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2019年2月

2019/02/19

第19回英国ナショナル・ダンス・アワード受賞者

2017年9月1日から2018年8月31日までの間に英国で行われた公演を対象とし、500もの対象から絞り込まれたものです。Dance Section of the Critics’ Circleという60人の批評家からなる団体が選んだ第19回英国ナショナル・ダンス・アワード、受賞式が行われ、受賞者が発表されました。対象となったダンサーは396人を数えます。



DANCING TIMES AWARD FOR BEST MALE DANCER  最優秀男性ダンサー
ワディム・ムンタギロフ (ロイヤル・バレエ)


BEST FEMALE DANCER 最優秀女性ダンサー 
マリアネラ・ヌニェス (ロイヤル・バレエ)


STEF STEFANOU AWARD FOR OUTSTANDING COMPANY 傑出したカンパニー
クラウド・ゲイト・ダンス・シアター(台湾)


BEST INDEPENDENT COMPANY 最優秀インディペンデントカンパニー

ラッセル・マリファント・カンパニー



BEST CLASSICAL CHOREOGRAPHY 最優秀古典振付賞

キャシー・マーストン、バレエ・ブラック「The Suit」


BEST MODERN CHOREOGRAPHY 最優秀現代振付賞

クリスタル・パイト、NDT1「The Statement」


EMERGING ARTIST AWARD 新人アーティスト賞
プレシャス・アダムズ (イングリッシュ・ナショナル・バレエ)


OUTSTANDING FEMALE MODERN PERFORMANCE 傑出した女性モダン・ダンサー
ロシオ・モリーナ Cía Rocio Molina/Dance Umbrella ‘Caída del Cielo/Fallen from Heaven’



OUTSTANDING MALE MODERN PERFORMANCE 傑出した男性モダン・ダンサー

アクラム・カーン ‘Xenos’


OUTSTANDING FEMALE CLASSICAL PERFORMANCE 傑出した女性クラシック・ダンサー

アリーナ・コジョカル 「眠れる森の美女」 (イングリッシュ・ナショナル・バレエ)


OUTSTANDING MALE CLASSICAL PERFORMANCE 傑出した男性クラシック・ダンサー
José Alves ‘The Suit’ (Ballet Black)


OUTSTANDING CREATIVE CONTRIBUTION 傑出したクリエーションへの貢献
ルーシー・カーター (照明デザイナー) ”Yugen”などマクレガー作品の照明をデザイン


De Valois Award for Outstanding Achievement 傑出した芸術への貢献に与えられるニネット・ド・ヴァロワ賞

マーク・ボールドウィン (ランベールの前芸術監督)


ロイヤル・バレエを代表する黄金ペアとなったマリアネラ・ヌニェス、ワディム・ムンタギロフが揃って最優秀ダンサー賞を受賞。
傑出したカンパニーには、台湾のクラウド・ゲート・ダンス・シアター(雲門舞集)が選ばれました。

最優秀現代振付賞には、今最も注目される振付家であるクリスタル・パイトの「The Statement」、これは今年の7月に予定されているNDTの来日公演でも上演されますので、必見です。


(The Statement全編は、4月26日までこのリンクで視聴できます)

ENBからは、傑出した女性クラシック・ダンサーにアリーナ・コジョカル、新人賞にプレシャス・アダムズ

ダンサーを引退し振付家に専念するアクラム・カーンが、 ‘Xenos’で傑出した男性モダン・ダンサーに選ばれました。


<ノミネート・リスト>


DANCING TIMES AWARD FOR BEST MALE DANCER  最優秀男性ダンサー

Miguel Altunaga (Rambert)
Akram Khan (Akram Khan Company)
Brandon Lawrence (Birmingham Royal Ballet)
Vadim Muntagirov (The Royal Ballet)
Javier Torres (Northern Ballet)


BEST FEMALE DANCER 最優秀女性ダンサー 

Alina Cojocaru (English National Ballet)
Jurgita Dronina (English National Ballet)
Dana Fouras (Russell Maliphant Company)
Rocío Molina (Cía Rocio Molina/Dance Umbrella)
Marianela Nuñez (The Royal Ballet)


STEF STEFANOU AWARD FOR OUTSTANDING COMPANY 傑出したカンパニー

Cloud Gate Dance Theatre of Taiwan
Dresden Semperoper Ballett
Northern Ballet
The Royal Ballet
Scottish Ballet



BEST INDEPENDENT COMPANY 最優秀インディペンデントカンパニー

[Sponsored by Dansez]

Ballet Black
BalletLORENT
Lost Dog
Russell Maliphant Company
Yorke Dance Project


BEST CLASSICAL CHOREOGRAPHY 最優秀古典振付賞

[Sponsored by The Ballet Association]

William Forsythe for ‘Playlist (Track 1,2)’ (English National Ballet)
Cathy Marston for ‘The Suit’’ (Ballet Black)
Wayne McGregor for ‘Yugen’ (The Royal Ballet)
Liam Scarlett for ‘Swan Lake’ (The Royal Ballet)
Christopher Wheeldon for ‘Corybantic Games’ (The Royal Ballet)


BEST MODERN CHOREOGRAPHY 最優秀現代振付賞

Ben Duke for ‘Goat’ (Rambert)
Lin Hwai-min for ‘Formosa’ (Cloud Gate Dance Theatre of Taiwan)
Akram Khan for ‘Xenos’ (Akram Khan Company)
Russell Maliphant for ‘maliphantworks 2’ (Russell Maliphant Company)
Crystal Pite for ‘The Statement’ (Nederlands Dans Theater 1)


EMERGING ARTIST AWARD 新人アーティスト賞
[Sponsored by The L&M Trust]

Precious Adams (First Artist, English National Ballet)
Maya Jilan Dong (Choreographer & Dancer /Portraits of Otherness, Akram Khan Company)
Daniel McCormick (Artist, English National Ballet)
Joseph Sissens (First Artist, The Royal Ballet)
Vanessa Vince-Pang (Dancer, Phoenix Dance Theatre)


OUTSTANDING FEMALE MODERN PERFORMANCE 傑出した女性モダン・ダンサー
[Sponsored by DWFM Beckman]

Eleanor Duval as Lady Macbeth in ‘Macbeth’ (Mark Bruce Company)
Rocío Molina in ‘Caída del Cielo/Fallen from Heaven’ (Cía Rocio Molina/Dance Umbrella)
Vidya Patel in ‘Usne kha tha/The Troth’ (Akādemi)
Ashley Shaw in the title role as ‘Cinderella’ (New Adventures)
Solène Weinachter as Juliet in ’Juliet and Romeo’ (Lost Dog)


