブログを始めていたのですが、31日付けのブログでは、彼らのハロウィンの日のレッスン風景が見られます。野球選手、バレリーナへの女装、スーパーマン、魔法使い、ハチなどなど、すごく可笑しいです。中でも、ロレーナ・フェイホーが副大統領候補のサラ・ペイリン、ベン・スチュワートが大統領候補のジョン・マケイン、そしてアンソニー・スポールディングがバラク・オバマに扮しているのは、タイムリーで笑えました。真面目な顔でバーレッスンしながら仮装しているんですもの。

http://www.sfballetblog.org/2008/10/halloween-at-sf-ballet/

サンフランシスコ・バレエは10月中旬、ABTのシティセンターシーズンの前にNYで公演を行っていました。バランシン、ウィールダン、ユーリ・ポソホフ、マーク・モリスなどの現代作品中心でしたが、大好評だったようです。

また、今年75周年を迎えるにあたり、以前にもお知らせしたとおり「くるみ割り人形」のDVDがリリースされます。

Naxosのサイト経由YouTubeでヤンヤン・タンの雪の女王など、映像の抜粋を観ることができます。
http://www.naxos.com/catalogue/item.asp?item_code=OA1002D

同じ映像ですが、OpusArteのサイトでも。
http://www.opusarte.com/pages/product.asp?ProductID=265

Uncle Drosselmeyer – Damian Smith
Clara – Elizabeth Powell
The Nutcracker Prince – Davit Karapetyan
King of the Mice – David Arce
Queen of Snow – Yuan Yuan Tan
King of Snow – Pierre-François Vilanoba
Sugar Plum Fairy – Vanessa Zahorian

San Francisco Ballet
San Francisco Ballet Orchestra
Martin West, conductor

Helgi Tomasson, choreographer

Recorded live at the War Memorial Opera House, San Francisco, California, on 19 and 20 December 2007.

ヴァネッサ・ザホリアンが金平糖の精、ヤンヤン・タンが雪の女王として出演しています。円高なのでamazon.comの方に注文してみたのですが、co.jpとあんまり変わりませんでしたね。

Nutcracker (Ws Sub Dts)Nutcracker (Ws Sub Dts)
San Francisco Ballet

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で、初めて気がついたのですが、OpusArteもYouTubeに公式チャンネルを持っていて、かなり貴重な映像を見ることができます。(サンフランシスコ・バレエもYouTubeチャンネルがあります)

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2008/10/24

英国ロイヤルバレエ「ラ・フィユ・マル・ガルデ(リーズの結婚)」DVD

La Fille Mal Gardee / The Royal Ballet
振付:フレデリック・アシュトン
編曲:ジョン・ランチベリー
指揮:アンソニー・トウィナー

リーズ:マリアネラ・ヌニェス
コーラス:カルロス・アコスタ
シモーヌ:ウィリアム・タケット
アラン:ジョナサン・ハウエルズ
トーマス:デヴィッド・ドリュー
雄鶏:ジャコモ・キリアッチ
公証人:アリステア・マリオット

アマゾンに在庫がありませんと一度注文をキャンセルされて、最近になってようやく入手した。いやあ、本当に楽しいバレエで、観ていて思わずニコニコしてしまうほど。主役二人のはまり役ぶりといったら、もう。

マリアネラはとても可愛らしく、お転婆で元気いっぱい。先日の来日公演の「眠れる森の美女」で観たときも思ったけど、笑顔がとろけそうにめちゃめちゃキュートな彼女には幸せオーラがあって、すっごく好感度が高い。ふくれっつらから、コミカルに脚をばたつかせる様子、恋する少女まで、くるくると変わる表情。その上、とっても難しいアシュトンのパを、何てことないような感じで軽くこなしてしまう驚異的な身体能力。彼女が踊ると、全然難しそうに見えないのだけど冷静になって考えると、あんなに軽やかに、簡単そうに踊るのは普通のバレリーナでは無理。プレパレーションなしでポーンと高くてきれいなジュッテをしたり、いろんな方向からのリボンを何本も持ってアラベスクでサポートなしのプロムナードをぐらつかずにこなす、なんてすごい。

マリアネラのリーズが、シモーヌに部屋の中に閉じ込められるくだりの演技田とても印象的。ママに閉じ込められて悲しそうにしているところから、麦俵の中に隠れているコーラスを見つけ、最初はあっけにとられておとぼけなところを見せながら、それが最後に眩しく幸せいっぱいの笑顔へと溶けていく様子が愛らしくて、抱きしめたくなってしまうほど。

カルロス・アコスタ、私は生では、ABTのゲストとして出演した「海賊」のアリと、「白鳥の湖」(マッケンジー版)のロットバルトというちょっとダークな感じの役でしか観ていなかった。わかっていたつもりだけど、彼にこんなに愛嬌があって、ちょっとコミカルな村の人気者役が似合うとは!しかも鮮やかな花柄のベストやスカイブルーのジャケットといった衣装が肌の色にすごくよく似合っている。彼も素晴らしいテクニックの持ち主なのに、それが決してこれ見よがしではなくて、どことなくエレガント、上品なので、おっとりのんびり、おおらかなこの作品にとても合っている。アントルラッセの時の後ろ脚の伸び方、アンドゥオールの見事さ。スムーズな着地と軸のぶれない回転。どれもきれい。そしてこの二人のラブラブオーラの出し方が、とっても好もしくって、可愛くてお似合いのカップルとなっている。

アシュトンの「ラ・フィユ・マル・ガルデ」といえば、絶対に欠かせないのが、女装した男性が演じる母親シモーヌと、かぶりモノのニワトリたち。シモーヌ役のタケットさんの芸達者なことといったら、もう。まず、女装姿がとても美人さんで、女の人が演じているんじゃないかと思うほど。でも、可愛さの中にも、もちろんコミカルさがあって、笑いのツボはしっかり押さえている。木靴の踊りでのはじけっぷりと大胆なステップも素敵。最後には娘の幸せを願って抱き合うところも、可愛いな~と。

冒頭の登場シーンから、しっかりと笑わせてくれるニワトリたち、最高!雄鶏のジャコモ・キリアッチ(彼は残念ながら辞めてしまったのよね)と、ニワトリたちの踊りもさすがロイヤル・バレエのお家芸って感じで、片方の足で軸足を掻いて見せたり、ちょこんと伸ばしたり、宴の最中にもウロウロしているしぐさ一つ一つがとっても笑える。本当にほのぼのとしていて、楽しい作品だな~と。

もう一人、とっても大事な役割なのがアラン。シモーヌが自分の娘リーズと結婚させたいと思っている、ちょっと頭の足りないけど愛すべき青年。現代においては、政治的にはあまり正しくないだろうキャラクター扱いを、どう見せるかがとても重要。下手すると、知的障がい者を笑いものにしているように見えてしまうから。でもさすがにこの作品については手馴れているロイヤルだけあって、そういう風には見せないで、アランは確かにちょっと足りない子だけど、みんなに愛されている人物なんだと見せている。演じているジョナサン・ハウエルズも、とても演技が上手くて、マリアネラやアコスタとの演技の合わせ方が絶妙。可愛らしく、ちょっと哀しく、愛すべき人物として描いている。ラストに、大好きな赤い傘を見つけて、嬉しそうに走り去っていく姿にホッとさせられる。ぎこちない様子をわざとらしさを微塵も見せずに、自然に取り入れた踊りのほうも、芸達者。

村人たちの中に、蔵健太さん(シモーヌに木靴を渡す役)や、小林ひかるさんが違和感なく存在してたり、マシュー・ボーンの「白鳥の湖」に出ていたトーマス・ホワイトヘッドが何気に活躍したり、リーズの友達の中にローレン・カスバートソンやサラ・ラムがいたりと、なかなか見所のある映像。1幕でのリボン使いやメイポールの華やかさと牧歌的な雰囲気も楽しく、お気に入りの一枚となった。

La Fille Mal Gardee (Ws Dts)La Fille Mal Gardee (Ws Dts)
Royal Ballet

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追記:
ロイヤル・バレエ関連では、「ピーター・ラビットと仲間たち」がアマゾンで予約できるようになりました。
11月18日発売予定です(輸入盤なので、遅れる可能性は高いと思います)
昨年収録された、新しい映像で、ギャリー・エイヴィス、スティーヴン・マッゥレー、リカルド・セルヴェラらが出演しています。

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2008/10/23

ミラノ・スカラ座「チャイコフスキー・ガラ」DVD他、DVD関連情報

ダンソマニのDVD関連のスレッドを見ていたら、以前にもご紹介したミラノ・スカラ座「チャイコフスキー・ガラ」(ロベルト・ボッレ、ポリーナ・セミオノワ、ナディア・サイダコワ他)のDVDについて、そしてDVDのジャケット画像が紹介されていました。

ゆうさんのSide B-alletでも、amazon.co.jpにジャケット画像がアップされたと紹介されていましたね。発売予定は、11月11日です。

Tchaikovsky Gala (Ws Ac3 Dol)Tchaikovsky Gala (Ws Ac3 Dol)
Tchaikovsky

Bel Air Classiques 2008-11-11
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また、同じダンソマニのスレッドで、マリインスキー・バレエで収録されたはずがまだ発売になっていない映像についての話題が出ていました。

サラファーノフ&ノーヴィコワ主演の「ドン・キホーテ」(2006年収録)
ロパートキナが「ダイアモンド」、アユポワが「エメラルド」を踊った「ジュエルズ」(2006年収録)
ゲルギエフ指揮によるニジンスキー版「春の祭典」(2008年6月収録、ARTEで放映済み)
がDVD用に収録されているはずなのです。

本来はラコット振付、ヴィシニョーワ主演の新作「オンディーヌ」も撮影される予定でしたが、ヴィシニョーワの怪我の関係でキャンセルされたそうです。

そのスレッドの中で、オーストリアのプロモーターGerhard Rieder Promotionsのサイトが紹介されていました。
http://www.riederprom.at/englisch/index.html

このGerhard Rieder Promotionsは、過去11年間にわたり、ヨーロッパにおいてマリインスキー・バレエおよびオペラの招聘を行ってきており、またABTのイリーナ・ドヴォロヴェンコとマキシム・ベロツェルコフスキー、ホセ・カレーニョ、ボリショイのスヴェトラーナ・ザハロワとセルゲイ・フィーリン、さらにはゼレンスキー、ルジマトフ、そしてゲルギエフといったマリインスキーのアーティストたちの招聘も行っています。マリインスキー劇場において98年にマッツ・エックの「ジゼル」がミュンヘン・バレエによって上演されたのも、またジョン・ノイマイヤーとマリインスキー・バレエのコラボレーションが実現したのにも貢献したとのことです。2003年のウィーン・フィルのニューイヤーコンサートで、サンクトペテルブルグの建都300周年を記念して、ボリス・エイフマンの振付の踊りが上演されたのも、そしてその翌年のニューイヤーコンサートでホセ・カレーニョがエイフマンの作品をリッカルドムーティの指揮で踊ったのも、企画したとのこと。

また、マリインスキー・バレエの「ドン・キホーテ」「ジュエルズ」のDVDの制作にもかかわっていると書いてあるので、少なくともこの2作品については、近日中にDVD化が期待されるのではないかと思われます。他にも、収録、発売の予定があるとも書いてあります。

ニジンスキー版の「春の祭典」については、以前PBSでジョフリー・バレエとミリセント・ホドソンによる復元のドキュメンタリーが放映されていて、それは見ることができたのですが、DVD化はされていないので、DVD化が待たれるところです。

「ジュエルズ」はパリ・オペラ座による映像はありますが、パフォーマンス自体は良いのに、なぜかにじみや残像が多くて映像のクオリティが低いので、美しい映像で残したものを観たいですよね。

*******

映像といえば、残念ながら私は見逃してしまったのですが、10月10日にNHK「芸術劇場」で放映された、黒田育世率いるBATIKの「SHOKU」がかなりの反響があったようですね。
http://www.cyzo.com/2008/10/post_1095.html
その放映を見た友達も、なんだかすごいものを見てしまった、と言っていました。観ていないので、なんともいえないのですが、このように興味本位で取り上げられてしまって、今後NHKでこのような野心的・斬新な作品が放映されなくなってしまったらイヤだな、と思います。再放送を期待しているもので。mixiニュースのコメントなどを読んでいたら、コメントをしている人の大部分の、あまりのリテラシーの低さにめまいがしてきました。

なお、BATIKは、「踊りに行くぜ!」で宮崎(12/7)と長野県茅野市(11/29)での公演があります。
http://odorini.jcdn.org/modules/artist9/index.php?content_id=47

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2008/10/13

ミラノ・スカラ座「チャイコフスキー・ガラ」DVD発売

バレエのDVD情報では日本一早くて詳しいゆうさんのSide B-allet様で、教えていただきました(いつもありがとうございます!)。

2007年の大晦日に開催されたミラノ・スカラ座の「チャイコフスキー・ガラ」がBelAirClassiquesからようやく発売されます。BelAirClassiquesのサイトでは、以前から予告だけはあったような気がしますが、とにかくこのサイトは更新が遅く、しかもとってもわかりにくいので…。

Amazon.comでは、11月11日に発売されるとのことです。そのうち日本のアマゾンにも出るかもしれませんね。

私はこのガラを観ることができたのですが、こういう機会でもなければ観ることのない、とても変わったガラでした。ブルメイステル版「白鳥の湖」の3幕に、ローズ・アダージオ、青い鳥のパ・ド・ドゥ、そしてくるみ割り人形のグラン・パ・ド・ドゥが挟まっているというものです。(感想はこちら

出演は、王子にロベルト・ボッレ、オディールにポリーナ・セミオノワ、ローズ・アダージオはマルタ・ロマーニャ、そして「くるみ割り人形」はベルリン国立バレエのナディア・サイダコワとロナルド・サフコビッチです。

私は席が天井桟敷のやや左よりだったので、ディヴェルティスマンの時には、ロベルトの足先しか見えませんでした。DVDになることによって、やっとロベルトの全身が観られます(笑)

また、Blu-Rayのディスクも出るようです。最近OpusArteから発売されるディスクは、Blu-Ray版も出るようになってきましたが、BelAirClassiquesも今後はそうなるんでしょうか。「プルースト」などはぜひBlu-Ray版も出して欲しいです。といっても、私はまだハードを持っていませんが(笑)

Tchaikovsky GalaTchaikovsky Gala
Roberto Bolle, Polina Semionova, Nadja Saidakova, Ronald Savkovic, Denis Caiozzi

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******
ところで、世間では、光藍社さんのDM(プティ・ガラの先行予約つき)や、ジャパンアーツ夢倶楽部のDM(ボリショイのキャスト変更やザハロワ・ガラの情報付)が送られてきているようなんですが、DM会員で、夢倶楽部会員のうちにはまだ届いていないので、ちょっとご機嫌斜めな私です。もうひとつ、待っている郵便物があるんだけど、それも来ていないし、郵便事故でもあるんじゃないかと心配です。

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サンクトペテルブルク・バレエ・シアター「白鳥の湖」DVD

日本では現在入手しづらいサンクトペテルブルク・バレエ・シアター(タッチキン・バレエ)の「白鳥の湖」のDVDが、ロイヤル・オペラ・ハウスの売店に売っていたので買ってきた。ちょうどポンド安になっていたので、お値段的にもお得だったと思う。

サンクトペテルブルク・バレエ・シアターは今年の3月に来日公演が予定されていたのに、看板プリマのイリーナ・コレスニコヴァが妊娠したため、中止になってしまった。しかし、けっこう直前まで踊っていたし、しかも5月ごろにはもう踊っていたので、本当にそうだったの?とちょっと思ってしまった。
http://www.irinakolesnikova.com/intro/

オデット / オディール:イリーナ・コレスニコヴァ(Irina Kolesnikova)
ジークフリート王子:Dmitry Akulinin
ロットバルト:ディムチク・サイケーエフ(Dimchik Saykeev)
道化:ドミトリー・シェフツォフ(Dmitry Shevtsov)
パ・ド・トロワ:Andrey Yakhnuk、Olga Ovchinnikova、Sabina Yapparova

振付は、マリインスキーのセルゲイエフ版とほぼ同じ。道化が出てきて、3幕では黒い白鳥たちが出てくるヴァージョン。

王子のDimchik Saykeevは長身で長い脚、プロポーションがよく容姿も悪くない。端正でおっとりとした王子様。テクニシャンというわけではないけど、白鳥の王子にはそれほどテクニックも必要ないので、これくらいあれば十分かと思われる。サポートは上手だし。

キャストを見れば判るように、アンドレイ・ヤフーニクとサビーナ・ヤパーロワは最近ミハイロフスキー劇場に移籍し、主演でも踊っている二人。ヤフーニクはプロポーションも容姿もいいのだけど、着地が全然5番に入らないので、どうなんでしょう…この間のミハイロフスキー劇場の「華麗なるクラシック・バレエ・ハイライト」にも出ていたけど、特に印象にも残らなかった。多分来年1月のミハイロフスキー劇場のツアーで観られることでしょう。ミハイロフスキーの他の男性陣と比較すれば、容姿には華があるので、出番も多いのではないかと。ヤパーロワもプロポーションは良いけど、可もなく不可もなし。時々膝が下がる?

そしてコレスニコヴァの白鳥。とにかく、表現が濃厚で胸焼けしそうなほど。遠景でもかなり表情を作っているし、溜めを効かせたりと大仰でアクセントのある動き。時々クローズアップになっていると、あまりにも顔芸がすごいのにびっくりしてしまうほど。オデットの時ですら、かなり妖艶なイメージで、かつ悲壮感も漂わせており、少々やりすぎ感がある。オフィシャルサイトを見たら、現在の彼女の教師は、かつてのマリインスキーのスター、リューボフィ・クナコワだそう。たしかに、脚が高く上がるし、背中が柔らかく、技術的にはかなりレベルは高いし、もちろんプロポーションも美しいし、顔立ちも華やかな美女で表情が映える。でもオデットはもう少し抑え目の表現の方が私の好みである。

その点、オディールはさすがにハマり役で、悪女らしい不敵なな表情や押し出しの強い踊りが光っていた。フェッテは音楽のテンポが変わる時にダブルをひとつ入れた以外は全部シングルだけど、腕を2番ポジションに大きく広げての回転で難易度を上げていた。騙されたと王子が気がついた時の高笑いも、本当に嬉しそうで、これくらい悪い女を前面に出したオディールはあまりいないかもしれないけど、いい、と思った。

ロットバルトは、踊りに関してはそれほど上手いわけではないのだけど(やっぱり膝が落ちる)、演技がコレスニコヴァとタメを張るくらい濃厚で表現力があり、4幕などは思わずロットバルトに釘付け。明らかにロットバルトはオデットのことを愛していて、4幕はロットバルトと王子が、お互いの愛を賭けて戦っているのがオリジナルな感じで面白かった。しかもどう考えてもロットバルトの方が愛が強そうだし。ロットバルト、顔はすごいメイクだけど、上半身の使い方も演劇的で大きくて、カッコよかったと思う。なんで王子が勝つのか、意味がわからないほどだ。

コール・ドは24人で人数的にはちょっと物足りない。しかし、プロポーションは皆揃っていて美しいし、レベルは高いと思った。プロポーションがみんな美しい分、日本のバレエ団のコール・ドよりはずっと良い。2幕の民族舞踊は、決して悪くないけど、マリインスキーやボリショイを観ていると物足りないかな。衣装などお金がかかっている感じで豪華だし、もちろんソリストにはテクニックもあるのだけど、最終的には「見せ方」の問題だと思った。

カメラワークはあまり良くない。特に、2幕の黒鳥のパ・ド・ドゥのアダージオがずっと遠景なのはいただけなかった。その割りに、時々無駄なクローズアップがあるし。演奏もときどき?と思うことがあった。

コレスニコヴァの華やかさやロットバルトとのドラマでとても楽しめたDVDだったのだけど、これを観終わった後、ロパートキナ主演のマリインスキーの「白鳥の湖」DVDをすぐに再見してしまった。技術的には大きな差はないけど、やっぱり全体的な面白さはマリインスキーの方が上なのは、長年の伝統が息づいているからだろうか。特に2幕の民族舞踊はマリインスキーが見ごたえがあったなと。

ロイヤル・オペラ・ハウスのオンラインショップで購入可能。同じ主演キャストによる「ジゼル」も発売中。
http://www.rohshop.org/acatalog/info-2380.html

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2008/10/11

「ベスト・バレエ100」EMIクラシックスから発売予定

EMIクラシックスから発売されている、決定版のクラシック・コンピレーション・アルバムである『ベスト・クラシック100プレミアム』が、9月26日に発売となって、10/5付週間クラシック・チャートで堂々1位を獲得したそうです。

同日付のチャートでは『ベスト・ピアノ100』(19位)、『ベスト・クラシック100』(26位)など、『ベスト・クラシック」シリーズが100位以内に計7作品同時にチャートインするという成績を修めたとのことで。カラヤン、ラトル、アルゲリッチら、超一流の音楽家によるクラシック・ベスト・オブ・ベストな内容を、高音質CDであるHQCDで楽しめ、しかも6枚組みで3500円という破格の価格設定が人気を呼んだとのことです。
http://www.barks.jp/news/?id=1000044067

というわけで、このシリーズから、バレエ音楽編である「ベスト・バレエ100」が11月26日に発売されるとのことです。

[主要収録曲]

CD1 ・バレエ
♪「白鳥の湖」より 情景(第2幕)、ワルツ(第1幕)、パ・ド・ドゥ、マズルカ(第3幕)♪「眠れる森の美女」より ローズ・アダージョ、パノラマ、ワルツ
♪「くるみ割り人形」よりこんぺい糖の踊り、葦笛の踊り、花のワルツ 他

CD2 ロシアン・バレエ
♪ロミオとジュリエット(プロコフィエフ)より ♪スパルタクス(ハチャトゥリアン)より、♪バヤデール(ミンクス)より ♪シンデレラ(プロコフィエフ)より 他

CD3 フレンチ・バレエ
♪ジゼル(アダン)より、♪コッペリア(ドリーブ)より、♪シルヴィア(ドリーブ)より ♪パリの賑わい(オッフェンバック) ♪ボレロ(ラヴェル)他

CD4 ディアギレフのロシア・バレエ団(バレエ・リュス)
♪ペトルーシュカ(ストラヴィンスキー)より♪レ・シルフィードより♪牧神の午後(ドビュッシー)より♪春の祭典♪火の鳥(ストラヴィンスキー)♪パラード(サティ)より

CD5 ブリティシュ・バレエ
♪ファサード(ウォルトン)より♪ピーター・ラビットと仲間たち(ランチベリー)より♪エニグマ変奏曲(エルガー)より♪スケートをする人々(マイヤーベーア)他

CD6 アメリカン・バレエ
♪シンフォニー・インC(ビゼー)♪ファンシー・フリー(バーンスタイン)♪ウェスト・サイド・ストーリー(バーンスタイン)♪アパラチアの春(コープランド)他全100曲

チャイコフスキーの3大バレエ曲やプロコフィエフの「ロミオとジュリエット」、「シェヘラザード」「春の祭典」などの有名曲だったら、誰でも持っていると思いますが、それ以外の曲はなかなか入手するのが難しかったりしますよね。

ロシアン・バレエ、ディアギレフのロシア・バレエ団、アメリカン・バレエといった分け方はなかなか面白いですよね。6枚組で3800円というお値段は確かにお得です。クラシックだと、メジャーな楽章だけのブツ切りに違和感を感じないこともないのですが、バレエ音楽だったら、ガラもあるわけですし、こういう企画は良いですよね。

◆『ベスト・クラシック100』シリーズ公式サイト
http://www.emimusic.jp/st/best100/

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2008/10/07

NBSニュース(パリ・オペラ座バレエ学校、佐々木忠次氏コラム最終回)/ダーシー・バッセル「Viva La Diva」

今日NBSニュースが届いていましたが、バレエ関係は、パリ・オペラ座バレエ学校来日のニュースと、シュツットガルト・バレエのジェイソン・レイリーのインタビューくらいでした。それから、佐々木忠次氏の毒舌が炸裂していた「起承転々」が今回で連載終了ということで、毎月の楽しみがひとつ減ってしまいました。不定期で掲載していくそうですが。最近、NBSの公演で見かける佐々木氏が急に老け込んでいて、身体の具合も良くなさそうなので、とても心配です。日本のバレエ界のためにも、長生きして欲しいですよね。なお、「起承転々」は来月、新書館より書籍化されるそうです。

パリ・オペラ座バレエ学校の公演サイトもいつの間にかできていましたね。
http://www.nbs.or.jp/stages/0904_paris-opera/index.html
上演作品「ペシェ・ド・ジュネス」「スカラムーシュ」「ヨンダリング」の紹介、そして生徒たちのとても可愛らしい写真の数々や、エリザベット・プラテル校長の指導する姿が見られます。

******
韓国のReinaさんのブログで教えていただきましたが、ダーシー・バッセルとメゾソプラノのキャサリン・ジェンキンスが2007年12月と2008年5月に出演したミュージカル・ショー「Viva La Diva」がDVD化されて、amazon.co.ukで11月10日に発売されます。実はこの「Viva La Diva」に、先日ロンドンのサドラーズ・ウェルズで観たマシュー・ボーンの「ドリアン・グレイ」でバジル役を演じたアーロン・シルズが出演しているそうなのです。アーロンはとても魅力的なダンサーだったので、彼も観られるんだったらこのDVD欲しいな。他にも、ロイヤルのギャリー・エイヴィス、そしてマシュー・ハートも出演していたようです。DVDに入っているかは判りませんが、ジョナサン・コープも!

http://www.vivaladivashow.com/

なお、このamazon.co.ukのサイトでは、短いですが、ダーシーとキャサリンのコメント映像が観られます。でもダーシーは今は完全に引退してしまって、今は家族とオーストラリアに移住されてしまったんですよね。オーストラリア・バレエの「白鳥の湖」を振付けたグレアム・マーフィが最近まで芸術監督を務めていた、Sydney Dance Company.のボードメンバーとなったそうです。まだまだ踊れそうだったのにもったいないですよね。

http://www.reuters.com/article/lifestyleMolt/idUSSP20517420080727

Viva La Diva - Darcey Bussell and Katherine JenkinsViva La Diva - Darcey Bussell and Katherine Jenkins
Various

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Viva La Diva

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2008/09/26

マチュー・ガニオ&カルフーニ~二人のエトワール

監督:マレーネ・イヨネスコ
2008年 フランス制作

出演マチュー・ガニオ / ドミニク・カルフーニ / ルドルフ・ヌレエフ / ジャン・ギゼリ / シリル・アタナソフ / オレシア・ノヴィコワ / アニエス・ルテステュ / ウラジーミル・ワシーリエフ / ミハイル・バリシニコフ / ミカエル・ドナール

かつてのオペラ座の大スター、ドミニク・カルフーニと、その息子であるオペラ座の星マチュー・ガニオ。親子とも、スジェからエトワールに飛び級で任命された二人。そして、同じようにバレエに情熱を燃やし、今もとても仲の良い母と息子の姿が微笑ましい。ドミニクが、自宅でマチューのトレーニングを指導しているシーンなども見られるけど、母親らしい優しさと厳しさがある。花のたくさん飾ってあるドミニクの家がとても素敵。そして今でもとても美しいドミニク。彼女の子供たちが幼い頃を過ごした家など、美しい南フランスの海沿いの町を巡っていくのもいい。

ヌレエフとの「薔薇の精」など、カルフーニがオペラ座に入団したころの映像を少しずつ紹介しつつ(彼女のオペラ座時代の映像はとても少ないよう)、様々な関係者のインタビューが入る。ロマンティック・バレエの役ばかりを踊って行き詰まりを感じていたドミニクは、「スパルタクス」のウラジーミル・ワシーリエフの踊りに魅せられて、ロシアで1年間研修をする。グリゴローヴィチにも気に入られ、オペラ座に戻って踊った「イワン雷帝」のアナスタシア役の映像がとても表現力豊かで流麗で儚く、美しい。ワシーリエフのインタビューがとても面白い。まず、ドミニクの素晴らしい目を絶賛。そして音楽の内包する微妙な感覚を表現するのがバレエであるけれども、それができるダンサーは少ない、ドミニク・カルフーニはそれができる貴重な一人だと。芸術とは想像であり、想像のないバレエはバレエではない、という言葉には、なるほど、と頷いた。友情は今も続いているようで、カルフーニ親子とワシーリエフが食事をする様子も映し出されている。

他にも、共演していたミハイル・バリシニコフ、ミカエル・ドナール、そしてピエール・ラコットらが、ドミニクについて語っている。ラコットの現役最後の舞台でパートナーを務めたのがドミニクだったのだ。バリシニコフは、マチューの舞台を観たことはないものの、リハーサルは何度か観たことがあるそうで、母と同様美しいダンサーだと絶賛している。

エトワールになったものの、もっと色々な作品を踊りたいと思ってオペラ座を退団し、ローラン・プティ率いるマルセイユ・バレエに移籍したドミニク。豪華だったガルニエに対し、マルセイユの劇場の小ささにはショックを受けたそうだ。「カルメン」を踊る彼女の脚の美しいこと。「マ・パブロヴァ」の写真でもお馴染みだけど、幼いマチューの可愛らしい写真や、バレエを習いたての頃の映像もちょっと出てくる。現役のダンサーとしては、マチューがエトワールに任命された時のパートナーであり、ドミニクの指導も受けていたアニエス・ルテステュのインタビューが登場。スジェの地位でバジル役に抜擢された時も、彼は全然緊張などしていなかったそうだ。「ドン・キホーテ」での共演のほか、ウェイン・マクレガーから「Genus」で共に振付指導、リハーサルを受けているところや、「Genus」本番の舞台の映像も出てくる。

マチューの妹で、今年オペラ座に合格したマリーヌの「ドリーブ組曲」の映像もちょっと観ることができる。オペラ座にて付き添うドミニクの前で、厳しくマチューにダメ出しをする芸術監督ルフェーブルが、すごく怖かったのも印象的。マチューはどんな時でも屈託なくニコニコしていて、性格の良さがにじみ出ているのに。

舞台の映像は思ったより少ないものの、貴重なものが多い。マチューの「ラ・シルフィード」のジェームズでは5番の位置の美しさにうっとり。サンクトペテルブルグでマリインスキーのオレシア・ノーヴィコワと踊った「ジゼル」は舞台袖からの映像だけど、それもちょっと視点が変わっていて面白い。若いダンサーが演じるアルブレヒトってそんなに観たことがないから、新鮮。マチューは、ドラマのある役が好きということで、お気に入りの役は「ラ・シル」のジェームズ、「ジゼル」のアルブレヒト、「椿姫」のアルマン、そして「プルースト」のサン=ルーなどとのこと。素晴らしい母から、そして周囲からもどんどん学んでいくマチューが、これからどんなダンサーに成長していくのか、とても楽しみ。

マチュー・ガニオ&カルフーニ~二人のエトワール~マチュー・ガニオ&カルフーニ~二人のエトワール~
マチュー・ガニオ Mathieu Ganio, ドミニク・カルフーニ Dominique Khalfouni

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2008/08/20

コジョカル主演ロイヤル・バレエ「ジゼル」DVD発売

イギリスのAmazon.ukにようやく、アリーナ・コジョカル主演のロイヤル・バレエ「ジゼル」DVDの予約ページが載りました。
 
 
イギリス発売が9月1日の予定となっています。
 
また、Opus Arteのサイトで、詳しいキャストと映像の一部がご覧になれます。
 
Giselle: Alina Cojocaru
Count Albrecht: Johan Kobborg
Myrtha (Queen of the Wilis): Marianela Nuez
Hilarion (a forester): Martin Harvey
The Royal Ballet
The Orchestra of the Royal Opera House
Choreographer: Marius Petipa
Conductor: Boris Gruzin
 
Recorded live at the Royal Opera House, Covent Garden, London in January 2006.   
なお、実は日本のAmazonのサイトにも、注文ページができており、9月1日発売となっているのですが、「現在注文いただけません」という表記になっています。
Opus Arteから発売されるDVDは、日本のアマゾンで買うと発売予定日より大幅に待たされるのが常なのですよね。
 
で、私はこの映像はBBCで放映されたものを観ているのですが、ロイヤル・バレエの演劇的な側面がよく活かされた1幕が素晴らしいです。特にサンドラ・コンリーのベルタがいいですね。
また、ヒラリオンのマーティン・ハーヴェイの濃い演技、来日公演の愛らしい印象とは打って変わったマリアネラ・ヌニェスの恐ろしさの中に秘めた悲しみの表現なども印象的でした。
もちろん、アリーナのコジョカルは可憐このうえなく、イノセントでありながら強い意志を持ったジゼルとして鮮烈な印象を残します。お勧めの映像です。
ピーター・ライト版の演出なので、独特の並び方や動きをするウィリ軍団がすごく怖いです。
Giselle - AdamGiselle - Adam
Royal Ballet

Opus Arte 2008-09-01
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2008/08/19

パリ・オペラ座ヌレエフ版「シンデレラ」DVD発売

Opus Arte のサイトで、 POBのヌレエフ版「シンデレラ」のDVD発売予定が発表されました。イギリスでは10月1日に発売されます。


http://www.opusarte.com/pages/product.asp?ProductID=259

キャスト
Cinderella: Agnes Letestu
Film Star: Jose Martinez
Stepmother: Stephane Phavorin
Stepsisters: Laetitia Pujol & Stephanie Romberg
Producer: Wilfried Romoli
Director: Richard Wilk
His Assistant: Fabien Roques
The Prisoner: Mathias Heymann
Spring: Melanie Hurel
Summer: Dorothee Gilbert
Autumn: Nolwenn Daniel
Winter: Emilie Cozette
当初はエルヴェ・モローとオーレリー・デュポン主演で収録される予定が、エルヴェの怪我でアニエスとジョゼに変更されました。やっぱり当初のキャストで見たかったですね。
マチアスの市販映像デビューかな?

