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« ジョフリー・バレエの2016-17シーズン | トップページ | バンジャマン・ペッシュのアデュー公演と「エトワール・ガラ2016」 »

2016/02/21

12/12 パリ・オペラ座バレエ「ラ・バヤデール」

すっかりご報告が遅くなってしまいましたが、昨年12月11日より16日まで、パリに行ってきました。

11月13日にパリで起きたテロの余波もまだあり、パリ行きの飛行機はガラガラ。日本人観光客もほとんど見かけませんでした。ただし、思ったほど街の中は厳戒態勢ではなかったです。迷彩服を着た兵士をガルニエの前でたくさん見かけたり、デパートなどに入るのにも手荷物検査やコートを脱ぐように指示されたりはしていましたが。クリスマス前ということで、デパートなどはたいへん賑わっていましたが、美術館などは比較的空いていました。

ガルニエもバスティーユも、劇場の入り口で荷物検査がありました。バスティーユでは、入り口前に仮設のテントが設けられて、金属探知機をかけられ、荷物検査をされます。そのため入場するのに時間がいつもよりかかり、開演前30分前には行く必要がありました。開演後15分後には劇場には入れないことになっています。


「ラ・バヤデール」La Bayadere
https://www.operadeparis.fr/saison-15-16/ballet/la-bayadere

Nikiya Heloise Bourdon ニキヤ: エロイーズ・ブルドン
Solor Isaac Hernandez ソロル: イザック・エルナンデス (ENBより客演)
Gamzatti Ida Viikinkoski  ガムザッティ : イダ・ヴィキンコスキ
The Golden Idol Emmanuel Thibault  ブロンズ・アイドル: エマニュエル・ティボー
The Slave Mickaël Lafon  奴隷: ミカエル・ラフォン
Manou Lucie Clement  マヌー: ルシー・クレメント
the Fakir Pablo Legasa  苦行僧 : パブロ・レガサ
the Rajah Guillaume Charlot  ラジャ : ギョーム・シャルロ
The Great Brahmin Yann Saïz  大僧正 : ヤン・サイズ
The Soloist Indian Sabrina Mallem インドの踊り: サブリナ・マレム
The Indian Soloist Yann Chailloux  インドの踊り:ヤン・シャイヨー(と、苦行僧パブロ・レガサ)
1st Variation Aubane Philbert  影の王国 第一ヴァリエーション オーバーヌ・フィルベール
2nd Variation Eleonore Guérineau 第二ヴァリエーション エレオノール・ゲリノー
3rd Variation Fanny Gorse 第三ヴァリエーション ファニー・ゴルス
Pas D'Action パ・ダクシオン
Eleonore Guérineau, Silvia Saint-Martin, Juliane Mathis, Aubane Philbert, Fabien Revillion, Jeremy-Loup Quer,
Marie-Solene Boulet, Hannah O'Neil, Marion Barbeau, Laure-Adelaide Boucaud

Music Ludwig Minkus
book Marius Petipa, Serguei Khoudekov
Choreography Rudolf Nureyev
musical direction Fayçal Karoui
Music performed by John Lanchbery

ルドルフ・ヌレエフ最後の作品で、これぞパリ・オペラ座というべきグランド・バレエ。ヌレエフ版は衣装が目もくらむばかりの豪華さで、ダンサーたちの美しさもあり大変な目の保養となる。ニキヤとガムザッティが取っ組み合いのキャットファイトを繰り広げたり、ドラマ性も十分。また、影の王国は4段もスロープがあって衣装、照明とも深みがあって何とも言えない幽玄な美がある。たっぷりとした見ごたえがある大作で、バスティーユの広い舞台でこれが観られたのは幸せな体験であった。

当初ヤニック・ビットンクールがソロルを演じる予定が、怪我で降板したため、代役にはENBからイザック・エルナンデスが急きょ出演。(この回は彼にとっては2回目)先シーズンまでオランダ国立バレエで活躍していた彼は、戦士らしい勇壮なソロルを演じてくれた。2幕ヴァリエーションの空中姿勢の美しさは特筆もの。ニキヤ役のエロイーズ・ブルドンが、細身ながらも長身なのだが、エルナンデスはサポートも非常にうまくてスムーズだった。何より、影の王国でのコーダのドゥーブル・アッサンブレが、跳躍は高く鋭くて見事だった。