OUTSTANDING MALE MODERN PERFORMANCE 傑出した男性モダン・ダンサー

Miguel Altunaga in ‘Goat’ (Rambert)
Jonathan Goddard in the title role as ‘Macbeth’ (Mark Bruce Company)
Akram Khan in ‘Xenos’ (Akram Khan Company)
Russell Maliphant in ‘maliphantworks 2’ (Russell Maliphant Company)
Dickson Mbi in ‘maliphantworks 2’ (Russell Maliphant Company)



OUTSTANDING FEMALE CLASSICAL PERFORMANCE 傑出した女性クラシック・ダンサー

[Sponsored by Lee McLernon]

Precious Adams as Calliope in ‘Elite Syncopations’ (Kenneth MacMillan: A National Celebration/English National Ballet)
Alina Cojocaru as Aurora in ‘The Sleeping Beauty’ (English National Ballet)
Constance Devernay as The Fairy in ‘Le Baiser de la fée’ (Scottish Ballet)
La Chana in ‘Gala Flamenca/La Chana’ (Flamenco Festival)
Marianela Nuñez as Odette/Odile in ‘Swan Lake’ (The Royal Ballet)


OUTSTANDING MALE CLASSICAL PERFORMANCE 傑出した男性クラシック・ダンサー
[Sponsored by The London Ballet Circle]

José Alves in ‘The Suit’ (Ballet Black)
Sergio Bernal in ‘The Swan’ in Russian Ballet Icons Gala (Ensemble Productions)
Brandon Lawrence as Pan in ‘Arcadia’ (Birmingham Royal Ballet)
Andrew Peasgood as The Young Man in ‘Le Baiser de la fée’ (Scottish Ballet)
Aaron Robison in ‘Playlist (Track 1, 2)’ (English National Ballet)


OUTSTANDING CREATIVE CONTRIBUTION 傑出したクリエーションへの貢献

Lucy Carter (Lighting Designer)
Viviana Durante (Producer, Steps Back in Time)
Philip Feeney (Composer/Music Arranger/Pianist)
John Macfarlane (Designer)
Gavin Sutherland (Conductor/Music Arranger/Musical Director)

2019/02/18

ル・グラン・ガラ2019の演目と公演概要

パリ・オペラ座バレエのダンサーたちによる『ル・グラン・ガラ2019』の新しいチラシ、そして公式ホームページに、演目と日程が出ていました。

http://le-grand-gala2019.jp/

世界最高の実力と人気を誇るパリ・オペラ座バレエのトップ・エトワールたち5名が出演し、ワーグナーの愛と官能の世界を描いた‟ル・グラン・ガラ 2018”。ヨーロッパ最先端のバレエを日本初演し、「洗練された新しいバレエの到来」と絶賛されました。

この公演がさらにパワーアップして、2019年夏に再来日!パリ・オペラ座のスターダンサーのなかでも群を抜いた人気ダンサー8名が結集し、めくるめく宝石のように美しいガラ公演を開催いたします。
2018年公演で絶賛を博した「トリスタンとイゾルデ」を振付けた気鋭の振付家ジョルジオ・マンチーニが、世紀の歌姫マリア・カラスにインスピレーションを受けた作品を本公演のために創作し、世界初演いたします。また、世界最高のテクニックや類まれなる表現力を惜しげもなく披露する「クラシック・ガラ」も開催いたします。

すべてのバレエ・ファンが垂涎する、奇跡のような豪華キャストの共演で話題必至の本公演にご期待ください。


<出演>

ドロテ・ジルベール(パリ・オペラ座バレエ エトワール)
アマンディーヌ・アルビッソン(パリ・オペラ座バレエ エトワール)
ジェルマン・ルーヴェ(パリ・オペラ座バレエ エトワール)
レオノール・ボラック(パリ・オペラ座バレエ エトワール)
ユーゴ・マルシャン(パリ・オペラ座バレエ エトワール)
オニール八菜(パリ・オペラ座バレエ プルミエール・ダンスーズ)
オードリック・ベザール(パリ・オペラ座バレエ プルミエ・ダンスール)

Legrandgala2019

■Aプロ■
「ヘルマン・シュメルマン」 
振付:ウィリアム・フォーサイス
音楽 トム・ウィレムス
オニール八菜、ユーゴ・マルシャン

「白鳥の湖」第2幕より
振付:ルドルフ・ヌレエフ
音楽:P.I.チャイコフスキー
レオノール・ボラック、ジェルマン・ルーヴェ

「眠れる森の美女」より
振付:ルドルフ・ヌレエフ
音楽:P.I.チャイコフスキー
オニール八菜、ジェルマン・ルーヴェ

「プルーストー失われた時を求めて」より“モレルとサン=ルー”
振付:ローラン・プティ
音楽:ガブリエル・フォーレ
マチュー・ガニオ、オードリック・ベザール

「マノン」より“寝室のパ・ド・ドゥ”
振付:ケネス・マクミラン
音楽:ジュール・マスネ
ドロテ・ジルベール、マチュー・ガニオ

「失われた時を求めて」より“囚われの女”
振付:ローラン・プティ
音楽:カミーユ・サン=サーンス
アマンディーヌ・アルビッソン、オードリック・ベザール

「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」
振付:ジョージ・バランシン
音楽:P.I.チャイコフスキー
ドロテ・ジルベール、ユーゴ・マルシャン

「ライモンダ」
振付:ルドルフ・ヌレエフ
音楽:アレクサンドル・グラズノフ
ドロテ・ジルベール

■Bプロ■
「マリア・カラスへのオマージュ」
(仮題・世界初演)
振付:ジョルジュ・マンチーニ
全員

「ジュエルズ」より“エメラルド”
振付:ジョージ・バランシン
音楽:ガブリエル・フォーレ
ドロテ・ジルベール、マチュー・ガニオ
レオノール・ボラック、ジェルマン・ルーヴェ

「ジュエルズ」より“ダイヤモンド”
振付:ジョージ・バランシン
音楽:P.I.チャイコフスキー
アマンディーヌ・アルビッソン、ユーゴ・マルシャン


『ル・グラン・ガラ2019』

【日時】 2019年7月23日(火)~25日(木)

2019年

7月23日(火)19時開演 (Aプロ)
7月24日(水)14時開演 (Aプロ)
7月25日(木)14時/19時開演(Bプロ)

【会場】 文京シビックホール
【料金】 S 15,000円/A 12,000円/B 9,000円/C 6,000円 (税込)