そうそう、上記OpusArteで、映像がほんのちょっとですが観られますよ~。

ギエムとジュドの出演した古い「シンデレラ」映像もDVD化してほしいですね。イザベル・ゲランの義理の姉が最高なんです。ヌレエフ本人も出ているし、ジュドはキラキラの王子様だったし。


追記:Side B-alletのゆうさんに教えていただきましたが、Opus Arteからは、

ロイヤル・バレエの「ピーターラビットと仲間たち」(2007年12月録画)
http://www.opusarte.com/pages/product.asp?ProductID=261

Mrs Tittlemouse: Victoria Hewitt
Johnny Town-Mouse: Ricardo Cervera
Mrs Tiggy-Winkle: Jonathan Howells
Jemima Puddle-Duck: Gemma Sykes
The Fox: Gary Avis
Pigling Bland: Bennet Gartside
Pig-Wig: Laura Morera
Aunt Pettitoes: David Pickering
Mr Jeremy Fisher: Zachary Faruque
Tom Thumb: Giacomo Ciriaci
Hunca Munca: Iohna Loots
Peter Rabbit: Joshua Tuifua
Squirrel Nutkin: Steven McRae

The Royal Ballet
Royal Ballet Sinfonia
Choreographer: Frederick Ashton
Conductor: Paul Murphy


コヴェントガーデンで1993年に開催された「チャイコフスキー・ガラ・コンサート」を収録した「Opera & Ballet Favourites」
http://www.opusarte.com/pages/product.asp?ProductID=262

の2タイトルも10月に発売されるとのことです。

「ピーターラビットと仲間たち」は、リカルド・セルヴェラ、ギャリー・エイヴィス、ラウラ・モレーラ、スティーヴン・マックレーなど魅力的なキャストですね。かぶりもの着用なので顔は見えないと思いますが。

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2008/08/18

キューバ国立バレエ「ドン・キホーテ」DVD、アマゾンjpで取り扱い

先日の2008 International Gala Hikasa Ballet 国際交流公演でも、観客を大いに沸かせたキューバ国立バレエ、ヴィエングゼイ・ヴァルデスとロメル・フロメタが主演した「ドン・キホーテ」のDVDですが、日本のアマゾンでも取り扱うようです。発売予定日は2008年8月25日だそうです。

私のレビューはこちらです。
http://dorianjesus.cocolog-nifty.com/pyon/2008/06/dvd_1251.html

セットがほとんどなくて、演奏もテープですが、主演二人のパフォーマンスは言うまでもなく凄いです。さらに、彼らだけでなく、エスパーダ役のMiguel Angel Blanco、ジプシー役のTaras Domitroのテクニックも素晴らしいです。Taras Domitroは、先日米国への亡命を果たし、いきなりサンフランシスコ・バレエにプリンシパルとして入団したという逸材です。また、特に男性陣の群舞のテクニック全般が本当に凄いことになっています。いかにもラテン的な、明るく熱い「ドン・キホーテ」で楽しめると思います。

主演の二人は、全幕ということで、ガラで見せるほどのアクロバティックさは影を潜めていますが、これほどの高度な技術を全幕でやってしまうのは本当に信じられないほど、です。フェッテでは、4回転も入っています。ロメル・フロメタはテクニックも凄いけど、本来気品のあるダンサーであるのもわかります。アリシア・アロンソ、ヴィエングゼイ・ヴァルデスとロメル・フロメタのインタビュー、リハーサルシーンやアリシア・アロンソとアザーリ・プリセツキーが踊った「ジゼル」の映像、アロンソがウラジミール・ワシリエフと踊った「ドン・キホーテ」の一部の特典映像(合計30分程度)もあります。

世界最高峰のテクニックを観てみたい方、バレエフェスやInternational Gala Hikasa Ballet で彼らが気に入った方には、ぜひお勧めです。リージョンフリー。

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Ballet Nacional De Cuba

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2008/08/06

クララ8月号の付録DVD

「クララ」の8月号の付録のDVDが、何気にとても内容が充実していると聞いて、バレエ公演の会場で買ったまま、忙しくて雑誌の中身だけ読んでいました。

週末にちょっと時間が空いたときに、DVDを見てみたら、その内容の豪華さにビックリ!このDVD込みで720円なんてお得すぎてどうしよう、って感じでした。

エレーナ・フィリピエワ(キエフ・バレエ)
イレーナ・コシェレワ(ミハイロフスキー劇場)
アナスタシア・ロマチェンコワ(ミハイロフスキー劇場)
佐久間奈緒&ツァオ・チー(バーミンガム・ロイヤル・バレエ)

の4組のインタビューなのですが、ミハイロフスキー劇場の二人のインタビューの間には、たっぷりとバーレッスンやセンターレッスンの映像が入っています。この二人+フィリピエワは、ポアントをどうやってカスタマイズしているかも見せてくれています。

そして何より、フィリピエワのインタビューの間には、セルゲイ・シドルスキーとの「ライモンダ」そして、イーゴリ・コールプとの「白鳥の湖」のリハーサル映像がふんだんに入っているのです!特にこの映像は、コールプのファンには必見のものと思われます。リハーサルでの彼は、ステージ上での毒気も薄く、とてもノーブルだし腕の動きが美しいですね~。

ミハイロフスキーの二人のバレリーナは、素顔がとっても美しいです。そして、ツァオ・チーは、めちゃめちゃハンサムと言うか美しい方なんですね。映画「Mao's Last Dancer」の主演に抜擢されたのもよくわかります。映画スター顔負けのルックスなのですね。

そして、それぞれのインタビューの内容も、とても面白く、見応えがあります。彼ら、彼女たちが語る言葉を聞いていると、ダンサーが真摯に自分の芸術に取り組み、そして努力を重ねていく姿は、私たちの現実の生活、現実の生き方にも大いに参考になるのではないか、というか普遍的な真実なのではないかと思いました。心を込めて踊ること、ダンスだけでなくていろいろな芸術に触れること、一番好きなことのためにはほかの事を犠牲にすること、そして技術を高めていくだけでなく、芸術性を磨いていくこと。バレリーナを目指す人はもちろんのこと、バレエを愛する人にはぜひ見て欲しい映像だと思いました。

今週の金曜日には、もう次の号が出てしまうので、本屋さんで買うなら今のうちに!

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2008/07/12

キューバ国立バレエ「ドン・キホーテ」DVD

パリのシャンゼリゼにあるFNACで、キューバ国立バレエの「ドン・キホーテ」を購入。28ユーロと、定価よりほんの少し割引をしていたけど、ユーロ高なので5000円くらいかな。リージョンALLでNTSC、普通のDVDプレイヤーで観られます。

キューバ国立バレエ Ballet Nacional de Cuba 「ドン・キホーテ」 Don Quijote
振付:アリシア・アロンソ
キトリ:ヴィエングゼイ・ヴァルデス
バジル:ロメル・フロメタ
メルセデス:Sadais Arencibia
エスパーダ:Miguel Angel Blanco
ジプシー:Taras Domitro
ドリアードの女王:Yanela Pinera
発売元:BelAir Classiques

2006年の世界バレフェスティバルで観客を沸かせた、キューバ国立バレエのスーパーテクニック・ペア、ヴィエングゼイ・ヴァルデスとロメル・フロメタが主演した「ドン・キホーテ」。2007年7月にパリのグラン・パレで収録されたもの。グラン・パレは、先日私がパリに行った時にはマリー・アントワネット展を開催していた会場で(最終日に行ったものだから1時間半も炎天下で待つ羽目に)、バレエ専用ではない。セットはほとんどなく、舞台の上のスクリーンにコンピュータで背景を映し出していていささか寂しい。音楽も生演奏ではなく、録音。お国事情を反映してか、衣装もセンスが悪くてちょっと気の毒になるくらいであったけど、ダンサーたち、特に男性ダンサーのクオリティは非常に高い。そして、いかにもラテン的な、生き生きとした熱い息遣いが伝わってくる。

この映像に出演しているMiguel Angel Blanco(エスパーダ)と、Taras Domitro(ジプシー)は昨年末に米国へと亡命した。まだ21歳というTaras Domitroは、この映像の中でも、思わず開いた口がふさがらないほどの凄まじいテクニックを見せてくれているけど、なんとプリンシパルでサンフランシスコ・バレエに入団したとのことだ。
http://www.sfballet.org/newsfeatures/newspress/pressreleases/view.asp?id=10193102

長さはわずか96分というコンパクトなもの。1幕では、いきなり街のシーンから始まるし、通常はキトリの友人たちを含めたパ・ド・トロワになっているところが、バジルのソロになっている。2幕には居酒屋のシーンがなく、3幕では、キトリがガマーシュと無理やり結婚させられそうになっている結婚式に、バジルが乱入して狂言自殺を企てる。そしてグラン・パ・ド・ドゥには、女性ダンサーによる2つのヴァリエーションもなし。3幕の流れはユニークだと思うけど、ヴァリエーションが少ないのがちょっと物足りないかな。

ヴィエングゼイ・ヴァルデス(ちょっとディアナ・ヴィシニョーワ似)とロメル・フロメタがすごいテクニックの持ち主なのは折込済みなのでさほど驚かないけど、まずびっくりしたのが、1幕に登場する闘牛士軍団の踊り。コール・ドなのに、なんでみんな揃いも揃ってあんなに高く跳躍し、空中で静止するがごとく浮かび、足先も綺麗に伸びているんだろう!コール・ドのダンサーがこれほどまでにスーパーテクニックを持っていることにびっくり。エスパーダのMiguel Angel Blancoは背が高く、脚も長くて甘いマスクの持ち主。背中が非常に柔らかい。彼に限らず、ここのダンサーは柔軟性も非常に優れている。難点をいえば、上半身が柔らかすぎて、安定していない人が見受けられることだろうか。プロポーションも様々で、良い人もいれば、筋肉質すぎる人も。女性ダンサーは、コール・ドはとても揃っていて、同じメソッドを学んできた人ばかりなので特にポールドブラはぴたりと合っている。ただ、非常に残念なのが、女性の衣装が致命的といっていいほどダサく、スカートが中途半端な長い丈なので、脚の美しさがわからないこと。

通常キトリの友人たちとのトロワになるところでのバジルのソロ、まずここでのロメル・フロメタがすごい。トゥール・ザン・レールして、片脚ルルベで着地してまたトゥール・ザン・レールを繰り返す。風を切るような回転。それに続くキトリのカスタネットのソロ。ヴィエングゼイ・ヴァルデスの背中が非常に柔らかく、本当に両脚と両手がくっつくんじゃないかと思うほど。とにかくすごい!

2幕は、やはりジプシーのTaras Domitroのテクニックに驚く。こんなことをやってのけるのか!と口をあんぐり。「海賊」のアリのヴァリエーションなどで、両脚を前後に入れ替える技があるけど入れ替えた後にそのまま真横に脚を開いて浮かんでいるのである。凄過ぎ。ピルエットのスピードも凄い。さすが、いきなりサンフランシスコ・バレエにプリンシパルで採用されるだけのことはある。顔もハンサムでプロポーションも良く、これから大いに活躍することだろう。

夢のシーンで残念なのが衣装。アロンソ版では、キトリ=ドルシネアではなく、Kバレエなどと同じで、トウシューズを穿かない女性がドルシネアとして登場。キトリはなんだかジゼルみたいな衣装を着ているし、ドリアードの女王やコール・ドも丈の長い垢抜けない衣装で、せっかく良く揃っているしテクニックも優れているのに、美しく見えない。キューピッドのソロすらないし…全体的にアロンソ版の演出は良くない。

3幕では、無理やりガマーシュと結婚させられそうで厭々している花嫁姿のヴァルデスが可愛い。集まった人たちも、結婚式用の服装をしている。そこへ「ちょっと待った!」と乱入してきたバジル。この狂言自殺のシーンは、スイートな魅力を持っている主役二人が、愛らしいカップル振りを見せてくれて微笑ましい。フロメタのヴァルデスへの胸のタッチの仕方も凝っている。

そしてグラン・パ・ド・ドゥは、世界バレエフェスティバルの再現とばかりに凄いことになっていた。ヴァルデスの長~いバランスは、バレエフェスの時の方が安定していたと思うけど、それにしてもこれほどまで長いバランスをできる人が世界に何人いるんだろうか。アダージョでは、アチチュードからサポートなしでパッセを通りドゥヴァンまで脚を滑らかに移動させる。そしてルティレからまた、サポートなしでポアントでバランスしたまま、アチチュードアラベスクまで移動。やっぱりすごい。アダージオの最後は、ピルエットも途中からサポートなしでのトリプル、バジルもキトリを空中に放り出してキャッチ。バジルのヴァリエーション、フロメタは身体を45度に傾けてのクペ・ジュテ・アン・トゥールナンだけど、これも空中で静止する瞬間が見える。脚も非常にきれいに伸びていて観ていて気持ちよい。そしてキトリの32回転フェッテは、トリプルを織り交ぜているけど、4回転も間違いなく2回は入っていて、本当に凄いとしか言いようがない!一歩間違えれば、たしかにバレエというより体操競技のようではあるんだけど、二人とも心底楽しそうに、踊れる喜びを表現しているので好感が持てて、観ている側も思わずニコニコしちゃう。この凄すぎるパフォーマンスがこうやってDVDに残って良かった。

カーテンコールには、アリシア・アロンソも手を引かれて登場した。

そして、映像特典が30分ほどある。アリシア・アロンソのインタビューを中心に、主演の二人のインタビューも。ヴィエングゼイ・ヴァルデスはバレエを始める前は新体操をやっていたとのこと。黒いドレスを着ていてとても可愛い。それから、アリシア・アロンソとアザーリ・プリセツキーが踊った「ジゼル」の映像、アロンソがウラジミール・ワシリエフと踊った「ドン・キホーテ」の映像も挿入される。さらには、グラン・パレでのリハーサルの模様も。アロンソは80歳をとうに過ぎていて目も見えないというのに、非常にかくしゃくとして、ダンサーを指導しているのですごいなあ、と思った。これはまたとても貴重な記録。

DVDはFNACのサイトで買えます。
http://video.fnac.com/a2260308/Don-Quichotte-DVD-Zone-2?PID=3&Mn=-1&Ra=-3&To=0&Nu=8&Fr=0

追記:フランスのアマゾンで買ったほうが少し安いようです。
http://www.amazon.fr/Don-Quijote-Ballet-National-Cuba/dp/B0018KW3XS

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ヴィエングゼイ・ヴァルデスとロメル・フロメタは2008 International Gala Hikasa Ballet 国際交流公演似出演します。二人の出演演目は以下の二つ。
●ドン・キホーテ  グランド・パ・ド・ドゥ 
●ディアナとアクティオン     
http://www.ancreative.net/
楽しみですね!

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2008/06/17

キューバ国立バレエ「ドン・キホーテ」のDVD

2006年の世界バレエフェスティバルに出演し、その超絶技巧でセンセーションを呼んだ、キューバ国立バレエのヴィエングゼイ・ヴァルデスとロメル・フロメタ。特にヴァルデスの見事なバランス技とフェッテは凄かったです。

この二人が主演した「ドン・キホーテ」がBelAir ClassiquesからDVD化されました。アリシア・アロンソ振付です。特典映像30分つき。そして、ジプシーを踊っているTaras Dimitroは、後にキューバから亡命し、現在はサンフランシスコ・バレエに在籍しています。

BelAir Classiquesのサイトは更新が遅いので、載っていませんが、すでに発売中で、FNACで購入することができます。(リージョン2のPAL版ですのでお気をつけください。リージョン2なので、パソコンで観ることはできると思います)
http://video.fnac.com/a2260308/Don-Quichotte-DVD-Zone-2?PID=3&Mn=-1&Ra=-3&To=0&Nu=8&Fr=0

ダンソマニのDVDスレッドでも評判になっており、二人の素晴らしいテクニックは賞賛を浴びています。今月末にパリに行った時に、FNACのお店を探してみようかしら。

なお、この二人ですが、8月に東京と高松で開催されるガラ、International Gala Hikasa Ballet国際交流公演に出演します。

公演日:8月12日(火)開場:17:30 開演:18:30
会場:ゆうぽうとホール

http://ent.pia.jp/pia/event.do?eventCd=0820483

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2008/06/05

ロイヤル・バレエ「眠れる森の美女」「ラ・フィユ・マル・ガルデ」DVD

DVD情報に関しては日本一早くて詳しいゆうさんのSide B-alletで以前に紹介されていましたが、ロイヤル・バレエの「眠れる森の美女」「ラ・フィユ・マル・ガルデ」のDVDが、Opus Arteから発売されます。

両作品とも、NTSC、リージョンALLです。そして、ほんのさわりですが、ビデオクリップがQuick Timeで観ることができます。

眠れる森の美女 The Sleeping Beauty (ROH)
http://www.opusarte.com/pages/product.asp?ProductID=244

Princess Aurora: Alina Cojocaru
Prince Florimund: Federico Bonelli
King Florestan XXIV: Christopher Saunders
His Queen: Elizabeth McGorian
Cattalabutte: Alastair Marriott
Carabosse: Genesia Rosato
Lilac Fairy: Marianela Nuñez

The Royal Ballet
The Orchestra of the Royal Opera House
Choreographer: Marius Petipa
Additional choreography: Ashton / Dowell / Wheeldon
Conductor: Valeriy Ovsyanikov

2006年12月5日収録 
2008年7月1日発売

こちらは、以前BBCで放映されたものを観ました。演出としてはちょっと微妙な部分がないわけではないのですが、とにかくアリーナ・コジョカルのオーロラが素晴らしいです。特にローズ・アダージオはびくともしないテクニックのすごさと、愛らしさという相反する要素が見事に共存しています。アリーナの愛らしさの一端は、このOpus Arteサイトのクリップで垣間見ることができます。(観られるのは、3幕のGPDDのアダージオ冒頭) 16歳の姫がこれ以上似合う人もいないかも。ジャケット写真も可愛い!

それと、ちょっと笑ってしまったのが、4人の王子のキャストの豪華さ。メイキングを観ることができて確認したところ、カツラがすごいこともあって3人までしかわからなかったのですが、デヴィッド・マッカテリ、エドワード・ワトソン、そしてギャリー・エイヴィスでした。4人目の王子は、もちろんエイヴィスで、むちゃくちゃ濃い存在感があります。マリアネラ・ヌニエスのリラの精も、温かさがあってとても素敵です。

せっかく来日公演で「眠れる森の美女」が上演されるのですから、日本でも公演前に発売して欲しいですよね。


ラ・フィユ・マル・ガルデ(リーズの結婚) La fille mal gardée (ROH)
http://www.opusarte.com/pages/product.asp?ProductID=239

Colas: Carlos Acosta
Lise: Marianela Nuñez
Simone: William Tuckett

Alain: Jonathan Howells

The Royal Ballet
The Orchestra of the Royal Opera House
Choreographer: Frederick Ashton
Conductor: Anthony Twiner

こちらは、すでに発売されており、amazon.co.ukで買えます。マリアネラのリーズとカルロス・アコスタのコーラス、タケットのシモーヌというキャストは見逃せませんよね。マリアネラのリーズ、とっても可愛いです。

アコスタ&タマラ・ロホの「ロミオとジュリエット」や、コジョカル&コボーの「ジゼル」も早く出して欲しいな。

La Fille Mal Gardée,La Fille Mal Gardée,
Carlos Acosta (Colas), Marianela Nuñez (Lise), William Tuckett (Simone), Jonathan Howells (Alain), Frederick Ashton (Choreographer);Anthony Twiner (Conductor)

Opus Arte 2008-06-02
Sales Rank : 5036

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それと、Opus Arteからは、パリ・オペラ座の「白鳥の湖」(ヌレエフ版、ルテステュ&マルティネス」と、パシフィック・ノースウェスト・バレエの「真夏の夜の夢」(バランシン版)のBlu-ray版が発売されているんですが、こちらは日本で出ないんでしょうかね。Blu-rayで発売されているバレエのディスクは、いまのところこの二つだけのようです。

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2008/06/01

パリ・オペラ座「ル・パルク」DVD

ずいぶん前にオペラ・ガルニエの売店でDVDを買って、帰国してからざっと観て、そのままにしてあった映像。生の舞台を観た後、また観てみたいと思いつつも、舞台の記憶を上書きしたくないとも思い、悩んでいた。結局観てしまったのだけど、ローラン・イレールとマニュエル・ルグリ、ニコラ・ル=リッシュはまったく異質のダンサーだったので、上書きされることはなかった。

ちなみに、会場でもDVDが売っていた。会場で売っていたのは、どうやらNTSCのようなのだけど、私が持っているのはPAL盤。アマゾンのuk、フランス、ドイツおよびFNACでも扱っているけど、すべてPAL盤なので、ご注意を。発売もとのBel Air Classiqueは最近NTSCで出すことが多いので、NTSC盤も探せばどこかで買えるはず。面白い作品だし、今回の来日を機会に国内発売すればよかったのに。(なお、amazon ukを見たら、今年の7月8日に再発売される予定があるようである)

→追記:Side B-alletのゆうさんに教えていただきましたが、NTSC盤がamazon.co.jpでも買えるようになるようです。

さて、この映像なんだけど、もーイレール様に尽きる!先日のオーチャードホール客席で見かけたイレールはさすがに年を重ねた感じだったけど、この映像の中のイレール様の美しく、色気漂うさまは奇跡的と言ってもいいほどで、テレビの前でクラクラと酔いそうになった。椅子取りゲームでクローズアップになったときに眉毛をぴくっと上に上げるところには、あまりの色香にもうノックアウト!映像の良いところは、こういう細部が観られること。舞台を観た時は、2階席や3階席だったので、細かい表情までは見ていなくて。(だって、オーチャードのホールの1階席は、足先が見えないし)イレールは、ものすごく役に入り込んでいて、基本的にはプレイボーイなのだろうけど、セクシーな大人の遊び人であるからこそ、後半の熱情をまっすぐに捧げている姿やすれ違う想いに苦しむ姿が、ロマンティックで切なく見えて胸に迫る。まるで俳優のように細やかな表情を使い分けていて見ごたえアリ。踊りのほうは、ルグリのような優雅さやエレガントさはさほどないけど、キレキレでダイナミック、しかも柔軟性もある。エトワールの踊り。

イザベル・ゲランは、最初の男装は冴えない感じなのに、作品が進んでいくにつれてどんどん綺麗になっていくから不思議。「解放」のパ・ド・ドゥでの心震える姿がなんとも美しい。2幕の、赤いドレスをまとって上半身を傾けるフォルムもしなやかで、プジョルやコゼットとは格の違う、成熟した美しさがある。指先にいたるまでの細かい表現力もさすがだし、庭師たちに眠りながらぐるぐるリフトされるところ、そして「解放」での身体のコントロール力もすごい。彼女の足の筋肉は、ムキムキだったけど、これだけの身体能力があるのだから、無理もない。

「解放」のパ・ド・ドゥの最後の方で、「抵抗」で見られた頭突きが繰り返されているところが、なんともうまいなあ、と思った。本当にこの二人は息が合っていて、一つ一つのパ・ド・ドゥの作り上げ方が凄い。ふたりとも、今のオペラ座にはいないタイプの、演技力・表現力も技術も備えた稀有なスターダンサーだ。

それと、この作品は、衣装がものすごく重要な役割を果たしているのだと改めて思った。「解放」の前に、ゲランが庭師たちにドレスを脱がされてパジャマのようなもの一枚になるところが最も象徴的だけど、2幕、下着のようなコルセット姿の女の子たちの間を、一人ドレスをまとって心にバリアを張ってさ迷い歩いているゲラン。オーガンジーのような黒いスカートを顔にかけている女性たち、など衣装の使い方の巧みなことよ。少しずつバリアを外していき、「解放」で二人は服も脱ぎ去って、心も裸になって解放されるということだ。

他のキャスト名が明記されていないのが非常に残念なのだけど、一人、カール・パケットに似ている金髪の男性が出演していた。全体的に、先日の来日公演より踊れる人たち、音楽性の豊かな人たちが配置されていたように思えた。来日公演は、若手が多かったしルグリ(そしてニコラ)が別世界のように突出していたから。でも、来日メンバーの方が容姿が麗しい人が多かったと思うけど。2幕で、夜這いのように地面を男性タンサーたちが這って入ってくるところは、何回観ても笑っちゃう!

いずれにしても、また上演される機会があれば観たい作品。来シーズンのオペラ座のレパートリーにも入っているんだけど、さすがにパリまでは観に行けないなあ…。

振付:アンジュラン・プレルジョカージュ
主演:イザベル・ゲラン/ローラン・イレール
収録:1999年4月 パリ・オペラ座バスティーユ
指揮:ステファン・ドゥネーヴ
ピアノ:エレナ・ボネ
演奏:パリ・オペラ座管弦楽団

追記:キャストを教えてもらいました。

庭師:ブルーノ・コアベ、ピエール・ダルド、エリック・カミョ、ニコラ・ノエル
女性:ファニー・フィアット、ミュリエル・ズスペルギ、ミュリエル・アレ、ロール・ミュレ、ヴェロニク・キャピアック、レティシア・ピュジョル、セリル・ソー、リーズマリー・ジュルダン
男性:グザビエ・ルージテール、パスカル・オーバン、リシャール・ウィルク、カール・パケット、ジャン・クリストフ・ゲリ、ギョーム・シャルロ、アレクシス・ルノー
1幕バリエーション:アレ、フィアット-ミュレ、キャピアック

序曲 交響曲第36番ハ長調「リンツ」K.425
   第1楽章から「アダージョ」

第1幕
1、庭師
2、異性間の視察
   アダージョとフーガ ハ短調 K.546
3、アプローチ・ゲーム
   6つのドイツ舞曲 K.571 から
   第1番 ニ長調
   第2番 イ長調
   第4番 ト長調
   第5番 変ロ長調
   第6番 ニ長調
4、出会い
   ピアノ協奏曲 変ホ長調 K.449 第2楽章

第2幕
5、庭師
6、柔らかな色香
   セレナード K.525 第4楽章
7、欲望
   ディヴェルティメント ニ長調 K.251 第3楽章
8、征服
   音楽のたわむれ「村の音楽家の六重奏」K.522 第4楽章
9、抵抗
   ピアノ協奏曲 変ロ長調 K.450 第2楽章

第3幕
10、夢/庭師
11、嘆き
   6つの3声フーガ K.404aから アダージョ ヘ長調
12、熱情
   ディヴェルティメント 変ロ長調 K.137 第2楽章
13、失神
   セレナード ニ長調 「ハフナー」K.250 第8楽章
14、解放
   ピアノ協奏曲イ長調 K.488 第2楽章

エピローグ/庭師

Le Parc: A Ballet By Angelin Preljocaj (Ws Ac3)Le Parc: A Ballet By Angelin Preljocaj (Ws Ac3)
Paris Nat'l Opera Orchestra Deneve

2008-07-08
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2008/04/27

ロイヤル・バレエ「シルヴィア」DVD

ロイヤル・バレエの来日公演について文句を書いてしまったけど、その前にもう一度復習しなくちゃ、とDVDを観直すことにした。BBCで放映されたときの録画は観ていたんだけど、すっかり忘却のかなたに行っていたので。

振付:フレデリック・アシュトン
再振付:クリストファー・ニュートン
音楽:レオ・ドリーブ
収録:2005年12月 / 117分

シルヴィア:ダーシー・バッセル
アミンタ:ロベルト・ボッレ
オリオン:ティアゴ・ソアレス
エロス:マーティン・ハーヴェイ
ディアナ:マーラ・ガレアッツィ
奴隷たち:蔵健太, Joshua Tuifua
山羊:ホセ・マーティン、アイオナ・ルーツ

詳しいストーリーはNBSの「シルヴィア」サイトへ。

この映像は、なんといっても主演キャストが素晴らしい。ダーシー・バッセルとロベルト・ボッレは見た目のバランスも最高だし、パートナリングも見事なもの。ダーシーが思い切った後方へのフィッシュダイヴができるのも、ロベルトのサポートがあってこそ。ダーシーの魅力が全開となっている映像で、1幕の強さ、凛々しさ、そして2幕で見せた勇気、そして3幕の気品と女らしさ、恋する女性の可愛らしさを生き生きと表現している。1幕はとにかくグランドジュッテが多くてものすごく体力が必要だと思うのだけど、とても30代後半とは思えない大きくてきれいな跳躍を見せてくれている。3幕のヴァリエーションでの、アシュトンの難しい脚捌きを、音と戯れるように軽やかに踊っていて素敵。ロベルトのほうも、長身を生かしたダイナミックな踊り、女性をより美しく見せるサポートと安定感、加えて素脚を出した衣装の似合うこと。倒れている姿すら美しい古典的な美貌とロマンティックさ。というわけで、長身美男美女の麗しさに思わずうっとり。

オリオン役ティアゴ・ソアレスの悪~い感じ、ワイルドさ、そしてパワフルなジュッテやトゥール・ザン・レールは彼の持ち味に合っていて良かったと思う。同じくらい重要な役割なのが、エロスで、マーティン・ハーヴェイが好演していた。彼は太ももがすごく太いので、脚を出しているとちょっとひえ~と思うけど、愛の神らしい魅力があるし、テクニックも達者。1幕ではずっと彫像として身動きが取れないので大変な役だ。来日公演でも彼が踊ってくれるのかしら?山羊役のホセ・マルティンは、なかなかすごいテクニシャンで、軽やかできれいな跳躍の上、動物っぽさも上手く出していた。クレジットには出ていなかったけど、3幕では、結構目立つところでルパート・ペネファーザーが踊っている。ソリストたちもそれぞれ良くて、ロイヤル・バレエはちゃんと実力のあるカンパニーなのがわかる。

この映像には、映像特典としてリハーサル風景やインタビューがついているのだけど、その中で再振付を担当したクリストファー・ニュートンによると、アシュトンは当初この作品を気に入らず、初演して数年後にはもう踊られなくなったとのこと。彼の晩年になって、再演するということで彼が亡くなった後に再振付されたそうだ。一度は踊られなくなったのもちょっと判るような気がしてしまう。2幕のオリオンの島の洞窟のところが中だるみしてしまうのだ。3幕のグラン・パ・ド・ドゥは、ピーター・ファーマーによる美術も美しく、華やかで素敵なんだけど、シルヴィアのヴァリエーション以外はそんなに印象に残る振付がない。ちょっとしたドラマが最後にあるから、もちろん楽しめるんだけど。それでも、ダーシーとロベルトという、圧倒的にキラキラ感のあるキャストで見ると、美しいし、存分に楽しめる。問題は、自分で輝けるような魅力のない人が踊ったら、あんまり面白くないんじゃないかという不安感を起こさせること。やはり長身で凛とした魅力を持つゼナイダ・ヤノウスキーだったら、その点は問題なかったんでしょうが。

映像特典はとても面白い。この作品が上演されているときのバックステージ、幕が上がる前や休憩時間が挿入されているので、とても臨場感がある。幕の裏でストレッチするダンサーたち、幕が終わって着替えるために息を切らせながら楽屋に入っていくダーシー、そしてカーテンコールの裏などが見られる。その上、リハーサルシーンなどもたくさんあるし、マーゴ・フォンテーンが出演した古い初演の映像も少し観られる。作品のあらすじもダーシーによって解説される。「特典」ではなく、チャプターメニューからでないとこれらの映像は見られないので注意。画質は非常にきれいだし、少なくともダーシーとロベルトのファンだったら、絶対に買いの映像だと思う。お値段も今はけっこうお得になっているし。

Sylvia (Ws Sub Dts)Sylvia (Ws Sub Dts)
Delibes Bussell Bolle

2008-01-29
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2008/04/25

パリ・オペラ座&ピナ・バウシュ「オルフェオとエウリディーチェ」DVD化/オペラ座のドキュメンタリー映画/ロイヤル・バレエ「リーズの結婚」DVD

2005年にパリ・オペラ座で初演され、今年2月に再演されたピナ・バウシュ振付の「オルフェオとエウリディーチェ」ですが、ピナ・バウシュがDVD化に同意したということで、現在DVD化に向けての話し合いが進められているそうです。

http://www.culturekiosque.com/dance/news/pina_bausch_film174.html

舞台上にオペラ歌手が上がってグルックのオペラを歌うという作品ですが、フランス/ドイツのテレビ局ARTEで先日放映されたそうで、その映像のDVD化ということになるようです。作品そのものは、ピナがヴッパタール舞踊団の芸術監督になってから2年後に振付けられたとのこと。75年にオルフェオ役を踊ったのは、ドミニク・メルシーなんですね。今回の収録のときにエウリディーチェ役を踊ったマリ=アニエス・ジロは、ロンドンのサドラー・ウェルズで上演された「カフェ・ミュラー」に出演したメルシーを観て彼のカリスマ性に打たれたそうです。収録されたときのオルフェオ役は、ヤン・ブリダール。

このCulturekiosqueの記事の写真がとっても美しいです。DVD化が楽しみですね~。

*********

一方、ダンソマニに情報が載っていましたが、ABTのドキュメンタリー映画「BALLET アメリカン・バレエ・シアターの世界」を監督したフレデリック・ワイズマンが、今度はパリ・オペラ座のドキュメンタリーを撮影したとのこと。

http://www.ideale-audience.com/site/new_films_by_wiseman_and_monsaingeon_coming_from_i.563.0.html

ガルニエ、バスティーユ、リハーサルやボードミーティング、エトワールからスタッフまで追いかけた50日間に渡る撮影が、昨年12月14日に完了したそうです。2009年に劇場公開予定。(ところで、この撮影期間ってオペラ座はストだったような気がするんですが・・・)

**********

DVDといえば同じくダンソマニに出ていましたが、ロイヤル・バレエからは、アシュトンの「ラ・フィユ・マル・ガルデ(リーズの結婚)」のDVDが発売されるそうです。Opus Arteに情報が載っています。

http://www.opusarte.com/pages/product.asp?ProductID=239

2008年6月1日発売予定、キャストはリーズにマリアネラ・ヌニェス、コーラスにカルロス・アコスタ、シモーヌにウィリアム・タケット、そしてアランにジョナサン・ハウウェルズ。リージョンALLです。OpusArteはいつも予告編映像をサイトに載せてくれるので、それも楽しみです。

ロイヤルのお家芸のアシュトン&カブリモノなので、きっと楽しい映像でしょうね。ヌニェスのリーズもきっと可愛いことでしょう。コジョカルの「ジゼル」や「眠れる森の美女」よりも先にDVDが出るとは思いませんでした。ゆうさんのSide Balletにも紹介がありました。

********

カルロス・アコスタといえば、彼の公式サイトからの情報。ボリショイ・バレエに彼が客演した「スパルタクス」(パリ・オペラ座・ガルニエでの公演)が来年の9月に発売されることになったようです。Deccaレーベルとアコスタがバレエダンサーとしては初めて独占契約を結んだそうで、彼の出演するDVDが他にもDeccaから発売されるようです。

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2008/04/13

キーロフ・バレエ「ラ・バヤデール」DVD

振付:マリウス・プティパ 音楽:レオン・ミンクス
ニキヤ:ガブリエラ・コムレワ
ガムザッティ:タチヤーナ・テレホワ
ソロル:レジン・アブディーエフ 
ヴィクトール・シロコフ(指揮)
1977年、キーロフ劇場 収録時間:130分
NTSC Region All

ずいぶん前に、この映像のVHSを友達に貸してもらって観て、なかなか良かったことを覚えており、最近になってDVD化されたので購入。「ラ・バヤデール」というかバヤデルカは、太鼓の踊り(インドの踊り)などのキャラクターダンスが充実しているのが好きで、DVDが出ているロイヤルやミラノ・スカラ座のマカロワ版はこれがカットされているのが不満。オペラ座のヌレエフ版はインドの踊りはあるけど、ちょっと違う感じだし。

改めてDVD化された映像を観ると、いろいろと思うところはある。30年前の収録と古い映像であるため、今観ると古色蒼然としていると思う。ダンサーのプロポーションも、今の人たちと比べると落ちる。ニキヤ役のコムレワは技術的には素晴らしいと思うのだけど、やっぱり昔のバレリーナ。演技の方も比較的淡々としており、特にソロルとの逢瀬のところであまり感情を出していないから、せっかく花かごの踊りで熱演しても、ドラマティックさが薄い感じ。どこか上の空的な感じがつきまとう。とはいっても、踊りそのものは正確で観ていて安心はできる。影の王国のヴェールのアダージオは見事。ソロル役レジン・アブディーエフはちょっとおっさんぽくプロポーションにも難あり。こっちの方も、演技が薄いので存在感そのものも薄くて残念。(彼については、Yuraさんの「ロシアのバレエ団情報」で詳しく説明があるので、興味のある方はご覧ください)

でも、ガムザッティ役のタチアナ・テレホワが素晴らしい~。お姫様オーラはばしばし出ているし、気品もあり、華やかなことこの上なし。婚約指揮でのイタリアン・フェッテもびしっとキマっていて見事なもの。女同士の対決シーンも、凛とした中にもかなり熱い演技を魅せてくれてとても魅力的だった。遠めで見るとちょっとアニエス・ルテステュ系の美女。やっぱり、ガムザッティがニキヤと同格のダンサーが踊ると、作品全体のクオリティもあがるしドラマ性も高まる。

ロシア系バヤデルカだけあって、さすがにキャラクターダンスは達者。特にブロンズ・アイドルが、勢いがあって上手だと思った。クレジットがなくて誰が踊っているかはわからないのが残念。太鼓の踊りもワイルドで迫力たっぷり。(ボリショイの方がイケイケで野性的で好きだけど)また、大僧正役の人の演技が濃くて良いし、苦行僧など脇の演技や踊りも、さすがキーロフ、細かいところまで手抜きなしで贅沢さが味わえる。

影の王国は32人のコール・ド。地上に降りてエカルテでデヴロッペした後にぐらついた人が後ろの方ではいたものの、よく揃っており、テレビの画面で見ていても思わず背筋を正したくなるほどの幻想的な世界を作り上げていた。昔の映像でも、みんなプロポーションが良いし。3人のソリストも上手いのだけど、影の王国の場面にしては踊りが元気がありすぎて、レベランスで笑顔を見せているのはどうかと思った。旧ソ連の伝統にのっとり、影の王国で終わるヴァージョン。

30年前の映像にしては、そこそこきれいな画質。なんだかんだいって、大きな舞台でハイレベルのグランド・バレエが観られるので見ごたえはある。でも、古い「バヤデルカ」の映像だったら、ボリショイの、グラチョーワとヴェトロフの「バヤデルカ」が最高。これもビデオでしか出ていなくて、入手困難。これこそ早くDVD化して欲しい。そして、キーロフ/マリインスキーは、新しいキャストで「バヤデルカ」のDVDを収録して欲しいな。ロパートキナ/コルスンツェフか、ヴィシニョーワ/コールプで希望!ソーモワはやめてね。

BayadereBayadere
Minkus Komleva Terekhova

2008-01-29
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2008/03/27

パリ・オペラ座「プルースト/Proust ou Les Intermittences du Coeur」(DVD)

1月にフランスでDVDが発売されたものの、2月に行ったバルセロナやミラノのDVDショップやオペラハウスのブックストアでも売っていなくて、結局Amazon.comで注文したのがようやく本日届いた。ドル安のおかげで、日本のアマゾンで買うより安いお値段で入手できたのはラッキー。NTSCのリージョンALL。

フィガロ・ジャポンの連載「パリ・オペラ座バレエ物語」での「プルースト」特集が非常に丁寧なので、鑑賞の助けになった。プティの振付もさることながら、音楽の使い方が実に秀逸。そして綺羅星のようなオペラ座の美しいダンサーたち!

