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2017年1月

2017/01/31

「横浜バレエフェスティバル2017」とジェンヌバレエYOKOHAMAのクラウドファンディング

国内外で活躍するダンサーたちが出演する横浜バレエフェスティバルも、今年で第3回目の開催となります。今年は、6月9日、10日と2日間の開催となりました。

http://yokohamaballetfes.com/

2017年6月9日(金) 19:00開演(上演時間と休憩時間を含め、約2時間の予定)/Aプログラム
2017年6月10日(土) 16:00開演(上演時間と休憩時間を含め、2時間半の予定)/Bプログラム
(AプログラムとBプログラムでは上演作品が7割程度異なる予定)

出演予定ダンサーも、一部発表されていますが、若手から世界のトップダンサーまで、大変魅力的な顔ぶれです。

<フレッシャーズ・ガラ>

加藤三希央 (ロイヤルフランダースバレエ団)
二山治雄 (パリ・オペラ座バレエ)
オーギュスト・パライエ (カンヌ・ロゼラ・ハイタワー・バレエ学校)
出演者オーディション優勝者 (決定次第公開)
出演者オーディション神奈川県民ホール賞受賞者 (決定次第公開)

<ワールドプレミアム>
飯島望未 (チューリッヒ・バレエ)
遠藤康行 (元フランス国立マルセイユ・バレエ団 ソリスト・ 振付家)
熊谷拓明 (ダンス劇作家)
倉永美沙 (ボストン・バレエ プリンシパル)
近藤亜香 (オーストラリア・バレエ プリンシパル)
チェンウ・グオ (オーストラリア・バレエ プリンシパル)
清水健太 (ロサンゼルス・バレエ プリンシパル)
竹田仁美 (NBAバレエ団プリンシパル)
柳本雅寛 (コンテンポラリーダンサー +81主宰)
八幡顕光 (新国立劇場バレエ団プリンシパル)
湯浅永麻 (元ネザーランド・ダンス・シアター)
アントン・ヴァルドヴァウワー (スウェーデン王立バレエ)

演目は未定なのですが、モンテカルロ・バレエからロイヤルフランダースバレエに移籍した加藤三希央さんは、シディ・ラルビ・シェルカウイの作品を踊られるとのこと。第一回の横浜バレエフェスティバルにもマッツ・エックの「眠れる森の美女」を踊った湯浅永麻さん、そしてアントン・ヴァルドヴァウワーは、マッツ・エックの「ジュリエットとロミオ」を踊る予定です。また出演者の追加もあるようです。

1月30日より、横浜バレエフェスティバル2017の「S席(センターブロック1~16列目限定)先行販売」が開始しています。
http://yokohamaballetfes.com/ticket/

◆ 横浜バレエフェスティバルチケットセンター
1/30(月)11時より2/8(水)まで S席【良席限定】先行販売、2/11(土)より一般販売
◆ チケットかながわ http://www.kanagawa-arts.or.jp/tc/
Tel 0570-015-415(10:00~18:00)
2/6(月)より先行販売、2/11(土)より一般販売
◆ イープラス   http://eplus.jp/
2/11(土)より一般販売

******

さらに今年から才能溢れる若いダンサー達を集結し未来のグローバルダンサー育成プロジェクトとして「ジュンヌバレエYOKOHAMA」が始動するそうです。
http://yokohamaballetfes.com/%E3%82%B8%E3%83%A5%E3%83%B3%E3%83%8C%E3%83%90%E3%83%AC%E3%82%A8yokohama/

横浜バレエフェスティバル出演のフレッシャーズや出演者オーディションなどで才能を見込まれた若手ダンサーを世界レベルに育成していくプロジェクトで、プロデューサーは吉田智大(横浜バレエフェスティバルプロデューサー)、芸術監督は遠藤康行、バレエマスターは高岸直樹という布陣でグループを支えるとのこと。

ジュンヌバレエYOKOHAMAでは、10名前後の10歳以上20歳以下のダンサー(国籍不問)を選抜して、第3回横浜バレエフェスティバルの公演に参加する予定です。

ジュンヌバレエYOKOHAMAの活動の支援いただける方を募られるということで、クラウドファンディングも実施しています。
https://readyfor.jp/projects/11141
チケットや出演者レセプション招待など、さまざまなリターンも用意されています。

”次世代育成”に力を注いできた横浜バレエフェスティバルならではの企画、ここから世界のトップダンサーが巣立てば素晴らしいことですよね。

2017/01/30

1/30 旅するドイツ語(ウィーン国立バレエ学校)ほかテレビ放映情報

1月30日(月)午後11:25~11:50 NHK Eテレ「旅するドイツ語」にウィーン国立バレエ学校のピアニスト、渡辺 泰人さんが紹介されるとのことです。(ウィーン国立バレエ、芝本梨花子さんのTwitterより)

「ウィーンで音楽を奏でよう!」というテーマで、ウィーン国立バレエ学校最終学年のクラスを渡辺さんが担当されているとのことで、当時バレエ学校に在籍中だった芝本梨花子さんも少し出演しているそうです。
https://www2.nhk.or.jp/gogaku/german/tv/

ウィーン国立バレエ「ライモンダ」の華麗な映像。入団一年目でソリストに抜擢された芝本さんも少し映っています。


また、2月5日(日)午前11:00~11:30 
牧阿佐美さんががBSジャパン「松平健・高将の名言」のゲストとして出演します。
http://www.lightacorner.com/ambt/2017/01/tvbs.php

番組のホスト松平健さんが今回お迎えするのは、舞踊家の牧阿佐美さん。
現在、橘バレエ学校、牧阿佐美バレエ団、新国立劇場研修所で後進の指導にあたっている牧さんが語るバレエとは?プリマの条件とは?
バレエファンならずとも興味深いトーク。
波乱万丈な人生を歩んで来た牧さんが語る人生の面白さや生きがいなどなど必見の30分です。

松平健・高将の名言
http://www.bs-j.co.jp/official/meigen/

2017/01/28

サンフランシスコ・バレエの新作フェスティバル

サンフランシスコ・バレエは、2018年の4月20日から5月6日まで、意欲的な新作のフェスティバルを開催します。
12人の注目されている振付家の作品を上演するというものです。4プログラムという構成になる予定です。

https://www.sfballet.org/2018festival

この振付家たちが、まさにいま世界で最も注目されている綺羅星のような振付家たちということで、よくこれだけのメンバーを集めたものだと思いました。

デヴィッド・ドーソン (オランダ国立バレエ アソシエイト・アーティスト)
アロンソ・キング (アロンソ・キング・ライン・バレエ芸術監督)
エドワード・リアン (バレエ・メット芸術監督、元NYCBソリスト、NDT)
アナベル・ロペス・オチョア 
キャシー・マーストン (元ベルン・バレエ芸術監督)
トレイ・マッキンタイアー (トレイ・マッキンタイアー・ダンス・プロジェクト)
ジャスティン・ペック (ニューヨークシティ・バレエ(NYCB)ソリスト、NYCB専任振付家)
アーサー・ピタ 
ユーリ・ポソホフ (元ボリショイ・バレエ、サンフランシスコ・バレエ プリンシパル、サンフランシスコ・バレエ専任振付家)
ドワイト・ローデン (コンプレクションズ・コンテンポラリーバレエ芸術監督、専任振付家)
スタントン・ウェルチ (ヒューストン・バレエ芸術監督)
クリストファー・ウィールドン (サドラーズ・ウェルス アソシエイトアーティスト)

サンフランシスコ・バレエのヘルギ・トマソン芸術監督は、以下のように述べています。

「バレエが進化し続ける芸術であることを確実にするために、独創性、バレエ芸術への情熱、新鮮な思考、そしてリスクを敢えて冒す振付家をサポートし、見せる必要があります」


12人の振付家の顔ぶれは様々で、新進気鋭から大ベテランまで、国籍や人種も多様性に富んでいます。女性振付家は、ENBでフリーダ・カーロの生涯を作品にしたアナベル・ロペス・オチョアと、ローザンヌ国際コンクールに作品も提供しているキャシー・マーストンの二人。

*********

今回の顔ぶれの中でひときわ注目を浴びているのは、現役のNYCBのソリストでもある29歳のジャスティン・ペック。NYCB、サンフランシスコ・バレエのほかパリ・オペラ座バレエにも作品を振付けています。

そして今話題を呼んでいるのが、現在NYCBで上演されているこのペックの新作「The Times Are Racing


ニューヨークの地下鉄の駅で撮影されており、ペック本人と、ブロードウェイミュージカル「パリのアメリカ人」にも主演したロバート・フェアチャイルドが出演しています。とてもスタイリッシュで活気に満ちた、まさにミュージカルのような作品です。実際スニーカーを履いて踊られているとのことで、ジェローム・ロビンスに影響を受けている作品そうです。

この作品の上演において、ダンサーたちは新大統領ドナルド・トランプへの抗議の言葉「Unite, React, Act, Protest and Fight.」を書いたパーカー(オープニング・セレモニーのもの)を衣装として着用して舞台に臨みました。
https://www.nytimes.com/2017/01/24/arts/dance/justin-peck-new-york-city-ballet-lacing-up-their-sneakers-to-unite.html

こちらのインタビューによれば、トランプが大統領選挙に勝利したことで作品の内容も変化したそうで、より悲観的な内容になったそうです。あと興味深いのは、ペックはゲーム「ダンス・ダンス・レボリューション」に熱中し、その経験がこの作品作りに影響したとのことです。二人のプレイヤーが競い合うというモチーフがこの作品の中にはあります。

また、この作品はもう一つ話題を呼んでいます。

主役男性ダンサーの代役に女性起用
http://www.afpbb.com/articles/-/3115668

主演のロバート・フェアチャイルドの代役に女性ソリストのアシュリー・アイザックスがキャスティングされ、踊る予定もあるというものです。男性のために振付けられた役を女性が踊るということは全くないわけではありませんし、ユニセックスな役というのもあるのですが、珍しいことには違いありません。

**********
なお、現在サンフランシスコ・バレエでは、イリ・ブベニチェク振付の「Fragile Vessels」という新作と、ジャスティン・ペック振付の「Countenance of Kings」(再演)が上演されています。
https://www.sfballet.org/season/repertory/program-01

イリ・ブベニチェク振付の「Fragile Vessels」は大変評判が良く、地元紙でも高い評価を得ました。
https://www.sfcv.org/reviews/san-francisco-ballet/sf-ballets-fragile-vessels-goes-from-strength-to-strength

日本にいる私たちにとっては、サンフランシスコもニューヨークも、バレエに関してはとても羨ましい状況です。

当時25歳のジャスティン・ペックがNYCBに新作「Paz de la Jolla」を振付ける様子を捉えたドキュメンタリー映像。

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2017/01/27

1/22夜 日本バレエ協会「ラ・バヤデール」長田佳世さんのさよなら公演

1/21と22日の昼・夜は、日本バレエ協会の「ラ・バヤデール」公演。初日の酒井はなさんも観たかったけど、22日昼公演は私の先生がソリストで出演しているし、夜公演は長田佳世さんの引退公演なので、決して見逃してはいけなかった。

昼公演の瀬島五月さん、法村珠里さんの関西2大プリマ・バレリーナが火花を散らした昼公演も、とても素晴らしかったけど、夜の長田さんの公演は、これほど心に残るパフォーマンスはなかったと言えるほどの公演だった。バレエの神が下りて来たと思うほど見事だった。


ニキヤ:長田佳世
ソロル:橋本直樹
ガムザッティ:馬場彩
バラモンの高僧(大僧正):マイレン・トレウバエフ
ドゥグマンタ(ラジャ):桝竹眞也
黄金の神像:高橋真之
苦行僧マグダヴェヤ:土方一生
アイヤ:鈴木裕子
神に捧げる踊り:輪島拓也
壺の踊り:桝谷まい子
太鼓の踊り:楠元結花,佐藤祐基,下島功佐
影のソリスト:増原聖、阿部碧、平尾麻美

音楽:レオン・ミンクス
原振付:マリウス・プティパ
改定振付・演出:法村牧緒

指揮:アレクセイ・バクラン
管弦楽:ジャパン・バレエ・オーケストラ


改訂振付の法村牧緒さんは、1966年に「ラ・バヤデール」が日本初演された時のソロル役。今回の上演は、マリインスキー劇場版をベースに、元ミハイロフスキー劇場バレエマスターのユーリ・ペトゥホフによる結婚式での神殿の崩壊の場面が加わっている。オーソドックスではあるが、最終幕ではニキヤの怨霊が出てくるなどドラマティックさもあった。