【発売日】 2019年3月9日(土)

お問い合わせ
チケットスペース 03-3234-9999
※一般発売日3月9日(土)の営業は10:00~18:00
※公演日、チケット発売日の日・祝は営業

主催:TBS 協力:ベルチェ・アソシエイツ

<大阪公演>

【日時】2019年7月27日(土)17:00開演

【会場】フェスティバルホール

【発売日】未定

お問い合わせ
キョードーインフォメーション 0570-200-888


2019/02/14

針山愛美「世界を踊るトゥシューズ」と日本国際バレエカンパニー(追記あり)

ソ連崩壊直後にボリショイ・バレエ・アカデミーに留学し、モスクワ音楽劇場バレエ、ドイツのエッセン・バレエ、アメリカのボストン・バレエ、そしてベルリン国立バレエと、ロシア、ヨーロッパ、アメリカで活躍したバレリーナの針山愛美さんの著書「世界を踊るトゥシューズ 私とバレエ」


ソ連崩壊に始まり、ニューヨークの9.11のテロなど、世界情勢が激動する中で、バレエ団での活動だけでなく、一流音楽家とのコラボレーション、後進への指導などで幅広く活動する針山さんが、その半生を振り返る一冊です。

1990年代から2010年代までの激動する世界を飛び回り、踊ってきたバレリーナの足跡としてとても興味深い本となっています。これからダンサーを目指す人や、バレエに限らず世界で活躍したいと思っている人にとっては示唆に富んでいます。

まだ日本からロシアに留学する生徒が少なかった時代、物資に乏しく、寒く質素な学生寮で過ごしたボリショイ・アカデミー時代。モスクワ騒乱などで治安も悪い中、ロシア語を学びつつ、バレエ漬けの毎日でした。卒業後、モスクワ音楽劇場バレエに入団し、パリ国際バレエコンクールで銀賞を受賞し、ヨーロッパへ。そしてジャクソン国際バレエコンクールでエルダー・アリエフと出会い、アメリカへ。イリーナ・コルパコワの教えを受けます。しかしその後移籍したバレエ団が解散するなどのトラブルにも見舞われます。ボストン・バレエ団時代に9.11のテロが起き、困難な時代となります。大きな怪我に見舞われてボストン・バレエを退団し、吹田市の国際交流大使として活動。ウラン・ウデ劇場などでも踊ります。そして、ちょうどベルリンで3つのバレエ団が統合され、ウラジーミル・マラーホフが芸術監督として就任する時にオーディションを受けてベルリン国立バレエに入団。そしてマラーホフが芸術監督を退いた2014年に
退団します。

食べ物を買うのにも苦労し、まだメールやインターネットがなくて家族ともなかなか連絡が取れなかったロシアでの留学時代の様子はとても印象的です。そこでたくさんのバレエ公演を観たことが針山さんの糧になります。ベルリンに移った時にもベルリン・フィルの公演をよく聴きに行ったり、自分が踊るだけでなく、様々な芸術に触れた、そのことの大切さを実感させられますし、そのことによってアーティストとして豊かになっていくことが伝わっていきます。また、ロシアやヨーロッパでは芸術が人々の生活に根付いていて、誰もが気軽に劇場に通うことができる素晴らしさが伝わってきます。そのように芸術に親しんできたことから、チェリストの巨匠ダヴィド・ゲリンガスとデュオでプロデュース共演するといった活動につながっていきました。

イリーナ・コルパコワ、マイヤ・プリセツカヤ、モーリス・ベジャール、小澤征爾、ベルリン・フィルのヴァイオリン奏者ホルム・ビークホルツと、様々な人々との出会いが語られます。その中でやはり特別な関係を結んだのがウラジーミル・マラーホフでした。ベルリン国立バレエ時代はもちろんのこと、退団後はますます親しくなっていきました。巻末にマラーホフ本人の言葉が掲載されています。マラーホフは芸術監督を退任するにあたっては、落ち込んだこともあったそうですが、その時に針山さんに支えられたとのことです。

マラーホフはキューバでコンクールを開催したり、また針山さんを振付助手として、クロアチア国立バレエに「白鳥の湖」を振付けると行った活動を近年行っています。(マラーホフ版『白鳥の湖』は昨年、倉永美沙さん主演で東京でも上演されています)また、ダンサーとしてはコンテンポラリー作品に挑戦し、島崎徹さん振付の作品を踊っています。この年齢になってから新境地に挑んだマラーホフの様子についても読むことができます。

針山さんが、政治や歴史について知ることも芸術家にとっては必要だと書かれていることについては、とても大切な視点だと思いました。芸術は世界情勢に左右されるところが多く、自分だけの努力ではどうしようもないことも起きたりします。その一方で、芸術が世界を変える力の源となることもあります。人々に希望や力を与えてくれるものだからです。これからも、ブレグジットや行き過ぎたナショナリズム、貧富の差の拡大、まだ残る様々な差別など世界には問題が山積していますが、厳しい時代だからこそ芸術が必要であるということは伝わってほしいと思います。

この本の中で、針山さんが自分の夢として、いつか本格的な自分のバレエ団を作り、ダンサーが職業として成立して、公演と教育に打ち込める環境を作りたいと書いています。その夢は実現に近づいています。

世界を踊るトゥシューズ―私とバレエ
針山愛美
論創社 (2018-06-27)
売り上げランキング: 205,306


日本に「マラーホフバレエ団」…世界的ダンサー 育成拠点新設へ
https://www.yomiuri.co.jp/culture/20190205-OYT1T50222/

世界的なバレエダンサー、ウラジーミル・マラーホフさん(51)が芸術監督を務める「日本国際バレエカンパニー」が、近く設立されることになった。国内のダンサーを育成して海外展開を進めるのが目的で、当面は関西を拠点に練習を重ね、6月末にカザフスタンのアスタナ劇場で初公演を行う。

 マラーホフさんはウクライナ出身。ドイツ・ベルリン国立バレエ団で2004年から10年間、芸術監督を務めた。現在も舞台に立ち、振付家としても活躍する。

 発起人は、マラーホフさんの振付助手を務める大阪府出身のバレリーナ針山愛美えみさん(41)。今月10日から大阪、東京でオーディションを3回行って約20人の団員を選考し、針山さんの活動拠点がある大阪府豊中市、兵庫県西宮市で練習を行うほか、マラーホフさんが年に数回、来日して直接指導にあたる。当面の運営費用は針山さんが私費で賄うが、今後は寄付を募るなどして国内外で公演機会を増やしたいという。

