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2016/03/02

NBAバレエ団新作公演「死と乙女」記者会見

NBAバレエ団の2016年新作公演「死と乙女」の記者会見が行われました。

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国際的に活躍する太鼓奏者の林英哲さん、そして、音楽家の新垣隆さんを迎え、振付は気鋭の舩木城さんが行うという話題の新作です。エゴン・シーレの「死と乙女」をモチーフにして、まるでバレエ・リュスを思わせるようなトップアーティストのコラボレーションで作品を創り、日本から発信していきたいという願いが込められています。

http://www.nbaballet.org/performance/2015/sitootome/index.html

<作品のきっかけ>
NBAバレエ団の久保紘一芸術監督
「NBAバレエ団の20周年の幕開けにふさわしい作品を創りたいと思っていました。今まで海外で踊ってきた経験を生かして、「ドラキュラ」やウィールドン振付「真夏の夜の夢」などを上演してきましたが、どこか物足りなさを感じていました。未だに欧米がバレエの中心なのだから。これからは世界展開していきたいと思っており、そのための作品となります」

「人との出会いに恵まれて、林さん、新垣さんに会う機会がありました。共演をお願いしたところ快諾してもらえました。舩木さんは、昔から知り合いで会って彼以外には考えられませんでした。彼は全幅の信頼を置く盟友です」

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林英哲
「45年間太鼓をやってきて、自分自身も舞踊作品は演出してきたし、舞踊、舞踏、日本舞踊との共演はありますが、バレエ作品に取り組むのは初めてです。しかし、バレエは自分でも習ってきたし、日本舞踊の名取も持っていて、このような太鼓奏者は世界で一人だと思っています。別の世界の人達と共演するという感覚ではありません」

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新垣隆
「今回私はピアノを弾いて太鼓と共演します。太鼓とピアノでどのような可能性があるのかを探ってみたいと思います。バレエには、子供のころから興味を持ってきました。また、音楽的にはストラヴィンスキーの影響を受けています。今回は願ってもない重要な機会です。曲はまだ準備段階ですが、これから頑張りたいと思います」

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舩木城
「私は音楽があって、そこから振付を行うスタイルなので、まだこれから先のことはわかりません。しかし今回は久保さんもダンサーとして出演する予定なので楽しみです」

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<質疑応答>
異なったジャンルのアーティストが共演する今回の企画は、バレエ・リュスに対する日本のバレエとしての回答だと思うのですがいかがでしょうか?世界展開はどのように考えていますか?新垣さんがストラヴィンスキーに影響を受けているとのことで、「春の祭典」のイメージがありますが、あのような作品になるのでしょうか。

新垣
「太鼓とピアノの共演の可能性を今回考えてみました。林さんは今まで山下洋輔さんともコラボレーションしてきたし、その形を一つのモデルとしてみたいと思います。太鼓はリズムを持つものなので、おのずと作品も出てくると思います。」

「林さんとリハーサルしてみて、まずご一緒できることは特別なことと感じました。林さんは日本の太鼓の演奏を通じて、日本の現代音楽の領域において大事な役割を果たしています。歴史を作っておられる方です。ご一緒できるのは嬉しいです。プレッシャーも感じていますが、大きな可能性を前にして、興奮しています」

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(リハーサルの模様の映像より)


「新垣さんからは、譜面と音源テープを頂いています。難しいリズムが書いてあって大変だな、と思いました。半分のところまでのスケッチはできています。この作品は、舩木さんのアイディアでエゴン・シーレの絵画「死と乙女」のイメージを基に作っています。私もエゴン・シーレは好きで彼の作品を観にウィーンの美術館に行きました。世紀末の心象を投影した人物像、生と性にまつわる感情が投影されていますよね。新垣さんの調整、音楽性がはまるのではないかと思いました。シーレは、色彩は華やかな作品は描いていません。太鼓とピアノだけという音楽で、コントラストがあってよいのではないかと思いました。新垣さんと私だけの演奏という方が面白いのではないか、自由度も高いのではないかと思い、楽しみです」

舩木
「音楽を観たい、というのが私の作品を創りたい根源です。クラシックバレエの動きから発生した作品になります。あらゆるジャンルの音楽を表現できる唯一のダンスがクラシックバレエだと思っています。頂いた音源を繰り返し聴いて形にするのですが、まだ振付は起こしていません。凄い緊張感のある作品になります。ライブ演奏なので、静かなものなのか激しいものになるのかはまだわかりませんが、心に深く刺さる作品を創りたいです」

Q エゴン・シーレの絵をモチーフにしたのはなぜでしょうか?そしてこの作品にはインプロヴィゼーションはあるのでしょうか?