ニキヤ役の長田さんは、どんな瞬間を切り取っても精確で美しく、技術的に完璧なのは言うまでもないのだが、精神性がものすごく高く、一つ一つの動きに魂がこもっていて語りかけてくれるのが素晴らしい。1幕では本当に神に身を捧げた聖なる巫女でありながら恋する女でもあった。ニキヤってものすごく生身の女というキャラクターなのだけど、長田さんの解釈ではニキヤも聖性を強く感じさせている。控えめで奥ゆかしいのに、強い想いは伝わってくる。2幕の花籠の踊りは、全身から涙を流しているような悲痛な心情を歌いあげていたけど、ソロルからという花籠を手渡されて、花開いたように表情が明るくなる。ハイテンポの踊りで高揚したのちに仕込まれた蛇に噛まれ、歓び転じての絶望と死。歓びが大きかっただけに、ソロルに裏切られた悲しみが深かったことを感じさせた。

長田さんの影の王国でのこの世のものならざる存在感も見事だった。阿片に酩酊したソロルが最初に見るニキヤの幻と、実際に降りて来たニキヤの幻影ですら、別の存在として舞台の上に立っている。魂だけの存在になっていて、足音も全くさせていなくて浮遊感があり、幻だと感じさせるのだが、一方で死をも超えた強い想いは伝わってきた。技術的に難しい、ヴェールを持った回転のパ・ド・ドゥも完璧に仕上げていた。ほっそりとした肢体で、アラベスクのラインもアカデミックで美しく、見事なアンドゥオールで、音楽性も豊か。影の王国のコーダでは、ニキヤは柔らかい微笑みを浮かべていた。この場面で微笑みながら踊る人というのを見たのは初めてだが、最後に会心の踊りを行うことができた満足感もあったのかもしれない。

この日の長田さん、素晴らしいパフォーマンスで終えることができた幸せが舞台からにじみ出ていた。だからカーテンコールでも、新国立劇場のさよなら公演「シンデレラ」の時のような涙よりも、涙の中でも笑顔が輝いてた。ソロル役には、K-Ballet時代の同僚橋本直樹さん、大僧正には新国立劇場のマイレン・トレウバエフ、神に捧げる踊りのパートナーは、K-Balletと新国立劇場で同僚だった輪島拓也さん。気心の知れたパートナーたちと踊ることができたのも功を奏したのだろう。ボリショイ・アカデミーで学び、ロシアバレエの神髄を知る長田さんにとって、「ラ・バヤデール」が最後の舞台となった意味もよく分かった。

心技体と最も充実していて、ダンサーとしてのピークのところで引退されてしまうのは実にもったいないし、彼女は若いダンサーにとっては素晴らしいお手本となることだっただろう。フェリやイザベル・ゲランのようにいつか戻ってきてくれたらいいのに、と思った。日本には、大人のバレリーナが活躍できる場が少ないのが惜しい。その数少ない場に、この日本バレエ協会の公演があった。(観ることができなかったけど、前日の酒井はなさんのニキヤも素晴らしかったとのこと)

ガムザッティ役は、馬場彩さん。米国アーツバレエシアターオブフロリダ所属で、昨年のヴァルナ国際コンクールでは2回戦まで進出した若手ダンサー。色白で美しいけど世間知らずのわがままなお嬢様という雰囲気がぴったり。ヴァルナだけでなく、ローザンヌやYAGPでもスカラシップを受賞しているだけあって、技術に優れており、特に2幕の婚約式でのイタリアンフェッテからグランフェッテへの流れは見事だった。綺麗にピタッと止まるイタリアンフェッテは特に素晴らしかった。個人的には、ニキヤとガムザッティが同レベルだった昼公演の方がバランスが取れていたとは思うものの、馬場さんという魅力的な若手ダンサーを見ることができたのは良かった。

ソロルは橋下直樹さん。K-Ballet時代の同僚であるだけでなく、彼もボリショイ・アカデミーでバレエを学んでいただけあって、長田さんとの相性もよくパートナーリングがとても良かった。ソロル役は似合っており、途中まではとても良かったのだけど、影の王国のコーダ、ドゥーブルアッサンブレは難所だったようで、ダブルになっていなかったのが惜しい。ソロル役というのがいかにハードな役柄かというのがよくわかった。とはいえ、物語性はしっかりと感じさせてくれたし、長田さんへの敬意が伝わってきたもの良かった。

バラモンの高僧(大僧正)には、マイレン・トレウバエフ。実に濃厚な演技でドラマを盛り上げてくれた。最初から、ニキヤに対する燃え滾る熱い想いを隠せない様子。ラジャとの密談の中でも、ラジャが彼女を亡き者にしようという意図を読み取って慌てるし、婚約式の花籠の踊りの時の落ち着かない様子や、ニキヤの死で見せた深い嘆きと後悔。本当にニキヤを愛していたのはソロルより大僧正ではなかったのか?と思ってしまうほどだった。この版では、最後のシーン、寺院の崩壊で全員死んだ後で、一人大僧正が生き残り、寺院のがれきの上で祈りを捧げる。長田さんの同僚だったマイレンが最後に舞台を締めくくってくれたのも、感動的だった。

ブロンズアイドルには、NBAバレエ団の高橋真之さん。少し故障していたようで前半着地がずれるところはあったものの、後半の伸びやかで軽やかな踊りは流石。太鼓の踊りも大迫力だった。

影の王国は、オーディションで集めたダンサーたちだったけど、とても良く揃っていた。バレエミストレスの杉山聡美さんを始め、新国立劇場の楠元郁子さんと千歳美香子さん、そして佐藤真左美さんによる指導が行き届いていた模様。スロープは2段だがかなり傾斜があった。スロープを降りた後のエカルテではどうしてもぐらつく人が出てきたものの、全体的にはとても美しかった。第一ヴァリエーションの増原聖さんが、とてもやわらかくて強靭で、足音をさせない踊りで素晴らしかった。

すっかりおなじみとなったアレクセイ・バクランの指揮ぶりは熱く、国内メジャーオケの精鋭から構成されたジャパン・バレエ・オーケストラの演奏もとても良かった。長田さんの引退公演にふさわしい、感動的で美しい舞台に仕上がったと思う。カーテンコールは鳴りやまず、最後は会場内は総立ちになり涙が止まらなくなった。本当に数々の素晴らしい舞台を、長田さん、ありがとうございました。特に去年の「子どものための白鳥の湖」「シンデレラ」そして「ラ・バヤデール」は、心の中の宝物となるような美しく忘れがたい舞台だった。いつでも戻って来られるのを待っています。

Dance Squareで「ラ・バヤデール」3公演の舞台写真を見ることができる。
http://dance-square.jp/tbb1.html

2017/01/26

1/28放映 「世紀のバレリーナ アナニアシヴィリ ”最後のクラシック”への軌跡」

1月28日(土)13時~13:30 BS-TBSにて放送
ニーナ・アナニアシヴィリ来日記念特別番組
「世紀のバレリーナ アナニアシヴィリ ”最後のクラシック”への軌跡」

アナニアシヴィリ名舞台の映像満載、もちろん今のジョージアでの活動、舞台もご覧いただけるとのことです。
今も舞台に立ち、一方で芸術監督として、校長として後進の育成に力を入れる忙しい日々にも触れます。


ニーナ・アナニアシヴィリの軌跡
~最後のクラシック・ガラ~

http://www.tbs.co.jp/event/nina-ananiashvili/

東京文化会館 大ホール

日時
[Aプログラム]
2017年3月16日(木)19時開演
2017年3月18日(土)15時開演
『白鳥の湖』より第2幕・4幕
『セレナーデ』
『眠れる森の美女』より

[Bプログラム]
2017年3月19日(日)14時開演
2017年3月20日(月・祝)14時開演
「薔薇の精」
「ゼンツァーノの花祭り」パ・ド・ドゥ
「タイス」パ・ド・ドゥ
「小さな死」
「モーツァルティアーナ」
「ドン・キホーテ」より 

ゲスト
・マルセロ・ゴメス (アメリカン・バレエ・シアター)
・アレクサンドル・ヴォルチコフ (ボリショイ・バレエ)
(全公演に出演)

チケット
価格
S席18,000円 A席14,000円 B席11,000円 
C席8,000円 D席5,000円(税込)

お問い合わせ
チケットスペース
03‐3234‐9999

チケットスペース
03-3234-9999
TBS オンラインチケット
http://www.e-tix.jp/tbs/tbsonline/
チケットぴあ
0570-02-9999(Pコード453-877)
http://pia.jp/
ローソンチケット
0570-000-407(オペレーター)
0570-084-003(Lコード32474)
http://l-tike.com/

2017/01/25

パリ・オペラ座バレエ 2017/18シーズン 正式発表/オーレリー・デュポンのインタビュー

パリ・オペラ座バレエの2017/18シーズンが1月25日に正式発表されました。

(当初予定されていた28日より早い発表になったのは、内容がリークしていたからかもしれません)

https://www.operadeparis.fr/saison-17-18/ballet

内容的には、リークしていた内容とほとんど同じなので、Twitterで流れていた記者会見の内容を中心にお知らせします。

ガラ (デフィレ、ハンス・ファン・マネン「3つのグノシェンヌ」、シディ・ラルビ・シェルカウイ「牧神」、バランシン「ダイヤモンド」) 9月21日 ガルニエ

ジュエルズ (ジョージ・バランシン振付) 2017年9月24日から10月12日 ガルニエ ※ゲストカンパニーなし

ジョージ・バランシン「アゴン」/勅使川原三郎(新作)/ピナ・バウシュ「春の祭典」 2017年10月25日から11月14日 ガルニエ

アレクサンドル・エックマン「プレイ」(新作) 2017年12月6日から12月30日 ガルニエ

ドン・キホーテ (ルドルフ・ヌレエフ振付) 2017年12月11日から2018年1月6日 バスティーユ 18公演

オネーギン (ジョン・クランコ振付) 2018年2月11日から3月7日 ガルニエ 21公演

バンジャマン・ミルピエ「ダフニスとクロエ」/モーリス・ベジャール「ボレロ」 2018年2月27日から3月22日 バスティーユ

オルフェオとエウリディーチェ (ピナ・バウシュ振付) 2018年3月27日から4月5日 ガルニエ

ロミオとジュリエット (サシャ・ヴァルツ振付) 2018年4月10日から5月3日 バスティーユ

パリ・オペラ座学校公演 ダンス組曲 (Clustine)、Un Ballo (キリアン), スプリング・アンド・フォール (ノイマイヤー) 
4月15日、17日、18日

アンヌ=テレサ・ド・ケースマイケル「カルテットNo. 4」、「大フーガ」、「ワルギルプスの夜」  2018年4月27日から5月18日 ガルニエ

ジェームズ・ティエレ(新作)/クリスタル・パイト「The Seasons' Canon」/イヴァン・ペレース(新作)/ホフェッシュ・シェクター「The Art of Not Looking Back」 2018年5月19日から6月8日まで ガルニエ (開演1時間前から、ガルニエ宮の公共スペースにてティエール振付作品が上演される)

リーズの結婚(ラ・フィユ・マル・ガルデ) (フレデリック・アシュトン振付) 2018年6月25日から7月14日 ガルニエ (7月14日の公演は無料)

記者会見には、勅使川原三郎さんも同席していました。


勅使川原さんの新作は、エサ=ペッカ・サロネンのヴァイオリン協奏曲に振付けられた作品となります。「勅使川原さんは、私に即興を行うリスクについて教えてくれました」」と会見でオーレリー・デュポンは語りました。指揮もサロネンが行い、ヴァイオリンのソリストは諏訪内晶子さんが務める予定です。

新作を振付けるイヴァン・ペレースは、元NDTのダンサー。「毎年新しい若い振付家を招きます。リスクを取りましょう。とても興奮しています。今年はイヴァン・ペレースです」と会見でオーレリー・デュポンは紹介しています。彼の作品は、10人の男性ダンサーのための作品とのことです。(これは面白そうですね)

来シーズン、マリ=アニエス・ジロは「オルフェオとエウリディーチェ」で、エルヴェ・モローはサシャ・ヴァルツの「ロミオとジュリエット」でオペラ座を引退します。また、今春のカニンガム/フォーサイスプログラムでジェレミー・ベランガールが(このプログラムの最後の5公演において、20分間の即興の作品を踊るとのこと)、夏のニューヨークツアー、バランシンの「エメラルド」でレティシア・プジョルも引退します。さらに、カール・パケットは、その次の2018/19シーズンのヌレエフ振付「シンデレラ」で引退するそうです。
(そのあたりは、こちらの記事に書いてあります。)

