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2017年7月

2017/07/29

イングリッシュ・ナショナル・バレエの昇進発表

先日の来日公演も大成功に終わったイングリッシュ・ナショナル・バレエ。タマラ・ロホの辣腕ぶりにより、カンパニーが上り調子にあることが実感できました。

そのENBで昇進、入団、退団が発表されています。すでに発表されているものも含めてのプレスリリースです。

https://www.ballet.org.uk/blog-detail/promotions-new-dancers-joining-company-2017-18-season/

すでに発表されていましたが、日本公演の『海賊』で、セザール・コラレスがプリンシパルに昇進しました。彼のアリは驚くばかりの高度な技術で会場を大きくわかせました。終演後のカーテンコールでの昇進発表をご覧になった方も多いかと思います。まだ20歳という若さですが、『コッペリア』でも主演し、これからのますますの活躍が期待されます。2014年にYAGPのグランプリを受賞して、早くもプリンシパルです。 (なお、ENBではリード・プリンシパルが最高位となります)


アリソン・マクウィニーフェルナンド・ブッファラ がファースト・ソリストに昇進。
(フェルナンド・ブッファラは来日公演『海賊』でビルバント役を演じていました)

カーチャ・ハニュコワ、猿橋賢、アイトール・アリエタがソリストに昇進。
(カーチャ・ハニュコワは元キエフ・バレエのプリンシパル)

ティファニー・ヘドマン、金原里奈Guilherme Menezesがジュニア・ソリストに昇進。
(ご存じ、金原里奈さんは来日公演で大活躍。アイトール・アリエタと共に団内コンクールエマージング・ダンサーで優勝しています)

プレシャス・アダムズ、イザベル・ブラウワーズ、Jung ah Choi, とフランチェスカ・ヴェリクがファースト・アーティストに昇進。
(フランチェスカ・ヴェリクは『海賊』のオダリスクやコッペリア人形を来日公演で踊っていました。ピナ・バウシュ『春の祭典』では生贄役を演じています)

鈴木絵美里が4th year Artist に昇進

*******
入団者の一部は、すでに発表されていますが、サンフランシスコ・バレエよりアーロン・ロビンソン、ナショナル・バレエ・オブ・カナダよりユルギータ・ドロニナがリード・プリンシパルとして入団。
またバーミンガムロイヤル・バレエからジョセフ・ケイリーがプリンシパルとして入団します。

ソリストとして、オランダ国立バレエからSkyler Martinが入団。 Claire Barratt、Eireen Evrard、Alice Bellini(ロイヤル・バレエ・スクール)、Daniel McCormick(ヒューストン・バレエ)、Henry Dowden(スコティッシュ・バレエ)、Rhys Antoni Yeomans、Julia Conwayがアーティストとして入団。

*******
一方退団としては、来日公演でも活躍したプリンシパルのヨナ・アコスタがミュンヘン・バレエに移籍。退団ではないのですが、やはり活躍したローレッタ・サマースケールズは一年間のサバティカルを取得してやはりミュンヘン・バレエで踊ります。

ソリストのEmilio Pavan, ファースト・アーティストのJinhao Zhang(来日公演『海賊』ではランケデムを演じました)そしてアーティストのヨーコ・カレガリとジャネット・カカレカ(来日公演『コッペリア』で祈り)もミュンヘン・バレエに移籍します。

アーティストのVitor Menezesはデンマーク・ロイヤル・バレエに、ダニエル・シリンガルディはシュツットガルト・バレエに移籍。Tamarin StottとGrant Rae は引退。また、ジュニア・ソリストのJuan Rodriguesとファースト・アーティストの中村誠さんはシーズン途中で退団しました。

実はこの退団発表は全部網羅されていなくて、サンフランシスコ・バレエに移籍したマディソン・キースラー他何人も退団しているようです。


2017/07/27

「英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン2017-18」演目が発表

ロイヤル・オペラハウスからオペラ、バレエを映画館で上映している「英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン」。
http://tohotowa.co.jp/roh/

次の映画館上映は、9月1日からの「真夏の夜の夢/シンフォニック・ヴァリエーションズ/マルグリットとアルマン」です。「真夏の夜の夢」では高田茜さんがタイターニアを演じ、また「マルグリットとアルマン」はゼナイダ・ヤノウスキーの引退公演ということで注目されます。

そして、新しいチラシによれば、来シーズンも全12演目上演してくれます。
バレエは『不思議の国のアリス』、『くるみ割り人形』、『冬物語』、『バーンスタイン・センテナリー』、『マノン』、『白鳥の湖』の6作品。

ロイヤル・オペラハウスの公式サイト
http://www.roh.org.uk/news/royal-opera-house-live-cinema-season-201718

収録日

『不思議の国のアリス』 2017年10月23日 カスバートソン、ボネッリ

『くるみ割り人形』
 2017年12月5日 ラム、マックレー、ヘイワード、キャンベル、エイヴィス

『冬物語』 2018年2月28日 カスバートソン、ワトソン、ラム、マックレー、モレラ、ボール

『バーンスタイン・センテナリー』 マクレガー新作 / The Age of Anxiety(リアム・スカーレット) / クリストファー・ウィールドン新作 – 2018年3月27日 モレラ、マックレー、ガートサイド

『マノン』
 2018年5月3日 キャスト未定

『白鳥の湖』  2018年6月12日 リアム・スカーレット振付による新プロダクション キャスト未定


特にシーズン最後の『白鳥の湖』は、気鋭の若手振付家リアム・スカーレットによる新しいプロダクションということで注目されます。バーンスタインの生誕100周年を記念した『バーンスタイン・センテナリー』も、ロイヤル・バレエの常任振付家3人による競演、しかも2作品は新作ということで、これらの新しい作品をいち早く、映画館の大画面で観ることができるのは嬉しいことですよね。楽しみがまた増えました。

ずっと東宝東和さんが、「英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン」を続けているおかげで、映画館でバレエを観るというのもだいぶ定着してきた気がしますね。

2017/07/26

マニュエル・ルグリ 「ルグリ・ガラ」独占インタビュー

いよいよあと1か月後に迫ったルグリ・ガラ

先日、マニュエル・ルグリがプロモーションのために来日した際に、インタビューをさせていただきました。明るくチャーミングで誠実な人柄が伝わるものです。バレエへの深い愛、手塩にかけて育てて来たウィーン国立バレエへの愛、そして未来の若者たちへの想い。謙虚で前向きな姿勢。話していてこちらも幸せな気持ちにさせられるのが、マニュエル・ルグリというスーパースターです。

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Q.先日ニューヨークで開催されたYAGPのファイナルでルグリさんは審査員をされていましたね。そして今回の来日では、日本人のボーイズを教えられます。昨年は「NHKバレエの饗宴」で若手のダンサーを教えられました。若い才能を育てることに対する想いをお聞かせください。

フリオ・ボッカへのオマージュのガラに出演するためのリハーサルがあったので、ファイナルと、セミファイナルでは男子のクラシックだけを審査したのです。YAGPでは時間がなくて教えることはできなかったのですが、今回は15歳前後の子たちを教えるので、どんな子を発見できるか、とても楽しみです。

幸いにも、私は素晴らしい振付家や芸術監督から多くを学ぶことができました。その素晴らしい経験を若い人たちに伝えて行きたいと思うのです。私自身、これからは持てるものを与えていきたいという個人的な想いがあり、そうすることが好きなのです。芸術監督という仕事も愛しています。ダンサーにとって何がベストなのかということを考えることができるし、やらなければならないことは多いのですが。なので、踊る機会が減ってもそんなに寂しく思いません。舞台の上に立つことはもちろん大好きなのですが、それが一番優先されるべきことではないのです。いつまでも踊り続けることはできませんし。

今回のYAGPでは、奇妙な思いもしました。一度にこんなにたくさんの出場者を見ることは初めてのことでしたし。12,13歳のジュニアの出場者はすでに非常に上手くなっているけど、幼い時からこんなに上手で将来が大丈夫なのか、心配にも思えてしまいました。16歳くらいになった時にすごく上手くなっているのだったら良いのですが、こんなにも若い年齢でこれだけ完成されているのって、普通のことではないからです。でも、とにかくレベルは高くて、特に今回日本人の出場者は素晴らしかったと思います。

Q.ダンサーを目指す若い人へのアドバイスは?

