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バレエ(国内公演情報)

2025/06/23

新作バレエミュージカル『カルメン』6月26日(木) , 27日(金)開催/リハーサル取材&インタビュー

6月26日(木) , 27日(金)に新作バレエミュージカル『カルメン』が初演されます!

https://balletartsjapan.com/

オペラ「カルメン」の戯曲をベースに、カルメンや登場人物たちの心情を踊りと歌で深く掘り下げた作品です。寺田翠さん(元ノヴォシビルスク・バレエ、モスクワ国際バレエコンクール銅賞受賞)、菊地研さん(元牧阿佐美バレヱ団)、秋元康臣さん(元東京バレエ団)、吉田早織さん(元K-BALLET TOKYO)、吉留諒さん(東京シティバレエ団プリンシパル)ほか、日本のトップダンサー、ミュージカル俳優、歌手が一堂に会する、2日間限りの公演です。新国立劇場バレエ団の作品提供「DANCE to the Future ナットキングコール組曲」、二期会オペラ「椿姫」、ミュージカル
「ダンス・オブ・バンパイヤ」「42nd street」「マイ・フェア・レディ」 など、
ミュージカル・ダンス・バレエ界において延べ251作品に携わってきた、ミュージカル界の巨匠・演出・振付家の上島雪夫さんによる新作です。

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秋元康臣さんが踊るエスカミーリョ、素敵です!

先日、この作品のリハーサルを拝見しました。

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バレエミュージカルなので、有名な「ハバネラ」はシンガーのnoyoriさんがパワフルに歌います。4人の女性ダンサー(佐藤彩未、テッラコーネ沙夜、長谷川未紗、中村優希) を引き連れた寺田翠さんが、美しく磨かれたテクニックを駆使して、自由に生きる女カルメンを表現。非常に華奢なのに秘めたパワーがとても大きいです。

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間にツ二ガ役の吉留諒さんが、また華麗でダイナミックなソロを見せてくれます。

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「花の歌」はカルメンとドン・ホセの場面で東山光明さんが美しく歌い上げます。

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菊地研さんのドン・ホセ、とてもドラマティックで感情が伝わってきます。

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演出・振付の上島雪夫さんとカルメン役の寺田翠さんにインタビューもさせていただきました。

笠松泰洋さんによる音楽について。

上島さん「半分ぐらいはビゼーのオペラの曲も使っていますが、笠松さんのオリジナルの曲も作曲されており、オリジナルのシンガーが歌います。彼らはオペラの人間ではないので、ビゼーのオペラの曲も使うのですが、少しポップス的に歌うというコンセプトです。シンガーの2人が歌詞とかセリフで少し流れを説明しています若干ポップスっぽくアレンジしてくれたので。歌詞が載せやすかったです。」

歌手のふたりは「現代の恋人」という役名がついています。

上島さん 「
設定としては、スペインの街の若い男女が、ここはセビリアという町だよね。カルメンっていう女性がいてと話していて、どんな人だったの?実はすごく愛しあっていたのに悲劇があったんだよって話しているうちに、その中の登場人物が出てきて、あれがカルメンですよね。この人がホセだよって言いながら、物語が始まって、語り手的な歌手の2人がその物語の中に入っていってしまい、キャラクターになって歌を歌う。最終的にはまたセビリアの街でこんなことがあった。ミュージカルでよくある手法ですね」

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カルメンという女性について

寺田:「カルメンみたいな激しい女性の役を踊ることが今までなかったので、日々、刺激を受けているというか、振付からも音楽からも、新たな自分をちょっと頑張って探しています。ロシアで所属していたバレエ団で「カルメン」はあったのですが、配役されたことがなかったので。この有名な曲で今回踊れることがとても光栄です。」

「オペラのストーリーに沿って振付ていいます。バレエになると全くストーリーと関係ないシーンが間にあり。ちょっと間延びしやすいところもあると思うんですが、バレエ・ミュージカルっていうところで、テンポの良さだったり、ミュージカルならでは展開とか、振付、そんなところがすごく楽しいんです。あとは歌も入ってくるので、歌と一緒に踊るっていうのはなかなかなくて楽しいですね。」
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共演者について

寺田「本当に(菊地)研さんはすごくホセが似合っていて、それに引き込まれるように、私も頑張らなきゃなって思いますし、秋元さんもすごいですよね、お二人がとても役に似合っていらっしゃるので、すごく贅沢な時間だと思います。翻弄しなくてはいけない役なのですが、リサーサルは楽しいですね。」

振付家としてのチャレンジ

上島「例えば今日リハーサルをした「レクイエム」は自分が作ろうとするコンテンポラリーとなりますが、曲によってはバレエが出てきます。こういう振付をしようと思うよりも、このシーンでこの2人でこの曲っていうと、このような振付が出てくるのです。考えるというよりは出てくる。何が出てくるか、ちょっと自分でも分からないというか、ダンサーによるのが面白いですね」

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寺田「テンポが速くて、スラスラスラって振り付けられるので。最初はちょっとびっくりしたんです。でも動きやすいし、音も取りやすいし、流れもすごくいいですよね。踊っていて楽しいです。楽に踊れるというか、語るような感じの振付がすごく好きです」

公演への意気込み

上島「ちょっと見たこともないものだと思うので観ないといけませんよって感じです。試みとしては、見たことがないようなものに。カルメンって、面白い、かっこいい話だったんだってわかると思うんです。ストーリーなどを知らない人が多いと思うので、楽しみにぜひ見ていただきたいと思います」

寺田「新しいながらも、でもカルメンの曲のみんなが知っている曲とかももちろん入っていて、それはすごく耳にすんなり入ってくる一方で、バレエ・ミュージカルという歌とバレエが融合した、とても美しい作品になっていると思います。私としても本当なら、もっともっとそれを踊り込んでいきたいなと思うところなんですが、一生懸命頑張って踊りたいです」

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(c)スタジオハイジ

新作バレエミュージカルカルメン
公演期間:2025年6月26日 (木) ~ 2025年6月27日 (金)
会場:かめありリリオホール(東京都 葛飾区 亀有 三丁目26番1号)
 
■出演者
寺田翠/元ロシア国立ノヴォシビルスクオペラ劇場ファーストソリスト(カルメン
菊地 研/ 元牧阿佐美バレヱ団プリンシパル(ホセ)
秋元康臣/元東京バレエ団プリンシパル(エスカミーリョ)
吉田早織/元Kバレエカンパニー・ソリスト(ミカエラ)
吉留 諒/東京シティ・バレエ団プリンシパル(スニガ・トレアドール)
東山光明/歌手・俳優(現代の恋人・オンブレ)
noyori/歌手(現代の恋人・ムヘール)
 
ほか、オーディションにより選ばれた下記の追加キャスト決定!
 
佐藤彩未/バレエダンサー
テッラコーネ沙夜/東京シティ・バレエ団所属
長谷川未紗/俳優・ダンサー・シンガー
中村優希/ダンサー(Somatic Field Project)
 
■スタッフ
演出・振付
上島雪夫
 
■公演スケジュール
2025年06月26日(木) 19:00開演/18:30開場
2025年06月27日(金) 19:00開演/18:30開場
※開場:ロビーは開演60分前、客席:開演30分前
※上演時間:約80分休憩なし
 
■チケット発売中(全席指定・税込)
S席:8,500円
A席:7,500円
※カンフェティより座席選択可
 

〇チケット購入

http://confetti-web.com/@/balletmusicalcarmen

主催・企画制作 一般社団法人バレエ芸術推進協会(BAJ)・ダンサーズサポート

2025/05/28

NBAバレエ団『海賊』久保紘一芸術監督、勅使河原綾乃、山田佳歩、宮内浩之、新井悠汰対談(その1)

 6月7日、8日NBAバレエ団「海賊」公演新国立劇場中劇場で開催されます。
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(c)瀬戸秀美
リハーサル取材に続き、久保紘一芸術監督と主演陣の勅使河原綾乃、山田佳歩、宮内浩之、新井悠汰の5人にインタビューをさせていただきました!和気藹々とした雰囲気で、楽しいお話をたっぷりしていただきました。

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(左より、新井悠汰、山田佳歩、勅使河原綾乃、宮内浩之。勅使河原さんと宮内さんはご夫婦です)
<バイロンの原作からインスパイアされた、物語性のある『海賊』>

―久保紘一版『海賊』は、『海賊』の固定概念を覆されるようなドラマチックな独自なバージョンで、とても面白い作品ですね。久保さん、この作品の魅力を語ってください!

久保:実は独自というわけでもないのです。バイロンの原作があり、逆になんでこんなに原作とかけ離れた話をやっているのか、と考えたのが創作したきっかけです。従来の作品は、割とコメディですよね。海賊っていう割には、なんでもありみたいな感じです。だから、もっとバイロンの原作をしっかりオマージュした方向に振った方が面白いと思いました。やろうと思ったら、まず音楽がないのです。ちょうどその時、新垣隆さんと『死と乙女』という作品を創作していたので、音楽をお願いしました。

―音楽に統一感があるっていうのは素晴らしいですよね。「海賊」っていうと、適当な音楽を集めたところがありますが、作曲家も。統一感のある音楽があるのは素晴らしいですね。

久保:作業は大変でしたけど、でもやってよかったです。


―ソードファイトの場面もオリジナリティがあります。

久保:これも僕は、よくある気の抜けたような、たまにジャンプひょい、みたいなファイトシーンを見ていても全然燃えないし、ワクワクしない。そこはリアリティ持たせて、たとえ踊りじゃないファイトシーンであっても、お客さんにはずっと集中していて欲しいのです、ここは手が抜けないと思うのです。ファイトシーンは、人を殴る場面なので、リアリスティックにやりたかったというのもあり、新美智士さんという専門家の方に入っていただきました。

―気合の入ったファイトシーンは、見応えがありましたね。

久保:宝満さんの振付もすごく良くて。演出と、振付、音楽、そのディテールがすごくいいバランスで融合していると思います。そもそも僕は一人が全部やるっていうのは無理だと思っています。バレエの人って全部一人でやりたがりますよね。脚本演出と、そんなマルチの人はいないと思うのです。映画みたいに分業、総監督がいて、監督がいて、脚本がいて。で、全部違うスペシャリストが揃うのが一番いいスタイルだと思っています。だから今回、いろんな才能が一つにまとまった作品になったと思います。

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(c)瀬戸秀美

<主要な役の設定シートを作ってダンサーに読みこんでもらいました>

―ドラマチックですよね。特にギュリナーラの役柄がフィーチャーされた作品になっています。

久保:キャラクターの深掘りした設定を僕が。ダンサーに渡したんです、各キャラクターってこういうキャラクターだよっていうの(詳しいキャラクター設定は公式サイトに掲載されています)。今までは自分たちで想像をふくらませていました。みなさんは原作読みましたか?読んでないのですね。バイロンの原作は読みづらいんですよね。いろんな研究は進んではいるのですが、難解で昔の言い回しだから。翻訳されても、よくわからない書き方をしています。読むのは大変だったのだけど、それを読み解いて。話としては火曜サスペンスみたいな話じゃないですか。

で、結局コンラッドっていうのはもともと、オスマンの官僚側、支配する側に最初いて、抑圧されたものから彼も自由になりたいって言って、オスマン帝国に対抗するギリシャの義勇軍として立ち上がったのです。

原作ではメドーラは、コンラッドがオスマンの捕虜になっていて、もう死んだと勘違いして塔から身を投げて自殺してしまうのですね。ギュリナーラは、捕まった捕虜のコンランドの世話をします。キャラクターの説明がやっぱり大事なのです。

―一貫した物語があるというのがこの版の特徴で、本当に画期的ですよね。

久保:『海賊』が本当はこういう話で、バックグラウンドを知った上で演じないと、ということでそれぞれのキャラクターを深堀りした説明を皆さんに渡したんですよ。ダンサーの皆さん、今度、ちゃんと感想を聞きますからね。感想文400文字ぐらい書いてください、宿題ですから(笑)

―ドラマチックで物語性があり、私も最後の場面を初演で見た時、泣きました。再演にあたって、変えた部分はありますか?

