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バレエ

2013/01/02

あけましておめでとうございます/2012年を振り返って

皆様、あけましておめでとうございます。今年が皆様にとって笑顔いっぱいの幸せで素晴らしい一年になりますように!そして平和な一年でありますように。本年もどうぞよろしくお願いいたします。旧年中は皆様には大変お世話になりました。ブログを通して得られた出会いに感謝します。

昨年は、体調を崩してしまって色々と大変な年でした。しばらくのんびり過ごし、周りの励ましもあってだいぶ元気になってきましたが。ブログの方では、スランプに陥ってバレエの感想をあまり書けなくなってしまいましたが、こちらも徐々に復活できたらいいなと思っています。でも何よりも健康最優先で行きたいです。

そんな中でも、たくさんの舞台を観に行くことができました。日本でも、海外でもたくさんの友達ができて、楽しく過ごすことができました。このような出会いを大切にしたいと思います。来年は、鑑賞本数は減るはず!(というか、人生のうちでこれだけたくさん観ることはもう多分ないでしょう)

1月3日 レニングラード国立バレエ 新春スペシャル・ガラ
1月13日 「ニジンスキー・ガラ」東京バレエ団&マラーホフ
1月14日 「ニジンスキー・ガラ」東京バレエ団)&マラーホフ
1月28日 「Love from Paris エトワール」 Aプログラム 
2月2日 「Love from Paris エトワール」 Bプログラム 
1月31日 「スパルタクス」ボリショイ・バレエ(ワシーリエフ&ルンキナ、アレクサンドロワ)
2月1日 「スパルタクス」ボリショイ・バレエ(ドミトリチェンコ、ニクーリナ、シプリナ)
2月4日 「こうもり」新国立劇場バレエ団 カオ&テューズリー
2月5日 「スパルタクス」ボリショイ・バレエ 愛知県立芸術劇場(ワシーリエフ&ルンキナ、アレクサンドロワ)
2月7日 「ライモンダ」ボリショイ・バレエ(アレクサンドロワ&スクヴォルツォフ)
2月9日 「白鳥の湖」ボリショイ・バレエ ルンキナ&チュージン
2月19日 「アリーナ・コジョカル ドリーム・プロジェクト」Aプロ
2月21日、22日 「アリーナ・コジョカル ドリーム・プロジェクト」Bプロ
2月23日 「TeZukA」シディ・ラルビ・シェルカウイ
2月26日 「アレキナーダ」(オスモルキナ、ティモフェーエフ)NBAバレエ団
2月28、29日 「This is Modern」ユニバーサル・バレエ
3月4日 「ウエスタン・シンフォニー」「ステップテクスト」「ワルプルギスの夜」スターダンサーズ・バレエ団 
3月6日 「シェエラザード」「ダフニスとクロエ」「アルトロカント」/モナコ公国モンテカルロ・バレエ団
3月18日 「アンナ・カレーニナ」新国立劇場バレエ団 ズミエヴェッツ&ガブィシェフ
3月17日 「アンナ・カレーニナ」新国立劇場バレエ団 長田&厚地 
3月31日 「NHKバレエの饗宴2012」
4月21日 Dance to the Future 2012 新国立劇場バレエ団
4月24日 「ウィンナー・ガラ」 ウィーン国立バレエ団
4月30日 「こうもり」エシナ&クルラーエフ&ルグリ/ウィーン国立バレエ団 
5月5日 ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン 勅使川原三郎
5月6日 「白鳥の湖」  小野&福岡 新国立劇場バレエ団
5月25日 「海賊」K-Ballet Company 熊川&荒井
6月1日 「じゃじゃ馬馴らし」カン&バランキエヴィッチ/シュツットガルト・バレエ団
6月2日 「じゃじゃ馬馴らし」アマトリアン&ジョーンズ/シュツットガルト・バレエ団
6月2日 「じゃじゃ馬馴らし」アイシュヴァルト&レイリー/シュツットガルト・バレエ団
6月6日 「白鳥の湖」オサチェンコ&マッキー/シュツットガルト・バレエ団
6月9日 「じゃじゃ馬馴らし」ヴュンシュ&レイリー/シュツットガルト・バレエ団(兵庫県立文化芸術センター)
6月10日 「白鳥の湖」オサチェンコ&マッキー/シュツットガルト・バレエ団(びわ湖ホール)
6月24日 「マノン」ウェッブ&ウォルシュ 新国立劇場バレエ団
7月1日 「マノン」小野&福岡 新国立劇場バレエ団
7月7日 「Nameless Voice ~水の庭、砂の家」Noism
7月22日 「バレエ・アステラス」 
8月2日、3日、5日 「第13回 世界バレエフェスティバル」Aプロx3
8月8日 「ラ・バヤデール」ヴィシニョーワ&ゴメス/東京バレエ団
8月9日 「ラ・バヤデール」コジョカル&コボー/東京バレエ団
8月11日、12日、14日 「第13回 世界バレエフェスティバル」Bプロx3
8月16日 「第13回 世界バレエフェスティバル」ガラ
8月18日 「アナスタシア」島添&ステラ 小林紀子バレエ・シアター
8月28、30日 「ロイヤル・エレガンスの夕べ」  
9月28日 「オネーギン」東京バレエ団 吉岡&マッキー 
9月29日 「ハレの祭典」佐藤健作 和太鼓公演、酒井はな
9月30日 「オネーギン」 東京バレエ団 吉岡&マッキー
10月6日 ダンストリエンナーレ東京 ヤスミン・ゴデール「LOVE FIRE」
10月19日 「DEDICATED IMAGE」 首藤康之、中村恩恵
10月20日 「曼荼羅の宇宙」森山開次
10月28日 「シルヴィア」新国立劇場バレエ団 米沢&菅野 
10月30日 「シルヴィア」新国立劇場バレエ団 佐久間&ツァオ 
11月1日 「シルヴィア」新国立劇場バレエ団  小野&福岡
11月24日 「Sadeh21」バットシェバ・カンパニー
11月25日 「ダニール・シムキンのすべて インテンシオ」 
11月15日 「ラ・バヤデール」マリインスキー・バレエ ロパートキナ&コルスンツェフ 
11月22日 「アンナ・カレーニナ」ヴィシニョーワ&ズヴェレフ マリインスキーバレエ
11月23日 「アンナ・カレーニナ」 ロパートキナ&エルマコフ マリインスキーバレエ
11月25日 「ラ・バヤデール」マリインスキー・バレエ ヴィシニョーワ&コールプ
11月27日 「白鳥の湖」マリインスキーバレエ  ロパートキナ&コルスンツェフ 
12月2日 「オールスターガラ」 マリインスキーバレエ
12月22日 「くるみ割り人形」 松山バレエ団
12月25日 「Solo for 2」「中国の不思議な役人」Noism&Noism2

