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2017年12月

2017/12/30

SWAN MAGAZINE Vol.50 2017年冬号

SWAN MAGAZINE Vol.50 2017年冬号が発売されました。

http://swanmagazine.heibonsha.co.jp/

このマガジンもついに50号の発行となりました。季刊誌なので12年以上続いていることになります。毎号、必ず有吉京子さんの連載が続いていることも素晴らしいことです。


[Special Interview] パリ・オペラ座 エトワールに夢中!
マチュー・ガニオ

来年1月の「ル・グラン・ガラ」で久しぶりに来日するマチュー・ガニオのインタビュー記事です。今シーズンは、開幕の「ジュエルズ」のエメラルド、同じくバランシン振付の「アゴン」、勅使川原三郎さんの新作「Grand Miroir」、そして現在上演中の「ドン・キホーテ」のバジルと大活躍。
今回のインタビューでは、特に「Grand Miroir」について語っています。この作品の全公演にマチューは出演しましたが、ラストはインプロヴィゼーション(即興)であるために毎回気分によって変えていたとのこと。勅使川原さんとは振付家とダンサーという、人間同士の深い交流ができたそうで、自分のキャリアの中で、とても興味深く貴重な経験になったそうです。
実際、勅使川原さんも、KARAS APPARATUSの公演後のトークで、マチューがいかに真面目で努力家で熱心で、今までの自分とは全く違った意識を持たなければならないという考えて取り組んでいたことを高く評価されていました。一回り大きくなったマチューを、1月に観ることができそうです。

[Review]
パリ・オペラ座「バランシン/勅使川原/バウシュ」

では、この「Grand Miroir」始め、このトリプルビルについて、写真をたっぷり使って紹介しています。

[Interview]
勅使川原三郎「Grand Miroir」誕生!

そしてこの「Grand Miroir」を振付けた勅使川原さんの貴重なインタビュー。5月にオーディションを開催して出演するダンサーを選び、ワークショップを開催。9月からリハーサルを開始しましたが、とにかくダンサーとよく話したとのことです。身体の可動域を、今までの概念と違った風にしてほしい、それはそのまま、音楽理解につながるそうです。各自の身体、ダンスに向かう姿勢、ひいては自分がどういう人間であるかを身体的により理解し、自分を見つめなおしてほしいと語っておられました。

パリ・オペラ座との仕事はしやすかったそうです。現代を歴史的に捉えていると言えるが、今後のためにあるべき芸術を求めている姿勢があると感じられたとのことで。新しいことをするというのは、人間が本来持っている強烈な興味は何だということを時間をかけて探っているのだと思い、これを国家規模で行っていると。守り続けて行かなくてはならないという精神を変革の精神と同時に持ち続けている、歴史を新しくしていこうというこの姿勢を、勅使川原さんは清々しく感じられたそうです。

[特集] 2年ぶりの来日!
ハンブルク・バレエ 最前線

来年2月に来日公演を控えたハンブルク・バレエの特集です。

[現地ルポ]
ロビンス生誕100周年<ショパン・ダンシズ>で開幕!
「ダンシズ・アット・ア・ギャザリング」と「ザ・コンサート」のダブル・ビルの公演紹介

[Principal Interview] カレン・アザチャン

[ハンブルク・バレエで活躍する日本人ソリスト] 有井舞耀/菅井円加

「ニジンスキー」の作品紹介


「パリ・オペラ座バレエ学校の四季」(パリ・オペラ座ピアニストの土屋裕子さんの連載)は
「ジュエルズ」で開幕
ブジュル引退/カルポー賞/校舎移転30周年

[Review] 新国立劇場バレエ団「くるみ割り人形」(新制作)

[Review] ルグリ・ガラ /ザハーロワ「アモーレ」/東京バレエ団<20世紀の傑作バレエ>

[Interview] Noism金森穣「NINA」再演を語る

世界文化賞受賞 バリシニコフ来日!

フランス芸術文化勲章受賞 勅使川原三郎の世界


[連載]
世界で活躍する日本人ダンサーを紹介する、世界の劇場から、こんにちは!は、今年の夏のBright Step公演で、個性的で鮮やかな踊りを見せてくれた山本勝利さん(キール歌劇場バレエ)のインタビューです。今年の秋からは、より現代作品中心で、年に4作品の新作を上演するアウグスブルグ歌劇場バレエに移籍されるとのことです。


[連載 第14話]
「SWAN ─白鳥─ドイツ編 」有吉京子

ハンブルク・バレエでノイマイヤー振付の「オテロ」を踊ることになった真澄とレオンが、この作品の深い世界の中に没入する様子をじっくりと描いています。ノイマイヤー本人も作品の中に登場します。

特にマチュー・ガニオ、勅使川原三郎、ハンブルク・バレエのファンにはぜひ読んでいただきたい、充実した一冊になりました。ぜひお求めください。

SWAN MAGAZINE Vol.50: 2017年冬号SWAN MAGAZINE Vol.50: 2017年冬号
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2017/12/29

NHK Eテレクラシックハイライトでルグリ・ガラ/ジルベスタ―コンサートでザハロワ

NHK Eテレ 毎年大みそか恒例のクラシック・ハイライト。今年NHKで放映されたオーケストラ、室内楽、オペラ、バレエの公演を振り返る特別番組です。


http://www4.nhk.or.jp/P2976/

12月31日(日)午後9時20分~11時45分

この番組で、ルグリ・ガラBプロの抜粋が放映されます。

●22:30ごろ● パリ・オペラ座バレエ団で23年間エトワールとして活躍した伝説的なダンサー、マニュエル・ルグリ。 現在ウィーン国立バレエ団の芸術監督を務める彼が、選りすぐりのダンサーたちと共に創りあげたガラ公演から​

『ファラオの娘』から パ・ド・ドゥ
音楽:チェーザレ・プーニ
振付:ピエール・ラコット
ダンス:オルガ・スミルノワ、セミョーン・チュージン
【内容時間】1分30秒

『ドン・キホーテ』から パ・ド・ドゥ
音楽:レオン・ミンクス
振付:マリウス・プティパ
ダンス:マリアネラ・ヌニェス、ワディム・ムンタギロフ
【内容時間】3分28秒

『フェアウェル・ワルツ』
音楽:フレデリック・ショパン/ウラディーミル・マルティノフ
振付:パトリック・ド・バナ
ダンス:イザベル・ゲラン、マニュエル・ルグリ
【内容時間】5分28秒
【収録】8月24日 東京文化会館


スタジオゲストとして、2016年の、エルヴェ・モロー、マチュー・ガニオ、ドロテ・ジルベールが出演した公演「Stars in the Moonlight 月夜に煌めくエトワール」に出演したヴァイオリニストの三浦文彰さんも出演して演奏します。

NHK-BSプレミアムでの放映を見逃した方、地上波しか観られない方はぜひご覧になってください。特にルグリ、ゲランが共演した『フェアウェル・ワルツ』は涙ものの名演です。


*******

また、同じく12月31日には、恒例の東急ジルベスタ―コンサート2017-2018の生中継もあります(第二部)。今年は、スヴェトラーナ・ザハロワとデニス・ロヂキン、ワディム・レーピンが出演します。

ザハロワは「瀕死の白鳥」と「ライモンダ」の出演になると思われます。

http://www.tv-tokyo.co.jp/silvester2017-2018/

第1部
ヴェルディ:『運命の力』序曲
プッチーニ:『マノンレスコー』間奏曲
プッチーニ:『ラ・ボエーム』より「私はミミ」
ブラームス:ハンガリー舞曲 第1番
サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン
チャイコフスキー:イタリア奇想曲

第2部
J.シュトラウスⅡ:美しく青きドナウ
ドヴォルザーク:『ルサルカ』より「月に寄せる歌」
サン=サーンス:『瀕死の白鳥』〈振付:ミハイル・フォーキン〉
ムソルグスキー(ラヴェル編):『展覧会の絵』より「バーバ・ヤガーの小屋」「キエフの大きな門」
チャイコフスキー:『眠れる森の美女』から「ワルツ」
モンティ:チャールダーシュ(レーピン)
カールマン:『チャールダーシュの女王』より「山こそ我が故郷」
グラズノフ:『ライモンダ』から「グラン・アダージョ」〈振付:牧阿佐美〉
グリンカ:『ルスランとリュドミラ』序曲

指揮:広上淳一
ヴァイオリン:ワディム・レーピン
バレエ:スヴェトラーナ・ザハーロワ
    デニス・ロヂキン
ソプラノ:小林沙羅
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
パフォーマンス:シルク・ドゥラ・シンフォニー

2017/12/28

薄井憲二さんが逝去

日本バレエ協会の前会長でバレエ史研究の第一人者だった薄井憲二さんが亡くなられました。93歳でした。

 東京生まれ。故東勇作氏のバレエ団に入った後、東京帝大在学中に応召し、終戦後4年間のシベリア抑留を経て帰国。再び東勇作バレエ団で活躍した。後に自らのバレエ団も結成し、後進育成にも尽力した。

 モスクワ国際バレエコンクールなど国際コンクールの審査員も歴任し、振付家、舞踊評論家などとしても活躍。2016年にはロシアのバレエ専門誌が主催する「踊りの魂賞」にロシア出身者以外では初めて選ばれた。


 
https://mainichi.jp/articles/20171225/k00/00m/040/103000c

日露のバレエ交流にも貢献した薄井憲二さん。そのシベリア抑留の体験については、こちらの記事で語られてます。(動画もあります)
ストーリー
薄井さんのシベリア抑留(その1) 華麗なバレエの陰に
https://mainichi.jp/articles/20161009/ddm/001/040/071000c

薄井さんの偉大な業績については、とても私などでは語りつくせませんが、バレエ界にこれほど多くの貢献をした方もいないほどでした。バレエに関する約6500点超の資料のコレクションでも知られ、所蔵する兵庫県立芸術文化センター(西宮市)が企画展などで公開しています。
薄井憲二バレエ・コレクション
http://www1.gcenter-hyogo.jp/ballet/contents/news/index.html

12月24日まで、京都の綾小路ギャラリー武にて、薄井憲二バレエ・コレクション特別展「バレエと日本趣味」が開催されていました。

2005年秋、兵庫県立芸術文化センターでのニジンスキー原振付、ミリセント・ホドソンが復元した『春の祭典』の日本初演があり、その舞台を観に行ったのですが、この舞台で薄井さんは村の長老役で舞台に立ちました。

2014年7月、六本木の国立新美術館での「魅惑のコスチューム バレエ・リュス」展の講演、そして2011年の昭和音楽大学の公開講座「日本バレエの創成期を語る―日本におけるバレエ教育の成立と変遷」で、薄井さんの貴重なお話を伺うことができました。後者については、講演内容の記録を読むことができます。90歳を越えても凛と姿勢よく、矍鑠としたお姿でした。
http://www.tosei-showa-music.ac.jp/balletresearch/work/work_h20_h24/project6.html

バレエに関する生き字引のようだった薄井憲二さん、もっとたくさんの貴重なお話を聞きたかったです。お悔やみ申し上げます。

薄井憲二さんも亡くなった (私たちは20世紀に生まれた 沼部信一さんのブログ)

http://numabe.exblog.jp/238114566/

2017/12/27

大川航矢さんがロシア「踊りの魂賞」を新星部門で受賞

今年のモスクワ国際バレエコンクールで金賞を受賞した大川航矢さんが ロシア・バレエ界の中で大変名誉ある、踊りの魂賞を新星(ライジング・スター)部門で受賞しました。

これはロシア最古のバレエ雑誌"Ballet"のボードと編集委員会が選ぶもので、第一回は1994年でした。今までに、マリナ・セミョーノワ、エカテリーナ・マキシモーワ、ウラジーミル・ワシーリエフ、ウリヤーナ・ロパートキナ、ディアナ・ヴィシニョーワ、ニコライ・ツィスカリーゼ、ニキータ・ドルグーシン、ボリス・エイフマン、ボリス・メッセレル、イルゼ・リエパ、ヴィクトリア・テリョーシキナ、ウラジーミル・シクリャーロフらが受賞してきました。日本からは、先日亡くなられた薄井憲二さん、そして岩田守弘さんが受賞しています。ご覧のように過去の受賞者はほとんどがロシア人ですし、本場ロシアに大川さんの踊りが認められたということで大きな名誉です。

