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映画

2017/02/15

もう一本、ルドルフ・ヌレエフの伝記映画が製作開始

レイフ・ファインズ監督によるルドルフ・ヌレエフの伝記映画「The White Crow」の製作が始動していることは先日お知らせしました。
http://dorianjesus.cocolog-nifty.com/pyon/2017/02/the-white-crow-.html

さて、もう一本、「ヌレエフ」という題名のルドルフ・ヌレエフの伝記映画の製作が進められているとのことでヴァラエティ紙に記事が掲載されていました。

http://variety.com/2017/film/news/berlinale-diane-kruger-marine-vacth-vassily-tkachenko-star-in-rodolphe-marconis-nureyev-biopic-exclusive-1201985228/

こちらは、マリインスキー・バレエのヴァシリー・トカチェンコが若き日のヌレエフを演じます。ほかに、マリーヌ・ヴァクト(フランソワ・オゾン監督「17歳」主演)が出演予定。ベルリン国際映画祭のマーケットに出品され、TF1 Studioがライツを取り扱い、日本での配給権はキノ・フィルムズが取得しているとのこと。

「The White Crow」は、ヌレエフの亡命事件を中心にした映画であるのに対して、こちらの作品は、亡命事件に始まり、クララ・セイント、イヴ・サンローラン、マーゴ・フォンテーンとの出会い、そしてロイヤル・バレエでの国際的な活躍、1980年代にパリに戻りパリ・オペラ座の芸術監督となってバレエ団の黄金時代を築くところまで描かれているそうです。

「このヌレエフの伝記映画は、この驚くべき人物の光の側に焦点を当てます、彼は大きな存在感を持ち、バレエの世界を永遠に変えるほどの先見の明があり、時代を超えた古典をつくりあげながら、保守主義とも戦いました。彼は人生を芸術に捧げたのです」と、TF1 Studioのサビーヌ・シェマリーは語っています。

監督のRodolphe Marconiは、カール・ラガーフェルドのドキュメンタリー映画「ファッションを創る男 カール・ラガーフェルド」を監督しています。

プロデューサーは、ヌレエフの振付作品を映画の中で使う権利を取得し、パリ・オペラ座やロイヤル・オペラハウスでの撮影も行うとのこと。6月28日より撮影が始まるそうです。

ワシリー・トカチェンコは、テレビで放映されまた映画館でも中継された「白鳥の湖」3Dで道化役を踊り、また「イワンと仔馬」では仔馬役で出演しています。2008年にワガノワ・アカデミーを卒業してマリインスキーに入団の若手ダンサーです。

2017/02/06

レイフ・ファインズ監督、ルドルフ・ヌレエフの伝記映画「The White Crow」

以前にもご紹介した、ルドルフ・ヌレエフの伝記“Rudolf Nureyev: The Life,”(Julie Kavanagh作)を、レイフ・ファインズが監督するという件ですが、続報が出ました。

Ralph Fiennes to Direct Rudolf Nureyev Movie ‘The White Crow’
http://variety.com/2017/film/global/ralph-fiennes-rudolph-nureyev-the-white-crow-1201977389/

タイトルは「The White Crow」(白いカラス)で、脚本は著名な脚本家デヴィッド・ヘア(映画「めぐりあう時間たち」「愛を読むひと」、舞台「ブルールーム」「スカイライト」)によるもの。

レイフ・ファインズは、「妥協なき魂、故国と障壁となるイデオロギー、そして友情の物語です。また、彼がロシアに置き忘れた生活とバレエ文化についての物語です」と語っています。

ヌレエフ役を演じるのは、カザン・タタール劇場バレエのプリンシパルであるOleg Ivenko。
http://kazan-opera.ru/team/25/695/
ウクライナ出身で、2010年に入団しています。2010年にペルミ劇場のアラベスク・コンクール、2011年にベルリンのタンツオリンプ・コンクール、2012年にソチのユーリ・グリゴローヴィッチ・コンクール、2016年のソウル国際バレエコンクールなど数々のバレエコンクールで受賞しています。
2012年、ロシアのテレビ番組「ビッグ・バレエ」に出演して知られる存在となりました。

カザン・タタール劇場バレエは、やはりビッグ・バレエに出演した寺田翠さん、大川航矢さんも所属している劇場です。

一方、ヌレエフの亡命の手引きをしたクララ・セイント役は、「アデル、ブルーは熱い色」のヒロインを演じたアデル・エグザルホプロス。セルゲイ・ポルーニン、そしてロシアの人気女優チュルパン・ハマトーヴァ(「グッバイ・レーニン」「ルナ・パパ」)も出演する予定です。

