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2016年9月

2016/09/30

10月10日、熊川哲也Kバレエ カンパニー『シンデレラ』東急百貨店本店 特別イベント 

10月10日(月・祝)に、K-Balletの『シンデレラ』関連イベントが渋谷の東急本店で開催されます。

http://www.bunkamura.co.jp/topics/orchard/2016/09/k.html

熊川哲也Kバレエ カンパニー『シンデレラ』 
東急百貨店本店 特別イベント 
~熊川哲也スペシャルトーク&シンデレラ、夢の馬車で登場~

舞台美術としては異例となる膨大な時間をかけ製作されたこの馬車の実物が、なんと東急百貨店本店へやってきます。
イベントには、Kバレエ カンパニー、Bunkamuraオーチャードホール 芸術監督の熊川哲也の登場も決定。世界的ダンサーでありながら、数々の名作を世に送り続け、世界屈指の演出家としても名高い熊川。『シンデレラ』誕生時の瞬間を自ら「これを超える感動は味わった事が無い」とまで語る本作品への想いを、本イベントでは直接お聞きいただけるのです。さらには、公演でシンデレラ役を演じる浅川紫織も実際の衣裳をまとって登場いたします。
公演に先駆け、熊川版『シンデレラ』が誘う非日常の世界をご体感いただける超貴重なこの機会、ぜひお見逃しなく!


【イベント内容】

・熊川哲也スペシャルトーク  ~ 天才演出家が語る『シンデレラ』の魅力

― 世界的バレエ・ダンサーでありながら、その卓越した感性で演出家としても世界に名を轟かす熊川哲也。これまで手掛けた多くの名作のなかでも、自らの主演を想定せずに演出をした初の作品がこの『シンデレラ』。作品への想いと見どころに迫ります。

・シンデレラ、夢の馬車で登場! ~“本物の”シンデレラと馬車があなたの目の前に! 

― 舞台美術の規模を超えた圧倒的スケールを誇る馬車の実物が、なんと百貨店の店内に登場!Kバレエ カンパニーを代表するプリンシパル浅川紫織演じるシンデレラを乗せ、実際に店内を走る様子を間近でご覧いただけます!


【イベント概要】

□場所  東急百貨店本店 1階 特設スペース ※どなたでもご覧いただけます。
     東急百貨店本店へのアクセスなどは、ホームページをご覧ください。
     http://www.tokyu-dept.co.jp/honten/ (外部サイトにリンクします)

□日時  2016月10月10日(月・祝) 13:00~ (約20分)

□出演  熊川哲也(Kバレエ カンパニー、Bunkamuraオーチャードホール 芸術監督)
     浅川紫織(Kバレエ カンパニー プリンシパル)

     MC:石井大裕(TBSアナウンサー)
     ほか

【お問合せ】 Bunkamura 03-3477-3244 <10:00~19:00>

このような場に熊川さん本人が登場するのも大変貴重な機会ですし、本物のシンデレラの馬車や衣裳を間近に見て頂けるのもなかなかないことです。どなたでも無料で参加いただけるイベント、ぜひこの機会に参加されてはいかがでしょうか。

2016/09/29

熊川哲也Kバレエ カンパニー『シンデレラ』『ラ・バヤデール』特別番組 10/2 放映

熊川哲也Kバレエ カンパニー『シンデレラ』『ラ・バヤデール』特別番組の放送が決定しました。

『この秋あなたはバレエに恋をする ~熊川哲也の魔法にかかった妖精たち』

 10月2日(日) 13:00~ BS-TBS

■ 世界に誇るバレエ界のカリスマ熊川哲也の2大傑作「シンデレラ」&「ラ・バヤデール」の製作現場に密着!
■ バレエ王子宮尾俊太郎がテレビドラマに登場!
■ 世界のプリマ中村祥子の華麗なる活躍!

http://www.bunkamura.co.jp/topics/orchard/2016/09/k_1.html

『シンデレラ』
http://www.k-ballet.co.jp/performances/2016cinderella

日程
2016年10月26日(水)~10月30日(日)Bunkamuraオーチャードホール
11月9日(水)18:30 愛知県芸術劇場大ホール

問合せ先
東京:チケットスペース 03-3234-9999
名古屋:CBCテレビ事業部 052-241-8118

『ラ・バヤデール』
http://www.k-ballet.co.jp/performances/2016-labayadere

会場:東京文化会館
日程
2016年11月18日(金)~11月20日(日)
チケット料金
S席¥14,000 A席¥10,000 B席¥8,000 C席6,000 
問合せ先
チケットスペース 03-3234-9999
http://www.ints.co.jp


K-Ballet 熊川哲也さんの『シンデレラ』『ラ・バヤデール』ともども、大変演出が面白くて目から鱗が出るような解釈があり、見ごたえがある作品です。舞台装置の美しさもさることながら、エンターテインメント性、コール・ド・バレエに至るまでのカンパニーのレベルの高さも見もの。この機会にぜひ観てみてくださいね。特に『ラ・バヤデール』は驚愕の展開で、ここまで大胆な解釈はなかったのではないかという面白さです。

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2016/09/28

東京国際映画祭のコンペティション部門『天才バレエダンサーの皮肉な運命』

2016年・第29回東京国際映画祭が2016年10月25日(火)–11月3日(木・祝)に開催されます。

この東京国際映画祭のコンペティション部門に、ロシア映画『天才バレエダンサーの皮肉な運命』がエントリーしており、上映されます。(上映日時は10月上旬に発表)

http://2016.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=3

天才バレエダンサーの皮肉な運命
After You're Gone [ Posle tebya ]
監督:アンナ・マティソン

バレエ教室を営む傲慢で最悪な性格のアレクセイは、かつては将来を嘱望された天才ダンサーだった。突然、実の子が現れたうえに腰痛が悪化し、彼はある決意を固めるが…。美しいサンクトペテルブルクを舞台にした、起伏に富んだヒューマン・コメディ。マジカルなカメラワークにも注目。

ロシア語での情報を探してみました。

http://sergeybezrukov.ru/art/cinema/posle-tebya/

主人公の元バレエダンサー役を演じるセルゲイ・ベズルコフは、大学時代にダンスは学んでいたとのこと。今回、振付家のラドゥ・パクリタルにバレエを数か月指導されたとのことで、パクリタルがバレエシーンの振付も手がけています。このパクリタルの他、マリインスキー劇場芸術監督のワレリー・ゲルギエフも本人役で2場面ほどで登場しています。ボリショイ劇場、マリインスキー劇場で撮影されたシーンがあるほか、マリインスキー・バレエの踊るバランシン振付「シンフォニー・イン・スリー・ムーブメンツ」の映像も少しあるようです。

また、この作品には、フィギュアスケーターのアレクセイ・ヤグディンも出演していたものの、編集段階で彼の登場シーンはカットされてしまったようです。IMDBを見ると、著名なピアニスト、デニス・マツーエフ(夫人はボリショイ・バレエのプリンシパル、エカテリーナ・シプリナ)も出演しているとのことです。

2016/09/27

『英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン 2016/17』

英国ロイヤル・オペラ・ハウスの人気公演をスクリーンで楽しむことができる『英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン 2016/17』が11月25日(金)より全国の映画館で順次公開されることが決定しました。

http://tohotowa.co.jp/roh/

日本では、バレエ、オペラ各6作品、合計12演目と現地で公開される演目全部を上映します。

発表されたラインナップは、
ロイヤル・バレエが『アナスタシア』『くるみ割り人形』『ウルフ・ワークス』『眠れる森の美女』『ジュエルズ』『真夏の夜の夢』の6演目、
ロイヤル・オペラが 『ノルマ』『コジ・ファン・トゥッテ』『ホフマン物語』『イル・トロヴァトーレ』『蝶々夫人』『オテロ』の6演目。全12演目が上映されます。
それぞれの演目は1日1回 1週間限定の上映です。


公開日が決まっている作品は以下の通り

【ロイヤル・オペラ】 『ノルマ』 11月25日(金)
【ロイヤル・オペラ】 『コジ・ファン・トゥッテ』 12月9日(金)
【ロイヤル・オペラ】 『ホフマン物語』 2017年1月27日(金)
【ロイヤル・オペラ】 『イル・トロヴァトーレ』 2017年3月3日(金)

【ロイヤル・バレエ】 『アナスタシア』 2017年1月13日(金) 現地公演は 2016年11月2日
【ロイヤル・バレエ】 『くるみ割り人形』 2017年2月10日(金)  現地公演は 2016年12月8日

『ウルフ・ワークス』(2017年2月8日
『眠れる森の美女』(2017年2月28日)
『ジュエルズ』(2017年4月11日)
『真夏の夜の夢』(同時上演『マルグリットとアルマン』『シンフォニック・ヴァリエーションズ』(2017年6月7日)
は2017年の公開で、日本での公開日は未定です。

公開劇場:
TOHOシネマズ日本橋
TOHOシネマズ六本木ヒルズ
TOHOシネマズららぽーと横浜
TOHOシネマズ流山おおたかの森
TOHOシネマズ名古屋ベイシティ
大阪ステーションシティシネマ
中洲大洋映画劇場
札幌シネマシフロンティア
※中洲大洋映画劇場と札幌シネマシフロンティアのみ別日程で公開

ロイヤル・オペラハウスの公式サイトでの映画館上映の案内
http://www.roh.org.uk/cinemas

バレエ第一弾「アナスタシア」の予告編

収録日の出演は、アナスタシア役にナタリア・オシポワ、マチルダ・クシェシンスカヤ役にマリアネラ・ヌニェス、そのパートナーにフェデリコ・ボネッリ、夫役にエドワード・ワトソン、ラスプーチン役にティアゴ・ソアレスです。

『くるみ割り人形』収録日のキャストは、金平糖の精にローレン・カスバートソン、王子にフェデリコ・ボネッリ、クララにフランチェスカ・ヘイワード、くるみ割り人形/ハンス・ピーター役にアレクサンダー・キャンベル、ドロッセルマイヤーにギャリー・エイヴィスです。

『ウルフ・ワークス』収録日のキャストは、アレッサンドラ・フェリ、サラ・ラム、ナタリア・オシポワ、高田茜、ベアトリス・スティクス=ブルネル、フランチェスカ・ヘイワード、フェデリコ・ボネッリ、スティーヴン・マックレー、エドワード・ワトソン、ギャリー・エイヴィス、トリスタン・ダイアー、ポール・ケイ、エリック・アンダーウッド、マシュー・ボールです。

『眠れる森の美女』収録日のキャストは、マリアネラ・ヌニェスとワディム・ムンタギロフです。

ENB(イングリッシュ・ナショナル・バレエ)のアクラム・カーン振付『ジゼル』

ENB(イングリッシュ・ナショナル・バレエ)は、アクラム・カーンが振り付けた新作『ジゼル』を初演しました。9月23日のマンチェスター公演がプレビューで、正式な初演は9月27日となります。

http://giselle.ballet.org.uk/

アクラム・カーンが、全幕のバレエ作品を振付けるのは初めてのことです。その前に、彼はENBのトリプルビル「Lest We Forget」の中の1作品「Dust」を振付けて、数々の賞に輝きました。音楽は、アドルフ・アダンの原曲をVincenzo Lamagnaが編曲。映画『グリーン・デステニー』を手掛けた Tim Yipが衣装と舞台装置をデザインしています。

ストーリーが大変ユニークなものとなっています。(ドラマトゥルグにはRuth Little)


<あらすじ>
1幕
ジゼルは、アパレルの工場で働く移民労働者のコミュニティの一員。工場が閉鎖されて職を失った彼らは、高い壁によって、生活の基盤や安全を求める希望からも切り離されている。これら移民労働者は流民として、工場の地主たちにエキゾチックな娯楽を提供する存在となっている。1幕では、裕福なアルブレヒトは恋人ジゼルを訪ねるため、流民の一員を装う。だが、彼の存在は、ジゼルを愛するヒラリオンによって気づかれる。ヒラリオンは、地主たちと取引をして流民たち、そして自身のために変幻自在のフィクサーとして暗躍している。

アルブレヒトのジゼルへの求愛は、予期せぬ地主たちの到着によって遮られる。地主たちの中に婚約者バチルドを見つけたアルブレヒトは、隠れようとする。ジゼルは、バチルドの美しいドレスは自分たちが働いている工場の製品であることを認識する。流民たちは、地主たちのために踊るが、アルブレヒトとヒラリオンが争い始めて中断する。バチルドの父は、アルブレヒトにバチルドの元、そして自分たちの世界に戻るようにと言う。それに同意してバチルドのところに戻ろうとするアルブレヒトを見て、ジゼルは悲しみのあまり狂ってしまう。地主たちの命令で流民たちはジゼルの周りで踊る。人々が散り散りになった時に、ジゼルは倒れてこの世を去っていた。地主たちはジゼルの死への責任を否定し、壁の向こうへと去っていく。

2幕
壊れて廃墟となった幽霊屋敷のような工場が現れる。ここでジゼルや同僚の女性たちが働き、その多くが死んでいった場所だ。ここでアルブレヒトはジゼルの死を悲しみ、地主たちに面と向かって非難する。

ここではウィリたちは、工場労働者の幽霊であり、生前のひどい扱いに対して復讐を誓っている。ウィリの女王であるミルタが現れ、アルブレヒトを追い払う。ジゼルの遺体から彼女の魂を死の世界へと呼び寄せ、情け容赦ないウィリたちの一員として迎える。

ヒラリオンはジゼルの墓前に彼女を弔うためにやってくる。ウィリたちは彼を取り囲みジゼルの死に対して報いを要求し、彼は残酷に殺戮される。

アルブレヒトは戻ってきてジゼルの存在に気が付く。恋人たちは生と死のはざまでめぐり合う。暴力の輪の中に分け入り、ミルタの命令に背いたジゼルはアルブレヒトを赦し、生の世界へと解放する。ウィリたちはジゼルと離れ、上流階級から追放されて流民となったアルブレヒトは、壁の横で一人取り残される。


予告編のあまりのインパクト。これはとてつもない作品のようです。

公式サイトのビデオダイアリーのインタビューでタマラ・ロホが語っているのは、この「ジゼル」は、ジゼルの愛と赦しを描いているだけでなく、社会的な状況の下で人はどう生きるのか、何を選択するのかということがテーマになっているということです。そしてアクラム・カーンは、現代における移民問題も同時にテーマとして、持てる者と持たざる者との摩擦も描いていると語っています。2幕は廃工場が舞台となっているのも、より経済的な効率を求めより賃金の安いところに工場が移転していった結果、元の工場が打ち捨てられて記憶を引き継ぎながら幽霊となり、同時にそこで働いていた人々も棄民となっていく現代社会を描いているとのこと。
劣悪な労働条件で多くの労働者が亡くなっている、バングラデシュ(アクラム・カーンはバングラデシュをルーツとしている)などのアパレル工場のことも念頭に置かれていることでしょう。

すでにプレビュー公演の感想がバレエフォーラムを賑わせていますが、まぎれもない傑作であるとのことです。近いうちに批評も出ることでしょう。

キャストは、初演キャストのジゼル役はタマラ・ロホ。ほかにアリーナ・コジョカル、フェルナンダ・オリヴェイラというリード・プリンシパルがジゼルを演じているのですが、注目は、ファーストアーティストで若手ダンサーのマディソン・キースラーも抜擢されていること。また、ヒラリオン役で、9月29日と10月1日の公演に、オスカー・シャコンがゲスト出演します。なお、オスカー・シャコンは8月末でベジャール・バレエ・ローザンヌを退団しているとのことです。


これは何をおいても観たい作品の一つ。マンチェスター公演を皮切りに、ブリストル、サザンプトン、そしてロンドンのサドラー・ウェルズ劇場と国内ツアーが行われますが、現在すべてのチケットが売り切れているとのことです。

イングリッシュ・ナショナル・バレエ(ENB)は来年来日公演が予定されていますが、演目は「海賊」と「コッペリア」。せっかくなら、この「ジゼル」が観たいですよね。

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<追記>
Guardian紙でのレビューは4つ星。いくつか修正すべき点はあるものの、特に視覚的には素晴らしく、力強い傑作であると絶賛されています。
Giselle review – Akram Khan's bewitching ballet is magnificently danced
https://www.theguardian.com/stage/2016/sep/28/giselle-review-akram-khan-english-national-ballet

Dance Europe誌の写真アルバム
http://www.danceeurope.net/gallery/giselle-ch-akram-khan-enb