大川航矢さんが所属するタタールスタン国立歌劇場のサイトに、この受賞の件が掲載されていました。

http://kazan-opera.ru/news/11765/

受賞式は2018年4月30日に、モスクワのモスクワ音楽劇場(スタニスラフスキー・ネミロヴィッチ・ダンチェンコ劇場)にて行われます。

おめでとうございます。

バレエの大川さんに「新星賞」
モスクワ国際コンクールで1位
https://this.kiji.is/318950029702497377

2017/12/25

セザール・コラレスがENBからロイヤル・バレエに移籍

今年7月のイングリッシュ・ナショナル・バレエ(ENB)の来日公演でプリンシパルに昇進したセザール・コラレスが、自身のInstagramでENBを退団することを発表しました。

今シーズン、怪我により、アクラム・カーン振付『ジゼル』出演後は舞台に立っていなかったコラレス。このコメントによれば、舞台に立っていない間に移籍を考えていたようです。1月18日と20日に、ロンドンでのENB『若者と死』に出演後、退団するとのことです。

そして、ロイヤル・バレエからは、コラレスが入団するという発表が行われました。
http://www.roh.org.uk/news/cesar-corrales-to-join-the-royal-ballet-as-a-first-soloist

2018/19シーズンの頭より、ファースト・ソリストとして入団するとのことです。10月に、芸術監督のケヴィン・オヘアにコラレスが接触して入団したいとの希望を伝えたところ、移籍が決まったとのことです。

セザール・コラレスは、キューバ生まれ。2008年カナダのナショナル・バレエスクールで学び、2010-11年にはミュージカル『ビリー・エリオット』のカナダツアーのビリー役として出演しました。2014年にYAGPのニューヨークファイナルでグランプリを受賞し、ENBに入団。2017年にはプリンシパルに昇進しました。まだ20歳の若さです。

2016年にはENBのエマージング・ダンサーコンクールで優勝し、2017年の英国ナショナル・ダンス・アワードで傑出した男性ダンサー賞を受賞するなど、飛ぶ鳥を落とす勢いの若手スターです。その輝かしいテクニックは、来日公演『海賊』のアリ役でご覧になった方も多いかと思います。高い技術だけでなく、アクラム・カーン『ジゼル』のヒラリオン役など、演技力を必要とする役も得意としています。

2017/12/22

マルセロ・ゴメスがABTを退団

NYCBの芸術監督、ピーター・マーティンスのセクハラ騒動が起こっている最中に、ABT(アメリカン・バレエ・シアター)の経営会議の議長より、プリンシパルのマルセロ・ゴメスが退団するという発表がありました。

https://www.nytimes.com/2017/12/21/arts/dance/marcelo-gomes-abt-sexual-misconduct-allegation.html

このプレスリリースによると、先週の土曜日にゴメスの8年前のsexual misconduct(性的な不正行為)が報告され、ABTは法律事務所に調査を依頼したとのことで、その調査期間中に彼は辞表を提出したそうです。当事者はゴメス以外にはABTの団員(過去、現在を問わず)はかかわっておらず、またABTでの仕事とは関係ないところで行われたとのことです。

現在のところ、それがどのような内容なのかは不明なので、なんともコメントも判断もしようがありませんが、とても悲しいことです。(この件はセクシュアル・ハラスメント、ではないことには留意しなければなりません)

ご存知の通り、マルセロ・ゴメスは、ABTのみならずバレエ界のトップスターで、世界バレエ・フェスティバルやABTの来日公演、ゲスト出演などで何回も来日しています。また、マシュー・ボーンの『白鳥の湖』に主演して東京で踊ったほか、ニューアドベンチャーズの『ザ・カーマン』『赤い靴』にもゲスト出演しています。

ブラジル出身の38歳。1997年に入団し、2002年にプリンシパルに昇進しました。今年でABT在籍20年を迎えて、それを祝う公演もありました。パリ・オペラ座バレエ学校でも学んだクラシックの技術の他、表現力、サポートの上手さ、パートナーへの気遣いでも良く知られており、ディアナ・ヴィシニョーワなど世界中のバレリーナが彼との共演を熱望していました。同性愛者であることも公表しています。

人柄の良さでも知られていただけに、この報道と退団にショックを受けた方は多いと思います。12月9日の「くるみ割り人形」の公演が、ABTでの最後のパフォーマンスとなってしまいました。

ABT、およびゴメスからの直接のコメントはありませんが、彼のスポークスパーソンは
「今はマルセロにとって自らを振り返る時期 です。彼は、家族、友人、同僚から支援を受けて感謝し力づけられています。現時点ではこれ以上のコメントはありません」と語っています。

彼を撮影したドキュメンタリー映画“Anatomy of a Male Ballet Dancer,”が完成し、いくつかの映画祭に出品されて受賞もしており、来年1月には劇場公開の予定となっています。

ワシントン・ポスト紙には、元ABTのプリンシパルで彼とよく共演し、現在はワシントン・バレエの芸術監督であるジュリー・ケントのコメントが掲載されていました。ゴメスは、ワシントン・バレエのために2018年3月に新作を振付ける予定となっています。

https://www.washingtonpost.com/entertainment/theater_dance/abt-principal-dancer-marcelo-gomes-resigns-amid-misconduct-investigation/2017/12/21/7574698e-e680-11e7-833f-155031558ff4_story.html

「私はマルセロを15歳の時から知っており、私が深く愛しいつでも応援する人であり続けます。彼の親切さ、気前の良さ、そして人間としての優しさを証言できますし、最も大切な友人であり続けます」

残念ながら、ゴメスのABTの出演予定は、ケネディセンター、メトロポリタン・オペラハウスでの公演からも消されてしまいました。長い怪我から復活したばかりのデヴィッド・ホールバーグ、来シーズンベルリン国立バレエに移籍するダニール・シムキン以外にはABTには男性スターダンサーはおらず、人気が高く女性ダンサーにも信頼されていたゴメスを失うことはABTにとっては大きな痛手です。


なお、NYCBのピーター・マーティンスのセクシュアル・ハラスメント疑惑については、性的ではない暴力の件なども含めて多くの告発が相次いでいます。しかしながら、現在のところまだマーティンスが辞任するかどうかは発表されていません。調査のために休職中の彼に代わって、現役のソリストで振付家のジャスティン・ペック、バレエ・マスターのクレイグ・ホール、レベッカ・クローン、ジョナサン・スタッフォードという4人のスタッフが芸術監督代行を務めています。辞任は避けられないとの見通しではあります。

バレエ界におけるセクシュアル・ハラスメントの事例は多いと言われており、今後もこのようなことは相次ぐことと思われます。

2017/12/20

カルロス・サウラ監督『J:ビヨンド・フラメンコ』

『血の婚礼』(’81)、『カルメン』(’83)、最近では『イベリア 魂のフラメンコ』(’05)、『フラメンコ・フラメンコ』 (’10)などで知られる巨匠カルロス・サウラ監督の最新作が、『J:ビヨンド・フラメンコ』

http://j-beyond-flamenco.com/

待望、5年ぶりの日本公開となる最新作『J:ビヨンド・フラメンコ』で描かれるのは、監督の生まれ故郷、スペインのアラゴン地方が発祥とされる「ホタ」。フラメンコのルーツのひとつである「ホタ」を通し、フラメンコのフィールドの彼方に広がる、つつましくも陽気な民俗舞踊の多彩なスタイルを紹介。その奥深い魅力に迫る、至福のダンス&音楽エンターテインメントがここに完成した。めくるめく映像美で描かれる数々のダンスシーンは、絢爛豪華なエンターテインメントショーか、あるいはアート空間か──観る者を魅惑の世界へと誘うだろう。

「ホタ」という音楽の名前は初めて聞いたけど、フラメンコのルーツであるとはいうものの、非常に洗練されていて聴きやすい音楽であり踊りへと進化していた。この映画の中では、時代とともに進化していったホタの様々なスタイルを見せてくれる。土着的なものもあれば、とても現代的なものも。ノスタルジックだけど陽気で耳馴染みのいい音楽であり、出演する歌い手たちも魂がこもっていて素晴らしい。

少年少女たちがホタの基本ステップを学ぶレッスン風景から始まり、ラストは、町の広場のシーンで人々が祭りに繰り出すところで終わる。ホタがアラゴン地方では老若男女に愛され、生活に密着している様子がうかがえる。

ダンスのスタイルとしては、フラメンコ的な足を打ち鳴らす系というよりは軽やかな足捌き、そして上半身を高く保ち腕を高い位置に置いて優雅に保つ。チェロの独奏と共演する『ボッケリーニのファンダンゴ』では、男性ダンサー(元スペイン国立バレエ団でスペイン舞踊界のスターであるバレリアーノ・パニョス)のダンスが鮮やかで、クラシックバレエ的なテクニックも駆使している。女性群舞による『タランチュラ』は照明効果も駆使してとても洗練されて美しい。さらに大スターであるサラ・バラスとミゲル・アンヘル・ベルナのペアによる踊りは、情熱的で息が止まるほど目が吸い寄せられる。『町はずれ』は現代的で、ネオクラシックのバレエのパ・ド・ドゥを観ているようだ。

カルロス・サウラ監督の、映像の魔術師のような美しい照明とスタイリッシュな切り取り方で、多様なアプローチのダンスと音楽がめくるめくように繰り広げられて飽きない。その中で異色なのは、スペイン内戦後の授業風景を再現したパートで、ルイス・ブニュエル監督が脚本を手掛けたスペイン内戦初期のドキュメンタリーを引用している。また、最初の方では、1935年の「気高いアラゴン人の娘」というモノクロ映画のシーンも引用されていてホタの歴史をうかがい知ることができる。

フラメンコ界のトップダンサーも出演しているこの映画、フラメンコやスペイン音楽のみならず、音楽やダンスが好きな人だったら至福の時間を送ることができるだろう。めくるめく映像美、人々の日々の営み、喜びや悲しみと寄り添ってきたホタの心躍るリズムとメロディに酔いしれ、いくつもの舞台を観たような気になる贅沢な90分間だった。


監督 カルロス・サウラ
キャスト サラ・バラス/カニサレス/カルロス・ヌニェス/ミゲル・アンヘル・ベルナ
作品情報 2016年/スペイン/90分
受賞ノミネー ト第41回トロント国際映画祭 マスターズ部門正式出品
配給 レスペ

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ドキュメンタリー映画

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彩の国さいたま芸術劇場にて、ジェローム・ベル 『Galaーガラ』

先鋭的活動で国際的に知られるフランス振付家ジェローム・ベル。各地で反響を呼んでいる『Galaーガラ』が日本初上陸します。

http://www.saf.or.jp/stages/detail/4148

『Galaーガラ』は、世界50都市以上で反響を呼んだダンスの祭典で、今回は埼玉版のキャストで日本初登場します。
アマチュアからプロまで、様々な性別、年齢、身体の参加者で構成される本作で、舞台上に新たな共存の可能性を探ります。

埼玉版のキャストには、ベッシー賞にノミネートされ、先日彩の国さいたま芸術劇場でも上演された『大野一雄について』の川口隆夫さん、NBAバレエ団のプリンシパル竹田仁美さん、同じくNBAバレエ団の新井悠汰さん、コンテンポラリーダンスの入手杏奈さん、コンドルズのオクダサトシさんなど、ユニークな顔ぶれとなりました。

“ダンス”という表現ジャンルに批評的な眼差しを投げかけ、世界のダンス界で賞賛と論争を巻き起こしてきた「異才」ジェローム・ベル

2011 年『ザ・ショー・マスト・ゴー・オン』(2001 年初演)で彩の国さいたま芸術劇場に初登場したジェローム・ベルは、同作で先鋭的なダンスやパフォーマンスに贈られるベッシー賞(ニューヨーク・ダンス・アンド・パフォーマンス・アワード)を受賞しました。パリ・オペラ座バレエでも、『ヴェロニク・ドワノー』、そしてバンジャマン・ペッシュの引退公演で上演された『Tombe』を振付けています。

6年ぶりの埼玉公演で登場するのは『Gala-ガラ』。
これまで 50 都市以上で上演されてきた本作の出演者は、それぞれの開催都市でキャスティングされた 20 名の老若男女。プロのバレエダンサー、コンテンポラリーダンサー、俳優に加えて、6歳~75歳のダンスや芝居とは全く
縁の無いアマチュアまで、年齢、職業、国籍など多種多様なバックグラウンドをもつメンバーにより展開します。

