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2016/02/13

2/6夜&2/11新国立劇場バレエ団「Men Y Men 」&「ラ・シルフィード」

この週末は、東京バレエ団の「白鳥の湖」、牧阿佐美バレヱ団の「白鳥の湖」と公演が重なって日程のやりくりに一苦労。チケットが発売されるときには脇役のキャストが出ないため、2公演分のチケットを買ったら、両日とも脇役キャストと「Men Y Men」のキャストが同じになってしまった。もう一つのキャストも観たかったので残念。上野から初台への移動も大変だった。バレエ団同士の日程の調整は、現実問題として難しいのは理解できるのだけど、米沢/奥村組、長田/菅野組も観たかった。

◆Men Y Men
音楽: セルゲイ・ラフマニノフ 「幻想小品集」より「エレジー」Op3-1、「コレッリの主題による変奏曲」より「主題~第7変奏」Op42
編曲: ギャヴィン・サザーランド
振付: ウエイン・イーグリング

マイレン・トレウバエフ、貝川鐵夫、福田圭吾、
輪島拓也、小口邦明、小柴富久修、原 健太、
髙橋一輝、渡部義紀

男性ばかりが出演する、ウェイン・イーグリング振付の2009年の作品(初演はENB)。薄暗い照明の中、9人の男性がお互いをリフトしたり、3人のダンサーが一人のダンサーを高々と掲げたり、群舞や一人一人のソロも観られる。オペラパレスの大きな客席では、後ろの方まで届きにくい作品ではあるけれども、特に照明の使い方は美しくて、最後に一人一人のムーヴメントにスポットを当てるところは印象的だった。

アラベスクの姿勢など、基本的に動きはクラシックバレエ的で、躍動感というよりは美しさを優先している。後半の方が動きが出てきて楽しめる。特に福田圭吾さん、そしてその後の小口さんのダイナミックなソロにはインパクトがあったし、いつ観てもマイレンの動きは隅々まで美しい。輪島さんも大人の魅力を見せてくれた。もともと、「ジゼル」との同時上演のために作られた作品なので、百合の花を持ったダンサーが途中で登場するのがアクセント。男性だけによるバレエの美しさを見せてくれる佳作なのだけど、上演時間が約15分と少し短すぎるのが物足りない。6日の公演には、カーテンコールにイーグリングも登場した。


◆ラ・シルフィード
音楽: ヘルマン・ルーヴェンシュキョル
振付: オーギュスト・ブルノンヴィル
演出: 大原永子

2/6夜 
シルフィード: 細田千晶
ジェームス: 井澤 駿
グァーン: 木下嘉人
エフィ: 堀口 純
マッジ: 本島美和
第1シルフ:寺田亜沙子

2/11
シルフィード: 小野絢子
ジェームス: 福岡雄大
グァーン: 木下嘉人
エフィ: 堀口 純
マッジ: 本島美和
第1シルフ:寺田亜沙子

指揮:ギャヴィン・サザーランド
管弦楽:東京交響楽団

新国立劇場バレエ団での「ラ・シルフィード」上演は久しぶりのこと。「Men Y Men」を含めても、2回分の休憩時間込で上演時間が2時間10分というのは非常に短く、あっという間に終わってしまう。1幕は、群舞はバレエシューズを履いた民族舞踊的なもので生き生きとしていて楽しい。この1幕群舞のキャストが、販売されているプログラムに載っていないのが非常に残念。奥田花純さんなど、主役級のダンサーも入っているのに。

2月6日のシルフィード役は細田さん。「こどものための」シリーズを除けば、初めての主演かもしれない(要確認)。無邪気で、いたずらっぽくどこまでも甘く可憐な妖精だった。ふわふわと軽やかな動きも美しかったけど、人間の女の子としてジェームズに恋していた感じ。足音をさせず、透明感もあるけれども、生身の人間を感じさせるところもあった。いずれにしても、ミスもまったくなく、丁寧な踊りで立派に主役を演じる中に、彼女らしい愛らしさを見せてくれた。

ジェームズは井澤さん。なんといっても井澤さんはほっそり長身で姿かたちに華があるので、椅子で寝入っている姿も、キルト姿もたいそう絵になる。エフィとの結婚を控えて、魅惑的な妖精につい惹かれてしまうところに罪の意識は微塵もなく、悪いことをしてしまっているようにも見えない、若さと未熟さゆえにただただ美しいものに魅せられてしまったところが自然に表れていた。ブルノンヴィル版ラ・シルフィードは、彼の苦手なリフトもほとんどないし、足先も美しい。バットゥリーはもう少し精度が高い方がいいと思わせるところもあったけれども、跳躍は高いし、初役で大健闘したと言える。

