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2016年7月

2016/07/28

第27回ヴァルナ国際コンクールの受賞結果

第27回ヴァルナ国際バレエコンクールの受賞者が発表されました。

https://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=990810121039215&id=444071619046404

シニア男性
金賞 ポール・マルク(パリ・オペラ座バレエ)
銀賞 ホルヘ・ボラーニ(ケンタッキー・バレエ・シアター)
Yue Shi(ロイヤル・ウィニペグ・バレエ)
銅賞 大巻雄矢さん(スロベニア国立バレエ)
Sunwoo Lee (韓国)

シニア女性
金賞 アマンダ・ゴメス(カザン劇場)
銀賞 白井沙恵佳さん(ロイヤル・ウィニペグ・バレエ)
ジョイ・ウーマック(クレムリン・バレエ)
銅賞 中島麻美さん(スロベニア国立バレエ)
Yeonjae Cho(韓国)
Elena Svinko(ブルガリア)

ジュニア男性
金賞 William Beckham(アメリカ)
銀賞 益田隼さん(Variation Ballet School)
Seu Kim(韓国)


ジュニア女性
金賞 ルー・シュピヒティク(チューリッヒ・バレエ)
銀賞 金原里奈さん(イングリッシュ・ナショナル・バレエ)
銅賞 Goheun Lee(韓国)

みなさま、おめでとうございます!

若手バレエ登竜門、白井さん銀賞 バルナ国際コンクール:朝日新聞デジタル (写真、白井さんの恩師のコメントつき)
http://www.asahi.com/articles/ASJ7X72NWJ7XUHBI04X.html

2016/07/25

第27回ヴァルナ国際コンクールの決勝(3rdラウンド)進出者

第27回ヴァルナ国際コンクールの決勝(3rdラウンド)進出者が発表されています。

https://www.facebook.com/444071619046404/photos/a.478618985591667.1073741850.444071619046404/988326854620875/

ジュニア部門では、

益田 隼さん (2014年YAGPジュニア1位、2016年YAGPファイナリスト、Variation Ballet School)
金原里奈さん (イングリッシュ・ナショナル・バレエ)
ルー・シュピヒティク (チューリッヒ・バレエ、2015年ローザンヌ国際コンクール観客賞)

など8人がセカンド・ラウンドに進出

シニア部門では

白井沙恵佳さん (ロイヤル・ウィニペグ・バレエ)
中島麻美さんと大巻 雄矢さん (スロベニア国立バレエ)
二山治雄さん (白鳥バレエ学園)
ポール・マルク (パリ・オペラ座バレエ コリフェ)
ジョイ・ウーマック (アメリカ出身、クレムリン・バレエ プリンシパル)
フランチェスコ・コスタ (イタリア出身、ウィーン国立バレエ ソリスト)
アマンダ・ゴメス (ブラジル出身、ロシアのカザン劇場 ファーストソリスト)
Jorge Javier Lopes Barani (キューバ出身、ケンタッキー・バレエ・シアター プリンシパル、YouTubeチャンネルに動画がたくさん)
Yury Kudryavtsev (クラスノヤルスク劇場、テレビ番組「ビッグ・バレエ」に出演)

など17人がセカンド・ラウンドに進出しています。

ファイナル・ラウンドは26日21:00~ から。表彰式とガラ公演は29日20:30~からです。3rdラウンドの模様も、ネット中継で視聴することができます。(日本との時差は6時間)
http://www.tv1channel.org/index.php/livetv

オペラ座ポール・マルクの1stラウンドの映像

ボリショイ・バレエのロンドン公演詳しいキャスト

ボリショイ・バレエのロンドン公演が7月25日から始まります。ロイヤル・オペラハウスでの上演。

http://www.roh.org.uk/about/bolshoi

主演キャストはもちろんすでに発表されていますが、各公演の詳しいキャストがボリショイのサイトにアップされています。「白鳥の湖」と「パリの炎」は来年の日本公演も予定されている演目なので、脇キャストの参考になるかもしれません。

「ドン・キホーテ」では、まだコール・ド・バレエのマルガリータ・シュライナーがキトリ役デビューします。また、「白鳥の湖」では、マリインスキー・バレエでは主演しているものの、ボリショイでは役デビューとなるユリア・ステパノワがオデット/オディール役を踊ります。ステパノワは、日本公演でも一度「白鳥の湖」を踊る予定なので、注目されます。

なお、チケットはほぼソールドアウトです。

http://www.bolshoi.ru/en/performances/921/

Don Quixote 「ドン・キホーテ」

25 July, 7.30 pm
Kitri: Olga Smirnova
Basilio: Denis Rodkin
A Street Dancer: Anna Tikhomirova
Espada: Ruslan Skvortsov
The Queen of the Dryads: Yulia Stepanova
Don Quixote: Alexei Loparevich
Sancho Pansa: Roman Simachev

26 July, 7.30 pm
Kitri: Maria Alexandrova
Basilio: Vladislav Lantratov
A Street Dancer: Anna Okuneva
Espada: Vitaly Biktimirov
The Queen of the Dryads: Yulia Stepanova
Don Quixote: Alexei Loparevich
Sancho Pansa: Roman Simachev

27 July, 7.30 pm
Kitri: Ekaterina Krysanova
Basilio: Semyon Chudin
A Street Dancer: Anna Tikhomirova
Espada: Ruslan Skvortsov
The Queen of the Dryads: Anna Nikulina
Don Quixote: Alexei Loparevich
Sancho Pansa: Georgy Gusev

28 July, 7.30 pm
Kitri: Margarita Shrainer (debut)
Basilio: Artem Ovcharenko
A Street Dancer: Angelina Karpova
Espada: Vitaly Biktimirov
The Queen of the Dryads: Anna Nikulina
Don Quixote: Alexei Loparevich
Sancho Pansa: Georgy Gusev

Swan Lake 「白鳥の湖」

29 July, 7.30 pm
Odette-Odile: Olga Smirnova
Prince Siegfried: Denis Rodkin
The Evil Genius: Artemy Belyakov
Friends to the Prince: Nina Kaptsova, Kristina Kretova
The Fool: Vyacheslav Lopatin

30 July, 2.00 pm
Odette-Odile: Anna Nikulina
Prince Siegfried: Ruslan Skvortsov
The Evil Genius: Mikhail Kryuchkov (debut)
Friends to the Prince: Kristina Kretova, Daria Khokhlova
The Fool: Denis Medvedev

30 July, 7.30 pm
Odette-Odile: Ekaterina Krysanova
Prince Siegfried: Semyon Chudin
The Evil Genius: Igor Tsvirko
Friends to the Prince: Nina Kaptsova, Kristina Kretova
The Fool: Georgy Gusev

1 August, 7.30 pm
Odette-Odile: Olga Smirnova
Prince Siegfried: Vladislav Lantratov
The Evil Genius: Artemy Belyakov
Friends to the Prince: Kristina Kretova, Daria Khokhlova
The Fool: Vyacheslav Lopatin

2 August, 7.30 pm
Odette-Odile: Yulia Stepanova (debut with the Bolshoi Ballet Company)
Prince Siegfried: Artem Ovcharenko
The Evil Genius: Igor Tsvirko
Friends to the Prince: Anna Okuneva, Ana Turazashvili
The Fool: Georgy Gusev

8 August, 7.30 pm
Odette-Odile: Svetlana Zakharova
Prince Siegfried: Denis Rodkin
The Evil Genius: Artemy Belyakov
Friends to the Prince: Anna Okuneva, Ana Turazashvili
The Fool: Vyacheslav Lopatin

9 August, 7.30 pm
Odette-Odile: Olga Smirnova
Prince Siegfried: Semyon Chudin
The Evil Genius: Mikhail Kryuchkov
Friends to the Prince: Nina Kaptsova, Kristina Kretova
The Fool: Denis Medvedev

10 August, 7.30 pm
Odette-Odile: Svetlana Zakharova
Prince Siegfried: Denis Rodkin
The Evil Genius: Artemy Belyakov
Friends to the Prince: Anna Okuneva, Ana Turazashvili
The Fool: Vyacheslav Lopatin

The Taming of the Shrew 「じゃじゃ馬馴らし」

3 August, 7.30 pm
Katharina: Ekaterina Krysanova
Petruchio: Vladislav Lantratov
Bianca: Olga Smirnova
Lucentio: Semyon Chudin
Hortensio: Igor Tsvirko
Gremio: Vyacheslav Lopatin
The Widow:Julia Grebenshchikova
Baptista: Artemy Belyakov
The Housekeeper: Anna Tikhomirova
Grumio: Georgy Gusev