出演者一人ひとりのありのままの個性が輝くこの「無差別ダンス」は、美的な多様性を喚起するだけでなく、踊りたいという欲求を舞台上で共有しながらも、皆が自分自身の役割を果たすことで一つの共同体を成立させるのです。それは観る人の想像を超え、世界の観客を魅了してきました。

今回は埼玉版キャストでお届けします。
誰もがその技術を問われず踊ることの純粋な喜びを取り戻し、舞台上に新たな共存の可能性を探る試み。
世界各地で絶賛を浴びている『Gala-ガラ』、埼玉版キャストはどう魅せてくれるのか。満を持して日本初登場です。


ジェローム・ベル『Gala-ガラ』

(上演時間:約 90 分・途中休憩なし)

構想・演出:ジェローム・ベル
演出助手:マキシム・クルヴェルス、シモーヌ・トゥロング

出演:埼玉版キャスト/相澤陽太 新井悠汰 入手杏奈 梅村千春 Elhadji Ba 大北岬 オクダサトシ
金子紗采 川口隆夫 木下 栞 佐々木あゆみ 竹田仁美 BIBIY GERODELLE 百元夏繪 星 遙輝
堀口旬一朗 吉田駿太朗 吉村計 李 昊 他(50 音順)

衣裳:キャスト私物

共同製作:ダンス・アンブレラ(ロンドン)、シンガポール・シアターワークス/72-13、クンステン・フェスティバル・
デザール(ブリュッセル)、タンツクォーター・ウィーン、ナンテール・アマンディエ国立劇場、パリ・フェス
ティバル・ドートンヌ、ベネチア・ビエンナーレ・ファウンデーション、パリ市立劇場、HAU 劇場(ベルリン)、
BIT 劇場(ベルゲン)、オーベールヴィリエ国立演劇センター、タンツハウス nrw(デュッセルドルフ)
製作:R. B. ジェローム・ベル(パリ)

世界初演:2015 年 5 月 クンステン・フェスティバル・デザール(ベルギー)

●公演日時・会場
2018 年 1 月 20 日(土)15:00 開演
         21 日(日)15:00 開演
(開場は開演の 30 分前)

彩の国さいたま芸術劇場 大ホール

●チケット(税込・全席指定・前売):
一般 S 席 4,000 円、A 席 3,000 円 U-25*S 席 2,500 円、A 席 1,500 円
メンバーズ:S 席 3,600 円、A 席 2,700 円(メンバーズ料金は SAF チケットセンターでのみ取扱い)
※当日券は各券種+500 円
●発売 10月28日(土) SAF メンバーズ10月21日(土)

●チケット取扱い・お問い合わせ:
SAF チケットセンター 0570-064-939 (休館日を除く 10:00~19:00)
〔窓口〕彩の国さいたま芸術劇場(休館日を除く 10:00~19:00)
埼玉会館(休館日を除く 10:00~19:00)
〔PC〕http://www.saf.or.jp/
〔Mobile〕http://www.saf.or.jp/mobile/
◎チケットぴあ 0570-02-9999 【P コード:482-113】
http://pia.jp/t/(PC&携帯)
◎イープラス http://eplus.jp/(PC&携帯)
主催・企画・制作:公益財団法人埼玉県芸術文化振興財団
助成:平成 29 年度文化庁劇場・音楽堂等活性化事業
後援:在日フランス大使館/アンスティテュフランセ日本

ジェローム・ベル インタビュー記事 下記P6,7
http://saf.or.jp/press/2017/072/

2017/12/15

川井郁子さん「LUNA~千年の恋がたり~」2/23公演に、ファルフ・ルジマトフが出演

ヴァイオリニストの川井郁子さんは、アルバム「LUNA」のリリース(11月1日発売)に続き、2018年1月13日より、コンサートツアー「LUNA~千年の恋がたり~」を行います。

http://www.ikukokawai.com/tour_2018luna/

コンサートのうち、2月23日にBunkamuraオーチャードホールで開催される公演には、スペシャル・ゲストとしてファルフ・ルジマトフが出演します。記者会見が開催されました。

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川井郁子さんは、2010年にルジマトフと「COLD SLEEP」(新国立劇場中劇場で上演)で初共演しました。これは鈴木勝秀さんの演出、岩田守弘さんでした。川井さんはヴァイオリンを演奏するだけでなく、ルジマトフと組んでのドラマティックで濃厚な演技も見せました。実際にこの舞台を私も観ていて圧倒されました。話題を呼んだこの作品は、映像化されて映画館でも公開、DVDも発売されました。

会見の中で、川井さんはルジマトフとの出会いについて語りました。

「初めて彼を知ったのは『シェヘラザード』。オリエンタルでエキゾチックな彼の金の奴隷には一目でファンになりました。「いつか私は必ずこの人と共演する」と思い続け、10年後に「COLD SLEEP」で初共演が実現しました。また、やはり岩田守弘さんがルジマトフに振付けた『阿修羅』にも感動しました。神々しさと官能の両方を持ち合わせた、阿修羅そのものの彼に圧倒されたので、今回の「LUNA~千年の恋がたり~」のオリエンタルな世界観にも彼はぴったりだと確信しています」

「LUNA~千年の恋がたり~」は3部形式で、そのうちの一つが、「源氏物語」をベースにした、林真理子氏の原作を基にした『源氏がたり』の上演となります。ここでは、川井さんは演奏しつつ、林真理子さんの文章の一説をナレーションしながら弾き語るとのこと。そしてルジマトフは、月の神の存在を表現する象徴的な役として登場し、月と踊るとのこと。今回も振付は岩田守弘さんですが、トータルの演出は川井さんが担当するそうです。

また、フィギュアスケーターの羽生結弦選手が長年使用している川井さん作曲の「ホワイト・レジェンド」でも、ルジマトフは踊る予定です。

今回の公演では、日本の情景を多彩な楽器を使って再現。この世界観をビジュアル的に感じられるように構想したとのこと。和太鼓奏者が4人出演し、ストリングスとコラボレーションします。とりわけ、和太鼓集団の鼓童出身で、シディ・ラルビ・シェルカウイの「Babel –words」や「Pluto」、さらに森山未來、エラホチルド「Judas,Christ with Soy」にも参加している吉井盛悟さんの存在が大きく、多くのアイディアも提供され、なくてはならないパートナーだったとのことです。

このほか、ミシェル・クワンが使用した「恋のアランフェス~レッド・ヴァイオリン」、荒川静香さんが使用している「夕顔~源氏物語より」なども演奏されます。3分の1は川井さん自身の作曲による曲で、彼女の才人ぶりがうかがえます。

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ファルフ・ルジマトフ、岩田守弘、吉井盛悟という一流のアーティストを迎え、川井郁子さんがどのような情熱的で繊細な世界を表現するのか、とても楽しみな公演です。

2018年2月23日(金)
東京 Bunkamura オーチャードホール開場/18:15 開演/19:00
チケット発売日:12月2日(土)
料金:S席 8,500円 A席 6,500円
お問い合わせ:キョードー東京 0570-550-799
(平日/11:00〜18:00 土日祝/10:00〜18:00)

http://www.bunkamura.co.jp/orchard/lineup/kashi/20180223.html

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2017/12/13

マニュエル・ルグリが2020年にウィーン国立バレエ芸術監督を退任

ウィーン国立バレエの芸術監督を2010年から務めているマニュエル・ルグリは、現在の契約期間が切れる2020年で退任することが発表されました。

https://kurier.at/kultur/staatsballett-manuel-legris-hoert-2020-auf/301.756.139

ルグリは、自身のInstagramでも任期を延長しないことについて、声明を発表しています。

「ここ数か月の間、今後のカンパニーとの関係の将来について多く考えてきました。いずれにしても、関係者にとって必要な準備ができるように十分な時間を与えるために、早急に結論を出す必要だったことが明らかでした。私の人生の新しい章を始めるためには2020年は良い区切りであると信じているし、ウィーン国立歌劇場でのリーダーシップの変更を反映するカンパニーにとっても、新しい出発点となるにはいいタイミングだと思います。」

ルグリは2015年10月に、2020年8月末まで任期を延長する契約を結びました。

「パリ・オペラ座で引退をした直後の2010年に、ウィーン国立バレエで芸術監督の仕事をオファーされたことを深く感謝しています。この仕事に就いた1日目から、完全に新しくて責任のとても重いこの仕事を非常に重要なものととらえ、”私のカンパニー”にすべてのエネルギーと集中力を注いできました。今までの7年間のイベントに満ちて実り多い年月を振り返ると、喜びと幸福さに満たされています。現時点までにおいてこんなにも多くのことを達成し、「今日、ウィーン国立バレエはオーストリア、ウィーンだけでなく、国際的にも高い評価を獲得した」といえると信じています。私のウィーン国立バレエとの旅路はまだまだ終わりません。まだ丸ごと3つのシーズンが残っており、たくさんの素晴らしく意欲的なプロジェクトがあり、私は自分のすべてを与えるつもりです」

「この機会に、現在のウィーン国立歌劇場の総裁であるドミニク・マイヤーに深い感謝の意を伝えたいと思います。彼が私をバレエ監督に任命してくれ、彼がいなければ、このバレエ団との素晴らしい冒険は実現できませんでした。彼の継続的な支援をいつも感じてきました。彼は継続的にカンパニーを、劇場のうちでも外でも支援してくれました。また、次期ウィーン国立歌劇場の総裁Bogdan Roščićが私を信任してくれたことにも感謝します。私は、彼にこのカンパニーがどれほどの意味を持っているかを強調してきて、彼は、私の後任探しと、マネジメントの引継ぎにおいて私の全面の信任を得ています」


ルグリは、ハンブルグ・バレエでのヌレエフ版「ドン・キホーテ」のカンパニー初演の振付指導を行っていました。ファーストキャストは菅井円加さんとアレクサンドル・トルシュです。


2020年はまだ先ではありますが、果たしてルグリは次はどうするのでしょうか、とても気になります。

2017/12/12

ハーグ王立音楽院、ヤン・リンケンス校長インタビュー(海外でプロを目指す方はぜひご一読を)

先日のハーグ王立音楽院、ヤン・リンケンス校長ワークショップレポートに引き続き、インタビューをさせていただいたので掲載します。ワークショップ主催のS&H留学センターさん、ありがとうございます。

ハーグ王立音楽院 バチェラープログラム

海外で、特にヨーロッパでプロのバレエダンサーを目指す方は、ぜひご一読いただけると、参考になるかと思います。プロのダンサーになる道は厳しいですが、この学校は非常に恵まれた環境で、しっかりとした指導を受けられるところです。また、リンケンス先生の人格者ぶりも伝わってくるかと思います。

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今回のワークショップの指導はいかがでしたか?