久保:前回、所沢ミューズで上演した時には、団員の岩田雅女に僕が振り付けた振り付けのところを、あなたの才能で何とかしてくれって頼んで変えてもらいました。でもそれぐらいですね。最後に好きな男をかばって撃たれるとかね、昭和ですねとか言われたこともあって。

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(c)瀬戸秀美

―アリが出てこない『海賊』も結構ありますよね。エルダー・アリエフ版や、ルグリ版も出てきません。

久保:うちのアリは元気いっぱい。若手の皆さんで。原作は実はアリが出てこないんです。

僕も、エルダーのバージョンをアメリカにいる時に踊る予定だったのです。次は海賊だよって言われていたのですが、僕はその年だけ辞めていたのです。バレエ団に、せっかくお前のために持ってきたのにと言われてしまって、やり損なってしまったのです。僕自身はアリ役を踊ったことがないのです。

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(c)瀬戸秀美

<ダンサーの皆さん、演じる役について熱く語る>

―皆さんもそれぞれこの『海賊』に対する思いがいろいろ思っていると思います。これだけの豪華メンバーが一同に集まったので。この作品の魅力について、自分が演じる役の魅力について、お話を聞かせてください。

宮内:僕は初演から出演しているので、今回で4回目です。鮮明に明確に煮詰めていく作業はとても多いですし、ここをもっとこういう風にしたかったなというところが多々あって。全幕としてもっと改良していけるっていう冷めない気持ち。戦っているところよりも、バレエバレエしているところ、グラン・パ・ド・ドゥ、クラシックバレエ、古典の形式とか型というところをやっている時に、僕は一個のパでも演技でありたいという気持ちがあるんです。ヴァリエーションでも演技を心がけたいので。形式をずっとやっていると、気持ちが冷めてきってしまうのですね。リハーサルから気持ち入れていく、音楽をよく聞いて、こんな音だったんだみたいな。そこに対して熱くなれる材料を、自分を奮い立たせる材料を見つけながら。再々再演だけど、一番情熱を入れてできたらいいと思っています。

―このコンラッドだといろんな気持ちが揺れる部分もあります。

宮内:そこは初演の時、紘一さんとすごく話し合ったのですけど、僕は揺れたくないって言って、紘一さんはギュリナーラに対してちょっと揺れてほしい、僕は揺れたところをお客さん見せたくない、という意見を言って、でも紘一さんはいや、お客さん的にやっぱりそこ、恋に揺れるところも見せたいっていうことで。

久保:結構原作のオマージュもあったからね。

宮内:そのような話し合いもありました。

久保:ほら、男ってさ、弱いじゃない。だから誘惑に駆られた時にみたいな話を男同士でしたいと思ったんだけど、今は奥さん(勅使河原綾乃さん)が隣にいるし(笑)と思って。実際にそういう時になった時には、絶対動かない人も。それは揺るがない、

勅使河原:やっぱりそれは人それぞれです。

宮内:バレエの主人公の男ってみんな最低じゃないですか(笑)。『海賊』くらいはカッコよくないと。

久保:揺れ動くけど、やっぱりメドーラへの貞操は守り抜くっていう。

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(c)瀬戸秀美

―一般的にコンラッドって珍しくバレエの男の中でカッコいいじゃないですか。ダメなところが全然ないっていうか、男らしいですね。

宮内:真の目的を果たすために行動していく、その熱さ。

久保:でも何の弱みもないのもつまらないし(笑)。今回、実は宮内さんは悪役もやるんですよ。コンラッドだけじゃない。彼はパシャもやるんですよ。

―このパシャがまたカッコいいのです。これは珍しいですよね、普通「海賊」のパシャって、こんなおじいさんですよね。

久保:だから似合うだろうなと思っています。

宮内:今回はそこの対比もあって、自分の中で二つできるので演技が楽しくなると思っています。

久保:二つの役の対比があってのコンラッド作れるかもしれないですね。

―もう一人コンラッドがここにいらっしゃいます。新井悠汰さん。

新井:僕は、お客さんに「アリじゃないんだ」とよく言われますね。すみません、コンラッドです(笑)。初演からアリを2回やらせていただいて、前回初めてコンラッドで今回2回目のコンラッド役ということで。アリと違った男らしさ、みんなをまとめて引っ張る。船長としてのその魅力にも自分の気持ちを乗せて、みんなを引っ張っていきたいです。

久保:絶対人間って弱い部分を持っているから、部下を率いているとはいえ、自分の中で葛藤もあるはずです。自分の理想のために人を殺してきているわけだから。決して綺麗ではない、でも自分の成し遂げたいこと、自分自身で解放されたいという欲求もあるわけです。そういうものを表現できたらいいよね。深いものがあるわけで。各キャラクターごとに、抱えている悩みがあるわけで、それをどう表現できるか、お客さんにそれをどう共感させられるか。

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―さっきほどリハーサルをしたシーンは、ドラマチックでやりがいはあるでしょうしね。踊りの中に感情を込めるところがあって。

久保:ギュリナーラだって、ただ好きになるわけじゃない。

山田:「瞳の奥に。宿る炎」

久保:炎っていうのは、「自分と同じものを持っていることを誰よりも早く気づいたのがギュリナーラだった」ってキャラクター説明に書いてありますよね。

―こういう役は、新井さんにとっては新境地ですよね、今まで演じられていた役とはまたちょっと違う。

新井:前回より表現面だったり、自分の通った道と、罪の意識だったり、いろんなコンラッドの気持ちを音楽と合わせて表現できたらいいと思います。リハーサルの時も紘一さんから言われて、音楽を聞くと、ああ、こういう表現の仕方もある、自分もこうしてみようとか、そういう思いが生まれてくるので、それを積み重ねていって、いいコンラッド船長を目指して頑張りたいと思います。

―音楽も、新垣さんの、オリジナルの素晴らしい音楽なのでいいですよね、他にない、この作品のために作られていますし。

久保:こういう作品、本当はあと二つ、三つあるといいと思います。

―音楽に触発されるっていうか、そういった部分がすごく大きいという感じがします。

新井:あとはファイトシーンも見どころですね。

久保:あれも新美さんレベルまで行けばもっとカッコいいんだけどね。

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(c)瀬戸秀美

―NBAバレエ団って、男の人がすごいっていうイメージがあるので、その魅力が『海賊』だと爆発することを期待します。

宮内:やっぱりバレエって、音楽とかバレエが教えてくれる部分はありますよね。ああ、こういう感じなんだみたいな。

―やはり踊っていくうちに自分の解釈がいろいろ出てきますもんね。元々の解釈はあるけど、演じられる方によってもだいぶ違うと思います、このキャスト違いで楽しむっていうやり方も、もちろん大きいと思います。皆さんの個性のそれぞれの違いがありますし、新井さんの新境地が見られますね

新井:自分も楽しみですし。それをお客さんに見てもらいたい。感動してもらいたいし、喜んでもらいたいので、日々精進です。

(続きます)

【NBA 海賊】バレエ×アクションの舞台裏|ファイトディレクター 新美智士

迫力のソードファイトシーンはどうやって実現しているのか、というお話が面白いです。

2025/05/24

NBAバレエ団『海賊』リハーサルを取材しました

 6月7日、8日NBAバレエ団「海賊」公演新国立劇場中劇場で開催されます。
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新井悠汰、山田佳歩、勅使河原綾乃、宮内浩之

 

私も初演の時に観たのですが、今までの『海賊』の血沸き肉躍る冒険活劇の楽しさはそのままに、ドラマ性が加わって、海賊として矜持を持って戦う男性たち、愛を貫く女性キャラクターたち、それぞれの強い想い、胸を締め付けるような感情が迫ってきて、とても見ごたえがある素晴らしいスペクタクル作品でした。

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(c)瀬戸秀美

久保紘一演出、宝満直也、久保紘一他の振付に躍動感と美しさがあって素晴らしく、音楽はアダンに加えて新垣隆のオリジナル曲を加えました。バイロンの原作を新解釈し、それぞれのキャラクターに深みがある、壮大でドラマティックなバレエになっています。
また、剣術シーンは西洋殺陣師の新美智士による指導で、バレエとは思えないほどの迫力が満点です。もちろん、オリジナルのプティパ版の『海賊』の人気の場面ーパ・ド・トロワや奴隷のパ・ド・ドゥ、オダリスクのパ・ド・トロワや美しい花園の場面はそのままあり、NBAバレエ団の誇るテクニックに優れたダンサーたちの大活躍がふんだんに観られます)
(ぜひ公式サイトのキャラクター紹介をお読みください!とても面白いです)

『海賊』と言えば冒険活劇で、有名なパ・ド・トロワに代表される男性ダンサーの華麗な超絶技巧や花園の場面の美しい女性群舞が見どころ。物語性は二の次の作品と言えますが、本作はこれらの見せ場、ダンスはもちろんありますが、様々な愛が交錯しており、そのドラマが魅力的です。
オスマン軍のパシャ・サイード(通常この役は太って年老いた男性ですが、ここでは颯爽とした将軍)に捕らえられたギュリナールを救出したコンラッドを、彼女が愛してしまう。だが、コンラッドにはメド―ラという妻がいて、コンラッドは揺れながらもメド―ラへの忠義を守る。一方報われない愛に苦しむギュリナールは、命を懸けて愛する人を守り抜こうとする。またメド―ラも凛とした強い女性として描かれているなど、原作に基づきながらも現代に通じるキャラクターたちになっています。ギュリナールという役が他の『海賊』よりも大きくフィーチャーされ、物語のカギを握っているところが特徴です。

 

4月に、所沢にあるNBAバレエ団の「海賊」リハーサルを取材し、また久保紘一芸術監督と、4人のダンサー(勅使河原綾乃、山田佳歩、宮内浩之、新井悠汰:敬称略)にインタビューをさせていただきました。インタビュー記事はまたこの後アップしますが、まずはリハーサルの模様をご紹介します。

 

<リハーサルの場面>
2幕冒頭、傷ついたコンラッドを手当てするギュリナール。ここから、ギュリナールとコンラッドのお互いを意識した、揺れる想いが繊細に伝わるパ・ド・ドゥへとなっていきます。“There is a fire in his eyes that tells of other worlds.”コンラッドの瞳の中に燃える炎を見つけたギュリナールは、気持ちを押さえられなくなって情熱が溢れていきます。非常に切なくて美しい場面です。

 

 

コンラッド 新井悠汰/ギュリナール 山田佳歩
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コンラッド:北爪弘史 ギュリナール 須⾕まきこ
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ギュリナールの秘めていた想いが、切々とした愛をコンラッドへと伝えていく場面へと繋がり、切なくも美しいパ・ド・ドゥへと。
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コンラッド:宮内浩之、ギュリナール:市原晴菜 (宮内さんは別キャストではパシャ・ザイードも演じます)
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そして『海賊』と言えばおなじみのパ・ド・トロワでは、バレエ団の誇るスーパーテクニシャンたちの華麗な踊りをたくさん見ることができました。迫力たっぷりです。こちらは、一般的なプティパ版『海賊』のトロワになっています。メド―ラ役の⽶津美千花、渡辺栞菜も見事なグランフェッテを決めました。
コンラッド:北爪弘史、メド―ラ ⽶津美千花 アリ:中⼭諒
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同じ作品でもキャスト違いで観ると、それぞれ異なった魅力があります。NBAバレエ団のダンサーはみな瞬発力があってテクニックも素晴らしく、トロワの場面の2人のアリ(栁島皇瑶、中⼭諒)ともスーパーテクニシャンです。

 

NBAバレエ団の公式YouTubeでは、バレエ団内での「回転」「つま先」「ジャンプ力」ランキング動画という楽しい企画を行っているのですが、回転3位、ジャンプ力2位が柳島さんです。(一位は鈴木恵里奈さん)

 

NBAバレエ団のカンパニーが一丸となり、総力を結集して届ける『海賊』、ぜひ劇場でその迫力、ドラマ、バレエの美しさ、ドラマティックで壮大な世界観を実感してください。

詳しいキャスト表


「海賊」本編、オリジナルのオープニング映像。特殊効果を駆使してまるで映画のようで、見ごたえあります!

