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2017年12月

2017/12/13

マニュエル・ルグリが2020年にウィーン国立バレエ芸術監督を退任

ウィーン国立バレエの芸術監督を2010年から務めているマニュエル・ルグリは、現在の契約期間が切れる2020年で退任することが発表されました。

https://kurier.at/kultur/staatsballett-manuel-legris-hoert-2020-auf/301.756.139

ルグリは、自身のInstagramでも任期を延長しないことについて、声明を発表しています。

「ここ数か月の間、今後のカンパニーとの関係の将来について多く考えてきました。いずれにしても、関係者にとって必要な準備ができるように十分な時間を与えるために、早急に結論を出す必要だったことが明らかでした。私の人生の新しい章を始めるためには2020年は良い区切りであると信じているし、ウィーン国立歌劇場でのリーダーシップの変更を反映するカンパニーにとっても、新しい出発点となるにはいいタイミングだと思います。」

ルグリは2015年10月に、2020年8月末まで任期を延長する契約を結びました。

「パリ・オペラ座で引退をした直後の2010年に、ウィーン国立バレエで芸術監督の仕事をオファーされたことを深く感謝しています。この仕事に就いた1日目から、完全に新しくて責任のとても重いこの仕事を非常に重要なものととらえ、”私のカンパニー”にすべてのエネルギーと集中力を注いできました。今までの7年間のイベントに満ちて実り多い年月を振り返ると、喜びと幸福さに満たされています。現時点までにおいてこんなにも多くのことを達成し、「今日、ウィーン国立バレエはオーストリア、ウィーンだけでなく、国際的にも高い評価を獲得した」といえると信じています。私のウィーン国立バレエとの旅路はまだまだ終わりません。まだ丸ごと3つのシーズンが残っており、たくさんの素晴らしく意欲的なプロジェクトがあり、私は自分のすべてを与えるつもりです」

「この機会に、現在のウィーン国立歌劇場の総裁であるドミニク・マイヤーに深い感謝の意を伝えたいと思います。彼が私をバレエ監督に任命してくれ、彼がいなければ、このバレエ団との素晴らしい冒険は実現できませんでした。彼の継続的な支援をいつも感じてきました。彼は継続的にカンパニーを、劇場のうちでも外でも支援してくれました。また、次期ウィーン国立歌劇場の総裁Bogdan Roščićが私を信任してくれたことにも感謝します。私は、彼にこのカンパニーがどれほどの意味を持っているかを強調してきて、彼は、私の後任探しと、マネジメントの引継ぎにおいて私の全面の信任を得ています」


ルグリは、ハンブルグ・バレエでのヌレエフ版「ドン・キホーテ」のカンパニー初演の振付指導を行っていました。ファーストキャストは菅井円加さんとアレクサンドル・トルシュです。


2020年はまだ先ではありますが、果たしてルグリは次はどうするのでしょうか、とても気になります。

2017/12/12

ハーグ王立音楽院、ヤン・リンケンス校長インタビュー(海外でプロを目指す方はぜひご一読を)

先日のハーグ王立音楽院、ヤン・リンケンス校長ワークショップレポートに引き続き、インタビューをさせていただいたので掲載します。ワークショップ主催のS&H留学センターさん、ありがとうございます。

ハーグ王立音楽院 バチェラープログラム

海外で、特にヨーロッパでプロのバレエダンサーを目指す方は、ぜひご一読いただけると、参考になるかと思います。プロのダンサーになる道は厳しいですが、この学校は非常に恵まれた環境で、しっかりとした指導を受けられるところです。また、リンケンス先生の人格者ぶりも伝わってくるかと思います。

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今回のワークショップの指導はいかがでしたか?

今回の生徒たちが私の教えに対して見せた反応はとても素晴らしかったです。彼らが、熱心に稽古し、学び取ろうとしている姿を観ることができたのは嬉しかったです。情報を得ることに対して貪欲であることも見て取れました。
16歳から18歳くらいになった時に、健康的に、しっかりと脚で立てている一方で、同時にクラシックバレエの難しい技術もきちんとこなすことができることが欠けていることが多いです。あなたには無理です、と教師が教え子に言うことも時には必要となりますが、生徒にこんなことを言えるのは、プロを養成するための学校だからこそです。この年代になってくると、身体的に問題が起きて踊れなくなってしまう人も出てきてしまいます。私立のバレエ学校だと、授業料を払ってもらえるのでそのような生徒を辞めさせることはしません。そうすると、身体に問題が起きて踊れないのにプロになれるという期待を抱いたままの生徒ばかりになってしまいます。

日本の生徒さんで心配なのは、皆さん真面目で熱心なので間違ったやり方で無理をした稽古をし過ぎて、身体に問題を起こしてしまう人が多いのです。教師は、バレエの訓練をするのに適した身体を持った生徒を見抜く力を持たなければなりません。

持って生まれた身体は人それぞれであり、生まれつきターンアウトしている人もいれば、残念ながらバレエに向いていない身体に生まれついた人も少なくありません。毎年、300人の子どもたちがこの学校を受験しに来ますが、合格するのは10人だけです。しかもその10人のうちプロのダンサーになれるのは一人しかいないかもしれないのです。バレエに向いた身体の持ち主であるとともに、高いモチベーションを持ち、規律正しく、音楽性も持ち合わせているといった重要な要素を持つ生徒が選ばれます。プロになるための競争は非常に厳しいですから。

この学校では毎年試験を行い、必ず退学になる生徒が出てきます。進歩していない生徒は退学になります。生徒の親にとってもこれはとても失望することです。今までプロのダンサーになれることを期待して子供に投資もしてきたわけですから。生徒たちは守られた恵まれた環境で、好きなダンスに打ち込んで幸せに生活をしているのに、あなたには見込みがありませんから退学してもらいます、と言わなくてはならないのです。

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ここではバレエ以外の学科の授業も行うので、進路変更することもできますね。

私達の学校は、バレエだけでなく一般的な学校の教科も教えています。すべてが一つの建物の中にあります。子供たちは学科の授業を受けた後で着替えてそのままバレエのクラスを受けることができます。外に出かける必要はありません。たとえば作品のリハーサルをするために生徒が必要な時には、学科の教師に、生徒がリハーサルに参加するので授業に出られません、といえば、その授業を別の時間に振り替えてくれます。学科の授業とバレエの授業を同じ組織で行っているからできることです。

公演があるときには、学校は学科の授業を調整してくれます。生徒たちにとってバレエを学びつつ学科も勉強し宿題をこなすことがどれくらい大変であるかを理解しています。単位を取って進級できるように、一対一の授業なども行ってくれます。子供たちがプロのダンサーになりたいからこの学校に来ていることもわかっています。特別なカリキュラムでありシステムです。

この学校では、バレエだけでなく音楽科もありますよね。

バレエ、音楽、そしてヴィジュアルアーツの学科もあって同じ建物の中にあります。バレエの生徒たちにも音楽の授業はありますし、学校公演のほとんどは、音楽科の生徒たちの生演奏で行われています。公演のレパートリーを選ぶ際には、音楽科の生徒たちが演奏できる音楽の作品を上演するようにしています。音楽性も非常に重要なので、生演奏で公演ができることを重視しているのです。今回のワークショップで学んだファン・マネンの作品は、メンデルスゾーンのピアノ曲ですが、音楽科の生徒がピアノを弾きます。またイリ・キリアンの作品は合唱曲なのでやはり音楽科の生徒たちが歌ってくれました。私達は学科間で大きなコラボレーションをしています。「白鳥の湖」を上演するときには、学生たちの大きなオーケストラの演奏で行います。合同での公演なのでリハーサルなどの準備は大変です。

ヴィジュアルアーツの部門とも一緒にやりますが、彼らはまたちょっと違うのでさらに大変です。バレエと音楽の生徒は規律正しいですが、ヴィジュアルアーツの生徒はそうではなくて、クリエイティブでアイディアであふれているからです。だから一緒にやるとなるともっと複雑な準備が必要となります。

NDT(ネザーランド・ダンス・シアター)との強力なコラボレーションを行うことができるのがこの学校の魅力ですね。

はい、私たちはその点でとても幸運です。今の時代においては、カンパニーと共に協働する学校が増えてきました。なぜならば、学生たちが自分たちの目標とするダンサー、カンパニーを見ることができるからです。ロールモデル、お手本を日常的に見ることができます。生徒たちにとって、プロのダンサーを見て、プロの公演を観ることは非常に重要です。