<海外>
1月7日「第6回国際バレエスター・ガラ イン・台北」(台北大劇院) コチェトコワ、シムキン、コールプ、セミオノワ、シアラヴォラ、サイズ、イェリネク、アマトリアン、レイリー他
3月10日、11日、13日、15日、18日「眠れる森の美女」ナショナル・バレエ・オブ・カナダ(フォーシーズンズ・シアター・フォー・パフォーミング・アーツ) ロドリゲス&スタンティク、オグデン&コテ、ホジキンソン&マッキー、ヴァンストーン&コンヴァリーナ
6月15日、16日、17日「椿姫」シュツットガルト・バレエ(ソウル・セジョン劇場)カン&ラドマーカー
7月11日、14日、15日「オネーギン」シュツットガルト・バレエ(シュツットガルト州立劇場)アマトリアン&マッキー、アイシュヴァルト&ジョーンズ
11月3日、4日「椿姫」シュツットガルト・バレエ(上海大劇院)カン&ラドマーカー、アマトリアン&レイリー
11月16日「ドン・キホーテ」パリ・オペラ座バレエ「ドン・キホーテ」(オペラ・バスティーユ)パリエロ&パケット
11月17日、18日(昼夜)「オネーギン」シュツットガルト・バレエ(シュツットガルト州立劇場)サイモン&マッキー、カン&バランキエヴィッチ
12月6日、7日、8日、9日「ジゼル」ナショナル・バレエ・オブ・カナダ(フォーシーズンズ・シアター・フォー・パフォーミング・アーツ) ヴァンストーン&江部、ロドリゲス&コンヴァリーナ、シャオナン・ユ&マッキー、ホジキンソン&コテ

<歌舞伎>
五月花形歌舞伎 「西郷と豚姫」「紅葉狩」「女殺油地獄」
秀山祭九月大歌舞伎 「時今也桔梗旗揚」「京鹿子娘道成寺」
十二月大歌舞伎 「御摂勧進帳」

<オペラ>
「プラテー」(シュツットガルト歌劇場)
「ピーター・グライムス」(新国立劇場)

その中で印象的な舞台を挙げていくと、インパクトの大きさでは、バットシェバ・カンパニーの「Sadeh21」でした。こんなに鮮烈で心に響くような舞台を観ることができて本当に良かった、さいたままで足を運んで本当に良かったと思いました。ダンストリエンナーレのヤスミン・ゴデール「LOVE FIRE」も、もうめちゃめちゃ面白かったです。バレエでは、ボリショイ・バレエの「スパルタクス」と、新国立劇場バレエ団の「シルヴィア」が素晴らしかった。ボリショイの底力は言うまでもありませんが、新国立劇場バレエ団の成熟ぶりは凄いと感じました。それと、2010年1月の役デビューから見続けてきたエヴァン・マッキーのオネーギンのキャラクターの変化を見届けられたのもよかったです。日本でもついに「オネーギン」を踊ることができたし。カナダでのヌレエフ版眠りも大変美しかったので、今年はオネーギンと白鳥以外で観られるといいな、と思ったのでした。
あとは、親に連れて行ってもらった歌舞伎がとても楽しかったので、今年も観られるといいのですが、新歌舞伎座の柿落としでチケットの入手が難しそうなのでどうしようかと思っているところです。

皆様にとっても、素晴らしい舞台との出会いがありますように!

2008/09/28

東京文化会館バックステージツアー

「ちょこっと劇場へ行ってきます」のmiyaさんのエントリで、東京文化会館のバックステージがとても楽しいらしいということがわかり、ちょうど9月27日には珍しく土曜日のツアーが組まれているらしいということで、友達二人&友達の彼の合計4人で参加。知る人ぞ知るというバックステージツアーだけど、発売日にはほぼソールドアウトになると言う。

http://www.t-bunka.jp/sponsership/spo_c_6.html

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ツアーの参加者は総勢50人で、3つの班に分かれる。まずは、コンサート形式に組まれた舞台の上で、係員の全体的な説明を聞く。東京文化会館は1961年に開館するので、まもなく50歳になろうというところ。それまでは、東京でクラシック音楽の演奏会が開かれるのは日比谷公会堂くらいしかなかったそうだ。天井から見ると、6角形の形になっているとのこと。空席時の残響時間は2.0秒という理想的なものだそうで、床は、硬すぎず柔らかすぎない檜でできている。