日 時

2025年6月7日(土曜日)
2025年6月8日(日曜日)

時 間

6月7日(土)開演14:00(開場13:30)/開演18:00(開場17:30)
6月8日(日)開演16:00(開場15:30)

チケット料金

S席9,900円 、車いすS席5,000円、障がい者S席7,900円、学生席2,000円(25歳以下)
※2歳までのお子様の入場はご遠慮ください。
※車いすS席・障がい者S席ご購入の方は、
直接バレエ団宛( ticket@nbaballet.org )にお問い合わせください。
※学生席・障がい者席ご購入の方は、当日学生証・障がい手帳などの証明書を拝見させていただきます。
※チケットご購入後のキャンセル・変更は承ることができません。

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(c)瀬戸秀美       

2022/11/21

ルグリの最後の舞台、スーパースター・ガラ2022 いよいよ今週末に開催

マニュエル・ルグリ、スヴェトラーナ・ザハロワ、マチュー・ガニオ、マニアネラ・ヌニェス、ワディム・ムンタギロフ、ナタリア・オシポワ……いまバレエ界に君臨する新旧のスーパースターが一堂に会する「スーパースター・ガラ2022」が今週末、11月24日(木)から開幕します。

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https://super-stars-gala.com/

海外からトップスターを集めたガラ公演が、コロナ禍によってなかなか実現が難しかった状況を乗り越えて、昨年夏の世界バレエフェスティバル以来の開催となります。何より注目されるのが、今回の公演で、パリ・オペラ座のエトワールの中のエトワールとして一時代を築いたマニュエル・ルグリが今回、舞台で踊るのが最後となるということ。パリ・オペラ座を引退後、ウィーン国立バレエの芸術監督、そして現在のミラノ・スカラ座バレエの芸術監督に就任した後も、日本の観客の前で美しく踊る姿を見せてきたルグリですが、今回が見納めとなります。

ルグリが踊るのは、パトリック・ド・バナがルグリのために振り付け、多くの舞台で披露されてきた名作「The Picture of…」の新バージョン。そして、パリ・オペラ座の同僚だったエレオノラ・アバニャートと共演し、元パリ・オペラ座のスジェにしてボリショイ・バレエにも作品を提供するなど注目されるシモーネ・ヴァラストロの日本初演作品「Árbakkinn」。ルグリの雄姿を胸に焼き付ける、見逃せない舞台となることでしょう。リハーサル映像も到着しており、期待が高まります。

パリ・オペラ座の首席エトワールとして、ますます充実してきたマチュー・ガニオは、Aプロでは母ドミニク・カルフーニやマイヤ・プリセツカヤによる名演が印象深いローラン・プティの香り高い名作『病める薔薇』、新国立劇場バレエ団に『ジゼル』を振り付けて絶賛を浴びたアラステア・マリオットによる佳品『月の光』、そしてプレルジョカージュの『ル・パルク』と日本で初めて披露する作品を踊り、その成熟ぶりを見せてくれることでしょう。

英国ロイヤル・バレエの至宝、輝かしいスターペアのマリアネラ・ヌニェスワディム・ムンタギロフは、『白鳥の湖』より黒鳥のパ・ド・ドゥ『ドン・キホーテ』『海賊』とクラシック・バレエの定番で会場を大いに沸かせてくれるはず。

また今やロイヤル・バレエを代表するバレリーナとなったナタリア・オシポワは、近年果敢に挑んでいるコンテンポラリー作品で、強靭な身体能力と、類まれな表現力、尖った個性でウェイン・マクレガーの傑作「ウルフ・ワークス」をマクレガーの申し子エドワード・ワトソンと、そして私生活でもパートナーの鬼才ジェイソン・キッテルバーガー振付作品「Ashes」を日本で初披露。さらにワトソンと、奇才アーサー・ピタの世界初演作品「Somebody Who Loves Me」を踊る予定で、これも見逃せません。

ロイヤル・バレエを引退後も、振付指導者として活動しながら、ダンサーとしても柔軟な肉体で唯一無二の個性を放ち続けるエドワード・ワトソンは、オシポワとの共演作のほか、今年の夏のロイヤル・バレエ・ガラで喝采を浴びたピタのユニークな「インポッシブル・ヒューマン」をもう一度見せてくれます。

長身と貴公子的なサポート技術の素晴らしさで、ロパートキナ、ザハロワなど数々の名バレリーナをマリインスキー・バレエで支えてきたダニ―ラ・コルスンツェフが、マリインスキーの同僚ダリア・パヴレンコと共に出演するのも嬉しいことです。『スパルタクス』、『シェヘラザード』と、今ではなかなか日本で生で観ることが難しいロシア・バレエの精髄を見せてくれることでしょう。スヴェトラーナ・ザハロワと踊る「ジュエルズ」より ダイヤモンドも至上の美を見せてくれるはずで、必見です。

新国立劇場バレエ団に『ライモンダ』でゲスト出演して高い評価を得たダリア・パヴレンコは、マリインスキーを退団後もフリーで活動し、2020年にはヴッパタール舞踊団にゲスト出演してピナ・バウシュ作品「青髭」「7つの大罪」を踊るという異色の経験もしており、今回はソロで『ルースカヤ』も踊ります。

 

先週末のパトリック・ド・バナ(本公演芸術監督)の来日に続き、日曜日には、先日まで『マイヤリング』に主演していたマチュー・ガニオも来日。まもなく夢の舞台の幕が開きます。

 

このたび、経済産業省による「イベント割」に「スーパースター・ガラ2022」の下記5公演が対象となることが決定いたしました。購入対象者の方のみ公演のチケットを20%オフにてご購入いただけます。
公演当日には新型コロナ「ワクチン接種証明/陰性検査結果」のご提示が必要となります。

〔日 程〕
11月24日(木)19:00開演 Aプログラム
11月25日(金)13:00開演 Aプログラム
11月26日(土)13:30開演 Aプログラム
11月26日(土)18:30開演 Bプログラム
11月27日(日)13:30開演 Bプログラム

〔出 演〕
マニュエル・ルグリ (元パリ・オペラ座バレエ団エトワール ミラノ・スカラ座バレエ団芸術監督)
マチュー・ガニオ (パリ・オペラ座バレエ団エトワール)
スヴェトラーナ・ザハロワ (ボリショイ・バレエ プリンシパル)
マリアネラ・ヌニェス (英国ロイヤル・バレエ団プリンシパル)
ワディム・ムンタギロフ(英国ロイヤル・バレエ団プリンシパル)
ナタリア・オシポワ (英国ロイヤル・バレエ団プリンシパル)
エドワード・ワトソン (元英国ロイヤル・バレエ団プリンシパル)
エレオノラ・アバニャート (元パリ・オペラ座バレエ団エトワール ローマ歌劇場バレエ団芸術監督)
ダニーラ・コルスンツェフ (元マリインスキー・バレエ プリンシパル)
ダリア・パヴレンコ (元マリインスキー・バレエ プリンシパル)
パトリック・ド・バナ (フリーランス・ダンサー、振付家 本公演芸術監督)
エレナ・マルティン (元スペイン国立バレエ団 プリンシパル)

〔会 場〕 
東京文化会館大ホール

〔料 金〕 全席指定・税込  
S席:19,000円
A席:17,000円
B席:14,000円
C席:10,000円
D席:6,000円


〔チケット取扱〕 

販売先 URL その他
TBSチケット https://tickets.tbs.co.jp/ssg2022/
ローソンチケット https://l-tike.com/superstarsgala/
チケットぴあ https://w.pia.jp/t/super-stars-gala/
セブン-イレブン
Pコード:514-290
ローソン、ミニストップ店内Loppi
Lコード:34986
イープラス https://eplus.jp/superstars-gala/ Family Mart店舗
東京文化会館
チケットサービス
http://www.t-bunka.jp/ 03-5685-0650
(10:00~18:00 休館日を除く)

2022/08/31

K-BALLET Opto「プティ・コレクション」公開リハーサルレポート

9月30日、10月1日にKAAT(神奈川芸術劇場)で開催されるK-BALLET Opto「プティ・コレクション」の公開リハーサルが先日行われ、行ってきました。

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https://www.bunkamura.co.jp/orchard/lineup/22_opto_petit/

K-BALLET Optoは、K-BALLET COMPANY舞踊監督渡辺レイの指揮のもと、K-BALLETダンサーを基盤に、最高峰の振付家によるオリジナル作品や、他ジャンルとのコラボレーションなど、ダンスの魅力を多角的に捉えた作品で、ダンス界に新たな光(=Opto・オプト)を生み出し、より多くの方々に鮮烈なライブ体験をしていただく機会を提供するものです。

NDT1で活躍後、自らのダンスプロジェクトOptoを率いて活躍してきた渡辺レイが、その経験、知見をもとに熊川哲也と共に推進している企画です。

その第一回となる今回は、Petit Collection(プティ・コレクション) というタイトルになっています。今回上演するすべての作品タイトルにフランス語で「小さい/あどけなさ」を意味する“Petit(プティ)” が付されています。日本的な美意識であるかわいさが秘めもつ「美しさと強さ」をテーマに、Petit(プティ/かわいらしさ)が擁する「うつくしさ」という新たな側面にスポットライトを当てた作品を上演します。

公開リハーサルでは、上演される3作品のうち、メディ・ワレルスキー振付の「Petite Ceremonie(プティ・セレモニー)『“小さな儀式”〈アジア初演〉』」、渡辺レイ振付の「Petit Barroco(プティ・バロッコ)『“小さな真珠(ゆがんだ真珠)”〈世界初演〉』」が披露されました。

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NDTで活躍後、現在はカナダ、バンクーバーのバレエ・ブリティッシュ・コロンビアの芸術監督メディ・ワレルスキー振付の「Petite Ceremonie」は、2011年にジョージア国立バレエで初演されたのち、北米など様々なカンパニーで上演されてきた彼の代表作で。今回はアジア初演となります。

(ジョージア国立バレエにおけるPetit Ceremonie)