バレエを本当に愛してほしいと思うし、本当にバレエをやりたいという想いをはっきりさせてほしいと思います。親に無理強いさせられると良い結果にはなりません。バレエというのはとても個人的なものですし、自分自身を信じる必要があるからです。そして一生懸命努力することが一番大事です。努力しなければ目標は達成できないでしょう。生まれ持った才能だけでは大成できません。

日本に来る途中の飛行機の中で、ドキュメンタリー映画「ダンサー セルゲイ・ポルーニン 世界で一番優雅な野獣」を観ました。セルゲイ・ポルーニンは本当に素晴らしいダンサーで、これだけの才能を持っているダンサーを見るのは久しぶりでした。それだけに、この映画を観てとても悲しい想いにとらわれました。この映画の最後のシーンを観終わってですら、彼の未来がどうなるのか見えなくて、悲しいのです。彼が18歳の時、まだプリンシパルになる前に、マリアネラ・ヌニェスと「海賊」を踊るのを観たことがありますが、その時も彼の才能の凄さに呆然となりました。今はテクニックの優れたダンサーは世界中にいます。セザール・コラレスもその一人です。でも、この映画の中でのポルーニンにはエレガンスがありました。踊りがとてもクリーンで気品があって体型や容姿にも恵まれてすべてを備えていました。だから彼が人生のレールを踏み外してしまったことがとても悲しく思えたのです。特に家族との問題を抱えていることが観ていて辛かったです。しかも、この映画が撮影された時には彼はまだ26歳で、これだけの苦悩を経験しているということも。私は今52歳でこんなにも幸せなのに!

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一押しの若手は、ヤコブ・フェイフェルリック

Q.ウィーン国立バレエでは、ルグリさんが育てられてプリンシパルになったダンサーや、ルグリさんが採用したダンサーたちが活躍していて、彼らが今回来日しますね。

ダヴィデ・ダト、ニーナ・ポラコワ、デニス・チェリェヴェチコの3人は、私が就任した時にすでに在籍していましたが、残り5人は私がオーディションで採用した若いダンサーたちです。私が選んだダンサーであるし、正しい選択をしたと思っています。4人のソリストと一人のデミソリストで、それぞれとても才能にあふれているし本当に美しいダンサーたちです。見た目が美しいだけでなくて、指示をしっかり呑みこんで、正しい瞬間に正しい動きができる人たちであり、そうすることができるのはダンサーとして大切なことです。

Q.彼らが海外の大きな舞台を踏むのは初めてなのでしょうか?

すでにゲストやガラなどで活躍し始めているダンサーもいますが、若手ダンサーたちは日本で踊るのは初めてで、日本に行けると聞いて喜びで飛び上がった人もいます。日本の観客、バレエファンの皆さんがこれらの素晴らしいダンサーたちと恋に落ちることを私は確信しています。

特に男性ダンサーは優れています。デニス・チェリェヴィチコ、ダヴィデ・ダト、そして若手のヤコブ・フェイフェルリックも素晴らしい。ヤコブはまだ20歳で、ウィーン国立バレエ学校出身。この6か月の間に、『ライモンダ』の初日のジャン・ド・ブリエンヌ、『ラ・フィユ・マル・ガルデ』のコーラス、ジョン・ノイマイヤー振付の『アルミードの館』、6月には『白鳥の湖』の王子役を演じます。日本の観客の皆さんにお見せできるのが楽しみです。

ダヴィデ・ダトはカリスマ的なダンサーです。ウィーンの観客には特に愛されています。イタリアでも、テレビ番組にも多く出演しているので人気があり、ロベルト・ボッレ並のスターとなる日も遠くないでしょう。ローマ国立歌劇場でも、エレオノラ・アバニャートに招かれて『ドン・キホーテ』を踊っていますし、今年のブノワ賞にもノミネートされています。私はいいダンサーしか連れてこないんですよ。

また、6月の『白鳥の湖』でオルガ・スミルノワと仕事をすることができるのが楽しみです。『白鳥の湖』では、スミルノワと踊るセミョーン・チュージン、そしてマリアネラ・ヌニェス、ワディム・ムンタギロフがゲスト出演するんです。ワディムは『海賊』にもゲスト出演してくれてスペインへのツアーにも同行しました。私は彼が大好きです。もちろんマリアネラも。

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ウィーン国立バレエの芸術監督に就任したのは正しい選択。


Q.パリ・オペラ座バレエを引退した後、ウィーン国立バレエの芸術監督に就任されましたが、ウィーンで仕事を始めるにあたっての困難はありましたか?

オペラ座を引退後、ウィーンで芸術監督の仕事に就いたのは正しい選択だと思っています。オペラ座でバレエマスターとして残ることもできましたが、芸術監督という仕事だと、別の機会を得ることができるんです。レパートリーを組んで、ダンサーを選ぶというのは完全にクリエイティブな仕事で多くのインスピレーションを得ることができました。

もちろん、パリとウィーンは全く違うので困難もありました。最初は限界までダンサーたちにプレッシャーも与えていました。最初のシーズンには、8作品も新作を取り入れて、自分にとってもクレージーだと思えるほどでした。今振り返ると、やはり自分はいい仕事をしたと感じています。ダンサーたちもトップレベルまで引き上げることができました。パリ・オペラ座では素晴らしい経験を与えてもらいました。日本で行っていたグループ公演も、芸術監督の仕事につながる出発点でした。上演作品を選び、様々なカンパニーからのダンサーを呼び、また与えられた予算で仕事をすることも学びました。これが後々、芸術監督としての仕事に役立ったのです。バレエ団だとダンサーが100人いたりしますので、予算のレベルはまったく違いますが。


Q.ウィーン国立バレエでは、『海賊』や『白鳥の湖』のような古典作品から、現代作品までレパートリーが幅広いですが、どのようなカンパニーにしていきたいと思いますか?

基本的には古典バレエを上演するカンパニー、パリ・オペラ座やマリインスキー・バレエのようなカンパニーでありたいと考えています。ですが、若手振付家の作品も上演していますし、現代のダンサーにとって、コンテンポラリーな作品を踊らないということはあり得ません。とはいえ、現代的すぎるカンパニーにはしたくありません。パリ・オペラ座では、『ドン・キホーテ』とピナ・バウシュの作品を同時に上演していたりするために、身体の使い方を変えなければならず、怪我をするダンサーが続出しています。なので、私は現代作品を上演する際にも、身体の使い方がクラシックから大きく逸脱することのない作品を選ぶようにしています。最高のクラシック・バレエを提供することが私にとっては一番大切なことです。

また、ウィーンはハンブルグ・バレエのように1人の振付家の作品ばかりを上演するカンパニーではありません。ウィーン国立バレエは、オペラ座と違ってレパートリーシステムを採用しています。オペラ座ではたとえば『マノン』を上演したら、次に上演するのは6年後だったりしますが、ウィーンでは、『マノン』を一シーズンに4回くらいしか上演しませんが、毎年少しでも上演し続けることによってダンサーが役柄に理解を深めることができます。オペラ座のやり方とは違いますが、今はこれが気に入っています。オペラ座で『マノン』を上演する時に怪我をして出演できなかったら、次の機会は15年後になってしまうかもしれません。このレパートリーシステムは、お金を節約するのにも役立ちます。新作を上演して、上演が終わったらごみ箱に捨てるのではなく、一つの作品をレパートリーの中にずっと保って継続的に上演することで、製作費も節約できるのです。

Q.一方でウィーン国立バレエでは、新作も取り入れていますよね。

来シーズンは、エドワード・クルグによる「ペール・ギュント」を上演します。今までは、トリプルビルの中で新作は1本だけとしてきましたが、来シーズンは3作品全部新作というトリプルビルも上演します。アレクサンドル・エクマンの「カクティ」では、一人のお客さんがずっとブーイングをしていましたが、『ペール・ギュント』ではもっとブーイングが出るかもしれません。また、ウィーンでは国立バレエの他にフォルクスオーパーでもバレエを上演しています。第二劇場であるフォルクスオーパーでは、国立バレエでは上演できないような作品を上演したいと思っています。もっと現代的な作品を上演したいのですが、フォルクスオーパーのお客さんはより古典的なものを求めています。それを私は変えようとしているのですが、最初のころはお客さんの反応は、あっけにとられたものでした。

Q.今回のガラでは、注目の女性振付家、ナタリア・ホレシナの新作を上演しますね。

私はナタリアが大好きです。このバレエ団のためにすでにいくつかの美しい作品を振付けてくれて、大きな成功を収めてきました。彼女の人柄も好きで、一緒に仕事をしていてとても楽しかったです。ユーモアのセンスも持っていて。どんな作品を私に作ってくれるのか、まだ予想もついていません。音楽はとても美しいものを使いますが。彼女がちょっとクレイジーな人なので、作品もそうなると思います。

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Q.カンパニーのピアニストである滝澤志野さんも今回のガラに参加されます。ルグリさんにとって音楽とは何でしょうか?

