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2017/04/02

フレデリック・ワイズマン監督作品『チチカット・フォーリーズ』がバレエ化

今年のアカデミー賞名誉賞を受賞したフレデリック・ワイズマン監督。バレエ・ファンには、『BALLET アメリカン・バレエ・シアターの世界』や『パリ・オペラ座のすべて』で知られている、ドキュメンタリー映画の巨匠です。

そのワイズマンのデビュー作が、精神異常犯罪者のための州立刑務所マサチューセッツ矯正院の日常を切り取った『チチカット・フォーリーズ』(1967)。この作品が、バレエ化されました。
 
Turning ‘a Nightmare of Ghoulish Obscenities’ Into a Ballet (動画あり)
https://www.nytimes.com/2017/03/30/arts/dance/turning-a-nightmare-of-ghoulish-obscenities-into-a-ballet-titicut-follies-the-ballet-james-sewell.html

バレエに関するドキュメンタリー映画を監督するうちに、バレエの世界に魅せられたというワイズマン。しかし、バレエ作品のテーマの多くには、バレエそのものほどには興味を惹かれませんでした。

「1000年前の神話の森とか、男女関係についてのバレエを観ることに飽きました」とワイズマンは語りました。「現代社会についてのバレエはとても少ないのです。ならば、精神異常犯罪者のための州立刑務所にいる精神異常者などの極端なテーマを取り入れてみてはどうだろうと思いました。彼らの態度や動き、けいれんや妄執からクラシックバレエに通じるものを作ることができるかどうか見てみたいと思ったのです」

「Apollo's Angels」などの著書で知られ、ニューヨーク市立大学のバレエとアートのためのセンターというシンクタンクを2014年に設立した批評家でバレエ史研究家のジェニファー・ホーマンズにワイズマンはアイディアを共有しました。 彼女は、米軍が捕虜を虐待したイラクの刑務所についてのバレエを振付けた、振付家のジェームズ・シーウェルに彼を紹介しました。

ジェニファー・ホーマンズの2010年の著書「Apollo’s Angels」は、バレエの4世紀の歴史をたどりながらも最後に、「バレエは死につつある」で結んでいます。

映画『チチカット・フォーリーズ』は、蝶ネクタイを結んだ受刑者たちが喜びもなく、看守と共に「Strike Up the Band」(バスビー・バークレー監督作品のミュージカル映画で、音楽はバーンスタイン、歌うのはジュディ・ガーランド)を歌う悪夢のようなバラエティショーから始まります。シーウェルは、看守はディアギレフで、受刑者たちはバレエ・リュスのダンサーであるというイメージに置き換えました。『チチカット・フォーリーズ』の歪んだ歌のシーンはバレエになりました。シーウェルはバレエの技術を脱構築しようとしたので、バレエ的なポールドブラは出てきませんが、バレエの語彙は使われています。ポワントを履いての踊りも少しありますが、バレエのクラスでは見ないようなステップも登場します。

ダンスには、有名なバレエ作品からの引用が登場します。誕生パーティは「眠れる森の美女」のローズアダージオからインスピレーションを得ています。白鳥の湖を思わせるパ・ド・ドゥもあれば、ニジンスキーの「牧神の午後」の牧神を思わせる場面もあります。「ラ・バヤデール」の影の王国からの引用は、受刑者たちが一人一人現れ、シャツとパンツを脱ぐシーンに使われています。レニー・ピケットが作曲した音楽も、ミンクスの「ラ・バヤデール」を引用しつつも、トム・ウェイツとクルト・ヴァイルのワルツが混ざったような悲しく酸っぱい感じで演奏されています。

ワイズマンは、シーウェルに、50年前の作品である『チチカット・フォーリーズ』がとらえた映像にとらわれ過ぎないようにと言いました。「私の映画は、ドキュメンタリーですが抽象的な面が強くなっています。バレエにおいては、抽象性はより重要です」 当時この映画は大論争を引き起こし、登場する精神病患者である受刑者のプライバシー問題に発展しました。そのため、裁判で1991年まで上映が禁止されたのです。

このバレエ作品では、ダンサーたちは精神異常者をリアルに演じることが求められました。シーウェルは実際に精神医療に携わる人々に作品を観てもらい、正確に描かれているかどうか意見を求めました。しかしワイズマンは、「これはフィクション作品であるので、精神医療従事者がどう考えるかは気にしません」と語っています。

シーウェルは、このバレエが、映画『チチカット・フォーリーズ』の持つような力を持つことを期待しています。「この映画が訴える感情の幅広さは大きなものです。可笑しさから奇妙さ、悲劇から「もう観ていられない」ところまで。映画を観終わると、これらを実際に体験したような思いをします。ほとんど戦争神経症のようなものです。このバレエを観ることで、そのような感情を観客に与えられれば良いのですが」

バレエ『チチカット・フォリーズ』は、3月31日にミネアポリスで初演され、4月28日~30日にニューヨーク市立大学のSkirball Centerで上演されます。
http://nyuskirball.org/calendar/titicutfollies

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