NDTとコラボレーションもしていますが、これは私たちのカリキュラムの一部にすぎません。というのは、この学校はモダンも学びますが、クラシックバレエも学ぶからです。古典もモダンと同じくらい重要です。NDTのレパートリーはコンテンポラリーですが、ダンサーはすべてバレエを学んできた人です。ハンス・ファン=マネンもイリ・キリアンも、クラシックバレエのアカデミックなラインを使った作品を創っています。彼らは学校にもやってきて生徒を教えてくれるのです。素晴らしいことでしょう。幸運なのは、彼らもデン・ハーグに住んでいるので頻繁に来てくれることです。キリアンなんて学校の角を曲がったところに住んでいますよ。

時々、このことを生徒たちがこの恵まれた環境を理解しているのかな、と思うことがあります。日常的にキリアンが授業にやってくるので、それがどんなに特別なことなのかわかっているのかな、と。なので、それがどんなに素晴らしいことなのかを生徒たちによく説明しています。

残念ながら日本では、コンテンポラリーの作品を学ぶ機会が少なく、このようなワークショップはとても珍しい機会です。

ヨーロッパでプロのダンサーになるには、コンテンポラリー作品を踊ることができるのは必須条件です。クラシックのヴァリエーションだけ踊ることができても、プロのダンサーにはなれません。クラシックのヴァリエーションを踊ることができるのは、カンパニーの中でも最高のダンサーだけです。最初はコール・ド・バレエで出発してずっとコール・ド・バレエを踊り、そしてその中で抜きんでた場合にはヴァリエーションを踊れるようになります。その逆はあり得ません。なので、コンテンポラリー作品のレパートリーを学ぶことはとても重要なのです。そのためにはコンテンポラリーのレパートリーを教えることができる教師が必要となります。

日本の学生は、古典は優れていてもコンテンポラリー作品は得意ではない人が多いわけですが。

学ぶ機会がなければそうなってしまいますよね。でもきちんと学べば身につきます。2年前まで全くコンテンポラリーを踊ったことがない日本人の生徒たちが、今はこの学校でキリアンやファン=マネンを上手に踊っています。信じがたいほどの早さでコンテンポラリーに習熟しました。素晴らしいことです。つまりは慣れることが大事だということです。やらなければ上手くなりようがありません。

コンテンポラリーの経験がなくてこの学校に入っても、遅すぎるということはないのでしょうか?

バチェラープログラムに入学する時にコンテンポラリーの経験がなくても大丈夫です。クラシックのしっかりとした技術を持っていれば、それ以外のことに集中できるので、コンテンポラリーを学ぶことができるからです。朝から晩まで2年間の集中的なプログラムですから。(注:とはいっても、今回のワークショップを兼ねたオーディションを見ても、コンテンポラリーに対するセンスを持ち合わせている子の方が、オーディションで選ばれる確率は上がると感じました)

最大の問題は、コンテンポラリーを学ぶ機会がないということではありません。古典以外のものに心を開くことができなければ、それは大きな問題となってしまいます。古典のヴァリエーションだけをやればいいと洗脳されている人が多いのです。そういう意識を捨て去らなければなりません。この学校に来るほとんどの生徒は、このように洗脳されてしまっているんです。子どものころから古典のヴァリエーションが大事だと叩き込まれていて、これを上手く踊ることができれば最高のダンサーであると思いこまされています。ほかのことは大事ではないと思うようになります。

でも、プロになれたとしても、古典のヴァリエーションを舞台で踊る機会は一生ないかもしれません。「白鳥の湖」や「ジゼル」の2幕のコール・ド・バレエは、ほとんどの女性ダンサーが踊る機会があるでしょうし、それこそが学ばなければならないことなのです。多くのダンサーにとっては、群舞を踊ることが仕事であり、ヴァリエーションを踊ることではないのです。

もちろん、学校でもヴァリエーションは学びますし、試験ではヴァリエーションの試験はあります。また、コンテンポラリーのソロも試験で踊ります。さらに創作も行い、音楽も自分で選ばなければなりません。振付もしなければなりません。クラシックとコンテンポラリーのバランスが取れた学習をします。

日本ではコンクールが非常に盛んです。ハーグ王立音楽院は、ローザンヌ国際バレエコンクールと提携していますが、コンクールについてはどうお考えですか?

ローザンヌ国際バレエコンクールは素晴らしいコンクールです。なぜならば、このコンクールではメダルを取ることは重要なことではないからです。
このコンクールは、1週間の間世界中から学生が集まり、素晴らしい教師に学ぶことが主旨です。学生たちがお互いを良く見て、お互いから学ぶというものです。勝つことではなくて、経験を積むことが目的のコンクールです。ここで賞を得るというのは、メダルをもらって飾るということではなくて、バレエ学校で1年間のスカラシップを獲得できるということで、これは素晴らしいことです。またローザンヌは、学生たちを非常によくサポートしています。審査も、ピルエットの数や脚をどれだけ高く上げるかということではなく、スタイルや音楽性、踊りのクオリティを重視しています。ローザンヌ国際バレエコンクールは、コンクールの良い例です。

経験を得るためにコンクールに参加することは良いことです。メダルを取るためにコンクールに参加するのなら、スポーツをやった方がいいでしょう。芸術性というのは審査できないものです。たくさん回れるから優れているのではなくて、他の人と違ったクオリティを持っているから優れているのです。音楽性に秀でていたり、役に合ったスタイルで踊れるから、優れているのです。このような要素が、ダンサーを特別な存在にしているのです。回転の数といったものはツールにすぎません。

クラシックバレエは、言語なのです。この言語を使って話さなければなりません。そして話すには、どのように話せばいいのかを知らなければなりません。言葉を知っているだけでは十分ではありません。クラシックバレエで難しいことは、この言語を身につけるのに非常に長い時間がかかってしまうことです。言葉をよく知ることができたころには、もう引退する年齢になってしまっています。その頃には身体は衰え始めてしまうのです。これがクラシックバレエダンサーの悲劇です。

バレエは難しいし、習熟するには長い年月が必要です。やらなければならないことがたくさんあります。毎日プリエをしなければなりません。ほかのダンスのジャンルでは、6週間も学べば、もう踊ることができるようになったりします。バレエでは6週間学んだくらいでは何もできません。10年かかります。10年続けてもいいダンサーになれる保証は全くありません。長い道のりですし、本当に好きでなければ続けられません。たくさんの若い生徒たちが、踊ることは大好きだけど、毎日バーレッスンをしなければならず、そのバーレッスンを退屈だと感じてしまって辞めてしまいます。同じことを何回も何回も繰り返さなければなりません。退屈に思えてしまうようなことも好きでなければ続けられません。誰もができることではありません。

この学校の教育で一番重視していることは?

生徒が自分の身体について学ぶことが一番大事だと考えています。様々なダンスのスタイルの中で、身体がどのように機能するのかを理解しなければなりません。そして振付家のパートナーであることを学ばなければなりません。20年~30年前の振付家なら、「これがこの作品のステップなのでその通りに踊ってください」と言っていたでしょう。それは過去のこととなりました。

現代の振付家はダンサーに、「これが私のアイディアです。だからステップはあなたが考えてください」と言います。ダンサーがクリエイションに参加することになりますが、そのためにはダンサー自身がクリエイティブでなければなりません。アイディアをもたらすことを恐れてはいけません。そして振付家のアイディアとは何なのかも理解できなければなりません。振付のプロセスの中でパートナーとして機能しなければならないのです。それは若いダンサーにとってはとても難しいことです。

かつてはダンサーは一つのカンパニーに20年間在籍し、ゆっくりと一つ一つの役柄を学んでいきました。しかし今はものすごい速さで変化しています。2,3年でカンパニーを替わるダンサーも多い。振付家も経験が豊富で素早く呑みこんでくれるダンサーを求めています。そのためには、振付家と一緒に働くことが特に重要となっています。だから、私はこの学校の中でカンパニーを設立しました。このプロセスを学ぶことができるように。

学校内のカンパニーも年間30公演行うんですよね?