Saint-Saens、Richard Wagner
choregraphie et mise en scene: Roland Petit○Proust ou les intermittences du coeur
musiques: Ludwig van Beethoven、Claude Debussy、Gabriel Faure、Cesar Franck、Reynaldo Hahn、Camille
decors: Bernard Michel
costumes: Luisa Spinatelli
lumieres: Jean-Michel Desire

ALBERTINE: Eleonora Abbagnato エレオノーラ・アッバニャート
PROUST JEUNE: Herve Moreau エルヴェ・モロー
MOREL: Stephane Bullion ステファン・ビュヨン
MONSIEUR DE CHARLUS: Manuel Legris マニュエル・ルグリ
SAINT-LOUP: Mathieu Ganio マチュー・ガニオ


ACTE I Quelques images des paradis proustiens 1幕「プルースト的天国」TABLEAU I 《Faire Clan》 第1場 派閥をなす、またはプルーストによる攻撃的スノビズムのイメージ
MADAME VERDURIN: Stephanie Romberg ステファニー・ロンベール
ANDREE: Caroline Bance カロリーヌ・バンセ
PROUST: Michel Pasternak
LE PIANISTE: Michel Dietlin
LE CHANTEUR: Wiard Witholt
音楽:レイナルド・アーン「恍惚のとき」

TABLEAU II 《La petite phrase de Vinteuil》 第2場 ヴァントゥイユの小楽節、または愛の音楽
Laura Hecquet et Christophe Duquenne ローラ・エケ、クリストフ・デュケンヌ 
音楽:セザール・フランク「ヴァイオリンとピアノのためのソナタ」

TABLEAU III 《Les aubepines》第3場「サンザシ、または夢のような言葉」
GILBERTE: Mathilde Froustey マチルド・フルステー
音楽:ガブリエル・フォーレ「ピアノと管弦楽のためのバラード 作品19」

TABLEAU IV 《Faire catleya》 第4場「カトレアをする、または情熱のメタファー
ODETTE: Eve Grinsztajn - SWANN: Alexis Renaud オデット:エヴ・グリンツテイン スワン:アレクシス・ルノー
Emmanuel Hoff、Samuel Murez、Francesco Vantaggio
音楽:カミーユ・サン=サーンス「ハープ協奏曲」断片

TABLEAU V 《Les jeunes filles en fleur》 第5場 花咲く乙女たち、または楽しい休暇
ALBERTINE, ANDREE 
音楽:クロード・ドビュッシー「海」

TABLEAU VI 《Albertine et Andree ou la prison et les doutes》 第6場 アルベチーヌ、または牢獄と疑惑
ALBERTINE, ANDREE
音楽:クロード・ドビュッシー「フルート独奏曲 シランクス」

TABLEAU VII 《La regarder dormir》 第7場 眠る女をみつめる、または相容れない現実
ALBERTINE, PROUST JEUNE
音楽:セザール・フランク「交響詩<プシシェ>」
   カミーユ・サン=サーンス「オルガン交響曲 作品3」

****

プルーストの大長編小説「失われた時を求めて」のエッセンスを、プティがバレエ化。前半(1幕)が「プルースト的天国」と称して、若き日のプルーストを主人公に、第一次世界大戦前のブルジョワの世界と女性たちを描く。後半は前半の光あふれる世界と対比し、「プルースト的地獄」と名づけられたダークパート。同性愛者のシャルリュス男爵を主人公に、彼が惹きつけられる黒天使モレル、美しいサン=ルーらの物語が繰り広げられる。

この作品の主役はプルーストの小説の世界なのだけど、もうひとつの主役は、音楽。サン=サーンス、ドビュッシー、ベートーヴェン、フォーレ、ワーグナーなどが使われていているのだけど、流麗なのに寂寥感、哀切感漂う選曲の絶妙さには舌を巻く。

****

1幕は、ヴェルデュラン夫人の華やかなサロンでのシーンから始まる。円環になっているようなカメラワークにちょっと酔う。ステファニー・ロンベールが貫禄たっぷり。第2場は、ローラ・エケとクリストフ・デュケンヌが若い恋人たちの喜びの踊りを踊る。エケはそれほど好きなダンサーではなかったのだけど、ここでの彼女は実に美しい。背が高いわけではないのだけど、プロポーションに恵まれている。デュケンヌは、去年「くるみ割り人形」で観た時にはそんなにいいと思わなかったのだけど、彼の、あまり個性がなくまっさらなところが、このパ・ド・ドゥに合っていると思った。第3場は、日傘をさした優雅な女性たちが大勢登場。優雅に舞うジルベルトを踊るのはマチルド・フルステーで、彼女の華奢で少女っぽいルックス、軽やかな踊りが愛らしい。このジルベルトという役は、後にサン=ルーと結婚するという設定になっているそう。第4場は、カトレアの花を胸に挿した元高級娼婦のオデットと、スワンのパ・ド・ドゥ。オデットを踊るのは、昨年末の昇進試験でプルミエに昇進したエヴ・グリンツテイン。まだ26歳という割には、よく言えば婀娜っぽく役柄に合っているけど、悪く言えば老けて見える。

そしてようやく5場で、1幕のメーンキャラクターである若き日のプルーストと、アルベチーヌが登場。「花咲く乙女たち」では、白いフレアワンピースの少女たちが、ポアントでパ・ド・ブレし、ドビュッシーの「海」に合わせて、あるときには波のように、またあるときには翼を広げたカモメの一群のような群舞を繰り広げる。真ん中には、エレオノーラ演じる、ひときわ美しいアルベチーヌ。その傍らを歩くのが、エルヴェ・モロー演じるプルースト。乙女たちをまぶしそうに見つめる青年。

6場では、アルベチーヌと、もう一人白い衣装を着てアルベチーヌに雰囲気の似た金髪の美少女アンドレが、身体を寄せ合い、キスをするように顔を近づける妖しい踊り。純粋なはずの少女たちなのだけど、とても危険な戯れを愉しんでいる。

そして前半最大の山場が、第7場。「囚われの女」として知られるパ・ド・ドゥ。エルヴェの長いソロから始まる。衣装が普通のパンツ(=ズボンのほうね)なので脚線美は見られないけど、とてもエレガントできれいなアラベスクを見せるエルヴェ。白い薄いカーテンの下には、眠るアルベチーヌ。やがてアルベチーヌは引きずられるように立ち上がって、二人でパ・ド・ドゥを踊る。アルベチーヌは目を軽く閉じていて、まるで眠ったまま踊っているみたい。甘く美しいパ・ド・ドゥだけど、途中でアルベチーヌの表情が曇り、苦悩しているのがわかる。若いプルーストの情熱が束縛に思えて、夢を見ながらも苦しんでいるのだ。エレオノーラはこの作品では、まるで小説から抜け出たような美しさ、儚さと透明感があってとても素敵。そして再びアルベチーヌは眠りに落ち、カーテンが滝のように緩やかに滑り落ちると、アルベチーヌの姿も奈落へと消える。白昼夢のような密やかで美しい、余韻を残した場面。なんという美しいパ・ド・ドゥなのだろう・・・。一番大切なものは、こうやって指の中をすり抜けて消えていく・・・。


ACTE II Quelques images de l'enfer proustien 2幕「プルースト的地獄」TABLEAU VIII 《Monsieur de Charlus face a l'insaisissable》 第8場 とらえどころのないものに直面するシャルリュス男爵
MOREL, MONSIEUR DE CHARLUS
音楽:ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン「弦楽四重奏曲 第14番 作品131」

TABLEAU IX 《Monsieur de de Charlus vaincu par l'impossible》 第9場 不可能に征服されたシャルリュス男爵
MONSIEUR DE CHARLUS, MOREL
LES PROSTITUEES: Amandine Albisson、Peggy Dursort、Christine Peltzer、Julie Martel、Ninon Raux
UN VIEIL HOMME: Emmanuel Hoff
音楽:カミーユ・サン=サーンス「ハバネラ 作品83」

TABLEAU X 《Les enfers de Monsieur de Charlus》 第10場 シャルリュス男爵の地獄
MONSIEUR DE CHARLUS
Yann Saiz、Florian Magnenet、Vincent Cordier、Aurelien Houette
音楽:カミーユ・サン=サーンス「英雄行進曲」

TABLEAU XI 《Rencontre fortuite dans l'inconne》 第11場 未知の世界の偶然の出会い
Peggy Dursort et Bruno Buche、Gregory Dominiak、Cyril Mitilian
音楽:クロード・ドビュッシー「ハープと弦楽合奏のための舞曲」

TABLEAU XII 《Morel et Saint-Loup ou le combat des anges》 第12場 モレルとサン=ルー、または天使の闘争
MOREL, SAINT-LOUP
音楽:ガブリエル・フォーレ「エレジー 第24番」

TABLEAU XIII 《Cette idee de la mort...》 第13場 死についてのこの考え、現世は墓の扉の裏側だと語り手には見える
PROUST JEUNE, ANDREE, MONSIEUR DE CHARLUS, MOREL, SAINT-LOUP, ODETTE, PROUST
LA DUCHESSE: Stephanie Romberg
LA NOURRICE: Cecile Sciaux
音楽:リヒャルト・ワーグナー「リエンツィ 序曲」

ダークで倒錯した2幕の「プルースト的地獄」は、第8場でシャルリュス男爵が若き美貌のヴァイオリニスト、モレルに魅せられるところから始まる。シャルリュスを演じるのはルグリ。老けメイクをしているけど、さすがに身のこなしはエレガントでいかにも貴族である。が、初老に差し掛かった男の哀れさ、滑稽さも見事に表現できているのがルグリたるゆえん。モレル役のステファン・ビュヨンは、まさに黒天使。素肌に黒い衣装、すらりとした立ち姿、黒い巻き毛に薔薇色の頬の美青年。少年の純粋さと残酷さ、傲慢さを体現。顎を少し上げて、片頬で妖しく微笑むと、もうシャルリュスは彼の魔力に取りつかれている。ヴァイオリンの音色に合わせてステファンがソロを踊る。トゥールザンレールの着地も美しく、脚捌きもきれいだ。もっと悪魔的なところがあればもっと良いのだろうけど、若さゆえの天然の残酷さには、シャルリュスなど簡単に翻弄されてしまうだろうって思った。

モレルに惑わされてヘロヘロになったシャルリュスがたどり着く場末の売春宿が、第9場。娼婦たちに小突かれからかわれたシャルリュスは、そこで女たちを従えた悪魔モレルに出会う。モレルは後ろ向きになったと思ったら、ついにガウンを落とし全裸になってシャルリュスを挑発。しっかりとした筋肉のついたステファンの裸体はもちろん美しい。そしていつのまにか彼は裸のままカウチに腰掛け、艶然と微笑む。背中と太もものラインは男性的なのに、少年のような顔がアンバランスでたまらない。

10場では、カード遊びをしている男たちの間に、シャルリュス登場。男たちのキャストがけっこう豪華で、ヤン・サイズやフロリアン・マニュネがいる。シャルリュス男爵は後ろ手に縛られ、転がされたり鞭を打たれたりいたぶられる。あのルグリ様がこんな目に遭ってしまうなんて!中でも屈強なスキンヘッドのハードゲイ風の男が怖い~。それでもなお優雅なルグリというのも凄い。オペラ座の若いダンサーたちはみんな美しいんだけど、毒気はちょっと足りなくて、売春宿でも、怪しげなアパルトマンでも、退廃的な雰囲気は出し切れていないのが惜しい。その中で、一人ルグリだけが、変態だけどエレガントな男爵という役を生きている。

うってかわって、11場はそれまでの暗い背景ではなく、光で満たされた白い背景の中、ほとんどシルエット状態の4人の男女が踊る。戦時下のパリで、地下鉄の通路で繰り広げられる見知らぬ同士の快楽の宴。4人はほとんど裸体で、そのうちの女性ダンサーもバストを露わに踊っているが、シルエットなのでまるで彫刻のようだ。官能的な振付ではあるのだけど、それよりも神秘的で幻想的な世界。ドビュッシーの音楽も美しい。

12場は、白天使、サン=ルーの長く美しいソロで始まる。輝くような美貌のマチューは、しかしここでまた黒い天使モレルの毒牙にかかる。破滅が待っているからこその最後の繊細な輝き、究極の美の体現者はマチューにしかできない役かもしれない。モレルに魅入られた彼は、抗うものの、いつしか光から闇の世界へと連れて行かれる。美しい二人の若者のパ・ド・ドゥは眼福。この「失われた時を求めて」のイメージ写真でも使われている、ステファンがマチューを抱えて天に向けて腕を伸ばしているシーンは、男性をサポートしなければならないとこともあり、非常にハードな振付。しかし、それがモレルの持つ暗黒面のフォースなのだ。光と闇が戦い、闇がすべてを支配する。そうやって、サン=ルーは破滅へと導かれる。フォーレのエレジーの響きの美しく悲しく痛ましいことよ!そしてその音楽と一体化した振付は圧巻。

最後の13場は、大きな鏡が背景に。ステファニー演じるヴェルデュラン夫人が再び登場。あでやかなヴェルデュラン夫人は貴族の生活を享受しているが、死者の群れが舞台を支配し始める。上半身が雄弁なステファニーの表現力は成熟していて見事なもの。死者たちは目の周りを真っ黒に塗っていてゾンビのようで不気味なんだけど、一方で椅子に座ったまままったく動かなくてうつろな表情のマルセル・プルーストもすごく怖い。いろいろな登場人物が走馬灯のように現れては消える。

******

第一次大戦という時代背景の切り取り方、光と闇の戦い、天国と地獄が表裏一体となった構成、そして底知れぬアンダーグラウンドの世界。何よりも音楽の使い方の巧みさ。同性愛的な描写、性描写を思わせるところもあり好き嫌いは分かれると思うけど、完成度は高く、時を超えてほの暗い光を放ち続ける美しい作品だと思う。暗い時代の中で葛藤する人間の機微、心の襞と暗黒、苦しみは、現代にも通じるテーマ。


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バレエ&ダンス/Proust: S.romberg Abbagnato Paris National Opera Ballet

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2008/03/16

Kバレエ・カンパニー「白鳥の湖」(DVD)

Kバレエ・カンパニーのDVD作品がCSのTBSチャンネルで放映されることは知っていたんだけど、うちはスカパーが観られない(アンテナを南側に立てられない)ので、観られないと思っていた。そうしたら、ケーブルテレビのオプションの中にTBSチャンネルが入っていたことに気がついた。気がついたときには「ジゼル」は放映が終わっていたんだけど、これは前に友達にDVDを見せてもらったことがあって、あまり好みではなかったので、まあいっかと。

Kバレエ・カンパニー「白鳥の湖」
振付/演出:熊川哲也
収録:2003年6月
オデット:ヴィヴィアナ・デュランテ
オディール:モニカ・ペレーゴ
王子:熊川哲也
ロットバルト:スチュワート・キャシディ
ベンノ:ジャスティン・マイスナー
王子の友人たち:長田佳世/ 榊原有佳子/ ヒューバット・エッソー

冒頭と終わりに人間の姿をしたオデットが登場するのと、3幕の構成、音楽の使い方がブルメイステル版風味。でも、1幕は比較的標準的な演出の「白鳥の湖」になっている。カメラワークも、演出も王子中心の視点となっていて、物語と、演出は非常にわかりやすい。私はKバレエって今まで3回しか観たことがなく、「白鳥の湖」は舞台では観ていないので実際の演出はどうかわからないのだけど、この映像では、3幕のキャラクターダンスがナポリとスペインしか登場しない。ちょうど2時間の尺に収めるために、DVDではマズルカやチャルダッシュを割愛したのかな?

熊川さんの王子は、一般的な「白鳥の湖」のへたれ王子的なところが微塵もなく、自信にあふれている若者で、オデットに恋をしたり、オディールに裏切られたりで初めて挫折を知り、人間的に成長するところが描かれている。1幕からかなり威厳があって、それでいてやんちゃなところもあったりで人間味があり、熊川さんらしい王子だな、と。熊川さんのことだから1幕から踊りまくるのかなと思っていたのだけど、そんなことはなく、踊りは抑え目ったのが意外だった。感情移入しやすいキャラクター作りをしているので、わかりやすい作品に仕上がっているのだと思う。演技力に疑問符がつくこともある熊川さんだけど、この作品に関しては、彼のやりたい方向と演技がぴったり合っていてとても良い。テクニックは、さすがに素晴らしい。3幕のバリエーションは白眉で、トゥール・ザン・レールもきれいに5番に着地しているし、アティチュードでのトゥールも胸がすくようでありながら、ちゃんと優雅さも残しているのがいい。3幕コーダのピルエットも、すごい勢いで回っているし。オディールとのアダージオでソテを何回も繰り返すというのは初めて観た振付だけど、彼じゃないとできない高度な振付のように見受けられる。5月の「白鳥の湖」公演のチケットを取っても良かったと思った。(でも、今深刻な財政難なので、お高いK-Balletは都ちゃんが出ない限り、なかなか観に行こうとは思わないのだ)

ヴィヴィアナ・デュランテのオデットは、表情などの演技は素敵だし、プロポーションも悪くないんだけど、腕の使い方が私の好みと外れている。ばたばたと激しく動かしていることが多いし、流れるようなしなやかさに欠けている。ヴィヴィアナはドラマティック・ダンサーだと思っていたのだけど、マイムやいわゆる演技の部分は良くても、腕による表現が粗雑なので白鳥に見えないし、情感も叙情性も出ない。うーむ残念。登場したところから、ロットバルトとのからみ、アダージオまで全部腕がばたばたともがいているのだもの。

一方、3幕のみに登場するオディールのモニカ・ペレーゴは非常に良かったと思う。フェりの「エトワール達の花束」公演で「エクセシオール」をロベルト・ボッレと踊った人だ。上半身が筋肉質なので、強そうに見えてしまうのだけど、テクニックがしっかりしており、ダイナミックな跳躍、妖艶で邪悪そうなところなどが強烈で素敵だった。ヴァリエーションは、ブルメイステル版のものに近く、ボリショイのグリゴローヴィチ版の短調の音楽で、高度なテクニックを使っているわけだけど、ピルエットも、デヴロッペも安定している。グランフェッテは、最初のようでちょっと軸が傾いたけど持ち直し、トリプルまで入れて、しっかりと回っていた。カッコいい!さすがの熊川さんも、ペレーゴには食われているなと思うほどだった。

ロットバルトのスチュワート・キャシディは、衣装がお仕置きさせられているかと思うほど、気の毒だった。男性の衣装で、アリやアラブ以外でお腹の部分だけが出ているのって初めて見た気がするんだけど間抜けだし、3幕では顔にへんなメイクを施してしていたりで、笑いそうになった。でも、彼のような踊りも演技もできる重厚なダンサーがロットバルトを演じると、作品が締まる気がする。

あと良かったのは、パ・ド・トロワや大きな白鳥、花嫁候補と大活躍していた長田佳世さんと榊原有佳子さん。特にパ・ド・トロワでの長田さんの切れ味のいい、細やかさとダイナミックさが同居した踊りは素晴らしい。長田さんは、オディールもレパートリーに入っているんだけど、5月の「白鳥の湖」ツアーではオデット/オディールを同じダンサーが踊ることになったためか?オディールに入っていないのが残念。私の数少ないKバレエ観劇体験の中でも、毎回突出していい踊りを見せているので、もっといい役で踊るところが観たい。

「ジゼル」を観たときには、コール・ドのレベルはとてもほめられたものではないと思ったのだけど、この「白鳥の湖」のほうは、揃っていないところが見受けられるものの、決して悪くはない。ただ、白鳥達の衣装が、膝下丈と長めでボリュームがあり、まるで腰蓑のようなので、脚がよく見えないのが不満。ロイヤル・バレエもこの腰蓑チュチュを採用していると思うので、真似しているのだろう。プロポーションも悪く見えるし、動いているときにふわっと広がってきれいなときもあるけど、静止しているときにダボっとしているように見えてしまう。特に、このチュチュで小さな四羽の踊りを踊られると、合っていなくて非常に滑稽だ。

この腰蓑スカートを除けば、ヨランダ・ソナベントによる衣装と装置はゴージャスで美しい。特に1幕、3幕とエピローフが豪華で、湖畔から一転してのエピローグの、今までに観たことがないような世界観(ちょっとキッチュだけど)には圧倒されたし、花嫁候補の衣装も、女王や貴族達の衣装も大変凝っている。カメラワークは熊川さん中心なので、時々オデットやオディールのほうを映して、と思うことがあった。エピローグの照明が明るすぎて、主役二人の顔がハレーションを起こしてしまって表情が全然わからなかったのも残念。

しかし熊川さんの凄さはよくわかる映像だし、エンターテインメント性を重視したわかりやすい演出、ペレーゴの魅力的なオディールにゴージャスな美術と、見ごたえはたっぷりあって商品として優れていると思う。熊川さんの古典改訂は、「ドン・キホーテ」といい、「海賊」といい、オリジナリティと才覚があるので、今後も手がけて欲しいなと思った。やはり次は「ラ・バヤデール」や「ライモンダ」あたりが観てみたいものだ。

熊川哲也 白鳥の湖熊川哲也 白鳥の湖
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追記;熊川哲也さんの特番があるようです。
(miyaさんの「ちょこっと劇場へ行ってきます」より情報をいただきました)
「熊川哲也 復帰への300日」 (仮題)
TBS(関東ローカル)|3月29日(土)15:00〜16:24
MBC|4月05日(土)15:30〜16:54

「第九」はなかなか良くできた作品のようですし、熊川さんも怪我から見事な回復を見せたようですね。3月は忙しいので観に行けず、残念です。

また、今後のK-Ballet作品の放映予定です。
TBSチャンネル
3月22日(土)20:00「コッペリア」
3月29日(土)20:00「ドン・キホーテ」
4月05日(土)20:00「くるみ割り人形」

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2008/02/25

パリ・オペラ座「ル・パルク」来日公演プレキャスト/「FIGARO」/「プルースト」DVD

ダンソマニさんの日本語版に出ていました。ありがとうございます。あくまでもプレキャストなので、正式なキャスト発表ではありません。

Le Parc

Pujol + Legris

Cozette + Leriche

代役. Renavand, Bridard

● 8人の女性 : Bance, Bellet, Granier, Batrice Martel, Pagliero, Renavand, Wiard, Lamoureux

代役. Ranson, Reichert, Robert, Wetermann, Fujii, Gilles, Perrachi, Pelzer


● 7人の男性 : Bezard, Charlot, Guerri, Hoffalt,Houette, Kim, Paul

代役. Chaillet, Pascal Aubin, Cordier, Renaud, Marc Moreau, Vantaggio

● 4人の庭師 : Gaudion, Valastro, Bodet, Leroux

代役. Couvez, Marc Moreau

アリス・ルナヴァン、オドリック・ベザール、ジョシュア・オファルト、キム・ヨンゴル、ニコラ・ポール、マロリー・ゴディオン、シモン・ヴァラストロといったところが出てますね。代役にヤン・ブリダール、藤井美帆さん、マルク・モローなど。


ついでに、「ル・パルク」の直前、5月16, 17(マチネ、ソワレ), 18日に北京国家大劇院で行われる「パキータ」公演のプレキャストも。

パキータ: ジロ、ルテステュまたはジルベール 代役ユレル、エケ
Paquita : Gillot ou Letestu ou Gilbert, remp. Hurel, Hecquet

ルシアン: モロー、エイマンまたはパケット 代役マニュネ
Lucien d'Hervilly : Moreau ou Heymann ou Paquette, remp. Magnenet

インディゴ: ビュリヨン、パケットまたはファヴォラン 代役メイザンディ
Inigo : Bullion ou Paquette ou Phavorin, remp. Meyzindi

パ・ド・トロワ: ユレル+ウード=ブラハム+ティボーまたはズスペルギー+ダニエル+エイマン
代役フィアット、フルステー、メイザンディ、ガイヤー
Pas de 3 : Hurel + Ould-Braham + Thibault ou Zusperreguy + Daniel + Heymann,
remp. Fiat, Froustey, Meyzindi, Gaillard

ドナ・セラフィナ: シアラヴォラまたはグリンシュタイン 代役ダヤノヴァ
Dona Seraphina : Ciaravola ou Grinsztajn, remp. Dayanova

ドン・ロペス: モナン 代役ミュレス
Don Lopez de Mendoza : Monin, remp. Murez

エルヴィリー伯爵:ホフまたはウィルク
Le Comte d'Hervilly : Hoff ou Wilk

女伯爵: ジェルネスまたはフェンウィック
La Comtesse : Gernez ou Fenwick

若いジプシーの女: ヴェルデュセン 代役ディヤック
Une jeune gitane : Verdusen, remp. Dilhac


正直言って、「ル・パルク」に関してはルグリとニコラの男性主役以外は、「パキータ」に比べて明らかにキャストが見劣りしていますね。特に女性に関しては地味です。男性も若手で人気のクラシックダンサーたちはみんな北京・・・。これから期待の若手はル・パルクにも出てくれますが。(オドリック・ベザールやシモン・ヴァラストロが楽しみ)
ひょっとして、マチアス・エイマンのエトワール任命の可能性もあるんじゃないかとか勝手に予想したりして。

それから、マチュー・ガニオがどちらの公演にも予定されていないのが気になります。怪我が長引いているのでしょうか?心配です。

現在発売中のフィガロ・ジャポン3月1日号「パリ・オペラ座物語」は、「カリギュラ」の特集で、マチューの麗しい写真も掲載されていますが、オペラ座で3月に上演される「カリギュラ」にも、残念ながらマチューは出演しないのですよね。前半3ページがファースト・キャストのジェレミー・ベランガール、後半1ページがセカンドキャストのマチューなのですが、比べちゃかわいそうなくらい、ルックスの差が際立ってしまっています。振付のニコラ・ル・りッシュのインタビューが掲載され、クリエーションのきっかけ(やはりルフェーヴェルは、ダンサーに振付を行うことを奨励し、振付ができるダンサーを優遇しているようです)、キャスティングの理由、衣装、この作品について細かく語ってくれています。さらにジェレミー、マチュー、クレールマリ・オスタのインタビューも。

この号には、ガルニエで行われているローラン・プティ展についての紹介もあり、「プルースト」の写真も小さいですが載っています。舞台装置や衣装が展示されているようですが、プティ作品には、マックス・エルンスト、デ=キリコなど錚々たるアーティストが参加してきたのですね。

そのローラン・プティの「プルースト」DVDですが、輸入盤が日本でも発売されます。お買い得だけど発売日が4月30日と遅いHMV、3月11日発売だけど値段が高いAmazon.co.jpと迷って、結局、、リージョンALLということで私はAmazon.comで注文することにしました。今はちょうどドル安なのです。

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2008/02/03

DVD「マリインスキー劇場のジルヴェスター・コンサート」New Year's Eve in Saint Petersburg

指揮:ワレリー・ゲルギエフ(Valery Gergiev)
演奏:マリインスキー劇場管弦楽団
照明:ウラジーミル・ルカセーヴィチ

演目
「眠れる森の美女」抜粋
音楽:P.I. チャイコフスキー/振付:マリウス・プティパ
改訂:セルゲイ・ヴィハレフ/美術:Matvei Shechkov
衣装:Ivan Vsevolozhsky


オーロラ姫:エカテリーナ・オスモールキナ
デジレ王子:アンドリアン・ファジェーエフ
ダイアモンドの精:ヴィクトリア・テリョーシキナ
金の精:ヤーナ・セリーナ
銀の精:マリーヤ・シリンキナ
サファイアの精:ダリア・スホルーコワ
リラの精:エカテリーナ・コンダウローワ
白い猫:クセーニャ・オストレイコフスカヤ
長靴を履いた猫:アントン・ルコヴキン
フロリナ王女:ユーリャ・ボリシャコワ
青い鳥:アントン・コールサコフ
カラボス:イスロム・バイムラードフ
フロレスタン王:ウラジーミル・ポノマリョフ
王妃:エレーナ・バジェーノワ

「瀕死の白鳥」
音楽:カミーユ・サン=サーンス/振付:ミハイル・フォーキン
ウリヤーナ・ロパートキナ

歌劇「ランスへの旅(Il Viaggio a Reims)」フィナーレ
音楽:ジョアッキーノ・ロッシーニ
出演:マリインスキー劇場アカデミーの若手アーティストたち

2007年の大晦日にはミラノ・スカラ座でチャイコフスキー・ガラを観たのだけど(これもDVD化される予定)、2006年の大晦日に開かれたマリインスキーのジルヴェスター・コンサートがDVD化されたと言うので買って観てみた。最後はドレスアップした出演者でシャンパンで乾杯、ってところはとてもよく似ている。

「眠れる森の美女」の3幕と「瀕死の白鳥」だけで1枚のDVDにするにはあまりにも短いのでは、と思ったけれどもバレエの方も大変充実していたし、55分にもわたる映像特典の内容がとても良くて、値段分のお値打ちは十分あったと思う。

ゲルギエフの指揮による前奏曲が流れ、素晴らしい演奏に合わせてサンクトペテルブルグの美しい街並みや人々の暮らしの一端が映し出される。これを観て、いつかサンクトペテルブルグに行ってみたい、と思う人も多いのではないかしら。水のある街というのは(ハンブルクもそうだけど)本当に素敵。

「眠れる森の美女」3幕

「眠れる森の美女」は3幕だけでなく、オーロラ姫の目覚めから始まる。ガラとはいってもゴージャスな舞台装置が用意されていてため息が出るほど。オーロラ姫が眠るベッドへと駆けていく王子はファジェーエフ。縦ロールの長い巻き毛のカツラをかぶっていてひえ~と思うけど、ファジェーエフのような麗しい絵に描いたような王子様だからこそ、このカツラ姿もなんとか見られる。この髪型で3幕も踊ったらどうしようと思ったけど、さすがにそれはなかった(笑)

3幕も、ファジェーエフの完璧な王子様にノックアウトされる。エレガントで透明感があって、笑顔が優しく爽やか。エスコート振りも堂に入っている。アダージオのときにオーロラを受け止めようとするポーズに頼りがいがあり、素敵なことこの上なし。ヴァリエーションも軽やかで品があり、マネージュでもキレイに伸びた脚が美しい。ファジェーエフ以上に踊りもヴィジュアルも王子らしいダンサーって存在していないでしょう、きっと。

オーロラはエカテリーナ・オスモルキナ。大晦日のガラの主役を踊るほどの格のダンサーではないと思うけど、丁寧な踊りで好感度は高い。上半身の動きが柔らかく非常に美しい。ただ、大一番であったので緊張していたようで、軸足がすこしぶるぶる震えているのがわかってしまった。映像ってこういう点、残酷。多分実際のステージを見ていたら気がつかなかったと思うけど。主役を張る存在感をもう少しつけたら、プリンシパルになれる逸材であることは感じさせる。あたりまえだけど、去年のボリショイ&マリインスキー合同ガラでファジェーエフ相手に眠りを踊ったソーモワよりはずーっと良い。

DVDのジャケットや、本編の映像クレジットでフロリナ役はダリア・パヴレンコと書いてあるんだけどどう見てもパヴレンコではない。マリインスキーのプレイビルやBallet Talkのフォーラムを見ると、ユーリャ・ボリシャコワとのこと。とても愛らしいフロリナ姫。青い鳥はアントン・コルサコフなんだけど、この役を踊るにはちょっと(かなり)太りすぎなのではないかと思う。足先などはもちろんとてもきれいなんだけど、とっても重そう。

あまり踊らない役だけど、リラは最近とても気になるエカテリーナ・コンダウローワ。長身赤毛の美女で、4月にNYで観る「シェヘラザード」でゾベイダを踊るというから楽しみ。4人の宝石の精のキャストもなかなか豪華だけど、やはりダイアモンドの精のテリョーシキナは別格。ものすごい貫禄があって、とっても正確、アカデミックな踊りを見せてくれる。真ん中で踊っても誰にも負けない存在感の持ち主。いずれにしても、宝石4人は粒ぞろい。

最近は「眠り」はディヴェルティスマンを端折る傾向が強いけど、今回は人食い鬼と親指小僧、あかずきんちゃんと狼、シンデレラと王子など、いっぱい登場する。白い猫役のクセーニャ・オストレコフスカヤがもうめちゃめちゃ美人。それと親指小僧たちはたぶんワガノワの生徒さんたちなんだと思うけどすごく可愛い。シンデレラを追いかける王子が、冗談みたいな王様の冠だったのですごく笑えた。

ヴィハレフ復元のこの眠り、美術や衣装が豪華なんだけどセンスは、ちょっと趣味が良いとは言いがたい感じ。王子はハーフスパッツのようなものを穿いているので、せっかくのファジェーエフの美脚の魅力が生かされていない。オーロラの衣装が、濃いグリーンというのも変わっている。女性陣はオーロラとダイヤモンドの精以外は、カールのあるカツラ着用。よく眠りで使われる白髪のようなカツラよりは全然マシとは思うんだけど。

「瀕死の白鳥」
「眠り」のパ・ド・ドゥが終わると通常はアポテオーズとなるはずだけど、突然暗転し、ゲルギエフがマイクを持って「スペシャル・サプライズがあります」とアナウンスすると、サン=サーンスのメロディが流れ、暗闇から後ろ向きにパ・ド・ブレするロパートキナ。ロパートキナの瀕死の白鳥は、ヴァリエーションレッスンのDVDやボリショイ・マリインスキー合同ガラなどで何回も目にしているのだけど、毎回表現が少しずつ違うのがすごい。気高い魂、生きようと抗うさま、苦しみや痛み、そして小さくため息をついて静かに迎える死と、毎回表現は違っていても感動するのは同じ。この「瀕死」については、映像特典でロパートキナがいろいろと語っている。