久保
「林さんと舩木さんで、このアイディアで盛り上がったのです。3人に作品をお任せしています」

新垣
「即興にもいろいろなレベルがあります。全体の枠組みははっきり構成し、あるテーマを持ったものとなります。クラシックバレエの振付のスタイルから創るということからも、厳密にしてく部分はあります。その枠の中である程度の自由さを設定するような即興のスタイルになります」


「山下洋輔さんとコラボレーションした時には、音楽だけなので、15分の予定の作品が30分になったことはありました。バレエの場合には踊りがあるのでそれはないと思います。ある程度の枠の中で許された即興は展開すると思いますが、具体的にはまだこれからです」

舩木
「自分の作品の中では即興はしたことはありません。今回はもしかしたら舞台の上で即興があることはあり得ますが、リハーサルではかっちりと作品を創ります」


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Q 作品にあらすじはあるのでしょうか?林さんが新垣さんを推薦したとのことですが、どのような曲を聴いて推薦をされたのでしょうか?

舩木
「特にあらすじはありません。音楽を表現するときに、自然に立ち上る物語が出てくるので、そうなってほしいと思っています」


「10年ほど前に、新垣さんが別名義で書いた作品に参加しました。これは新日本フィルと邦楽器も参加しての大きな作品でした。新垣さんはオーケストラ曲も10数曲作曲しておられ、いろんな作家と共演しており、音楽界での評判もいい方です。どうにかして作曲を頼んでみようとお願いしたところ、快諾してもらえました」

「もともとは『春の祭典』を太鼓で演奏してバレエに、というアイディアでしたが、そのようなアレンジをすることは許諾を得るのが難しいということで、一から企画をやり直して、曲を創ろうということになりました。新垣さんの評判を聞いて、あちこちから、彼はいい曲を作るという話を聞きました。もちろん、話題性も高い方です。思い切ってチャレンジしてみると、思いがけない結果になるのでは、と思いました。新垣さんは忙しいのでスケジュールは大変だけど、快諾してもらえました」

<作品への意気込み>

久保
「これだけの才能を集めたので、壮大な素晴らしい作品になると確信しています。楽しみにしています」


「共演したことがない人とやるのは楽しみです。太鼓は伝統芸能ですが、新しいことが生まれる場に立ち会うのは楽しいです。私も新垣さんも、辛い境遇を乗り越えて面白作品、表現を生んだ経験があったので、今回もいい作品を創ることができると思うし、頑張れます」

新垣
「林さんは、様々なジャンルを私歩いてきてコラボレーションをしてきました。私にとっても目標とする方です。そのスタンスで、自分なりにやりたいという気持ちが強いです。願ってもない機会です。楽しい現場で、厳しいですが、新しいものを作ることができる幸せを感じています」

舩木
「ちょっとずつ形になっているのがとても楽しく、わくわくしています。どこかに救済がある作品になると思います。必ずいい作品になります」


非常に楽しみな公演ですね。新しいものが生まれる瞬間に立ち会えることに、私もワクワクしています。


公 演 名:
『死と乙女』
日   時:
2016年5月27日(金)開場18:30・開演19:00
     5月29日(日)開場12:30・開演13:00
               開場16:30・開演17:00
会場 北とぴあ(東京都北区王子1丁目11−1)

お問い合せ・
電話予約: NBAバレエ団事務局(月~金10:00~17:00)
Tel:04-2937-4931

芸術監督・演出:久保紘一
作曲:新垣隆
振付:舩木城
ゲスト出演:ピアノ・新垣隆/太鼓・林英哲&英哲風雲の会 

Act01 和太鼓
 和太鼓を舞台芸術にまで昇華させたパイオニア林英哲と英哲風雲の会の演奏
Act02 ケルツ
 ライラ・ヨーク振付。アイルランドの民族舞踏。彼らの苦楽を表現する。
Act03 舩木城 新作「死と乙女」
 振付家舩木城新作、世界初演。
 新垣隆作曲による新作バレエにNBAバレエ団×林英哲、英哲風雲の会が挑む。

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