志野さんは素晴らしいアーティストで、私は彼女のことが大好きです。自分はとても音楽的なダンサーだと思っています。音楽なしでは踊ることができないからです。そしてバレエを教える時には、音楽がとても大切なのです。音楽と共に呼吸すること、音楽をよく聴くこと。なぜなら、バレエを知らない人でも、バレエを観たときに、音楽とぴったり合って踊られたなら、瞬時に理解することができるからです。音楽性というのはバレエの美しさの中でも重要な要素です。

Q.今回、ルグリさんはイザベル・ゲランと踊られますね。オペラ座でも共演を重ねて来た彼女の素晴らしさについて教えてください。そして今後のダンサーとしての活動について。

彼女が復帰してくれたこと、そして今また舞台上の瞬間を共有できることが一番素晴らしいことだと思います。あるがままの姿で、再び共演することができてとても嬉しい。今後については、今回の舞台が最後とは言わないけれども、最後になる可能性はあるかもしれません。もう舞台の上でできることはやり切ったと思うからです。ダンサーとしては今後の計画は何も立てていません。だからこそ、今回のガラが実現したことがとても嬉しいのです。たくさんの人たちが協力してくれて、お客さんが見に来てくれることが。今まで自分が踊ってきた作品を、ウィーンのダンサーたちが踊るのを観ることができるのも幸せです。『マニフィカト』はシルヴィ・ギエムと私のためにノイマイヤーが振付けた作品でした。私とかかわりのある作品が今回たくさん上演されるのは嬉しいことです。

「バレエは常に喜びでした」

Q.ルグリさんほどバレエを愛している人はいないということを聞いていますが、そのバレエへの愛について。

私のバレエへの愛はとても大きなものですが、世界にはバレエをこよなく愛する人がたくさんいることも知っています。今回のガラの「運命のバレエダンサー」という題名の通り、ダンスは私の運命なのであり、バレエのために生まれてきたと言えると思います。全く違うことをやることは想像できませんし、生まれ変わっても同じことをすると思います。素晴らしい観客や振付家、劇場に恵まれました。私の血の中にバレエは息づいているのです。バレエは厳しい職業だし、多くのダンサーが苦しんでいますが、私は苦しいと思ったことは一度もありません。

もちろん大変な努力をしましたが、ダンサー人生においてひどいと思ったり辞めたいと思ったことはありません。それは無理だ、難しすぎるという人たちもいますが、私はバレエで苦しんだことはないんです。バレエは常に喜びであって、毎朝仕事に出かける時も幸せでした。身体的に恵まれていて、怪我もほとんどしなかったのです。私は今52歳ですが、手術は小さなものを一つ受けただけです。イザベル・ゲランと話したのですが、彼女は10年間全く踊っていませんでした。でも、現役時代に厳しい鍛錬をして来たおかげで、復帰した後は素晴らしく踊ることができるのです。年齢と共に肉体は衰えますが、それでも長年の努力の成果は身体に残っています。幸せなことです。

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******

なお、、出演を予定していたダヴィデ・ダトは、怪我のため止むを得ず本公演を降板することとなりました。代役として、ウィーン国立バレエ団デミ・ソリストのジェロー・ウィリックの出演が決定しています。

http://www.legris-gala.jp/topics.html

ルグリ・ガラ
http://www.legris-gala.jp/

【会期】
8月22日(火)18:30開演 Aプログラム
8月23日(水)18:30開演 Bプログラム
8月24日(木)18:30開演 Bプログラム
8月25日(金)18:30開演 Aプログラム

【会場】
東京文化会館大ホール

(大阪公演)
8月19日(土) 14:00 Aプロ
会場:フェスティバルホール

(名古屋公演)
8月20日(日) 17:00 Aプロ
会場:愛知県芸術劇場 大ホール

■出演者
マニュエル・ルグリ(ウィーン国立バレエ団芸術監督、元パリ・オペラ座バレエ団 エトワール)
イザベル・ゲラン(元パリ・オペラ座バレエ団 エトワール)
マリアネラ・ヌニェス(英国ロイヤル・バレエ団 プリンシパル)
ワディム・ムンタギロフ(英国ロイヤル・バレエ団 プリンシパル)
オルガ・スミルノワ(ボリショイ・バレエ プリンシパル)
セミョーン・チュージン(ボリショイ・バレエ プリンシパル)
エレナ・マルティン
パトリック・ド・バナ 
ニーナ・ポラコワ(ウィーン国立バレエ団 プリンシパル)
デニス・チェリェヴィチコ(ウィーン国立バレエ団 プリンシパル)
ナターシャ・マイヤー(ウィーン国立バレエ団 ソリスト)
ニーナ・トノリ(ウィーン国立バレエ団 ソリスト)
ニキーシャ・フォゴ(ウィーン国立バレエ団 ソリスト)
ヤコブ・フェイフェルリック(ウィーン国立バレエ団 ソリスト)
ジェロー・ウィリック(ウィーン国立バレエ団 デミ・ソリスト)
ジェームズ・ステファン(ウィーン国立バレエ団 デミ・ソリスト)

2017/07/24

KARAS APPARATUS 4周年とアップデイトダンスNo.48「イリュミナシオン」

勅使川原三郎さん率いるKARASのスペース、KARAS APPARATUSの開場4周年を祝う記念公演、アップデイトダンスNo.48「イリュミナシオン」が上演中です。早速二日目の公演を観に行きました。
http://www.st-karas.com/camp0713-2/

夏から夏への移動、太陽から太陽へ回転する太陽が溶けて作られた地球神話。

一昨日、充実のニューヨーク公演から東京 荻窪 に戻りました。
アパラタス開場4周年を祝う記念公演が、明後日から始まります。
「イリュミナシオン」という名のダンス。

フランスの詩人アルチュール ランボーの詩集「イリュミナシオン」を主軸に
したダンス詩。異なった時代、地域、言語を超えて放たれた詩は、無数の身体
を射た後に私の身体を貫通する。

ここに生じるアブストラクトなアクションは、「人間一生の青春期の輝ける怒り
と抗議と希望」を振りかざす。
微熱ではない灼熱の太陽のような発熱は身体を震わせ空気を波打たせる。

この作品もまた不可能への挑戦だとしても、私は公演せざるを得ないのです。

勅使川原三郎 2017/7/19

Updatedance48_photo_by_akihito_abe


勅使川原三郎さんとKARASは、オーレリー・デュポンと共にニューヨークのリンカーンセンター・フェスティバルで「Sleeping Water」の公演を行い、主要紙でも好意的な批評を得て成功を収めました。

Financial Times (星4つ)
https://www.ft.com/content/1809fec4-6adb-11e7-b9c7-15af748b60d0

New York Times
https://www.nytimes.com/2017/07/14/arts/dance/dance-review-teshigawara-dupont-sleeping-water-lincoln-center-festival.html

勅使川原さんの作品を踊ることについての、オーレリー・デュポンのインタビュー記事
https://www.nytimes.com/2017/07/11/arts/dance/aurelie-dupont-learns-to-breathe-and-be-free-again.html

そのニューヨーク公演から帰ってすぐに、またまったく違った新しい作品を生み出す勅使川原さんの創造性には驚くばかりです。KARAS APPARATUSという小さな空間ならではの完璧な光のコントロールと絶妙な明暗の表現と切り取り。暗闇の中に浮かび上がる人の姿。ノイズとジミ・ヘンドリックスの音楽。ランボーの詩にインスピレーションを得た作品ではあるけど、予想を裏切る、ロックでアヴァンギャルド、だけど決して独りよがりではなくて、ドキッとさせられるとても面白い作品。テキストを表現するのにこう来たか!と。小さな舞台であるようでいて、結構大きな奥行きをしっかりと活かした立体感もあります。勅使川原さん、どれだけたくさんの引き出しを持っているのか。ダンスという枠組みにとらわれない、一つのコンテンポラリー・アート作品でもあります。


「イリュミナシオン」のあと、8月24日より東京芸術劇場で「月に吠える」の公演がありますが、11月までアップデイト・ダンスの公演はありません。

10月25日から、パリ・オペラ座バレエにおいて、勅使川原さん振付の新作が上演されるので、その準備にかかるからです。エサ・ペッカ・サロネンのヴァイオリン・コンチェルトに振付けた作品で、10月中の公演はサロネン自身が指揮、諏訪内晶子さんがヴァイオリン演奏という豪華版です。

「イリュミナシオン」、必ずや新しい発見がある、面白い作品です。ぜひこの特別な空間で、日々成長していくダンスを目撃していただければと思います。いつの間にかアップデイト・ダンスシリーズも48作品となったのですね。


アパラタス開場4周年を祝う

夏から夏へ、太陽から太陽へ、月から月へ、太陽と海、月と木々が溶け
合って作られた地球神話のひとつにアパラタスの誕生がある。

(かなり大げさ!過大な飛躍!たった4年じゃん!ま、そう、そのとおり)

2013年の年明け時、その先何が起きるか知るよしも無しの元日初日の出。
変わらぬ貧しい公演状況を打ち破る方法は無いのかと不満の日々。
冬の晴天の下、我々の頭上近くに垂れ込める黒々と重苦しく息苦しい厚い雲。
深夜、私はいたたまれず佐東利穂子に電話した。
「これからぼくは劇場を持つぞう!」と叫んだ。翌朝、連絡がきた。
「あったよ」「えっ?」「劇場が見つかった」「えええっ!」
それがアパラタスのはじまり。

