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2020年7月

2020/07/24

作曲家ハチャトゥリアンの実話を描いた映画「剣の舞 我が心の旋律」7月31日公開

第二次世界大戦下のソ連を舞台に、ロシアの音楽界を代表する巨匠、作曲家アラム・ハチャトゥリアンの若き日を描いた感動の実話「剣の舞 我が心の旋律」が7/31より公開されます。

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https://tsurugi-no-mai.com/

ハチャトゥリアンといえば、現在もコンサートでの演奏回数は屈指の名曲『剣の舞』を始め、浅田真央さんのバンクーバーオリンピックでメダルをもたらしたスケートプログラムでも有名な『仮面舞踏会』そしてボリショイ・バレエが今年予定されている来日公演で上演する『スパルタクス』など、数々の名曲を生み出した巨匠。実はこの『剣の舞』はわずか一晩で書き上げられたということで、その作曲にいたるまでのエピソードがこの映画です。

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<ストーリー>

 第二次世界大戦下のソ連。疎開中のキーロフ記念レニングラード国立オペラ・バレエ劇場は、10日後にお披露目するバレエ『ガイーヌ』のリハーサルに集中していた。しかし、アラムは振り付け家のニーナから修正を求められ、その上、文化省の役人プシュコフから曲を追加せよと難題を命じられる。過去にアラムとトラブルを起こしたプシュコフは、周囲を巻き込み復讐のチャンスを虎視眈々と狙っていたのだ。作曲家としての意地とアルメニア人としての誇りを胸にアラムはピアノに向かう。様々な感情が渦巻く中、鍵盤の上でひとつのリズムが踊り始めた。

第二次世界大戦中のソビエトで、粛清が吹き荒れるなど政治的な抑圧の中。当時はまだ新進作曲家だったハチャトゥリアンが、きわめて短い期日までに、新作バレエに、政治家の意図に沿う音楽を追加せよという理不尽な命令を受け、さらに監視までつけられながら自身のルーツであるアルメニアへの想いをこめて音楽を創造します。政治的な抑圧と自身の芸術家としての矜持の葛藤がテーマとなっています。隙あらば彼を失脚させようとする役人とスパイとして送り込まれたサキソフォン奏者もおり、追加振付を命じられた振付家とも衝突。この時代なので失敗すれば粛清か戦争の最前線に送られてしまうという絶対絶命のピンチで、ハチャトゥリアンは病気にもなってしまいます。

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緊張感あふれる描写の中、ひと時心を和ませてくれるのは、盟友である作曲家ショスタコーヴィチオイストラフが、陣中見舞いに来てくれたこと。3人の音楽家が楽団の演奏に飛び入りし、音楽談義をして楽しい時を過ごすシーンは非常に印象的です。

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バレエ作品の初演について描かれている作品なので、バレエシーンもところどころ挿入されています。これから最前線に送り込まれてしまう兵士たちのために、ダンサーたちが踊るシーンは切ない。そしてクライマックスの『剣の舞』は勇壮で大迫力の情熱の踊りが展開します。ハチャトゥリアンに想いを寄せるバレリーナ、サーシャも主要な登場人物として登場。もう一つのハチャトゥリアンの代表曲である「仮面舞踏会」が流れる中の二人の会話は、純粋な愛情と音楽の美しさが融合して何も起こらないのにとてもドラマティック。バレエファンにとっても当時の雰囲気が伝わってきて大変興味深いと思います。実際の撮影はハチャトゥリアンゆかりのアルメニア、エレバンの劇場で行われたとのこと。

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結果的にバレエ『ガイーヌ(ガヤネー)』の初演は大成功をおさめ、ハチャトゥリアンは巨匠への階段を昇って行くものの、その陰で涙を流し、押し潰されて散っていった人々の姿も描かれて苦さも残ります。また、映画『アララトの聖母』でも描かれた、トルコ軍による大虐殺という悲劇に見舞われたアルメニアに寄せるハチャトゥリアンの想いは胸を打ちます。

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バレエ『ガイーヌ(ガヤネー)』は現在では上演回数は少なくなってしまっていますが、作品が作られた経緯については、赤尾雄人さんの著書「これがロシア・バレエだ!」に詳しく書かれています。『剣の舞』パートはボリショイ・バレエ学校の来日公演やモスクワ音楽劇場バレエの来日公演で上演されたこともあるとのこと。振付は、ワイノーネン振付『パリの炎』の初演でテレーズ役を踊ったニーナ・アシ―ニモワ(キーロフ劇場の元キャラクターダンサーで、『ガイーヌ』の台本を書いた演劇学者コンスタンチン・ジェルジャーヴィィンの妻)。

初演は1942年12月9日、キーロフ劇場の疎開先であるモロトフ(現ペルミ)の劇場です。主役ガヤネー役はナタリア・ドゥジンスカヤ、アルメン役はコンスタンチン・セルゲーエフでアシーニモワも出演しました。初演は素晴らしい主演陣によって踊られ大成功を収めましたが、戦意高揚的な内容はやがて時代遅れとなり、1953年にボリショイ劇場で上演されるにあたってワイノーネンが振付けて大幅に改定され、音楽も全曲の3分の1をハチャトゥリアンが新しく作曲したとのことです。その後も新しい演出による上演がモスクワ音楽劇場、レニングラード・マールイ劇場、モスクワ国立クラシック・バレエなどで行われ、そのたびにハチャトゥリアンは手を入れたとのことです。

(これはボリショイ劇場、1964年の上演のワイノーネン版の映像で、ハチャトゥリアン自身が指揮しています)

(こちらはマリインスキー・バレエでの上演で、オリジナルのアシーニモワ振付。イスロム・バイムラードフ、カレン・イオアニシアンなどが出演、指揮はワレリー・オフジャニコフ)

アルメニア国立バレエ団が、マリインスキー劇場の白夜祭で上演した「ガヤネー」全幕。Vilen Galstyan振付、演奏はマリインスキー管弦楽団。

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<出演>

アンバルツム・カバニャン(アラム・ハチャトゥリアン)
ヴェロニカ・クズネツォーヴァ(サーシャ)
アレクサンドル・クズネツォフ(プシュコフ)
アレクサンドル・イリン(オイストラフ)
イヴァン・リジコフ(ブラーギン)
インナ・ステパーノヴァ(ニーナ・アニシモワ)
セルゲイ・ユシュケーヴィチ(デルジャーヴィン)

<スタッフ>

監督・脚本:ユスプ・ラジコフ
プロデューサー:ルベン・ディシュディシュヤン、カレン・ガザリャン、ティグラン・マナシャン
撮影技師: ユーリ・ミハイリシン
編集: デニス・ルザーノフ
音楽: アレクセイ・アルティシェフスキー、アンドラニク・ベルベリャン
配給:アルバトロス・フィルム

さて、私はこの映画の推薦コメントを寄せさせていただいています。バレエダンサーの柄本弾さん(東京バレエ団)、宮尾俊太郎さん(K-Ballet Company)、作曲家の池辺晉一郎さんなど錚々たるメンバーの中で大変恐縮していますが、大変な時にあっての芸術の素晴らしさと言論/表現の自由の大切さを謳っている素晴らしい作品なので、ぜひ音楽ファン、バレエファンはじめ多くの方に観ていただければと思っています。

永遠の名曲、美しくも勇壮なバレエの誕生秘話。ハチャトゥリアンの、芸術家としての、そして人間としての苦悩、政治と時代のうねりに押しつぶされていった名もなき芸術家たちの涙を、情熱みなぎる描写で、真摯に描く。
音楽を、芸術を、そしてバレエを愛する人に、今の時代だからこそ観てほしい、魂に深く響く名作。
森 菜穂美