Japan International Ballet 日本国際バレエカンパニー
https://japanballet.org/company/

2019年8月16日(金)カルッツかわさきでガラコンサートが開催される予定です。
ウラジーミル・マラーホフや世界からのゲストダンサーが出演。

カンパニーは現在オーディションを行っています。(今回の公演用に)

針山愛美さんのチャコット・ダンスキューブの連載コラムより
▼今回はバレエカンパニーの事、バレエを取り巻く環境の違い等について少し書きたいと思います。
https://www.chacott-jp.com/news/column/berlin/detail011329.html


<追記>
針山愛美さんにお話を伺いました。今回の日本国際バレエカンパニーは、常設のバレエ団ということではなく、

「まずはできることから、できる限りのことをしたい。まずはプロジェクト的に、プロダクションごとに集まっていただいてパフォーマンスの機会を増やしていきたいと思っています」
「バレエの裾野を広げたい、そしてせっかく素晴らしいスキルを持った世界的なアーティストの方に日本の若いアーティストにそのオーラと芸術性を伝えていただきたい」
「バレエをしている方だけではなく、一般の方々の力になれるような活動もしていくことが私の夢です」

このような想いを持っている舞台人はたくさんいると思います。日本のバレエ界を変えていく力になればいいと願っています。

2019/02/13

2/15(金)NHK Eテレで映画「チェコ・スワン」放映

2月15日(金) 午後10時00分~NHK Eテレでドキュメンタリー映画「チェコ・スワン」が放映されます。

https://www.nhk.or.jp/docudocu/program/4471/1418032/

地元の行事で民族舞踊を披露してきた12人のオバサマたちが、「白鳥の湖」を踊りたいと国立バレエ団の振付師に直談判。奇跡的に「白鳥の湖」の主役に抜擢されたバレリーナの指導を受けることになる。果たして高齢の素人たちが白鳥の群舞を踊れるのか?!チュチュの下に衣装として大人用のオムツを履くユーモアのセンスを持ち、ダンスの完成度より楽しむことを優先する人生の達人たちの奮闘ぶりを描く。

昨年、映画館でも公開された、心温まる作品です。

http://czechswan.jp/

1月にBS世界のドキュメンタリーで放映されたところ、好評で今回地上波でも放映されることになりました。劇場版は52分なので、少し短くなっています。

監督 アレクサドラ・テルピンスカ
原題 Czech Swan
製作年 2015年
製作国 ポーランド・チェコ合作
配給 コピアポア・フィルム

Side B-alletさんに、この作品の詳しい紹介が載っていますが、そこによると、このドキュメンタリーで指導役をしたMarketa Pospisilovaは、National Moravian-Silesian Theatreのソリストだったそうですが、この映画の撮影後、モンテカルロ・バレエに移籍しています。
https://www.balletsdemontecarlo.com/en/pospisilova

2019/02/10

第47回ローザンヌ国際バレエコンクールの決勝結果 佐々木須弥奈さんが3位入賞

第47回ローザンヌ国際バレエコンクールの決勝が行われ、結果が発表されました。

https://www.prixdelausanne.org/fr/laureats-2019/

1位 マッケンジー・ブラウン (アメリカ、プリンセス・グレース・アカデミー、16歳)
2位 Gabriel FIGUEREDO (ブラジル、ジョン・クランコ・スクール、18歳)
3位 佐々木須弥奈 (日本、チューリッヒ・ダンス・アカデミー、18歳)
4位 脇塚優 (日本、ハンガリーダンスアカデミー、17歳)
5位 Shuailun WU (中国、北京舞踊学院、17歳)
6位 ジョア・ヴィトール・ダ・シルヴァ (ブラジル、Ballet Vortice 15歳)
7位 アレクサンダー・ジョアキム (ポルトガル、ロゼラ・ハイタワー国際ダンスセンター、18歳)
8位 住山美桜  (日本、チューリッヒ・ダンス・アカデミー、18歳)

コンテンポラリー賞 マッケンジー・ブラウン
観客賞 マッケンジー・ブラウン
Web観客賞 Jihyun CHOI  (韓国、ソウル芸術高校、16歳)
ヌレエフ財団の若い才能賞 ジュリア・シュガ (アメリカ、All American Classical Ballet School、16歳)
ベスト・スイス賞 佐々木須弥奈

今年はコンテンポラリーの出来がかなり重視された感じでした。課題曲も、ウェイン・マクレガーの「クローマ」と「ウルフ・ワークス」、ジャン・クリストフ・マイヨー作品など、かなり難しい作品が多かったように感じられます。そのため、シニアが上位受賞者の大半を占めていたわけですが、16歳のマッケンジー・ブラウンが3つの賞を獲って1位に。その見事なコンテンポラリーの才能は、やはり際立っていました。昨年1位のシェール・ワグマンも、やはりプリンセス・グレース・アカデミー。永久メイさんも、ここの出身です。

また2位のGabriel FIGUEREDOも、とても柔軟性と身体能力にすぐれて、ずば抜けた才能を発揮していました。

こういう素晴らしい才能の中で、日本からの出場者が3人入賞したのは快挙だと言えます。3位の佐々木須弥奈さんは、佐々木大さんの娘さん。お姉さんの佐々木夢菜さん、お兄さんの佐々木嶺さんもプロのダンサーとして活躍しています。古典(「エスメラルダ」)ばかりでなく、やはりマクレガーの「クローマ」を見事に踊りこなしていました。

あと、6位入賞のジョア・ヴィトール・ダ・シルヴァの身体能力の素晴らしさには目を瞠りました。まだとても若いけど伸びてほしいものですね。

決勝はYouTubeでも全編(ただし、幕間のパフォーマンスは含まれていません)を視聴することができます。

2019/02/09

ローザンヌ国際バレエコンクールのファイナリスト

ローザンヌ国際バレエコンクール、2月7日に準決勝が行われて、ファイナリストが決定しました。

https://www.prixdelausanne.org/finalists-2019/

ジュニア

117 SHUGART Julia United States 16.1 years old All American Classical Ballet School
125 CHOI Jihyun South Korea 16.6 years old Seoul Arts High School
126 BROWN Mackenzie United States 16.9 years old Academie Princesse Grace
202 GARRISON Parker United States 15.5 years old International Ballet Academy
203 DA SILVA João Vitor Brazil 15.9 years old Ballet Vortice
205 FERREIRA António Portugal 15.10 years old National Conservatory Dance School
206 BENZIE-DRAYTON Noah Australia 16.2 years old Perth School of Ballet
207 FUCHIYAMA Shunhei Japan 16.2 years old 淵山隼平
208 BECKER Carl Germany 16.3 years old Palucca University of Dance Dresden
210 DAVIDOFF Benjamin Belgium 16.6 years old Royal Ballet School of Antwerp
212 LI Hang China 16.8 years old Liaoning Ballet School