はい、だからいろんな準備が必要で大変です。素晴らしい経験を生徒たちは積むことができます。オランダ国内のツアーも行っていますが、2月には日本でも公演をしますよ(オーチャード・バレエ・ガラ~世界名門バレエ学校の饗宴~)。オーチャードホールで開催され、熊川哲也さんがプロデュースしています。8人の生徒を連れて行きます。今回のワークショップで学んだハンス・ファン=マネン振付の「Songs without Words」とイリ・キリアンの作品を踊ります。

去年は私たちは、カナダのナショナルバレエスクールで、21ものバレエ学校が集まっての公演を行いました。生徒たちにとっては信じられないほどのいい経験となりました。芸術監督直々の教えを受け、8つのスタジオで毎日違ったグループでレッスンを受けるのです。

オランダ特有の流派というものはあるのでしょうか?

ダッチ・スクールと呼ばれる流派はあります。ハンス・ファン=マネンの作品に観られるように、とてもベーシックです。身体があり、そして踊りがあって装飾はあまりありません。純粋で直接的です。動きを細かくコントロールすることができます。音楽にピッタリ合っています。なので音楽から外れてしまうと、観客もそれが間違っているのがわかってしまいます。これが典型的なオランダ式のスタイルです。ファン=マネンだけでなく、ニルス・クリスティやイリ・キリアンの作品でもそうなのです。私自身も振付家であるし、このように振付をする振付家は多いのです。

オランダという国には多くの振付家が住んでいます。このような環境にいると多くのインスピレーションを得ることができます。振付家同士が交流したりお互いの作品を観るわけですから。また、政府や公共からの支援も大きいということが、これだけの振付家が活動できる理由の一つです。オランダの人々はダンスが大好きですし、政府も、芸術が発展できて、海外に向けてオランダのアイデンティティを示すことができると考えています。振付家たちは、その芸術を発展させることができる空間を与えられています。こんなに小さな国なのに素晴らしい環境を与えられていますし、ダンス界における強い声を得られています。

第二次世界大戦でオランダはすべてを失いました。一からすべてを作り上げなければならなかったのです。そしてだからこそ、新しいものを作り出すことができたのかもしれません。オランダ国立バレエも、この学校も1961年に創立されました。もちろんオランダ国立バレエには、この学校の卒業生はたくさんいます。ただ、今は本当に優秀な若手ダンサーが世界中にいるので、カンパニーは本当に最高のダンサーだけを入団させています。だから、最高ではないダンサーにとっては職を見つけるのが難しくなっています。バレエ学校を卒業しても全員がダンサーになれるわけではないのです。

そんな厳しい中でも、この学校の卒業生はみなカンパニーに入団できているんですね。

当校は、オランダのカンパニーだけに集中しているわけではありません。ドイツ、スペイン、米国といった国のカンパニーのオーディションを受けて、入団を果たしています。オランダ流は幅広く、そしてキリアン、ファン=マネンの作品は世界中のカンパニーで踊られているからです。

たとえばモンテカルロ・バレエはキリアン作品だけの公演を行っています。先週彼らはオランダにリハーサルしにやってきました。ボリショイ・バレエでもキリアンを踊っていますし、ブダペストのハンガリー国立バレエは、ハンス・ファン=マネン作品の夕べを二日前に上演しました。2月にはノルウェー国立バレエがオール・キリアン・プログラムを上演しています。私たちの生徒はすでにキリアンやファン=マネンの作品を知っているので、強みがあります。

オランダでのダンサーの待遇は良いです。給料も良くて12か月しっかり出ますし、それは政府が支援してくれているからです。オランダではアートに対しては政府だけがお金を出していて民間の資金は入っていません。

学費についてはどうなっていますか?

この学校においては、バレエの授業のみ授業料を払うことになっていて、学科の学費については無料です。バレエのクラスの学費は、ヨーロッパ出身者なら年間2千ユーロ、外国人は年間4800ユーロです。たとえばロイヤル・バレエスクールは年間2万ポンドですから、比較するとかなり安いです。誰もが学費を払えることがとても重要だと考えているからです。才能のある子の家にお金がない場合には、奨学金など学費を援助してくれる特別の機関もあります。最も重要なのはお金ではなく才能だと考えているからです。

外国の方たちは、私たちの学校がこのように才能があればお金は必要ないと考えていることは知らないと思います。学費が高いと思われていますが、実際には全く高くありません。家賃や食費、健康保険はもちろんかかりますし、学費よりも高いと思います。この費用でこれだけの教育を受けられるのは贅沢なことだと思いますよ。オランダの唯一の問題はお天気が悪いことです。でもデン・ハーグにはビーチがあるのでお天気が良ければビーチに行けます。デン・ハーグは大きな街ではありませんので、どこにでもすぐ行けます。

そして校舎も新築されて、アート・コンプレックス(複合施設)になるんですね。

はい、6階建てのコンプレックスとなり、3つの劇場が配置されます。学校は最上階に位置します。バレエ部門、音楽部門、そして学科のための教室もすべて一つの建物の中にあります。そして同じ建物の中にNDTも入居しています。ダンサーと生徒がとても近いところにいられるので、お互いを良く見て、リハーサルなども見て学ぶことができるわけです。まだ建設は始まったばかりで、完成するのに3年はかかりますがとても楽しみにしています。新校舎は、デン・ハーグの中心地に位置しています。

寮はあるのでしょうか?

いいえ。オランダでは、子どもを学生寮に送り込むという伝統がないからです。オランダの親はそのような考え方を好みません。遠いところからやってきた生徒たちは、ホームステイをします。平日はフォスターファミリーと過ごし、週末に家に帰って家族と過ごすわけです。または、電車で長い距離を通学する生徒もいます。朝6時に起きて1時間かけて学校に通い、授業を受け、バレエのクラスやリハーサルを受け、そして夜帰るのです。大変そうですが、みんなそれに慣れていきます。


日本の学生へのアドバイスはありますか?

まず、踊ることを楽しんでほしいと思います。そして教師に依存しすぎないようにしてほしいのです。先生の言いなりになっているだけではなく、自分の人生の決断は自分で下さなければなりません。日本では目上の人は尊敬すべきという文化がありますので、それが難しいのはわかりますし美しい伝統だと思います。日本にいる間は、先生の助けがあるからこそできることも多いのですが、ヨーロッパに留学すれば、自分で決断をしなければなりません。先生の言うとおりに従うのではなく。もちろん、私たちは生徒を助けるためにいます。でも、結局本人が動かなければどうにもなりません。教師や親などに依存しすぎるのは良くないことです。

教師の言うことがすべて正しいと信じてしまう生徒が多いのですが、必ずしもそうとは限りません。教師によって、自分の生徒をどうしたいのかというのが異なっています。良いキャリアを積むために教える教師もいれば、単にコンクールで賞が取れるように教える教師もいます。良いキャリアを与えるためには、教師は生徒をよく見て、どんな可能性を秘めているのかじっくりと探ります。メダルを取るためには、コンクールで勝てる踊りを教えないと、取れません。

私の教え子の中には、プロになってもクラシックのヴァリエーションを踊る機会は得られないだろうという生徒もいます。もちろん、クラシックのヴァリエーションは試験に出るので練習はします。でも試験が終わって卒業したら、クラシックのヴァリエーションを踊る必要のないカンパニーに彼らは入団します。コンテンポラリーは得意な生徒だからです。つまり私たちは生徒をよく見て、彼らの適性に応じたやり方で彼らを教え、キャリアに備えさせます。コンテンポラリーの得意な生徒にクラシックのヴァリエーションばかりを躍らせたら、せっかくの身体も役に立ちません。

私たちのやり方は、生徒たちにコンクールでメダルを取らせるのではなく、その生徒に適したカンパニーに入団できるように訓練することです。別にコンクールそのものや、メダルを獲ることに反対しているわけではありません。でもそのことだけに集中してしまうと、間違った方向に行ってしまいます。メダルを獲った後で、目的を達成したのでやる気を失う子もいます。メダルを獲った教え子が5人います、ではなくて優れたプロのカンパニーに入団して活躍している教え子が5人います、ということの方が誇らしいのです。それがこの学校の目的です。

才能を見抜くこと、その才能が最も発揮される方向に導くことがとても大事だと私は考えています。その才能がクラシック・バレエに向いていなければ、指導者は正直になって、「あなたはクラシック・バレエのダンサーにはなれませんが、思い詰めないでください。違った道を進むべきです」と言わなければなりません。それはつらいことです。でも人生は続いていくのです。

