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« 10月23日のワールド・バレエ・デー、参加バレエ団とタイムテーブル | トップページ | 10月23日ワールド・バレエ・デー、詳細なタイムテーブル他  »

2019/10/22

偉大なバレリーナ、アリシア・アロンソが98歳で逝去

国際的なスターとして活躍した後、キューバ国立バレエの前身のバレエ団を設立し、現在に至るまでキューバ国立バレエの芸術監督を務めていたアリシア・アロンソが98歳で亡くなりました。

Horizontes_sub

1920年に生まれ、バレエ学校の同級生フェルナンド・アロンソと結婚後、身重のままニューヨークへ行き17歳で出産後スクール・オブ・アメリカン・バレエで学び、まだ誕生したばかりのアメリカン・バレエ・シアターやニューヨーク・シティ・バレエで踊り始めます。早くも19歳ごろから視力に問題が生じ、2回手術を受けますが視力はどんどん失われて行きました。1943年、23歳の時、すでにかなりの視力が失われてましたが、ABTでアリシア・マルコワの代役として「ジゼル」の主役を踊り大評判を呼び、彼女を代表する役とします。バランシンが「テーマとヴァリエーション」を振付けた時の初演ダンサーであり、またアンソニー・チューダーやアグネス・デ・ミルなど重要な振付家の作品も踊ってきました。すでにほとんど目が見えなくなっていたにもかかわらず、パートナーの助けを借りて伝説的な名演の数々を行いました。

1948年にアロンソは夫フェルナンドと、キューバで、キューバ国立バレエの前身となるカンパニーを設立します。当初はアロンソのプライベートカンパニーで、一度は解散し、しばらくアロンソはABTとバレエ・リュス・ド・モンテカルロで再び活躍します。1958年のキューバ革命後、彼女のバレエ団はカストロ議長からの支援を得て国立バレエ団となり、キューバ国民の誇りとなるような存在となります。フェルナンドとは後に離婚しますが、義理の兄弟であるアルベルト・アロンソは、有名な「カルメン組曲」を振付けました。アロンソはカストロ議長と親交を結びます。才能のある子どもを探して孤児院なども回り、貧しい子どもでも無料で通える国立バレエ学校からは、カルロス・アコスタ、ホセ・カレーニョなどのスターが育ちます。マイヤ・プリセツカヤの弟であるアザーリ・プリセツキーなど、旧ソ連からの教師を招き高いレベルのクラシック・バレエの教育が施されました。キューバではバレエダンサーの社会的な地位は高く、男の子にとってもあこがれの職業だそうです。

Horizontes_alicia2

一方で、アロンソは76歳まで踊り続け(日本で開催された第一回世界バレエ・フェスティバルにも出演)、若いバレリーナの出演機会を奪ったと批判されました。優秀なバレエ教師となった自身の娘であるラウラも例外ではなかったとのことです。また、西側との交流が少なくインターネットも使えなかったキューバという国柄もあり、キューバ国立バレエでは現代作品は取り入れられず、踊りのスタイルも古くなってしまいました。新しいレパートリーの挑戦したい多くのダンサーたちが亡命したり、活動拠点を海外に移すようになったのは皆さまもご存知の通りです。ソ連崩壊後、キューバは経済危機に陥り、外貨を獲得するために海外ツアー公演を行うようになりました。

近年では、2年に一度、ゲストカンパニーを招いてのキューバ国際バレエフェスティバルが開催されるようになりました。2016年の同フェスティバルでは、マーサ・グレアム・カンパニーがゲストカンパニーとなり、NYCBのジャスティン・ペックなど若手振付家による新しい作品や、またカルロス・アコスタが設立したアコスタ・ダンサによる現代作品も上演されました。

前身も含めるとアロンソは70年にわたってこのカンパニーを率いてきたことになります。北米のほとんどのカンパニーに、キューバ出身のダンサーがいます。バレエ界における貢献は多大なものでした。

ジゼルのヴェールに包まれたアロンソの棺を団員が担ぐ、葬儀の模様。「ジゼル」の音楽に載せて出棺されます。見送るために沿道に集まった人々の群れを見ると、いかに国民的なスターだったかがわかります。葬儀の模様は国営テレビ、ラジオで生中継されたそうです。

今年の1月に、キューバ国立バレエのトッププリマで、日本の世界バレエフェスティバルにも3回出演して超絶技巧を見せたヴィエングセイ・ヴァルデスが副芸術監督に就任することが発表されました。実質的な後継者です。

https://www.dancemagazine.com/viengsay-valdes-2641014548.html

Horizontes_viengsay_bswan

さすがに衰えてきたアロンソに代わって実質的な芸術監督として、レパートリーを決める、振付家や他のカンパニーと交渉するなどの実務についていました。今後は、受け継がれてきたレパートリーの継承や過去の作品の復元に加えて、新しい振付家の作品も積極的に導入する予定とのことです。アレクセイ・ラトマンスキーの「コンチェルトDSCH」もレパートリー入りしました。また、人気女性振付家アナベル・ロペス・オチョアがカンパニーのために新作を振付けるそうです。若いダンサーに機会をもっと与えることで、今後は亡命などで去るダンサーも減らしていきたいとのこと。

アリシア・アロンソ、ヴィエングセイ・ヴァルデス、そしてバレエ学校に通う若いバレリーナの3世代を追ったドキュメンタリー映画「ホライズン」
Horizontes_alisia_dance

90歳を過ぎても矍鑠としてきれいに化粧して、目が見えていないのに的確な指導をするアロンソの姿、バレエ学校の様子、時には悩むヴァルデスなど、キューバのバレエの現状も伝わってきて面白い作品でした。残念ながらDVDが出ていないので、またリバイバル上映されると良いのですが。

公開時に試写で観た時の私の感想です。

http://dorianjesus.cocolog-nifty.com/pyon/2016/10/post-deff.html

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