男女15人のダンサーが出演する作品で、舞台衣装は上のジョージア国立バレエでの映像のように、男性はタキシード、女性は黒いドレスとなるとのこと。前半はほぼ無音で、ダンサーたちは整ったフォーメーションを変えながら、途中でパ・ド・ドゥや男性二人(山本雅也、堀内將平)が競い合うように踊る場面などが挿入されていきます。グレゴワール・ランシエがジャグリングをしながら英語のセリフを話すシーンも。後半はたくさんの白い箱をダンサーたちが運び込み、ヴィヴァルディの『四季』の(冬)に合わせた激しい乱舞が繰り広げられます。スタイリッシュな官能性の中にユーモアもあり、今まで観たことがないK-Balletのダンサーたちの一面を観ることができます。ほかに成田紗弥、小林美奈らが出演。普段はクラシック・バレエを踊っているK-Balletのダンサーたちの、新しい分野におけるポテンシャルの高さを改めて実感しました。

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山本雅也、小林美奈

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山本雅也、堀内將平

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成田紗弥

渡辺レイ振付の「Petit Barroco(プティ・バロッコ)『“小さな真珠(ゆがんだ真珠)”〈世界初演〉』」本作品のテーマは「バロックとジェンダー」です。バロックとは、ポルトガル語に由来し「ゆがんだ真珠」を意味しそれはルネサンスの均整の取れた美への、人間の情念の反抗であるとのことです。今回渡辺さんは、「バロック=ゆがんだ真珠」をモチーフに「女性の解放された自己表現」を重ねました。飯島望未を中心とする女性ダンサーたちを前面に出した作品です。ワコールのランジェリーブランドSaluteとコラボした衣装となりますが、リハーサルでは普通の稽古着でした。男性ダンサー6人、女性ダンサーは4人ですが、特に女性ダンサーたちの存在感が大きい。

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女性ダンサーたちは冒頭ではハイヒールを履いていて、電子音楽に合わせての脚線美を強調するような挑発的な動きをしています。一人の男性が二人の男性ダンサーたちに支えられながら倒立しているという大胆なオープニング。この作品ではなんといっても飯島望未のシャープでスタイリッシュ、カリスマ性に満ちた動きに目が吸い寄せられます。渡辺レイの前作「Flow Route」でも飯島さんはコンテンポラリーにおける圧倒的なセンスの良さ、シャープさとしなやかさを見せてくれましたが、今回の彼女の存在感は只者ではありません。ソロも力強く大胆で、また途中でもう一人の女性ダンサーとデュオを踊る場面も出てきます。立体的なフォーメーションの面白さもありますし、同時多発的な動きもあってどこを見ていいのかと思うくらい贅沢な舞台。石橋奨也他男性ダンサーの活躍やパ・ド・ドゥも観られます。これを見ると、秋の『クレオパトラ』のタイトルロールを踊る飯島さんも楽しみになってきました。照明や装置、衣装が入るとどんな効果が発揮されるのかも楽しみです。

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飯島望未

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もう一つの作品、森優貴振付の「Petite Maison(プティ・メゾン)『“小さな家”〈世界初演〉』」は今回はリハーサルは公開されていませんが、長らくドイツのレーゲンスブルク州立劇場で芸術監督を務め(欧州における日本人初の芸術監督) 、Noismや貞松・浜田バレエ団、さらには宝塚歌劇団の「ODESSEY」などで振付を手掛けてきた鬼才が、日高世菜、杉野慧、栗山簾、吉田周平ほかK-Balletのダンサーにどんな作品を振り付けるのか、こちらも注目です。

 

Petit Ceremonieはリハーサル・ディレクターのシルヴァン・スネズが来日して、3週間のリハーサルが行われました。

K-Ballet Companyの刺激的な新しい挑戦、ぜひ目撃してみてください。このK-BALLET Optoはシリーズ化が予定されており、第二弾は来年1月に予定されているとのことです。

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公演日程

2022/9/30(金)12:30開演/17:30開演
2022/10/1(土)12:30開演/17:30開演


会場

KAAT 神奈川芸術劇場(ホール)
https://www.kaat.jp/access


料金


S:¥9,000 A:¥7,500 B:¥3,000※イス付立見席 (全席指定・税込)

<Bunkamuraでのお申込み>

お電話でのお申込み

Bunkamuraチケットセンター<10:00~17:00>
03-3477-9999


カウンターでのお申込み

Bunkamuraチケットカウンター<10:00~18:00>
東急シアターオーブチケットカウンター<渋谷ヒカリエ2F 11:00~18:00>


インターネットでのお申込み(MY Bunkamura)

オンラインチケット購入

<その他プレイガイドでのお申込み>

お電話でのお申込み

チケットかながわ<10:00~18:00>
0570-015-415


インターネットでのお申込み

チケットぴあ
https://w.pia.jp/t/k-opto/ (座席選択可)
イープラス 
https://eplus.jp/k-opto/ (座席選択可)
ローソンチケット
https://l-tike.com/k-opto/ (発売日翌日以降座席選択可)
チケットかながわ
https://www.kanagawa-arts.or.jp/tc/ (座席選択可)


店頭でのお申込み

チケットぴあ
セブンイレブン (24時間/毎週火曜日・水曜日の1:30AM~5:30AMを除く)<Pコード:512-599>
イープラス
ファミリーマート店舗 (座席選択可能)
ローソンチケット
ローソン・ミニストップ店内Loppi <Lコード:31872>

お問合せ

Bunkamura 03-3477-3244<10:00~18:00>

2022/07/01

【参加者募集】さいたまダンス・ラボラトリVol.6(2022) 夏期集中ワークショップ 2022年8月2日(火)〜6日(土)/湯浅永麻『わたしは幾つものナラティヴのバトルフィールド』(岡田利規テキスト・演出)

明日を担う若手ダンサーの育成や作品創作を目的として、2018年度よりスタートした育成・創造事業「さいたまダンス・ラボラトリ」

https://www.saf.or.jp/arthall/information/detail/94493/

2022年8月2日(火)〜6日(土)彩の国さいたま芸術劇場で開催されます。


第6弾となる今回は、イスラエルのバットシェバ舞踊団で活躍するダンサー中村恵理による「Gagaクラス」と、オハッド・ナハリン作品の「レパートリークラス」を開催いたします。バットシェバ舞踊団元芸術監督のオハッド・ナハリンが考案した「Gaga」は、身体の声に耳を傾け「動く喜び」を実感するムーヴメント・ランゲージとして世界的に高い注目を集めています。さらに「レパートリークラス」では、これまでバットシェバ舞踊団が上演してきたナハリン作品を舞踊団の現役ダンサーから教わることのできる貴重な機会です。

また、初回から継続して講師を務め、国内外で多岐にわたり活動する湯浅永麻を再び迎え、リサーチ・ワークショップ「Sources of creation」を開催いたします。これまで湯浅が手掛けたラボの過去作品等を映像によって創作プロセスを振り返りながら、作品を創作するにあたってのコンセプトの源、動機や意義、そしてそれらを体現するムーヴメントのあり方について、皆さまとオープンかつフラットに対話を重ねていきます。作品の完成(アウトプット)を主なる目的とするのではなく、インプットを重視したクラスです。

自身の身体と集中的に向き合うワークショップ。意欲溢れるダンサー/アーティストの皆さま、ぜひふるって応募ください。

【ワークショップ日程】
2022年8月2日(火)~6日(土)

【会場】
彩の国さいたま芸術劇場 大稽古場

【タイムスケジュール&プログラム】
①11:00~12:15 Gagaダンサー(講師:中村恵理)
②12:30~14:00 オハッド・ナハリン作品レパートリークラス(講師:中村恵理)
<休憩>
③15:00~19:00 リサーチ・ワークショップ「Sources of creation」(講師:湯浅永麻)
※タイムスケジュール、プログラム等はやむをえない事情により内容を変更する場合がありますので、あらかじめご了承ください。
※その他、新型コロナウイルス感染症拡大の影響などにより内容を変更する場合があります。

【講師/ナビゲーター】中村恵理・湯浅永麻

【参加費】25,000円(税込)

【定員】25名

【対象】
15歳以上35歳未満のダンス経験者・中級以上
※原則、全日程参加できる方。
※ダンス経験のジャンルは特に問いません。対象外の年齢の方は相談可。

【応募方法】
応募フォームより以下の必要事項をご記入の上、締切日までにご応募ください。

①氏名 ②フリガナ ③性別 ④年齢 ⑤生年月日
⑥郵便番号 ⑦住所 ⑧電話番号 ⑨メールアドレス
⑩ダンス経験(ジャンル・年数及び舞台経験の詳細、出身校や所属校・機関など)
⑪「さいたまダンス・ラボラトリ」に参加したい理由(200字以内)
⑫顔写真1枚(1MB以内)※ファイル名に氏名必須
⑬全身写真1枚(1MB以内)※ファイル名に氏名必須
⑭動画
課題:インプロヴィゼーション(音楽なし、無音。基本的に自由即興ですが、「固体」「液体」「気体」のタスクを用いる)のソロ映像2分
※YouTubeに限定公開でアップし、リンクをフォームにてご入力ください。動画名に氏名の記載必須。

【応募先】下記フォームよりご応募ください。
https://forms.gle/X165b4XW3uLavv4t8

【応募締切】
2022年7月10日(日)必着
※応募者多数の場合は書類選考させていただきます。
※今回のカリキュラムでは、中村恵理クラス・湯浅永麻クラス両方にご参加いただきます。クラスを選ぶことはできません。
※結果は2022年7月15日(金)までに、応募者全員に通知いたします。
※定員に余裕がある場合に限り、締切後でも受け付けます。

【お問い合わせ】
彩の国さいたま芸術劇場(舞踊担当)
Email: workshop@saf.or.jp Tel: 048-858-5506

※さいたまダンス・ラボラトリ、今回は第6回目の開催となり、継続してノウハウも構築されてきており、さらに湯浅永麻さんが初回から毎回携わっていて、多くのことを伝えていっていることが感じられます。今回は、バットシェバ舞踊団で活躍する中村恵理さんが講師ということで、オハッド・ナハリンのメソッド「GAGA]を学ぶことができるだけでなく、ナハリンのレパートリーも日本で体験できる貴重な機会です。

(今回は公開パフォーマンスはありません)

【講師プロフィール】

中村恵理(Eri Nakamura)

ダンサー。長野バレエ団出身。奨学生としてメルボルンのオーストラリア・バレエ学校に3年間留学し、2002年首席で卒業。2003年から2007年までスペイン・マドリードのヴィクトル・ウラテ・バレエ団に所属。2007年、Grademir Pankov氏が芸術監督を務めるカナダ・モントリオールのグラン・バレエ・カナディアンに移籍し、2008年までソリストとして舞台に立つ。その後2011年より現在までイスラエルのバットシェバ舞踊団に所属。ダンサーとして活動するほか、2015年よりオハッド・ナハリン作品『LAST WORK』『Venezuela』、ロイ・アサッフ作品『ADAM』の衣裳デザインを手掛けるなど、多岐にわたり活躍している。

 

湯浅永麻(Ema Yuasa)