制作発表資料によると、「レイフ・ファインズはヌレエフの生身の肉体と輝きを親密に捉え、デヴィッド・ヘアの脚本は1961年、パリにおけるヌレエフの亡命劇についての緊張感あふれてスリリングな視点を提供します。この亡命劇は、ヌレエフの21歳の友人、パリジェンヌのクララ・セイントによって振付けられました」としています。「『The White Crow』は、パリのル・ブルジェ空港でのフィナーレで、世界に衝撃を与え、冷戦時代において西側の最大のプロパガンダとなったこの世界的な事件のクライマックスを描きます」

映画はサンクトペテルブルグとパリで撮影され、マリインスキー劇場とガルニエ宮でのロケもあるとのことです。今年の夏に撮影は開始されます。来週のベルリン国際映画祭のマーケットに出品されます。

******
レイフ・ファインズは最近、ワガノワ・バレエ学校やロシアの劇場に多く姿を見せてきましたが、この映画のためだったようですね。また、昨年9月のパリ・オペラ座バレエのシーズンオープニングガラにも足を運んでいました。

ワガノワでのレイフ・ファインズ
http://melmoth.blog/post/130325986453/ralph-fiennes-at-vaganova

オペラ座のガラでのレイフ・ファインズ
http://www.vogue.com/article/aymeline-valade-eva-herzigova-paris-opera-ballet-opening-night-gala

http://www.wmagazine.com/gallery/paris-opera-ballet-opening-night-gala-2016

ヌレエフの伝記「The Life」邦訳は出ていないのですが、ゴシップもたくさんかかれており、ものすごく面白い本です。

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Julie Kavanagh

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2016/12/29

映画『ミラノ・スカラ座 魅惑の神殿』公開中

240年の歴史を持つイタリア・ミラノの名門歌劇場・ミラノ・スカラ座を捉えたドキュメンタリー映画、『ミラノ・スカラ座 魅惑の神殿』が12月23日よりBunkamuraル・シネマで公開中です。

http://milanscala.com/

シーズン開幕を控え、公演のリハーサル風景や舞台装置などを準備するスタッフの様子、オペラハウスの外部と豪華絢爛な内部、歌劇場の構造設備などが映し出されるほか、スカラ座とゆかりのある演出家、指揮者、歌手や劇場スタッフなどへのインタビューやアーカイブ映像を中心に、歴史的な瞬間やスカラ座にかかわった人々のドラマによる再現映像なども交えて紹介していきます。イタリア・オペラの代名詞であり、数々の名オペラが誕生したこの偉大な劇場の全貌が徐々に明らかになっていき、イタリア・オペラの歴史=ミラノ・スカラ座の歴史と言っても過言でないことがこの作品を通してうかがえます。

この映画を観ることによって、イタリア・オペラの歴史を数々の名演の抜粋や偉大な芸術家のインタビューを通して学ぶことができるので、オペラについてこれから知りたいという人にとっては、イタリア・オペラ入門編として最適の作品です。

特に印象的なエピソードとしては、指揮者ダニエル・バレンボイムが語った「”マリア・カラスが歌った場所で私など歌えない”とここに来る歌手は不安になる。だれもがその恐怖を押さえられるわけではない」という言葉。スカラ座という場所の持つ重みを感じさせます。また、ミレッラ・フレーニはゼフィレッリ演出の『ラ・ボエーム』でミミ役を歌った時、「カラヤンが舞台に上がってきて、泣きながら私にキスしてこう言ったの、”私が涙を流したのは母が死んだ時以来だよ”」と言われた想い出などがあります。これがカラヤンとフレーニの長年の協力関係の始まりでした。

ミラノ・スカラ座のシーズン開幕というのはオペラ界だけでなく、ミラノという街、そこに住む市民にとっても特別なイベントであるということもうかがえます。ワクワクと初日を楽しみに待つのは、オペラファンや出演者、関係者だけでなく、一般の市民も同じ。スカラ座は、ミラノ市民によって愛され、支えられてきたのがわかります。

インタビューには指揮者のリッカルド・ムーティ、ダニエル・バレンボイム、テノール歌手のプラシド・ドミンゴ、バレエ・ダンサーのロベルト・ボッレ、アレッサンドラ・フェリらのスーパースター、そして現総裁のアレクサンダー・ペレイラなど劇場幹部らが登場します。また、映画の中で、マリア・カラス、ルキノ・ヴィスコンティ、ルチアーノ・パヴァロッティ、ホセ・カレーラス、ヘルベルト・フォン・カラヤン、ルドルフ・ヌレエフ、アルトゥーロ・トスカニーニ、アレッサンドラ・フェリ、クラウディオ・アバドらの舞台上、もしくはインタビューなどの姿が捉えられています。一方で、新人のスタッフなどオペラへの夢を抱いてここを支える人々が地道に働く様子も映し出されています。