今回の生徒たちが私の教えに対して見せた反応はとても素晴らしかったです。彼らが、熱心に稽古し、学び取ろうとしている姿を観ることができたのは嬉しかったです。情報を得ることに対して貪欲であることも見て取れました。
16歳から18歳くらいになった時に、健康的に、しっかりと脚で立てている一方で、同時にクラシックバレエの難しい技術もきちんとこなすことができることが欠けていることが多いです。あなたには無理です、と教師が教え子に言うことも時には必要となりますが、生徒にこんなことを言えるのは、プロを養成するための学校だからこそです。この年代になってくると、身体的に問題が起きて踊れなくなってしまう人も出てきてしまいます。私立のバレエ学校だと、授業料を払ってもらえるのでそのような生徒を辞めさせることはしません。そうすると、身体に問題が起きて踊れないのにプロになれるという期待を抱いたままの生徒ばかりになってしまいます。

日本の生徒さんで心配なのは、皆さん真面目で熱心なので間違ったやり方で無理をした稽古をし過ぎて、身体に問題を起こしてしまう人が多いのです。教師は、バレエの訓練をするのに適した身体を持った生徒を見抜く力を持たなければなりません。

持って生まれた身体は人それぞれであり、生まれつきターンアウトしている人もいれば、残念ながらバレエに向いていない身体に生まれついた人も少なくありません。毎年、300人の子どもたちがこの学校を受験しに来ますが、合格するのは10人だけです。しかもその10人のうちプロのダンサーになれるのは一人しかいないかもしれないのです。バレエに向いた身体の持ち主であるとともに、高いモチベーションを持ち、規律正しく、音楽性も持ち合わせているといった重要な要素を持つ生徒が選ばれます。プロになるための競争は非常に厳しいですから。

この学校では毎年試験を行い、必ず退学になる生徒が出てきます。進歩していない生徒は退学になります。生徒の親にとってもこれはとても失望することです。今までプロのダンサーになれることを期待して子供に投資もしてきたわけですから。生徒たちは守られた恵まれた環境で、好きなダンスに打ち込んで幸せに生活をしているのに、あなたには見込みがありませんから退学してもらいます、と言わなくてはならないのです。

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ここではバレエ以外の学科の授業も行うので、進路変更することもできますね。

私達の学校は、バレエだけでなく一般的な学校の教科も教えています。すべてが一つの建物の中にあります。子供たちは学科の授業を受けた後で着替えてそのままバレエのクラスを受けることができます。外に出かける必要はありません。たとえば作品のリハーサルをするために生徒が必要な時には、学科の教師に、生徒がリハーサルに参加するので授業に出られません、といえば、その授業を別の時間に振り替えてくれます。学科の授業とバレエの授業を同じ組織で行っているからできることです。

公演があるときには、学校は学科の授業を調整してくれます。生徒たちにとってバレエを学びつつ学科も勉強し宿題をこなすことがどれくらい大変であるかを理解しています。単位を取って進級できるように、一対一の授業なども行ってくれます。子供たちがプロのダンサーになりたいからこの学校に来ていることもわかっています。特別なカリキュラムでありシステムです。

この学校では、バレエだけでなく音楽科もありますよね。

バレエ、音楽、そしてヴィジュアルアーツの学科もあって同じ建物の中にあります。バレエの生徒たちにも音楽の授業はありますし、学校公演のほとんどは、音楽科の生徒たちの生演奏で行われています。公演のレパートリーを選ぶ際には、音楽科の生徒たちが演奏できる音楽の作品を上演するようにしています。音楽性も非常に重要なので、生演奏で公演ができることを重視しているのです。今回のワークショップで学んだファン・マネンの作品は、メンデルスゾーンのピアノ曲ですが、音楽科の生徒がピアノを弾きます。またイリ・キリアンの作品は合唱曲なのでやはり音楽科の生徒たちが歌ってくれました。私達は学科間で大きなコラボレーションをしています。「白鳥の湖」を上演するときには、学生たちの大きなオーケストラの演奏で行います。合同での公演なのでリハーサルなどの準備は大変です。

ヴィジュアルアーツの部門とも一緒にやりますが、彼らはまたちょっと違うのでさらに大変です。バレエと音楽の生徒は規律正しいですが、ヴィジュアルアーツの生徒はそうではなくて、クリエイティブでアイディアであふれているからです。だから一緒にやるとなるともっと複雑な準備が必要となります。

NDT(ネザーランド・ダンス・シアター)との強力なコラボレーションを行うことができるのがこの学校の魅力ですね。

はい、私たちはその点でとても幸運です。今の時代においては、カンパニーと共に協働する学校が増えてきました。なぜならば、学生たちが自分たちの目標とするダンサー、カンパニーを見ることができるからです。ロールモデル、お手本を日常的に見ることができます。生徒たちにとって、プロのダンサーを見て、プロの公演を観ることは非常に重要です。

NDTとコラボレーションもしていますが、これは私たちのカリキュラムの一部にすぎません。というのは、この学校はモダンも学びますが、クラシックバレエも学ぶからです。古典もモダンと同じくらい重要です。NDTのレパートリーはコンテンポラリーですが、ダンサーはすべてバレエを学んできた人です。ハンス・ファン=マネンもイリ・キリアンも、クラシックバレエのアカデミックなラインを使った作品を創っています。彼らは学校にもやってきて生徒を教えてくれるのです。素晴らしいことでしょう。幸運なのは、彼らもデン・ハーグに住んでいるので頻繁に来てくれることです。キリアンなんて学校の角を曲がったところに住んでいますよ。

時々、このことを生徒たちがこの恵まれた環境を理解しているのかな、と思うことがあります。日常的にキリアンが授業にやってくるので、それがどんなに特別なことなのかわかっているのかな、と。なので、それがどんなに素晴らしいことなのかを生徒たちによく説明しています。

残念ながら日本では、コンテンポラリーの作品を学ぶ機会が少なく、このようなワークショップはとても珍しい機会です。

ヨーロッパでプロのダンサーになるには、コンテンポラリー作品を踊ることができるのは必須条件です。クラシックのヴァリエーションだけ踊ることができても、プロのダンサーにはなれません。クラシックのヴァリエーションを踊ることができるのは、カンパニーの中でも最高のダンサーだけです。最初はコール・ド・バレエで出発してずっとコール・ド・バレエを踊り、そしてその中で抜きんでた場合にはヴァリエーションを踊れるようになります。その逆はあり得ません。なので、コンテンポラリー作品のレパートリーを学ぶことはとても重要なのです。そのためにはコンテンポラリーのレパートリーを教えることができる教師が必要となります。

日本の学生は、古典は優れていてもコンテンポラリー作品は得意ではない人が多いわけですが。

学ぶ機会がなければそうなってしまいますよね。でもきちんと学べば身につきます。2年前まで全くコンテンポラリーを踊ったことがない日本人の生徒たちが、今はこの学校でキリアンやファン=マネンを上手に踊っています。信じがたいほどの早さでコンテンポラリーに習熟しました。素晴らしいことです。つまりは慣れることが大事だということです。やらなければ上手くなりようがありません。

コンテンポラリーの経験がなくてこの学校に入っても、遅すぎるということはないのでしょうか?

バチェラープログラムに入学する時にコンテンポラリーの経験がなくても大丈夫です。クラシックのしっかりとした技術を持っていれば、それ以外のことに集中できるので、コンテンポラリーを学ぶことができるからです。朝から晩まで2年間の集中的なプログラムですから。(注:とはいっても、今回のワークショップを兼ねたオーディションを見ても、コンテンポラリーに対するセンスを持ち合わせている子の方が、オーディションで選ばれる確率は上がると感じました)

最大の問題は、コンテンポラリーを学ぶ機会がないということではありません。古典以外のものに心を開くことができなければ、それは大きな問題となってしまいます。古典のヴァリエーションだけをやればいいと洗脳されている人が多いのです。そういう意識を捨て去らなければなりません。この学校に来るほとんどの生徒は、このように洗脳されてしまっているんです。子どものころから古典のヴァリエーションが大事だと叩き込まれていて、これを上手く踊ることができれば最高のダンサーであると思いこまされています。ほかのことは大事ではないと思うようになります。

でも、プロになれたとしても、古典のヴァリエーションを舞台で踊る機会は一生ないかもしれません。「白鳥の湖」や「ジゼル」の2幕のコール・ド・バレエは、ほとんどの女性ダンサーが踊る機会があるでしょうし、それこそが学ばなければならないことなのです。多くのダンサーにとっては、群舞を踊ることが仕事であり、ヴァリエーションを踊ることではないのです。

もちろん、学校でもヴァリエーションは学びますし、試験ではヴァリエーションの試験はあります。また、コンテンポラリーのソロも試験で踊ります。さらに創作も行い、音楽も自分で選ばなければなりません。振付もしなければなりません。クラシックとコンテンポラリーのバランスが取れた学習をします。

日本ではコンクールが非常に盛んです。ハーグ王立音楽院は、ローザンヌ国際バレエコンクールと提携していますが、コンクールについてはどうお考えですか?

ローザンヌ国際バレエコンクールは素晴らしいコンクールです。なぜならば、このコンクールではメダルを取ることは重要なことではないからです。
このコンクールは、1週間の間世界中から学生が集まり、素晴らしい教師に学ぶことが主旨です。学生たちがお互いを良く見て、お互いから学ぶというものです。勝つことではなくて、経験を積むことが目的のコンクールです。ここで賞を得るというのは、メダルをもらって飾るということではなくて、バレエ学校で1年間のスカラシップを獲得できるということで、これは素晴らしいことです。またローザンヌは、学生たちを非常によくサポートしています。審査も、ピルエットの数や脚をどれだけ高く上げるかということではなく、スタイルや音楽性、踊りのクオリティを重視しています。ローザンヌ国際バレエコンクールは、コンクールの良い例です。

経験を得るためにコンクールに参加することは良いことです。メダルを取るためにコンクールに参加するのなら、スポーツをやった方がいいでしょう。芸術性というのは審査できないものです。たくさん回れるから優れているのではなくて、他の人と違ったクオリティを持っているから優れているのです。音楽性に秀でていたり、役に合ったスタイルで踊れるから、優れているのです。このような要素が、ダンサーを特別な存在にしているのです。回転の数といったものはツールにすぎません。

クラシックバレエは、言語なのです。この言語を使って話さなければなりません。そして話すには、どのように話せばいいのかを知らなければなりません。言葉を知っているだけでは十分ではありません。クラシックバレエで難しいことは、この言語を身につけるのに非常に長い時間がかかってしまうことです。言葉をよく知ることができたころには、もう引退する年齢になってしまっています。その頃には身体は衰え始めてしまうのです。これがクラシックバレエダンサーの悲劇です。

バレエは難しいし、習熟するには長い年月が必要です。やらなければならないことがたくさんあります。毎日プリエをしなければなりません。ほかのダンスのジャンルでは、6週間も学べば、もう踊ることができるようになったりします。バレエでは6週間学んだくらいでは何もできません。10年かかります。10年続けてもいいダンサーになれる保証は全くありません。長い道のりですし、本当に好きでなければ続けられません。たくさんの若い生徒たちが、踊ることは大好きだけど、毎日バーレッスンをしなければならず、そのバーレッスンを退屈だと感じてしまって辞めてしまいます。同じことを何回も何回も繰り返さなければなりません。退屈に思えてしまうようなことも好きでなければ続けられません。誰もができることではありません。

この学校の教育で一番重視していることは?

生徒が自分の身体について学ぶことが一番大事だと考えています。様々なダンスのスタイルの中で、身体がどのように機能するのかを理解しなければなりません。そして振付家のパートナーであることを学ばなければなりません。20年~30年前の振付家なら、「これがこの作品のステップなのでその通りに踊ってください」と言っていたでしょう。それは過去のこととなりました。

現代の振付家はダンサーに、「これが私のアイディアです。だからステップはあなたが考えてください」と言います。ダンサーがクリエイションに参加することになりますが、そのためにはダンサー自身がクリエイティブでなければなりません。アイディアをもたらすことを恐れてはいけません。そして振付家のアイディアとは何なのかも理解できなければなりません。振付のプロセスの中でパートナーとして機能しなければならないのです。それは若いダンサーにとってはとても難しいことです。

かつてはダンサーは一つのカンパニーに20年間在籍し、ゆっくりと一つ一つの役柄を学んでいきました。しかし今はものすごい速さで変化しています。2,3年でカンパニーを替わるダンサーも多い。振付家も経験が豊富で素早く呑みこんでくれるダンサーを求めています。そのためには、振付家と一緒に働くことが特に重要となっています。だから、私はこの学校の中でカンパニーを設立しました。このプロセスを学ぶことができるように。

学校内のカンパニーも年間30公演行うんですよね?

はい、だからいろんな準備が必要で大変です。素晴らしい経験を生徒たちは積むことができます。オランダ国内のツアーも行っていますが、2月には日本でも公演をしますよ(オーチャード・バレエ・ガラ~世界名門バレエ学校の饗宴~)。オーチャードホールで開催され、熊川哲也さんがプロデュースしています。8人の生徒を連れて行きます。今回のワークショップで学んだハンス・ファン=マネン振付の「Songs without Words」とイリ・キリアンの作品を踊ります。

去年は私たちは、カナダのナショナルバレエスクールで、21ものバレエ学校が集まっての公演を行いました。生徒たちにとっては信じられないほどのいい経験となりました。芸術監督直々の教えを受け、8つのスタジオで毎日違ったグループでレッスンを受けるのです。

オランダ特有の流派というものはあるのでしょうか?