ニキヤ役には、エロイーズ・ブルドン。スジェでありながら、前回の「ラ・バヤデール」でもニキヤ役を踊り、「白鳥の湖」のオデット/オディール、「くるみ割り人形」のクララなどで主演しているエロイーズ・ブルドン。昨年京都バレエの「ロミオとジュリエット」で、美しく繊細なジュリエットを踊ったのも記憶に新しい。主演経験も豊富なのに、なかなかプルミエにも上がれないのが不思議がられている。

ブルドンは、腕が非常に長くてポール・ド・ブラが雄弁かつ情感豊かでデリケートだった。キャラクター付けははっきりしており、神に身を捧げた踊り子でありながら、ソロルとの恋に身を焦がす激情的な部分もあり、若い娘らしくはっきりと感情をを見せていた。ガムザッティに詰め寄られていても毅然とした強さがあった。花籠のソロは悲痛で苦しみの叫びが聞こえてきそうな一方で、花籠をソロルの贈り物として受け取った時の輝く表情も印象的だった。影の王国では、難しいヴェールのヴァリエーションも難なく踊り切り、伸びやかで抒情的な踊りを見せてくれた。脚もとても美しい。技術的にも、表現力にも大変優れているうえ容姿も美しく、堂々の主役ぶりで、本当になぜ彼女が未だスジェなのか理解できなかった。エトワールの品格を備えていると言って良い。ブルドンは、マリインスキー国際フェスティバルでは、「白鳥の湖」で主演する予定。

一方ガムザッティ役には、コリフェ(11月の昇進試験により、1月1日にスジェに昇格)のイダ・ヴィキンコスキ。パリ・オペラ座学校出身(16歳で転入)だけどフィンランド人で、2013年入団の非常に若いダンサー。ミルピエお気に入りの一人とされている。ところが、このヴィキンコスキのガムザッティは、お世辞にも褒められたものではなかった。なんといっても踊りが雑で、姫君ならではの気品もほとんど感じられない。高慢で怖いお姫様なのは伝わってきたけれども、ソロルに恋する気持ちも感じられなかった。特に見せ場の婚約式でのイタリアン・フェッテの乱暴さは目を覆うばかりであった。ヌレエフ版の「ラ・バヤデール」といえば、エリザベット・プラテルが演じた役。エトワールが踊るにふさわしい役であるし、エトワールではなかったとしても、もう少しオペラ座らしく、そして経験を積んだダンサーに躍らせるべきなのではなかっただろうか。ミルピエが推進した、ヒエラルキーを無視した配役というのは、このような弊害を生んできたのだ。

ミルピエは、大きな批判を浴びたインタビューの中で、「ラ・バヤデール」のクオリティが低く、コール・ド・バレエは壁紙のようであったと評していた。ところが、今回、「影の王国」のコール・ド・バレエは非常に良く揃っていて美しく、4段スロープを降りてくるところも見事だった。これがなぜ批判されるのか、正直言って理解に苦しんだ。影の王国のコール・ドは、それこそ個性を主張するような場面ではないわけであるし。この公演では、影の王国のコール・ド・バレエにオニール八菜さんもいるという豪華なものであった。(スジェまでは、コール・ド・バレエを踊ることになっている。1月1日でオニールさんはプルミエに昇進したので、おそらくこの「ラ・バヤデール」が最後のコール・ド・バレエでの出番だったことだろう)

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もう一つ、ミルピエが手を入れたとされている場面は、2幕のブロンズ・アイドルの場面に出てくる子役たちの顔を黒く塗ることをやめたことだ。これは確かに今の時代においては人種差別と受け止められるので、改善といってもいいとは思うのだが。

