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« 「Maiko ふたたびの白鳥」 | トップページ | マシュー・ボーンの『眠れる森の美女』9月14日~25日東京公演 »

2016/02/29

2/27 新国立劇場バレエ研修所 「エトワールへの道程2016」

新国立劇場バレエ研修所第11期生5名の卒業公演。ほぼソールドアウトの盛況で、私もうっかりしていて2月に入ってからチケットを買ったら、一階の一番後ろになってしまった。

Etoile_2016

http://www.nntt.jac.go.jp/ballet/performance/151209_007896.html

指揮:アレクセイ・バクラン
管弦楽:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

「ドン・キホーテ」第3幕より
原振付:マリウス・プティパ
音 楽:レオン・ミンクス
 
キトリ:阿部裕恵
バジル:菊地 研(牧阿佐美バレヱ団)
第1ヴァリエーション:横山柊子
第2ヴァリエーション:中島春菜
友人 赤井綾乃、杉山澄華、関 優奈、羽石彩乃

最初から「ドン・キホーテ」3幕というのはちょっと珍しい構成。阿部裕恵さんには華があり、テクニックも見せ方も素晴らしい。グランフェッテも、ダブルを後半まで織り交ぜながら余裕でフィニッシュ。キトリのキャラクターをしっかり演じていた。ヴァリエーションの二人は下級生(12期)だけど、二人とも綺麗にきめてくれた。ゲストの菊地研さんもさすがプロの余裕があった。

 
「白鳥の湖」より黒鳥のグラン・パ・ド・ドゥ
原振付:マリウス・プティパ
音 楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー

青山季可(牧阿佐美バレヱ団)・中島瑞生

唯一の男性卒業生である中島さんは、長身でプロポーションよく端正な容姿。遠目には少し井澤駿さんを思わせる雰囲気。前半はサポートも頑張って優雅な雰囲気で貴公子らしかったのだが、後半ヴァリエーションで少し崩れてしまった。男性ダンサーは、ソロだけでなくてパートナーリングもしないといけないので大変だと改めて思った。青山さんはヴァリエーションまでは、さすがにプリマの貫録があって素敵だったのだけど、グランフェッテで失速して上手くフィニッシュできず。


第11期生自作自演作品
『Breath』 髙橋依吹

「大地の中から生まれ出てくる生命。息吹」春夏秋冬を経て、また大地へ還る」。髙橋さんの名前にもちなんだ作品だったけど、生命が芽生えて育っていく様子が素直に伸びやかに表現されていて、魅力的な作品だった。バレエ研修所では、夏休みの課題として作品を創作するというのがあるとのことだが、もっと積極的に普段のカリキュラムで創作に取り組めるとさらに良いと感じる。

11期生を中心に、研修所でどのようなことを学んでいるかの映像があったのだけど、映像の画質があまりよくなくて、誰がだれなのかはよくわからなかった。今までの研修所の歩みとして、ワシントンDCのケネディセンターや、クレムリンでの舞台も紹介されていた。以前は「バレエ・アステラス」で海外のバレエ学校を招待しての交流などもあったのだが、そのような趣向がなくなってしまったのは残念。


「Vision of Energy」
振付:キミホ・ハルバート
音楽:ヘンリク・ミコワイ・グレツキ、高木正勝、ロッシーニ、マルティノフ
 
パ・ド・ドゥ1:廣田奈々・中島瑞生 阿部裕恵・渡邊拓朗
パ・ド・ドゥ2:髙橋依吹・池田武志(新国立劇場バレエ団) 
研修生・予科生全員

ほぼ全員が出演し、この大人数の群舞を巧みに動かし、構成もまとまった作品でこの日一番楽しめた。真ん中のパートはロッシーニの「泥棒かささぎ」を使用して、にぎやかで明るい雰囲気。パドドゥ中心に一列の群舞を従えた最初、大人数の群舞で良く動く真ん中パート、そしてパ・ド・ドゥのほかいろんな要素が入る最後と変化に富んでいる。新国立劇場バレエ団からゲストの池田武志さんは、さすがのしなやかで粘りのある踊りで、舞台を支配する表現力がある。阿部さんも、コンテンポラリーでも非常に目を引く。