貴重な歴史的な名演などの映像も多数観られます。ミラノ・スカラ座は、オペラが中心なのですが、バレエについても長い歴史と伝統を誇っています。往年の名花カルラ・フラッチが、ミラノ・スカラ座バレエにも数多く出演したルドルフ・ヌレエフとの思い出を語り、ヌレエフが踊る映像も登場します。また、最近舞台復帰を果たしたアレッサンドラ・フェリはバレエ学校時代のことなども語ります。アレッサンドラ・フェリとロベルト・ボッレが共演したノイマイヤー振付「椿姫」の映像も登場します。ボッレは、スカラ座のゼッフィレッリ演出『アイーダ』に出演した時の筋骨たくましい姿の映像も。

日本との関係も語られます。特に日本においては、スカラ座はイタリア・オペラの殿堂として高い人気を誇っています。このドキュメンタリーの中では、NBSの故佐々木忠次氏が、どうしてもミラノ・スカラ座を招聘したいとして20年間もかけてようやく来日引っ越し公演を実現させたというエピソードが語られています。(この顛末については、詳しくは評伝「孤独な祝祭 佐々木忠次 バレエとオペラで世界と闘った日本人」(追分日出子著)に書かれています)

オペラについてはほとんど初心者の私でも、大変面白く観ることができました。幸運にもミラノ・スカラ座で2度公演を観ることができています。一度目は、ロベルト・ボッレが主演した大晦日の華やかな『チャイコフスキー・ガラ』、そして二度目はプラシド・ドミンゴ主演の『シラノ・ド・ベルジュラック』です。そこでの体験も、まさに「魅惑の神殿」での思い出深い一夜でした。


『ミラノ・スカラ座 魅惑の神殿』

2016年12月からBunkamuraル・シネマほか全国で公開

監督:ルカ・ルチーニ
出演:
ダニエル・バレンボイム
リッカルド・ムーティ
マリア・カラス
ルキノ・ヴィスコンティ
プラシド・ドミンゴ
ルチアーノ・パヴァロッティ
ホセ・カレーラス
ヘルベルト・フォン・カラヤン
ルドルフ・ヌレエフ
アルトゥーロ・トスカニーニ
ロベルト・ボッレ
アレッサンドラ・フェリ
クラウディオ・アバド

配給:コムストック・グループ

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2016/12/22

映画『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣』2017年7月公開

バレエ関連の話題作の公開が続きますが、話題性で言えばこの作品が最大と言えるかもしれません。

セルゲイ・ポルーニンを追ったドキュメンタリー映画『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣』です。

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© British Broadcasting Corporation and Polunin Ltd. / 2016

19歳で英ロイヤルバレエ団の史上最年少プリンシパルとなるも、人気のピークで電撃退団。バレエ界きっての異端児の知られざる素顔に迫ったドキュメンタリーです。


1700万回以上の再生回数を記録した“Take Me To Church”、この映画の本編にも登場します。

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© British Broadcasting Corporation and Polunin Ltd. / 2016

<ヌレエフの再来>と謳われる才能と、それを持て余しさまよう心。

その美しい容姿と、類い稀なる才能で世界を魅了してきたセルゲイ・ポルーニン。
ウクライナ出身で、19歳の時、最年少で英国ロイヤルバレエ団のプリンシパルとなったポルーニンは、その2年後、人気のピークで電撃退団。そのニュースは国内メディアのみならず、世界中に報道された。スターダムから自滅の淵へ-色々な噂が飛び交う中、彼が再び注目を集めたのは、グラミー賞にもノミネートされたホージアのヒット曲“Take Me To Church”のMVだった。デヴィッド・ラシャペルが監督し、ポルーニンが踊ったこのビデオはYouTubeで1700万回以上再生され、ポルーニンを知らなかった人々をも熱狂の渦に巻き込んだ。

<ヌレエフの再来>と謳われる才能と、それを持て余しさまよう心。本人や家族、関係者のインタビューから見えてくる彼の本当の姿とは?

この作品についての、セルゲイ・ポルーニンのインタビュー(米国ダンスマガジン誌)
http://dancemagazine.com/views/sergei-polunin/
“Take Me To Church”を撮影した時点では、ポルーニンはダンサーを搾取するバレエ界に絶望し、ダンスを辞めようと思っていたそうです。しかし9時間にも及んだというこのクリップの撮影の結果に彼は満足し、情熱を取り戻し、ロシアに行ってモスクワ音楽劇場バレエの芸術監督(当時)、イーゴリ・ゼレンスキーに庇護を求め、舞台に復帰しました。

特報
https://youtu.be/DqTxB7xphSo

© British Broadcasting Corporation and Polunin Ltd. / 2016

海外予告編

こちらのブログでも以前紹介したように、セルゲイ・ポルーニンはミュンヘン・バレエで引き続きダンサーとして活躍しながら、映画界にも進出。ケネス・ブラナー監督、豪華キャスト総出演の『オリエント急行殺人事件』などへの出演も決まっています。