ブロンズ・アイドルは大ベテランとなったエマニュエル・ティボー。ちょっと体力的に厳しいかも、と感じられたところもあったものの、仏像らしさは良く出ていた。ティボーは、金粉ショーのように本当にキンキラに全身を塗っていた。素晴らしかったのは、苦行僧のパブロ・レガサとインドの踊りのサブリナ・マレム。マレムは表現力が豊かで大きい。彼女は、影の王国のコール・ドの先頭も踊るなど大活躍をしていた。

また、大僧正には、12月31日の「ラ・バヤデール」公演がアデューとなってしまったヤン・サイズ。これほど美貌の大僧正はいないのでは、と思うほどの美しさで、情熱的に迫る姿にはぐっと来た。

影の王国のコール・ドが揃っていてレベルが高かった一方で、1幕、そして2幕のコール・ドやパ・ダクシオンはちょっとレベルが今ひとつだったかもしれない。パ・ダクシオンにもオニールさんが入っていたのだが、やはり彼女はずば抜けて華があり、伸びやかで美しかった。影の王国のヴァリエーションは、第二ヴァリエーションのエレオノール・ゲリノーが頭一つ抜けていかにもフランス的なバレエを見せてくれた。

主役二人の素晴らしいパフォーマンスを始め、影の王国の美しさもあり、全体的に満足度は高かった。12月も終わりに近づくと、ダンサーたちも連日の公演疲れが出て、少しクオリティも下がってしまったのかもしれないが、ガムザッティのヴィキンコスキが良くなかった以外は、批判されるような出来では決してない。

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コメント

naomiさん、こんばんは。
あの大変な時期にパリ滞在だったのですね。旅慣れたnaomiさんは流石です!
パリオペラ座鑑賞の詳しいレポ、とても嬉しく読ませて頂きました。
ありがとうございました。

ルグリ全盛時代、オペラ座に何度も通った私ですがいろいろな家庭事情でこの10年以上行けず・・。
やーっと・・師走に友達と渡仏して久々にパリオペラ座で鑑賞する予定が、あのテロ事件で家族中の大反対にあいまして断念しました。
ラ・バヤデール、鑑賞できて本当に羨ましいです・・。
ヤン・サイズの最後の公演ですし凄く観たかったです。

エロイーズ・ブルドン、実力ある素敵なダンサーですよね。
まだスジェでいる事が凄く不思議だと私も思います。

記憶ではコンクールでルナヴァン、コラサンテ、アルビッソン、エケ・・が先に上がってしまい何年もプルミエに上がれず、前回はオニール八菜さんとボーラックが上がったので。
あのコンクールは普段の実力が出ない方もいますし、運も実力のうちで厳しいシステムですね~。

ミルピエはいろいろ問題があったけれど、ユーゴ・マルシャン♪、ジェルマン・ルーヴェ、オニール八菜さん♪、ボーラックの若手4名を大選抜してくれた事はオペラ座ファンとして凄く感謝しています。
(バンジャマン・ペッシュのアデューがあったので、近々マルシャンがエトワールに任命されてほしいです。)

オーレリが芸術監督になって新たにスタートするパリオペラ座の今後に前向きに期待したいと思います!

ますみさん、こんにちは。

ますみさんは、年末にパリに行かれる予定だったのですね。私の友人でも何人か、パリ行きを予定していながら、家族の反対などで断念した方がたくさんいました。エールフランスでは航空券がキャンセルできなかったり、今回はパリに住んでいるフランス人の友人の家に泊めてもらったり、家人も特に反対しなかったので思い切って行ってきました。特に怖いと思ったことはありませんでしたが、さすがにちょっと緊張して歩きましたね。

エロイーズ・ブルドンは、京都バレエのジュリエットも素晴らしかったし、本当にコンクール運がなくて残念でしたが、舞台の上ではしっかり実力を発揮しているし、パリでは非常に人気も高いようでした。

おっしゃる通り、ミルピエは魅力的なダンサーをプッシュしてきましたね。この後、ユーゴ・マルシャンが出演した「バヤデール」も観ましたので、後で感想を書こうと思います。彼のソロルはとても美しくて、近い将来必ずエトワールになる逸材だと感じました。ますみさんがおっしゃる通り、きっとなるでしょう。

本当にこれからのオペラ座に期待したいと思います。

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