とても優秀だけどコンテンポラリーが苦手な日本人の女子生徒がいました。そのため、どこにも入団できませんでした。1年半就職活動をしたのち、「もうやめて日本に帰ってホテルの専門学校に入ります」と私に言いました。「もう10年も踊りつづけましたよね。日本からはるばるオランダまで来て。今あきらめるべきではありません。入団できるカンパニーを見つけるべきです」つまり、それは数え切れないほどのオーディションを受けなければならないということです。何回も落とされると、心が折れる生徒もいます。「背が低い、太すぎる」などと言われたりします。それでもプロになりたいなら頑張らないといけません。結局この生徒は、ブカレストのバレエ団に入団して活躍しています。でもそこに至るまで私は何回も彼女にアドバイスを与えました。それまでに何回も何回もオーディションに落ち続けたからです。

生徒たちがカンパニーに就職できるようにたくさんのサポートを与えているんですね。

もちろん、生徒たちが自分のことをよく知ることが一番大切ですが、正しい方向に導き、キャリアを得ることができるようにできる限りのサポートをするようにしています。履歴書の書き方を指導したりもしています。生徒たちは履歴書を書くだけでなく、自分たちが何をやりたいのか、どういう方向に進みたいのかを書かなければなりません。今までの学習の自己評価なども書かせます。

英語ができることがとても重要になってきます。作文をたくさん書かなければならないからです。オーディションでも、このソロを踊るに際してのインスピレーションは何ですか?と聞かれるので、しっかりと答えられなければなりません。音楽、と答えるだけではなく、作品についてのストーリーが書けなければなりません。ダンサーになるためには、英語ができることは必須であり、英語を勉強することはダンサーになるための投資ともいえます。ほとんどのカンパニーでの共通言語は英語ですから大事なことです。


いかがでしたか?これからプロを目指す方にとっては、とても有用なアドバイスなのではないかと思います。とても熱く、真摯に語ってくださいました。生徒の将来を真剣に考えている、あたたかいお人柄が感じられました。


S&H留学センターのワークショップとオーディション

http://shballet.jp/audition_info.html

【12月27日(水)~29日(金)】
国立ミュンヘン音楽舞台芸術大学バレエアカデミー
(ミュンヘン州立バレエ学校)
ワークショップ&オーディション

【2018年1月27日・28日】
ロシア国立ノヴォシビルスク・バレエ学校
   アレクサンドル・シェレーモフ副学長 来日
    ワークショップ&オーディション

【2018年2月23日・24日・25日】
スイス国立チューリッヒ芸術大学 タンツ・アカデミー・
    オリバー・マッツ芸術監督 来日 (オリバー・マッツは2018年のローザンヌ国際バレエコンクールの審査員です)
    ワークショップ&オーディション

【2018年4月4日(水)】
元ベルリン国立バレエ団 芸術監督
ウラジミール・マラーホフ 来日 ワークショップ



熊川哲也オーチャードホール芸術監督 特別企画
オーチャード・バレエ・ガラ ~世界名門バレエ学校の饗宴~

http://www.bunkamura.co.jp/orchard/lineup/18_balletgala.html

2018/2/11(日・祝)13:00開演
2018/2/12(月・休)13:00開演

ロシア:ワガノワ・バレエ・アカデミー (校長:ニコライ・ツィスカリーゼ)
 『フローラの目覚め』より“パ・ド・カトル”
 振付:マリウス・プティパ 音楽:R.ドリゴ
 『人形の精』より“パ・ド・トロワ”
 振付:S.レガート/N.レガート(改訂:ニコライ・ツィスカリーゼ) 音楽:R.ドリゴ

ドイツ:ハンブルク・バレエ学校 (校長:ジョン・ノイマイヤー)
 『バッハ組曲2』より
 振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:J.S.バッハ

オーストリア:ウィーン国立歌劇場バレエ学校 (校長:マニュエル・ルグリ)
 『プルチネッラ』
 振付:ベッラ・ラチンスカヤ 音楽:G.ヴェルディ
 『ラ・ダンス・デ・トロワ・フィーユ 3人の少女の踊り』
 振付:ボリス・ネビラ 音楽:H.S.パウリ
 『ブルノンヴィルへのオマージュ』
 振付:ボリス・ネビラ 音楽:H.S.レーヴェンショルド

オランダ:ハーグ王立コンセルヴァトワール (校長:ヤン・リンケンス)
 『Evening Songs』より
 振付:イリ・キリアン 音楽:A.ドヴォルザーク
 『無言歌集』より
 振付:ハンス・ファン・マーネン 音楽:F.メンデルスゾーン

カナダ:カナダ国立バレエ学校 (校長:メイビス・ステインズ)
 『Three Images of Hope』より
 振付:ロバート・ビネー 音楽:O.パレット
 『ラ・フィユ・マル・ガルデ』より“パ・ド・ドゥ”
 振付:アレクサンドル・ゴールスキー 音楽:P.L.ヘルテル

オーストラリア:オーストラリアン・バレエ・スクール (校長:リサ・パヴァーン)
 『VITAE』
 振付:マーガレット・ウィルソン 音楽:B.デスナー

総合監修:オーチャードホール芸術監督 熊川哲也

2017/12/09

勅使川原三郎 KARAS「イリュミナシオン-ランボーの瞬き- 」

今年のKARAS APPARATUS開館4周年記念作品 アップデイトダンスNo.48. フランスの詩人アルチュール ランボーの詩集「イルミナシオン」(1874)を基にしたダンス作品が「イリュミナシオン-ランボーの瞬き」。アップデートされてシアターXで再演されました。日曜日まで上演中です。





夏の東京芸術劇場での「月に吠える」では萩原朔太郎、秋のパリ・オペラ座での「Grand MiroIr」ではボードレール。そして今回のランボーと、ここのところ勅使川原さんは、詩をダンスで表現する方法を模索しているようだが、本作こそ、「詩は文章にはできない」と朔太郎が語った言葉を受けての、ムーブメントで詩のエッセンスを伝えることに成功しているように思えた。

シアターXに場所を移した「イリュミナシオン」、APPARATUSでの初演も凄かったけど、再演の今回、本当に何かが降りてきたようだった(勅使川原さんは、途中、本当に舞台から降りていたけど)シアターXに場を移し舞台が広くなった分、ダンスのスケールも大きくなり、舞台装置も入って、空間の切り取り方も面白くなった。ロック、ノイズそしてベートーヴェンをリミックスした音楽、構成も変化してよりダイナミックに。

黒板に憑かれたように詩を書き殴る姿、創作の苦しみ、天啓を得る様子、挫折などを通して芸術を生業とする人間の業と矜持を感じさせるものだった。言葉に、そして音楽にも翻弄される芸術家が生み出すリズムがダンスのリズムへとなっていき、そして時空が歪み移動し、パリに、さらに別の次元へも飛んでいく。魔術師のように空間も時間も操っているかのようだった。

今更ながら勅使川原さんの身体の動きのキレも音楽性もすさまじく、現実にありえないような動きまで見せている。打ちのめされる気迫。現実には60代の彼が、若者の姿に見えてくる。舞台の隅に佇む黒衣の佐東利穂子さんは、さしずめミューズか、見守る守護天使か、はたまた死の天使か。芸術家/詩人/舞踊家としての鮮烈な生きざまが投影された文字通り渾身の踊り。

今観るべきダンス、表現はこれだ、と言い切ることができる。帰り道もこの世界から抜け出すのが難しく、ふわふわとした頭のまま帰途についた。

**************

「イリュミナシオン」-ランボーの瞬き-

構成・振付・照明・美術・衣装・選曲 / 勅使川原三郎

出演 / 勅使川原三郎 佐東利穂子

【日程】
12月 6日(水) 19:30
7日(木) 19:30
9日(土) 16:00
10日(日) 16:00
*8日(金)は休演日

【劇場】
東京・両国 シアターX

【チケット料金】
一般前売り 4,000円  当日 4,500円
*学生・シニア(65歳以上) 2,500円 *学生・シニア券は各回20枚限定・先着順、取扱はKARASでの前売りのみ。入場時に学生は学生証・シニアは健康保険証等年齢が証明できるものをご提示ください。

・KARAS / メール : ticket@st-karas.com
FAX : 03-5858-8089
     *公演日時・枚数・氏名・住所・電話番号を明記してお送りください。