オペラ座のツアーは、今年は3月の日本公演の他、2018年6月、7月にニューヨークとシカゴにもツアーを行います。ニューヨークに2週間、シカゴに1週間で、「ラ・シルフィード」「ブレイク・ワークス」「若者と死」、「エチュード」、イヴァン・ペレースの新作。また、今年の夏はニューヨークでは、ボリショイ・バレエ、ニューヨークシティ・バレエとの「ジュエルズ」合同公演もあります。

デュポンは、就任の時に「パリ・オペラ座バレエはコンテンポラリー作品も踊るクラシックのカンパニーです」と語っていましたが、今回、純粋な19世紀の古典はヌレエフの「ドン・キホーテ」のみ。デュポンの考えでは「ジュエルズ」「オネーギン」「ラ・フィユ・マル・ガルデ」も古典として考えているとのことですが、「1シーズンに6作品も古典作品を上演したら、ダンサーたちは怪我をしてしまいます」とのことで、1シーズン4作品までが限界だと思っているそうです。

今回のプログラムを見たところ、ルフェーブルの影響の強いプログラムであるという印象が強く感じられます。フランスバレエ的な作品は、ベジャールの「ボレロ」くらいです。もう少しフランス・バレエの伝統を押し出した方が、批評家には受けることでしょう。

また、ミルピエが創設した振付アカデミーは、ウィリアム・フォーサイスがミルピエの退任に伴い、退任しましたが廃止されるそうです。「振付をしたいダンサーは振付をしてくれるので、アカデミーを持つ必要はありません」

いずれにしても、来シーズンからがオーレリー・デュポンの本領が発揮されるシーズンとなるはずです。どのような成果がもたらされるか、行方を見守っていきましょう。

オーレリー・デュポンのインタビュー記事
http://www.lexpress.fr/culture/scene/l-opera-de-paris-en-2017-2018-l-episode-millepied-aurelie-dupont-dit-tout_1872253.html

芸術監督への就任について

「現役時代から、総裁のステファン・リスネルとは、何をすべきで何をすべきでないかと行ったことについてよく会話をしていました。引退後も、私がオペラ座と距離を置いていた時でもこの会話を続けていました。ミルピエが退任することをある日知らされた時、私は、芸術監督のオファーを受ける前にいくつかの候補の名前を挙げました。なので、すぐに結論を出さなくてはならなかったのです!」

「こんなオファーを得てノーと返事できますか?なによりも、私がこのバレエ団の出身であることから白羽の矢が当たったと思うからです。この世界とは関係のない誰か人間的にも芸術的にもひどい人が選ばれるかもしれませんし。「私は正統な後継者で、ここのダンサーも、床もオペラ座のすべてのスタッフもAからZまで皆知っているし』と自分に言い聞かせました。ミルピエの挑戦は見て来たし、自分のビジョンをもたらそうとしました」

ミルピエの改革をどう思いましたか?そしてなぜ彼はこんなにも早く去ったのでしょうか。

「ミルピエはいくつかのことを理解していませんでした。すぐにこれらを変えようとしていたのですが、ここではそのような急速な変化は行われません。彼はある意味フランス人というよりアメリカ人で、パリ・オペラ座のカルチャーを持っていませんでした。彼はオペラ座学校の出身ではないし、このような、ヒエラルキーのあるカンパニーの一員であったこともありません」

「ここはパリ・オペラ座なのです。ニューヨークシティ・バレエの芸術監督になって、「これからはロシア・バレエ、リファール、ローラン・プティをやり、それ以外の作品は踊らなくします」とアメリカ人振付家の作品を踊るのをやめるようなものです。オペラ座は伝統であり、長年受け継がれてきたものです。彼は、伝統は自分と縁のないものだから保ちたくなかったのです。私はこの伝統で育ち、それは私の得た遺産であり、私の言葉なのです」

階級システムと昇進コンクールを変える考えは?

「もちろんありません。階級はダンサーを守るものです。現代作品においては階級は存在しません。振付家は学校を卒業したばかりの16歳の女の子を、引退を控えた40歳のダンサーと同様に選ぶことができます。古典においては、16歳の女の子に「眠れる森の美女」のオーロラ役を演じさせても、この役にふさわしい技術と芸術性はないでしょう。ヒエラルキーとは学ぶことです。より確固とした技術を持ち、振付家によって多く起用されることによって階級を登って行きます。16歳のダンサーが、レパートリーの中でも最も難しいヌレエフ作品の主演をすることはありません、それは毒でしかありません」

昇進コンクールは継続するんですね?

「ピラミッドシステムになっていいますし、どんなダンサーにも昇進するチャンスを与えるものです。バレエ団のダンサーたちは、このコンクールの維持について投票し、全員で継続することについて一致しました。ダンサーたちには「ノー」と言う権利も与えられていたのです」

伝統を揺り動かしたミルピエの後で、あなたは伝統に立ち返るつもりですか?

「でも彼はオペラ座を揺り動かしたのでしょうか?2年間では誰も何もできません。私は変化に反対しませんが、約束したことを引き受けるためには、長く続ける勇気も必要です。混乱をもたらし『変化が必要です』と繰り返し、実際には何も変えないで去るのは普通のことでしょうか?動き続けるカンパニーなので、すべてに革命をもたらすつもりはありません。もちろん、改善の余地はあります」

「たとえばダンサーの引退年齢です。今は42歳となっていますが、もっと早く引退したい人には早く去る機会を与えることです。怪我をして36歳で腰にプロテーゼを装着しているダンサーに多くを求めることはできません。もう踊れなくなってしまったら、何もできませんからね。そうでなければ今まで通りで良いと思います」

芸術監督の仕事はどのようなものでしょうか?

「温かいお皿に新鮮な素材を使ったメニューを作るようなものです。私は欲張りなんです(笑)。明日のスターを育てることであり、またすべてのキャストのプログラミングをすることで、とても楽しんでいます。ダンサーが必要としている作品を知ることも必要だけど、同時に観客が観たいものも知らなければなりません。両方とも重要なことです。ダンサーたちは、教育を受け、異なった作品を味わう必要があります。マーサ・グレアム、ヌレエフ、マクミラン、マッツ・エック、ピナ・バウシュなど」

「また、一年に一度は、オペラ座の素晴らしいダンサー、彼らの技術、ガルニエの舞台とホワイエに触れる機会のなかった無名の振付家に賭けて観ることも大事です。たとえば、来年新作を振付けるイヴァン・ペレースです。芸術監督の仕事としては、プロダクションのためのパトロンを探すこと、ツアーの準備などもあります。私は、自分がこの仕事に携わりたい5年間についてのビジョンがあります」

エトワールはどのように育てられるのでしょうか。

「彼らを探し求め、踊らせて、心理的に、そして肉体的に観察することによってです。自分がこの仕事を去る時に何人かの美しいエトワールを残したいと思っています。私は毎日、バレエ団のコール・ド・バレエとクラスレッスンを受けます。自分のためにもなるし、ダンサーを観察できます。彼らは私をダンサーとして知っているし、私の要求が高いことも知っています」

オーレリー・デュポンの一日はどんな感じでしょうか。

「7時に起床し、8歳と6歳の息子たちを学校に送り出して、オペラ座に到着します。スタジオで10時のクラスを受けて、必要に応じて繰り返しリハーサルを行います。3時半にオフィスに戻りますが、ランチを取り忘れていたことに気が付き、またプロダクションの打ち合わせでバスティーユへの往復を一日に1,2回します。いくつかのリハーサルに参加し、振付家と電話やSkypeで連絡を取ります。公演がある日は子守と連絡を取り合います。夜の12時ごろ家に帰り、また次の日となります。エトワールならば自分のことだけを考えればいいのでもっと楽ですね。150人のダンサーを管理するのは大変さが違います」

芸術監督になっていなかったら何をしていましたか?

「踊ることを続けながら一歩引いていたでしょう。それをし始めていたのです。オペラ座のダンサーだと、偉大な振付家が自分のところにやってくるのを待てばいいので何もしなくても良くて素晴らしい機会を与えられています。オペラ座を去ると、続けていく道と学びなおすことが問題となります。なので私はニューヨークにいってマーサ・グレアムのカンパニーで踊りました。私はとても若い時に、学校で、そして「月の誘惑」でグレアムのテクニックを試してとても楽しみました。1か月半マンハッタンで過ごして小さな役を学び、パリと行き来してオペラ座で何が起きているかをフォローしていました。明日何が行われるのかわからない、そんな素敵な時期でした。この仕事を得るまでは、テアトル・ド・パリで上演される「The Bachelor」の舞台に立つ機会のオファーを受け、そして映画を作ることといった計画がありましたが、それは棚上げしています。振付家のPontus Lidbergとの仕事の予定もありました」

2017-18シーズンについて教えてください。
「古典の高いレベルを保つために重要なクラシックの作品を上演します。『ジュエルズ』、『ドン・キホーテ』、『オネーギン』、『ラ・フィユ・マル・ガルデ』です。オペラ座学校は古典のバレエ学校なので、この遺産を受け継ぐのは必然です。また、ピナ・バウシュの『春の祭典』、ミルピエの『ダフニスとクロエ』、引退するエルヴェ・モローのリクエストに応じて私も踊る『ロミオとジュリエット』(サシャ・ヴァルツ)も再演します」

「また、ジェームズ・ティエレ、クリスタル・パイト、イヴァン・ペレーズのミックスプロも気に入っています。また、オペラ座にはまだ招かれたことがなかったイスラエルの素晴らしい振付家であるホフェッシュ・シェクターの改訂振付がレパートリー入りします。9月には、シェルカウイの『牧神』、私の大好きな84歳のオランダの振付家ハンス・ファン・マネンの『三つのグノシェンヌ』サティの音楽で一組のカップルのための作品を上演するガラがあります。ファン・マネンは150作品も作ってきましたが、オペラ座ではまだ上演されたことがありませんでした。またバランシンの『ジュエルズ』から『ダイヤモンド』もガラで上演されます。完璧なプログラムでしょう?」

<追記>
パリ・オペラ座新シーズンのプログラムを発表、オーレリー・デュポン舞踊監督他が記者会見
http://www.chacott-jp.com/magazine/news/other-news/post-181.html


「インプロヴィゼーションを私に教えてくれた大好きな振付家です」とオーレリーに紹介されて壇上に上った勅使川原三郎は「ダンスは新しい『生命』を作る場であり、音楽は生命と宇宙とを結びつけています。新作はエサ=ペカ・サロネン作曲の『ヴァイオリン協奏曲』の二部構成を生かし、ダンサーをたくさん使った作品にします。ダンスでは空間と時間が重要ですが、今回は生命が生まれ死んでいくことを音楽の流れに重ねて作品を作っていくつもりです。タイトルは未定ですが、照明、装置、衣装のイメージはすでにはっきりしています」と語り、新作に精力的に取り組んでいることを明らかにした。

2017/01/24

ローザンヌ国際バレエコンクール2017のネット中継スケジュール

第45回ローザンヌ国際バレエコンクール2017がいよいよ1月30日より始まります。

今年も、ストリーミングで予選と決勝の様子を生中継で視聴することができます。
この中継のスケジュールが発表されていました。
http://www.prixdelausanne.org/multimedia/live-streaming//

1月30日(月) 現地時間 午後3時―4時半 (日本時間午後11時―0時半)
1月31日(火) 現地時間 午後3時―4時半 (日本時間午後11時―0時半)
2月1日(水) 現地時間 午後3時―4時半 (日本時間午後11時―0時半)
2月2日(木) 現地時間 午後3時―4時半 (日本時間午後11時―0時半)
2月3日(金) 準決勝 15歳~16歳 現地時間 午前9時から午後12時15分 (日本時間 午後5時から8時15分)
              17歳~18歳 現地時間 午後2時から5時半 (日本時間 午後10時から午前1時半)
2月3日(金) ファイナリスト発表 現地時間 午後6時半から7時 (日本時間 午前2時半から3時)
2月4日(土) 決勝 現地時間 午後2時半から6時 (日本時間 午後10時半から午前2時)

セミファイナリストのリスト
http://www.prixdelausanne.org/wp-content/uploads/2016/11/2017_Selected_Candidates.pdf

