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« オペラ座&ロイヤル<バレエ・スプリーム>公演概要 | トップページ | 伝統と創造シリーズ「遠藤康行『狂 -くるい-』2部作」  »

2017/02/02

1/28.29 東京小牧バレエ団「白鳥の湖」倉永美沙、奥村康祐

東京小牧バレエ団の「白鳥の湖」は、バレエ団創立70周年記念公演。ボストン・バレエから倉永美沙さん、新国立劇場バレエ団から奥村康祐さんを迎えての上演。

オデット/オディール:倉永美沙(ボストン・バレエ プリンシパル)
王子:奥村康祐(新国立劇場バレエ団プリンシパル)
ロットバルト:アルタンフヤグ・ドゥガラー
家庭教師ヴォルフガング:夏山周久
皇后:森理世(ミス・ユニバース2007世界一)
ベンノ:梅澤紘貴
王子の友人:平野玲、今勇也、宮本祐宜、五十嵐耕司、周藤壱、香野竜寛
パ・ド・トロワ:金子綾、山口麗子、梅澤紘貴
二羽の白鳥:佐藤侑里、水谷彩乃
四羽の白鳥:西村美紀、矢部李沙、西村仁美、真嶋菫(28日)、中村絢名(29日)
スペイン:周東早苗、五十嵐耕司、香野竜寛
ルスカヤ:金子綾(ソリスト)、西村美紀、矢部李沙、西村仁美、中村絢名(28日)、眞嶋菫(29日)
ナポリ:藤瀬梨菜、宮本祐宜
マズルカ:嶺岸葵、ビャンバ・バットボルド、髙浦美和子、平野玲、中尾優妙、今勇也
チャルダッシュ(ソリスト):深山美香、梅澤紘貴

演出・振付 佐々保樹
指揮 マーク・チャーチル(ボストン交響楽団)
演奏 東京オーケストラMIRAI

1946年8月9日~30日に帝劇において、「白鳥の湖」日本初演の演出・振付を小牧正英さんが行いロットバルト役を演じており、それ以来このバレエ団のレパートリーとして上演されてきた。

基本的にはオーソドックスな演出だが、1幕のワルツのコール・ド・バレエのフォーメーションはなかなかユニークで見ごたえがある。道化はいなくて、道化が踊る音楽のところで女性ダンサーたちの真ん中で踊るのは家庭教師。東京バレエ団で活躍した夏山周久さんが華麗なステップを見せてくれた。元東京バレエ団のダンサーも数人入る王子の友人たちは1幕と、2幕最初の湖畔のシーンで活躍する。
2、3幕もベーシックな振付で、3幕は王子とロットバルトは戦うものの、オデット、そして王子は身を投げて死を選ぶ悲劇版。新国立劇場やマリインスキーなど、最近観ている「白鳥の湖」はハッピーエンドが多かったので、久しぶりに悲劇版を観るのも良かった。

オデット/オディールの倉永美沙さんは、これぞワールド・レベルの白鳥。身長156cmとコール・ド・バレエに交じっても小柄なのに、その小ささを感じさせない。腕や脚を長く見せる術に長けているし、首や背中、胸の使い方をとても工夫していて、非常に踊りの表情が豊かでドラマティックなオデットを見せてくれた。冒頭のマイムはないのに、まるで台詞が聞こえてくるかのようにオデットの心情が伝わってくる。生き生きとしていて雄弁で、鳥というか動物なのだけど同時に女性として部分もある。これだけきっちりと作りこんで、強い存在感とドラマ性のある白鳥もいないのではと思うほど。悲劇的なのだけど、儚い存在ではなくて、逆境の中でも自分の運命を切り開こうとする意志を感じさせ、それは特にコーダの連続パッセに感じられた。

倉永さんのオディールは艶やかで魅惑的。緩急の付け方がくっきりとしているので一つ一つのポーズが映えるし、アンドゥオールも完璧でアラベスクなどのラインが美しい。鉄壁の技術は言うまでもなく、ヴァリエーションではピルエット2回回った後でそのまま3回目はアティチュードに脚を持って行って回るのを2セット。グランフェッテは、前半は全部ダブル、後半はシングル、ダブルの繰り返しで1日目はダブルの時に片手アンオ―で安定感抜群、パーフェクトだった。オデットの振りをするところで一瞬にして白鳥に変身するところはぞくぞくするほどの変貌ぶりだった。しっかりとこの役を自分のものにしており、これから先、どんなふうにさらに進化させられるのかが楽しみだ。