劇場情報

7月31日(金)公開

新宿武蔵野館

kino cinema 立川高島屋 S.C.館

kino cinema 横浜みなとみらい

名演小劇場

他 シアター・キノ、テアトル梅田、京都シネマ、シネ・リーブル神戸、KBCシネマなど全国順次公開

 

2020/07/20

山本康介さん『英国バレエの世界』独占ロングインタビュー

英国バーミンガム・ロイヤル・バレエで10年間活躍してファースト・ソリストとなり、日本に帰国後はローザンヌ国際バレエコンクールなどテレビ番組の解説者、指導者、振付家として幅広く活動している山本康介さん。温かい人柄がにじみ出るわかりやすい解説でもおなじみです。コロナウィルス禍の緊急事態宣言の際にはInstagramで平日レッスンを自宅から配信し、的確な指導と美しいお手本で大好評を博しました。トップのプロダンサーからダンサーの卵たちまで、千人を軽く超えるダンサーたちが毎回参加していました。

 

その山本さんが、10年間の英国での経験と、帰国後の10年で切り開いていった類のない道のりから得た知見をつづった著書、『英国バレエの世界』(世界文化社)が出版されました。山本さんの明るく柔らかい声が聞こえてくるような親しみやすい言葉で、バレエの本当の魅力が語られ、この本を読み終わった時には知識だけでなく、心が豊かになった気持ちになるような快作です。

山本さん自身の道のり、英国バレエの歴史―偉大な振付家やダンサーたち、そして英国バレエの特徴。また本場英国の名門でダンサーとして踊ってきた山本さんの視点ならではの英国的な作品の魅力が実感を伴って語られています。今の日本のバレエ教育の問題点、振付家や解説者という立場だからこそ語ることができる本質ももちろんですが、ダンサーとしての経験に裏付けられた、踊る上でバレエの歴史や作品の背景を知ることの大切さが説かれています。

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手に取りやすいサイズ、シンプルでシックな装丁、わかりやすく見やすい注釈、持ち歩いて繰り返し読み返してみたい豊かで素敵な一冊です。バレエを学ぶ若い人から、バレエを観るのが趣味の大人、そして指導者まで多くの方たちに読んでいただきたい、バレエへの愛が詰まった宝石のような本です。

その山本さんに、この本を作るにあたっての想いを語っていただきました。

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「バレエの正しい認識を持って、奥が深いものを感じ取っていただけるようにしたい」

Q: この本『英国バレエの世界』を作るにあたってこだわったポイントは?

山本 「最初は漠然と本を出したいという気持ちはありました。ぼくが今解説という仕事をしているのは、みんなに正しい認識を持ってもらいたいからです。引っ越し公演で日本に来ると、芸術全体の形を観に来ているというよりも、トウシューズを履いているとか、たくさん回っている等、バレエの一部分に目が行きがちなのかな、と感じていて……。総合芸術に対する認識がヨーロッパとは違うと思いました。西側のバレエ団は、バレエ・リュスを通してみんなつながっていて、皆関係性を持っているカンパニーです。招聘公演だったり、有名なスターだったりを日本で観られるような時代になりました。だからこそ、正しい認識を持つようになって、脚が高く上がっているとか外見だけでなく、もう少し奥が深い何かを、実際に観た時に感じ取っていただけるようにしたい、と考えたのが最初のきっかけです。」

「編集の方と試行錯誤を重ねて手に取りやすい本を目指しました。実験的にいろいろやりながら、デザインやレイアウトにもかなりこだわり、今まで見たことがないような本を作りたいという気持ちで制作しましたね。コロナウィルス禍が起きるとわかっていたら、もう一章入れていたと思います。世の中における、バレエのありかたといったことを入れたかったですね」

 

バレエ界の中で、ぼくがこれまで培ってきた知識や経験を、少しでも与えられる人になりたい

Q:山本さんの、バレエそのものに対する愛も感じられますし、バレエを学んでいる人への愛も感じられる一冊になっていると思います。山本さんのバレエへの愛はどうしてこんなに深くなったのでしょうか。

山本 「ぼくのバレエに対する愛が深くなったのは、実は日本に帰ってきてからの方が強くなったのです。帰国して自分がダンサーの立場、プレイヤーから外れた時に、環境が整っていない人たちと関わる機会が、海外にいるより圧倒的に増えました。その中でも踊りたいという気持ちは実力に関係なくあるものなので応援したい。バレエ界の中で、ぼくがこれまで培ってきた知識や経験を、少しでも与えられる人になりたいと思ったのがきっかけです」

 

Q:20代で現役のダンサーを退いて、新しいキャリアへ移って行ったのはなぜでしょうか。

山本 「いつまでも踊れるわけではないと思っていました。外国のバレエ団では意外と引退が早く、30歳そこそこになると次は何しようか、と考える方も多いのです。ぼくたちも学生の頃から、セカンドキャリアを持つことが大事だと教えられてきました。自分の中でいつ辞めて次は何をしようかということを頭の中でいつも考えていました。ぼくはまだ自分にパワーがある時に、次にやりたいことがあるなら準備をしておいた方がいいと思っていました。今やっと辞めて10年目に入って、自分が漠然と何となくやりかけたことがやりたい方向に進みだしていると感じ始めているくらいでした。その矢先に、このコロナウィルス禍となってしまいました。」

「ぼくたちは、とても若い時にプロのダンサーになりたいという気持ちがないと、プロにはなれない職業です。世の中の仕組みがわかった時には、もうバレエダンサーになって何年か経っていて、どんなに成功しているダンサーでもこれで良かったのだろうか、と思う時が来ます。踊ることそれ一本でいくという人もいれば、経験を経て何を伝えるかという風にスイッチしていく人と、やはり両方いないと、誰もがバレエ団の中でバレエマスターとか芸術監督として残れるわけではありません。広い知識を持ち自分自身で世の中に目を向けることをしていないと、転職するにしてもタイミングが大事です。外国のカンパニーではキャリアのサポートはあります。ぼくは若い頃は力で踊るタイプで、そういう力があったのでできてしまったところもあったのですが、辞める前にコントロールするということをようやく学びました。自分が教えることで、たくさんのバレエのことを学びました」

 

Q:ご著書の中で、日本のバレエを輸出するために振付家・演出家が出てきてほしいと願っているという言葉に共感しました。英国で踊られていた山本さんはどうしてそのように感じられたのでしょうか。“ロイヤル・スタイルというものはない”という章も大変興味深く読ませていただきました。

山本:「昔は外国の作品を買って上演していたバレエ団は少なかったのですが、今は日本のバレエ団でも、外国の名の知れたプロダクションを借りたり衣装を新制作したりして上演するというのが当たり前になってきました。そうやってバレエを観るお客さんが増えてきた、育ってきたと思います。でもやはり日本のスタイルというものを作っていかないと、逆輸入になってきて、外国で踊ってきたからいい、外国で成功してきたからいいバレエという時代ではなくなってきたと思います。自分たちのスタイルを身につけていく時が来たと思います」

「“山本さんはロイヤル系だから”と言われてきました。“ロイヤル系じゃなくてロイヤルですよ”と答えているのですが。メソッドとしてのワガノワ・スタイルだったり、オペラ座のスタイルだったりと、昔から培ってきたものを体に叩き込んでいく中でのメソッドというものはロイヤル・バレエにはないので、いろんなものを取り入れて行ったもの、作品重視で成り立っていったのが今のロイヤル・バレエのスタイルです。そういったスタイルについての知識はとても大切なことです」

 

Q:この本の中では、山本さんが実際に踊られた、多くの英国的お勧め演目について語っておられますが、その中でも山本さんが特に好きな作品は何でしょうか?

