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2025/05/28

NBAバレエ団『海賊』久保紘一芸術監督、勅使河原綾乃、山田佳歩、宮内浩之、新井悠汰対談(その2)

 6月7日、8日NBAバレエ団「海賊」公演新国立劇場中劇場で開催されます。

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(c)瀬戸秀美

Part1に続き、久保紘一芸術監督と主演ダンサーの皆さんにたっぷりと語っていただきました!

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左から新井悠汰、山田佳歩、勅使河原綾乃、宮内浩之

―勅使川原綾乃さん、山田佳歩さんは本当に素晴らしい プリシパルのお2人です。山田さんが演じられるギュリナールはこのプロダクションの中で、大きな特徴ですね、普通の「海賊」だとパシャと仲良くなって、ウキウキしているみたいな軽いキャラクターですが。

久保:「海賊」は、一般的には内容があまりない。昔のABTの映像にも。ダンサーのインタビューか入ってありました。

―それのABTの映像でジュリー・ケントやいろんな人がこの海賊について語っているんですが、自分で何言っているのかわからなくなっているんです。あれ?これこういう話だっけ?みたいな。いかに作品としてはばかばかしいかっていうのを(笑)。

宮内:それだけバレエが形式だというイメージはありますよね。

久保:その形式をやっぱり表現にしたいよね。

―「海賊」だから内容を考えなくて、ただ派手な踊りがいっぱいあって楽しいな、みたいな。そんなのが多いので。そういった中で、楽しいけど、また深みもあるのがこの『海賊』ですね。

久保:だからやりがいがあったのです。その中で有名なパ・ド・ドゥが二つありますね。だから作りやすかったです、有名なものをしっかり見せればお客さんには満足してもらえるし、他はオリジナルで作りました。

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(c)瀬戸秀美

―このプロダクションのギュリナールってとても切ない役ですね。報われない愛があります。こういう役を演じるって、なかなかのものですよね、

久保:最後は彼女は死ぬことによって自分の尊厳を守るんですよ。。自分らしくあることっていうのを貫き通すから、

―そういう意味では今っぽいですよね。

久保:より現代的に再解釈したんです。それが、ただの男女の愛じゃないっていうのもポイントで。コンラッドも結局。自由に振る舞っているけど、実は彼の内面は自由じゃないんですよ。で、そこをギュリナールは見抜くのです。

―先ほどのパ・ド・ドゥはとても見応えがあって。ドラマチックでちょっと切ないみたいなところがあって。ここを踊られていていかがでしたか?

山田:今回ギュリナール役が2回目で、前回初めて演じさせてもらいました。その時は主要キャストに入ったのも初めてで。だから、ただがむしゃらに先輩たちの踊りを見て、ただひたすらにやって、やることはやったけど、客観的にこうだったかな?と考えるところまではできませんでした。今は前回の課題だったり、リハーサルをしていくごとに、もっとここはこうした方がいいかな、音と合うよねと考えたり話し合ったりしながら演じているので、楽しくリハーサルは進めていられます。

―結構パートナー役の方とやっぱり話し合っていますか。

山田:話し合っていますね。キャストによってパ・ド・ドゥの間だったり、演技の間だったりもと全然違う、なるほどと思うし、それは本当、キャストごとに違う。どのキャストも楽しめる作品になっています。

―だから見たい方はぜひ全キャストを観ましょうっていう話ですよね。皆さん違った魅力が。先ほど見ていても、それぞれ演じ方の違いがあったので、すごく面白いなと思いました。自分を貫くんだけど、でも愛のために命を捨てるみたいなところがありますよね。

久保:実際にできるのですかね(笑)。いざその立場になったら、撃たれちゃった、すまんってなりそうで(笑)。

―ギュリナールの愛は尊いですよね。

久保:実際もそうなれるようにね。悠汰に何かあったら(笑) 悠汰は襲われても負けなさそうですよね。

―一網打尽にできそうです。ここのバレエ団の男性は皆さん強いと思うので負けないと思います。NBAバレエ団のみなさんはテクニックが強いですね、男女問わず素晴らしくて見ごたえありますよね、皆さんやっぱり夜な夜なトレーニングしているのですか?

勅使河原:してないですね(笑)

―綾乃さんは、最強ですもんね。毎回見るたびに、なんでこの人こんなに回れるんでしょうと思っているんです。勅使川原さんの素晴らしいテクニックの秘訣は何だろうっていつも思って見ています。

久保:家で体幹を鍛えるトレーニングはしているの?常にプランクしながらご飯食べる?休むのも大事ですよ。

勅使河原:プランクも逆にしなくしたんです。自分の踊りの、いい部分と悪い部分を、指導していただくので、その中でうまく変化をさせていかなくてはいけないっていうところで、今までやってきたことを少し変えて。役やキャラクターによってもそうなのですけど、それを出せるようにということで、ブランクは今はやっていません。