ENBオフィシャルサイトでの写真アルバム
http://giselle.ballet.org.uk/photography/production-images

2016/09/25

9/17 あいちトリエンナーレ プロデュースオペラ 勅使川原三郎「魔笛」

あいちトリエンナーレ2016プロデュースオペラ
W.A.モーツァルト作曲『魔笛』

(全2幕・ドイツ語上演・日本語字幕付き・日本語ナレーション)
公演日時: 2016年9月17日(土)、19日(月・祝)各日15:00開演
会  場: 愛知県芸術劇場 大ホール

【指揮】 ガエタノ・デスピノーサ
【演出・美術・照明・衣裳】 勅使川原 三郎
【合唱】 愛知県芸術劇場合唱団
【管弦楽】 名古屋フィルハーモニー交響楽団
【キャスト】
賢者ザラストロ:妻屋 秀和
夜の女王:髙橋 維
王子タミーノ:鈴木 准
王女パミーナ:森谷 真理
鳥刺しパパゲーノ:宮本 益光
弁者&神官Ⅰ:小森 輝彦
恋人パパゲーナ:醍醐 園佳
侍女Ⅰ:北原 瑠美、侍女Ⅱ:磯地 美樹、侍女Ⅲ:丸山 奈津美
従者モノスタトゥス:青栁 素晴
神官Ⅱ:高田 正人
武士Ⅰ:渡邉 公威、武士Ⅱ:小田桐 貴樹
童子Ⅰ:井口 侑奏、童子Ⅱ:森 季子、童子Ⅲ:安藤 千尋
【ダンサー】
佐東 利穂子
渡辺理恵 川島麻実子 奈良春夏 沖香菜子 吉川留衣 矢島まい 三雲友里加 政本絵美
秋元康臣 宮川新大 氷室友 岡崎隼也 松野乃知 永田雄大 入戸野伊織 高橋慈生

http://aichitriennale.jp/artist/index.html#op

あいちトリエンナーレ2016のプロデュースオペラは、勅使川原三郎さん演出による『魔笛』。東京二期会を中心とした歌手陣、佐東利穂子さん、そして東京バレエ団のダンサーたちが参加しての舞台となった。

ゲネプロの舞台写真はこちらで観ることができる。
http://natalie.mu/stage/news/201978

http://ebravo.jp/archives/29017

愛知県芸術劇場の大空間に勅使川原さんがデザインした舞台装置はシンプルだ。3つの大きさが異なる金属製の輪が3組宙に浮かび動いて重なり合ったりして、時にはザラストロの神殿となったり壁となったりと様々な図形を描く。2幕では、もう一つ大きな輪も登場する。『魔笛』ならではの三位一体の世界観を巧みに象徴させている。夜の女王と三人の侍女は羽根と毛皮をあしらった黒のゴージャスなドレス、ダンサーたちは白いレオタードの上にシースルーのレースのぴったりとした衣装、パミーナ、パパゲーノ、パパゲーナは白(パミーナは青いタイツ)、ザラストロも白と基本的にモノトーンなのだが、タミーノは鮮やかなオレンジで戦隊モノのヒーローのような姿。

ここまではスタイリッシュなのだが、それ以外のキャラクターの姿はなかなか強烈だ。ぬりかべから大きな手が突き出たモノスタトゥスの滑稽な姿はあまりにもインパクトが大きいし、マシュマロマンというかテレタビーズのような着ぐるみ姿の愛らしい童子たち、エジプトの壺のような神官。タミーノを神殿まで導きながら、よちよち歩きをする童子たちの姿は実にキュートでフィギュアが欲しくなるほどだし、つま先で横歩きする神官たちの大真面目な姿も可笑しい。人間とそれ以外のキャラクターとの差別化がくっきりできていた。『魔笛』って歌詞はよく見てみるとかなりユーモラスなわけで、こういう面白おかしさを衣装で表現するのは、幅広い年齢層の観客にアピールするうえでも効果的だった。(前日には、中学生向けの招待公演も行われたとのこと)

今回勅使川原さんが採った演出手法は、本来歌手が言う台詞をカットして、日本語のナレーションを佐東さんに語らせるというもの。その間歌手はマイムをしたり、振付けられた動きをするものの、基本的には歌唱に集中し、ダンサーたちがキャラクターの心情を表現したり世界観をつくりあげる。ダンサー一人一人が登場人物と対になっているわけではなく、時にはタミーノを襲う大蛇に化けたりする。佐東さんのナレーションは滑舌もきれいで声もよく通りわかりやすいし、物語も理解しやすい。だが、日本語ナレーションでストーリーを説明するという演出については、作品の流れを少し阻害するところがあって、賛否両論はあるようだが、ゴテゴテとなりがちなオペラにあって、そぎ落とした簡素さで作品の本質を伝えようとしている。

東京バレエ団のダンサーたちは、バレエ団内でオーディションを行って16人の精鋭を選抜し、春からワークショップを行ったとのこと。普段踊っているようなクラシックバレエの動きではなく、勅使川原さん独特の重心が低い中で空間を上半身を大きく切り裂くように動かす振付で、慣れるのに苦労はあったと思うが、ダンサーたちは見事にモノにしていて、見ごたえがあった。さすがに佐東さんは群舞になってもその鮮やかな動きとスピード感で際立っているが、彼女とペアになって踊った入戸野伊織さん、岡崎隼也さんには存在感があったし、秋元康臣さんの動きの美しさも格別。ただ、1幕ではダンスのシーンが多いものの、2幕では冒頭と終盤くらいだったし、女性ダンサーの活躍のシーンが少なく、もう少しダンスを観たかった気もする。合唱団の背後にチラチラ見えるダンサーたちの姿は、ちらっとしか見えないのにとても効果的ではあったが。

歌手陣は大変充実していた。特にパミーナの森谷真理さんはパワフルな歌声の持ち主で、パミーナに強い意志を持たせていたし、パパゲーノの宮本益光は愛嬌ある演技がこのキャラクターにもぴったりで、すばしっこくダンサー顔負けに良く動いていた。パパゲーノと、とても魅力的なパパゲーナ役の醍醐園佳さんの「パパパパ…パパゲーノ」の二重唱も聴きごたえがあった。鈴木准さんのタミーノもはまり役。妻屋秀和さんの重厚な歌声はザラストロにふさわしい。ガエタノ・デスピノーサの指揮もとても良かったと思う。

レベルの高い歌手陣に演奏、そして勅使川原さんの演出にダンスと、大変充実して見ごたえ、聴きごたえのあった楽しい公演。総合芸術としてのオペラの価値とは何かということを考えさせられた。東京バレエ団と勅使川原さんのコラボレーションも、今後継続するといいと思う。


この勅使川原版『魔笛』は来年3月に神奈川県民ホールと大分のiichiko総合文化センターで、指揮者やオーケストラ、一部の歌手を入れ替えて再演される。オペラファンも、ダンスファンも観て損のない舞台だ。


神奈川県民ホール・iichiko総合文化センター・東京二期会・神奈川フィルハーモニー管弦楽団 共同制作公演
神奈川県民ホール・オペラ・シリーズ2017
W.A.モーツァルト作曲 魔笛 全2幕

公演日時: 2017年03月18日(土)~2017年03月19日(日)    開演:14:00 (13:15開場)

【指揮】川瀬賢太郎 【演出・装置・照明・衣裳】勅使川原三郎
【出演】18日/19日
ザラストロ:大塚博章/清水那由太 夜の女王:安井陽子/高橋維
タミーノ:鈴木准/金山京介 パミーナ:嘉目真木子/幸田浩子

両日出演/パパゲーノ:宮本益光 パパゲーナ:醍醐園佳
侍女Ⅰ:北原瑠美 侍女Ⅱ:磯地美樹 侍女Ⅲ:石井藍
弁者&神官:小森輝彦 モノスタトス:青栁素晴 神官Ⅱ:升島唯博
武士Ⅰ:渡邉公威 武士Ⅱ:加藤宏隆

ダンス:佐東利穂子 東京バレエ団 合唱:二期会合唱団
管弦楽:神奈川フィルハーモニー管弦楽団

チケット発売 10/1(土)  かながわメンバーズKAme先行発売(インターネット受付のみ)9/17(土)
チケットかながわ 0570-015-415(10:00~18:00)http://www.kanagawa-arts.or.jp/tc/
【チケット購入者特典】公開リハーサルとステージ見学:公演直前のいずれかの日程で開催予定。詳細は12月下旬頃ホームページにて発表予定。
【プレレクチャー】青島広志のたのしい名作オペラ講座 オペラ「魔笛」の魅力 2017年2月4日(土)14:00 小ホール

http://www.kanagawa-kenminhall.com/detail?id=34583


iichiko総合文化センター・神奈川県民ホール 共同制作公演
勅使川原三郎 演出 モーツァルト 作曲
オペラ『魔笛』

3月11日(土)

出演
川瀬賢太郎(指揮) 
神奈川フィルハーモニー管弦楽団
(管弦楽)
二期会合唱団(合唱)
http://www.emo.or.jp/img_file/information/145681304929412-2.pdf

2016/09/22

ウラジーミル・シクリャーロフ、NBAバレエ団「ロミオとジュリエット」にゲスト出演予定

ミュンヘン・バレエ(バイエルン州立バレエ)に1年契約で移籍したウラジーミル・シクリャーロフ。

マリインスキー・バレエにも籍は残っており、9月30日にはマリインスキー劇場での「シェヘラザード」、10月1日には「薔薇の精」に出演する予定です。

Друзья, в Петербурге, открою Новый сезон с труппой Мариинского театра шедеврами хореографии Михаила Фокина. 30 сентября балет " Шехеразада " с @tereshkinavv и 1 октября выйду в миниатюре " Призрак Розы " с @sharpkc / Friends, in St. Petersburg, will open the New season with the @mariinsky theatre in ballets of Mikhail Fokine. September 30th, " Schéhérazade " and October 1st will be released in miniature "Le Spectre de la rose" . #vladimirshklyarov #mariinsky #newseason #ballet #seeyousoon #toitoitoi #balletdancer #питер #мариинка #балетыФокина #работаемребят 💪🏻 #доскоройвстречи #балет #билетовнет #шехеразада #призракрозы #lespectredelarose #scheherazade

Vladimir Shklyarovさん(@vladimir_shklyarov)が投稿した写真 -


そのシクリャーロフですが、来年2月のNBAバレエ団「ロミオとジュリエット」にゲスト出演します。


2016-09-21 2017年2月25.26日『ロミオとジュリエット』公演にマリインスキー・バレエのウラジーミル・シクリャローフの出演が決定しました!!
http://www.nbaballet.org/index.html

ロミオとジュリエット
http://www.nbaballet.org/performance/index.html

2017年2月25日(土)開場17:15・18:00開演
2017年2月26日(日)開場13:15・14:00開演
会   場: 東京文化会館大ホール
チケット料金:
SS席 12,000円/S席 10,000円/A席 8,000円/B席 6,000円
学生券 3,000円

NBAバレエ団の「ロミオとジュリエット」は、マーティン・フリードマン振付で、コロラド・バレエのために2003年に振付けられたもの。日本初演となります。


なお、ミュンヘン・バレエのシーズンオープニングを飾る「ジゼル」のキャストが一部発表されています。

https://www.staatsoper.de/staatsballett/stueckinfo/giselle-alt.html

Natalia Osipova (09-23-2016) Sergei Polunin (09-23-2016)
Maria Shirinkina (09-25-2016) - afternoon Vladimir Shklyarov (09-25-2016 - afternoon)
Ksenia Ryzhkova (09-25-2016) - evening Osiel Gouneo (09-25-2016) - evening
Svetlana Zakharova (09-29-2016) Vladimir Shklyarov (09-29-2016)

さすがに話題のキャストであるオシポワとポルーニンのシーズン初日はソールドアウト、ザハロワとシクリャーロフ主演の9月29日の公演もほとんどチケットが残っていません。

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2016/09/18

リオ・パラリンピックの閉会式は9/19(月・祝)午前8:15より(大前光市さん出演)/追記

熱戦が繰り広げられているリオ・パラリンピック。そのリオ・パラリンピックも日本時間9月19日(月・祝)に幕を閉じます。

リオ・パラリンピックの閉会式では、次のパラリンピックを開催する東京への引継ぎセレモニーも行われます。

「POSITIVE SWITCH」というコンセプトで、障害をきっかけに独自の世界観を確立したモデルやダンサーらのパフォーマンスで、東京の魅力を世界に発信するとのことです。 企画演出は、音楽監督の椎名林檎さんら五輪閉会式と同じチームが手がけるそうです。

主な出演者は中学生の時に右足を切断し、今は義足のモデルとして活躍するGIMICO(ギミコ)さん、20代前半で左足を失ったダンサーの大前光市さん、暗闇を体感するワークショップで活動する視覚障害者の檜山晃さんの3人。スタジアムの特設ステージで、東京の近未来を示した映像や音楽とともに8分間のパフォーマンスを披露するとのことです。

http://www.asahi.com/articles/ASJ9963XRJ99UTQP037.html

というわけで、何回かこのブログでもご紹介してきた、交通事故で左足を失ったダンサーである大前光市さんも出演してパフォーマンスを披露します。先日も、ある発表会で大前光市さんが演じるカラボスを観ましたが、独特の演技力で存在感があり、実に邪悪で魅力的なカラボスでした。リオではどんなパフォーマンスを見せてくれるのでしょうか?

パラリンピックの閉会式は、日本時間で9月19日(月・祝)午前8:15~よりNHK総合テレビです。お見逃しなく。
http://sports.nhk.or.jp/paralympic/tv-guide/day=2016-09-19/index.html

大前光市さんの代表作の一つ「目覚めよと叫ぶ声がきこえる」

リオデジャネイロ2016パラリンピック閉会式で行われるフラッグハンドオーバーセレモニーについて

https://tokyo2020.jp/jp/special/rio-to-tokyo/paralympic-flaghandover/

義足ダンサー 閉会式で舞う
http://www.yomiuri.co.jp/chubu/news/20160918-OYTNT50023.html

義足で「希望」のダンス 下呂出身・大前さん、閉会式へ
http://www.chunichi.co.jp/article/feature/rio2016/paralympic/news/CK2016091702000236.html

追記:このパフォーマンスはNHKのリオ・パラリンピックサイトでノーカット版を視聴できます。
http://sports.nhk.or.jp/paralympic/video/element/video=32982.html

2016/09/17

「ニーナ・アナニアシヴィリ 最後のクラシック・ガラ」記者懇談会

2017年3月に「ニーナ・アナニアシヴィリの軌跡~最後のクラシック・ガラ~」公演が開催されます。

http://www.ints.co.jp/nina-final/index.htm

そのニーナ・アナニアシヴィリを囲んでの記者懇談会が行われましたので、参加してきました。

「オールスター・バレエ・ガラ」での相変わらずの柔らかい腕の表現力や美しいつま先、そして年を重ねても変わらない可憐さ。この記者懇談会でのニーナも、実年齢とはとても思えないほどの愛らしさで、受け答えの中にもチャーミングが人柄が現れていました。そして、バレエに対する想いを熱く語る姿には情熱があふれていました。

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今回の公演のプログラムについて

「ジョージア国立バレエ(グルジア国立バレエ)の芸術監督は今年で11シーズン目となります。ここで63本の新作バレエを振付し上演しています。レパートリーは幅広く、プティパの古典作品からアシュトンなど、そして現代作品まで上演しています。キリアンの作品を上演しているのは、旧ソ連のバレエ団では珍しいのですが、ジョージア国立バレエでは行っています。バランシンの作品もレパートリーにありますが、ジョージアはバランシンの出身国であり、上演できることは誇りです」

「3月にTBS主催で公演を行います。私が芸術監督をしていた11年間で上演した作品、重要な作品、観てほしい作品を上演します。『白鳥の湖』も私にとって重要な作品なので上演します。ABT、そしてボリショイでの主演デビューは『白鳥の湖』でしたし、いつ踊っても魅力的な作品なので外すことはできません」

「また、バランシンの『モーツァルティアーナ』『セレナーデ』は現代作品ですが、バランシン作品もすでに古典となっているし、以降の振付家の先生となっている、振付の見本となっており、踊りの内的なものを語っている作品です。バランシンはアメリカに渡って自分なりのバレエをつくりあげた人で、デュエットもあるし、音楽的に優れています。『モーツァルティアーナ』『セレナーデ』はチャイコフスキーの音楽を使っていますし、チャイコフスキーの夕べと言ってもいいプログラムです。まずプティパの作品を皆さんにご覧いただき、プティパに基づいてバランシンが自分の作品をつくりあげるところを見ていただきたいと思います」

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「『モーツァルティアーナ』も思い入れのある作品です。スザンヌ・ファレルの下で、ニューヨークで踊り始めた作品なのです。これは、バランシンが亡くなる前に、彼女のために振付けた最後の作品なんですよ。音楽はチャイコフスキーですが、モーツァルトに対する畏敬の念が込められているのです。フィナーレを、チャイコフスキーらしいけど今までとは一線を画すようなもので、白と黒を基調としています。祈りをしているところから始まり、レイクイエムを思わせます。魂は天に行っても生きていることが感じられる明るいフィナーレなんです。

『モーツァルティアーナ』は私は踊りたい作品だったのですが、ボリショイのレパートリーには入っていなくてなかなか踊る機会がありませんでした。当時は、所属しているバレエ団でしか踊ることができないのが一般的でしたが、珍しく私はABTで踊ることができました。そして、誕生日に私の夫がこの作品を踊る権利をプレゼントしてくれたのです。当時は芸術監督がワシーリエフ、総裁がファジェーチェフという恵まれた状況で、ボリショイで踊ることができ、スザンヌ・ファレルの振付指導で『アゴン』『シンフォニー・イン・C』『モーツァルティアーナ』というバランシン作品の公演を初めてボリショイで上演できました。私はニューヨーク・シティ・バレエで1988年にバランシンを踊っていたものの、ボリショイではなかなか踊ることができず、実現まで20年くらいかかってしまったのです」

「ジョージア国立バレエでは、『コンチェルト・バロッコ』『モーツァルティアーナ』がレパートリーに入っていますが、踊るのが難しい作品です。音楽的に振付けてあるので、軽やかだけど踊るのは大変です」

「イリ・キリアンとは長年の友人なので、日本のお客さんには彼の作品も見せたいと思い、『小さな死』を上演します。また、アシュトンの『タイス』、プティパの『眠れる森の美女』、『ドン・キホーテ』も観ていただきたいと思います。これらも、ダンサーにとっては難しい作品で、きちっとクラシックダンサーとして訓練された技法がないと退屈な作品になってしまいます。『ドン・キホーテ』のキトリは、明るく冗談を言う女の子で、自分に一番近いキャラクターです」

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最後のクラシック・ガラという題名ですが、「最後」とついている理由は?

