パリ・オペラ座バレエ 2017/18シーズン 正式発表/オーレリー・デュポンのインタビュー
パリ・オペラ座バレエの2017/18シーズンが1月25日に正式発表されました。
(当初予定されていた28日より早い発表になったのは、内容がリークしていたからかもしれません)
https://www.operadeparis.fr/saison-17-18/ballet
内容的には、リークしていた内容とほとんど同じなので、Twitterで流れていた記者会見の内容を中心にお知らせします。
ガラ (デフィレ、ハンス・ファン・マネン「3つのグノシェンヌ」、シディ・ラルビ・シェルカウイ「牧神」、バランシン「ダイヤモンド」) 9月21日 ガルニエジュエルズ (ジョージ・バランシン振付) 2017年9月24日から10月12日 ガルニエ ※ゲストカンパニーなし
ジョージ・バランシン「アゴン」/勅使川原三郎(新作)/ピナ・バウシュ「春の祭典」 2017年10月25日から11月14日 ガルニエ
アレクサンドル・エックマン「プレイ」(新作) 2017年12月6日から12月30日 ガルニエ
ドン・キホーテ (ルドルフ・ヌレエフ振付) 2017年12月11日から2018年1月6日 バスティーユ 18公演
オネーギン (ジョン・クランコ振付) 2018年2月11日から3月7日 ガルニエ 21公演
バンジャマン・ミルピエ「ダフニスとクロエ」/モーリス・ベジャール「ボレロ」 2018年2月27日から3月22日 バスティーユ
オルフェオとエウリディーチェ (ピナ・バウシュ振付) 2018年3月27日から4月5日 ガルニエ
ロミオとジュリエット (サシャ・ヴァルツ振付) 2018年4月10日から5月3日 バスティーユ
パリ・オペラ座学校公演 ダンス組曲 (Clustine)、Un Ballo (キリアン), スプリング・アンド・フォール (ノイマイヤー) 4月15日、17日、18日アンヌ=テレサ・ド・ケースマイケル「カルテットNo. 4」、「大フーガ」、「ワルギルプスの夜」 2018年4月27日から5月18日 ガルニエ
ジェームズ・ティエレ(新作)/クリスタル・パイト「The Seasons' Canon」/イヴァン・ペレース(新作)/ホフェッシュ・シェクター「The Art of Not Looking Back」 2018年5月19日から6月8日まで ガルニエ (開演1時間前から、ガルニエ宮の公共スペースにてティエール振付作品が上演される)
リーズの結婚(ラ・フィユ・マル・ガルデ) (フレデリック・アシュトン振付) 2018年6月25日から7月14日 ガルニエ (7月14日の公演は無料)
記者会見には、勅使川原三郎さんも同席していました。
Improvisation et goût du risque : c'est pour cela qu'Aurélie Dupont a confié une création à Saburo Teshigawara #ONPballet1718 @operadeparis pic.twitter.com/aY1hhAmLNK
— Classicagenda (@Classicagenda) January 25, 2017
勅使川原さんの新作は、エサ=ペッカ・サロネンのヴァイオリン協奏曲に振付けられた作品となります。「勅使川原さんは、私に即興を行うリスクについて教えてくれました」」と会見でオーレリー・デュポンは語りました。指揮もサロネンが行い、ヴァイオリンのソリストは諏訪内晶子さんが務める予定です。
Le chorégraphe Saburo Teshigawara intervient pour parler de sa future création sur le Violin Concerto d'@esapekkasalonen. #ONP1718 pic.twitter.com/O651mLutDh
— Opéra de Paris (@operadeparis) 2017年1月25日
新作を振付けるイヴァン・ペレースは、元NDTのダンサー。「毎年新しい若い振付家を招きます。リスクを取りましょう。とても興奮しています。今年はイヴァン・ペレースです」と会見でオーレリー・デュポンは紹介しています。彼の作品は、10人の男性ダンサーのための作品とのことです。(これは面白そうですね)
Le chorégraphe Iván Pérez intervient pour parler de sa nouvelle création pour dix hommes. #ONP1718 pic.twitter.com/BETmb5Lmt4
— Opéra de Paris (@operadeparis) 2017年1月25日
