「ニーナ・アナニアシヴィリ 最後のクラシック・ガラ」記者懇談会
2017年3月に「ニーナ・アナニアシヴィリの軌跡~最後のクラシック・ガラ~」公演が開催されます。
http://www.ints.co.jp/nina-final/index.htm
そのニーナ・アナニアシヴィリを囲んでの記者懇談会が行われましたので、参加してきました。
「オールスター・バレエ・ガラ」での相変わらずの柔らかい腕の表現力や美しいつま先、そして年を重ねても変わらない可憐さ。この記者懇談会でのニーナも、実年齢とはとても思えないほどの愛らしさで、受け答えの中にもチャーミングが人柄が現れていました。そして、バレエに対する想いを熱く語る姿には情熱があふれていました。
「ジョージア国立バレエ(グルジア国立バレエ)の芸術監督は今年で11シーズン目となります。ここで63本の新作バレエを振付し上演しています。レパートリーは幅広く、プティパの古典作品からアシュトンなど、そして現代作品まで上演しています。キリアンの作品を上演しているのは、旧ソ連のバレエ団では珍しいのですが、ジョージア国立バレエでは行っています。バランシンの作品もレパートリーにありますが、ジョージアはバランシンの出身国であり、上演できることは誇りです」
「3月にTBS主催で公演を行います。私が芸術監督をしていた11年間で上演した作品、重要な作品、観てほしい作品を上演します。『白鳥の湖』も私にとって重要な作品なので上演します。ABT、そしてボリショイでの主演デビューは『白鳥の湖』でしたし、いつ踊っても魅力的な作品なので外すことはできません」
「また、バランシンの『モーツァルティアーナ』『セレナーデ』は現代作品ですが、バランシン作品もすでに古典となっているし、以降の振付家の先生となっている、振付の見本となっており、踊りの内的なものを語っている作品です。バランシンはアメリカに渡って自分なりのバレエをつくりあげた人で、デュエットもあるし、音楽的に優れています。『モーツァルティアーナ』『セレナーデ』はチャイコフスキーの音楽を使っていますし、チャイコフスキーの夕べと言ってもいいプログラムです。まずプティパの作品を皆さんにご覧いただき、プティパに基づいてバランシンが自分の作品をつくりあげるところを見ていただきたいと思います」
「『モーツァルティアーナ』も思い入れのある作品です。スザンヌ・ファレルの下で、ニューヨークで踊り始めた作品なのです。これは、バランシンが亡くなる前に、彼女のために振付けた最後の作品なんですよ。音楽はチャイコフスキーですが、モーツァルトに対する畏敬の念が込められているのです。フィナーレを、チャイコフスキーらしいけど今までとは一線を画すようなもので、白と黒を基調としています。祈りをしているところから始まり、レイクイエムを思わせます。魂は天に行っても生きていることが感じられる明るいフィナーレなんです。
『モーツァルティアーナ』は私は踊りたい作品だったのですが、ボリショイのレパートリーには入っていなくてなかなか踊る機会がありませんでした。当時は、所属しているバレエ団でしか踊ることができないのが一般的でしたが、珍しく私はABTで踊ることができました。そして、誕生日に私の夫がこの作品を踊る権利をプレゼントしてくれたのです。当時は芸術監督がワシーリエフ、総裁がファジェーチェフという恵まれた状況で、ボリショイで踊ることができ、スザンヌ・ファレルの振付指導で『アゴン』『シンフォニー・イン・C』『モーツァルティアーナ』というバランシン作品の公演を初めてボリショイで上演できました。私はニューヨーク・シティ・バレエで1988年にバランシンを踊っていたものの、ボリショイではなかなか踊ることができず、実現まで20年くらいかかってしまったのです」
「ジョージア国立バレエでは、『コンチェルト・バロッコ』『モーツァルティアーナ』がレパートリーに入っていますが、踊るのが難しい作品です。音楽的に振付けてあるので、軽やかだけど踊るのは大変です」
「イリ・キリアンとは長年の友人なので、日本のお客さんには彼の作品も見せたいと思い、『小さな死』を上演します。また、アシュトンの『タイス』、プティパの『眠れる森の美女』、『ドン・キホーテ』も観ていただきたいと思います。これらも、ダンサーにとっては難しい作品で、きちっとクラシックダンサーとして訓練された技法がないと退屈な作品になってしまいます。『ドン・キホーテ』のキトリは、明るく冗談を言う女の子で、自分に一番近いキャラクターです」

最後のクラシック・ガラという題名ですが、「最後」とついている理由は?
「これで引退というわけではありません。『眠れる森の美女』、『ドン・キホーテ』『白鳥の湖』は私は今後は踊らないので、最後のクラシック・ガラとしたわけです。これらの作品は私が踊ってきたクラシック作品の代表的な作品なので観ていただきたいと思います。
各作品、今回踊る場面は?
「今回は3部構成にして、ディヴェルティスメント、『眠れる森の美女』は抜粋と3幕が主体、『ドン・キホーテ』は3幕、そして『白鳥の湖』は2幕と4幕を上演します」
古典を踊り続けている理由は何でしょうか。
「古典作品はとても難しいのです。毎日レッスンをして体を維持しなければなりません。ボリショイでは、ワリーシエフ、マキシーモワ、ベスメルトノワという手本がいましたし、私も若いダンサーの手本となりたいのです。現代のバレリーナは手脚が長くて身体能力も高いのですが、アクロバティックなだけではなく、内的なもので表現できるようにならないといけません。現代バレエと古典を踊るにはセンスも必要です。アレクセイ・ラトマンスキーは、プティパ時代の振付を再現して、脚を高く上げすぎないように工夫をしています」
バレエ団は国際化していますか?