日本からの出場者は以下の皆さんです。

15歳、16歳女子

Yuika Fujimoto - Koike Ballet Studio 藤本結香
May Nagahisa - Academie Princesse Grace 永久メイ
Mizuhara Nanaka - Etoile ballet school 水原菜々花
Mayu Nishizawa A - Acri Horimoto ballet academy 西澤真優
Saki Takeda - Sapporo City Ballet 武田彩希
Ayano Yoshino - Acri-Horimoto Ballet Academy 吉野 文乃

15歳、16歳男子

Ryunosuke Ujihara - Acri-Horimoto Ballet Academy 氏原 瑠之介
Koyo Yamamoto - Acri-Horimoto Ballet Academy 山元耕陽

17歳、18歳女子

Mari Kawaguchi - Yuriko Kawaguchi Ballet School 川口まり
Miyu Takamori - Hungarian Dance Academy 高森美結

17歳、18歳男子

Taisuke Nakao - Akademie des Tanzes 中尾太亮
Yuki Nonaka - English National Ballet School 野中悠聖
Riku Ota - John Cranko Schule 太田倫功

出場者の自己紹介動画も次々とアップされています。

Mari Kawaguchi 川口まり https://youtu.be/SysIByCw9oc
Ayano Yoshino 吉野 文乃 https://youtu.be/bhGJUnxnKes
Yuika Fujimoto  藤本結香 https://youtu.be/cPyjgWFD4ZE
Miyu Takamori 高森美結 https://youtu.be/g2xPtLWcIlA
Saki Takeda 武田彩希 https://youtu.be/P-KZyaHHPfU

2017/01/21

トランプ合衆国大統領が、全米芸術基金と全米人文科学基金を廃止する意向

1月20日にアメリカ合衆国大統領に就任したドナルド・トランプ。

そのトランプは、もともと文化芸術および読書には関心がないことは広く知られていました。

米国の政治専門紙ザ・ヒルによると、トランプは就任したらすぐに文化芸術に関する予算を大幅に減らす計画であるとのことです。政権移行チームは、ホワイトハウスのスタッフとのミーティングの中で、全米芸術基金(NEA)と全米人文科学基金(NEH)を閉鎖すると同時に、公共放送機構(CPB)を民営化することを明らかにしました。

Trump Reportedly Plans To End National Arts Funding
http://www.huffingtonpost.com/entry/trump-reportedly-plans-to-end-national-arts-funding_us_5880de61e4b070d8cad0e184?

ザ・ヒルの報道によれば、保守派のシンクタンク、ヘリテージ財団が昨年公開した政権の青写真に近いものとなるとのことです。このシンクタンクはトランプの新生政権を形成する上で大きな影響力を持っているとされています。

「バランスのための青写真:2017年連邦予算」において、ヘリテージ財団は、NEAとNEHを閉鎖することについて1ページずつ割き、文化への公共投資を支援する人々を震え上がらせました。

ヘリテージ財団の青写真では、「政府は文化組織や活動を支援するために納税者の税金を使うべきではない」としてNHEを廃止すべきだと主張しています。また、NEAについては、「芸術のために納税者が負担を行うことは必要なことでもなければ賢明なことでもない。納税者は、その魅力や利益にかかわらず演劇や絵画、華やかなショー、学術雑誌のために税金を払うことを強制されるべきではない」としています。

ハフィントンポストは、NEAとNEHの広報担当者にメールで取材を試みましたが、このレポートについてコメントをすることは拒否されました。

NEAとNEHは1965年にリンドン・ジョンソン大統領が署名した法律に基づいて設立されました。科学技術の革新と発見によって急速に進歩する時代において、人文科学と芸術に対しても軽視せずに注目を続けるというムーブメントに対応したもので、大学がSTEM教育(科学・技術・工学・数学)に焦点を当てて人文科学への予算配分を削減している現代においても、必要なものと考えられています。

ヘリテージ財団の青写真は、芸術文化に対する資金はフィランソロピーによって置き換えられるべきであるし置き換えることは可能だとしているものの、NEAとNEHは独自の目的を有しています。個々の芸術への寄付に依存することは、人文科学の組織やクリエイターを、富裕層(たとえば自身の肖像画を何千ドルも払って購入するトランプや、お気に入りのオペラハウスに何百万ドルも寄付する裕福なニューヨーカー)の意のままにすることです。

NEAやNEHは、恵まれないコミュニティにおいて芸術や人文科学を支える役割を、州や地方の組織と組むイニシアチブを行ってきました。数あるレビューや反対意見に耐えうるような提案を提出してきた組織や個人に対しては、政府の予算は拠出されてきました。NEHは、16ものピュリッツァー賞受賞作品の誕生やドキュメンタリー映画の制作を支援してきたし、NEAはサンダンス映画祭の創立に貢献してきたのです。

このレポートに対して、人権団体PENアメリカは、これらの削減について「新しい暗い時代」の兆候であると批判しました。「2団体の廃止が検討されていること自体が、私たちの活気に満ちた文化に不吉な影を落としています」

もちろん、NEAとNEHを閉鎖することは、1月21日に発表された大統領令ほど単純なことではありません。政府機関への削減は、国会の承認が得られなければなりません。今月、選挙民が電話で陳情したことにより、共和党の議員たちが議員の不正行為を調査する議会倫理局の独立性を奪い権限を事実上弱める方針を撤回させたように、ザ・ヒルで報道された大幅な削減に反対する選挙民は、これを推進する議員たちに対抗することは可能だと考えられます。人文科学にとっての「暗い時代」の到来を憂慮する人々にとっては、NEAとNEHの閉鎖に反対する陳情の電話をかけることは明快で実践的な手段です。

********
同様の報道は、ワシントン・ポスト紙にも掲載されています。

A Trump attack on the arts would be more than just symbolic
https://www.washingtonpost.com/news/arts-and-entertainment/wp/2017/01/19/cutting-the-nea-is-first-move-to-eliminate-a-free-open-public-realm/

この記事によれば、ヘリテージ財団は「NEAは、文化エリートにとっての福祉機関である」ともったいぶって定義づけているとのことです。(記事を書いたのは、ピュリッツァー賞を受賞した、ワシントン・ポスト紙の文化/建築批評家Philip Kennicott)

「現代の政治において、実際の政策の変化よりも象徴的な勝利の方が大きな満足を得られることが多いのです。これらの組織から政府の予算を削減することは、累積赤字を解消することにはなりません。しかし、これは、強権と決意の表れと見る、口を出す選挙民をなだめることにはなるでしょう。ソーシャルメディアの時代において、誰かの個人的な快適な領域の外にある何かに対するデジタルな怨恨や腐食性の疑念、敵に対する小競り合いに勝つことは、私達が抱える問題を実際に修正する増分の改善を目撃することよりも気持ちの良いものです。製造業の衰退とブルーカラー労働者のコミュニティの士気喪失について学ぶには、PBSを視聴することのほうが、インターネットでの怒れる見出しを無作為にみることよりも多くを学ぶことができますが、PBSの放送内容に注意を払うことよりも、PBSを批判することの方がスッキリするのです」

「NEAを失うことは主に象徴的な意味を持ちます。しかし、それにNEHの廃止、CPBの民営化を伴うと、これらの予算削減は、市場の独占から独立していた公共領域の最後の名残を絶滅させようとする初期の、しかしながら不吉な大きな流れの一部であるのです。社会的なセーフティーネットと公立学校の予算削減は、公共領域に信頼を寄せていた社会的な契約に対する戦争における大きな動きとなります。アカデミアはもう一つのターゲットであり、照準を当てられています」

「現在行われている政治を含む商業的なエンターテインメントに対して、公共領域は、予測したり制御できないアイディア、情報、そして感情もつくりあげるものです。世界に対する尊敬されているような推測に挑戦し、権力者の失敗や盲目ぶり、私たちの世界の多くの場合目に見えない脆弱さを指摘するデータを生み出します。そして勝つことがすべてで消費は天国であるという市場の理解には含まれない幸福で倫理的な生活についての考えを提供します。また、お互いに対して、本に、芸術に、知識に対する信頼とコネクションを想像します。それらは逆説的に、完全な自由の源泉なのです」

「これらが失われてしまった時に、それに気が付く人はいるのでしょうか?何十年もアーティストに直接的に資金を提供していなかったNEAが完全に廃止された時に、アーティストにとってそれは問題になりますか?今後、より多くの不安と苦しみを生み出す社会へのほかの変化がある可能性もあります。NEAについて、アートの世界にいる人ですら、『これは起きるべきことだったし、負ける戦いを戦う必要はない』と欠伸をするかもしれません」


「もし実際にこれらのことが俎上にあり、もし議会が追従した場合には、より大きな文化のシフトにおける明らかな瞬間として記憶されることでしょう。非現実的で、エレガントで、直観で分かるものではない、手に負えないものとはうまくやっていけたことがないこの国においては特に、芸術はやり玉に挙げられやすいものです。やり玉に挙げられやすいものは、最初にやり玉に挙げられてしまいます。将来がより明らかになって行ったり、より厄介になっていくかどうかは、誰にもわかりません」

1/25 NHK Eテレ「旅するフランス語」にパリ・オペラ座が登場

NHK Eテレ「旅するフランス語」1月25日放送は、「大人のたしなみ1」。

https://www2.nhk.or.jp/gogaku/french/tv/

常盤貴子さんがオペラバスティーユを訪問し、舞台裏を見学。指揮者フィリップ・ジョルダン氏のインタビューもあるとのことです。

1月25日(水曜/火曜深夜) 午前0:00~0:25
再放送:翌週 (1月30日)月曜日 午前6:00~6:25

2017/01/20

パリ・オペラ座バレエ 2017/18シーズン 続報

パリ・オペラ座バレエの2017/18シーズンがリークしたという情報を以前お伝えしていました。
http://dorianjesus.cocolog-nifty.com/pyon/2016/12/201718-97e6.html

そして定期会員の元に来シーズンのパンフレットが送られて来たそうで、もう少し詳しいことが判明しています。

ガラ デフィレ、ハンス・ファン・マネン「3つのグノシェンヌ」、シディ・ラルビ・シェルカウイ「牧神」、バランシン「ダイヤモンド」 9月21日 ガルニエ

ジュエルズ (ジョージ・バランシン振付) 2017年9月24日から10月12日 ガルニエ ※ゲストカンパニーなし

ジョージ・バランシン「アゴン」/勅使川原三郎(新作)/ピナ・バウシュ「春の祭典」 2017年10月25日から11月14日 ガルニエ

アレクサンドル・エックマン「プレイ」(新作) 2017年12月6日から12月30日 ガルニエ

ドン・キホーテ (ルドルフ・ヌレエフ振付) 2017年12月11日から2018年1月6日 バスティーユ 18公演

オネーギン (ジョン・クランコ振付) 2018年2月11日から3月7日 ガルニエ 21公演

バンジャマン・ミルピエ「ダフニスとクロエ」/モーリス・ベジャール「ボレロ」 2018年2月27日から3月22日 バスティーユ

オルフェオとエウリディーチェ (ピナ・バウシュ振付) 2018年3月27日から4月5日 ガルニエ

ロミオとジュリエット (サシャ・ヴァルツ振付) 2018年4月10日から5月3日 バスティーユ

パリ・オペラ座学校公演 ダンス組曲 (Clustine)、Un Ballo (キリアン), スプリング・アンド・フォール (ノイマイヤー) 4月15日、17日、18日

アンヌ=テレサ・ド・ケースマイケル「カルテットNo. 4, 「大フーガ」、「ワルギルプスの夜」  2018年4月27日から5月18日 ガルニエ

ジェームズ・ティエレ(新作)/クリスタル・パイト「The Seasons' Canon」/ペレース(新作)/ホフェッシュ・シェクター「The Art of Not Looking Back」 2018年5月19日から6月8日まで ガルニエ (開演1時間前から、ガルニエ宮の公共スペースにてティエール振付作品が上演される)

リーズの結婚(ラ・フィユ・マル・ガルデ) (フレデリック・アシュトン振付) 2018年6月25日から7月14日 ガルニエ (7月14日の公演は無料)

新作は、勅使川原三郎、アレクサンドル・エクマン「プレイ」、ペレースとティエレの4作品で、勅使川原さんの作品は、エサ・ペッカ・サロネンのヴァイオリン・コンチェルトに振付けられるものだそうです。

クリスマス・イヴにはバスティーユで「ドン・キホーテ」があり、大晦日ではガルニエではエックマン作品、そしてバスティーユではオペラの「ラ・ボエーム」の上演があるということで、バスティーユでは大晦日のバレエはないようです。

