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« 2/10(本日)NHK総合放映 無様(ぶざま)でいい もっと自由に ダンサー 大前光市 | トップページ | パリ・オペラ座バレエの2016-7シーズン正式発表 »

2016/02/10

1/30 東京シティ・バレエ団「ダブル・ビル」

先日、「L’heure bleue」の振付を担当したイリ・ブベニチェクと、振付助手および衣装、舞台美術を手掛けたオットー・ブベニチェクのトークショーに参加させていただいた東京シティ・バレエ団のダブル・ビル。日本のバレエ団で、このように作品のクオリティもパフォーマンスも上質なものができるのか、と感動した素晴らしい公演だった。

「L’heure bleue」「ベートーヴェン交響曲第7番」
芸術監督:安達悦子
指揮:井田勝大
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
監督:中島伸欣
舞台監督:橋本洋、淺田光久
照明:足立恒
音響プラン:GESMEC
大道具:(有)ユニ・ワークショップ
制作・主催:一般財団法人東京シティ・バレエ団
後援:一般社団法人日本バレエ連盟

第1部「L’heure bleue」
演出・振付:イリ・ブベニチェク
音楽:J.S.バッハ、L.R.ボッケリーニ ほか
振付助手:オットー・ブベニチェク
バレエミストレス:高木糸子、若林美和
舞台美術・衣裳デザイン・照明プラン:オットー・ブベニチェク
ピアノ独奏:横山和也
衣裳制作:工房いーち
出演:岡博美、沖田貴士、長澤風海
黄凱
清水愛恵、榎本文
三間貴範
土肥靖子、平田沙織
浅井永希

イリ・ブベニチェクが2013年にノースカロライナ・ダンスシアターのために振付けた作品を、今回、東京シティ・バレエ団のために大幅に改定し、振付も追加した。額縁、ハンカチ、薔薇、剣など小道具を粋に使った活人画的作品で、恋の駆け引きが生き生きと描かれて楽しいものに仕上がっていた。

まだ客電が落ち切らない時に幕が上がり、舞台の上には、大きな額縁の中に、バロック風の衣装を着た長澤風海さん。小さな額縁が空中に配置され、一つの額縁の中には剣、もう一つの額縁には薔薇。最初は男性ダンサー3人で始まり、額縁と額縁の間でハンカチがやり取りされるところからして、意味ありげで惹きつけられる。イリ・ブベニチェク独特の、クラシック的な伸びやかさの中に、ちょっとしたひねりを加えた振付。次に舞台奥には、3人の女性ダンサーたちが配置され、ロココ的な衣装を身につけた彼女たちの佇まいが、まさにフラゴナールの絵画のよう。真ん中を踊る岡博美さんはビスチェドレス、清水愛恵さん、榎本文さんの2人は男物の長めのジャケットにショートパンツで脚がむき出しになっていて、倒錯的な官能性が漂う。

バッハのバロック的な音楽に合わせて軽妙に動くダンサーたちには、よくぞここまでのエスプリや表現をここまでものにできた、と感心させられた。一人一人に個性が感じられるのもいい。パ・ド・ドゥ、パ・ド・トロワ、男性や女性たちのトリオなど、様々な組み合わせでのダンスもあってフォーメーションも変幻自在、目くるめく世界を堪能した。絵画の中の登場人物が飛び出て生き生きと動き回り、そして絵画の中へと還っていく。少しキリアンの影響を感じさせるものの、ユーモアのセンス、ほのかな色香、成熟した大人の世界でたいそう魅力的。振付家が長期間振付指導を手掛けてダンサーたちを鍛え上げた成果がしっかり出ていた。

オットー・ブベニチェクが手掛けたシンプルで洗練された舞台美術、ダンサーたちの体型にフィットした、バロックやロココ的な中に現代性も感じられる美しい衣装と、プロダクションデザインも秀逸だった。

日本のバレエ団で、人気のある振付家を招聘して現代物のほぼ新作を長期間振付してもらうというケースはレアだけど、民間のバレエ団でやってこれだけの成果を上げるのは称賛されるべきこと。ぜひ、間を置かないでの再演を期待したいところだ。次はきっともっと表現が深化していることだろう。


第2部「ベートーヴェン交響曲第7番」
演出・振付:ウヴェ・ショルツ
音楽:L.V.ベートーヴェン
指導:ジョヴァンニ・パルマ,木村規予香
バレエミストレス:山口智子,加藤浩子
美術・照明・衣裳デザイン:ウヴェ・ショルツ
衣裳協賛:チャコット株式会社
出演:
第1楽章 佐合萌香、キム・セジョン
第2楽章 志賀育恵、キム・セジョン
第3楽章 内村和真、沖田貴志 志賀育恵、キム・セジョン
第4楽章 佐合萌香、キム・セジョン

志賀育恵、佐合萌香、中森理恵、名越真夕、平田沙織、松本佳織
飯塚絵莉,薄井友姫、木暮絵梨子、宮崎真衣、河野麻子、大内麻莉
キム・セジョン、春野雅彦、浅井永希、高井将伍、内村和真、石黒善大,沖田貴志
チンゾリグ・バットムンフ、二上史生、左世義寛、福田建太、パク・ヒョンジュン、濱本泰然

「NHKバレエの饗宴2014」で上演されて大好評だった、東京シティ・バレエの十八番ともいえる作品。2013年の初演から数えれば3度目の上演。間を置かずに再演し、どんどん上演のクオリティを上げていくというバレエ団の姿勢が素晴らしい。

オープニングシーンで一斉にダンサーたちがリフトされてポーズをし、女性ダンサーたちがパドブレするところから、もう気持ちは盛り上がる。ノンストップで繰り広げられるダンスの洪水にひたすら溺れる幸せ。ウヴェ・ショルツの音楽性溢れる振付は至福の時間を与えてくれる。殆どのダンサーたちが出ずっぱりで、体力も非常に使う作品だと思うが、特に女性ダンサーたちのプロモーションの美しさ、踊りの精度は見事だった。揃わないところも少しはあったし、途中でやや疲れが見えてしまった人もいたが、最終楽章で持ち直していた。唯一残念だったのが、「NHKバレエの饗宴2014」で素晴らしかった玉浦誠さんが怪我のために出演できなかったこと。第2楽章のメーンを踊った志賀育恵さんは、特に、アラベスクや音楽の表現が見事だった。


新国立劇場の中劇場という会場のサイズ感も、この二つの作品にとってはちょうどよかった。現代作品であるのに、2回公演がソールドアウトとなったのも素晴らしいのだが、2回だけではもったいなかったという気もする。とにかく、ヨーロッパの今を伝える現代作品を、しっかり時間をかけて振付指導を行い、世界に胸を張れる見事なクオリティに仕上げたことに心から敬意を払いたい。このような試みはぜひ今後も続けて行ってほしいと思うし、他のバレエ団もこの姿勢を見習ってほしい。

東京シティ・バレエ団「L'heure bleue」イリ&オットー・ブベニチェク トークイベント
http://dorianjesus.cocolog-nifty.com/pyon/2016/01/lheure-bleue-fc.html

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