・シアターX / 電話 : 03-5624-1181

【問い合わせ】KARAS(カラス)
電話 : 03-6276-9136
ホームページ : http://www.st-karas.com

*******************
2018年
アップデイトダンスNo.50

「ビグマリオンー人形愛」
KARAS APPARATUS新春第一弾です。





祝2018年 年初めのアップデートダンス「ピグマリオンー人形愛」

自動筆記=両性具有のダンス 二重に歩く者たち

幻想と実象の世界が錯綜する身体奇譚

我 二重の夢に往く
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アップデイトダンスNo.50
「ピグマリオンー人形愛」

出演 佐東利穂子
出演・演出・照明 勅使川原三郎

【日時】2018年
1月5日(金)20:00
1月6日(土)20:00
1月7日(日)16:00
1月8日(月・祝)16:00
1月9日(火)20:00
1月10日(水)20:00
1月11日(木)20:00
開演30分前より受付開始、客席開場は10分前

【会場】カラス・アパラタス/B2ホール

【料金】(全席自由)
一般 予約 3000円 当日3500円 学生2000円(予約,当日共に)

【予約】メール updatedance@st-karas.com 
件名を「アップデイトNo.50」として、本文にご希望の日付・一般または学生・枚数・郵便番号・住所・氏名・日中連絡のつく電話番号をご記入ください。

予約は各回前日の24時まで受け付けています。

【問合せ】TEL. 03-6276-9136





4月7日開催 「NHKバレエの饗宴2018」

恒例となった「NHKバレエの饗宴2018」が4月7日(土)に開催されます。

https://www.nhk-p.co.jp/ballet/index.html


新国立劇場バレエ団 『くるみ割り人形』第2幕から
 振付:ウエイン・イーグリング
 出演:木村優里 井澤駿 他

東京バレエ団 『ラ・バヤデール』から“影の王国”

 振付・演出:ナタリア・マカロワ
 出演:上野水香 柄本弾 他

スターダンサーズ・バレエ団  『Flowers of the Forest』

 振付:デヴィッド・ビントレー
 出演:吉田都 マティアス・ディングマン
 渡辺恭子 池田武志 他

『Chimaira/キマイラ』

 振付:平山素子
 出演:小尻健太 鈴木竜 堀田千晶 平山素子


バレエの饗宴初登場という平山素子さんの新作。そして、昨年8月のスターダンサーズバレエ団のガラ公演で上演され、大好評だったデヴィッド・ビントレー振付「Flowers of the Forest」を再び観ることができるのはとても嬉しいことです。しかも、その時に出演していた吉田都さんが踊るというのですから、必見です。後日テレビ放映があるのも嬉しいこと。

指揮・管弦楽

<指 揮> 井田勝大
<管弦楽> 東京フィルハーモニー交響楽団


日時 2018年4月7日(土)
開場:14時 開演:15時 終演予定:18時
会場 NHKホール

前売開始 2018年1月27日(土) 10時 発売開始
入場料 S席 12,000円 A席 9,000円 B席 6,000円 C席 3,000円
(全席指定・税込)
*就学前のお子様の同伴・入場はご遠慮ください。
お問い合わせ 03-5790-6438
(平日10:00~17:00)※NHKプロモーション内

2017/12/08

ピーター・マーティンス、セクハラ疑惑でNYCBとSABを休職

英米の映画界や音楽界などで、現在セクシュアル・ハラスメントが大問題となっています。

TIME(タイム)誌は、パーソン・オブ・ザ・イヤー(今年の人)に「沈黙を破った人たち」が選ばれ、性的嫌がらせや加害行動の被害経験について沈黙を破り、発言した人たちの勇気を称えています。
http://time.com/time-person-of-the-year-2017-silence-breakers-choice/
http://www.bbc.com/japanese/42261257

タイム誌は「今年の人」を発表する最新号の表紙に、様々な立場の女性を登場させ、性的加害行動がいかに社会全般に蔓延(まんえん)しているかを表現しています。


さて、この問題はバレエ界にも飛び火をしました。長年、ニューヨークシティ・バレエ(NYCB)の芸術監督として、そしてスクール・オブ・アメリカン・バレエの校長として、バレエ界に君臨したピーター・マーティンスが、セクシュアル・ハラスメントの疑いのため調査をされています。

New York City Ballet leader to take leave amid sexual, violence allegations
https://www.washingtonpost.com/entertainment/theater_dance/new-york-city-ballet-leader-to-take-leave-amid-sexual-violence-allegations/2017/12/07/9b4e4884-db7a-11e7-b859-fb0995360725_story.html

City Ballet’s Peter Martins Takes Leave of Absence After Misconduct Accusation
https://www.nytimes.com/2017/12/07/arts/dance/city-ballets-peter-martins-takes-leave-of-absence-after-misconduct-accusation.htm

木曜日に、NYCBは、マーティンスがバレエ団およびSABを、調査が完了するまで休職すると発表しています。

ワシントン・ポストは、元NYCBのソリストであるケリー・ボールが、彼が彼女に対して暴力を振るったという訴えに対して、マーティンスのコメントを求めました。ケリー・ボールは、やはり元NYCBのソリストで、現在はパシフィック・ノースウェスト・バレエの芸術監督であるピーター・ボールの夫人でもあります。

マーティンスは、彼女に暴力を振るったことを否認しながらも「現在行われている独立した調査が完了するまで、一時的にNYCBとSABを休職することを、経営会議のメンバーに要望しました」と答えています。

12月4日に、NYCBとSABが、マーティンスのセクシュアルハラスメントについて訴える匿名の書簡が贈られてきた結果、弁護士などで構成された土井栗の調査委員会が結成されたことが報道されています。また、SABが、調査が行われている間マーティンスは休職するとも発表しています。月曜日の時点では、マーティンスの妻ダーシー・キースラー(元NYCBプリンシパル)は、ノーコメントと報道陣に答えています。

「生徒たちの安全と健康が私たちにとって最優先です」とSABは発表し、「NYCBとSABの両方において、具体的ではないセクシュアルハラスメントを訴え出る匿名の書簡を最近受け取りました」「現在のところ、書簡の中に書いてあるセクハラ行為や、生徒の安全に問題を起こすような事態は見つけていません」


https://www.nytimes.com/2017/12/04/arts/dance/peter-martins-new-york-city-ballet.html

バレエ団の広報担当者は、2010年以来、このカンパニーでは、上司と部下の間のロマンティックな関係を禁止するポリシーがあると語っています。これに関連して、昨年、リンカーンセンターのプレジデントであったジェド・バーンスタインは、2回昇進させた部下の女性と恋愛関係にあったという匿名の通報があったのちに、辞職しています。

最近のインタビューでは、2人の元NYCBダンサーとSABの3人の元学生は、マーティンスはダンサーたちと寝ており、そのような関係を持っていることで彼女たちは良い役を得られていると語っていました。

バレエは、振付や指導のためにお互いの身体に常に触らなければならないという性質があります。マーティンスのような芸術監督は、特に若いこれからのダンサーに対しては非常に大きな権力を持っています。どのダンサーがいい役を得るかというキャスティング、そして誰が昇進するかを決める権限を持っているからです。

なお、1992年にマーティンスは当時まだ現役ダンサーだった妻ダーシー・キースラーを殴ってけがをさせたことで逮捕されています。キースラーは腕と脚に切り傷を負い、また青あざを作りました。この訴えは後に取り下げられました。2012年にマーティンスは酒気帯び運転で逮捕されています。さらに今年の8月には、マーティンスとキースラーの21歳の娘がドラッグを使用した上に窃盗をした件で逮捕されました。

マーティンスはデンマーク出身で、1970年にNYCBに移籍する前はデンマーク・ロイヤル・バレエのプリンシパルでした。長身で堂々とした体躯、エレガンスを持ち合わせて人気スターとなります。バランシンの亡くなった1983年にジェローム・ロビンスと共に共同芸術監督となり、1990年に単独の芸術監督に。以降バレエ団をまとめ上げてきました。バランシン、ロビンスを中心としたバレエ団のレパートリーを守りつつ、ウィールドン、ミルピエ、ペックなど若い振付家も育ててきており、バレエ界における貢献は大きなものがあります。

特に、マーティンスはジョージ・バランシン財団の最重要人物でもあるので、大きな権力を持っている存在です。ワシントン・ポスト紙は10人以上のダンサーをインタビューしましたが、彼を公的な場で批判することは恐ろしくてとてもできない、そんなことをしたら仕事を奪われると多くが語っています。特に、バランシン作品の振付指導をする権利を失うことが一番怖いことのようです。