シニア

303 SEO Yoon Jung South Korea 17.3 years old Seoul Arts High School
310 WARDELL Victoria Canada 17.8 years old Ellison Ballet
313 SASAKI Sumina Japan 18.3 years old 佐々木須弥奈 Tanz Akademie Zurich
315 KUPERUS Beatriz United States 18.6 years old English National Ballet
316 SUMIYAMA Mio Japan 18.9 years old 住山美桜 Tanz Akademie Zurich
406 DE GROEVE Achille Belgium 17.5 years old Royal Ballet School of Antwerp
408 WAKIZUKA Yu Japan 17.7 years old 脇塚優 
412 WU Shuailun China 17.10 years old The Secondary Dance School of Beijing Dance Academy
416 FIGUEREDO Gabriel Brazil 18.3 years old John Cranko School
418 JOAQUIM Alexandre Portugal 18.7 years old Centre International de Danse Rosella Hightower

日本とアメリカから各4人というのが最多です。

日本からは、

ジュニアの部門
埼玉県さいたま市の淵山隼平さん(16)アクリ・堀本バレエアカデミー、千葉県の日出学園高校1年

シニア部門
東大阪市の佐々木須弥奈さん(18) チューリッヒ・ダンス・アカデミー/佐々木美智子バレエスタジオ
東京都世田谷区の住山美桜さん(18) チューリッヒ・ダンス・アカデミー/森仲悠子・森中健智バレエアカデミー
大阪市の脇塚優さん(17) ハンガリーダンスアカデミー/徳永紀子バレエスクール

ローザンヌ国際バレエコンクール 日本人4人が決勝へ
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190209/k10011809421000.html

ローザンヌバレエ2019 準決勝発表 日本人4人選出


チューリヒにバレエ留学中の住山美桜さんと佐々木須弥奈さんのインタビュー

準決勝、ジュニア部門

準決勝 シニア部門

日本以外の出場者で注目はジュニア部門女子、プリンセス・グレース・アカデミーのマッケンジー・ブラウン(アメリカ)
https://www.instagram.com/dancin_mac7/

シニア男子、ジョン・クランコ・スクールのGabriel Figueredo(ブラジル)
https://www.instagram.com/biel_figueredo/

でしょうか。今晩22:30より決勝が中継されます。
https://www.arte.tv/fr/videos/087075-011-A/47eme-prix-de-lausanne-finale/

マニュエル・ルグリ Stars In Blue キャスト変更、シルヴィア・アッツオーニが出演

マニュエル・ルグリが、オルガ・スミルノワ、セミョーン・チュージン、木本全優を迎え、さらに若手気鋭の音楽家 三浦文彰、田村響と共演する『Stars In Bulue スターズ・イン・ブルー』

Stars_in_blue

http://danceconcert.jp/

この公演において、出演を予定していた 木本全優さん(ウィーン国立バレエ団 プリンシパル)は、足の骨折のため、出演ができなくなってしまいました。

代役として、シルヴィア・アッツォーニ(ハンブルク・バレエ団 プリンシパル)が本公演に出演し、あわせて演目が変更となります。


上演演目(予定)

ダンス作品

『OCHIBA~When leaves are falling~』(新作 世界初演)
振付:パトリック・ド・バナ
音楽:フィリップ・グラス
出演:
マニュエル・ルグリ、オルガ・スミルノワ
田村響(ピアノ)


『ソナタ』 ※
振付:ウヴェ・ショルツ
音楽:セルゲイ・ラフマニノフ
出演:
シルヴィア・アッツォーニ、セミョーン・チュージン
三浦文彰(ヴァイオリン)、田村響(ピアノ)


『Moment』
振付:ナタリア・ホレツナ
音楽:ヨハン・セバスチャン・バッハ / フェルッチョ・ブゾーニ
出演:
マニュエル・ルグリ、滝澤志野(ピアノ)


『タイスの瞑想曲』「マ・パヴロワ」より
振付:ローラン・プティ
音楽:ジュール・マスネ
出演:
オルガ・スミルノワ、セミョーン・チュージン
三浦文彰(ヴァイオリン)、田村響(ピアノ)


『瀕死の白鳥』
振付:ミハイル・フォーキン
音楽:カミーユ・サン=サーンス
出演:
オルガ・スミルノワ
三浦文彰(ヴァイオリン)、田村響(ピアノ)


『ノクターン・ソロ』「夜の歌」より  ※
振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:フレデリック・ショパン 「ノクターン第21番」
出演:
シルヴィア・アッツォーニ
田村響(ピアノ)


ということで、昨年の世界バレエフェスティバルでマリア・アイシュヴァルトとアレクサンドル・リアブコが踊った美しい『ソナタ』と、ノイマイヤー振付の『ノクターン・ソロ』がアッツオーニ出演作品として追加されました。


木本全優さんが怪我のために出演できなくなったのはとても残念ですし、木本さんとチュージンのデュオ作品も楽しみだったので観られなくなったのも残念です。でも代役にシルヴィア・アッツオーニが来てくれるのは嬉しいことですね。


3月8日(金)・9日(土)東京芸術劇場 コンサートホール
11日(月)大阪・ザ・シンフォニーホール
14日(木)宮崎・メディキット県民文化センター演劇ホール
17日(日)愛知県芸術劇場 コンサートホール

勅使川原三郎&佐東利穂子 アップデイトダンスNo.59「白痴」

KARAS APPARATUSでは、2/14(木)より、勅使川原三郎振付、アップデイトダンスNo.59「白痴」を上演します。

http://www.st-karas.com/karas_apparatus/#workshop

「白痴」
ドストエフスキーの「白痴」から変容したダンス作品「白痴」は、人間の内深くに
照射する光によって見える困惑する生の実体である。そこにある静けさは
生のふるえ、あるいは冬の凍てついた大地にのぼる一筋の煙。勅使川原三郎