「それは本を読んでいただいた印象にお任せしますが(笑)。本に掲載されているもの以外では、今回ページ数の関係で割愛してしまったのですが、アシュトン振付の『シンフォニック・ヴァリエーションズ』です。短編のバレエの中でも一番好きかもしれません。そしてバランシン振付の『テーマとヴァリエーション』も大好きです。『シンフォニック・ヴァリエーションズ』こそ、自然なのにダイナミック、チャーミング、そして繊細で、叙情で表す言葉がすべて入るようです。バレエ・リュスの人がこれを観たとしたら相当感激すると思います。アフターヌーンティーのような英国的なバレエです。

『テーマとヴァリエーション』は音楽との一体感が素晴らしいしクラシックバレエの豪華さもあります。踊る楽しさとクラシックバレエの豪華さが一緒になったようなバレエです。フィナーレの頂点に達した高揚感は観ていても鳥肌が立ちます」

 

Q:バーミンガム・ロイヤル・バレエではデヴィッド・ビントレー監督の作品をたくさん踊られましたね。

「バーミンガム・ロイヤル・バレエにいると、比重として芸術監督のデヴィッド・ビントレーの作品がレパートリーの約半数程度を占めていましたので、彼の作品とそれ以外とを両立させることが求められていました。現役時代は、そのバランスに疑問に思った時期もありましたが、彼自身が白いバレエやアシュトンの作品にも敬意を払っている人だったので、必然的にまんべんなくこれらの作品の大切さがわかるようになりました」

「デヴィッドの作品で観るのが一番好きなのは『ペンギン・カフェ』です。フィナーレで全員集まるのは楽しいので踊るのも好きでしたが、観ていてもテーマ性がとてもしっかりしているし、音楽もちょっと変わった感じでとても良くて、みんなに観てほしい作品です。実際に踊って好きだった作品としては『カルミナ・ブラーナ』です。音楽の持つパワーが舞台を覆って、暗い照明の中で自分が踊りたいから踊っているというよりも、力で押されて踊らされている自分を感じました。テーマも神に背く、大罪を犯すことについてのバレエです。強く背中を押されて踊っている何かをとても強く感じていました。不思議な感じで、衝撃的でしたね。ああいった演出だったりデザインだったりはデヴィッドの性格とは真逆のところがあって、彼はとても物静かで人に対して失礼なことはしないし、英国的なマナーを持った人なのに、あのような奇抜な面も持っているんだと、びっくりしました。歌の内容もわかりやすく表現していますね」

「他に踊っていて楽しかったバレエとしては、バランシンの作品は全般的に好きでした。『アゴン』などはチャレンジし甲斐がありました。海外のバレエ団はいろんな振付家の作品を踊ることができます。それでもバーミンガムは偏っている方だと思いますが。芸術監督がカルロス・アコスタになってウヴェ・ショルツやイリ・キリアンの作品もレパートリーに入りました。今このような時期なので各バレエ団も来シーズンのレパートリーが予定通りになるかわからないところがありますが。いい意味でも悪い意味でもダンサーにとって変化というのは必要なのです」

 

『ロミオとジュリエット』と『ライモンダ』を創るのが夢

Q:帰国されてからは、振付家としても活躍されており、この本の中でも作品が紹介されています。作品を創作するにあたって心掛けていることはどんなことでしょうか。

山本:「作品を振付けるにあたっては、作品を創ってみたい、という気軽な気持ちはあったのですが、やらないといけないから創ったというところで学んでいったことの方が多いと思います。やりたいことを何でもいいからやるといいよ、と言われると意外と、お料理と一緒でうまくできなかったりします。冷蔵庫の中にこの材料があるので、と決まったもので創ってくださいと言われた時の方が良いものができたりしますよね?!制限、条件がある中でできたものの方が、自分の勉強になります。

このように見せるというのは日本に帰ってきてからです。イギリスにいる時から作品は創作していましたが、日本に帰ってきてからの方が、プロ、アマチュアを問わず自分の指導者としての配分を強くしながら、そうしなければならない比重が強くなったので、それで伝えることもクラシック重視でみんなの勉強になるように作るという方向が定まってきました。最近では、瀬島五月さんに振付けた『椿姫』の評判が良かったのですが、これは再演したいと思っています」

「今後は、『ロミオとジュリエット』『ライモンダ』を創ってみたいという振付家としての夢があります。『ライモンダ』という演目がとても好きなのです。でも納得するプロダクションをあまり見たことがなくて。ヌレエフ版はセットや衣装は好きですが、少し長すぎます。ステップも詰め込まれすぎていてしんどそうだと思ったりするので、自分で創ってみたいと思っています。『ロミオとジュリエット』の方が難しそうです。マクミラン振付のものが自分の中に強く入っているので、いざ作らなければならない時にはとても悩むと思いますが挑戦したい」

 

Q:バレエを正しい形で多くの人に知ってほしいという気持ちがこの本から伝わってきます。バレエはどうしたらもっと気軽に見てもらえるようになるのでしょうか。

山本:「バレエだけでなくてどの業界の風潮からも見てみると、たくさんのお客さんの動員をするためにはコラボレーションが重要だと思います。わかりやすくかみ砕いたものと、この二つが主流になってくると思います。今の人に『白鳥の湖』を劇場の中で3時間かけて観ろと言うのは、時間や余裕がない方がたくさんいるので難しい。短めのわかりやすいものを入り口すると、きっかけになるかもしれません。オペラとバレエなど、いろんな分野の人を混ぜたような、一時期のシルク・ド・ソレイユが成功したような、あらゆる多方面の肉体的な技術に長けた人たち、パフォーマンスをする人たちにテーマ性のあるものを表現してもらう方法が成功していますね。そういうビジネスモデルが出てきているのを感じます。バレエは衣装担当や、照明の人たちもいて、音楽の演奏家も必要な総合芸術ですからお金もかかりますが、総合芸術の素晴らしさは理解してもらえるようにしなければなりません」

 

「政治、自分の住んでいるところのシステムをよく知ることも大切なこと」

Q:コロナウィルス禍で、ダンサーの皆さんは舞台にも立てませんし、稽古場でレッスンをすることもできませんが、山本さんがInstagramで毎日配信していたクラスが、そのようなダンサーたちにとても好評でした。今ではInstagramのフォロワーが7800人もいます。ダンサーの皆さんへのメッセージがあれば教えてください。

山本:「レッスンを受けられない毎日の中でも、ダンサーの皆さんの努力は素晴らしいです一日何クラス受けた、といったことを話している方もたくさんいます。たくさん受けたからといって上手になるわけではないのですが、日本人のダンサーは真面目ですね。クラスを受けてくださる方も多くてフォロワーが増えました」

「今回のコロナウィルス禍があると、舞台芸術への打撃も大きくて、すぐに元通りになるのは難しいと思います。みんなで協力できることは協力して、バレエ団の垣根を越えて誰か共通して動く人が必要だと思うので、ぼくも交流をどんどん進めていきたいと思っています。10年前にはあまり考えられなかったのですが、ぼくは今では多くの団体と仕事をさせていただいています。バレエファンも変わってきたところだと思います」

ダンサーは健康体であることが大切、それで成り立っている職業です。今は我慢して出歩かないで、医療崩壊を避けるためにも自分が病院に行かないで済むように、怪我をしないで健康体であることが大切だと思います。今回のことで皆さん考える時間はたくさんあると思うので、自分の今後の先行きとか、政治、自分の住んでいるところのシステムをよく知ることも大切だと思います。自分で今何が起きているかという情報をキャッチして、それに対してどう思うかということを社会に発信していくということ、もう少しコミュニティの中で。政治に対してもう少し関心を持つこと、それはダンサーだけでなく若い人全般に対してですが、そうしてほしいと思っています」

 

具体的にできることを自分で考えて行動を起こせることが、プロを目指すうえで大切

Q:プロを目指している若い人へのアドバイスは?

