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2016/09/25

9/17 あいちトリエンナーレ プロデュースオペラ 勅使川原三郎「魔笛」

あいちトリエンナーレ2016プロデュースオペラ
W.A.モーツァルト作曲『魔笛』

(全2幕・ドイツ語上演・日本語字幕付き・日本語ナレーション)
公演日時: 2016年9月17日(土)、19日(月・祝)各日15:00開演
会  場: 愛知県芸術劇場 大ホール

【指揮】 ガエタノ・デスピノーサ
【演出・美術・照明・衣裳】 勅使川原 三郎
【合唱】 愛知県芸術劇場合唱団
【管弦楽】 名古屋フィルハーモニー交響楽団
【キャスト】
賢者ザラストロ:妻屋 秀和
夜の女王:髙橋 維
王子タミーノ:鈴木 准
王女パミーナ:森谷 真理
鳥刺しパパゲーノ:宮本 益光
弁者&神官Ⅰ:小森 輝彦
恋人パパゲーナ:醍醐 園佳
侍女Ⅰ:北原 瑠美、侍女Ⅱ:磯地 美樹、侍女Ⅲ:丸山 奈津美
従者モノスタトゥス:青栁 素晴
神官Ⅱ:高田 正人
武士Ⅰ:渡邉 公威、武士Ⅱ:小田桐 貴樹
童子Ⅰ:井口 侑奏、童子Ⅱ:森 季子、童子Ⅲ:安藤 千尋
【ダンサー】
佐東 利穂子
渡辺理恵 川島麻実子 奈良春夏 沖香菜子 吉川留衣 矢島まい 三雲友里加 政本絵美
秋元康臣 宮川新大 氷室友 岡崎隼也 松野乃知 永田雄大 入戸野伊織 高橋慈生

http://aichitriennale.jp/artist/index.html#op

あいちトリエンナーレ2016のプロデュースオペラは、勅使川原三郎さん演出による『魔笛』。東京二期会を中心とした歌手陣、佐東利穂子さん、そして東京バレエ団のダンサーたちが参加しての舞台となった。

ゲネプロの舞台写真はこちらで観ることができる。
http://natalie.mu/stage/news/201978

http://ebravo.jp/archives/29017

愛知県芸術劇場の大空間に勅使川原さんがデザインした舞台装置はシンプルだ。3つの大きさが異なる金属製の輪が3組宙に浮かび動いて重なり合ったりして、時にはザラストロの神殿となったり壁となったりと様々な図形を描く。2幕では、もう一つ大きな輪も登場する。『魔笛』ならではの三位一体の世界観を巧みに象徴させている。夜の女王と三人の侍女は羽根と毛皮をあしらった黒のゴージャスなドレス、ダンサーたちは白いレオタードの上にシースルーのレースのぴったりとした衣装、パミーナ、パパゲーノ、パパゲーナは白(パミーナは青いタイツ)、ザラストロも白と基本的にモノトーンなのだが、タミーノは鮮やかなオレンジで戦隊モノのヒーローのような姿。

ここまではスタイリッシュなのだが、それ以外のキャラクターの姿はなかなか強烈だ。ぬりかべから大きな手が突き出たモノスタトゥスの滑稽な姿はあまりにもインパクトが大きいし、マシュマロマンというかテレタビーズのような着ぐるみ姿の愛らしい童子たち、エジプトの壺のような神官。タミーノを神殿まで導きながら、よちよち歩きをする童子たちの姿は実にキュートでフィギュアが欲しくなるほどだし、つま先で横歩きする神官たちの大真面目な姿も可笑しい。人間とそれ以外のキャラクターとの差別化がくっきりできていた。『魔笛』って歌詞はよく見てみるとかなりユーモラスなわけで、こういう面白おかしさを衣装で表現するのは、幅広い年齢層の観客にアピールするうえでも効果的だった。(前日には、中学生向けの招待公演も行われたとのこと)

今回勅使川原さんが採った演出手法は、本来歌手が言う台詞をカットして、日本語のナレーションを佐東さんに語らせるというもの。その間歌手はマイムをしたり、振付けられた動きをするものの、基本的には歌唱に集中し、ダンサーたちがキャラクターの心情を表現したり世界観をつくりあげる。ダンサー一人一人が登場人物と対になっているわけではなく、時にはタミーノを襲う大蛇に化けたりする。佐東さんのナレーションは滑舌もきれいで声もよく通りわかりやすいし、物語も理解しやすい。だが、日本語ナレーションでストーリーを説明するという演出については、作品の流れを少し阻害するところがあって、賛否両論はあるようだが、ゴテゴテとなりがちなオペラにあって、そぎ落とした簡素さで作品の本質を伝えようとしている。