ダッチ・スクールと呼ばれる流派はあります。ハンス・ファン=マネンの作品に観られるように、とてもベーシックです。身体があり、そして踊りがあって装飾はあまりありません。純粋で直接的です。動きを細かくコントロールすることができます。音楽にピッタリ合っています。なので音楽から外れてしまうと、観客もそれが間違っているのがわかってしまいます。これが典型的なオランダ式のスタイルです。ファン=マネンだけでなく、ニルス・クリスティやイリ・キリアンの作品でもそうなのです。私自身も振付家であるし、このように振付をする振付家は多いのです。

オランダという国には多くの振付家が住んでいます。このような環境にいると多くのインスピレーションを得ることができます。振付家同士が交流したりお互いの作品を観るわけですから。また、政府や公共からの支援も大きいということが、これだけの振付家が活動できる理由の一つです。オランダの人々はダンスが大好きですし、政府も、芸術が発展できて、海外に向けてオランダのアイデンティティを示すことができると考えています。振付家たちは、その芸術を発展させることができる空間を与えられています。こんなに小さな国なのに素晴らしい環境を与えられていますし、ダンス界における強い声を得られています。

第二次世界大戦でオランダはすべてを失いました。一からすべてを作り上げなければならなかったのです。そしてだからこそ、新しいものを作り出すことができたのかもしれません。オランダ国立バレエも、この学校も1961年に創立されました。もちろんオランダ国立バレエには、この学校の卒業生はたくさんいます。ただ、今は本当に優秀な若手ダンサーが世界中にいるので、カンパニーは本当に最高のダンサーだけを入団させています。だから、最高ではないダンサーにとっては職を見つけるのが難しくなっています。バレエ学校を卒業しても全員がダンサーになれるわけではないのです。

そんな厳しい中でも、この学校の卒業生はみなカンパニーに入団できているんですね。

当校は、オランダのカンパニーだけに集中しているわけではありません。ドイツ、スペイン、米国といった国のカンパニーのオーディションを受けて、入団を果たしています。オランダ流は幅広く、そしてキリアン、ファン=マネンの作品は世界中のカンパニーで踊られているからです。

たとえばモンテカルロ・バレエはキリアン作品だけの公演を行っています。先週彼らはオランダにリハーサルしにやってきました。ボリショイ・バレエでもキリアンを踊っていますし、ブダペストのハンガリー国立バレエは、ハンス・ファン=マネン作品の夕べを二日前に上演しました。2月にはノルウェー国立バレエがオール・キリアン・プログラムを上演しています。私たちの生徒はすでにキリアンやファン=マネンの作品を知っているので、強みがあります。

オランダでのダンサーの待遇は良いです。給料も良くて12か月しっかり出ますし、それは政府が支援してくれているからです。オランダではアートに対しては政府だけがお金を出していて民間の資金は入っていません。

学費についてはどうなっていますか?

この学校においては、バレエの授業のみ授業料を払うことになっていて、学科の学費については無料です。バレエのクラスの学費は、ヨーロッパ出身者なら年間2千ユーロ、外国人は年間4800ユーロです。たとえばロイヤル・バレエスクールは年間2万ポンドですから、比較するとかなり安いです。誰もが学費を払えることがとても重要だと考えているからです。才能のある子の家にお金がない場合には、奨学金など学費を援助してくれる特別の機関もあります。最も重要なのはお金ではなく才能だと考えているからです。

外国の方たちは、私たちの学校がこのように才能があればお金は必要ないと考えていることは知らないと思います。学費が高いと思われていますが、実際には全く高くありません。家賃や食費、健康保険はもちろんかかりますし、学費よりも高いと思います。この費用でこれだけの教育を受けられるのは贅沢なことだと思いますよ。オランダの唯一の問題はお天気が悪いことです。でもデン・ハーグにはビーチがあるのでお天気が良ければビーチに行けます。デン・ハーグは大きな街ではありませんので、どこにでもすぐ行けます。

そして校舎も新築されて、アート・コンプレックス(複合施設)になるんですね。

はい、6階建てのコンプレックスとなり、3つの劇場が配置されます。学校は最上階に位置します。バレエ部門、音楽部門、そして学科のための教室もすべて一つの建物の中にあります。そして同じ建物の中にNDTも入居しています。ダンサーと生徒がとても近いところにいられるので、お互いを良く見て、リハーサルなども見て学ぶことができるわけです。まだ建設は始まったばかりで、完成するのに3年はかかりますがとても楽しみにしています。新校舎は、デン・ハーグの中心地に位置しています。

寮はあるのでしょうか?

いいえ。オランダでは、子どもを学生寮に送り込むという伝統がないからです。オランダの親はそのような考え方を好みません。遠いところからやってきた生徒たちは、ホームステイをします。平日はフォスターファミリーと過ごし、週末に家に帰って家族と過ごすわけです。または、電車で長い距離を通学する生徒もいます。朝6時に起きて1時間かけて学校に通い、授業を受け、バレエのクラスやリハーサルを受け、そして夜帰るのです。大変そうですが、みんなそれに慣れていきます。


日本の学生へのアドバイスはありますか?

まず、踊ることを楽しんでほしいと思います。そして教師に依存しすぎないようにしてほしいのです。先生の言いなりになっているだけではなく、自分の人生の決断は自分で下さなければなりません。日本では目上の人は尊敬すべきという文化がありますので、それが難しいのはわかりますし美しい伝統だと思います。日本にいる間は、先生の助けがあるからこそできることも多いのですが、ヨーロッパに留学すれば、自分で決断をしなければなりません。先生の言うとおりに従うのではなく。もちろん、私たちは生徒を助けるためにいます。でも、結局本人が動かなければどうにもなりません。教師や親などに依存しすぎるのは良くないことです。

教師の言うことがすべて正しいと信じてしまう生徒が多いのですが、必ずしもそうとは限りません。教師によって、自分の生徒をどうしたいのかというのが異なっています。良いキャリアを積むために教える教師もいれば、単にコンクールで賞が取れるように教える教師もいます。良いキャリアを与えるためには、教師は生徒をよく見て、どんな可能性を秘めているのかじっくりと探ります。メダルを取るためには、コンクールで勝てる踊りを教えないと、取れません。

私の教え子の中には、プロになってもクラシックのヴァリエーションを踊る機会は得られないだろうという生徒もいます。もちろん、クラシックのヴァリエーションは試験に出るので練習はします。でも試験が終わって卒業したら、クラシックのヴァリエーションを踊る必要のないカンパニーに彼らは入団します。コンテンポラリーは得意な生徒だからです。つまり私たちは生徒をよく見て、彼らの適性に応じたやり方で彼らを教え、キャリアに備えさせます。コンテンポラリーの得意な生徒にクラシックのヴァリエーションばかりを躍らせたら、せっかくの身体も役に立ちません。

私たちのやり方は、生徒たちにコンクールでメダルを取らせるのではなく、その生徒に適したカンパニーに入団できるように訓練することです。別にコンクールそのものや、メダルを獲ることに反対しているわけではありません。でもそのことだけに集中してしまうと、間違った方向に行ってしまいます。メダルを獲った後で、目的を達成したのでやる気を失う子もいます。メダルを獲った教え子が5人います、ではなくて優れたプロのカンパニーに入団して活躍している教え子が5人います、ということの方が誇らしいのです。それがこの学校の目的です。

才能を見抜くこと、その才能が最も発揮される方向に導くことがとても大事だと私は考えています。その才能がクラシック・バレエに向いていなければ、指導者は正直になって、「あなたはクラシック・バレエのダンサーにはなれませんが、思い詰めないでください。違った道を進むべきです」と言わなければなりません。それはつらいことです。でも人生は続いていくのです。

とても優秀だけどコンテンポラリーが苦手な日本人の女子生徒がいました。そのため、どこにも入団できませんでした。1年半就職活動をしたのち、「もうやめて日本に帰ってホテルの専門学校に入ります」と私に言いました。「もう10年も踊りつづけましたよね。日本からはるばるオランダまで来て。今あきらめるべきではありません。入団できるカンパニーを見つけるべきです」つまり、それは数え切れないほどのオーディションを受けなければならないということです。何回も落とされると、心が折れる生徒もいます。「背が低い、太すぎる」などと言われたりします。それでもプロになりたいなら頑張らないといけません。結局この生徒は、ブカレストのバレエ団に入団して活躍しています。でもそこに至るまで私は何回も彼女にアドバイスを与えました。それまでに何回も何回もオーディションに落ち続けたからです。

生徒たちがカンパニーに就職できるようにたくさんのサポートを与えているんですね。

もちろん、生徒たちが自分のことをよく知ることが一番大切ですが、正しい方向に導き、キャリアを得ることができるようにできる限りのサポートをするようにしています。履歴書の書き方を指導したりもしています。生徒たちは履歴書を書くだけでなく、自分たちが何をやりたいのか、どういう方向に進みたいのかを書かなければなりません。今までの学習の自己評価なども書かせます。

英語ができることがとても重要になってきます。作文をたくさん書かなければならないからです。オーディションでも、このソロを踊るに際してのインスピレーションは何ですか?と聞かれるので、しっかりと答えられなければなりません。音楽、と答えるだけではなく、作品についてのストーリーが書けなければなりません。ダンサーになるためには、英語ができることは必須であり、英語を勉強することはダンサーになるための投資ともいえます。ほとんどのカンパニーでの共通言語は英語ですから大事なことです。


いかがでしたか?これからプロを目指す方にとっては、とても有用なアドバイスなのではないかと思います。とても熱く、真摯に語ってくださいました。生徒の将来を真剣に考えている、あたたかいお人柄が感じられました。


S&H留学センターのワークショップとオーディション

http://shballet.jp/audition_info.html

【12月27日(水)~29日(金)】
国立ミュンヘン音楽舞台芸術大学バレエアカデミー
(ミュンヘン州立バレエ学校)
ワークショップ&オーディション

【2018年1月27日・28日】
ロシア国立ノヴォシビルスク・バレエ学校
   アレクサンドル・シェレーモフ副学長 来日
    ワークショップ&オーディション

【2018年2月23日・24日・25日】
スイス国立チューリッヒ芸術大学 タンツ・アカデミー・
    オリバー・マッツ芸術監督 来日 (オリバー・マッツは2018年のローザンヌ国際バレエコンクールの審査員です)
    ワークショップ&オーディション

【2018年4月4日(水)】
元ベルリン国立バレエ団 芸術監督
ウラジミール・マラーホフ 来日 ワークショップ



熊川哲也オーチャードホール芸術監督 特別企画
オーチャード・バレエ・ガラ ~世界名門バレエ学校の饗宴~

http://www.bunkamura.co.jp/orchard/lineup/18_balletgala.html

2018/2/11(日・祝)13:00開演
2018/2/12(月・休)13:00開演

ロシア:ワガノワ・バレエ・アカデミー (校長:ニコライ・ツィスカリーゼ)
 『フローラの目覚め』より“パ・ド・カトル”
 振付:マリウス・プティパ 音楽:R.ドリゴ
 『人形の精』より“パ・ド・トロワ”
 振付:S.レガート/N.レガート(改訂:ニコライ・ツィスカリーゼ) 音楽:R.ドリゴ

ドイツ:ハンブルク・バレエ学校 (校長:ジョン・ノイマイヤー)
 『バッハ組曲2』より
 振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:J.S.バッハ

オーストリア:ウィーン国立歌劇場バレエ学校 (校長:マニュエル・ルグリ)
 『プルチネッラ』
 振付:ベッラ・ラチンスカヤ 音楽:G.ヴェルディ
 『ラ・ダンス・デ・トロワ・フィーユ 3人の少女の踊り』
 振付:ボリス・ネビラ 音楽:H.S.パウリ
 『ブルノンヴィルへのオマージュ』
 振付:ボリス・ネビラ 音楽:H.S.レーヴェンショルド

オランダ:ハーグ王立コンセルヴァトワール (校長:ヤン・リンケンス)
 『Evening Songs』より
 振付:イリ・キリアン 音楽:A.ドヴォルザーク
 『無言歌集』より
 振付:ハンス・ファン・マーネン 音楽:F.メンデルスゾーン

カナダ:カナダ国立バレエ学校 (校長:メイビス・ステインズ)
 『Three Images of Hope』より
 振付:ロバート・ビネー 音楽:O.パレット
 『ラ・フィユ・マル・ガルデ』より“パ・ド・ドゥ”
 振付:アレクサンドル・ゴールスキー 音楽:P.L.ヘルテル

