熊川哲也『カルミナ・ブラーナ』2021 特別収録版がオンライン限定で4月27日まで配信中
2019年にBunkamura30周年記念として初演したK-Ballet Company『カルミナ・ブラーナ』(メイキング+本編65分)が、オンライン限定配信の特別収録版として公開されています。
https://www.k-ballet.co.jp/contents/411406
https://www.bunkamura.co.jp/orchard/lineup/21_carmina_burana/
本作では芸術監督で振り付けを担当した熊川哲也が特別参加していて、カリスマ性たっぷりの存在感と、衰えを感じないシャープで惹きつけられる踊りを見せてくれています。
劇場体験を知る観客をも唸らせる映像プランを実現すべく、作品を活かすアングルの検討を行い、 ドローンやクレーン、舞台上に設置した4Kカメラ など、舞台撮影の常識を超えた環境を整えて制作した超大作です。コロナウィルス禍に苦しむ人類に向けて、希望を与えてくれる力強いメッセージ性のある作品に仕上がりました。
先日行われた完成披露特別試写会に参加しました。
2019年の初演版では、中村祥子演じる女神フォルトゥナが産み落とした子供が、悪魔の子アドルフであったという設定でした。この悪魔の子がもたらす災厄に人々が立ち向かうという物語です。今回は、「HUMANITY AGAINST COVID-19」というテーマが与えられました。フォルトゥナは舞台には登場せず、代わりに冒頭から熊川哲也が登場し、悪魔の子に翻弄されながらも、再生をもたらす希望となります。悪=コロナウィルスというわけです。
冒頭のシーンはドローンを駆使したダイナミックな撮影で、熊川さんと、その背後にチラチラと見え隠れする関野海斗演じるアドルフを正面からとらえた迫力の映像で心をわしづかみにされます。熊川さんの唯一無二のカリスマ性は言うまでもありません。関野さんは小柄ですが、少年の面影を残しつつも、悪魔的で妖しい存在感が強烈で、ヴィルトゥオーゾ的な華麗な踊りも強い印象を残します。
このほか、長身で男性的な高橋裕哉の「太陽」、魅惑的な小林美奈の「ヴィーナス」、セクシーな堀内將平の「ダビデ」、重厚な遅沢佑介の「サタン」、おなじみローストスワンのテーマ で踊る愛らしい成田紗弥の「白鳥」、神父の装束が似合う石橋奨也の「神父」など、K-Balletの個性的なソリストが魅力を発揮しています。群舞のフォーメーションもとても凝っており、その変化の様子がよく捉えられているのも、映像作品ならではの強みです。
ナチスを連想させるアドルフという役名は、なかなかデリケートなテーマになってしまいますが、この曲が作曲された時代の絶対悪を象徴したもの。「音楽を見抜いて可視化していくことを一番重視した」という熊川さんの作品の構成力とオリジナリティはさすがです。舞台の上に観客もいるように感じさせる至近距離や群舞の全景をとらえるような上空からの撮影などもあり、今までのバレエ映像では見られなかったような、ライブ感を体感できる大迫力です。今回は配信のみですが、映画館での上映も実現するといいなと思いました。
音楽的にもとても充実しています。オーケストラ、合唱、ダンサーを含めると250人もの出演者がおり、合唱はコロスとして動きも担当します。ソリストもソプラノ今井実希、バリトン与那城敬、カウンターテノール藤木大地と一流の歌手を起用しており、独唱は聴きごたえがあります。特に与那城さんのつややかな声には聴き入りました。
この試写会では、熊川哲也さんの会見もありました。この中で、熊川さんは、「ライブは何物にも代えがたい。人間が生きていく上での栄養でもある。だけど、今回は生には勝てないけれども負けない映像が出来上がりました。リアルを追求するために妥協しなかった。トータルな映像作品としては完璧の領域に近いものです」と自信たっぷりに語りました。
久しぶりに自ら舞台に立って踊った熊川さんは、「意外と踊れる」と感じたそうで、これからも機会があれば舞台に立ちたいと語っていました。
興行を行ったのほうが良いのでは、とも思ったとのことですが、このコロナ禍で密を避けた状態で、この時だからこそ発信できることをしたいと考えたそうです。
「作品力が強いので、観客を操り人形にしてくれる」し、どんな環境で観ても観客を飽きさせない映像になっていると自信を見せました。実際、上映時間があっという間に過ぎるのを感じさせるほどの力強い作品です。できれば大きめの画面で観られるとベストかと思います。
【MY Bunkamuraからの購入】
■一般視聴券
料金:5,300円
販売期間:3月29日(月)10:00 ~ 4月27日(火)22:00まで
配信期間≪長期間配信≫:3月29日(月)19:00~4月27日(火)23:59
購入ページ:https://mybun.jp/carmina2021(外部サイトに移動します)
※配信期間の間は何度でも視聴可能
【イープラスからの購入】
■一般視聴券(国内配信)料金:5,300円
販売期間:3月29日(月)10:00~4月4日(日)22:00
配信期間:3月29日(月)19:00~4月4日(日)23:59
購入ページ:https://eplus.jp/carmina-burana/
■一般視聴券(海外配信/English ver.)
料金:5,300円*JPY
販売期間:4月21日(水)19:00 ~ 4月27日(火)22:00(日本時間)
配信期間:4月21日(水)19:00 ~ 4月27日(火)23:59(日本時間) *配信期間の間は何度でも視聴可能
購入ページ:https://ib.eplus.jp/carmina_brana
《作品概要》
熊川哲也『カルミナ・ブラーナ』2021 特別収録版(メイキング+本編65分)
【 出演 】
アドルフ:関野海斗
太陽:髙橋裕哉
ヴィーナス:小林美奈
ダビデ:堀内將平
サタン:遅沢佑介
白鳥:成田紗弥
神父:石橋奨也
特別参加:熊川哲也
ほか K BALLET COMPANY
【 指揮 】 井田勝大
【 ソリスト歌手 】 今井実希(ソプラノ)、藤木大地(カウンターテナー)、与那城敬(バリトン)
【 合唱 】 新国立劇場合唱団
【 児童合唱 】 NHK 東京児童合唱団
【 管弦楽 】 シアター オーケストラ トーキョー
収録/Bunkamura オーチャードホール 2021 年 2 月
映像制作/ TBS
収録時間/メイキング+本編65 分
主催:Bunkamura 特別協力: NTT 東日本
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