「これで引退というわけではありません。『眠れる森の美女』、『ドン・キホーテ』『白鳥の湖』は私は今後は踊らないので、最後のクラシック・ガラとしたわけです。これらの作品は私が踊ってきたクラシック作品の代表的な作品なので観ていただきたいと思います。

各作品、今回踊る場面は?

「今回は3部構成にして、ディヴェルティスメント、『眠れる森の美女』は抜粋と3幕が主体、『ドン・キホーテ』は3幕、そして『白鳥の湖』は2幕と4幕を上演します」

古典を踊り続けている理由は何でしょうか。

「古典作品はとても難しいのです。毎日レッスンをして体を維持しなければなりません。ボリショイでは、ワリーシエフ、マキシーモワ、ベスメルトノワという手本がいましたし、私も若いダンサーの手本となりたいのです。現代のバレリーナは手脚が長くて身体能力も高いのですが、アクロバティックなだけではなく、内的なもので表現できるようにならないといけません。現代バレエと古典を踊るにはセンスも必要です。アレクセイ・ラトマンスキーは、プティパ時代の振付を再現して、脚を高く上げすぎないように工夫をしています」

バレエ団は国際化していますか?

「ジョージア国立バレエには、外国人のダンサーが10人おり、主に男性ダンサーです。そのうち日本人は、3人の男性ダンサーと2人の女性ダンサーがおり、来年も一人入団します。そのほか、アメリカ人、イギリス人、ベルギー人もいます。皆ジョージアのバレエ学校出身でずっと成長する過程を見てきています。バレエ団は若返っていて、コール・ド・バレエのレベルが高くなっています。ソリストはゲストで呼ぶことができますが、コール・ド・バレエは呼ぶことができませんし、コール・ド・バレエの質がバレエ団全体のレベルを決めるのです」

注目している振付家は誰でしょうか?

「いろいろと優れた作品を作る振付家がいますが、まずラトマンスキー、ユーリ・ポソホフ、ヨルマ・エロなどです。また、NDTで振付けているMedhi Walerski (マディ・ワレルスキ)も、1月にジョージア国立バレエのために新作を振付けています。アレクセイ・ファジェーチェフには、バレエ団のために『ジゼル』を振付けてもらいます。彼には、『白鳥の湖』の改訂版も振付けておらいました。また、チャブキアーニの作品『ゴールダ』の復刻も行います。この作品でのジョージアの踊りは、日本人のダンサーが素晴らしく踊ってくれました。また、ファジェーチェフはベラルーシのバレエ団のために『ラウレンシア』の復刻も行いました」

「また、若い無名の振付家を呼んで作品を作ってもらうことも考えています。かつて、ラトマンスキーを振付家として呼んだ時には彼はまだ現役のダンサーで振付家としては無名でした。日本でも良い若い振付家がいたらぜひ紹介してほしいと思います」

「今回上演される『白鳥の湖』の振付は、ファジェーチェフが新しく振付けたものですが、2幕と4幕なので、特に新しいところはありません。若い頃に習った振付そのままです。若いダンサーには、自分が教わったことを伝えて行きたい、昔のクラシックの伝統を学んでほしいと思います」

「YouTubeが発達してすごく便利になった反面、弊害もあります。それを参考にしてしまうことで批判することなく受け入れてしまったり、スタイルの混同が見られるのです。振付というのは、先生と生徒、振付家とダンサーの間で同じところで話し合いながら、目線をどこに向けるか、その時の手の形、脚の形はどうなのかといったことを一から、口で伝えてもらわなければ。ロシアでは手から手へ、脚から脚へと言いますが、伝えていくべきものです。以前、折り鶴の形をしたイアリングをプレゼントされたことがありましたが、折り鶴も、自分で折るのは難しくて、教えてもらわないと折ることができませんよね」

ジョージア国立バレエ団のダンサーの数は?

「65名おり、うち25名が男性ダンサーです。今回の来日メンバーは40名です。年齢はとても若く、男性ダンサーで一番年齢が高い人で30歳です。女性は22歳から25歳くらいのダンサーが多いです。一番年上なのは私です(笑)先ほど話したように、私は手取り足取り教わってきたので、同じように自分で動いて見本を見せて、そうやって育てて行きたいと思ってそうしています。私も教えますが、ダンサー同士でも教え合って助け合っています」

今回のゲストダンサーは?

「ABTのマルセロ・ゴメスが出演します。彼はパートナーとして優れていて、俳優としても舞台での存在感が素晴らしいです。またボリショイからは、アレクサンドル・ヴォルチコフが出演します。彼とは、ボリショイ劇場で、今年の2月にラトマンスキー振付の『レイア』という作品を踊りました。ダンサーとしてはもちろん、人ととしてもとても優れた青年です。また、皆さまはまだご存じではないかもしれませんが、日本人の高野陽年さんとよく組んで主役級の踊りを踊っています。日本人のパートナーとしては、K-Balletの宮尾俊太郎さん、遅沢祐介さんに続いて、高野さんが3人目となります。今まで、120人以上のパートナーと踊ってきましたが、舞台上のことで、私生活では踊っていませんよ(笑) 約120人のうち多くのダンサーがもう現役を退いていますが、フィーリンやウヴァーロフ、ファジェーチェフなどと踊りましたね」

とても充実した内容となること間違いないこの公演、ニーナのファンのみならず、バレエファンは見逃せませんね。


「ニーナ・アナニアシヴィリの軌跡~最後のクラシック・ガラ~」

出演:ニーナ・アナニアシヴィリ(ジョージア国立バレエ団芸術監督)

ジョージア国立バレエ団ほか、豪華ゲストダンサー出演予定!

管弦楽:シアター・オーケストラ トーキョー

日 時

2017年 3月16日(木)~20日(月・祝)

Aプログラム
3月16日(木)19時開演
3月18日(土)15時開演
「白鳥の湖」より 第2幕・4幕
「セレナーデ」
「眠れる森の美女」より  / ほか

Bプログラム
3月19日(日)14時開演
3月20日(月・祝) 14時開演
「タイス」パ・ド・ドゥ
「モーツァルティアーナ」
「ドン・キホーテ」より / ほか

※開場は開演の30分前。

会 場

東京文化会館 大ホール
料金(全席指定)(税込)
S席 18,000円  A席 14,000円   B席 11,000円
C席 8,000円   D席 5,000円

お問合せ・予約: チケットスペース 03-3234-9999
月~土10:00~12:00/13:00~18:00 (日・祝は休み)
※チケット発売日及び公演開催の日曜・祝日は営業
2016年10月22日(土)発売

2016/09/16

ディアナ・ヴィシニョーワが2017年6月にABTでさよなら公演

ディアナ・ヴィシニョーワが、2017年6月にABTでのさよなら公演を行うことが発表されました。

DIANA VISHNEVA TO GIVE FINAL PERFORMANCES WITH ABT
http://www.abt.org/insideabt/news_display.asp?News_ID=560

ヴィシニョーワは、2017年6月19日と23日に「オネーギン」のタチヤーナ役を踊ります。オネーギン役はマルセロ・ゴメス。6月23日がさよなら公演となります。

2003年のMETシーズン「ロミオとジュリエット」で初めてABTにゲスト出演したヴィシニョーワは、アンヘル・コレーラとのペアで大センセーションを起こします。2005年にはABTのプリンシパルとなりました。

ABTでは、ジュリエットの他、「マノン」のマノン、「ジゼル」のジゼル、「真夏の夜の夢」のタイターニア、「ラ・バヤデール」のニキヤ、「椿姫」のマルグリット、「シルヴィア」のシルヴィアなど多くの主役を踊り、またラトマンスキーが振付けた「眠れる森の美女」では初演キャストを務めました。NYでは絶大な人気があり、彼女が主演する日は、大きなメトロポリタン・オペラハウスもいつもソールドアウトとなるほどでした。

近年、ヴィシニョーワはABTへのゲスト出演は続けながらも、自身の活動に軸を移しつつあり、出演回数が減ってきていました。ABTも最近はゲストをあまり呼ばず、自前のダンサー中心のキャスティングを行うようになってきています。

今年の7月に40歳を迎えたヴィシニョーワは、マリインスキー・バレエや自身のプロジェクトなどで引き続き踊り続けることになると思われます。が、アンヘル・コレーラ、ウラジーミル・マラーホフ、そしてマルセロ・ゴメスとの素晴らしいパートナーシップによるドラマティックな彼女の舞台がABTで観られなくなるのは寂しいことですね。METで観た幾多の名舞台の思い出が蘇ります。

http://www.nytimes.com/2016/09/16/arts/dance/diana-vishneva-to-leave-american-ballet-theater-in-june.html

New York Timesの記事には、彼女のコメントがあります。

「古典を踊るのをやめるわけではありません!」たくさんのプロジェクトがありすぎたので、退団することを選んだとのことです。「単に自分自身の100%をABTに捧げることが不可能となっただけです」 タチヤーナ役を踊るのを選んだのは、その力強くてドラマティックな内容と、彼女が最も信頼するパートナーの一人であるマルセロ・ゴメスと踊ることができるからとのこと。

またヴィシニョーワは、この2017年6月の公演が公式なさよなら公演となるものの、今後、ABTに単発のゲストとして出演する可能性は残したいとのことです。


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2016/09/15

ユリア・ステパノワがボリショイ・バレエのプリンシパルに昇進

ボリショイ・バレエのユリア・ステパノワが、プリンシパルに昇進すると発表されました。

http://www.bolshoi.ru/about/press/articles/congratulations/

2009年にマリインスキー・バレエに入団したステパノワは、ワガノワ・アカデミー時代から大変な逸材と言われつつも、ファテーエフに冷遇されて、マリインスキー時代にはあまり昇進できませんでした。2014年の夏、マリインスキー・バレエのロンドン公演で「白鳥の湖」のオデット/オディール役を踊って大評判となりました。同年にマリー・タリオーニ賞も受賞していますが、モスクワ音楽劇場バレエに移籍、来日公演では「白鳥の湖」の大きな三羽の踊りを踊っています。

2015年にボリショイ・バレエに移籍したステパノワは、今年の夏のボリショイ・バレエのロンドン公演で大活躍。ソリストで入団したのですが、今回、3階級特進でプリンシパルに昇進しました。

長身で、マリインスキーらしい詩情豊かな腕の使い方が印象的なステパノワ、大変な美貌の持ち主ですが、ものすごく細いわけではなくて女らしい体型をしています。リュドミラ・セメニヤカに師事しているとのことです。まさに大輪の花という表現がふさわしい存在です。

ステパノワは、ボリショイ・バレエの来年の来日公演でも「白鳥の湖」に主演します。

http://www.japanarts.co.jp/bolshoi_b2017/cast.html

6月11日(日) 18:00
<開場 17:15・終演予定時間 20:35>
ユリア・ステパノワ / アルチョム・オフチャレンコ

****
なお、ミラノ・スカラ座の若手ダンサー、ジャコポ・ティッシがボリショイ・バレエに移籍することになったようです。
http://www.gramilano.com/2016/09/la-scala-dancer-jacopo-tissi-joins-bolshoi/

ミラノ・スカラ座バレエ学校を卒業後、ウィーン国立バレエに入団したティッシは、1年でミラノに戻りました。ちょうどスカラ座は、ラトマンスキー版の「眠れる森の美女」をカンパニー初演するところで、当初はスヴェトラーナ・ザハロワとセルゲイ・ポルーニンが主演する予定でした。ところが、ポルーニンが怪我で降板。ザハロワの相手役に、無名の新人であるティッシが抜擢され、見事に期待に応えザハロワからも絶賛されたとのことです。その後、「マノン」のデ・グリュー、マウロ・ビゴンゼッティの「シンデレラ」の王子など主演が続きました。

ところが、スカラ座のワジーエフ芸術監督がボリショイ・バレエの芸術監督に就任することになり、後任にビゴンゼッティが就任しました。4月から引き継ぎ期間でビゴンゼッティがスカラ座で仕事をしていたのですが、ティッシはビゴンゼッティのやり方が合わないと感じたようです。

ワジーエフに連絡を取ったティッシは、夏の間ボリショイに招かれ、ロブーヒンの不在中にザハロワのリハーサル相手を務めたとのことです。そしてワジーエフに招かれ、8月にティッシはスカラ座を退団してボリショイに入団を決めました。

まだティッシにロシアの就労ビザが到着していないため、今現在はまだ入団はしておらず、どの階級となるかは未定ですが、デヴィッド・ホールバーグに次ぐ外国人ダンサーの入団となります。

2016/09/14

ワールド・バレエ・デー・ライブ、今年は10月4日(火)に開催

恒例行事となりつつあるワールド・バレエ・デー・ライブ。去年、一昨年は10月1日でしたが、今年は10月1日が土曜日となるためか、10月4日(火)に開催されることになりました。

http://worldballetday.com/

予告編
https://youtu.be/tvbVphP6b0o

今年も、オーストラリア・バレエ、ボリショイ・バレエ、ロイヤル・バレエ、ナショナル・バレエ・オブ・カナダ、そしてサンフランシスコ・バレエの5カンパニーが参加し、合計20時間、生中継でクラスレッスンやリハーサル、インタビューなどを見せてくれます。

ロイヤル・バレエのウェブサイトから
http://www.roh.org.uk/news/world-ballet-day-returns-on-4-october-2016

今年は、生中継は参加カンパニーのFacebookLIVEを使っての中継となり、後日、ダイジェスト版がYouTubeで提供されるとのことです。詳細は後日発表されます。

2014年に始まったワールド・バレエ・デー・ライブ、昨年は世界で200万人以上が視聴したそうです。クラスレッスン一つとっても、カンパニーの違いがよく分かるのでとても興味深いです。
今年はどんな映像が見られるか、楽しみですね。

なお、こちらのサンフランシスコ・バレエのプレスリリースによると、
http://www.prnewswire.com/news-releases/world-ballet-day-live-returns-on-october-4-2016-300326666.html
モンテカルロ・バレエ、バーミンガムロイヤル・バレエ、ボストン・バレエ、オランダ国立バレエ、イングリッシュ・ナショナル・バレエ(ENB)、香港バレエ、ヒューストン・バレエ、マイアミ・シティ・バレエ、ノーザン・バレエ、パシフィック・ノースウェスト・バレエ、クイーンズランド・バレエ、スコティッシュ・バレエ、ウェスト・オーストラリア・バレエも参加するとのことです。日本のバレエ団が入っていないのがつくづく残念ですよね。(オーストラリアとは時差も少ないのですが)

