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2016/05/14

4/5 マリインスキー・バレエ「白鳥の湖」(マリインスキー国際フェスティバル)

マリインスキー国際フェスティバルの私にとっての4日目で最終日は、「白鳥の湖」。パリ・オペラ座から、エロイーズ・ブルドンをゲストに迎えての公演。昨年11月に、オペラ座の昇進コンクールで審査員として参加したユーリ・ファテーエフが彼女を気に入って、ゲストに迎えたとのこと。ブルドンはパリでとても人気があるためか、フランスからサンクトペテルブルグに遠征してきたファンも多く、何人かのフランス人やイギリス人の知人に会場で会った。いろんな国から観客が集まるのは、バレエ・フェスティバルの楽しみである。

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「白鳥の湖」はやはり人気の演目であり、チケットは早々に売り切れたのだが、出発する数日前に2枚だけ戻りチケットが出てきているのに気が付いて何とか買うことができた。といっても、下手サイド舞台寄りの4階席、舞台寄りの見づらい席。1列目なので前の人の頭を気にする必要はないし1列しかないので後ろの人も気にしなくていいのだけど、舞台の3分の一は見えない。4階席といっても古い劇場なのであまり高さはなく、舞台との距離は近いのだけど。値段は3000円程度なので、席は悪いけど、格安ではあるし、豪華な客席もよく見える。

席からの眺めはこんな感じ
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Odette/Odile : Heloise Bourdon  オデット/オディール エロイーズ・ブルドン
Prince Siegfried : Timur Askerov ジークフリート王子 ティムール・アスケロフ
The Prince's Friends: Nadezhda Batoeva 王子の友人 ナデージダ・バトーエワ
Sofia Ivanova-Skoblikova                  ソフィア・イワノワ=スコブリコワ
Xander Parish                         ザンダー・パリッシュ
Jester : Vladimir Shmakov  道化 ウラジーミル・シュマコフ
Von Rothbart: Konstantin Zverev ロットバルト コンスタンチン・ズヴェレフ
Cygnets : Anastasia Mikheikina
Svetlana Ivanova
Svetlana Russkikh
Elina Kamalova
Swans: Victoria Brilyova
Yekaterina Chebykina
Diana Smirnova
Yukuaba Chereshkevich
Two Swans : Xenia Ostreiskovskaya
Sofia Ivanova-Skoblikova
Spanish : Yulia Kobzar
Maria Shevyakova
Alexei Kuzmin
Alexander Beloborodov
Neapolitan : Anna Lavrinenko
Alexei Nedviga
Hungarian : Olga Belik
Kirikk Leontiev
Mazurka : Zenia Dubrovina
Alisa Rusina
Maria Lebedeva
Alisa Petrenko
Dimitry Pykhachov
Roman Belyakov
Dimitry Sharapov
Alexander Romanchikov

マリインスキー劇場で「白鳥の湖」を観ることができるのは感慨深いものがあった。セルゲイエフ版のオースドックスで控えめな感じも劇場によく合っているし、上階から観るマリインスキー・バレエのコール・ド・バレエは幻想的でよく揃えられており、息をのむほど美しい。

「白鳥の湖」をトレードマークとしている劇場に、パリ・オペラ座のバレリーナがゲスト出演するというのは、なかなかプレッシャーがかかるものだと思われる。フランス人の熱心なバレエファンに聞くと、オペラ座で現在オデット/オディールを最も得意としているのは、エロイーズ・ブルドンとのこと。きっちりとした古典の技術、長身でほっそりとしており手脚も長いし上半身も柔らかくリリカルな表現を得意としている。

その彼女も、バックにマリインスキー・バレエの白鳥の群舞を従えると、メソッドの違いは明らかだし、ワガノワ出身者を中心とするマリインスキーのダンサーたちの、典雅でしなやかな上半身の美しさには及ばない。かなり早めにサンクトペテルブルグ入りをし、マリインスキーの教師たちにマリインスキー流バレエを学んできたとのことで、ロシア流の足先が高いアティチュード、手首や腕の細かい使い方などは身につけていたのだが。流派の違いはさておき、ブルドンは傾斜のある舞台の上でも落ち着いており、白鳥の女王たる堂々とした風格と凛とした美しさで、詩的なオデットを好演していた。若いバレリーナ(26歳)ならではの清新さがありつつも、若さゆえの自己主張もあり、長身を利用して空間を大きく切り取っていた。