『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣』
(2016年/イギリス・アメリカ/85分/カラー、一部モノクロ/1:1.85/DCP/原題:DANCER)
■監督:スティーヴン・カンター ■特別協力:デヴィッド・ラシャペル
『Take me to church』演出・撮影:デヴィッド・ラシャペル
■出演:セルゲイ・ポルーニン、イーゴリ・ゼレンスキー、モニカ・メイソン
■配給:アップリンク・パルコ
2017年7月、Bunkamuraル・シネマほか全国順次公開

【Facebook】https://www.facebook.com/183369645464720/
【Twitter】https://twitter.com/DancerMovieJP

2016/12/21

2017年7月公開 映画『パリ・オペラ座 夢を継ぐ者たち』

パリ・オペラ座バレエ団の舞台裏を描き出したドキュメンタリー『Backstage』(原題)。『ロパートキナ 孤高の白鳥』や『至高のエトワール~パリ・オペラ座に生きて~』のマレーネ・イヨネスコ監督の最新作品です。

この作品の邦題が『パリ・オペラ座 夢を継ぐ者たち』となり、Bunkamuraル・シネマにて2017年7月に公開することが決定しました。

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©DelangeProduction 2016

2016年1月にBunkamuraル・シネマにて公開し、スマッシュヒットを記録した『ロパートキナ 孤高の白鳥』の記憶も新しいマレーネ・イヨネスコ監督の最新作。

バレエ映画をライフワークとしているイヨネスコ監督が今回焦点をあてたのは、伝統を受け継ぐ者たちの姿。伝説のダンサーであり、80年代に芸術監督を務めたルドルフ・ヌレエフは数々のスターを見出し、レパートリーを一新してウィリアム・フォーサイスなど現代作品を積極的に採用、又、後に<ヌレエフの子供たち>と呼ばれる若手の育成にも心血を注いだ。現在、後進の指導にあたるアニエス・ルテステュは彼の薫陶を受けた世代にあたる。

作品内では、不動の人気を誇るエトワール、マチュー・ガニオのダンサーという職業における本音や、新作に取り組む様子、彼がマリインスキー劇場で披露した「ジゼル」、ウリヤーナ・ロパートキナのリハーサル模様なども登場する。

Backstage2
©DelangeProduction 2016

全編を通して古典からコンテンポラリーまで多数の演目が登場するが、中でも強く印象を残すのはヌレエフの遺作となった『ラ・バヤデール』にて、アニエス・ルテステュがエトワールのアマンディーヌ・アルビッソンやプルミエール・ダンスーズのオニール八菜へ指導する師としての姿、そしてそれを見つめるオペラ座バレエ学校の子供たちの羨望の眼差し。ヌレエフ世代から現役トップダンサーたち、そして未来のエトワールたちへ伝統は受け継がれてゆく。

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©DelangeProduction 2016

最古にして今も最高峰と評され歴史を作り続けるパリ・オペラ座の舞台裏、圧倒的な芸術美と伝統の継承に迫る、感動のドキュメンタリー。

本編からの映像抜粋

【登場する演目】
「ジゼル」「夢の伝説」「ジェニュス」(ウェイン・マクレガー振付)「パキータ」「pas/parts」(ウィリアム・フォーサイス振付)「輝夜姫」(イリ・キリアン振付)「ラ・バヤデール」等

監督:マレーネ・イヨネスコ(『ロパートキナ 孤高の白鳥』『至高のエトワール~パリ・オペラ座に生きて~』)

出演:マチュー・ガニオ/アニエス・ルテステュ/ウリヤーナ・ロパートキナ/オニール八菜/バンジャマン・ペッシュ/ウィリアム・フォーサイス
アマンディーヌ・アルビッソン/ジョシュア・オファルト/エリザベット・プラテル/バンジャマン・ミルピエ/ジャン=ギョーム・バール/ローラン・イレール/ジェレミー・ベランガール/ステファン・ビュリヨン/ギレーヌ・テスマー

配給:ショウゲート  公式HP: http://backstage-movie.jp/ 

2017年7月、Bunkamuraル・シネマほか全国ロードショー!

*********

劇場公開時のタイトルは『至高のエトワール~パリ・オペラ座に生きて~』、マネーネ・イヨネスコ監督、アニエス・ルテステュの美しいドキュメンタリー映画です。

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2016/12/15

『ミルピエ ~パリ・オペラ座に挑んだ男~』

2014年11月にバレエの殿堂、パリ・オペラ座バレエの芸術監督に就任したバンジャマン・ミルピエ。ニューヨークシティ・バレエの元プリンシパルで、自らのカンパニーL.A.ダンスプロジェクトも率いる、当時37歳の新進気鋭の振付家で、オペラ座史上最も若い芸術監督だった。女優ナタリー・ポートマンの夫で、イヴ・サンローランやエールフランスの広告にも出演したハンサムなミルピエは、大きな注目を集めた。