オーストラリア:オーストラリアン・バレエ・スクール (校長:リサ・パヴァーン)
 『VITAE』
 振付:マーガレット・ウィルソン 音楽:B.デスナー

総合監修:オーチャードホール芸術監督 熊川哲也

2017/12/09

勅使川原三郎 KARAS「イリュミナシオン-ランボーの瞬き- 」

今年のKARAS APPARATUS開館4周年記念作品 アップデイトダンスNo.48. フランスの詩人アルチュール ランボーの詩集「イルミナシオン」(1874)を基にしたダンス作品が「イリュミナシオン-ランボーの瞬き」。アップデートされてシアターXで再演されました。日曜日まで上演中です。





夏の東京芸術劇場での「月に吠える」では萩原朔太郎、秋のパリ・オペラ座での「Grand MiroIr」ではボードレール。そして今回のランボーと、ここのところ勅使川原さんは、詩をダンスで表現する方法を模索しているようだが、本作こそ、「詩は文章にはできない」と朔太郎が語った言葉を受けての、ムーブメントで詩のエッセンスを伝えることに成功しているように思えた。

シアターXに場所を移した「イリュミナシオン」、APPARATUSでの初演も凄かったけど、再演の今回、本当に何かが降りてきたようだった(勅使川原さんは、途中、本当に舞台から降りていたけど)シアターXに場を移し舞台が広くなった分、ダンスのスケールも大きくなり、舞台装置も入って、空間の切り取り方も面白くなった。ロック、ノイズそしてベートーヴェンをリミックスした音楽、構成も変化してよりダイナミックに。

黒板に憑かれたように詩を書き殴る姿、創作の苦しみ、天啓を得る様子、挫折などを通して芸術を生業とする人間の業と矜持を感じさせるものだった。言葉に、そして音楽にも翻弄される芸術家が生み出すリズムがダンスのリズムへとなっていき、そして時空が歪み移動し、パリに、さらに別の次元へも飛んでいく。魔術師のように空間も時間も操っているかのようだった。

今更ながら勅使川原さんの身体の動きのキレも音楽性もすさまじく、現実にありえないような動きまで見せている。打ちのめされる気迫。現実には60代の彼が、若者の姿に見えてくる。舞台の隅に佇む黒衣の佐東利穂子さんは、さしずめミューズか、見守る守護天使か、はたまた死の天使か。芸術家/詩人/舞踊家としての鮮烈な生きざまが投影された文字通り渾身の踊り。

今観るべきダンス、表現はこれだ、と言い切ることができる。帰り道もこの世界から抜け出すのが難しく、ふわふわとした頭のまま帰途についた。

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「イリュミナシオン」-ランボーの瞬き-

構成・振付・照明・美術・衣装・選曲 / 勅使川原三郎

出演 / 勅使川原三郎 佐東利穂子

【日程】
12月 6日(水) 19:30
7日(木) 19:30
9日(土) 16:00
10日(日) 16:00
*8日(金)は休演日

【劇場】
東京・両国 シアターX

【チケット料金】
一般前売り 4,000円  当日 4,500円
*学生・シニア(65歳以上) 2,500円 *学生・シニア券は各回20枚限定・先着順、取扱はKARASでの前売りのみ。入場時に学生は学生証・シニアは健康保険証等年齢が証明できるものをご提示ください。

・KARAS / メール : ticket@st-karas.com
FAX : 03-5858-8089
     *公演日時・枚数・氏名・住所・電話番号を明記してお送りください。

・シアターX / 電話 : 03-5624-1181

【問い合わせ】KARAS(カラス)
電話 : 03-6276-9136
ホームページ : http://www.st-karas.com

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2018年
アップデイトダンスNo.50

「ビグマリオンー人形愛」
KARAS APPARATUS新春第一弾です。





祝2018年 年初めのアップデートダンス「ピグマリオンー人形愛」

自動筆記=両性具有のダンス 二重に歩く者たち

幻想と実象の世界が錯綜する身体奇譚

我 二重の夢に往く
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アップデイトダンスNo.50
「ピグマリオンー人形愛」

出演 佐東利穂子
出演・演出・照明 勅使川原三郎

【日時】2018年
1月5日(金)20:00
1月6日(土)20:00
1月7日(日)16:00
1月8日(月・祝)16:00
1月9日(火)20:00
1月10日(水)20:00
1月11日(木)20:00
開演30分前より受付開始、客席開場は10分前

【会場】カラス・アパラタス/B2ホール

【料金】(全席自由)
一般 予約 3000円 当日3500円 学生2000円(予約,当日共に)

【予約】メール updatedance@st-karas.com 
件名を「アップデイトNo.50」として、本文にご希望の日付・一般または学生・枚数・郵便番号・住所・氏名・日中連絡のつく電話番号をご記入ください。

予約は各回前日の24時まで受け付けています。

【問合せ】TEL. 03-6276-9136





4月7日開催 「NHKバレエの饗宴2018」

恒例となった「NHKバレエの饗宴2018」が4月7日(土)に開催されます。

https://www.nhk-p.co.jp/ballet/index.html


新国立劇場バレエ団 『くるみ割り人形』第2幕から
 振付:ウエイン・イーグリング
 出演:木村優里 井澤駿 他

東京バレエ団 『ラ・バヤデール』から“影の王国”

 振付・演出:ナタリア・マカロワ
 出演:上野水香 柄本弾 他

スターダンサーズ・バレエ団  『Flowers of the Forest』

 振付:デヴィッド・ビントレー
 出演:吉田都 マティアス・ディングマン
 渡辺恭子 池田武志 他

『Chimaira/キマイラ』

 振付:平山素子
 出演:小尻健太 鈴木竜 堀田千晶 平山素子


バレエの饗宴初登場という平山素子さんの新作。そして、昨年8月のスターダンサーズバレエ団のガラ公演で上演され、大好評だったデヴィッド・ビントレー振付「Flowers of the Forest」を再び観ることができるのはとても嬉しいことです。しかも、その時に出演していた吉田都さんが踊るというのですから、必見です。後日テレビ放映があるのも嬉しいこと。

指揮・管弦楽

<指 揮> 井田勝大
<管弦楽> 東京フィルハーモニー交響楽団


日時 2018年4月7日(土)
開場:14時 開演:15時 終演予定:18時
会場 NHKホール

前売開始 2018年1月27日(土) 10時 発売開始
入場料 S席 12,000円 A席 9,000円 B席 6,000円 C席 3,000円
(全席指定・税込)
*就学前のお子様の同伴・入場はご遠慮ください。
お問い合わせ 03-5790-6438
(平日10:00~17:00)※NHKプロモーション内

2017/12/08

ピーター・マーティンス、セクハラ疑惑でNYCBとSABを休職

英米の映画界や音楽界などで、現在セクシュアル・ハラスメントが大問題となっています。

TIME(タイム)誌は、パーソン・オブ・ザ・イヤー(今年の人)に「沈黙を破った人たち」が選ばれ、性的嫌がらせや加害行動の被害経験について沈黙を破り、発言した人たちの勇気を称えています。
http://time.com/time-person-of-the-year-2017-silence-breakers-choice/
http://www.bbc.com/japanese/42261257

タイム誌は「今年の人」を発表する最新号の表紙に、様々な立場の女性を登場させ、性的加害行動がいかに社会全般に蔓延(まんえん)しているかを表現しています。


さて、この問題はバレエ界にも飛び火をしました。長年、ニューヨークシティ・バレエ(NYCB)の芸術監督として、そしてスクール・オブ・アメリカン・バレエの校長として、バレエ界に君臨したピーター・マーティンスが、セクシュアル・ハラスメントの疑いのため調査をされています。

New York City Ballet leader to take leave amid sexual, violence allegations
https://www.washingtonpost.com/entertainment/theater_dance/new-york-city-ballet-leader-to-take-leave-amid-sexual-violence-allegations/2017/12/07/9b4e4884-db7a-11e7-b859-fb0995360725_story.html

City Ballet’s Peter Martins Takes Leave of Absence After Misconduct Accusation
https://www.nytimes.com/2017/12/07/arts/dance/city-ballets-peter-martins-takes-leave-of-absence-after-misconduct-accusation.htm

木曜日に、NYCBは、マーティンスがバレエ団およびSABを、調査が完了するまで休職すると発表しています。

ワシントン・ポストは、元NYCBのソリストであるケリー・ボールが、彼が彼女に対して暴力を振るったという訴えに対して、マーティンスのコメントを求めました。ケリー・ボールは、やはり元NYCBのソリストで、現在はパシフィック・ノースウェスト・バレエの芸術監督であるピーター・ボールの夫人でもあります。

マーティンスは、彼女に暴力を振るったことを否認しながらも「現在行われている独立した調査が完了するまで、一時的にNYCBとSABを休職することを、経営会議のメンバーに要望しました」と答えています。

12月4日に、NYCBとSABが、マーティンスのセクシュアルハラスメントについて訴える匿名の書簡が贈られてきた結果、弁護士などで構成された土井栗の調査委員会が結成されたことが報道されています。また、SABが、調査が行われている間マーティンスは休職するとも発表しています。月曜日の時点では、マーティンスの妻ダーシー・キースラー(元NYCBプリンシパル)は、ノーコメントと報道陣に答えています。

「生徒たちの安全と健康が私たちにとって最優先です」とSABは発表し、「NYCBとSABの両方において、具体的ではないセクシュアルハラスメントを訴え出る匿名の書簡を最近受け取りました」「現在のところ、書簡の中に書いてあるセクハラ行為や、生徒の安全に問題を起こすような事態は見つけていません」


https://www.nytimes.com/2017/12/04/arts/dance/peter-martins-new-york-city-ballet.html

バレエ団の広報担当者は、2010年以来、このカンパニーでは、上司と部下の間のロマンティックな関係を禁止するポリシーがあると語っています。これに関連して、昨年、リンカーンセンターのプレジデントであったジェド・バーンスタインは、2回昇進させた部下の女性と恋愛関係にあったという匿名の通報があったのちに、辞職しています。

最近のインタビューでは、2人の元NYCBダンサーとSABの3人の元学生は、マーティンスはダンサーたちと寝ており、そのような関係を持っていることで彼女たちは良い役を得られていると語っていました。

バレエは、振付や指導のためにお互いの身体に常に触らなければならないという性質があります。マーティンスのような芸術監督は、特に若いこれからのダンサーに対しては非常に大きな権力を持っています。どのダンサーがいい役を得るかというキャスティング、そして誰が昇進するかを決める権限を持っているからです。

なお、1992年にマーティンスは当時まだ現役ダンサーだった妻ダーシー・キースラーを殴ってけがをさせたことで逮捕されています。キースラーは腕と脚に切り傷を負い、また青あざを作りました。この訴えは後に取り下げられました。2012年にマーティンスは酒気帯び運転で逮捕されています。さらに今年の8月には、マーティンスとキースラーの21歳の娘がドラッグを使用した上に窃盗をした件で逮捕されました。

マーティンスはデンマーク出身で、1970年にNYCBに移籍する前はデンマーク・ロイヤル・バレエのプリンシパルでした。長身で堂々とした体躯、エレガンスを持ち合わせて人気スターとなります。バランシンの亡くなった1983年にジェローム・ロビンスと共に共同芸術監督となり、1990年に単独の芸術監督に。以降バレエ団をまとめ上げてきました。バランシン、ロビンスを中心としたバレエ団のレパートリーを守りつつ、ウィールドン、ミルピエ、ペックなど若い振付家も育ててきており、バレエ界における貢献は大きなものがあります。

特に、マーティンスはジョージ・バランシン財団の最重要人物でもあるので、大きな権力を持っている存在です。ワシントン・ポスト紙は10人以上のダンサーをインタビューしましたが、彼を公的な場で批判することは恐ろしくてとてもできない、そんなことをしたら仕事を奪われると多くが語っています。特に、バランシン作品の振付指導をする権利を失うことが一番怖いことのようです。

ある元NYCB女性ダンサーが語ったことによれば、マーティンスに、ソリストに昇進をするにはどうすればよいかと尋ねたところ、このカンパニーには100人以上の団員がいるので、一人一人にはとても注意が行かないと。彼の目に留まるということは、性的な関係を持つことだと言われたと彼女は解釈したとのことです。

