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2017年4月

2017/04/30

マニュエル・ルグリ「ルグリ・ガラ」来日記者会見

8月に開催される「ルグリ・ガラ」のプロモーションのために、マニュエル・ルグリが来日し、記者会見が開催されました。

演目発表については既にお知らせをしていますが、会見の詳しい内容をご紹介しますね。

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ルグリ「先週はニューヨークでYAGPの審査員を務めており、日本に来る前には、ウィーンで「白鳥の湖」とヌレエフ・ガラの準備をしていました。また、ハンブルグでは、ノイマイヤーのためにヌレエフ版の「ドン・キホーテ」を準備しています。それと並行して、日本での「ルグリ・ガラ」の準備を進めています。YAGPガラでは、この「ルグリ・ガラ」で共演してくれるイザベル・ゲランと、リンカーンセンターで「フェアウェル・ワルツ」を踊りました」

ルグリ・ガラのコンセプトについて

「非常にシンプルです。今回のタイトルに選んだ「運命とダンス」という言葉が端的に表しています。私は4歳でバレエを始めましたが、以降ずっとバレエと共に生きてきました。私の人生はダンス、バレエそのものでした。パリ・オペラ座に入り、アデュー公演もオペラ座で行いました。今はこのウィーン国立劇場で芸術監督を務めています。ダンスこそが私の運命なのです」
「そして今回このような機会を頂き、再び舞台に上がることになりました。私の大好きな、私の尊敬するダンサーたちに囲まれながらこのような機会を頂けるなんてラッキーです」


パリ・オペラ座を引退しても続ける理由

「私自身は、もう自分はダンサーではないと、ダンサーの段階は過ぎたと考えています。このように踊る機会というのは、純粋に、皆さまにお会いする喜びのためのものです。現在、ウィーンにおいては、毎日ダンサーたちと共に毎日のクラスには参加していますが、ダンサーをケアするということをまず考えています。なので、私のダンサーとしての段階は、パリ・オペラ座でのアデューでいったん区切りをつけています。このように皆さんに時折お目にかかる喜びのために、舞台に立っています」


今回出演するダンサーについて。まずはパートナーとして共演するイザベル・ゲランについて。

イザベル・ゲランは、40歳の時にパリ・オペラ座で引退公演をしてから、完全に引退されました。私は40歳での引退は早すぎたと思います。彼女は過ぎた時を取り戻すような思いで復帰したのではないでしょうか」

「アデューの後も、私は常にイザベルと連絡を取っていたのですが、あるとき、自分のパートナーを探していた時期でした。そのようなことをイザベルと話していたら、彼女の方もクラスに参加しているというのです。彼女の方からも一緒に踊ってもらえないかしらと言ってもらえました。このようないきさつで、彼女と私とで舞台に戻り、パトリック・ド・バナ振付の「フェアウェル・ワルツ」今回のガラ公演でもご覧いただけますが、この作品が生まれました」

「彼女のような成熟したパートナーを得るというのは、今の私にとってはとても大事なことでした。私たちはともにパリ・オペラ座で過ごし、そこで多くのことを得てきた戦友であります。芸術的にも共有するところが多くあります」


世界各地からのトップダンサーたちについては、どのようなコンセプトで選んだのか?

「私が選んだ4人は、とても有名なので皆さまもご存知かと思います。マリアネラ・ヌニェス、ワディム・ムンタギロフ、オルガ・スミルノワ、セミョーン・チュージンの2組のペアで、国際的にも有名です。なぜ彼らを選んだかというと、今のバレエ界の中でも最も優れたダンサーたちであり、この皆さんにはウィーンにも来てもらっています。マリアネラ・ヌニェスには、すでに「ドン・キホーテ」と「白鳥の湖」に、ワディム・ムンタギロフには、「ドン・キホーテ」と「ヌレエフ・ガラ」に出演いただきました。オルガ・スミルノワは、5月にセミョーン・チュージンと共に「白鳥の湖」に出演していただきます」

「ワディム・ムンタギロフとセミョーン・チュージンは、現在のバレエ界において、最も優れた男性ダンサーであると思っています。私がバレエが、こうあってほしい、こう踊ってほしいと願う形で踊ってくれるダンサーです」

「またこの4人は非常に勉強熱心で、人の意見を聞こう、聞こうという姿勢を持っています。ウィーンにもこの「ルグリ・ガラ」のためにわざわざリハーサルに来てくれて私も光栄に思っています。このような若い世代の中に常に学ぶ姿勢を大事にしてくれる人達がいるというのは心強いことです」

ウィーン国立バレエの若手ダンサーたちについて。

「まず申し上げたいのは、このカンパニーの芸術監督になることができてとても光栄に思っているということです。先日ウィーンで記者会見をしたばかりですが、その際にウィーンでの8年目のシーズンについてお知らせをしました。今回ウィーンから若いダンサーを連れてきますが、そのうち5人のソリストとドゥミソリストは、私がオーディションをして選んだ、就任後に入団したダンサーです」

「プリンシパルのダヴィデ・ダトは、イタリア出身のダンサーです。『ライモンダ』で先日ブノワ賞にノミネートされました。ニーナ・ポラコワは、スロバキア出身のダンサーで、すでに私と共に来日もしています。非常に大きな力を持ったダンサーで、『白鳥の湖』のオデット/オディール、『ライモンダ』をヤコブ・フェイフェルリックと踊っています。デニス・チェリェヴェチコは、とても輝かしいダンサーで、今ダンサーのキャリアの中で最も輝いている時期にいます」

ナターシャ・マイヤーヤコブ・フェイフェルリックは、ウィーン国立バレエ学校の出身でオーストリア人です。残りの3人、ニーナ・トノリニキーシャ・フォゴジェームズ・ステファンはロイヤル・バレエスクールの出身です」

「来るべき『白鳥の湖』では、マリアネラ・ヌニェス、オルガ・スミルノワ、ニーナ・ポラコワが主役を踊る予定で、ナターシャ・マイヤーとニーナ・トノリは代役として練習しています」

ヤコブ・フェイフェルリックについて申し上げますと、彼は非常に才能豊かで、この短期間の間に「ライモンダ」「ラ・フィユ・マル・ガルデ」「白鳥の湖」に抜擢されました。ノイマイヤーの「アルミードの館」でも主要な役を演じています。私がこれらのダンサーに、どれだけの誇りを感じているか、彼らを日本に連れてくることをどれだけ喜んでいるか、 想像していただけるかと思います」

パトリック・ド・バナエレナ・マルティンは、ダンス界においては異色な位置にいますが、私の大事な友人たちです。パトリック・ド・バナについては、ウィーンで私たちのためにたくさんの作品を作ってくれました。「マリー・アントワネット」などです。今回も、様々な振付作品を皆さまにお楽しみいただけると思います。イワン・ワシーリエフのために振付けた「labyrinth of solitude」という作品は、今回ダヴィデ・ダトが踊るので、そちらにも注目していただければと思います」

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今回のプログラムの魅力について

「私のバレエ人生の中で節目節目となった作品を選んでいます。なかでも「ライモンダ」こちらは私が21歳の時にエトワールに任命された作品です。ヌレエフにより、ニューヨークのメトロポリタン・オペラ劇場で任命されました。今回は第一幕のアダージオを、今回はニーナ・ポラコワとヤコブ・フェイフェルリックが踊ります。この作品に限らないのですが、今回選んだ作品の多くは、かつて私が踊っていた作品を他のダンサーに踊ってもらうということで継承していくことを強く意識しています。」

「また、『マニフィカト』はノイマイヤーが私とシルヴィ・ギエムのために振付けて、フランスのアヴィニョンで初演した作品です。この作品を今回はニーナ・トノリとヤコブ・フェイフェルリックが踊ります」

「私が世界中で何回も踊る機会があった『チャイコフスキーパ・ド・ドゥ』『グラン・パ・クラシック』は、今回は世界的に有名なダンサーたちによって踊ってもらいます」

「また私の芸術監督としての責務と思うのですが、日本の皆さんがご存じではないような新しい振付家、若い振付家を楽しんでもらう機会にします。エドワード・リアン、エドワード・クルグ、ティエリー・マランダン、パトリック・ド・バナ、ジャン=クリストフ・マイヨー、アンドラシュ・ルカクスなどです」

「また、私が振付を手掛けた「海賊」も上演します。中でも有名なオダリスクのパ・ド・トロワですが、皆さまが知っている形態ではなく、音楽をまったく新しい音楽を使ったりして、ウィーンのダンサーたちのために新しいパ・ド・トロワを振付けました。第二幕のパ・ド・ドゥですが、ドリープの曲を使ったコンラッドとメドーラのパ・ド・ドゥとし、こちらはマリアネラとワディムが踊ります。」

「バランシンの『スターズ・アンド・ストライプス』のほか、『ローレンシア』のパ・ド・シスでウィーンのダンサーたちを皆さんのためにお目にかけたいと思います」

「私のための作品として、新しく振付をお願いしたのは、ナタリア・ホレチナです。彼女はジャン・クリストフ・マイヨーとも仕事をしており、ウィーンで私たちのために振付けた作品も好評で、タリオーニ賞を受賞しており、バレエ団のサンクトペテルブルグのツアーでも踊りました。この作品作りは6月以降となりますので、まだ詳しく内容は紹介できないのですが。しかし強い信頼関係にあり、この振付家にお願いできるので素晴らしい作品になるに違いないので楽しみにしてください」

「ローラン・プティの作品を踊ります。イザベル・ゲランと話していたのですが、彼女と私でオペラ座で初演した『アルルの女』を今回踊ります。また、私にとっても彼女にとっても初役となる『ランデヴー』を今回踊ることにしました。」

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フィギュアスケーターの浅田舞さんとルグリ

バレエ経験者でもある浅田舞さんからの花束贈呈と応援メッセージを挟んで、質疑応答。


Q. 今回のガラではルグリさんの世界初演の新作がありますが、この作品にはウィーン国立バレエ団ピアニストの滝澤志野さんが参加されます。彼女の仕事ぶりや新作への期待をお話しください。

「滝澤さんは優れた素晴らしい、そして情熱を持ったピアニストで、常に私のそばにいてくれます。ソロ作品のための曲探しも手伝ってくれました。共に選んだのは、バッハとブゾーニの曲です。今回舞台において私のそばにいてくれる、そして共にこの作品を披露できるということをとても嬉しく思います。この機会に彼女の仕事ぶり、バレエのためのピアニスト、アーティストとしても知ってほしいです。友人として常に私の傍らにいて助けてくれる大切な人です」

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Q. 一線を退かれた後もダンサーとして踊られていますが、今だからこそダンサーとして達することができた境地というのはありますか?

「オペラ座でアデュー公演を行った時、あの時に持てる最大限の力を出し切ったと考えています。もちろんアーティストというのは成熟し続ける、進化し続けるものですが、同時に身体的な変化は来てしまうので身体の状態を常にトップレベルに保つことはできません。今の私と10年前の私とは違います」


Q. ヌレエフ作品の継承ということで、ウィーン国立バレエだけでなく、外部のカンパニーでもヌレエフ作品の指導をされていると思います。ヌレエフ作品を指導されるときに一番ダンサーに伝えたいことは?

「私はヌレエフがパリ・オペラ座の芸術監督だった時、6年間在籍しており、ほとんどのレパートリーを踊る機会を与えられました。また、先ほどお伝えしたように、ハンブルグ・バレエにおいて、ヌレエフ版の『ドン・キホーテ』の振付指導を行いますが、『ドン・キホーテ』においても、ファンダンゴからバジル役までほとんどの役を演じました。そういうわけでヌレエフ作品を熟知しています」

「特に大事にしているのはスピリット、精神性でそれを皆さんに伝えたいと思っています。ヌレエフ作品をどのように踊るのか、彼の作品は踊るのが非常に難しいですが、どのように踊ればいいのか。ウィーンでの試みは成功してきたと思います。ロシア出身のダンサーはヌレエフの踊り方に慣れていません。彼らに、なぜ、独特のパをマスターしなければならないのかということを理解いただき、成功に至ったんだと思います」

「みなさまにお伝えしたいことは、喜びと共に踊ることです。多くのダンサーは、その踊りが大変であるゆえになかなか感情、感動を踊りに込めて伝えることができません。私は逆だと考えています。音をちゃんと理解して、なぜそのパがその音になっているのかということを理解していけば、ロジカルにヌレエフ作品を理解することができます」

「先ほど演目を説明する時に言い忘れてしまいましたが、今回のガラの『白鳥の湖』での黒鳥のパ・ド・ドゥでの曲は、通常皆さんが聴いている曲とは違った曲で、1964年版を使っているので、全く違ったパ・ド・ドゥを見せることになります」


Q. 今回出演するダンサーを選ぶ基準、視点は何でしょうか

「私がバレエ表現において求めているもの、期待しているものを体現してくれるダンサーです。それは、スタイルを大事にすることだったり、音楽性を大事にすることだったり、美意識を持つ、そういうことを大事にしているダンサーたちです。もちろん、それぞれに表現方法は異なります。また個性も異なるダンサーたちですが、私が大好きな人たちであることが共通しています。大好きな人たちだから仕事を一緒にやりたいと思います」

「また彼らは共通して、非常に心の暖かな人たちです。私が仕事をするうえで大事にしているのは、継承するということ、そして友情、愛情です。また彼らが共通しているのは、私自身に夢を与えてくれるダンサーということです。彼らにはひとしく、輝かしい未来が約束されていると思います。


Q. ウィーン国立バレエ団はどのようなバレエ団なのでしょうか

「実際に私が率いているのは二つのバレエ団というか組織で、80人のダンサーがいるシュターツオーパー(国立歌劇場)と、そのほかに、オペレッタも上演し、24人のダンサーが所属しているフォルクスオーパーです。二つの組織を束ねているのでその大変さが少しご理解いただけるかと思います」

「また私たちはレパートリー制を取っていますが、このレパートリーを充実させようとしています。毎シーズンいくつかの新作を作っています。演目数は平均して14~16作品を上演しており、非常に多くの演目をお届けしています」

「私が就任してから、幸いにしてバレエ団は高い評価を得られるようになりました。今まではウィーンと言えばバレエよりオペラの街だったのですが、今日ではお客様にも好評をいただくようになり楽しみにしていただいており、チケットの売れ行きもほぼ100%、皆様に愛されるバレエ団となりました」


最後に、メッセージ。

「私は、あまり大きな声でこれが最後だと申し上げるのは好きではないのですが、自分の年齢を考えるともしかしたらこれが最後になるかもしれません。素晴らしいダンサーたちに囲まれた私の姿を、ぜひ皆さんにも楽しんでいただきたいと思います。なのでぜひ皆さんにご覧いただきたいと思いますし、A,Bと2プログラムありますので、2種類ぜひご覧いただきたいと思います。そうすることで、素晴らしいダンサーたちをお楽しみいただけると思います」


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もしかして、マニュエル・ルグリを踊る姿を観るのが、これが最後の機会になるかもしれません。彼のバレエへの愛、世界最高のダンサーたちやこれからのバレエ界を背負って立つダンサーたちへの愛が込められた素晴らしいプログラム、必見ですね。本当に温かく、少年のようなチャーミングさを持つルグリの舞台、見逃せません。

http://www.legris-gala.jp/outline_tokyo.html

東京公演 

会場:東京文化会館 大ホール

8月22日(火) 18:30~ Aプロ
8月23日(水) 18:30~ Bプロ
8月24日(木) 18:30~ Bプロ
8月25日(金) 18:30~ Aプロ


大阪公演

会場:フェスティバルホール

8月19日(土) 14:00  Aプロ


名古屋公演

会場:愛知県芸術劇場 大ホール

8月20日(日) 17:00 Aプロ

2017/04/29

ロイヤル・バレエの2017/18年度新入団ダンサー

英国ロイヤル・バレエは、2017/18シーズンに入団するダンサーを発表しています。

http://www.roh.org.uk/news/new-dancers-to-join-the-royal-ballet-for-201718-season