山本:「SNSなどを通して、いい情報も間違った情報も山ほど入ってきます。自分が惑わされない強さを持つこと。調べたり動いたりすることだけではなく、待つことがプラスになることもたくさんあります。自分で計画をきちんと立てること、10年後にバレリーナになりたければ、2年後にはこうなっていて、それがコンクールで賞を取るということではなくて、クラスの中でできるようになるというような。また、3年後に留学したいなら英語の勉強を1年前までに終えていないといけないとか、具体的にできることを自分で考えて行動を起こせること、それがプロになるために一番大事なことではないかなと思います」

「もちろんバレエが大好きというのは前提だと思いますが。計画通りにならないこともありますが、自分が目標を持ったからこそ、計画通りに行かなくても次が見えてくるところがあると感じます。ぼくの考えたことや経験したことが、その人に必ずしも合わないこともありますが。でも人の話は聞かないよりは聞いた方がいいと思います。指導者はやはりとても大事です。週1とか週2のレッスンだからこそ、きちんとした先生につくべきです」

 

Q:山本さんが指導をされるときに心がけていることはどんなことでしょうか。

「指導者として自分に言い聞かせていることは、絶対に怒らないことです。自分が怒ってしまったら自分が負けだと思います。子どもがなぜそう思うのか、ということを理解することで、相手が自分のいうことを聞きたい、という先生になりたいと思います」

(この本を購入された方の特典として、山本さんが指導するレッスン動画が視聴できます(上記動画のロングバージョン)。「眠れる森の美女」「くるみ割り人形」のヴァリエーションです)

 

Q: 山本さんの今後の夢をお聞かせください

「ぼくの夢としては、国際交流の懸け橋になりたいということです。ヨーロッパと日本というのはもちろんですが、アジアの中の日本というのも考えています。日本も新しい時代が来ていると思います。東南アジアにも、アフリカにも、ヨーロッパにも、とても良いプロダクションや、良いダンスを持って公演に行きたいですね。日本のバレエ団も年に一回くらい海外ツアーに行って帰ってくるくらいのことが当たり前のことになってほしいと思います。」

「コロナウィルス禍という時期なので、毎日の生活も大変だと思いますが、今はみんなで考える時期です。文化や芸術は心の栄養になるので、皆さんが収束後に劇場に足を運ぶことができるように、皆さんにも努力をお願いしたいです」

 






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緊急事態宣言発令の次の日から 平日は毎日続けてきたオンラインクラスも あと2回になりました。 その間にたくさんのメールを頂きました。 返信しきれてないのですが、ここでお礼に返させて頂きます。 コロナウィルスが無くなったわけではなく、第2波が起こらないようみんなで努めながら仕事に戻る、ここからの方が大変ではないかと思います。けれども何が大切か、皆さん今回学んだことを活かして前進していきましょう。くれぐれもお気をつけて。 ありがとうございました。 Full 8weeks of online class has finally come to an end this week. All the dancers in Japan sort of manage to work slowly back in their studios. I have had so many lovely encouraging messages over this period,and never felt this much connected with the all other dancers! Thanks and keep staying safe and healthy.

Kosuke Yamamoto(@kosuke_apollon)がシェアした投稿 -

にこやかで親しみやすい語り口の中に、バレエへの情熱と、現役ダンサーや後進へ贈る暖かい視線が伝わってきた山本さん。英国と日本での経験に裏打ちされながらも、そこに留まらない幅広い視点で今の日本のバレエ界に欠けているものをしっかりと見据えられていました。山本さん以上に、バレエの伝道師として活躍してほしい方はいないと思うほどです。『英国バレエの世界』ぜひ手に取って持ち歩き、繰り返し愛読してほしい一冊です。

2020/07/19

NHK-BSプレミアムシアターでロイヤル・バレエ「ダンシズ・アット・ア・ギャザリング」と「ザ・チェリスト」7月19日に放映

7月19日(日)にNHK-BSのプレミアム・シアターで

英国ロイヤル・バレエ「ダンシズ・アット・ア・ギャザリング」と「ザ・チェリスト」、そして再放送ですがミラノ・スカラ座バレエの「海賊」が放映されます。

https://www4.nhk.or.jp/premium/

当初、ロイヤル・バレエ「ダンシズ・アット・ア・ギャザリング」と「ザ・チェリスト」は、ロイヤル・オペラハウス・シネマ・シーズンのラインナップとして5月に劇場公開される予定でしたが、コロナウィルス禍で映画館がすべて閉まってしまったということもあり、5月には上映できず、結局諸般の事情により劇場公開が今回見送られてしまいました。

映画館の大画面で観られないのは残念ですが、ぜひこの機会にテレビ放映をご覧ください。(放映が好評で映画館でのアンコール上映の可能性はあるかもしれませんね→別途ご紹介しますが、8月~9月には「コッペリア」と「眠れる森の美女」の映画館再上映が行われます。)

 


 

「ザ・チェリスト」は、「ジェーン・エア」やヴィクトリア女王を描いた「ヴィクトリア」など物語バレエに定評があり、デンマーク王立バレエやアメリカン・バレエ・シアターなど世界中のバレエ団からの依頼が絶えない振付家キャシー・マーストンが英国ロイヤル・バレエのために振付けた新作。難病に斃れた実在の天才チェリスト、ジャクリーヌ・デュ・プレの生涯と音楽への愛を描いている。チェリスト役には、ロイヤル・バレエを代表するプリンシパル、演技力にも定評のあるローレン・カスバートソン。チェリストと結婚し一世を風靡した指揮者(名匠ダニエル・バレンボイムがモデル)役に、マシュー・ボーン「白鳥の湖」に主演し、映画版「ロミオとジュリエット」での熱演も記憶に新しい人気プリンシパルのマシュー・ボール。ジャクリーヌが愛したチェロをダンサーが演じるのも注目点で、音楽の魂と言うべきチェロを、鮮やかなテクニックと強烈な存在感のマルセリーノ・サンベが演じて絶賛を浴びた。エルガーのチェロ・コンチェルトなど、デュ・プレを代表する名曲の数々が奏でられ、音楽をバレエで表現するマーストンの巧みな手腕が、天才の悲劇的な人生をドラマティックに綴る。


ダンシズット・ギャザリングは1969年にニューヨーク・シティ・バレエのためにジェローム・ロビンズが振付けた。ショパンのピノ音楽に触発されたこの作品の一部をスタジオで見たジョージ・バランシンは、「もっと長く、ポップコーンのように作って」と指示したという。
結果的に、これは10人のダンサーによる1時間の作品となった。ショパンのマズルカ、ワルツとエチュードは作曲された当時革新的なものだった。ショパンの故郷であるポーランドのスラブ的な性質と共に、それらが作曲されたパリのエレガンスも内包している。ショパンの18のピノ曲を使用した本作は、様々なデュエット、ソロ、そして群舞から構成されている。
「このバレエは音楽とそれが作り出すものの時制に存在している」とロビンズはこの作品について書いた。「それ以上のものはないと私は思う。すべてのジェスチャーと雰囲気、ステップは音楽の時制の素材とそれが私に意味するものの一部である」
ダンサーたちの役名は、それぞれが着用している衣装の名前によるもので、衣装デザイナーのジョー・ユーラが役に合わせて色を選んだ。 ユーラはメリカの高級ブランド、ホルストンのクリエイティブ・ディレクターに初演の一年後に就任した。

マリアネラ・ヌニェス、フランチェスカ・ヘイワード、ラウラ・モレーラ、ヤスミン・ナグディ、フェデリコ・ボネッリといったスターダンサーが競演する中で、『眠れる森の美女』の映画館上映で主演しスターへの階段を駆け上る金子扶生の存在感にもぜひ注目を。