フィナーレ
瀕死の白鳥が終わると、アポテオーズとなり、ダンサーたちが入場する。そして最後に、ドレス姿&タキシードのオペラ歌手たちがシャンパングラス片手に入場。「ランスへの旅」のフィナーレを歌い上げるけど、このメロディが、「眠れる森の美女」と同じと言うところがポイント。眠りもランスへの旅も、同じアンリ4世讃歌を基にしているということだそうだ。歌手が歌うことで、華やかさが増して、特別なイベントである感が高まる。そして最後に、ゲルギエフと、ドレスに着替えたロパートキナが手を取り合って入場。ロパートキナは背が高くてスリムなので、ドレスを着ると本当に美しくスタイリッシュ。オペラ歌手たちも、美人が多いんだけど当然体型はふくよかだから、ますますロパートキナのスタイルのよさが際立つ。乾杯の前にすでにバレエダンサーたちがシャンパンに口をつけているのが笑えた。

特典映像
サンクトペテルブルグの街の様子や人々を捉えていたり、観客なども映していたりしたけど、やっぱり注目はリハーサルの模様。バーレッスンをするダニーラ・コルスンツェフの姿が見られて嬉しい。それから、今回の「眠り」のリハーサルをするファジェーエフとオスモルキナ。教師にいろいろと指示をされているのだけど、字幕がつかないので何を言っているのかはわからない。でも、一生懸命リハーサルに励むファジェーエフが素敵で、ファンの方には必見の映像だと思う。ワガノワバレエ学校の子供たちが、「くるみ割り人形」(これは正統派の演出)のリハーサルに臨む様子がとても可愛い。ゲルギエフがピアニストと行っているリハーサルと、ロパートキナのインタビューだけ英語字幕がつく。楽屋と思しきところでのロパートキナは、鏡に向かって微笑む姿がとても可愛らしい。クールで理知的なイメージが強い人だし、実際インタビューを見ても、思慮深くいろいろなことを考えていてインテリジェントなのがわかるんだけど、人柄の良さを感じさせる笑顔は優しく魅力的だった。

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2008/01/09

ロイヤル・バレエのDVDリリース予定

YouTubeに公式チャネルを開設するなど、活発な動きを見せているロイヤル・オペラ・ハウス。SNSのFacebookにもアカウントを作成し、独自の情報発信を行っています。

そのFacebookの情報によると、 ROMEO & JULIET「ロミオとジュリエット」 (Universal label)、 GISELLE「ジゼル」そして SLEEPING BEAUTY「眠れる森の美女」のDVDが、遅くとも半年以内にDVDとして発売されるとのことです。ロイヤル・オペラ・ハウスはOpusArteを買収したのに、ユニヴァーサルからDVDが出るのが不思議ですが、いずれも、英国内で放映された作品と思われます。

「ロミオとジュリエット」はタマラ・ロホとカルロス・アコスタ、「ジゼル」はアリーナ・コジョカルとヨハン・コボー、「眠れる森の美女」はアリーナ・コジョカルとフェデリコ・ボネッリの主演によるものですね。「眠り」だけでも、来日公演前に日本で発売されるといいな。「ジゼル」はテレビ放映されたものを観ましたが、素晴らしいパフォーマンスです。

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2007/12/24

マリインスキー・バレエ「くるみ割り人形」DVD(ゲルギエフ指揮)

改訂:ミハイル・シェミャーキン
改訂振付:キリル・シーモノフ
美術:ミハイル・シェミャーキン
指揮:ヴァレリー・ゲルギエフ
収録:2007年1月2日 マリインスキー劇場

シュタールバウム/ねずみの王様:ヴラジーミル・ポノマリョーフ
シュタールバウム夫人/ねずみのお妃:エレーナ・バジェーノワ
マーシャ:イリーナ・ゴールプ
フリッツ/ねずみ軍の指揮官:アントン・ルコーフキン
ドロッセルマイヤー:アントン・アダシンスキー
くるみ割り人形:アレクサンドル・クリコフ
王子になったくるみ割り人形:レオニード・サラファーノフ
昆虫男:エドゥアルド・グーセフ
クリズリュー、ねずみの枢機卿:アンドレイ・ヤーコヴレフ
雪の女王:エカテリーナ・コンダウーロワ
(ディヴェルティスマンの個別クレジットはなし)

ここ数日「くるみ割り人形」マイブームで、明日もモスクワ音楽劇場の「くるみ割り人形」を観るのだけど、入手してから観る暇がなくて寝かせていたマリインスキーの「くるみ」を観ることにした。すでに観た友人たちからは、奇抜だとか、マリインスキーのダンサーの無駄遣いとかさんざん聞かされていたので、相当ひどいものを覚悟していたのだけど、そこまでではなかった。でも、やっぱりマリインスキーのダンサーがもったいなく思えるプロダクションだと思う。

いきなり精肉工場のようなところから始まることからして、ブラックなこの作品。肉がぶら下がっていたり、子供が腸詰で遊んでいたり、赤ちゃんをバケツに入れていたり(!?)と。いつもながらとても艶やかで美しいエレーナ・バジェーノワのお母さん、それからお父さんは二人の子供たちにとっても冷淡。マーシャたちはとても裕福なおうちの子供のはずなのに、マーシャの髪はぼさぼさのお団子だし、まるで「シンデレラ」のような扱いを受けている。ねずみのならず者が台所を仕切っていたりする。そしてとても不気味なドロッセルマイヤー。デヴィッド・リンチの映画に出てくる死神のような感じだ。彼の役割はなんだかよくわからないけど、とにかく不穏な空気を最後まで撒き散らしている。ここの登場人物はとにかくみんな冷淡で、唯一マーシャの味方になりそうなフリッツも、ねずみ軍の指揮官になっちゃうし。そんな中でマーシャのたった一人の理解者が、くるみ割り人形だったってワケ。

セットも衣装もとてもシュール。個人的には、マスクを多用しすぎていて顔が全然わからないことと、せっかくのプロポーションの良いダンサーたちにファットスーツを着せてしまっていること以外は、このダークなセンスはそんなに嫌いじゃない。でも、マスクの人だらけなのは、本当につまらない!

振付は、中途半端なコンテンポラリー風で、マッツ・エックっぽいところも出てくる。足はフレックスだったり、6番だったり、2番プリエがたくさん出てきたり、床の上でごろごろしたり、でもクラシック的なところもあって中途半端。1幕のマーシャはポアントではなくバレエシューズだし。特にマーシャの振付は上半身を倒したり、すごく複雑で難しそう。そんな振付を、イリーナ・ゴルプは良く踊っていると思う。彼女はクラシックよりコンテ寄りが得意なので、この役は合っているのではないかしら。辛い境遇にめげずに元気いっぱいに生きるマーシャ像だった。

印象的なのは雪のシーン。合唱の子供たちも舞台に上がるのだけど、蝋燭をもって青白いゴスメイクに目もうつろ。がたがたと歩いていて、まるで亡霊のよう。そして雪の精たちの衣装が黒。床に寝転がって足をバタバタさせたり、ひえ~って思ってしまった。雪というよりブリザードの精(もしくはウィリ軍団)で、最初は調子に乗っていて一緒に踊っていたマーシャも、あまりのスピードに危うく死亡。雪の女王のコンダウローワ、すごく威厳があってカッコよくて素敵。

2幕のディヴェルティスマンは、まあそこそこなのと、なんじゃこれは、というのが混じっている。キャストで誰が誰だか載っていないので判別が難しい。スペインの片方がイスロム・バイムラードフさん。彼は相変わらず脚がきれい。中国の男性ソリストは小柄だけどすごく上手い(多分、アンドレイ・イワーノフ)。通常アラブの踊りは「蛇の踊り」といって、壷の中から蛇女が登場するのだけど、この蛇女が、バレエダンサーには珍しいダイナマイトバディで、ものすごくエロティックで妖しく美しく、見ごたえもたっぷり(エカテリーナ・コンダウローワかな?)。でも、トレパック(「ペトルーシュカ」となっている)はこれまた着ぐるみ足先フレックス系で面白くないし、葦笛にいたっては蜂なのだ。

くるみ割り人形に、マーシャがキスすると、マスクが取れて王子サラファーノフがやっと登場。(残り15分のところ!)この「くるみ」、マーシャと王子のキスシーンがやたら多い。そしてパ・ド・ドゥもやたら色っぽい雰囲気。王子のヴァリエーションは比較的普通の振付。サラファーノフの、グランド・ピルエット・ア・ラ・スゴンドは軸も安定しているし、足先もきれいに伸びていてお見事。スポッティングする顔の向きを少しずつ変えていっていて正確この上なし。このときは調子も良さそうで、高さはそんなにないものの、トゥールザンレールもきれいにキマっていて軽やか。ゲルギエフの指揮は、PDDの時はものすごく走っていて、通常考えられないくらいの速さだったけど、サラファーノフも、ゴルプも、音に良くついていっていて、すごい音楽性、と思った。こういう普通の振付を見ると、ほっとする。金平糖のソロは、往時のソロと比較するとやっぱりコンテ色が強い。ゴルプの持ち味と相俟って、お姫様っぽさは全然ないけど、こういうのもありとは思う。このパ・ド・ドゥだけは幸福感があるのだけど、豪華なケーキが画面に現れるラストには、これまた最悪に後味の悪い結末が待っているのだった・・・。

この作品には、冷戦時代のソ連の独裁者による恐怖政治に対する批判とか、子供たちは大人の犠牲者だというメッセージがあるのだそうだけど、ダークな描写に、子供が見たら絶対泣きそう・・・そもそもホフマンの原作はホラー色が強いものだし、こういう作品があってもいいとは思うんだけど。私もゴス的なこういう作品は嫌いじゃない。マリインスキーじゃなくて、どこかコンテンポラリー系のカンパニーが上演すれば、意欲的な作品なんだと思って楽しめるはず。でも、天下のマリインスキーがやるのには向いているとは思えないし、美しいプロポーションと古典の技術を持つダンサーには、合っていないんじゃないかしら・・・。もったいないお化けが出そう。

でも、サラファーノフ、ゴルプ、それからゲルギエフのファンだったらきっと楽しめるんじゃないかと思う。サラファーノフの出番は15分だけど、彼の持てるテクニックは存分に発揮されているから(短すぎて暴れる方もいるかもしれないけど)。ゲルギエフはご満悦のようで、カーテンコールの時の表情も実に楽しそうだった。

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2007/12/06

パリ・オペラ座、プルースト「失われた時を求めて」DVD発売

ダンソマニさんを見ていたら、パリ・オペラ座、ローラン・プティ振付の「プルースト 失われた時を求めて/Proust où les intermittences du coeur」の発売情報がありました。FNACで出ているということで検索してみたらあった!

1月10日に発売になるそうです。そのうちAmazon.frなどで買えそうですね。

http://www4.fnac.com/Shelf/article.aspx?PRID=2167467&OrderInSession=1&Mn=1&SID=cefd30b6-209f-6591-01d6-30827fd9ac55&TTL=071220070238&Origin=FnacAff&Ra=-3&To=0&Nu=1&UID=0bb9a30e3-b9f9-d10d-e967-76dc3e74f5d3&Fr=0

振付 Roland Petit
出演 Eleonora Abbagnato, Stéphane Bullion, Hervé Moreau, Mathieu Ganio, Manuel Legris
発売元 Bel Air
フォーマット NTSC
上演時間:102分

追記:BelAir Classiquesのサイトを見ていたら、発売予定として、今年の大晦日のミラノ・スカラ座のチャイコフスキー・ガラがDVD化されるっぽいです。(フランス語が怪しいので確信が持てないのですが)

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2007/11/30

「VOGUE NIPPON」にギエムとフェリのインタビュー/スカラ座「真夏の夜の夢」はリージョンALL

VOGUE NIPPONでは「踊る女/踊らない女」というタイトルで、シルヴィ・ギエムとアレッサンドラ・フェリのインタビューを掲載しています。

踊る女の代表であるギエムは、写真集「INVITATION」からの写真を中心に構成。私はギエムはダンサーとしてはそれほど好みのタイプではありませんが、生き方についてはこれ以上カッコいい女性はいないと思うし、素敵だと思います。写真も一枚一枚が本当にスタイリッシュで、凛としたギエムを切り取っています。現在は合気道に本格的に専念するということなので、12月の「ギエム・オン・ステージ」での「PUSH」や「TWO」が楽しみです。

踊らない女の代表は、44歳の今年引退したフェリ。おそらくこの記事は、ニューヨークで、ABTでの最後の舞台の少し前にインタビューされたものだと思います。ロベルト・ボッレもその時いたようで、彼の、「バレエは、最大限の自分を出し切れなければその人の価値はゼロに等しい。自分のミスと常に向き合っていなければならないんだ」という言葉が登場します。ABTのバレエ・ミストレスであるジョージナ・パーキンソンがロベルトに「常に100%出し切るのよ。99%じゃダメなのよ」と語りかけたことに対応する言葉です。
フェリのインタビューは、他の色々なインタビューでの言葉とほとんど同じ内容ですが、この記事の特筆すべきところは、フェリの夫ファブリツィオ・フェリが撮影した美しい写真の数々。VANITY FAIRのイタリア版を飾り、ABTでの引退公演の時にはメトロポリタン・オペラ劇場にも飾られた、ニューヨークでの高層ビルを背景にしたフェリとロベルトの陰影に富んでドラマティックなショット。母の「マノン」のポスターの前で微笑む、愛らしい二人の娘さんたちの写真もあります。

そう、二人のバレリーナの写真は、両方とも、愛するパートナーの撮影によるものを中心としているのですね。

*****
フェリとロベルトといえば、発売予定日から1週間遅れて、ミラノ・スカラ座の「真夏の夜の夢」(バランシン版)のDVDが届きました。アマゾンではリージョン1と書いてありますが、TDKのサイトのほうが正しくリージョンALLですので、安心して買い求められますね。
ついでに、アマゾンUKから取り寄せた「シルヴィア」も届いていました。こちらもリージョンALLです。

*****
さらについでですが、新国立劇場10周年記念の記念誌とDVDが、ラッキーにも当たりました。わ~い観るのが楽しみです。今週末はフィギュアスケートのNHK杯(テレビ観戦)、スターダンサーズ・バレエ団のガラ、それから世田谷パブリックシアターでのカフカ「失踪者」と忙しいので見る時間があるかな?

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2007/11/04

「BALLERINA マリインスキー・バレエのミューズたち」

「ロシアが世界に誇る三大プリマ・バレリーナ ザハロワ、ロパートキナ、ヴィシニョーワに 今注目のマリインスキー・バレエのホープ、ソーモワ、オブラスツォーワをくわえた豪華キャスト陣による、ロシアバレエ界初の ドキュメンタリー大作」

といううたい文句なので、ロパートキナやヴィシニョーワ、ザハロワがたっぷり見られるかと思ったら、それはちょっと違っていた。実際には、ソーモワとオブラスツォーワが成長する様子を中心に、前述3人についても、彼女たちの大先輩としてちょっと取り上げてみましたという風。したがって、これら3人の映像を観たいと思ってこのDVDを買った人はちょっと裏切られた気分になっちゃうかも。ただし、マニュエル・ルグリがヴィシニョーワとパリ・オペラ座で「マノン」を踊った時のリハーサル映像や、インタビュー(3回も登場!)があるから、ルグリのファンにとっては嬉しい驚きがあるかもしれない。

アリーナ・ソーモワがワガノワの卒業公演で「パキータ」を踊り、マリインスキーへの入団が決定するところから始まる。この頃のソーモワは今みたいな金髪ではなくてブルネット、垢抜けなくて素朴な印象。芸術監督のワジーエフは相当彼女を気に入ったようで、妻のチンチコワを教師としてあてがう。入団してただ一人、全米ツアーに同行させるなど、彼女に対する期待は並大抵のものではない。ルグリがインタビューで語っていたように、パリ・オペラ座は厳格な階級主義で、階級に応じた役柄が当てられるが、周囲が手を差し伸べて助けてくれる。ところが、マリインスキーでは、若手でもどんどん大きな役を与えるから、すごく大変だけど早く育つと。(でも、未熟なバレリーナの主演を見せられる観客の方はたまったものではないけど・・・)
いずれにしても、ソーモワは入団2年目くらいで早くもオデットを踊ることになって猛特訓を受けさせられている、その様子がたっぷりと収められていた。(だったら、なんであのヘンなクセ-脚を毎回6時のポーズまで上げてしまう-を直さないのかなあ。この映像の頃はそれほどクセはなかったのに)

もう一人の若手バレリーナとして登場するのが、ソーモアのひとつ先輩のエフゲーニャ・オブラスツォーワ。とても可憐な彼女は、稽古場の近くに実家があって、空き時間があると帰ってくるほど家族と仲がよい。ソーモワがオデット型なら、小柄なオブラスツォーワはジュリエット型というわけで、演技力の方はなかなかあるようだ。「ロミオとジュリエット」や「愛の伝説」のシリンの映像が少し流れるけど、若いのにドラマティックな役に深みがある。彼女が着ているワンピースがとても可愛い。そして、彼女はセドリック・クラピッシュ監督の映画「ロシアン・ドールズ」に出演して、映画に出るという夢をかなえたという。映画の中での結婚式のジェーニャ(オブラスツォーワ)の花嫁姿も実にキュートだった。

ロパートキナは、大きな怪我をして2年間休み、その間に結婚や出産をして、復帰を遂げるという時期に撮影がされていた。大きなブランクがあっても、焦りを微塵も感じさせないところがさすが。ほんの短い映像だけど、「シェヘラザード」と「ダイヤモンド」「愛の伝説」が観られたのは良かった。ロパートキナのショートヘア、とてもよく似合っていて素敵。シルエットで映る「瀕死の白鳥」も、美の極致としか言いようがない。彼女がリハーサルをしているところや舞台に出演していると、他のバレリーナたちが集まってきて凝視しているのがなんとも印象的だった。

ヴィシニョーワって、ワガノワ史上最高の点数をとった人だったと聞いてちょっと驚いた。
ヴィシニョーワは国際的に活躍するプリマというわけで、前述したようにオペラ座での客演が取り上げられる。ルグリが、彼女の演技力や知性を褒め称えている中で、「脚をちょっと高く上げすぎるけどね」と言っていたのがちょっと笑えた。ルグリってよほど語るのが好きなのか、ここでも話し出したら止まらなくなっていて、ファンにとっては嬉しい驚きがあるのではないかしら。ヴィシニョーワも語り好きなので、この二人は相性がすごくよさそう。ヴィシニョーワとイーゴリ・コルプの「マノン」リハーサル映像が最後にちょっと出てくるのも嬉しいおまけ。

ザハロワは登場時間がちょっと短くて。素顔で出てくるザハロワは本当に美人。すでにこの段階から、スターオーラがすごい。ゼレンスキーとの「白鳥の湖」のリハーサルシーンはかなり貴重。他にも、マリインスキーのクラスレッスンの様子などはたくさん見ることができる。

インタビューでは、他に、ワガノワの校長であるアルティナイ・アスィルムラートワ(今でも美人)やワレリー・ゲルギエフも登場する。ダンスのシーンが短くてぶつ切りなのは残念だけど、ドキュメンタリーとしてはなかなか面白かった。フランスで制作された作品なので、ナレーションはフランス語だった。

なお、映画館ユーロスペース1で、2007年11月3日から16日までこの作品がレイトショー公開されるとのこと。

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2007/10/16

世界のプリマバレリーナたちVol.1 ヴィシニョーワのヴァリエーションレッスン

マリインスキー・バレエのディアナ・ヴィシニョーワが自ら選んだ、4つのヴァリエーションのレッスンと舞台映像で構成。自らお手本を見せながらテクニックや表現方法を語る。恩師であるコワリョーワ先生立ち合いのもと、2007年、ワガノワ・バレエ・アカデミーにて収録。 

[演目]
「白鳥の湖」より オデットのヴァリエーション
「ドン・キホーテ」1幕より キトリのヴァリエーション
「ジゼル」2幕より ジゼルの登場
「眠れる森の美女」1幕より オーロラのアントレとヴァリエーション


「ロパートキナのヴァリエーションレッスン」と同時期に買ったのだけど、時間がなくて今まで観られなかった。Vol.1ということは、この先も期待していいのかしら?

ヴィシニョーワの個性がずいぶん出ている一本になっている。最初と最後は、サンクトペテルブルグの街を案内。お天気は悪そうだけど、運河の多い美しい街で、ヴィシニョーワがこの街、そしてマリインスキー・バレエを心から誇りに思っているのがよくわかる。

今までヴィシニョーワって良くも悪くもディーヴァっぽいイメージが強かった。だけどこのDVDを見て思うのは、彼女はとても気が強く負けん気があるけど、可愛らしい人なんだなということ。自分の思い入れが強い作品を紹介しているからだと思うけど、実に嬉しそうに生き生きと、作品について熱心に語っている。話しているだけではなくてもう少し踊って、って思わないこともないんだけど好きな作品やバレエについて話し始めると止まらないんじゃないかなって。ロパートキナのヴァリエーションレッスンの方は、お手本をきっちりと撮影して語りは完全に別録りだったようだだった。こっちは同録で、お手本を見せながらも踊っているものだから、途中で話すのにも息が切れちゃっているし、お手本も途中までで終了になっている。このあたり、二人の性格の違いがよく出ている。

「白鳥の湖」より オデットのヴァリエーション

「白鳥の湖」のニ幕終盤のオデットのヴァリエーション。両腕をゆっくりと下ろすところから始まる。ヴィシニョーワの腕の動きは独特で、かなりクネクネしているので私はちょっと苦手なのだけど、自分の中に確固としたオデット像を持っていて、そのオデット像自体は去年のマリインスキー・バレエの公演で観たときにかなりのインパクトを受けて新鮮に感じた。ヴィシニョーワはなかなかオデットを踊る機会に恵まれず、初めてオデットを踊ったのがパリ・オペラ座、セルゲイエフ版を初めて踊ったのが新国立劇場で、なかなかマリインスキーでは踊らせてもらえなかったのだ。それだけに、自分なりの役作りの思い入れとともに、オデットというのはある程度踊る人の自由な解釈で踊っていいのよ、と話していたのが印象的。「ここはこういうポーズでもいいし、こんなのでもいいと思います」なんて感じでいろいろポーズを作ってくれたりして。さすがに一つ一つのポーズはとても綺麗だし、重心をすごく前に持っていって、白鳥特有の胸の形を作るところは惚れ惚れするほど色っぽい。背中が柔らかいのでアラベスクもさすがに美しいし。ワガノワ・アカデミーの稽古場の床が堅そうで、ポアントの音もかなりしていたけど踊りにくくないのかなと少しだけ心配になった。

「ドン・キホーテ」1幕より キトリのヴァリエーション

ワガノワの生徒としては異例のローザンヌコンクール出場後、初めて全幕の主演をしたのがこの作品とのこと。
通称カスタネットのソロと呼ばれている1幕のスピーディなヴァリエーション。キトリのシグネチャー的な踊りとして大きなインパクトを与えなければならないところ。あとで登場する「眠り」の1幕の登場シーンと同様、ここでの出来が舞台全体の完成度を左右するというからけっこうプレッシャーが大きい。よく「ドン・キホーテ」の舞台写真で使われる、キトリが大きく背中を反らせて跳躍するところは実はあまり難しくないとのことだけど、プリエをあまり深くすると綺麗に跳べないそう。音にぴったりと合わせてリズミカルに踊るのが何よりも難しいとのこと。アクセントをつけるポーズは、踊る人の裁量に任されている部分が多いそう。この場面は三段のティアードスカートで踊るのが一般的なのだけど、「スカートの見せ方も大事です」と言ってさっと作ってくれたポーズが、ラインもキレイにカッコよく決まっている。でも最後のシェネのところはあまりにも速く回りすぎて、マイクが飛んじゃって慌てていたのが可愛い~。
ヴィシニョーワは、どちらかといえばドラマティックな役柄を好んで踊るので、キトリのイメージはあまりないけれども、彼女のキトリも機会があれば観てみたいなと思った。

「ジゼル」2幕より ジゼルの登場

「ジゼル」は、ヴィシニョーワが最も愛する作品のひとつということだそうで。ウィリとなったジゼルが、右腕アロンジェ、アティチュードで高速回転するヴァリエーション。顔のつけ方も、通常の回転とは異なり、スポッティングというよりは、顔は動かさないで回らないといけないのでかなり難しい。腕、アティチュードにした脚も動かさないで、片脚の動きだけでの回転で、しかも音楽とぴったりと合わせて踊らなくちゃいけないものだから。
「でも、難しいのは1幕です」ということで、日常生活の中の表現をしながらも、特にパートナーと息をぴったり合わせなくてはならないところが大変とのこと。作品を愛するあまり、ジゼルとしてデビューする予定を2回も延期して、納得のいくところまで完成させてから出演したそうで。ヴィシニョーワのジゼルは、表現にかなりクセがあるので、好き嫌いが分かれるとは思うけど。


「眠れる森の美女」1幕より オーロラのアントレとヴァリエーション

「この作品を踊るために、バレリーナは血を流します」というほど、厳格な踊り方が決められていて難易度の高い踊り。この登場シーンが上手くいくかどうかで作品の質が決まるわけで、どんな名バレリーナでも、ここを踊るには非常に緊張するとのことで、ヴィシニョーワも、登場の曲が流れ出すと一瞬心臓が止まりそうになるそう。
「白鳥」や「ドン・キホーテ」はある程度、バレリーナが自分流に踊ることが許されているけど、「眠れる森の美女」は、特にペテルブルグ派は厳密な決まりがあって、それを逸脱することは許されなくて、それが本当に難しいとのこと。アントレのところでの細かい前や後ろのアティチュードを音楽に合わせるのが特に大変だそうで。オペラ座(ヌレエフ版)とマリインスキーの違いも、パ・ド・シャを実演して説明。
でも、ヴィシニョーワのお茶目なところは、ヴァリエーションについて表現するところで、「いたずらもしますよ」と後ろにポアントでぴょこぴょこと進み、1回転すると「かわいい」とほめられて喜んでいたりするのだ。ものすごくつらい踊りでも、そのつらさを微塵も見せないで幸福感で満ち満ちた16歳の姫を演じなければならない。だったら、そのつらいところを楽しく見せるための工夫のひとつなんだろうな、って思った。

インタビューでは、これから踊ってみたいのは「愛の伝説」と語っていて、ロパートキナと同じだ、と思ったのだった。来年には、若い振付家とともに、ニューヨーク(とオレンジカウンティ)で自分のプロデュース公演を行うのが楽しみで仕方ないといった風情。舞台で見るヴィシニョーワとはまた違った姿を見られたのがよかった。


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2007/09/30

世界のプリマバレリーナたちVol.2 ロパートキナのヴァリエーションレッスン

現代最高のバレリーナの一人であるウリヤーナ・ロパートキナが、お気に入りのヴァリエーションについて、レッスンと舞台映像で語るという趣向。それぞれのヴァリエーションのテクニックや表現方法などについて語り、自らお手本を見せながら、詳しく解説してくれます。

[演目] 「ライモンダ」3幕より ライモンダのヴァリエーション / 「ラ・バヤデール」2幕より ニキヤの踊り / 「パキータ」より パキータのヴァリエーション / 「瀕死の白鳥」
収録時間 : 約64分

このDVD、ヴァリエーションレッスンと銘打っているけど、バレエを学んでいる人にも、習っていなくて観る人専門にも非常に役に立つ素晴らしい内容です。作品や踊りについて語るロパートキナの言葉はとても重みがあるし、どのように役柄を解釈しているのか、その役を踊るにはどのような表現をすればいいのか、内面的なことを中心に深く語っています。ロパートキナはとても知的で、感受性の豊かな人だし、語彙もとても豊富です。あまりにも面白いので、メモを取りながら観てしまいました。


「ライモンダ」3幕。

実演映像では、マリインスキー特有の白いベレー帽みたいなのをかぶっている。手を鳴らさないのがロシア風。フォンデュの柔らかさ、クリアな上半身。この踊りは易しく見えるけど難しい。バレエのスタイルを守りながらも、民族舞踊的な要素があり、なおかつ上品に踊らないといけないからです。ライモンダの性格についてロパートキナは語ります。貴族の娘として慎み深く控えめ、礼儀正しく会話が上手。パ・ド・ブレで下がりながら人々を招くようにするしぐさに、会話の上手さが出ているとのこと。

しかし、終わりの方では、勇気があって強く情熱的という別の性格が現れてきます。ヴァリエーションの祭儀では情熱に溢れた動きをしているところに、その部分が見えてきます。民族舞踊風の中に清潔感があって美しいところが、ロパートキナがこの作品を気に入っている点なのそうです。パ・ド・ブレを、ビーズや真珠のようにきめ細やかに踊ること。ポーズからポーズへ変わる時の滑らかな手の動きがポイントとのことだそうです。改めて言うまでもありませんが、ロパートキナのパ・ド・ブレの滑らかさ、そして上半身のたおやかさは至宝と言うべきで、真珠のような滑らかな輝きがあります。


「ラ・バヤデール」2幕 ニキヤのヴァリエーション
舞台映像は、マリインスキー国際フェスティバルのもので、一瞬だけ映るソロルはニコライ・ツィスカリーゼ、ガムザッティはマリーヤ・アレクサンドロワ。花篭を渡されて笑顔を見せた時のロパートキナの表情が可愛らしいです。映像の品質があまり良くないのが残念だけど、見ごたえたっぷり。ニキヤの衣装だと、ロパートキナが非常に細い人であるのがわかります。スタジオでは、ロパートキナは、これを最も好きなソロのひとつだと語っています。いろいろな心の苦悩を表現できるから。愛を告白できない苦悩、失われた愛を取り戻せない苦しみなど、さまざまな苦しみがここにはあるとのこと。

ニキヤのソロは特殊なソロといいます。精神的に死んだようなな状態で美しく踊らなければならない、命が数時間しか残っていない切花と同じ、というロパートキナによる形容がとても素敵。ソロルから花が贈られた時にニキヤは生まれ変わり心を込めて彼に向かって走り踊る。しかし踊りが速くなり、感情の頂点で不安感と幸福感が交錯します。ロパートキナは、これは喜びの踊りではなく、ニキヤの最後の絶望の叫び、愛する人に捨てられた叫び、もがき苦しんでいる踊りだと思って踊っているそうです。美しいだけのコンビネーションに見えないように情熱を込めて踊っている。一つ一つの動きに意味があり、これは舞台俳優の演技と同じだとのこと。トウシューズでコンビネーションを練習したり、さまざまな練習方法についても触れていたけど、技術よりも物語の内容や苦悩の表現が重要だと語っていました。


「パキータ」
この演目は、マリインスキーの看板演目であり、バレエ団の特徴を示したものであるとのこと。舞台映像では、キラキラしたチュチュがとても美しいけど、ロパートキナもそれに負けない輝き。とても清潔感があって、音楽性豊か、ゆったりと鷹揚な踊りが素敵。「クリスタルガラスのような透明感のある純潔さ」と表現していましたが、まさにその通り。

簡単な動きを流れるようにつなぎ、コンビネーションが自然に結びつくようにする。パのつなぎ方とポーズが重要。そして何よりも、自分の中に音楽が鳴り響いているかどうか。動きの一つ一つと音の結びつきを感じるようにして、音楽が見えるようにしなければならない。上品な会話にたとえられる踊りとのこと。音楽性がいかに重要かを示すために、ロパートキナは、レッスンピアニストの横で、上半身だけの振りを見せてくれますが、本当に音と見事に融合していて、腕だけなのに、その腕から音楽が聞こえてくるようでした。


「瀕死の白鳥」
最も好きな作品のひとつだそうです。踊り手によって全然違う作品になっていきます。白鳥が弱っているのか強いのか、倒れているのか死を待っているのか、腕によってさまざまな表現ができるのです。腕は、白鳥が感じることを表わす生き物にならなければなりません。一人一人のバレリーナの腕はそれぞれ違うのだから、そこで異なる性格を生み出すことができます。立ちすくんだ姿ひとつでも、痛みなのか、それとも力尽きた瞬間なのか、違ったように見せることができるなど、自由な解釈と表現が可能な作品です。

この作品もまた、音楽をどのように感じるかによって、踊り手の気持ちも変わっていきます。どんな楽器を使用するかによっても影響されるので、たとえばチェロとハープだけの演奏だとドラマティックだし、オーケストラにチェロという編成だと叙情的な空気が溢れます。さらに、その日のバレリーナの音楽の受け止め方によっても踊りは変わるとのこと。毎回違う白鳥にならなければならないので、毎回新たな気持ちで踊らないといけないと感じているそうです。違う踊り手の「瀕死の白鳥」を観るのも面白いし、同じ踊り手の違う日の踊りを観るのも面白い。二度と見ルことができないような踊りを見せてくれるなら、とロパートキナは語ります。

「瀕死の白鳥」という短い踊りの中でも、一つ一つのポーズには意味があります。前かがみになればそれは白鳥が水面を見つめていることになるし、腕を曲げるのは心の傷を表わしているとのこと。オデットやオディールは決められたバレエの形があるけれども、この演目にはありません。バレエの形よりも、生きていることを表現することが大切とのことです。白鳥の動きの美しさより、気持ちや感情の表現を見せることが大切。何が起きているのかを心の中で感じていないと、この演目を踊ることはできません。バレリーナは、この踊りの中で自分の考え方を見せなければならないのです。

そして音楽を良く聴いて、オーケストラや指揮者と一体にならなければなりません。自分だけの物語を語るには、大勢のバレリーナたちが用いてきた技術を使うのは当然のことであり、彼女たちが、この名作に魂を注入してきたのです、という言葉は心に残りました。


このほかにも、インタビューでロパートキナはいろいろ語りました。バレエを習い始めた時のこと。ワガノワに入学した時にはホームシックでとてもつらかったこと。舞台に立つのは仕事をしているというだけではなく、強い情感を味わい、いろいろなことを感じる、物語が現実だと思えるほど良い踊りができた時には特に幸せだそうです。入団した当初の思い出は、コール・ドからいきなり抜擢された「ジゼル」の初舞台とのことです。

そして好きな役は、「愛の伝説」の女王メフメネ・バヌー。彼女の性格-普通の人間に近くて、いろいろな感情を感じさせることーに親しみを感じ、気に入っているそうです。踊りたい役は、現実にならないと困るので言わないそう。それから、この映像にも愛らしい姿を見せる娘マーシェンカ(マリアの愛称)ちゃんについても話しました。5歳の彼女にバレエを習わせますか?という質問には、彼女がやりたければ、とのこと。稽古中のママのチュチュと遊ぶマーシェンカちゃんの可愛いこと!黒鳥のPDDのグランフェッテの映像や、カーテンコールが最後に少し流れました。

最後にロパートキナからのメッセージ。

バレエを愛する方はその気持ちを持ち続けてください、人より上手になっても謙虚になってください。あなたの踊りでみんなに幸せな広がることを祈ります。踊る喜びを失わないでください、私自身もそうありたいと願っています。

*****
ロパートキナといえば、技術的には完璧で隙がなく、とても理知的な印象を受ける人。しかし、踊るに当たって、これだけきめ細やかに演技や表現について突き詰め、考えながら踊っているのは意外でした。人間の感情を踊りに反映させたいという強い気持ちがあるようです。言葉のないバレエで、踊りや動きによって物語を伝えていくことが役割と考えているそうです。キラキラと瞳を輝きながら語る様子を見ると、踊ることの幸せを感じているのがよくわかりますし、人柄もとても良さそうです。今まで、子育てなどでなかなか日本では観られませんでしたが、娘さんも大きくなってきたことだし、「白鳥の湖」以外の演目での彼女が観てみたいです。「ジゼル」や、「愛の伝説」が観られるといいなあ。


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2007/09/28

フェリ、ボッレ、ムッルの「真夏の夜の夢」(バランシン版)DVD/ ロイヤル・バレエ「シルヴィア」

Ballet Talkで知った情報ですが、ミラノ・スカラ座で収録された「真夏の夜の夢」(バランシン版)のDVDがようやく発売されるようです。

http://www.tdk-mediactive.com/frame_content.php?did=3~12&showme=everything&from_id=2789