4 August, 7.30 pm
Katharina: Kristina Kretova
Petruchio: Denis Savin
Bianca: Nina Kaptsova
Lucentio: Artem Ovcharenko
Hortensio: Alexander Smoliyaninov
Gremio: Denis Medvedev
The Widow: Anna Balukova
Baptista: Karim Abdullin
The Housekeeper: Yanina Parienko
Grumio: Georgy Gusev

The Flames of Paris 「パリの炎」

5 August, 7.30 pm
Jeanne: Ekaterina Krysanova
Philippe: Igor Tsvirko
Adeline: Nina Kaptsova
Jerome: Vyacheslav Lopatin
Mireille de Poitiers: Yulia Stepanova
Antoine Mistral: Denis Rodkin

6 August, 2.00 pm
Jeanne: Kristina Kretova
Philippe: Mikhail Lobukhin
Adeline: Anna Nikulina
Jerome: Denis Savin
Mireille de Poitiers: Anna Tikhomirova
Antoine Mistral: Artem Ovcharenko

6 August, 7.30 pm
Jeanne: Maria Alexandrova
Philippe: Vladislav Lantratov
Adeline: Nina Kaptsova
Jerome: Alexander Smoliyaninov
Mireille de Poitiers: Yulia Stepanova
Antoine Mistral: Denis Rodkin



Le Corsaire 「海賊」

11 August, 7.30 pm
Medora: Maria Alexandrova
Conrad: Vladislav Lantratov
Gulnare: Anna Tikhomirova
Birbanto: Denis Savin
Pas d'esclaves: Nina Kaptsova, Vyacheslav Lopatin

12 August, 7.30 pm
Medora: Anna Nikulina
Conrad: Mikhail Lobukhin
Gulnare: Nina Kaptsova
Birbanto: Vitaly Biktimirov
Pas d'esclaves: Kristina Kretova, Igor Tsvirko

13 August, 2.00 pm
Medora: Yulia Stepanova (debut)
Conrad: Denis Rodkin
Gulnare: Kristina Kretova
Birbanto: Vitaly Biktimirov
Pas d'esclaves: Margarita Shrainer, Alexander Smoliyaninov

13 August, 7.30 pm
Medora: Ekaterina Krysanova
Conrad: Igor Tsvirko
Gulnare: Anna Tikhomirova
Birbanto: Denis Savin
Pas d'esclaves: Nina Kaptsova, Vyacheslav Lopatin

Seyd, the Pacha: Alexei Loparevich (all the performances)
Isaac Lanquedem: Yegor Simachev (all the performances)

2016/07/24

ニーナ・アナニアシヴィリの軌跡~最後のクラシック・ガラ 2017年3月

オールスター・バレエ・ガラの幕が開けました。出演ダンサーは11人で一人2演目ずつとそれほど作品数は多くないのですが、充実ぶりは素晴らしく、オーケストラの演奏だけでなく、舞台上で安藤赴美子(S)、小林美恵(Vn)、中野翔太(p)、遠藤真理(Vc)による生演奏もあり、非常に贅沢な時間を過ごすことができました。

特に、復活を果たしたアレッサンドラ・フェリの、「ロミオとジュリエット」の寝室のシーン(エルマン・コルネホ共演)のしなやかな動き、心の叫びが伝わってきそうな鮮烈な演技、ジュリエットの激情が胸を突き刺して素晴らしかったです。ガラの一シーンとは思えないほどの濃厚で激烈なドラマで、思わず涙がにじんでしまいました。スヴェトラーナ・ザハロワ、マチアス・エイマン、マルセロ・ゴメス、新星カッサンドラ・トレナリー、ジリアン・マーフィーなど他のパフォーマンスもすべて素晴らしく、これは絶対に見逃してはいけません。この豪華メンバーならではの華やかなフィナーレも必見です。


初日のレポート(ジャパン・アーツのサイトより)

開幕!オールスター・バレエ・ガラ (芸術監督ラトマンスキー、ニーナ・アナニアシヴィリのインタビューもあり)
http://www.japanarts.co.jp/news/news.php?id=2190

eぶらあぼのリハーサルレポート(写真がたくさん)
http://ebravo.jp/archives/28023

会場には、ジャパン・アーツが招聘した様々なバレエ公演のパネルなどが飾ってあり、とても見ごたえがあります。若い日のニーナ・アナニアシヴィリがとても美しい。
Young_nina


さて、今回この公演のチラシが配布されていました。

ニーナ・アナニアシヴィリの軌跡~最後のクラシック・ガラ~ 

ニーナ・アナニアシヴィリのクラシック・バレエ最後のステージとのことです。白鳥も、キトリも、これが見納めとあります。

出演:ニーナ・アナニアシヴィリ
    ジョージア国立バレエ団ほか、豪華ゲストダンサー出演予定
管弦楽:シアターオーケストラ・トーキョー
一般発売 10月予定

2017年
3月16日(木)19:00、18日(土)15:00 
「白鳥の湖」より第2幕・4幕
「セレナーデ」
「眠れる森の美女」より ほか

3月19日(日) 14:00、20日(月・祝)14:00
「タイス」パ・ド・ドゥ
「モーツァルティアーナ」
「ドン・キホーテ」より ほか

東京文化会館 大ホール
S席 18000円 A席 14000円 B席11000円
C席 8000円 D席 5000円


(来年3月は、パリ・オペラ座バレエの来日公演も予定されているようですが、オペラ座もおそらく会場は東京文化会館だと思われますので、この前後ということになりそうですね)

年齢は重ねたものの、相変わらずの可憐さ、そして波打つような腕の動き、美しいつま先と足捌きは健在のニーナ。この公演は見逃せませんね。

2016/07/23

7/1、2 H・アール・カオス「エタニティ」、トークショー

H・アール・カオスでは6年ぶりという公演が開催されるとあって、これは愛知県芸術劇場まで行かなければと愛知までやってきた。

初期から観ているわけではなく、「神々を創る機械」「Drop Dead Chaos」「春の祭典/ボレロ」くらいしか観ていないのだけど、大島早紀子さんと白河直子さんの創り上げる、身体性と精神性が絶妙なバランスを作っている美しい舞台は鮮烈な印象を残している。

そして昨年、笠井叡さんの「今晩は荒れ模様」での白河さんの、神が降臨したような凄まじいダンスを観て、改めて必ず次の彼女の舞台は観なければならないと思ったのだ。そんな伝説の復活公演が、この舞台だった。

H・アール・カオス 新作公演
白河直子ソロダンス『エタニティ』
http://www.aac.pref.aichi.jp/syusai/eternity/index.html

Hartchaos

愛知県芸術劇場小ホール
出演者・スタッフ 構成・演出・振付・美術:大島早紀子
出演:白河直子
美術作品提供:島田清徳
使用楽曲:「イン・メモリアル」「ヴィオラ協奏曲」「レクイエム」(アルフレート・シュニトケ)
       「ピアノ協奏曲第二番」(ドミトリー・ショスタコーヴィチ)

白い薄い衣装に身を包んだ白河さんが舞台の上に現れた時から、これは何かが起きる、ということを感じた。佇まい一つをとってもただものではない雰囲気があり、そして華奢な身体で描くポーズのラインの研ぎ澄まされたこと。6年前に観た姿と、ほとんど変わっていないようであっても、その間に時は流れた。一つ一つの動きに、万感の想いがこもっているようだ。床には、小さな墓標のように無数の紙片が点々と立てられている。

Hartchaos2

一度舞台から捌けて再び現れたとき、白河さんは少し汚れてくたびれたトレンチコートを羽織り、大切そうにトランクを持っている。そのトランクを開けて、トランクの中で三点倒立して開脚するシーンには驚かされた。下手には倒れた椅子とテーブル。踊り続ける白河さんの手の中から、白い紙吹雪がひらひらと舞い落ちる。その紙吹雪は、スーツケースの中にも詰まっていたようで、吹いてくる風でこれらはあるときは雪のように、ある時は落ち葉のように舞い上がり、終盤には雪嵐のように、白河さんの激しい踊りと共に吹き荒れる。この紙吹雪は、記憶とか、生命のメタファーなのだろか。あふれ出て、風と共に飛び散って消えていく。