半年かけて内装、下水、舞台、多くの方々の理解協力のもとすべてを整えた。
説明会、開場パーティ、イベントなど企画し丁寧に公演に向けて準備した。
公演の名称を「アップデイト ダンス シリーズ」と呼ぶこと。
一作品毎の公演回数をなるべく多くすること。
再演を必ず行い作品を成長させること。
他の劇場との協力を念頭にもつこと。
世界に開かれた地域と個人の公共性を確立すること。
等々を確認し地下2階地上1階のアパラタス号は船出した。
それが4年前というわけ。

アパラタスは常に移動しつづける。
地下の暗闇こそ光の起源。
嵐が来ようが日照りであろうがこの生き地獄を我が腕の中に抱え込み。
アパラタスは避難所ではない。
アパラタスは闇から生えた黄金の翼だ。
時という母親から生を受けた我らの身体を無駄にしてはならない。
父から得た呼吸器は全世界の空気を吸いに旅立つ。
我らには時間と空気がある。
身体は無記名の見知らぬ乗客かもしれない。
ランボーの言葉がここにある。「俺は他人だ」
他人であってこそ私だ。
私はいつだってダンスを捨て去ろう。
しかし今私はあなた方とダンスをしたいのだ、と。
今後もどうぞアパラタスをよろしくお願いします。
私は止めません。
仲間と進んでいきます。
どうぞご一緒に。

勅使川原三郎
KARAS一同
2017/07/21

出演 佐東利穂子 勅使川原三郎
演出 / 照明 勅使川原三郎

【日時】2017年 
7月21日(金) 20:00
7月22日(土) 20:00
7月23日(日) 16:00
7月24日(月) 20:00
7月25日(火) 休演
7月26日(水) 20:00
7月27日(木) 20:00
7月28日(金) 20:00
7月29日(土) 16:00
*開演30分前より受付開始、客席開場は10分前

 【会場】カラス・アパラタス/B2ホール
〒167-0051杉並区荻窪5-11-15 F1/B1/B2

【問合せ】
TEL. 03-6276-9136 (カラス・アパラタス)

2017/07/22

バレエ・アステラス ニコライ・ツィスカリーゼによる公開クラスレッスン

海外で活躍する日本人バレエダンサーを迎えての「バレエ・アステラス2017」が22日(土)に開催されます。
http://www.nntt.jac.go.jp/ballet/performance/28_010272.html




7月19日に特別に、ワガノワ記念ロシア・バレエ・アカデミーの校長ニコライ・ツィスカリーゼ氏によるクラスレッスンの見学会が開催されました。
http://www.nntt.jac.go.jp/ballet/training/news/detail/27_010818.html


バレエ・アステラスでは、日本における《セゾン・リュス(ロシアの季節)》の一環として、ワガノワ・アカデミーの生徒たちによる「人形の精」(ツィスカリーゼ改訂振付)が上演されるためです。

こちらの見学会を観てきました。ワガノワ・アカデミーからは、女子生徒6人、男子生徒2人が参加。この他、新国立劇場バレエ研修所の研修生のみなさん、そしてバレエ・アステラスの出演者の一部(影山茉以さん、ダヴィッド・チェンツェミエック、菅野茉里奈さん、リシャト・ユルバリゾフ、高野陽年さん、ルーゼンバーグ・サンタナほか)も参加していました。

ツィスカリーゼの指導は、とても基本を大切にするもの。バーレッスンでは特にポール・ド・ブラを丁寧に指導していました。前へのカンブレの時には腕が先とか、肩甲骨を意識すること、アン・バーやアン・ナヴァンの時の腕の位置、アン・オーの時にはつむじの上に腕を配置することなど。生徒の身体をきちんと修正したりするので、わかりやすくてとても参考になります。

センターレッスンでは、自身でお手本も見せてくれました。体型はふくよかになったものの、さすがにポジションは美しいです。グランジュッテの時の腕と脚の出し方などを細かく指導していました。

ワガノワの生徒たちは、女子は薄茶色のシックなレオタードとスカートを着用。さすがにみんな美しいですが、特に「人形の精」で主役を踊るマリア・ホーレワは体型、技術とも抜きんでています。男子2人もとても優秀でつま先がとても美しい。でも新国立劇場バレエ研修所の生徒さんたちも、プロポーションは美しい。また、さすがにバレエ・アステラスの出演者たちは、プロであるので見せ方はやはり上手いです。


*****
クラスレッスン終了後、ニコライ・ツィスカリーゼへの質疑応答がありました。

ボリショイ・バレエで長年プリンシパルとして活躍してきたツィスカリーゼが、別のメソッドを採用するワガノワ・アカデミーの校長となり、戸惑いはなかったのかという質問に対して

「ボリショイ・バレエを退団してからすぐにワガノワの校長になったのではなく、2年間、バレエ教師を育てる学校で教育を受けました。その前にも、4年間、教師になるための教育を受けています。また、2年間、労働法の勉強をして学位をとりました。バレエの専門知識だけではなく、マネジメント、経営、指導のための教育を受けてきたのです。

ダンサーを続けていくことには限りがあります。理想とする踊りができなくなってきて、次のステップに行くべきかと考え、教育を現役のうちからやってきました。それまでも、現役を続けるのは21年間と周囲にも話してきて、実際に21年で辞めたわけです。ダンサーを辞めるのはつらかったです。ボリショイ入団11年目から、少しずつ教える仕事を続けていて、自分が教えた生徒が今はボリショイのスターダンサーになっています。(デニス・ロヂキンなど)

ボリショイとワガノワのスタイルの違いについてですが、最初にジョージア(グルジア)のトリビシでバレエ教育を受けてから、ボリショイに移りました。トリビシの教師たちはワガノワメソッドの教育を受けており、モスクワ派ではなかったのです。

ボリショイ時代でもマリインスキー・バレエのゲストプリンシパルを務めました。そして2006年には、ニコライ・ツィスカリーゼの夕べをマリインスキー劇場で行いました。他の劇場で活躍したダンサーを称える夕べは、マリインスキー劇場300年の歴史の中でもなかったことです。

ボリショイ劇場とマリインスキー劇場は、舞台のサイズはちょっと違っていて、慣れるのには時間がかかります。ボリショイ劇場は、この劇場(オペラパレス)より少し大きくて間口が広くて高さがあります。「眠れる森の美女」のマズルカで、主役たちが登場し王子とオーロラが中央にいる時のステップと動きは、ボリショイ劇場とマリインスキー劇場では大きな違いがあります。マリインスキーは舞台が狭いですが、ボリショイでは目いっぱい踊ります。(と動きを実演する)スタイルと動きの違いがここにあります。

ガリーナ・ウラノワは36歳でマリインスキーからボリショイに移籍し、同じレパートリーを両劇場で踊っています。彼女についての本でも書かれていることですが、移籍する時にボリショイ・バレエはレパートリーやメイクまでも見直して変えました。

ボリショイは劇場が大きいので客の表情が見えませんが、マリインスキー劇場は小さいのでお客さんの顔が見えます。ディアギレフがあくびをしたのも舞台から見えたそうです。バレエは総合芸術なので劇場によって見え方が違うため、空間の中で自分をどう見せていくかの違いがあります」


ミハイロフスキー・バレエで「ラ・フィユ・マル・ガルデ」を踊るのを観た方から、日本でまた踊ってくれる可能性はあるのかという質問に対して。

「かつてダンサーだったことを思い出すために舞台を踏むことがあります。今は、逆に舞台に立つのが楽しみになってきました。『ラ・フィユ・マル・ガルデ』を日本で踊ってほしいという要望があり、呼んでくれるところがあれば踊りたいと思います」


ツィスカリーゼの受け答えにはとても知性とユーモアが感じられました。彼がワガノワ・アカデミーの校長に就任する時には賛否両論がありましたが、アカデミーの教師となるために計画的にしっかりと勉強をしてきて周到に準備をしてきたのがわかりました。優秀な生徒も輩出されてきており、今のところはうまくいっているように見受けられます。

「私にとって日本はとくに大切」
https://jp.rbth.com/arts/2017/07/21/807752

ワガノワ記念ロシア・バレエ・アカデミーの校長ツィスカリーゼによるクラスレッスン公開(クラスレッスンの模様の写真あり)
http://ebravo.jp/archives/35887

ワガノワ・アカデミーのマスタークラスが7月~8月に開催されます。
http://www.arstokyo.co.jp/general/archive/2017/workshop/

2018年にワガノワ・アカデミーは「くるみ割り人形」「人形の精/パキータ」の来日公演を行います。
http://www.arstokyo.co.jp/organizer/archive/2018/nutcracker.html
http://www.arstokyo.co.jp/organizer/archive/2018/the_fairy_doll-paquit.html

クレムリンでのワガノワ・アカデミーの公演についてのルポルタージュ映像


ワガノワ・バレエ・アカデミー バレエに選ばれた子どもたちの8年間 [DVD]ワガノワ・バレエ・アカデミー バレエに選ばれた子どもたちの8年間 [DVD]