出演がアレッサンドラ・フェリ、ロベルト・ボッレ、そしてマッシモ・ムッルという豪華版。特に最近のフェリの映像というのは貴重です!出演者の豪華さから、たぶん国内盤も出るのではないでしょうか。

Felix Mendelssohn-Bartholdy
A Midsummer Night's Dream
Teatro alla Scala, Milano, 2007

Titania - Alessandra Ferri
Oberon - Roberto Bolle
Titania's partner - Massimo Murru
Puck - Riccardo Massimi
Hermia - Deborah Gismondi
Helena - Gilda Gelati
Demetrius - Vittorio D'Amato
Lysander - Gianni Ghisleni
Hippolyta - Sabrina Brazzo
Theseus - Matteo Buongiorno
Bottom - Camillo Di Pompo
Moth - Sophie Sarrote

Pas de deux – Act Two - Marta Romagna, Mick Zeni

Soprano - Irina Kapanadze
Mezzosoprano - Kete van Kemoklidze

Choreography George Balanchine

リージョンALLです。
この公演については、amicaさんのエントリで詳しく紹介されています。

**********

もうひとつ、こちらも待望のDVD化です。
ダーシー・バッセル&ロベルト・ボッレ主演の「シルヴィア」(ロイヤル・バレエ、アシュトン版)がOpusArteから発売されます。ロイヤル・バレエがOpusArteを買収した成果の第一弾ですね。今後もいろいろ出してくれると嬉しいです。

Delibes - Sylvia (ROH)
http://www.opusarte.com/pages/product.asp?ProductID=218

Sylvia: Darcey Bussell
Aminta: Roberto Bolle
Orion: Thiago Soares
Eros: Martin Harvey
Diana: Mara Galeazzi

The Royal Ballet
The Orchestra of the Royal Opera House
Choreographer: Frederick Ashton

リージョンALLです。また、上記URLで動画を少し見ることができます。

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2007/09/26

DVD「Return of the Firebird」

バレエ・リュスシリーズということで、今度はボリショイ・バレエの「Return of the Firebird」のDVDを観ました。ずっと前に買っていたのに、時間がなくて観られなかったのです。そういうDVDがいっぱい家に転がっています。

演目はミハイル・フォーキンによる「ペトルーシュカ」「火の鳥」「シェヘラザード」。
ロシア映画好きなら知らない人はいない、世界最大の規模を持つソビエトの映画スタジオ、モスフィルム・スタジオで撮影された映画仕立ての3本。監修は、アンドリス・リエパ。2002年制作の作品。全体的に、このアンドリス・リエパの独特の美意識がみなぎり、エキゾチックかつちょっとキッチュで、エンターテインメントしているところが魅力的な一本。

「ペトルーシュカ」
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー/ 美術:アレクサンドル・ブノワ
ペトルーシュカ:アンドリス・リエパ
踊り子:タチアナ・ベレツカヤ
ムーア人:ゲンナディ・タランダ
シャルラタン:セルゲイ・ペトゥホフ
悪魔:Vitaly Breusenko

ボリショイ・バレエといっても、「ペトルーシュカ」の群舞は、全員ボリショイってわけではなくて、キャラクターダンサーはRussian Seasons Folk Companyのメンバーだったり、さらには聾唖の俳優たち、コサックダンスのカンパニーからも出演しているとのこと。だからなのか、この「ペトルーシュカ」、カーニバルでの群舞、ざわめきが素晴らしく、いかにもロシアンでエキゾチックな感じだし、撮影が映画的なことも手伝って、怪しさ100倍。民族舞踊もとても本格的で見ごたえたっぷり。

ペトルーシュカは、メイクがまんまピエロという感じなのでちょっと感情移入しづらいけど、その分、一層哀れさや滑稽さが目立つ。身体の動きの人形っぷりも素晴らしい。バレリーナは、これまたメイクが派手かつセクシーすぎて、お人形という感じじゃない。日本人の小づくりで平面的な顔の方が、人形に見えてこの訳には合っているんじゃないかと思った次第。ムーア人を踊るのは、あのゲジミダス・タランダなんだけど、ムーア人メイクをしているとさすがに彼だとはちょっとわからなくて残念。カーニバルの悪魔の踊りのテクニックが非常に高度で、思わず身を乗り出しそうになるほどの鮮やかさ。セットは、パリ・オペラ座のビデオで見慣れたブノワのものを相当変えていて、新鮮だった。


「火の鳥」
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー
美術:アレクサンドル・ゴロヴィン、レオン・バクスト
火の鳥:ニーナ・アナニアシヴィリ
イヴァン王子:アンドリス・リエパ
王女:エカテリーナ・リエパ
カシチェイ:セルゲイ・ペトゥホフ

この作品でいよいよ、モスフィルム・スタジオを使って撮影したことの本領が発揮された。私の好きなロシア映画に「妖婆 死棺の呪い」というカルト作品があるのだけど、この映画に通じる、水木しげるのマンガに出てきそうな妖怪がいっぱい登場してキッチュなことこの上ない。悪魔カシチェイといい、その手下の怪物どもといい、笑っちゃうような素朴な造形が素敵。この作品は本格的なセットを使って怪しげな森の中を再現した上、特撮まで使っているんだけどこの特撮もチープ。このチープさが逆に魅力となっている。火の鳥を踊るのは、ニーナ・アナニアシヴィリ。ものすごいメイクをしているので、可愛い顔がわかりにくいのだけど、踊りの面では魅力を十二分に発揮している。華やかさ、ダイナミックさ、コケティッシュさ、そしてまさに火の鳥のような羽ばたき。ニーナのスターとしての輝き、オーラが眩しいほど。ちょっとしたおとぎ話の映画を観ているようで、楽しめた。乙女たちもさすがにみな美しい。


「シェヘラザード」
音楽:ニコライ・リムスキー=コルサコフ/ 美術:レオン・バクスト
ゾベイダ:イルゼ・リエパ
金の奴隷:ヴィクトル・ヤレメンコ
シャリアール王:アンドリス・リエパ
シャーザーマン:Gulam Poladkhanov
宦官長:Igor Mozzhkhin
オダリスク:Tatiana Genkel / エカテリーナ・リエパ/ Maria Komarova

イルゼ・リエパの絶世の美女ぶりにクラクラ。圧倒的に美しく、色っぽいんだけど女王様然とした気品もある彼女の輝きには目もくらむばかり。ところで、シャリアール王役のアンドリス・リエパとは兄妹だと思うんだけど、思いっきりキスシーンとか濡れ場っぽいところもあったりして、いいんだろうか?イルゼはこんなにも美人なのに、アンドリスはちょっとじゃがいもに似ていてあまりかっこよくないのだよね。「シェヘラザード」での黒髪の方が彼は二枚目に見えると思うのだけど。金の奴隷役、ヴィクトル・ヤレメンコは現在、キエフ・バレエの芸術監督を務めている方。ものすごく速くて7~8回は回っているピルエットといい、跳躍といい、テクニックは申し分ないのだけどちょっとタレ目で、金の奴隷を演じるには獰猛なセクシーさが足りないのが惜しい。これも映画仕立てなので、シャリアール王とシャザーマンが出発して砂漠を馬で走るシーンまで用意されている。この二人が、狂乱の宴の最中に帰ってきて虐殺を繰り広げるところは、首が飛んだりかなりすごいことになっているし。スタジオ収録ならではの舞台の切り取り方が面白い。シャリアール王に命乞いをしてから、金の奴隷の死体を見て動揺し、自害するまでのゾベイダの心の動きが手に取るようにわかるイルゼ・リエパの演技が素晴らしい。後年の「スペードの女王」で発揮された女優ぶりがここでも見られる。そして、彼女への愛憎を表出させたアンドリアスとの息の合い方は、さすが兄妹?


同じ作品でも、パリ・オペラ座の「ディアギレフの夕べ」や、マリインスキーの「Kirov Celebrates Nijinsky」とはまったく違った味わいで楽しめる一本。ロシアの土着性、エキゾチックさ、キッチュさが出ている上、映画仕立てなので、作品の違った魅力を感じられると思う。輸入版だけどリージョンALL。


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2007/09/25

映画「ニジンスキー」

東京バレエ団の「ニジンスキー・プロ」や展覧会「舞台芸術の世界」を観たこともあってまたちょっとしたバレエ・リュスのマイブーム。ちょっと前に観ていた映画「ニジンスキー」のビデオを引っ張り出して再見した。この映画、「愛と喝采の日々」「ダンサー」のハーバート・ロス監督作品なのだけど、ビデオもDVDも国内では出ていないので、ちょっと知る人ぞ知るという映画になっている。

「ニジンスキー」
1980年 イギリス
製作総指揮:ハリー・サルツマン
製作:スタンリー・オトゥール/ノラ・ケイ
監督 ハーバート・ロス
原作 ロモラ・ニジンスキー『その後のニジンスキー』
脚本 ヒュー・ホイーラー
撮影 ダグラス・スローカム
音楽 ジョン・ランチベリー
美術 ニコラス・ジョージアディス
配役 ディアギレフ(アラン・ベイツ)
   ニジンスキー(ジョルジュ・デ・ラ・ペーニャ)
   ロモラ(レスリー・ブラウン)
   フォーキン(ジェレミー・アイアンズ)
   カルサヴィナ(カルラ・フラッチ)
   チェケッティ(アントン・ドーリン)
   マリヤ・ピルツ(モニカ・メイソン)
   ガンズブルク男爵(アラン・バデル)
   ストラヴィンスキー(ロナルド・ピックアップ)
   バクスト(ロナルド・レイシー)

ニジンスキーを演じるのは、当時24歳でABTのソリストだったジョルジュ・デ・ラ・ペーニャ。アルゼンチンとロシアの血が入っているという彼は、ちょっとエキゾチックで甘いルックスのため実際のニジンスキーにあまり顔は似ていないけど、踊っている姿の妖しく両性具有的なところは通じるところがある。伝説的なニジンスキーを実際のダンサーが演じるのは、相当プレッシャーもあっただろうけど、テクニックは非常に高く、ニジンスキーらしさがある。ダンスシーンもふんだんに挿入され、「薔薇の精」などはかなり長くしっかりと捉えられている。彼の美しい「薔薇の精」を観て、ロモラが恋に落ちるという設定になっているのだけど説得力がある。他にとてもセクシーな「シェヘラザード」、「遊戯」「牧神の午後」「ペトルーシュカ」「ダッタン人の踊り」「カルナヴァル」など代表的なバレエ・リュス作品を見ることができるし、踊りのシーンは登場しないものの、「青神」の衣装合わせなども登場する。作品の挿入の仕方も、狂気に囚われつつあるニジンスキーが「ペトルーシュカ」を踊るなどかなりリンクしている。ラスト、拘束着を着せられ暗い部屋でぽつんとしているニジンスキーは、ペトルーシュカそのものである。「牧神の午後」では実際に舞台上でマスターベーションしていてかなり鮮烈な印象を残す。「春の祭典」はこの当時は復元されていなかったため、ケネス・マクミランが振付け、選ばれし乙女を踊るのは、現在ロイヤル・バレエの芸術監督であるモニカ・メイスン。シャトレ座での初演の大騒動についても再現されている。

ロモラ・ニジンスキーを演じるのは、「愛と喝采の日々」などハーバート・ロス監督作品でおなじみのレスリー・ブラウン。この映画はロモラの原作に基づいているのだけど、それにしても相当嫌な女として描かれている。グルーピーの走りみたいなもので、「薔薇の精」を観て「この男を私は絶対に手に入れる」と決意し、自分のお金や人脈を駆使して、実際にそれを実行し、その結果、ニジンスキーは破滅することになるのだから悪女の中の悪女だろう。それからカルラ・フラッチがタマラ・カルザヴィナを演じていたりとバレエ・ファンにはなかなか魅力的なキャスティング。ディアギレフを演じるアラン・ベイツは相当そっくりに変装している。ラスト近く、ロモラがニジンスキーを復帰させてと頼みに行ったところ、彼の新しい愛情の対象であるセルジュ・リファールが佇んでいるところなんて、なんと残酷なことよ。また、ミハイル・フォーキンを演じているのはジェレミー・アイアンズで、この映画が映画デビューということになっているようだ。

1917年のニジンスキーの最後の舞台が描かれておらず、最後は冒頭と同じ拘束着をまとった狂気のニジンスキーの姿で終わるなど、後半生はほとんど触れられていない。でも、彼が踊ったり生み出したりした作品を通じて、ニジンスキーという人物の前半性を知るには絶好の作品といえる。彼が活躍した1910年代の風俗も丁寧に描かれているし、同性愛的な描写もさらりとはしているものの、しっかりと表現されている。どのように彼が追い詰められ、狂気に蝕まれていったのか、といったところもわかりやすく演出されている。国内版のビデオやDVDが存在せず、輸入版の中古のビデオを買ったのだけど字幕がないのが残念。ぜひとも国内版DVD化を希望する作品。

詳しい説明は、鈴木晶さんのサイトにあるのでこちらもどうぞ。
http://www.shosbar.com/balletomania/dance&film/nijinsky.html

NijinskyNijinsky
Alan Bates , George De La Pena , Leslie Browne , Alan Badel , Herbert Ross

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Average Review

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2007/09/23

フェリ引退公演放送/ロベルト・ボッレとミラノ・スカラ座オペラ「アイーダ」

皆様昨日NHKで放送されたアレッサンドラ・フェリの「エトワール達の花束」Aプロの放映をご覧になったでしょうか?

「ヘルマン・シュメルマン」「シンデレラ」「フー・ケアーズ?」の3作品が放映されなかったのはちょっと残念でしたが、それ以外の演目はカーテンコールまできちんと放送し、撮影の仕方も正統的でさすがNHK!と嬉しかったです。また、その前の情報コーナーでは、記者会見、シチリア島タオルミナでの最終公演、ロベルト・ボッレとのリハーサルシーンまで紹介していたのがさらに嬉しい。記者会見では、マルセロ・ゴメス、ロバート・テューズリーのコメントを紹介。

タオルミナの公演会場は遺跡のような古い野外劇場で、幻想的な雰囲気があって素敵なところ。リゾートのようで、家族が見守る親密な雰囲気の中での公演というのがいい感じ。しかも、放送されなかった「カルメン」や「椿姫」の映像が少し観られただけでなく、フリオ・ボッカとの「マノン」沼地のシーンが観られたのが、ボッカファンの私にとっては涙がちょちょぎれるほど嬉しかったです。というか、このシーンを見ただけで思わず涙がボロボロ出てきました。ボッカとフェリの交わす視線のあまりの切なさと温かさに、ほんの一瞬の映像なのに胸が切り裂かれる思いでした。

記者会見の言葉では、「今、表現したいことと身体の動きが完全に一致している。この瞬間の感覚をずっと覚えていたい」とのこと。今回の放映を観ても、フェリの踊りはその通り、成熟と充実を感じさせるものでした。ジゼルだけはもう踊っていないということで不安定だったけれども、それ以外の3演目は彼女が表現するところの「マジカルな感覚」絶妙なバランスの上にあったと思います。

ロベルト・ボッレとのリハーサルシーンでは、「雲を掴もうとするようにして。雲は触れると逃げてしまうでしょう」と細かい指示を出していました。(素直に従うロベルトがかわいい)。ロベルトがインタビューで語ったところの、「観るものを物語の世界へ引き込む力」の強さでは、彼女の右に出る人は今後も出ないような気がします。彼女との共演があったことで、ロベルトもこれだけ素晴らしいドラマティック・ダンサーになったのだと思いました。一つ一つの演目が、ガラという抜粋とは思えないほど、ドラマティックなひとつの小宇宙を構成していました。この公演を観た時には未だ引退ということが信じられませんでした。が、こうやって映像で観ると、もう彼女の踊りを生で観ることは叶わないのだと実感し、愕然とします。「ロミオとジュリエット」での初々しくしなやかで愛らしいジュリエットを見るにつけ、これが引退を目前にした44歳のダンサーとは信じられませんでした。いや、信じたくない・・。

この公演を観たときの感想はこちらです。

*******

さて、この公演で、美しいだけではない、表現力、演技力の素晴らしいダンサーであることが改めて実証されたロベルト・ボッレですが、ミラノ・スカラ座のオペラ「アイーダ」に出演し、それがDVD化されました。ラメダス役のロベルト・アラーニャが観客の野次にキレて舞台を途中降板したことでも有名になった舞台で、演出は映画監督としても有名なフランコ・ゼッフィレリ。私はオペラはまったくの門外漢で、「アイーダ」も去年キエフ・オペラの来日公演を観に行ったという一回きり。でもアイーダは曲も有名だし、ロベルトが出ているので、ってわけで買っちゃいました。

ロベルトの出演シーンは4分程度。2幕の凱旋シーン。アイーダはホント舞台の上にぎっしりと歌手が並んでいて、舞台の上が狭いことこの上なし。エチオピアの奴隷たちの踊りに続き、ロベルトと、ミルナ・カマラMyrna Kamaraがジュッテしながら入ってきます。ミルナ・カマラは元ベジャール・バレエ・ローザンヌのダンサーで、98年の来日公演の「バレエ・フォー・ライフ」にも出演していたとのこと。引き締まった体で、テクニックもなかなか。で、ロベルトですが、身体をココアのような色に塗っているけどその肉体美ですぐに彼とわかります。この衣装が、「エクセシオール」よりも露出度が高く、パンツ一丁なのですがそのパンツがTバックというか褌とでもいうべきか、彼の美しいヒップも半分以上見えていて、動く彫刻さながら。大きな頭飾りをつけています。2日間の公演を編集したので、ロベルトの衣装、よく見るとカットによってちょっと違っているところがあります。狭いところでトゥール・ザン・レールしたりジュッテしたりしないといけないので踊りにくそう。女性と抱き合ったり上半身をのけぞらせるところなんかもあるけどちょっと意味はわかりませんでした。振付そのものは面白くはないのですが、ロベルトが完璧なまでに美しく、しかも美しいだけではなく端正でテクニックのしっかりしているダンサーであるのはよくわかります。最後にはしっかりと顔のアップもあり、瞳が美しいグリーンであるのがわかります。2幕最後のカーテンコールでも、一番中央に陣取っています。

プロダクションのよしあしはオペラ素人の私にはわかりませんが、ゼッフィレリ自身が手がけた美術はゴージャスであることには間違いがありません。演出はちょっといまいちな感じですが。また、コーラスにすごい迫力があり、質はとても高いと思います。アラーニャも決して出来は悪くないし、この出来で野次られたのは気の毒としか言いようがありません。時々ヘンなぐにゃりとしたエフェクトがかかっているのはいただけません。

ロベルトの登場シーンが短いので、熱心なファン以外にはお勧めできないですがこのDVD、HMVで買うことができます。フェリの引退公演TV放映で、彼の肉体美に魅せられてもっと観たい、という方ならOKかな?

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収録が行われた舞台をご覧になっていたamicaさんのサイトで、この公演の詳細な記述がありますので、ぜひお読みください。

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2007/08/24

「21世紀に輝くエトワールたち−パ・ド・ドゥの魅力−」

2005年9月 パリ・シャンゼリゼ劇場にて収録

NHKのハイビジョンで放映された時とは、ちょっと演目が変わっている。このメンバーに加えて、ルシア・ラカッラとシリル・ピエールが「マ・パヴロワ」と「失われた時を求めて」より「囚われの女」を踊っていたのだけど、プティの権利が取れなかったのか、DVD化にあたり外されたラカッラ組が抜けた分、ブカレスト組の「ラ・バヤデール」と、シュツットガルト組の「眠り」、ABT組の「パキータ」が入った。結果的に、コンテンポラリー作品がひとつも無い、プティパ振付のものが大部分という映像になった。舞台袖のモノクロ映像が、演目の間につなぎとして登場するのだけど、そこにはラカッラやピエールが映っているものだから余計に違和感がある。

この映像を観た人が10人いたとしたら、10人全員が、「カメラアングル最悪」と言うであろう。ポアントだけのアップや顔のアップが非常に多く、フェッテのときに上半身しか映していなかったりして、そのときに脚がどうなっているのかめちゃめちゃ気になる。特にひどいのが「シルヴィア」で、前述のようなカメラワークだけでなく、マネージュやフェッテで天井カメラを使っているので、どれくらい高く跳んでいるのか、とか足先がどうなっているのか、とかもう全然わからないのだ。


ザ・グラン・パ・ド・ドゥ(Le Grand Pas de Deux)」
振付:クリスティアン・シュプック/ 音楽:ジョアッキーノ・ロッシーニ
アリシア・アマトリアン/ ジェイソン・レイリー シュトゥットガルト・バレエ

アマトリアンのこの演目は、先日もフェリの「エトワール達の花束」で上演されたばかり。導入部がちょっと劇仕立てになっていて、会場に牛のハリボテが運び込まれるところから、チュチュ姿のアマトリアンが劇場に入ろうとして入れてもらえなかったり、レイリーが楽屋で食事をしていたりといったところが登場するのは面白い。でも、せっかくオープニングでこういう趣向を出したなら、エンディングもそれなりの演出をして欲しかった気がする。

この間の公演でもそうだったけど、アマトリアンは技術も超一流でありながら、コメディエンヌとしてのセンスが抜群。表情もコミカルで可愛いし。ばか演目ではあるんだけど、高度な技術が伴わなければかっこつかないし笑えない。その点、この二人は言うことなし。牛と対話するのは、テューズリーの方が演技が笑えたけど。


シルヴィア」よりグラン・パ・ド・ドゥ
振付:フレデリック・アシュトン / 音楽:レオ・ドリーブ
ゼナイダ・ヤノフスキー/ フェデリコ・ボネッリ(英国ロイヤル・バレエ)

それほど背が高くないボネッリに、ゼナイダは少し大きすぎる感じはするものの、ボネッリのサポートも上手で、とても美しいペア。ゼナイダは大柄なのにアシュトン独特のステップを見事に音にあわせて奏でている。すごく音楽的なバレリーナで、まるで楽器のように音と戯れる感じ。それにしても、クローズアップが多すぎの上、前述の通りボネッリのマネージュが天井からの撮影で何がなにやらわからなかったのが非常に残念。

ドン・キホーテ」よりグラン・パ・ド・ドゥ
振付:マリウス・プティパ/ 音楽:レオン・ミンクス
ロレーナ・フェイホ / ホアン・ボアダ (サンフランシスコ・バレエ)

一応超絶技巧が売りのペアなんだろうけど、期待したほどではない感じ。もちろん上手ではあるんだけど。ロレーナ・フェイホはちょっとバレリーナにしては胴が太すぎるのでは?これは、グランフェッテが天井カメラだったため、果たしてどんな風に回っているのかも全然わからないのが最悪だった。よって、このペアの技術に関しては正当な評価ができない。パリでも、フェッテのときに手拍子が入るんだとちょっとびっくりする。


海賊」より寝室のパ・ド・ドゥ
振付:マリウス・プティパ / 音楽:リッカルド・ドリーゴ/ 改訂振付:アンナ・マリー・ホルムス
イリーナ・ドヴォロヴェンコ / マキシム・ベロツェルコフスキー(アメリカン・バレエ・シアター)

ガラでこの場面を上演するのはとても珍しいんじゃないかと思う。マックス君はひたすらイリーナ様のリフト係になっていた。ものすごいラブラブオーラが溢れていて、情感豊かでドラマティック、濃厚なパ・ド・ドゥ。後で登場する「パキータ」でもそうなのだけど、イリーナのスターオーラはすごい。一挙一動が計算尽くされていて、自分を一番美しく、あでやかに見せる角度がわかって演じている。それが苦手と感じる人もいるんじゃないかと思うけど。


ラ・バヤデール」より幻想の場 グラン・パ・ド・ドゥ
振付:マリウス・プティパ/ 音楽:レオン・ミンクス
コリナ・ドゥミトレスク / オヴィディウ・マテイ・ヤンク (ブカレスト・バレエ)

ビッグネームの出演者の中で、唯一聞いたことがないペア。しかしこの二人はなかなか実力派だと思った。ルーマニアのブカレスト・バレエということだけど、演技や踊りの質は完全にロシア風、それもボリショイ風味。解説書によればオヴィディウ・マテイ・ヤンクは83年生まれで収録時はまだ22歳と若い。跳躍力があってメリハリのあるダイナミックな演技。ルックスもなかなか見栄えがする。衣装がいまひとつなのが惜しい。コリナ・ドゥミトレスクはベテランのようだけど容姿も美しいし、安定した技術。ヴェールの踊りだけちょっと苦労していたけど、ここは誰でも苦労するから。ラ・バヤデールのこのPDDは大好き。


眠れる森の美女」よりグラン・パ・ド・ドゥ
振付:マリウス・プティパ/ 音楽:P・I・チャイコフスキー
アリシア・アマトリアン/ ジェイソン・レイリー (シュトゥットガルト・バレエ)

この二人の「眠り」だから悪いわけがない。アマトリアンの正統派お姫様を観るのはこの映像が初めてなのだけど、こうやってオーロラの衣装を着ていると、実はとてもお姫様っぽくて愛らしいルックスなのがわかる。ジュリエットも可愛かったけど、ジュリエットの衣装はまあ反則技だからね。「エトワール達の花束」ではフォーサイスとか「びよ~ん」だったし。キラキラオーラがあって、一つ一つの動きも優雅で素敵。ジェイソン・レイリーも非の打ち所が無い。二人の衣装は、先日の「ゴールデン・バレエ・コー・スター」でエレーナ・テンチコワ&フィリップ・バランキエエビッチが着用していたのと同じ、淡い花柄が入ったもの。しかし、「ザ・グラン・パ・ド・ドゥ」を観た後だと、いつアマトリアンが黒ぶちメガネをかけて「なんちゃって」とギャグを始めるんじゃないかとひやひやしてしまう(笑)


パキータ」よりグラン・パ・ド・ドゥ
振付:マリウス・プティパ/ 音楽:レオン・ミンクス
イリーナ・ドヴォロヴェンコ/ マキシム・ベロツェルコフスキー(アメリカン・バレエ・シアター)

よく見慣れた、マリインスキー版やラコット版の「パキータ」と振付が違うので最初はちょっと違和感。結婚式のところだと思うけど、イリーナは真っ赤なチュチュで、ものすごく情熱的で濃ゆいパキータを踊っている。見得の切り方はアメリカン・ロシア風味。それにしても、この二人はプロフェッショナルの中のプロフェッショナルが踊っているという感じ。すごく完璧だし、ドラマティックだし、見せ所を心得ている。マックスはでしゃばることなく、嫁を立てながらも、決めるところはカッコよく決めて素敵なナイトぶりを発揮。で、くどいようだけど、上半身ばかりを追ったカメラワークのために、肝心の脚があまり見えない。イリーナが絶世の美女であるから、彼女のきれいなお顔を撮りたいという気持ちはわかるんだけど、脚を映してくれ~といらいらしてしまう。
この二人のバレエは、ホント最上級のエンターテインメントだなとしみじみ。二人が組んでいるところを生で見たくなった。一昨年の来日公演の時にはイリーナが育児休暇中、去年のバレエフェスはイリーナのみの来日だったのよね。

パフォーマンスのクオリティは非常に高いし、トップスターが揃った華やかな公演、最近の映像のために画質もきれい。演目もおなじみのものが多い。が、とにかく撮り方に問題があるのが困った映像。マリインスキー・バレエの「白鳥の湖」といい、「ディヴァイン・ダンサーズ」といい、最近はこうやって全身ではなく変に凝ったアングルでダンサーの一部分を切り取って撮影するのが流行っているのだろうか。普通に真正面から全身を映すのが何でダメなんだろう。映画じゃないんだからさー。

21世紀に輝くエトワールたち-パ・ド・ドゥの魅力-21世紀に輝くエトワールたち-パ・ド・ドゥの魅力-
アリシア・アマトリアン ジェイソン・レイリー ゼナイダ・ヤノフスキー

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2007/08/19

「白鳥の湖」でルグリ祭り終了

「白鳥の湖」全幕プロで、「ルグリと輝ける仲間たち」もついに終了。Aプロを観終わった時には、こんなに最後まで楽しめると思わなかったのですが、Bプロからどんどんハマっていって、終了した今日、えも知れぬ寂しさを感じています。夏も終わっちゃったな、と。

ルグリの王子は、完璧に王子でした。実は正直、3幕のヴァリエーション前半でのランベルセなどは小さくまとまっちゃっていてあれ、とは思ったのですが、それ以外はパーフェクト。佇まいから一つ一つのしぐさ、マイム、演技、すべてに気品が溢れる、王子の中の王子でした。立っているだけでも王子なのに、ひとたび動き始めたら、あまりにも優雅で、体で音楽を奏でているかのようなので、目が離せなくなります。その中で、3幕コーダのグランド・ピルエットは、アラスゴンドの脚の美しさもさることながら、至福の表情で王子のつかの間の喜びを表現していて、観ているこちらも至福の時でした。たっぷりの情熱も持ち合わせていて、こまやかに物語を語ることができるのですから、もう最強です。今回、ルグリの王子が観られて本当に幸せでした。パートナーをこの上なく美しく見せるサポートは、もはや神業と言ってもいいかもしれません。彼の王子を映像に残して欲しいけれども、それは叶わぬ夢なのでしょうか。バレエ界の資産として永久保存したくなるような、すべての王子像のクライテリアとなるような永遠の「白鳥の湖の王子」でした。

16日のオディールでミスをしてしまったドロテは、今回はフェッテも成功して「良かったね」と声をかけたくなりました。オデットは、勝気さが前面に出すぎているし、緊張感でやや堅くなり、儚さなどは感じられなかったけど、演技力があるのでドラマティックな造形ができていたと思います。16日のオディールで感じた目力の強さはオデットにも感じられました。2幕のラスト、別れのときに、どうしても離れたくないのと訴える情熱的な演技は、ドロテの強い個性や熱い想いが反映され、人間らしい体温のある、彼女なりのオデット像を作り上げていることがよくわかりました。ルグリは今日も先生モードでしたが、ドロテの演技に合わせた熱い王子で、見事に演技のキャッチボールができていました。
オディールはキャラクターに合っているということもあり、すごくできが良かった。16日よりもずっと吸引力があってキラキラしていました。とても可愛いのに、強い視線で悪女らしく、華やかで魅惑的でした。動きもメリハリがあって輪郭がはっきりしているので、ドラマが際立ちます。それに対するルグリの受けが的確だったので、映画を観ているかのように、台詞が聞こえてきそうな3幕となりました。16日はドロテはフェッテの失敗で意気消沈していたようでしたが、今日はうまくいったので(後半はやや失速していたけど)、自信が出たようで、勝ち誇って去っていく時の妖艶な表情にはゾクゾクしました。あんなに高笑いの美しいオディールを見たのは初めてです。

4幕では、ようやくオデットらしい儚げな部分や詩情も出てきました。この版はハッピーエンドなのですが、王子がロットバルトをやっつけ、倒れていたオデットが「私、生きている」と起き上がったときの、ドロテの嬉しそうな表情がとても美しかったです。これから経験を積んでいって、成長した彼女のオデットが観たいです。きっとできるはず。

ステファン・ビュヨンのロットバルトも、16日よりはかなり余裕があり、踊りも安定していました。トゥール・ザン・レール2連発も、1回目は着地に成功して、ちょっと喜んでいるのが見えてしまいました。16日はまったく笑わないロットバルトでしたが、薄笑いを浮かべてオディールの耳元で囁くビュヨンの表情が、酔ってしまいそうになるくらい官能的でした。青二才なロットバルトなのですが、こんなに美しく生まれたのになぜ悪の道に走ってしまったのか、これまでの彼の人生を知りたくなるような、そんな秘密の過去を感じさせました。ビュヨンは口元がとてもきれいなのですが、よく見ていると唇をなめる癖があるようで、王子に愛を誓わせるシーンでも唇をペろっと舐めていました。緊張していたのでしょうか?ロットバルトの被り物をしている時でも、真っ白な肌に唇が見えていると、とても妖しくて魅惑的でした。最後に王子に片方の翼をもがれて、上手へと去っていく時に、もがれた翼を自分で持って去っていくのはちょっと可笑しかったです。ヴァリエーションの時にマントを外すと、プロポーションの美しさが際立ちます。オペラ座のロットバルトの衣装は、肩幅が広く、ウェストは絞ってあるので、立ち姿がとてもセクシーに見えます。黒い巻き毛、濃いまつげに飾られたグレーの瞳、白い肌に薔薇色の頬に加えてしっかりと筋肉のついた肩や胸、細いウェストと容姿は映画スターのようで、本当に麗しい。背中を向けて立っていることも多いのですが、腹に一物アリ、という背中の立ち姿すら美しい。ダークサイドの妖しい美しさを感じさせる彼のロットバルトはまた観たいです。

東京バレエ団メンバーについて追記。トロワは小出さんも長谷川さんも良かったけど、古川さんはもっと踊れる人なのではと思ってしまいました。小出さんはそろそろオデットデビューを期待したいところ。

道化の松下さん。マティアスと比べてはいけないと思うけど、褒められているのが意外。たしかに、ポリーナ白鳥の時のあまりににもひどい爪先は少し改善されていたけどまだまだ。シェネするときに膝の間が空き過ぎている、ピルエットで膝が曲がっているなど、大嶋さんや古川さんだったら絶対にやらないミスが散見。ただ速く回ったり高く跳んでいればいいわけではありません!爪先だって油断して緩んでいる時もありました。到底褒められる出来ではありません。

これはあくまでも雑感なので、余裕があればまたちゃんと書き直します。

東京バレエ団『白鳥の湖』(全4幕)
2007年8月18日(土)15:00開演 ゆうぽうと簡易保険ホール

オデット/オディール:ドロテ・ジルベール
ジークフリート王子:マニュエル・ルグリ
王妃:加茂律子
悪魔ロットバルト:ステファン・ビュヨン
道化:松下裕次

[第1幕]
家庭教師:野辺誠治
パ・ド・トロワ:小出領子、長谷川智佳子、古川和則
ワルツ(ソリスト):西村真由美、乾友子、高木綾、奈良春夏、田中結子、前川美智子
[第2幕/第4幕]
四羽の白鳥:佐伯知香、森志織、福田ゆかり、阪井麻美
三羽の白鳥:西村真由美、高木綾、奈良春夏
[第3幕]
司会者:野辺誠治
チャルダッシュ
(第1ソリスト):乾友子、大嶋正樹
(第2ソリスト):森志織、福田ゆかり、高橋竜太、氷室友
ナポリ(ソリスト):高村順子、松下裕次
マズルカ(ソリスト):田中結子、坂井直子、中島周、横内国弘
花嫁候補たち:西村真由美、佐伯知香、高木綾、浜野香織、前川美智子、吉川留衣
スペイン:井脇幸江、奈良春夏、後藤晴雄、平野玲


終演後家でバレエ友達と、パリ・オペラ座の映像「MC14/22 "ceci est mon corps"」を観ました。ステファン・ビュヨンが出ているからです。振付はプレルジョカージュ、暴力的な作品ですが、美しいビュヨンや、フォヴォラン、ヴァラストロ、イゾアールなどのダンサーを堪能できます。詳しい感想は、過去のエントリをご参照ください。ゆうさんのSide B-alletによると、OpusArteからDVD化されるとのこと(同時収録はマリ・アニエス=ジロ主演の「メディアの夢」。米国での発売日は9月25日。 

OpusArteのサイトでは動画を見ることができます。
http://www.opusarte.com/pages/productVideo.asp?ProductID=207&ProductVariationID=254

Angelin Preljocaj: Le Songe De Medee & Mc14/22Angelin Preljocaj: Le Songe De Medee & Mc14/22
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2007/08/12

「愛と喝采の日々」今なら1000円

飄々としてポジティブな人柄がにじみ出ていてとっても面白い、小林十市さんのブログを愛読しているのですが、その中で知ったこと。

愛と喝采の日々」のDVDが今なら1000円で買えます!