研修所のカリキュラムを見るとクラシックバレエ中心で、コンテンポラリーは年に何回か特別レッスンがある程度のよう。講師は秋山珠子さん&ディモ・キリーレフ・ミロフ(元スペイン国立ダンスカンパニー)、小尻健太さん、キミホ・ハルバートさん、新国立の宝満直也さんと豪華ではあるものの、コンテンポラリーはやはり、レギュラーのカリキュラムに入れるべきだと思われる。とはいえ、今日の作品は、キミホさんという優秀な振付家を起用しただけのことがあり、皆さん楽しげに自由に踊って良い舞台だった。

 
「眠れる森の美女」プロローグ・第3幕より
原振付:マリウス・プティパ
音 楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
 
オーロラ姫:廣田奈々
デジレ王子:芳賀 望(フリー)
 
リラの精:横山柊子
優しさの精:多田そのか
元気の精:パーキンソン赤城季亜楽
鷹揚の精:中島春菜
呑気の精:羽石彩乃
勇気の精:髙井惠里

宝石のパ・ド・カトル
ダイヤモンド:阿部裕恵、金:関 優奈、銀:杉山澄華、サファイア:丸山さくら
 
青い鳥とフロリナ王女のパ・ド・ドゥ 丸山さくら・山本達史(東京バレエ団)

プロローグの妖精たちのディヴェルティスマンと3幕の一部という変則版。研修生のみなさんは、本当にプロポーションが美しい子たちばかりで、日本人のスタイルって本当に良くなったのだと実感。プロローグに出演していたのは予科生たちなので、まだこれからの生徒たち。ポール・ド・ブラに改善の余地がある子たちが多かった。法制のパ・ド・カトルは12期生たちなので、さすがにそのあたりも美しく整っていて、クオリティは高い。ここでも阿部さんが圧倒的な輝き、ステージプレゼンスがあってプロの舞台でも真ん中を踊っておかしくないレベルだった。

ブルーバードは、10期卒業生で現在東京バレエ団に所属している山本さん。先日のブルメイステル版「白鳥の湖」では道化役に抜擢されて、素晴らしいテクニックを見せてくれた。今回のブルーバードも、後半のブリゼ・ボレが特に見事だった。フロリナの丸山さんも軽やかで端正で良かった。

オーロラの廣田さんも、この役を演じるだけあってテクニックもあるし腕の運び方なども気品があって丁寧で良かった。客席の方に表情を作ったうえで視線を送りすぎていたような気がして初々しさに欠けていたけど、実力は文句なし。王子は元ソリストの芳賀さん。なぜ新国立劇場バレエ団の現役団員ではなく芳賀さんだったんだろうか。つま先が伸びていなくて最後のマネージュが今一つだった以外は、問題はなかったとはいえ。この時期は新国立劇場バレエ団は公演はないわけだし、団員が池田武志さんしか今回出演していないのは、何か理由があってのことだろうか。(「ドン・キホーテ」の菊地さん、「白鳥の湖」の青山さんも牧阿佐美バレヱ団の団員であるし、山本さんは研修所出身とはいえ、東京バレエ団の団員)


「眠れる森の美女」が終わると、卒業生が一人一人、感謝の言葉と抱負を述べた。みんな初々しくて応援したくなる。廣田奈々さんは、何を言うのか考えてきませんでした、と明るく語り、少し言葉に詰まって客席からも「がんばれ!」と励まされたあと、「明日から頑張ります!」と。彼女はなかなか大物というか肝が据わっていて、舞台人向きなのかもしれない。唯一の男性中島さんは、怪我を持っているそうだけど、それにも負けずに頑張りたいとのこと。卒業する皆さんは、全員実力があることをこの舞台で証明できたわけし、これからのバレエ人生が輝かしいものになることを祈りたい。


さて、新国立劇場バレエ団の新加入ダンサーが、例年よりも早く発表されていた。
http://www.nntt.jac.go.jp/ballet/news/detail/160222_008228.html

ソリストとして入団するのは、以前K-Balletにアーティストとして所属していた池田理沙子さんと、フランスのキャピトル・トゥルーズバレエ(カデル・ベラルビ芸術監督)のソリストで主役なども踊っていた渡邊峻郁さん。

そして、新国立劇場バレエ研修所からは、廣川みくりさん、廣田奈々さん、中島瑞生さんの3人。なぜ一番舞台の上での存在感があり、テクニックも突出している阿部裕恵さんが入団しないのかが不思議。もしかしたら、身長が少し足りないのかもしれないが。