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2017/07/21

ロイヤル・バレエ来春の「冬物語」「ジゼル」のキャスト

ロイヤル・バレエは2016-17シーズンが終わりましたが、来シーズンの演目のうち、まだ主演が発表されていなかった公演のキャストが発表されています。

「冬物語」
http://www.roh.org.uk/productions/the-winters-tale-by-christopher-wheeldon

「ジゼル」
http://www.roh.org.uk/productions/giselle-by-peter-wright

「冬物語」は、先日終わったばかりのオーストラリア、ブリスベン公演でも上演された作品です。ポーリーナ役を演じていたゼナイダ・ヤノウスキーが引退し、またレオンテスを演じていたベネット・ガートサイドはプリンシパル・キャラクター・アーティストとなったため外れました。

注目は、怪我で長らく舞台から遠ざかっていて、2016-17シーズンの終盤で少しずつ舞台に復帰していた金子扶生さんが、ハーマイオニー役に抜擢されたことです。2月24日と3月21日に出演します。レオンテス役はフェデリコ・ボネッリ。(ペルディータ役は高田茜さん)

また、オーストラリア公演で、怪我をしたティアゴ・ソアレスの代役としてレオンテス役を演じた平野亮一さんが、今回は最初からキャスティングされています。2月16日と3月20日、ハーマイオニー役はクレア・カルヴァート。

レオンテスの友人、ボヘミア王ポリクセネス役を、「バレエ・ボーイズ」のルーカスが演じます。この役、他にもリース・クラークやマシュー・ボールなど若手が演じる予定となっており、世代交代を印象付けます。


「ジゼル」で大きな話題となりそうなのが、ナタリア・オシポワが主演する回で、デヴィッド・ホールバーグがゲスト出演することです。このペアは、以前ABTで共演して素晴らしいパートナーシップだと絶賛されました。

また、前回の上演ですでに踊っているものの、高田茜さんがジゼル役(アルブレヒトはスティーヴン・マックレー)、平野亮一さんがアルブレヒト役(ジゼル役はサラ・ラム)を踊る予定となっています。それぞれ2回ずつ踊ります。

今回プリンシパルに昇進したヤスミン・ナグディ、そしてやはり若手プリンシパルのフランチェスカ・ヘイワードがジゼル、またマルセリーノ・サンベがアルブレヒト役デビューをします。


「冬物語」はオーストラリアへのツアー公演でも上演されたことですし、次のロイヤル・バレエの来日公演にもぜひ持ってきてほしい演目ですね。このように日本人キャストが、演劇的な作品で活躍するのをぜひ観てみたいなと思います。「冬物語」はナショナル・バレエ・オブ・カナダで上演されたのを観ていますが、実際の舞台はDVDの映像よりずっと面白い作品となっています。

2017/07/15

『パリ・オペラ座 夢を継ぐ者たち』エトワールインタビューコメント

パリ・オペラ座バレエが、その輝かしい伝統を継承していく姿を舞台裏から捉えたドキュメンタリー映画『パリ・オペラ座 夢を継ぐ者たち』が7/22(土)よりいよいよ公開となります。

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http://backstage-movie.jp/

古今東西、世界中のダンサーが憧れ、バレエファンに愛され続けているバレエの殿堂“パリ・オペラ座”。
創立から356年という長きに渡り、なぜ“パリ・オペラ座”が最高峰であり続けてきたのか? それはダンサー個人の素質や才能だけでなく、“オペラ座”の伝統を伝えようとする指導者たちの情熱だった!

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本編内に登場するパリ・オペラ座バレエ団、最高位であるエトワールを務める人気ダンサー、アマンディーヌ・アルビッソンとジョシュア・オファルトから、同バレエ団で活躍する気鋭の日本人ダンサー、オニール八菜について、そしてバレエを学ぶ子どもたちへの温かい応援メッセージが届いています。


■アマンディーヌ・アルビッソン(エトワール) 

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1989年生まれ。1999年にパリ・オペラ座学校に入学し、2006年にパリ・オペラ座バレエ団に入団。2014年、25歳の若さでエトワールに任命される。伸びやかな長身を生かして「白鳥の湖」オデット/オディール役など古典作品から、ミルピエ振り付け「ダフニスとクロエ」など現代作品も得意とし、幅広いレパートリーを持つ。

Q:本作内「ラ・バヤデール」で共演したオニール八菜さんについては?

彼女については良いことしか語れません。優しくて心が広く、気持ちがシンプルで潔い人です。おそらくこれから素晴らしいキャリアを歩む、大きな可能性に満ちていると思います。

Q:あなたが考えるパリ・オペラ座の伝統と魅力とは?

クラシック・バレエや現代的なヌレエフの作品などの演目そのものを受け継いでいくこと、そしてダンサーたちの実力も伝統だと思います。私たちには古典も現代作品も、同じようにたやすく踊らなければならない使命があります。

オペラ座は仕事場として世界一美しい場所です。私はオフィスと呼んでいますが(笑)毎朝出勤する時に見上げて、なんて私は恵まれているんだろうと思います。


Q:オペラ座に憧れるバレエを学ぶ子どもたちに伝えたいことは何でしょうか。

とにかく踊ることを、情熱をもって思い切り楽しんでほしいです。ただ、バレエはすごくハードです。毎日休むことなく努力するという覚悟が必要です。ただ、それを続けて形にすることができたときには、信じられないような感覚を舞台で味わうことができるので、ぜひそのことを知ってほしいです。

■ジョシュア・オファルト(エトワール)

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1998年、パリ・オペラ座学校に入学。2002年に18歳で同バレエ団に入団し、スジェ時代から王子役など主役を踊る。2012年、エトワールに任命。自身のダンスウェアブランド「Hoffalt」のデザインを手がけ、世界中のダンサーから愛用されている。

Q:エトワールとしての責任感と誇りとは?

エトワールであることは、自分に自信を与えてくれることもありますが、役によっては、責任の重みを感じ過ぎて負担になってしまうこともあります。宝石店のショーウィンドーに飾ってある旬の宝石がエトワールだと感じていて、自分はパリ・オペラ座のそれだという意識でいつも踊っています。

Q:パリ・オペラ座を目指す子どもたちに伝えたいメッセージは?

可能性というのはどこまでもあるものです。“ここまでしかできない”とは決して思わないでほしい。僕自身、裕福でない家庭に生まれ、まさかパリ・オペラ座バレエ団の一員として世界中で踊る日が来るとは思っていませんでした。何でもできるんだよ、と伝えたいです。ダンスに限らず、情熱をもって打ち込めるものを見つけてほしいと思います。

*******
こちら2名のエトワールのインタビューについては、今年3月のパリ・オペラ座バレエ来日公演の際に、私が取材をさせていただきました。より詳しいインタビューについては、劇場用パンフレットに掲載されていますので、ご覧いただければ幸いです。劇場用パンフレットでは、他に演目紹介、出演者紹介も書かせていただいています。

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監督:マレーネ・イヨネスコ 『ロパートキナ 孤高の白鳥』

出演:マチュー・ガニオ/アニエス・ルテステュ/ウリヤーナ・ロパートキナ/オニール八菜/バンジャマン・ペッシュ/ウィリアム・フォーサイス

2016/フランス/86分/原題:BACKSTAGE/字幕翻訳:古田由起子/字幕監修:岡見さえ

配給:ショウゲート/協力:(公財)日本舞台芸術振興会 ©Delange Production 2016

公式サイト:backstage-movie.jp

7/22(土)よりBunkamuraル・シネマほか全国順次ロードショー


2017/07/14

映画『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣』劇場パンフレット

明日(7月15日)から公開される、映画『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣』

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ロイヤル・バレエを電撃退団したセルゲイ・ポルーニンの、幼少時から現在に至るまでの軌跡を追ったドキュメンタリーで、天才ゆえに呪われ傷ついた青年の、人生の葛藤を描いたものとなっています。挿入されるダンスシーンも素晴らしいのですが、バレエファン以外にも楽しめる普遍的な成長譚で、とても心を動かされました。

こちらの作品の劇場用パンフレットに、作品の中に登場するバレエ作品の解説を2ページ書かせていただいています。とても美しいパンフレットに仕上がっており、ポルーニンのインタビュー始め他の著者の方による文章も読み応え十分です。よろしければぜひお求めください。


なお、7月17日には、映画の公開を記念したトークイベントがあります。草刈民代さんと乗越たかおさんの対談です。

『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣』公開記念トークイベント

■日付:2017年7月17日(月・祝)
■時間:10:30の回上映後 
■会場:Bunkamura ル・シネマ
■ゲスト:草刈民代(女優) 
[聞き手]:乗越たかお(舞踊評論家)

※対象回は予告編の上映がございません。お時間までにご着席ください。
※対象回のお座席指定券をご購入いただいた方がご参加頂けます。

http://www.uplink.co.jp/dancer/

「ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣」
監督:スティーヴン・カンター
『Take me to church』演出・撮影:デヴィッド・ラシャペル
2016年/イギリス・アメリカ/85分
配給:アップリンク・パルコ

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2017/07/09

ロイヤル・バレエの昇進発表 ヤスミン・ナグディがプリンシパルに、マシュー・ゴールディングが退団

オーストラリア、ブリスベンでツアー公演中のロイヤル・バレエ。昇進発表が行われました。

http://dancetabs.com/2017/07/news-royal-ballet-promotions-joiners-and-leavers-201718-season/