以前この作品のレビューも書いていますが、何しろ全盛期のミハイル・バリシニコフの「海賊」や「ロミオとジュリエット」「ジゼル」などが観られて、バレエファンには見逃せない作品です。お話そのものはちょっと笑っちゃうところもありますが。

1000円なら絶対に買って損はありません。ミーシャがアイドルの十市さんならずとも、まだの方はぜひ。

愛と喝采の日々愛と喝采の日々
シャーリー・マクレーン

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2007/07/11

業務連絡-ABTの「グレート・ギャロッピング・ゴットシャルク」

メールでお問い合わせをいただいた件ですが、お返事しようとしたらメールが戻ってきてしまいました。
答えをこちらに書いておきますね。

お問い合わせの作品ですが、
http://wmg.jp/artist/americanballettheatre/WPBS000090155.html
「IN SAN FRANCISCO / ベスト・オブ・アメリカン・バレエ・シアター 「黒鳥のパ・ド・ドゥ」ほか」
に入っている

グレート・ギャロッピング・ゴットシャルク
音楽:ゴットシャルク
振付:リン・テイラー=コルベット
出演:エレイン・クドウ/スーザン・ジャフィ ほか

のことですね、
このDVDなら、アマゾンなどで買うことができます。

ベスト・オブ・アメリカン・バレエ・シアター「黒鳥のパ・ド・ドゥ」ほかベスト・オブ・アメリカン・バレエ・シアター「黒鳥のパ・ド・ドゥ」ほか
アメリカン・バレエ・シアター サンフランシスコ・オペラ管弦楽団

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私も実はまだ観ていないのですが、近日中に見ようと思います。

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2007/06/02

日露友好ショスタコーヴィチ交響曲全曲演奏プロジェクト2007

2006年はショスタコーヴィチの生誕100周年を記念して、ショスタコーヴィチのコンサートがたくさん開催されましたが、今年は、「日露友好ショスタコーヴィチ交響曲全曲演奏プロジェクト2007」という素晴らしい企画があります。先日、ショスタコーヴィチの盟友であったロストロポーヴィチも亡くなられたこと、そしてロシア文化フェスティバル開催年ということもあり、今年もショスタコーヴィチが盛り上がりそうです。

日本ショスタキーヴィチ協会会長の指揮者・井上道義氏が贈るプロジェクトです。井上さんのブログで詳細な案内があります。

会場の日比谷公会堂は1929年建設の現存する唯一の戦前からのレトロな大ホールで、そこでは7曲のショスタコの初演が行われました、と上記井上道義さんのブログにあります。サンクトペテルブルグ交響楽団の演奏もあって3000円とは破格です。見逃せませんね。

【本公演】会場:日比谷公会堂/指揮:井上道義(全公演)

■2007年11月3日(土・祝)
交響曲第1番、第2番「10月革命に捧ぐ」、第3番「メーデー」
管弦楽:サンクトペテルブルク交響楽団

■2007年11月4日(日)
交響曲第5番「革命」、第6番
管弦楽:サンクトペテルブルク交響楽団

■2007年11月10日(土)
交響曲第7番「レニングラード」
管弦楽:サンクトペテルブルク交響楽団

■2007年11月11日(日)
交響曲第10番、第13番「バビ・ヤール」
バス:セルゲイ・アレクサーシキン
管弦楽:サンクトペテルブルク交響楽団

■2007年11月18日(日)
交響曲第9番、第14番「死者の歌」
ソプラノ:アナ・シャフスキンスカヤ
バス:セルゲイ・アレクサーシキン
管弦楽:広島交響楽団

■2007年12月1日(土)
交響曲第4番
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

■2007年12月5日(水)
交響曲第11番「1905年」、第12番「1917年」
管弦楽:名古屋フィルハーモニー交響楽団

■2007年12月9日(日)
交響曲第8番、第15番
管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団


ショスタコーヴィチといえば、彼のバレエ音楽「ボルト」にラトマンスキーが振付け、ボリショイ・バレエによって上演されたバレエ「ボルト」がDVD化されました。アンドレイ・メルクリエフ、岩田守弘、アナスタシア・ヤツェンコが出演しているとのことで、これは楽しみですね。6月12日発売予定だそうです。

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この企画はロシア文化フェスティバルに参加しているわけではないのですが、同フェスのサイトを見たとこと、バレエ関係の催しが多くあるのがわかります。

「ロシアバレエのスターたち」アーティストの公演 
ボリショイ劇場およびマリインスキー劇場のアーティストが参加。
8月30日・31日・9月1日・2日 東京・新国立劇場
(ジャパンアーツと日本組織委員会)
おなじみの公演ですね。

国立サンクトペテルブルグ・アカデミー・バレエ
10月15日-11月東京ほか15都市(アルス東京
これは知りませんでした。去年も来日したカンパニーかしら?

舞台芸術の世界-ティアギレフのロシアバレエと舞台デザイン
(アートインプレッション)
4月17日-5月27日釧路芸術館 6月9日-7月16日京都国立近代美術館7月26日-9月17日東京庭園美術館 9月29日-10月28日青森県立美術館
マラーホフのニジンスキーのセット券を買った人には、庭園美術館での本展覧会の入場券がプレゼントされるそうです。

スタニフラフスキー&ネミロヴィチ=ダンチェンコ記念国立モスクワ音楽劇場バレエ(キョードー東京
12月21日-29日 東京国際フォーラム・ホールC
詳細の発表が待たれますね。

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2007/05/27

ワガノワバレエ学校のすべて・サンクトペテルブルクの天使たち

病院の検査で渋谷に行った帰りに、チャコットに立ち寄り、思わず「サンクトペテルブルクの天使たち」のDVDを買ってしまう。VHSで出ていたのが、最近DVD化されたのだ。新書館のDVDにしては安めの3990円。ちょうど昨日発売になったダンスマガジンの最新号がDVD特集で、このDVDも売れ筋として紹介されていた。午後から友達数人を呼んでバレエ映像を観ようってことになっていたから、ちょうど良いと思って購入。

このDVDの目玉はなんといってもウリヤーナ・ロパートキナのワガノワ在籍時に収録された、ノイマイヤー振付の「パヴロワとチェケッティ」。去年のマリインスキー来日公演のガラで上演された演目。ロパートキナが初々しく、少し幼さを残していてとても可愛い。パフスリーブの白いチュチュ、長い首筋には黒いリボンがチョーカーのように巻かれている。今の彼女のような完成度はさすがにないけれども、優雅で音にぴったり合った動きは美しいの一言。おそらく18歳頃ではないかと思われるんだけど、その時点でこれだけ大人っぽく、大バレリーナの表現を体現しているのがすごい。チェケッティ役のヴァレンティン・アノーシカは、さすがにイーゴリ・コルプの怪しさはないので、先日の公演での緊張感はあまりないのだけど、ラストに紫のショールをロパートキナに巻くところはぞくぞくした。

また、ロパートキナの91年の卒業公演「ラ・バヤデール」での影の王国のヴァリエーションも見られる。ヴェールを持った難しい踊りは、完璧には踊れてはいないものの、やっぱり端正で透明感があり、今のロパートキナが踊るニキヤが観たい!と思ったのだった。
同じ年の卒業公演の映像では、マールイで活躍中(よくドン・キのキューピッドや眠りの白猫を踊っている)のヴィクトリア・シシコワがキトリを踊っていた。

伝説の名教師ナタリヤ・ドゥシンスカヤがワガノワを紹介するという趣向のこの映像。ドゥシンスカヤがセルゲイエフと踊る「白鳥の湖」の黒鳥のPDDも納められているけど、ドゥシンスカヤの黒鳥も素晴らしい。昔の人なのでさすがに体型的には今の人とは比べ物にはならないものの、テクニック、表現力がすごい。

ロパートキナのリハーサル中の映像もふんだんに見られるのだけど、当時から突出した存在であることが見て取れる。腕も脚もとても長いし、人一倍優美で、音への合わせ方が抜群。ドゥシンスカヤが彼女を指導する様子もたくさん見ることができるし、この当時の彼女の映像は本当に貴重だといえる。ロパートキナファンは必見。

新書館のDVDは、アマゾンや楽天で扱っていないのがちょっと不便なのですよね。フェアリーの購入ページはこちらです。

78分、カラー(一部白黒)
1992年、日本語字幕

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2007/04/09

サンクトペテルブルグ建都300周年記念ガラ/マリインスキー・オペラ

ゲルギエフ指揮、マリインスキー・オペラの来年1月~2月の来日公演、早くもチケット発売があった。
そう、夢倶楽部会員先行のE、F席抽選発売である。オペラは大変チケットがお高いため、このレベルの席しか見られない。何しろS席は5万円なのだから。
もちろん、お目当ては「イーゴリ公」である。なんとか、友人の分も含めて無事E席を取ることができた。割り当て枚数を見ると、夢倶楽部会員でなければ、E、F席のチケットを取るのはなかなか困難な模様。
ちなみに、もっとお安いレニングラード・オペラの「イーゴリ公」のチケットも確保している。こちらは、S席が2万円なのでS席を取ってしまった。

「イーゴリ公」といえば「ダッタン人の踊り」である。その「ダッタン人の踊り」も踊られたサンクトペテルブルグ建都300周年記念ガラがNHKハイビジョンで放映されたので、録画して観た。前回放送の時には見逃して、友達が家に来た時に見せてもらっていたのだ。

時間がないので、バレエ部分のみを観る。

サンクトペテルブルグ建都300周年記念ガラ
「ラ・バヤデール」第3幕から
音楽:レオン・ミンクス
振付:マリウス・プティパ
ディアナ・ヴィシニョーワ/レオニード・サラファーノフ

影の王国のコール・ドがスロープを降りてくるところや、3人のソリストのヴァリエーションは省略されている。ヴィシニョーワのニキヤは、ほとんど問題ないけどたまに着地が乱暴であれれ、と思われるところはあった。難しいヴェールのヴァリエーションは難なくこなしていたし、さすがにジュッテ・アントルラッセは非常に高い。サラファーノフのソロルは、技術的には素晴らしい。トゥール・ザン・レール6回も鮮やかに決まっているし、ソロでは突き刺すような鋭さを見せた。ガラだから、感情面まで出せというのはちょっと酷な話か。三人のソリストの一番右端はアリーナ・ソーモアだろうか。

歌劇「イーゴリ公」からポロヴェッツ人の踊りと合唱
音楽:アレクサンダー・ボロディン
振付:ミハイル・フォーキン

待っていました!のダッタン人の踊り。「Kirov Dances Nijinsky」でも観ているけど、さすがにオペラと一緒の共演というのは違うなって感じ。しかもコール・ドの男性群舞もかなり揃っている。肝心のボロヴィッツ人の隊長が誰なのか、クレジットがないのだけど、見たところ、DVDと同じでイスロム・バイムラードフに顔と長身スリムな体格が似ている気がする。このボロヴィッツ人の隊長、超イカすのだ。助走なしでびっくりするほど高く跳んでいるし、難しいキャラクターステップの切り替えも見事。それと、女性たちの美しいこと!ロシア人の美女が露出度の高い衣装を着て身をくねらせていると、観ているこちらもほとんどおやじ目線になってしまう。演奏も合唱もさすがにものすごい迫力。見ごたえ満点。

「瀕死の白鳥」
音楽:カミーユ・サン=サーンス
振付:ミハイル・フォーキン
ウリヤーナ・ロパートキナ

「瀕死の白鳥」は何回も生でも観ている演目。映像でもプリセツカヤその他で観ているし。でも、このロパートキナの白鳥はあまりにも素晴らしすぎて、途中からテレビの前で涙が止まらなくなった。気高い魂を持つ白鳥が、運命と抗いながらも、やがては死を受け容れて命の火を消していく。ロパートキナの腕の表現力は、とても人間とは思えない。この人の腕や肩の筋肉はいったいどうなっているんだろうかと思うほど。可動域が常人の数倍あるのではないかと思える。かといってくねくねしているわけではなく、ごくごく自然に、どこまでもスムーズに。田ユタ羽陽に優雅に動いているのだ。その中で、時に意志の力が反映されたような鋭い動きが内包されている。本当に短い演目だけれども、濃厚なドラマを見せてもらった。宝物のような一編。

「海賊」2幕より
音楽:アドルフ・アダン
振付:マリウス・プティパ
スヴェトラーナ・ザハロワ/イーゴリ・ゼレンスキー

ザハロワのようにその肢体が"美”そのものであるバレリーナに、メドーラ役はぴったり。何度観ても惚れ惚れするようなラインの美しさに息を呑む。この映像では、お顔がかなりプクプクしているけど(笑)それが愛嬌があって可愛い。技術的にもとても正確だし、おみあしが長い上にパッセの位置がとても高い。ただし、今でもそうだと思うんだけどフェッテはちょっと苦手なのでしょうか。場所が移動しまくるのだ。
ゼレンスキーは、この間の来日公演よりは元気があるけれど、アリという奴隷を演じていても、あくまでも品があってエレガントな感じ。こんな奴隷、絶対にいないでしょう。風を切る跳躍、ってわけにはいかないけど、着地等とても正確でクリーン、いかにもキーロフの美しいダンサーだなと思わせてくれる。

何よりもロパートキナの「瀕死の白鳥」が素晴らしすぎるのであるが、それ以外の3作品とも見ごたえ十分で、大満足。なんでこれが映像ソフトになっていないんでしょう?また、曲目の間に映し出されるゲルギエフの表情を観ているだけでも楽しい。演奏に満足した様子で微笑んでいるところがとても素敵。


Prince Igor
というわけで、今度は映像ソフトのほうを。やっと手に入れた「イーゴリ公」のDVDである。が、久しぶりの休日で家事がたいへんたまっていたため、時間がなくてとりあえず「ボロヴィッツ人の踊り」のみ鑑賞。冬のマールイ・オペラの前には、ちゃんと予習するために全編4時間を観なくては。

こちらの方も、残念ながらバレエのソリストのキャストはライナーノーツにも載っていなかった。「Kirov Celebrates Nijinsky」やサンクトペテルブルグ建都300周年ガラと違って、ボロヴィッツ人の隊長の髪型が、モヒカンになっている。前頭部と横を短く刈り上げて、あとは長く伸ばして後ろで結んでいる。ところが、こんな髪形をしていてもけっこうかっこいいのだ。1993年の収録だというから、バイムラードフの可能性は低いけど、とても若そうなダンサーである。
こちらは、オペラ全幕の中でのボロヴィッツ人の踊りなので、主役のイーゴリ公などもしっかり映っている。演奏がものすごく迫力があって、まさに血沸き肉躍る感じ。コール・ドのレベルとしては、サンクトペテルブルグのガラの方が上かもしれないが、それでも大変素晴らしい。なによりも隊長!ワイルドでいかしている。これが生で観られるかと思うと、とっても楽しみ。ただ、E席だから豆粒にしか見えないかもしれないけど!

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2007/03/01

パリ・オペラ座バレエ 『白鳥の湖』 DVD(ヌレエフ版)

発売日から1ヶ月近く遅れて、ようやく届いた。待ちきれなくなっていたのに夜中に観てしまって、あまりにもカール・パケットが素敵すぎて眠れなくなってしまうほどだった。

それにしても、「白鳥の湖」を観るたびに思うのは、ロットバルトという人はいったい何が目的でオデットを白鳥に変えてしまい、王子を騙しているのか。化け物のような姿をして、普段は暗い森に住んでいて、何が楽しくて生きているのかしら。王国を乗っ取ることだったら、女王をたぶらかすとか、オディールを王子と本当に結婚させるとか、いろいろ方法はあるだろうに、どうして、敢えてオディールの正体を明かしてしまうのか。考えれば考えるほどわからなくなってしまう。

ところが、ヌレエフ版の「白鳥の湖」となると、ロットバルトの目的はきわめて明快だ。王子に甘い毒をそそぎ込み、手に入れて意のままに操ること。王子への倒錯した愛情が一貫として表出している。王子を王室という幻想から覚醒させて、夢の存在であるオデットとオディールを使ってある感情を起こさせるけれども、最後には愛情を持って手塩にかけた王子をもっとも残酷な方法で裏切って、孤独と絶望のうちに死なせる。悪魔と呼ばずしてなんと呼べばいいのだろう。

家庭教師という王子に仕える身分でありながら、王子を支配し、操っている。父親のいない王子のファーザーコンプレックスを巧みに利用し、あるときには父、あるときには教師、そしてあるときには恋人。王子がどんなにあがいても、歯向かうことも、ましてや勝つことなど決してできない絶対的な支配者。最後の最後になって王子はロットバルト=家庭教師に戦いを挑むが、勝ち目は最初からなかった。

そしてカール・パケットのなんという悪魔的な美しさ。その場を支配する魔力。彫刻のように端正ながらも酷薄な横顔。撫で付けられた金髪。ジョゼ・マルティネスと比べれば小柄であるのに、踊っている時にはとても大きく見える。強く美しく、すべてをひれ伏せさせるほどの権力を持っている彼は、この作品の影の主役である。この映像、なぜかカールのアップがとても多い。特に1幕では、最後の方まではほとんど踊らないのに、黒い影のように佇んでいる様子が画面に常に映っており、その美しい横顔は、虎視眈々と王子という獲物を狙う猛禽類のようである。ヌレエフ版でしか観られない、1幕の終わりの王子と家庭教師のパ・ド・ドゥに漂う妖しく危険な香り。美しき支配者は、王子にいろいろなことを教えながら、魔法をかけているかのようであり、かつ、「お前は絶対私には勝てまい」と王子への絶対的な権力を見せ付けている。

ジョゼ・マルティネスの王子も、ヌレエフ版を良く理解してこの役を演じているようであり、素晴らしいパフォーマンスを見せている。とても品良く育ってきた端正な王子だが、あまりにも穢れを知らず純粋、従順で弱弱しい。孤独であるがその孤独さを誰に伝えることもできない。そこで出会った家庭教師が初めての話し相手であり、簡単に心を許し、素直にその甘い毒に耳をそばだててしまい、破滅していくという絶対的な悲劇。ルートヴィヒ2世とワーグナーとの関係に少し似ているのかもしれないし、あるいは、ディアギレフとニジンスキーとの関係なのかもしれない。

王子と家庭教師=ロットバルトとの関係性があまりにも濃密に描かれているため、オデット/オディールの存在感は薄い。あたりまえだ。実はオデットというのは実在しない、王子の妄想の産物なのだから。3幕の黒鳥の本来はパ・ド・ドゥのところがパ・ド・トロワになっており、否が応でも王子、オディールの関係にロットバルトも入り込んだ三角関係を表現していて面白い。王子はオデットと同じ姿をしたオディールにも惹かれているけど、同時に家庭教師と同じ姿をしたロットバルトにも魅せられているのだ。ロットバルトに愛を誓え、と言われたから愛を誓ったのであって、オディールに対して誓ったのではないように見える。

幕切れで、この三角関係はさらに明確になる。オデットをめぐるロットバルトと王子の戦い。これは、父親的な存在であるロットバルトに打ち勝つことができるかどうかという王子の試練である。父親殺しの儀式なのだ。しかしここでも、ロットバルト=家庭教師は王子への絶対的な支配力を発揮し、王子はオデットと家庭教師という愛するもの二つを共に奪われてしまって絶望のうちに死んでいく。オデットという存在自体、王子の生み出した幻想であり、家庭教師への感情が白鳥の姿をして現れただけなのであったということが、ここで再確認されている。そうまでして望んだものは、王子の指をすり抜けていき、王子は容赦なく深い森の奥底へと突き落とされ息絶える。

「白鳥の湖」というバレエは、いつでも、王子の物語である。

ヌレエフ版で特徴的なのは、他の作品でも顕著であるが、パの多さ。一つ一つの音にパを充てているため、ともすれば非常に足が複雑で足音も大きくなってしまうし、忙しい印象があるのがマイナス点。踊り手にとっての負担も大きい。だが、高度なテクニックを要するだけに見ごたえはある。1幕の終わりの乾杯の踊りは男性による群舞だが、跳躍も多くてハードであるが面白い振付だ。白鳥のコール・ドはフォーメーションの組み方がとてもユニークであり、そのフォーメーションがよくわかる映し方となっているのが良い。特に4幕は、他の振付では決して見られないような、複雑なフォーメーションの動きがあって楽しめる。技術的には、悪くはないものの12月にマリインスキーのコール・ドを観ているだけに分が悪いのは致し方ないだろう。腕や顔の向きがずれている、動きのタイミングもずれが多い。

アニエス・ルテステュのオデットは気高い威厳がありながらも悲劇性も感じさせ、存在感は際立っているが、去年4月の来日公演でも感じたとおり、かなり硬質な印象がある。したがって、オディールのほうがはるかに出来が良い。オディールは必要以上に妖艶だったり押し出しが強いわけではなく、優雅な美しさ、高貴さが強い支配力になって王子を圧倒している感じが良く出ている。フェッテはダブルを取り混ぜており、終盤少し不安定になっているものの、軸がしっかりしており安心して観ていられる。最終的にロットバルトの支配から逃れられない優柔不断さが理解できるような表現力があるのは、説得力があっていい。終始、王子とオデットとの間の心の通じ合いは感じられなかったけど、今回の「白鳥の湖」に限っては、その演出が正解。王子とオデットの関係なんておまけなのだから。

ジョゼ・マルティネズは前述の通りヌレエフ版の王子像を見事に演じていたし、ほっそりとした脚の美しさ、柔らかく優雅な動き、高く浮力のある跳躍は眼福である。パ・ド・トロワのエマニュエル・ティボーとドロテ・ジルベールが素晴らしいのは言うまでもない。民族舞踊はやはりロシア系に比べれば表現力やアクが弱いし、ヌレエフもこのあたりの振り付けはあまり得意ではなかったのね、と思ってしまった。チャルダッシュのアレッシオ・カルボーネは良かった。

基本的に引いた俯瞰の映像が多く、コール・ドの全体像がよくわかる映像は良い撮り方だと思う。ただし、たまに無駄な手先や足先のクローズアップがあるのが残念。顔のアップは要所要所にあるという感じで、バランス的には良い。「ジュエルズ」は映像がとても悪かったので、それに比べればきれいだと思うけど45型のテレビで見るとやっぱり鮮明さに欠ける部分も。音は、5.1チャンネルの方はノイズが多かったが通常のドルビーステレオは問題なし。シンプルで非常に洗練されたセットも、クールかつスタイリッシュで作品の悲劇性と王子の孤独をより引き立てていて好み。

何よりヌレエフ版の救いようのない後味の悪さと、黒い薔薇のように妖しく美しいカール・パケットが素晴らしく、お気に入りの映像となった。

パリ・オペラ座バレエ / 『白鳥の湖』
振付:ルドルフ・ヌレエフ
出演:パリ・オペラ座バレエ
オデット/オデール:アニエス・ルテステュ
ジークフリート王子:ジョゼ・マルティネズ
家庭教師/ロットバルト:カール・パケット
女王:ミュリエル・アレ
パ・ド・トロワ:エマニュエル・ティボー、ノルウェン・ダニエル、ドロテ・ジルベール
ナポリ:ジェレミー・ベランガール、ミリアム・ウルド=ブラム
ハンガリー:アレッシオ・カルボーネ、ファニー・フィアット
スペイン:ジュリアン・メザンディ、クリストフ・デュケンヌ、ステファニー・ロンベール、ナタリー・リケ
小さな白鳥たちの踊り: ドロテ・ジルベール、マチルド・フルステー、ミリアム・ウルド=ブラム、ファニー・フィアット
大きな白鳥たちの踊り:エミリー・コゼット、ステファニー・ロンベール、オ-レリア・ベレ、ローレンス・ラフォン
演奏:パリ・オペラ座管弦楽団、ヴェロ・ペーン(指揮)
収録:2005年、パリ、バスティーユ・オペラ座
特典:バレエ概要・キャスト・ギャラリー
収録時間:145分(本編:141分、エクストラ:4分)

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2007/02/20

ノイマイヤー「椿姫」のジャケット

更新を休むと言いながら舌の根も乾かぬうちに更新している嘘つきな私です。お許しください。体調と相談しながら更新のペースは落としていきます。

ノイマイヤーの「椿姫」のDVDがドイツグラモフォンから再リリースされることは皆様ご存知かと思いますが、本家ドイツグラモフォンのサイトにジャケットの画像がありました。

http://www.deutschegrammophon.com/catalog/product.htms?PRODUCT_NR=0734320&COMP_ID=CHOFR&WIDTH=1436&HEIGHT=517&COLORS=&PLAYER=yellow

間違いなくマリシア・ハイデ、イヴァン・リスカ主演、ハンブルク・バレエのものです。

HMVではこちらです。05月25日 発売予定です。


ついでにハンブルク・バレエのカリフォルニア公演の批評をご紹介


「ヴェニスに死す」

ロサンゼルス・タイムズ
http://www.calendarlive.com/stage/cl-et-hamburg19feb19,0,6050976.story?coll=cl-stage

Orange County Register (写真あり)
http://www.ocregister.com/ocregister/entertainment/arts/dance/article_1583749.php


「椿姫」

Orange County Register(写真のスライドショーつき)
http://www.ocregister.com/ocregister/entertainment/arts/dance/article_1579717.php

ロサンゼルス・タイムズ
http://www.calendarlive.com/stage/reviews/cl-wk-hamburg15feb15,0,5648822.story

ロサンゼルス・タイムズによるノイマイヤーやリギンスのインタビュー。
http://www.calendarlive.com/stage/cl-et-neumeier13feb13,0,3825100.story?coll=cl-stage-features

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2007/02/06

パリ・オペラ座「白鳥の湖」DVD配送予定

2月1日発売予定のパリ・オペラ座「白鳥の湖」(ヌレエフ版)を予約していたのですが、発売日を過ぎても届く気配がありません。
昨日までは2月2日か3日配送となっていましたが、今日アマゾンのアカウント見たら、2月16〜24日の配送予定になっていました。

それなのにこちらから連絡を取るまでは何も言って来ないのは、少々問題ありですね。

問い合わせの結果、確保分を上回る注文が来たためだからとのこと。発売日から10日程度過ぎないと、アマゾンからは連絡しないことになっているそうです。

もちろん発売日には店頭には並んでいたわけで…キャンセルしてHMVなどの実店舗で買うか考え中です。
これから買う方は、別のお店で買ったほうがいいかもしれませんね。オンラインショップの方のHMVも、入荷に1週間程度かかるようですが。

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2006/12/23

ミラノ・スカラ座バレエ「ラ・バヤデール」(ザハロワ&ボッレ)

待っていました!のザハロワ&ロビーのバヤデール。ジャケットのロビーの写真にはおひげがあるのだけど、実際に見てみたらひげはなかった。

ミラノスカラ座バレエの今までの映像を観ると、演奏と衣装・舞台装置は大変美しいのだけど、ダンサーはいまいち、という印象が強かった。でも、今回はソリストからコール・ドにいたるまでなかなか健闘している。誰もが懸念していたであろう「影の王国」のアラベスク~パンシェも揃っていて美しい。ただしスロープが2段しかないのが物足りないのと、スロープを下りきってから全員でエカルテでキープするところは時々ぐらぐらしている人がいたのが惜しい。さすがにロシア系の影の王国には及ばないけど、多分ABTあたりよりはクオリティは高いのではないかしら。影の王国のバリエーションのレベルもまずまず。ただし、3人ともニコニコしながら踊っているのにはちょっと違和感を感じた。時が止まった感覚や、幽玄さという点では、このシーンは物足りない。が、ダンサーの力量という点では、レベルはなかなか高いように思えた。

苦行僧はジャンプ力があって踊りに迫力があるし、大僧正もなかなか存在感はあった。(ロイヤルのダウエル様やボリショイのユーリ・ヴェトロフを観ていると淡白だけど) ブロンズ・アイドルも、背が高くスリム、皮膚呼吸が出来ないんじゃないかと思うくらい金色に塗りこめられていたけど軽やかで上手だと思った。

ザハロワのニキヤは5月のボリショイの来日公演で観ていたのだけど、相手役のツィスカリーゼがあまりに濃かったのと、前日観たグラチョーワが素晴らしすぎてやや印象が弱かった。この映像が収録されたのも、5月ということで来日公演直後のようだったけど、この映像の方が印象に残るニキヤであると思う。

「何を踊っても姫」と呼ばれるザハロワだけど、今回はさすがに姫ではなくて、華奢で儚げでありながら、もっと威厳がある存在のように見えた。巫女ではあるけれども、相当位の高い神聖な巫女という風情である。真っ白な肌、柳のような細くしなる腕や脚、死ぬ前からすでにこの世の人ではないような雰囲気さえ漂わせている。来日公演のときのザハロワは、大僧正に迫られて、「このあたくしに迫るなんて100年早いわ」というゴーマンさすら感じさせたのだ。今回はもっと大人で、大僧正を嫌がっているのはよ~くわかるんだけど、あなたほどの方がいけませんわ、と表面上は取り繕っている。ガムザッティとの対決シーンでは、ソロルと彼女が婚約したことにショックを受けて、そのクールさが一瞬失われて動転し、手負いの動物のように見えるところがいい。いずれにしても、とても育ちがよく、かつ神々しいまでの美しさ。踊りそのものもち、柔らかい背中、高々と上がるデヴロッペ、気持ちよいほどパッと開くジュテ・アントルラッセと絶好調。影の王国でのヴェールを持ったヴァリエーションも、綺麗に踊っていた。ここは来日公演では結構乱暴だったもので。
ザハロワの演技の中でも一番よかったのは、3幕、ソロルとガムザッティの結婚式でニキヤが亡霊となって現れるところで、ソロルへの愛と裏切られた悲しみで引き裂かれながらも、彼のすべての過ちを許そうとするところが見られる。ソロルへの想いだけが現世に残っている、その情念が幽かに浮かび上がって、彼だけに見える幻なのがよく伝わってきた。
ザハロワはあまりにも造形が美しくてお姫様っぽいので、演技面での評価が低くなりがちなのだけど、相当表現力が増しているのがわかる。

ロベルトもザハロワに負けず劣らず見目麗しい戦士。だけど、彼は戦士としての勇壮さの裏腹の優柔不断さ、気弱さをストレートに出している。ガムザッティを紹介されて、うまく断れないうちにズルズル引きずられて結婚する羽目になってしまった感じ。3幕の結婚式でも、ものすごく嫌そうなんだけど、でも席を蹴って毅然と断ることもできない。要するにダメダメ君なのだ。ニキヤが毒殺された時などはもっとひどくて、彼女が息絶えるところすら見届けないでガムザッティとその場を立ち去っちゃう冷たい男だし。なのに、2幕では相当後悔しているようで、アヘンをがんがん吸っていて色っぽく悶絶しているし。ロビーのように美しい人だから、絵になるのであって、そうでない人だったら目も当てられないかも。最初のラブラブなところでは、さすがラテン男の情熱を体現しているのにね。
踊り自体は、例によって安定していて、サポートも非常に上手だし、ラインも足先もきれい。難しいヴェールのシーンでもしっかりとザハロワを支えていた。この二人はとてもよく合っている。ジュッテは柔らかく品がある。戦士役を踊るのには少し貴族的過ぎる踊りという気もするのだけど、ちょっとお疲れだったのかもしれない。それでも、影の王国でのソロは見事で、背中も反らせてのカブリオールの形が美しい。

ミルタのイザベル・ブリュッソンは、悪くない。背の高い若い美人さんで、最初はおっとりとしたお嬢様だったのが、どんどん性格のきつさが表に出てきている。1幕2場の終わりに「あの女殺してやる~」の決然とした表情は凛々しい。テクニックも悪くない。ただし、ニキヤとの対決シーンでの押し出しはもう少し強い方がいいだろう。ザハロワというスターに対抗するには、相当の悪の強さか、華が必要なのだけど、そのあたりが相当物足りない。2幕婚約式のとき、エカルテもこなしていたが、やや不安定で迫力に欠けていた。さらに圧倒的な華やかさがほしいところだった。3幕の結婚式で、蛇を隠したのと同じような花かごを差し出されて、激しく動揺する演技は良かった。ガムザッティは本来はニキヤと同格くらいのスターダンサーに踊らせたほうが、「ラ・バヤデール」というドラマは盛り上がると思う。

演出はマカロワ版ということで、ブロンズ・アイドルの踊りは3幕の結婚式で踊られ、太鼓やマヌー、オウムの踊りなどのキャラクターダンスがない。それと、ニキヤが蛇にかまれる時の花篭の踊り(曲が速く変調するところ)がないので、ニキヤの死の描写が案外盛り上がらないのが残念。その代わり、影の王国の後に3幕として結婚式がある。ここではニキヤの亡霊が現れ、ソロルの心が激しく揺れ動き錯乱。それを観たガムザッティも動揺したところへ、寺院が崩壊してあの世でニキヤとソロルが結ばれることになるのだ。ロビーがアヘンにおぼれるシーンや、ニキヤの姿が脳裏に浮かぶところは特殊効果を使っていたけど、そういうのは要らないと思う。

カーテンコールにはナタリア・マカロワも登場。さすがにザハロワやロビーと並ぶと小柄だけど、意外と若々しかった。立派なプロダクションに、主演二人の美しさもあって、見ごたえのある映像となっている。画質、音質とも大変良し。

このDVDに収録された公演をご覧になったamicaさんの感想をぜひお読みください。

ミラノ・スカラ座バレエ団「ラ・バヤデール」(全3幕)ミラノ・スカラ座バレエ団「ラ・バヤデール」(全3幕)
スヴェトラーナ・ザハーロワ ロベルト・ボッレ マルタ・ロマーニャ

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2006/11/17

「愛と喝采の日々」

ずいぶん前にテレビで放映されていた時に観たはずだったけれども、すっかり忘れてしまい、DVDが出た時に買ったのだけど観る暇がなく、やっと観た。

THE TURNING POINT
監督:ハーバート・ロス
出演:ディーディー:シャーリー・マクレーン
   エマ:アン・バンクロフト
   ユーリ:ミハイル・バリシニコフ
   エミリア:レスリー・ブラウン

かつて一流のバレエ団のトップダンサーで良きライバルだったディーディーとエマ。ディーディーは妊娠してバレエの道をあきらめ、地方で3人の子供を育てながら夫とバレエ教師をして幸せな生活を送っている。エマは結婚しないでバレエ一筋に生きて、今もトップのバレリーナだけど、そろそろ若手に道を譲らなければならない年齢。ディーディーの娘エミリアは才能を発揮してエマと同じバレエ団に入団し、めきめき頭角を顕す。エミリアに母のように慕われるエマに嫉妬するディーディー。あの時、バレエを捨てなければ、今はエマの地位にいるかもしれないのに。一方エミリアはロシア人のスターダンサーに恋をする・・。

今はダーシー・バッセルのように、子育てをしながらもトップのバレリーナとしても生きているスターが何人もいるけれども、この映画が作られた1977年というのはそういう時代ではなく、バレエか、結婚かということで、「赤い靴」と同じテーマがそのまま生きていたのだ。

シャリー・マクレーンとアン・バンクロフトという一流の女優二人(いい年したおば様方)が、10数年前のことをいまだに根に持って取っ組み合いの大喧嘩をしちゃうというくだりには、思わず失笑してしまう。アン・バンクロフトはすごく男前な感じでカッコいいのだけど、現役のバレリーナにしてはちょっと老け過ぎ。トップスターでも肩たたきをされている残酷な現実をちゃんと見せているのはえらい。この方はもう故人となられてしまった。