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まずは、コンサート形式から、オペラ/バレエ形式への舞台転換を見せてもらった。コンサート形式の時に使われている反響板で組まれた壁や天井を奈落へ沈める。これが12メートルの高さで、分速1メートルなので、13分で転換することができるそうだ。そしてホリゾントを下ろし、それからバトン(幕や装置がぶら下がっているもの)を下ろす様子を見せてもらう。バトンは分速5センチから150センチまで17段階もの速度調整を行うことができ、下手にある操作盤で操作を行う。

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5階まで階段を上り、5階の正面の席の両脇にあるピンスポットを操作する照明室まで行く。2つの部屋に、各2台のピンスポット機があり、実際に機械を触らせてもらう。ピンスポットのサイズや位置を動かすのは、まるでスナイパーになったような気分。一緒に行った友達がベジャールファンだったので、「ボレロ」の最初のシーンで手だけに照明を当てるのはどうするのかと質問をした。これは本当に真っ暗な中で小さな面積に当てなければならないので、リハーサルの時に大体の位置を把握して、ほとんど勘でやるようだ。技術修練には少なくとも3~4年は要するとのこと。「白鳥の湖」だったら登場はどちら側のどの位置、といった流れを熟知しているそうだ。狭い部屋で3000Wの機械2台があるところで働くのは相当暑いようだ。

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カーテンコール体験という面白い経験もできた。まずは、整列して舞台に向かって一礼。別の班が5階からピンスポットを照らしてくれる。拍手の音までテープで鳴らしてくれるという大サービス振り。二手に別れ、今度はカーテンの前でレベランスをし、もうひとつの班は、緞帳の縫い目を持って開ける。何人かで手分けして持つためか、意外と重たくない。ちょっとしたスター気分を味わえて楽しかった。

ついで、オーケストラピットへ。オーケストラピットの中にも実際に入れてもらう。色々な深さにできるとのことだけど、ワーグナーのように楽器の編成が多い場合には、255cmという深い位置まで下げて、普段は譜面台や椅子を収納するスペースにティンパニーなどの場所をとる打楽器が入ることで、大編成を入れることを可能にしているそうだ。舞台の上にまた上がり、プロンプターボックスを見せてもらう。オペラの時に、出だしを歌手が忘れた時に指示したりする役の人が入る隠し箱のようなもので、非常に狭い。副指揮者が入ることが多いようだ。実際に中に入ってみることもできる。

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そこからいよいよ、一番の楽しみ、バックステージへ。オーケストラピットから裏へ回ると、さっそく壁面に多くの落書きが。オーケストラピットの近くなので、書いている人たちはほとんどがオーケストラのメンバー。係りの方の話によると、上手の方が落書きが多く、理由としては、上手に配置されている楽器(打楽器とか金管?)の方が暇だからだそうだ(笑)奈落の横を通ったが、先ほど転換した反射板が置かれているのが見えた。

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それから、舞台の袖に。上手の方は古い落書きが多くて歴史を感じさせる。一番古いものは1967年のもので、チョークで書かれている。そして、バレエ団やオペラ劇場ごとに額やポスターにサインされたものが多数飾ってある。ごく最近、今年の夏のロイヤルやABTまで、様々なところのがあり、所狭しと飾ってあるのは壮観の一言。また、それぞれの劇場の個性が出ており、イラストやポスターのコラージュや、Tシャツにサインされたものなど様々。他の劇場の舞台袖は発表会等で行ったことがあるし、メトロポリタン・オペラ劇場のバックステージツアーにも行ったことがあるけれども、ここまで広々としたところは初めて。このスペースだけでも十分バーレッスンできるだろう。

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もっともっと写真を撮ったり、ゆっくり見たかったけど、時間もあるので楽屋へ。個室の楽屋が存分に用意されているのも、権威ある劇場ならでは。個室にはそれぞれシャワーも完備されている。世界のスターたちが利用しているものなのだから。フリースペースもゆったりと取ってあるし、大部屋には、洗濯機を設置できるスペースまである。長期公演ともなれば、出演者は大部分の時間をここで過ごし、ほとんど住んでいるような状態になるとの話。

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しかも、廊下にも、楽屋にも、サインや落書きがされており、コンクリート打ちっぱなしの空間があれば何かしら落書きされているって感じ。1階の楽屋口へと上る階段の脇に、ロイヤル・バレエのデヴィッド・マッカテリの大きなサインを発見。しかも、ここで公演を行うたびに、その年号を書き入れており、もう4回も来ているというのが判った。意外な自己主張!そのちょうど反対側には、ロイヤルの同僚リアン・ベンジャミンのサインも。リアン、東京公演には出演しなかったけど大阪のガラへの出演があったからサインはしっかり残したのね。

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最後には、このホールの財産である、過去出演した大スターたちのサイン帳を見せていただいた。マリア・カラス、カラヤン、バーンスタイン、リヒテル等など…。

わずか500円の参加費で、2時間もの間説明つきでこんなに楽しい体験をさせてくれるバックステージツアー、また機会があれば参加したいなと思った。しかも、どこにどの劇場やバレエ団のサインが飾ってあるかとか、照明プランがどうなっているのとかの説明書きや、出演したスターたちの写真も収めた、劇場についてのパンフレットまでついている。公演やリハーサルが入っていない日が少ないため、なかなか多くの回数は実施できないそうだから、日程が合うときがあれば本当にお勧め!この劇場がつむいできた豊かな歴史の一端に触れることができて、今後、より公演が楽しめるようになるはず。

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50年近いホールの歴史の中で、公演を行ったアーティストたちが壁に残していったサインや落書きはものすごい財産なので、これはずーっと残していておいて欲しいなって思う。万が一解体されることになったとしても、壁の落書きは保存しておいて欲しいな…。というか、解体はしないで、うまく改装して未来永劫使い続けて欲しいホールだ。