勅使川原三郎さんの『白痴』は、2016年6月にKARAS APPARATUSで[アップデイトダンス No.36]として初演された後、同年12月、シアターXで再演。
そして2018年6月に再びアップデイトダンス No.52としてKARAS APPARATUSで上演された後、9月にフランス、パリのパリ シャイヨー宮劇場にて(フェスティバル・ドートンヌの一環として)ヨーロッパ初演 (8 回公演)されました。
10 月にはイタリア・フェラーラのTeatre Comunale Ferrara にて上演された後、第一回「踊る、秋田。」石井漠記念賞 受賞公演として秋田でも上演されています。

特にパリでの公演は多くのメディアで絶賛を浴び、大手新聞ル・モンド紙が選ぶ2018年のダンス公演ベスト5に選ばれています。
https://www.lemonde.fr/culture/article/2018/12/27/tous-nos-spectacles-preferes-de-2018_5402514_3246.html

また、3 月20 日~30 日 イギリス・ロンドンのPrint Room at the Coronet にて長期公演が予定されています。
https://www.the-print-room.org/theatre/spring-2019/the-idiot-saburo-teshigawara-rihoko-sato/


海外で高い評価を得ているこの作品が、小さなKARAS APPARATUSでアップデイト・ダンスとして誕生して、再びここに帰ってくることが感慨深く感じられます。

ドストエフスキーの小説の世界を一時間に濃縮し、ムイシュキン公爵とナスターシャの物語を美しく幻想的に、ムーヴメントで表現した 「白痴」は、抽象的な身体表現の可能性を極限まで追求した芸術作品です。ショスタコーヴィチのワルツに乗って踊られる勅使川原さんと佐東さんのデュエットはくらくらするような気品に満ち、屈指の名場面ともいえることでしょう。2人しか舞台におらず、舞台装置もない中で、想像力を掻き立てられ、19世紀ロシアへと連れて行かれます。貴婦人そのものの優雅さあふれる佐東さんの美しさ、勅使川原さんの善良さの中にある狂気の表現、思わず虜になってしまうようなダンスです。


アップデイトダンスNo.59
「白痴」


出演 勅使川原三郎 佐東利穂子
演出 照明  勅使川原三郎

【日時】2019年 
2月14日(木)20:00
2月15日(金)20:00
2月16日(土)16:00
2月17日(日)16:00
2月18日(月)休演日
2月19日(火)20:00
2月20日(水)20:00
2月21日(木)20:00
2月22日(金)20:00
*受付開始は30分前、客席開場は10分前

【料金】
一般 予約 3,000円 当日3,500円
学生 2,000円 *予約・当日共に

【予約】
・電話:03-6276-9136
・メール:updatedance@st-karas.com
件名を「アップデイトNo.59」とし、本文にご希望の日付・
一般または学生・枚数・住所・氏名・日中連絡のつく電話番号をご記入ください。
*予約は前日の24時まで受付けています。

【劇場】
カラス・アパラタス/B2ホール
JR中央線・総武線、東京メトロ丸ノ内線 荻窪駅
西口改札 徒歩3分
〒167-0051 東京都杉並区荻窪5-11-15 F1/B1/B2

2019/02/06

ヌレエフの亡命劇を描く映画『ホワイト・クロウ 伝説のダンサー』5月劇場公開

何回かこちらのブログで紹介してきた、ヌレエフの亡命劇を描く映画『The White Crow』が、『ホワイト・クロウ 伝説のダンサー』の邦題で劇場公開されることになりました。

https://eiga.com/news/20190205/8/

レイフ・ファインズ監督によるこの作品は、昨年の第31回東京国際映画祭のコンペティション作品に選ばれ、私も上映を2回とも観ることができ、ファインズとプロデューサーのQ&Aセッションも聞くことができました。東京国際映画祭では、最優秀芸術貢献賞を受賞しました。
https://2018.tiff-jp.net/ja/lineup/film/31CMP16

20世紀のバレエ界を代表するバレエダンサー、ルドルフ・ヌレエフが1961年にパリで亡命を果たした亡命劇を中心に、故郷ウファでの幼年時代、ワガノワ・バレエ・アカデミーでの学生時代、そしてキーロフ・バレエ団に入団してから亡命するまで、という3つの時制を交互に描いています。

ヌレエフ役には、タタール歌劇場の現役プリンシパルダンサーであるオレグ・イヴェンコ。ヌレエフのワガノワ・バレエ・アカデミーでの師匠であるプーシキンを、レイフ・ファインズが流暢なロシア語を操って演じています。パリで友情をはぐくみ、亡命の手引きをするクララ・セイント役を「アデル、ブルーは熱い色」のアデル・エグザルコプロス。プーシキンの妻クセニアには「ルナ・パパ」のチュルパン・ハマートヴァ、ピエール・ラコット役はラファエル・ペルソナ、そしてヌレエフのライバル、ユーリ・ソロヴィヨフをセルゲイ・ポルーニンが演じているのも話題です。

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<レビュー>

バレエ界に燦然と輝けるレジェンド、ルドルフ・ヌレエフ役を演じる俳優を見つけるのは簡単なことではなかったと思う。映画祭のQ&Aで、ファインズは、演技ができるダンサーを求めてロシア中でオーディションを行ったとのこと。イヴェンコはウクライナ出身だが、ヌレエフの頬骨が高いエキゾチックな顔立ちを少し思わせるところもあり、射貫くような大きな青い瞳が印象的。現役プリンシパルであると共に、テレビ番組「ビッグ・バレエ」にバレエ団を代表して出場するなど、バレエの実力も折り紙付き。若きヌレエフのギラギラした野心、自由を求めてやまない心、新しい文化を吸収していく生き生きとした様子を繊細に、そして大胆に演じており、とても初めて演技に挑戦するとは思えないほどだった。

この映画は、本物のバレエダンサーを使って、実際のワガノワ・バレエ・アカデミー、マリインスキー劇場、ガルニエ宮、エルミタージュ美術館、ルーヴル美術館でロケを行っているという本物志向のところがまず素晴らしい。ヌレエフ役のオレグ・イヴェンコはもちろんのこと、もう一人の伝説的なダンサー、ユーリ・ソロヴィヨフ役にセルゲイ・ポルーニン。ソロヴィヨフはパリでヌレエフと同室で、ラコットらとの外出にお目付け役として同伴しているものの、この映画の中では大きな役ではない。しかしながら、ポルーニンのクラスレッスンの時のひときわ大きな跳躍や、舞台の上で見せる踊りは華やかで、まさにスターのものである。(ユーリ・ソロヴィヨフは、30代半ばで自殺するという悲劇的な運命をたどる) イヴェンコの踊る場面も、伝説的なヌレエフのパリでの最初の踊り『ラ・バヤデール』はじめ、たくさん観ることができる。