レスリー・ブラウンが演じたエミリア役は、当初ゲルシー・カークランドが演じる予定だったのを、ゲルシーが脚本を読んでこれはくだらない、といい、それでも出演することを強いられたら拒食症になってしまってやっと降板できたといういわくつきの映画。実際このときゲルシーはミーシャとお付き合いしていたのだけれども、うまくいかなくなってきた頃で、映画の中でエミリアはユーリに捨てられてしまうから、この役を演じるのはつらいだろうなと思ってしまった。
それはさておき、エミリアのキャラクターは大胆かつ可愛らしい。ユーリと「ロミオとジュリエット」のバルコニー・シーンをレッスンしているうちに盛り上がってしまい、あのロマンティックなスコアが流れるところでベッドインしちゃう。それだけ、マクミラン振付のバルコニーシーンには女性を酔わせる力があるということなのだが。とても美しく、女の子が夢見、あこがれてしまうようなシチュエーション。ミーシャの上目遣いは「キラー・スマイル」っていうくらい、たまらなく魅力的。エミリアは夜遅くに帰宅して、「ユーリと一緒にいたの。でもピルを飲んでいるから大丈夫」なんて母親のディーディーに言っちゃうんから、やるなあ、である。こういうイケイケな娘だから、スターへの階段を上がっていけるんだな、と感心することしきり。

プレイボーイだったユーリに振られ、エミリアはロシア人のふりをしてしこたま酔っ払い、へべれけの状態で「ジゼル」のウィリを踊る。だけど当然ヘロヘロで倒れそうになったり、出番を間違えたり。もし自分が観客だったらすごく怒るだろうけど、映画として観るとすごく笑える。

バレエのシーンがふんだんにあって、しかも超一流の出演者ばかりなのが嬉しい。タイトルバックは「ラ・バヤデール」の影の王国。主要キャラクターであるからして、ミーシャのダンスがいっぱい観られる。「眠れる森の美女」から始まり、「ジゼル」、それから凄まじいエネルギーが炸裂する「海賊」のアリ。凄い。ガラ公演ではこのほかに、ブフォネスの「白鳥の湖」、マルシア・ハイデとリチャード・クラガンによるクランコ振付の「伝説」、スザンヌ・ファレルとピーター・マーティンスの「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」。そしてアルヴィン・エイリーが振付けたモダンの作品をレスリー・ブラウンが踊るのだけど、これがなかなかすっきりとしていて良い。
ラストはミーシャとレスリーによる「ドン・キホーテ」の3幕のパ・ド・ドゥだが、映画なのにしっかりとほとんど全部見せてくれるので嬉しい。全盛時のミーシャなので、疾風のようだ。もうこれだけで十分おつりが来る感じ。

バレエ・リュスの名花、アレクサンドラ・ダニロワも往年のバレリーナ役で出演していて、美しく老いた姿を見せてくれる。

映画そのものの出来としてはあまりよくないと思うけど。(だって、要はおばちゃんたちの喧嘩なんだもの。しかも、たった一言で仲直り。でもアカデミー賞にいっぱいノミネートはされた) バレエファンにとっては大満足の映画。

鈴木晶先生のサイトに、詳しい解説があります。

愛と喝采の日々愛と喝采の日々
アーサー・ローレンツ ハーバート・ロス シャーリー・マクレーン

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2006/10/07

やっぱりベジャールは苦手「愛、それはダンス」

ここしばらく仕事が忙しくて、10時くらいまで毎日残業。忙しいだろうなと予想がついていたので、東京バレエ団の「白鳥の湖」はパスをした。新国立劇場バレエの「ライモンダ」も祝日の9日のみ。勤め人が6時半に劇場に行くのは、そう簡単なことではないのよ。

WOWOWでベジャールの「愛、それはダンス」が放映されるというので、それに間に合うように帰宅する。なんとかぎりぎりに到着。テレビをデジタルにしたら、録画の方法が厄介になった上、コピーワンスでダビングができないこともあって、家にいないと無事録画できるかどうかが不安だったのだ。

冒頭には、小林十市さんと佐藤友紀さんの対談が5分ほど。十市さんは本当にベジャールが好きなのね。ほほえましくなってしまう。 音楽の使い方がいいと十市さんは言うけれども、私は、まったく逆なのだ。

やっぱり私はベジャールがとても苦手であることを再確認してしまった。何回も書いていてしつこいと思うんだけど、振付というより音楽の使い方が苦手。生演奏は絶対に使わなくて必ずテープだというのがまずイヤ。そのテープの音も悪いんだもの。まあ、ヴォーカル入りの曲でクイーンとかなら確かにテープでないと無理なんだろうけど、『春の祭典』や「ロミオとジュリエット」はやっぱり生演奏でないと。特にロミジュリの音楽の使い方たるや、もはや我慢できない領域であり、プロコフィエフベルリオーズに対する冒涜とすら思ってしまう。

あとこれも何回も言っていることなんだけど、バレエでせりふがあったりするのも好きではない。シャンソンも好きじゃないというか生理的に受け付けないし。ダンサーは皆美しいしテクニックもあるし、振付そのものは、全然悪くないんだけど。改めてバレエにおける音楽の重要性というのを感じた。

「春の祭典」を見て思ったこと。私は東京バレエ団が踊るベジャール版の「春の祭典」は何回か見たことがあって、BBLによるハルサイは今回初めてだったのだが、東京バレエ団のを見慣れているせいか、あっちの方が萌えるのであった。BBLのダンサーはスタイルの良い美しい人が多くて、衣装もカラフルで、照明もすごく凝っていてカラフルで明るいので、「春の祭典」という曲が持っている原始的で野蛮なエネルギーというのが感じられない。その点東京バレエ団は、この作品、音楽にふさわしい荒々しさを感じさせるのだ。

ブルー、レッドの色鮮やかな照明と白いレオタード、くっきりとした輪郭の映像。なんだかバレエを見ている気がしない。どんなメイクをしているかまではっきりと映っていて、逆に私には興ざめだった。ダンサーのファンの方にはすごく薦められるけれども。

映像としても舞台としても高度に洗練されているのが、かえってわたしにはすごくダサく感じられるの。 非常に画質は美しく鮮明なので、おそらくDVDの質もとても高いと思う。ファンの方は買うべきでしょう。

なお、この作品集には登場しないけど、「バクティ」と「魔笛」「中国の不思議な役人」はベジャールの中では好きなほうだと思う。「バレエ・フォー・ライフ」も音楽の使い方という意味では、許容範囲。バレフェスでのジル・ロマンの「アダージェット」は素晴らしかったし。(フォローになっていないですねえ) ジルのようなカリスマ性のあるダンサーがほかにいないのも痛いのかもしれない。ジュリアンは美しいし、エリザベット・ロスにもインパクトはあるけれども、この3人どまりかしら。

終わったあとも十市さんと佐藤さんが出てきた。十市さんは、来年1月にWOWOWで放映される予定の、彼が出演した舞台を紹介。舞台の映像もちょっと流れた。

それと、この後に放映された「今日本のダンスがカワイイ」はなかなか面白かった。康本雅子さんの特集。彼女のことはよく知らなかったんだけど、三谷幸喜などの舞台や、「恋の門」など映画でもかなり振付を担当していたのね。彼女の、振付に左右されない、もっと「踊り」ってモノを追及したい、という言葉が印象的。映像も、舞台の映像というよりはプロモーションビデオのような感じで、キュートで、みていてとても楽しかった。古田新太が彼女の振付が相当気に入っているみたいで、コメント映像で出演。

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2006/09/25

「ジゼル」ミラノスカラ座バレエ ザハロワ/ボッレ

スヴェトラーナ・ザハロワ&ロベルト・ボッレという、当代2大美男美女によるジゼルは見逃せないと思って、DVD予約して買いました。

といっても、長身プロポーション抜群のザハロワが村娘の役を演じるのは少々無理があるかも、と不安を抱えての鑑賞であったわけだけど、彼女は、本来は似合っていない役柄でもこれだけ見せてくれるのは大したものだと思った。儚い美しさは天下一品。その上、とても優しくてスウィートで優雅なロベルト・ボッレのアルブレヒト像も、最近ではプレイボーイのアルブレヒトばかり観ていたので新鮮だった。

ザハロワはやはり、村娘には到底見えず、百歩譲って「パキータ」みたいに幼いときにさらわれたか迷い込んだかで農村で育つことになってしまった、元はお姫様という設定がふさわしく思えてしまう。ザハロワはとってもかわいらしくて純真でその点はジゼルらしいといえばそうなんだけど、お姫様オーラはやっぱり出ていた。一挙一動すべてが、とても優雅でお姫様なのだ。

そんな彼女に恋する青年ロイス=アルブレヒト。ロベルト・ボッレもまるでギリシャ彫刻のようと形容されることに多い、現実離れした美青年なのだが、この人の場合、美しくても人間味が感じられるところがいい。ジゼルの家の影からいくつも投げキッスを投げる茶目っ気のある表情や、ジゼルと戯れている時の心底幸せそうな表情が素敵。本当にジゼルのことが好きで好きで仕方ないって思わせてくれる、心優しいアルブレヒトだ。二人で並んでベンチに座るシーン、ベンチが小さい上、ザハロワがどっかりと真ん中に座ってしまうものだからロビーは座れなくて困っちゃっているの。とても可愛い二人なのだ。

アルブレヒトの正体がばれて、ジゼル狂乱のシーン。髪留めをはずすところがしっかり見えてしまうなど、ちょっとザハロワの演技はとってつけたようなのが残念。ザハロワに名演技を期待する人もあまりいないと思うけど。まあ、オーソドックスな演技といえるのでは。バチルドの手にキスをしてから、しまった、とあわて、正気を失った彼女を見て大変おろおろするアルブレヒト。ロベルトのアルブレヒトは、少しもジゼルをだまそう、うまいことやろうというところはなくて、自分の軽率さを悔やみながらも、どうしたらいいのかわからなくなっている風。

ジゼルが狂乱の末アルブレヒトの腕の中で死んでしまい、彼女の遺体にすがり付こうとするアルブレヒト。だが、ジゼルの母ベルタは冷たくアルブレヒトを振り払い(当然といえば当然)、村人たちには背中を向けられてしまって呆然とし、彼は走り去る。この辺もとても人間くさいアルブレヒトになっているのだ。

ペザント・パ・ド・ドゥは、「白鳥の湖」の映像で見事な道化師振りを見せたアントニーノ・ステーラ。ところが、ここでの彼の踊りは今一歩である。跳躍力はあるのだが、上半身、特に腕の使い方がばらばらなので綺麗に見えないのだ。女性の方はさらに印象が薄い。う~む。バチルドは、衣装がとにかく地味。ジゼルがバチルドの美しい衣装を見て思わず手にとってしまうという設定に説得力がない。ヒラリオンはかなり印象的だった。ちょっと髪がうすくなっていて、ジゼルに純粋な愛を捧げているというよりは、少々変質者風。あまり同情心を起きさせないヒラリオンである。こういう解釈もなかなか面白い。

そして2幕。ミルタは花嫁のヴェールをかぶって登場。マルタ・ロマーニャは背が高く手足も長く威厳のあるミルタではあるけれども、踊りは少々雑な印象があった。ポール・ド・ブラは美しいのに、パドブレに滑らかさが足りなくて、脚さばきが乱雑に見えてしまう。ドゥ・ウィリは、最初にソロを踊るほう(モイナだったかな?)は非常に美しくて素敵だったのだけど、もう一人は全然駄目。その上ウィリを踊るのに必要な儚さのかけらもなかった。ほかのコール・ドはまずまず揃っていて悪くないと思った。ただ、振付の問題だと思うのだけど、例のアラベスクで左右からずんずん進むところ、ずっとアラベスクで進むのではなく、8拍ごとに一旦降りてパを入れてまたアラベスクで進む、という感じでアラベスクの時間が短いのがとても物足りない。これでは拍手ができない。

ミルタとウィリたちのもうひとつの見せ場、ヒラリオンをよってたかって殺すところも、物足りない。好感度の低いヒラリオンなのだから、もっとじっくりと追い詰めればいいものを、わりとさっさと死なせてしまうのだ。このヒラリオン役のヴィットーリオ・ダマートさんは踊りも演技も上手だと思うのに、見せ場が少なく死んでしまうのが気の毒である。ミルタへの命乞いは真に迫っていて良かったのだが。

ジゼルがウィリとしてデビューするシーン。ジゼルのお墓は舞台の下手奥にある。すごく印象的だったのは、通常ジゼルがミルタに操られ高速回転するところは、後ろ足がア・テールではないもののかなり低い位置に置いたまま回るのに、ザハロワはアティチュードで回転しているのだ。これにはびっくり。こんな風に踊るジゼルを初めて観た。よほどテクニックに自信がなければできないと思う。ただし!カメラワークがここが悪くて、なんと、最初のうちはザハロワの上半身のみを映しているのだ。脚がどうなっているか観たいのに~。

ザハロワのウィリとなったジゼルはとても儚げで浮遊感があって美しかったと思う。ミルタよりも背が高いジゼルってどうよってちょっと思うけど、華奢で腕の使い方がとてもきれいなので、ミルタに支配されつつも抵抗もしているところが見えて良い。グランド・スゴンドへと脚をデヴェロッペすると衣本当に惚れ惚れするほどの美しさだし。役作りとしては、古典的なジゼル像だと思う。生きてはいないけれども、意志だけはしっかり持っているジゼルだ。

マント姿で百合の花を抱えて登場するロベルトは、貴族の扮装で青い衣装が似合い、一段と麗しい。ただ、照明の加減のせいで百合がちょっと黄色く見えてしまったのが残念。心の底から悔やんでいるような、沈んだ表情も美しく絵になる。マントを翻して疾走する姿も様になる。そんな彼のところに手を差し伸べるジゼル。最初はお互いの姿が見られなくても少しずつ感じていく過程が見えてくる。長身で手足の長い二人が一緒に踊ると、気持ちよいくらい大きな踊りに見える。

ジゼルのソロでのザハロワは、スーブスソーのときに背中をかなり反らせているのが印象的だった。ここって下手するとキョンシーがぴょんぴょん跳ねているように見えてしまうのだけど、ザハロワはさすがにこの部分をとても美しく、音楽性豊かに、歌うように踊っていた。素晴らしい。

アルブレヒトがミルタに踊らされるところでは、アントルシャ・シスばかり34回!これには驚いた。こんなにたくさんアントルシャ・シスを見せる人もなかなかいないのでは?個人的にはもう少しいろいろと踊ったほうが変化があって面白いと思うのだけど、その脚力には恐れ入った。命乞いするところもあくまでも優雅で王子らしい。ミルタに踊らされてへとへとになり倒れこむ演技もごくごく自然だし、ジゼルを低い位置でリフトしながら進むところも、リフトが上手である。

倒れこんでしまったアルブレヒトを気遣うジゼル。そこへ夜明けの鐘が鳴り、ウィリたちが去っていく。ザハロワは、アルブレヒトを守り抜いた喜びというよりは、彼との別れを悲しむ感情の方が勝っていたように見える。お墓の方へパドブレしながら後ずさっていくジゼルをアルブレヒトは追うけどなかなか追いつけない。お墓の中に吸い込まれていきながらも(新国立劇場のジゼルのところで書いたけれども、お墓の中に入ってい演出は私は好きではない)、白い薔薇をアルブレヒトに渡していく。華奢なザハロワの腕をみるだけで、そこにこめられた想いが伝わっていくようだ。彼女を最後に感じようと、指を握り締めようとしたその時に永遠の別れがやってくる。お墓に倒れこむアルブレヒトだが、やがて立ち上がり、万感の思いをこめた表情で正面を向くと、そこで幕。幕の下りるタイミングがちょっと早すぎたのが残念。

スカラ座バレエの一番素晴らしいのは、オーケストラの演奏がとても良いことだと思う。バレエは総合芸術だから、そこはすごく大事。あとはソリスト級のダンサーでもう少しいい人が出てくるといいだけど、ね。

いろいろと文句をつけているけれども、やはり、ザハロワ&ロベルト・ボッレという世界最高の美男美女、しかもテクニックもしっかりしている二人によるジゼルが楽しめないわけはないのである。本当にロビーは素敵だったわ。

というわけで、ロベルト愛のamicaさんの、愛にあふれた詳しいレビューもどうぞ。


ジゼル:スヴェトラーナ・ザハロワ
アルブレヒト:ロベルト・ボッレ
ヒラリオン:ヴィットーリオ・ダマート
ミルタ:マルタ・ロマーニャ
クールランド公:フランチスコ・セデーニョ
バチルド:フラヴィア・ヴァッローネ
ベルタ:アンナリーザ・マシオッキ
ウィルフリード:フランチェスコ・ヴェントリーリア
狩猟係:マシュー・エンディコット
ペザントの踊り:ソフィー・サロット、アントニーノ・ステーラ
二人のウィリ:ララ・モンタナーロ、ラウラ・カッチャランツァ

スカラ座バレエ団、スカラ座管弦楽団
指揮:デイヴィッド・コールマン
振付改訂:イヴェット・ショヴィレ

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ミラノ・スカラ座バレエ団

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2006/09/23

映画「Ballets Russes」/「バレエ・リュス 踊る歓び、生きる歓び」

アメリカで劇場公開される前からずっと見たいと思っていたこの映画を、念願かなってようやく観ることができた。そして、予想以上の素晴らしい出来に、涙してしまうほどであった。すべてのバレエ好きに観てほしい、傑作ドキュメンタリー。

2000年に、元バレエ・リュス・ド・モンテカルロのダンサーたちがおよそ40年ぶりに同窓会を開いたところから、この映画は始まる。80歳から90歳にもなった元ダンサーたちへのインタビューと、当時の映像を元に構成。舞台映像も、今はほとんど踊られることのないマシーン振付作品が多く登場して興味深い。

1929年にディアギレフが没し、バレエ・リュスを再興すべく、1931年にバレエ・リュス・ド・モンテカルロが生まれた。バレエ・マスターのジョージ・バランシンのアイディアで、3人のベイビー・バレリーナを中心にしたカンパニーである。元コサックのド・バジル大佐と、ユダヤ人で、アウシュヴィッツへ向かう列車の中で亡くなってしまう劇場主のブリュムが率いた。このドキュメンタリーのインタビューにも登場するイリーナ・バロノワは、当時なんと13歳、タチアナ・リャーブンチンスカは15歳だったけれども(すでに亡くなっていたタマラ・トゥマノワも13歳)、テクニック的にはすでに完璧だったという。バランシンは、元妻のアレクサンドラ・ダニロワに、27歳はもう年寄りだから役はないと言い放ったという。バランシンはすぐに首になり、1939年にバレエ団は分裂し、二つのカンパニーが生まれた。片方はレオニード・マシーンが率いるバレエ・リュス・ド・モンテカルロで、もうひとつはド・バジルのオリジナル・バレエ・リュスである。

銀行家であり興行師のデンハムはマシーンのバレエ・リュスを呼んでアメリカツアーを行い、バジル大佐のバレエ・リュスはオーストラリアをツアーする。二つのカンパニーがヨーロッパに戻ったところで、第二次世界大戦となり、二つのカンパニーは一緒にアメリカに逃れ、両方ともダンハムが興行を仕切って別々にツアーを行う。年間100公演以上の苛酷なツアーで、休む暇もなくダンサーたちは全米を旅し、ベイビーバレリーナたちのステージママたちもツアーに同行した。バジル大佐とデンハムが喧嘩別れし、米国で興行が出来なくなったオリジナル・バレエ・リュスは南米ツアーで成功を収めるが、あまりにも苛酷なツアーで疲弊し切ったカンパニーはボロボロとなり、バジル大佐は破産し、ついにこちらの命運は尽きる。一方、レオニード・マシーンのバレエ・リュス・ド・モンテカルロは、アリシア・マルコワとアレクサンドラ・ダニロワの2大看板で華やかな成功を収め、ダンサーたちはハリウッド映画に出演するなどして、大スターとなる。が、その儲けをマシーンが蕩尽する一方、彼の振付作品はことごとく失敗し、やむなくマシーンはバレエシアター(現在のABT)に作品を提供するようになって解雇される。その後バランシンを振付家として招いて成功を収めるも、バランシンも自分のカンパニーを持つようになって去っていく。芸術監督が空席のまま、デンハムがディアギレフよろしく芸術面も仕切ろうとするが、新しい作品を生み出すことはなく、カンパニーは今までのレパートリーを繰り返して飽きられる。さらに、デンハムがニーナ・ノヴァクという若いダンサーに入れあげて実力不足の彼女をマルコワの代役に据えるなどやりたい放題をした挙句、ダンサーたちはみなバレエ・シアターやNYCBへと去ってしまい、ついに1960年代にカンパニーは消滅する。

印象的なエピソードとしては、1950年代のアメリカ初の黒人バレリーナ、レイヴン・ウィルキンソンの話がある。肌の色を理由に何回かオーディションに落とされたが、実力を認められて入団する。しかし南部をツアーした時にKKKが舞台に押しかけて脅し、結局バレエ・リュスを去らざるを得なくなり、それどころが米国のカンパニーでは踊れなくなってオランダ国立バレエに移籍したという。その後はメトロポリタン・オペラで活躍しているとのこと。

インタビューされるダンサーたちは、先に書いたように、すでに80歳から90歳以上にもなっているというのに、みなとても若々しく、多くは今でも舞台に立っていたり、バレエ教師を務めたりしている。元バレリーナだけあって、みんな今でもとても華やかで美しい。ナタリー・クラフスカは当時のパートナーと「ジゼル」を照れながら踊るのだけどその可愛らしいこと。(が、残念ながら映画が公開される前に亡くなったようだ) 苛酷なスケジュール、ほとんど給料が払われないような状態、田舎町から町へと旅する生活、戦争と苦労も並大抵のことではなかっただろうに、当時のことを思い出すのが楽しくて仕方ないようだ。少年少女にかえったかのように瞳がキラキラしている。今もABTの舞台に時々登場しているフレデリック・フランクリン(現在93歳)の若々しさといったらもう、信じがたいほどである。彼はABTの「ペトルーシュカ」や「シェヘラザード」の監修をしたりと、バレエ・リュスの遺産を現代に伝えていくことに身を捧げていて、実に生き生きとしている。

2000年に、40年ぶりに再会したダンサーたち。当時を懐かしむ姿がとても素敵だ。最後に、現在も活躍している彼らの姿が映し出される。ダンサーだけあって、みんな背筋が伸びて美しい。アリシア・マルコワはイングリッシュ・ナショナル・バレエで日本人らしきダンサーを指導している姿が映し出されたが、彼女も撮影が行われた後亡くなってしまった。近代バレエの貴重な証言を収めたこの作品は素晴らしい資料であるとともに、バレエという芸術へのこの上とない賞賛となっている。バレエを見たことがない人でも、バレエを見たくなってしまうし、バレエ好きだったらもっともっとバレエ・リュスについて知りたくなってしまう、そんなバレエとダンサーたちへの愛に満ちた作品。マルコワ、クラフスカ、リャブーンチンスカ、スラヴェンスカなどは、この映画の完成を見ずに亡くなっている。

映像特典もとても豪華で、主要なダンサーたち自身の解説によるバイオグラフィー、本編に収め切れなかったインタビューや「白鳥の湖」「ジゼル」など舞台映像が1時間、200点にも及ぶ美麗なスチール写真など素晴らしい資料となっている。

映像のクオリティもとても高い。ぜひとも、日本での劇場公開と日本盤のDVD発売をお願いしたいところだ。(このDVDはリージョン1。英語字幕はあるが、特典映像には字幕はつかない)

監督:Daniel Geller Dayna Goldfine
出演:Frederic Franklin/Nathalie Krassovska/Irina Baronova/Alicia Markova/Marc Platt/Tania Riabouchinskaya/Mia Slavenska/Maria Tallchief/George Zoritch

公式サイト:http://www.balletsrussesmovie.com/

Ballets Russes (Ws Spec Sub)Ballets Russes (Ws Spec Sub)
Dayna Goldfine Daniel Geller Tatiana Stepanova

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2006/09/19

パリ・オペラ座バレエ「MC14/22 "ceci est mon corps"」

アンジェラン・プレルジョカージュがパリ・オペラ座のために振付けた1時間弱の作品。

タイトルのMC14/22とは、聖書のマルコによる福音書第14章22節「これは私の体」という意味らしい。最後の晩餐のときに、イエス・キリストはパンを取り、賛美の祈りを唱えて弟子たちに渡しながら言った。
「取って食べなさい。これは私の体である」

で、この作品、12人の男性ダンサーが、パンツ一丁もしくはその上に黒い巻きスカートで登場するのだ。音楽はずっと電子音。

ガムテープをベリベリ使う男性。横たわる男性の上に洗面器の水をかける男性。そして、まるで商品のようにカイコ棚のようなスチール棚に並べられた半裸(白ブリーフ一枚)のダンサーたちが、横向きで蠢いている。 人間性を剥ぎ取られた存在のようだ。

やがて、棚は解体されて横一直線に並べられる。男性ダンサーたちはペアを組んで、向かい合い、意味ありげな性的な目線を送ったり、その目線に怯えたり。そして片方が、堰を切ったように相手に激しい暴力を加える。その暴力は、あるときには性的な暴力を連想させる。棚の上に倒した男性の上にのしかかったりとかなり直接的な表現。そして、ある時点で、この二人の立場が逆転する。さらには、2人がかりで1人の男を犯すようなポーズまで登場する。

一直線に並べられた棚のところで、12人がそれぞれ異なったポーズを取って静止している姿は、なるほど、「最後の晩餐」の絵画を連想させるものである。カラヴァッジオみたい。

それからジェスチャーゲームのようなとても複雑な動きを12人が一斉に行う。

一番残酷なのは、ガムテープを使ったシークエンス。冒頭に出てきたガムテープ男が、1人の男が内股気味に踊っているところへ、一瞬の隙を突いてガムテープを巻きつける。最初は目隠しのように顔に。目隠ししながらも同じように踊り続ける男。次に腕、そのうち足、体、と少しずつ自由を奪われる。最後には猿轡のように口に食い込むようにガムテープを巻かれ、ぐるぐる巻きにされてひとつの荷物のようになってしまう。それでも倒れたり不恰好に動きながらも踊ろうとする。ガムテープ男は、天使のような美しい顔をしているのに、表情ひとつ変えようとしないでこのガムテープ緊縛プレイを行うので、恐ろしい。最後は、別の二人の男性によって、ぐるぐる巻きにされた男は運び出されてしまう。

クライマックスでは、二人のダンサー(この舞台は、若手ダンサー中心なので、オペラ座にそんなに詳しくない私が固体識別がつく人が3,4人くらいしかいない。右側で踊っているのがステファン・フォヴォラン)が、アラベスクを入れた振りで踊り、初めてダンスらしいものを見せてくれる。その後ろで、例の棚を積み上げたところから一人一人ダンサーが飛び降りる。もちろん、下にはほかのダンサーたちがいてキャッチをするのだが。最初は前を向いて飛び降りているのだけど、そのうち後ろ向きに飛び降りるように。よく怖くないものだと思ってしまう。 そして一人の男性は、洗面器の中に顔を浸すが、洗面器の中にあるのは水ではなく泥で、泥まみれの顔を向けている。

そんなわけで、先日のバレエ・プレルジョカージュ公演で見た「N」にも通じるような、むき出しの暴力と性が表現されていたり、不条理なものが現れたり。イヤというほどお互いを傷つけるダンサーたち。これを不快と思う人はいっぱいいると思う。意図がわからない部分が多い。事実、フランスでの批評も良くなかったようだ。(チャコットのDance Cubeによると)

しかしながら、個人的にはすごく面白いと思ってしまった。美しいとはいえないもの(もちろん、ダンサーたちの肉体はとても美しいわけだが)、残酷なものをわざわざ舞台で見たくないという気持ちもとてもよくわかるが、時には現実を映し出すような作品も作られなくてはならないのでは、とも思うからだ。

身体的にも精神的にもこれを踊り演じるのは実にタフなことだと思う。これを演じきったダンサーたちに拍手。また、これをレパートリーに入れたオペラ座もすごいと思う。一人、見慣れないスキンヘッドのダンサーがいて、非常に存在感がありセクシャルな魅力を振りまいていたのだが、彼はバレエ・プレルジョカージュから客演していたSylvain Groudだった(現在は地震のカンパニーを率いている模様)。さすがにプレルジョカージュのダンサーだけあって、この世界観を一番理解しているようであり、オペラ座のダンサーにない野性味があって魅力的だった。

振付:アンジュラン・プレルジョカージュ(Anjelin Preljocaj)
サウンド:テッド・ザーマル(Tedd Zahmal)
衣装:Daniel Jasiak
照明:Patrick Riou
撮影:Denis Caiozzi

出演
Stephane Bullion Guillaume Charlot Jean-Christophe Guerri Emmanuel Hoff Gil Isoart Stephane Phavorin
Simon Valastro Vincent Cordier Yong-Geol Kim Nicolas Noel Alexis Renaud

Sylvain Groud(バレエ・プレルジョカージュ)

あ、もちろん腐女子にとってはかなりポイントが高いですよ~(笑)朝っぱらから女子二人でキャーキャー言いながら観ていました。

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2006/09/18

パリ・オペラ座バレエ「カルメン/若者と死」 

以前に「若者と死」だけは観ていたのを、NHKハイビジョンで放映されたので「カルメン」と併せて観た。さすがにハイビジョンだと、我が家の45インチのテレビでも綺麗に見えて、ニコラの胸のそばかすやマリ=アニエスのメイクアップまでよく見える。

「カルメン」
原作:プロスペリ・メリメ
音楽:ジョルジュ・ビゼー
美術:アントーニ・クラヴェ
<キャスト >
カルメン:クレールマリ・オスタ
ホセ:ニコラ・ル・リッシュ
エスカミリオ:ギョーム・シャロー
盗賊たち:ドロテ・ジルベール
アレクシス・ルノー
マルタン・シェ

実は恥ずかしながら全幕でプティ版の「カルメン」を見るのは2回目。ガラではラカッラ&ピエール、それから先日のバレエフェスでのフェリ&テューズリーのPDD。それから映像ではKバレエの熊川哲也とヴィヴィアナ・デュランテ。

この映像で一番インパクトがあったのは実は主人公二人ではなく、ドロテ・ジルベール。コケティッシュでちょっと色っぽくて、適度なアクもまた可愛い。線が細いけど、実に魅力的だ。彼女が出ていると、そこに目が釘付けになってしまう。きっとカルメンも似合うはず。
ニコラのホセは、だめ男っぽさがない、まじめで誠実そうなホセ。ファム・ファタールの誘惑で堕落してしまう設定は説得力はあった。心ならずも殺人を犯してしまうところの、後悔の入り混じった演技も良い。踊りはさすがに文句のつけようがない。一方、オスタのカルメン。う~む。オスタはああ見えて、実は脚はけっこう長くてきれいなんだけど腕が短いのが致命的。ショートヘアは似合っているのだけど(ちょっとベティ・ブープっぽいデコちゃん)、ファニーフェイスのためファム・ファタールっぽさは皆無。二人のラブシーンも、お色気がほとんど感じられない。その代わりホセに対する愛は感じられる。さすが夫婦?特に、カルメンの絶命シーンでの演技の細かさは良かった。
アンサンブルはとてもよいし猥雑感もあるのは楽しい。あの白塗りのキャラクターは何なんだろう、なかなか魅力的だった。

「若者と死」
原作:ジャン・コクトー
音楽:ヨハン・セバスチャン・バッハ パッサカリアとフーガ ハ短調 BWV582」
美術:ジョルジュ・ヴァケビッチ
衣装:カリンスカ
< キャスト >
若者:ニコラ・ル・リッシュ
死:マリ=アニエス・ジロ

以前にも観ていたんだけど、改めて見直す。この演目は、「ホワイトナイツ」のミーシャの演技という金字塔があるので、多分、今後誰もあれ以上の演技はできないだろう。Florence Faure(ベジャールのところに所属していたようだ)のあまりにも美しすぎるファム・ファタルぶりも、今後上回る人がいるとは到底考えられない。

というわけで、それをまったく忘れてみれば、すごく面白く観られる。ニコラの超絶技巧はほんとうにすごい!空中で静止しているかのようなソテやトゥール・ザンレールなど数々の跳躍。テクニックはものすごいのに、若く貧しい芸術家というキャラクターにも非常にによく合っている。ジロも素晴らしい。長身でおかっぱヘアが良く似合って、それなのに「死」ならではの高貴さもあって実に美しい。何回も何回も若者を足蹴にしてはサディスティックに高笑いしているのに、あれだけの品格と余裕を保ち続けられるとは。去年観たザハロワなどは、邪悪さを出そうと必死になっていてかなり違う、って感じだったもの。ジロには、悪意のかけらもない、天然の残酷さがあって、それゆえ若者が追い詰められていくさまが伝わってくる。わずか19分しかないのにどっぷりと世界に浸らせてもらった。

それにしても映像の綺麗なこと。最近出た「ジュエルズ」なんか新しい映像とは思えないくらいひどかったから。

パリ・オペラ座バレエ 「カルメン」/「若者と死」パリ・オペラ座バレエ 「カルメン」/「若者と死」
ジャン・コクトー ローラン・プティ クレールマリ・オスタ

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2006/09/05

アンヘルの出演予定/「パリの喜び」DVD

ABTのシティセンターシーズンのキャストがおおよそ出揃ってきたんですが(しかし、サイトハッキングされたのか?シティセンターシーズンの説明のところに間違った写真が載っています>ABTサイト)、アンヘル・コレーラの名前がありません。まだTBA(出演者未定)となっているところもあるにはあるのですが。一応、シティセンターシーズンのパンフレットには出演予定者として名前があるんですが出演するんでしょうか、ファンには気がかりなところです。

で、実はメトロポリタン・オペラの「ラ・ジョコンダ」が9月26日、10月4日、11日、18日、21日と上演されるわけなんですが、これ、実はバレエの部分の振り付けが、クリストファー・ウィールダンなのです。METでは15年ぶりの上演で、今回のために新たに振付けられたのですね。ひょっとしたら、アンヘルはそちらに出るのかもしれません。去年、アンヘルはバルセロナでラ・ジョコンダのバレエのシーンを踊っているのですよね。振り付けは違うわけですが。

シティセンターシーズンは10月18日からなので、そんなにかぶっていないといえばそうなんですが。手元にメトロポリタンオペラの2006/2007シーズンのパンフレットがありますが、さすがにバレエの出演者までは書いていません。

それと、キューバのハヴァナで、10月28日から11月6日まで、The Havana Ballet Festival というのが開催されて(公式サイトはここなんですが、キューバ国立バレエのサイト内にあって、スペイン語でよくわかりません)、それにアンヘル、フリオ・ボッカ(!)、アリシア・アマトリアン、アニエス・ルテステュ、ホセ・カレーニョ、カルロス・アコスタ、ジモーナ・ノヤ(ウィーン国立バレエ)、カルラ・フラッチら超豪華なゲストが出演するそうです。
(そのあたりはこの記事に少し書いてあります)
フリオ・ボッカは「白鳥の湖」のジークフリートを踊ってキューバのファンにお別れを告げるそうです。

さて、アメリカで8月末に新しく発売になったDVDに、「GAÎTÉ PARISIENNE」があります。レオニード・マシーン振り付け、オッフェンバックの音楽による「パリの喜び」ですね。これが、なんとバレエ・リュス・モンテカルロの映像で、主演がフレデリック・フランクリンとアレクサンドラ・ダニロワ。1954年の作品です。バレエ・リュスファンは泣いて喜びそうな内容ですね。93歳でまだ現役のダンサーとしてABTの舞台に立っているフレデリック・フランクリンのオーディオコメンタリー、インタビューつきだそうです。内容は発売もとのVAIのサイトで。
面白そうなので、私も取り寄せてみたいと思います。ドキュメンタリー映画「BALLET RUSSES」と併せて見ればさらに面白そうですね。

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2006-08-01
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2006/08/29

「ディヴァイン・ダンサーズ プラハ・ライブ(Divine Dancers Live from Prague)」

ダニール・シムキン君が可愛すぎて死ぬ~

以上。

と言っていいくらい、このDVDの目玉は彼です。バレエフェスでバランキエヴィチが踊った「レ・ブルジョア」を踊っていますが、この演目って、かつてはブルジョアを馬鹿にしていた若者が自分もおっさんになって、若者から馬鹿にされるようになるって話です。でもどう見てもダニールくんはおっさんではない。若者が一生懸命大人ぶっている感じで、これがまたかわいいのです。

かわいいだけじゃない、踊りも素晴らしいです。体がとてもしなやかで、アラベスクすると後ろ脚がすごくあがる。跳躍系ももちろん得意で、アクロバティックな動きも軽々。回転もぶれないし、それでいて余裕があるので、超絶技巧を見せてもとても品が良く見えるのだ。両性具有的な雰囲気といい、マラーホフの後継者は彼かもしれない、なんて思ったりして。伊達にコンクール荒らしなだけではない(ダンスマガジン最新号によると、今まで10のコンクールに出て9回金賞だったそう)

19歳だけどもっと若く見える童顔、背が低いので役柄が限られそうなのが惜しいところだけど、キャラクテールだけを踊らせるにはもったいない。ラインが美しいし、ふわっと舞い上がるような跳躍は、クラシックの王子様に向いているから。

お父さんのドミトリー・シムキンと踊った「マイ・ウェイ」もいい。お父さんは実はもっと小柄だったが、顔が小さくてバランスが良いので背が低く見えない。ダニールくんはバレエ学校に行かずに、お父さんとお母さんにバレエを習ったって以前のダンスマガジンに書いてあった。

彼のクリップ(レ・ブルジョワ、海賊、ドン・キホーテ、眠りなど)は公式サイト
http://www.daniilsimkin.com/
で見られます。しかも、本人が自分の映像をYouTubeに投稿しているところがまた可愛い。9月からはウィーン国立歌劇場バレエで踊るそう。退団者が相次いで大変なところとは思うけど。

おっと本題から離れました。
ポリーナ・セミオノワとイーゴリ・ゼレンスキーの「マノン」寝室のPDD。素敵です。ポリーナは小悪魔が似合うので、ジュリエットよりはマノンの方が向いていると思う。しかも、彼女が尊敬しているゼレンスキーがパートナーだ。とても甘くていい雰囲気を作り上げている。ポリーナの足先がとても美しい。ただ、セットがデ・グリューの机と、ベッド代わりのカウチしかないのが残念。

セルゲイ・フィーリンとマリア・アレクサンドロワの「ライモンダ」。アレクサンドロワの鉄壁のテクニックが味わえて、素晴らしいのだけど、なんでアダージオしかないのだ!「ライモンダ」でこの二人だったらどう考えたって、3幕のPDDを期待するじゃない....