ある元NYCB女性ダンサーが語ったことによれば、マーティンスに、ソリストに昇進をするにはどうすればよいかと尋ねたところ、このカンパニーには100人以上の団員がいるので、一人一人にはとても注意が行かないと。彼の目に留まるということは、性的な関係を持つことだと言われたと彼女は解釈したとのことです。

前述のケリー・ボールは、1989年にマーティンスは彼女の肩をつかんで廊下に引きずり出し、肩をゆすって彼の言うことを聞いていないと激しく非難したそうです。「私の首の周りに手を置き、首を絞めて叫んで、どついて去っていきました」同じ日の早い時間に、マーティンスは彼に口答えをした彼女のパートナー、ピーター・ボールをリハーサルで罵ったそうです。別の女性ダンサーが、マーティンスがケリー・ボールに暴力を振るう様子を目撃したと証言しています。ケリー・ボールは数年後、26歳でバレエ団を退団し、引退しました。

また、ABT、NYCBの両方で活躍したゲルシー・カークランドの著書「わが墓上で踊る」の中で、マーティンスが怒りのあまり、別の女性ダンサー、ヘザー・ワッツをパーティで階段の上から下まで引きずり下ろす様子を見たと書いています。

*****
バレエ界では、すでに71歳で27年間も芸術監督を務めてきた(共同芸術監督時代も含めると34年間)マーティンスの辞任は避けられないという見方があり、彼の後任が誰になるだろうかということも、注目されています。子の世界でのセクシュアルハラスメントは、マーティンスに限った話ではなく、もっと多くのケースが今後出てくることでしょう。

2017/12/07

イル・ヴォーロ来日記者会見

イタリア出身の若手テノール・トリオ、イル・ヴォーロ(IL VOLO)が初来日し、11月29日、12月1日にコンサートを行いました。2公演ともソールドアウト。公演を前に、紅葉の美しいイタリア大使館で、イタリア大使同席の中記者会見が行われました。

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フィギュアスケーターの羽生結弦選手が、2016~17年シーズンのエキシビションの音楽に、イル・ヴォーロの曲「ノッテ・ステラータ 星降る夜(スワン)」を使用したことで話題になりました。また、エフゲニー・プルシェンコ選手は2016年NHK杯のスペシャルエキシビジョンで彼らの「グランデ・アモーレ」を使用しています。

メンバーはジャンルカ・ジノーブレ(22)、イニャツィオ・ボスケット(23)、ピエロ・バローネ(24)の3人。テレビ局のオーディション番組にそれぞれソロ歌手で出演したのがきっかけでユニットを組み、14~15歳の若さで10年にCDデビュー。デビューアルバムが2011年にビルボード初登場10位で、6位まで上り詰めたそうです。最新盤『グランデ・アモーレ』はビルボードではクラシカル、ラテン・ポップの2部門で1位、ラテンチャートで2位に輝くなど大ヒットを記録しています。2016年にフィレンツェで開催された「三大テノールに捧げる」ライブでは、プラシド・ドミンゴとの共演を果たしました。YouTube再生回数は一億回を超え、ヨーロッパ、北米・南米でスタジアム級の会場を満員にしているそうです。

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この若い年齢とは思えない、芳醇で深みがあり、ドラマティックな歌声の持ち主である3人。ひげを蓄えて少し大人っぽくは見えますが、素顔は20代前半のイタリアの男の子。茶目っ気のある受け答えとイタリア人らしい底抜けの明るさ、その中に歌を愛する心が伝わってくる会見でした。

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ジャンルカ・ジノーブレ

「3人のメンバーとも、祖父の代から音楽好きで、特に3大テノール(パヴァロッティ、ドミンゴ、カレーラス)のコンサートに影響を受けました。とはいっても、ポップスからロックまで興味は持っており、自分たちならではのオリジナリティを持った、イタリアを代表する歌手グループになりたいです」(ピエロ・バローネ)と思っているとのこと。3人とも同じテノールですが、「声の特徴がそれぞれあり、ジャンルカの声が温かい声質なので、彼の声から始めるようにしていて、曲の配分を割り振っています」(イニャツィオ・ボスケット)

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ピエロ・バローネ

羽生結弦選手については、彼が自分たちの曲を使っていることを知った後で、彼がどれほど素晴らしいフィギュアスケート選手であるかということを知ったそうです。「音楽とダンスが一緒になって素晴らしいものを見せてくれるアーティストであり、早く怪我が治ることを祈っています」(この曲はコーチのタチアナ・タラソワが羽生選手に贈ったとのことです)

スペイン語圏でも非常に人気があってラテンチャートでは2位に輝いた彼ら、次のアルバムはスペイン語のものとなるそうですが、最新アルバム「グランデ・アモーレ」のようなオリジナル曲だけでなく、「オペラの魅力を若い人たちに知ってもらいたい」とともに、イタリアで愛されている歌曲も歌い続けるそうです。

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イニャツィオ・ボスケット

「イタリアの理容師がみな死んでしまったので、ひげが伸び放題になってしまいました」というお茶目な彼ら。お互いを評する言葉もとてもユーモラスです。「ピエロは決心したらその考えは必ずやり抜く。要するに石頭です」「ジャンルカは「まるで日本人のように完全主義者」「イニャツイオは13歳の時から小さなクマでした。明るくしてくれるムードメイカーです」「ジャンルカは美しさを保つために氷風呂に入って年を取らないようにしてください」和気あいあいとして仲良しな様子もうかがえます。

記者会見に出席した記者が居眠りをしていたのに気が付いて、ジャンルカが突然その記者に近づいて美しいアリアを披露するというサプライズも。ラストも、お世話になった日本人女性のために美しいハーモニーを聴かせてくれました。

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20代の若者がこのようなクラシカルクロスオーバーの曲を歌うのが、このトリオの特徴であり、今後もグループとしての活動を大事にしたいと考えているそうです。30代、40代になった時にどうしていたいかと聞かれると「イタリア人なので先のことは考えず、今日が最後の日だと考えて懸命に生きています」と答えました。

プラシド・ドミンゴも絶賛した才能、まだ若い彼らのこれからの活躍が楽しみです。

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フィレンツェのサンタクローチェ広場で、プラシド・ドミンゴ指揮「トゥーランドット」より「誰も寝てはならぬ」を歌うイル・ヴォーロ

愛聴していますが、ドラマティックでポップで聴きやすく、とてもいいアルバムです。

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イル・ヴォーロ

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2017/12/05

バーミンガムロイヤル・バレエのイアン・マッケイが引退

バーミンガムロイヤル・バレエを代表するプリンシパルの一人であったイアン・マッケイが引退を発表しました。

https://www.brb.org.uk/post/news-iain-mackay-set-to-retire-in-2018

スコットランドのグラスゴー生まれ。1999年にロイヤル・バレエ・スクールを卒業してバーミンガムロイヤル・バレエに入団。2003年にプリンシパルに昇進。2008年にアンヘル・コレーラが率いたコレーラ・バレエに移籍しましたが、2年後に復帰。バーミンガムロイヤル・バレエには19年間在籍し、うちプリンシパルとしては14年間活躍しました。引退公演は、2018年1月19日と20日のバーミンガム・シンフォニー・ホールとノーザンプトンのRoyal & Derngateの公演An Evening of Music and Danceで、ビントレー振付の新作「スパルタクス」のパ・ド・ドゥを踊る予定です。

マッケイはバーミンガムロイヤル・バレエの来日公演で何回か主演したほか、新国立劇場バレエ団でも、「カルミナ・ブラーナ」「ファスター」と「火の鳥」でゲスト出演しています。2008年の来日公演「コッペリア」では吉田都さんと共演しました。

2011年の来日公演でのインタビュー記事
http://www.nbs.or.jp/blog/news/contents/interview-and-report/post-329.html

長身で恵まれたプロポーション、色気もある端正な容姿、サポートと演技のうまさでバレエ団を支えてきたマッケイ。ビントレー作品では、「シラノ」のクリスチャン、「シンデレラ」の王子と「ファスター」の初演キャストも務めています(「シンデレラ」はDVD化されています)。引退後は、子供時代に学んできたYorkshire Ballet Summer Schoolの校長に就任するとのことです。