バーミンガムロイヤル・バレエから、ウィリアム・ブレイスウェル(William Bracewell)がソリストとして移籍します。

ブレイスウェルはロイヤル・バレエ・スクールで学び、2007年に英国出身のバレエ学生を対象としたコンクール「ヤング・ブリティッシュ・ダンサー」で優勝。2010年にはYAGPでグランプリを受賞しました。2010年にバーミンガムロイヤル・バレエに入団し、2014年にソリストに昇進。2015年には英国ナショナルダンスアワードで、傑出した男性クラシックダンサー賞を受賞しています。バーミンガムロイヤル・バレエでは、「真夏の夜の夢」のオベロン役など主役も踊っています。

研修生(Aud Jebsen Young Dancer Programme)6人のうち、3人が正団員として入団することになりました。Giacomo Rovero、Francisco Serrano、Charlotte Tonkinsonです。Maria Castillo Yoshidaというイタリア出身の日系の研修生もいたのですが、今回は入団にはならなかったようです。

また、5人がAud Jebsen Young Dancer Programmeの研修生として入団します。Joonhyuk Jun、Joshua Junke、前田紗江さん、Nadia Mullova-Barley、Aiden O’Brienです。

今年は、バレエスクールの新卒での正式入団者はいませんでした。

ローザンヌ国際コンクールでスカラシップを受賞したStanislaw Wegrzyn(ポーランド出身)がローザンヌ研修生として入団します。

昨年の入団発表
は6月だったので、少し早いですね。

〈第28回バレエの祭典プレミアム・シーズン〉の概要が決定

〈第28回バレエの祭典プレミアム・シーズン〉の概要が決定しました。

http://www.nbs.or.jp/stages/2017/saiten/index.html

1. 2017年 11月15日(月)~26日(金)
  モーリス・ベジャール・バレエ団 
   Aプロ「魔笛」/Bプロ「ボレロ」「ピアフ」「アニマ・ブルース」「兄弟」

2. 2018年 2月
  ハンブルク・バレエ団 「椿姫」「ニジンスキー」

3. 2018年 4月
  「セレナーデ」東京バレエ団初演+「真夏の夜の夢」
  (「真夏の夜の夢」はゲストを招聘予定)

4. 2018年 5月
  英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団 「眠れる森の美女」「リーズの結婚」

5. 2018年 8月
  第15回世界バレエフェスティバル
   Aプロ/Bプロ

6. 2018年 11月
  シュツットガルト・バレエ団 「オネーギン」「白鳥の湖」

2017年 5月20日(土)より新規会員受付開始


なかなか通好みのラインアップです。ハンブルグ・バレエの来日公演は強力な演目で、特に楽しみですね。久しぶりのバーミンガムロイヤル・バレエの来日公演も嬉しいことです。

入会特典としては、ハンブルグ・バレエのゲネプロと世界バレエ・フェスティバルのクラスレッスンへの招待があります。スターのクラスレッスンや「椿姫」または「ニジンスキー」のリハーサルが観られるなんて、これも嬉しい特典です。

そしてもちろん、世界で類を見ない豪華さの世界バレエフェスティバルも2018年夏に開催されます。最近では、海外からも観に来る人が駆けつける、バレエファン必見の大イベントですね。

2017/04/28

吉田都×堀内元 Ballet for the Future 2017 8月開催

2015年、2016年と開催され、バレエの美しさ、そして楽しさ、吉田都さんと堀内元さんの至芸を堪能できた素晴らしい公演、「吉田都×堀内元 Ballet for the Future」が今年の夏も開催されます。

吉田都さんは、クラシック・バレエの粋、「ライモンダ」を踊られます。

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©Hidemi Seto

http://www.chacott-jp.com/j/special/ticket/bff/index.html

世界最高峰のバレエ団で日本人として男女それぞれ初めてのプリンシパル(最高位)となり、“世界の至宝”と称される吉田都、世界的ダンサー・振付家・芸術監督として常に“世界へのパイオニア”であり続ける堀内元。この公演は、二人の踊りと貴重な経験を次代に継承するとともに、バレエ芸術の魅力をさらに多くの方にお伝えしてまいりたいと願い、企画されたものです。

 過去2年、満場の劇場が、踊る喜び・観る歓びにあふれ、至福に満たされた感動の公演。今年は、吉田都が気品と美しさの極み古典バレエの集大成的傑作「ライモンダ」を、堀内元が粋でお洒落なアメリカンテイストの新しいバレエを、それぞれが、福岡雄大、米沢唯という日本バレエ界をリードするスターダンサーをパートナーに迎え、国内外で活躍する気鋭のダンサー達と共に創り上げてまいります。また、NYタイムズ等で絶賛された新進気鋭の振付家エメリー・ルクローンの作品を日本初披露するなど見所満載。古典から最新のバレエまで、バレエ芸術の素晴らしさ、美しさ、楽しさ…そして、バレエへの愛がぎっしり詰まった“夢の舞台”を豪華キャストでお届けしてまいります。

 高みを極めたダンサーの踊りは、バレエを学ぶ方には最高の学びにもなるでしょう。過去2年ともに舞踊評論家より年間ベスト5公演に選出された必見の公演です。貴重な機会をお見逃しなく。



<出演>(予定)

特別出演:
吉田都(元英国ロイヤル・バレエ団プリンシパル)

芸術監督・出演:
堀内元(セントルイス・バレエ芸術監督、元ニューヨーク・シティ・バレエプリンシパル)

出演:
米沢唯(新国立劇場バレエ団プリンシパル)
寺田亜沙子(新国立劇場バレエ団ファースト・ソリスト)
森ティファニー(セントルイス・バレエ)

福岡雄大(新国立劇場バレエ団プリンシパル)
岡田兼宜(元米国ダズル・ダンスカンパニー)
末原雅広(スクール・オブ・アメリカンバレエ出身)
上村崇人(元セントルイス・バレエ)
      *
荒井茜/北元咲和歩/塩谷綾菜(アートバレエ難波津)/山本芽美//栗野竜一/高須佑治/豊永太優/樋口響//ほか、国内外で活躍する気鋭のダンサー達(女性//男性//50音順)

●公演開催日時

<大阪公演> 8月23日(水) 開場17:45 開演18:30 NHK大阪ホール 
  主催:チャコット
  お問い合わせ:キョードーインフォメーション 0570-200-888(10:00〜18:00)

<東京公演> 8月28日(月) 開場17:45 開演18:30 新宿文化センタ―  
  主催:チャコット
  お問い合わせ:サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(10:00-18:00)

<札幌公演> 8月31日(木) 開場17:45 開演18:30 ニトリ文化ホール 
  主催:チャコット/オフィス・ワン 特別協力:TVhテレビ北海道 協力:オフィス・メロディ
   ご予約・お問い合わせ:オフィス・ワン 011-612-8696 (10:30-18:00土日祝休)、
                       http://www.officeone.co.jp/

●公演プログラム(予定)  

「ライモンダ」第3幕(結婚の祝典)より 
原振付:マリウス・プティパ 音楽:A.グラズノフ 
主な出演:吉田都、福岡雄大、ほか

「Passage」
振付:堀内元 
音楽:ルドヴィコ・エイナウディ 
主な出演:米沢唯、堀内元、ほか

「And My Beloved」
振付:エメリー・ルクローン 音楽:デイヴィッド・ラング 
ほか   

※上演時間:約2時間(休憩含む)/音楽:録音音源


チケット発売情報  
一般発売:2017年5月26日(金)  
各種先行販売実施! 詳細は、公式 webサイト  BFF チャコット  検索 

<大阪公演>

8月23日(水) 開場17:45 開演18:30 NHK大阪ホール  S席\9,400/A席\7,900/B席\6,400(税込)

発売所:
○チケットぴあ 0570-02-9999<Pコード:459-043>、http://t.pia.jp/、セブン-イレブン、サークルK・サンクス、チケットぴあ店舗
○ ローソンチケット 0570-000-407 (オペレーター)、0570-084-005<Lコード:52016>、http://l-tike.com/、ローソン、ミニストップ店内Loppi
○CNプレイガイド 0570-08-9990、http://cncn.jp/
○e+(イープラス) http://eplus.jp/、ファミリーマート店内Famiポート
○阪神プレイガイド (窓口のみ・11:00〜19:00)
○チャコットwebサイト http;//www.chacott-ticket.com/  (座席選択不可)  
お問い合わせ:キョードーインフォメーション 0570-200-888(10:00〜18:00)

<東京公演>

8月28日(月) 開場17:45 開演18:30 新宿文化センタ― S席\9,400/A席\7,900/B席\6,400(税込)

発売所:
○e+(イープラス) http://eplus.jp/、ファミリーマート店内Famiポート
○チケットぴあ 0570-02-9999<Pコード: 取得中>、http://pia.jp/、セブン-イレブン、サークルK・サンクス、チケットぴあ店舗
○ ローソンチケット 0570-000-407 (オペレーター)、0570-084-003<Lコード: 取得中>、http://l-tike.com/、ローソン、ミニストップ店内Loppi
○チャコットwebサイト http;//www.chacott-ticket.com/  (座席選択不可) 
お問い合わせ:サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(10:00-18:00)

<札幌公演>
8月31日(木) 開場17:45 開演18:30 ニトリ文化ホール  S席\9,400/A席\7,900/B席\6,400(税込)

発売所:
○オフィス・ワン 011-612-8696(10:30〜18:00土日祝休)、http://www.officeone.co.jp/
○チケットぴあ 0570-02-9999<Pコード:459-103>、http://pia.jp/、セブン-イレブン、サークルK・サンクス、チケットぴあ店舗
○ ローソンチケット 0570-000-407(オペレーター)、0570-084-001<Lコード:11782>、http://l-tike.com/、ローソン、ミニストップ店内Loppi
○道新プレイガイド 011-241-3871
○大丸プレイガイド(南1西3) 011-221-3900
○e+(イープラス)  http://eplus.jp/、ファミリーマート店内Famiポート
○チャコットwebサイト http;//www.chacott-ticket.com/ (座席選択不可)  
ご予約・お問い合わせ:オフィス・ワン 011-612-8696 (10:30-18:00土日祝休)、http://www.officeone.co.jp/

協力:ブルーミングエージェンシー/オフィス・エイツー/バレエスタジオ ミューズ/セントルイス・バレエ/株式会社ビデオ
企画制作:チャコット  公式 webサイト:  BFF チャコット 検索

デンマーク・ロイヤル・バレエの2017-18シーズン

デンマーク・ロイヤル・バレエの2017-18シーズンが発表されています。


(オペラ、演劇も含むシーズンの予告編)


2つの全幕の新作が上演されます。一つは、リアム・スカーレット振付の「スペードの女王」 
原作はプーシキンで、音楽はチャイコフスキーです。

もう一つは、芸術監督ニコライ・ヒユッベによる「ライモンダ」
「ライモンダ」は今までデンマーク・ロイヤル・バレエでは一度も上演されたことがありませんでした。舞台デザインは、やはりデンマーク・ロイヤル・バレエで上演された「ラ・バヤデール」と同じリチャード・ハドソンによるもので、17世紀のフランスとスペインを舞台とするそうです。


ヒュッベの作品としては、このほか「ナポリ」、そして最近ネットでも配信されたモダンな「ジゼル」(Silja Schandorffと共作)、そして「白鳥の湖」(Silja Schandorffと共作)も上演されます。


プリンシパルであるグレゴリー・ディーンが、「忘れられた子供達」という新作を振付けます。これはバレエ学校の生徒たちのために振付けられた作品です。

また、 “Sorella - a Portrait”という新作も。これは、デンマーク・ロイヤル・バレエのプリンシパルだった(現在はバレエ団教師)のSorella Englundの人生を描いた作品とのこと。Pernille Garde振付。


シーズン開幕は、イリ・キリアンの70歳の誕生日を記念し、「Silk and Knife 2」が上演されます。2007年に上演されて好評だった「Silk and Knife」に続いてのもの。彼の代表作4作品が上演されます。(Psalmen Symphony、Sarabande、Falling Angels、27'52")


バレエの初心者向けに短くて見やすい作品を手ごろな価格で上演するという「Dans2Go」という企画は今シーズンも好評でした。来シーズンは、ニコライ・ヒユッベの新作、アクラム・カーンの「Vertical Road」、そしてバランシンの「チャイコフスキーパ・ド・ドゥ」のトリプルビルです。

ロイヤル・バレエなどにも振付けているデンマーク・ダンス・シアターのキム・ブランドストラップの「Shaken Mirror」という作品も上演されます。2016年に上演された際に非常に好評だった作品で、 Søren Ulrik Thomsenという現代詩の詩人の作品をベースにしているのだそうです。

6月には、バレエ・フェスティバルがあります(6月1日~9日)。バレエ団の伝統であるブルノンヴィル作品のフェスティバルというわけではなく、日替わりで様々な作品が上演されます。最終日には、カンパニーダンサーだけでなく、国際的なスターを招いてのガラ公演も行われます。

デンマーク・ロイヤル・バレエについては、デンマーク在住の方によるこちらのブログがとても詳しいので参考になると思います。バレエフェスティバルについても詳しく書いてあります。


注目の若手振付家リアム・スカーレットの新作を上演するなど、たくさんの新作上演がある充実したシーズンですね。

ニコライ・ヒユッベ版「ナポリ」。

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2017/04/24

黄金のマスク賞2017 受賞者発表

ちょっと遅くなりましたが、ロシアで上演された優れた舞台芸術作品を称える黄金のマスク賞2017の受賞者が発表されています。

https://eng.goldenmask.ru/gm.php?id=140

最優秀女性ダンサー  ヴィクトリア・テリョーシキナ 『ヴァイオリン・コンチェルト2番』 マリインスキー劇場
最優秀男性ダンサー Igor Bulytsyn (マキューシオ) 『ロミオとジュリエット』 エカテリンブルク歌劇場
最優秀指揮者  Pavel Klinichev 『オンディーヌ 』 ボリショイ劇場
最優秀振り付け作   アントン・ピモノフ 『ヴァイオリン・コンチェルト2番』 マリインスキー劇場
最優秀モダンダンス・パフォーマンス   『All the ways lead to the North』 モスクワバレエ劇場
最優秀バレエ・パフォーマンス   『ロミオとジュリエット』 エカテリンブルク歌劇場


ノミネート作品はこちら
http://dorianjesus.cocolog-nifty.com/pyon/2016/11/index.html

ノミネートの段階ではボリショイで上演された作品が多いのですが、ふたを開けてみたらマリインスキーとエカテリンブルクばかりとなりました。アントン・ピモノフは、マリインスキー・バレエの現役のダンサーです。(ナデージダ・バトーエワの夫君)

エカテリンブルク歌劇場の『ロミオとジュリエット』は、芸術監督であるヴャチェスラフ・サモドゥーロフ(元マリインスキー・バレエ、ロイヤル・バレエの芸術監督)の振付作品です。サモドゥーロフ作品は、黄金のマスク賞やブノワ賞のノミネートの常連で、最近ではボリショイ・バレエにも『オンディーヌ』を振付けており、この『オンディーヌ』も今回黄金のマスク賞にノミネートされています。

