佐東利穂子ソロ公演「SHE」 アップデイトダンスNo40
先週の東京芸術劇場での勅使川原三郎×山下洋輔「up」は大変面白い公演でした。山下洋輔さんのライブ演奏でダンスが観られるとはなんという贅沢なんでしょう。山下さんと勅使川原さん、佐東利穂子さんの丁々発止のやりとり、山下さんを挑発する勅使川原さんと、肘打ち奏法で応戦し、踊っているようだった山下さん。一部を除いてほぼ弾きっぱなしの山下さんの若々しさと、大胆さ。
極めつけは、大きな黒い馬に乗った佐東利穂子さんが登場するシーン。リズミカルな蹄の音に見事に乗った山下さんの演奏。馬の蹄の音がパーカッションとして機能していて、この美しい馬が何周もピアノの周りを歩き回ります。照明が素晴らしく、馬とピアノがシルエットとなった様子の詩的な美しさ、そして順光となった時の黒い馬と、鮮やかな赤い服をまとった貴婦人のような佐東さんの姿のコントラスト。無音で佐東さんや勅使川原さんが踊るところでも、山下さんの演奏が聞こえてくるようでした。ショスタコーヴィチのジャズ組曲からのワルツは、KARAS APPARATUSでの「もう一回」でもおなじみですが、これを山下さんが弾いたのが聴けたのも良かった。
山下さんと勅使川原さんのコラボ、ぜひシリーズ化してこれからも続けてほしいと思いました。
さて、10 月17 日(月)より、勅使川原三郎さんの芸術空間KARAS APPARATUSでの「アップデイトダンス」シリーズにて、佐東利穂子さんのソロ作品「SHE」が上演されます。
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幻惑的で孤独な存在と愛の葛藤。
激しく揺さぶられるダンスから湧き上る精神の身体言語。
佐東利穂子のソロ作品(2009年初演)、今も海外ツアーで公演中。
勅使川原三郎
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この「SHE」は2009 年に川崎市アートセンターで初演の後、現在もヨーロッパを中心に海外巡演していますが、東京での上演は今回が初めてです。
ヨーロッパでの公演の際、何人もの観客がその冷静に展開す
るダンスに涙したのはなぜか、くっきりとした身体が動き、
止まる。その時、輪郭を失くした人間と精神との対話が初め
て起こる。その言葉を超えた対話を人々は聴いていたのでは
ないでしょうか。それこそダンスであると佐東利穂子からす
こし遊離した彼女は表したのかもしれません。
(勅使川原三郎さんのブログより)
佐東利穂子さんは、現代最高の女性ダンサーの一人だと、近年の活躍を見るにつけ感じます。これほどまでに独自性があり、強靭でしなやかで変幻自在な人はいないのではないかと思うほどです。あのスピードと集中力で1時間、一人で踊りきるのですから見逃すわけにはいきません。しかも、KARAS APPARATUSの親密な空間で、至近距離で目撃できるのですから。
【日時】2016年
10月17日(月)20:00
10月18日(火)20:00
10月19日(水)20:00
10月20日(木)20:00
10月21日(金)休演日
10月22日(土)休演日
10月23日(日)16:00
10月24日(月)20:00
10月25日(火)20:00
10月26日(水)20:00
開演30分前より受付開始、客席開場は10分前
【会場】カラス・アパラタス/B2ホール
〒167-0051杉並区荻窪5-11-15 F1/B1/B2
【料金】(全席自由)
一般 予約 2500円 当日3000円 学生1500円(予約,当日共に)
【予約】メール updatedance@st-karas.com
件名を「アップデイトNo.40」として、本文にご希望の日付・
一般または学生・枚数・郵便番号・住所・氏名・日中連絡のつく電話番号をご記入ください。
【問合せ】
TEL. 03-6276-9136
当日券は開演30分前より受付にて発売します。
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