前述のケリー・ボールは、1989年にマーティンスは彼女の肩をつかんで廊下に引きずり出し、肩をゆすって彼の言うことを聞いていないと激しく非難したそうです。「私の首の周りに手を置き、首を絞めて叫んで、どついて去っていきました」同じ日の早い時間に、マーティンスは彼に口答えをした彼女のパートナー、ピーター・ボールをリハーサルで罵ったそうです。別の女性ダンサーが、マーティンスがケリー・ボールに暴力を振るう様子を目撃したと証言しています。ケリー・ボールは数年後、26歳でバレエ団を退団し、引退しました。

また、ABT、NYCBの両方で活躍したゲルシー・カークランドの著書「わが墓上で踊る」の中で、マーティンスが怒りのあまり、別の女性ダンサー、ヘザー・ワッツをパーティで階段の上から下まで引きずり下ろす様子を見たと書いています。

*****
バレエ界では、すでに71歳で27年間も芸術監督を務めてきた(共同芸術監督時代も含めると34年間)マーティンスの辞任は避けられないという見方があり、彼の後任が誰になるだろうかということも、注目されています。子の世界でのセクシュアルハラスメントは、マーティンスに限った話ではなく、もっと多くのケースが今後出てくることでしょう。

2017/12/07

イル・ヴォーロ来日記者会見

イタリア出身の若手テノール・トリオ、イル・ヴォーロ(IL VOLO)が初来日し、11月29日、12月1日にコンサートを行いました。2公演ともソールドアウト。公演を前に、紅葉の美しいイタリア大使館で、イタリア大使同席の中記者会見が行われました。

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フィギュアスケーターの羽生結弦選手が、2016~17年シーズンのエキシビションの音楽に、イル・ヴォーロの曲「ノッテ・ステラータ 星降る夜(スワン)」を使用したことで話題になりました。また、エフゲニー・プルシェンコ選手は2016年NHK杯のスペシャルエキシビジョンで彼らの「グランデ・アモーレ」を使用しています。

メンバーはジャンルカ・ジノーブレ(22)、イニャツィオ・ボスケット(23)、ピエロ・バローネ(24)の3人。テレビ局のオーディション番組にそれぞれソロ歌手で出演したのがきっかけでユニットを組み、14~15歳の若さで10年にCDデビュー。デビューアルバムが2011年にビルボード初登場10位で、6位まで上り詰めたそうです。最新盤『グランデ・アモーレ』はビルボードではクラシカル、ラテン・ポップの2部門で1位、ラテンチャートで2位に輝くなど大ヒットを記録しています。2016年にフィレンツェで開催された「三大テノールに捧げる」ライブでは、プラシド・ドミンゴとの共演を果たしました。YouTube再生回数は一億回を超え、ヨーロッパ、北米・南米でスタジアム級の会場を満員にしているそうです。

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この若い年齢とは思えない、芳醇で深みがあり、ドラマティックな歌声の持ち主である3人。ひげを蓄えて少し大人っぽくは見えますが、素顔は20代前半のイタリアの男の子。茶目っ気のある受け答えとイタリア人らしい底抜けの明るさ、その中に歌を愛する心が伝わってくる会見でした。

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ジャンルカ・ジノーブレ

「3人のメンバーとも、祖父の代から音楽好きで、特に3大テノール(パヴァロッティ、ドミンゴ、カレーラス)のコンサートに影響を受けました。とはいっても、ポップスからロックまで興味は持っており、自分たちならではのオリジナリティを持った、イタリアを代表する歌手グループになりたいです」(ピエロ・バローネ)と思っているとのこと。3人とも同じテノールですが、「声の特徴がそれぞれあり、ジャンルカの声が温かい声質なので、彼の声から始めるようにしていて、曲の配分を割り振っています」(イニャツィオ・ボスケット)

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ピエロ・バローネ

羽生結弦選手については、彼が自分たちの曲を使っていることを知った後で、彼がどれほど素晴らしいフィギュアスケート選手であるかということを知ったそうです。「音楽とダンスが一緒になって素晴らしいものを見せてくれるアーティストであり、早く怪我が治ることを祈っています」(この曲はコーチのタチアナ・タラソワが羽生選手に贈ったとのことです)

スペイン語圏でも非常に人気があってラテンチャートでは2位に輝いた彼ら、次のアルバムはスペイン語のものとなるそうですが、最新アルバム「グランデ・アモーレ」のようなオリジナル曲だけでなく、「オペラの魅力を若い人たちに知ってもらいたい」とともに、イタリアで愛されている歌曲も歌い続けるそうです。

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イニャツィオ・ボスケット

「イタリアの理容師がみな死んでしまったので、ひげが伸び放題になってしまいました」というお茶目な彼ら。お互いを評する言葉もとてもユーモラスです。「ピエロは決心したらその考えは必ずやり抜く。要するに石頭です」「ジャンルカは「まるで日本人のように完全主義者」「イニャツイオは13歳の時から小さなクマでした。明るくしてくれるムードメイカーです」「ジャンルカは美しさを保つために氷風呂に入って年を取らないようにしてください」和気あいあいとして仲良しな様子もうかがえます。

記者会見に出席した記者が居眠りをしていたのに気が付いて、ジャンルカが突然その記者に近づいて美しいアリアを披露するというサプライズも。ラストも、お世話になった日本人女性のために美しいハーモニーを聴かせてくれました。

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20代の若者がこのようなクラシカルクロスオーバーの曲を歌うのが、このトリオの特徴であり、今後もグループとしての活動を大事にしたいと考えているそうです。30代、40代になった時にどうしていたいかと聞かれると「イタリア人なので先のことは考えず、今日が最後の日だと考えて懸命に生きています」と答えました。

プラシド・ドミンゴも絶賛した才能、まだ若い彼らのこれからの活躍が楽しみです。

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フィレンツェのサンタクローチェ広場で、プラシド・ドミンゴ指揮「トゥーランドット」より「誰も寝てはならぬ」を歌うイル・ヴォーロ

愛聴していますが、ドラマティックでポップで聴きやすく、とてもいいアルバムです。

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2017/12/05

バーミンガムロイヤル・バレエのイアン・マッケイが引退

バーミンガムロイヤル・バレエを代表するプリンシパルの一人であったイアン・マッケイが引退を発表しました。

https://www.brb.org.uk/post/news-iain-mackay-set-to-retire-in-2018

スコットランドのグラスゴー生まれ。1999年にロイヤル・バレエ・スクールを卒業してバーミンガムロイヤル・バレエに入団。2003年にプリンシパルに昇進。2008年にアンヘル・コレーラが率いたコレーラ・バレエに移籍しましたが、2年後に復帰。バーミンガムロイヤル・バレエには19年間在籍し、うちプリンシパルとしては14年間活躍しました。引退公演は、2018年1月19日と20日のバーミンガム・シンフォニー・ホールとノーザンプトンのRoyal & Derngateの公演An Evening of Music and Danceで、ビントレー振付の新作「スパルタクス」のパ・ド・ドゥを踊る予定です。

マッケイはバーミンガムロイヤル・バレエの来日公演で何回か主演したほか、新国立劇場バレエ団でも、「カルミナ・ブラーナ」「ファスター」と「火の鳥」でゲスト出演しています。2008年の来日公演「コッペリア」では吉田都さんと共演しました。

2011年の来日公演でのインタビュー記事
http://www.nbs.or.jp/blog/news/contents/interview-and-report/post-329.html

長身で恵まれたプロポーション、色気もある端正な容姿、サポートと演技のうまさでバレエ団を支えてきたマッケイ。ビントレー作品では、「シラノ」のクリスチャン、「シンデレラ」の王子と「ファスター」の初演キャストも務めています(「シンデレラ」はDVD化されています)。引退後は、子供時代に学んできたYorkshire Ballet Summer Schoolの校長に就任するとのことです。

デヴィッド・ビントレーが、彼の引退に対して贈った言葉が温かく、マッケイとビントレーの人柄の良さが伝わってきます。

「長年にわたり、イアンはこのカンパニーの最も素晴らしいダンサーであることを証明してきました。芸術家としての恐れを知らない才能ばかりだけでなく、忠実で献身的で正直であったことによっても。バレエ団の同僚に対してはとても親切でアドバイスを与え、まさに「ライト・スタッフ」であると称賛されています。Yorkshire Ballet Summer Schoolの芸術監督としての新しい仕事においても、これらの彼の美質は大いに役に立つことででしょう。
イアン、グッド・ラック!いなくなって寂しくなります」

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2017/12/04

ハーグ王立音楽院、ヤン・リンケンス校長ワークショップ レポート

10月21日、22日に、S&H留学センター主催のオランダの名門、ハーグ王立音楽院、ヤン・リンケンス校長によるワークショップがありました。このワークショップは、リンケンス校長によるワークショップの他、ハーグ王立音楽院への入学オーディションも兼ねたものです。

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改めてハーグ王立音楽院についてご紹介すると、1825年にオランダ国王ウィレム1世によって設立された、音楽とダンスの高等教育を提供する学校です。世界のバレエ団で通用するダンサーを育成するためのクラシック・バレエやパ・ド・ドゥクラス、ポワントクラスに加えモダンやキャラクターのクラスも取り入れています。ローザンヌ国際バレエコンクールのパートナー校であり、スカラシップ生を受け入れています(元K-Ballet Companyの神戸里奈さんは、ローザンヌ国際コンクールで入賞し、この学校に留学しました)。ネザーランド・ダンス・シアター(NDT)のダンサーやディレクターによるレッスンも週2回設けられているのが大きな特徴です。

<世界的な巨匠のレパートリーを学ぶ貴重な経験>

今回のワークショップは、13~15歳と、16~20歳の2グループに分かれ、それぞれクラスレッスンと、オランダを代表する巨匠ハンス=ファン・マネン作品のレパートリークラスが行われました。

ファン=マネンの作品「Songs Without Words」を学ぶものです。世界中のバレエ団で踊られているファン=マネン作品は、クラシック・バレエのテクニックを使用しつつも、ターンインやオフバランス、上半身、特に腕の動き、床の上での動きなど独特の舞踊語彙を持つ現代的な要素の強いものです。メンデルスゾーンのピアノ曲を使用しているため、音楽性が非常に大きな意味を持ちます。ストーリーのない抽象的な作品ではありますが、その中にも密やかなドラマ性があります。男女のペアで構成されるグループで踊られる作品なので、お互いのアイコンタクトも必要であり、エポールマンや視線などによる表現力も求められます。

リンケンス校長が、作品の特性、ファン=マネン独特の舞踊語彙、音符に乗ることの重要性、歩くという動き一つをとってもエレガンスを表現することなどについて細やかに伝え、指導していきます。16~20歳のグループは、同じ作品を学びますがその中でパートナーリングといった要素も加わっていきます。

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日本のバレエ教育では、コンテンポラリーダンスの教育は不足している面が高く、このようにファン=マネンのおひざ元であるオランダの最高のダンス教育を東京で受講できるという意味でも、非常に価値のあるワークショップでした。クラシック・バレエのテクニックを中心に学んできた受講生たちにとっては、戸惑う面や不慣れな面もあったようでした。が、若い生徒たちは、2日間のワークショップで振付をほぼ完全に覚えて、自分たちの世界を表現できるようになっていたのが印象的でした。

クラスレッスンにおいても、リンケンス校長は内側からのターンアウト、指で床をつかむ感覚を把握するための独特なフラッペ、内腿の使い方、ピルエットの時のアームスの使い方など、細かくそして実践的な指導をしていき、みるみるそれらのコツを受講生たちがつかんでいく様子が見られました。


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とても濃い内容の二日間のワークショップの結果、13~15歳のAグループからは1名、16~20歳のグループからは3名の受講生が、ハーグ王立音楽院の留学許可を獲得しました。


<ヤン・リンケンス校長からのアドバイス>

最後に受講生に向けたリンケンス校長からのメッセージがありましたが、これからバレエを学んでいく人たちにとっては、非常に有意義なアドバイスが得られました。

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<ハーグ王立音楽院の紹介>

この学校はプロフェッショナルのダンサーを育てるための国立の学校です。16歳以下のカリキュラムでは、オランダ語で授業が行われ、一般的な学校の勉強を行いつつバレエ、音楽、ヴィジュアルアーツについて学びます。シラバスがあり、一年間でここからここまで学ぶ、と決められています。この段階では毎年多くの退学する生徒がいます。