来シーズン、マリ=アニエス・ジロは「オルフェオとエウリディーチェ」で、エルヴェ・モローはサシャ・ヴァルツの「ロミオとジュリエット」でオペラ座を引退します。また、今春のカニンガム/フォーサイスプログラムでジェレミー・ベランガールが(このプログラムの最後の5公演において、20分間の即興の作品を踊るとのこと)、夏のニューヨークツアー、バランシンの「エメラルド」でレティシア・プジョルも引退します。さらに、カール・パケットは、その次の2018/19シーズンのヌレエフ振付「シンデレラ」で引退するそうです。
(そのあたりは、こちらの記事に書いてあります。)
オペラ座のツアーは、今年は3月の日本公演の他、2018年6月、7月にニューヨークとシカゴにもツアーを行います。ニューヨークに2週間、シカゴに1週間で、「ラ・シルフィード」「ブレイク・ワークス」「若者と死」、「エチュード」、イヴァン・ペレースの新作。また、今年の夏はニューヨークでは、ボリショイ・バレエ、ニューヨークシティ・バレエとの「ジュエルズ」合同公演もあります。
デュポンは、就任の時に「パリ・オペラ座バレエはコンテンポラリー作品も踊るクラシックのカンパニーです」と語っていましたが、今回、純粋な19世紀の古典はヌレエフの「ドン・キホーテ」のみ。デュポンの考えでは「ジュエルズ」「オネーギン」「ラ・フィユ・マル・ガルデ」も古典として考えているとのことですが、「1シーズンに6作品も古典作品を上演したら、ダンサーたちは怪我をしてしまいます」とのことで、1シーズン4作品までが限界だと思っているそうです。
今回のプログラムを見たところ、ルフェーブルの影響の強いプログラムであるという印象が強く感じられます。フランスバレエ的な作品は、ベジャールの「ボレロ」くらいです。もう少しフランス・バレエの伝統を押し出した方が、批評家には受けることでしょう。
また、ミルピエが創設した振付アカデミーは、ウィリアム・フォーサイスがミルピエの退任に伴い、退任しましたが廃止されるそうです。「振付をしたいダンサーは振付をしてくれるので、アカデミーを持つ必要はありません」
いずれにしても、来シーズンからがオーレリー・デュポンの本領が発揮されるシーズンとなるはずです。どのような成果がもたらされるか、行方を見守っていきましょう。
オーレリー・デュポンのインタビュー記事
http://www.lexpress.fr/culture/scene/l-opera-de-paris-en-2017-2018-l-episode-millepied-aurelie-dupont-dit-tout_1872253.html
芸術監督への就任について
「現役時代から、総裁のステファン・リスネルとは、何をすべきで何をすべきでないかと行ったことについてよく会話をしていました。引退後も、私がオペラ座と距離を置いていた時でもこの会話を続けていました。ミルピエが退任することをある日知らされた時、私は、芸術監督のオファーを受ける前にいくつかの候補の名前を挙げました。なので、すぐに結論を出さなくてはならなかったのです!」
「こんなオファーを得てノーと返事できますか?なによりも、私がこのバレエ団の出身であることから白羽の矢が当たったと思うからです。この世界とは関係のない誰か人間的にも芸術的にもひどい人が選ばれるかもしれませんし。「私は正統な後継者で、ここのダンサーも、床もオペラ座のすべてのスタッフもAからZまで皆知っているし』と自分に言い聞かせました。ミルピエの挑戦は見て来たし、自分のビジョンをもたらそうとしました」
ミルピエの改革をどう思いましたか?そしてなぜ彼はこんなにも早く去ったのでしょうか。
「ミルピエはいくつかのことを理解していませんでした。すぐにこれらを変えようとしていたのですが、ここではそのような急速な変化は行われません。彼はある意味フランス人というよりアメリカ人で、パリ・オペラ座のカルチャーを持っていませんでした。彼はオペラ座学校の出身ではないし、このような、ヒエラルキーのあるカンパニーの一員であったこともありません」
「ここはパリ・オペラ座なのです。ニューヨークシティ・バレエの芸術監督になって、「これからはロシア・バレエ、リファール、ローラン・プティをやり、それ以外の作品は踊らなくします」とアメリカ人振付家の作品を踊るのをやめるようなものです。オペラ座は伝統であり、長年受け継がれてきたものです。彼は、伝統は自分と縁のないものだから保ちたくなかったのです。私はこの伝統で育ち、それは私の得た遺産であり、私の言葉なのです」
階級システムと昇進コンクールを変える考えは?
「もちろんありません。階級はダンサーを守るものです。現代作品においては階級は存在しません。振付家は学校を卒業したばかりの16歳の女の子を、引退を控えた40歳のダンサーと同様に選ぶことができます。古典においては、16歳の女の子に「眠れる森の美女」のオーロラ役を演じさせても、この役にふさわしい技術と芸術性はないでしょう。ヒエラルキーとは学ぶことです。より確固とした技術を持ち、振付家によって多く起用されることによって階級を登って行きます。16歳のダンサーが、レパートリーの中でも最も難しいヌレエフ作品の主演をすることはありません、それは毒でしかありません」
昇進コンクールは継続するんですね?
