一方、衝撃を持って迎えられたのが、ニーナ・カプツォーワの件。1978年生まれで現在38歳と引退するような年齢ではありません。そしてバレエ団きっての女優バレリーナでもあり、『ジゼル』のジゼル役や『オネーギン』のタチヤーナ役、『椿姫』のマルグリット役等は高い評価を得ています。最近DVDが発売されたグリゴローヴィッチの『黄金時代』にも主演しています。来日公演にあまり来ていなくて、日本で観る機会が少なかったのが残念です。
今年のブノワ賞では、ポール・ライトフットとソル・レオンの「Short Time Together」で、最優秀女性ダンサー賞にノミネートもされていました。現在の芸術監督ワジーエフにあまり気に入られていないから、と言われているようです。
そして、「プロジェクト・ポルーニン」という自らがプロデュースした公演も、今年の3月にロンドンのサドラーズ・ウェルズ劇場で行いました。彼が大きくブレイクするきっかけとなったミュージック・ビデオ「Take Me to Church」を監督したデヴィッド・ラシャペルとのコラボレーションで、ナタリア・オシポワが共演していました。チケットはあっという間に売り切れましたが公演の内容については、ほとんどすべてのメディアで酷評されました。
その「プロジェクト・ポルーニン」の舞台裏とリハーサルを、ロックミュージシャンなどの撮影で知られる写真家のハービー・山口さんが撮影した写真集『The Beginning of a Journey: Project Polunin』が発売されました。 http://www.uplink.co.jp/dancer/
発売された時に、渋谷のギャラリーX BY PARCOでこの写真展が行われていたので、観に行ってきました。ハービー・山口さんもいらっしゃって話をすることもできました。バービー山口さんがダンサーを撮影するのは初めてだったとのことですが、彼独特の温かい視線で、真摯にリハーサルや打ち合わせに取り組むポルーニンをドラマティックに、心の奥底まで映し出すように捉え、また舞台リハーサルの様子は、美しい舞台照明、衣装そして肉体を、普通のバレエの舞台写真とは全く違った、グラマラスで陰影に富んだルックで写し出しています。
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