途中でコートを脱いで黒の上下姿となった白河さんは、付箋のような紙を顔に貼り始める。踊るにつれてこれらの付箋は落ちて行ったりするのだが、零れ落ちていく記憶のようにも思えた。大きく背中を反らせ、脚を天に突き刺すように高く振り上げ、腕を傷ついた翼のように広げ、一つ上の次元へと昇っていく。65分の間、緩急はあれども踊り続けて、いろんなものをそぎ落としていって、ついには魂だけの透明な存在となっていった。でもそれが終わりではなく、新しい出発点でもある。ここに至るまでの内面の戦い、葛藤、それらを乗り越えて行って、すべてを出し尽くして突き抜ける。女神のようでいて、たくさん傷つき、苦しんだ人間だというのがその神々しくも激烈な踊りから伝わってきて、その壮絶さに終わりには涙があふれて来た。

死すべき存在である人間が、どうやってその運命の中で、永遠とつながっていくか。人は消えても、形はなくなっても、この世に残り続ける記憶となっていくのだろう。それは、その瞬間にしか存在しえない舞台芸術と通じるものがある。

背景の、羽根のような紙をふわりと重ねたような舞台美術や照明も秀逸で、小さなスペースである愛知県芸術劇場小ホールの公演とは思えないようなスケール感があった。タイトルの「エタニティ」も表しているように、永遠の中で、無限の宇宙とつながっているような広がりを感じるとともに、小宇宙の中に閉じ込められたような感覚にもなった。かけがえのない永遠の中の一瞬を感じられることは、舞台鑑賞を愛する者にとってどれほど幸福なことであるか。その瞬間が二度と来ないだろうと感じる切なさや悲しみ、失われたものへの惜別も同時に味わい胸が締め付けられる。

大島早紀子さんの作品としては、目新しいところはないけど、今までの作品のように、大きな会場で大きな仕掛けがあるような作品ではない。しかし美術、音楽、照明のクオリティは相変わらず美意識に溢れていて深遠なテーマと密接に結びつき、コンセプトも見事に作品に昇華されている。白河直子さんというとてつもない表現者、彼女が舞台に立てるようになるまで待って作っただけのことはある。作家と表現者の強い絆を感じられ、白河さんの肉体と精神だからこそ表現し得た、渾身の作品であり、他では決して得ることができない鮮烈な体験だった。

7月2日の公演終了後には、大島早紀子さん、白河直子さんのトークショーがあった。司会は愛知芸術劇場シニアプロデューサーの唐津絵理さん。

唐津:こういったイメージを持って舞台ができていくのでしょうか、こういった世界観、イメージがあって作られるのでしょうか?

大島:手探りで何もわからない、目が見えない状態から始めています。テーマがなくてどうしようと思っている時に、日常生活で感じていることがテーマとなります。

唐津:6年間のブランクの間にテーマがあったのでしょうか?それとも作品を作ろうと思っている時に浮かんできたのでしょうか?

大島:空白期間の前があまりに忙しすぎて、次の作品を創ろうと思わなかったのです。夢が全部舞台の夢で逃げたいと思いました。そういう時でも、これはダンスにしたい、という気持ちは浮かびましたが。今回は、ここ愛知で作品を創ることを決めてから、テーマを考えました。今までも、視線の暴力性や性暴力から「春の祭典」という作品を創りましたが、イデオロギーではなく、抽象化し、自由な解釈をゆだねて行きました。

唐津:今回は永遠、記憶というテーマで作られたのでしょうか。

大島:私たちの体の中にあるものが外に出ている、身体が外部化していき、空洞化している、身体の実在感が希薄しているのが現代だと思います。生の生きている身体を舞台に出していきたいと思いました。外部化していることを批判しているのではなくて、生の身体を描きたいと思ったのです。限られた時間、短い時間の中に永遠を探したいと思いました。

白河:大島さんが、こんなことをやりたいと言ってきました。ジグゾーパズルのピースのように、パソコンの中をのぞかせてもらうように頭の中を見せてもらいました。その中には、クールでグサッと来るような言葉が多いのです。「カルミナ・ブラーナ」は911や宗教問題、テロを描いたものでした。
「エタニティ」は記憶、想いで、永遠に残るような、そんな瞬間が生きていく実感を感じさせてくれる作品です。失われてしまいそうな感覚、恐怖感。生きているからこそ永遠を感じられると。大島さんの作品を踊ることができることが、生きていることのように感じます。苦しいですが。

唐津:この作品は11月くらいからクリエーションにかかったのですよね。

大島:これだけ作品を創るのに時間がかかったのは初めてです。その時に起きている事柄を映像として影響を受けてきました。世界の断片として自分の中に入ってくるのです。時間をかければかけるほど、いろんなことが入ってきてまとめるのに時間がかかり大変になります。でも、3日間の仕込みでも変わりました。12月の時点で一度唐津さんに観てもらいました。失われていくものがあるからこそ見えるものがあるのでは、と思い、作品も変わってきました。作ってみて改めて大変だと思いました。一つ一つのことに関する意図が違うこともあり、ピントを合わせていく作業が大変でした。そしていざ振付けると、白河さんが機嫌が悪くなったりして、「出て行って」といわれることもありました。

唐津:白河さんには、性別を超える瞬間がありますよね。

大島:肉体というのは時代の鏡であり、いろんな意味を背負っています。まっさらに戻す時間があってもいいと思います。白河さんに出会った時、彼女は表現をしながら無になっていく稀有な存在だと思いました。この人しかいない、と引きずるように強引にカンパニーに入れたのです。

白河:しばらくの間私の体に問題があり、身体が治ってからやりたいと思いました。待って身体を治して、ここに立てて良かったと思います。

唐津:未来に対してやっていきたいことはありますか?

白河:(しばらく言葉に詰まり、涙ぐむ)明日を踊りきることが未來です。何回リハーサルしても、舞台に対しては命がけでやっています。

大島:今はこの瞬間、この作品を考えているので、この先は考えていません。

唐津:今回やってみてダンスとはなんですか?

白河:私は大島さんの作品で育ってきました。空間の中に、照明の中に入った時の感覚はやっぱりこれなんだ、別世界に連れて行ってもらっている。視線があって集中があり、空間に立って幸せだと思います。

大島:ダンスは神様から与えられた媚薬です。生きていることの満足感を感じられます。観ていただいた作品が皆さんの中に結晶し、残っているのがコミュニケーションであって祈りなんだと思います。


(聞き取りなので不正確なところがあるかもしれません)

2016/07/22

シュツットガルト・バレエのドキュメンタリー番組

シュツットガルト・バレエ55周年を記念して、ドイツのテレビ局でドキュメンタリー番組が放映されました。今までの、そして現在のシュツットガルト・バレエについての番組で、クランコ生前の貴重な映像やリード・アンダーソン芸術監督、マリシア・ハイデやジョン・ノイマイヤー、そしてアリシア・アマトリアン、ジェイソン・レイリーなど現役ダンサーなどのインタビュー映像、リハーサル映像もあります。デミス・ヴォルピの新作「サロメ」などの舞台映像も。

http://swrmediathek.de/player.htm?show=fa0e44c0-4d8f-11e6-a659-0026b975e0ea

全編ドイツ語ですが(一部インタビューで英語あり)、89分の長さで大変興味深いです。昨年の来日公演の時の様子も少し流れます。

2016/07/20

ヴァルナ国際バレエコンクール、2回戦進出者

ヴァルナ国際バレエコンクール、1回戦が行われて、2回戦(セカンド・ラウンド)に進出する人の名前が発表されています。

https://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=984746684978892&id=444071619046404

ジュニア部門では、

益田 隼さん (2014年YAGPジュニア1位、2016年YAGPファイナリスト、Variation Ballet School)
金原里奈さん (イングリッシュ・ナショナル・バレエ)
ルー・シュピヒティク (チューリッヒ・バレエ、2015年ローザンヌ国際コンクール観客賞)

など13人がセカンド・ラウンドに進出

シニア部門では

西岡憲吾さん (ベオグラード劇場バレエ団、2016年ヘルシンキ国際コンクール3位)
馬場 彩さん (アーツバレエシアターオブフロリダ)
白井沙恵佳さん (ロイヤル・ウィニペグ・バレエ)
中島麻美さんと大巻 雄矢さん (スロベニア国立バレエ)
望月理沙さん (ニュージャージー・バレエ)
二山治雄さん (白鳥バレエ学園)
ポール・マルク (パリ・オペラ座バレエのコリフェ)
ジョイ・ウーマック(クレムリン・バレエ)
ジュリエット・ドハーティ(2012年YAGPジュニア金賞)