「ピラミッドシステムになっていいますし、どんなダンサーにも昇進するチャンスを与えるものです。バレエ団のダンサーたちは、このコンクールの維持について投票し、全員で継続することについて一致しました。ダンサーたちには「ノー」と言う権利も与えられていたのです」
伝統を揺り動かしたミルピエの後で、あなたは伝統に立ち返るつもりですか?
「でも彼はオペラ座を揺り動かしたのでしょうか?2年間では誰も何もできません。私は変化に反対しませんが、約束したことを引き受けるためには、長く続ける勇気も必要です。混乱をもたらし『変化が必要です』と繰り返し、実際には何も変えないで去るのは普通のことでしょうか?動き続けるカンパニーなので、すべてに革命をもたらすつもりはありません。もちろん、改善の余地はあります」
「たとえばダンサーの引退年齢です。今は42歳となっていますが、もっと早く引退したい人には早く去る機会を与えることです。怪我をして36歳で腰にプロテーゼを装着しているダンサーに多くを求めることはできません。もう踊れなくなってしまったら、何もできませんからね。そうでなければ今まで通りで良いと思います」
芸術監督の仕事はどのようなものでしょうか?
「温かいお皿に新鮮な素材を使ったメニューを作るようなものです。私は欲張りなんです(笑)。明日のスターを育てることであり、またすべてのキャストのプログラミングをすることで、とても楽しんでいます。ダンサーが必要としている作品を知ることも必要だけど、同時に観客が観たいものも知らなければなりません。両方とも重要なことです。ダンサーたちは、教育を受け、異なった作品を味わう必要があります。マーサ・グレアム、ヌレエフ、マクミラン、マッツ・エック、ピナ・バウシュなど」
「また、一年に一度は、オペラ座の素晴らしいダンサー、彼らの技術、ガルニエの舞台とホワイエに触れる機会のなかった無名の振付家に賭けて観ることも大事です。たとえば、来年新作を振付けるイヴァン・ペレースです。芸術監督の仕事としては、プロダクションのためのパトロンを探すこと、ツアーの準備などもあります。私は、自分がこの仕事に携わりたい5年間についてのビジョンがあります」
エトワールはどのように育てられるのでしょうか。
「彼らを探し求め、踊らせて、心理的に、そして肉体的に観察することによってです。自分がこの仕事を去る時に何人かの美しいエトワールを残したいと思っています。私は毎日、バレエ団のコール・ド・バレエとクラスレッスンを受けます。自分のためにもなるし、ダンサーを観察できます。彼らは私をダンサーとして知っているし、私の要求が高いことも知っています」
オーレリー・デュポンの一日はどんな感じでしょうか。
「7時に起床し、8歳と6歳の息子たちを学校に送り出して、オペラ座に到着します。スタジオで10時のクラスを受けて、必要に応じて繰り返しリハーサルを行います。3時半にオフィスに戻りますが、ランチを取り忘れていたことに気が付き、またプロダクションの打ち合わせでバスティーユへの往復を一日に1,2回します。いくつかのリハーサルに参加し、振付家と電話やSkypeで連絡を取ります。公演がある日は子守と連絡を取り合います。夜の12時ごろ家に帰り、また次の日となります。エトワールならば自分のことだけを考えればいいのでもっと楽ですね。150人のダンサーを管理するのは大変さが違います」
芸術監督になっていなかったら何をしていましたか?