さらに、伝説的なスター・バレリーナだったナタリア・ドゥシンスカヤ役を演じているのが、ハンブルグ・バレエの元プリンシパル、アンナ・ポリカルポヴァ。ポリカルポヴァはハンブルク・バレエに移籍する前には、マリインスキー・バレエで踊っており、美しい金髪のグラマラスなバレリーナで、ひときわ印象的。ヌレエフと踊る場面も出てくる。ドキュメンタリー映画『ボリショイ・バビロン』に出演していたボリショイ・バレエのソリスト、アナスタシア・メスコーワもバレリーナの一人として出演している。

ヌレエフの故郷での幼年時代、ワガノワ・バレエ・アカデミー時代、そしてパリと、3つの時制を行き来するという演出も、ヌレエフの内面を描くうえで実に効果的な演出となっている。映像のルックもそれぞれ異なっており、少年時代の寒々としてモノクロに近い映像、少し色あせた60年代風のパリの様子と時代の違いがよく分かるようにできている。

ワガノワ・バレエ・アカデミーのパートでは、最初なかなか伸びないヌレエフが直訴して、放校になりそうなところを名教師プーシキンのクラスに代えてもらい、ぐんぐん伸びて行く。ついには自宅にヌレエフを住まわせるプーシキンの、弟子に向ける愛情。映画の冒頭で、ヌレエフが亡命した後に尋問されるプーシキンの、困惑した表情が印象的だ。

パリのパートでは、初めて西側に渡って自由世界の空気を吸うヌレエフ。ルーヴル美術館の開館前に行ってジェリコ「メドゥース号の筏」に見入る。(対をなすように、エルミタージュ美術館ではレンブラントの「放蕩息子の帰還」を観ている。これは父親的な存在のプーシキンと、ヌレエフの関係を象徴させている) 振付家のピエール・ラコットと終演後のパーティで知り合い、親しく交流し、クララ・セイントにも出会う。パリの夜がグラマラスに、魅惑的に描かれている。その中で、ヌレエフは自由に生きたいという思いを募らせていく。鉄道の中で生まれたヌレエフが、パリで鉄道模型を買い集めるというエピソードはほほえましい。

そして空港での亡命シーンの息詰まるような緊迫感。ピエール・ラコット本人に取材して、実際に亡命の瞬間にヌレエフはどのように動いたかということまで再現してもらったとのこと。一人一人の登場人物が立体的に描かれて、手に汗を握る演出の手腕は見事なものだ。まさに自由への飛翔。

エンドロールでは、実際のヌレエフ本人が踊る映像が使われている。オレグ・イヴェンコはロシアのダンサーらしい、ダイナミックなテクニックの持ち主だけど、流石にバレエ界の伝説、ヌレエフのカリスマ性というのはなかなか再現するのは難しく感じた。

それでも、構想20年、ファインズの強い思い入れが感じられる、魂の感じられる作品であると思う。ファインズはロシア語を習得し、ロシアに足しげく通ってワガノワ・バレエ・アカデミー校長のニコライ・ツィスカリーゼとも親交を結び、資金を調達するために監督に専念するのではなく自らも出演。特にエルミタージュ美術館は、撮影許可を取るのが非常に困難だったところを、実現させた。(ソクーロフの『エルミタージュ幻想』での撮影でトラブルがあったので、長編映画の撮影を許可しない方針となったとのこと)台詞も、英語も登場するけどロシア人同士で話すシーンはロシア語を使ったり、本物のバレエダンサーを起用したり、そして史実にもほぼ忠実な内容となっていて、ファインズの深いバレエ愛が感じられる作品となっている。クララ・セイント本人にも取材し、プロデューサーは彼女と仲良しになったとのことだ。

また後日、東京国際映画祭でのQ&Aセッションの内容もご紹介します。


レイフ・ファインズのインタビュー
https://2018.tiff-jp.net/news/ja/?p=50586

『ホワイト・クロウ 伝説のダンサー』

5月、TOHOシネマズ シャンテ、シネクイント、新宿武蔵野館ほか全国ロードショー

監督:レイフ・ファインズ
脚本:デヴィッド・ヘアー
出演:オレグ・イヴェンコ、セルゲイ・ポルーニン、アデル・エグザルコプロス、ルイス・ホフマン、チュルパン・ハマートヴァ、ラファエル・ペルソナ、レイフ・ファインズ
配給:キノフィルムズ/木下グループ
(c)2019 BRITISH BROADCASTING CORPORATION AND MAGNOLIA MAE FILMS

この映画の原作となったジュリー・カヴァナ著「Nureyev: The Life」 映画の中に登場するのは、亡命するまでですが、彼の死まで追っており、非常に面白い一冊です。邦訳出してほしいです。

Nureyev: The Life (Vintage)
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2019/02/03

VOGUE JAPANでロイヤル・バレエ、高田茜さん、平野亮一さんのインタビュー掲載

VOGUE JAPANでロイヤル・バレエのプリンシパル、高田茜さんと平野亮一さんにインタビューをさせていただき、このたび掲載されました。

美しき舞台の裏側。【英国ロイヤル・バレエ平野亮一&高田茜 前編】
https://www.vogue.co.jp/lifestyle/interview/2019-02-01/royal-ballet

人生観を表現する踊り。【英国ロイヤル・バレエ平野亮一&高田茜 後編】
https://www.vogue.co.jp/lifestyle/interview/2019-02-02/royal-ballet


撮影は井上ユミコさん。東京バレエ団のスタジオをお借りしての撮影で、二人が踊る美しい映像もアップされています。

トップに上り詰めたダンサーふたりの、常に最高のものを求めて真摯に取り組む姿勢、逆境にもへこたれない強い心、そして広く視野を持ち、思いやりの心を持って日々を過ごしている姿には、深く感銘を受けました。


「バレエはどんなに好きでも長くやっていける職業ではないのです。限られた時間の中で、どれだけ自分の求めるダンサーになるか、常に自問自答しながら踊っています。一日を大切に、一回一回の舞台をいかに自分の求める形に近づけるかということを、いつも忘れないようにしています」

この高田茜さんの言葉は特に印象的でした。華奢な身体に秘められた強い意志と情熱が、感動を呼ぶパフォーマンスをもたらしてくれるのですね。また、ロイヤル・バレエならではの恵まれた環境も印象的でした。


高田さん、平野さんのパフォーマンスが観られる英国ロイヤル・バレエの来日公演
https://www.nbs.or.jp/stages/2019/royalballet/index.html