ミルピエが芸術監督として手掛ける自らの新作「クリア、ラウド、ブライト、フォワード」完成までの40日間に密着し、パリ・オペラ座公式プロデュース作品でしか成しえないオペラ座の貴重なバックステージを描いたのが、このドキュメンタリー映画『ミルピエ ~パリ・オペラ座に挑んだ男~』。

http://www.transformer.co.jp/m/millepied/

1

ミルピエの新作「クリア、ラウド、ブライト、フォワード」は、音楽をニコ・マーリーに委嘱し、衣装はイリス・ヴァン・ヘルペンが担当した作品。振付家がインスピレーションを得てから、リハーサルを経て一つのバレエ作品が出来上がってくるまでのプロセスが詳細に描かれているのが大変興味深い。

「クリア、ラウド、ブライト、フォワード」はダンサーが16人出演する33分の作品なので、それなりの大きな規模感があるし、ミルピエがプログラムした最初のシーズンの開幕早々の作品なので彼のディレクターシップの行方を占う重要な作品でもあった。バレエ団と言えば、ダンサーと芸術監督、教師くらいしかすぐには思い浮かばないけれど、実際には本当にいろんな関係者が仕事をしている。「エトワール・ガラ」でおなじみのエトワール、バンジャマン・ペッシュがミルピエの右腕として活躍する姿も観ることができる。

Photo

ダンサーは生身の人間なのでいろんなことが起きる。リハーサル中の怪我や不調など。また舞台装置や衣装などについても細かなアクシデントが起きるし、シーズン頭にはストも起きてしまう。

スタジオの床をダンサーの脚に良いものに取り換え、ダンサーの体のケアのための医療体制も改善するなど、様々な改革にミルピエは乗り出す。一方で、現在のパリ・オペラ座バレエは、コンテンポラリーダンスのカンパニーとしてはトップクラスだが、クラシック・バレエは振るわない、また昇進試験制度には反対というこの作品の中での彼の発言などは、大きな反発を呼んでしまった。階級にこだわらず、彼が選んだダンサーをキャスティングするという手法も、ヒエラルキーを重視するオペラ座の中では、大きな議論を巻き起こした。そしてこの作品の最後には、この作品初日の数か月後にミルピエが辞任を表明したというテロップが現れる。

この作品を観ただけでは、数々の問題を乗り越えて無事「クリア、ラウド、ブライト、フォワード」を上演し、ダンサーたちにも好かれているように見えて順調だったミルピエが、なぜこの短期間で退任表明をするに至ったのかは明らかはになっていない。ただ、上述の懸念事項が伏線となっていたのはわかる。

2

この作品のもう一つの見所は、「クリア、ラウド、ブライト、フォワード」に出演したスジェ、コリフェなどの若いダンサーたちのリハーサルシーンである。ジェルマン・ルーヴェ、ユーゴ・マルシャン、レオノール・ボラックなど進境著しいスター候補を始め、マリオン・バルボー、レティツィア・ガローニ、アクセル・イーボ、ヤニック・ビットンクールなどパリ・オペラ座バレエの新時代を象徴する美しいダンサーたちの姿には思わずうっとりしてしまう。特に、ジェルマン・ルーヴェ、マリオン・バルボー、レティツィア・ガローニ、アクセル・イーボの4人はそれぞれの魅力が存分に発揮されたプロフィール映像が流れるので、彼らのファンは必見と言えよう。NHKの「スーパーバレエレッスン」で生徒役で出演したダンサーたち、マルク・モロー、エレオノール・ゲリノー、ロレーヌ・レヴィらの姿が観られるのも嬉しい。

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オペラ座で褐色の肌を持った初めての女性主演ダンサーとなったレティツィア・ガローニが主演した「ラ・フィユ・マル・ガルデ」(コーラス役はマチアス・エイマン)、そしてシーズン開幕の華やかなデフィレの様子も映るのも、隠れたお楽しみポイント。初の主演を終えたレティツィアを称賛するオーレリー・デュポンの姿に、未来の芸術監督の姿を重ねることもできる。

4

オペラ座の長年にわたる伝統に抵抗し改革しようとしたミルピエ、その改革は挫折したように見えるけれども彼の蒔いた種が、彼を継いだオーレリー・デュポンの采配、そして若いダンサーたちにどのように引き継がれるのか、見守っていきたいと感じさせた、とても面白いドキュメンタリーだった。

監督ティエリー・デメジエール/アルバン・トゥルレー

キャスト バンジャマン・ミルピエ、レオノール・ボラック、ユーゴ・マルシャン、ジェルマン・ルーヴェ、アクセル・イーボ、ヤニック・ビットンクール、フロリモン・ロリュー、マルク・モロー、アリステール・マダン、ジェレミー・ルー・ケール、イヴォン・ドゥモル、エレオノール・ゲリノー、レティツィア・ガローニ、マリオン・バルボー、ロレーヌ・レヴィ、ジェニファー・ヴィソッキ、オーバーヌ・フィルベール、ロクサーヌ・ストイジャノフ、イーダ・ヴィーキンコスキ、オーレリー・デュポン、バンジャマン・ペッシュ、セバスチャン・マルコヴィッチほか