「踊ることを続けながら一歩引いていたでしょう。それをし始めていたのです。オペラ座のダンサーだと、偉大な振付家が自分のところにやってくるのを待てばいいので何もしなくても良くて素晴らしい機会を与えられています。オペラ座を去ると、続けていく道と学びなおすことが問題となります。なので私はニューヨークにいってマーサ・グレアムのカンパニーで踊りました。私はとても若い時に、学校で、そして「月の誘惑」でグレアムのテクニックを試してとても楽しみました。1か月半マンハッタンで過ごして小さな役を学び、パリと行き来してオペラ座で何が起きているかをフォローしていました。明日何が行われるのかわからない、そんな素敵な時期でした。この仕事を得るまでは、テアトル・ド・パリで上演される「The Bachelor」の舞台に立つ機会のオファーを受け、そして映画を作ることといった計画がありましたが、それは棚上げしています。振付家のPontus Lidbergとの仕事の予定もありました」
2017-18シーズンについて教えてください。
「古典の高いレベルを保つために重要なクラシックの作品を上演します。『ジュエルズ』、『ドン・キホーテ』、『オネーギン』、『ラ・フィユ・マル・ガルデ』です。オペラ座学校は古典のバレエ学校なので、この遺産を受け継ぐのは必然です。また、ピナ・バウシュの『春の祭典』、ミルピエの『ダフニスとクロエ』、引退するエルヴェ・モローのリクエストに応じて私も踊る『ロミオとジュリエット』(サシャ・ヴァルツ)も再演します」
「また、ジェームズ・ティエレ、クリスタル・パイト、イヴァン・ペレーズのミックスプロも気に入っています。また、オペラ座にはまだ招かれたことがなかったイスラエルの素晴らしい振付家であるホフェッシュ・シェクターの改訂振付がレパートリー入りします。9月には、シェルカウイの『牧神』、私の大好きな84歳のオランダの振付家ハンス・ファン・マネンの『三つのグノシェンヌ』サティの音楽で一組のカップルのための作品を上演するガラがあります。ファン・マネンは150作品も作ってきましたが、オペラ座ではまだ上演されたことがありませんでした。またバランシンの『ジュエルズ』から『ダイヤモンド』もガラで上演されます。完璧なプログラムでしょう?」
<追記>
パリ・オペラ座新シーズンのプログラムを発表、オーレリー・デュポン舞踊監督他が記者会見
http://www.chacott-jp.com/magazine/news/other-news/post-181.html
「インプロヴィゼーションを私に教えてくれた大好きな振付家です」とオーレリーに紹介されて壇上に上った勅使川原三郎は「ダンスは新しい『生命』を作る場であり、音楽は生命と宇宙とを結びつけています。新作はエサ=ペカ・サロネン作曲の『ヴァイオリン協奏曲』の二部構成を生かし、ダンサーをたくさん使った作品にします。ダンスでは空間と時間が重要ですが、今回は生命が生まれ死んでいくことを音楽の流れに重ねて作品を作っていくつもりです。タイトルは未定ですが、照明、装置、衣装のイメージはすでにはっきりしています」と語り、新作に精力的に取り組んでいることを明らかにした。
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沢山の情報、いつも本当にありがとうございます。
オーレリのインタビューが読めてとても嬉しいです。雄弁に語っていますね。
パリオペラ座の来シーズンの全貌もわかり、なかなか面白そうな感じがしてきました。
明日のスターを育てると言っているオーレリのお手並み拝見です。
ドン・キとジュエルズ、オネーギン、ラ・フィユ・マル・ガルデの4本が古典との考えでしたか。。
よく観ていたベランガール、プジョル、ジロ、モロー、そしてその後はパケットも引退なので、
寂しいけれど、これから誕生する若手エトワールが待ち遠しいです。
八菜さん、マルシャンにも頑張ってほしいですし、オーレリが誰をいつノミネするのか注目しています。
長田さんのさよなら公演、私も観に行きました。
とっても良かったですね!
投稿: ますみ | 2017/01/28 00:07
質問~~~
パリオペはNYCにこの7月に来るけど、公演はジュエルのみだと思うのですが。。。。2018年にNYC公演で、2週間って事ですよね? シカゴも同じく。。。
来シーズンの発表なので、NYC/シカゴツアーは2018だと思うのですが・・・パリオペファンもそう聞いてると・・・ 知り合い何人かで混乱してるところです。
https://twitter.com/dansesplume/status/824195176528826368
投稿: takako | 2017/01/28 01:34
ますみさん、こんにちは。
オーレリーのインタビュー、とても興味深かったですよね。頭の良い人という感じがします。
そして、これから2,3年の間に5人もエトワールが引退しちゃうなんて、寂しいですよね。カールまで引退という感じになってきましたか、と。
その分確かに空席は空くので、オニールさんやユーゴ・マルシャンにはエトワールになってほしいです。オニールさんは早ければ今シーズン行けるかな?と思うのですがドン・キホーテあたりかなあ。
長田さんのさよなら公演、感動的でした。あれほど素晴らしいパフォーマンスはもうしばらくお目にかかれないかな…。
投稿: naomi | 2017/01/28 02:47
takakoさん、こんにちは。
書き方が悪かったのですが、そういうことです。ツアーは2018年です。(今年はジュエルズへの参加だけ)
投稿: naomi | 2017/01/28 02:49