など31人がセカンド・ラウンドに進出しています。

ヴァルナ国際コンクールのFacebookでは、写真などもたくさんアップされています。

金原里奈さんの写真

望月理沙さん

中島麻美さんと大巻 雄矢さん

セカンド・ラウンドは21日から、ファイナル・ラウンドは26日から。表彰式は29日です。

2016/07/17

第27回ヴァルナ国際バレエコンクールの出場者

国際バレエコンクールの中でも最も古い歴史を持つ、ヴァルナ国際コンクールの出場者が発表されています。前回2014年はオニール八菜さんが、シニア部門銀賞(金賞は受賞者なし)に輝きました。

https://www.facebook.com/VARNA-International-Ballet-Competition-444071619046404/?ref=ts&fref=ts

こちらのFBページでは、写真などが日々更新されています。

日本人の出場者としては

白井沙恵佳さん (ロイヤル・ウィニペグ・バレエ)
中島麻美さんと大巻 雄矢さん (スロベニア国立バレエ)
馬場 彩さん (アーツバレエシアターオブフロリダ)
内藤亜仁さん (法村友井バレエ学校)
望月理沙さん (ニュージャージー・バレエ)
上野祐未さん (大塚礼子バレエスタジオ)
寺下健人さん (ブルガリア ソフィア国立バレエ)
野村結紀乃さん(ブルガリア ソフィア国立バレエ)
大河内 悠伎 さん (スタジオDUO)
福本 龍太朗さん (法村友井バレエ団)
坪 雄大さん (カレリア共和国立バレエ)
金原里奈さん (イングリッシュ・ナショナル・バレエ)
二山治雄さん (白鳥バレエ学園)
益田 隼さん (2014年YAGPジュニア1位、2016年YAGPファイナリスト、Variation Ballet School)
西岡憲吾さん (ベオグラード劇場バレエ団、2016年ヘルシンキ国際コンクール3位)
金世友さん (2016年ローザンヌ国際コンクールファイナリスト、スウェーデン王立バレエ研修生)
立川 透子さん (福谷葉子バレエスタジオ)
稲生麻綸さん (リュブリャナ・バレエ)
池田絢音さん (一柳多鶴バレエ学園)
根岸茉矢さん (ロイヤル・バレエ・スクール、シビウ劇場入団予定)

他の主な出場者
ポール・マルク (パリ・オペラ座バレエのコリフェ)
ジョイ・ウーマック(クレムリン・バレエ)
ジュリエット・ドハーティ(2012年YAGPジュニア金賞)
プリスカ・ザイツェル (ウィーン国立バレエ)
ルー・シュピヒティク (チューリッヒ・バレエ、2015年ローザンヌ国際コンクール観客賞)
Sophia Lucia (アメリカン・ダンス・アイドルに出演し、instagramのフォロワーが150万人いる)
Amber Chiarcosso (パリ・オペラ座バレエ期間契約団員)


漏れている人もいるかもしれませんが、こんな感じです。また間違いなどがあったら、ご指摘いただけるとありがたいです。

なお、ヴァルナ国際コンクールは、ライブストリーミングでコンクールの様子を見ることができます。
http://www.tv1channel.org/index.php/livetv

二山さん新たなるチャレンジ バルナ国際コンクール出場
http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20160703/KT160702ATI090027000.php

コンクールは7月15日より30日まで開催されます。1回戦、準決勝、決勝とあり、長丁場となっております。

シニア部門の出場者の条件は、開催日までに19〜25歳であることです。最終の3ラウンドまで、クラシックやコンテンポラリーなど計7曲を踊れるよう準備しなければならないなど、非常に過酷なコンクールです。

今年の審査員は、審査委員長にウラジーミル・ワシーリエフ。バレエ・ニース芸術監督のエリック・ヴ・アン、マリインスキー・バレエ極東ステージ芸術監督のエルダー・アリエフ、バレエ・シャンブルウェスト芸術監督の今村博明さん、テアトロ・コロン芸術監督のマキシミリアーノ・グエラ、振付家のラドゥ・パクリタル、中国国立バレエ芸術監督のファン・インなどです。

ヴァルナ国際コンクールについて語る、左右木健一さんのインタビュー
http://www.sylvia.co.jp/varna/interview_souki.html

ヴァルナ国際コンクールに出場しているジョイ・ウーマックのビデオブログ (ヴァルナの街や、リハーサルする映像など)

2016/07/14

イングリッシュ・ナショナル・バレエ(ENB)の昇進/入団発表

パリ公演「海賊」も好評だった、イングリッシュ・ナショナル・バレエ(ENB)の昇進/入団発表がありました。

http://blog.ballet.org.uk/promotions-and-new-joiners-2016-2017/

加瀬栞さんがプリンシパルに昇進したことはすでに発表されています。また、同じくシーズン途中の昇進としては、ローレッタ・サマースケールズもプリンシパルに昇進しています。

パリ公演で大絶賛を浴び、またバレエ団内のコンクール、エマージングダンサーで優勝し観客賞も獲得したセザール・コラレスがファースト・アーティストからファースト・ソリストに2段階昇進しました。コラレスは2014年に入団したばかりですが、YAGPのグランプリ受賞者でもあり、世界的なスターになる才能があると言われています。

また、猿橋賢さんがジュニア・ソリストに、Barry Drummond、Stina Quagebeur、Jinhao Zhangの3人がファーストアーティストに、そして金原里奈さんが研修生から正式入団となりました。やはりエマージングダンサーに出場して大健闘した金原さんは、今年のヴァルナ国際コンクールに出場する予定です。

入団者としては、スペイン国立ダンスカンパニーからAitor Arrieta がジュニア・ソリストとして移籍、既にシーズン途中から出演していたGeorgia Bould、イングリッシュ・ナショナル・バレエスクールを卒業したばかりの鈴木絵美里さん、 Giorgio Garrett(ナショナル・バレエ・オブ・カナダの研修生)、ルーマニア国立バレエよりFrancesca Velicu、そしてシーズン途中からやはり出演していた、ロイヤル・バレエスクール出身のConnie Vowlesの6人です。

退団者としては、赤星慶さん、Désirée Ballantyne, Naomi Bottomer, Josephine Frick そしてベルリン国立バレエにプリンシパルとして移籍するクセニア・オフシャニクがいます。赤星さんは13年間ENBで活躍し、昨年12月にすでに退団していたようです。クセニア・オフシャニクは、2013年にブノワ賞にノミネートされていました。

ソリストに昇進した猿橋賢さんは、昨年のオーチャード・バレエ・ガラに出演されていましたね。「海賊」ではランケデム役を踊っています。

鈴木絵美里さんは、アクリ・堀本バレエアカデミーで学び、2013年にローザンヌ国際コンクールに出場している日英ハーフの方です。ENBスクールからENBに入団したのは彼女一人でした。ロイヤル・バレエスクールもそうですが、英国のバレエ団に入団するのは最近では非常に狭き門のようです。

ENBはNBS招聘で来日公演が予定されており、このように日本人ダンサーも活躍しているので観られるのが楽しみです。

2016/07/13

NYCBのパリ公演、arteでネット中継

ニューヨークシティバレエ(NYCB)は、現在パリのシャトレ座にて公演を行っています。

http://chatelet-theatre.com/fr/event/new-york-city-ballet

Les Étés de la Danseというシャトレ座でのゲストカンパニーを迎えての恒例の公演で、6月28日から7月16日まで公演が行われています。バランシン・プロと、ウィールドン、ラトマンスキー、ペックという現代の振付家の作品のプログラムが上演されています。バランシン本家ならではの上演ということで、パリの批評家やバレエファンも大絶賛しています。

そのNYCBのバランシンプロ、最終日の公演がarteでネット中継されます。

http://concert.arte.tv/fr/balanchine-new-york-paris-au-theatre-du-chatelet


中継日は、7月16日(土)、パリ時間夜20時からなので、日本では日曜早朝、午前3時という辛い時間です。ただし、通常arteでの中継は3か月くらいアーカイヴを残してくれるので、後日でも視聴できるかもしれません。あと、ジオブロックがかかる可能性もありますが、これは回避する方法もあります。

プログラムは以下の通りです。

Walpurgisnacht Ballet - George Balanchine 「ワルプルギスの夜」
Sonatine - George Balanchine 「ソナチネ」
La Valse - George Balanchine 「ラ・ヴァルス」
Symphony in C - George Balanchine 「シンフォニー・イン・C」