ヤスミン・ナグディがプリンシパルに昇進しました。

2010年にロイヤル・バレエに入団したナグディは、眠れる森の美女のオーロラ、ロミオとジュリエットのジュリエット、オネーギンのオルガ、くるみ割り人形の金平糖の精などを既に踊っています。イランとイギリスの血が入った、愛らしい容姿と高い技術を持ち合わせて、次世代のスターとして期待されています。

クリスティナ・アレスティス、ベネット・ガートサイド、トーマス・ホワイトヘッド、クリステン・マクナリーがプリンシパルキャラクターアーティストに昇進しました。
それぞれのダンサーは、キャラクター役の経験豊富で、演技力に定評があります。ロイヤル・バレエの魅力は、これら芸達者なキャラクター・アーティストたちにあると言ってもいいでしょう。

マシュー・ボールマルセリーノ・サンベがファースト・ソリストに、リース・クラーク、ベンジャミン・エラ、アンナ・ローズ・オサリバンがソリストに昇進します。
このあたりも若手の期待株であり、マシュー・ボールやマルセリーノ・サンベはすでに主役を踊っていますね。マルセリーノ・サンベ、ベンジャミン・エラはバレエ・スプリームで来日します。

すでに発表されていましたが、ウィリアム・ブレイスウェルがバーミンガムロイヤル・バレエより、ソリストとして入団します。

Hannah Grennell, Calvin Richardson, Gina Storm-Jensen, David Yudes
がファースト・アーティストに昇進します。

こちらもすでに発表されていますが、Giacomo Rovero, Francisco Serrano、Charlotte Tonkinsonの3人が研修生から正団員(アーティスト)に、Joonhyuk Jun, Joshua Junker, 前田紗江さん, Nadia Mullova-Barley, Aiden O’Brien、Amelia Palmieroが研修生として入団します。

Stanislaw Wegryznがローザンヌ国際バレエコンクール研修生として入団します。

また、休職してドレスデン・バレエで活動していたメリッサ・ハミルトンがファースト・ソリストとして復帰します。


一方で、プリンシパルのマシュー・ゴールディングは退団します。ゲストダンサーとして活躍した後、2014年に入団しましたが、最近はほとんど舞台に立っていませんでした。

ゼナイダ・ヤノウスキーは23年在籍しましたが、オーストラリア公演を最後に退団します。

15年間在籍したヴァレリー・ヒリストリフは、ロイヤル・バレエスクールの教師となるために退団します。やはり17年間在籍したヨハネス・ステパネクは、オペラとダンスのキャリアへと移行するために引退します。ファースト・アーティストのヘイリー・フォースキットは引退し、アーティストのソロモン・ゴールディングはサンフランシスコ・バレエに移籍します。


なお、
ヤスミン・ナグディは、8月にゲイリーン・ストック・メモリアル・アワードのワークショップで来日して若手ダンサーを指導します。
http://www.gsma.jp/

2017/07/08

ABTの昇進発表、サラ・レーン、デヴォン・トゥッシャー、クリスティーン・シェフチェンコがプリンシパルに

ABT(アメリカン・バレエ・シアター)は恒例のMETシーズンを7月8日で終えますが、シーズン終了直前に昇進の発表がありました。

サラ・レーン、デヴォン・トゥッシャー、クリスティーン・シェフチェンコがプリンシパルに、カルヴィン・ロイヤルIIIがソリストに昇進しました。

https://www.nytimes.com/2017/07/07/arts/dance/american-ballet-theater-promotes-4-dancers.html

今回昇進した4人は、全員が長年ABTで活躍してきた、いわば生え抜きのダンサーたちです。

サラ・レーンは2003年に研修生として入団し、2007年にソリストに昇進しました。ナタリー・ポートマンがアカデミー賞主演女優賞を受賞した映画「ブラック・スワン」で、ポートマンの吹き替えを行った件で有名になりました。身長が150cm台と小柄だったため、なかなか役に恵まれませんでした、ABTではエルマン・コルネホやダニール・シムキンといった小柄なプリンシパルがいて相手役を務め、今年のMETシーズンではマリア・コチェトコワの怪我降板もあって、「ジゼル」と「白鳥の湖」で主演しました。特に「ジゼル」では高い評価を得ました。

デヴォン・トゥッシャーは2007年に入団し、2014年にソリストに昇進しました。長身で美しいラインの持ち主であるトゥッシャーは、今年は「白鳥の湖」のオデット/オディール役を初めて演じて、表現力も技術も絶賛されました。

クリスティーン・シェフチェンコはウクライナ生まれですが、8歳でアメリカに移ります。もともとは新体操の選手でした。2006年にABTに入団して2014年にソリストに昇進しています。今年は「ドン・キホーテ」のキトリや「ジゼル」のミルタ役を演じました。

カルヴィン・ロイヤルIIIは、ABTのスタジオカンパニーを経て、2010年に研修生、2011年には正団員となります。アフリカ系で長身、とてもハンサムで強靭かつ優雅さもあるダンサーです。今年は、「白鳥の湖」の、3幕で登場する美貌のロットバルト役と「ドン・キホーテ」のエスパーダを演じました。まだコール・ド・バレエだったのかと驚かれる存在感がありました。

今年昇進したダンサーたちはいずれも実力派で、順当な昇進といえます。特に主役も多く演じてきて熱心なファンが多かったサラ・レーンが、長年の苦労が報われてついにプリンシパルとなったことで、喜こばしいことです。


ABTはしばらく来日公演がありませんでしたが、最近ではラトマンスキー振付の「ホイップクリーム」などの話題作もあり、久々に日本でも観られたらうれしいと思います。


一方で、今年は6月にディアナ・ヴィシニョーワがABTを去りました。以前もお知らせしたとおり、ヴィシニョーワは引退したわけではなく引き続きマリインスキー・バレエや自らのプロジェクトで踊りつづけます。

また、今秋突然に、同じくロシア出身のプリンシパル、ヴェロニカ・パールトが退団することが発表されました。
https://www.nytimes.com/2017/07/03/arts/dance/veronika-part-american-ballet-theater-announces-her-retirement.html

ワガノワ・アカデミーを経てマリインスキー・バレエのソリストからABTに移籍したパールトは、当初は美しいながらも技術的に不安定なところもありましたが、近年はその弱点も克服して成熟したダンサーとなっており、「白鳥の湖」のオデット/オディールに定評があって根強い人気がありました。しかし、上記ニューヨークタイムズの記事によれば、今回の退団は、39歳となった彼女の契約が更新されなかったからであったからとのことです。そのため、一部のファンは退団させないための署名活動を行っています。パールトの最後の公演は、7月8日マチネの「モーツァルティアーナ」です。

2017/07/07

パリ・オペラ座バレエ 外部入団試験の結果(速報、後で追記予定)

パリ・オペラ座バレエ 外部入団試験が7月6日に行われしました。

なかなか結果が出るのに時間がかかりましたが、2名の合格が発表されています。

Seo-Hoo Yun
Naïs Duboscq

二人とも女子です。
Seo Hoo Yunは昨年4位で、その前の年は7位。2014年ヴァルナ国際コンクールでジュニア1位、2011年のYAGPファイナルで1位でした。すでに2015年より期間契約団員としてオペラ座で踊っています。
英語の記事
http://english.donga.com/List/3/08/26/536165/1

Naïs Duboscqは、昨年2位(その前の年は9位)で、同じく期間契約団員としてオペラ座で踊っています。2015年にオペラ座学校を卒業しているそうです。
https://www.instagram.com/naisdub/?hl=fr

女子の順位


1. See-Hoo Yun (入団)
2. Naïs Duboscq (入団)
3. Chelsea Adomaitis
4. Nine Seropian
5. Chloé Réveillon
6. Hohyun Kang
7. Manon Boulac
8. Margaux Gaudy-Talazac
9. Shanti Mouget
10. Adèle Belem
11. Eriko Nakajima
12. Philippine Flahaut
13. Margherita Venturini
14. Jeanne Palayret
15. Emilia Sambor
16. Carlotta Onesti
17. Anouck Vallez
18. Lucy Eliott

現在オペラ座の契約団員である中島映理子さんは11位でした。また、エトワール、カロル・アルボの娘であるアデル・ベレム(やはり期間契約団員)は10位。なかなか厳しいですね。


男子は合格者なしです。

01. Joseph Aumer
02. Guillaume Diop
03. Nikolaus Tudorin
04. Haruo Niyama
05. Emmanuel Vazquez
06. Xavier Alberto Nunez Vazquez
07. Loup Marcault-Derouard
08. Gaétan Vermeulen
09. Noam Durand
10. Manuel Garrido
11. Giacopo Giarda
12. Anicet Marandel
13. Paul Delanoë
14. Victor Prigent
15. Nathan Bisson
16. Tristan Ridel
17. Rémy-Hugo Buyens
18. Simon Yoshida
19. Mathéo Bourreau
20. Davide Battistoni

