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2019/03/13

Stars in Blue オルガ・スミルノワとセミョーン・チュージンのショーイングとトークショー

現在公演中の「マニュエル・ルグリ Stars in Blue」公演。本当に至福の舞台で、美しいダンスと音楽で胸がいっぱいになる素晴らしい公演でした。また改めて公演の感想は書ければと思っています。

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(今回、カーテンコールの撮影が許可されていました)

http://danceconcert.jp/

また、来日記者会見にも出席したので、こちらの方のご報告もお待ちください。

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さて、3月10日は、オルガ・スミルノワとセミョーン・チュージン(ボリショイ・バレエ)によるバレエ講習会&トークショーが開催されました。
https://balletday-wt-principals.amebaownd.com/

<公開デモンストレーション>

まず、朝一番には、スミルノワ&チュージンによる公開デモンストレーションがあり、観てきました。

二人がバーレッスンでウォームアップした後、「ジュエルズ」より「ダイヤモンド」のリハーサルを見せていただきました。演奏は滝澤志野さん。狭いスタジオで、手を伸ばせば届くような至近距離で見せてくれました。

スミルノワはグリッドローラー持参。チュージンも同様ので身体をほぐし、チュージンがアンシェヌマンを指示してバーレッスンを行います。当然ですが二人ともアカデミックで正確で美しい動き。チュージンは5番にした時のルルヴェがとても高い。スミルノワは身体が柔軟で、ア・ラ・スゴンドのグランバットマンやストレッチの時には脚がとても高く上がり、ゴージャスです。滝澤志野さんのクリアなピアノの音色も美しく、「オネーギン」などの聞き覚えのある曲が演奏されて嬉しい。

「ダイヤモンド」のデモンストレーション、スミルノワはレオタードにチュチュボンをつけてポワントを素足に履きます。会場が狭いので観客にぶつかりそうで、たまに「ごめんなさいね」と中断。

「ダイヤモンド」はアブストラクトの作品なのに、ドラマティックさを感じました。スミルノワのまとうエレガントな空気、優雅なポール・ド・ブラ、揺らぎのない上半身。サポートが的確で、つま先が美しく柔らかくノーブルなチュージン。練習着でも伝わる二人のエレガンス。朝から心が洗われた素敵な企画でした。このデモンストレーションのために、二人はモスクワにいる時から準備をして来たとのことです。

この後、子ども向けの講習会(スミルノワによるワガノワ・メソッドのガールズクラス、チュージンによるボリショイ・メソッドのボーイズクラス)が開催され、最後にトークショーが開催されました。デモンストレーションと、トークショーは講習会に参加した子どもたちは参加することができました。バレエを学ぶ子どもたちにとって素晴らしい経験になったはずです。この日、夕方には次の公演地、大阪まで移動する過密日程なのに、二人とも終始にこやかで感謝。

<スミルノワ&チュージン トークショー>

こんな素晴らしい企画が参加費わずか千円なんて何と太っ腹なことなんでしょう。事前に質問を募集し、会場からも子どもたちからの質問を受け付けていました。しっかりとスムーズに段取りされていたのも良かったです。

今回の講習会にあたって

オルガ・スミルノワ、
「私自身にとっても面白い経験でした。伝えたいことを生徒に伝えるためにはどのようなコンビネーションをすればいいのか考えるのも自分の勉強にもなりました。本当は数日間あれば、参加者の皆さんに合ったコンビネーションにすることができたのですが、今回の形式でも私の勉強にもなりました。今後もこのような機会を重ねて行きたいと思います」

セミョーン・チュージン、
「僕も、自分自身楽しみました。生徒の皆さんは吸収が早く、アドバイスも素早く理解されていました。今まで自分が経験したことを分け与えたいと思ってレッスンをしました。忘れないで、今後の糧にしていただければと思います。楽しかったです」

デモンストレーションに「ダイヤモンド」を選んだ理由

スミルノワ
「この作品はセミョーンと何シーズンも踊ってきて、より深く心に感じられる作品になりました。全幕でも、ガラ公演でも踊っています。セミョーンも、この作品は彼自身大好きでたまらなくなる作品だと言っていました」

もう少しこうしたらいい、と生徒に伝えたいこと

スミルノワ
「クラスで十分伝えられたと思います。レッスンの時にも申し上げましたが、日本の皆さんは努力家でアドバイスを理解し次には修正してきます。先生の言うことは絶対によく聞いてください。私も先生の言うことを疑わずに取り入れてきたので皆さんもそうしてくださいね」