2016/09/13

冨田勲 追悼特別公演  冨田勲×初音ミク『ドクター・コッペリウス』

冨田勲 追悼特別公演として、冨田勲×初音ミク『ドクター・コッペリウス』が11月11日、12日にオーチャードホールで上演されます。

http://www.dr-coppelius.com/


「ドクター・コッペリウス」は、2016年5月5日(木)に他界した、世界的作曲家・シンセサイザー・アーティストの冨田勲氏が、上演を夢見て他界直前まで創作を続けていた舞台作品です

他界前にストーリー原案と音楽の構想のほとんどを遺しており、冨田氏が長年追い求めてきた「宇宙への夢と希望」に満ち溢れた巨大なストーリーが、オーケストラとシンセサイザー、そしてバレエと3DCGを伴いながら展開されます。バーチャル・シンガーの初音ミクも登場致します。

宇宙へ飛び立つことを夢想する主人公コッペリウスと、それを叶えるべく異界からやってきた初音ミクが織りなすストーリーとなっており、小惑星イトカワ、そしてその先の未知なる星へ、宇宙を自在に行き来しながら展開される、時空を超えたスペースバレエシンフォニーです。

初音ミクと共演するコッペリウス役には風間無限さん、そして振付は辻本知彦さんが担当します。

さて、先日、初音ミクの3DCG作成のための収録作業を見学させていただきました。ダンサーが、モーションキャプチャーマーカーを体中につけて辻本知彦さんの振付を踊ったのを収録する様子です。キャプチャーされたダンサーの動きを、3DCG映像に変換することで、ダンサーの動きを初音ミクの動きに移し替えて行くのです。たくさんのカメラに囲まれたダンサーが振付を踊ると、瞬時にそれが初音ミクが踊る映像に変換されていくところを見ることができたのは、とてもワクワクしました。

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写真:白石理

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写真:白石理

ダンサーはほぼ全身にモーションキャプチャーマーカーを着けていますが、初音ミクの指先と髪の毛の表現はそれでは捉えきれないので、別途CGで製作するそうです。そのため、この場で観ることができた初音ミクの映像では、指先や髪の毛の動きはまだありませんでした。また、ミクの動きの中には、アン・ドゥダン、ターンインした振付などもあったりするので、クラシックもコンテンポラリーも踊ることができて、しかもミクの体型に近いダンサーが選ばれたとのことです。

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写真:白石理

また、この日に収録されたシーンは、初音ミクはスニーカーを履いて踊っているのですが、ポワント(トウシューズ)を履いて踊っているシーンもあるので、モーションキャプチャーマーカーを付けたポワントを履いて踊るところも収録されたとのことです。

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写真:白石理

振付の辻本知彦さん。日本人で初めてシルク・ドゥ・ソレイユにダンサーとして出演した経歴を持ちます。
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写真:白石理

大変興味深い題材のため、外国からも取材が来ていました。

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写真:Naomi Mori

冨田勲と糸川英夫の夢を現実に

さて、なぜ初音ミクはバレエを踊るのでしょうか?それには大変興味深い逸話が隠されていました。

冨田勲氏が尊敬してやまなかった日本ロケット工学の父、故糸川英夫氏。天才的な科学者でありながら、60歳にしてバレエをはじめ、同氏の楽曲に合わせて舞台でバレエを踊ったこともある糸川氏が、ある日、冨田氏にこうつぶやきました。「いつかフォログラフィーとバレエを踊りたい」。

糸川博士の名前が最近になってにわかに有名になったのは、2010年の小惑星探査機「はやぶさ」の惑星イトカワからの帰還からです。惑星イトカワは、糸川英夫氏から名付けられた惑星でした。糸川氏が開発した隼戦闘機は、冨田勲少年にとっては憧れの的だったのです。

その糸川英夫氏は、なんと62歳の時に貝谷バレエ団に入団し、バレエを始めて熱中しました。貝谷八百子団長の下、日夜練習に励んで上達したのです。

1977年に、冨田勲氏は、モーグ・シンセサイザーで演奏した「惑星」を貝谷バレエ団で使ってもらおうと録音テープを貝谷八百子氏に渡し、それを聴いた糸川氏は、「この曲に合わせてぜひ僕はバレエをしたい」と語りました。実際には「盲目の科学者」というみすぼらしい学者の姿をした役を彼は演じましたが、帝国劇場で、10分間のソロを振付けて踊ったのです。「いつかフォログラフィーとバレエを踊りたい」はその時の言葉でした。

冨田氏が集大成として作り上げる「ドクター・コッペリウス」は、この糸川氏の夢を舞台の上で実現する、音楽・バレエ・映像が渾然一体となった音楽・舞台作品です。

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写真:Naomi Mori

とてもスケールが大きく夢のある話ですよね。糸川さんと冨田さんという二人の魂が乗り移ったドクター・コッペリウス(風間無限さんが実際に当日舞台の上で踊る)と、3DCGの初音ミクが舞台の上で共演するのです。これは未だかつて例のない、画期的な公演となることでしょう。どんな舞台になるのか、今からとても楽しみです。


指揮はオペラ、バレエの分野で目覚ましい活躍を繰り広げる渡邊一正氏。演奏は、渡邊氏が2015年4月からレジデント・コンダクターを務めている、東京フィルハーモニー交響楽団が担当。

本公演では、「ドクター・コッペリウス」とともに、同じく初音ミクをソリストに起用したことで大きな話題となった、2012年初演の冨田勲氏の代表作「イーハトーヴ交響曲」も演奏されます。


冨田勲 追悼特別公演

冨田勲×初音ミク

『ドクター・コッペリウス』

2016.11.11FRI 開場 18:00 開演 19:00
2016.11.12SAT 開場 12:30 開演 13:30
2016.11.12SAT 開場 17:00 開演 18:00

曲目・演目

第1部:「イーハトーヴ交響曲」
第2部:「ドクター・コッペリウス」

スタッフ

制作・ストーリー原案:冨田勲
初音ミク3DCG技術:クリプトン・フューチャー・メディア

出演

指揮:渡辺一正
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
合唱:調整中

第2部「ドクター・コッペリウス」
エレクロニクス:ことぶき光
振付:辻本知彦
出演:初音ミク、風間無限

Bunkamuraオーチャードホール
http://www.bunkamura.co.jp/orchard/lineup/kashi/20161111.html

2016/09/12

ベルリン国立バレエ、サシャ・ヴァルツ芸術監督就任の波紋/追記あり

ベルリン国立バレエが、現在の芸術監督であるナチョ・ドゥアトの契約を更新せず、任期が切れる2019年より、サシャ・ヴァルツと、現スウェーデン王立バレエ芸術監督のJohannes Öhmanが就任することについては、いろいろと波紋を呼んでいます。

Nacho Duato Out, Sasha Waltz In at Staatsballett Berlin

http://dancemagazine.com/news/nacho-duato-sasha-waltz-staatsballett-berlin/

サシャ・ヴァルツとJohannes Öhmanの次期芸術監督決定の件は、ベルリンの市長より発表されました。

また記者会見が開かれました。サシャ・ヴァルツとJohannes Öhmanは、古典と現代作品の両方から構成されるレパートリーとする予定です。また、ヴァルツは自身のベルリンをベースに活動するカンパニー、サシャ・ヴァルツ&ゲスツでの活動も続けます。

Johannes Öhmanが主に経営と管理業務を中心に行う共同芸術監督となるため、ヴァルツは今後も振付活動を行うことが可能になると、彼女は記者会見で語っています。二人は5年契約を結びました。ヴァルツは毎年、彼女のカンパニーの既存の作品を一作品、ベルリン国立バレエで上演し、5年の任期の間に3作品新作を振付けることになります。

ところで、この決定に対して、ベルリン国立バレエのダンサーたちは反発しているとのことです。
http://www.morgenpost.de/kultur/article208219065/Etwas-wird-passieren-Es-gaert-beim-Staatsballett.html

ベルリン国立バレエは、88人の団員で構成されている、ドイツ最大のバレエ・カンパニーです。全員がクラシック・バレエ出身です。ナチョ・ドゥアトの契約が更新されないことを、彼らは9月7日(水)に聞かされましたが、サシャ・ヴァルツとJohannes Öhmanが次期芸術監督となることは、新聞記事で知ったとのことです。直接そのことを知らされず、関係者の中で最後に報道で知ることになったことに対して、団員は不信感を持ちました。「ベルリン・フィルは主任指揮者を自分たちで選ぶことができるのに、なぜ自分たちはできないんだ?」

また、2019年と3年後の芸術監督交代が今決定したことも、不信感を広げる結果となっています。こんな状況では踊りには集中するのも難しい、3年後、どうなるのかわからないカンパニーに誰が入団したがるのだろう、と団員たちは思っているとのことです。

「ウラジーミル・マラーホフは、芸術監督となる前からここで仕事をしていました。ナチョ・ドゥアトも、就任する前から仕事をしてマラーホフからも引継ぎを受けました。でも、サシャ・ヴァルツはこのバレエ団に興味を持っているのだろうか?このバレエ団について何を知っているのだろう」とバレエ団のスポークスパーソンは語りました。
(なお、サシャ・ヴァルツの「ロミオとジュリエット」は、ベルリン国立バレエのレパートリーに入っています)

ベルリン国立バレエの団員たちは、今年待遇の向上を求めて団結し、ストを行いました。その結果、ダンサーたちの待遇は改善し、全員が複数年契約を勝ち取ることができたのです。この勝利は、彼らに自信を与えました。「失うものなど何もない」と彼らは語っているとのことです。「青天の霹靂で決まったこの決定は、覆すことだってできる」と。

日曜日には、ナチョ・ドゥアトの「バッハへのオマージュ」がコーミッシュ・オペラで上演されますが、ここで団員によるデモが予定されて実施されました。

デモについての記事。公演開始一時間前に行われました。写真には、プリンシパルのナディア・サイダコワが写っています。
http://www.morgenpost.de/kultur/article208223359/Staatsballett-demonstriert-gegen-Sasha-Waltz.html

また、サシャ・ヴァルツとJohannes Öhmanの次期芸術監督就任に反対するオンライン署名活動もchange.orgで始まっており、すでに5000人の署名が集まっています。(日本からも署名することは可能)日本語での説明もあります。
https://www.change.org/p/rettet-das-staatsballett-save-staatsballett


【ベルリン国立バレエ団のために力をお貸しください!】

ベルリン国立バレエ団は現在、ドイツ国内で最も規模が大きく、かつ、ベルリンで唯一のクラシックバレエ団です。現在の組織の前身も含めると100年以上の歴史をもっています。それゆえに、私たちベルリン国立バレエ団所属ダンサー一同は、2019/20年期に予定されているサシャ・ヴァルツ氏とヨハネス・エーマン氏による共同監督体制を拒否いたします。

この任命は残念ながら、例えるならば、テニストレーナーをサッカーのコーチに起用したり、美術館館長をオーケストラの首席指揮者に採用するのと同じようなものです。 ミヒャエル・ミュラー市長およびティム・レンナー氏によるこの判断は、ダンスやバレエについての伝統や成長過程に関してまったく無知であることを露見させています。
特に言及すべきは、このような発表が3年も前になされたことであり、それはバレエ界では前代未聞であるばかりでなく、バレエ団にとって侮辱であり、今後のバレエ団の活動に影響を及ぼすものです。

この発表が選挙選のさなかに行われたことは、私たちにとって、芸術の発展よりも政治的都合が優先され、私たちバレエ団や、私たちの伝統、私たちの芸術のあり方、そして私たちの観客に対する配慮が欠如しているように思われてなりません。

そして、私たちは共同監督という考えに対して断固反対いたします。

候補者は、鮮明な芸術的ビジョンを持ち成功に導くことができる人材が、バレエ団の方向性を明確に整理していけるよう、一名だけが立てられるべきです。

そのことから私たちは、現在のような三者構造ではなく、総監督一人の就任を要請します。

私たちはサシャ・ヴァルツ氏の活動に対して敬意を抱いていますが、私たちバレエ団を率いるという点ではまったく不適任であると判断しています。サシャ・ヴァルツ氏は、モダンダンス劇場の振付家です。氏の求める舞台の形には、クラシックバレエのダンサーが培ってきたものとはまた違った資質が求められます。

サシャ・ヴァルツ氏のベルリン国立バレエ団への共同監督への任命そのものが、世界で認められてきたクラシックバレエ団の評判を損ない、世間の目だけでなく、特にクラシックバレエとして鍛錬を積んできたバレエダンサーや振付家にまで影響を及ぼすことになります。

これらの事実を考慮した上で、ベルリン市長兼文化評議員のミヒャエル・ミュラー氏および次官ティム・レンナー氏に、今回の任命の撤回を要求いたします。

 私たちは、ベルリンオペラ財団の財団理事会に、承認しないよう提案いたします。

むしろ、2018/19年のナチョ・デュアト氏の後任としてベルリン国立バレエ団総監督を選出するための委員会設立を求めます。

この委員会に、政治や行政に並び、私たちバレエ団に所属するバレエやダンスの専門家が加わることを強く望みます。

これまでの経験により私たちは、新しい監督選出にいたる過程に参与できるようになることを要求いたします。
私たち、ベルリン国立バレエ団のダンサーたちは、議員のみなさま、世界中のバレエの仲間たち、そしてなにより、私たちの大切な観客の皆様に、この署名運動へのご協力をお願いいたします。

なお、上記の署名は、ベルリン国立バレエの公式Facebookページでも告知がされており、ここでもダンサーたちの動きが支援されているようです。

New York Timesにも記事が出ていました。
http://www.nytimes.com/2016/09/17/arts/dance/dancers-protest-new-leadership-plans-at-staatsballett-berlin.html

サシャ・ヴァルツのインタビューが載っています。

サシャ・ヴァルツはこのような反響があるとは思っていなかったそうです。「クラシック・バレエ出身のヨハネスが共同監督となるので、良いバランスが取れるはずです。私たちは古典を踊るのはやめると明言していないし、50%は古典とする予定です。バレエ団では、私の舞踊言語が中心となるという懸念があるようですが、5年間の間に3作品しか私の新作は上演しませんし、一年に1作品しか私の旧作は上演されません。残りはネオクラシック、モダンとコンテンポラリーとなり、そんなに狂気じみたことではありません」

また、ヴァルツは、Öhmanと彼女の就任のための交渉は1年前からあり、選挙を控えての早急な決断ではなかったと加えました。Öhman氏は、バレエ団のダンサーの代表との意見交換を長い期間でしており、二人は来週ダンサーたちと会うとのことです。「彼らの懸念が和らぐことを期待しています」と彼女は語りました。

2016/09/11

VOGUE JAPAN エトワール・ガラ特集第2弾

今晩0時より(正確に言えば月曜日午前0時より)、NHK-BSプレミアムシアターで「エトワール・ガラ2016」のテレビ放映があります。
http://www4.nhk.or.jp/premium/

その「エトワール・ガラ」のVOGUE JAPANの特集記事第2弾がアップされましたので、お知らせします。
直前にリハーサルにお邪魔してインタビューさせていただきました。

写真家井上ユミコさんによる素敵な写真や、彼らのInstagramからの美しい写真もアップされています。

レオノール・ボラック、ユーゴ・マルシャン、ジェルマン・ルーヴェのインタビュー

エトワールを目指せ! パリ・オペラ座バレエ団、注目の新人に独占インタビュー
http://www.vogue.co.jp/celebrity/risingstar/2016-09-11

レオノール・ボラックのインタビューとクラスレッスン、リハーサル動画
http://www.vogue.co.jp/videos/celebrity/VJ102-Interview-2016-09_ORIG_Leonore

バンジャマン・ペッシュのインタビューと、クラスレッスン、リハーサル動画動画
http://www.vogue.co.jp/videos/celebrity/VJ102-Interview-2016-09_ORIG_Benjamin

「エトワール・ガラ2016」を観る前の予習にぜひご覧いただければと思います。そして来年3月の来日公演で大活躍する予定のレオノール・ボラック、注目してくださいね。

あのシルヴィ・ギエムを輩出した、世界最古にして最高峰のバレエカンパニー、パリ・オペラ座バレエ団🇫🇷ダンサーの頂点である「エトワール🌟」に最も近い存在として注目の3人に独占インタビュー! またムービーでは、クラスレッスンの風景から、リハーサルシーンまで、世界で活躍する彼らの貴重な映像をお届け中🎥詳しくは、プロフィールのリンクからご覧ください🔗 Behind the scenes of Étoile Gala 2016 by dancers of Paris Opera Ballet. See the full version from the link in the bio.#EleonoraABBAGNATO @benjaminpech7 @amandinealbisson @dorotheegilbert @laurahecquet_ @benjaminpech7 #MathieuGANIO @leobaulac @audricbezard @humarchand @germainlouvet @balletoperadeparis #ballet

VOGUE JAPANさん(@voguejapan)が投稿した動画 -

2017年3月、イーゴリ・コールプが田北志のぶさんと「シェヘラザード」を踊る

昨日は第2回「Ballet Tradition バレエ トラディション」公演に行ってきました。田北志のぶさんプロデュースの公演で、笹原進一さん振付「Rejoice」、「ドン・キホーテ」より夢の場、「眠れる森の美女」第3幕という公演です。

美しいボブ・チルコットの音楽によくマッチした「Rejoice」も素敵でしたし、「眠れる森の美女」では田北さんのオーロラ、菅野英男さんの王子、西村真由美さんのフロリナという贅沢なキャスティングで、(「ドン・キホーテのキューピッド役には、ベルリン国立バレエの「くるみ割り人形」DVDにも子どもクララ役で出演している井関エレナさん)完成度の高い舞台を見せてくれました。田北さんの長い手脚、ザ・クラシック・バレエというべきアカデミックな技術、西村さんの優雅さと正確さ、音楽性の見事さ、惚れ惚れしました。

この「Ballet Tradition 、2017年3月に次回公演が予定されています。

2017年3月9日(木) The 3rd BALLET TRADITION 公演
http://www.wellness-arts.com/pg217.html


スペシャルゲストダンサーとして、マリンスキーバレエのプリンシパルダンサーで、日本でも大変人気の高い
イーゴリ・コールプ の出演が決定しています。

メインプログラムとして、2014年 世界的なダンサーを集め、仙台・東京で開催された田北志のぶ東日本大震災チャリティーガラ プロデュース「グラン・ガラ」公演。この公演でパ・ド・ドゥを踊り、大好評を博したイーゴリ・コールプと田北志のぶ 主演の待望の「シェへラザード」全一幕が上演されます。

2017年3月9日(木) 18:30開演
きゅりあん 大ホール(品川区総合区民会館)

パリ・オペラ座バレエ来日公演と重なっている日程ですが、田北さんとコールプの「シェヘラザード」全1幕は必見ですね。

2016/09/09

パリ・オペラ座バレエ団2017年日本公演 公演概要/追記あり

パリ・オペラ座バレエの2017年日本公演の公演概要が発表されています。

http://www.nbs.or.jp/blog/news/contents/cat16/20160908-01.html#002525?