ダンサー・振付家。モナコ公国プリンセスグレースアカデミーを首席卒業後、イリ・キリアン率いるネザーランド・ダンス・シアター(NDT)に約11年間所属。退団後、スウェーデン王立バレエのマッツ・エック版『Juliet & Romeo』ジュリエット役、サシャ・ヴァルツ『Körper』等に客演。シディ・ラルビ・シェルカウイ率いるEASTMANにも所属。異ジャンルアーティストとのコラボレーションプラットフォームXHIASMA(キアスマ)プロジェクトを立ち上げ、数々の作品を発表。第13回、15回日本ダンスフォーラム賞を受賞。現在はダミアン・ジャレ/名和晃平の新作に参加するなど、国内外で多岐にわたって活動している。

※※※※

なお、9月1日~4日には、湯浅永麻さんが出演する『わたしは幾つものナラティヴのバトルフィールド』(岡田利規テキスト・演出)が彩の国さいたま芸術劇場で上演されます。

https://www.saf.or.jp/arthall/stages/detail/94292/

2021年3月、彩の国さいたま芸術劇場の育成・創造プロジェクト「さいたまダンス・ラボラトリVol.3公演『明日を探る身体』」にて、ワーク・イン・プログレスとして発表された『わたしは幾つものナラティヴのバトルフィールド』。

テキスト(言葉)と身体との従来の関係を更新し続け、現代社会の課題に批評的な視点から切り込んできた演劇作家・小説家の岡田利規。その岡田がテキスト・演出を担い、ダンサー・振付家の湯浅永麻がそれらを身体に取り入れ語り、踊ったワーク・イン・プログレスでは、作品全体の第一部が披露されました。SNS上で展開する主張を導入として、湯浅の身体をフィールドに他者たちの言説が飛び交った第一部に加え、この秋、第二部、第三部を岡田が新たに書き下ろす完成版の上演が決定。更に岡田作品でも俳優として特異な存在感を示す太田信吾が舞台上に加わります。

日時

2022年
9月1日(木)・2日(金)19:00開演
9月3日(土)・4日(日)14:00/18:00開演

※演出の都合により開演時間に遅れますとご予約席へのご案内ができない場合がございます。

会場

彩の国さいたま芸術劇場 小ホール

テキスト・演出

岡田利規

共同振付

岡田利規、湯浅永麻、太田信吾

出演

湯浅永麻、太田信吾

2022/05/29

K-BALLET COMPANY「カルメン」公開リハーサル/6月1日より上演、全キャスト配信あり

先日、6月1日からBunkamuraオーチャードホールで上演される、K-BALLET COMPANYの熊川哲也振付「カルメン」、報道向けの公開リハーサルがあり、行ってきました。

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写真:Ayumu Gombi

左より、石橋奨也、日高世菜、高橋裕哉、浅川紫織、小林美奈、堀内將平、成田紗弥、山本雅也

https://www.k-ballet.co.jp/contents/2022carmen

2014年に熊川哲也振付で初演された本作は、「カルメン」を全3幕のグランド・バレエとしたもの。メトロポリタン・オペラなどのプロダクションのデザインを手がけたダニエル・オストリングが舞台美術を手掛け、鮮やかでスリリングな激情のドラマとして高く評価されました。

今回は、怪我により2018年に惜しまれながら一度は引退したプリンシパルの浅川紫織が、けがを克服して復帰を果たし、4年ぶりに主演を飾ることが話題となっています。

公開リハーサルでは、今回主演する4組のペアのそれぞれの演技を見せて、見比べるというユニークな試みを行いました。日高世菜と石橋奨也成田紗弥と山本雅也小林美奈と堀内將平の3組は、ラストのドン・ホセがカルメンを手にかけるシーン、そして浅川紫織、高橋裕哉組は、群舞を従えての「ハバネラ」のシーンのリハーサルを見せてくれました。

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写真:Ayumu Gombi 

熊川哲也芸術監督は、このドン・ホセがカルメンを手にかけてしまうシーンを見比べるという意図について説明しました。

「「カルメン」や「クレオパトラ」はクラシックバレエとは違ったドラマティック・バレエです。役の解釈については、あえて口を出さないところがあります。教えた通りにやったからと言って満足するかと言ったらそうではない。僕が初演で演じた時、怒りで殺したというところはあったけど、ゲストのロベルタ・マルケスとやったときにはそうではなかった。あとはそれぞれが、成長していく上での経験があったり、恋愛だったり、出会いと別れがあったりで変わってくる。このシーンでは、それぞれの“死にざま”や“殺(あや)めざま”があるはず。複雑に入り混じる心情をどう表現するかはキャスト一人ひとりに委ねている。自分なりの見せ方で踊って欲しい」

確かに3組3様の解釈の違いが見られて、大変興味深かったです。特にドン・ホセがどのように苦悩し、嫉妬し、愛する女を殺してしまうのか、手にかけてしまった彼女を目にしての後悔…。リハーサルが終わった後、一人一人の出演者が役の解釈について語りました。

日高世菜、石橋奨也 2022年6月2日(木)18;30、5日(日)13:00公演
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写真:Ayumu Gombi (2点とも)

熊川「最後殺す時どういう気持ちで殺しているの?」

石橋「それは、怒りが強い」

熊川「あーやっぱり。確信的なの?」

石橋 「プロローグの時からすでに決めています」

石橋さんは、感情を内に秘めているタイプで、でも言葉の通り強い怒り、裏切られた哀しみを感じさせて、傷ついた獣の目をして強い決意で感情をカルメンにぶつけています。日高さんは手脚がとても長く身体の表現が大きく、音楽性も豊か。どうしてこんなことになったのか、おびえるような気持ちも現れています。震えのような細かいパ・ド・ブレが美しい。

日高「オペラをバレエにした作品なので、歌うように踊れたらと思っていて。カルメンはいろいろ誘惑します。自由奔放なのですが、歌うように踊れたらいいと思っています。」

成田紗弥、山本雅也  2022年6月2日(木)14:00、4日(土)13:00公演

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写真:Ayumu Gombi (2点とも)

熊川「プロローグの時にピストルを頭につけるんだけど、その時には、この世にはもう誰も残っていないから、死ぬ前に思いを伝えたいってストーリー。雅也はどういう想いで彼女を殺すの?」

山本「僕も怒りです。序盤は悲しみがあります。」

4組の中で最年少の山本さんは、少年のようなナイーブさを感じさせる一方、踊りはダイナミックで華があり、輪郭がはっきりしています。カルメンを手にかけた後の打ちひしがれた表情が印象的です。成田さんのカルメンは、実に小悪魔で強い生命力があり、最後まで彼を翻弄しています。二人ともシェネがとても美しい。

成田「わたしのカルメンはホセにはあまり情はなくて、ワンナイトラブなのにホセがしつこいと思っています。」

 

小林美奈、堀内將平 2022年6月3日(金)14:00公演 

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写真:Ayumu Gombi (2点とも)

堀内「僕は、真面目な青年が全部を彼女のために捨ててきたのに、捨てられてしまい、傷ついた心で、そのうちに愛を伝えようとするんだけどそのうちに混乱して最後は殺してしまいます」

その言葉の通り真面目で内向的な青年ホセで、殺してしまってから銃を落として手の震えが止まらない演技、茫然として、カルメンを抱きかかえ、とぼとぼ歩くさまがリアルで悲しみがこもってした。小林さんのカルメンは、強い女を気取りつつも、3人の中では一番ホセへの情がにじみ出ているように感じられました。

小林「カルメンは自由奔放で、自分の意志のまま、ストレートに思いを伝えて生きている女性だと思います。翻弄して周りを巻き込んでいます。

 

浅川紫織、高橋裕哉 2022年6月1日(水)14:00、4日(土)17:30公演

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写真:Ayumu Gombi (3点とも)

浅川紫織は、「ハバネラ」のシーンを群舞を従えて踊りました。彼女を崇拝する多くの男性たちを従え、コケティッシュで妖艶な魅力で惑わせていきます。ケガで一度は引退し、ブランクがあったとは思えない鮮やかでダイナミックさに加えて、優雅さもあります。

浅川「わたしはK-Balletのカルメンという作品自体が大好きで、初演は2014年だったので踊るのは8年ぶりになります。とても光栄なことです。どういうカルメンかはまだ本番まで探りたいと思います。先ほど世菜さんが言っていた、オペラの中にある歌詞で、「今日はわからない、明日かもしれないし一生ないかもしれない。私のことを惚れるのはみんなの自由だけど気をつけなさい」というのがとても印象に残っています。そういう感じなのを常に意識して気持ちとして。どういう風になるかは劇場に行って確かめていただければ。

この場面ではカルメンにどうしようもなく惹かれている男性の一人としてのホセを演じている髙橋さん。

高橋「闘牛場に行くまでにかなり思考回路がおかしくなる、カオスというか、かなりダークな方面での接し方の結果、彼女を殺してしまいます」

熊川「深いですね。最後殺して独り占めにしたいと思う、みたいな。誰にも渡さない、と」

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写真:Ayumu Gombi 

4キャストそれぞれが異なった個性、解釈で愛と激情のドラマを伝えてくれる、熊川哲也版「カルメン」。演技力もバレエのテクニックも優れたトップダンサーたちの競演は見逃せません。

 

私も初演はじめ何回も観ていますが、数ある「カルメン」のバレエ化作品の中でも、バレエらしい作品であり、またクライマックスの演出のドラマは他の「カルメン」とは全く違ったもので、思わず引き込まれてしまう傑作です。熊川さんの演出だけあって、ドン・ホセの心理描写、ダンスにも比重が置かれているのもほかにない特徴だと思います。

◎公演日程
2022年6月1日(水)14:00
2022年6月2日(木)14:00/18:30
2022年6月3日(金)14:00
2022年6月4日(土)13:00/17:30
2022年6月5日(日)13:00

主催

TBS

会場

Bunkamuraオーチャードホール

日程

2022年6月1日(水)~6月5日(日)


チケット料金

(税込)


S:¥15,000
A:¥11,000
B:¥8,000
C:¥6,000


A親子席:¥15,000
└大人1名+ 子供1名/A席エリア
 5歳以上小学6年生以下

学生券:¥3,500
└中学生以上25歳以下/当日学生証を提示の上引き換え/席位置未定

※A親子席・学生券はTBSチケット・チケットぴあWEBにて取り扱い

怪我を克服して復帰した浅川紫織さんについてのドキュメンタリーもぜひ。

なお、千穐楽となる、6月5日(日)13時公演を、オンラインライブ配信することが決定しています。
TBS が誇る高い映像制作技術、高精細4Kカメラで撮影された大迫力の映像です。

https://www.k-ballet.co.jp/contents/526906

また今回カルメン役として、カンパニーを代表する豪華キャストが名を連ね、いずれも見逃せません。そのそれぞれの魅力を味わっていただけるよう、今回に限り4組すべてのキャストを特別にライブ配信(スイッチングなしで、舞台全景を楽しんでいただく固定カメラ)します。全キャストをお楽しみいただくためのお得なセット券もあります。

■TBS が誇る高い映像制作技術、高精細4Kカメラで撮影された大迫力の映像で! 
ライブ配信<4Kカメラ・スイッチングあり>

◆配信日時
2022年6月5日(日)13:00公演 ※6月6日(月)23:59 まで視聴可能

出演:カルメン / 日髙世菜、ドン・ホセ / 石橋奨也、他 Kバレエ カンパニー

◆視聴チケット料金
3,800円(税込)

◆購入先
TBSチケット / U-NEXT ※6月6日(月)21:00まで購入可能

 

■カンパニーを代表する顔ぶれが連ねる主演4キャスト。演劇的バレエのさらなる境地に挑む!
ライブ配信<固定カメラ・スイッチングなし>  
※舞台全体を観ていたいという方々向けの映像となります。 