<公演参加クリエイター>
音楽:ニコ・マーリー「拘束のドローイング」、衣装:イリス・ヴァン・ヘルペン、指揮:マキシム・パスカル
作品情報 2015/フランス/114分/シネスコ 原題 Releve
配給:トランスフォーマー

Bunkamuraル・シネマにて12月23日(金・祝)より公開
http://www.bunkamura.co.jp/cinema/lineup/16_reset.html

ユーゴ・マルシャン インタビュー動画

ジェルマン・ルーヴェ インタビュー動画

なお、この映画『ミルピエ ~パリ・オペラ座に挑んだ男~』の劇場用パンフレットに、私はダンサーとスタッフ紹介、オペラ座のヒエラルキーシステム、そして用語集について執筆をさせていただいています。よろしかったらぜひお買い求めください。私は担当していませんが、美しいユーゴ・マルシャンとジェルマン・ルーヴェの対談ページも掲載されています。

2016/12/12

ロイ・フラーを描いた映画『The Dancer(LA DANSEUSE)』が2017年初夏に日本公開

以前にもこのサイトでご紹介した、19世紀末から20世紀初頭に活躍したアメリカ人ダンサー/振付家のロイ・フラー(1862〜1928)の伝記映画「La Danseuse」(The Dancer)が、2017年初夏に日本公開されます。

La_danseuse

Bunkamuraル・シネマの2017年上半期ラインアップの中に紹介されていました。

http://www.bunkamura.co.jp/topics/cinema/2016/12/2017lu.html

ザ・ダンサー(英題) LA DANSEUSE

初夏ロードショー予定
第69回カンヌ国際映画祭 ある視点部門正式出品
監督:ステファニー・ディ・ジュースト 出演:ソコ、リリー=ローズ・メロディ・デップ、ギャスパー・ウリエル
2016年/フランス・ベルギー・チェコ/108分 配給:コムストック・グループ

19世紀末、パリの劇場フォリー・ベルジェールの花形ダンサーにして “モダン・ダンスの先駆者”ロイ・フラー。ロートレック、ロダン、ドビュッシーなどの芸術家を魅了し、一世を風靡した彼女の生涯に迫る。1900年パリ万博で出会い、その後のフラーの人生に大きな影響を及ぼすパフォーマーのイサドラ・ダンカン役をジョニー・デップとヴァネッサ・パラディの娘リリー=ローズ・メロディ・デップが熱演、17歳とは思えない美しく妖艶なダンスを披露している。
©2016 LES PRODUCTIONS DU TRESOR - WILD BUNCH - ORANGE STUDIO - LES FILMS DU FLEUVE - SIRENA FILM

映画のオフィシャルFacebookページ
https://www.facebook.com/LaDanseuse.LeFilm

ロイ・フラー役を演じるのは、フランス出身の歌手Soko (映画「博士と私の危険な関係Augustine」に主演してリュミエール賞にノミネート)。そして、イザドラ・ダンカン役を演じるのは、ジョニー・デップとヴァネッサ・パラディの娘、リリー・ローズ・デップです。まだ17歳という若さですが、シャネルの広告にも起用されています。また、人気俳優のギャスパー・ウリエルも出演します。

リリー・ローズ・デップは、この作品への出演より、フランスのアカデミー賞というべきセザール賞の新人俳優賞のノミネート候補に入ったそうです。
http://www.vogue.fr/culture/a-voir/diaporama/lily-rose-depp-meilleur-espoir-cesar-2017-la-danseuse-soko/38718#lily-rose-depp-meilleur-espoir-cesar-2017-la-danseuse-soko
(なお、映画『ポリーナ』に主演した、ワガノワ・バレエ・アカデミー出身のアナスタシア・シェフツォワもこのセザール賞新人俳優賞のノミネート候補となっています)

映画『ザ・ダンサー』で、ロイ・フラーが気になったら。(フィガロ・ジャポン)
http://madamefigaro.jp/paris/series/paris-deco/160928-loie-fuller.html

Bunkamuraル・シネマといえば、12月23日からは、『ミルピエ~バリ・オペラ座に挑んだ男』が公開されます。バレエ/ダンス関連の映画が多く上映される映画館として、皆さんにはおなじみですね。

2016/12/06

セルゲイ・ポルーニンが映画『オリエント急行殺人事件』『Red Spparow』に出演

現在はミュンヘン・バレエのゲスト・プリンシパルとして活動しているセルゲイ・ポルーニン。

12月22日、25日のミュンヘン・バレエの『スパルタクス』ではクラッスス役で出演予定です。オシル・グーネオがスパルタクス、ナタリア・オシポワがエギナ役という豪華キャストです。

