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« 8/7 横浜バレエフェスティバル2016 | トップページ | クラシカ・ジャパン9月に「ルドルフ・ヌレエフ~Dance to Freedom~」とスティーヴン・マックレーのインタビュー放映 »

2016/08/20

7/21、22(朝)新国立劇場バレエ団『こどものためのバレエ劇場「白鳥の湖」』

公演から日数が経ってしまったけど、大変優れた公演だったのでご紹介します。

http://www.nntt.jac.go.jp/ballet/kids-swan/

子ども向けに、『白鳥の湖』をわかりやすく構成した作品。といっても、基本的な作品の骨格はそのまま残しており、いくつかの場面を省略したり、幕の前にナレーションを挿入した程度の変更であり、子どもっぽい作品にはなっていない。ベースは、現在の牧阿佐美振付版ではなく、その前に上演されていたセルゲイエフ版で、衣装もセルゲイエフ版のものを使用しているようだ。

具体的な変更箇所としては、1幕をかなり短縮していてパ・ド・トロワや道化のソロがないこと。ワルツもとても短い。2幕は、大きな白鳥のヴァリエーションと、オデットのヴァリエーションの省略。3幕は、ディヴェルティスマンがスペインとナポリのみでチャルダッシュなどを省略。4幕はオデットが出てくるまでの前半部の省略。ストーリーに関係のない部分が省略されているというわけだ。その分、オデット役のダンサーがあまり休む場面がなくて大変そうである。

パ・ド・トロワやオデットヴァリエーションがないのは少し残念だけど、多くの人が退屈だと感じる1幕が短くされていて、2幕はそれほど省かれていないので、「白鳥の湖」を観たという気持ちになることができる。特に、4幕については、牧阿佐美版で王子が何もしていないのにロットバルトが自滅するという、あまり盛り上がらないエンディングではなくて、しっかり王子が闘ってロットバルトの翼をもぐというのがあるので、わかりやすくて良い。

子ども向けといっても、本物を見せることが、バレエに興味を持ってもらうためにはとても大切なことだと思う。そして、この公演はクオリティも高くて大人が観ても楽しめるうえ、「白鳥の湖」の本質はしっかり伝えられていたので、とても良かった。ナレーションも落ち着いた感じで、子どもっぽくなく聞きやすい。満席の客席を埋めた子どもたちも楽しんでいたし、また子どもたちの観ている時のマナーも大変良く、いい雰囲気の舞台となった。

4キャストあったのだけど、観たのは2キャスト。キャスティングはかなり贅沢でプリンシパルもたくさん出演していた。ただ、残念だったのが、キャスト表にはオデット/オディール、王子、そしてロットバルト、王妃、道化を演じたダンサーの名前しか出ていなかったこと。子ども向けの公演だからと言って、こういうところでは手抜きをしてほしくない。お子さんに、あの役をやったのは誰?と聞かれるお父さんやお母さんもいることだろう。

音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
原振付:マリウス・プティパ/レフ・イワーノフ
原台本:ウラジーミル・ペギチェフ/ワシリー・ゲリツェル
構成・演出:大原永子
装置・衣裳:ヴャチェスラフ・オークネフ
照明:鈴木武人
音響:仲田竜太

7月21日(木)11:30
オデット/オディール 小野絢子
ジークフリード王子 福岡雄大
ロットバルト  貝川鐵夫
道化   八幡顕光
女王   本島美和
四羽の白鳥 寺田亜沙子、柴山紗帆、細田千晶、広瀬碧
スペイン 宝満直也、林田翔平
ナポリ 木下嘉人、飯野萌子

小野絢子さんのオデット/オディールは2年ほど前に観たのだけど、その時には彼女はこの役には向いていないように感じられた。技術的には素晴らしいけれども、どうしても小柄で腕が短めなので、表現が届かない印象があったのだ。ところが、今回小野さんは、大きな成長ぶりを見せてくれた。体型的なハンディを感じさせず、オデットもとてもドラマティックで研ぎ済まされた美しさを感じさせる。一つ一つのポジションがとても正確でアラベスクも長いし、動きもとても滑らかで、特に首の使い方に感情があふれていた。悲しい運命を背負わされたオデットだけど、気高さもあり、運命と戦う凛とした強さも感じさせる。オディールは小悪魔的で魅惑的、高笑いする姿も似合っていた。グランフェッテもダブルを入れてとても安定していた。カンパニーを引っ張っていくスターオーラも身に着けており、もはや小野さんには怖いものは何もないように思える。

福岡さんの王子は小野さんとのパートナーシップがよくサポート上手、そしてソロでの技術も素晴らしい。彼はいつでもきれいに5番に降りることができるし跳躍も高い。王子を演じるにはもう少しノーブルさが欲しいけどそこまで要求するのは贅沢だろう。4幕でロットバルトに敢然と向かっている姿は凛々しかった。