実は2014年のエトワール・ガラの東北でのチャリティレッスンの時に、阿部さんの出身校であった橘バレエ学校仙台教室が参加した。その時に講師として来たイザベル・シアラヴォラとシルヴィア・アッツオーニが阿部さんを絶賛し、海外のバレエ団に行くべきだと推したのだった。それだけの才能の持ち主だったわけだ。さて、彼女はどこで踊ることになるのでしょうか、とても気になる。そういえば、ブルーバードの山本達史さんも、東京バレエ団の入団一年目で道化に抜擢されるほどの実力派なのに、なぜ新国立劇場バレエ団に入らなかったのだろうか。これも身長の問題なのだろうか。

新国立劇場バレエ研修所は、優秀な才能を輩出しているのだけど、新国立劇場バレエ団は身長制限というつまらない条件で、みすみす優れたダンサーを取りこぼしている印象が非常に強い。たとえば、第8期生は誰一人新国立劇場バレエ団に入団しなかったのだが、それも身長制限をクリアした人がいなかったからという理由のようだ。研修所の生徒は日本国内ではトップの才能なのに、今の研修所の在り方と新国立劇場バレエ団との方針の齟齬については、疑問は多々感じてしまうし、この現状では、優秀なバレエ学生の多くはやはり海外留学へと流れると思う。世界を見回すと、実は女性ダンサーは特にソリスト級は小柄な方が重宝してもらえたりする現状もあったりするのだ。

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バレエ公演感想」カテゴリの記事

コメント

同じ日の鑑賞でした。
わたしも、阿部裕恵さんがどちらに放出されるのかとても知りたいです。新国立は入団の身長基準を女性163としています。コールドは団の方針で決めればよいと思いますが、阿部裕恵さんが仮に160㎝だとしても、彼女は将来ソリストを立派につとめられる資質がありますし、個人的にはあの愛くるしさが好きです。愛されるというのも立派な資質だと思いますので、彼女が希望するならば、入団させるべきだろうと思います。イザベルが彼女を推したのですね!イザベルは、雇われたからって、嘘ついて誉めるが大嫌いだと言っていました。阿部さん、どこに行くのでしょうね?

そもそも新国立の新規入団ですが、アーティスト入団のシステム、『やはり変』だと感じます。いくらコンクールで数々受賞していても、眼で見たら上手でも、他のバレエ団でソリスト以上の役を積んでいない生徒(経験不足)をアーティスト入団させるのは違和感大。
スタートは、下からで、入団後、使える人材で活躍したら、1年後にアーティストに昇格させればいいだけなのに。どうなっているのか?と思います。

この修了公演のゲストのセレクションも、入団者も、一定の人の御眼鏡 の影響力が強すぎて、私は納得できないなぁ。

阿部裕恵さんが海外のバレエ団に自ら出ていくなら納得ですが、放出されたのだとしたらおかしい。

OLIVEさん、こんにちは。

OLIVEさんのブログの、とても詳細なレポートも拝読しました。素晴らしいですよね~私はとてもそこまで細かいことは書けません。

私もエトワール・ガラのチャリティレッスンで通訳をさせていただいたので阿部裕恵さんは、素晴らしい逸材だったのは感じました。160cmの私とあまり変わらないくらいの身長だったかと思いますが、イザベルも、この子は何!ってくらいに惚れ込んでいる勢いでしたし、シルヴィア・アッツオーニは、ハンブルグ・バレエに映像を送ってノイマイヤーに観てもらうべきと言っていました。つまり、お世辞などではなくて本物の才能を見たのだということだと思います。なので、もしかしたら、彼女自身、海外のバレエ団に行くことを決めたのかもしれませんけどね。テクニックも素晴らしいですが、おっしゃる通り、愛くるしさがあるし、美人なだけでなく醸し出す魅力というか、華というかステージプレゼンスがあるんですよね。

アーティスト入団の件も同意です。今回トゥールーズから入団される渡邉さんなどは主役も踊っていて文句なしのソリスト入団なのですが、研修所から出たばかりやコンクールで賞を獲ったレベルでソリスト入団はやはり違和感があります。バレエ団のコール・ドレベルのダンサーでも、海外バレエ団で活躍した経験がある方や、それなりに実績がある人がいるのにそれを飛び越えた上の地位で入るのってどうなんだろう、というのが部外者から見た素朴な疑問ですよね。

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