また、1月の頭には通常、ゲストカンパニーが公演を行いますが、今のところゲストカンパニーの予定はないそうです。

パリ・オペラ座バレエの2017/18シーズンは、正式には1月28日に発表されるそうです。

KARAS APPARATUS「シェラザード」、勅使川原三郎さんの今後の公演予定

1月6日から14日までKARAS APPARATUSで公演が行われていた、勅使川原三郎さんの「シェラザード」。私は初日に観に行ってとても心打たれたので、もう一度千秋楽に行きました。

リムスキー=コルサコフの代表曲である「シェラザード」は、フォーキン振付のバレエ・リュス作品が有名だが、勅使川原さんは、音楽に溺れて音楽から得られたインスピレーションをダンスにしたという。

Scheherazade1
photo by Akihito Abe

第1楽章と第3楽章は勅使川原さんのソロ、第2楽章は佐東利穂子さんのソロで、第4楽章は二人のデュオとなる。冒頭と楽章の間には、波の音。第1楽章の勅使川原さんのソロは、どこかニジンスキーの「牧神の午後」を思わせるような横向きのポーズなどもあった。第2楽章の始まりは、舞台の奥に朧月のように浮かび上がった丸く、密やかで幽玄な光の中に佇む佐東利穂子さん。しなやかでスピーディな、輪舞のような舞。次の勅使川原さんパートでは、静かで穏やかな海の雰囲気が次第に音楽が激しさを増していくとともに、音楽と完全に一体になったようなダンス。決して静止することはなく、波のようにゆらめいている。圧巻は最終楽章で、二人のデュオとなるのだが、音楽が高揚するとともに、シンクロしているわけではないのに、ダンスの激しい応酬となって、音楽に溺れながらも物語性も紡ぎだした。クライマックスで音楽がゆっくりとなるときの、触れそうで触れていない二人の接近するさまが、めまいが起きそうになるほど官能的だった。一瞬二人が音楽が消えるとともに一つになったと感じられた時に暗転、ラストでは月の中へと還って行った佐東さんと、波打ち際で溺死したように横たわる勅使川原さん。具体的なストーリーはないのに、ドラマティックで妖艶でこの上なく美しい舞台。

Scheherazade2
photo by Akihito Abe

毎度のことながら、小さな空間の中で細かくコントロールされた照明が圧巻で、前述の朧月のような光や、6台のライトを駆使して舞台奥に向かってグラデーションのように少しずつ暗くなる光を生み出すことで波を表現すること、実際以上に奥行きを持たせたり逆光を駆使したり、と小宇宙のような世界観をつくりあげていた。

3000円というチケット代で、世界的に活躍するトップ振付家/ダンサーを、息遣いが聞こえるほど間近に観ることができるKARAS APPARATUSはなんという贅沢な空間だろう。

*********
KARAS APPARATUSの次回アップデイトダンスは、
No.43「音楽の絵本」

出演 佐東利穂子 勅使川原三郎

【日時】2017年
3月24日(金)20:00
3月25日(土)20:00
3月26日(日)16:00
3月27日(月)20:00
3月28日(火)休演日
3月29日(水)20:00
3月30日(木)20:00
3月31日(金)20:00
4月1日(土)16:00
開演30分前より受付開始、客席開場は10分前

【会場】カラス・アパラタス/B2ホール
〒167-0051杉並区荻窪5-11-15 F1/B1/B2
【料金】(全席自由)
一般 予約 2500円 当日3000円 学生1500円(予約,当日共に)
【予約】メール updatedance@st-karas.com 
件名を「アップデイトNo.43」として、本文にご希望の日付・
一般または学生・枚数・郵便番号・住所・氏名・
日中連絡のつく電話番号をご記入ください。
【問合せ】
TEL. 03-6276-9136


さらに、勅使川原さんは世界中での活動も展開しています。
http://www.st-karas.com/camp0713-2/

2月1、2、3日はフランス、ナントでのラ・フォル・ジュルネで庄司紗矢香さんと共演。
(バッハで構成されたプログラムを予定)


2月9日、10日は新作「Sleeping Water」をフランスのTheatre de Salinsで。
この作品は、オーレリー・デュポンも共演した「睡眠」をベースにした作品とのことで、7月のニューヨークでのリンカーンセンターフェスティバルでも上演される予定とのことです。


2月23日~3月3日はパリのシャイヨ宮で新作「Flexible Science
8回公演で、武満徹とメシアンの楽曲によるものとのことです。Ensemble intercontemporainとの共演。
http://theatre-chaillot.fr/saburo-teshigawara-ensemble-intercontemporain-flexible-silence

3月18日(土)~03月19日(日) 神奈川県民ホールでオペラ「魔笛」
(昨年愛知トリエンナーレで上演された作品の再演)
http://www.kanagawa-kenminhall.com/mateki/

No.43「音楽の絵本」の後、4月上旬にはアップデイトダンスNo.44も予定されております。


4月26日~30日は、シアターXにて、「トリスタンとイゾルデ」が上演されます。
昨年、アップデイトダンスダンスNo.35で絶賛を浴びた作品が、シアターXという少し大きな舞台で再演されることになりました。
5回公演、2月4日よりチケット発売
【予約】メール ticket@st-karas.com およびチケットぴあ、シアターX


7月のリンカーンセンターフェスティバルで「Sleeping Water」上演 (詳細は近日発表)


10月24日から11月16日までは、パリ・オペラ座バレエで新作が上演されます。これは、ピナ・バウシュ振付の「春の祭典」とバランシンの「アゴン」との同時上演。詳細は近日中に発表される予定です。

2017/01/19

マラーホフがクロアチア国立バレエに「白鳥の湖」振付

ウラジーミル・マラーホフが、クロアチア国立バレエで、「白鳥の湖」を振付けるとのことです。

Preparations for Vladimir Malakhov’s Swan Lake are under way
http://www.hnk.hr/en/p-i-tchaikovsky-v-malakhov-swan-lake/

マラーホフは、ベルリン国立バレエの芸術監督時代に、「ラ・バヤデール」、「シンデレラ」、「眠れる森の美女」を振付けていますが、「白鳥の湖」を振付けるのは初めてのこと。

振付助手を務めるのは、元ベルリン国立バレエの針山愛美さん。初日は3月17日です。

針山愛美さんのブログでも、この「白鳥の湖」に関する記述があります。
http://eym.jugem.jp/?eid=683

いつかこの「白鳥の湖」を観る機会があると良いですよね。

2017/01/18

1/20(金)NHK-BS1 ぼくらはマンガで強くなった「夢をカタチに!究極の肉体表現“バレエ”」

NHK-BS1の「ぼくらはマンガで強くなった」の1月20日(金)の放送では、山岸凉子のバレエ漫画の金字塔「アラベスク」を通してバレエの魅力に迫るそうです。

http://www4.nhk.or.jp/boku-man/x/2017-01-20/11/31133/2556008/
(予告編映像あり)

今回のテーマは「バレエ」。伝説的マンガ「アラベスク」を通じて、その魅力に迫る!

言葉を発せず肉体だけで感情を表現し、物語を紡ぐバレエ。わが国では、少女マンガの一大テーマとして、多くの作品が描かれてきた。最大のヒット作が、1971年に連載が始まった「アラベスク」だ。バレエの精緻な描写と、人間模様を描き、プロのダンサーも魅了してきた。名作はいかに描かれたのか!?作者・山岸凉子の直筆手紙を交え、ひも解く。また、トップダンサーや、最新のバレエ教室のレッスンにも密着、バレエの神髄に迫る

【出演】上野水香(東京バレエ団)、須田亜香里(SKE48)、槇村さとる(漫画家)、横里隆(ダ・ヴィンチ元編集長)、斎藤友佳理(東京バレエ団芸術監督)、根岸美凪(2016年ローザンヌ国際コンクール出場)

1月20日(金)午後11時00分~ 午後11時50分 NHK-BS1

NHK-BS1「ぼくらはマンガで強くなった」で上野水香らが山岸凉子作「アラベスク」を通してバレエの魅力を紹介

http://www.theaterguide.co.jp/theater_news/2017/01/18_02.php

アラベスク 完全版 第1部1 (MFコミックス)アラベスク 完全版 第1部1 (MFコミックス)
山岸凉子

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2017/01/15

ロイヤル・バレエ、「Woolf Works(ウルフ・ワークス)」のリハーサル中継

ロイヤル・バレエで1月21日から上演される「Woolf Works(ウルフ・ワークス)」。作家ヴァージニア・ウルフの作品や生涯をモチーフにした、ウェイン・マクレガー振付の作品です。

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2015年の初演の際には、アレッサンドラ・フェリが主演して大きな話題を呼び、評判も非常に良い作品でした。ローレンス・オリヴィエ賞の最優秀新作ダンス作品、傑出したダンス界への貢献でアレッサンドラ・フェリが受賞しています。さらに英国ナショナル・ダンス・アワードでは、ウェイン・マクレガーが最優秀クラシック振付賞、アレッサンドラ・フェリが最優秀女性ダンサー賞を受賞しています。
http://waynemcgregor.com/productions/woolf-works

この「Woolf Works」のリハーサルが、ロイヤル・オペラハウスのYouTubeチャンネルで生中継されたのですが、時間が深夜だったためライブでは見ませんでした。が、その録画が現在観ることができるのでご紹介します。

振付家のウェイン・マクレガー、ノーテーター(舞踊譜記録者)、そして作曲家のマックス・リヒターも参加してのリハーサルです。

最初は、ヴァージニア・ウルフ役のマーラ・ガレアッツィ、マシュー・ボールによるリハーサル。その後、エドワード・ワトソン、高田茜、トリスタン・ダイヤーによる「ダロウェイ夫人」のリハーサルを視聴することができます。最後は、ワトソン、ダイヤーによる息詰まるようなパ・ド・ドゥです。マックス・リヒターの音楽も素晴らしい。


なお、この「Woolf Works(ウルフ・ワークス)」は、「英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン2016/17」で映画館で上映される予定です。2月8日の公演が収録されます。(キャストは、フェリ、ラム、オシポワ、高田茜、ボネッリ、マックレー、ワトソン、エイヴィス、ダイヤーほか)
日程はまだ発表されていませんが、3月中かと思われます。このような最新作品を日本で映画館で観ることができるのは本当に嬉しいですね。
http://tohotowa.co.jp/roh/

2017/01/14

デヴィッド・ホールバーグはオーストラリア・バレエの「眠れる森の美女」にも出演

12月に2年半のブランクの後、オーストラリア・バレエの「コッペリア」に主演して舞台復帰を果たしたデヴィッド・ホールバーグ。ABTのMETシーズンへの出演も発表されています(演目は未定)

そのホールバーグですが、ABTへの復帰の前に、もう一度オーストラリア・バレエに出演することが明らかになっています。
https://deborahjones.me/2017/01/11/hallbergs-date-with-beauty/

今年2月にオーストラリア・バレエがブリスベンで上演する「眠れる森の美女」の9公演のうち、2公演にホールバーグが出演します。パートナーは、「コッペリア」でも共演したアンバー・スコット。具体的な日時はまだ決まっていません。

オーストラリア・バレエでリハビリに励んだことが功を奏して、見事に舞台復帰を果たしたホールバーグ。オーストラリア・バレエの芸術監督、デヴィッド・マカリスターは、この「眠れる森の美女」以降もぜひホールバーグにはゲスト出演をしてほしいと考えており、ホールバーグの方も、1年のうち1か月くらいはオーストラリア・バレエで踊りたいと語っているそうです。

ホールバーグは、フランツ役での舞台復帰を、舞台の水に慣れることに例えました。4公演踊り終えて「ちょっと馴染んできたけど、完全になじむまでにはもう少しかかりますね」と語っています。

「眠れる森の美女」は、さらにテクニック的なチャレンジとなるため、それらのチャレンジ点を分析し、オーストラリア・バレエの医療チームに手伝ってもらうことになるそうです。「『眠れる森の美女』をボリショイやマリインスキーやABTで踊ったりDVDで踊った自分の今までの経験と比較しないで、『コッペリア』のフランツ役にアプローチした方法で挑戦することが大事です」