ポルーニンのドキュメンタリー映画『Dancer』は英米で上映され、日本でもアップリンクが権利を購入しているため、来年には劇場公開もされるものと思われます。

彼が踊ったビデオ"Take Me to Church."は1700万回もの再生回数を誇っています。

さて、そのポルーニンは映画俳優として活動したいという希望があることをインタビューで語っていました。そしてその夢は実現することになります。

Ballet Star Sergei Polunin Lands Roles in 'Murder on the Orient Express,' 'Red Sparrow'
http://www.hollywoodreporter.com/news/dancer-star-sergei-polunin-acting-murder-orient-express-red-sparrow-952594

ポルーニンは2本のハリウッド映画に出演することが決まったそうです。

1本目は、ケネス・ブラナー監督の『オリエント急行殺人事件』。もちろん、アガサ・クリスティの有名な原作の映画化です(同じ原作の有名な映画化が1974年に製作されています)。ブラナー自身がポワロ探偵役を演じるこの作品、共演はジュディ・デンチ、ペネロペ・クルス、ジョニー・デップ、ミシェル・ファイファー、デレク・ジャコビと大スターが揃っています。2017年1月から撮影が始まるそうで、公開は2017年11月予定です。

もう一つは、スパイ映画『Red Spparow』。ジェーソン・マシューズ原作のベストセラーの映画化で、主演はジェニファー・ローレンス、監督は『ハンガー・ゲームズ」シリーズや『アイ・アム・レジェンド』「コンスタンティン』のフランシス・ローレンス。

『ミルピエ~パリ・オペラ座に挑んだ男~』公開記念、A・デュポン『マノン』特別上映

史上最年少でパリ・オペラ座の芸術監督に抜擢された若き異端児、バンジャマン・ミルピエが挑む、新作上演までの40日間を描いたドキュメンタリー映画『ミルピエ~パリ・オペラ座に挑んだ男~』

http://www.transformer.co.jp/m/millepied/

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Bunkamuraル・シネマ他全国の劇場で12月23日より公開されます。


この作品の劇場用パンフレットに、私もダンサー紹介などを寄稿させていただいているため、本編をすでに観ています。ミルピエが新作「クリア、ラウド、ブライト、フォワード」をクリエーションするプロセス、そして若手を中心としたダンサーたちのリハーサルシーンがふんだんに入っており、大変面白い作品となっています。特に、今注目のジェルマン・ルーヴェ、ユーゴ・マルシャン、レオノール・ボラックらの姿がたくさん観られます。作品の紹介記事は改めてアップしますね。

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本作の公開を記念し、ミルピエの後任としてパリ・オペラ座の芸術監督となったオーレリ・デュポンの伝説の引退公演『マノン』のBunkamuraル・シネマでの上映が決定しました。
(オーレリ・デュポンも、『ミルピエ~パリ・オペラ座に挑んだ男~』に出演しています)

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この引退公演「マノン」には、主役のオーレリ・デュポンだけでなく、ステファン・ビュリオン、アリス・ルナヴァン、バンジャマン・ペッシュ、カール・パケットなど豪華エトワールが参加している。しかもオーレリ・ デュポンの相手役を務めたゲスト・ダンサーのロベルト・ボッレはミラノ・スカラ座バレエ団エトワールであり アメリカン・バレエ・シアターのプリンシパルだ。オーレリのためにトップダンサーが集結した引退公演は、フ ァンに大きな感動を与え、オーレリ・デュポンにとってはダンサー人生の素晴らしい幕引きとなった。収録にあたり監督を務めたのは、世界の映画祭でも高い評価を得てきた映画監督セドリック・クラピッシュ。

オーレリーのインタビュー映像も含まれる感動の映像が、映画館の大画面で観られる機会をお見逃しなく。

http://www.bunkamura.co.jp/topics/cinema/2016/11/manon.html

・上映期間: 12/10(土)~12/16(金)連日19:10開始
         12/17(土)~12/22(木)連日12:25開始


2016/11/10

「天才バレエ・ダンサーの皮肉な運命」東京国際映画祭

東京国際映画祭のコンペティションに出品された「天才バレエ・ダンサーの皮肉な運命」を観た。

http://2016.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=3

アレクセイ・テムニコフは名の知れた天才バレエダンサーだが、90年代にその短いキャリアは突然終わっていた。20年後の現在はバレエ教室を営み、傲慢で冷淡な性格が周囲との軋轢を招いているが、全く気にする様子を見せない。達観したように生きるアレクセイだが、次第に体調が悪化するに従い、人生の選択を迫られる。

本作が3本目の長編劇映画となるアンナ・マチソン監督は、舞台との関わりも深く、本作でも威風漂う姿を見せるマリインスキー劇場の舞台監督や美術などを手掛けている。同劇場の芸術監督ワレリー・ゲルギエフが指揮するオペラの映像監督も務め、その縁でゲルギエフが本人役で登場するが、ここで虚構と現実の境が曖昧になり、実在のダンサーの生涯を追っているような効果を本作にもたらしている。マジカルなカメラワークも楽しく、スケール感のあるエンターテイメント作品として、従来のロシア(映画)のイメージを覆す作品である。主演のセルゲイ・ベズルコフは舞台と映画の双方で活躍するロシアの人気俳優である。