 『ロミオとジュリエット』 エカテリンブルク歌劇場

テリョーシキナとエルマコフが踊る『ヴァイオリン・コンチェルト2番』(音楽はプロコフィエフ)
https://youtu.be/APEvERslR8M

2017/04/22

ザハロワ出演『トランス=シベリア芸術祭 in Japan 2017』

昨年行われて好評だった『トランス=シベリア芸術祭 in Japan 』ですが今年も開催されることになりました。

http://www.bunkamura.co.jp/topics/orchard/2017/04/_in_japan_2017.html

世界的に有名なヴァイオリニスト ワディム・レーピンと、妻でボリショイ・バレエ団のプリンシパル、スヴェトラーナ・ザハーロワが“夢の共演”を実現させた公演です。

今回は、更に磨きをかけた『パ・ド・ドゥ for Toes and Fingers』と、日本初演となるザハーロワ主演の『アモーレ』の2プログラムを上演。ボリショイ・バレエ団のプリンシパル、デニス・ロヂキンをはじめとするスターダンサーの出演も決まりました。「愛」をテーマに3人の振付家が創った作品を集めたトリプル・ビルです。


『トランス=シベリア芸術祭 in Japan 2017』

【公演日程】
2017年9月26日(火)、27日(水)、29日(金) 各日19:00開演

【会場】
Bunkamuraオーチャードホール

【プログラム・出演】
◆9/26(火)、27(水):ザハーロワ『アモーレ』
「Franceska Da Rimini」、「The Rain Before It Falls」、「Strokes Through The Tail」
スヴェトラーナ・ザハーロワ、ミハイル・ロブーヒン、デニス・ロヂキン 他

◆9/29(金):ザハーロワ&レーピン『パ・ド・ドゥ for Toes and Fingers』
「瀕死の白鳥」、「ライモンダ」より“グラン・アダージョ” 他
スヴェトラーナ・ザハーロワ、ワディム・レーピン(ヴァイオリン)、デニス・ロヂキン
フェスティバル・アンサンブル(室内オーケストラ) 他

【チケット料金】
S席¥17,000 A席¥13,000 B席¥9,000 C席¥6,000(税込)
※未就学児童入場不可
※やむをえない事情により出演者が変更になる場合がございます。

【チケット発売日】
MY Bunkamura先行販売:2017年5月16日(火)~29日(月)
一般発売:2017年5月30日(火)

【主催】 Bunkamura

【お問合せ】 Bunkamura 03-3477-3244 <10:00~19:00>

******
9月26日、27日の公演は、以前こちらで取り上げた『アモーレ』ですね。
http://dorianjesus.cocolog-nifty.com/pyon/2017/03/amore-1495.html

「フランチェスカ・ダ・リミニ」ユーリー・ポソホフ振付
「The Rain Before It Falls」 パトリック・ド・バナ振付。
「Strokes Through the tail」 マルグリット・ドンロン(Marguerite Donlon)振付

レーピンとの共演の映像 (ザハロワは平山素子さん振付『Revelation』や『レ・リュタン』『瀕死の白鳥』などを踊っています)

ルグリ・ガラ 追加演目の発表

マニュエル・ルグリが、ルグリ・ガラのプロモーションのために現在来日しています。

http://www.legris-gala.jp/program.html

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昨日はインタビュー、今日は記者会見がありました。こちらの内容については、また後日ここで記事にまとめますね。

この記者会見で、追加演目が発表されましたので、取り急ぎお知らせします。大変魅力的な演目なので、まだチケットを買っていない人も思わずチケットを買ってしまいたくなりますし、買った人も、買い足したくなりますよね。16演目もあるという、とても贅沢なガラとなりました。

特に、オペラ座ではルグリ、ゲランのペアが初演した『アルルの女』を観ることができるのは、本当に嬉しいことです。

会見ゲストの浅田舞さん(フィギュアスケーター)と。
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この中でいくつか注目すべき作品を挙げると、まずは、ド・バナ振付の『Inside the Labyrinth of solitude』。これは、ド・バナがイワン・ワシーリエフのために振付けたソロで、ダヴィデ・ダドが今回は踊ります。

ルグリが振付けた『海賊』のオダリスクは、振付が一般的なオダリスクとは全く違うので興味深いはずだと。『白鳥の湖』より黒鳥のグラン・パ・ド・ドゥもヌレエフの1964年ウィーン版なので、オペラ座でのヌレエフ版『白鳥の湖』とは違うそうです。プティの『ランデヴー』をルグリ、ゲランが踊るのは初めてなので、今回のガラのためにリハーサルをするとのこと。そしてノイマイヤーの「マニフィカト」はギエムとルグリのために振り付けられた作品ですが、今回は若手のトノリとフェイフェルリックが踊ります。ルグリがかつて踊った作品を若手に踊ってもらうことで、作品のスピリットを彼を通して継承させたいとのことです。

ナタリア・ホレシナによる世界初演のルグリのソロは、振付はこれからだそうですが、音楽は滝澤志野さんと共に選んだとのことです。ホレシナは、彼が大変注目している若手の女性振付家だそうです。

また詳しくは、後日のインタビューと記者会見レポートをお待ちください。ルグリのバレエに対する情熱と惜しみない愛があふれた会見でした。


Aプログラム

1)『ライモンダ』第1幕よりアダージョ
音楽:A.グラズノフ
振付:R.ヌレエフ
出演:ニーナ・ポラコワ、ヤコブ・フェイフェルリック

2)『海賊』よりオダリスク
音楽:A.アダン
振付:M.ルグリ
出演:ニキーシャ・フォゴ、ナターシャ・マイヤー、ニーナ・トノリ

3)I have been kissed by you
音楽:M.リヒター
振付:H.マルティン、P.d.バナ
出演:マニュエル・ルグリ

Inside the Labyrinth of solitude
音楽:T.ヴィターリ
振付:P.d.バナ
出演:ダヴィデ・ダト

4)『海賊』第2幕より
グラン・パ・ド・ドゥ
音楽:R.ドリゴ
振付:M.プティパ(M.ルグリ改訂)
出演:ニーナ・ポラコワ、デニス・チェリェヴィチコ

5)『マニフィカト 』(アニュス・デイ)
音楽:J.S.バッハ
振付:J.ノイマイヤー(初演:シルヴィ・ギエム、マニュエル・ルグリ)
出演:ニーナ・トノリ、ヤコブ・フェイフェルリック

6)『じゃじゃ馬馴らし』
音楽:D.ショスタコーヴィチ
振付:J.C.マイヨー
出演:オルガ・スミルノワ、セミョーン・チュージン

7)『チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ』
音楽:P.I.チャイコフスキー
振付:G.バランシン
出演:マリアネラ・ヌニェス、ワディム・ムンタギロフ

8)『アルルの女』より
音楽:G.ビゼー
振付:R.プティ
出演:イザベル・ゲラン、マニュエル・ルグリ

9)『ローレンシア』よりパ・ド・シス
音楽:A.クレイン
振付:V.チャブキアーニ
出演:ニキーシャ・フォゴ、デニス・チェリェヴィチコ、ニーナ・トノリ、ナターシャ・マイヤー、ヤコブ・フェイフェルリック、ジェームズ・ステファン

10)マニュエル・ルグリ ソロ(世界初演)
音楽:J.S.バッハ/F.ブゾーニ
振付:N. ホレツナ
出演:マニュエル・ルグリ
ピアノ:滝澤志野

11)『Medea』
音楽:M.リヒター
振付:P.d.バナ
出演:エレナ・マルティン、パトリック・ド・バナ

12)『ラ・フィユ・マルガルデ』
音楽:F.エロルド
振付:F.アシュトン
出演:ナターシャ・マイヤー、ダヴィデ・ダト

13)『Murmuration』より
音楽:E.ボッソ
振付:E.リアン
出演:ニーナ・ポラコワ、ヤコブ・フェイフェルリック、ジェームズ・ステファン

14)『海賊』第2幕よりアダージョ
音楽:L.ドリーブ
振付:M.ルグリ
出演:マリアネラ・ヌニェス、ワディム・ムンタギロフ

15)『グラン・パ・クラシック』
音楽:F.オーベール
振付:V.グゾフスキー
出演:オルガ・スミルノワ、セミョーン・チュージン

16)『フェアウェル・ワルツ』
音楽:F.ショパン/ V.マルティノフ
振付:P.d.バナ
出演:イザベル・ゲラン、マニュエル・ルグリ

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Bプログラム
1)『海賊』よりオダリスク
音楽:A.アダン
振付:M.ルグリ
出演:ニキーシャ・フォゴ、ナターシャ・マイヤー、ニーナ・トノリ

2)I have been kissed by you
音楽:M.リヒター
振付:H.マルティン、P.d.バナ
出演:エレナ・マルティン、パトリック・ド・バナ

Inside the Labyrinth of solitude
音楽:T.ヴィターリ
振付:P.d.バナ
出演:ダヴィデ・ダト

3)『白鳥の湖』より黒鳥のグラン・パ・ド・ドゥ
音楽:P.I.チャイコフスキー
振付:R.ヌレエフ(1964年ウィーン版)
出演:ニーナ・ポラコワ、デニス・チェリェヴィチコ

4)『Mozart a2』より
音楽:W.A.モーツァルト
振付:T.マランダン
出演:ニーナ・トノリ、ヤコブ・フェイフェルリック

5)『ジゼル』
音楽:A.アダン
振付:J.ペロー/J.コラリ
出演:マリアネラ・ヌニェス、ワディム・ムンタギロフ

6)『ファラオの娘』
音楽:C.プーニ
振付:P.ラコット
出演:オルガ・スミルノワ、セミョーン・チュージン

7)『ランデヴー』
音楽:J.コスマ
振付:R.プティ
出演:イザベル・ゲラン、マニュエル・ルグリ

8)『エスメラルダ』
音楽:C.プーニ
振付:M.プティパより
出演:ナターシャ・マイヤー、ヤコブ・フェイフェルリック

9)マニュエル・ルグリ ソロ(世界初演)
音楽:J.S.バッハ/F.ブゾーニ
振付:N.ホレツナ
出演:マニュエル・ルグリ
ピアノ:滝澤志野

10)『Whirling 』
音楽:P.グラス
振付:A.ルカクス
出演:ニーナ・トノリ、ジェームズ・ステファン

11)『スターズ アンド ストライプス』
音楽:J.P.スーザ / H.ケイ
振付:G.バランシン
出演:ニキーシャ・フォゴ、ダヴィデ・ダト

12)『Factum』
音楽:K.コルホー
振付:H.マルティン、P.d.バナ
出演:エレナ・マルティン、パトリック・ド・バナ

13)『ペール・ギュント』より
音楽:E.グリーグ
振付:E.クルグ
出演:ニーナ・ポラコワ、デニス・チェリェヴィチコ

14)『ジュエルズ』より“ダイヤモンド”
音楽::P.I.チャイコフスキー
振付:G.バランシン
出演:オルガ・スミルノワ、セミョーン・チュージン

15)『ドン・キホーテ』
音楽:L.ミンクス
振付:M.プティパ
出演:マリアネラ・ヌニェス、ワディム・ムンタギロフ

16)『フェアウェル・ワルツ』
音楽:F.ショパン、V.マルティノフ
振付:P.d.バナ
出演:イザベル・ゲラン、マニュエル・ルグリ


2017/04/20

フィンランド国立バレエ 本国来日公演スペシャルサイト

いよいよ4月22日より始まる、フィンランド国立バレエの来日公演

http://www.bunkamura.co.jp/orchard/lineup/17_moomin/

『たのしいムーミン一家~ムーミンと魔法使いの帽子~』他を引っ提げての初来日公演です。


フィンランド国立バレエの来日公演は初めてのこととあって、バレエ団も盛り上がっています。バレエ団の本国公式サイトで、スペシャルサイトが出来上がっていました。

http://oopperabaletti.fi/en/about-us/opera-and-ballet-on-tour/

こちらのサイトでは、ケネス・グレーヴ芸術監督、松根花子さん、小守麻衣さんのインタビュー動画もあります。松根さん、小守さんのインタビューは日本語によるものです。彼女たちのフィンランドでの暮らしぶりも覗けて、とても面白いです。後援のフィンエアー制作。


なお、特別企画として、カーテンコールの撮影はOK、そして4月24日(月)の公演、および大阪公演では、終演後ムーミンがお見送りをしてくれるそうです。記念撮影用に、スペシャルパネルの設置も。

また、詳細なキャストが発表されています。
http://www.bunkamura.co.jp/orchard/lineup/17_moomin/topics/post_4.html

スペシャルゲストとして、プラハ国立バレエのAlina Nanu、そしてキエフ・バレエのデニス・ニェダクが出演します。デニス・ニェダクは、キエフ・バレエの来日公演でたびたび来日しているのでおなじみですよね。『白鳥の湖』の黒鳥パ・ド・ドゥを踊る予定です。

世界初演の『たのしいムーミン一家~ムーミンと魔法使いの帽子~』はじめ、公演が楽しみですよね。

2017/04/19

映画「Polina, danser sa vie」が「ポリーナ、私を踊る」の邦題で10月に公開

こちらのブログでも何回かご紹介している、バスティアン・ヴィヴェスのバンドデシネ(グラフィックノベル)を原作にした映画「Polina, danser sa vie」。

グラフィック・ノベル原作のバレエ映画「ポリーナ」、予告編映像/追記あり
http://dorianjesus.cocolog-nifty.com/pyon/2016/08/post-83a0.html

ボリショイ・バレエのバレリーナを目指すロシア人の女の子ポリーナを主人公に、恩師のボジンスキーとの交流、友人、恋人との関係を通して、そしてコンテンポラリーダンサーへと転身して成長していく様を描いた「ポリーナ」は高い評価を得たグラフィック・ノベルで、邦訳も出版されています。BD書店賞、ACBD批評賞という二つの大きな賞を本国フランスで受賞しています。

この映画「ポリーナ」は、「ル・パルク」などで知られる著名な振付家のアンジュラン・プレルジョカージュが、妻の映画監督Valérie Müller-Preljocajと共同監督し、主演に、ワガノワ・バレエアカデミーの卒業生であるアナスタシア・シェフツォワを迎え、コンテンポラリーダンスカンパニーの振付家の役にジュリエット・ビノシュ、さらにパリ・オペラ座エトワールのジェレミー・ベランガールが出演しています。またバレエ・プレルジョカージュの津川友利江さんも登場しているそうです。

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http://www.allocine.fr/film/fichefilm_gen_cfilm=234760.html

作品はエクサンプロヴァンス、パリ、そしてモスクワで撮影されました。フランスのテレビ局TF1の配給により、11月16日にフランスで公開されました。

この作品が、「ポリーナ、私を踊る」の邦題で、東京・ヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて10月28日より全国公開されることになりました。配給はポニーキャニオン。

バンドデシネ「ポリーナ」原作の映画公開、ジュリエット・ビノシュが出演
http://natalie.mu/eiga/news/229359

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アナスタシア・シェフツォワは、マリインスキー・バレエの舞台でも踊っています。600人もの候補者から主演に選ばれたこの作品で、彼女はセザール賞の新人女優賞のプレ・ノミネーションを受けています。

アナスタシア・シェフツォワのインタビュー記事
https://www.lesechos.fr/10/11/2016/LesEchosWeekEnd/00053-014-ECWE_anastasia--ballerine-plein-cadre.htm#

こちらは英語のインタビュー記事
http://www.balletinsider.com/en/archive/young_talent/1851

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YAGPガラ2017 "Stars of Today Meet the Stars of Tomorrow"