長いリハビリの過程によって、今までと異なった形にチューニングされた楽器を手に入れたようだとホールバーグは語りました。「古典バレエにおいても、異なった芸術的な視点を持つようになりました。古典バレエの多くの作品においては、愛憎相半ばする感情を持っていました。これら古典作品のキャラクターが存在し得るものなのかどうかということで長年葛藤してきました。でも、2つの面がここで現れたのです。一つは、新しいものを発見し、今までの経験を通して新しいものを創造し、そしてもう一つ、自分の代表作として知られていた役柄に新しい命を吹き込むことです」

さらに新しい発見もありました。リハビリの経験を通して、ホールバーグは、肉体の強化とコンディショニングにより時間を割くことが必要だと知り、それをどうやって行えばいいのかがわかるようになったそうです。
「もう一つ、オーストラリアに来たときには、明るい見通しは何一つありませんでした。芸術的にも、感情的にも、肉体的にもすべての希望を失っていたのです。この苦悩を通して、一つの視点を得ることができました。34歳のアーティストとして、困難に耐える深い力を得ることができ、それを通して、今までと全く違った芸術的な理解を得られたのです。そして、それはもはやエゴによって推し進められたものではなくなりました」


なお、ホールバーグは1月3日にはABTのクラスレッスンに復帰しています。

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2017/01/13

新国立劇場のバレエ、ダンス2017/18シーズンラインアップ/オペラ「松風」サシャ・ヴァルツ振付・演出

新国立劇場バレエ団の2017/18シーズンラインアップが発表されています。

http://www.nntt.jac.go.jp/release/detail/170112_009745.html

2017/2018シーズン バレエ ラインアップ

くるみ割り人形 [新制作]  2017年10月28日(土)より7公演
ウエイン・イーグリング振付
 
シンデレラ 2017年12月16日(土)13:00より7公演
 
新国立劇場開場20周年記念特別公演
ニューイヤー・バレエ 2018年1月6日(土)18:00、1月7日(日)14:00 2公演
「パ・ド・カトル」「グラン・パ・クラシック」「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」「シンフォニー・イン・C」
 
ホフマン物語 2018年2月9日(金)19:00より3公演
 
白鳥の湖 2018年4月30日(月・祝)14:00より6公演
 
眠れる森の美女 2018年6月9日(土)14:00より5公演
 

2017 年 7 月
平成 29 年度
新国立劇場 こどものためのバレエ劇場
しらゆき姫


2017/2018シーズン ダンス ラインアップ

舞踏の今 その1
山海塾「海の賑わい 陸オカの静寂―めぐり」
 
高谷史郎(ダムタイプ)「ST/LL」
 
舞踏の今 その2
大駱駝艦・天賦典式「罪と罰」
 
森山開次「サーカス」


プレスリリース
http://www.nntt.jac.go.jp/release/press/upload_files/lineup_ballet_dance_2017-2018.pdf


<追記>
イーグリングの“新・くるみ割り人形”〜新国立劇場バレエ2017/18シーズン
https://spice.eplus.jp/articles/98890

ラインナップについて大原は「日本のバレエの観客はバレエ人口に比例していない。一般観客がどういう作品を求めているのかを考え、(新制作、コンテンポラリーも必要だと感じるが)国立の劇場として古典バレエの上演、私自身はドラマティックなバレエを入れていきたい。また、東京以外の地方公演を増やしていきたい。その際ホール側から求められる作品は古典もの(『白鳥』『くるみ』『眠れる』等)。新国立劇場の『くるみ』はロシア版、牧阿佐美版があるが、新国の劇場にあう大きな装置で上演されるため、地方に持って行くことが難しい。新制作は地方に持って行ける作品としてということも考えてのこと。また、このバレエ団を層の厚くするためにも、若手を起用し循環させ、キャスティングの面白さで観に来ていただけるようにしたい」と語った。

2017/2018シーズンは一言でいえば古典重視。
「くるみ割り人形」の新制作を含めてチャイコフスキー3大バレエを一シーズンにまとめて上演します。今シーズン上演された「シンデレラ」、「眠れる森の美女」は2シーズン連続の上演、特に「シンデレラ」はいったい何回目の再演なのだろうという頻度です。。ガラ公演「ニューイヤー・バレエ」は古典2演目とバランシン2演目。コンテンポラリーダンスの演目は一つもありませんし、ドラマティックバレエは「ホフマン物語」のみ。唯一「ホフマン物語」が目先の変わった作品で楽しみですが、3公演しかないのは残念です。

古典重視は動員力を考えると致し方ないのかもしれませんが、せめて、チュチュお姫さまではない古典演目、たとえば「ドン・キホーテ」、「ラ・バヤデール」、「ライモンダ」、もしくはまだ上演されていませんが「海賊」などがあったら、もう少しバラエティに富んだイメージがあったのに、と思います。男性ダンサーの活躍できる場面が、このラインアップではほとんど思い浮かびません。最近の新国立劇場バレエ団は、若手の男性ダンサーが非常に充実してきて、容姿もよく技術的にも高いのでとてももったいない感じです。

また、今シーズンは、ダンスラインアップの中に、団員による振付作品を上演する「Dance to the Future」、新国立劇場バレエ団の団員に中村恩恵さんが新作を振付ける「ベートーヴェン・ソナタ」という意欲的なプログラムがありましたが、今年のダンスラインアップはすべて外部団体によるもの。舞踏作品を上演するのは良いのですが、山海塾も大駱駝艦も動員力、実績のある有名カンパニーで、新国立劇場で上演する意味があまり感じられません。

「Dance to the Future」は、2016年に2回公演があったから、なのかもしれませんが、これだけ続いていた好企画が途絶えてしまってはとても残念です。せめて次のシーズンには復活してもらいたいものです。今年2月の「ヴァレンタイン・バレエ」では貝川鐵夫さんの作品が上演されますが、貝川さん、そして宝満直也さんが「Dance to the Future」で発表した作品のクオリティも高かったので、「ニューイヤー・バレエ」で追加上演されたらいいのに、と思います。

バレエの観客のすそ野を広げるためにも、同じような古典演目だけでなく、新しい観客をつかむことができるようなプロダクションも上演することが大事だと感じています。今と同じ観客だけを相手にしていては、先細りとなってしまいます。
2月18日(土)「ヴァレンタイン・バレエ」14:00公演終演後 に大原芸術監督による2017/2018シーズン演目説明会がありますが、どのような考えを持ってこのようなラインアップにしたのか、聞いてみたいと思います。


なお、新国立劇場2017/2018シーズン オペラ ラインアップ
http://www.nntt.jac.go.jp/release/detail/170112_009606.html

この中の
松風 [新制作・日本初演]

振付家サシャ・ヴァルツの演出により、2011年5月にベルギー王立モネ劇場で初演された、細川俊夫さんによって1幕5場のオペラに仕立てられた作品です。ダンスはサシャ・ヴァルツ&ゲスツによるということで、こちらはとても期待される作品です。しかも塩田千春さんのインスタレーションも使用されているというのが興味深いところです。

現代を代表する作曲家として世界で高く評価される細川俊夫のオペラが、新国立劇場に初登場します。『松風』は能の古典『松風』をもとに若手作家ハンナ・デュブゲンがドイツ語台本を書き下ろし、細川によって1幕5場のオペラに仕立てられた作品で、世界有数の振付家サシャ・ヴァルツの演出により、2011年5月にベルギー王立モネ劇場で初演されました。サシャ・ヴァルツは、『松風』以前に古代の二人の女性の運命を描いたオペラ『メデア』や『ディドとエネアス』を既に振付・演出し、音楽と舞踊、声楽が一体となったコレオグラフィック・オペラという様式を確立しています。サシャ・ヴァルツ演出『松風』は、モネ劇場、ルクセンブルク大劇場、ポーランド国立歌劇場との共同制作、ベルリン州立歌劇場の協力により初演され、自然と幽玄を描く細川の音楽、舞踊と声楽が一体となって表現される斬新な演出、死者と生者を行き来させた塩田千春のインスタレーションが効果的な美術によって、「80分があまりに早く過ぎてしまった」(フィナンシャルタイムズ)と絶賛されました。初演したモネ劇場は『松風』をはじめとする意欲的なプログラムによって、同年の「Opernwelt」誌の最優秀歌劇場に選出されています。 日本初演となる今回の上演では、声楽、演技ともに難役である松風、村雨の姉妹役にイルゼ・エーレンス、シャルロッテ・ヘッレカント、旅の僧にダグラス・ウィリアムズが出演、指揮はデヴィッド・ロバート・コールマンが務めます。また、ダンスはサシャ・ヴァルツ&ゲスツ、ヴォーカル・アンサンブルには新国立劇場合唱団が出演します。

New York Timesにレビューも掲載されており、オペラ作品というよりはダンス作品という色彩が強いようです。
http://www.nytimes.com/2011/08/07/arts/music/matsukaze-opera-by-the-japanese-composer-toshio-hosokawa.html

2017/01/12

ロイヤル・オペラハウスシネマシーズン「アナスタシア」(ロイヤル・バレエ)

英国ロイヤル・オペラハウス2016・17シネマシーズン、バレエ作品第一弾、ケネス・マクミラン振付の「アナスタシア」が1月13日(金)より公開されます。

http://tohotowa.co.jp/roh/movie/anastasia.html

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今でも根強い人気を持つ著名な振付家ケネス・マクミランによる3幕の全長版バレエ『アナスタシア』。ロマノフ朝14代皇帝ニコライ2世の娘、若き皇女アナスタシアは、家族とともにロシア革命の嵐に巻き込まれ、その特権的な生活に終止符が打たれる。そして家族全員が殺された後、死んだはずのアナスタシアだと名乗るアナ・アンダーソンという女性が現れる。記憶なのか妄想なのか、定かでないアナの回想。悪夢に悩まされながらも、自分がアナスタシアだという彼女の信念は揺るがなかった。アナは本当のアナスタシアなのか、それとも--。

映画『追想』(1956)などでも題材となった、皇女アナスタシア伝説をモチーフに描かれたバレエの名作。

【振付】ケネス・マクミラン
【音楽】ピョートル・チャイコフスキー&ボフスラフ・マルティヌー
【指揮】サイモン・ヒューエット
【出演】アナスタシア/アナ・アンダーソン:ナタリア・オシポワ
マチルダ・クシェシンスカヤ:マリアネラ・ヌニェス
ラスプーチン:ティアゴ・ソアレス
【上演時間】3時間5分(休憩時間は13分と14分の計2回)

皇帝ニコライ2世 クリストファー・サウンダース
皇妃アレクサンドラ・フェオドロヴィナ クリスティーナ・アレスティス 
皇太子アレクセイ ローリー・トムズ
皇女オルガ オリヴィア・カウリー
皇女タチヤーナ ベアトリス・スティックス=ブルネル
皇女マリー ヤスミン・ナグティ
皇女アナスタシア ナタリア・オシポワ

ラスプーチン ティアゴ・ソアレス
4人の将校 平野亮一、ヴァレリー・ヒリストフ、アレクサンダー・キャンベル、エドワード・ワトソン

<一幕>
3人の将校 アクリ瑠嘉、トリスタン・ダイヤー、マルセリーノ・サンベ

<二幕>

マチルダ・クシェシンスカヤ マリアネラ・ヌニェス
そのパートナー フェデリコ・ボネッリ
革命家たち ヴィンチェンゾ・ディ・プリモ、ロイヤル・バレエ団の団員

<三幕>
アナ・アンダーソン ナタリア・オシポワ
アナの夫 エドワード・ワトソン
夫の兄弟 トリスタン・ダイヤー
寮母、農婦 クリステン・マクナリー

振付指導を担当したヴィヴィアナ・デュランテをダーシー・バッセルがインタビュー

「アナスタシア」は、マクミランがドイツオペラ・ベルリンバレエ団のために1967年に、現在の3幕部分である1幕版を振付けたのが初演。1971年に、1幕と2幕を追加した作品をロイヤル・バレエに振付けた。アナスタシア/アナ役を初演したのはリン・シーモア。音楽は、1幕、2幕はチャイコフスキーの交響曲1番と3番。3幕はマルティヌーの交響曲6番と電子音楽が使われている。

1幕と2幕はロマノフ王朝末期、華やかな皇室で平穏な生活をしているニコライ2世一家、そしてその末娘の若きアナスタシアが描かれる。2幕では、アナスタシアの社交界デビューを祝った宴で、ニコライ2世の元愛人で、プリマ・バレリーナ・アッソールタの称号を持つマチルダ・クシェシンスカヤが、劇中劇として華麗なグラン・パ・ド・ドゥを踊る。この2幕の終わりにロシア革命で一家は皆殺しにされる。3幕では、戦後、ベルリンの精神病院で自分こそが逃げ延びた皇女アナスタシアと名乗る女性アナ・アンダーソンが登場する。家族が皆殺しにされたこと、戦争、ある兄弟によって助けられたこと、結婚、出産、夫の死…様々な記憶にさいなまれて混乱し、現実と妄想の間を揺れ動くアナの姿が描かれる。(1994年に、最終的にアナ・アンダーソンはアナスタシアではないと証明された)

