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« マシュー・ボーン「白鳥の湖」にロイヤル・バレエのマシュー・ボールが出演 | トップページ | NBAバレエ団「ショート・ストーリーズ・9 ~バレエ・インクレディブル」リハーサルレポート »

2018/06/10

ロイヤル・オペラハウス・シネマシーズン ロイヤル・バレエ「バーンスタイン・センテナリー」

ロイヤル・オペラハウス・シネマシーズン、作曲家レナード・バーンスタインの生誕100年を記念して創られた、
ウェイン・マグレガー、リアム・スカーレット、クリストファー・ウィールドンというバレエ団常任の3人の振付家によるトリプルビルが、現在劇場公開中です。

http://tohotowa.co.jp/roh/movie/bernstein.html

「不安の時代」のみ再演ですが、あとの2作品はこのトリプルビルのために振付けられた新作。すべて男性同士のパ・ド・ドゥがあるという共通点がなかなか興味深い。作曲家としてのバーンスタインの才人ぶりも改めて実感します。


ウェイン・マクレガー振付の「Yugen(幽玄)」

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フェデリコ・ボネッリ/ウィリアム・ブレイスウェル/ハリー・チャーチーズ/メリッサ・ハミルトン/フレンチェスカ・ヘイワード/桂千里/ポール・ケイ/サラ・ラム/カルヴァン・リチャードソン/ジョセフ・シセンズ/高田茜

音楽は「チチェスター詩編」を使用。合唱とボーイソプラノを使用しヘブライ語で歌われた美しい曲。陶芸家でもあるEdmund de Waal がデザインした舞台美術はいくつかの大きな透明な箱を並べたようなシンプルながらもスタイリッシュで、まるで宗教施設であるかのような荘厳さがあり、効果的なもの。11人のダンサーたちは深紅の衣装をまとっていて、ソロ、パ・ド・ドゥ、さらには複数のダンサーが絡み合う踊りもある。日本語の「幽玄」のイメージとは違っているけれども、人の声の温かみが深遠な印象を与え、今までの無機的なマクレガー作品とは一味も二味も違った印象。フェデリコ・ボネッリ、サラ・ラム、高田茜、フランチェスカ・ヘイワードといったプリンシパルダンサーも出演しているけど、中心的な人物はカルヴィン・リチャードソンで、ジョセフ・シセンスとの男性同士のパ・ド・ドゥも現れる。クレジットにはないけれども、トリスタン・ダイヤーも出演している。


リアム・スカーレット振付 「不安の時代 The Age of Anxiety」

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サラ・ラム/アレクサンダー・キャンベル/ベネット・ガートサイド/トリスタン・ダイアー

英国の詩人、W・H・オーデンの詩にインスパイアされたバーンスタインの交響曲第2番「不安の時代」をもとにリアム・スカーレットが2014年に振付けた。1939年のニューヨークを舞台にしており、水兵エンブル、中年男クアント、デパートのバイヤーをしているキャリアウーマンのロゼッタ、そして若いカナダ人兵士マーリンの4人がバーで繰り広げる物語。バーンスタインの曲に振付けられたジェローム・ロビンスの「ファンシー・フリー」を彷彿させるセットだけど、軽妙な音楽の割には、タイトルの通り、「ファンシー・フリー」のようなユーモラスな作品ではない。

_tristan_dyer_in_liam_scarletts_th

バーでのエピソードはあまり整理されていないのだけど、場所を移して、それぞれの登場人物が自分たちの孤独と向き合うところで、琴線に触れるような優しい視線が現れる。女優のようにグラマラスなサラ・ラムがふと一人になった時に、ハイヒールを脱いで想いの丈をぶちまけるようなソロを踊る、中年男の悲哀を見せるベネット・ガートサイドの演技力。クアントとマーリンの心の触れ合いと別れ。最後に摩天楼が開ける場面転換は目が覚めるようだ。一つの小説を読んだかのような味のある余韻が残る。

この作品のプロダクションデザインをしているのが、リアム・スカーレット振付の「白鳥の湖」の舞台美術も担当しているジョン・マクファーレンで、バーのセットも、場面転換後の美術もクオリティが高い。


クリストファー・ウィールドン振付「コリュバンテスの遊戯 Corybantic Games」

Corybantic_games_artists_of_the_roy

シュー・ボール/ウィリアム・ブレイスウェル/ローレン・カスバートソン/ヤスミン・ナグディ/ティエニー・ヒープ/平野亮一/マヤラ・マグリ/マルチェリーノ・サンベ/ベアトリス・スティックス=ブルネル


「セレナード(プラトンの饗宴による)」を使用し、衣装デザインがアーデムということで大きな話題を呼んだ作品。白い薄い衣装に黒い幅広のリボンがぶら下がっているが、動くと少しリボンが邪魔に感じられる。「饗宴」での、お互いの半身を探す人々という大きなテーマの元、第一回オリンピックが開催されたころのアテネをイメージしているという。

古代ギリシャの彫刻を彷彿させるような動きやポーズが現れ、第一楽章ではマシュー・ボールとウィリアム・ブレイスウェルの長身美丈夫二人による男性パ・ド・ドゥや女性同士のパ・ド・ドゥも。ウィールドンはインタビューの中でホモエロティックな要素を加えたと語っているが、健康的なイメージでエロスはさほど感じられない。第2楽章はベアトリス・スティクス=ブルネルを中心に女性ばかりが登場し、第3楽章はマヤラ・マグリとマルセリーノ・サンベ、第4楽章はローレン・カスバートソンと平野亮一、第5楽章はティアニー・ヒープ率いる女性群舞。運動量が多くて群舞のフォーメーションの変化が面白い。特にダイナミックで雄々しいヒープが目を引いた。生で観れば非常にエキサイティングな作品になると思われる。

ヴァイオリンソロが美しい音楽だけど、「ウェストサイドストーリー」が作曲された時期と近いということもあり、そこで聴いたことがあるようなフレーズが現れるだけでなく、踊りのイメージも少し似ている。

また、幕間には、生前のバーンスタインと親交があり、彼の伝記を書いたり、彼のドキュメンタリーを撮影したハンフリー・バートンのインタビューがあり、大変興味深い内容だった。

このトリプルビルには3年間の準備期間を要したという。その間に二つの新作を委嘱したということで、ロイヤル・バレエのクリエイティブなスピリットが伝わる3本立てだった。

6月8日(金)よりTOHOシネマズ 日本橋ほか、全国順次公開。
今回より、TOHOシネマズ日比谷でも公開されています。

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コメント

Naomiさん、こんにちは。
いつも素早くて貴重な情報をありがとうございます。

"ウェイン・イーグリング振付の「Yugen(幽玄)」" とありますが、「ウェイン・マグレガー」ですよね。
もちろんよくご存知のことで、単なるミスタッチだと思いますが、放置しておくのも気になりましたので。。。
失礼しました。 m(_ _)m

Amdさん、こんにちは。

ご指摘ありがとうございます!きゃ~お恥ずかしい変換ミスを!どうもわたしのPCが予測変換でイーグリングというのを先に出してしまうタコ仕様でして。教えてくださって助かりました。
これに懲りず今後ともどうぞよろしくお願いいたします。感謝です!

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