◇英国ロイヤル・バレエ『ダンシズ・アット・ア・ギャザリング』
                                      『ザ・チェリスト』

◇ドキュメンタリー
「ジャクリーヌ・デュ・プレとエルガーのチェロ協奏曲」
(1982年 イギリス)※1967年制作のドキュメンタリーの再編集版
【オリジナルの音声はモノラルです】

◇ミラノ・スカラ座バレエ『海賊』【再放送】




◇本日の番組紹介(23:20:00~23:24:00)
ナレーション: 水落幸子(みずおち ゆきこ)


英国ロイヤル・バレエ「ダンシズ・アット・ア・ギャザリング」「ザ・チェリスト」


◇英国ロイヤル・バレエ「ダンシズ・アット・ア・ギャザリング」(23:24:00~0:37:00)
                                      「ザ・チェリスト」(0:37:30~1:45:30)

<演 目>
「ダンシズ・アット・ア・ギャザリング」
振付:ジェローム・ロビンス
音楽:フレデリック・ショパン

<出 演>

「ダンシズ・アット・ア・ギャザリング」
振付:ジェローム・ロビンス
ロビンス財団の許諾を得て上演
音楽:フレデリック・ショパン
振付指導:ベン・ヒューズ

ピンク マリアネラ・ヌニェス
モーヴ フランチェスカ・ヘイワード
アプリコット ヤスミン・ナグディ
グリーン ラウラ・モレーラ
ブルー 金子扶生
ブラウン アレクサンダー・キャンベル
パープル フェデリコ・ボネッリ
グリーン ウィリアム・ブレイスウェル
レンガ アクリ瑠嘉
ブルー ヴァレンティノ・ズケッティ


<演目>
「ザ・チェリスト」(世界初演)
振付:キャシー・マーストン
シナリオ:キャシー・マーストン、エドワード・ケンプ
音楽:フィリップ・フイーニー
ドラマツルギー:エドワード・ケンプ

<出 演>

チェリスト(ジャクリーヌ・デュ・プレ)ローレン・カスバートソン
楽器 (チェロ) マルセリーノ・サンベ
指揮者(ダニエル・バレンボイム)マシュー・ボール

チェリストの少女時代 エマ・ルカノ
姉の少女時代 ローレン・ゴッドフリー
母 クリステン・マクナリー
父 トーマス・ホワイトヘッド
姉 (ヒラリー) アナ・ローズ・オサリヴァン
チェロ教師たち ギャリー・エイヴィス
ニコル・エドモンズ、ベンジャミン・エラ
音楽界の友人たち アクリ瑠嘉、ポール・ケイ、ジョセフ・シセンズ
チェロ・ソリスト ヘティ・スネル

英国ロイヤル・バレエ団
<管弦楽>英国ロイヤル・オペラ・ハウス管弦楽団
<指 揮>アンドリア・モリノ

収録:2020年2月25日 英国ロイヤル・オペラ・ハウス(ロンドン)

(エドワード・ケンプ チェリストの物語)

チェロが弾かれないまま横たわっている。
過去の演奏会の響きに呼び覚まされ、チェロは偉大な演奏家の物語を語り始める
小さな女の子がチェロの音色を聴いて恋に落ちた
母がチェロを教え始めた。女の子のあふれる才能が母の教えを超越するまで
新しい教師が、比類なき音楽家たちとの出会いをもたらし、指揮者に出会う
指揮者は同僚となり、ソウルメイトとなり、音楽によって二人の愛は駆り立てられた
二人はセレブレティとなり、多くの録音によって名声は高まった
結婚して、旋風のように世界中を旅してツアーし、コンサートを開いた
チェリストが力を失い、ついて行けなくなり、二人の関係が壊れ始めるまで
チェリストは疲れただけでなく、病気だったから
病はチェリストの神経を破壊し、キャリアを断ち切り、最後には命までも奪った
チェリストは演奏し続けるために戦った
もう戦う力が残されなくなり、彼女は楽器をしまい、沈黙した
声は失われたが、彼女は多くの人に霊感を与え続ける
生み出した音楽は響き続け、彼女の演奏や残された録音を聴いた者たちの記憶に刻まれた


ジャクリーヌ・デュ・プレの生涯は、エミリー・ワトソンがジャクリーヌを演じた映画「ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ」でも描かれていますが、姉との葛藤やバレンボイムとの関係、病気とセンセーショナルに彼女の人生を描いた映画に対して、今回の「ザ・チェリスト」は、よりジャクリーヌの音楽への愛が描かれていて、悲劇的な面だけではないところと音楽との融合を中心にしていて、バレエらしいアプローチになっていると言えます。今回はドキュメンタリーも放映されるので、併せて観るとより理解が深まると思います。

ドキュメンタリー 「ジャクリーヌ・デュ・プレとエルガーのチェロ協奏」


◇ドキュメンタリー
「ジャクリーヌ・デュ・プレとエルガーのチェロ協奏曲」
(1982年 イギリス)※1967年制作のドキュメンタリーの再編集版(1:45:30~2:48:00)

<出 演>
ジャクリーヌ・デュ・プレ(チェロ奏者)
ダニエル・バレンボイム(ピアニスト/指揮者)
ジョン・バルビローリ(指揮者)
ニュー・フィルハーモニア管弦楽団   ほか



ミラノ・スカラ座バレエ「海賊」


◇ミラノ・スカラ座バレエ「海賊」(2:50:00~4:40:00)
<演 目>
バレエ「海賊」(全3幕)
振付:アンナ・マリー・ホームズ
作曲:アドルフ・アダン   ほか
編曲:ケヴィン・ガリエ

<出 演>
メドーラ(ギリシャの娘):ニコレッタ・マンニ
ギュリナーラ(メドーラの友人):マルティナ・アルドゥイーノ
コンラッド(海賊の首領):ティモフェイ・アンドリヤシェンコ
ランケデム(奴隷商人):マルコ・アゴスティーノ
ビルバント(コンラッドの友人):アントニーノ・ステラ
アリ(奴隷):マッティア・センペルボーニ
ズルメア(ビルバントの恋人):アントネッラ・アルバーノ
パシャ(トルコの総督):アレッサンドロ・グリロ ほか
ミラノ・スカラ座バレエ団
ミラノ・スカラ座バレエ学校
<管弦楽>ミラノ・スカラ座管弦楽団
<指 揮>パトリック・フルニリエ

収録:2018年4月11・16・19日 ミラノ・スカラ座(イタリア)

 

 



2020/07/08

世界のトップバレエ学校が集結したワールド・バレエ・スクール・デーが開催

12の世界トップのバレエ学校と教育機関(ローザンヌ国際コンクール)が集結して、7月7日の日本時間20時から、ワールド・バレエ・スクール・デーが開催されました。
https://www.worldballetschoolday.com/

このイベントが特徴的なのは、指導者側ではなく、様々なバレエ学校の生徒たちが学校の枠を超えて連携し、作り上げたものであるということ。

現在のロックダウン期間における、プロを目指す生徒たちのためのバレエとダンスのトレーニングについてのラウンドテーブル、そして各学校の紹介映像や学校生活の模様、公演映像が配信されました。(30日間視聴可能です)

また、ローザンヌ国際コンクールの課題作品でもおなじみの振付家、ディディ・ヴェルドマンによる新作を、6つの学校の生徒たちが遠隔で取り組んで創作しました。ロイヤル・バレエスクール主導によるプロジェクトで、サンフランシスコ・バレエスクール、カナダ・ナショナル・バレエスクール、パリ・オペラ座学校、デンマーク王立バレエ学校とオランダ国立バレエアカデミーの生徒たちが、Zoomを介して6つのグループで創作し、リハーサルを行いました。個々が自宅などで撮影した映像を、ディディ・ヴェルドマンとバレエ・ボーイズが編集してA Screen Apartという作品に仕上げたものです。

World Ballet School Day from Palucca Hochschule für Tanz DD on Vimeo.