ナタリア・オシポワのリハーサル風景とインタビュー

「アナスタシア」がロイヤル・バレエで上演されるのは久しぶりのこと。3幕が最初に振付けられて、のちに1幕、2幕が振付けられたこと、音楽が1、2幕と3幕の作曲家が異なること、振付言語も古典バレエ的な1、2幕と現代的な3幕ではまるで違っていることなどもあり、ややちぐはぐな印象がある作品という評価がある。実際に観てみると、確かにそういった部分は否めないのだが、1,2幕に登場した人物や場面が3幕にアナスタシアの記憶として登場するなど、「記憶」をテーマとした3幕の作品としてしっかりとした構造にはなっている。

実際のアナスタシアの映像で始まる1幕では、4人の将校たちの踊りやアナスタシアのソロなどが見せ場となっている。特に将校たちは一人一人ソロを踊ってくれる。さすがに平野亮一さんは長身で見栄えがするので制服姿も決まっている。美しい白いドレスに身を包んだ4姉妹と最年少の皇太子。この皇太子は難病にかかってしまっていたのだが、怪僧ラスプーチンが奇跡的に彼の病気を治したことから、ニコライ2世は彼に絶大な信頼を置くようになる。踊りの見せ場はたくさんあるのだけど、やや冗長な1幕。ナタリア・オシポワのアナスタシアは、技術は言うまでも素晴らしく軽やかに踊り、好奇心が旺盛で活発な少女として目を輝かせて生き生きとしているけれど、この場面ではさほどの深みはない。

2幕は、アナスタシアの社交界デビューの宴で、この宴の客人の中には、ロシアの伝統的な民族衣装に身を包んだ女性たちもいてエキゾチックで華やかだ。シャンデリアが斜めに歪んだ形になっているのは、年若いアナスタシアが下から見たシャンデリアの記憶だからとのこと。この宴では、マリインスキー劇場で絶大な人気を誇ったバレリーナ、マチルダ・クシェシンスカヤが男性ダンサーとパ・ド・ドゥを踊る。クシェシンスカヤはニコライ2世が結婚する前に交際していたことでも有名であり、踊っている最中も盛んにニコライ2世に流し目を送り、この二人の関係が明白なものと感じられて、アナスタシアは戸惑う。クシェシンスカヤを演じたマリアネラ・ヌニェスの華やかさ、これぞプリマという圧倒的なオーラ、そしていわくありげな視線の妖艶さ。パートナーのフェデリコ・ボネッリにはソロはないが、非常に難しいリフトなどパートナーリングは見事。この後、クシェシンスカヤとパートナー、ニコライ2世と皇妃、さらにラスプーチンも参加しての息詰まるようなダンスが繰り広げられる。そして最後の革命のシーンで、無残に皇帝一家や貴族たちは殺戮され、宴が繰り広げていた宮殿は実は精神病院の中であったことが明らかになる。

ワールド・バレエ・デーライブでヴィヴィアナ・デュランテとギャリー・ハリスに指導されるナタリア・オシポワ

何年かのち、精神病院の中。電子音が鳴り響き、ベッドが一つ置いてあるだけの殺風景な中に一人ぽつりとたたずむアナ。一家の殺戮、そして救出された時のことが再現され、このあたりの回想は「マノン」の沼地のシーンの序曲を思わせる。ポワントを履いているものの、動きはコンテンポラリーダンスに近い。アナはエドワード・ワトソン演じる夫や、ラスプーチンの幻影と踊る。大きく見開かれた瞳には強い力がある。自分自身が何者なのか、アイデンティティの喪失に苦しむ、その苦悩を表現するように体を震わせ、ゆがませ、その捻じ曲げられた身体からエネルギーをものすごいスピードで解き放つさまは壮絶。赤ん坊を抱いて夫とパ・ド・ドゥを踊るものの、子どもは奪い去られてしまい、夫も死んでしまってたった一人で残されるアナ。

ここでのオシポワは、圧倒的な身体能力を生かしてアナの葛藤や混乱、苦悩や絶望を描き切り、心を打つような大熱演だった。休憩時間に、振付指導を担当したヴィヴィアナ・デュランテのインタビューが流れる。デュランテは、初演キャストのリン・シーモアに指導されたとのことだが、「醜くなることを恐れるな」とアドバイスされたそう。その教えがオシポワにも伝わっていて、作り物ではない本物の感情が現れた、見事なパフォーマンスを見せてくれた。オシポワがある意味自分の殻を破ることに成功したような、この踊りと演技を観るだけでも、映画館に観に行く価値があると感じた。

「アナスタシア」は日本では2012年に小林紀子バレエシアターが日本初演しているが、ロイヤル・バレエでも
久しぶりの上演であり、DVD映像も発売されていない。このように滅多に観られない作品を大画面で観ることができるのが、英国ロイヤル・オペラハウス2016・17シネマシーズンの魅力である。

リハーサル映像、詳細なキャストやあらすじ、写真などを見たり読んだりできるデジタル・プログラムがロイヤル・オペラハウスのサイトで閲覧できる。プロモコードFREEANAを入力すること。
http://www.roh.org.uk/publications/anastasia-digital-programme


「アナスタシア」は1/13(金)より、TOHOシネマズ日本橋、TOHOシネマズ六本木ヒルズ他で上映。

2017/01/11

シルヴィ・ギエムの最新映像

2015年の大晦日に東京で「ボレロ」を踊って、バレエダンサーとして引退したシルヴィ・ギエム。

現在はイタリアのローマとフィレンツェの間にあるラツィオという街に在住し、動物の愛護運動などを行っているとのことです。昨年11月にはイタリアのテレビにも出演しました。
http://www.gramilano.com/2016/11/syvlie-guillem-appears-on-italian-tv-to-talk-about-veganism/

また、NBSの佐々木忠次さんのお別れ会に参列して、弔辞を述べています。


そのギエムですが、動物愛護団体であるPETAのビデオに登場し、自宅でバーレッスンをしたり愛犬と戯れる美しい映像を公開しています。

現役時代と変わらないスレンダーな体型と圧倒的な身体能力を見せてくれる、とても素敵な映像です。足のクローズアップではルルヴェの高さに改めて驚かされます。引退しても日々の鍛錬は怠っていない様子です。

ギエムは5年前にヴィーガン(卵も食べない厳格な菜食主義)となったとのことです。動物は人間と同様に、痛みや喜びや愛を感じている、必要もないのに殺して食べるために動物を育てることはしてはいけないと語っています。この映像の中で、すべての人々の気持ちを変えさせることはできないけれど、一人に影響を与えることができれば、それはどんどん広がっていく、一滴の水では火事を消すことはできないけれど一滴が集まって雨となれば、火事を消すことだってできると語っています。

Ballet Icon Sylvie Guillem Made a Video with a Powerful Message
http://www.dancespirit.com/news/sylvie-guillem-video-message/

2017/01/06

フィンランド国立バレエ「雪の女王」ウェブ配信

4月に『たのしいムーミン一家 ~ムーミンと魔法使いの帽子~』で来日公演を行うフィンランド国立バレエ。

そのフィンランド国立バレエの公式サイトで、芸術監督ケネス・グレーヴが振付けた『雪の女王』の全編が無料配信されています。
http://oopperabaletti.fi/en/stage24/lumikuningatar/

2014年に収録された映像で、48分。ファンタジックで美しく素敵な作品です。

Choreography: Kenneth Greve
Music: Tuomas Kantelinen
Sets, costumes: Erika Turunen
Sets, lighting design: Mikki Kunttu
Make-up design: Pekka Helynen

Cast:
actor Krista Kosonen as grand mother,
étoile Maria Baranova as Kerttu,
étoile Sergei Popov as Kai,
étoile Tiina Myllymäki as Snow Queen.

The Orchestra of the Finnish National Opera
Production of Yleisradio and the Finnish National Opera and Ballet, 2014.

今月この作品は、デンマークへのツアー公演で上演されるそうです。

フィンランド国立バレエのサイトでは、やはりケネス・グレーヴが振付けた「人魚姫」の映像も全編視聴できます。
http://areena.yle.fi/1-3480947



フィンランド国立バレエ団 
バレエ『たのしいムーミン一家 ~ムーミンと魔法使いの帽子~』 *世界初演
「北欧バレエ・ガラ」

http://www.bunkamura.co.jp/orchard/lineup/17_moomin.html

2017/4/22(土)~25(火) Bunkamuraオーチャードホール

2017/4/29(土・祝),30(日) フェスティバルホール
お問合せ:キョードーインフォメーション 0570-200-888(10:00~18:00)
http://www.kyodo-osaka.co.jp/schedule/E018004-1.html

2017/01/05

マリインスキー・バレエ、今夏のロンドン公演

ロンドンの夏は、例年、ボリショイ・バレエかマリインスキー・バレエがロンドン公演を行いますが、今年の夏はマリインスキー・バレエの番です。

概要が発表になっていました。
http://www.victorhochhauser.co.uk/page/3/HOW-TO-BOOK.php

ロイヤル・オペラハウスで7月24日から8月12日までです。
チケットの発売は3月28日より。(別途、ロイヤル・オペラハウスのフレンズ会員には先行販売あり)

「ドン・キホーテ」
24, 25, 26 July and 5 August at 7.30pm
5 August at 2pm

「白鳥の湖」
27, 28, 29, 31 July and 1,2, 7 August at 7.30pm
29 July at 2pm

「アンナ・カレーニナ」(ラトマンスキー振付)
3, 4 August at 7.30pm

ミックスプロ(「カルメン組曲」「インフラ」(マクレガー振付)「パキータ」グラン・パ・ド・ドゥ)
8, 9 August at 7.30pm

「ラ・バヤデール」
10, 11, 12 August at 7.30pm
12 August at 2pm


出演予定プリンシパル

エカテリーナ・コンダウーロワ、オクサーナ・スコリク、ヴィクトリア・テリョーシキナ、ディアナ・ヴィシニョーワ

ティムール・アスケロフ、エフゲニー・イワンチェンコ、キミン・キム、ザンダー・パリッシュ、ウラジーミル・シクリャーロフ

ロンドン公演出演予定者の中にウリヤーナ・ロパートキナの名前がありません。現在ロパートキナは怪我のためにマリインスキーに出演できていないようです。ザンダー・パリッシュはプリンシパル・ダンサーではありませんが、英国出身のために名前を出しているのかもしれませんね。

2017/01/04

デヴィッド・ホールバーグ、ABTに復帰予定

怪我とそのリハビリのために2年半も舞台から遠ざかっていたデヴィッド・ホールバーグ。12月に、1年にわたってリハビリのために滞在していたオーストラリアで、オーストラリア・バレエの「コッペリア」に主演して舞台復帰を果たしました。
http://dorianjesus.cocolog-nifty.com/pyon/2016/11/post-ee9a.html

「コッペリア」では長いブランクを感じさせず、良いパフォーマンスを見せることができたようです。

カーテンコールより。

Special show, special peeps. 💛❤️ @amber_e_scott @davidhallberger #ausballet #coppelia

Kate Longleyさん(@klongersklongers)が投稿した写真 -

公演のレビュー
https://deborahjones.me/2016/12/14/david-hallberg-in-coppelia/

ホールバーグのインタビュー記事
http://www.theaustralian.com.au/arts/stage/australian-ballet-rebuilds-international-superstar-david-hallberg/news-story/bf994411652bc0f0068f36a510fc56b1

金髪の美貌で貴公子のイメージの強いホールバーグですが、「コッペリア」のフランツ役という庶民的なキャラクターも魅力的に演じることができたようです。音楽性に優れ、美しい脚と高いルティレは健在。この時点では、まずはこの「コッペリア」での復帰だけを考え、そこより先のことはゆっくり考えると彼は語っていました。

しかし、このオーストラリア・バレエでの復帰が成功を収めたいうことで、古巣のABTへの復帰も発表されました。

David Hallberg Returns to American Ballet Theater
http://www.nytimes.com/2017/01/03/arts/dance/david-hallberg-returns-to-american-ballet-theater.html