キャスト
WALPURGISNACHT BALLET: Mearns, Danchig-Waring, Lovette, Segin, Villwock
pause
SONATINE: M. Fairchild, De Luz [Solo Piano: Chelton]
pause
LA VALSE: Hyltin, J. Angle, Ramasar, Ippolito, King, Carmena, Isaacs, Suozzi, Laracey, Catazaro, Smith, Muller,
Anderson
SYMPHONY IN C: T. Peck, Veyette, Reichlen, T. Angle, Pereira, Huxley, Pollack, Stanley

2016/07/11

ロイヤル・バレエスクール2016年卒業生の行き先

ロイヤル・バレエスクール2016年卒業生の行き先が発表になっています。卒業生全員が、どこかのバレエ団に入団することができました。

http://www.royalballetschool.org.uk/2016/07/the-royal-ballet-school-graduating-class-2016/


Joseph Sissens  The Royal Ballet
Gabriel Anderson   Birmingham Royal Ballet
Aitor Galende Brizuela Birmingham Royal Ballet
Estelle Bovay    The Royal Ballet -
Aud Jebsen Young Dancers Programme
Arianna Maldini   The Royal Ballet -
Aud Jebsen Young Dancers Programme
Charlotte Tonkinson The Royal Ballet -
Aud Jebsen Young Dancers Programme
Maria Luisa Castillo Yoshida The Royal Ballet -
Aud Jebsen Young Dancers Programme
Joseph Aumeer    The Royal Ballet -
Aud Jebsen Young Dancers Programme
Giacomo Rovero    The Royal Ballet -
Aud Jebsen Young Dancers Programme
Francisco Serrano  The Royal Ballet -
Aud Jebsen Young Dancers Programme
Johanne Monfret    Birmingham Royal Ballet (Apprentice)
Kiely Groenewegen  American Ballet Theatre Studio Company
Gabrielle Beach   Boston Ballet II
Lorenzo Silingardi   Ekaterinburg State Academic Opera and Ballet Theatre
Connie Vowles   English National Ballet
Nana Sakai   Hong Kong Ballet
Lorenzo Trossello Northern Ballet Theatre
Kaho Yanagisawa   Royal Swedish Ballet
Karl-Erik Wigle Andersson   Royal Swedish Ballet
Thomas Bradshaw   Sarasota Ballet (Apprentice)
Grace Paulley   Scottish Ballet
Maya Negishi   Teatrul de Balet Sibiu
Rio Sato   Teatrul de Balet Sibiu
Simone Acri   Tulsa Ballet II
Scott McKenzie   Vienna State Opera Ballet


日本人の卒業生ですが、柳澤郁帆さんはスウェーデン王立バレエ、酒井那奈さんは香港バレエ、根岸茉矢さんと佐藤理央さんはルーマニアのシビウ劇場、アクリ士門さんはアメリカのタルサ・バレエIIに入団します。

そしてロイヤル・バレエの研修生となるJoseph Aumeerは、パリ・オペラ座バレエの外部試験で3位となったので、オペラ座の期間契約団員になる可能性もあります。


そして卒業生たちの表彰ですが、

Thomas Bradshawは、在学中にリーダーシップを発揮した卒業生に与えられるDavid Norman Prizeを受賞

柳澤郁帆さんと Aitor Galendeは、在学中にクラシック・バレエの訓練で最も進歩したダンサーに与えられるThe Worshipful Company of Gold and Silver Wyre Drawers Awardsを受賞

Connie Vowlesは、アシュトン作品のスタイル、個性と技術を最も備えた卒業生に与えられる Ashton Awardを受賞

そして柳澤郁帆さんは、Giacomo Roveroと共に、ロイヤル・バレエの卒業生の中で最も優れた生徒に対して London Ballet Circle より与えられるDame Ninette Awardも受賞しています。

柳澤郁帆さんは卒業公演の踊りでも際立った素晴らしさで、ロイヤル・バレエに入団しなくて残念と思っている人が多いとのことですが、木田真理子さんがプリンシパルとして活躍しているスウェーデン王立バレエでの飛躍も楽しみですね。アクリ・堀本バレエアカデミー出身の柳澤さんは、2013年にローザンヌ国際コンクールに出場して、入賞は逃したもののファイナリストとなりました。ロイヤル・バレエスクールでは、ダリア・クリメントヴァに師事していたようです。

ローザンヌ国際コンクールに2013年に出場した時の柳澤さんの踊り

2016/07/09

パリ・オペラ座バレエの入団試験

パリ・オペラ座バレエの入団試験は、パリ・オペラ座学校の生徒に対しては7月6日、外部(前日の試験で合格しなかったオペラ座学校生も受験可能)試験は7月7日に行われました。

合格発表はすぐ行われます。ダンソマニDanses avec la plumeの情報をまとめます。

オペラ座学校生の試験

Boys 男子

1. Giorgio Foures 合格
2. Andrea Sarri 合格
3. Gaëtan Vermeulen
4. Leo De Busserolles
5. Florian Astraudo
6. Alexander Boccara

Girls
1. Celia Drouy 合格
2. Nine Seropian
3. Bleuenn Battistoni
4. Margherita Venturi
5. Adele Belem
6. Philippine Flahault

合格したのは3人なので、オペラ座学校生にとっても狭き門です。合格しなかった生徒は、もう一年学校に残って翌年受験することもできます。

なお、今年オペラ座学校を卒業してディプロマを取得したのは次の人達です。

(男子)
Florian Astraudo
Alexander Bocarra
Samuel Bray
Leo De Busserolles
Girogio Fourès
Zino Merckx

(女子)
Bleuenn Battistoni
Manon Boulac
Philipinne Flahault
Charlotte Meier
Clara Spitz
Margherita Venturi


一方外部試験は、16歳から26歳のダンサーに受験資格があります。

(オペラ座学校、とあるのは、今年の内部試験を受験した人と、今年ディプロマを取得した人だけであり、残りの受験生の多くもオペラ座学校の出身者です)

(女子)
1 - Nine Seropian (オペラ座学校)
2 - Nais Duboscq
3 - Chelsea Adomaitis
4 - Seo Yun Hoo
5 - Adele Belem  (オペラ座学校)
6 - Eriko Nakajima 中島映理子
7 - Alizee Sicre
8 - Lou Spichtig
9 - Bleuenn Battistoni (オペラ座学校)
10 - Chloë Eve
11 - Clara Spitz (オペラ座学校)
12 - Melissa Patriarch
13 - Pearl Villette
14 - Kelly Riffaud-Laneurit
15 - Calista Ruat
16 - Manon Boulac (オペラ座学校)
17 - Philippine Flahault (オペラ座学校)
18 - Hortense Quentin Gromard
19 - Sara Garbowski
20 - Leah Fleytoux

(男子)
1 - Simon Le Borgne, 合格
2 - Leo De Busserolles, 合格 (オペラ座学校)
3 - Joseph Aumeer
4 - Gaëtan Vermeulen  (オペラ座学校)
5 - Florian Astraudo (オペラ座学校)
6 - Loïck Pireaux
7 - Haruo Niyama 二山治雄
8 - Link-Geslin Vinck
9 - Nikolaus Tudorin
10 - Alexander Boccara  (オペラ座学校)
11 - Jacopo Giardia
12 - Carl Van Godtsenhoven
13 - Mike Derrua
14 - Zino Merckx  (オペラ座学校)
15 - Emmanuel Vazquez
16 - Mathéo Bourreau
17 - Samuel Bray  (オペラ座学校)

外部試験の合格者は男子2名で、うち1名は今年の入団試験では合格しなかったものの、外部試験で再挑戦して見事勝ち取ったLeo De Busserollesです。Simon Le Borgneは、オペラ座の期間契約団員として踊っています。

外部試験は、受験年齢も広いので幅広いバックグラウンドのダンサーが集まります。エトワールのリュドミラ・パリエロ、プルミエのオニール八菜さん、スジェのパク・セウンなどは皆、この外部試験から入団しました。また、現在期間契約団員として踊っているダンサーも、この試験を受験しています。

今年は、2015年のローザンヌコンクールのセミファイナリストで、パリのコンセルヴァトワールでイザベル・シアラヴォラに師事している中島映理子さんが6位、そして2014年のローザンヌコンクールで1位の二山治雄さんが7位に入りました。これくらいの順位に入ると、期間限定での契約でオペラ座で踊るオファーが来る可能性があります。