 

この企画は、イングリッシュ・ナショナル・バレエ校長のヴィヴィアナ・デュランテが発案したもの。14人の生徒たちが委員会を設立して進めました。ボストン・バレエスクール、カナダ・ナショナル・バレエ・スクール、イングリッシュ・ナショナル・バレエ・スクール、ニュージーランド・スクール・オブ・ダンス、ドレスデン・パルッカ・シューレ大学、ローザンヌ国際バレエコンクールによるコラボレーションから設立されました。

一年目の今年は、3大陸から以下の学校が参加しています。

オーストラリア・バレエ学校、ドレスデン・パルッカ・シューレ大学、ボストン・バレエスクール、パリ・オペラ座学校、カナダ・ナショナル・バレエ・スクール、ローザンヌ国際バレエコンクール、オランダ国立バレエアカデミー、ロイヤル・バレエスクール、イングリッシュ・ナショナル・バレエ・スクール、デンマーク王立バレエ学校、ニュージーランド・スクール・オブ・ダンス、サンフランシスコ・バレエスクール

 

実際に視聴しましたが、各バレエ学校の紹介があり、また学校の生徒たちによるZoomでの遠隔ディスカッションもあって、スタジオや学校で稽古できない今の事態に何をすべきかの議論が行われていました。ロイヤル・バレエスクールのパートでは、1時間5分過ぎくらいのところで、来シーズンより英国ロイヤル・バレエに入団することが決まっている五十嵐大地さんが踊る『ラプソディ』(アシュトン)の見事なパフォーマンス映像があります。

そして2時間20分ごろから、このA Screen Apartという作品が視聴できます。約20分。若い生徒たちが様々なロケーションにおいて、みずみずしい感性で、スタジオで踊ることができないフラストレーションやさまざまな想いを伸びやかに踊っていて、切なさを感じさせつつも爽やかです。そして編集が見事です。

今回のイベントは必ずしも、世界的なバレエとダンスの学校を反映していないということを主催者は自覚しています。今後は近年のBlack Lives Matterなどのムーブメントを反映して、より多様性を取り入れ、さらに多くのバレエ学校が参加することによって将来的には24時間の長さでライブで開催するイベントにまで成長させたいという設立者の想いがあります。

※ご覧の通り、今回は日本などアジアの学校やアフリカ、ロシアなどは参加していません。いずれ日本の学校も参加できるようになると良いですよね。

ニコライ・ファジェーチェフ逝去

ボリショイ・バレエで1950年代に活躍し、ガリーナ・ウラノワやマイヤ・プリセツカヤなどの伝説的なバレリーナのパートナーを務めたニコライ・ファジェーチェフが6月23日に87歳で亡くなりました。ファジェーチェフは1956年の歴史的なボリショイ・バレエのロンドン公演でウラーノワと「ジゼル」を踊り、一躍注目されました。

https://www.bolshoi.ru/about/press/articles/memory/nikolai-fadeyechev-has-passed/

1977年に引退後はボリショイ・バレエで教師を務め、アレクサンドル・ヴェトロフ、アンドレイ・ウヴァーロフ、セルゲイ・フィーリン、ニコライ・ツィスカリーゼ、ルスラン・スグヴォルツォフ、アルチョム・オフチャレンコなどの名ダンサーを育てました。息子のアレクセイ・ファジェーチェフもボリショイ・バレエのプリンシパルとなりニーナ・アナニアシヴィリと頻繁に踊ったことでよく知られています。90年代にはアレクセイはボリショイの芸術監督にもなっています。

https://www.nytimes.com/2020/07/04/arts/dance/nikolai-fadeyechev-dead.html

1933年に生まれたファジェーチェフは、52年にボリショイ・バレエにソリストとして入団し、2年後には「白鳥の湖」の王子役を踊りました。とてもノーブルなダンサーとして知られ、ロンドン公演でも当初は「白鳥の湖」の王子役だけを踊る予定が、リハーサルの様子を観た首脳陣が急きょ彼をウラノワのジゼルの相手役に抜擢したのでした。

ロンドン公演で絶賛されたファジェーチェフは、BBCで撮影された「ジゼル」でナディア・ネリーナの相手役を務め、この役のタイミングやマイムシーンについて多くのことを教示してくれたと、2016年にピーター・ライトは述懐しています。61年にはネリーナはボリショイに招かれて、ファジェーチェフと「白鳥の湖」を踊りました。

1958年のボリショイ・バレエのパリ・ツアーの後、パリ・ダンス・アカデミーよりニジンスキー賞を受賞しました。「1958年5月31日にボリショイ・バレエの公演「白鳥の湖」でパリ・オペラ座の舞台に立った、最も輝かしくアカデミックなダンサーで重力の法則を超越した、ニコライ・ファジェーチェフに贈る」とこの名誉ある賞には添えられました。

また、マリヤ・プリセツカヤのために創作されたアロンソ版「カルメン」では、彼はドン・ホセ役で素晴らしい演技を見せました。

マイヤ・プリセツカヤとニコライ・ファジェーチェフ「レダと白鳥」より「プレリュード」

マイヤ・プリセツカヤ「なぜプリセツカヤはファジェーチェフをこんなにも褒めたたえているのだろう、とこの文章を読んだ後で思う人がいるかどうかはわかりません。しかし、彼と一緒に仕事をした同志たちに、どんなに称賛されてもおごることがない芸術家であり、皆のお手本となるような素晴らしい人であるということを伝えるために、私はこの文章を書いています」

リュドミラ・セメニャカ「ニコライ・ファジェーチェフは、バレエのオリンポスの中の神の一人だと、私は尊敬しています。彼は偉大なる教師であり、素晴らしい人間です。彼と踊ることは大きな幸せでした。彼はたぐいまれなパートナーで、バレリーナをサポートするだめでなく、彼女が自由に舞台の上で飛翔する機会を与えてくれる人です。ニコライ・ボリソヴィッチは芸術における私のゴッドファーザーです」

心よりお悔やみ申し上げます。

2020/07/07

第31回<バレエの祭典>ラインナップ発表

第31回〈バレエの祭典〉のラインナップが発表されています。

https://www.nbs.or.jp/saiten/

シーズン ラインナップ

2021年 3月 ハンブルク・バレエ団
2021年 4 - 5月 ベジャール × ベートーヴェン「第九」
2021年 6 - 7月 イングリッシュ・ナショナル・バレエ
2021年 8月 第16回 世界バレエフェスティバル
2022年 3月 シュツットガルト・バレエ団

♦ハンブルク・バレエ団 2021年3月

ジョン・ノイマイヤー振付
「アンナ・カレーニナ」

ジョン・ノイマイヤー振付

「バーンスタイン・ダンス」

 

ベジャール × ベートーヴェン「第九」2021年4月下旬~5月上旬

モーリス・ベジャール振付
ベートーヴェン 「第九」

出演:モーリス・ベジャール・バレエ団、東京バレエ団
指揮:梅田俊明
独唱:
 高橋維(ソプラノ)
 加藤のぞみ(メゾ・ソプラノ)
 城宏憲(テノール)
 今井俊輔(バリトン)
合唱:東京オペラシンガーズ

 

イングリッシュ・ナショナル・バレエ【2演目】2021年6月下旬~7月上旬


ルドルフ・ヌレエフ振付
「ロミオとジュリエット」*オーケストラによる演奏(「ロミオとジュリエット」のみ)


アクラム・カーン振付
「ジゼル」

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Photo: Laurent Liotardo

 

第16回世界バレエフェスティバル【2演目】2021年8月

Aプログラム/Bプログラム

シュツットガルト・バレエ団【2演目】2022年3月上旬

マリシア・ハイデ振付

「眠れる森の美女」

ケネス・マクミラン振付
「うたかたの恋」

*********

今年はコロナウィルス禍で、多くの来日公演が中止・延期になりましたが、この第31回〈バレエの祭典〉は、主に2021年3月から8月の比較的短い期間内に、多くのとても魅力的な公演が企画されています。演目も、イングリッシュ・ナショナル・バレエの待望のアクラム・カーン振付「ジゼル」や、シュツットガルト・バレエの人気演目、マリシア・ハイデ版『眠れる森の美女』など、非常にそそるものばかりです(「うたかたの恋」はロイヤル・バレエで観たかったですが)。また恒例の3年に一度の世界バレエ・フェスティバルも開催されます。2021年の夏は今のところ東京オリンピックが開催予定なので、オリンピックの時期は外した時期になるとは思います。本当に招聘元さんは大変だと思いますが、頑張ってほしいです!