奥村さんの王子は、とてもイノセントでまっすぐなのだが、ほんの少し孤独の影が漂い、1幕や湖畔の最初で友人数人といるところでも少し断絶を感じさせている。そんな彼の前に現れたオデットこそがその孤独を癒してくれる存在なのであっという間に恋に落ちる。子供の時から地主薫バレエ団で倉永さんと学んできた奥村さんなので、二人のパートナーシップはとても自然で息もよく合っているしサポートも万全。3幕でオデットそっくりのオディールが現れたときの嬉しそうな様子と言ったら。

奥村さんは踊りの方も絶好調で、特に3幕のヴァリエーションは見事だった。軽やかで美しい跳躍、トゥールザンレールではしっかりとプリエを効かせて完璧な5番に着地。ラインもエレガントで、これぞダンスールノーブルというパフォーマンスで、世界中どこに出しても恥ずかしくないレベル。オディールの正体を知った時の悔やみ悲しむ様子、ロットバルトに戦いを挑む4幕での情熱、貴公子らしさの中でも情熱を感じさせて、たとえ悲劇に終わったとしても、このような熱い想いで愛を貫くことができて彼は幸せだったのだろうと思わせてくれた。新国立劇場バレエ団では、プリンシパルであるにもかかわらずなかなかパートナーに恵まれていない彼だが、倉永さんという互角のパートナーだとここまで輝くのだと実感。

モンゴルからのゲスト、アルタンフヤグ・ドゥガラーのロットバルトは、踊る場面はそれほどないのだが、美しい身体のライン、妖しさを感じさせる存在感はさすがだった。ベンノ役に元東京バレエ団の梅澤紘貴さん、彼も貴公子らしいダンサーで、この版はベンノもかなり活躍するので一瞬彼が王子だったっけ?と思うほど。友人たちにも、平野玲さん、宮本祐宜さん、周藤壱さんと東京バレエ団OB組がいて充実したメンバーだった。王妃役には、元ミスユニバースの森理世さん。さすがに美貌で長身の立ち姿に威厳があり、ダンススクールで教えているだけあってマイムも美しかった。王子の実母には若いので、王の後妻なのかな、と思わせるところも面白い。パ・ド・トロワの金子綾さん、山口麗子さんも足先などのパがクリアで良かった。

特筆すべきはコール・ド・バレエのクオリティ。非常に良く鍛えられていて綺麗に揃っていた。4羽の小さな白鳥は特に一つ一つの動きが見事にシンクロしていたし、大きな白鳥の二人も伸びやかで美しい。4幕で幕が開き、アシメントリーに配置された白鳥たちがポーズしている姿がうっとりするほどの美しさで、思わず大きな拍手が出たほど。オデットと王子が身を投げた後、白鳥たちがロットバルトも死に追いやるのだが、それだけの一丸となった力を感じることができた。年に1、2回しか公演を行わない団体でも、これだけのクオリティのコール・ド・バレエをつくりあげることができるのだと感銘を受けた。

ボストン・バレエでも指揮をしていたマーク・チャーチルを指揮者として招聘していたので、音楽のクオリティも高かった。ダンサーをよく見て指揮をしているし、2幕コーダのオデットのソロでは途中まで音の速度を極限まで落として、最後にスピードを上げることでとても効果的で、倉永さんの踊りの持ち味を存分に見せることができていた。

コール・ド・バレエの美しさ、そして世界トップレベルの主演による見事な公演で、「白鳥の湖」という作品の魅力を存分に味わえて、心を動かされたパフォーマンスだった。奇をてらった演出をしなくても、きっちりとつくりあげて、息の合った主演ペアがいて演奏が良ければ、バレエで感動を味わえるという見本のような舞台。