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(c)瀬戸秀美

―メドーラも大変な役ですね。

勅使河原:今回演じるのは2回目です。1回目に初めて演じた時には、見ているのとやるのと全然違っていました。どうしてああいう動きになっているのだろう。どうして今はこんな風に少し悲しんでいるのだろう。弱い部分がメドーラにもあると思っていて、そこが一瞬見えるのに、また心が開き直って、コンラットに手を置くとか、ちょっとしたところで、もうわけがわからなくて、メドーラの心を理解できているのかわからないのですが。

久保:さっきのABTの話じゃないけど、うちの歴代の主役もこれをどう持っていったらいいのだろうか、というのをよく聞いていたそうです。

勅使河原:そこはもう1回目で、自分のその最大限の思考を使って、自分の中でストーリーが成り立ってないと。手出しただけでバレてしまうと思うんです。どう思っているかっていうか、途切れていることを感じてしまいます。だからそこはその時の最大限でやってきました。今二年経って、自分の映像を見て、また新しいメンバーが加わって、メドーラを客観的に見させてもらって、感じるものが新たにありました。いただいた新たな紘一さんの言葉でのメドーラの印象、人柄から深掘りして、メドーラ像をまた作りたいっていう気持ちがあります。

―綾乃さんならではのメドーラ像がそこにあるという。メトーラはいい役ですよね。

勅使河原:女性の鑑みたいな。

久保:強さもあるわけですよ。

勅使河原:その強さがないと、コンラッドの相手にはいられないですね、

久保:帰ってきたと思ったら、またすぐ行っちゃうわけですよね。もしかして死ぬかもしれない。

―「海賊」はバージョンによっては、最後に難破して、最後2人だけ生き残るとか、そういうバージョンもありますよね。

久保:原作ではメド―ラは身を投げて自殺したわけです。悩んだんですよ。どうやって終わりさせようか。原作に寄せすぎても、これ救いがないよねってなって。それで後半少し変えたのです。

―メド―ラはそういった意味で強さがある役ですよね。

勅使河原:ゆるぎない強さ、

―やっぱり揺るぎないテクニックを持っていらっしゃるから。

勅使河原:グラン・パ・ド・ドゥは、いろんなとこでやっているし、いろんな人が踊っていて。でも全幕で見たことがない人は多いです。さっき言ったように役で踊ると違ってきますね。初めて私も全幕を見た時に、こういう人がこのグラン・パ・ド・ドゥを踊っていると思ったので、踊りで見せないと全幕の意味、その役は通して伝えないといけないと思っています。

久保:あとは、ロングランできるようにね。

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(c)瀬戸秀美

―本当に面白いので、見れば良さがすごく伝わる作品なのでたくさんの方に見ていただきたいと思います。いろんなキャラクターがいるから面白いですよね。

久保:他にも、キャラが立っているビルバンドとかそうですよね。アリは今回は感情的に何かがあるわけではないのだけど、テクニックで見せるキャラクターだし。ビルバンドがまたクセが強いのです。

<リアリティがあって、ワクワクするバレエ>

―この作品のおすすめポイントをお話してください。

宮内:バレエ団の作品全般ってなっちゃうけど、でも『海賊』はさっき紘一さんがおっしゃったように、原作からもう一から作り直しているしリアリティがあります。古典バレエの形式を残しつつ、伝わりやすいリアルなバトルとか音で、リアリティっていう部分も兼ね備えている。飽きないバレエ。賛否両論あるかもしれないけど、僕はすごく賛成派、すごく好きですね。このNBAの『海賊』もリアリティを強く作っている海賊です。僕、新垣さんの曲が大好きで。聞いているだけで、ワクワクしてくるんです。最初のパ・ド・ドゥ、あそこ一番緊張してやりづらいです。突然。メドーラが踊り出して、僕が出てって、コンラッドとパ・ド・ドゥやって、そこからあの新垣さんの音オープニングの曲になります、本当はあれ、最初に聞きたいんですよ。うわーってなる。

久保:最初の一発目も新垣さんの曲です。

宮内:盛り上がり的にメインテーマ。カッコいい曲のやつ。あれ聴いてからだったら、出ているから、そういうシーンを、全体を想像して盛り上がるところ、喜怒哀楽全部が入っていると思います。こんな感じだっていうのを想像しながら、一発目、マント持って出ていけたら。そこから積み上げていきたいですね。目の前の一個一個。

―ああいう最初にこう、舞台の上にパンって出てくる役って大変ですよね。

宮内:でも僕は好きですね。マントつけているし。ワクワクします。

音楽の新垣隆さんを迎えてのリハーサルの模様もある動画です。新垣さんによるオリジナルの音楽は非常に美しいです。

【NBA 海賊】久保紘一 × 新垣隆|『海賊』音楽の舞台裏

<愛が駆け巡っている>

勅使河原:今ぱっと浮かぶのは、ドラマです。ドラマ。愛が駆け巡っている。ドラマを感情移入してもらえるように作品を伝えたいっていうのが一番。なかなかない女性同士の場面。それを起こしたのはなぜだっていうのまで、見せられたら。だからNBAの『海賊』ならではの世界観をお出ししたいですね。