なお、ハンブルク・バレエは、2021年3月28日(日) に京都ロームシアターで『ベートーヴェン・プロジェクト』公演が予定されています。他に地方公演があるかどうかは不明。

https://rohmtheatrekyoto.jp/event/57861/

とにかくコロナウィルス禍が早く収束し、無事にこれらの公演を観ることができることを祈っています。(秋以降は、比較的多くの公演が予定されていますので、こちらの方もどうか無事観られますように)

お申込み受付開始は
7月10日(金)から


第31回〈バレエの祭典〉
ご入会特典

第16回世界バレエフェスティバル のクラスレッスン見学会にご招待
イングリッシュ・ナショナル・バレエ 「ロミオとジュリエット」「ジゼル」いずれかの舞台稽古見学会にご招待

お問い合わせ先:
NBSチケットセンター
〈バレエの祭典〉プレミアム・シーズン係
 03-3791-8888
〒153-0063 東京都目黒区目黒4-26-4
(月~金 10:00~16:00、土日祝休)

2020/07/05

パリ・オペラ座バレエの2020/21シーズンの予定(公演再開の予定)

パリ・オペラ座バレエは今年3月に、コロナウィルス禍のさなかに奇跡的にも来日公演を実現させましたが、フランスに帰国後公演はすべて中止となり、2019/2020シーズンは終わってしまいました。

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なかなか収束が見えない中で、オペラ・ガルニエは2021年のオフシーズンに予定されていた改装工事を前倒しにしました。

https://www.operadeparis.fr/en/news/stage-renovation-work-at-the-paris-opera-from-july-2020

今年の7月より工事を開始し、年内いっぱいガルニエでの公演はキャンセルとしました。バスティーユについては、11月24日のオペラ「椿姫」で公演が再開される予定になっています。(本来「椿姫」はガルニエで上演の予定でしたが場所をバスティーユに移動)そしてオペラ「カルメン」とバレエ「ラ・バヤデール」が年内バスティーユで上演される予定となっています。

ガルニエで予定されていたガラ公演、ホフェッシュ・シェクター/クリスタル・パイト/ロビンズのトリプルビル、シェルカウイ/シャロン・エイアール/アシュトンのトリプルビル、キリアンの夕べはキャンセルされます。

そしてステファン・リスナー総裁は予定よりも早く、2020年12月に退任するとのこと(ナポリのサンカルロ劇場の総裁に就任)。現在はカナディアン・オペラの総裁であるアレクサンダー・ネーフが後任ですが、まだカナダでの任期が残っているので、早期に着任できるかは不明。

https://www.lemonde.fr/culture/article/2020/06/11/stephane-lissner-l-opera-de-paris-est-a-genoux_6042522_3246.html

2019/2020シーズン頭からのストも重なり、オペラ座は4500万ユーロもの赤字を抱えることになったとのことです。

******

ところで、パリ・オペラ座バレエに関しては、予定よりも早い舞台の計画があるようです。

オーレリー・デュポンは、10月2日より工事中のガルニエのプロセニウムの上(オーケストラピットに蓋をした上)で公演を行うと発表しました。

https://actu.orange.fr/societe/culture/malgre-les-travaux-le-ballet-de-l-opera-de-retour-a-garnier-a-l-automne-CNT000001rl0A6.html

20公演ほど、クラシックのソロやパ・ド・ドゥを中心とした上演を行うそうです。主にエトワールとプルミエダンサーが踊るとのこと。また、11月5日からは、シェルカウイ、ダミアン・ジャレなどの振付家による4つの新作の公演を17公演行う予定とのこと。ほかの2人の振付家は、NDT2のTess Voelkerという23歳のダンサーによる作品と、Mehdi Kerkoucheというヒップホップのアーティストでバリ・-ホワイトの曲に合わせたダンスがTwitterで話題になった人の作品だそうです。

当初予定されていたものの、ストによる損失など予算の問題で延期されてしまった、ラコットの新作「赤と黒」は2021年の10月~11月に、そして5月にカンパニー初演が予定されていた「マイヤーリング」(マクミラン)は2022年に延期されました。

7月13日、14日には医療スタッフへの感謝を表明する無料コンサートも開催するとのことです。(現在、ガルニエ内部を見学することは可能となっています)

2020/07/04

【新国立劇場】新国立劇場バレエ団公演再開!世界初演・新作バレエ公演『竜宮 りゅうぐう ~亀の姫と季(とき)の庭~』を開催

新国立劇場バレエ団公演が待望の再開!5ヶ月ぶりの公演は、日本の御伽草子「浦島太郎」をモチーフにした新作バレエ『竜宮 りゅうぐう ~亀の姫と季(とき)の庭~』を世界初演します。

https://www.nntt.jac.go.jp/ballet/turtle-princess/


ダンサー・振付家として国内外の舞台やテレビで精力的に活躍する森山開次が初めてバレエを演出・振付。 森山さんらしい遊び心あふれる世界観で描かれた、 子どもも大人も理屈抜きで楽しめる作品となること間違いありません。

2月末の『マノン』公演以来、およそ5か月ぶりに新国立劇場バレエ団の舞台が実施される見通しとなるのは、本当に嬉しい限りです。公演にあたっては、新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドラインを踏まえて、新型コロナウイルス感染予防、拡散防止への対応策を徹底するとのことで、座席も前後左右空けての発売となっています。販売済みのチケットはいったん払い戻しとなるのでご注意ください。

世界初演・新作バレエ公演『竜宮 りゅうぐう』公演実施について 

https://www.nntt.jac.go.jp/release/detail/23_017588.html

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これまでに『サーカス』『NINJA』など、 子どもも 大人も楽しめるダンス作品を生み出してきた森山開次が、初めてバレエを振付・演出。新国立劇場バレエ団のダンサーたちと共に新しいバレエ作品を創り上げ、オペラパレスで上演します。
豪華絢爛な竜宮城には、愉快な海の生き物たちがいて太郎をもてなし、春夏秋冬の美しい四季が堪能できる不思議な季(時)の部屋があります。そして故郷に帰った太郎を待っていた運命とは。
森山開次の手がける「日本をテーマにしたバレエ・ファンタジー」は、子どもだけでなく、大人のバレエファンもきっと満足することでしょう。

わが家の7歳の子どもも、森山開次さんの作品は大好きで、『不思議の国のアリス』『サーカス』『NINJA』と2回ずつくらい観て楽しんでいます!