東京バレエ団のダンサーたちは、バレエ団内でオーディションを行って16人の精鋭を選抜し、春からワークショップを行ったとのこと。普段踊っているようなクラシックバレエの動きではなく、勅使川原さん独特の重心が低い中で空間を上半身を大きく切り裂くように動かす振付で、慣れるのに苦労はあったと思うが、ダンサーたちは見事にモノにしていて、見ごたえがあった。さすがに佐東さんは群舞になってもその鮮やかな動きとスピード感で際立っているが、彼女とペアになって踊った入戸野伊織さん、岡崎隼也さんには存在感があったし、秋元康臣さんの動きの美しさも格別。ただ、1幕ではダンスのシーンが多いものの、2幕では冒頭と終盤くらいだったし、女性ダンサーの活躍のシーンが少なく、もう少しダンスを観たかった気もする。合唱団の背後にチラチラ見えるダンサーたちの姿は、ちらっとしか見えないのにとても効果的ではあったが。

歌手陣は大変充実していた。特にパミーナの森谷真理さんはパワフルな歌声の持ち主で、パミーナに強い意志を持たせていたし、パパゲーノの宮本益光は愛嬌ある演技がこのキャラクターにもぴったりで、すばしっこくダンサー顔負けに良く動いていた。パパゲーノと、とても魅力的なパパゲーナ役の醍醐園佳さんの「パパパパ…パパゲーノ」の二重唱も聴きごたえがあった。鈴木准さんのタミーノもはまり役。妻屋秀和さんの重厚な歌声はザラストロにふさわしい。ガエタノ・デスピノーサの指揮もとても良かったと思う。

レベルの高い歌手陣に演奏、そして勅使川原さんの演出にダンスと、大変充実して見ごたえ、聴きごたえのあった楽しい公演。総合芸術としてのオペラの価値とは何かということを考えさせられた。東京バレエ団と勅使川原さんのコラボレーションも、今後継続するといいと思う。


この勅使川原版『魔笛』は来年3月に神奈川県民ホールと大分のiichiko総合文化センターで、指揮者やオーケストラ、一部の歌手を入れ替えて再演される。オペラファンも、ダンスファンも観て損のない舞台だ。


神奈川県民ホール・iichiko総合文化センター・東京二期会・神奈川フィルハーモニー管弦楽団 共同制作公演
神奈川県民ホール・オペラ・シリーズ2017
W.A.モーツァルト作曲 魔笛 全2幕

公演日時: 2017年03月18日(土)~2017年03月19日(日)    開演:14:00 (13:15開場)

【指揮】川瀬賢太郎 【演出・装置・照明・衣裳】勅使川原三郎
【出演】18日/19日
ザラストロ:大塚博章/清水那由太 夜の女王:安井陽子/高橋維
タミーノ:鈴木准/金山京介 パミーナ:嘉目真木子/幸田浩子

両日出演/パパゲーノ:宮本益光 パパゲーナ:醍醐園佳
侍女Ⅰ:北原瑠美 侍女Ⅱ:磯地美樹 侍女Ⅲ:石井藍
弁者&神官:小森輝彦 モノスタトス:青栁素晴 神官Ⅱ:升島唯博
武士Ⅰ:渡邉公威 武士Ⅱ:加藤宏隆

ダンス:佐東利穂子 東京バレエ団 合唱:二期会合唱団
管弦楽:神奈川フィルハーモニー管弦楽団

チケット発売 10/1(土)  かながわメンバーズKAme先行発売(インターネット受付のみ)9/17(土)
チケットかながわ 0570-015-415(10:00~18:00)http://www.kanagawa-arts.or.jp/tc/
【チケット購入者特典】公開リハーサルとステージ見学:公演直前のいずれかの日程で開催予定。詳細は12月下旬頃ホームページにて発表予定。
【プレレクチャー】青島広志のたのしい名作オペラ講座 オペラ「魔笛」の魅力 2017年2月4日(土)14:00 小ホール

http://www.kanagawa-kenminhall.com/detail?id=34583


iichiko総合文化センター・神奈川県民ホール 共同制作公演
勅使川原三郎 演出 モーツァルト 作曲
オペラ『魔笛』

3月11日(土)

出演
川瀬賢太郎(指揮) 
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
(管弦楽)
二期会合唱団(合唱)
http://www.emo.or.jp/img_file/information/145681304929412-2.pdf

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