宮内:メドーラって難しくない?って思うのですけど、僕はコンラッドで良かったみたいな。

勅使河原:秘めている役ですね。

宮内:サンチョ・パンサみたいな役ではない(笑)。

勅使河原:手を出すだけで、感情を表現するのが一番難しいんですよね。それで伝えないといけない。パとパの間の間って、自分の思考で考えないと生まれないと思っているんです。

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2024年『ドン・キホーテ』公演より(勅使河原綾乃、北爪弘史、山田佳歩)

―教えてもらう部分以上のものがあるんですね。

勅使河原:自分で矛盾がないように作らないといけない。そこが自分の中ではメドーラのキーとなっている部分だと思っています。そこを大切に。

久保:最後、ギルナールがメド―ラを殺そうとした時に、彼女はギュリナールさえも包み込むわけですね。

勅使河原:そのぐらいの人なのですね。

久保:そこが彼女の強さなんですよ

宮内:これは弱さじゃなくて。

久保: どんな困難にも屈せず、愛と自由のどちらも諦めない、その芯の強さです。

勅使河原:メド―ラに学びます。

久保: 知らないうちに転がされそうだよね。気づいたら全部彼女の言う通りになっているな。実は彼女の意思のままに家庭が作り上げられていた(笑)

山田:ギュリナールってこの海賊のキーパーソンだと思うのです。2時間の作品の中で、ギュリナールの感情の変化がすごく現れている作品でもあって。ギュリナーラの感情の変化によっていろんなことが起きます。コンラッドに恋したり、パシャから裏切られる場面だったり、そこからコンラッドに惹かれていく場面だったりという、その変化がすごく激しい。いきなり変わってしまっても、物語がつながらなくなってしまうので、さっき勅使河原さんもおっしゃっていたんですが、動きと動きの間や、演技と演技の間をもっと大事にしていきたいって思います。最後の女同士の最後の戦いに、なんでここで今争っている、戦っているんだろうって、すんなりお客さんが物語に入ってくれるように、これからもっと演じ、修正していきたいと思います。演技の変化だったり間だったりという部分が見どころです。

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(c)瀬戸秀美

―残り一ヶ月半に細かく詰めていくっていう感じですよね。

勅使河原:結構1回やっただけでも感情が伝わってくるんですよ。この時に何を言っているのかって、こっちはこっちの想像ですけど、言葉ではもらってない。でも、それが伝わっているのを会話でお見せしないといけないので。

―女性同士のそういう感情のところの部分っていうのもこれから深めていかれるのですね。

久保:ただ女性同士がコンラッドを奪い合う戦いというわけじゃない。もっと深いところがあります。

新井:NBAの『海賊』、どの作品もそうなのですが、テンポ感が大事です。長い作品をギュッと濃縮した公演、作品を出しているので、そこが見どころの一つだと僕は思っています。だからこそ、ダンサー一人一人が生きているのも表現しなきゃいけないし、それは難しいんですが、みんなで切磋琢磨して、一丸となって作り上げることをこれからしていきたいと思います。

―踊りの部分はもう皆さん完成しているので、そこから先のところですね。見ている人にどう伝わるか。

久保: とても大変だと思いますよ。僕も踊っていたからわかるのですが、踊るだけでも大変なのに伝えるのはさらに大変です。

―そこからさらにいろんな感情を乗せていっているわけですね。

久保:ダンサーも言っていたけど、伝わらない場合もあるわけじゃないですか。そこがすごく難しい。独りよがりになって、俺はこう感じるんだって言っても、お客さんが感じなければ意味がないわけで。見せ方の研究をしないといけません。だからこそ、お客さんも対価を払って見に来ているので、感動して帰ってもらえるよう、最後まで挑戦し続けないといけませんね。

―本当に面白い作品なので、ぜひ皆さんに観ていただきたいと思っています。楽しみにしています。いろんなキャストを見ないと。若手の方も今回、たくさん出ていらっしゃいますし初めてこの役を演じられる方っていうのもいらっしゃるので、それも楽しみにしています。

 

久保紘一芸術監督に密着した映像。久保監督のリーダーとしての考え方、バレエ団の方向性の考え方など、大変素晴らしいビジョンを持っていることが感じられます。公演数を増やして、ダンサーがバレエ団の仕事だけで生活できるようになれたら、という夢が実現しますように。

日 時

2025年6月7日(土曜日)
2025年6月8日(日曜日)

時 間

6月7日(土)開演14:00(開場13:30)/開演18:00(開場17:30)
6月8日(日)開演16:00(開場15:30)

チケット料金

S席9,900円 、車いすS席5,000円、障がい者S席7,900円、学生席2,000円(25歳以下)


※2歳までのお子様の入場はご遠慮ください。
※車いすS席・障がい者S席ご購入の方は、
直接バレエ団宛( ticket@nbaballet.org )にお問い合わせください。
※学生席・障がい者席ご購入の方は、当日学生証・障がい手帳などの証明書を拝見させていただきます。
※チケットご購入後のキャンセル・変更は承ることができません。

 

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