『ドン・キホーテ』では高田茜さんはスティーヴン・マックレーと2日間主演する予定です。平野さんはエスパーダ役での出演で、出演日は未定です。

また、『ロイヤル・ガラ』では、6月29日の「シンフォニー・イン・C」に高田さん、平野さんが出演予定。それ以外のガラ演目の出演者はこれからの発表です。

ロイヤル・バレエを背負って立つ二人の素晴らしい日本人プリンシパルのパフォーマンス、楽しみです。

平野さん曰く”嫌になるくらい自分大好き”なエスパーダ役はこの映像で。

2019/02/02

英国ロイヤル・オペラハウスシネマシーズン、ロイヤル・バレエ『くるみ割り人形』

英国ロイヤル・オペラハウスシネマシーズン、ロイヤル・バレエ『くるみ割り人形』が、2月1日(金)より劇場公開されています。

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http://tohotowa.co.jp/roh/movie/?n=the-nutcraker

ロイヤル・バレエきっての人気演目で、冬の風物詩として定着したピーター・ライト版の「くるみ割り人形」。今年は出演者の顔ぶれがだいぶ変わりました。クララにはアナ・ローズ・オサリヴァン、ハンス・ピーター/くるみ割り人形にはマルセリーノ・サンベ。ロイヤル・バレエ・スクールの同級生で仲良しだという若い二人のペアは、とても微笑ましく初々しく、新風を吹き込んでくれました。若いダンサーが演じると、等身大のところが感じられていいですよね。

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金平糖の精にはマリアネラ・ヌニェス、王子にはワディム・ムンタギロフという、ロイヤル・バレエが誇る世界最高レベルの黄金ペア。一点の曇りもなくクリスタルのように輝き、あまりの美しさと幸福感に涙ぐんでしまうほど。マリアネラの音楽にぴったりと合った動き、安定したフェッテや正確な足捌き。ワディムの、まるで体重がないような軽やかで力の入っていない、高い跳躍、アントルシャ・シスのつま先の美しさ。夢の世界とはこれを言うのだと思いました。

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忘れてはならないのが、影の主役というべきドロッセルマイヤー。この役を当たり役としているギャリー・エイヴィスは、マントを華麗に翻し、キラキラしたラメを振りまいて魔法をかける、一挙一動がスタイリッシュでカッコよく、子どもならきっとあのおじさん素敵!と目を輝かせることでしょう。そして花のワルツをリードするローズ・フェアリーの金子扶生さん。優雅なオーラをまとい、眩いばかりの美しさ。次にロイヤルのプリンシパルに昇格するのは彼女だと確信しました。

ピーター・ライト版は、2幕のお菓子の国でのディヴェルティスマンにハンス・ピーターとクララが参加して一緒に踊るのが楽しいのです。ロシアで一緒に飛び跳ねるアナ・ローズのクララの可愛らしいこと。中国で華麗な跳躍を見せるアクリ瑠嘉さんは、1幕ではクララの相手役としても活躍しています。

今回の映画館上映の特典映像は、金平糖の精の踊りでキラキラとした音を響かせるチェレスタの秘密がまず一つ。そして、アナ・ローズ・オサリヴァンとマルセリーノ・サンベが古巣のロイヤル・バレエ・スクールに行って生徒たちの前でお話をしてリハーサルを見せるところ。生徒たちの良いお手本となることでしょう。

また、ロイヤル・バレエに入団して20周年を迎え、今や大プリマの風格を見せるマリアネラ・ヌニェス。その芸術性を称えて、ショートフィルム「NELA」も幕間に上映されます。モノクロのスタイリッシュな映像、鍛え抜かれた肉体が躍動する様子をたっぷりと見せてくれて、彼女の素晴らしさを改めて実感します。

今回、残念ながらTOHOシネマズ日本橋での上映が、映画館全体が上映不能となってしまって中止となってしまいましたが、見逃すにはもったいない、幸福感一杯の美しい舞台です。都内ではTOHOシネマズ日比谷とシアタス調布で木曜日まで上映されています。「くるみ割り人形」の決定版、お見逃しなく。


【振付】ピーター・ライト
【音楽】ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
【指揮】バリー・ワーズワース
【出演】ドロッセルマイヤー:ギャリー・エイヴィス
クララ:アナ・ローズ・オサリヴァン
ハンス・ピーター(ドロッセルマイヤーの甥)/くるみ割り人形:マルセリーノ・サンベ
金平糖の精:マリアネラ・ヌニェス
王子:ワディム・ムンタギロフ

アルルカン:ベンジャミン・エラ
コロンビーヌ:エリザベス・ハロッド
兵士:ポール・ケイ
ヴィヴァンディエール:ミーガン・グレース・ヒンキス
ねずみの王様:ニコル・エドモンズ

スペイン:
クリステン・マクナリー、ニコル・エドモンズ、アネット・ブヴォリ、
エリコ・モンテス、ハナ・グレンネル、トーマス・モック
アラビア:
メリッサ・ハミルトン、リース・クラーク
テオ・ドゥブロイル、デヴィッド・ドネリー
中国:
アクリ瑠嘉、レオ・ディクソン
ロシア:
ポール・ケイ、ケヴィン・エマートン
葦笛:
イザベラ・ガスパリーニ、エリザベス・ハロッド
アシュリー・ディーン、エマ・マグワイア
薔薇の精:金子扶生
薔薇の精のエスコート:
ウィリアム・ブレイスウェル、トリスタン・ダイヤー、
ベンジャミン・エラ、ヴァレンティノ・ズケッティ

北海道 ディノスシネマズ札幌 2019/2/1(金)~2019/2/7(木)
宮城 フォーラム仙台 2019/2/1(金)~2019/2/7(木)
東京 TOHOシネマズ日比谷 2019/2/1(金)~2019/2/7(木)
東京 イオンシネマ シアタス調布 2019/2/1(金)~2019/2/7(木)
千葉 TOHOシネマズ流山おおたかの森 2019/2/1(金)~2019/2/7(木)
神奈川 TOHOシネマズららぽーと横浜 2019/2/1(金)~2019/2/7(木)
愛知 TOHOシネマズ名古屋ベイシティ 2019/2/1(金)~2019/2/7(木)
京都 イオンシネマ京都桂川 2019/2/1(金)~2019/2/7(木)
大阪 大阪ステーションシティシネマ 2019/2/1(金)~2019/2/7(木)
兵庫 TOHOシネマズ西宮OS 2019/2/1(金)~2019/2/7(木)
福岡 中洲大洋映画劇場 2019/2/1(金)~2019/2/7(木)

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