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2016/09/13

冨田勲 追悼特別公演  冨田勲×初音ミク『ドクター・コッペリウス』

冨田勲 追悼特別公演として、冨田勲×初音ミク『ドクター・コッペリウス』が11月11日、12日にオーチャードホールで上演されます。

http://www.dr-coppelius.com/


「ドクター・コッペリウス」は、2016年5月5日(木)に他界した、世界的作曲家・シンセサイザー・アーティストの冨田勲氏が、上演を夢見て他界直前まで創作を続けていた舞台作品です

他界前にストーリー原案と音楽の構想のほとんどを遺しており、冨田氏が長年追い求めてきた「宇宙への夢と希望」に満ち溢れた巨大なストーリーが、オーケストラとシンセサイザー、そしてバレエと3DCGを伴いながら展開されます。バーチャル・シンガーの初音ミクも登場致します。

宇宙へ飛び立つことを夢想する主人公コッペリウスと、それを叶えるべく異界からやってきた初音ミクが織りなすストーリーとなっており、小惑星イトカワ、そしてその先の未知なる星へ、宇宙を自在に行き来しながら展開される、時空を超えたスペースバレエシンフォニーです。

初音ミクと共演するコッペリウス役には風間無限さん、そして振付は辻本知彦さんが担当します。

さて、先日、初音ミクの3DCG作成のための収録作業を見学させていただきました。ダンサーが、モーションキャプチャーマーカーを体中につけて辻本知彦さんの振付を踊ったのを収録する様子です。キャプチャーされたダンサーの動きを、3DCG映像に変換することで、ダンサーの動きを初音ミクの動きに移し替えて行くのです。たくさんのカメラに囲まれたダンサーが振付を踊ると、瞬時にそれが初音ミクが踊る映像に変換されていくところを見ることができたのは、とてもワクワクしました。

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写真:白石理

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写真:白石理

ダンサーはほぼ全身にモーションキャプチャーマーカーを着けていますが、初音ミクの指先と髪の毛の表現はそれでは捉えきれないので、別途CGで製作するそうです。そのため、この場で観ることができた初音ミクの映像では、指先や髪の毛の動きはまだありませんでした。また、ミクの動きの中には、アン・ドゥダン、ターンインした振付などもあったりするので、クラシックもコンテンポラリーも踊ることができて、しかもミクの体型に近いダンサーが選ばれたとのことです。

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写真:白石理

また、この日に収録されたシーンは、初音ミクはスニーカーを履いて踊っているのですが、ポワント(トウシューズ)を履いて踊っているシーンもあるので、モーションキャプチャーマーカーを付けたポワントを履いて踊るところも収録されたとのことです。

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写真:白石理

振付の辻本知彦さん。日本人で初めてシルク・ドゥ・ソレイユにダンサーとして出演した経歴を持ちます。
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写真:白石理

大変興味深い題材のため、外国からも取材が来ていました。

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写真:Naomi Mori

冨田勲と糸川英夫の夢を現実に

さて、なぜ初音ミクはバレエを踊るのでしょうか?それには大変興味深い逸話が隠されていました。

冨田勲氏が尊敬してやまなかった日本ロケット工学の父、故糸川英夫氏。天才的な科学者でありながら、60歳にしてバレエをはじめ、同氏の楽曲に合わせて舞台でバレエを踊ったこともある糸川氏が、ある日、冨田氏にこうつぶやきました。「いつかフォログラフィーとバレエを踊りたい」。

糸川博士の名前が最近になってにわかに有名になったのは、2010年の小惑星探査機「はやぶさ」の惑星イトカワからの帰還からです。惑星イトカワは、糸川英夫氏から名付けられた惑星でした。糸川氏が開発した隼戦闘機は、冨田勲少年にとっては憧れの的だったのです。