チュージン
「バレエだけに偏らないように、水泳や読書などもして、お母様方、お子さんを伸び伸びさせてください。バレエそのものを心から楽しんで!バレエが楽しみとなるように」

ワガノワとボリショイのバレエのスタイルの違いについて

チュージン
「ボリショイに入って8年が経ちボリショイスタイルに馴染んできましたが、フランス流派も好きです」

スミルノワ
「ワガノワはポジションの正確さ、腕の動きの美しさ、表現力が優れており、洗練されていて繊細で上品です。モスクワは感情表現、ジャンプに特徴があり、身体の強さ力強さが求められています。『スパルタクス』などは、ジャンプもたくさんあって力強い表現ですね。しかしワガノワとモスクワの違いは10年前ほどではなくなっており、融合してきました。私はワガノワの卒業生ですが、ボリショイで踊っていますし、ワガノワの今の校長はボリショイ・バレエのスターだったツィスカリーゼとなりました。ボリショイにもフランスからの教師が来るなど、モスクワにいながらフランス流派も学べるようになって恵まれた環境だと言えます。今は様々なバレエ団にゲスト出演し、レッスンを受けてはいいところを吸収しています。フランス流のアッサンブレ、足先の動き、脚の表現力があるところ、脚で物語を語ること、そしてパドブレなどが優れているところは取り入れたいと思います」

バレエを始めたきっかけは?

チュージン
「10歳の時で、母に勧められたからです。バレエでは、ターンアウトするのが気に入りました」

スミルノワ
「バレエを始めたのは10歳の時で、好きでバレエを始めたのではないし、バレリーナになりたいとも思っていなかったのですが、母の勧めで偶然にいきなりワガノワアカデミーに入学しました。クラシック・バレエのレッスンに加えキャラクターや演技の授業が始まってようやく面白くなってきました。最初はターンアウトさせるところから始まり1年目は単純で、どうやって美しいダンスになるのかわからなかったので、好きになれなかったのです。でもクラスで一番になりたいと思っていたので、そのことが今の成功につながったと思います。お手本としては理想的ではないですね」

学校生活の想い出は?

スミルノワ
「学校生活に楽しい想い出もあまりなく、毎年クラシックの試験があるので数か月前から準備し緊張していました。試験では、クラスレッスンでの審査があるのですが、一つのクラスで持てる限りの実力を発揮しなければならないのです。卒業試験を受けて、もう緊張する試験を受けなくて済むと思ってほっとしたほどです。良かったのはワガノワの生徒は無料でマリインスキーを3階席で観られるので、ロパートキナ、ヴィシニョーワ、テリョーシキナら憧れのダンサーは欠かさず見ていて、また練習を頑張ろうと思えたことです」

チュージン
「学校(ノヴォシビルスク・アカデミー)での楽しかった思い出としては、卒業学年とその前の学年では、劇場でレッスンを行うので、プロと同じリハーサルの場所で稽古できたこと。ステージの上でクラスを受けたあと、客席でプロがクラスレッスンを受けていることを観られたことです」

憧れのダンサーは?

スミルノワ
「ディアナ・ヴィシニョーワです。同じコワリョーワ先生に師事していたので、彼女のダンスが理解できました。ダンサーとしてだけでなく、人としても憧れの存在です。彼女の実験を恐れないこと、クラシックのダンサーに留まらず新しいことに挑戦し新しい分野のダンスを紹介しているのが素晴らしいと思います」

チュージン
「学校の卒業学年の最後に卒業コンサートを行いますが、「ラ・シルフィード」を踊ることに。この演目が素晴らしいのがルグリで、彼が踊る「ラ・シルフィード」のヴァリエーションを観てあんなふうに踊りたいと一年かけて練習し、彼のレベルがどれほど自分と遠いかを実感しました。今一緒にルグリと仕事ができてとても嬉しいです」

学校時代、バレエで悩んだことは?

チュージン
「僕には怠け癖があり、また飽きっぽくてなかなか続かないところがありました。年齢を重ねるごとに他のことにも興味を持つようになってしまい、寄り道している時間が今にしてみればもったいなかったと思います。オルガさんには、このことを今回子どもたちに伝えたら、と言われました」

スミルノワ
「学校時代は朝早く学校に行き、クラシック・バレエやバレエの歴史など専門の授業の他、一般の勉強の授業もありました。夜は、バレエ団の公演で子役が出る作品のリハーサルなどもあり、7時くらいまで残って、家が遠かったので帰宅すると9時くらいになってしまい、学業の宿題もしなければならず、学校生活を送るのがいっぱいいっぱいで、さらに休みの日曜日も体操を習っていました。少しでも漏らさず吸収しようとしていましたね」


どのようなストレッチを家でしていますか?