デヴィッド・ビントレーが、彼の引退に対して贈った言葉が温かく、マッケイとビントレーの人柄の良さが伝わってきます。

「長年にわたり、イアンはこのカンパニーの最も素晴らしいダンサーであることを証明してきました。芸術家としての恐れを知らない才能ばかりだけでなく、忠実で献身的で正直であったことによっても。バレエ団の同僚に対してはとても親切でアドバイスを与え、まさに「ライト・スタッフ」であると称賛されています。Yorkshire Ballet Summer Schoolの芸術監督としての新しい仕事においても、これらの彼の美質は大いに役に立つことででしょう。
イアン、グッド・ラック!いなくなって寂しくなります」

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2017/12/04

ハーグ王立音楽院、ヤン・リンケンス校長ワークショップ レポート

10月21日、22日に、S&H留学センター主催のオランダの名門、ハーグ王立音楽院、ヤン・リンケンス校長によるワークショップがありました。このワークショップは、リンケンス校長によるワークショップの他、ハーグ王立音楽院への入学オーディションも兼ねたものです。

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改めてハーグ王立音楽院についてご紹介すると、1825年にオランダ国王ウィレム1世によって設立された、音楽とダンスの高等教育を提供する学校です。世界のバレエ団で通用するダンサーを育成するためのクラシック・バレエやパ・ド・ドゥクラス、ポワントクラスに加えモダンやキャラクターのクラスも取り入れています。ローザンヌ国際バレエコンクールのパートナー校であり、スカラシップ生を受け入れています(元K-Ballet Companyの神戸里奈さんは、ローザンヌ国際コンクールで入賞し、この学校に留学しました)。ネザーランド・ダンス・シアター(NDT)のダンサーやディレクターによるレッスンも週2回設けられているのが大きな特徴です。

<世界的な巨匠のレパートリーを学ぶ貴重な経験>

今回のワークショップは、13~15歳と、16~20歳の2グループに分かれ、それぞれクラスレッスンと、オランダを代表する巨匠ハンス=ファン・マネン作品のレパートリークラスが行われました。

ファン=マネンの作品「Songs Without Words」を学ぶものです。世界中のバレエ団で踊られているファン=マネン作品は、クラシック・バレエのテクニックを使用しつつも、ターンインやオフバランス、上半身、特に腕の動き、床の上での動きなど独特の舞踊語彙を持つ現代的な要素の強いものです。メンデルスゾーンのピアノ曲を使用しているため、音楽性が非常に大きな意味を持ちます。ストーリーのない抽象的な作品ではありますが、その中にも密やかなドラマ性があります。男女のペアで構成されるグループで踊られる作品なので、お互いのアイコンタクトも必要であり、エポールマンや視線などによる表現力も求められます。

リンケンス校長が、作品の特性、ファン=マネン独特の舞踊語彙、音符に乗ることの重要性、歩くという動き一つをとってもエレガンスを表現することなどについて細やかに伝え、指導していきます。16~20歳のグループは、同じ作品を学びますがその中でパートナーリングといった要素も加わっていきます。

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日本のバレエ教育では、コンテンポラリーダンスの教育は不足している面が高く、このようにファン=マネンのおひざ元であるオランダの最高のダンス教育を東京で受講できるという意味でも、非常に価値のあるワークショップでした。クラシック・バレエのテクニックを中心に学んできた受講生たちにとっては、戸惑う面や不慣れな面もあったようでした。が、若い生徒たちは、2日間のワークショップで振付をほぼ完全に覚えて、自分たちの世界を表現できるようになっていたのが印象的でした。

クラスレッスンにおいても、リンケンス校長は内側からのターンアウト、指で床をつかむ感覚を把握するための独特なフラッペ、内腿の使い方、ピルエットの時のアームスの使い方など、細かくそして実践的な指導をしていき、みるみるそれらのコツを受講生たちがつかんでいく様子が見られました。


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とても濃い内容の二日間のワークショップの結果、13~15歳のAグループからは1名、16~20歳のグループからは3名の受講生が、ハーグ王立音楽院の留学許可を獲得しました。


<ヤン・リンケンス校長からのアドバイス>

最後に受講生に向けたリンケンス校長からのメッセージがありましたが、これからバレエを学んでいく人たちにとっては、非常に有意義なアドバイスが得られました。

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<ハーグ王立音楽院の紹介>

この学校はプロフェッショナルのダンサーを育てるための国立の学校です。16歳以下のカリキュラムでは、オランダ語で授業が行われ、一般的な学校の勉強を行いつつバレエ、音楽、ヴィジュアルアーツについて学びます。シラバスがあり、一年間でここからここまで学ぶ、と決められています。この段階では毎年多くの退学する生徒がいます。

6年間の学校を終えると、2年間のバチェラープログラムに進みます。ここでは9時から18時までダンスだけを学びます。バレエ、パ・ド・ドゥ、モダン、ポワント、ピラティス、ヨガなどを学習し、またバレエの歴史やキャリアプランについても学びます。一度入学したら退学させられることはありません。

最終学年には各バレエ団のオーディションを受け、契約を得られたら卒業となります。インターンシップを獲得した場合には学校に在籍しつつ、インターン先のカンパニーで働き、1年後に職を得られた場合には卒業となり、卒業証書を授与されます。バチェラープログラム在籍中に進路変更することになった場合にも卒業証書を得ることで、一般の大学に進学することができます。

<ヨーロッパでプロのダンサーになるために大切なこと>

<身体のケアと健康管理>

ヨーロッパにおいては多くのカンパニーがあり活動する場所があるので、そういう意味では恵まれた環境ですが、同時に多くの優秀なダンサーがおり、オーディションに500人のダンサーが応募して一人か二人しか合格しないというのが当たり前となっています。情熱も大事ですが、身体のケア、健康管理も非常に大事であり、そのためには正しいトレーニングが特に重要となります。正しいトレーニングを行わないと怪我をしてしまうからです。ダンサーの身体は楽器であり、プロになったら20年間踊り続けることになります。よく食べて寝て、休んでウォームアップをすることが必要です。

<英語力と自立できること>

ヨーロッパでダンサーとして活動するには、英語の能力が必須です。ハーグ王立音楽院のバチェラープログラムは英語で行われています。振付を学び分析するにも、公演を観てレポートを書くにも、英語力が必要です。日本からの留学生で、英語ができないために退学となった生徒もいたとのことです。また留学する場合には、この学校には寮がないために一人暮らしをしなければなりません。生徒数は120人と大きな学校ではないのですが、その分スタッフも大人数ではないため、自分で問題を解決する力が必要となります。この学校には現在4人の日本人留学生がいてお互い助け合っているそうです。

<コンテンポラリーダンスを踊ることができること、そして順応性>

ヨーロッパでプロのダンサーとして活躍するには、クラシックもコンテンポラリーも踊らなければならず、ダンスに対して心を広く開かなければなりません。現在ヨーロッパにおいては、クラシック・バレエだけのレパートリーを持つバレエ団はありません。バランシン、キリアン、ファン=マネンなどの作品を踊ることが必須で、オーディションで「ドン・キホーテ」のヴァリエーションだけ踊れればいいということではありません。またインプロヴィゼーション(即興)で踊ることもできなければなりません。新しいタイプのダンスへの順応性が求められています。

本当にプロのダンサーになりたいのか?ヨーロッパで踊りたいのか?と自ら問いかけることが必須となります。自分の生活を自分で管理し、自立しなければなりません。

多くのヨーロッパのカンパニーでは、1年に100公演ほど行い、またいろんな街を旅してまわるツアー公演も行います。オランダ国内だけでも7,8カンパニーあります。ある時は「白鳥の湖」や「ジゼル」、そしてある時にはコンテンポラリーを踊ります。ディレクターが求めているダンサーとは、どこでも機能する健康なダンサーです。

<日本の学生の長所と短所>

日本の学生の長所としては、規律正しい生徒が多く、それはバレエにおいてはとても大事なことです。どんな芸術監督もしつけのきちんとした人を求めています。先生がやっていることを受け入れられて、いろんな振付家と仕事をしなければなりません。順応するだけでなく、切り替えも上手くできなければならないからです。

日本人には、自分は十分上手ではないと思い込んで自信がない子が多いそうです。自分を信じること、ダンサーになりたいし、必ずなれると思うことが大切です。これが好きなこと、やりたいことであり情熱を持っていることだと信じていけば問題は解決されていきます。完璧なダンサーはいませんが、身体は自分たちの楽器なので問題があれば自分で解決して、次のステップにつなげなければならないのです。