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それにしても、なんでハンブルク・バレエの来年2月の来日公演は、東京文化会館で行わないのだろう。「人魚姫」のNHKホールはだだっ広すぎて雨宿り席が多く、バレエ向きの劇場ではないし、「椿姫」を上演する神奈川県民ホールは悪いホールではないものの、東京から1時間近くかかる横浜関内にあって、平日6時半開演もしくはマチネ(2時開演)というのは社会人からすると、会社を早退しなければ観に行けない。人気のある「椿姫」の公演が東京で行われないこと自体、あまりにも観客不在の判断というか…。今回、舞台袖や楽屋に残されたハンブルク・バレエのサインの数々、特にこの劇場で観て思い出に残っている「ニジンスキー」のイラストを見て、ますます割り切れない思いがした。

2008/01/07

あけましておめでとうとざいます&帰国しました

1月5日の夜に日本に無事帰ってきました。パリは暖かかったけど日本人だらけで、ミラノは滅多に降らない雪が降って寒かったです。でも、とても楽しく充実した年末年始を過ごすことができました。パリでもミラノでもお友達に会うことができて、それも楽しかったです(本当にありがとう)。そして、素晴らしいバレエの公演を4回。無理やり同行させた家人も楽しんだようです。ぼちぼち報告などをして行きたいと思います。

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(ミラノのスカラ座広場)

今年もどうぞよろしくお願いいたします。いつも訪問しコメントしてくださる皆様の存在は本当に励みになります。皆様にとって素晴らしい一年でありますよう、平和な一年でありますよう、心よりお祈り申し上げます。


2007/07/10

ハンブルクから帰ってきました

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7月4日~7日の4日間、ハンブルクに行ってハンブルク・バレエのバレット・ターゲ(バレエ週間)に参加してまいりました。

見た演目は「シンデレラ・ストーリー」「ニジンスキー」「ジュエルズ」「眠れる森の美女」です。本当は新作「人魚姫」のプレミアも見る予定でしたが、仕事の都合がつかず残念でした。「シンデレラ・ストーリー」は時差ぼけの状態で観たので作品をどれだけ堪能できたか、もったいないことをしてしまいましたが、あとの3本はばっちり。どれも素晴らしい公演でした。どうせハンブルクまで観に行くのなら、バランシン作品ではなく全部ノイマイヤーでまとめて欲しかったのが正直なところでしたが、「ジュエルズ」は地元ではとても人気が高いようです。

今シーズンを最後に、ヘザー・ユルゲンセンとニウレカ・モレドが引退します。へザーは、私が観た4作品すべてで主演級として出演しており、4日連続の出演をものともしない強靭さ、美しさ、情感、身震いするほど完成度が高く、ダンサーとしての頂点で舞台を去るのは本当にもったいないことだと思いました。長身で手脚が長く、美人で表現力やテクニックも一流、華のあるスターダンサーを失うことはバレエ団にとっては大きな損失だと思いますが、今後は指導者として残るようです。また、ロイド・リギンス夫人であるニウレカも、「ニジンスキー」の2幕で実に強烈でパワフルなソロを踊り、鮮烈な印象を残しました。

4日間連続の出演といえば、アレクサンドル・リアブコ。「ニジンスキー」での繊細さから徐々に狂気を増していく憑依型の演技。「眠れる森の美女」での、未だかつて観たことがないほどの猛スピードによる正確なマネージュ。技術的にも、演技的にも、彼以上のダンサーは今存在しないんじゃないかというくらいの天才肌。そんなサーシャにまた8月、フェリの「エトワールたちの花束」で会えるのが楽しみです。

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二人の日本人ダンサー、大石裕香さんと草野洋介さんも、毎日出演していて、さまざまな役を踊りこなして頑張っていました。中でも草野さんは、長身で脚が長く顔も小さく、西洋人のダンサーにも見劣りしない容姿の良さで将来性を感じさせました。大石さんも、アラベスクがとても美しく音楽性豊かで可愛らしいダンサーです。

個々の演目については、日を改めて感想を書きます。

最後にヘザーの椿姫が観たかった・・・。

2007/07/03

またしばらく留守にします

更新予告をしておきながら、やはりすぐには無理ってことで、帰ってきてからまた更新をします。月曜日戻りです。
体力の限界に挑戦って感じですね(笑)

書き忘れましたが、7月1日の新国立劇場の「ドン・キホーテ」の影の主役はマイレンでした。彼のエスパーダは最高でした。踊りは端正なのに、見得を切りまくりの濃ゆいキメ顔がステキすぎます。前日にマイレンのトレアドールとボレロを見て、彼のエスパーダは絶対必見に違いないと当日券をとって観に行ったのは大正解でした。

来シーズンのマイレン主演の「ラ・バヤデール」が楽しみで仕方ありません。

新国立劇場の「ドン・キホーテ」アレクセイ・ファジェーチェフ版は、演出そのものはあまり良くないと思ったんですよね。大人しいし、ジプシーのソロがないし、代わりにまったりとしたギターの踊りがあって、踊っていた大森結城さんは素敵でしたが、この踊りはなくてもいいと思いました。それから、2幕の居酒屋(狂言自殺)→ジプシーの野営地→夢のシーンという流れも不自然です。
東京バレエ団の採用している版の方が、生き生きしていて楽しいなって思いました。

でも、何しろ、ダンサーの皆様は素晴らしかったので楽しかったです。ホント、寺島ひろみさんのキトリは素敵でしたね。フェッテを踊りきった時には思わす涙が出ちゃいました。お姫様っぽいキトリではあったけど、キレイで可愛くてテクニックも強く、堂々とした主演ぶりでした。マトヴィエンコも久しぶりに見たらものすごく上手になっていて、びっくり。イケイケだけどでしゃばり過ぎなくて好感度大。でもやっぱりマイレンが一番かな(笑)