チュージン
「30歳位までは家では何もしていなかったのだけど、25歳くらいになったらピラティスなどを身体のためにすべきだと思います。昔はストレッチは興味なく、ジャンプや回転の方が楽しかったのですが、家で回転は練習できませんし」

スミルノワ
「よく脚が開くバレリーナに憧れて、学校時代は家で椅子を出して時間さえあれば開脚をしていました」


食事について、どのようなことを気を付けていますか?

スミルノワ 
「朝と夜はしっかり食べています。昼は軽めに、甘いものとコーヒーか紅茶。甘いものはエネルギーの補給となると共に、好きなものを食べている幸せを感じられるから。公演前はパスタなど炭水化物を摂ります。終演後はなんでも食べます。遅い時間でもエネルギーを補給するためにしっかり食べています。魚や肉などタンパク質も体力のためには大切です」

チュージン
「公演前に食べるマカロニが大好き。食にこだわりはなく好きなものを好きなだけ食べています。食べ過ぎには気を付けていますが、公演直前には、甘いものを摂ってエネルギーにしています」

スミルノワ
「アカデミー時代に教わった教師は子供たちに、もう少し食べたほうがいいと思ったところで席を立った方がいいと父兄には言っていました。もっと食べたいときには、寝ることです、と」

子どもの頃苦手だったパと克服法は?

スミルノワ
「アカデミーでは回転技をとてもたくさん練習しました。今回もセンターレッスンに入るとすぐに回転を入れてみました。試験では2回転フェッテをしなければならないので緊張し一生懸命練習しました」

チュージン 
「ドゥーブルアッサンブレが苦手で卒業コンサートではできなかったのです。なので、それはバレエ団に入団してから先生について練習しました」

バランスをとるためには?

スミルノワ、
「経験を重ねることです。身体の中心をしっかりとさせるためにはピラティスが有効です。強い腹筋、中心を持つことでバランスが強くなります」

チュージン
「やはり腹筋が大事です。ピラティス、パッセで立ってバランスを感じることも大事。ピルエットはひたすら練習あるのみですが、何も考えずにではなく、一回一回しっかりバランスを意識しながら丁寧に練習すること。一つ一つの練習に意味があるので考えながらやることです」

背を伸ばすためには?

二人口をそろえて
「ロシアではニンジンを食べると背が伸びると言われています」

ワガノワ・アカデミーに留学したいのですがアドバイスは?

スミルノワ
「入学するのは実は難しくないのだけど、入る前にしっかりプロの先生について練習をしてください。そして、最初の学年で基礎を学ぶのでできるだけ早く留学したほうがいいと思います、違う基礎を身につけると修正するのに時間がかかりますので」

最後にメッセージ

チュージン、
「バレエ、そして舞台を楽しんでください。その喜びをお客さんにプレゼントするつもりで踊ってください。人生は楽しむためにあるのだし、喜びのないダンサーはお客さんには何も届けられません」

スミルノワ
「皆さんの温かい雰囲気に感謝しています。日本の客さんは世界で一番バレエを熱く愛していると思います」


以上、メモ書きからなので、間違いなどもあるかもしれません。最後にサイン会や写真撮影会もあり、朝からのイベントや講習会が続き、大変だったと思うのですが疲れた顔一つ見せず、温かい笑顔の二人でした。チュージンの受け答えにはユーモアがあり、そしてスミルノワも、クールビューティの外見とは裏腹にとても優しく温かい笑顔。予定時間を超えて交流してくれ、(途中でファンレターを読んでいたりしました)次のStars in Blue公演がある大阪へと旅立っていきました。

本当によく運営された、素晴らしいイベントだったと思います。

「Stars In Blue」はあと2公演、

宮崎

2019年3月14日(木)19:00開演
メディキット県民文化センター(宮崎公演)
http://danceconcert.jp/schedule-ticket/miyazaki/

愛知

2019年3月17日(日)15:00開演
愛知県芸術劇場コンサートホール(愛知公演)
http://danceconcert.jp/schedule-ticket/aichi/

これだけ贅沢で美しい舞台はなかなかありません。ぜひご覧ください。

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