同じコンビの「ファラオの娘」。途中からというのがまた...でも、こちらはちゃんとヴァリエーションも入っていて、フィーリンの素晴らしく美しい脚捌きが堪能できる。しかも、舞台袖でフィーリンが衣装をつけるサービスカットつき。惚れ惚れするような肉体美。

シャルル・ジュドの「ムーア人のパヴァーヌ」は20分という長さで、重厚でドラマティック、見ごたえたっぷり。以前に「ルジマトフのすべて」で、ルジマトフとジュドが共演したのを見ていたのだけど、こうやって映像で見るとよりいっそう全体像が明らかになって興味深い。ジュドはアティチュードがとても美しいし、演技に目力があってさすがに元エトワールだけある、と感じさせてくれた。

ジュドのボルドー・バレエにレンタル移籍中のオクサーナ・クチュルクとロマン・ミハリョフの「眠り」、これだったらバレエフェスのマッカテリ兄妹の方が良かったような。クチュルクは今年2月のレニングラード国立バレエの「ドン・キホーテ」と、バレエの美神で観ているのだが、その時も、この人、こんなに雑な踊りをする人だっけ、と愕然としてしまった気が。ミハリョフはそんなに悪くないのだけど、クチュルクは乱暴で、オーロラの気品があまり感じられない。音にも合っていないのでは?

このDVD、カメラアングルがあまりよくない。バレエを見るんだったらやっぱり全身が観たいのに、上半身だけ、とか逆に足先だけ、といった部分的なカットが多いのだ。いくらダニール・シムキンが可愛いとは言っても、その美しい足先を映してよ、と思ってしまう。
そして、全編ではなく、アダージョがフェード・インだったり、ヴァリエーションの間にインタビューが入ったり。カーテンコールなどもほとんど映っていない。ポリーナやジュドのインタビューや、バックステージの様子が見られるのは嬉しいんだけど、演技そのものを中途半端にカットしたりしないでほしかった。せっかく画質は良いのに。

いずれにしても、ダニールくんの踊りと、フィーリンの脚捌きが観られただけで私は満足してしまったのだけど。それだけに、少なくとも「ライモンダ」のヴァリエーションだけは入れてほしかった。

B000fvqumq01_scmzzzzzzz

ディヴァイン・ダンサーズ プラハよりダンスディヴァイン・ダンサーズ プラハよりダンス
セミョーノワ

アイヴィ 2006-08-01
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2006/08/23

アメリカン・バレエ・シアター「白鳥の湖」とエミー賞

海外ドラマぼや記」さんで知ったのですが、PBSが製作したABTの「白鳥の湖」の映像が、栄えあるエミー賞の「OUTSTANDING SPECIAL CLASS PROGRAM」という賞を取ったそうです。(表彰されるのは、製作したPBS)
リリースはこちら

このリリースを見て、エミー賞ったらこんなにたくさん部門があるんだと驚いた次第。いつもは、テレビで中継される授賞式しか観ていないからね。

しかしこの映像がなぜ賞を取ったのかはちょっと謎です。いや、出演者は素晴らしいですよ。アンヘル・コレーラ、ジリアン・マーフィ、マルセロ・ゴメス、エルマン・コルネホ、シオマラ・レイエスとプリンシパルが4人も出演しているし、パ・ド・トロワにエルマンとシオマラなんて豪華キャスト。しかも、家庭教師の役は、バレエ界の至宝、御年92歳のフレデリック・フランクリンだし(美しいです)、女王は元ロイヤルのジョージナ・パーキンソン。素晴らしい演技が見られます。でも、2時間に収めるために、相当カットがされているので、非常に不満です。

しかし、正統派の「白鳥の湖」を見ようと思ってはいけません(笑)

まず出だしからして凄いです。ブルメイステル版に少し似ていて、まずは娘姿のジリアン・マーフィが登場すると、彼女の前にハンサムな紳士マルセロ・ゴメスが現れる。まあ、素敵なお方だわ、ポッ、となったところで紳士が緑色の怪物ロットバルトに変身し、娘が穴に押し込められたかと思うと、白鳥に変身しているという、なんともハリウッド映画っぽい展開。これは映像なので娘が白鳥に変身するというところが見せられるのであって、実際の舞台は、なんとオデットではなくおまるのような?白鳥のぬいぐるみで、しかも化け物ロットバルトが後ろで一生懸命翼をばたつかせているのが見えるのでさらに笑えてしまうのだ。

1幕はなんといってもエルマン・コルネホと姉のエリカ、そしてシオマラ・レイエスのパ・ド・トロワが素晴らしい。エルマンの跳躍はどこまでも高いのにエレガントだし、エリカは脚が強靭なのにびっくりするけれども、あくまでもチャーミング。この3人のパ・ド・トロワは最強だと思うのに、エリカはABTから旦那様であるカルロス・モリーナがいるボストン・バレエに移籍してしまうのだ。残念すぎる。

アンヘルの王子は、一生懸命顔で演技をしようとしているのに、ちょっと違和感がある。彼の普段のイメージを裏切る、憂鬱そうで悩める王子だ。そんな王子がバリエーションでいきなりすごい跳躍を見せるので、そのギャップが味わい深い。

2幕は、ジリアン・マーフィのオデットをどう思うか、好き嫌いが分かれるところだろう。意外とアームスもやわらかいのだけど、大柄な体型もあってちょっと大味に見えてしまうのが欠点。テクニック的には素晴らしいし、叙情的な面を見せることには成功している。とても不幸な身の上の白鳥であることが伝わってくる演技は、良いと思う。群舞が揃っていないのはABTだから仕方ない。

このヴァージョンの最大の見せ場は3幕。ところが、残念なことに、映像ではベンノ(エルマン・コルネホ)のソロが丸ごとカットされてしまっている。なんということ。
キャラクターダンスは、まるで少年隊か光GENJIか、と思うような鉢巻にストライプタイツという珍妙な衣装のナポリが楽しい。カルロス・ロペスとクレイグ・サルシュタインによるナポリは、トゥール・ザン・レールの呼応から、最後はピルエット合戦になっている。チャルダッシュのソリストはゲンナディ・サヴェリエフだが、どうやらここも部分的にカットされているのが残念。

お待ちかねのセクシー版のロットバルトの登場。ルースカヤの曲でブラーヴアなソロを披露して、その場にいる者全員をとりこにするマルセロ・ゴメス。片足ルルベでのアラベスクも美しい。最後には女王の手にキスして、玉座に堂々と座ってしまう。彼が踊っていると、花嫁候補たちが一人一人、魔法にかかったように引き寄せられているのが可笑しい。マシュー・ボーン版の「白鳥の湖」のストレンジャーのような、男も女も魅了するような存在なのだ。

ジリアンはオディールの方が似合っている。真っ白な肌に黒い衣装が映えるし、悪女っぽい表情が魅力的なので。アダージョの時に耳元で囁きかけるロットバルト、本当にやばいほど危険な香りが漂っていて、生で見ると息も絶え絶えになるほど。ジリアン得意の32回転は、トリプルも数回入っていて、さすがに回る回る、これは本当に凄い。アンヘルも、ヴァリエーションでは、今まで踊らせてもらえなかったフラストレーションをぶつけるかのように跳びまくり、コーダでは、親の敵でも取りそうな勢いで、猛スピードでピルエット・アンディオール。なんだか凄いものを見せてもらった気分。

4幕でも冒頭のハクチョウたちが登場するシーンがカットされてしまうのが、許せないところ。いきなり唐突に泣き出しそうな表情のアンヘルが駆け込んでくるものだから。(この映像、なぜかアンヘルのクローズアップがとても多い)化け物ロットバルトは、よく見ると、本当に馬鹿みたいなカッコウで、なんだか途中で可哀相になってきてしまう。おいしい部分は全部セクシーロットバルトが持っていってしまって、こっちはへんてこりんな姿で何が楽しいんだろうと同情しちゃう。やっぱり一緒にはなれないの、とオデットが湖に身を投げると、王子も後を追うように飛び込むのだけど、身投げというより、プールにでも飛び込むような元気のよさで飛び降りるところが、アンヘルらしいというかなんと言うか。哀れなロットバルトはすっかり弱ってしまい、白鳥たちに足蹴にされて死亡。そして、最後には、ご来光のような光の中で、王子とオデットは結ばれている。このご来光を見て爆笑する人多数。

こんな感じの、とっても楽しい映像です。

輸入盤はリージョン1。国内版は新書館から出ています。

Swan Lake (Ws Dol)Swan Lake (Ws Dol)
Angel Corella Marcelo Gomes Cillian Murphy

2005-10-04
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2006/05/20

ニューヨークタイムズのダンス批評家が選ぶお勧めバレエDVD(その4)

エトワール ETOILES: DANCERS OF THE PARIS OPERA BALLETニルス・タヴェルニエ監督、マニュエル・ルグリ、マリ=アニエス・ジロ、オーレリ・デュポン他パリ・オペラ座バレエ

1999年に3ヶ月をかけ撮影された、初めて映画用のカメラがオペラ座内を映したドキュメンタリー作品。あまりにも過酷な競争の中で輝くダンサーたちのストイックなバレエへの思いが胸を打つ。愛よりも強い、体を焼き尽くす情熱というジロの言葉が印象的。監督のニルス・タヴェルニエは名匠ベルトラン・タヴェルニエの息子で、第2作「Aurole」はニコラ・ル・リッシュを主人公に劇映画を撮影した。

エトワール デラックス版エトワール デラックス版
監督・撮影: ニルス・タヴェルニエ 撮影: ドミニク・ル・リゴレー 出演: マニュエル・ルグリ/ニコラ・ル・リッシュ/オーレリ・デュポン/ミテキ・クドー/藤井美帆

ジェネオン エンタテインメント 2002-12-21
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MAYA PLISETSKAYA: DIVA OF DANCE

2004年に収録された1時間近いインタビューのほか、20世紀バレエで踊ったボレロ、ライモンダ、カルメン組曲、ロミオとジュリエット、白鳥の湖、ドン・キホーテ、瀕死の白鳥、スパルタクスなどが収められています。リージョンオール。

(別のDVD「マイヤ・プリセツカヤ」を紹介しましたが、それは間違いでした。ゆうさんのご指摘で、修正しました。ゆうさんありがとうございます!)

Diva of DanceDiva of Dance

2006-02-21
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Romeo & Juliet
ルドルフ・ヌレエフ、マーゴ・フォンテーン、ロイヤル・バレエ(リージョンオール)

ヌレエフとフォンテーンの黄金コンビによるマクミラン版のロミオとジュリエット。1966年収録。なんとマーゴ・フォンテーンは当時47歳だけど、年齢はまったく感じさせない10代の愛らしいジュリエットとなっている。全幕DVD作品を紹介するのを控えていた筆者が唯一の例外と語るほどの素晴らしい映像。

Romeo & JulietRomeo & Juliet
Paul Czinner

Kultur Video 1999-11-30
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というわけで、以上である。比較的古い映像が多く、また、ロシアとイギリスのバレエが中心である。アンソニー・ダウエル主演作が多いのがちょっと面白い。リヨン・オペラ座バレエの「シンデレラ」以外はオーソドックスなクラシック作品ばかりだ。実のところ私が見ているのは結構少ない。
所有しているのは「エトワール」「シンデレラ」(ロイヤル版)「マノン」のみで、観たことがあるのも「スパルタクス」「放蕩息子」「ドラキュラ:乙女の日記より」「赤い靴」だけなの。お恥ずかしい限り。見ていない作品はぜひ近いうちに制覇したいな、と思ったのだった。

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2006/05/19

ニューヨークタイムズのダンス批評家が選ぶお勧めバレエDVD(その3)

Cinderella
アンソニー・ダウエル、アントワネット・シブレー、フレデリック・アシュトン、ロイヤル・バレエ(リージョン1)

1969年の貴重な映像。絵に描いたような王子様のダウエルも素敵だけど、振付のアシュトン自らと、ロバート・ヘルプマンによるアグリーシスターズが最高。この作品の最大の見所かも(笑)

CinderellaCinderella
Royal Ballet

White Star 2001-05-29
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BALANCHINE
ジョージ・バランシン、ミハエル・バリシニコフ、ニネット・ド・ヴァロワ、スザンヌ・ファレル他(リージョンフリー)

バランシンの全貌を知るには必見の2枚組。バランシン自らミーシャに「放蕩息子」を教える貴重なシーンもあれば、バレエ・リュス時代のスターの踊りも見られたり主要な作品は網羅されていたりとお宝映像の宝庫です。バランシン曰く「バレエとは水族館のようなもので、音楽が水であり、ダンサーはそこで泳ぐ魚だ」

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2004-02-17
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DRACULA: PAGES FROM A VIRGIN'S DIARY ドラキュラ:乙女の日記より
ガイ・マッディン監督、ロイヤル・ウィニペグ・バレエ (リージョン1)

一昨年の東京フィルメックスで観た作品。ブラム・ストーカーの有名なゴシック小説「ドラキュラ」の物語のバレエ化を、モノクロの無声映画風に演出した異色作。ドラキュラを演じるのは、今年1月のInternational Stars of Balletに出演した中国人ダンサーのチャン・ウェイ・チャン。エロティックで魅惑的な映像です。ぜひ日本でもDVD化してほしいものです。

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http://www.amazon.com/gp/product/B0001US600/qid=1147628303/sr=11-1/ref=sr_11_1/002-0238037-7900841?n=130

「ピーターラビットと仲間たち ザ・バレエ」The Tales of Beatrix Potter
ロイヤル・バレエ(リージョン1)

残念ながら国内盤は廃盤(マーケットプレイスにはあり)で、輸入盤はリージョン1。イギリス伝統の着ぐるみをかぶったダンサーたちが実に見事な踊りを見せてくれ、また実験精神にも富んでいて、子供向きと侮ってはいけない作品。振付を担当したフレデリック・アシュトン自身が見事な踊りを披露している。ネズミたちの踊りは文字通り場をさらう素晴らしさ。アマゾンのエディターレビューによれば、イギリスでは1971年に英国王室選定特別プレミア作品として公開されて大ヒットしたらしい。

Tales of Beatrix PotterTales of Beatrix Potter

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2006/05/17

ニューヨークタイムズのダンス批評家が選ぶお勧めバレエDVD(その2)

キーロフ・バレエの栄光
ルドルフ・ヌレエフ、ミハエル・バリシニコフほかキーロフ・バレエ

バレエ・リュスの代表的なバレリーナであったタマラ・カルサヴィナの1920年代の映像から、ソ連時代のミーシャやヌレエフ、マカロワまで、貴重な映像が満載。ウラーノワ、セルゲーエフ、ドゥシンスカヤなどのパートナーシップも。

キーロフ・バレエの栄光キーロフ・バレエの栄光
キーロフ・バレエ

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Glory of the Kirov: Kirov BalletGlory of the Kirov: Kirov Ballet

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輸入版のほうはリージョンフリーでお買い得。

ボリショイ・バレエの栄光 
ウラノワ、ベスメルトノワ、セミニョーワ他ボリショイ・バレエ
10代のワシリエフとマキシーモアが「くるみ割り人形」を踊るところからイレク・ムハメドフまで、新旧のボリショイのスターたちの名演が見られます。ウラノワの「レ・シルフィード」も。もっとも古い映像は1913年のもの!

ボリショイ・バレエの栄光ボリショイ・バレエの栄光
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Glory of the Bolshoi: Bolshoi BalletGlory of the Bolshoi: Bolshoi Ballet

2005-08-30
売り上げランキング : 33,795

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こちらも輸入版のほうはリージョンフリーでお買い得。

赤い靴 
マイケル・パウエル監督作品、モイラ・シアラー
バレエ映画の最高傑作といえば今でもこの映画を置いて他はない。先日亡くなったモイラ・シアラーの燃えるように赤い髪も鮮やかで、古い映画であるにもかかわらず美しい映像。昔のバレリーナは、今と違ってバレエと恋愛の両方を選ぶことはできなかったのですね。

赤い靴赤い靴
アントン・ウォルブルック モイラ・シアラー マリウス・ゴーリング

ビデオメーカー 2000-07-28
売り上げランキング : 8,277
おすすめ平均

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マノン 
マクミラン振付、アンソニー・ダウエル、ジェニファー・ペニー、ロイヤル・バレエ
ケネス・マクミランの最高傑作のひとつ「マノン」の映像は、これ以外にはオーストラリア・バレエがあるくらい。ドラマティックで恋愛の陶酔感から破滅までを味わえる素晴らしい作品。ただいま期間限定でお安くなっています。6月22日のフリオ・ボッカ引退公演の予習にどうぞ(マノン役はアレッサンドラ・フェリ)

マノンマノン
ジュール・マスネ ロイヤル・オペラ・ハウス管弦楽団

ワーナーミュージック・ジャパン 2006-02-08
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Swan Lake
ナタリア・マカロワ、アンソニー・ダウエル、ロイヤルバレエ(1982年)リージョン1

観ていないのですが、何しろマカロワとダウエルの白鳥ですから、素晴らしいに決まっています。1幕のワルツと4幕はアシュトン振付によるもの。ニューヨーク・タイムズの評者は「MTVの映像よりもセクシーだ」と表現しています。

Swan LakeSwan Lake
Natalia Makarova

2003-04-15
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(つづく)

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2006/05/16

ニューヨークタイムズのダンス批評家が選ぶお勧めバレエDVD(その1)

NYCBとABTのシーズンを控え、予習用に最適なお勧めDVDをダンス批評家たちが選ぶ記事がニューヨーク・タイムズに掲載されていました。
http://www.nytimes.com/2006/05/12/arts/dance/12ball.html
(記事を読むには登録が必要)

比較的古い映像が多く、私の見ている物も少ないので、私もこれからの鑑賞予定の参考にします。

「ジゼル」カルラ・フラッチ、エリック・ブルーン、アメリカン・バレエ・シアター。スタジオ収録映像であり、カメラワークや演出に不満がある人も多いようだけども、ジゼル役に定評のあるカルラ・フラッチの名演。

アダン:バレエ《ジゼル》アダン:バレエ《ジゼル》
フラッチ(カルラ) ブルーン(エリック) ランチベリー(ジョン)

ユニバーサルクラシック 2005-12-07
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「バランシン / ニューヨーク・シティ・バレエ 「ツィガーヌ」「ストラヴィンスキー・ヴァイオリン・コンチェルト」」(国内盤は品切れ中、こちらはリージョン1)
スザンヌ・ファレル、ピーター・マーティンス、ニューヨークシティバレエ
「「シャコンヌ」「放蕩息子」「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」他 ミハエル・バリシニコフ、マルティン・ヴァン・ハメル、ニューヨークシティバレエ
1977年収録。ミーシャのものすごい「放蕩息子」は必見。バランシンが直接監修した映像であるため、非常にパフォーマンスのクオリティが高い。バランシンの代表作を知るにはこの2枚から。

Tzigane / Andante From Divertimento No 15Tzigane / Andante From Divertimento No 15
Balanchine , New York City Ballet

2004-06-08
売り上げランキング : 47,108

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「シャコンヌ」「放蕩息子」「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」他「シャコンヌ」「放蕩息子」「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」他
ニューヨーク・シティ・バレエ

ワーナーミュージック・ジャパン 2004-09-08
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「スパルタクス」(リージョンオール)
ウラジーミル・ワシリエフ、ナタリア・ベスメルトノワ、マリス・リエパ、ボリショイ・バレエ

「スパルタクス」の映像は数多くあれど、この1977年の映画版は決定盤。ワシリエフのスパルタクスは超かっこいいです。

SpartacusSpartacus
Khachaturian

2003-12-02
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Baryshnikov Dances Sinatra (リージョンオール)
ミハエル・バリシニコフ、シリル・イェーガー、アマンダ・マッケロー、スーザン・ジャフィ
シナトラの曲にあわせてミーシャが踊ると思いきや、実際にはシナトラは1演目にしか使われていない。"SINATRA SUITE"、"THE LITTLE BALLET"、"PUSH COMES TO SHOVE"の3つの トワイラ・サープの振付作品をミーシャが踊るという趣向。1984年作品

Baryshnikov Dances SinatraBaryshnikov Dances Sinatra
Baryshnikov , Tharp

2005-10-25
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Cinderella 
リヨンオペラ座バレエ(リージョン未確認)
マギー・マラン振付作品。マスクや東洋的な操り人形が登場する不思議な世界が展開する。未見だけどなかなか面白そうです。リージョン未確認

Cinderella: CendrillonCinderella: Cendrillon
Prokofiev , Jouillie, Laine , Plaisted

2005-01-25
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STARS OF THE RUSSIAN BALLET (リージョン1)
マイヤ・プリセツカヤ、ガリーナ・ウラノワ、ナタリア・ドゥシンスカヤ、ボリショイ・バレエ
ウラノワとプリセツカヤの「バフチサライの泉」、ウラノワの「白鳥の湖」そして「パリの炎」と歴史的に貴重な映像を収録

Stars of the Russian BalletStars of the Russian Ballet

2004-01-20
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(続く)

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2005/10/12

ミラノ・スカラ座「白鳥の湖」(ザハロワ&ボッレ)

スヴェトラーナ・ザハロワとロベルト・ボッレという当代きっての長身美男美女カップルが主演。ホントにぽ~としてしまうほど美しい。ザハロワは何しろ脚のラインがすごいし甲も高いし、ほっそりとしてしなやかな腕の表現力も素晴らしくて儚げな白鳥を好演。「白鳥の湖」の場合、大抵のバレリーナはオディールを演じると急に生き生きしちゃうものだけど、ザハロワは断然白鳥がいい。悲しいほどに美しい、この世のものとは思えない生き物。黒鳥も邪悪な感じで悪くないけど、グランフェッテでちょっと軸がずれてきているのが残念。

ボッレも王子様を踊るために生まれてきたような美しさ。ギリシャ彫刻のような肉体美は衣装に隠れてしまっているけど、憂いを秘めた彫りの深い顔立ちに青い瞳の麗しさ。「白鳥の湖」の王子というのはマザコンバカだというのが相場で、実際彼の王子もマザコンバカなんだけど、それでもなお素敵だというのが素晴らしい。ただのバカ王子ではなく、大切に大切に育てられて、気だてがよくてきちんとした青年に見受けられる。その上アモーレって感じで情熱的なのだから言うことなし。

この美しい二人の2幕は、夢のように美しく、夜の闇に溶けてしまいそうなほど儚い。ボッレは演技力もあるので、彼のオデットに魅せられていく、恋する気持ちが手にとるようにわかるし、気品があるし、青く深い瞳の中に吸い込まれそうだ。ザハロワに白いクラシックチュチュを着せるのは、もうズルイって感じ。お人形さんのような小さな顔に長くてしなやかな手脚。今、彼女以上にチュチュが似合う人はいないだろう。

さて、この版はブルメイステルということで、通常のプティパ版とは大分演出が違う。2幕はイワーノフなので、マイムが少ないのを除けばいつもの白鳥と同じなのだが。まず、プロローグが付いている。娘の姿をしたオデットが、悪魔ロットバルトの手にかかって白鳥に変えられてしまう。(ABTのマッケンジー版の白鳥も同じモチーフ)通常3幕の黒鳥のPDDで使われる曲が、1幕の王子のソロとなっている。そして、3幕の黒鳥のPDDが、チャイコフスキー・パ・ド・ドゥで使われている曲となっている。キャラクターダンスが全部ロットバルトの手下という設定は好きなのだけど(東京バレエ団版もそう)、黒鳥のPDDの曲が、しっとりとしすぎていて盛り上がりに欠けるのはあまり面白くない。王子はピルエットを披露しないし。3幕のイケイケさが好きな自分には物足りない。

もう一つの特徴は、最後に王子とオデットが悪魔に打ち勝つというところ。なんと、情けないはずの王子が堂々と悪魔に戦いを挑んで勝利するのだ。ドライアイスと青い布によって演出された波に翻弄され、のたうちまわって倒れこむ王子が、しっかり立ち上がるのはなかなか頼もしい。熱くてラテンでかっこいいし、ボッレの演技力のおかげでその筋書きに説得力がある。そしてオデットも最後にはしっかりと娘の姿に戻る。ラストのザハロワの笑顔が晴れやかで素敵。

他のキャストはそんなにレベルは高くはないのだけど、コール・ドはそこそこ揃っているといえるので、許容範囲。男性ダンサーはさすがにイタリア男、ハンサムな人が多い。道化のアントニーノ・ステラはすごくテクニシャンってわけではないが、愛嬌があってよく跳ねていて、とても好感が持てる。1幕の活躍ぶりは大したもの。ロットバルトは、真っ赤な頬紅にちょっとうけてしまった。指揮者のジェイムス・タクル、ピカッと光るスキンヘッドが凛々しくてなかなか素敵な方である。 いずれにしても、美しいものを堪能したい人にはお勧め。

オデット/オディール: スヴェトラーナ・ザハーロワ
ジークフリート王子: ロベルト・ボッレ
ロットバルト: ジャンニ・ギズレーニ
道化: アントニーノ・ステラ
王女: サブリナ・ブラッツォ
王妃: フラヴィア・ヴァローネ
2004年 ミラノ・アルチンボルディ劇場にて収録
振付:ウラジーミル・ブルメイステル
レフ・イワーノフ(第2幕)
音楽:チャイコフスキー
演奏:ミラノ・スカラ座管弦楽団
指揮:ジェイムス・タグル

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2005/09/20

ディアギレフの夕べ/Dances Diaghilev パリ・オペラ座バレエ


パリ・オペラ座バレエ団がバレエ・リュスの興行師セルゲイ・ディアギレフを称えて1985年に上演した舞台。
バレエ・リュスの中でも特に人気の高い4作品、「ペトル―シュカ」「薔薇の精」「牧神の午後」「結婚」が上演されている。
残念ながらDVD化されておらず、ビデオも国内盤は入手が難しいようだけど、輸入盤のビデオならアマゾンのマーケットプレイスなどで購入可能。

「ペトルーシカ」(1911年)
台本:イーゴリ・ストラヴィンスキー 振付:ミハエル・フォーキン
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー 装置:ブノワ
キャスト:ペトルーシュカ=ティエール・モンヌ、踊り子=モニク・ルディエール

なぜか心を持ってしまい、バレリーナ人形に恋をした人形ペトルーシカの悲劇。カーニバルの猥雑な雰囲気と、純粋なペトルーシュカとの対比が見事。人形っぽい動きというのはすごく難しそう。その上、手足がまるで生きていないかのようにぶらぶらさせながらも踊っているっていうのがすごい。人形の滑稽なメイクの下に隠された哀しみが伝わってきて、息苦しくなる。ペトルーシュカ、バレリーナ、そしてムーア人と3体の人形が箱の中で一緒に踊っているところから興奮させられる。恋に苦しみながらも、臆病で思いを伝えられないペトルーシュカは、バレリーナにも疎んじられ、カーニバルの熱気の中ムーア人に殺されてしまう。亡霊となったペトルーシュカが見世物小屋の屋上から人々を見下ろすエンディングも印象的。

「薔薇の精」(1911年)
台本:ゴーチェの詩による 振付:ミハエル・フォーキン
音楽:ウェーバー「舞踏への招待」(ベルリオーズ編曲) 装置:バクスト 
キャスト:薔薇の精=マニュエル・ルクリ、少女=C・ド・ヴィルピアン

今までも生の舞台でルジマトフとABTのエルマン・コルネホで観たし、映像でもイーゴリ・コールプが踊ったのを見た作品だが、踊る人によってすごく違いが出るのが面白い。
20年も前の舞台だけに、ルグリが若くてほっそりして匂い立つようだ。もちろん、かぐわしい薔薇の香りである。柔らかくしなやかで軽やかだ。ルジマトフがこってりと濃厚で官能的、コルネホが野性的かつ妖精的、コールプが妖しくて宇宙人っぽい?のに対して、一番ノーブルで繊細な感じなのがルグリだと思った。彼が窓から飛び去った後の余韻に浸る少女の表情がまた素敵。

「牧神の午後」(1912年)
台本:マラルメの詩による 振付:ワツラフ・ニジンスキー
音楽:クロード・ドビュッシー 装置:バクスト
キャスト:牧神=シャルル・ジュード、ニンフ=マリ・クロード・ピエトラガラ

半獣半神の牧神がニンフ(妖精)たちの一人と戯れ、彼女が去ったあと、その衣装をもらって岩に上に敷き、横たわって悶える。常に顔は横向きとエジプトの壁画を思わせるような構成。跳躍や回転は一切なく、内股のパという斬新な作品。舞台装置もすごく凝っている。牧神は常に吼えたり身をよじったりしているのだが、演じているシャルル・ジュードの体のラインが美しく、顔立ちや雰囲気も神々しいほどの高貴な印象を湛えているため、上演当初は大変なスキャンダルになったらしいという自慰を思わせるシーンも、驚くほど慎ましやかに見える。

「結婚」(1923)
振付:ブロニスラヴァ・ニジンスカ 音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー
装置・衣装:ゴンチャローワ
出演:花婿:ガデル・ベラルピ、花嫁:エリザベット・プラテル

ニジンスキーの妹ブロニスラヴァ・ニジンスカ振付の作品。ロシアの農村の伝統的な結婚式儀礼を舞台にしている。まず、ストラヴィンスキーの、独特のリズムで進む音楽のインパクトがすごく大きい。独唱、コーラス、ピアノ、打楽器と独特の音階を駆使したメロディが耳にいつまでも残る。結婚というお祝いの儀式だというのに、花嫁も花婿も喜びの表現がほとんどなく、重苦しく押し黙ったまま無表情でいる。プラテルとベラルピという美男美女揃いなのがさらに怖い感じというべきか。皆お揃いの白いシャツに黒いスカートやズボンで、シメントリーに、抑制されたステップを淡々と踏むが、その単調な感じがかえって不穏である。解説を読むと、農村の花嫁が子供を産み、労働力として期待された時代、結婚が喜びではなく因習に抑圧されることを表現していると書いてあるが、なるほどそんなイメージである。花嫁の長い付け三つ編は一体何を象徴しているのだろうか?

というわけで、実はこの「結婚」が一番強烈なインパクトがあった。ロイヤル・バレエ版もあるようなのでこれも後で見てみたい。ビデオだけど画質もよく、主演のダンサーたちがそれぞれ大変優れた踊りや演技を見せているので、見ごたえはたっぷり。バレエ・リュスを知る上では必見。

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2005/03/29

蘇るニジンスキー神話 Kirov Celebrates Nijinsky

2002年パリ・シャトレ座/収録作品:『シェヘラザード』(振付:フォーキン/出演:ザハロワ、ルジマトフほか)『薔薇の精』(振付:フォーキン/出演:アユポワ、コルブほか)/『ダッタン人の踊り』(振付:フォーキン/出演:バイムラードフ、ラッサディーナほか)『火の鳥』(振付・台本:フォーキン/出演:ヴィシニョーワ、ヤコヴレブほか)

ハンブルク・バレエの来日公演『ニジンスキー』ですっかりノイマイヤーにはまったわけだが、肝心のニジンスキー作品をそんなによく知らなかったというわけで、amazonで見つけたこのDVDを購入。リージョン1とあるが実際にはリージョンフリーのようだ。
キーロフのスターたち、ザハロワ、ルジマトフ、コルプ、ヴィシニョーワらが出演していてすごく豪華。(国内盤も実は出ていたけど、高いのでこっちの方がお勧め)

やっぱり特筆すべきは壮麗で勇壮な「ダッタン人の踊り」だろう。生のコーラス付ですごい迫力。この作品は去年ルジマトフのガラで観たんだけど(振付は別)、ガラだったので出演者もそれほど多くなく、しかも主役の人が不思議な弁髪ハゲヅラをかぶっていたのだった。さすがに今回はそういうことはなくてすごくゴージャス。群舞は揃っているとはとても言い難いが。

ルジマトフとザハロワの「シェヘラザード」。ザハロワは本当に脚が長くてほっそりしていて、9頭身くらいの見事なスタイル。しかもその長い脚のしなること!ウェストが驚くほどほっそりしているだけに、アラブ風の露出度の高い衣装がかえってエッチっぽい。この人のアラベスクはラインがとんでもなく綺麗だわ。ルジマトフの黄金の奴隷は彼独特の濃厚でねっとりとした演技と力強くもねばっこい飛翔。濃いルジマトフと愛らしいザハロワという濃淡の組み合わせがちょうどいいバランス。ガラなのに舞台装置や衣装が豪華絢爛で見ごたえたっぷり。

イーゴリ・コルプの「薔薇の精」。私が最後に観た薔薇の精はその濃厚なルジマトフのだったので、それに比べればずいぶんとあっさりとした印象。コルプは比較的細身で繊細に、かつ軽やかに踊る人だった。体重をまったく感じさせないところはたいしたもの。

ヴィシニョーワの「火の鳥」。「火の鳥」といえばベジャール版の印象が強いので、意外と牧歌的な雰囲気にけっこう違和感があったのだが。さすがにヴィシニョーワはテクニシャンで、しかも例によってとても妖艶。うまいなあ、と思うんだけどあまり好きになれないダンサーだ。が、好き嫌いは別にすれば本当に美しく踊っていると思う。13人の乙女たちが悪魔に幽閉されているという話で、悪魔が骸骨の姿をしていてちょっとコントを観ているかと思ってしまった。笑えるんだけど作品としてはちょっと長く、やや弱いか。

ヨーロッパやアメリカのカンパニーでは観られない、ロシアっぽさが堪能できて面白いDVDではある。

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