<追記>オフィシャルサイトもできています。細かいキャストも追記しました。
http://www.nbs.or.jp/stages/2016/parisopera/index.html

「ラ・シルフィード」 全2幕
振付:ピエール・ラコット(フィリッポ・タリオーニ原案による)  
音楽:ジャン=マドレーヌ・シュナイツホーファー(第1幕パ・ド・トロワは『オンブル』より抜粋)

3月2日(木) 18:30
ラ・シルフィード ミリアム・ウルド=ブラーム
ジェイムズ マチアス・エイマン
エフィー レオノール・ボラック
パ・ド・ドゥ     エレオノール・ゲリノー / フランソワ・アリュー

3月3日(金) 18:30
ラ・シルフィード アマンディーヌ・アルビッソン
ジェイムズ マチュー・ガニオ
エフィー   ヴァランティーヌ・コラサント
パ・ド・ドゥ     マリーヌ・ガニオ / マルク・モロー

3月4日(土) 13:30
ラ・シルフィード リュドミラ・パリエロ
ジェイムズ ジョシュア・オファルト
エフィー オーレリア・ベレ
パ・ド・ドゥ ジェニファー・ヴィソッチ / パブロ・レガサ

3月4日(土) 18:30
ラ・シルフィード ミリアム・ウルド=ブラーム
ジェイムズ マチアス・エイマン
エフィー レオノール・ボラック
パ・ド・ドゥ     エレオノール・ゲリノー / フランソワ・アリュー

3月5日(日)    15:00
ラ・シルフィード アマンディーヌ・アルビッソン
ジェイムズ マチュー・ガニオ
エフィー ヴァランティーヌ・コラサント
パ・ド・ドゥ     マリーヌ・ガニオ / マルク・モロー

〈グラン・ガラ〉

9/12追記:パリ・オペラ座バレエ団の都合により、<グラン・ガラ>「アザー・ダンス」のキャストが変更となっています。

「テーマとヴァリエーション」 振付:ジョージ・バランシン 音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
「ダフニスとクロエ」 振付:バンジャマン・ミルピエ 音楽:モーリス・ラヴェル 
「アザー・ダンス」 振付:ジェローム・ロビンズ 音楽:フレデリック・ショパン

3月9日(木) 18:30
テーマとヴァリエーション ローラ・エッケ マチュー・ガニオ
ダフニスとクロエ ダフニス: エルヴェ・モロー クロエ: オレリー・デュポン
アザー・ダンス リュドミラ・パリエロ、マチアス・エイマン

3月10日(金) 18:30
テーマとヴァリエーション ミリアム・ウルド=ブラーム、マチアス・エイマン
ダフニスとクロエ ダフニス: マチュー・ガニオ、クロエ: アマンディーヌ・アルビッソン
アザー・ダンス  レオノール・ボラック ドロテ・ジルベール、ジョシュア・オファルト

3月11日(土) 13:30
テーマとヴァリエーション ドロテ・ジルベール、ジョシュア・オファルト
ダフニスとクロエ ダフニス: エルヴェ・モロー クロエ: オレリー・デュポン
アザー・ダンス  アマンディーヌ・アルビッソン、マチュー・ガニオ リュドミラ・パリエロ / マチアス・エイマン

3月11日(土) 18:30
テーマとヴァリエーション ローラ・エッケ マチュー・ガニオ
ダフニスとクロエ ダフニス: エルヴェ・モロー クロエ: オレリー・デュポン
アザー・ダンス リュドミラ・パリエロ、マチアス・エイマン

3月12日(日) 15:00
テーマとヴァリエーション ミリアム・ウルド=ブラーム、マチアス・エイマン
ダフニスとクロエ ダフニス: マチュー・ガニオ、クロエ: アマンディーヌ・アルビッソン
アザー・ダンス  レオノール・ボラック ドロテ・ジルベール、ジョシュア・オファルト

10/19追記:細かいキャストが出ているので追記します。また、3/11昼のアザーダンスのキャストが変更になっているので反映しました。

◆公演会場:東京文化会館
◆入場料:S=\27,000 A=\24,000 B=\21,000 C=\17,000 D=\13,000 E=\9,000
◆演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
◆NBS WEBチケット先行発売[座席選択 S〜D]:10/15(土)21:00〜10/19(水)18:00
◆一斉発売:10月29日(土)10:00〜
◆お問合せ:NBSチケットセンター 03-3791-8888


キャストを見ると、なんと2014年に引退した芸術監督オーレリー・デュポンが「ダフニスとクロエ」に出演。そして、レオノール・ボラックを除けば完全にエトワールばかりの主演キャストとなっています。

オーレリー・デュポンの、これからはヒエラルキーを重視し、ミルピエ時代のようにスジェやコリフェからの抜擢を無くしエトワール中心でキャストを組む、という意向を反映しているように見えます。豪華キャストであるのは間違いありません。


なお、来日公演とほぼ同じ時期(3月9日から29日)に、オペラ・バスティーユでパリ・オペラ座バレエはバランシン振付「真夏の夜の夢」を上演しています。
https://www.operadeparis.fr/en/season-16-17/ballet/le-songe-dune-nuit-dete

したがって、この「真夏の夜の夢」組では前半出演組は来日しないメンバーも多いのではないかと思われます。しかも、3月23日の公演は映画館中継される予定となっています。(23日には来日公演は終わっていますが)

今回の来日公演のキャスト発表は主役中心なのでまだわかりませんが、オニール八菜、ユーゴ・マルシャンといったエトワール候補のプルミエ・ダンサーの名前が今回の発表にはないのが気になります。
(フランソワ・アリュはおそらく「ダフニスとクロエ」には出演することでしょう)

さらに追記:
ダンソマニのフランス版フォーラムに、来日公演の「ダフニスとクロエ」のもう少し詳しいキャストが出ているので、参考になると思います。
http://www.forum-dansomanie.net/forum/viewtopic.php?t=3750&start=705

リュシイオン: レオノール・ボラック(3/9、3/11昼・夜)、エヴ・グランシュテイン(3/10、12)
ドルコン: マルク・モロー(3/9、3/11昼・夜)、アリステル・マディン(3/10、12)
ブリアクシス: フランソワ・アリュ(3/9、3/11昼・夜)、アルテュス・ラヴォー(3/10、12)

DAZZLE 20周年記念公演「鱗人輪舞(リンド・ロンド)」記者会見

20周年を迎えたDAZZLEが、新作「鱗人輪舞(リンド・ロンド)」を上演します。その記者会見にお邪魔してきました。


http://www.kyodotokyo.com/dazzle20

http://www.dazzle-net.jp/news32.html

大学のダンスサークルからスタートし、物語とダンスを融合した幻想的なステージで熱狂的なファンを獲得してきたDAZZLEが、今年、20周年を迎えました。結成20周年を記念して、10月14日(金)~23日(日)の10日間、待望の新作を上演します。 新作「鱗人輪舞(リンド・ロンド)」は、幾度も繰り返される人間の愚行を見つめながら千年の時を生きてきた人魚の物語。本公演では、2つの異なる結末を用意し、上演ごとに観客に選んでいただく「マルチエンディング」を採用しています。荒廃した世界に差し込む微かな希望の光。その行方を決するのは観客です。 極限状態の中、私たちは生きるために何を犠牲にするのか?21世紀の世界が直面する問題を示唆する意欲作。

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「すべてのカテゴリーに属し、属さない曖昧さ」を身上とするDAZZLEは、これまでも独自の美意識に満ちた作品を発表して、多くのファンの心をつかんできました。20周年を迎えた彼らが向かう先はどこなのでしょうか。まずは、この新作「鱗人輪舞」の一部をメンバー8人が踊りました。狭い会場ではあったものの、間近で見る彼らの踊りは迫力に満ち、クールさと熱さを併せ持っていました。フォーメーションの巧みさ、流れるような動き、音楽とのシンクロ、既成のダンスの枠には当てはまらない魅力があります。

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今までの20年間を振り返って

長谷川達也
「DAZZLEは、1996年に、ストリートダンスの世界で名を上げたいと思って結成しました。数あるグループの中で抜きんでるにはどうすればいいのかということを考えた時に、独自性こそが一番重要じゃないかと思って取り組んできました。ダンスシーンから少し批判されることもありましたが、自分たちの表現を信じてきて続けてきて、ダンスがアートとしてだったり、エンターテインメントとしてだったり、また舞台として面白いのかどうかということに意識を向けるようになっていって、今日に至っています。

20年間続けていくことができたのは、自分たちの表現に絶対的な確信があるからだと思っていたし、今でも思い続けているし、これからもなくさずに思っていきたい。20年間続けてきた中で、こうして踊れるメンバーがいてくれたことが、何よりも恵まれていること、幸せなことです。これからもこのメンバーでずっと活動していきたいと思います」

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長谷川達也さん

宮川一彦
「20年間やってきていろんな方と、お客さんと出会えたこと、そしてそこで経験できたこと、いろんな感情がありました。ここまでやってきたのも、ここにいるメンバーのおかげです。支えてくれるスタッフ、ファンの皆さんのおかげもあってありがたく思っています。この公演を無事に終えて、その先にある未来にも、新たなDAZZLEとして存在して行けるよう、踊り狂っていけたらなと思っています」

金田健宏
「強く思うのは、仲間たちと共に歩んできたこの20年間をすごく誇りに思っていて、長谷川が言ってたように自分たちの表現を信じてぶれずにやってきたこと、そこに誇りを持っています。20年間の間に作ってきたもの、振付の中の人間の動きや、身体の形、その中にぼくたちが熱意だったり、魂だったり、いろいろなものを込めたものを、「鱗人輪舞」ですべて見せたいと思います。20年前と変わらず、自分たちの表現を信じて、仲間と共に、これからの人生もDAZZLEとして歩んで行けたら素晴らしいと思います」

荒井信治
「目の前の仕事に一つ一つ真剣に取り組んでいる間に、いつの間にか経ってしまった20年間でした。20年間、DAZZLEは僕の人生をすごく豊かにしてくれて感謝しています。DAZZLEで踊るということは、学生の時から20年経った今でもすごく楽しくて。僕たちは作品を残すということでDAZZLEのDNAを世に残そうとしてきたのですが、これからは20年間かけて築いてきたDAZZLEのスタイルや想い、いろんなものを下の世代に伝えていけたらなと思います。今年は20周年としていろんな大学のサークルなどに無料のワークショップを行ったりしています。続けていくうちに、最初は大学の先輩や後輩が応援してくれていたのですが、だんだんファンと呼ばれる方たちになって、力を貸してくださる方もどんどん増えて行って、20年分のそれをお返しはできないのですが、現状に満足することなく、常に新しいDAZZLEを皆さんにお見せしたと思います。見たことのない景色を一緒に見られたらなと」

飯塚浩一郎
「DAZZLEの20周年という時に自分が踊り続けて来られたのがとにかく幸せで有り難いことです。一番印象に残っているのは、ルーマニアのシビウ国際演劇祭に招聘されたのですが、ちょうどその年が震災直後の夏だったのです。日本に対する視線が厳しいという話も聞いていた時に、「花ト囮」という作品を演じて満場のスタンディングオベーションをしてくれて、こんな人生ないな、とその瞬間に思いました。最近「鱗人輪舞」の稽古をしていて、今まで積み重ねてきた20年がなければできない作品だなと思いました。踊りに関しても、舞台上の表現に関しても。21年、22年とこの先もさらに高みを目指して頑張っていきたいと思います」

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南雲篤史
「このメンバーと過ごす時間はおそらく人生の中で、両親と過ごす時間よりも長いと思います。大切にしたいこのメンバーで20周年を迎えられて幸せです。これからも力を合わせて作品を作り続け、ダンスってこんなに素晴らしいんだよとたくさんの人たちに伝えて行きたいです」

渡邉勇樹
「僕自身は途中加入なのですが、この20周年の時にメンバーとしていられることが幸せです。今後の抱負としては、国内、海外にDAZZLEを知らない人がいないくらいのグループにしたいという夢があります。僕自身、20年前はブラウン管越しにDAZZLEを見て憧れていました。今後はもっと若い世代に、DAZZLEに入りたいとか、DAZZLEと一緒に踊りたい、DAZZLEの踊りをやりたいたいと思ってもらえるような存在になっていけるように力を合わせて頑張りたいです」

高田秀文
「僕も途中参加で2年ほど経ちますが、20周年というタイミングでメンバーといられるのが幸せです。20周年記念作品も成功させながら、30周年、40周年と続けていけたらと思います。自分の体が動く限り、できる限り続けて行きたいです。「鱗人輪舞」は映画を観る感覚で観に来ていただけたらと思います。映画は一つの角度からしか見えませんが、ライブは見る場所によっても違うし、回ごとに違うものがあります。ライブで行われる回にプラスして、今回はマルチエンディングで二通りのエンディングのパターンがあります。見え方、捉え方はお客様によって違うと思うので、その違いも楽しんでほしいと思います」


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「鱗人輪舞」作品について

(作曲の林ゆうきさんが登場。林さんは元新体操選手で、独学で音楽を学び、DAZZLEのほとんどの作品の作曲を担当。このほか、ドラマ「あさが来た」や「リーガル・ハイ」、さらには映画やアニメなどの音楽を手掛けている)

長谷川
「今年は20周年なので、特に強い想いがあり、不朽の名作と呼ばれるような作品を目指したいと思いました。不朽とか、永遠と言ったようなテーマのキャラクターが登場するような作品を創りたいと考えて、今回、人魚を登場させることにしたんです。日本の伝承で、人魚の肉を食べると不老不死になるという「八百比丘尼」という話があります。世界に不老不死の話がありますが、日本の伝承で行きたいと思って人魚の話になりました。タイトルの「鱗人輪舞」は、鱗の人と書いて人魚という意味で、人魚が踊るということで、輪舞(ロンド)、ダンスグループなのでそうなりました。輪舞という言葉には、輪になるとか繰り返すという意味もあるので、1,000年を生きる人魚が運命を繰り返したり、人が輪廻することを目の当たりにするという意味合いを込めて、このタイトルにしました」

「今作はマルチエンディング方式を採用しているのですが、今回のテーマの一つである決断するということを観客の皆さんに体験してほしいと思って選びました。何かを手にするときには何かを失わなければいけない。一つの結末を選ぶと、もう一つの結末は見ることができない。現代では、重要な決断をした人を無責任に叩くとか、傷つくことを恐れて夢を持たないとか、決断をすることを恐れるような風潮があると思って、観客には物語の一員になっていただいて自分の手で未来を選ぶのをその場で体験してほしいと思いました。作品には、そのほかにも主人公が獲得していく信頼や愛情の大切さ、人間の尊厳、命の尊さといったメッセージが込められているのですが、それをすべて伝えてたいということよりも、作品を観た観客が自分の視点で何かを感じ取ってもらえたら嬉しい」

「DAZZLEの作品には、残酷な表現があったり強い喪失感を得るようなシーンもありますが、そういった負の感情を得ることで、もしかしたら日常の小さな幸せを感じることがあるかもしれない。人の心を豊かにするのは、たった一つの感情ではなくて、いろいろな痛み、負の感情も正の感情もあり、全部含めていろいろ感じることで豊かになっていくものだと僕は思っているので。「鱗人輪舞」を観ていただいた上で、何か心にともるものがあったり、豊かになっていただければという想いがあります」

音楽を林さんに依頼しようと思った理由は?