6年間の学校を終えると、2年間のバチェラープログラムに進みます。ここでは9時から18時までダンスだけを学びます。バレエ、パ・ド・ドゥ、モダン、ポワント、ピラティス、ヨガなどを学習し、またバレエの歴史やキャリアプランについても学びます。一度入学したら退学させられることはありません。

最終学年には各バレエ団のオーディションを受け、契約を得られたら卒業となります。インターンシップを獲得した場合には学校に在籍しつつ、インターン先のカンパニーで働き、1年後に職を得られた場合には卒業となり、卒業証書を授与されます。バチェラープログラム在籍中に進路変更することになった場合にも卒業証書を得ることで、一般の大学に進学することができます。

<ヨーロッパでプロのダンサーになるために大切なこと>

<身体のケアと健康管理>

ヨーロッパにおいては多くのカンパニーがあり活動する場所があるので、そういう意味では恵まれた環境ですが、同時に多くの優秀なダンサーがおり、オーディションに500人のダンサーが応募して一人か二人しか合格しないというのが当たり前となっています。情熱も大事ですが、身体のケア、健康管理も非常に大事であり、そのためには正しいトレーニングが特に重要となります。正しいトレーニングを行わないと怪我をしてしまうからです。ダンサーの身体は楽器であり、プロになったら20年間踊り続けることになります。よく食べて寝て、休んでウォームアップをすることが必要です。

<英語力と自立できること>

ヨーロッパでダンサーとして活動するには、英語の能力が必須です。ハーグ王立音楽院のバチェラープログラムは英語で行われています。振付を学び分析するにも、公演を観てレポートを書くにも、英語力が必要です。日本からの留学生で、英語ができないために退学となった生徒もいたとのことです。また留学する場合には、この学校には寮がないために一人暮らしをしなければなりません。生徒数は120人と大きな学校ではないのですが、その分スタッフも大人数ではないため、自分で問題を解決する力が必要となります。この学校には現在4人の日本人留学生がいてお互い助け合っているそうです。

<コンテンポラリーダンスを踊ることができること、そして順応性>

ヨーロッパでプロのダンサーとして活躍するには、クラシックもコンテンポラリーも踊らなければならず、ダンスに対して心を広く開かなければなりません。現在ヨーロッパにおいては、クラシック・バレエだけのレパートリーを持つバレエ団はありません。バランシン、キリアン、ファン=マネンなどの作品を踊ることが必須で、オーディションで「ドン・キホーテ」のヴァリエーションだけ踊れればいいということではありません。またインプロヴィゼーション(即興)で踊ることもできなければなりません。新しいタイプのダンスへの順応性が求められています。

本当にプロのダンサーになりたいのか?ヨーロッパで踊りたいのか?と自ら問いかけることが必須となります。自分の生活を自分で管理し、自立しなければなりません。

多くのヨーロッパのカンパニーでは、1年に100公演ほど行い、またいろんな街を旅してまわるツアー公演も行います。オランダ国内だけでも7,8カンパニーあります。ある時は「白鳥の湖」や「ジゼル」、そしてある時にはコンテンポラリーを踊ります。ディレクターが求めているダンサーとは、どこでも機能する健康なダンサーです。

<日本の学生の長所と短所>

日本の学生の長所としては、規律正しい生徒が多く、それはバレエにおいてはとても大事なことです。どんな芸術監督もしつけのきちんとした人を求めています。先生がやっていることを受け入れられて、いろんな振付家と仕事をしなければなりません。順応するだけでなく、切り替えも上手くできなければならないからです。

日本人には、自分は十分上手ではないと思い込んで自信がない子が多いそうです。自分を信じること、ダンサーになりたいし、必ずなれると思うことが大切です。これが好きなこと、やりたいことであり情熱を持っていることだと信じていけば問題は解決されていきます。完璧なダンサーはいませんが、身体は自分たちの楽器なので問題があれば自分で解決して、次のステップにつなげなければならないのです。

※ヤン・リンケンス校長の貴重なインタビュー記事は、後日拙ブログ、そしてS&H留学センターのサイトでお届けする予定です。

**************

ハーグ王立音楽院は、熊川哲也オーチャードホール芸術監督 特別企画 オーチャード・バレエ・ガラ ~世界名門バレエ学校の饗宴~に参加するバレエ学校の一つです。2月11日、12日にオーチャード・ホールにて。この公演では、ワークショップでも学んだハンス・ファン=マネン振付「Songs Without Words(無言歌)」と、イリ・キリアンの作品を踊ります。


なお、S&H留学センターでは、多くのバレエワークショップや海外バレエ学校オーディションが予定されています。
http://shballet.jp/audition_info.html

【12月27日(水)~29日(金)】
国立ミュンヘン音楽舞台芸術大学バレエアカデミー
(ミュンヘン州立バレエ学校)
ワークショップ&オーディション

【2018年1月27日・28日】
ロシア国立ノヴォシビルスク・バレエ学校
   アレクサンドル・シェレーモフ副学長 来日
    ワークショップ&オーディション

【2018年2月23日・24日・25日】
スイス国立チューリッヒ芸術大学 タンツ・アカデミー・
    オリバー・マッツ芸術監督 来日
    ワークショップ&オーディション

【2018年4月4日(水)】
元ベルリン国立バレエ団 芸術監督
ウラジミール・マラーホフ 来日 ワークショップ

特に本格的なワガノワ・メソッドを採用している、ワガノワ、ボリショイ、ペルミと並びロシアトップのバレエ学校であるノヴォシビルスク・バレエ学校のワークショップは貴重な機会といえます。
約20人の外国人生徒が在籍しており(日本人含む)、少人数制の教育、設備も大変充実している学校です。
ノヴォシビルスクバレエ学校についての日本語の詳しい説明
ノヴォシビルスク・バレエの芸術監督はデニス・マトヴィエンコ、元K-Balletの福田昂平さんが在籍しています。


また、2018年4月1日~3日には、
第1回 パシフィック・インターナショナル・バレエ・コンペティション
を開催します。
http://pibcballet.com/
こちらについては、また別途ご紹介記事を書きますね。

ウラジーミル・マラーホフを審査委員長に、シオマラ・レイエス、(元ABTプリンシパル、ワシントン・スクール・オブ・バレエ校長)、ハンガリー国立アカデミーのジュルジ・サカーイ校長、東京シティ・バレエ芸術監督の安達悦子氏などの高名な審査員を迎えたコンクールで、スカラシップも多数用意されています。

2017/12/01

牧阿佐美バレヱ団「ドン・キホーテ」のゲストにオブラスツォーワとソボレフスキー

牧阿佐美バレヱ団の「ドン・キホーテ」公演が3月3日、4日に行われます。

ゲストには、ボリショイ・バレエのエフゲーニヤ・オブラスツォ-ワと、モスクワ音楽劇場のドミートリー・ソボレフスキーが出演します。

http://www.ambt.jp/perform2.html

日時:2018年
   3月3日(土)15:00
   3月4日(日)14:30
    <全2回公演>  

会場:文京シビックホール 大ホール

指揮 デヴィッド・ガルフォース
演奏 東京オーケストラMIRAI
演出・振付
アザーリ・M・プリセツキー、ワレンティーナ・サーヴィナ
(プティパ、ゴルスキー版に基づく)

チケット料金(税込・全席指定):
S席11,000円、A席8,000円、B席5,000円
フェスティバルシート3,000円(2月3日よりバレヱ団オフィシャルチケットでのみ発売。座席選択不可)
S席ペア20,000円、A席ペア15,000円、B席ペア9,500円
(ペア席は2階席限定)
当日券がある場合のみ学生割引あり A席4,000円 B席3,000円
(要学生証提示、座席選択不可。)

チケット発売日:
一般発売開始:11月29日(水)より 

チケット取り扱い
http://www.ambt.jp/contact.html


エフゲーニヤ・オブラスツォ-ワはご存知、ボリショイ・バレエで活躍中で今年6月の来日公演への出演も記憶に新しいところです。NBAバレエ団の「ドン・キホーテ」にもゲスト出演しています。

ドミートリー・ソボレフスキーは、モスクワ音楽劇場バレエのシニア・プリンシパルで、モスクワ音楽劇場バレエでノイマイヤーの「タチヤーナ」を上演した時に、ゲスト出演したディアナ・ヴィシニョーワの相手役(オネーギン)を務めました。そしてヴィシニョーワのマリインスキー・バレエ20周年記念の「ジゼル」(2015年)では、アルブレヒト役を踊り、その舞台を観ることができました。長身で容姿も踊りも美しいダンサーです。モスクワ音楽劇場バレエの来日公演『白鳥の湖』でも主演しました。2009年のモスクワ国際バレエコンクールで3位入賞しています。

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3月3日、4日には、東京シティ・バレエ団の「白鳥の湖」(3日はミリアム・ウルド=ブラムがゲスト出演)もありますので、要注意です。

セルリアンタワー能楽堂<伝統と創造シリーズ>「老松」

渋谷のセルリアンタワー能楽堂で、2008 年より継続して上演している“伝統と創造シリーズ”第 9 弾は、国内外で精力的に活動を行う振付家・ダンサーの黒田育世さんによる、古典能「老松」を元にしたオリジナル作品
『老松 -OIMATSU』です。

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http://www.ceruleantower-noh.com/lineup/2017/20171210.html

古典能「老松」は菅原道真の「飛梅伝説」を題材にした作品。ある春の日、夢のお告げに導かれた都人の前に、長寿の象徴である松の精、春を告げる美しい梅の精や鶯が現れ、この世を寿ぐという祝言性の高い内容となっています。

『老松 -OIMATSU』では、時を経て目覚めた老松たちがこの現代を寿いでいく姿を、世代やジャンルを超えたコラボレーションに挑戦し続ける能楽師・津村禮次郎さんと、今年 4 月に紫綬褒章を受章し、古典からコンテンポラリー作品まで多彩な表現力で観客を魅了するダンサー・酒井はなさん、そして黒田育世さんの 3 人で描きます。今回が初顔合わせとなる濃密なコンビネーションに期待が高まります。

セルリアンタワー能楽堂 伝統と創造シリーズ vol.9 『 老松 -OIMATSU 』
日 時
2017 年 12 月 10 日(日)15:30 開演
      12 月 11 日(月)19:30 開演
      12 月 12 日(火)18:30 開演
※開場時間は、開演の 30 分前となります。

注 現在、A(正面)席はほとんど埋まっているようですが、B(脇正面)席が橋掛かりにも舞台にも近く、出演者の表情もしっかりと見えるので、お勧めだそうです。

会 場 セルリアンタワー能楽堂
〒150-8512 東京都渋谷区桜丘町 26-1(東京・渋谷 セルリアンタワー東急ホテル B2F)

演出・振付 黒田育世
出  演  津村禮次郎、酒井はな、黒田育世
使 用 音 源 シューベルト:「死と乙女」/ウィーン弦楽四重奏団(カメラータ・トウキョウ CMCD-15004)


森山開次さん、小尻健太さんなど数々のダンサーとコラボレーションをして来て、その活動を追ったドキュメンタリー映画「躍る旅人 能楽師・津村禮次郎の肖像」も公開された重要無形文化財保持者の津村禮次郎さん、今年紫綬褒章を受章し、バレエにとどまらず、ますます活躍の幅が広がる酒井はなさん、日本を代表する振付家の一人である黒田育世さんという、とても刺激的なタッグによるこの作品、とても面白そうです。

「老松」についても語っている黒田育世さんのインタビュー記事
http://dancerssupport.com/interview/1780/

伝統と創造シリーズとは
能楽堂という日本の伝統的な様式を持つ空間を、コンテンポラリーの振付家がどのように解釈し、扱っていくかを問う企画。2008年より継続して制作している。

<ミニ情報>
セルリアンタワー能楽堂では、公演などがない日には施設見学も承っておりますので、ダンスファンの方が特に気になるお席から舞台の見え方なども確認していただけます!<ご予約不要ですが、下記にて見学可能な日時をご確認ください>
http://www.ceruleantower-noh.com/calendar/

※なお、あいにく「老松」公演の前は見学可能な日がないのですが、今後も公演は予定されていますので、お気軽にお越しください、と施設見学をお待ちしているとのことです。

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