YAGPのファイナルの翌日は、恒例のガラ"Stars of Today Meet the Stars of Tomorrow"。

こちらは、第一部はYAGPの入賞者と、入賞していなくても注目を集めたダンサーが踊るというものです。

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"Stars of Today Meet the Stars of Tomorrow"

Brady Farrar プリ・コンペティティブ部門 ホープ賞 「タリスマン」
Linyue Zao 「Room」
Avery Gay(2016年プリコンペティティブ2位、グリシコ賞)、Antonio Casalinho(2016年ジュニアグランプリ賞) 「コッペリア」グラン・パ・ド・ドゥよりコーダ 
Classical Dance Academy 「Existence」
三宅琢未 ジュニア部門1位 「白鳥の湖」ヴァリエーション
Jan Spunda シニア部門3位、ダンス・ヨーロッパ誌 傑出した芸術性賞 「Swan」
Chloe Misseldine シニア部門2位 「ドン・キホーテ」より森の女王のヴァリエーション
Diogo Do Oliviera シニア部門TOP12 「Terra」
Madison Penney ジュニア部門 グランプリ 「エスメラルダ」
Luciano Perotto シニア部門TOP12 「ラクリモーサ」
倉智太朗 シニア部門1位 「ドン・キホーテ」

この時点では入賞者が発表されていなかったのですが、三宅さんと倉智さんがここでも踊ったということで、おそらくは入賞しているのだろうと思いました。特に倉智さんはトリだったし、ここでもずば抜けたパフォーマンスを見せ、一番盛大な歓声を受けたので、グランプリかなと思ったのです。ここで登場する皆さんは、すべてさすがの実力の持ち主でした。チェコ出身でENBのスクールに留学中のJan Spundaは、瀕死の白鳥の音楽で、男性版白鳥を踊りましたが、非常に美しく表現力があって、傑出した芸術性賞を受賞したのも納得です。ファイナルでは全員古典のヴァリエーションを踊りますが、こちらのガラでは、コンテンポラリーを踊った人も4人いて、やはり今のダンサーならコンテンポラリーを踊ることができないとだめだというのを実感しました。

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また、YAGPの特別功労賞が、元バレエ・ウェストおよび元ボストン・バレエの芸術監督で、ジャクソン国際コンクールの審査委員長を務めるなど活躍したブルース・マークスに贈られました。ABTとデンマークロイヤルバレエのプリンシパルとして活躍したのち、二つの重要なカンパニーの芸術監督を務め、さらにジャクソン国際コンクールだけでなくローザンヌ国際バレエコンクールなど多くの国際コンクールの審査員を務めました。80歳の今も、振付家、教師、NEA(全米芸術基金)のパネルメンバーとして活躍しています。賞のプレゼンターは、ニーナ・アナニアシヴィリでした。ニーナは、ジャクソン国際コンクールで初めて受賞した旧ソ連出身のダンサーだったのです。まだまだ若々しいマークスは、最後に、今危機に瀕しているNEAと芸術の重要性についての感動的なスピーチを行い、ともに立ち上がり戦いましょうと訴えました。

パート1の最後はグラン・デフィレ。アンサンブル部門を含むファイナリスト全員、300人もの出場者が踊ります。ニューヨークに来てからの短い期間で全員で合わせて練習するのですが、とても壮観です。最初はシニアから、次にジュニアの子たちが登場し、真ん中で数人のダンサーが踊ったり、フィナーレは1人の小さな少女ダンサーが男性たちにリフトされます。途中で倉智太朗さんが真ん中の中の真ん中を踊っていて、流石にとてもテクニックの切れ味があるので目立ちました。


パート2は、YAGPの出身者を含む世界のスターたちによるガラ公演です。


「回転木馬」Carousel(A Dance) 振付 クリストファー・ウィールドン、音楽Richard Rodgers
タイラー・ペック、Zachary Catazaro (ニューヨークシティ・バレエ)

ウィールドン振付の「回転木馬」は、とてもミュージカル的な作品だけど、リフトもたくさん登場していて、ロマンティックなムードがある。特に後ろ方向へと駆けていって持ち上げられるなど、パートナーリングが難しい作品なのだけどそのような難しさは全く感じさせなかった。全幕作品ではないのだが、全体を観てみたい作品だ。Zachary CatazaroはYAGPの2002年、2003年のジュニア部門1位。


「ベサメ・ムーチョ」
Brittany O'Connor、Paul Barris

ボールルームダンスの世界チャンピオンによるパフォーマンスで、ヴァイオリンとピアノは生演奏。タンゴの音楽でラテン的なダンスなのだけど、ブリタニー・オコナーは片足はハイヒールでもう片足はポワントを着用して踊った。パートナーを床の上に放り投げては持ち上げるなど、かなり高難度のパートナーリングを見せてくれた。


Tous Les Jours II. 振付 マルセロ・ゴメス 
ジェイムズ・ホワイトサイド(ABT) ピアノ演奏 ジョルジュ・ヴィラドムス

本来この作品はマリインスキー・バレエのザンダー・パリッシュが踊る予定だったのだが、ビザが間に合わなくて、土壇場で降板、代わりにABTのジェイムズ・ホワイトサイドが踊った。ピアノ演奏は、エルヴェ・モローの公演「月夜に煌めくエトワール」に出演したジョルジュ・ヴィラドムス。ホワイトサイドは軽やかな跳躍をたくさん見せてくれて、技術的にも素晴らしいし恵まれた体型の持ち主であることもよくわかったけど、この作品をパリッシュでも観てみたかったなと思った。高度な技術の中に、ちょっとしたユーモアも含まれていて、ドラッグクイーンとしても活動しているホワイトサイドだと、少しあくが強い印象はあった。でもとても楽しいソロだし、ゴメスらしいチャーミングさと音楽の使い方のセンスの良さを感じさせた。


「春の水」 振付:アサフ・メッセレル 音楽:ラフマニノフ
スカイラー・ブラント、ゲイブ・ストーン・シェイヤー(ABT)

ブラント、シェイヤーともYAGPの過去の出場者。ABTのダンサーだけど、ソビエト時代の作品「春の水」に挑戦した。ダイナミックなリフトが多用される作品だ。若手のホープであるこの二人は元気いっぱいで、高度なテクニックを見せてくれた。女性ダンサーが大胆に飛び込んで行ったり、男性が中途半端な高さで相手を持ち上げながらぐるぐる回ったり、ひょいっと回りながらリフトしたりと、大変難しいパートナーリングがてんこもり。フレッシュな二人がとても良かっただけに、一番最後に男性が片手で相手を高くリフトするところを失敗して、もうすぐで落としそうになったのが残念。でも持ち直して、捌けて行くところではしっかり片手でリフトしたまま走り去って行けたので良かった。

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「白鳥の湖」 振付 デヴィッド・ドーソン 音楽:チャイコフスキー
スヴェトラーナ・ルンキナ、エヴァン・マッキー(ナショナル・バレエ・オブ・カナダ)

ワールド・バレエ・デーライブでスコティッシュ・バレエがリハーサルシーンを見せた、デヴィッド・ドーソン振付のコンテンポラリー版「白鳥の湖」の、2幕パ・ド・ドゥ。現代作品ではあるものの、ルンキナはポワントを履いて、チュチュではないものの白鳥を思わせる赤い宝石を胸につけたレオタードを着用(衣装デザインは、竹島由美子さん)。男性の衣装は、まるで普段着みたいであまりかっこよくはない。面白いのは、まず登場する男性ダンサーも、腕を大きく動かし、背中を反らせてまるでオデットのように踊るところ。オデットが二人いるような振付で、二人が組み合わさって円を描くようにポジションを変えながら動いていく。古典の「白鳥の湖」も絶品であるルンキナなので、チュチュでなくてもその動きは繊細でエレガント、とても高貴な印象があるとともに、現代作品も得意な彼女らしい、モダンなセンスが光っていた。二人ともポール・ド・ブラが柔らかく大きく美しく、特にルンキナの背中の表現力には魅せられた。全幕で観てみたい作品。

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くしくもスコティッシュ・バレエもニューヨークのジョイス・シアターで公演中で、関係者お互いのパフォーマンスを観られなかったのが残念。


「コート」 振付 デヴィッド・パーソンズ 音楽:ロバート・フリップ
イアン・スプリング (デヴィッド・パーソンズ・ダンス)

デヴィッド・パーソンズの代表作である「コート」。日本でも、ウラジーミル・マラーホフがこの作品を踊るのを観た方は多いと思う。ストロボの点滅の効果を使って、ダンサーがまるで宙に浮いていたり、空中を歩いているかのように見える作品だ。照明の技術を借りているとはいえ、やはりこの作品は生で観るとインパクトは絶大だし、ストロボの点滅のタイミングを合わせて高速で跳躍しなければならないダンサーの技術も素晴らしい。YAGPに出場した若いダンサーたちは、もちろんこの名作に熱狂的な歓声と拍手を贈った。


「ライト・レイン」 振付:ジェラール・アルピノ、音楽Douglas Adamz、 Russ Gauthier
ルシア・ラカッラ、マーロン・ディノ

3年前のYAGPガラでもこのペアはこの作品を踊ったはず、だけど3年間の間に、今は40代のラカッラが全然変わっていないのはすごい。エキゾチックな打楽器中心の音楽に合わせて、ラカッラがその柔軟にしなる細長い肢体をいろんな方向に伸ばしたりポーズする、官能的な作品。一つ一つの動きやポーズは完璧にコントロールされている。これはこの二人でないと踊ることができないものなのかもしれない。


「海賊」  振付:プティパ 音楽 ミンクス
タマラ・ロホ、セザール・コラレス(イングリッシュ・ナショナル・バレエ)

3年前のYAGPでグランプリを受賞し、3年間でENBを代表するスターに育ったセザール・コラレス。540を3連発したり、巧みにコントロールされたピルエット、強靭なばねのある身体から繰り出される超絶技巧、ガラ公演にはぴったりのダンサーだ。ENBの来日公演も「海賊」なので、日本でもきっと大喝さいを浴びることだろう。タマラ・ロホは、へそ出しの衣装だとウェストがかなり太くなってしまっていたのがわかったけど、踊りそのものは全盛期と変わらず、相変わらずの、トリプルを連発してのグランフェッテ、見事なバランス、コントロールの利いた動き。芸術監督を兼ねて意欲的なプログラムに取り組みながらも、これだけしっかりと技術を保っているのは奇跡的ともいえる。7月の来日公演が楽しみだ。

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全体的なレベルも高く、少し異分野のダンサーが出演したり、生演奏の演目もあったりで、とても楽しめたガラだった。翌日のフリオ・ボッカへのオマージュ・ガラも行きたかったし行く予定だったのだが、家庭の都合で行けなくなってしまったのが残念。観客席もとても華やかで、オルセン姉妹などのセレブレティもたくさん顔を見せていた。

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Dance Magazine誌のレビュー
http://www.dancemagazine.com/three-more-nycb-stars-are-headed-to-broadway-2365234725.html

2017/04/17

英国ロイヤル・オペラハウス2016/17シネマシーズン「眠れる森の美女」

英国ロイヤル・オペラハウス2016/17シネマシーズン「眠れる森の美女」を試写で拝見しました。

http://tohotowa.co.jp/roh/movie/the_sleeping_beauty.html

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【振付】マリウス・プティパ
【音楽】ピョートル・チャイコフスキー
【指揮】クン・ケセルス
【出演】マリアネラ・ヌニェス(オーロラ姫)
ワディム・ムンタギロフ(王子)
クレア・カルヴァート(リラの精)
クリステン・マクナリー(カラボス)
【上演時間】3時間25分



ロイヤル・バレエでの初演にあたる1946年の『眠れる森の美女』の上演から70年となる記念碑的作品。あの名作がプリンシパルたちの競演 によって映画館で鮮やかに蘇る!

第二次世界大戦後、ロイヤル・オペラ・ハウスが再開された1946年。オリジナルの楽曲から綿密に作り上げられ、豪華な舞台デザインでマーゴ・フォンティーンがオーロラ姫を魅惑的に演じた『眠れる森の美女』。瞬く間にロイヤル・バレエを代表する演目となり、バレエ団が国際的名声を築くのに貢献した作品となった。

今回はそのロイヤル・バレエでの初演から70年となる記念碑的な上演。邪悪な妖精の呪いによって眠り続ける王女と、彼女を救おうとする王子。チャイコフスキーによる音楽と、マリウス・プティパによる振付がすべての年代の観客に愛され魅了し続けてきた伝統あるバレエ。ロイヤル・バレエが誇るプリンシパルたちが競演するこの不朽の名作を見逃してはならない。

デジタルプログラム
http://www.roh.org.uk/publications/the-sleeping-beauty-digital-programme
プロモコード FREEBEAUTY

Choreography Marius Petipa
Additional choreography Anthony Dowell
Additional choreography Frederick Ashton
Additional choreography Christopher Wheeldon
Production Monica Mason
Production Christopher Newton
Music Pyotr Il'yich Tchaikovsky
Original designs Oliver Messel
Additional designs Peter Farmer
Lighting design Mark Jonathan
Staging Christopher Carr

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Princess Aurora Marianela Nuñez
Prince Florimund Vadim Muntagirov
King Florestan XXIV Christopher Saunders
His Queen Elizabeth McGorian
Cattalabutte, Master of Ceremonies Alastair Marriott
Carabosse Kristen McNally
Lilac Fairy Claire Calvert

Fairy of the Crystal Fountain Yuhui Choe
Her Cavalier Luca Acri
Fairy of the Enchanted Garden Akane Takada
Her Cavalier Valeri Hristov
Fairy of the Woodland Glade Yasmine Naghdi
Her Cavalier Nicol Edmonds
Fairy of the Song Bird Meaghan Grace Hinkis
Her Cavalier Solomon Golding
Fairy of the Golden Vine Anna Rose O'Sullivan
Her Cavalier Fernando Montaño
Lilac Fairy's Cavalier Ryoichi Hirano

The English Prince Gary Avis
The French Prince Johannes Stepanek
The Indian Prince Valeri Hristov
The Russian Prince Thomas Whitehead

Princess Aurora's Friends Isabella Gasparini, Tierney Heap, Meaghan Grace Hinkis, Mayara Magri, Yasmine Naghdi, Demelza Parish, Anna Rose O'Sullivan, Leticia Stock

The Countess Christina Arestis
Gallison Jonathan Howells
Florestan and his Sisters Marcelino Sambé, Yasmine Naghdi, Mayara Magri
Puss-in-Boots and The White Cat Paul Kay, Leticia Stock
Princess Florine and The Bluebird Akane Takada, Alexander Campbell
Red Riding Hood and The Wolf Gemma Pitchley-Gale, Tomas Mock

ロイヤル・バレエの「眠れる森の美女」は、1946年にニネット・ド・ヴァロワが振付け、オリヴァー・メッセルがデザインしたプロダクションをベースに、初演60周年を記念して2006年にピーター・ファーマーの手を入れて復元したもの。さらに2011年に衣装デザインをさらにオリジナルに近いものに更新した。

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この舞台映像で際立つのは、なんといってもマリアネラ・ヌニェスの光り輝く存在感。1幕で登場したときのキラキラと光を放つさま、アレグロのステップの正確さと音楽性も見事で、難しい振付をいともたやすく踊っているように見える。天性の明るさと温かさに恵まれた彼女を観ると、誰でも笑顔になることだろう。ローズ・アダージオのバランスも全く危なげなく、少しもハラハラするところがない安定感。一点の曇りもなく闊達なキャラクターはオーロラがぴったり。2幕の幻影のロマンティックな美しい幻、3幕のすべての人に祝福された幸福なプリンセス。これ以上は望めないほどの素晴らしさで、観る者をも幸せにしてくれた。