1月10日よりABTでのクラスレッスンに参加し、5月からのMETシーズンでABTの舞台に復帰するそうです。まだ、どの作品に出演するかは決まっていませんが、2週間くらいでめどが立つそうです。このMETシーズンで新作「ホイップクリーム」が上演されるアレクセイ・ラトマンスキーとの仕事も楽しみにしているとのこと。

ABTの公演カレンダーを見ると、「ホイップクリーム」の他、「ジゼル」や「オネーギン」で主役男性のキャストが未定の日程があります。ここにホールバーグが出演する可能性は高いかもしれません。

ミュンヘン・バレエのガラ公演、1/15(日)にネット中継/追記

1月15日に行われるミュンヘン・バレエのガラがWebでストリーミングされます。

現地時間夜6時からなので、日本時間深夜2時から。残念ながらアーカイブはされませんが、出演者の豪華なガラです。

ガラの演目
https://www.staatsoper.de/stueckinfo/stars-des-bayerischen-staatsballetts/2017-01-15-18-00.html

中継サイト
https://www.staatsoper.de/tv.html?no_cache=1

「くるみ割り人形」パ・ド・ドゥ
choreography Vasily Vainonen
Music Pyotr I. Tchaikovsky
Tatiana Tiliguzova , Dmitrii Vyskubenko

Parting
Choreography: Youri Smekalov
Music: John Powell ( Assassin's Tango )
マリーア・シリンキナ、ウラジーミル・シクリャーロフ

「白鳥の湖」 - Pas de deux from Swan white
Choreography: Marius Petipa, Lev Ivanov
Music: Pyotr Ilyich Tchaikovsky
プリスカ・ザイセル, Erik Murzagaliyev

「パリの炎」
choreography Vasily Vainonen
music Boris Asafyev
Elizaveta Kruteleva , ティグラン・ミカエリャン

「ライモンダ」グラン・パ・ド・ドゥ
Choreography Ray Barra / Marius Petipa
Music Alexander Glazunov
クセニア・リジュコワ , アレクサンドル・オメルチェンコ
Luiza Bernardes Berthon, Antonia McAuley, ヴェラ・セーゴワ, Freya Thomas
Vladislav Dolgikh, Konstantin Ivkin, Wentao Li, Dmitrii Vyskubenko

休憩

「スパルタクス」 -エギナとクラッススのパ・ド・ドゥ
Choreography: Yury Grigorovich
Music: Aram Khachaturian
プリスカ・ザイセル, Erik Murzagaliyev

「春の声」
Choreography Frederick Ashton
Music Johann Strauss Voices of Spring Waltz
河野舞衣 , Javier Amo

「海賊」パ・ド・ドゥ
choreography Marius Petipa
Music Adolphe Adam, Léo Delibes
マリーヤ・シリンキナ、ウラジーミル・シクリャーロフ

「ロミオとジュリエット」バルコニーのパ・ド・ドゥ
Choreography: John Cranko
Music: Sergei Prokofiev
クセニア・リジュコワ Jonah Cook

「ドン・キホーテ」グラン・パ・ド・ドゥ
choreography Marius Petipa
Music Ludwig Minkus
Ivy Amista、オシエル・グーネオ
Luiza Bernardes Berthon, Evgenia Dolmatova, Shuai Li, Antonia McAuley, Mia Rudic, ヴェラ・セーゴワ, Freya Thomas


「海賊」でシクリャーロフとシリンキナのペア、ENBの来日公演「海賊」ゲストで日本にやってくるオシエル・グーネオのバジル、そして河野舞衣さん、ワガノワを卒業したばかりでWOWOWのドキュメンタリーでフィーチャーされたヴェラ・セーゴワ等が見所です。

<追記>演目変更がありました。(下線がついているのは変更部分)
なお、モスクワ音楽劇場のソリストで、モスクワ国際バレエコンクールで2013年に1位、エカテリーナ・マキシモワ記念バレエコンクール「アラベスク」で2016年に3位に輝いたアレクサンドル・オメルチェンコ(ボリショイ・バレエ学校出身)が、ミュンヘン・バレエに移籍し、このガラで「ライモンダ」に出演します。

2017/01/02

舞台デザイナーのピーター・ファーマーが死去

まだ新聞記事などの公式発表はないのですが、ロイヤル・バレエのギャリー・エイヴィス、そして元ロイヤル・バレエのヨハン・コボーなどがTwitterで報告しているので間違いないと思います。数々のバレエ作品の舞台デザインを手がけ、この分野では巨匠だったピーター・ファーマーが亡くなったようです。

ロイヤル・バレエ公式からも発表がありました。


ピーター・ファーマーのプロフィール
http://www.roh.org.uk/people/peter-farmer
http://www.abt.org/education/archive/designers/farmer_p.html

1941年に英国に生まれたファーマーは、1960年代より演劇とバレエのデザインを手掛けてきました。ロイヤル・バレエにおいては、「ジゼル」(1971年)、「三人姉妹」(1991)、「眠れる森の美女」(1973年版および2006年のモニカ・メイソン版)などです。

また、マリインスキー・バレエ、オーストラリア・バレエ、ウィーン国立バレエの「マノン」(マクミラン振付)および別デザインですが、ヒューストン・バレエ、ナショナル・バレエ・オブ・カナダ、ABTの「マノン」、バーミンガムロイヤル・バレエの「テーマとヴァリエーション」「真夏の夜の夢」「コッペリア」、スコティッシュ・バレエ/香港バレエの「ホフマン物語」(ピーター・ダレル振付)、ENBの「白鳥の湖」と、2011年の同バレエ団の「くるみ割り人形」(イーグリング振付の現行版)なども舞台美術をデザインしています。2005年には、ロイヤル・バレエとABTが共同制作を手掛けた「シルヴィア」(アシュトン振付)の新プロダクションのために、デザインを再構成しました。

日本では、井上バレエ団の「白鳥の湖」「真夏の夜の夢」「コッペリア」、スターダンサーズバレエ団の「ジゼル」「コッペリア」(ピーター・ライト振付)、K-Ballet Companyの「眠れる森の美女」なども手掛けており、日本のバレエ界にも大きく貢献しました。新国立劇場で上演されている「マノン」も、ピーター・ファーマーが舞台美術を手掛けているプロダクションです。

2010年には、長年にわたるバレエ界への貢献を称えられて、ブノワ賞を受賞しています。

また、ファーマーは画家としても成功を収めており、個展もたびたび開催していました。

パステルカラーや中間色の使い方が巧みで、格調高いデザインを作り続けて舞台を美しく彩ったピーター・ファーマー。存命中のバレエ舞台美術家としては最も偉大な一人でした。ご冥福をお祈りいたします。

スターダンサーズ・バレエ団の「コッペリア」公演プログラムでのピーター・ファーマーの紹介をここで読むことができます。
https://nippon.zaidan.info/seikabutsu/1996/00077/contents/005.htm

デンマーク・ロイヤル・バレエの「ロミオとジュリエット」Web配信中

デンマーク・ロイヤル・バレエの「ロミオとジュリエット」(ジョン・ノイマイヤー振付)が現在Web配信中です。

Facebookページの方ではお知らせしていたのですが、こちらで知らせるのを忘れてしまいました。12月31日までの配信の予定が、延長されて1月7日まで視聴することができるようになったようです。

https://www.dr.dk/tv/se/opera-og-ballet-det-kgl-teater-tv/-/romeo-og-julie-ballet-fra-det-kgl-teater#!/

主演
ジュリエット Ida Praetorius
ロミオ Andreas Kaas
キャピュレット夫人 スザンネ・グリンデル
キャピュレット公 ウルリーク・ビヤケァー
ティボルト セバスチャン・クロボー
マキューシオ  Sebastian Haynes
ベンヴォーリオ Alexander Bozinoff

とても素晴らしいパフォーマンスなので、お正月休み中にぜひどうぞ。

ノイマイヤー振付「ロミオとジュリエット」は2009年にデンマーク・ロイヤル・バレエの来日公演で上演され、そして2014年には東京バレエ団でも上演されています。2009年の来日公演でロミオやジュリエットを演じていたダンサーたちが、今はキャピュレット夫人やキャピュレット公を演じていることに、時の流れを感じます。

2017/01/01

レオノール・ボラックが、パリ・オペラ座のエトワールに任命

大晦日の「白鳥の湖」後、レオノール・ボラックが、パリ・オペラ座のエトワールに任命されました。大晦日公演で、相手がエトワールのマチアス・エイマンということもあり、この昇進はキャスティングされた時点から噂をされていたようです。

レオノール・ボラック

パリ生まれ。2005年にパリ・オペラ座学校に入学し、2008年にパリ・オペラ座バレエに入団。2014年コリフェ、2015年スジェ、2016年にプルミエ・ダンス―ズに昇格。2014年にはAROP賞(パリ・オペラ座振興会賞)を受賞している。バンジャマン・ミルピエ芸術監督に積極的に起用され、スジェ時代にすでに『くるみ割り人形』のクララ、『ロミオとジュリエット』のジュリエット、『パキータ』で主演している。愛らしい容姿の持ち主で、特に情熱的なジュリエット役は高い評価を得た。一方でフォーサイス、マクレガー、ウィールドンなどの振付家の現代作品も得意としており、振付家の創造意欲をかき立てるミューズとなっている。今夏は『エトワール・ガラ2016』で来日し、来年3月のパリ・オペラ座来日公演でも『ラ・シルフィード』『ダフニスとクロエ』に出演する。

今年3月のパリ・オペラ座来日公演にも出演する予定です。
3月2日(木)6:30p.m.、3月4日(土)6:30p.m.「ラ・シルフィード」エフィ―役
3月9日(木)6:30p.m. 3月11日(土)1:30p.m. 3月11日(土)6:30p.m. <グラン・ガラ>「ダフニスとクロエ」リュセイオン役
http://www.nbs.or.jp/stages/2016/parisopera/index.html

また、公開中のドキュメンタリー映画「ミルピエ~パリ・オペラ座に挑んだ男」にも登場しています。

昨年夏のエトワール・ガラ2016、VOGUE JAPANで取材した時の映像

レオノール・ボラックはとても可愛らしく、謙虚で人柄が良いダンサーでした。英語も上手です。(英語でインタビューしました)

入団後ずっとカドリーユだったボラックは、ミルピエが就任後急に役が付くようになり、コリフェ、スジェ、プルミエと毎年昇進してきました。その後のオーレリー・デュポンにも気に入られているようです。コンテンポラリー作品に強いのは、エトワール・ガラでのビゴンゼッティ作品でも証明されていましたが、初めて踊ったオデット/オディールでエトワールに任命されたのですね。オペラ座は確実に世代交代が起きています。

三越伊勢丹グループの2017年のメッセージに、オニール八菜さんが登場

三越伊勢丹グループでは、2015年より企業メッセージ「this is japan.」を掲げ、
すべての企業活動の指針としています。
2017年は、「this is japan.」を象徴する人として、注目のバレエ・ダンサー、オニール・八菜さんを
選び、「基本を大切にしながら、未来に向かっていく勇気」をテーマに「this is japan.」を発信することになりました。

2017年1月1日(日・祝)より、スペシャルサイトを開設。
http://this-is-japan.jp/

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海外で活躍するバレエ・ダンサー、オニール八菜氏は幼少の頃よりバレエをはじめて、海外に移り住んでからも、その感性を生かしてバレエの研鑽を続け、夢であったパリ・オペラ座に入団を果たし活躍しています。その生き方は、まさに私たちが目指すべきthis is japan.に共鳴しています。

特設サイトでは、オニール八菜さんと振付家ピエール・ラコット氏のインタビュー動画がご覧いただけます。
また、日本の四季の移ろいを伝える二十四節気をダンスで表現したパフォーマンスを2017年2月4日(土)の
立春より、時候のご挨拶とともにお届けするとのことです。

オニール八菜
1993年生まれ。東京出身。父はニュージーランド人、母は日本人。日本に住んでいた3歳からバレエを始め、2001年ニュージーランド移住後もバレエを続け、2008年オーストラリアンバレエスクールに入学。数多くのコンクールで優勝し首席で卒業後、パリ・オペラ座のシーズン契約を経て2013年に正団員に。2016年にプルミエダンスーズとなる。同年5月、23歳にしてバレエ界のアカデミー賞ともいわれる「ブノワ賞」を受賞。

*****
パリ・オペラ座のサイトで、「白鳥の湖」のオデットのマイムをオニール八菜さんが実演しています。
https://www.operadeparis.fr/en/magazine/decoupage-dun-pas-1

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