2007/04/30

ローザンヌ国際バレエコンクール

【第35回ローザンヌ国際バレエ・コンクール】
解説:大原永子

河野舞衣さんがスカラシップ2位と観客賞、吉山シャルル=ルイ・アンドレさんがコンテンポラリー賞を受賞。河野さんは正直クラシック・ヴァリエーション1の「ライモンダ」は今ひとつと思ったが(着地があまりよくない)、クラシック・ヴァリエーション2の「グランパ・クラシック」は素晴らしかった。かなりケレン味、タメのある踊りで、音のとり方が独特だけど、この演目にはとても合っていた。腕が非常に華奢で長く、ポール・ド・ブラが美しい。解説の大原さんが言ったとおり、すぐにプロでも通用しそう。観客席からも、演技の途中で割れんばかりの拍手が沸いたのも納得。

新井誉久さんは、賞には届かなかったものの、演技自体はなかなか良かったと思う。プロポーションも悪くないし、ヴァリエーション1の「ラ・シルフィード」も合っていた。

吉山さんは、ハーフとのことでプロポーションが非常に良い。コンテンポラリー賞に輝いただけあって、コンテンポラリーヴァリエーションのキリアン作品を見事に踊りこなしていた。低い重心、流れるような動きがお見事。クラシック2のグラン・パ・ラクシックも、跳躍が高く、決して悪くなかったと思う。
キリアン作品を魅力的に見せるのは、ダンサーの力量に負うところが多く、本質を理解して踊っているダンサーはほとんどいなかった中で、吉山さんが光っていた。プロのダンサーが踊るキリアンはとても美しく素敵なのに、そのように踊れている人は吉山さんくらいで、他の人たちは、なにやらヘンな振付でぎくしゃくしているなと思ってしまった。

他に注目はやはりなんと言っても15歳、小柄で可愛らしいポルトガルのモレイラ・テルモ君でしょう。小柄なんだけど脚が非常に長く、まだこれから背が伸びそう。荒削りなところはあるものの、とにかく踊るのが楽しくて仕方ないという喜びに溢れていて、見ているほうも幸せになる。5位に入賞して本当に良かった!これから先が楽しみ。

スカラシップ1位の韓国のパク・セーウンさんは、長い脚を生かしたダイナミックな演技で、アピール力があった。特にクラシック・ヴァリエーション1「ラ・バヤデール」(ガムザッティのヴァリエーション)の、高くシャープに上がる脚。大きなジュッテ。舞台が狭く思えるほどだった。もう一人の韓国人のキム・チャーリーさんもいい演技を見せていた。入賞にはいたらなかったが中国からの出場者も何人かいて、みんな身体がとても柔らかい。このコンクールに出るような人は、アジア人でも遜色がないほど、みなプロポーションが良くなっている。

イギリスから出場したロイヤル・バレエスクールの男の子ジェームズ・ヘイ(4位)、すごく王子様っぽくてヴァリエーション2がよかった。ドン・キは大原さんに「彼は品のあるいいダンサーだけど、この演目は向いていませんね」とぴしゃりと言われてしまっていた。そうかな~たしかに容姿は王子様で麗しい。

しかし全体的にいえることは、ぎこちない演技の人も結構見られたこと。アントルシャ・シスやジュッテなど跳躍などのテクニックはばっちりなのだけど、引き上げが十分でなくて、回転が遅くなったり傾いたり。音に遅れたりといったところが見られた。コンクールは、完成形というより素質を見るところだと思うので、欠点はあっても光るものがあればいいのだろうと思ったけど。

出場者の今後の活躍ぶりを見守っていきたい。河野さん、新井さんは二度目の挑戦というから、今年ダメだった人たちも頑張って欲しいものです。

http://www.swissinfo.org/jpn/front/detail.html?siteSect=105&sid=7495294&cKey=1170758330000
に結構詳しく出ています。動画も観られます。

公式サイトはこちら

2007/04/25

吉田都 プロフェッショナル仕事の流儀

第49回 2007年4月24日
自分を信じる強さを持て ~バレリーナ・吉田都~

http://www.nhk.or.jp/professional/backnumber/070424/index.html/

楽しみにしていた吉田都さんのドキュメンタリー。前半はロイヤルバレエ中心、後半はKバレエ中心の話で、都さん本人のスタジオトークもありました。

都さんのように頂点に上り詰めたダンサーであり、すでに20年以上踊っていたとしても、アクシデントもあれば不安を感じることもある。突然の状況の変化や自分に打ち勝たなければならない。そんな等身大の都さんの姿を捉えていました。

ロイヤルでは、ホセ・マーティン相手に「ラプソディ」のリハーサルを重ねています。リフトが終わり着地する時の体の角度に徹底的にこだわる都さん。ミリ単位での調整を行っているとのことです。直前になって、注文したポアントが足に合わないという事態が発生。リハーサルが終わった後に、ポアントを叩いたりして一生懸命柔らかくする加工をしていました。職人に依頼して一足一足自分に合わせて作ってもらっても、こんなことが起きたりするのです。
インタビューは、同じ楽屋を共有しているダーシー・バッセル。37歳で第一線を退くことを決意したダーシーに対し、ゲストプリンシパルと立場は変わっても踊り続ける都さん。芸術監督モニカ・メイソンのコメントも。
ロンドンの日常生活では、サッカーのエージェントをしている夫君遠藤貴さんも登場していました。なかなかカッコいい方です。二人とも飛び回っているのですれ違いの日々で、洗濯物を持っていたりしました。

「ラプソディ」の本番。ポアントが合っていないとは思えない、軽やかで優雅な動き。細やかなパドブレがとても美しい。

自分を信じて、やっていくしかない。自分を信じられるようになるために、ひたすら稽古を重ねて、表現の完成度を高めていく。自分を信じられる強さが必要と都さんは語ります。