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主人公アレクセイ・テムニコフ、相当傍若無人で嫌な男である。20代の若さでボリショイのトップスターとなるものの、大けがが原因で引退を余儀なくされ、小さな街でバレエ教室を営む傍らドラッグストアチェーンも経営している。一応ビジネス的には成功しているけど、元スターという高いプライドが災いして生徒たちに対しての接し方は冷淡だし、妊娠した恋人への扱いもぞんざい。そんな彼の下に、12歳となった娘が突然現れる。一方で、若い頃の怪我が悪化してこのままでは下半身がマヒするという医者からの宣告も受けてしまう。そこで彼は人生最後の賭けに出る。

テムニコフ役のセルゲイ・ベズルコフは、ロシアでは人気のある俳優ということで、映画祭の上映会場には多くのロシア人が詰めかけていた。バレエを本格的に学んだ経験はなく、撮影前2週間ほどレッスンしただけだというが、なかなかどうして、姿勢よく、腕もしなやかで元バレエダンサーという感じの容姿の持ち主であった。演劇大学でバレエの授業を受けていたのが幸いしていたようだ。作品の終盤でテレビに出演して踊る場面があるが、跳躍など一部をデニス・マトヴィエンコが吹き替えているものの、かなりの部分が本人の踊りとのこと。

バレエそのものがテーマではなくて、一人の男性のミドルライフ・クライシスを描いた作品ではあるけど、バレエ好きにとっては思わずにやりとする場面も出てくる。スターダンサーだった若い頃のテムニコフの出演したテレビ番組の映像が、YouTubeを思わせる動画サイトに出てくるのだけど、いかにもやんちゃでバッド・ボーイという感じの不遜な態度に思わず苦笑してしまう。自身の振付作品をボリショイ・バレエに売り込む時には、実際にボリショイ劇場の中で撮影しているし、さらにマリインスキー劇場での撮影、ワレリー・ゲルギエフが本人役で出演、そしてマリインスキー・バレエのダンサーたちを使って実際のバレエ作品が踊られるところまで出てくる。

マリインスキー・バレエで、テムニコフが振付けたとされて上演された作品は、実際には、ラドゥ・パクリタル(ソチオリンピックの開会式を振付けた)がこの映画のために振付けた「シンフォニー・イン・スリー・ムーヴメンツ」(ストラヴィンスキー作曲)という作品で、主演がユーリ・スメカロフとスヴェトラーナ・イワーノワ、ダリア・パヴレンコも出演しているという豪華版だ。特にスメカロフは本人役で出演していて、リハーサルしている様子もしっかり登場する。作品はゲルギエフ指揮で、マリインスキー2劇場で上演されていて実際にマリインスキー・バレエのレパートリー入りした。実在の登場人物、実在の劇場で上演されていることから、劇映画なんだけどドキュメンタリーを見ているような気持ちになるのが面白い。監督がマリインスキー劇場を良く知っているから故のリアリティがあった。

そして、このテムニコフ、過去の栄光にすがり未だスター気分が抜けない、中年なのに子どもっぽくてどうしようもない男なのだけど、その高すぎるプライドゆえ周囲の人間に悪態をついてしまうというところが憐れであり、また憎めないところでもある。彼の奇行じみた態度はユーモアたっぷりに描かれているし、演じているべズルコフがチャーミングなので、ついつい同情してしまうし、本当は繊細な人なのかも?とも思ってしまう。突然現れた娘キアラも生意気ながらとてもキュートだ。原題は「After You're Gone」。自分の先行きが長くないのを知って、うまくいかなかった人生を生きて来た証をなんとか残そうと奮闘するテムニコフの姿には、思わず応援したい気持ちになってしまうし、シニカルなユーモアと魅力的な俳優の力もあって、楽しい作品となった。バレエシーンは本格的だし、日本でも劇場公開される価値があると思う。


スタッフ
監督 : アンナ・マティソン
プロデューサー : アレクセイ・クブリツキー
プロデューサー : セルゲイ・ベズルコフ
撮影監督 : セルゲイ・オトレピエフ
脚本 : チムール・エズグバイ
編集 : イワン・リシチキン

キャスト
セルゲイ・ベズルコフ
アナスタシア・ベズルコワ
カリーナ・アンドレンコ
ウラジーミル・メンショフ
アリョーナ・バベンコ
セルゲイ・ガザロフ
ステパン・クリコフ
マリヤ・スモルニコワ
ヴィタリー・エゴロフ

セルゲイ・べズルコフの公式サイトにある作品紹介ページ。ロシア語だけど、詳しい解説や写真などがたくさん載っている。
http://sergeybezrukov.ru/art/cinema/posle-tebya/


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