あと、女子で7位のLou Spichtigは、2015年のローザンヌコンクールに出場して観客賞とベスト・スイス賞を受賞しており、現在チューリッヒ・バレエのコール・ド・バレエ。Nikolaus Tudorin(ライプチヒ・バレエ)、Carl Van Godtsenhoven(ミュンヘン・バレエのジュニアカンパニー)もローザンヌコンクールのファイナリストです。女子3位Chelsea Adomaitisは、パシフィック・ノースウェスト・バレエのコール・ド・バレエ。女子4位の韓国出身のSeo Yun Hooは、2014年のヴァルナ国際コンクールのジュニア部門1位で、期間契約団員。男子3位のJoseph Aumeerは、ロイヤル・バレエスクールを卒業し、来シーズンはロイヤル・バレエの研修生となることが発表されるため、ロイヤルに行くか、オペラ座の期間限定契約団員となるか、その行方が気になります。

なお、二山治雄さんは、今年のヴァルナ国際コンクールにも挑戦するそうです。
http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20160703/KT160702ATI090027000.php

2016/07/06

マシュー・ボーン「ザ・カーマン」x舞台「眠れる森の美女」大貫勇輔さんトークイベント、特別番組放映

恵比寿ガーデンシネマ他で公開中のマシュー・ボーン in CINEMA の最新作「ザ・カーマン」と9月に来日公
演が予定されている「眠れる森の美女」、両作の日本劇場公開・来日公演を記念して、
マシュー・ボーンの舞台で主役を演じたことがある大貫勇輔さんによるトークショーが決定しました。

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恵比寿ガーデンシネマでのの7月9日(土)10時からの「ザ・カーマン」上映をご覧頂いた方が、トークショーをご観覧いただけます。
実際にマシュー・ボーン作品に参加したことがある大貫勇輔さん自身が感じるマシュー・ボーンの魅力と計り知れない想像力、両作品の見どころをお聞きします。

_

チケット購入方法:インターネットチケット購入または劇場窓口にて該当する上映回をご購入ください

<インターネットチケット購入>
上映日3日前の AM0時からご購入が可能です。今回のトークショー付上映(7月9日)のお座席は7月6日(水)AM0時からお買い求めいただけます。
こちらのサイトから上映日を選択し、ご購入ください: http://www.unitedcinemas.jp/yebisu/index.html

<劇場窓口>上映劇場のオープン時よりご購入が可能です。今回のトークショー付上映(7月9日)のお座席は7月6日(水)の劇場窓口がオープンしてからお買い求めいただけます。

前売券でのご鑑賞も可能ですが、満席になり次第、受付終了とさせていただきます。
鑑賞料金:特別興行2,200円

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「ザ・カーマン」、私も今回のシネマを観ましたが、非常にセクシーでエネギッシュで面白い作品に仕上がっています。はちきれんばかりの熱気が画面から伝わってくるのは、大スクリーンならではの迫力です。

また、「マシュー・ボーンの眠れる森の美女」来日公演を記念して、特別番組の放映が決定しています。

http://hpot.jp/stage/sleepingbeauty

 100年の眠り、100年の愛
 ~「眠れる森の美女」×英国バレエ界の鬼才


 7月24日(日)あさ10:00~10:30
 BS-TBSにて放送

<番組概要>
目覚めたら21世紀、そしてヴァンパイアー
現代バレエ界屈指のヒットメーカーにより、
全く新しいおとぎ話となった「マシュー・ボーンの眠れる森の美女」。
英国バレエ史上記録的大ヒットとなった話題作の魅力を
9月初来日を前に、日本を代表する演出家 宮本亜門がいち早く観劇し、徹底解説。
また、”天才演出家””天才振付家”と呼ばれるマシュー・ボーンの創作現場ロンドンを訪ね、
本人に直撃するほか、メインキャストにも創作過程についてインタビューを敢行。
マシュー・ボーンのクリエーションの秘密に迫ります。

2016年9月14日- 9月25日
東急シアターオーブ
http://mbsb.jp/

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2016/07/05

ロイヤル・バレエ来日公演関連、高田茜さんインタビューなどいろいろ

英国ロイヤル・バレエの来日公演も、あとは福山での「ジゼル」を残すばかりとなりました。

演劇性の高いロイヤル・バレエの実力を見せてくれた、素晴らしい公演の数々でした。後で感想を書こうと思いつつなかなか時間がないのですが、いくつかの情報をご紹介して、少し振り返ってみようと思います。

来日公演直前に、平野亮一さん、高田茜さん、フランチェスカ・ヘイワード、アレクサンダー・キャンベルのプリンシパル昇進が発表されました。たくさんのメディアで取り上げられたことは記憶に新しいかと思います。

高田茜さんのインタビューとショートムービーが、VOGUE JAPANのウェブサイトに上がっています。VOGUEならではの美しくエレガントな映像と写真、そしてロイヤル・バレエの表現力豊かで人に伝わる踊りとは何かについて考えている高田さんの言葉が、とても素敵です。

バレリーナ高田茜が語る、私の踊りができるまで。
http://www.vogue.co.jp/lifestyle/interview/2016-07-05

(VOGUE JAPANのウェブは他のバレエ関連記事も充実しているので、ぜひご覧くださいね)

このインタビューでも触れられているように、今回、ロイヤル・バレエは来日公演の合間を縫って、京都の養護学校や、震災の被害を受けた熊本の小中学校を周り、子どもたちと触れ合いました。高田さんは、京都の西総合支援学校を訪問し、子どもたちと一緒に踊りました。

ロイヤル・バレエ団
高田茜さんが京都の学校訪問
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016062700737&g=soc

また、熊本地震の被災地を励まそうとロイヤル・バレエのダンサーら7人が熊本県嘉島町立嘉島中などを訪れてワークショップを行いました。

熊本地震
英ロイヤル・バレエ団が被災地訪問
http://mainichi.jp/articles/20160628/k00/00m/040/056000c

被災地で世界水準の踊り披露=英ロイヤル・バレエ団、熊本訪問
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016062700737&g=soc

崔由姫さんとニーマイア・キッシュが「ジゼル」を熊本の中学で踊るニュース映像

熊本でのワークショップについては、ロイヤル・オペラハウスのサイトでもレポートがあります。
http://www.roh.org.uk/news/the-royal-ballet-run-workshops-to-inspire-children-in-japanese-earthquake-zones


さて、ロイヤル・バレエのダンサーの皆さんは、日本でのツアーをとても楽しんだようです。

ロイヤル・バレエのダンサーたちの素敵なファッションや日常をブログで届けてくれるソリスト、オリヴィア・カウリーのブログBallet Styleは、楽しい写真を満載した記事をアップしてくれました。今回彼女は「ジゼル」のバチルド役やドゥ・ウィリで卓越した演技力と美しさを見せてくれましたね。

東京文化会館でのバックステージの様子
http://www.ballet.style/journal/2016/6/19/back-stage-in-tokyo

移動中のファッションなどなど
http://www.ballet.style/journal/2016/6/30/travel-style

そしてロイヤル・バレエのダンサーの皆さんは、インスタグラムの使いこなし方が上手いです。バックステージの様子、オフで観光を楽しむ姿など、たくさんの写真をアップしてくださっています。ここのリンクで、それらの投稿を楽しむことができます。

https://www.instagram.com/explore/tags/royalballetjapan/

ファースト・アーティストのGemma Pitchley-Galeも、日本ツアーの様子をレポートしています。日本公演は5回目だったそうですが、毎回本当に楽しんでいるようです。
http://www.roh.org.uk/news/the-royal-ballet-in-japan-dancer-gemma-pitchley-gale-blogs-from-tokyo

次の来日公演は3年後でしょうか。待ち遠しい限りです。今度は高田茜さん、平野亮一さんの主演公演も観られると良いですよね。もちろん崔由姫さんや金子扶生さんの主役を踊る姿も。

今回、高田茜さんが公演で踊る姿は見られなかったのですが、祭典会員向け公開クラスレッスンで、高田さんの美しいバーレッスン、そして大サービスで数えきれないくらいたくさん回ってくれた素晴らしいグラン・フェッテを楽しむことができました。レッスン見学企画は楽しいので次回も観られるといいな、と思います。

2016/07/03

ジェフリー・シリオがABTのプリンシパルに昇進

2015年8月にボストン・バレエから移籍しABTにソリストとして入団したジェフリー・シリオが、プリンシパルに昇進することが発表されました。

http://www.abt.org/insideabt/news_display.asp?News_ID=554

Jeffrey Cirio Promoted to Principal Dancer at ABT
http://pointemagazine.com/news/jeffrey-cirio-principal-dancer-abt/