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ワディム・ムンタギロフの王子も、佇まいが貴公子なだけでなく、伸びやかで美しい脚と正確な技術、エレガンスと非の打ち所がない。目立ちすぎることなく、上手くパートナーを引き立てるところがまた王子にふさわしい。この二人のパートナーシップも良くて、ロイヤル・バレエきってのキラキラペアだと感じられた。

映画館中継ということで脇のキャストも豪華で、プロローグの妖精にはプリンシパルの高田茜さんを投入、さらに崔由姫さん、ヤスミン・ナグディ、アナ・ローズ・オサリバンなど実力派や注目の若手も起用し、リラの精のお付きにもプリンシパルの平野さん。ローズ・アダージオの締めにはギャリー・エイヴィス。ロイヤル・バレエらしく、カラボスから脇役に至るまで皆さん演技もとても達者で、舞台の上に立っている全員が細かく演技していてキャラクターになり切っている。

そして3幕のディヴェルティスマンもなかなか豪華で、まずフロレスタンとその姉妹で、フロレスタン役の、柔らかくゴムまりのように高く軽く跳ぶマルセリーノ・サンベが魅力的だった。ブルーバードにアレクサンダー・キャンベル、フロリナにはここでも高田茜さん。高田さんはプリンシパルに昇進してから、自信が増したのか堂々の存在感で、長い手脚、正確なポジション、しなやかな腕使いと優雅なフロリナ姫だった。

主演キャストも脇キャストも素晴らしく、華やかなグランドバレエの「眠れる森の美女」でクラシックバレエの神髄を楽しめたのだけど、唯一不満があるとしたら2011年に改訂されたという衣装。リラの衣装がやや古めかしく、また3幕のオーロラの衣装は地味で角のようなティアラの形が奇妙だった。フロレスタンの姉妹たちの首の回りのカラーは、ダンサーたちの首を短く見せる効果しかなくてゴテゴテしているし、花のワルツの衣装はジゼルのペザントですか、という地味さだった。初演の衣装を復元するのも善し悪しだと実感した。しかし、当代きってのトップダンサーであるヌニェスとムンタギロフ、さらに脇に至るまで踊りも演技もクオリティが高く、ロイヤル・バレエが好きな人だったら間違いなく楽しめるはず。

また、8月のルグリ・ガラにヌニェスとムンタギロフは出演するので、予習として観るのも良いと思う。

TOHOシネマズ日本橋、TOHOシネマズ六本木ヒルズ、TOHOシネマズららぽーと横浜など都内近郊、関西、名古屋は5月12日から、北海道、東北、九州は5月13日からの公開です。

白鳥の湖(2009)、くるみ割り人形(2009)、眠れる森の美女(2006) 英国ロイヤル・バレエ(3BD)白鳥の湖(2009)、くるみ割り人形(2009)、眠れる森の美女(2006) 英国ロイヤル・バレエ(3BD)
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2017/04/16

YAGP(ユース・アメリカ・グランプリ)2017の結果

4月12日に、世界最大のバレエ・コンクール、YAGP(ユース・アメリカ・グランプリ)のファイナルがニューヨーク、リンカーンセンターのDavid.H. Koch Theatreで行われ、14日に結果が発表されました。

シニア(15~19歳)の男子部門で倉智太朗さん(エリソン・バレエ)が1位(グランプリなし)、ジュニア(12~14歳)男子部門では三宅啄未さんが1位に入賞したことは、各種報道で皆さまもご存知かと思います。



YAGP日本オフィシャルサイト(日本人入賞者の写真が掲載されています)
http://yagp.org/japan/

実は私はこのコンクールのファイナルと翌日のガラ公演を観に行ったので、その時の様子も少し紹介できればと思います。





http://yagp.org/?page_id=6637

審査員も非常に豪華です。フリオ・ボッカ(ウルグアイ国立バレエ芸術監督)、マニュエル・ルグリ(ウィーン国立バレエ芸術監督)、ケネス・グレーヴ(フィンランド国立バレエ芸術監督)、ヤン・サイズ(元パリ・オペラ座バレエ、現オペラ座学校教師)、そしてプリンセス・グレース・アカデミー校長のルカ・マサラ、チューリッヒ・ダンス・アカデミー校長のオリヴァー・マッツ(元ベルリン国立バレエプリンシパル)、元ABTプリンシパルで現ノース・カロライナ・スクール・オブ・アーツ校長のスーザン・ジャフィ、ジョン・クランコスクール校長のタデウス・マタッチ、カナダナショナルスクールのデボラ・ヘスなど。

シニア部門 グランプリ 該当者なし

シニア部門女子
1位 Gloria Benaglia Ellison Ballet – Professional Training Program, NY, USA
2位 Chloe Misseldine Orlando Ballet School, FL, USA
3位 Lauren Hunter Marat Daukayev School Of Ballet, CA, USA

3位のローレン・ハンターは、今年のローザンヌ国際コンクールで5位に入賞しており、ロイヤル・バレエスクールのスカラシップを獲得しています。踊ったのは「パキータ」。1位のGloria Benagliaは、「ラ・バヤデール」のニキヤの花籠の踊りという、コンクールでは非常に珍しいヴァリエーションを踊っています。途中で実は転んでしまったのですが、踊り自体は素晴らしかったです。2位のChloe Misseldineはライモンダの1幕のヴァリエーション。

TOP12には、東真帆さん(白鳥バレエアカデミー)が入りました。「眠れる森の美女」の3幕オーロラのヴァリエーションで、とても脚がきれいでアティチュードの位置も完璧、丁寧で美しかったです。


シニア部門 男子
1位   倉智太朗 Ellison Ballet – Professional Training Program, NY, USA
2位    Jun Young Yang Korea National University Of Arts, KOREA
3位    Jan Spunda English National Ballet School, CZECH REPUBLIC
3位   Yuedong Sun Secondary School Of Beijing Dance Academy, P.R. OF CHINA

倉智さんの「ドン・キホーテ」バジルは、本当に圧倒的です。まず最初のソ・ド・バスクでの跳躍の高さ、次のダブルのカブリオールの脚の打ち付け方、そしてピルエットのコントロールの見事さには息を呑みました。完全に出場者の中でも頭一つ抜けていました。YAGPのファイナルは観客席にも出場者たちがいるので、歓声が凄いのですが、彼の演技の時が一番会場が盛り上がって歓声と拍手がやまず、次の人がなかなか出て来られませんでした。その場にいた人は全員、男子トップは彼だろうと確信したと思います。

2位のJun Young Yang(韓国)は「パキータ」、3位のJan Spunda(チェコ)は「眠れる森の美女」、Yuedong Sun(中国)は「ドン・キホーテ」です。

栗原柊さん(ルクール・ド・バレエいわき)がベスト12に入りました。「タリスマン」を踊ったのですが、やはり跳躍がとても大きくて滞空時間も長く、ダイナミックで会場が大いに沸きました。

入賞はしていないものの、「ラ・フィユ・マル・ガルデ」を踊った十川大希さんは、軽やかな踊り、ポジションが綺麗でとてもつま先の美しいダンサーで、将来性も十分なのを感じさせました。





ジュニア部門
グランプリ Madison Penney Master Ballet Academy, AZ, USA

ジュニア 女子
1位   Hanna Park Sunhwa Arts Middle & High School, KOREA
2位   Viola Pantuso Ellison Ballet – Professional Training Program, NY, USA
3位    Jordan Coutts V And T Classical Ballet Academy, CA, USA
3位   Juliette Bosco Independent, NY, USA

TOP12 中島耀(シンフォニー・バレエ・スタジオ)

ジュニア部門女子は、なんとファイナリストは日本からは1人、中島耀さん一人でした。今回のコンクール全体に言えることなのですが、シニア部門男子以外では、ファイナリストがアメリカ人が多くて、しかもこれでファイナリスト?と思うような人も散見されました。アメリカ以外の国からの出場者のレベルが相対的に高く見えてしまいました。特にアジアン・ダンサーは皆さん本当にレベルが高かったです。(シニア女子で韓国から一人もファイナリストがいなかったのはかなり不思議でした)

グランプリのマディソン・ペニーは、「エスメラルダ」を踊りました。技術のデパートと言ってもいいほどテクニックが強くて、タンバリンを脚で打つときも、バロネで非常に高い高さで打った後、半回転して向きを変えてバロネでまた打ち、その後ピルエットをしてまた繰り返すという離れ業を連続で見せてくれました。背中もとても柔らかくて、大きく反らせて手に持ったタンバリンを後ろ脚で打ちます。1位のHanna Parkも、「エスメラルダ」を踊りました。エカルテの脚でタンバリンを打った後も脚をキープしてゆっくりと下すのを見せて、軸や脚の強さを見せつけてくれます。2位のViola Pantusoは、「タリスマン」、3位のJordan Couttsはジゼル。Juliette Boscoも「エスメラルダ」でした。

(これは予選の動画)


TOP12に入った中島耀さんも、脚がまっすぐできれいで、丁寧な踊り、ポジションがとても美しいオーロラでした。彼女の踊りは、6月の横浜バレエフェスティバルでも観ることができます。

留学生の平野丹緒(にお)さん(エリソン・バレエ)の「ライモンダ」も、プロポーションが美しく、とても素敵でした。

ジュニア 男子
1位 三宅啄未        Kondo Ballet, JAPAN
2位 Lazaro Corrales Independent, CANADA
3位  Darrion Sellman Los Angeles Ballet Academy, CA, USA

一位に輝いた三宅さんは、「白鳥の湖」3幕のヴァリエーション(音楽は、チャイコフスキーパ・ド・ドゥ)を踊りました。とにかく端正で、プリエがとてもやわらかく、着地も5番にきっちりと入ってノーブルです。このヴァリエーションの最後はトゥールザンレールと回転、トゥールザンレールの連続と難しいのですが、きれいに決まりました。13歳という若さですが、筋肉はしっかりついていて、完成度が高い感じがしました。
2位のLazaro Corralesは、ENBのセザール・コラレスの弟です。セザール・コラレスはYAGPのガラ公演にタマラ・ロホと共演して出演するほどのスターとなりましたが、YAGPでグランプリを獲得したのはわずか2年前のことです。「ドン・キホーテ」を踊りました。 Darrion Sellmanは「白鳥の湖」の王子を踊りました。

入賞には至っていませんが、「ドン・キホーテ」バジルを踊った森脇秀行さんは、まだ12歳ですが、空中のポジション、アラベスクもきれいでピルエットも見事、しっかり魅せるポイントをつかんでいて、将来性を感じさせました。ジュニア部門でも12歳の子と14歳の子では体格もかなり違うのですよね。





プリ・コンペティティブ部門とアンサンブル部門は、ファイナルは一般公開されませんが、プリ・コンペティティブ部門の女子TOP12に亀田 智世さん(吉原バレエ学園)、岩田 沙亜弥さん(川上恵子バレエスクール)、男子TOP6に松岡海人さん(愛媛バレエアカデミー)が入っています。

また、アンサンブル部門で、Yarita Yu Ballet Studio (JAPAN)が3位に入っています。

皆さま、おめでとうございます。

倉智太朗さんは、ガラ公演でも踊って、ここでも大歓声を浴びました。ガラ公演では、ファイナリストの中から入賞者と、そのほか目を引いたダンサーが選ばれて踊りますが、この時点では入賞者は発表されていませんでした。同じ演目を踊る人もいれば、コンテンポラリーの演目を踊った人もいました。また、ファイナリストを集めての300人もの出場者によるグラン・デフィレがあったのですが、その中でも真ん中を踊っていたのでとても目立ちました。

速報!YAGP(Youth America Grand Prix)2017 ニューヨーク・ファイナル、ファイナルラウンド(針山真実さんによる詳しいレポート、プロの目で見ているので私のよりもこちらを参考にしてください)
http://www.chacott-jp.com/magazine/news/concours/yagpyouth-america-grand-prix2017.html

バレエ登竜門、シニアとジュニアで日本人男子が1位
http://www.asahi.com/articles/ASK4H246QK4HUHBI001.html

米若手バレエコンクール 男子2部門で日本人1位
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00355427.html


ユース・アメリカ・グランプリ(YAGP)2017日本予選結果(ここの予選を通過した皆さんが、ニューヨークに行って、その中からファイナリストが選ばれます)
http://www.chacott-jp.com/magazine/news/concours/yagp2017.html

ユース・アメリカ・グランプリ2017世界各地の予選に入賞した日本の若いダンサーたち
http://www.chacott-jp.com/magazine/news/concours/2017-1.html

倉智太朗さんの踊るバジル

2017/04/12

ブノワ賞のノミネート発表

バレエ界で最も権威のあるブノワ賞のノミネートが発表されています。(日本語は後で追記します)

http://benois.theatre.ru/english/massmedia/news/

11.04.2017
NOMINEES OF BENOIS DE LA DANSE-2017

<CHOREOGRAPHERS 振付家>

SIDI LARBI CHERKAOUI – Exhibition, Modest Mussorgsky/ Maurice Ravel, Royal Ballet of Flanders.
シディ・ラルビ・シェルカウイ 「展覧会の絵」 ロイヤル・バレエ・オブ・フランダース 
EDWARD CLUG –Handman, Milko Lazar, NederlandsDans Theater.
<エドワード・クルグ「Handman」NDT(ネザーランド・ダンス・シアター)>
HYO-HYUNG KANG – Into the Pulse, Puri, Korean National Ballet. 「Into the Pulse」>
HYO-HYUNG KANG 「Into the Pulse」韓国国立バレエ
AKRAM KHAN – Giselle, Vincenzo Lamagna after Adolphe Adam, English National Ballet.
アクラム・カーン「ジゼル」 イングリッシュ・ナショナル・バレエ
CRYSTAL PITE – The Seasons’ Canon, Antonio Vivaldi, Max Richter, Paris Opera Ballet  
クリスタル・パイト「ザ・シーズンズ・カノン」 パリ・オペラ座・バレエ
ALEXEY RATMANSKY – Serenade after Plato’s Symposium, Leonard Bernstein, American Ballet Theatre.
アレクセイ・ラトマンスキー「Serenade after Plato’s Symposium」アメリカン・バレエ・シアター
DEMIS VOLPI – Salomé, different composers, Stuttgart State Ballet.
デミス・ヴォルピ「サロメ」シュツットガルト・バレエ

<BALLERINAS 女性ダンサー>

STELLA ABRERA – Princesse Aurora, The Sleeping Beauty, P.Tchaikovsky/M.Petipa, A.Ratmansky’s version, American Ballet Theater.
ステラ・アブレラ 「眠れる森の美女」オーロラ、アメリカン・バレエ・シアター
NINA KAPTSOVA — Short Time Together, M.Richter, L.Bethoven/P.Lightfoot, S.Leon, Bolshoi Theatre of Russia.
ニーナ・カプツォーワ「Short Time Together」(ポール・ライトフット&ソル・レオン振付)ボリショイ・バレエ
MISA KURANAGA – Tatiana, Onegin, P.Tchaikovsky/J.Cranko; Medora, Le Corsaire, A.Adam/M.Petipa, I.Liška’s version, Boston Ballet.
倉永美沙 「オネーギン」「海賊」ボストン・バレエ 
LUDMILA PAGLIERO – Other Dances, F.Chopen/J.Robbins, Paris Opera Ballet.
リュドミラ・パリエロ「アザー・ダンス」パリ・オペラ座バレエ
SEUL-KI PARK – Aegina, Spartacus, A.Khachaturian/Y.Grigorovich, Korean National Ballet.
SEUL-KI PARK 「スパルタクス」エギナ役、韓国国立バレエ
MARIA RICCETTO – Tatiana, Onegin, P.Tchaikovsky/J.Cranko, National Ballet of Uruguay. 
マリア・リチェット 「オネーギン」 ウルグアイ国立バレエ