井澤さんのジェームズはマッジの呪いがかかったヴェールをシルフィードにかけてしまい、彼女が絶命する姿から彼は背中を向けてしまった。毒が回ったニキヤから目をそらしてしまったソロルのように。エフィを裏切ってしまったことではなくて、シルフィードの死で初めて罪悪感を感じてしまったようだった。そんな彼の方に視線を向けて、愛を誓いながら死んでいくシルフィードの健気さには、胸を締め付けられた。


一方、小野絢子さんのシルフィードには、人間っぽいところはまったくなくて、人ならざる存在であるところの妖精そのものだった。小野さんは、踊りの形がとにかく完璧だ。柔らかい足首、きちんとドゥミを通るポワントワーク、アカデミックなスタイル、足音を全くさせない、まさに空気の精。1幕で舞台を駆け抜けるところの、まるで一瞬の風のような浮遊感といったら。彼女のシルフィードも、非常に可愛らしくて小悪魔的なのだけど、あくまでも妖精の恋であって、決して人間としてはジェームズに恋をしない。それでも、絶命する時に見せたジェームズへの切ない想いは心に小さな棘を残す。

福岡さんのジェームズは、反面かなり人間的だった。彼は他の若手と違って決してキルト姿が似合うわけではないのだけど、ちょっと不器用で、本当はエフィときちんと結婚をしなければならないのもわかっているのに、ついシルフィードを追いかけてしまう様子に説得力があった。ダメ男ジェームズ。さすがにテクニックは鮮やかで、ブルノンヴィル特有の足捌きも非常に綺麗だし、跳躍もとても高い。ただし、2幕のヴァリエーションでトゥールザンレールを左右へと繰り返すところでは5番に着地できなくて少し手こずっていた。

両日とも、主役二人以外のキャストは同じ。エフィの堀内さんは素直で健気な娘さんなだけに、ジェームズの心変わりに悩む姿がいじらしい。ガーンの木下さんは、ちょっとしつこいくらいエフィにご執心で、シルフィードの姿はなぜか彼だけには見えている。こんなのが飛んでいたんだ!とシルフィードの物まねをするしぐさがとても可笑しいし、1幕のヴァリエーションも鮮やかだった。

しかし何といっても白眉は本島さんのマッジ。美貌の本島さんがどのようなマッジを演じるのかと思っていたのだが、期待以上の凄さだった。腰が曲がり、汚れた姿の老婆なのに、元は美女だったことがしっかりわかる。強い目力、一挙一動に力と邪悪さがあふれている。こんなマッジにかかってしまっては、浅はかなジェームズなど赤子の手をひねるようなもの。シルフィードが死んでしまった後の対決シーン、哀れなジェームズに勝ち目など全くない。しかしジェームズが絶命した横に佇む彼女の姿には、どこか虚しさと哀しみのようなものが感じられて余韻を残す。

このような姿になる前のマッジは何者だったのだろうか?ヨハン・コボーが振付けた「ラ・シルフィード」では、最後にマッジがスカートを持ち上げると、白いチュールが現れた。つまり、マッジはもともとはシルフィードだったというわけだ。この本島マッジも、もしかして、かつては美しい妖精だったのかもしれない。

新国立劇場バレエ団のコール・ド・バレエは毎度ながらの美しさで、特に2幕のシルフィードたちは足音もさせず、幻想譚の世界の存在として、ふわふわと柔らかくありながらもきれいに揃っていた。1幕に登場した日本ジュニアバレエの子役たちも非常に達者だった。


非常にクオリティの高い上演だったけれども、「ラ・シルフィード」は短くてコンパクトな作品なので、カップリングさせるならもう少しボリュームのある作品との上演が良かったかもしれない。前回上演の時は、「パキータ」との同時上演だったが、それくらい華やかな作品との上演の方が、観客動員も良かった可能性はある。

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バレエ公演感想」カテゴリの記事

コメント

こんにちは。
私も久しぶりにバレエ史上初のロマンティック・バレエである『ラ・シルフィード』の新国立劇場バレエ団を見ましたので当時のバレエを思い出しながら、楽しく読ませていただきました。この舞台でも、新国立劇場バレエ団のコール・ド・バレエの美しさが際立って、一時夢の世界にいるような素敵な時間をすごしました。

私も別の視点で鑑賞記を書きましたのでよろしかったら覗いてみてくださると大変うれしいです。私の見方についてご意見がありましたらコメントいただけるれば、私なりにご返事を差し上げたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

dezireさん、こんにちは。

私は残念ながら米沢唯さん主演の回を観ることができなくて、ちょっとコメントはできないのですが。友人のカナダ人が初めて日本にやってきて、この米沢さん主演の回を観たのですが、世界中でバレエを観ている方ですが、彼女がとにかく大変素晴らしかったとおっしゃっていました。コール・ドやガーンの福田さんも絶賛しておられて。他の公演と重なっていなければ絶対に観に行ったんですけどね。

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