長谷川
「単純に、林さんはいい曲を作られるんですよ。元新体操の選手ということもあり、身体表現に音を当てることに長けている作曲家です。踊ることができる曲であるのはとても重要です。ストリートダンスの解釈、音に対するアプローチの仕方にはこだわりがあるので、それを作ってくれる作曲家であることが大事です。踊れる曲は世の中にたくさんありますが、僕たちはさらに物語があります。物語には、どんな情景があり、どんなキャラクターがどんな感情を抱いているかといったところも音楽で表現したいと思っています。その両方を兼ね備えた曲を作ってくれるのが林ゆうきさんなのです。DAZZLEの音楽には林さんしかいないと思って今回も依頼しました」

林さんの音楽の魅力は?
「特に、僕の細かい発注に柔軟に対応して、かつ想像を超えた素晴らしい楽曲を作ってくれます。独学で音楽を学んでいて専門的な知識がないにもかかわらず、世の中にたくさんの素晴らしい曲を輩出しているというのは、ものすごい想像力だし、それを形にできる力を持っています。たぐいまれな才能の持ち主だと僕は思います」

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林ゆうきさん

新作はどのような状況なのでしょうか?

林ゆうき
「あと10曲くらいです。マルチエンディングなので曲数が多くなってこちらにダメージがあって(笑)。でも作っていて楽しくて。製作状況は8割くらいです」

「鱗人輪舞」の音楽を作る苦労と醍醐味は?

「(長谷川)達也さんの発注は、ここに出してほしい位細かいんですよ。映画やドラマやアニメなどいろいろ作曲させていただきましたが、これだけ具体的にこうしてほしいというのが頭の中にできている人は、映画監督やプロデューサーの中にもいないんじゃないだろうかというほどです。ほぼ、達也さんの頭の中で音楽が鳴っているんです。達也さんからもらった情報を僕の中に入れて、達也さんの頭の中を掘り出すというか、針の穴を通すような、修行のようなことをしております。大変だけど、達成感はあります」

「僕は新体操の音楽を作っていて作曲家になったのですが、映像と音楽が一体になる瞬間、音楽と映像がプラスではなく掛けるになる瞬間があるんです。コンマ1秒とかちょっとずれているだけでもならないのですが、鳥肌が立つような瞬間を作ることができて、それを常々作り出したいと思っているんです。達也さんの発注でDAZZLEの作品を観ると、そういう瞬間が無数にあって、それを観ることができるのは作曲家冥利に尽きます。それが一番楽しいですね」

今後林さんがDAZZLEに期待することは?

「海外に一緒に行きたいですね。生演奏で、フルオーケストラでやりたいと思います」

最後に―2020年東京オリンピックと、ダンスの素晴らしさを広く知ってもらうために―

長谷川
「リオ・オリンピックの閉会式のパフォーマンスは、ダンスと新体操で素晴らしいものでした。2020年の東京オリンピックでは、DAZZLEもパフォーマーとして、アーティストとして、その素晴らしい舞台でパフォーマンスできたらと思います。また、演出の一部に携わることができたらいいなと思います。そのためには日本を代表するダンスグループにならなければならないので、道は険しいけどそこを目指したいと思います」

「20年間DAZZLEを続けてきて思うことは、娯楽の多い世の中で、ダンスを選んで観てもらうことがいかに難しいかということを痛感しています。ダンスは広く認知はされてきていますが、まだまだ選んでもらえていないという現状があるということは、ダンスはまだ面白いとは思ってもらえていないということです。それを僕たちは覆したい。ダンスは観なくても生きていけるし、踊らなくても生きていける。でも僕たちはダンスに魅了された人間としてダンスの素晴らしさを分かっているわけです。こんな土地に行くなんて、とか、信じられないような出会いに恵まれたり、僕たちの人生が豊かになった、これはダンスのおかげです。ダンスにはそういう力があるということを伝えて行きたいです。僕たちが目指しているダンス表現の可能性をもっともっと広げて行って、アートとして、エンターテインメントとしてダンスが優れた文化であるということを、僕たちは人生を賭けて証明していきたいと思っています」

【「鱗人輪舞(リンド・ロンド)」 ストーリー】  大気は汚染され、海も涸れ果てた世界。人々が水を奪い合う殺伐とした環境で、人を信じることができなくなった孤独な男が、人ではないものと出会う。 それは、千年の時を生きてきた人魚だった。男はその出会いを通して閉ざされた心を開き始めるが、その矢先に二人は自分たちの意志を越える大きな思惑に飲み込まれていく...。 そして劇中、観客に提示される二つの選択肢。観客の選択する決断によって、二人の運命はまったく異なる結末を迎える。


「鱗人輪舞(リンド・ロンド)」
10月 14日 (金) ~ 10月 23日 (日)
あうるすぽっと(豊島区立舞台芸術交流センター)

演出:長谷川達也
振付・出演:DAZZLE
(長谷川達也、宮川一彦、金田健宏、荒井信治、飯塚浩一郎、南雲篤史、渡邉勇樹、高田秀文)

DAZZLE席 ¥8,000 (DAZZLE席は最前列から3列目まで!)
指定席 ¥6,000
学生券 ¥4,800 (※公演当日、座席指定券に引換、要学生証提示。※数量限定)

主 催:キョードー東京
企画・制作:DAZZLE/キョードー東京
お問い合わせ
キョードー東京 0570-550-799 【オペレータ受付時間 平日11時〜18時 土日祝10時〜18時】

プレイガイド
キョードー東京 0570-000-407
オペレータ受付時間 平日11:00〜18:00 土日祝日10:00〜18:00
【全席種取扱有り】
チケットぴあ 0570-02-9999 (Pコード:451-907)
【全席種取扱有り】
イープラス
【全席種取扱有り】
ローソンチケット 0570-084-003 (Lコード:33072)
演劇・クラシック専用オペレーター予約番号【0570-000-407】(10:00〜20:00)
【DAZZLE席・指定席取扱有り】
楽天チケット
【指定席のみ取扱】
CNプレイガイド 0570-08-9999
【指定席のみ取扱】
※0570で始まる番号は、一部携帯電話・PHS・インター ネット電話からのご利用はできません。


http://www.kyodotokyo.com/dazzle20


2016/09/08

ベルリン国立バレエ、次期芸術監督にサシャ・ヴァルツが予定

2014年に、ウラジーミル・マラーホフの後を継いでベルリン国立バレエの芸術監督に就任したナチョ・ドゥアト。しかしながら、2013年に就任することが発表された時から、ベルリンの批評家に手厳しく批判され続けました。

マラーホフの芸術監督時代は、失敗した作品もあったり、ポリーナ・セミオノワに逃げられたといったこともあったものの、大スターで多くの人に愛されたマラーホフは、ダンサーの間でも人望があり、彼の退任と共に去ったダンサーも多かったのです。また、レパートリーも、古典と現代作品のバランスのとれたものでした。しかし、ベルリンの文化庁がマラーホフを追い出し、当時ミハイロフスキー・バレエの芸術監督だったドゥアトを芸術監督に据えたのです。当時のベルリン文化大臣が、ベルリンの文化予算は古典バレエに偏り過ぎていたと批判していたことから、そのようなことになりました。

そして、当初、マラーホフの後任(もしくは副芸術監督)として、サシャ・ヴァルツの名前が挙がっていたのですが、結局彼女は打診されませんでした。ベルリンを拠点に活動しているヴァルツにとって、このことは大きな屈辱だと感じられたようです。

しかしながら、ドゥアトが芸術監督に就任してから、彼に対する批判は止りませんでした。まず、彼はそもそもベルリン国立バレエ団自体にあまり関心がなく、馴染もうとしていないのではないかと批評家たちに言われていました。また、ドゥアトが、過去の自分の作品のプロダクションをバレエ団に持ってきているということについて反感を持っている人も多かったようです。

昨シーズン、ベルリン国立バレエの観客動員率は77%でした。悪くはない数字です。「白鳥の湖」、「くるみ割り人形」、「ジゼル」、「ロミオとジュリエット」といった古典作品は100%の動員率でした。このシーズンでの3つの初演作品「ドゥアト/キリアン/ナハリン」、「herrumbre」そして「ジュエルズ」のうち、「ジュエルズ」は88%の動員率でしたが、他の二つはもっと低かったようです。評判の良かったブルラーカ復元によるプティパ/イワーノフ版「くるみ割り人形」のプロダクションをお蔵入りさせて、ドゥアト版「くるみ割り人形」に置き換えたことも不評でした。

ベルリン国立バレエでは、待遇を巡ってストライキが行われ、何回かの公演がキャンセルされました。その際、ドゥアトはダンサーたちを支援したのですが、ドイツの複雑な政治的状況ではそれがまたかえってまずかったようです。

そんなこともあり、ドゥアトの任期は現在の契約である2019年7月までで、更新はされないことが発表されました。

http://m.morgenpost.de/kultur/berlin-kultur/article208194837/Chefwechsel-beim-Staatsballett-Berlin.html

そして、その後任は、サシャ・ヴァルツと、スウェーデン王立バレエ芸術監督のJohannes Öhmanの共同監督となることが発表されました。これはベルリンの市長が7月7日に発表したものです。


http://www.rbb-online.de/kultur/beitrag/2016/09/staatsballett-sasha-waltz-nacho-duato-nachfolge.html

「ベルリン国立バレエはドイツおよびベルリン最大のバレエ団で、唯一のクラシックのカンパニーです」とベルリン市長のミュラーが声明を発表しました。「ヴァルツと Öhmanは、国際的なダンスシーンの中で著名な二人です。古典からコンテンポラリーダンスにおけるバレエの発展のスペクトラムです」

サシャ・ヴァルツの「ロミオとジュリエット」は、ベルリン国立バレエのレパートリーに入っています。また、ベルリン歌劇場では、彼女が演出した「タンホイザー」「ディドとエアネス」といったオペラが上演されています。また、1993年には、ベルリンで自らのダンスカンパニー「サシャ・ヴァルツとゲスツ」をヨッヘン・サンドと共に設立しています。


さて、ウラジーミル・マラーホフは、この事態について以下のようにFacebookでコメントしています。

「ベルリン国立バレエにおけるニュースについて、声明を発表したいと思います。

まず、アカデミックでクラシカルな劇場、しかもドイツでの中心的な劇場で、作家性の強い振付を存在させるのは難しいと思っています。ナチョ・ドゥアトはすでに、自分自身の振付作品に重点を置いたカンパニーを作ろうとして、観客の関心を失うという失敗を犯してしまいました。つまりは、動員率の低下と売り上げの減少です。

二つ目に、サシャ・ヴァルツの就任についてです。必要なステップではあるのですが、やはり、振付家のカンパニーとしてしまうことになります。それに、カンパニーが二人の芸術監督で運営できると私は思っていません。

そして三つ目に、アーティストとして私は、リラックスしてクリエイティブな雰囲気を持つことがとても重要だと思っています。この状況、そして特にバレエ団について私は深い懸念を持っています。ダンサーたちが心を強く持ち、辛抱強くあってほしいと願っています。

愛をこめて

ウラジーミル・マラーホフ」

********
今はまだ2016年なのに、ドゥアトをすぐに辞めさせないで2019年まで今の仕事を続けさせるというのが、まず不可解です。ドゥアト自身も相当苦しんでいると思われるのに続けさせるのが気の毒、そんな感じがします。
(ベルリンでは10日後に選挙があるそうで、選挙の前に前向きなことをしたいという市長の政治的な思惑もあったようです)

そして、ドゥアトというコンテンポラリーの振付家のカンパニーにわざわざ替えて失敗したのに、再びこの過ちの轍を踏んでサシャ・ヴァルツという別のコンテンポラリーダンスの振付家に芸術監督をさせるというのは、またもや観客動員やレパートリーの問題に直面させることになるでしょう。ベルリンのバレエの観客は、ドイツの他の都市に比べて保守的だと言われています。ベルリンはコンテンポラリーダンスは非常に盛んな土地柄ですが、だからといってバレエ団がコンテンポラリーを上演しても観客動員に結び付かないのです。

ベルリン国立バレエの看板スターであるヤーナ・サレンコは、今シーズンもロイヤル・バレエにたくさん客演する予定となっています。彼女は一度はロイヤル・バレエへの移籍を打診されたものの、子どもにベルリンでの教育を受けさせたい(そして夫君マリアン・ワルターもベルリン国立バレエのプリンシパル)という理由で固辞しています。しかしながら、ヴァルツの就任によりもっとコンテンポラリー寄りのレパートリーになった場合には、移籍する可能性も出てくるのではないかと思われます。

こちらはブルラーカ復元プティパ/イワーノフ版「くるみ割り人形」、サレンコ、ワルター主演

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サレンコ、ワルター主演のドゥアト振付「眠れる森の美女」のDVD/ Blu-rayも発売される予定です。

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2016/09/07

ミュンヘン・バレエへ入団、移籍したダンサーたち

今シーズンより、ミュンヘン・バレエ(バイエルン州立バレエ)の芸術監督にイーゴリ・ゼレンスキーが就任し、それに伴い27人もの団員が退団しました。

その穴を埋めるダンサーたちが誰なのか、いろいろな噂があったり、またすでに発表されていたりもしていたのですが、ようやくミュンヘン・バレエのウェブサイトに掲載されました。
(他のブログさまでも掲載されている情報ですが、一応念のためにご紹介。U子さまありがとうございます)

https://www.staatsoper.de/en/staatsballett/ensemble.html

以下に挙げるのは、移籍/新入団全員ということではなく、主にロシア系ダンサーと、それ以外の有名ダンサーです。これ以外にも入団者はいると思います。

プリンシパル

Ksenia Ryzhkova (Stanislavsky) クセーニャ・ルシコーワ (モスクワ音楽劇場)  
Maria Shrinkina (Mariinsky) マリーヤ・シリンキナ (マリインスキー・バレエ)
Vladimir Shklyarov (Mariinsky)   ウラジーミル・シクリャーロフ (マリインスキー・バレエ)
Dmitri Sobolevskiy (Stanislavsky) ドミトリー・ソボレフスキー (モスクワ音楽劇場)  
Osiel Gouneo (Norweigian National Ballet) オシール・グーネオ(ノルウェー国立バレエ)

Natalia Osipova (guest) ナタリア・オシポワ
Svetlana Zakharova (guest) スヴェトラーナ・ザハロワ

常任ゲストプリンシパル
Sergei Polunin (permanent guest) セルゲイ・ポルーニン

ファースト・ソリスト

Elisaveta Kruteleva (Bolshoi) エリザヴェータ・クルテリョーワ (ボリショイ・バレエ)
Alexey Popov (Mariinsky)  アレクセイ・ポポフ  (マリインスキー・バレエ)

ソリスト

Tatiana Tiliguzova (Mariinsky) タチアナ・チリグゾワ (マリインスキー・バレエ)
Prisca Zeisel (Vienna State Ballet) プリスカ・ザイセル (ウィーン国立バレエ)

コール・ド・バレエ 
Ekaterina Bondarenko (Mariinsky) エカテリーナ・ボンダレンコ (マリインスキー・バレエ)
Konstantin Ivkin (Mariinsky) コンスタンチン・リブキン (マリインスキー・バレエ)
Anna Nevzorova  (Stanislavsky) アンナ・ネフゾロワ (モスクワ音楽劇場)  
Vladislav Dolgikh  (Stanislavsky) ウラディスラフ・ドルギキ (モスクワ音楽劇場)  
Dmitrii Vyskubenko (Bolshoi Academy) ディミトリ・ヴャシュベンコ  (ボリショイ・アカデミー)
Irina Averina (Bolshoi Academy イリーナ・アヴェリナ (ボリショイ・アカデミー) 
Vera Segova (Vaganova Academy) ヴェラ・セーゴワ (ワガノワ・アカデミー)