オディールのブルドンは、技術的にはレベルが高く、グランフェッテもダブルを入れて少しだけ早く終わったもののきれいに回っていたけれども、なぜかオデットほどの支配力がなかったようにも感じられた。ここではゲストならではの緊張感と、若さがちょっと災いしたかもしれない。とはいっても、ミスをしたわけではないし、彼女がオペラ座ではいまだにスジェであることを考えれば、立派なパフォーマンスと言える。最終幕のオデットは、2幕よりもさらに堂々としていながら悲劇的で、非常に美しかった。彼女が心をこめて、周到な準備を重ねてこの大舞台に挑んだのが伝わってきて心を打った。ミルピエには冷遇され、同じころ上演のオペラ座の「ロミオとジュリエット」ではジュリエットの友達やロザラインといった端役しか与えられていないブルドンだが、芸術監督も交代することだし、このゲスト出演の成功を糧に、オペラ座を代表するバレリーナとして羽ばたいてほしいと感じた。

一方、王子役はティムール・アスケロフ。長身で白タイツが良く似合う長く美しい脚、正確な古典技術の持ち主でサポートも上手い。いつでもきれいに5番に入るトゥールザンレール、脚がきれいに伸びたマネージュと、基本的には文句のつけようがない。しかし彼はワガノワ出身ではないこともあり、上半身が硬い。さらに演技力というか表現力が致命的に欠けているので、オデットに対する感情もほとんど見えないし、退屈なダンサーなのだ。昨年の来日公演の「ダイヤモンド」はストーリーのないバランシン作品だったので、彼にとっては良かったと思うのだが、物語バレエで観るのはつらい。パートナーがオペラ座からのゲストということもあったので、パートナーシップというものが築けていなかったし愛はなかった。

ロットバルトのコンスタンチン・ズヴェレフは長身で踊りがシャープなのだが、彼はワガノワ育ちならではのエレガンスもあり、情熱的でしなやかな大きな踊りをする人。3日前の「青銅の騎士」の主役で好演するなど、演技力にも優れている。ズヴェレフはまだ「白鳥の湖」の王子を踊ったことがないのだが、今回はむしろ彼が王子を踊ったほうが良かったのではないかと感じた。終幕の存在感は遥かにアスケロフを上回る。

パ・ド・トロワは、目下大売出し中のトリオ、ナデージダ・バトーエワとソフィア・イワノワ=スコブリコワに、ザンダー・パリッシュ。女性二人とも、跳躍力やプティ・アレグロに優れているダンサー。ソフィア・イワノワ=スコブリコワは、マリインスキー・バレエの女性ダンサーにしてはふくらはぎが太くてプロポーションには恵まれていないけれども、スブレット的な役(キトリなど)には向いているように感じられた。彼女は、終幕の2羽の白鳥も踊っていたけれど、それはやはりこの役の大ベテランであるクセニア・オストレイコフスカヤの抒情性にはるかに及ばない。バトーエワも生き生きとして魅力的だった。ザンダー・パリッシュは、12月の来日公演の時よりもサポートも巧くなってきているし、マリインスキー的ではないものの、美しい脚、クリアで丁寧な踊りで、容姿の美しさも相俟って目の保養になることこの上なしだった。

道化のウラジーミル・シュマコフは今までは知らないダンサーだったが、愛嬌たっぷりだったし、見せ場のピルエット・ア・ラ・スゴンドもとてもよく回っていて、魅力的だった。きっと次の来日公演では活躍することだろう。

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3幕の民族舞踊はナポリのアレクセイ・ネドヴィガ、ハンガリーの美しいオルガ・ベリクが目立ったくらいで、あとはそれほど印象に残らなかった。スペインはやはりもっと派手に華やかに踊ってもらいたい。

コール・ド・バレエのエレガンスと統一感は前述の通りで、マリインスキー・バレエの白鳥の美しさは世界一だと改めて実感した。それをこの古風で歴史を感じさせる劇場で観られた幸せはひとしおだった。ブルドンは情感豊かで技術に優れた、美しく素晴らしいバレリーナだし、これからオペラ座ではオデットを何回も踊ることだろう。でも次マリインスキー劇場で観ることができるなら、その時はやはりマリインスキー・バレエのオデット/オディールで観たい。

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