ローザンヌコンクールに出場した時の映像が流れましたが、都さん、ちっちゃくてめちゃめちゃ可愛かったです。しかしロイヤルバレエスクールに入った当時は、今と違って東洋人は他にいなくて、体型や東洋人のひらぺったい顔に劣等感を持っていて自分が醜いのではないかと思っていたとのことです。一日13時間練習するなど、ひたむきに努力し続けて今の地位に。だけど、2001年にコッペリアに出演する直前に大きな怪我をしてしまい、しばらく起き上がることもできずにベッドから空を見ていたとのこと。(DVDに収録される予定が、結局代役のリャーン・ベンジャミンの映像が残ったわけですね) そこから生き方を変え、休みの日はバレエから離れて友人と過ごしたりして、精神的に余裕を持つようになったとのことです。

スタジオに登場した都さん、めちゃめちゃキレイで若い。お友達のお母さんに作ってもらったというイニシャル入りのバッグから、11足もポアントを取り出しました。体調によって、合うポアントが違ってくるからです。底を剥がすなど、さまざまな工夫がなされています。(素人の人は危険なので加工しないように、とのテロップが出ました)
面白いな、と思ったのは、リボンを縫い付けるのにデンタルフロスを使っていること。切れにくいからだそうです。

******

そして日本。熊川哲也のコメント。4年間踊っていなかった白鳥を、ロイヤルの伝統を日本に伝えていくということで、封印を解くことになりました。輪島拓也さんとリハーサルしていたところ、突然輪島さんの身体が動かなくなります。全治3ヶ月の怪我を負ってしまいました。あと9日しかないところ、代役は芳賀望さんに。2幕のパ・ド・ドゥのタイミングがなかなか合わず、また感情表現にも苦労します。があくまでも都さんは優しく指導します。印象的なのは、細かい表現力について相手のダンサーに伝えることは、しないということ。その人自身が感じた感情が出てこなければ、自分自身で表現を磨いていかなければ意味がないからということだからです。そしてスチュワート・キャシディも芳賀さんにアドバイスをしていました。食い入るようにスタジオの外から都さんを見る若手ダンサーたち。

そうして迎えた本番。白鳥として舞台に駆け出す前の、舞台袖での緊張感溢れる表情。映像の編集の仕方や、映し方には正直言ってかなり不満はあったけど(相当ぶつぶつ細切れにされてしまっているし、全体ではなく顔だけ、上半身だけというカットが多かった)、貴重な都さんのアダージオと、黒鳥のフェッテが観られたのはとてもありがたかった。素晴らしい。たった一度のオデットが終わった後の、晴れやかな表情。
この公演、行きたかったけど先に別の予定があって行けなかったものです。

「私の中でプロフェッショナルといったら、闘い続けられること。言い訳をせずに闘い続けられるってことですね」

ダンサーの日常、美しい舞台が出来上がるまでの地道な日々と、過酷な稽古、そして自分との闘いを細やかに捉えた、良い番組だったと思います。悩んだり不安を感じたりする姿を、隠すことなく率直に映しているのが良かったですね。
が、いつかテレビでもDVDでもいいから、都さんの最新の全幕の舞台が観られることを期待したいです。

「海賊」のチケット、まだBunkamuraに取りに行っていなかったわ。忘れないようにしなくちゃ。


見逃した方には、再放送があります。
4月 30日 (月)
翌日午前1:55~翌日午前2:40 総合/デジタル総合
5月 1日 (火)
午後4:05~午後4:50 総合/デジタル総合

2007/01/23

小林十市、ベジャールを語る(その2)

続きです。十市さんは、ただ話すのではなく、かなり身振り手振りをいれ、さらには振りを実際に入れて説明してくれるので、非常にわかりやすいです。

1990年の「ピラミッド」の初演では、本当にピラミッドを前に砂漠で上演する予定だった。が、スポンサーがお金を持って逃げてしまったので、実際にはカイロのオペラ劇場で上演した。そのとき「ボレロ」はジョルジュ・ドンが踊ったが、舞台袖もなくて大変だった。そして「ディオニッソス」は屋外で踊った。「ボレロ」では、ミシェル・ガスカールが大声でランダムな数字をめちゃめちゃにカウントしながら踊ったのでとても混乱してしまった。

イタズラといえば、「モーツァルトタンゴ」という演目を上演した時には、4人で並んでいて、これから出番で集中している時に後ろにいたガスカールに匂いつきのゲップをされたなんてこともあった。また、途中で着替えがある演目があるときに服を全部脱がされてサポーター一枚にされてしまい、そのへんにあったものをとりあえず羽織る羽目になったなどなど。しかし、慣れてくると十市さんも、いたずらの仕返しをするようになり、「突然の死」という演目では、小道具のジョウロに本当に水を入れて知らない人に持たせたり、かごの中に20キロの重しを入れたり。

ベジャールさんは、必ず一箇所はほめてくれるのだけど、それが毎回1回だけというのが泣けるところ。でも「ニーベルングの指環」で来日公演を行った時には、セカンドキャストだったけど、フロー役で突然出番を作ってくれたりした。そんなベジャールさんに、Bienとほめてほしいと思って踊っていた。

ニーベルングの指環では、ジークフリート役を踊った時に金髪にするためにカラースプレーをしたのだけど、金色のスプレーだけだと違う色に見えてしまうので、その前に黄色色のスプレーもしたら、髪の毛がごわごわになってしまって2倍ほどに膨らんでしまった。ニーベルングの指環では、またジル・ロマンの代役でローゲも踊ったが、ジルは頭が小さいのでカツラが合わず、顔が引きつって目が吊りあがってしまった。
「くるみ割り人形」の猫のフェリックスも、当初はローゲのカツラを使う予定だったけど十市さんが「そんなキツイのは嫌だよ~」ということになって、地毛を逆立てることになったのだとか。