マリインスキー・バレエのトップスターであるウラジーミル・シクリャーロフとその妻マリーヤ・シリンキナの移籍はすでに報道されていて皆様ご存知のことかと思います(一応、1年契約の予定)。また、噂されていたのは、モスクワ音楽劇場のドミトリー・ソボレフスキーと、マリインスキー・バレエのアレクセイ・ポポフでした。(マリインスキー・バレエのオクサーナ・スコーリクも移籍の噂がありましたが、結局残留を選んだようです)

モスクワ音楽劇場バレエの芸術監督でもあるゼレンスキーなので、彼のお気に入りのダンサーを連れて行くというのは理解できます。4人ほど移籍させています。ソボレフスキーは、ディアナ・ヴィシニョーワがモスクワ音楽劇場で、ノイマイヤー振付の「タチヤーナ」を踊った時にオネーギン役を踊ったダンサーで、そののち、ヴィシニョーワのマリインスキー・バレエ20周年記念「ジゼル」でアルブレヒト役を踊っていました。長身の美しいダンサーで、モスクワ音楽劇場の来日公演「白鳥の湖」でも主演しています。クセーニャ・ルシコーワも、モスクワ音楽劇場の来日公演で活躍しています。

オシール・グーネオは、昨年の世界バレエフェスティバルでのスーパーテクニックを観た方も多いでしょう。イングリッシュ・ナショナル・バレエの「海賊」にもゲスト出演していました。

エリザヴェータ・クルテリョーワは、ボリショイではコール・ド・バレエではあったものの、モスクワ国際バレエコンクールで銀賞に輝いており、活躍もしていました。アレクセイ・ポポフはマリインスキー・バレエではコリフェで、古典での主役も踊っています。

ウィーン国立バレエから移籍したプリスカ・ザイセルは、今年のヴァルナ国際コンクールと上海国際コンクールに出場し、上海では賞も受賞しています。

ヴェラ・セーゴワ
は、WOWOWで放映されたワガノワ・アカデミーの「ワガノワ 名門バレエ学校の秘密~くるみ割り人形への110日」のドキュメンタリー番組で取り上げられていました。子役で主演していた彼女は優秀な生徒で、クララ役も踊る予定でしたが、直前に出演したガラ公演の出来が悪くて直前に降板させられたというものです。ワガノワの来日公演では、雪の女王役などで活躍していましたが、マリインスキー・バレエには入団せず、その行方を多くの人が気にしていたものです。

そのほかの入団するダンサーも、多くは、カンパニーでの活躍が期待されていたり、バレエ学校でも特に優秀だとされていた生徒でした。マリインスキー・バレエからは6人も移籍するので、大きな損失ではあるのは間違いありません。

一方、ゼレンスキーは、ロシア系を中心になかなかの強力なダンサーたちを手に入れました。もしかしたら、ミュンヘン・バレエは大化けするかもしれません。

また、ゼレンスキーが庇護してきたセルゲイ・ポルーニンがパーマネント・ゲスト・プリンシパルとなっているので、かなり頻繁に出演するのではないかと思われています。『スパルタクス』がレパートリー入りするので、そこで踊るのは間違いないと言われているようです。

9月23日にミュンヘン・バレエのシーズンは明けますが、開幕は「ジゼル」です。未だキャストは発表されていませんが、ナタリア・オシポワとセルゲイ・ポルーニンになるのではないかともっぱらの噂です。→(追記:やはり初日はオシポワとポルーニン主演と発表されました)

今後、ミュンヘン・バレエがどうなっていくのはかは、大きく注目されていくことでしょう。

オニール八菜さんのNEWS ZEROへの出演は9月13日

8月30日に予定されていた、パリ・オペラ座バレエのプルミエ・ダンスーズ、オニール八菜さんのNEWS ZEROへの出演は、台風上陸のため延期され、9月13日(火曜)となったようです。

京都バレエ団のサイトより
http://www.kyoto-ballet-academy.com/a_ballet.php?pg_now=1#a_ballet1472202633

9月13日(火) PM11:00- 日本テレビ 「ニュースZERO」 2016年7月24日(日)にロームシアター京都で行われた 京都バレエ団公演「ドン・キホーテ」で主演を務めたオニール・八菜さんが日本テレビ「ニュースZERO」へ出演されます。 女優の桐谷美玲さんと対談する「マイジェネレーション」というコーナーです。 当バレエ団公演の「ドン・キホーテ」舞台の様子も放映されます。 是非、ご覧ください!

2016/09/06

映画「ハートビート」High Strung

元マリインスキー・バレエのキーナン・カンパが主演した映画「ハートビート」を観てきました。

http://heartbeat-movie.jp/

ニューヨーク。プロのバレエダンサーになるために上京してきたルビーは、ある日、生活の為に地下鉄で演奏するイギリス人バイオリニストのジョニーと出会う。二人は徐々に惹かれ合っていくが、自分が思い描くようなダンスが出来ないルビーは、ルームメイトのジャジーと共に、奨学金の資格剥奪のピンチに直面する。一方、ジョニーは大切なバイオリンを盗まれた上、グリーンカード詐欺に遭い、不法滞在で強制送還の危機に陥ってしまう。崖っぷちの二人は、ヒップホップダンスチーム“スイッチ・ステップス”を誘い、お互いの夢を叶える為、“弦楽器&ダンスコンクール”に出場することになるが・・・。

ストーリー展開としては、ご都合主義のところもあるのだけど、この映画はダンスシーンをきちんと作っていて、出演しているダンサーも一流のダンサーばかりだったので、ダンスシーンが本格的でとても見ごたえがあった。バレエ好き、ダンス好きの方なら間違いなく楽しめる作品だと思う。中でも素晴らしい出来だと思ったのは、序盤のニューヨークの地下鉄の駅でのダンスバトル。ここは完全にヒップホップチームの対決なのだけど、撮影もダンスもぐいぐい迫ってくる迫力があってカット割りも上手い。ギャングか工事の作業員か?というイイ顔をした人たちが、いきなりキレキレのダンスをし始めて周囲も巻き込まれていくのだ。振付もとてもスタイリッシュ。地下鉄の駅でこんな撮影ができるというのもさすがニューヨーク。普段ストリートダンスはあまり見慣れていなくても、これを見るとやはり凄い人は凄い、と思う。

そのほか、セレブレティを集めた上品な資金集めパーティがセクシーなタンゴからいきなりヴァイオリン対決となり、ウェイターを務めていたストリートダンサーたちも乱入するところもスリリングだったし、クライマックスのコンクールのシーンも、ヴァイオリンとクラシックバレエのクールさに、熱いストリートダンスが巧みにマッシュアップされていた。

バレエのシーンも本格的で、キーナン・カンパはマリインスキー・バレエでコリフェとして活躍し、「ドン・キホーテ」では主演もしているほどなのでクラシック・バレエの技術は折り紙付き。ソノヤ・ミズノも、ロイヤル・バレエスクール出身でドレスデン・バレエ、スコティッシュ・バレエで踊っていたプロ。さらに、バレエ学校のシーンはルーマニア国立バレエで撮影されているので、レッスンのシーンで踊っているのは全員プロのダンサー。当時ルーマニア国立バレエのプリンシパルだった日高世菜さんが華麗なグランフェッテを見せるところもしっかり映っている。コンクールのシーンでも、出場者の中にルーマニア国立バレエのプリンシパル、ロバート・エナシェがいて踊っていた。

ヒップホップダンサーも、アメリカン・ダンスアイドルに出演していたダンサーや、66万人もYouTubeチャンネルに登録しているイアン・イーストウッド、B-Boyの伝説的な存在であるFlipzといった有名どころを“スイッチ・ステップス”のメンバーとして揃えているので、本格的なダンスを見せてくれる。

キーナン・カンパ演じるルビーの名前の由来は、バランシンの「ジュエルズ」から母親が名付けたという設定。アイリッシュ・パブで盛り上がったルビーたちがテーブルの上で踊るのは、「白鳥の湖」の四羽の小さな白鳥の踊り(アイリッシュアレンジ)で、こんなシーンでもしっかりとダンサーたちはクラシカルに踊っている。ルビーが、クラシック・バレエは得意だけどコンテンポラリーダンスが苦手なため、奨学金を打ち切られる危機に瀕するという設定はなかなか説得力があるし、コンテが苦手な彼女がヒップホップとの共演に挑戦するという逆説的な展開が面白い。

コンテンポラリーダンスのクラスの教師を演じるのは、自身もかつてバレエを学んでいた往年の名女優ジェーン・シーモアで、彼女が製作総指揮を務めている。共同脚本のジャニーン・ダミアンも元プロのバレエダンサーでミシシッピ・バレエ・シアターでプリンシパルを務めていたというので、バレエ関連の設定はとてもしっかりと作られている印象。序盤、ニューヨークに到着したルビーがタクシーの窓からから見上げると、ナショナル・バレエ・オブ・カナダのプリンシパル、ユルギータ・ドロニナが大写しになったゲイナー・ミンデンのポスターがあるというところからも、雰囲気作りが達者だ。

ヒロインのキーナン・カンパは踊りとプロポーションは美しいもののキャラクターがちょっと弱いというか、予想通りの行動をする感じだけど、それはやはり映画出演一本目で演技に不慣れなところがあるからだろう。その分、「エクス・マキナ」のAIキョウコ役で一言も話さないものの強烈な存在感があったソノヤ・ミズノは、演じたジャジーが跳ねっ返りのキャラクターということもあったけど魅力的だった。ルビーと恋に落ちるヴァイオリン奏者ジョニー役のニコラス・ガリツィンは憂いのある美青年で、これから人気が出そう。登場シーンからして上半身裸でヴァイオリンを弾いてしまうのだから憎い。ロシア人バレエ教師クラムロフスキー役のポールフリーマン(ナチスの強制収容所帰りという設定)も、こんな先生いるよね、というイメージでいい演技を見せてくれた。

アカデミックな教育を受けていないジョニーが、コンクールでエリート学校の優等生に勝てるのか、とか、彼がグリーンカード詐欺の捜査で足止めを食らってギリギリまで来ないけど間に合う、といったお約束の展開や突っ込みどころはあるけれども、とにかくダンスとダンサーが素晴らしいので、観ていてとても楽しめる。深く考えなくて、スカッとする爽快なダンス映画を観たい人にはお勧め。

監督マイケル・ダミアン
ルビー・アダムス キーナン・カンパ
ジョニー・ブラックウェル ニコラス・ガリツィン
ジャジー ソノヤ・ミズノ
オクサナ ジェーン・シーモア
クラムロフスキー ポール・フリーマン
原題 High Strung
製作年 2016年
製作国 アメリカ・ルーマニア合作

2016/09/05

二山治雄さん、ワシントン・バレエに入団

2014年にローザンヌ国際コンクールで1位、同年のYAGPでは金賞に輝いた二山治雄さん。スカラシップでサンフランシスコ・バレエスクールに留学して卒業、サンフランシスコバレエの研修生として採用されることになりましたが、高校を卒業するためにいったん帰国し今年3月に卒業。その後様々な公演に出演していました。

今年の夏、二山さんは、パリ・オペラ座バレエの外部入団試験に挑戦したり、ヴァルナ国際コンクールに出場したりと精力的に活動しました。ヴァルナ国際コンクールでは賞は受賞しませんでしたが、過酷なコンクールでファイナリストとなりました。そして8月7日には、横浜バレエフェスティバルの『ラ・シルフィード』などで華麗な踊りを披露してくれました。

こちらの信濃毎日新聞に記事があります。

二山さん、夢のプロに 米バレエ団へ月内渡航
http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20160903/KT160902FTI090013000.php


海外でのプロダンサーの夢が実現へ―。2014年のスイス・ローザンヌ国際バレエコンクールで優勝した二山治雄さん(19)=松本市=が、米国のバレエ団に入ることが2日、分かった。9月中旬にも渡米する予定という。

 所属する白鳥バレエ学園(長野市)は、本人が入国に向けて準備中とし、「入団先は近く公表する」としている。同学園によると、米国のバレエ関係者の推薦がきっかけとなり、7月に入団内定の連絡があった。

そしてTwitterで教えていただいたのですが、二山さんの入団先はワシントン・バレエのようです。ワシントン・バレエのスタジオカンパニーのところに、二山さんの名前と写真があります。
https://www.washingtonballet.org/studio-company-dancers/haruo-niyama

ワシントン・バレエはこのシーズンより、ABTの元プリンシパルで大スターだったジュリー・ケントが芸術監督に就任し、夫君で元ABTのバレエ・マスターのヴィクター・バービーが副芸術監督に。さらにワシントン・バレエスクールの校長には、やはり元ABTプリンシパルのシオマラ・レイエスが就任しました。教師陣には、バリシニコフと共演したことでも有名なエレイン・クドウがいます。ジュリー・ケントが就任したことで、レパートリーも古典と現代作品のバランスの取れた魅力的なものとなりました。

また、ワシントン・バレエには、今シーズンより、やはり世界的に活躍しているスターである、キューバ出身のローランド・サラビアが移籍しました。日本人ダンサーも、ジャクソン国際コンクールで銀賞を受賞した宮崎たま子さん、プリンシパルの大貫真樹さん、先日開催されたチャコット主催の吉田都x堀内元「Ballet to the Future」に出演した木村綾乃さんがいます。また、ヴァルナ国際コンクールで金賞を受賞し、ENBの「海賊」パリ公演にゲスト出演もしたブルックリン・マックもこのカンパニーの所属です。

これからのアメリカでの二山さんの活躍が楽しみですね。

追記:新聞にも入団の記事が掲載されました。

二山さん「ワシントン・バレエ」へ 入団内定 今月中旬に渡米(信濃毎日新聞)
http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20160905/KT160905FSI090003000.php

ローザンヌ優勝、二山治雄さんが米バレエ団へ
http://www.yomiuri.co.jp/culture/20160905-OYT1T50044.html


なお、二山さんは、NBAバレエ団の「Stars and Stripes」公演に出演します。
http://www.nbaballet.org/performance/2016/breakthemold/index.html

ジョージ・バランシンの『スターズ&ストライプス』全編を日本のバレエ団として本邦初公演するもので、さらに平山素子さんの新作、アメリカを中心として世界的に活躍する振付家ダレル・グランド・ムールトリーの新作のトリプルビルです。二山さんは、『スターズ&ストライプス』と、平山素子作品に出演する予定です。

2016年12月3日(土)
   開場10:30・開演11:00
   開場14:30・開演15:00
2016年12月4日(日)
   開場13:30・開演14:00
彩の国さいたま芸術劇場

お問い合せ・電話予約:
NBAバレエ団事務局(月~金10:00~17:00)
TEL:04-2937-4931

平山さんの新作をリハーサル中の二山さん

9/12 (9/11深夜)エトワール・ガラ2016 放映

エトワール・ガラ2016がNHK-BSプレミアムのプレミアムシアターで放映されることは皆さまご存知かもしれませんが、来週の放映となりましたので、念のためにお知らせをしておきます。

今年8月に来日したパリ・オペラ座のエトワールたちによる、ロマンティック・バレエのハイライトから、日本初演のコンテンポラリー作品まで、美の至芸をお届け。出演:バンジャマン・ペッシュ、エレオノラ・アバニャート、ドロテ・ジルベール、マチュー・ガニオ他

3キャストで3場面が演じられたヌレエフ版「ロミオとジュリエット」など、とても素晴らしかったこの公演をテレビでも観ることができるのは嬉しいですよね。

http://www4.nhk.or.jp/premium/

9月12日(月)【9月11日(日)深夜】午前0時00分~4:00

◇エトワール・ガラ2016

<演 目>
「ランデヴー」
振 付 ローラン・プティ
音 楽 ジョゼフ・コスマ

1.「ラ・シルフィード」から
振 付:オーギュスト・ブルノンヴィル
音 楽:ヘルマン・レーヴェンショルド
出 演:レオノール・ボラック
ジェルマン・ルーヴェ

2.「ランデブー」
振 付:ローラン・プティ
音 楽:ジョゼフ・コスマ
出 演:アマンディーヌ・アルビッソン
バンジャマン・ペッシュ


3.「See」<日本初演>
振 付:大石裕香
音 楽:「アリーナのために」、「鏡の中の鏡」から
アルヴォ・ペルト 作曲
出 演:シルヴィア・アッツォーニ
アレクサンドル・リアブコ