二山治雄さんは今年も受験して、4位と順位が上がっています(昨年は7位)。また期間契約団員となる可能性もある順位ですね。1位のJoseph Aumerはロイヤル・バレエスクール出身で、ロイヤル・バレエの研修生にも合格していましたが、昨年は3位でオペラ座の契約団員の方を選んでいました。18位のSimon Yoshidaさんは、2009年にローザンヌに出場し、クロアチア国立バレエのソリストをされている吉田司門さんかな?(自信なし)

7月17日(月)(16日(日)深夜)NHK-BSプレミアムシアターの放映

7月17日(月)【7月16日(日)深夜】午前0時50分~のNHK-BSプレミアム、プレミアムシアターの放映はとても興味深いです。

http://www4.nhk.or.jp/premium/

◇ノルウェー国立バレエ『幽霊』

◇ドキュメンタリー『イリ&オットー プラハが生んだ双子のダンサー』
◇イリ&オットー・ブベニチェク振付 バレエ『オルフェウス』

◇ノルウェー国立バレエ「幽霊」
<演 目>
バレエ「幽霊」 (全1幕)
<振 付>シーナ・エスペヨールド
<音 楽>ニルス・ペッター・モルヴェル

<出 演>
オスヴァル/アルヴィング陸軍大尉(オスヴァルの父):アンドレアス・ヘイセ
アルヴィング夫人(オスヴァルの母):カミーラ・スピッツオー
牧師マンデルス:オーレ・ウィリー・ファルクハウゲン
レギーネ(召使):グレーテ・ソフィーエ・ボールンド・ニューバッケン
指物師エングストラン(レギーネの継父):稲尾芳文
ノルウェー国立バレエ団
ノルウェー国立バレエ学校

<演 出>マーリット・モーウム・アウネ

収録:2017年2月20・21日 オスロ・オペラハウス(ノルウェー)

イプセンの「幽霊」が原作。音楽のニルス・ペッター・モルヴェルはノルウェー人のトランペット奏者とのことです。
http://operaen.no/en/Performances/Arkiv/Ibsens-Ghosts/


◇ドキュメンタリー「イリ&オットー プラハが生んだ双子のダンサー」
<出 演>
イリ・ブベニチェク
オットー・ブベニチェク


◇イリ&オットー・ブベニチェク振付 バレエ「オルフェウス」
<演 目>
バレエ「オルフェウス」
<振 付>
イリ・ブベニチェク
オットー・ブベニチェク

<出 演>
イリ・ブベニチェク
オットー・ブベニチェク
アンナ・ヘルマン
ツォンゴール・カッサイ
テレジエ・コヴァロヴァ(チェロ)
アナベレ・デュガス(バイオリン)

<照 明>ヤクプ・スロウプ
<衣 装>ドミニカ・クンツマンノヴァ

収録:2016年9月28日 ニュー・ステージ(プラハ)
http://www.snd.sk/?ballet&predstavenie=orfeus

こちらは「オルフェウス」のドキュメンタリー映像です。(オットー・ブベニチェクが監督)

*****
なお、クラシカ・ジャパンでも、イリ&オットー・ブベニチェク兄弟のガラ公演の放映があります。

バレエ・ブベニチェク2014
http://www.classica-jp.com/feature/201707/03.html

初回放送
7月17日(月・祝) 21:00~22:55

[演目]ル・スフレ・ドゥ・レスプリ~魂のため息~(オルガとマリーに捧げる)
[演目]トッカータ(イローナに捧げる)
[演目]牧神
[演目]ドリアン・グレイの肖像(オットー・ベルティスに捧げる)

2013年1月に東京で行われた「ブベニチェク・ニューイヤー・ガラ」でも上演された作品です。

こちらの映像は、イリ&オットー・ブベニチェク兄弟の公式サイトでDVDを購入することができます。
http://bubenicek.eu/LBB_shop.html

2017/07/06

7/8(土) エヴァン・マッキー スペシャルトークセッション 追加情報

シュツットガルト・バレエ団プリンシパルを経て、現在カナダナショナルバレエ団プリンシパル、パリオペラ座バレエ、ボリショイ・バレエ、マリインスキー・バレエにゲストプリンシパルダンサーとして世界的に活躍しているエヴァン・マッキーをスタジオアーキタンツに招いてのトークセッションがあることは、先日もお知らせしました。

http://a-tanz.com/11068

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自身が今まで経験してきた様々な苦難な出来事からプロフェッショナルダンサーとして成功するまでの道のり、数々の有名な振付家との出会い、キャリアアドバイス、身体の仕組みや栄養学などについて、未来のダンサー達に向けてアドバイスをしながら質疑応答も含め2時間のトークセッションです。私が通訳を務めさせていただきます。

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さて、このトークセッションでは、エヴァン・マッキーが製作したカレンダーの販売も行います。「オネーギン」、「冬物語」のレオンテス、「眠れる森の美女」、「ジゼル」のアフブレヒト、「オテロ」のイアーゴ、「ニジンスキー」のディアギレフ、「ロミオとジュリエット」のロミオなど、彼が演じて来た役を、元シュツットガルト・バレエ、ロイヤル・フランダース・バレエのダンサーであり現在は画家であるジェシカ・トルースデールが描いたもので、それぞれの作品や役柄に対する想いをエヴァンが綴っています。す。巻頭言は、カナダが生んだ偉大なバレリーナであるイヴリン・ハートが書いています。

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こちらのカレンダーの売り上げは全額、2018年のYAGP(ユースアメリカグランプリ)でエヴァンが出場者に提供するスカラシップに充てられます。

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<受講料>
当日スタジオにて、現金でお支払い下さい。
3,000円 (回数券も利用可)

<お申込み方法>
ご予約はスタジオ受付またはお電話、メールで受け付け致します。 メールでのお申込みの際は、以下の内容をご明記の上、問い合わせフォームをご利用ください。
① 講座名 Evan Mckie 『スターを目指すためのトークセッション』
② お名前(ふりがな)
③ お電話番号

会場・問い合わせ先
スタジオ アーキタンツ
東京都港区芝浦1-13-10 第3東運ビル4階 (地図)
TEL:03-5730-2732
※メールでのお問い合わせは、問い合わせフォームをご利用ください。

どなたでもお気軽にご参加いただけます。


以下はエヴァンからのメッセージです。

親愛なるみなさんへ

この週末、スタジオ・アーキタンツにおけるトークセッションとカレンダーの発売イベントを開催し、みなさんの来場をお待ちしています。
友人でダンサー、アーティストのジェシカ・トルースデールがぼくの演じてきた役を描いてくれ、それぞれの作品についてぼくが解説を書いています。
土曜7/8、17:30にスタジオアーキタンツで、今までのキャリアについて語り、Q&Aセッションを行いますのでぜひいらして下さい。
このカレンダーの売り上げはすべて2018年のYAGPで贈られるスカラシップに充てられます。
スタジオ・アーキタンツで、今週末のみ購入することができます。
また、以下の日程(土曜、日曜、月曜)でアーキタンツでオープンクラスの指導も行いますのでぜひいらして下さい。
カレンダーは2000円です。お支払いは現金のみです。

愛をこめて
エヴァン・マッキー

Evanbook3

7月8日(土) – 7月10日(月) 3日間限定でエヴァン・マッキーが通常のオープンクラスも担当します。
http://a-tanz.com/11237
7月8日 (土) 初中級バレエ 12:00-13:30
7月8日 (土) 初級バレエ 14:00 -15:30
7月9日 (日) 中級バレエ 10:15-11:45
7月9日 (日) 中級バレエ 12:00-13:30
7月10日 (月) ヴァリエーション 17:30-19:00

演目はライモンダ 3幕 ウェディングのヴァリエーションです。


パリ・オペラ座バレエ、内部入団試験の結果

パリ・オペラ座バレエ、内部入団試験が7月5日に行われ、合格者が発表されています。

http://www.forum-dansomanie.net/forum/viewtopic.php?t=7619

http://www.dansesaveclaplume.com/a-la-barre/431014-concours-de-recrutement-interne-2017-du-ballet-de-lopera-de-paris-les-resultats/

女子

1 - Bianca Scudamore, 昇進

2 - Bleuenn Battistoni, 昇進

3 - Emilia Sambor

4 - Manon Boulac

5 - Margherita Venturi

6 - Margaux Gaudy-Talazac


男子

1 - Alexandre Boccara, 昇進

2 - Milo Avêque, 昇進

3 - Samuel Bray, 昇進

4 - Jack Gasztowtt, 昇進

5 - Guillaume Diop

6 - Loup Marcault-Derouard


女子1位のBianca Scudamore,はオーストラリア出身で、2015年のローザンヌ国際コンクールのファイナリストでオペラ座学校のスカラシップを授与されています。YAGPファイナルでも2015年に3位に入賞しています。オペラ座学校の2016年12月の学校公演でも、際立っていたとのこと。