<DANCERS 男性ダンサー>

GUSTAVO CARVALHO – Don Jose, Carmen, G.Bizet/M.Haydée, National Ballet of Uruguay.
GUSTAVO CARVALHO 「カルメン」(マリシア・ハイデ振付)ウルグアイ国立バレエ
DAVIDE DATO – Abderakhman, Raymonde, A.Glazunov/M.Petipa, R. Noureyev’s version, Vienna State Ballet.
ダヴィデ・ダト「ライモンダ」アブデラフマン役、ウィーン国立バレエ
JAE-WOO LEE – Karabosse, The Sleeping Beauty, P.Tchaikovsky/M.Petipa, M.Haydée’s version, Korean National Ballet 
JAE-WOO LEE 「眠れる森の美女」マリシア・ハイデ振付 カラボス役 韓国国立バレエ.
BROOKLYN MACK – Leading part, Theme and Variations,P.Tchaikovsky/G.BalanchineTheWashington Ballet. 
ブルックリン・マック 「テーマとヴァリエーション」ワシントン・バレエ
HUGO MARCHAND – Title role, Romeo and Juliet, S.Prokofiev/R.Noureyev, Paris Opera Ballet 
ユーゴ・マルシャン「ロミオとジュリエット」パリ・オペラ座バレエ.
DENIS RODKIN – Solor, La Bayadère, L.Minkus/M. Petipa, Y.Grigorovich’s version, Bolshoi Theatre of Russia.
デニス・ロヂキン 「ラ・バヤデール」 ボリショイ・バレエ
JEFFREY CIRIO – Colas, La Fille Mal Gardée, F.Herold/F.Ashton; Title role, Prodigal Son, S.Prokofiev/G.Balanchine, American Ballet Theatre 
ジェフリー・シリオ 「放蕩息子」 アメリカン・バレエ・シアター.

日本からはボストン・バレエの倉永美沙さんがノミネートされています。

2017/04/11

ハンブルグ・バレエ2017-18シーズン、2018年2月来日公演

ハンブルグ・バレエ2017-18シーズンが発表されています。

http://www.hamburgballett.de/downloads/vorschau/vorschau_ballett_17_18.pdf
(演目については18ページ目から)


2018年2月に来日公演を行います。これは楽しみですね。演目も、ノイマイヤーのベストの作品ばかりで、とにかく素晴らしいです。

東京 
東京文化会館
「椿姫」 2018年2月2日、3日、4日
「ジョン・ノイマイヤーの世界」 2月7日
「ニジンスキー」 2月10日、11日

京都
京都ロームシアター
「ジョン・ノイマイヤーの世界」 2月16日

ノイマイヤーによると、このシーズンは、クラシックなシーズンとなるとのこと。

プレミアとしては、ヌレエフ版「ドン・キホーテ」のカンパニー初演。2017年12月10日初日で、マニュエル・ルグリが再振付にあたります。2018年は、マリウス・プティパの生誕200周年の記念の年となります。

もう一作品のプレミアは、ノイマイヤー振付の初演「ベートーヴェン・プロジェクト」。ベートーヴェンの生誕250周年を記念したもので、2018年6月24日初演。ノイマイヤーがベートーヴェンの曲を使った作品を振付けるのは、初めてのこととなります。

大きなリバイバルとしては、まず9月17日から、「ショパン・ダンシズ」と題して、ジェローム・ロビンスの名作2作品「ダンシズ・アット・ア・ギャザリング」「コンサート」を上演。

また、ノイマイヤーの名作「幻想 白鳥の湖のように」も久しぶりに帰ってきます。

レパートリーとしては、他に、今年の新作(6月に初演)の「アンナ・カレーニナ」、そして「大地の歌」、「トゥーランガリラ」、「デュース」など近年の作品と並び、やはり名作「椿姫」の上演もあります。「椿姫」は初演40周年を迎えるそうです。「マタイ受難曲」「くるみ割り人形」「クリスマス・オラトリオ」「人魚姫」「かもめ」「ニジンスキー」という定番演目も。

これだけたくさんのレパートリーを上演できるバレエ団というのはやはり素晴らしいですね。ヨーロッパの劇場文化の豊かさも改めて実感します。

ツアーは、日本の他、バーデンバーデン、モスクワ、ウィーンが予定されています。

恒例のバレエ週間は2018年6月24日より7月8日まで。ゲストカンパニーはナショナル・バレエ・オブ・カナダで、演目は、ジェームズ・クデルカの「Man In Black」、ロバート・ビネの「Dreamers Ever Leave You」、クリスタル・パイトの「Emengence」というカナダ人振付家3人によるミックスプロです。クリスタル・パイト以外の作品は正直微妙というか魅力的ではありませんが。

ゲストダンサーには、アレッサンドラ・フェリとアリーナ・コジョカルの名前があります。イヴァン・ウルバンがプリンシパルのところから名前が消えて、キャラクター・アーティスト(Sonderdarsteller)となっています。

2017/04/10

ローレンス・オリヴィエ賞2017、ENB、マシュー・ボーン、クリスタル・パイトらが受賞

その年に上演された優れた演劇・オペラに与えられる賞であり、イギリスで最も権威があるとされているローレンス・オリヴィエ賞の授賞式がありました。

http://www.olivierawards.com/nominations/list-of-winners/

ノミネートの記事についてはこちら
http://dorianjesus.cocolog-nifty.com/pyon/2017/03/2017-3c54.html

ダンスに関連するカテゴリーのみ受賞者を発表します。


最優秀新作ダンスプロダクション

Betroffenheit」 クリスタル・パイトとジョナサン・ヤング、サドラーズ・ウェルズ

ダンスにおける傑出した成果

イングリッシュ・ナショナル・バレエ サドラーズ・ウェルズにおける「ジゼル」と「She Said」によってレパートリーを広げたことについて


最優秀家族向け&エンタテインメント作品

マシュー・ボーンとニューアドベンチャーズ「赤い靴」 サドラーズ・ウェルズ


最優秀舞台振付家

マシュー・ボーン「赤い靴」 サドラーズ・ウェルズ


注目の女性振付家クリスタル・パイトが自らのカンパニーKidd Pivotと、Electric Company Theatreの共同プロダクションに振付けた作品が「Betroffenheit」です。(ジョナサン・ヤングは、Electric Company Theatreの脚本家兼パフォーマーで、この作品の台本を書いているとともに、英国ナショナルダンスアワードでは「傑出した男性モダンダンサー賞」を受賞しました)クリスタル・パイトの出身地、カナダのトロントを皮切りに、フランス、スペイン、北米など各地をツアーしており、ちょうど今週はサドラーズ・ウェルズ劇場に凱旋する予定です。


意欲的なプログラムを次々と送り出しているタマラ・ロホ率いるイングリッシュ・ナショナル・バレエ(ENB)がダンスにおける傑出した成果賞を受賞しました。アクラム・カーンの「ジゼル」と、女性振付家3人による新作トリプルビル「She Said」という斬新なプログラムの成功によるものです。特に「She Said」のアナベル・ロペス・オチョアによる「Broken Wings」(英国ナショナルダンスアワードでもノミネート)は高い評価を得ました。英国ナショナルダンスアワードの「傑出したカンパニー賞」に続く快挙でした。


マシュー・ボーン振付、ニューアドベンチャーズの「赤い靴」は2部門で受賞しています。ご存知、名作映画のバレエ化で、現在も英国内でのツアーを行っています。(7月22日まで)


これらの作品は、ぜひとも日本で観てみたいものばかりです。クリスタル・パイトが日本で上演されたことは皆無ではないものの非常に少ないはずです。ENBは7月に来日公演がありますが、演目は「海賊」と「コッペリア」。ニューアドベンチャーズの「赤い靴」は原作が非常に有名な名作でもあり、ぜひとも日本に招聘してもらいたいものだと思います。

「日本バレエを変える ─コーイチ・クボの挑戦」

意欲的な作品を次々と上演し、今乗りに乗っているNBAバレエ団。ハロウィンの時期に上演して大きな話題を呼んだ『ドラキュラ』、美空ひばりの生涯をバレエ化した『HIBARI』(文化庁芸術祭新人賞を受賞)、そして昨年の『スターズ・アンド・ストライプス』では日本のバレエカンパニーでは初めてこのバランシンの作品を全編上演し、さらにダレル・グランド・ムールトリーと平山素子さんの新作を上演するというトリプルビルを成功に導きました。
バレエ団のパフォーマンスのレベルも年々上がっており、バレエ団全体が勢いに乗って、ポジティブな若いエネルギーを発散させているのを感じます。

そのNBAバレエ団を率いるのが、久保綋一さん。16歳の時にモスクワ国際バレエコンクールで銀賞を受賞(金賞なし)し、コロラド・バレエに入団。2010年までプリンシパルとして活躍し続けました。帰国後はNBAバレエ団のバレエ・マスターを経て2012年に芸術監督に就任しています。

この久保綋一さんの自伝的な著書が、「日本バレエを変える ─コーイチ・クボの挑戦」です。バレエ一家に育った彼が、子ども時代からバレエに熱中し、様々な師匠にバレエを学びます。彼とほぼ同世代に、岩田守弘さん、熊川哲也さん、小嶋直也さんといった錚々たる男性ダンサーたちがいて、切磋琢磨しながら技術を磨き、国際コンクールに挑戦していきます。165cmと小柄な久保さんは、日本やヨーロッパよりもアメリカで踊ったほうがいいというお父さん、久保栄一さんの後押しもありました。

旧ソビエト、ペレストロイカの真っ最中に、岩田守弘さんと共に挑んだモスクワ国際コンクール、アメリカのバレエ団への挑戦。コロラド・バレエでの日々。アメリカのダンスマガジン誌の表紙を飾ったりニューヨークタイムズに舞台写真が大きく載って絶賛されるほどの大活躍を見せます。小柄なため合っているパートナーを探すのが大変だったものの、シャロン・ウェナーという魅力的なバレリーナとパートナーシップを築き上げました。やんちゃ坊主だった久保さんが、次第に成長していくさまが様々なエピソードで語られています。

順調に見えたコロラド・バレエでの日々でしたが、前十字靱帯損傷という大けが、彼の恩人である芸術監督マーティン・フリードマンの解雇など様々な波風もありました。そしてコロラド・バレエを退団して帰国。そこで日本のバレエ界の現状になじめず、反発します。久保さんは、やがて、自分で日本のバレエ界を変えてやろうという使命感を感じるようになりました。

バレエ団は東京に集中して数が多いのに、劇場の数が少なくて取り合いをしなければならないという問題。アメリカでは専用のオペラハウスがあり、ダンサーたちにチケットノルマもなく、シーズン中にはリハーサルをしながら本公演を次々とこなして技術を磨くことができる。給料も年金も雇用保険も傷害保険もあり、労働組合もあって職業人として守られている、そういう環境を、久保さんは日本でも実現したいと思っています。また日本の、そして世界の振付家をどんどん起用して、海外のカンパニーのようにバレエを進化させて、日本のバレエを変え、国内外でツアーを行いたいと願っています。その情熱は、本の行間からも伝わってきます。

この本は、久保さんのみならず、様々な関係者の証言が載っています。久保さんの両親始め、コロラド・バレエの団員だった篠崎玲子さん、マーティン・フリードマン、シャロン・ウェナーなど。そのため、多面的に久保さんの足跡をたどることができ、具体的に彼の活躍ぶりや人物像を実感することができます。今は、日本で活躍する日本人ダンサーも増えましたが、久保さんの時代はそこまで多くはなく、またプリンシパルまで上り詰めた人もまれで、ダンスマガジン誌の表紙まで飾った日本人男性ダンサーは他にはいなかったかと思います。小柄というハンディをどのように克服して、「ジゼル」のアルブレヒトや「白鳥の湖」の王子など貴公子役までも踊ることができたのか、また人間としてどのように成熟していったのかも、多くの具体的なエピソードを通して伝わってきます。自分を飾ることなく、失敗なども含めて非常に率直な物言いで語られているので、思わず久保さんに親近感も覚えてしまいます。写真も多数。

まだNBAバレエ団を通しての、久保さんの日本のバレエを変えていくチャレンジは始まったばかりで、もう少しこのあたりの彼の具体的な構想を読みたかった気もします。が、海外にチャレンジしたい若いダンサーにとっては、非常に参考になる一冊であり、アメリカのバレエ団はどのような活動をしているのかもよくわかります。

また、この本の付録には、久保さんの踊る映像が多数収録されているDVDがあります。バランシンの「スターズ・アンド・ストライプス」のように、版権がおそらく非常に高価なものまできっちり権利がクリアされており、彼がどれほどすごいダンサーであったかを、それらの映像を通して観ることができます。なかなか日本では観ることができない作品も入っており、まさにお宝映像というべきでしょう。このDVDがついてこの値段というのはお得です。

久保さんが夢見ている、日本のバレエ界の改革が早く実現するように祈るとともに、NBAバレエ団のこれからの発展がとても楽しみです。まずは、5月20日、21日にクリストファー・ウィールドン振付『真夏の夜の夢』 と、アンソニー・チューダー振付『葉は色褪せて』というこれまた大変魅力的なダブルビルが予定されています。

http://www.nbaballet.org/performance/2017/midsummer_nights_dream/

『真夏の夜の夢』
『葉は色褪せて』

日   時: 2017年5月20日(土)
   開場12:15・開演13:00
   開場17:15・開演18:00
2017年5月21日(日)
   開場13:15・開演14:00
会   場: 新国立劇場 中劇場
チケット料金: S席 8,640円
A席 6,480円
B席 5,400円
学生席 3,240円

この本を出版している株式会社チャイコの編集の方のブログも大変面白いです。
http://nuekoballet.jugem.jp/?eid=138

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2017/04/09

KARAS APPARATUS アップデイトダンスNo.44 「パフューム」

KARAS APPARATUS アップデイトダンスNo.44は、勅使川原三郎さん振付、佐東利穂子さんのソロ「パフューム」。

http://www.st-karas.com/camp0713-2/

2014年にアパラタスで初演し、同年にシアターXで再演したとのことですが、私は今回が初見。

Perfume

Perfume2
「パフューム」 / 2014年シアターX公演より
photo by Kotaro Nemoto (STAFF TES)

普段はパンツ姿のことが多い佐東利穂子さんが、白いノースリーブのミニドレスで現れる。旋回するような超高速ダンスを今回は封印し、腕の表現を中心にしたゆったりとした動き。音楽には水滴の音が重なって、洞窟の中でたゆたっているようなイメージも。佐東さんの表現者としての引き出しの多さ、今まであまり見せたことがないような深くて幻惑させられるような踊りが圧巻でした。

「パフューム」という題名にあるように、香水のように、時間とともに香りが変化し変容し、受け止める側によってもイメージや匂いが変わるダンス。露出した佐東さんの美しい脚、長くしなやかな腕の繊細な表現、そして赤とブルーを基調とした、圧倒的な照明効果に酔いしれてクラクラしました。終盤に流れるマーラーの「アダージェット」、佐東さんの横たわりゆっくりと四肢をうごかす様子が官能的で、匂いはしないのに立ち上る濃密な香りに満たされていくよう。舞台が終わった後の佐東さんのトークも、この独特の赤とブルーの照明の中で余韻に満たされ、そして会場を後にしても、夢の中にそのままいるような気持でした。