4.「ロメオとジュリエット」
第1幕から「マドリガル」
「バルコニーのパ・ド・ドゥ」
第3幕から「寝室のパ・ド・ドゥ」
振 付:ルドルフ・ヌレエフ
音 楽:プロコフィエフ
出 演:レオノール・ボラック、ジェルマン・ルーヴェ(マドリガル)
ドロテ・ジルベール、ユーゴ・マルシャン(バルコニーのパ・ド・ドゥ)
アマンディーヌ・アルビッソン、マチュー・ガニオ(寝室のパ・ド・ドゥ)

5.「病める薔薇(ばら)」から
振 付:ローラン・プティ
音 楽:「交響曲 第5番 第4楽章」
マーラー 作曲
出 演:エレオノラ・アバニャート
オードリック・ベザール

6.「人魚姫」第1幕から パ・ド・ドゥ
振 付:ジョン・ノイマイヤー
音 楽:レーラ・アウエルバッハ
出 演:シルヴィア・アッツォーニ
アレクサンドル・リアブコ

7.「それでも地球は回る」<女性版世界初演>
振 付:ジョルジオ・マンチーニ
音 楽:歌劇「バヤゼット」から「私は妻としてさげすまれ」
ヴィヴァルディ 作曲
出 演 :アマンディーヌ・アルビッソン

8.「With a Chance of Rain」から<日本初演>
振 付:リアム・スカーレット
音 楽:「10の前奏曲 変ト長調 作品23」から 第5、第6曲
「幻想的小品集 変ホ短調 作品3」から 第1曲「エレジー」
ラフマニノフ 作曲
出 演:ドロテ・ジルベール、マチュー・ガニオ
ローラ・エケ、オードリック・ベザール
久山亮子(ピアノ)

9.「ル・パルク」から「解放のパ・ド・ドゥ」
振 付:アンジュラン・プレルジョカージュ
音 楽:「ピアノ協奏曲 第23番 K.488 第2楽章」
モーツァルト 作曲
出 演:エレオノラ・アバニャート
バンジャマン・ペッシュ

<出 演>
バンジャマン・ペッシュ
エレオノーラ・アバニャート
アマンディーヌ・アルビッソン
ドロテ・ジルベール
ローラ・エケ
マチュー・ガニオ
レオノール・ボラック
オードリック・ベザール
ユーゴ・マルシャン
ジェルマン・ルーヴェ
シルヴィア・アッツォーニ
アレクサンドル・リアブコ

久山亮子(ピアノ)

収録:2016年8月5、6日 Bunkamuraオーチャードホール

収録日と演目から、これはBプロのようですね。

また、再放送になりますが、英国ロイヤル・バレエ・ガラも放映されます。

◇英国ロイヤル・バレエ・ガラ
<演 目>
1.「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」
振 付:ジョージ・バランシン 音 楽:チャイコフスキー
出 演:ヤーナ・サレンコ
スティーヴン・マックレー

2.「牧神の午後」
振 付:ジェローム・ロビンス 音 楽:ドビュッシー
出 演:サラ・ラム
ワディム・ムンタギロフ

3.「ヴィサラ」
振 付:リアム・スカーレット 音 楽:ローウェル・リーバーマン
出 演:ラウラ・モレーラ
マリアネラ・ヌニェス
平野 亮一
崔 由姫(チェ・ユヒ) ほか

4.「カルメン」
振 付:カルロス・アコスタ 音 楽:ビゼー/マーティン・イェイツ
出 演:マリアネラ・ヌニェス(カルメン)
カルロス・アコスタ(ドン・ホセ)
フェデリコ・ボネッリ(エスカミーリョ)
マシュー・ゴールディング(運命)
トーマス・ホワイトヘッド(スニーガ)

英国ロイヤル・バレエ団

<合 唱>コヴェントガーデン王立歌劇場合唱団
<管弦楽>コヴェントガーデン王立歌劇場管弦楽団
<指 揮>エマニュエル・プラッソン(1~3)
マーティン・イェイツ(4のみ)

収録:2015年11月12日 コヴェントガーデン王立歌劇場(イギリス ロンドン)

このガラはDVD化されています。

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2016/09/04

8/27、28 牧阿佐美バレヱ団 『飛鳥』

新制作/世界初演 飛鳥 ASUKA

牧阿佐美バレヱ団創立60周年記念公演-Ⅶ  
新制作/世界初演 飛鳥 ASUKA

改訂演出・振付 牧阿佐美 (「飛鳥物語」1957年初演台本・原振付:橘秋子)
音楽 片岡良和 
音楽監督:福田一雄
美術監督 絹谷幸二
映像演出 ZERO-TEN
照明デザイン 沢田祐二
衣装デザイン 石井みつる
指揮 デヴィッド・ガルフォース
演奏 東京フィルハーモニー交響楽団

http://www.ambt.jp/perform.html

Asuka

春日野すがる乙女 スヴェトラーナ・ルンキナ
岩足 ルスラン・スクヴォルツォフ
竜神 菊地 研

竜面の踊り 織山万梨子(28日)、米澤真弓(28日)、須谷まきこ(27日)、太田朱音(27日) 清滝千晴
竜剣の舞 青山季可
五色の布奉納舞 日高有梨 中川郁(27日) 高橋万由梨(28日) 成澤ガリムーリナ・マイカ
献舞使 逸見智彦、森田健太郎、塚田渉、京當 侑一籠
黒龍 佐藤かんな(27日) 茂田絵美子(28日)
雄竜(竜神の使い) ラグワスレン・オトゴンニャム

青竜 茂田絵美子(27日) 佐藤かんな(28日) 田切眞純美 三宅里奈
紅竜 織山万梨子(27日) 阿部裕恵(27日) 須谷まきこ(28日) 太田朱音(28日) 清滝千晴
銀竜 日高有梨 ラグワスレン・オトゴンニャム
金竜 青山季可


牧阿佐美バレヱ団の『飛鳥』は、バレエ団設立の翌年である1957年4月に橘秋子が振付け、その後幾たびか改訂されていった「飛鳥物語」をベースとしている。プログラムに、かなり詳しい上演の歴史と、どのように変更されていったかの記述があるが、「飛鳥物語」直近の上演である1986年版からどのような変更が加えられたのかは、明らかではない。片岡良和氏が1962年に作曲を行い、そして1976年に牧阿佐美が新しい演出振付を行ったということである。今回は、日本を代表する洋画家、絹谷幸二氏が本作のために作品「飛鳥に寄せて」を制作し、これを基にしたプロジェクションマッピング映像演出を行ったというのが大きな新機軸だ。

いにしえの都、大陸との交流盛んな国際都市・飛鳥。美(芸術)と権威の象徴である竜神を祀るお宮に仕える舞女たちの中で、春日野すがるをとめは一番の舞の手で大変美しい乙女でした。すがるをとめは竜神へ舞を奉納する栄誉を与えられますがそれは即ち、竜神の妃となり、二度と再び地上に戻ることは出来ないということ。すがるをとめは終生を芸術の神に仕えようと心に決めるのでした。一方、幼なじみの岩足(いわたり)は、美しく成長したすがるをとめの舞を見て思いを抑えらず、こぶしの花を差し出し愛の心を伝えますが、すがるをとめの決意は変わらず、竜神と共に昇天してゆきました。しかし竜の棲む深山に咲くこぶしの花を見つけると不意に、岩足への激しい慕情にかきたてられます……。


牧阿佐美バレヱ団が、自らのルーツを大事にして日本を題材にした作品を新制作し、美術などにも大変お金をかけて上演したのは英断である。片岡良和による音楽は、ハチャトゥリアンの影響を大きく受けているようだで、特に2幕の雄竜たちの群舞では、まるで「スパルタクス」を観ているようだったが、牧阿佐美氏が音楽の素晴らしさが新制作をしようと思ったきっかけだとパンフレットで語っているだけのことはある。スケールが大きくて変化に富み、初演の時に使っていたという雅楽を意識した東洋風の旋律も取り入れてよくできた音楽だ。

1962年版では3幕だった作品が、今回は2幕というシンプルな構成となった。1幕は、すがる乙女が竜神に舞を奉納して見初められ、岩足がこぶしの花を捧げるところまで。2幕は、竜の棲む山の中で王冠を受けて竜妃となったすがる乙女が、黒竜の嫉妬を逃れるものの、岩足を思い出して彼への想いを募らせるところから幕切れまでを描いている。1幕が人間の世界、2幕が竜たちの世界を中心に描いているというわけである。そのような地上と天上という世界観は、「ジゼル」や「ラ・バヤデール」に少し似ている感じがする。

人間の世界の中では、里の娘たちや男たちから女官や豪族たちまで登場し、華麗で繊細な衣装をまとったダンサーたちによる様々な踊りが展開される。日本的なモチーフを巧みにそして違和感なくバレエの衣装に取り込んでいるところが見られた。踊りの種類もバラエティに富んでおり、生き生きとしてエキゾチックな竜面の踊り、五色の布を使っての奉納舞や、重々しい宮廷舞踊をベテラン男性ダンサーたちが踊る献舞使の踊りなどは楽しめた。

ところが、2幕の竜たちの世界になると、ストーリーの部分は黒竜がすがる乙女に嫉妬し、竜王とすがる乙女の間に割って入ろうとするところと、終盤のすがる乙女が岩足を想い、そして結末まで至るところのみとなり、それ以外は本筋とあまり関係のないディヴェルティスマン大会となってしまう。人間の世界での衣装は美しかったのに、竜たちの衣装といえば、白いユニタードにヴェールがついているのみだ。牧阿佐美バレエ団のダンサーたちはみなスタイルがとても美しいので似合ってはいるのだが、ディヴェルティスマンの振付のバリエーションもあまりないうえ、竜たちに色の名前がついているけどヴェールに薄くその色が使われているだけで、区別もつきにくい。もう少し竜らしく見せる工夫をしてほしかったと思う。

また、ディヴェルティスマンも長すぎるように思えた。ダンスを通じて物語の風景を語ることについて、牧阿佐美氏はあまり得意ではないようだ。2幕のディヴェルティスマンがあまりに長いのに対して、物語の展開の部分が少なすぎる。また、1957年初演の作品なので致し方ないところだが、運命に立ち向かうことなくただ流されるヒロインを中心に据えた作品というのは、現代に上演するには人物像があまりに古い感じがする。キャラクター造形としては、竜王を愛しているが故にすがる乙女に歯向かう敵役の黒竜のほうが生き生きとしていて魅力的ですらある。

映像演出については、時々背景が目立ちすぎてしまうことはあったものの、派手な色彩を使った竜の絵は迫力があってドラマティックだった。竜の棲む世界を表す滝や雲などの山水画的な美術、故郷を懐かしむすがる乙女の脳裏に浮かぶ古都奈良の風景との対比も良い。初日は3階正面、二日目は1階やや前方で観たのだけど、3階席だと上部が少し切れてしまったし、サイドから見ていた人からは少し見づらいところがあったようだ。反面、上から見ると、こぶしの花を照明で表現していたり、映像の魔術師である沢田祐二氏による照明効果がとても美しいのだけど、1階からだとその効果は減ってしまう。プロジェクションマッピングは、舞台装置が場所を取らないということもあるので、ツアー公演にも持っていきやすく、これからきっとこのような演出は増えることだろうが、もう少し工夫の余地がある。

今回のゲストダンサーは、2月の「白鳥の湖」に続き、スヴェトラーナ・ルンキナとルスラン・スクヴォルツォフ。リリカルで繊細さのあるルンキナは、ロシア人ながら東洋の美を体現できていて適役だった。プロポーションの美しいダンサーが多い牧阿佐美バレヱ団の中にあっても、ひときわ抜きんでている存かい在で、竜王が選んだ相手にふさわしい。踊りには儚さの中にも確固たる技術によって凛とした強さがあり、神に身を捧げた女性らしさがある。ストイックな彼女が、不意に幼馴染の岩足を思い出して切ない想いにとらわれるものの、その想いはついに遂げられない、そんな悲痛さが伝わってくるエンディングは心を打った。高い精神性を感じさせる踊りと演技は、彼女の内面の成熟を物語っている。

ルスラン・スクヴォルツォフは、猟師の息子を演じるにはノーブルすぎる感じはあったが、端正な踊りはさすがボリショイのプリンシパルで、その端正さの中にも情熱は込められていた。1幕のソロの踊りはまるで「白鳥の湖」の王子のよう。ルンキナとはベストパートナーでパートナーリングも見事だった。終盤は、まるでマクミランの「ロミオとジュリエット」の墓場のシーンか、「マノン」の沼地を思わせた演出だったので、彼の深い嘆きも伝わってきた。1幕ではソロがあったりかなり踊るものの、2幕は最後の15分くらいしか出番がないのが惜しかった。

竜王の菊地研は、スクヴォルツォフと比べると線は細いけれど、カリスマ性を感じさせて踊りも安定。ルンキナとのパ・ド・ドゥもしっかりこなした。黒竜は佐藤かんなと茂田絵美子のダブルキャストで、二人ともいわば悪役であるこの役を魅力的に演じてキャラクターに命を吹き込んでいた。

ディヴェルティスマンでの踊りでもったいないのだけど、青山季可のソロはやはり圧倒するような華があるし、1幕の竜面の踊り、2幕の紅竜とパ・ド・トロワで活躍した清滝千晴の胸のすくような跳躍と美しい足先はいつ見ていても眼福である。27日の紅竜では、新入団の阿部裕恵のしなやかな踊りも観られて嬉しかった。

いろいろと注文はあるものの、バレエ団のレベルは総じて高かったし、この作品のために作曲された音楽もとても素晴らしいので、バレエ団の財産として改訂を加えながらレパートリーとして練り上げていってほしいと感じた。日本的なエキゾチシズムは外国人にも受ける要素がある。今回は、2公演のみで両公演ともゲスト主演だったけど、できれば日本人キャストでもう一日公演ができたら良かったのだが。


2016/09/02

ブカレスト歌劇場バレエ(ルーマニア国立バレエ)の芸術監督に、レナート・ツァネラが就任

ヨハン・コボーの芸術監督解任騒動などで揺れ、ルーマニアの文化大臣まで辞任する事態になったブカレスト歌劇場バレエ(ルーマニア国立バレエ)。新しい芸術監督が決まりました。

ウィーン国立バレエの芸術監督を務め、振付家としても著名なレナート・ツァネラが芸術監督に就任すると、自らのFacebookで発表しています。
https://www.facebook.com/zarballet

レナート・ツァネラはイタリア出身でロゼラ・ハイタワー・スクールに学び、バーゼル・バレエを経て1985年にシュツットガルト・バレエに入団しました。振付の才能を発揮し当時のマリシア・ハイデ芸術監督によって、シュツットガルト・バレエの常任振付家に任命されます。

1995年にウィーン国立バレエの芸術監督に34歳で就任し、2005年まで芸術監督を務めました。ウラジーミル・マラーホフのために振付けた「ヴォヤージュ」は、今もマラーホフがよく踊っていて彼の代表作の一つといえます。また、ガラ公演でよく踊られる「アレス・ワルツ」や、マニュエル・ルグリも踊った「エンジェル」を観た方も多いと思います。

また、ツァネラは、ウィーン・フィルのニューイヤーコンサートのバレエシーンの振付も何度か手掛けており、来年(2017年)のニューイヤーコンサートでも、彼の振付作品が踊られる予定です。(なお2017年のニューイヤーコンサートでは、一部は録画ではなく生でバレエが踊られる予定です。指揮はグスターボ・ドゥダメル)
http://www.ots.at/presseaussendung/OTS_20160830_OTS0088/neujahrskonzert-der-wiener-philharmoniker-2017-orf-ballettdreh-erstmals-in-hermesvilla

ウィーン国立バレエ芸術監督を退任後は、2011年から2015年までギリシャ国立バレエの芸術監督を務めました。2013年から2015年には、アリーナ・デ・ヴェローナのバレエ芸術監督も務めていました。さらに、ウィーン国立歌劇場、チューリッヒ・オペラ、アリーナ・デ・ヴェローナなどで多くのオペラ作品のバレエシーンの振付を手掛けています。

芸術監督としての経験も豊富で、150作品以上の振付作品があるツァネラは、実力者であることは間違いありません。しかし、この騒動もありブカレスト歌劇場バレエのダンサーは大量に退団し、以前から大きな問題であった劇場の金銭問題など課題が山積しています。伝統あるこの劇場を立て直してくれることを期待します。

ブカレスト歌劇場バレエ(ルーマニア国立バレエ)での騒動についての記事はこちら
http://dorianjesus.cocolog-nifty.com/pyon/2016/05/post-8f92.html

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