◆配信日時

① 2022年6月3日(金)14:00公演 

出演:カルメン/小林美奈、ドン・ホセ / 堀内將平、他 Kバレエ カンパニー

※同日23:59 まで視聴可能

 

② 2022年6月4日(土)13:00公演

出演:カルメン / 成田紗弥、ドン・ホセ / 山本雅也、他 Kバレエ カンパニー

※同日23:59 まで視聴可能

 

③2022年6月4日(土)17:30公演

出演:カルメン / 浅川紫織、ドン・ホセ / 髙橋裕哉、他 Kバレエ カンパニー

※同日23:59 まで視聴可能

視聴方法・お問い合わせ等

TBSチケット:https://tickets.tbs.co.jp/tbs/streaming/  
※推奨環境:J-Stream Equipmediaをご確認下さい。

U-NEXT: https://help.unext.jp/info/info420

④2022年6月5日(日)13:00公演

出演:カルメン / 日髙世菜、ドン・ホセ / 石橋奨也、他 Kバレエ カンパニー

※同日23:59 まで視聴可能

◆視聴チケット料金
1キャスト券 / 各2,500円(税込)
4キャストすべてお楽しみいただく セット券 / 8,500円(税込)

◆購入先:【TBSチケット】
※それぞれの配信当日20:00まで(セット券のみ6月3日(金)正午まで)購入可能

2022/05/26

熊川哲也による新プロジェクト、Bunkamura K-BALLET Optoを始動

BunkamuraとK-BALLET COMPANYは合同で、Bunkamuraオーチャードホール及びK-BALLET両方の芸術監督である熊川哲也による新プロジェクト、Bunkamura K-BALLET Optoを始動します。

https://www.bunkamura.co.jp/orchard/lineup/22_opto_petit/

旗揚げ公演は2022年9月30日(金)、10月1日(土)、KAAT神奈川芸術劇場(ホール)にて開催。

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ワレルスキー作品:「Petite Ceremonie (プティ・セレモニー)」 より  Photo:Michael Slobodian

本プロジェクトは特に、K-BALLET COMPANY舞踊監督の渡辺レイの指揮の下(今後はK-BALLET Opto舞踊監督を兼務)、K-BALLETダンサーを基盤に、世界の気鋭の振付家によるオリジナル作品や、他ジャンルとのコラボレーションなど、ダンスの魅力を多角的に捉えた作品で、K-BALLETの新たな光(=Opto)を生み出し、より多くの方々に鮮烈なライブ体験をしていただく機会を提供します。


K-BALLETは設立から四半世紀、芸術監督熊川哲也の下で絢爛豪華な古典バレエの全幕作品を生み出し、国内屈指の活動を続けてきました。そして今、「かつて自らが様々な芸術家と交流し、その作品に触れることでダンスの深淵を見たように、同じ感動・経験をダンサー/観客の皆様にも届けたい」との熊川の思いを実現するべく、2012年来芸術監督を務め、K-BALLETのホームであるBunkamuraオーチャードホールと手を携えてK-BALLET Optoは誕生しました。


オーチャードホールを離れての公演となりますが、挑戦する芸術家を全力で応援するBunkamuraの精神はそのままに、新プロジェクトを堪能いただきます。

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ワレルスキー作品:「Petite Ceremonie (プティ・セレモニー)」 より  Photo:Michael Slobodian


旗揚げとなる9月公演では、メディ・ワレルスキー、森優貴、渡辺レイの振付作品を上演します。

アジア初上陸となるワレルスキー(Medhi Walerski) は、コンテンポラリーダンスの雄、NDT(ネザーランド・ダンス・シアター)の次期芸術監督と呼び声高い気鋭の振付家(現在はカナダ、バンクーバーのBallet BCの芸術監督)。代表作「Petite Ceremonie (プティ・セレモニー)」は、彼のクラシックバレエの背景と欧州の最前線のセンスが融合した、ユーモアとウィットにあふれた作品。古典作品とは違ったK-BALLETダンサー達の新たな一面や個性が見えるはずです。


森優貴、渡辺レイには新作を委嘱。森優貴はドイツ・レーゲンスブルク歌劇場で7年にわたり舞踊芸術監督を務めた実力者。渡辺レイは名匠イリ・キリアン率いるNDTで数々のトップ・コレオグラファーに指名され多くの主要な役を踊った経験を、自らの振付にいかんなく発揮しています。彼らのような、海外の第一線で活躍したアーティストが、母国日本から世界へ発信する機会を生み出すことも、本プロジェクトの目的です。「まだ知らないK-BALLET」をぜひ劇場でご覧ください。

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ワレルスキー作品:「Petite Ceremonie (プティ・セレモニー)」 より  Photo:Michael Slobodian

◆K-BALLET Opto(オプト)とは?
Opto(オプト)は「光」を意味する言葉です。
国内屈指の規模と華麗な美術の古典作品でバレエマーケット開拓をした熊川哲也が、
新たな光(=Opto)を灯すべく、K-BALLET Optoは立ち上がりました。具体的には、
K-BALLET COMPANYのダンサー達と国内外の一流の芸術家とのコラボレーションを通じて、
下記の3つを目指します。


1.「今、絶対に注目すべき振付家」作品の紹介
2.若き才能(ダンサー・振付・美術・衣裳・作曲・脚本)の発掘とプロデュース
3.日本発、世界を狙う良質なオリジナル作品のクリエーション

K-BALLET COMPANY芸術監督、オーチャードホール芸術監督
熊川哲也 コメント
K-BALLETを創立以来、直感的かつ本能的に、その瞬間におけるベストな
選択は何かを判断してきました。24年が過ぎ、揺るぎない古典作品と実績を
手にしたK-BALLETが見る次なる光。真の実力をもつ国内外の多くの才能
に機会を与える場になることを願って。私自身、大いに驚かせてもらえることを
期待しています。

Bunkamura K-BALLET Opto 「プティ・コレクション」 概要 (4公演)
【日時】 2022/9/30(金) 12:30開演 | 17:30開演
10/1(土) 12:30開演 | 17:30開演

【会場】 KAAT 神奈川芸術劇場 (ホール)(神奈川県横浜市中区山下町281)
【チケット(税込)】 S¥9,000 A¥7,500 B¥3,000 5/31(火)~MY Bunkamuraにて先行発売開始
【主催】 K-BALLET 【一般発売】6/25(土)
【お問合せ】 03-3477-3244

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ワレルスキー作品:「Petite Ceremonie (プティ・セレモニー)」 より  Photo:Michael Slobodian

「プティ・コレクション」―プティ・プティ・プティ!

プティ・コレクションとは?

今回上演する3作品には、すべてタイトルにプティ=「Petit」(フランス語で小さい、あどけないという意味)が付されています。日本ではかつて「あどけない、かわいい」を意味する言葉として「いとうつくし」(「うつくし(美しい)」)を使用していました。単純にプティ=かわいいだけではく、かわいさが秘めもつ「強い美しさ」を感じ取っていただきたいという思いを込めています。

アジア初演:Petite Ceremonie (プティ・セレモニー)/ 小さな儀式
Medhi Walerski / メディ・ワレルスキー振付

世界初演:Petite Maison (プティ・メゾン)/ 小さな家
Yuki Mori / 森 優貴振付
『プティ・コレクション』─プティ・プティ・プティ!

世界初演:Petit Barroco (プティ・バロッコ)/ 小さな真珠(ゆがんだ真珠)
Rei Watanabe / 渡辺レイ

飯島望未、日髙世菜
堀内將平、山本雅也

石橋奨也、小林美奈
成田紗弥、杉野慧

他 K-BALLET COMPANY

optoはもともと、コンテンポラリーダンスを通じて、質の高い舞台芸術に触れていただきたい。そんな思いから、2012年渡辺レイを筆頭に活動をスタートさせたプロジェクトです。メンバーの渡辺レイ、小㞍健太、湯浅永麻は、Nederlands Dans Theater(NDT1,メインカンパニー)に在籍し、現代振付家の巨匠イリ・キリアンをはじめ、世界的な振付家たちの作品に出演し、実績と経験を積み上げてきました。同じルーツを辿った3人は近年多岐にわたり活躍しています。その3人が中心となり創り出すダンスパフォーマンスは、世界的な振付家の作品を上演できる数少ない日本のダンスプロジェクトとなっています。今までも、群馬県桐生市、そして彩の国さいたま芸術劇場や愛知県芸術劇場などで公演を行ってきました。

https://taci.dance/opto/

渡辺レイさんがK-BALLET COMPANYの舞踊監督に就任し、optoの精神をバレエの中に息づかせるという、先進的なプロジェクトへと発展していったわけです。今年のK-BALLET COMPANYの「クラリモンド」トリプルビルで上演された、渡辺レイさん振付の「FLOW ROUTE」は、クラシック・バレエのカンパニーとは思えないほどの、インパクトが強くヨーロッパの香り漂う洗練されたコンテンポラリーダンス作品で、中でも飯島望未さんの表現力には驚かされた次第です。期待の野心的な企画、楽しみにしています。

2022/01/22

2月5日、6日 ディミトリス・パパイオアヌー『NOWHERE』ディレクターズ・カット版 上映会 (彩の国さいたま芸術劇場)

2019年来日の『The Great Tamer』で大きな反響を呼び、今年の夏に新作を携えて再来日予定のギリシャの振付家ディミトリス・パパイオアヌーによる映像作品『NOWHERE』ディレクターズ・カット版の上映会が、2月5日、6日に彩の国さいたま芸術劇場にて決定しました。

https://www.saf.or.jp/arthall/stages/detail/92470/

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アテネ五輪(2004)開閉会式を演出、ピナ・バウシュ亡き後のヴッパタール舞踊団から初のゲスト振付家に指名されるなど、今や世界
のアートシーンでいち早くその名が挙がるディミトリス・パパイオアヌー。


自身のルーツであるギリシャが生み出した神話、彫刻・絵画などに現代アートや身体表現を接続する手法で、パパイオアヌーならではのスタイリッシュな舞台芸術を創造しています。
2019 年の日本初来日作品『THE GREAT TAMER』は、身体表現とインスタレーションが交錯する夢幻的なダンス・シアターで、大きな反響を呼び、鮮烈な印象を日本の観客に残しました。

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今回、2022 年夏に来日予定の新作『TRANSVERSE ORIENTATION』に先駆けて日本未公開の映像作品『NOWHERE』の上映会が埼玉で決定! オリジナルは、ギリシャ国立劇場から委嘱された舞台作品で、「人間に対して挑戦してくる空間を克服することを私はいつも考えています」と語るパパイオアヌーは、溢れるイマジネーションで劇場のリニューアルされた“舞台機構”とパフォーマーを大胆に振り付けました。

人間と機械を対峙させ、人間の存在についての問いを投げかけているようです。

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ピナ・バウシュの思い出に捧げた「For Pina」のシーンも印象的に展開する本作品、パパイオアヌーの独占インタビュー映像とともにお楽しみください。

パパイオアヌーの「THE GREAT TAMER」はその年に観たすべての舞台芸術作品の中でも最も強烈な印象を残した作品で、あまりの大胆さと奔放なイメージの奔流、深い知性、悠久の時間の中で展開される驚愕の出来事に衝撃を受けました。本作もとても楽しみです。