※ヤン・リンケンス校長の貴重なインタビュー記事は、後日拙ブログ、そしてS&H留学センターのサイトでお届けする予定です。

**************

ハーグ王立音楽院は、熊川哲也オーチャードホール芸術監督 特別企画 オーチャード・バレエ・ガラ ~世界名門バレエ学校の饗宴~に参加するバレエ学校の一つです。2月11日、12日にオーチャード・ホールにて。この公演では、ワークショップでも学んだハンス・ファン=マネン振付「Songs Without Words(無言歌)」と、イリ・キリアンの作品を踊ります。


なお、S&H留学センターでは、多くのバレエワークショップや海外バレエ学校オーディションが予定されています。
http://shballet.jp/audition_info.html

【12月27日(水)~29日(金)】
国立ミュンヘン音楽舞台芸術大学バレエアカデミー
(ミュンヘン州立バレエ学校)
ワークショップ&オーディション

【2018年1月27日・28日】
ロシア国立ノヴォシビルスク・バレエ学校
   アレクサンドル・シェレーモフ副学長 来日
    ワークショップ&オーディション

【2018年2月23日・24日・25日】
スイス国立チューリッヒ芸術大学 タンツ・アカデミー・
    オリバー・マッツ芸術監督 来日
    ワークショップ&オーディション

【2018年4月4日(水)】
元ベルリン国立バレエ団 芸術監督
ウラジミール・マラーホフ 来日 ワークショップ

特に本格的なワガノワ・メソッドを採用している、ワガノワ、ボリショイ、ペルミと並びロシアトップのバレエ学校であるノヴォシビルスク・バレエ学校のワークショップは貴重な機会といえます。
約20人の外国人生徒が在籍しており(日本人含む)、少人数制の教育、設備も大変充実している学校です。
ノヴォシビルスクバレエ学校についての日本語の詳しい説明
ノヴォシビルスク・バレエの芸術監督はデニス・マトヴィエンコ、元K-Balletの福田昂平さんが在籍しています。


また、2018年4月1日~3日には、
第1回 パシフィック・インターナショナル・バレエ・コンペティション
を開催します。
http://pibcballet.com/
こちらについては、また別途ご紹介記事を書きますね。

ウラジーミル・マラーホフを審査委員長に、シオマラ・レイエス、(元ABTプリンシパル、ワシントン・スクール・オブ・バレエ校長)、ハンガリー国立アカデミーのジュルジ・サカーイ校長、東京シティ・バレエ芸術監督の安達悦子氏などの高名な審査員を迎えたコンクールで、スカラシップも多数用意されています。

2017/12/01

牧阿佐美バレヱ団「ドン・キホーテ」のゲストにオブラスツォーワとソボレフスキー

牧阿佐美バレヱ団の「ドン・キホーテ」公演が3月3日、4日に行われます。

ゲストには、ボリショイ・バレエのエフゲーニヤ・オブラスツォ-ワと、モスクワ音楽劇場のドミートリー・ソボレフスキーが出演します。

http://www.ambt.jp/perform2.html

日時:2018年
   3月3日(土)15:00
   3月4日(日)14:30
    <全2回公演>  

会場:文京シビックホール 大ホール

指揮 デヴィッド・ガルフォース
演奏 東京オーケストラMIRAI
演出・振付
アザーリ・M・プリセツキー、ワレンティーナ・サーヴィナ
(プティパ、ゴルスキー版に基づく)

チケット料金(税込・全席指定):
S席11,000円、A席8,000円、B席5,000円
フェスティバルシート3,000円(2月3日よりバレヱ団オフィシャルチケットでのみ発売。座席選択不可)
S席ペア20,000円、A席ペア15,000円、B席ペア9,500円
(ペア席は2階席限定)
当日券がある場合のみ学生割引あり A席4,000円 B席3,000円
(要学生証提示、座席選択不可。)

チケット発売日:
一般発売開始:11月29日(水)より 

チケット取り扱い
http://www.ambt.jp/contact.html


エフゲーニヤ・オブラスツォ-ワはご存知、ボリショイ・バレエで活躍中で今年6月の来日公演への出演も記憶に新しいところです。NBAバレエ団の「ドン・キホーテ」にもゲスト出演しています。

ドミートリー・ソボレフスキーは、モスクワ音楽劇場バレエのシニア・プリンシパルで、モスクワ音楽劇場バレエでノイマイヤーの「タチヤーナ」を上演した時に、ゲスト出演したディアナ・ヴィシニョーワの相手役(オネーギン)を務めました。そしてヴィシニョーワのマリインスキー・バレエ20周年記念の「ジゼル」(2015年)では、アルブレヒト役を踊り、その舞台を観ることができました。長身で容姿も踊りも美しいダンサーです。モスクワ音楽劇場バレエの来日公演『白鳥の湖』でも主演しました。2009年のモスクワ国際バレエコンクールで3位入賞しています。

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3月3日、4日には、東京シティ・バレエ団の「白鳥の湖」(3日はミリアム・ウルド=ブラムがゲスト出演)もありますので、要注意です。

セルリアンタワー能楽堂<伝統と創造シリーズ>「老松」

渋谷のセルリアンタワー能楽堂で、2008 年より継続して上演している“伝統と創造シリーズ”第 9 弾は、国内外で精力的に活動を行う振付家・ダンサーの黒田育世さんによる、古典能「老松」を元にしたオリジナル作品
『老松 -OIMATSU』です。

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http://www.ceruleantower-noh.com/lineup/2017/20171210.html

古典能「老松」は菅原道真の「飛梅伝説」を題材にした作品。ある春の日、夢のお告げに導かれた都人の前に、長寿の象徴である松の精、春を告げる美しい梅の精や鶯が現れ、この世を寿ぐという祝言性の高い内容となっています。

『老松 -OIMATSU』では、時を経て目覚めた老松たちがこの現代を寿いでいく姿を、世代やジャンルを超えたコラボレーションに挑戦し続ける能楽師・津村禮次郎さんと、今年 4 月に紫綬褒章を受章し、古典からコンテンポラリー作品まで多彩な表現力で観客を魅了するダンサー・酒井はなさん、そして黒田育世さんの 3 人で描きます。今回が初顔合わせとなる濃密なコンビネーションに期待が高まります。

セルリアンタワー能楽堂 伝統と創造シリーズ vol.9 『 老松 -OIMATSU 』
日 時
2017 年 12 月 10 日(日)15:30 開演
      12 月 11 日(月)19:30 開演
      12 月 12 日(火)18:30 開演
※開場時間は、開演の 30 分前となります。

注 現在、A(正面)席はほとんど埋まっているようですが、B(脇正面)席が橋掛かりにも舞台にも近く、出演者の表情もしっかりと見えるので、お勧めだそうです。

会 場 セルリアンタワー能楽堂
〒150-8512 東京都渋谷区桜丘町 26-1(東京・渋谷 セルリアンタワー東急ホテル B2F)

演出・振付 黒田育世
出  演  津村禮次郎、酒井はな、黒田育世
使 用 音 源 シューベルト:「死と乙女」/ウィーン弦楽四重奏団(カメラータ・トウキョウ CMCD-15004)


森山開次さん、小尻健太さんなど数々のダンサーとコラボレーションをして来て、その活動を追ったドキュメンタリー映画「躍る旅人 能楽師・津村禮次郎の肖像」も公開された重要無形文化財保持者の津村禮次郎さん、今年紫綬褒章を受章し、バレエにとどまらず、ますます活躍の幅が広がる酒井はなさん、日本を代表する振付家の一人である黒田育世さんという、とても刺激的なタッグによるこの作品、とても面白そうです。

「老松」についても語っている黒田育世さんのインタビュー記事
http://dancerssupport.com/interview/1780/

伝統と創造シリーズとは
能楽堂という日本の伝統的な様式を持つ空間を、コンテンポラリーの振付家がどのように解釈し、扱っていくかを問う企画。2008年より継続して制作している。

<ミニ情報>
セルリアンタワー能楽堂では、公演などがない日には施設見学も承っておりますので、ダンスファンの方が特に気になるお席から舞台の見え方なども確認していただけます!<ご予約不要ですが、下記にて見学可能な日時をご確認ください>
http://www.ceruleantower-noh.com/calendar/

※なお、あいにく「老松」公演の前は見学可能な日がないのですが、今後も公演は予定されていますので、お気軽にお越しください、と施設見学をお待ちしているとのことです。

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