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« 「ル・グラン・ガラ2019」6月1日に特番放映 | トップページ | 鈴木竜/エルタニン公演『White Space.』 »

2019/05/28

勅使川原三郎ソロダンス「青い記録」KARAS APPARATUSで上演中

KARASでは5/24(金)より、東京 荻窪の劇場カラス・アパラタスにて、
勅使川原三郎の新作ソロダンス公演「青い記録」を上演しています。
本作は、2019年最初のソロ作品で、アップデイトダンスの62作目として上演されています。
Updatedance62
〈勅使川原三郎よりコメント〉
書き換え、修正しながら残されていく記憶や宙に浮かんでいる思い出ではなく、身体に刻印されている
事実としての「記録」。忘れてはいるが明解な質感として身体に保存されている「記録」。生きる身体
への信頼を新たにしたい、実感を更新しつづける活き活きした生は「記録」とともにあると考えます。

 

4回目の公演を観てきました。

シューベルト作曲のピアノソナタ第 20 番(イ長調 D959)の短いフレーズが20数回繰り返され、その中で勅使川原さんが踊る。その舞踊言語の豊穣さ、多様性、そしてダンスとしての引き出しの多さに舌を巻く。同じフレーズの音楽なのに、すべて違ったものに聞こえてくるほど。始まりは、勅使川原さんの姿が見えないほどの暗闇の中、やがておぼろげに浮かび上がってきて、少し明るくなってくると、黄土色のシャツを着た勅使川原さん、一瞬素肌に見えるほど。

20190527-02735

アパラタスの空間が無限へと続いていくような照明は変幻自在で、極限まで明かりを落としたり、逆光を浴びて浮かび上がったり、おぼろげにぶれているようだったり、残像を残したり。その光に寄り添うような勅使川原さんの動き。まぼろしそのものから、牧神や少年、彫像に変身したり、舞台奥で地を這うように横たわって動いたり。多種多様の人物像(人に限らないが)を見せ、彼の頭にぎっしり詰まった引き出しの記録を紐解いているかのよう。

20190527-11604_1

細やかに刻まれる足捌きのステップにも驚愕した。光と見事に調和するように、細かく身体をコントロールして、よどみないエレガントな動きを見せたかと思えば内またで痙攣させたり。研ぎ澄まされたテクニックを保ち、1時間出ずっぱりで疲れを微塵も見せないのは驚異。後半になるにつれて動きも速く炸裂し、ダイナミックになっていく。その中でシルエットの美しさも計算し尽くされているかのようだった。天井から小さな電球のような球体がワイヤーでぶら下がっている時があるが、この球体にも触れずに動き回る。途中、シューベルトの美しい旋律を破るように、角材のような長い棒を持っては倒して脳天に響くような音を立てるが、これも彼の溢れだす記録の一部なのだろうか。

たった一人でシンプルな空間で踊り、音楽も一つのフレーズだけなのに、ダンスというものの無限の可能性と広がりを感じさせる舞台だった。勅使川原三郎という奇跡を目撃した。

開催概要
公 演 名 アップデイトダンス No.62「青い記録」 演出 照明 出演 勅使川原三郎
会 場 カラス・アパラタス/B2 ホール
〒167-0051東京都杉並区荻窪5-11-15 F1/B1/B2 ホームページ:http://www.st-karas.com
料 金 一般 / 予約 3,000 円[当日 3,500 円] 学生 / 2,000 円 (学生は予約当日共に)
予 約 updatedance@st-karas.com Tel: 03-6276-9136
*件名を「アップデイトNo.62」とし、ご希望の日付・住所・氏名・一般または学生・当日連絡のつく電話番号を記入のうえ送付
*予約受付は各回とも前日の24時まで *学生の方は当日受付で学生証を提示 *全席自由
日 時 2019 年 5 月 24 日(金) ̶ 6 月 1 日(土) * 5 月 28 日(火)休演
*開場は開演の 10 分前 *開演後の途中入場不可
5 月 29 日(水)20:00 5 月 30 日(木)20:00 5 月 31 日(金)20:00 6 月 1 日(土)16:00

主 催 有限会社カラス 企画制作 KARAS

 

次回6月のアップデイト公演の上演内容も決定しています。
6月17日(月)〜25日(火)に荻窪のカラス・アパラタスにて上演するのは、
ブルーノ・シュルツ原作の「マネキン人形論」です。
ゴールデンウィークにシアターXで上演された、同じくブルーノ・シュルツ原作の
「シナモン」も記憶に新しいところです。

 

佐東利穂子さんが、イタリアのレッジオ・エミリアに滞在し、
アテールバレット(バレエ団)への初振付作品のリハーサルに取り組んでいるため、
勅使川原さんのソロになります。

なお、KARAS APPARATUSの地下のスタジオ、開場前に待機するのに利用しているスペースですが、
現在勅使川原さんのドローイングが展示されているギャラリーとなっています。
勅使川原さんのアーティストとしての才能も素晴らしく、彼のダンス作品を思わせるドローイングも
多数あるので、ぜひご覧ください。

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