●上映作品
演目:NOWHERE(ディレクターズ・カット版)
映像化・編集:ディミトリス・パパイオアヌー
上映時間:約 60 分
(本編 約 40 分+インタビュー映像 約 20 分)
映像化製作協力:彩の国さいたま芸術劇場ほか
舞台版世界初演:
2009 年 10 月 14 日 ギリシャ国立劇場(アテネ)

●公演情報
日時:2022 年 2 月 5 日(土)・6日(日)13:00/15:30(全 4 回)
会場:彩の国さいたま芸術劇場 映像ホール
★本編の上映後、ディミトリス・パパイオアヌーのインタビュー映像(日本語字幕付き)を上映します。
料金(税込・全席指定):一般 1,000 円 U-25 500 円(公演時 25 歳以下。入場時要身分証)
※未就学児入場不可。 チケット好評販売中!
https://www.saf.or.jp/arthall/stages/detail/92470/


●チケット取扱い・お問合せ:
○SAF チケットセンター 0570-064-939(休館日を除く 10:00~19:00)
[ウェブ] https://ticket.aserv.jp/saf/ (SAF オンラインチケット)
[窓口] 彩の国さいたま芸術劇場(休館日を除く 10:00~19:00)
埼玉会館(休館日を除く 10:00~19:00)
主催・企画・制作:公益財団法人埼玉県芸術文化振興財団

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ディミトリス・パパイオアヌー最新作
『TRANSVERSE ORIENTATION』

2019 年 6 月に来日した『THE GREAT TAMER』での大反響も記憶に新しいギリシャの振
付家・ディミトリス・パパイオアヌーが、最新作を携えて待望の再来日を果たす。


日程:2022 年 6 月 30 日(木)~7 月 3 日(日)予定
会場: 彩の国さいたま芸術劇場 大ホール
ビジュアル・演出:ディミトリス・パパイオアヌー
主催・企画・制作:彩の国さいたま芸術劇場/公益財団法人埼玉県芸術文化振興財団
共同製作:彩の国さいたま芸術劇場ほか
※チケット発売日、チケット代など詳細は HP、SNS などで発表予定。

TRANSVERSE ORIENTATION (2021) / a new work by Dimitris Papaioannou / trailer from Dimitris Papaioannou on Vimeo.

2021/08/27

8月28、29日上演 ファビュラ・コレクティブ「HUMAN.」日本人ダンサー4人にインタビュー

ウィリアム・シェイクスピア、ルイス・キャロル、オスカー・ワイルド。人間の極限の感情を暴く、英国を代表する3人の作家の古典を基にした新作を3人の振付家が振り付ける、ファビュラ・コレクティブの「HUMAN.」が、8月28、29の両日、新国立劇場小劇場で上演されます。

Fabulacollectivehuman

https://www.fabulacollective.co.uk/our-work/human

ファビュラ・コレクティブは2019年、英国で舞台美術・衣裳を手がけるデザイナーとして活躍する塚本行子を中心に設立されました。新進気鋭、トップクラスのアーティストと共に質の高い作品をイギリス国内外に発信するクリエイティブな集団で、20195月には『Elevation-昇華-』を東京・渋谷のセルリアンタワー能楽堂で上演しました。

 シェイクスピアを基にした『レディ・マクベス』クリストファー・マーニー振付。オスカー・ワイルド『ドリアン・グレイ』ジェームズ・ペット振付。そしてルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』のアリスのお茶会を下敷きにした『Everything Would Be Nonsense』トラヴィス・クローゼン=ナイトが振り付けました。

このうち『Everything Would Be Nonsense』は、冨岡カイ、加藤美羽、土田貴好、岩瀬斗羽という4人の気鋭の日本人ダンサーをオーディションで選び、創作した作品です。4週間のリハーサル期間を経て、初演まで1週間という時期にリハーサルを拝見し、4人のダンサーにインタビューしました。(トラヴィス・クローゼン=ナイト、ジェームズ・ペットにもインタビューをしていますので、後程こちらも掲載します)

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左より 加藤美羽、冨岡カイ、トラヴィス・クローゼン=ナイト、岩瀬斗羽、土田貴好

このうち『Everything Would Be Nonsense』は、今年8月までNoism1で3年間活動した英国出身の冨岡カイ、ラ・ダンス・コントラステや中村恩恵のプロジェクト等で活動する加藤美羽、Noism2を経て文化庁の新進芸術家海外研修生としてドイツで活動した土田貴好、ランベール・スクールを卒業したばかりの若手、岩瀬斗羽という4人の日本人ダンサーをオーディションで選び、創作した作品です。4週間のリハーサル期間を経て、初演まで1週間という時期にリハーサルを拝見し、4人のダンサーにインタビューしました。(トラヴィス・クローゼン=ナイト、ジェームズ・ペットにもインタビューをしていますので、後程こちらも掲載します)

Everything Would Be Nonsense』のコンセプト:集団としての極端な社会規範や慣習に縛られ、いらだちを募らせている人々は皆それぞれに、今の状態を変えられるかもしれないという希望を胸に、ある行動を決意します。そんな彼らの心のうちには、彼らを束縛から解き放ち、前へ進ませようとする、帽子屋やウサギ、そしてアリスが潜んでいるのです。彼らの存在を受け入れることで、このお茶会に狂気のつむじ風が起こります。

 

リハーサルでは、緻密でスリリングな振付を、息が合った様子で4人が踊る様子を息を吞みながら観ることができました。パートナーリングが多く、男性二人と女性一人の組み合わせ、アクロバティックなリフトなども。お茶会をモチーフにしていて、一人一人が「アリス」の登場人物を思わせるところが出てくるのもとてもユニークです。男性ダンサー二人は強靭で、女性ダンサー二人はしなやか、その中でそれぞれの個性を発揮し、火花が散るような化学反応が生まれていました。

もう作品もかなりでき上がってきて完成度も高くなっていて、本番が楽しみです。もう大体一か月ぐらいクリエーションのプロセスでリハーサルを続けていらっしゃいますね。オーディションが今年の三月にあって、出演者が決まって、そしてトラヴィスが七月に日本にやってきて、そこから本格的に始めたという感じですね。 

作品コンセプトを聞いてどういう風にまず感じられましたか?

岩瀬:その時私が日々結構考えていたことでもあったので、身近に感じました。自分の状況とちょっと照らし合わせて感じるものが色々あると思いました。個人的に感じることはありましたね。

冨岡:僕のお父さんはイギリス人だけど、僕は日本人のダンサーで、トラヴィスはイギリスからやってきていて、どういうコミュニケーションができるのか、それもこの作品の中に入っています。作品を作り上げるプロセスの中でこの作品のアイディアは僕たちにとって重要なものでした。最初に、どのようにコミュニケーションをするかということで少し難しいことがありました。僕の母国語は英語で、日本語で説明されたときに理解できないことがあり、岩瀬さんが通訳してくれることがありました。クリエーションの中で3,4段階を経るという状況は面白いことでもあったのです。時にはトラヴィスが僕に何かを言って、岩瀬さんに説明して彼女がほかのメンバーに通訳することもありました。

また一緒にリハーサルを行った短い期間において、この作品の中にあるアイディアを実体験したので、言葉を介さなくてもお互いを理解できるようになりました。言語は重要ではなくなってきたのです。トラヴィスも同様に、コミュニケートすることができるようになったのです。時には、言葉では伝わらないこともありましたが、どうにか通じるようになりました。これこそが、この作品が求めているものではないかと思います。

岩瀬:コミュニケーションで英語の言葉と日本語の言葉と、わからないことがあったでしょう。そのことを何人も通して伝えていること自体が、作品に関係していて、作品のコンセプトにあるということも面白いですね。

 

四週間リハーサルをしているので皆さんも凄いコンビネーションとかパートナーリングとか素晴らしかったと感じています。

岩瀬:パートナーリングはすぐ、体になじみました。どこつかむ、とか 感覚がすぐ慣れてきたという感じです。

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ジェームズ・ペット、トラヴィス・クローゼン=ナイト

皆さん色んな振付家の方とお仕事されてきた と思うのですが、トラヴィスと今回仕事をして、いかがでしたか?

土田:ダンサーのことをとても大事にしているという感じがします。彼が今まで経験してきたことがいろいろあると思うのですが、ダンスでありながらヒューマンビーイングという感じで。人間であることの大事さということが伝わってきています。その辺がとても尊敬できます。

岩瀬:プッシュするところと、ケアのバランスがいい人だと感じました。自分が欲しいものはこれというのははっきりあるし、でもそれがありつつも、個人の思いとか、それに対してのメンバーの考えをちゃんと取り入れるように、毎回コミュニケーションを頑張って取ろうとして、一人ひとりに聞いてくれるっていうこと自体が、結構作品の幅を広げているというか、なんかソレが凄いなと思っています。そんなに色んなコリオグラファーと仕事したことがないのですけど、それは普通に個人として、素晴らしいなって思いますね。

冨岡:やっぱりトラヴィスさんの体の中の、動きの説明が素晴らしいし、言葉で日本語でも英語でもそれは難しいと思ったことでも、求めている音は体で本当に見せてできるから、すごくよくわかります。やっぱり今、僕たちは頑張っているけど、もうちょっと長く、もうちょっと強く、と求められますが、でもトラヴィスが求めていることを、動いて見せて僕たちに見せられるから、わかりやすいのです。

 

トラヴィスは本当にあの皆さん一人ひとりのことを結構色々喋ってくれました。斗羽さんは凄く若い方なのに、もう何年もプロでやっている人だと思ったとか。皆さんのアイディアとか聞きながら作品を作っていっているって言っていました。ルイス・キャロルのこの文章の中から、幾つか課題を与えて、それに対するフィードバックを皆さんから凄い宿題として与えてそれを参考にしながら作ったというお話をされていましたが、結構大変だなと思って聞いていました。

冨岡:体にもきついけど、最初のうち、このクリエーションは結構頭もきつかったです。両方同時にやると何もできないというところがありました。

岩瀬:プロセスが、脳みそがいっぱいになるような。身体も動かすけど、頭で考えたことをどう体に移すかみたいなものが多かったですね。最初の時期は全部zoomだったけど、やってみながら目が点になっていたしますね。


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皆さん振付家とお仕事されていたからクリエーションというのは今までもたくさんされていると思うんですけど、その中でも結構特に大変って感じでしたか?