というわけで、十市さんのジル・ロマンの物まねに突入。

腕を引いて、胸を出し、振り向く時には必ず肩から、という歩き方をするとジルのできあがり~と、十市さんの実演つき。さらに、ジルがバランスを崩したときのごまかし方実演まで(笑)反って肩をあげてから、体勢を戻すのそうな。

ここで第2部、実演コーナーへ。ここでジーンズから下はジャージへ、そして上のTシャツもお着替え(先ほどまでのTシャツは、背中に「11」ならぬ「12」と書いてあったのでした)

クラシックに一番、二番などのポーズがあるように、ベジャールのバレエにもそういった基本があるんじゃないかって、十市さんはジルと話し合ったことがあるそうです。というわけで、さきほどの配布資料の中のイラストで、ベジャールの基本のポーズが描いてあるので、それを使うことに。観客から、ランダムにポーズを選んでもらい、それに基づいて十市さんがアンシェヌマンを作って実演してくれるという超豪華な企画。
それにしても、十市さんは、腕や肩の動きが美しい人です。やっぱりSAB育ちだけあって、クラシック的な素養があるんだなと思いました。

(続く)

2007/01/22

映画「オーロラ」

ニコラ・ル・リッシュが準主役、パリ・オペラ座全面協力、ということでバレエファンを客層の中心と想定した作品ではあるけど、そのバレエファンの皆様からの受けがとても悪いので、前売り券を持っていたにもかかわらず観るのを躊躇していたら、観るのが遅くなってしまいました。ちなみにシャンテ・シネは1月26日まで、Bunkamuraル・シネマは2月9日までの上映。

http://www.aurore.jp/

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踊ることを禁じられている国の王女、オーロラは踊るのが大好き。しかし国の財政は傾き、国を救うために16歳のオーロラは政略結婚を強いられる。ところが彼女が恋した相手は、名もなき画家だった・・・。

ってあらすじだけど、結局なぜこの国では踊ることが禁じられているのかが最後までわからなかった。重要な設定なのにその説明がないのはちょっと問題があるのではないか?圧倒的な気品と美しさのキャロル・ブーケ扮する王妃も結婚する前は踊りの名手だったのに、王と結婚するために踊りをあきらめたということになっているから、なおのこと、この設定についてはきちんと説明すべきである。

おとぎ話でありファンタジーなのに、光や色彩の設計が間違っている作品だ。お話自体はけっこう暗いのだけど、その現実を忘れるための、オーロラの夢の世界は光に溢れ、色鮮やかでなければならないと思う。なのに、冒頭の屋外でオーロラがのびのびと踊るシーンでも、濁っていて光と色彩に乏しい魅力のない映像になってしまっている。せっかくロケーションはとても美しいのに。終盤の雲の上のシーンですら、空の上なのに色あせたような光量が足りない世界で、地上の悲しみとの対比がうまくいっていない。各国の王子が自国自慢の踊りを見せるところも、とにかくライティングが暗く、宮廷の華やかな踊りという感じがしなくて寒々しい。

現代のお話ではないから、室内のシーンが暗かったりする分には問題はないと思うのだけど、映像に重厚さもないから、なんだかチープに見えてしまう。それに最後の飛翔シーンのCG、これはひどい。

さらにはカメラワークにも大いに問題がある。踊りを見せるのにダンサーの上半身だけを映してどうする。特に雲の上のシーンでは、雲が足元をすっかり覆ってしまっているので足先が全然見えない。カロリン・カールソンによる振付だから完全なクラシックバレエではないけれども、クラシックのダンサーを起用した意味がまったくなくなってしまう。

ダンスのシーンで言えば、見せ場は二つ。カデル・ベラルビ演じるアブダラ王子の国の踊り。振付もべラルビが行ったという。メーンのダンサーを務めたマリ=アニエス・ジロの凛々しいカッコよさと肉体美にうならされる。彼女にかしづくブベニチェク兄弟はちょっとしか映らないけれども、一応判別可能。もう少しジロ中心のカメラにしてほしかったが、ジロのただならぬ踊り手としての実力は十分わかる。この後に出てくるシパンゴ国の暗黒舞踊は、まあ悪い冗談でしょう。

それと、前述の雲の上での踊り。それまで一切踊るシーンがなくて、ニコラを起用した意味はいったいなんだったんだろうか、と思ってしまったがここで本領発揮。素晴らしいトゥール・ザン・レールやマネージュを見せてくれて、エトワールの貫禄ここにあり、と思わせた。それだけに、雲で足先が見えないのが残念。オーロラのマルゴ・シャトリエはまだオペラ座学校の生徒だから、ニコラと渡り合うのはちょっと難しそうだったが、初々しくお姫様らしい魅力はあるからいいのでは。

よくよく考えてみると本当に救いのないお話である。王様は自らどんどん不幸に孤独になる道を選んで、いったい何がしたかったんだろう・・。後味もあまりよくない。

だけど、実のところ前評判ほど悪いとも思わなかった。踊りたい、というオーロラの強い想いだけはちゃんと伝わってきているし、マルゴもその部分はちゃんと表現しているから。ただし、物語の中盤でいろいろな悲劇が襲ってきた後、その悲しみを突き抜けて大人の女性へと成長していくところをもっと見せてほしかったと思う。ふぁんたじーが主体のこの物語では、それは難しかったか。ダンサーも本物だけが持つ吸引力がある人たちを使っているから、その部分は見ごたえがある。そして、キャロル・ブーケ。出番はそんなに多くないけど、年を重ねてなお美しさを増している彼女を観られて良かった。先日逝去されたダニエル・シュミット監督の「デ・ジャ・ヴュ」での彼女の美しさたるや、世界でも1,2を争うほどだったけど、50歳の今もこんなにきれいだなんて。