キャスト表には載っていなかったのが残念だったけど、八幡さんの道化は盤石。1幕はソロがカットされてしまってあまり出番はないけれど、3幕の最初にはしっかりと見せ場があって、軽やかで愛嬌に溢れていてプロの仕事。2幕、4幕の白鳥は18人だっただろうか。通常よりは人数は少なめであるけれども、少ないという印象はない。ただ、いつもよりは揃い方が足りないかな、と思ったところがあった。4羽の白鳥は、普段の「白鳥の湖」では実現しないような、ソリストを3人投入したなかなか豪華な顔ぶれで小さな白鳥のはずなのに小さくなかった。この4羽のシンクロ具合は見事だった。


7月22日(金)11:30
オデット/オディール 長田佳世
ジークフリード王子 奥村康祐
ロットバルト  小柴富久修
道化   八幡顕光
女王   本島美和
四羽の白鳥 寺田亜沙子、柴山紗帆、細田千晶、広瀬碧
スペイン 池田武志、林田翔平

長田さんのオデットが圧倒的に素晴らしかった。とても悲劇的なのだけど、気品に溢れていて一つ一つの動きが圧倒的に美しく、どのポーズも完璧にアカデミック。白鳥の姿でもとても高貴な姫だったのが見て取れる。若くひたむきな奥村さんの王子との組み合わせもよく、ドラマを感じさせた。オディールも、エレガントな大人の魅力で魅せると同時に、妖艶な中でもどこか悲しげで影のある黒鳥だった。こういう大人の成熟した踊りは、新国立劇場バレエ団でもっともっと観たいし、若い人にとってはとても良い手本となることだろう。奥村さんは、3幕ではオディールが現れたのが嬉しくて仕方のない模様で、ソロも軽やかなこと。彼はとても端正な踊り手で、その中で若々しい情熱も見せてくれて観ている側も思わず頬も緩んでしまう。クラシック・バレエの中でも日本最高峰と言えるようなパートナーシップの公演を思いがけず観ることができて、とても幸せだった。

4日連続の8公演で、コール・ド・バレエはさすがに昼公演と夜公演は別のダンサーが踊っていたようだけど、ダンサーたちにとっては大変なスケジュールだったと思う。しかしこのような低価格で、しっかりとした本物の舞台を観ることができたのは素晴らしい。これがきっかけで、子どもたちが他のバレエ作品を観てくれるようになったら良いことだ。大人の私たちもこの価格で観てしまうのが申し訳ないような気持ちになるほどで、子供向けもしくは親子券は安い値段で据え置いて、大人だけで観る人にはもっと値段を上げてもいいのではないかと思うほど。あと、せっかく公演数が多いので、もっと若手を抜擢してみるとか、冒険してもいいのではないかと思った。正直、現行の牧阿佐美版より、以前のセルゲイエフ版の方が演出はずっと優れていたと改めて感じた次第であった。

こちらは牧阿佐美版の「白鳥の湖」

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牧 阿佐美(新国立劇場バレエ団・芸術監督)

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コメント

私も長田、奥村ペアの回を見ましたが、プロダクションとしては上手にカットしてあって、筋運びにも無理がなく、とても感心しました。(狩りや舞踏会の場面はちょっと人が少なめな印象でしたが…)

長田さんはホントにきっちりと踊ってる上で情感もよく表現されていたし、黒鳥も妖艶なだけでなく細かい演技をしていて抜群の出来でしたね。奥村くんも若くて一途な王子をのびのびと踊って、なかなかいいパートナーシップを見せていましたが、どうもこの二人とも来シーズンの新国立のラインナップでは冷遇されている印象があるのが残念です。

私も長田、奥村ペアの回を見ましたが、プロダクションとしては上手にカットしてあって、筋運びにも無理がなく、とても感心しました。(狩りや舞踏会の場面はちょっと人が少なめな印象でしたが…)

長田さんはホントにきっちりと踊ってる上で情感もよく表現されていたし、黒鳥も妖艶なだけでなく細かい演技をしていて抜群の出来でしたね。奥村くんも若くて一途な王子をのびのびと踊って、なかなかいいパートナーシップを見せていましたが、どうもこの二人とも来シーズンの新国立のラインナップでは冷遇されている印象があるのが残念です。

Shingoさん、こんにちは。

やはり長田さん、奥村さんのペアをご覧になっていたのですね!長田さんはオデットもオディールも素晴らしかったし、奥村さんもおっしゃる通り若くて一途な王子で素敵でした。本当にいいパートナーシップなのに、おっしゃる通り、特に長田さんは来シーズンの出番が少ないのが残念です。シンデレラの長田さんの主演の日は平日昼間で団体が入ってしまうし…。奥村さんは、プリンシパルに昇進したので、これから出番が増えるような気がしますが、クラシックの基本に忠実で、とても美しく情感もある長田さんの踊りを私ももっと観たいです。

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