これは、「くるみ割り人形」と「オルランド」に続きゲッケの3つめの全幕作品となります。オーストリアのJohannes Maria Staud という作曲家に音楽を委嘱。もちろん作家フランツ・カフカについての作品ですが、カフカの著作と、カフカという人物の両方の面からのアプローチとなるようです。ゲッケ独特の痙攣するような動きや暗い照明などは、なるほどカフカの世界に合っているかもしれません。
Night Pieces
こちらは、中劇場での上演。エドワード・クラグの「SSSS ...」は、一部が日本でのガラでも上演されている作品でショパンのノクターンを使用。イリ・キリアンの「フォーリン・エンジェル」の音楽はスティーヴ・ライヒ。そしてもう一作品は、バレエ団の若手デミ・ソリストで昨年の来日公演でも活躍したルイス・シュテーンズの新作(バレエ団のプログラムとしては2作目)
Variations for Two Couples (Stuttgart premiere)
Choreography: Hans van Manen
Dancers: Alicia Amatriain*, Anna Osadcenko*, Constantine Allen*, Alexander Jones*
3 with D (German premiere)
Choreography: Javier de Frutos
guitar and singer Dan Gillespie Sells pianist Ciaran Jeremiah
Dancers: Edward Watson (a. G. ) **, Marijn Rademaker **
昨年ロンドンで行われたガラ「Men In Motion」で上演された、ハビエル・デ・フルートス振付の作品。舞台上にギターを持ったヴォーカリストが立ち、ガーシュウィンの「The Man I Love」を、哀愁を帯びた歌声で歌う。これは二人の男性の出会いと別れを描いた作品で、特に別れについてポップで、少しメランコリックな描写をしている。エドワード・ワトソンとマライン・ラドマーカーは絶えず舞台の上を移動しながら同じ動きを繰り返し、重なってアラベスクをしたり、同時に脚を上げたり。柔らかくしなやかでほっそりとしたワトソン、少しマッチョなラドマーカーの対比が鮮やか。キスを交わしたかといえば手を激しくつかんだり。最後にワトソンが去り、ラドマーカーは一人取り残される。何とも言えず切ない余韻が残る、別れの時の甘酸っぱい感傷で胸に響く、美しい一品。
Scene from II. Akt: Leonce und Lena 「レオンスとレーナ」
Choreography: Christian Spuck
Dancers: Heather MacIsaac, Fernanda Lopes, Ruiqi Yang, Julia Bergua-Orero, Anouk van der Weijde, Aiara Iturrioz
Nicholas Jones, Robert Robinson, Ludovico Pace, Fabio Adorisio, Matteo Crockard-Villa, Roland Havlica
The Chambers of a Heart (World Premiere)
Choreography: Itzik Galili
Dancers: Friedemann Vogel, Jason Reilly
こちらも男性同士の関係をモチーフにしたパ・ド・ドゥで、「モノ・リサ」のイツィーク・ガリリの新作。ベートーヴェンの「月光」に合わせて、2人が絡み合う。エモーショナルでリリカルな、良い作品だと思うのだが、先ほどのフルートスの「3 with D」とテーマが似通っているところがあるので、印象がやや薄かった。そして、女性ダンサーと踊るときにはあんなにセクシーなジェイソン・レイリーが意外とここでは官能性が薄いのが不思議だった。また別の機会に観てみたい作品ではある。
Fanfare LX 「ファンファーレLX」
Choreography: Douglas Lee
Dancers: Alicia Amatriain, Alexander Jones
「No Men's Land」
振付:エドワード・クルグ
音楽: Milko Lazar「Ballet Suite for Cello and Orchestra in 5 Movements」
出演:ブレント・パロリン、ルイス・シュテーンズ、アレクサンダー・ジョーンズ、ダニエル・カマルゴ、デヴィッド・ムーア、コンスタンチン・アレン、ジェシー・フレイザー、ロバート・ロビンソン、オズカン・エイク
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