以下は雑談です。
オーロラととても仲のよい、ここまで仲良いなら何かあるんじゃないかと思ってしまうくらいの弟ソラル役の子がすごく可愛い。でもキャスト紹介には載っていないの。3人目の王子を演じたヤン・ブリダールが、あまりにもよい人過ぎて、かなり気の毒。オーロラも、この人と結婚していれば幸せだったかもしれないのにね。

それと、前売り券を劇場で買うと、その劇場でしか観られない券を売ってきた。友達と一緒に観ようねって約束したのに、別々の劇場でしか使えないので、一緒に観られなかったのがすごく残念。だって、この映画、見終わった後で突っ込みを入れまくるのが楽しかっただろうに、と思わせたもの。

2007/01/21

小林十市、ベジャールを語る(その1)

いろんなところでレポートが上がっているので、ベジャール苦手を自認する私が書くまでのこともないかな、と思っていたのですが、かなり詳細なメモは取ったので、せっかくなので記録として書いておきますね。

構成としては、以下の通り。

第一部 小林十市、ベジャールの魅力を語る
第二部 小林十市、ベジャール・ボキャブラリーの秘密を明かす
第三部 十市さんに質問!コーナー

十市さんは、このトークショーに出演するに当たって、詳細な資料を準備してくださって、ここでまず彼がいかにエンターテイナーかつ凝り性であるかがよ~くわかりました。彼が表紙になった雑誌LES SAISONS DE LADANSEのカラーコピーが表紙になっていて、シーズン中に踊った全作品のリストを年代ごとにまとめたもの、踊ったことがあるソロ、好きなソロベスト20、好きな作品ベスト30のリストがついています。さらにすごいのが、ベジャールのボキャブラリーをイラスト化していることで、全部手書きで、動きの種類ごとに20個、プラスオプションが4つ、描かれているのです。これは素晴らしい!ベジャールファンだったら、このボキャブラリーを片手に映像を見ればフムフムと理解が進むことでしょう。

大体こんな内容です。ただし、間違いなどもあるかもしれません。私はベジャール作品があまり得意ではないので、そもそも彼の作品をあまり見ていませんので。

ベジャール・・バレエ・ローザンヌ入団について
SAB(スクール・オブ・アメリカン・バレエ)を卒業した後も、本当はNYにいたかった。ボストン・バレエなどアメリカのカンパニーをいくつか受けたけどビザの関係でダメだった。母がベジャールのファンで、母がここに入れ、と言った。ぼくにトゥール・アン・レールの後のポーズをとるところをやらせてみたかったらしい。88年に「ゲテ・パリジェンヌ」を観て、最終的に受けようと思った。

3月後半にオーディションが終わっていて、これからグランパレで公演を行うという時に、NYから単身やってきて、プライベートなオーディションを受けさせてもらって入団した。
89~90年のシーズンに入団してから、ツアーまで1ヶ月で8つの作品を覚えなければならなかった。「マリオネットの生と死」では3人の黒子の一番目立つ役をもらった。
SABではバランシンを踊っていたけど、すぐにメソッドは違和感なく移行できた。自分の体型は、ごく普通の体型なので入りやすかった。クラシックを学んでいると、アンドォールしていないプリエをすることができないダンサーもいる。きれいに見せたいという意識があるとダメだ。
パリオペラ座が「中国の不思議な役人」を上演した時に指導をした。彼らを指導していると、その合間にダンサーたちは別のクラスを受けに行き、そこでパキータなどのクラシックを踊っている。彼らは、これは仕事であるという取り組み方をする。ベジャールのカンパニーでは、ダンスは仕事ではなく生活の一部。ベジャールダンサー=人生、でないとやっていけない。私生活にもダンスは影響してくるし、みんな舞台に命を掛けている。

ベジャールの作品を見たのが、82年のエロス・タナトゥスが最初だけど、半分寝ていた。85年にディオニッソスを観て、すごいと思った。そのときに観たドンのゼウスみたいな人には、舞台でも滅多に見ない。彼は男性ダンサーがどうやってかっこよく見せられるかというのを良く考えている。大人の男が踊っているということへのこだわりが強いのを感じた。いかに自分を見せるかというこだわり、自分自身がどう踊りたいか、この二つが重要だと思う。ディオニッソスはどこをとってもカッコいい。この作品に初めて取り組んだ時、マーク・ウォンに「ジュウイチ」と読んでもらえた時にジーンとした。この人のために僕は戦っているんだと思った。

2002年に火の鳥を踊った時には、みんなでひとつの作品にしたいと思って声を掛け合っていた。みんなが一緒にいないと作品はダメになってしまう。

ベジャールさんで最も印象的なのは目。あの青い目で見られると小さくなってしまう。オーディションの時も緊張した。

93年のシーズンの終わりに「M」をベジャールが作った時、初めてベジャールの振付アシスタントとなり、シュツットガルトで二人きりになった。リハーサルの初日は、自分のパートが終わったら帰ってしまったけど、翌日からは全部見るようにした。その次のシーズンからは、レペティーター(振付を教える人)になった。演劇をやり始めてから、「中国の不思議な役人」は注意するところが変わってきた。ベジャールの作品は、音がすべてを語っているので、そこに忠実に動いていけばいい。演技をするのではなく、身体の中から生み出される動きに従っていくこと。

「中国の不思議な役人」の娘役は、92年にローザンヌでガラが開催された際、マラーホフにオファーしたと聞いたことがある。

(続く)

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