ボストン・バレエではプリンシパルだったジェフリー・シリオでしたが、ABTにはソリストとして入団しました。しかし、移籍後、「海賊」のアリ、「眠れる森の美女」の青い鳥、「ロミオとジュリエット」のマキューシオ、そして「ラ・フィユ・マル・ガルデ」のコーラス役を演じて好評でした。特に、怪我をしたアルバン・レンドルフの代役で演じたコーラス役は、New York Timesでも絶賛されました。

小柄ですがテクニックには定評のあるシリオ。ボストン・バレエ時代は、倉永美沙さんのパートナーを務めることが多く、昨年6月に日本で開催された「スター・ガラ2015 ボストン・バレエの精鋭たちによる饗宴」にも出演していたことは記憶に新しいところです。昨年末のボストン・バレエの「くるみ割り人形」では古巣ボストンにゲスト出演して、再び倉永さんと踊りました。

フィリピン系アメリカ人の彼は、2006年にYAGPとジャクソン国際バレエコンクールで金賞、2009年のヘルシンキ国際バレエコンクールでも金賞受賞など華麗な受賞歴を誇っています。振付も手掛け、ボストン・バレエのために2作品を創作し、また自身のツアーグループ「シリオ・コレクティブ」を結成して夏の間にフェスティバルに出演しています。なお、フィリピン系のABTのプリンシパルは、ステラ・アブレラに続いて二人目。

なお、コール・ド・バレエのブレイン・ホーヴェンはソリストへの昇進が発表されました。入団13年目という遅咲き。「ジゼル」のペザント、「ロミオとジュリエット」のベンヴォーリオ、「白鳥の湖」のベンノ、「真夏の夜の夢」のボトム、「オネーギン」のレンスキー役などで活躍してきました。今年は、「シルヴィア」のアミンタ役で全幕初主演を果たしました。信頼性の高いダンサーで、もっと早くソリストに昇進させるべき存在でした。


さて、ABTは現在、ラトマンスキー振付の「眠れる森の美女」を上演しています。この「眠れる森の美女」で主演デビューを果たしたソリストのカサンドラ・トレナリーのオーロラが大きな評判を呼んでいます。注目の存在のようでNew York Timesでも特集記事になっていました。彼女は、今年の夏の「オールスター・ガラ」にマルセロ・ゴメスの推薦で出演するので、観るのが楽しみですね。

2016/07/02

ボリショイ・バレエ来日公演のキャスト発表

来年6月に予定されているボリショイ・バレエのセット券受付と予定キャストとチケット料金が決定したと発表されました。

http://www.japanarts.co.jp/news/news.php?id=2142

 【ジゼル】
 2017年6月4日(日)13:00 エフゲーニャ・オブラスツォーワ/イーゴリ・ツヴィルコ
 2017年6月4日(日)19:00 スヴェトラーナ・ザハーロワ/デニス・ロヂキン
 2017年6月5日(月)19:00 エカテリーナ・クリサノワ/ウラディスラフ・ラントラートフ

 【白鳥の湖】
 2017年6月7日(水)18:30 オルガ・スミルノワ/セミョーン・チュージン
 2017年6月8日(木)13:00 エカテリーナ・シプーリナ/アルチョム・オフチャレンコ
 2017年6月8日(木)19:00 スヴェトラーナ・ザハーロワ/デニス:ロヂキン
 2017年6月11日(日)18:00 ユリア・ステパノワ/アルチョム・オフチャレンコ
 2017年6月12日(月)18:30 オルガ・スミルノワ/セミョーン・チュージン

 【パリの炎】
 2017年6月14日(水)19:00 エカテリーナ・クリサノワ/ウラディスラフ・ラントラートフ
 2017年6月15日(木)19:00 エカテリーナ・シプーリナ/イワン・ワシーリエフ (ゲスト出演)

 会場:東京文化会館

チケット料金※消費税8%込み

◆ザハーロワの芸術を堪能する至極の公演◆
対象公演:6/4(日)19:00「ジゼル」,6/8(木)19:00「白鳥の湖」
S¥26,000 A¥22,000 B¥19,000 C¥15,000 D¥11,000
(夢倶楽部会員料金:S¥25,000 A¥21,000 B¥18,000 C¥14,000 D¥10,000)

◆上記2公演(6/4(日)19:00, 6/8(木)19:00)を除く公演◆
S¥24,000 A¥20,000 B¥17,000 C¥13,000 D¥9,000
(夢倶楽部会員料金:S¥23,000 A¥19,000 B¥16,000 C¥12,000 D¥8,100)

チケット発売の詳細については上記リンク先をご覧ください。

注目のユリア・ステパノワ、アルチョム・オフチャレンコの本格的日本デビュー、そしてゲストとしてイワン・ワシーリエフが「パリの炎」に出演するというのは、とても楽しみです。マリーヤ・アレクサンドロワは今回は出演しないのでしょうか。

ワジーエフ新監督のお手並み拝見という来日公演です。


[夢倶楽部WEB単券]
受付開始日:7月16日(土)10:00~

[夢倶楽部TELセット券及び単券]
受付開始日:7月17日(日)10:00~
・・・ジャパン・アーツぴあコールセンター (03)5774-3040

[ジャパン・アーツぴあネット会員セット券]
抽選申込期間:7月29日(金)10:00~8月1日(月)23:00
結果配信:8月8日(月)夜

[ジャパン・アーツぴあネット会員単券]
受付開始日:8月10日(水)10:00~

[一般発売] 8月13日(土)10:00~

2016/07/01

英国のEU離脱がダンス/バレエに与える影響

欧州連合(EU)からの離脱の是非を問う英国民投票で、離脱派が勝利したことは皆様もご存じのことと思います。

さて、このEU離脱が起きた場合に、英国における芸術には大きな損害が起きる者と考えられています。

現実に、英国を代表する俳優やデザイナーら約300人の著名人が連名で、残留を支持すると表明した手紙にサインしました。俳優ベネディクト・カンバーバッチやジュード・ロウ、女優のキーラ・ナイトレイやヘレナ・ボナムカーター、そして映画監督ダニー・ボイル、ファッションデザイナーのヴィヴィアン・ウエストウッドなどです。

Guardian紙の記事
http://www.theguardian.com/politics/2016/may/19/british-cultural-heavyweights-sign-250-letter-backing-eu-benedict-cumberbatch-paloma-faith-

また、ダンス界からは、ニューアドベンチャーズのマシュー・ボーン、ロイヤル・バレエ芸術監督のケヴィン・オヘア、振付家のアクラム・カーンとウェイン・マクレガー、ロイヤル・バレエでプリンシパルに昇進するフランチェスカ・ヘイワードらもサインしています。

残留を支持すると表明した手紙にサインした著名人のリスト
http://www.strongerin.co.uk/hundreds_of_figures_from_britain_s_creative_industries_call_for_uk_to_stay_in_the_eu#3LEA3okLIrhDJaQp.97


さて、現実にどのような問題が起きるのでしょうか。Ismene Brown氏が、ロイヤル・バレエ、アクラム・カーンらにインタビューを行いました。
The Royal Ballet and Sadler’s Wells explain how Brexit will hurt dance
http://blogs.spectator.co.uk/2016/06/royal-ballet-sadlers-wells-explain-brexit-will-hurt-dance/

まず、ダンスは、長期にわたるグループによる継続的な訓練を必要とする技術を持つ、常時雇用されている従業員に依存するものです。このことは、ダンスはオペラや演劇よりも構造的な経費が掛かる芸術にしています。

また、ダンスは国際的な舞踊言語によって語られる芸術であり、様々な国々の伝統が合わさったものであります。コンテンポラリーダンスは、様々なダンスに起源をもつものであり、ダンスカンパニーは世界中から人材を集めています。英国のダンスの歴史は、世界の文化の歴史でもあります。

ロイヤル・バレエ、コンテンポラリーダンスのランベール・ダンス、そしてアクラム・カーンというバレエ、コンテンポラリーダンスの巨匠たちは、このEU離脱がマネジメント、アーティストたち、そして創造的な仕事にどのような問題を起こすかということについて語りました。

彼らは、経済と入国問題について懸念しました。ダンスカンパニーは、緊縮財政の影響を受けており、英国だけでなく、EUからのプロダクションファンドや基金に依存しています。よく知られた、売れることが確実なヒット作をリサイクルするだけにとどまらず、前進していくためには、納税者が税金で支えていくことが受け入れられなければなりません。