 

加藤:今まで仕事をしてきた振付家さんよりは、ダンサーと創るという印象が多いと思いました。私は日本がベースなので海外の方とお仕事をすることが少なかったのですが、日本の場合には、ダンサーが創る分量よりも、振付家さんが作ってくれて与えてくれるということのほうが多いと感じています。でも今回の場合にはそうではなくて、もちろん作ってくれるけど、こっちに渡して、お互いにコミュニケーションをとりながら創るという過程がすごくたくさんあって、そういう作り方はすごく勉強になりましたし、面白いなと思いました。

冨岡:この作品はもちろんトラヴィスの創り方とスタイルが付いているけど、いつでもタスクを上げる時は、自分は何をしたいのですか?とよく聞いていたから、彼が、あなたは何をしたいとか、何をするのか?といつも聞いていたから、結構僕たちの自分のイメージやアイデンティティが入っていると思います。そういうチャンスはプレゼントとして私たちにあげてくださったもので、すごくいいと思います。もしこの作品をトラヴィスさんが別のダンサーで作るのだったら全然違う作品になると思います。この4人のダンサーが集まったからこそ、この作品になったということです。

皆さん四人が共同クリエイターとして作られたってこと素晴らしい成果にきっとなると思います。一か月ちょっとリハーサルをするっていうのは比較的クリエーションとしても時間はある方だったのでしょうか?それともタスクが多いから結構大変みたいな感じだったのでしょうか。

土田:充実していました。そんなに急いでいるわけでもなくて、焦っている感じでもなかったです。たくさんのタスクがある中で、その中でどれだけ今までの自分の個性とか出しながら、トラヴィスと駆け引きをしながら、相当濃いクリエーションであり、リハーサルでした。

『Everything Would Be Nonsense』 (C)Akihito Abe

『Everything Would Be Nonsense』 (C)Akihito Abe

たぶん頭もそうだけど肉体的にも凄いハードだった感じでしょうね。塚本さんが、皆さんがどんどん痩せていったっていうので心配されていました。

岩瀬:でもそんな自覚はないのですよね。4週間目でここまで来て、この4週間を振り返った時に、この作品だからマテリアルが基本自分たちでつくったものがほとんどで、作って貰ったところとか、もちろん修正して貰ったところはたくさんあるし、でもその元々作ったそのマテリアルが私たちが創ったものだから、こんなに作ったんだ、私たちが作ったマテリアルでここまでの流れができて、こういう表現があってっていうものができるんだ、というのがパズルみたいな、積み木みたいな感じで、凄いな、と第三者目線で思いました。

 

作品として緻密に作られていますよね。この四人で一つピースとしてうまくこう繋げていっているなっていうのが素晴らしいと感じました。

 

加藤:かなりやっていますよね、私たち。結構充実したプログラムだと思います。海外のことは知らないのですが、日本ではここまでみっちりやること、詰め込まれてダンスだけに集中することができて、一日中踊っている、踊るだけで大丈夫というのはあまりないのです。ダンサーとしても体は作られるし、経験も積める機会で、すごくいいなあと思っていています。

岩瀬:ルーティンに入るとわからなくなる癖があるのです、私は。ずっとやっていて、クリエーションが始まった時は、やることがいっぱいだなって、なんか毎日すごく長いなって思っているかもしれないけど、ルーティンが普通になると、やっている感覚がなくなる、得るものは得ているけど、自分がそれによってやりすぎがないというか、ルーティン化してきました。

冨岡:このプロジェクトではヒエラルキーもありませんし、すぐに最初に仲良しになって、その後、どんどん作品が体に入っていきました。トラヴィスは結構難しいことも言いますが、短い時間に創っていけるのが素晴らしいと思います。トラヴィスと一緒に創っていって、どんどん変わっていくことができました。

僕もNoismに入る前は英国でフルタイムのカンパニーに入っていましたが、今回プロジェクトは本当に集中した時期で、もっと重要で本質的なものだと感じます。一度きりの機会ですし、今はフリーランスなので次に何があるかわからないので。生きるか死ぬかというほどの重要な機会なので、僕たちは全員100%全力を注いで取り組んでいます。舞台で演じることができれば、こんな短い時間で、ここまで充実したことはめったにないという達成感があるのではと思います。短い時間ですが仲良しになって、一緒に集まるのはこの時間しかないから、大切な時間です。

岩瀬:私はまだ学校を卒業したばかりで若く、日本に帰ってくると、ほかの人の年齢を意識しなければならないのですが、ここでも最年少です。でも誰もが、ひとりの人間でいられる特別な場所だと感じます。

冨岡:僕たちがダンスを愛する理由のひとつは、どんな境界線も越えてくれるからです。私たちの社会や文化で経験することを、お互いのバックグラウンドとは関係なく共有できます。ジェームズやトラヴィスは英国で育ち学んできたのでもちろん背景は違います。でも言葉は違っていても、ダンスという言語の共通の理解があって、日本の先輩/後輩の概念はここにはありません。ここは日本ですが、外側から言われたことや期待されたことは気にする必要がありません。これはダンスであり、ダンスは特別なものであり、ダンスにはそれ自身の言語と社会があるのです。

岩瀬:トラヴィスも、英国人で英語をしゃべっているからかもしれませんが、同等の人間として扱ってくれるのでとてもやりやすいと感じています。

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皆さん、オーディションを受けて今回参加されている訳ですが、まず、なぜこの企画に関わりたいと思ったかというところからお話していただいても良いでしょうか。

土田:僕は2年前までドイツに研修で行っていて、帰ってきてもう一回ヨーロッパに行きたいと思ったのですがコロナ禍になってしまい、しばらくは行くことが難しいと思っていたのです。日本で活動していました。拠点は東京ではなくて新潟でした。スタジオ構えながらレッスンをしていたのですが、やっぱり自分はもっと吸収したいし、アンテナを張りながら、どんなチャンスがあるか伺っていました。2月くらいに募集を見て、絶対受けたいと思ってオーディションに参加させていただきました。まさかと思ったのですが、選んでいただけたので、これは頑張りたいと思いました。

加藤2年前にファビュラ・コレクティブの公演があったときにワークショップがあり、それを受けたのです。その時に、いつかこの人たちと仕事をする機会が欲しいと思いました。今回そういう機会があったので絶対にやりたいなと思って参加してみようと思いました。

冨岡:僕は英国で育ち、日本と英国のハーフです。数年前に、半分日本人である自分について理解することが大切だと思って、日本にやってきました。英国でダンスを学んできて、多くの日本人ダンサーもそこにいましたが、彼らにとって日本には十分な仕事がないと感じていたので、その理由を知りたいと思いました。僕のルーツとカルチャーを理解するうえで、ファビュラ・コレクティブが行っている、日本と英国の間の橋渡しというのは、僕の夢、ゴールと共通点があると思いました。自分のキャリアのなかでやりたいことだったのです。作品を経験しプロジェクトに参加することは、僕のキャリア、芸術、ダンスを追求するうえで大切なことでした。日本では芸術は実際にはそれほど広まっていないので、ファビュラの活動はアーティストに機会を与えるものであり、とても重要で、尊敬できるものです。

岩瀬:ランベールに一緒に行っている日本人の友達が、ちょうどオーディションの時期だったのでオーディションのウェブサイトで調べている時に出てきて、「日本人しか募集してないんだ」って思いました。私は東京に戻ってくる予定がもうあったので、良い機会だからと思って、しかもファビュラのコンセプトが、日本とイギリスを繋げるっていうその二つの国で、私が自分のコミュニティーを持っている二つの国を一緒にするというコンセプト自体が、やりたいことをだと感じました。自分が何をイギリスに行ってトレーニングして得たのか、この公演に出ることで、後輩にも観て貰い、ほんの少しでも貢献できればと思いました。

冨岡:もしこの公演に来て、この舞台を観ることができれば、世界的に知られている国際的なアーティストたちが参加している様子を見に行くことができます。日本のカンパニーで、このレベルのダンサーたちとともに踊ることができるのは、とても大切なことです。3公演しかありませんが、観に来るお客様がいるわけで。この高いレベルの舞台が行われたことで、これが日本でできたということは、何かの大きなきっかけになりえると、理想主義者の僕は思います。だから頑張るしかありませんね。

岩瀬:今回こうやって日本人の方と海外のアーティストと一緒にできるっていうのが、なかなか難しいことです。外から公演を持ってきました、というのではないものを。舞台を観る方がどういう風に感じるか。評価じゃないけど見ている人が本当に感じるものって何だろうか、考えています。

冨岡It’s the beginning

岩瀬:この舞台が終わったら、スペインのバルセロナのカンパニーに入ります。もう少し学ぼうと思っています。あと一週間しかないのは寂しいですね。あっという間ですね。

塚本:今回はコロナ禍ということで観客のキャパシティが50%となっています。だからフルにはできないのですが、フルであることが重要なのではなくて、できることと、行うことができたことが大事です。実施できたことを大切にして。最初の一歩だと思っていただければと思います。

Fabula Collective presents『HUMAN.』

 
【上演プログラム】
『レディマクベス』(初演)
振付:クリストファー・マーニー
音楽:ジョナサン・エミリアン・ヘック
出演:チラ・ロビンソン、バリー・ドラモンド、マーク・サマラス

『Everything Would Be Nonsense』(初演)
振付:トラヴィス・クローセン=ナイト
音楽:サイモン・マッコリー
出演:冨岡カイ、加藤美羽、土田貴好、岩瀬斗羽

『ドリアン・グレイ』(初演)
振付:ジェームズ・ペット
ドラマトゥルク:ベン・ルイス
音楽:ショーン・ペット
出演:ジェームズ・ペット トラヴィス・クローセン=ナイト
 
■公演日程:
2021年
8月28日(土)19:00 開演
8月29日(日)12:00/17:00 開演
各回、公演終了後、トークあり
ロビー開場:開演45分前 客席開場:開演30分前
 
■会場:
新国立劇場 小劇場
〒151-0071 東京都渋谷区本町1-1-1
京王新線(都営新宿線乗入れ)「初台駅」中央口直結
 
料金(全席指定・税込):
S席 6,000円|A席 5,000円|B席 4,000円
*U24(24歳以下)S席 4,000円|A席 3,000円|B席 2,000円
 
*U24:公演当日、顔写真付証明書をご提示ください。
※未就学児童のご入場はご遠慮いただきます。
※車椅子席はS席でのご用意となります。お問合せ先へお申込みください。(介助者1名無料)
※必ずマスクを着用し、館内での手指消毒にご協力ください。
※開演後はご入場をお待ちいただく場合がございます。予めご了承ください。
※各回、公演終了後にトークあり
 
■公演特設サイト(情報有):
■お問い合わせ:
ハイウッド
TEL:03-3320-7217(平日 12:00〜18:00)
 
 
 
■関連サイト:ライター小野寺悦子さんによる、3人の振付家への素晴らしいインタビュー記事です。
クリストファー・マーニー  https://dancedition.com/post-3631/
トラヴィス・クローセン=ナイト  https://dancedition.com/post-3629/
ジェイムズ・ペット  https://dancedition.com/post-3672/
チラ・ロビンソン  https://dancedition.com/post-3670/

SPICE:英国の名作文学がダンスに~ファビュラ・コレクティブ『HUMAN.』世界初演は魂を揺さぶるトリプル・ビル (ライター髙橋森彦さんによる、わかりやすい紹介記事)

https://spice.eplus.jp/articles/291319

 
【ファビュラ・コレクティブ】
クリエイティブ・ディレクター:塚本行子
ジェネラルマネージャー:ジョージ・クック、ジョシュ・チョーク
プロデューサー:ルーシー・スミス
マーケティング:エミ・デルベネ
ファンドレイザー:メガン・マッコール・キャンベル
エグゼクティブ・アシスタント:ギャビア・チェペリーテ
プロジェクトマネージャー:阿部のぞみ 
 
【スタッフ】
舞台監督:河内 崇
照明:倉本泰史(株式会社エアー・パワー・サプライ)
音響:返町吉保(株式会社キャンビット)
プロデューサー:高樹光一郎(一般社団法人ハイウッド)
制作:平岡久美(一般社団法人ハイウッド)
グラフィックデザイン:石田 努
 
■主催:
Fabula Collective
一般社団法人ハイウッド
 
■後援:
大和日英基金
ブリティッシュ・カウンシル 日英交流年「UK in JAPAN」
グレイトブリテン・ササカワ財団
Japan-UK Season of Culture 日本文化季間 認定事業
 
文化庁「ARTS for the future!」補助対象事業

 

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