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« ミュンヘン・バレエへ入団、移籍したダンサーたち | トップページ | DAZZLE 20周年記念公演「鱗人輪舞(リンド・ロンド)」記者会見 »

2016/09/08

ベルリン国立バレエ、次期芸術監督にサシャ・ヴァルツが予定

2014年に、ウラジーミル・マラーホフの後を継いでベルリン国立バレエの芸術監督に就任したナチョ・ドゥアト。しかしながら、2013年に就任することが発表された時から、ベルリンの批評家に手厳しく批判され続けました。

マラーホフの芸術監督時代は、失敗した作品もあったり、ポリーナ・セミオノワに逃げられたといったこともあったものの、大スターで多くの人に愛されたマラーホフは、ダンサーの間でも人望があり、彼の退任と共に去ったダンサーも多かったのです。また、レパートリーも、古典と現代作品のバランスのとれたものでした。しかし、ベルリンの文化庁がマラーホフを追い出し、当時ミハイロフスキー・バレエの芸術監督だったドゥアトを芸術監督に据えたのです。当時のベルリン文化大臣が、ベルリンの文化予算は古典バレエに偏り過ぎていたと批判していたことから、そのようなことになりました。

そして、当初、マラーホフの後任(もしくは副芸術監督)として、サシャ・ヴァルツの名前が挙がっていたのですが、結局彼女は打診されませんでした。ベルリンを拠点に活動しているヴァルツにとって、このことは大きな屈辱だと感じられたようです。

しかしながら、ドゥアトが芸術監督に就任してから、彼に対する批判は止りませんでした。まず、彼はそもそもベルリン国立バレエ団自体にあまり関心がなく、馴染もうとしていないのではないかと批評家たちに言われていました。また、ドゥアトが、過去の自分の作品のプロダクションをバレエ団に持ってきているということについて反感を持っている人も多かったようです。

昨シーズン、ベルリン国立バレエの観客動員率は77%でした。悪くはない数字です。「白鳥の湖」、「くるみ割り人形」、「ジゼル」、「ロミオとジュリエット」といった古典作品は100%の動員率でした。このシーズンでの3つの初演作品「ドゥアト/キリアン/ナハリン」、「herrumbre」そして「ジュエルズ」のうち、「ジュエルズ」は88%の動員率でしたが、他の二つはもっと低かったようです。評判の良かったブルラーカ復元によるプティパ/イワーノフ版「くるみ割り人形」のプロダクションをお蔵入りさせて、ドゥアト版「くるみ割り人形」に置き換えたことも不評でした。

ベルリン国立バレエでは、待遇を巡ってストライキが行われ、何回かの公演がキャンセルされました。その際、ドゥアトはダンサーたちを支援したのですが、ドイツの複雑な政治的状況ではそれがまたかえってまずかったようです。

そんなこともあり、ドゥアトの任期は現在の契約である2019年7月までで、更新はされないことが発表されました。

http://m.morgenpost.de/kultur/berlin-kultur/article208194837/Chefwechsel-beim-Staatsballett-Berlin.html

そして、その後任は、サシャ・ヴァルツと、スウェーデン王立バレエ芸術監督のJohannes Öhmanの共同監督となることが発表されました。これはベルリンの市長が7月7日に発表したものです。


http://www.rbb-online.de/kultur/beitrag/2016/09/staatsballett-sasha-waltz-nacho-duato-nachfolge.html

「ベルリン国立バレエはドイツおよびベルリン最大のバレエ団で、唯一のクラシックのカンパニーです」とベルリン市長のミュラーが声明を発表しました。「ヴァルツと Öhmanは、国際的なダンスシーンの中で著名な二人です。古典からコンテンポラリーダンスにおけるバレエの発展のスペクトラムです」

サシャ・ヴァルツの「ロミオとジュリエット」は、ベルリン国立バレエのレパートリーに入っています。また、ベルリン歌劇場では、彼女が演出した「タンホイザー」「ディドとエアネス」といったオペラが上演されています。また、1993年には、ベルリンで自らのダンスカンパニー「サシャ・ヴァルツとゲスツ」をヨッヘン・サンドと共に設立しています。


さて、ウラジーミル・マラーホフは、この事態について以下のようにFacebookでコメントしています。

「ベルリン国立バレエにおけるニュースについて、声明を発表したいと思います。

まず、アカデミックでクラシカルな劇場、しかもドイツでの中心的な劇場で、作家性の強い振付を存在させるのは難しいと思っています。ナチョ・ドゥアトはすでに、自分自身の振付作品に重点を置いたカンパニーを作ろうとして、観客の関心を失うという失敗を犯してしまいました。つまりは、動員率の低下と売り上げの減少です。

二つ目に、サシャ・ヴァルツの就任についてです。必要なステップではあるのですが、やはり、振付家のカンパニーとしてしまうことになります。それに、カンパニーが二人の芸術監督で運営できると私は思っていません。