ロイヤル・バレエの芸術監督、ケヴィン・オヘアは以下のように語りました。「もしEU離脱が景気の悪化を招くことになれば、間違いなく、芸術文化に寄せられる民間及び公共の投資に悪影響があることでしょう。ロイヤル・バレエの意欲的なプランも、難しい決断を迫られることになるかもしれません」

ダンサーの雇用と入国については、さらに複雑な問題があります。モダンダンスの振付家であるアクラム・カーンは、「入国とビザの規制が見直されることになればダンサーの移動も制限され、最も優れた国際的なパフォーマーを呼ぶことが難しくなるでしょう」と語りました。彼のカンパニーの、ヨーロッパ出身のカンパニーメンバーのビザについて懸念しているとのことです。

オヘアはこのようにも言っています。「英国の芸術機関は、EUのアーティストが自由に入国できることから恩恵を受けており、それにより私たちは最高の才能を引き寄せることができます。グローバルな市場の中で競争力を保つためにはあらゆるツールを持たなければならないので、このことは必須なのです。もし英国がEUを離脱すれば、我が国の芸術の機関はどのように世界的な才能を引き付け、維持することができましょうか。また、英国人がほかのEU諸国で働く機会を得られなくなってしまうのではないでしょうか」

ランベール・ダンスの最高責任者であるナディア・スターンは、ビザの問題について語ってくれました。ランベールの22人のダンサーのうち、半分は英国人、4分の一はヨーロッパ市民、そして残りはそれ以外の国の出身です。今まではEU出身のダンサーは、ランベール・ダンスに何の問題もなく入団できましたが、現在の、非EU出身者に求められる要件に従わないとならなくなります。

この労働ビザの条件は厳しいものです。EU以外からの弁護士、エンジニア、秘書、ダンサーは”Tier 2”というビザのカテゴリ(熟練労働者)に該当しますが、20,700人という総数の制限があります。このカテゴリは、年収£155,300以下の人々に適用されます。(それ以上の収入がある場合には、自由に入国できます)この許可証は、ポイント制に基づいて可否が決まり、前年の年収、英語能力、スキル、年齢(若い人の方がポイントが高い)によって算出されたポイントで労働ビザが下りるかどうかが判定されます。ダンスは、入国管理局によって「英国では不足している能力」と判断されているため、英国のダンスカンパニーによって職を得たダンサーは、収入が低くても、このビザが下りる可能性が高かったのでした。

スターンによれば、ランベールにとって、EU以外の国からの労働ビザをさらに5人分得ることはそこまで困難なことではありません。問題は、EUから離脱した後、政府は総数で3万~4万人ものEU出身の労働者を、外国人ビザの要件にどうやって切り替えて働いてもらうようにするかということです。現状に対しての無知が蔓延する中で、移民問題は大きな社会問題となっている中で、それが果たして可能なことなのかどうか、それが問題です。

「ランベールのようなカンパニーは、世界最高レベルのカンパニーであり続けるためには、世界中からのダンサーを引き付けて採用しなければならないということを、入国管理局、ひいては政府が認識してくれているから維持できているのです。今現在はそれは難しいことではありません。現状ではEEA(ヨーロッパ経済圏、EUより少し広い範囲)出身のダンサーや振付家、デザイナーは自由に入国できます。サドラーズ・ウェルズ劇場では、ドイツ出身のカンパニーは、国内のカンパニーと同じ扱いで公演を行うことができました。私が懸念するのは、EEA出身以外の人達に与えられる労働ビザの総数が増えない限り、今まで通りの採用活動はできなくなってしまうということです」

「もう一つの懸念は、移民問題があまりにも議論を呼ぶ問題となっているため、政府は、ヨーロッパ以外からの人々への労働ビザの発行件数を減らしてしまうことです。それは直接的に私たちの採用活動、ひいては私たちの世界レベルのカンパニーという評判にも大きな打撃を与えることでしょう」

アクラム・カーンにとって英国のEU離脱は、カンパニーのすべての側面に影響を与えてしまうとのことです。プロダクション製作にとって欠かすことのできない、ヨーロッパのクリエイティブなアーティストとの自由な行き来を失うこと、またカンパニーが支払うことができないかもしれない新しいコストが発生することも懸念されます。アクラム・カーンはサドラーズ・ウェルズ劇場の常任アーティストです。サドラーズ・ウェルズ劇場は、ヨーロッパにおける劇場ネットワークの一部であり、このネットワークにおいて共同制作を行うことで費用を分担し、ツアーの日程を調整しています。

カーンのオフィスによれば、ヨーロッパ内での共同制作による資金集めは、「新制作のためのビジネスモデルにとって必須である」とのことです。また、彼らは、ビザや税金、医療保険のコストが増加する場合、ヨーロッパ内におけるツアーの頻度が減ることも懸念しています。

また、ロイヤル・バレエ、アクラム・カーン・カンパニー、ランベールのような国際的に活動するカンパニーにとって、「英国の文化政策は、EU離脱に従って、ナショナリズム的なものとなる可能性があり、制限され長期的な視野に立てなくなる懸念があります」とカーンは警告しています。

ブラウン氏は、3者に、「外国人へのハードルを上げることによって、英国人枠を広げたほうがいいのでは?」と質問したところ、3者とも「団員は、その人の持つ才能によってのみ採用されるのであり、もし適切な人材が見つからなければ、無理して定員を埋めようとは思わない」と回答しました。

「ビザ申請に関する業務は、雇用への障壁となる可能性がある」とオヘアは言い、スターンも、「ランベールは、良いダンサーが見つけられなくなれば、カンパニーの規模を小さくせざるを得ないか、もしくは人数を維持するために今までは雇わなかったであろうレベルのダンサーを採用し、それによってカンパニーの質を落とさざるを得なくなります」と言いました。

英国のダンスは、常にヨーロッパの中に包摂されていました。ロイヤル・バレエの振付家であったケネス・マクミラン、ジョン・クランコ、そしてキャシー・マーストンは英国とドイツの両国で仕事をするなど、このルートでのやり取りは多いものでした。ロイヤルの近年の歴史で活躍してきた多くのアーティストはヨーロッパ出身でした。タマラ・ロホ、アリーナ・コジョカル、ヨハン・コボー、シルヴィ・ギエムなど。スペイン人であるタマラ・ロホは、現在ENB(イングリッシュ・ナショナル・バレエ)の芸術監督です。ロンドンで活躍したスターたちは、オランダ、エストニア、ギリシャ、スロヴェニア、ルーマニアといった国々で芸術監督として活躍しています。

もし、汎ヨーロッパ的な流れが断絶したら、英国のダンスには何が起きてしまうのでしょうか。スターンは、英国のEU離脱そのものは、ダンスを破壊することはない、多数派を得たEU離脱後の政府によって決められた政策が結果を決めることになるでしょうと語っています。

「国民が決めたことに対して、政治家がどのように動くかどうかによって結果はゆだねられることでしょう。もし、私たちが世界レベルのカンパニーであるという地位を維持できない危険性が出てきた場合には、私達のグローバルな地位は妥協の産物となることでしょう。国民が決めたこと、私たちがどのような国にしたいかということについて、冷静に考えたいと思います。自分たちが世界レベルのカンパニーであり続けたいかどうかということを」

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この英国のEU離脱によって起きるダンス界の問題は、大きく分けて、労働ビザの問題(EU出身者、さらにはEU外の出身者にとって、労働ビザを得るのが困難となる)と、EU内での自由な行き来がや共同制作できなくなることという移動の自由の問題の二つがあります。

(それ以外にも、排外主義台頭の問題や、景気後退による予算緊縮や資金集めの問題があります)

ダンスは、言葉を使わないことから、様々な文化の人々に好まれる芸術となっており、また様々な文化が融合したものでもあり、優れた人材を世界中から集めることで、さらに素晴らしい芸術が生まれていきます。そのようなグローバルな時代において、国境を新しく作ることは、やはり大きな障壁となり、この分野が衰退する原因ともなってしまうことでしょう。このダメージを最小限にするにはどのようにすればいいのか、英国政府の動き、各カンパニーの動きが注目されます。

ケヴィン・オヘアは、今まで通り、英国ロイヤル・バレエは、世界中から優れた人材を集めることでクオリティの高いパフォーマンスを行っていきたいと表明しています。

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