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バレエ公演感想」カテゴリの記事

コメント

いつも沢山の情報をありがとうございます。
東京小牧バレエ団は初めて足を運んだのですが、
演出の素晴らしさ、ダンサーの方々の丁寧な踊り、素晴らしい公演でした。
いつも、ぱっと目につきやすい公演にしか中々行けないのですが、
今回は観に行って本当に良かったです。

倉永さんと奥村さんは二人とも素晴らしいダンサーですね。
どこへ出しても恥ずかしくない、同感です。

奥村さんと言えば、確かに新国立では相手役が難しそうですね。
実際鑑賞しましたが、ちょっとちぐはぐで。
新国立はダンサーの組み合わせがいつも同じで最近は退屈になってきました。
ダンサーは相手役で変わるので、もっと慎重に選んで欲しいなと思います。

自分自身もこれからは様々な公演を見ていきたいなと感じました。
こちらの情報、これからも参考にさせてください。

補足です。ちぐはぐに思えたのは年末の公演です。

ruruDさん、こんにちは。

東京小牧バレエ団の「白鳥の湖」ご覧になったんですね!期待以上の素晴らしい公演でしたよね。
主役だけでなくてコール・ド・バレエもとても良かったと思います。

奥村さん、私は今シーズンはロミオとジュリエットのベンヴォーリオ役でしか観ていないんです。7月の「子どものための白鳥の湖」での長田さんとの踊りは息もあっていてとても良かったのですが。シンデレラは長田さんと小野さんの日だけ行ったし、コッペリアも眠りも彼は観たいのですが相手役をあまり観たいと思えないのでパスする予定です…。(ヴァレンタイン・バレエは観ますが)
本当におっしゃる通り、ペアは固定化しないでほしいし、パートナーシップが大事だと思うんですよね。例えば小野絢子さんと福岡雄大さんのペアもとてもいいのですが、たまには小野さんが違う人と踊って、どんなケミストリーがあるのか観てみたいなと思っています。

こちらこそ、今後ともどうぞよろしくお願いいたします!

うっかりして見逃してしまいました。残念!倉永さんの白鳥も見てみたかったし、昨夏の新国立劇場のジークフリートがとても良かった奥村くんとのパートナーシップも素晴らしかったようですね。
最近の新国立のキャスティングの偏りと単調さに不信感を抱いている方が少なくないことを知って、やっぱりそうだよね?と改めて思いました。

何度も投稿してすみません。

「奥村さんは見たいけど…」という声はぽつぽつ聞こえてきまして、何とも、どちら方面にもお気の毒、としか言いようがありません。
組み合わせにバラエティを持たせれば済む話ですのにね。

とりあえず新国立劇場に希望は出しておきましたが、どこまで観客の声を拾っていただけますでしょうか。

変わり映えのしない公演が続くようでしたら、もっと様々なバレエ公演に目を向けるのも一興かなと思っています。

Shingoさん、こんにちは。

先週末に弾丸海外に出かけてあまりの寒さに風邪を引き、さらに締め切りが重なって(2月って28日までしかないことを忘れていました)全然コメントにお返事ができなくて申し訳ありませんでした。

倉永さんと奥村さんの白鳥ということでチケットの売れ行きも早く、ほぼソールドアウト公演だったようです。またこういう機会があると良いのですが。

そうなんですよ~本当に奥村さんの新国立での相手役、勘弁してほしいです。お金払ってあの人は観たくないです、本当に、とヴァレンタイン・バレエを観ても思いました。

ruruDさん、こんにちは。

本当にものすごくお返事が遅くなってしまってごめんなさい。今月、忙しかったり海外に行ったり風邪を引いたりで全然コメントにお返事ができなくて。

本当に組み合わせ、もっとバラエティに富んだものにしてほしいです!ヴァレンタイン・バレエでは、奥村さん、テーマとヴァリエーションでは小野絢子さん、ソワレ・ド・バレエでは米沢唯さんと組んで、二つとも本当にとても素敵でした。せっかくプリンシパルに上がったわけだし、この二人のプリマと踊ってほしいんですよね~。

とにかく、要望を出しておいて損はないと思うので、私もアンケートなどで書くようにはしています。来シーズンの演目もちょっと、だし、バレエのクオリティでは新国立が一番ですが、悩ましいですよね。

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