オーストラリア時代の記事
https://t.co/YIwO116cvm

ローザンヌ国際コンクールファイナルでの演技


7月6日には外部入団試験が行われます。5日の内部試験に合格しなかったオペラ座学校の生徒も受験することができます。

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2017/07/03

ニコラ・ル=リッシュがスウェーデン王立バレエの芸術監督に就任

パリ・オペラ座のエトワールだったニコラ・ル=リッシュがスウェーデン王立バレエの芸術監督に就任することが発表されていました。

プレスリリース(上記記事と同じ内容)
http://www.operan.se/pressmeddelanden/pressrelease/?itemId=2045742

http://www.mynewsdesk.com/se/kungliga_operan/pressreleases/french-ballet-star-to-head-royal-swedish-ballet-2045742

ニコラ・ル=リッシュは2014年7月にパリ・オペラ座を引退したのち、シャンゼリゼ劇場で振付芸術のためのアトリエLAACを設立し、夫人のクレールマリ・オスタとともに振付、若いダンサーへの指導、そしてダンサーとしての活動も続けていました。

ル=リッシュは今年の秋にスウェーデン王立バレエの芸術監督に就任するということです。

現在45歳のル=リッシュは、ベルリン国立バレエの芸術監督になるために退任するJohannes Öhmanの後任となります。Johannes Öhman同様、ル=リッシュは古典バレエにも現代作品にも壁を作らず、「それぞれ同じ芸術の形態です」と語っています。

「新作とともに、古典バレエも上演します。国内の、そして世界中の観客のためにも、幅広く時代を切り開くようなレパートリーを作りたいと思います。ダンスをダイナミックで生き生きとした芸術として私達ととともに発展させる、熟達したダンサーによって高められたレパートリーにします。それはリハーサル室でも、舞台上でも、です。そしてスウェーデン王立オペラのユニークで個性的な芸術性をともに引き上げられるように、劇場の音楽家とも密接に働きたいと思っています」

オペラ座を代表するエトワールとして、その高度な技術と芸術性の高さで名高かったル=リッシュ。彼の長年の友人であったフランスの俳優であり演出家であるギョーム・ガリエールは、「ニコラは虎のように跳躍し、天使のように舞い、猫のように着地する」と彼を表現しました。

ル=リッシュは1993年7月に、当時の芸術監督パトリック・デュポンに指名されてエトワールに任命。彼のために、マッツ・エック、イリ・キリアン、ウィリアム・フォーサイス、ジョン・ノイマイヤーなどの偉大な振付家たちが作品を振り付けました。シルヴィ・ギエムのパートナーを多く務め、また、ロイヤル・バレエ、ボリショイ、マリインスキー劇場、ミラノ・スカラ座、ニューヨークシティ・バレエなどに客演していました。

ル=リッシュは今年の秋からスウェーデン王立オペラ劇場に5年契約で就任することになります。8月に彼はストックホルムに引っ越すことになります。

オペラ座のエトワールは芸術監督として各地で活躍しています。トゥルーズ・キャピトル・バレエのカデル・ベラルビ、スペイン国立ダンスカンパニーのジョゼ・マルティネス、ウィーン国立バレエのマニュエル・ルグリ、そしてモスクワ国立音楽劇場バレエのローラン・イレール、ローマ歌劇場バレエのエレオノラ・アバニャートなど。ボルドーオペラ劇場バレエのシャルル・ジュドは残念ながら先日退任しました。

******
スウェーデン王立バレエといえば、最近では、マッツ・エック振付の「ジュリエットとロミオ」を上演し、ジュリエット役の初演キャストであった木田真理子さんがブノワ賞を受賞したことが記憶に新しいところです。1773年に設立されてヨーロッパでも最も古い劇場の一つです。木田真理子さん(現在休職中)、児玉北斗さん、山口真有美さんほか日本人ダンサーも数人所属しており、元ベジャール・バレエ・ローザンヌのダリア・イワノワ、ダヴィッド・クピンスキーもいます。古典から現代作品まで幅広いレパートリーとなっています。

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2017/07/01

ルグリ・ガラ、ルグリの世界初演新作ソロが完成/7/1、8にルグリはTOKYO FMに出演

今年8月に開催される、ルグリ・ガラ

このガラで世界初演を迎えるマニュエル・ルグリの新作ソロが完成しました。作品名は「Moment」、使用楽曲は、バッハ プレリュード ハ短調 BWV999バッハ(ブゾーニ編曲)と「トッカータ・アダージョ・フーガ」BWV564よりアダージョの2曲です。

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(c)AshleyTaylor

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(c)AshleyTaylor

振付は、ナタリア・ホレツナ。スロヴァキア出身で、ハンブルクバレエ学校からハンブルクバレエ団に入団し、ソリストとして活躍。2003年にスカピノ・バレエ・ロッテルダムに移籍し、さらに2006年にNDTに移籍、2012年に退団し、現在はフリーランスとして活動する、新進気鋭の振付家です。


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(c)AshleyTaylor

古典作品を踊るルグリの印象が強い中で、コンテンポラリー作品である本作は、ルグリの新たな一面を観ることができます。ホレツナの世界に自らの解釈をアクセントに加えながら、まだ見ぬ自身の可能性を広げ、ルグリの新たな挑戦は続いています。

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ルグリ・ガラではA、B両プログラムでの上演を予定しており、いずれもウィーン国立バレエ団専属ピアニストである滝澤志野さんのピアノ生演奏で踊られます。

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(c)AshleyTaylor

<滝澤志野さんのインタビュー>

―作品のテーマとタイトルの由来は?

滝澤:「ルグリの一瞬一瞬(moment)を表現していきたい」という会話の中から、「Moment」に決定しました。ストーリーは特にありませんが、情熱的である一方で、面白おかしい部分もある”素のルグリ”がそのままに表現されています。中でも特に強いのは、芸術に対する愛情ではないでしょうか。

-ルグリとホレツナのリハーサルに参加して印象的だったことは?

滝澤:これほどまでに生き生きとして、踊りに熱中するルグリを初めて見た気がします。ホレツナにも、「僕に再びダンサーとしての人生をもたらしてくれて、ありがとう」と言っていたほど。一週間のリハーサルを通じて、この新作への挑戦が、彼の中にもたらした変化の大きさを感じました。

Legris_horecna_cashley_taylor_7


滝澤さんの、この作品のクリエーションについての詳しいレポートは、「ルグリ・ガラ」のトピックスでも読むことができます。
http://www.legris-gala.jp/topics.html

********

TOKYO FMにて脳科学者 茂木健一郎さんがパーソナリティをつとめる番組『Dream HEART』に、マニュエル・ルグリが登場します。4月の来日時に実現した2人の対談を、7月1日(土)・8日(土) 22:00~と2週にわたってたっぷりご紹介します。“
挑戦“をテーマに、世界的にチャレンジしているゲストを迎え、その挑戦の裏にある夢や秘密を探っていく番組。今も尚さらなる高みを目指すルグリに、まさにピッタリです。

 配信番組は後日ウェブでも配信されます。
(視聴方法はこちらをご参照ください → http://radiko.jp/#!/fun


■番組『Dream HEART』概要■
◇タイトル: 『Dream HEART』
◇放送日時: 毎週土曜日 22:00~22:30
◇放送局 : TOKYO FMをはじめとするJFN38局ネット
◇出演者 : 茂木健一郎
◇番組HP: http://www.tfm.co.jp//dreamheart/

追記
番組の内容、ルグリのトークはここで読むことができます。
http://www.tfm.co.jp/dreamheart/index.php?catid=1745&itemid=125031

また番組はポッドキャストで聴くこともできます。
https://itunes.apple.com/jp/podcast/dream-heart/id654630270?mt=2&ign-mpt=uo%3D4#

ウィーン国立バレエ、木本全優さんがプリンシパルに昇進

ウィーン国立バレエでは6月29日に、シーズンを締めくくるヌレエフ・ガラが行われました。パリ・オペラ座からリュドミラ・パリエロ、ミュンヘン・バレエ/マリインスキー・バレエからウラジーミル・シクリャーロフ、マリーヤ・シリンキナ、チューリッヒ・バレエからエレーナ・ヴォストロティナをゲストで招いた豪華なガラです。

ヌレエフ・ガラの終了後、木本全優さんのプリンシパルへの昇進、そして4人のダンサーのデミ・ソリストへの昇進がマニュエル・ルグリより発表されました。(ウィーン国立バレエでは、プリンシパルのことをファースト・ソリストと記述しています)

https://www.wiener-staatsoper.at/en/staatsoper/news/detail/news/five-new-promotions/

木本さんは、先だってヌレエフ版「白鳥の湖」に主演。その様子は、ネット(STAATSOPER LIVE)で生中継もされました。長い手足を持ち非常に恵まれたプロポーションの木本さんは、難しいヌレエフ版の白鳥の王子を美しく踊り、とても高く評価されました。

木本さん、おめでとうございます!先にプリンシパルとなった夫人の橋本清香さんと並び、ご夫婦でプリンシパルとなりました。

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