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2016/09/27

ENB(イングリッシュ・ナショナル・バレエ)のアクラム・カーン振付『ジゼル』

ENB(イングリッシュ・ナショナル・バレエ)は、アクラム・カーンが振り付けた新作『ジゼル』を初演しました。9月23日のマンチェスター公演がプレビューで、正式な初演は9月27日となります。

http://giselle.ballet.org.uk/

アクラム・カーンが、全幕のバレエ作品を振付けるのは初めてのことです。その前に、彼はENBのトリプルビル「Lest We Forget」の中の1作品「Dust」を振付けて、数々の賞に輝きました。音楽は、アドルフ・アダンの原曲をVincenzo Lamagnaが編曲。映画『グリーン・デステニー』を手掛けた Tim Yipが衣装と舞台装置をデザインしています。

ストーリーが大変ユニークなものとなっています。(ドラマトゥルグにはRuth Little)


<あらすじ>
1幕
ジゼルは、アパレルの工場で働く移民労働者のコミュニティの一員。工場が閉鎖されて職を失った彼らは、高い壁によって、生活の基盤や安全を求める希望からも切り離されている。これら移民労働者は流民として、工場の地主たちにエキゾチックな娯楽を提供する存在となっている。1幕では、裕福なアルブレヒトは恋人ジゼルを訪ねるため、流民の一員を装う。だが、彼の存在は、ジゼルを愛するヒラリオンによって気づかれる。ヒラリオンは、地主たちと取引をして流民たち、そして自身のために変幻自在のフィクサーとして暗躍している。

アルブレヒトのジゼルへの求愛は、予期せぬ地主たちの到着によって遮られる。地主たちの中に婚約者バチルドを見つけたアルブレヒトは、隠れようとする。ジゼルは、バチルドの美しいドレスは自分たちが働いている工場の製品であることを認識する。流民たちは、地主たちのために踊るが、アルブレヒトとヒラリオンが争い始めて中断する。バチルドの父は、アルブレヒトにバチルドの元、そして自分たちの世界に戻るようにと言う。それに同意してバチルドのところに戻ろうとするアルブレヒトを見て、ジゼルは悲しみのあまり狂ってしまう。地主たちの命令で流民たちはジゼルの周りで踊る。人々が散り散りになった時に、ジゼルは倒れてこの世を去っていた。地主たちはジゼルの死への責任を否定し、壁の向こうへと去っていく。

2幕
壊れて廃墟となった幽霊屋敷のような工場が現れる。ここでジゼルや同僚の女性たちが働き、その多くが死んでいった場所だ。ここでアルブレヒトはジゼルの死を悲しみ、地主たちに面と向かって非難する。

ここではウィリたちは、工場労働者の幽霊であり、生前のひどい扱いに対して復讐を誓っている。ウィリの女王であるミルタが現れ、アルブレヒトを追い払う。ジゼルの遺体から彼女の魂を死の世界へと呼び寄せ、情け容赦ないウィリたちの一員として迎える。

ヒラリオンはジゼルの墓前に彼女を弔うためにやってくる。ウィリたちは彼を取り囲みジゼルの死に対して報いを要求し、彼は残酷に殺戮される。

アルブレヒトは戻ってきてジゼルの存在に気が付く。恋人たちは生と死のはざまでめぐり合う。暴力の輪の中に分け入り、ミルタの命令に背いたジゼルはアルブレヒトを赦し、生の世界へと解放する。ウィリたちはジゼルと離れ、上流階級から追放されて流民となったアルブレヒトは、壁の横で一人取り残される。


予告編のあまりのインパクト。これはとてつもない作品のようです。

公式サイトのビデオダイアリーのインタビューでタマラ・ロホが語っているのは、この「ジゼル」は、ジゼルの愛と赦しを描いているだけでなく、社会的な状況の下で人はどう生きるのか、何を選択するのかということがテーマになっているということです。そしてアクラム・カーンは、現代における移民問題も同時にテーマとして、持てる者と持たざる者との摩擦も描いていると語っています。2幕は廃工場が舞台となっているのも、より経済的な効率を求めより賃金の安いところに工場が移転していった結果、元の工場が打ち捨てられて記憶を引き継ぎながら幽霊となり、同時にそこで働いていた人々も棄民となっていく現代社会を描いているとのこと。
劣悪な労働条件で多くの労働者が亡くなっている、バングラデシュ(アクラム・カーンはバングラデシュをルーツとしている)などのアパレル工場のことも念頭に置かれていることでしょう。

すでにプレビュー公演の感想がバレエフォーラムを賑わせていますが、まぎれもない傑作であるとのことです。近いうちに批評も出ることでしょう。

キャストは、初演キャストのジゼル役はタマラ・ロホ。ほかにアリーナ・コジョカル、フェルナンダ・オリヴェイラというリード・プリンシパルがジゼルを演じているのですが、注目は、ファーストアーティストで若手ダンサーのマディソン・キースラーも抜擢されていること。また、ヒラリオン役で、9月29日と10月1日の公演に、オスカー・シャコンがゲスト出演します。なお、オスカー・シャコンは8月末でベジャール・バレエ・ローザンヌを退団しているとのことです。


これは何をおいても観たい作品の一つ。マンチェスター公演を皮切りに、ブリストル、サザンプトン、そしてロンドンのサドラー・ウェルズ劇場と国内ツアーが行われますが、現在すべてのチケットが売り切れているとのことです。

イングリッシュ・ナショナル・バレエ(ENB)は来年来日公演が予定されていますが、演目は「海賊」と「コッペリア」。せっかくなら、この「ジゼル」が観たいですよね。

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<追記>
Guardian紙でのレビューは4つ星。いくつか修正すべき点はあるものの、特に視覚的には素晴らしく、力強い傑作であると絶賛されています。
Giselle review – Akram Khan's bewitching ballet is magnificently danced
https://www.theguardian.com/stage/2016/sep/28/giselle-review-akram-khan-english-national-ballet

Dance Europe誌の写真アルバム
http://www.danceeurope.net/gallery/giselle-ch-akram-khan-enb

ENBオフィシャルサイトでの写真アルバム
http://giselle.ballet.org.uk/photography/production-images

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