KARAS APPARATUSでの公演は、独特の親密な小宇宙のようなスペース、小さな黒い箱の中で完全に光をコントロールしたパフォーマンスなので、いつも完全に別世界に連れていかれて、他のすべてのことを忘れてしまうような、ある意味癒しの空間ともなっています。公演を重ねるごとに、この「パフューム」も変容していくと思われるので、その変容を見届けたい、そんな気持ちにもなります。

ぜひこの「パフューム」体験してみてください。

Perfume3
写真:「パフューム」 / 2014年シアターX(カイ)公演より

アップデイトダンスNo.44

「パフューム」

出演 佐東利穂子 

演出 / 照明 勅使川原三郎

【日時】2017年
4月8日(土)20:00
4月9日(日)16:00
4月10日(月)20:00
4月11日(火)休演日
4月12日(水)20:00
4月13日(木)20:00
4月14日(金)20:00
4月15日(土)16:00
開演30分前より受付開始、客席開場は10分前

【会場】カラス・アパラタス/B2ホール
〒167-0051杉並区荻窪5-11-15 F1/B1/B2

【料金】(全席自由)
一般 予約 2500円 当日3000円 学生1500円(予約,当日共に)

【予約】メール updatedance@st-karas.com 
件名を「アップデイトNo.44」として、本文にご希望の日付・
一般または学生・枚数・郵便番号・住所・氏名・
日中連絡のつく電話番号をご記入ください。
予約は各回前日の24時まで受け付けています。

【問合せ】
TEL. 03-6276-9136
当日券は開演30分前より受付にて発売します。
お電話での当日券のお取り置きもできますのでお問い合わせください。

*********

4月26日~30日は両国のシアターXで「トリスタンとイゾルデ」公演もあります。昨年のKARAS APPARATUS アップデイトダンスでの上演が、これまた圧倒的に見事だった作品が、少し大きなシアターXのために改訂されての上演。

この「トリスタンとイゾルデ」は海外公演も予定されているとのことです。

構成 振付 照明 美術 衣装 選曲 勅使川原三郎
出演 佐東利穂子 勅使川原三郎

日時 2017年
4月26日(水)19:30
4月27日(木)19:30
4月28日(金)19:30
4月29日(土)16:00
4月30日(日)16:00


料金(全席自由・税込・入場整理券番号付) 一般/前売り 3500円 当日4000円 学生・シニア(65歳以上)2500円
※各回20枚・KARASでの予約のみ取扱,未就学児童の入場不可

予約 KARAS メール:ticket@st-karas.com
※公演日時・作品名・枚数・住所・電話番号を明記してお送りください。
チケットはシアターX/Confetti/チケットぴあでも発売中です。
詳しくは公演情報ホームページをご確認ください。

劇場 東京・両国シアターX
東京都墨田区両国2-10-14

問合せ KARAS 電話 03-6276-9136 メール ticket@st-karas.com

2017/04/06

ウィーン国立バレエ 2017-18シーズン

ウィーン国立バレエ 2017-18シーズンが発表されています。

http://www.wiener-staatsoper.at/en/staatsoper/news/detail/news/the-new-season-20172018-at-the-wiener-staatsoper/

https://issuu.com/wienerstaatsoper/docs/sv_kern_2017_2018_kern?e=27106292/46831306


ウィーン国立歌劇場バレエ 新作

MacMillan / McGregor / Ashton (Concerto / Eden/Eden / Marguerite et Armand)
マクミラン「コンチェルト」/マクレガー「エデン/エデン」/アシュトン「マルグリットとアルマン」

Peer Gynt (Edward Clug)
エドワード・クルグ「ペール・ギュント」

Nureyev Gala (80th anniversary)
ヌレエフ・ガラ (80周年) 2018年6月18日


ウィーン・フォルクスオーパー 新作

Romeo and Juliette (Davide Bombana) 世界初演
ダヴィッド・ボンバナ「ロミオとジュリエット」 音楽はベルリオーズ

Kaydanovskiy / Peci / Lukacs (L'Oiseau de Feu / Petruschka / Movements to Stravinsky (créations))
「火の鳥」(Andrey Kaydanovskiy)、「ペトルーシュカ」(エノ・ペシ)、「Movements to Stravinsky」(Andras Lukacs すべて新作、現役ウィーン国立バレエ団員による作品

Marie Antoinette (Patrick de Bana)
パトリック・ド・バナ「マリー・アントワネット」 (2015/16シーズンのリバイバル)

Cendrillon (Thierry Malandain)
ティエリー・マランダン 「サンドリヨン(シンデレラ)」

Midsummer Night's Dream (Jorma Elo)
ヨルマ・エロ「真夏の夜の夢」


レパートリー

Giselle (Tschernischova)
「ジゼル」

Josephs Legend / Verklungene Feste (Neumeier)
ノイマイヤー「ヨゼフの伝説」/「いにしえの祭り」

Casse Noisette (Noureev)
ヌレエフ「くるみ割り人形」

Balanchine / Liang / Proietto (Symphony in C / Murmuration / Blanc)
バランシン「シンフォニー・イン・C」、エドワード・リアン「Murmuration」、ダニエル・プロイエット「Blanc」

Raymonda (Noureev)
ヌレエフ「ライモンダ」

Balanchine / Neumeier / Robbins (Violin Concerto / Theme and Variations / Bach Suite 3 / The Concert)
バランシン「ヴァイオリン・コンチェルト」「テーマとヴァリエーション」、ノイマイヤー「バッハ組曲3番」、ロビンス「コンサート」

完全な新作は、フォルクスオーパーで上演されるダヴィッド・ボンバナの「ロミオとジュリエット」のみですが、新しくレパートリー入りする作品はいくつかあります。

エドワード・クルグ「ペール・ギュント」 (マリボール・バレエ)

ティエリー・マランダン「サンドリヨン」 (マランダン・バレエ・ビアリッツ)


さて、ウィーン国立バレエといえば、8月のルグリ・ガラで多くの団員が来日します。
http://www.legris-gala.jp/

芸術監督のマニュエル・ルグリ、団員8人に加えて、専属ピアニストの滝澤志野さんも来日。まだウィーンの団員の出演する演目は少ししか発表されていませんが、このようにバラエティに富んだレパートリーのうち、何を披露してくれるのか楽しみですね。

2017/04/05

ロイヤル・バレエ2017-18シーズン/映画館中継の予定

ロイヤル・バレエの2017-18シーズンが発表されています。

http://www.roh.org.uk/news/ballet-and-dance-at-the-royal-opera-house-201718


最大の目玉は、リアム・スカーレットが「白鳥の湖」の新プロダクションを手掛けることです。今まで上演されてきたダウエル版が一新されることになります。基本的には、プティパ/イワーノフ版に沿った作品となるとのことです。

10月には、没後25周年を迎えたケネス・マクミランへのオマージュを捧げた様々な公演が上演され、ロイヤル・バレエだけでなく、イングリッシュ・ナショナル・バレエ、ノーザン・バレエ、バーミンガムロイヤル・バレエ、スコティッシュ・バレエという英国の代表的なバレエ団との合同公演となります。

他に新作としては、トワイラ・サープ、アーサー・ピタ、ウェイン・マクレガー、クリストファー・ウィールドンの1幕もの作品がロイヤル・バレエに振付けられます。

他の全幕作品は、「アリス」、「冬物語」のウィールドン作品、そして「シルヴィア」「くるみ割り人形」「マノン」「ジゼル」という定番。1幕作品は、ウィールドン、マクレガー、スカーレットという3人の常任振付家の作品が中心です。

ロイヤルの強みは、アシュトン、マクミランの遺産に加え、この3人の人気常任振付家を抱えていることで、他のバレエ団にありがちな、他のカンパニーで上演された作品のお古が少ないことです。


Alice’s Adventures in Wonderland 
「不思議の国のアリス」

27 September—28 October 2017

Choreography: Christopher Wheeldon 振付:クリストファー・ウィールドン
Music: Joby Talbot


Jeux (part of MacMillan: A National Celebration)
「遊び」 (「マクミラン 国民的な記念の年」の一環として)

18–24 October 2017 (Clore Studio Upstairs)

Choreography: Wayne Eagling after Kenneth MacMillan and Vaslav Nijinsky 原振付 マクミラン、ニジンスキー、再振付 ウェイン・イーグリング
Music: Claude Debussy


Concerto / Le Baiser de la fée / Elite Syncopations (part of MacMillan: A National Celebration) 
「コンチェルト」「妖精のくちづけ」「エリート・シンコペーションズ」(「マクミラン 国民的な記念の年」の一環として)

18–19 October 2017

Choreography: Kenneth MacMillan 振付:マクミラン
Music: Dmitry Shostakovich / Igor Stravinsky / Scott Joplin
Performed by: The Royal Ballet, English National Ballet, Northern Ballet, Birmingham Royal Ballet, Scottish Ballet ロイヤル・バレエ、イングリッシュ・ナショナル・バレエ、ノーザン・バレエ、バーミンガムロイヤル・バレエ、スコティッシュ・バレエ合同公演
(「コンチェルト」はバーミンガムロイヤルバレエ、「妖精のくちづけ」はノーザン・バレエ、「エリート・シンコペーションズ」はロイヤル・バレエ、イングリッシュ・ナショナル・バレエ、ノーザン・バレエ、バーミンガムロイヤル・バレエ、スコティッシュ・バレエが上演)


The Judas Tree / Song of the Earth (part of MacMillan: A National Celebration)
「ユダの木」「大地の歌」(「マクミラン 国民的な記念の年」の一環として)

24 October—1 November 2017 

Choreography: Kenneth MacMillan
Music: Gustav Mahler / Brian Elias
Performed by: The Royal Ballet and English National Ballet
ロイヤル・バレエ、イングリッシュ・ナショナル・バレエ合同公演(「ユダの木」はロイヤル・バレエ、「大地の歌」はENB)


Sea of Troubles (part of MacMillan: A National Celebration)

26 October—1 November 2017 (Clore Studio Upstairs)

Choreography: Kenneth MacMillan 振付:マクミラン
Music: Anton Webern and Bohuslav Martinů
Yorke Dance Projectがシェイクスピア「ハムレット」にインスピレーションを得たマクミラン作品を踊る


Gloria / The Judas Tree / Elite Syncopations (part of MacMillan: A National Celebration)
「グローリア」「ユダの木」「エリート・シンコペーションズ」(「マクミラン 国民的な記念の年」の一環として)

26–27 October 2017

Choreography: Kenneth MacMillan 振付:マクミラン
Music: Francis Poulenc / Brian Elias / Scott Joplin
Performed by: The Royal Ballet, Northern Ballet, Birmingham Royal Ballet, Scottish Ballet
ロイヤル・バレエ、ノーザン・バレエ、バーミンガムロイヤル・バレエ、スコティッシュ・バレエ合同公演
(「グローリア」はノーザン・バレエ、「ユダの木」はロイヤル・バレエ、「エリート・シンコペーションズ」はロイヤル・バレエ、ノーザン・バレエ、バーミンガムロイヤル・バレエ、スコティッシュ・バレエによる上演)


The Illustrated 'Farewell' NEW / The Wind NEW / Untouchable 2x WORLD PREMIERES
「The Illustrated 'Farewell'」、「The Wind」、「Untouchable」 世界初演新作2本

6–17 November 2017

Choreography: Twyla Tharp / Arthur Pita / Hofesh Shechter
振付:トワイラ・サープ(新作)、アーサー・ピタ(新作)、ホフェッシュ・シェクター
Music: Joseph Haydn / Frank Moon and Christopher Austin / Hofesh Shechter and Nell Catchpole


Sylvia
「シルヴィア」

23 November—16 December 2017

Choreography: Frederick Ashton 振付:アシュトン
Music: Léo Delibes


The Nutcracker
「くるみ割り人形」

5 December 2017—10 January 2018

Choreography: Peter Wright after Lev Ivanov
Music: Pyotr Il’yich Tchaikovsky


Giselle
「ジゼル」

19 January—9 March 2018

Choreography: Marius Petipa after Jean Coralli and Jules Perrot
振付:コラリ、ペロー原振付、プティパ振付、ライト演出
Music: Adolphe Adam revised by Lars Paine


The Winter's Tale
「冬物語」

13 February—21 March 2018

Choreography: Christopher Wheeldon 
振付:ウィールドン
Music: Joby Talbot


NEW Wayne McGregor / The Age of Anxiety / NEW Christopher Wheeldon 2x WORLD PREMIERES
ウェイン・マクレガー新作、「The Age of Anxiety」、クリストファー・ウィールドン新作 世界初演新作2本

15 March—13 April 2018

Choreography: Wayne McGregor / Liam Scarlett / Christopher Wheeldon
振付:マクレガー、スカーレット、ウィールドン
Music: Leonard Bernstein
(音楽はすべて、生誕100周年を祝ってバーンスタイン)


Manon
「マノン」

29 March—16 May 2018

Choreography: Kenneth MacMillan
振付:マクミラン
Music: Jules Massenet


Obsidian Tear / Marguerite and Armand / Elite Syncopations
「Obsidian Tear 」「マルグリットとアルマン」「エリート・シンコペーションズ」

14 April—11 May 2018

Choreography: Wayne McGregor / Frederick Ashton / Kenneth MacMillan
振付:マクレガー、アシュトン、マクミラン
Music: Esa-Pekka Salonen / Franz Liszt / Scott Joplin
Performed by: The Royal Ballet


Swan Lake NEW PRODUCTION
「白鳥の湖」新制作

17 May—21 June 2018

Choreography: Liam Scarlett after Marius Petipa and Lev Ivanov
振付:原振付:プティパ、イワーノフ、再振付:リアム・スカーレット
Music: Pyotr Il’yich Tchaikovsky



The Royal Ballet School Summer Performance 2018
ロイヤル・バレエスクール夏公演2018

8 July 2018


また、2017―18シネマシーズンも発表されています。
http://www.roh.org.uk/news/royal-opera-house-live-cinema-season-201718

Alice’s Adventures in Wonderland – 23 October 2017 
「不思議の国のアリス」

The Nutcracker – 5 December 2017 
「くるみ割り人形」

The Winter's Tale – 28 February 2018 
「冬物語」

NEW Wayne McGregor / The Age of Anxiety / NEW Christopher Wheeldon – 27 March 2018 2x WORLD PREMIERES 
マクレガー新作、The Age of Anxiety 、ウィールドン新作

Swan Lake – 12 June 2018 NEW PRODUCTION 
「白鳥の湖」新作
Manon – 3 May 2018


マクレガーとウィールドン新作のトリプルビル、新作「白鳥の湖」はぜひ観てみたいですね。今年も日本でも映画館上映が実現してほしいものです。


なお、このGuardianの記事によれば、カルロス・アコスタがロイヤル・バレエのリハーサル教師に就任するとのことです。
https://www.theguardian.com/stage/2017/apr/05/royal-ballet-2017-2018-season-kenneth-macmillan-leonard-bernstein