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日本の昔ばなしをテーマにした世界初演バレエ

「御伽草子」では、私たちが知る「浦島太郎」の物語と違い、カメが竜宮城のプリンセスという設定。太郎が竜宮城から帰ってからの結末も、太郎が翁になった後に更なる展開が待ち受けています。
この「御伽草子」の「浦島太郎」を下敷きにしつつ、海の中の竜宮城の設定も取り込まれ、オリジナルのバレエの物語ができ上がりました。

森山ワールド全開!魅力的な海のキャラクターたち
今回、森山さんは演出・振付だけでなく、美術・衣裳のデザインも手掛けます。
カメのプリンセスをはじめとして、おもてなし担当のお茶目なフグ、タンゴを踊るイカの三兄弟など、竜宮城には愉快な海の生き物たちがたくさん!
物語以外の部分でもチャーミングな衣裳に身を包んだ、ユーモア溢れるキャラクターたちの踊りを楽しむことができ、まさに森山ワールドというべき想像力を掻き立てられる舞台となることでしょう。

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森山開次が新国立劇場バレエ団とコラボレーション
『サーカス』『NINJA』など、大人もこどもも楽しめるダンス作品を生み出してきた森山開次が、初めてバレエを演出・振付。
新国立劇場バレエ団のダンサーたちと共に新しいバレエ作品を創り上げ、オペラパレスで上演します。
コンテンポラリー・ダンスの振付・創作で活躍してきた森山がダンサーたちと共に、クラシック・バレエからどのような新しい表現を
生み出していくのでしょうか?

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演出・振付 森山開次さんからのメッセージ

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新作バレエ『竜宮』は、 「御伽草子」の浦島太郎を下敷きにしています。
その物語を読んで私が先ず驚いたのは、 助けたカメが竜宮城のプリンセスだったこと。 そして一番驚いたのは太郎がお翁(じい)さんになったあと、 さらに鶴に変身して亀の姫と再会、 最後には鶴亀の夫婦明神(めおとみょうじん)となって人々を守っていったという話です。 「なんで鶴に変身するの?」って、 子どもたちにもびっくりしてもらいたい、 そしてバレエらしいロマン溢れる舞台を皆様にお届けしたいと思っています。 「御伽草子」の竜宮城は島、 陸の上にあるのですが、 このバレエでは海の中に設定し、 ふぐやタコ、 マンボウなど愉快な海の仲間たちが登場して太郎を<おもてなし>します。

今回は、 美術・衣裳までトータルで担当させていただくので、 身が引き締まる思いです。 でも多くのプロフェッショナルなスタッフがサポートしてくれ、 私のプラン、 世界観を具現化してくれる、 その共同作業がとても楽しい。 一人では舞台は作れるものではないことを、 改めて感じています。

新国立劇場バレエ団とのコラボレーションは、 昨年秋のワークショップから始まりました。 私の振付はコンテンポラリー・ダンスに分類されますがオリジナルで、 バレエもベースに取り込んでいます。 今までは、 私が先ず踊ってみせることが多かったのですが、 イメージを伝えるだけで「バレエだったら、 こういう動きがある」とアイデアを出してくれる。 クラシック・バレエの伝統を保ちつつ新しい表現へ挑戦しようとする新国立劇場バレエ団のメンバーの<創作に対する意識>は、 とても高いと感じています。

この作品にはテーマとして「時」が流れています。 竜宮城には、 不思議な「季(とき)の庭」があり、 一度に春夏秋冬の美しい四季を堪能することができます。 太郎が竜宮城にいる間に700年もの年月が経過していました。 ふるさとで玉手箱を開けた太郎はお翁(じい)さんになってしまいます。 玉手箱には、 時が封印されていた、 そうこれは「時の物語」なのです。

時とは何か。 そして、 竜宮城とは何か。 なぜ、 太郎は故郷に帰ったのか。 現代を生きる私たちも「今」という時をどのように生きるべきか、 あらためて見つめることができるかもしれません。 ダンスや音楽は、 時の芸術でもあります。 そして舞台は、 今を共有できる時の空間。 舞台上の一瞬を届けるために、 私たちは鍛錬と稽古を繰り返す。
 
当たり前のようにあった<舞台のありがたさ尊さ>をあらためて感じる今。 時の感覚も違って感じられます。 新国立劇場バレエ団のみんなと、 今また創作ができる喜び。 どんな『竜宮』が誕生するか、 心から楽しみにしています。

森山開次

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芸術監督:大原永子
音楽:松本淳一
演出・振付:森山開次
美術・衣裳デザイン:森山開次
映像:ムーチョ村松
照明:櫛田晃代
音響:仲田竜太
振付補佐:貝川鐵夫/湯川麻美子
出演:新国立劇場バレエ団

公式サイト: https://www.nntt.jac.go.jp/ballet/turtle-princess/

【公演日程】
2020年7月24日(金・祝) 13:00
2020年7月25日(土) 13:00
2020年7月25日(土) 19:00
2020年7月26日(日) 13:00
2020年7月26日(日) 19:00
2020年7月29日(水) 13:00
2020年7月30日(木) 13:00
2020年7月31日(金) 13:00

*託児サービスは当面休止いたします。
*開場は開演45分前です。 開演後のご入場は制限させていただきます。
*本公演は録音音源を使用いたします。

【会場】 新国立劇場 オペラパレス (京王新線 新宿駅より 1 駅、 初台駅中央口直結)

【主催】 新国立劇場

【後援】 渋谷区教育委員会 / 東京都公立小学校長会 / 東京私立初等学校協会
【特別協賛】 京王電鉄株式会社
【協賛】 株式会社 小学館 / コカ・コーラボトラーズジャパン株式会社 / 三菱重工機械システム株式会社

【予定上演時間】 約2時間<休憩1回含む>

【全国公演情報】
〇2020年9月19日(土)14:00 長崎県/アルカスSASEBO 大ホール
<お問い合わせ先> TEL:0956-42-1111
〇2020年9月22日(火・祝)14:00 富山県/オーバード・ホール
<お問い合わせ先> TEL:076-445-5610
 
【チケット料金(税込)】
こども(4歳~小学生):2,200円   大人(中学生以上):3,300円
*アトレ会員割引を含め、 各種割引はございません。
*適切な間隔を保つため、 前後左右をあけた席配置(全指定席)といたします。

【前売り開始日】
2020年7月8日(水) 10:00~

【チケットのお求め・お問い合わせ】
<ウェブでの予約・購入>
新国立劇場 Web ボックスオフィス http://pia.jp/nntt/ (PC、 携帯共通)
チケットぴあ http://pia.jp/t/ (PC、 携帯共通)
イープラス http://eplus.jp/ (PC、 携帯共通)
ローソンチケット http://l-tike.com/ (PC、 携帯共通)

<電話での予約・購入>
新国立劇場ボックスオフィス TEL:03-5352-9999 (10:00~18:00)
チケットぴあ        TEL:0570-02-9999

*公演日時、 発売日が当初予定から変更になりました。
*本公演は新型コロナウイルス感染予防、 拡大防止対策をとって上演いたします。


新国立劇場における新型コロナウイルス感染拡大予防への取り組みと主催公演ご来場の皆様へのお願い
https://www.nntt.jac.go.jp/release/detail/23_017576.html

キャスト

2020年7月24日(金・祝) 13:00

プリンセス 亀の姫
米沢 唯
浦島太郎
井澤 駿

2020年7月25日(土) 13:00

プリンセス 亀の姫
池田理沙子
浦島太郎
奥村康祐

2020年7月25日(土) 19:00

プリンセス 亀の姫
木村優里
浦島太郎
渡邊峻郁

2020年7月26日(日) 13:00

プリンセス 亀の姫
米沢 唯
浦島太郎
井澤 駿

2020年7月26日(日) 19:00

プリンセス 亀の姫
池田理沙子
浦島太郎
奥村康祐

2020年7月29日(水) 13:00

プリンセス 亀の姫
木村優里
浦島太郎
渡邊峻郁

2020年7月30日(木) 13:00

プリンセス 亀の姫
米沢 唯
浦島太郎
井澤 駿

2020年7月31日(金) 13:00

プリンセス 亀の姫
木村優里
浦島太郎
渡邊峻郁

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