「ジョージア国立バレエには、外国人のダンサーが10人おり、主に男性ダンサーです。そのうち日本人は、3人の男性ダンサーと2人の女性ダンサーがおり、来年も一人入団します。そのほか、アメリカ人、イギリス人、ベルギー人もいます。皆ジョージアのバレエ学校出身でずっと成長する過程を見てきています。バレエ団は若返っていて、コール・ド・バレエのレベルが高くなっています。ソリストはゲストで呼ぶことができますが、コール・ド・バレエは呼ぶことができませんし、コール・ド・バレエの質がバレエ団全体のレベルを決めるのです」
注目している振付家は誰でしょうか?
「いろいろと優れた作品を作る振付家がいますが、まずラトマンスキー、ユーリ・ポソホフ、ヨルマ・エロなどです。また、NDTで振付けているMedhi Walerski (マディ・ワレルスキ)も、1月にジョージア国立バレエのために新作を振付けています。アレクセイ・ファジェーチェフには、バレエ団のために『ジゼル』を振付けてもらいます。彼には、『白鳥の湖』の改訂版も振付けておらいました。また、チャブキアーニの作品『ゴールダ』の復刻も行います。この作品でのジョージアの踊りは、日本人のダンサーが素晴らしく踊ってくれました。また、ファジェーチェフはベラルーシのバレエ団のために『ラウレンシア』の復刻も行いました」
「また、若い無名の振付家を呼んで作品を作ってもらうことも考えています。かつて、ラトマンスキーを振付家として呼んだ時には彼はまだ現役のダンサーで振付家としては無名でした。日本でも良い若い振付家がいたらぜひ紹介してほしいと思います」
「今回上演される『白鳥の湖』の振付は、ファジェーチェフが新しく振付けたものですが、2幕と4幕なので、特に新しいところはありません。若い頃に習った振付そのままです。若いダンサーには、自分が教わったことを伝えて行きたい、昔のクラシックの伝統を学んでほしいと思います」
「YouTubeが発達してすごく便利になった反面、弊害もあります。それを参考にしてしまうことで批判することなく受け入れてしまったり、スタイルの混同が見られるのです。振付というのは、先生と生徒、振付家とダンサーの間で同じところで話し合いながら、目線をどこに向けるか、その時の手の形、脚の形はどうなのかといったことを一から、口で伝えてもらわなければ。ロシアでは手から手へ、脚から脚へと言いますが、伝えていくべきものです。以前、折り鶴の形をしたイアリングをプレゼントされたことがありましたが、折り鶴も、自分で折るのは難しくて、教えてもらわないと折ることができませんよね」
ジョージア国立バレエ団のダンサーの数は?
「65名おり、うち25名が男性ダンサーです。今回の来日メンバーは40名です。年齢はとても若く、男性ダンサーで一番年齢が高い人で30歳です。女性は22歳から25歳くらいのダンサーが多いです。一番年上なのは私です(笑)先ほど話したように、私は手取り足取り教わってきたので、同じように自分で動いて見本を見せて、そうやって育てて行きたいと思ってそうしています。私も教えますが、ダンサー同士でも教え合って助け合っています」
今回のゲストダンサーは?
「ABTのマルセロ・ゴメスが出演します。彼はパートナーとして優れていて、俳優としても舞台での存在感が素晴らしいです。またボリショイからは、アレクサンドル・ヴォルチコフが出演します。彼とは、ボリショイ劇場で、今年の2月にラトマンスキー振付の『レイア』という作品を踊りました。ダンサーとしてはもちろん、人ととしてもとても優れた青年です。また、皆さまはまだご存じではないかもしれませんが、日本人の高野陽年さんとよく組んで主役級の踊りを踊っています。日本人のパートナーとしては、K-Balletの宮尾俊太郎さん、遅沢祐介さんに続いて、高野さんが3人目となります。今まで、120人以上のパートナーと踊ってきましたが、舞台上のことで、私生活では踊っていませんよ(笑) 約120人のうち多くのダンサーがもう現役を退いていますが、フィーリンやウヴァーロフ、ファジェーチェフなどと踊りましたね」
とても充実した内容となること間違いないこの公演、ニーナのファンのみならず、バレエファンは見逃せませんね。
「ニーナ・アナニアシヴィリの軌跡~最後のクラシック・ガラ~」
出演:ニーナ・アナニアシヴィリ(ジョージア国立バレエ団芸術監督)
ジョージア国立バレエ団ほか、豪華ゲストダンサー出演予定!
管弦楽:シアター・オーケストラ トーキョー
日 時
2017年 3月16日(木)~20日(月・祝)
Aプログラム
3月16日(木)19時開演
3月18日(土)15時開演
「白鳥の湖」より 第2幕・4幕
「セレナーデ」
「眠れる森の美女」より / ほか
Bプログラム
3月19日(日)14時開演
3月20日(月・祝) 14時開演
「タイス」パ・ド・ドゥ
「モーツァルティアーナ」
「ドン・キホーテ」より / ほか
※開場は開演の30分前。
会 場
東京文化会館 大ホール
料金(全席指定)(税込)
S席 18,000円 A席 14,000円 B席 11,000円
C席 8,000円 D席 5,000円
お問合せ・予約: チケットスペース 03-3234-9999
月~土10:00~12:00/13:00~18:00 (日・祝は休み)
※チケット発売日及び公演開催の日曜・祝日は営業
2016年10月22日(土)発売
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