その糸川英夫氏は、なんと62歳の時に貝谷バレエ団に入団し、バレエを始めて熱中しました。貝谷八百子団長の下、日夜練習に励んで上達したのです。

1977年に、冨田勲氏は、モーグ・シンセサイザーで演奏した「惑星」を貝谷バレエ団で使ってもらおうと録音テープを貝谷八百子氏に渡し、それを聴いた糸川氏は、「この曲に合わせてぜひ僕はバレエをしたい」と語りました。実際には「盲目の科学者」というみすぼらしい学者の姿をした役を彼は演じましたが、帝国劇場で、10分間のソロを振付けて踊ったのです。「いつかフォログラフィーとバレエを踊りたい」はその時の言葉でした。

冨田氏が集大成として作り上げる「ドクター・コッペリウス」は、この糸川氏の夢を舞台の上で実現する、音楽・バレエ・映像が渾然一体となった音楽・舞台作品です。

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写真:Naomi Mori

とてもスケールが大きく夢のある話ですよね。糸川さんと冨田さんという二人の魂が乗り移ったドクター・コッペリウス(風間無限さんが実際に当日舞台の上で踊る)と、3DCGの初音ミクが舞台の上で共演するのです。これは未だかつて例のない、画期的な公演となることでしょう。どんな舞台になるのか、今からとても楽しみです。


指揮はオペラ、バレエの分野で目覚ましい活躍を繰り広げる渡邊一正氏。演奏は、渡邊氏が2015年4月からレジデント・コンダクターを務めている、東京フィルハーモニー交響楽団が担当。

本公演では、「ドクター・コッペリウス」とともに、同じく初音ミクをソリストに起用したことで大きな話題となった、2012年初演の冨田勲氏の代表作「イーハトーヴ交響曲」も演奏されます。


冨田勲 追悼特別公演

冨田勲×初音ミク

『ドクター・コッペリウス』

2016.11.11FRI 開場 18:00 開演 19:00
2016.11.12SAT 開場 12:30 開演 13:30
2016.11.12SAT 開場 17:00 開演 18:00

曲目・演目

第1部:「イーハトーヴ交響曲」
第2部:「ドクター・コッペリウス」

スタッフ

制作・ストーリー原案:冨田勲
初音ミク3DCG技術:クリプトン・フューチャー・メディア

出演

指揮:渡辺一正
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
合唱:調整中

第2部「ドクター・コッペリウス」
エレクロニクス:ことぶき光
振付:辻本知彦
出演:初音ミク、風間無限

Bunkamuraオーチャードホール
http://www.bunkamura.co.jp/orchard/lineup/kashi/20161111.html

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コメント

いつもながらの素敵な取材とブログ、ありがとうございます!
富田さんの思いが沢山詰まったこの作品。気になっていましたが、やっぱり観てみたいと思いました。予定考えなきゃです(汗

たかまろさん、こんばんは。

この逸話、ホント涙ものですよね!実は私の師匠(貝谷バレエ団員)も糸川さんが踊るところを見たんだそうです!音楽に合わせてミクが踊るところの映像もとても素敵だったし、もちろん音楽も素晴らしいので私も観たいと思っています。

愛知県岡崎市 実家 冨田 勲 幼少期から青年期まで岡崎で過ごす。 子供たちのためのトミタサウンド かつて岡崎 乙川河川敷 シンセサイザーコンサート トミタサウンド 新たに 岡崎市でも上演してほしいです。 その時は、新たに 新しい試みとして moog Ethervox MIDI theremin テルミンに初音ミクをMIDIで繋いでリアルタイムにジェスチャー演奏実験 実演をコラボ可能ですか?

笹原圭一さん、こんにちは。

お返事が遅くなってしまって申し訳ありません!冨田勲さんって岡崎のご出身だったんですね!実は知りませんでした(ちなみに私は愛知県出身です) テルミンと初音ミクでリアルタイムにジェスチャー演奏というのは素晴らしいアイディアだと思います。機会があったら関係者に伝えたいですね。

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