そして三つ目に、アーティストとして私は、リラックスしてクリエイティブな雰囲気を持つことがとても重要だと思っています。この状況、そして特にバレエ団について私は深い懸念を持っています。ダンサーたちが心を強く持ち、辛抱強くあってほしいと願っています。

愛をこめて

ウラジーミル・マラーホフ」

********
今はまだ2016年なのに、ドゥアトをすぐに辞めさせないで2019年まで今の仕事を続けさせるというのが、まず不可解です。ドゥアト自身も相当苦しんでいると思われるのに続けさせるのが気の毒、そんな感じがします。
(ベルリンでは10日後に選挙があるそうで、選挙の前に前向きなことをしたいという市長の政治的な思惑もあったようです)

そして、ドゥアトというコンテンポラリーの振付家のカンパニーにわざわざ替えて失敗したのに、再びこの過ちの轍を踏んでサシャ・ヴァルツという別のコンテンポラリーダンスの振付家に芸術監督をさせるというのは、またもや観客動員やレパートリーの問題に直面させることになるでしょう。ベルリンのバレエの観客は、ドイツの他の都市に比べて保守的だと言われています。ベルリンはコンテンポラリーダンスは非常に盛んな土地柄ですが、だからといってバレエ団がコンテンポラリーを上演しても観客動員に結び付かないのです。

ベルリン国立バレエの看板スターであるヤーナ・サレンコは、今シーズンもロイヤル・バレエにたくさん客演する予定となっています。彼女は一度はロイヤル・バレエへの移籍を打診されたものの、子どもにベルリンでの教育を受けさせたい(そして夫君マリアン・ワルターもベルリン国立バレエのプリンシパル)という理由で固辞しています。しかしながら、ヴァルツの就任によりもっとコンテンポラリー寄りのレパートリーになった場合には、移籍する可能性も出てくるのではないかと思われます。

こちらはブルラーカ復元プティパ/イワーノフ版「くるみ割り人形」、サレンコ、ワルター主演

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バレエ(情報)」カテゴリの記事

コメント

ナオミさん
いつもいろいろ情報ありがとうございます。
ベルリンのSPDの政治家はあまりダンスやバレエのことがわかっていないのに、
決定権限を行使しているのでしょうか。
ベルリン国立バレエはクラシックを基本とするカンパニーですよね。
ナチョは少しはクラシックとの接点があるけど、サシャのスタイルは
全くクラシックと接点がないように思います。
それにまだナチョの契約が三年もあるのにこんな時期に発表して、
ナオミさんのおっしゃるように、ナチョに失礼だし、
ダンサーの志気にもかかわるのではないかと心配です。

のりこさん、こんにちは。

どうもベルリンの政治家は、バレエというのは古い芸術なので支援する必要性をあまり感じず、コンテンポラリーダンス推進をしたいと思っているようなのですよね。チケットの売り上げはもちろん古典の方がいいわけですが。おっしゃる通り、ベルリン国立バレエは、ドイツのカンパニーの中でも最もクラシックバレエが高い比重のカンパニーとなっていました。(ミュンヘンが、ゼレンスキーが芸術監督となったので今後は古典寄りになっていくでしょうが)

サシャ・ヴァルツのスタイルはおっしゃる通り、ドゥアトよりももっと現代ダンス寄りという感じです。一応、古典も今後も上演し続けるつもりと記者会見で言っていたようなのですが、どうなるんでしょうね。彼女は引き続き自分のカンパニーでの活動も続けるけど、3本の新作をベルリン国立バレエのために作り自分の旧作も上演させるようです。(後で記者会見の内容をお知らせしますね)

本当はマラーホフを復帰させるのが一番いいんでしょうけど、あんな形で彼を辞めさせてしまったということもあり。政治家は本当に芸術をわかっていない、って思ってしまいます。

ナオミさん

御丁寧に、コメント有難うございます。
サシャはマリインスキーバレエに春の祭典を振付たようですが、どうだったのでしょうか。
マラーホフのカンバックは、バレエジャーナルでも待望されているようですが、
無料翻訳なのでよくわからないです。

ミュンヘンのやり方もずいぶんと強引に感じますが、
クラシックバレエ自体が絶滅危惧種であることを考えると、
必要悪かなと思います。

また、いろいろ教えてください。いつも楽しみにしています。

のりこさん、こんにちは。

続報もあって記事をアップしようと思いつつバタバタしていてできていませんが、やはりベルリン国立バレエのダンサーたちは、ヴァルツの就任に反対しているようです。ドゥアトは時間をかけてマラーホフと引継ぎを行いましたが、ヴァルツは今回一度もカンパニーに顔を見せず、ダンサーたちは就任を新聞記事で知ったとのことで。反対デモを行う可能性も高いそうです。あと、やはり3年後なのに今発表されると士気にも関わるわけで。

ドイツ語の記事ですがリンクを張っておきますね。
https://t.co/kI4bnCI2FY

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