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2017/04/04

バイエルン州立バレエ(ミュンヘン・バレエ)の2017-18シーズン

バイエルン州立バレエ(ミュンヘン・バレエ)の2017-18シーズンが発表されています。

https://www.staatsoper.de/en/17-18/ballett.html

新作は、クリスチャン・シュプック振付の「アンナ・カレーニナ」 2017年11月19日より

これはチューリッヒ・バレエで2014年に初演され、その後ノルウェー国立バレエ、モスクワ音楽劇場バレエでも上演されています。(ノルウェーでは西野麻衣子さんが踊っていますね)音楽はラフマニノフを中心としています。


また、ウェイン・マクレガーのトリプルビルがあります。2018年4月18日より。
「Borderlands」(サンフランシスコ・バレエ、初演2013)、「Kairos」(チューリッヒ・バレエ、初演2014)と、バイエルン州立バレエのために振付けられた新作です。

「若手振付家のための夕べ」が初めて行われます。2018年7月4日と5日


そのほか、レパートリーとして「ラ・フィユ・マル・ガルデ」(アシュトン)、「ドン・キホーテ」(プティパ/レイ・バラ)、「スパルタクス」(グリゴローヴィッチ)、「真夏の夜の夢」(ノイマイヤー)、「ライモンダ」(プティパ/レイ・バラ)、「ラ・バヤデール」(パトリス・バール)、「不思議の国のアリス」(ウィールドン)、「ジゼル」(ピーター・ライト)が上演されます。

2月には、クランコ・フェスティバルとして、「じゃじゃ馬馴らし」、「オネーギン」、「ロミオとジュリエット」の3作品が上演されます。

また、4月には恒例のバレエ週間があります。4月14日から22日まで、日替わりで主なプログラムが楽しめるというものです。

団員についてですが、2016年に1年契約で入団したシクリャーロフとシリンキナは引き続きここで踊ります。また、ゲストとしては、ポルーニン、オシポワ、ザハロワと、特に大きな変化はないようです。

年間74公演が行われますが、マクレガーのプログラム、シュプックの「アンナ・カレーニナ」とウィールドンの「アリス」、ノイマイヤーの「真夏」以外は古典で、チケットの売れ行きの良さそうな作品が用意されています。

2017/04/03

デンマーク・ロイヤル・バレエの『ジゼル』全編視聴可能

デンマーク・ロイヤル・バレエの『ジゼル』が、デンマークのテレビ局のサイトで全編視聴することができます。

https://www.dr.dk/tv/se/opera-og-ballet-det-kgl-teater-tv/-/giselle-ballet-fra-det-kgl-teater#!/

4月1日から6日間視聴可能ということだそうです。

ご覧いただければわかりますが、衣装デザイン、装置ともかなりモダンで色合いなどもシックで洗練されたものになっています。花占いの花が赤い花で、最後にジゼルが置いていく花も赤いというのは珍しい。主演はIda PraetoriusAndreas Kaas、ヒラリオンはSebastian Haynes。

プロダクションについて
https://kglteater.dk/en/whats-on/season-20162017/ballet/giselle/#about-the-production

2016年の新制作で、Silja Schandorffと芸術監督ニコライ・ヒユッベによるもの。舞台装置はMaja Ziskaでドイツのロマン主義の画家カスパー・ダーヴィト・フリードリヒと、現代のアメリカ人写真家サリー・マンにインスピレーションを得たとのことで、背景画の寂寥感ある美しさは目を引きます。扉を開いてウィリたちが入ってくるというのも斬新です。衣装はMia Stensgaardがデザインしています。

このプロダクションはデンマークでは映画館でも上映されたそうです。なかなか魅力的な上演なので、日本でもDVDなどで観られるといいと思いました。

2017/04/02

フレデリック・ワイズマン監督作品『チチカット・フォーリーズ』がバレエ化

今年のアカデミー賞名誉賞を受賞したフレデリック・ワイズマン監督。バレエ・ファンには、『BALLET アメリカン・バレエ・シアターの世界』や『パリ・オペラ座のすべて』で知られている、ドキュメンタリー映画の巨匠です。

そのワイズマンのデビュー作が、精神異常犯罪者のための州立刑務所マサチューセッツ矯正院の日常を切り取った『チチカット・フォーリーズ』(1967)。この作品が、バレエ化されました。
 
Turning ‘a Nightmare of Ghoulish Obscenities’ Into a Ballet (動画あり)
https://www.nytimes.com/2017/03/30/arts/dance/turning-a-nightmare-of-ghoulish-obscenities-into-a-ballet-titicut-follies-the-ballet-james-sewell.html

バレエに関するドキュメンタリー映画を監督するうちに、バレエの世界に魅せられたというワイズマン。しかし、バレエ作品のテーマの多くには、バレエそのものほどには興味を惹かれませんでした。

「1000年前の神話の森とか、男女関係についてのバレエを観ることに飽きました」とワイズマンは語りました。「現代社会についてのバレエはとても少ないのです。ならば、精神異常犯罪者のための州立刑務所にいる精神異常者などの極端なテーマを取り入れてみてはどうだろうと思いました。彼らの態度や動き、けいれんや妄執からクラシックバレエに通じるものを作ることができるかどうか見てみたいと思ったのです」

「Apollo's Angels」などの著書で知られ、ニューヨーク市立大学のバレエとアートのためのセンターというシンクタンクを2014年に設立した批評家でバレエ史研究家のジェニファー・ホーマンズにワイズマンはアイディアを共有しました。 彼女は、米軍が捕虜を虐待したイラクの刑務所についてのバレエを振付けた、振付家のジェームズ・シーウェルに彼を紹介しました。

ジェニファー・ホーマンズの2010年の著書「Apollo’s Angels」は、バレエの4世紀の歴史をたどりながらも最後に、「バレエは死につつある」で結んでいます。

映画『チチカット・フォーリーズ』は、蝶ネクタイを結んだ受刑者たちが喜びもなく、看守と共に「Strike Up the Band」(バスビー・バークレー監督作品のミュージカル映画で、音楽はバーンスタイン、歌うのはジュディ・ガーランド)を歌う悪夢のようなバラエティショーから始まります。シーウェルは、看守はディアギレフで、受刑者たちはバレエ・リュスのダンサーであるというイメージに置き換えました。『チチカット・フォーリーズ』の歪んだ歌のシーンはバレエになりました。シーウェルはバレエの技術を脱構築しようとしたので、バレエ的なポールドブラは出てきませんが、バレエの語彙は使われています。ポワントを履いての踊りも少しありますが、バレエのクラスでは見ないようなステップも登場します。

ダンスには、有名なバレエ作品からの引用が登場します。誕生パーティは「眠れる森の美女」のローズアダージオからインスピレーションを得ています。白鳥の湖を思わせるパ・ド・ドゥもあれば、ニジンスキーの「牧神の午後」の牧神を思わせる場面もあります。「ラ・バヤデール」の影の王国からの引用は、受刑者たちが一人一人現れ、シャツとパンツを脱ぐシーンに使われています。レニー・ピケットが作曲した音楽も、ミンクスの「ラ・バヤデール」を引用しつつも、トム・ウェイツとクルト・ヴァイルのワルツが混ざったような悲しく酸っぱい感じで演奏されています。

ワイズマンは、シーウェルに、50年前の作品である『チチカット・フォーリーズ』がとらえた映像にとらわれ過ぎないようにと言いました。「私の映画は、ドキュメンタリーですが抽象的な面が強くなっています。バレエにおいては、抽象性はより重要です」 当時この映画は大論争を引き起こし、登場する精神病患者である受刑者のプライバシー問題に発展しました。そのため、裁判で1991年まで上映が禁止されたのです。

このバレエ作品では、ダンサーたちは精神異常者をリアルに演じることが求められました。シーウェルは実際に精神医療に携わる人々に作品を観てもらい、正確に描かれているかどうか意見を求めました。しかしワイズマンは、「これはフィクション作品であるので、精神医療従事者がどう考えるかは気にしません」と語っています。

シーウェルは、このバレエが、映画『チチカット・フォーリーズ』の持つような力を持つことを期待しています。「この映画が訴える感情の幅広さは大きなものです。可笑しさから奇妙さ、悲劇から「もう観ていられない」ところまで。映画を観終わると、これらを実際に体験したような思いをします。ほとんど戦争神経症のようなものです。このバレエを観ることで、そのような感情を観客に与えられれば良いのですが」

バレエ『チチカット・フォリーズ』は、3月31日にミネアポリスで初演され、4月28日~30日にニューヨーク市立大学のSkirball Centerで上演されます。
http://nyuskirball.org/calendar/titicutfollies

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ワガノワ・バレエ・アカデミーが2019年1月~2月に来日公演

もう2019年の公演の話なんて鬼が笑いそうですが、ワガノワ・バレエ・アカデミーが2019年1月~2月に来日公演を行います。

2019年1月上旬から2月上旬予定、120名の予定


http://www.arstokyo.co.jp/organizer/archive/2018/nutcracker.html

ロシア国立ワガノワ・バレエ・アカデミー
『くるみ割り人形』<全三幕> エピローグ付
音楽:ピョートル・チャイコフスキー
振付:ワシリー・ワイノーネン

http://www.arstokyo.co.jp/organizer/archive/2018/the_fairy_doll-paquit.html

『人形の精』
音楽:ヨーゼフ・バイエル
振付:コンスタンチン・セルゲーエフ

『パキータ』
音楽:レオン・ミンクス
振付:マリウス・プティパ

2016年に来日公演を行ったワガノワ・バレエ・アカデミーが再来年に来日公演を行います。今回注目されるのは、『人形の精』。2016年6月の卒業公演で衣装を一新して上演され、話題を呼びました。2013年にワガノワの校長に就任したニコライ・ツィスカリーゼは、古きよき伝統を復活させるという考えから、衣装を全てリニューアルし、自身の演出も加えました。大好評を受けて、今年3月、ロンドンのコロシアム劇場で行われた豪華なガラ、Russian Ballet Icons 2017にも招待され、アカデミーの生徒が『人形の精』を踊りました。

Russian Ballet Iconsのフォトギャラリー
http://www.danceeurope.net/gallery/russian-icons-gala-2017

ワガノワ・バレエ・アカデミーについての情報は、ニコライ・ツィスカリーゼのファンの方が運営している非公式ブログがとても詳しいです。『人形の精』の動画なども。
http://melmoth.blog/

2017年6月の卒業公演には『パキータ』が予定されているとのことです。

2017/04/01

横浜バレエフェスティバル2017 出演者オーディションの結果

横浜バレエフェスティバル2017 出演者オーディションが3月30日に行われました。

こちらのオーディションは、横浜バレエフェスティバル2017のチケットを持っているかたと、横浜市在住の小学生・中学生・高校生は無料で、そうでない方も千円で誰でも観ることができました。

審査員
・遠藤康行(元フランス国立マルセイユ・バレエ団 ソリスト・ 振付家)
・小山恵美(スターダンサーズバレエ団 バレエ・ミストレス)
・久保紘一(NBAバレエ団芸術監督 元コロラドバレエ団プリンシパル)
・高岸直樹(元東京バレエ団 プリンシパル)
・赤江直美(神奈川県民ホールプロデューサー)

そして結果は以下の通りです。


◆第1位(神奈川県民ホール賞):横浜バレエフェスティバル2017出演決定
松浦祐磨 「ドン・キホーテ」バジル

◆第2位:横浜バレエフェスティバル2017出演決定
大岩詩依 「ラ・バヤデール」幻影ヴァリエーション第一

◆第3位
竹内渚夏 「エスメラルダ」タンバリン

◆第4位
丸山萌 「エスメラルダ」タンバリン

◆第5位
亥子千聖 「コッペリア」スワニルダ

◆第6位
生方隆之介 「タリスマン」

ジュンヌバレエYOKOHAMA選出候補者
竹内渚夏
丸山萌
亥子千聖
生方隆之介

1位、2位の方は、今年の6月9日、10日に開催される横浜バレエフェスティバル2017のフレッシャーズガラに出演します。

横浜バレエフェスティバルは2015年の初回開催より、”次世代育成”に力を注いできており、第一回のフェスティバルのフレッシャーズガラに出演した永久メイさんは、マリインスキー国際バレエフェスティバルの『ラ・バヤデール』に出演し、マリインスキー・バレエに入団することが決まりました。昨年、一昨年のオーディションで選ばれた若手ダンサーは、その後YAGPのファイナルに出場するなど、今後の活躍が期待される方ばかりです。

3位から6位の方は、芸術監督は遠藤康行、バレエマスターは高岸直樹というジュンヌバレエYOKOHAMAの選出候補となります。選抜されたダンサーは主に日曜日に都内もしくは横浜市内で(月に1、2回)行なわれるクラスやリハーサルに参加し、トップ教師やダンサーによる様々な充実した教育や、舞台に立つ機会を与えられます。

さて、今回初めて、この出演者オーディションを拝見しました。ファイナリスト21人がそれぞれ演技を披露し、審査員の高岸直樹さん、小山恵美さん、久保紘一さんがその場で講評するというものです。

まず、出場者のレベルの高さに驚きます。10歳から19歳と年齢の幅は広いのですが、小学生でも「ディアナとアクティオン」やスワニルダなど難しいヴァリエーションに挑戦していて、完成度が高い人が多かったのです。そして特に女性に関していえば、プロポーションに恵まれている人が多く、脚が長くまっすぐできれいな人ばかり。技術的なレベルももちろんいうまでもありません。良い演技を見せてくれたな、と思った後に審査員の講評を聞くとなるほどな、と思うような指摘点が多くて、非常に勉強になって面白かったです。指摘された点を出場者が自分でやり直して納得したり、すぐに修正されている様子を見て、やはりこのレベルの子たちはスポンジのように吸収できる人たちなんだと思いました。

入賞者ですが、1位の松浦祐磨さんは非常にテクニックのある人で、特にピルエットが素晴らしかったです。日曜日に行われたばかりの全国舞踊コンクール(東京新聞)でジュニア部門で2位だったのも納得です。技術はあっても、バジルというキャラクターを演じる部分が物足りないという講評はありましたが、それは今後身につけられることでしょう。容姿よく身長もあるようですし、これから大きく注目を集める存在となるに違いありません。

2位の大岩詩依さんは、プロポーションに恵まれアラベスクがとても綺麗。後半のアラベスクルルヴェのところでの手先が気になるな、と思ったらやはり指摘されていましたが、それ以外は文句なしでした。大岩さんも、先日の全国舞踊コンクールバレエジュニア部で7位です。竹内渚夏さんは、目がパッチリしていてとても可愛らしいのですが、柔軟性のとてもあるダンサーでした。生方隆之介さんは、昨年も出場して3位に入賞していましたが、ワガノワアカデミーに留学していたようですね。ダイナミックな跳躍が印象的でテクニックももちろんしっかりしています。1月のNBAバレエコンクールで高校生の部3位の3でした。

演技終了後には、昨年の横浜バレエフェスティバルの30分程度のハイライト映像の上映もあり、いかに充実したガラであったかということを改めて実感しました。

今年の横浜バレエフェスティバルも、マッツ・エックの「ジュリエットとロミオ」の日本初演、シディ・ラルビ・シェルカウイの新作世界初演など、非常に気合の入った作品、日本ではここでしか観られない作品の上演が多く、とても期待できます。非常に志の高い公演です。

横浜バレエフェスティバル2017
http://yokohamaballetfes.com/outline/
2017年6月9日(金) 19:00開演(休憩時間を含め約2時間の上演予定)/Aプログラム
2017年6月10日(土) 16:00開演(休憩時間を含め2時間半の上演予定)/Bプログラム
会場:神奈川県民ホール 大ホール

芸術監督:遠藤康行(元フランス国立マルセイユ・バレエ団 ソリスト/振付家)
プロデューサー:吉田智大

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