1/15 TOUCH OF THE OTHER ―他者の手―ジョナサン・M・ホール/川口隆夫
ロサンゼルス / 東京 国際共同プロジェクト
Jonathan M. Hall and Takao Kawaguchi
performance 青山スパイラルホール
http://www.kawaguchitakao.com/toto/
コンセプト
ジョナサン M. ホール
構成・演出
川口隆夫 ジョナサン M. ホール
ドラマトゥルク・アートディレクション
飯名尚人
振付・美術
川口隆夫
音 楽
恩田 晃
映 像
今泉浩一
衣 装
北村教子
出 演
芝崎健太 ドリュー・ウッズ マルコ・アレホス
斎藤栗子 佐藤ペチカ 川口隆夫
写 真
鷹野隆大
1960年代、公衆トイレにおける男性間の性行為について詳細かつ科学的に研究を行ったロード・ハンフリース。彼の研究論文をもとに、ジョナサン M. ホール (ロサンゼルス) と 川口隆夫 (東京) が国際共同プロジェクト「TOUCH OF THE OTHER」を立ち上げた。
ハッテン場(公衆トイレ)を模した舞台装置。壁は透明なアクリル板で作られていて、白いペンで落書きはされているけどポップな雰囲気。ここで、ロード・ハンフリースが60年代に行ったフィールドワークの事例を実演してみるというのが前半。ハンフリースは、公衆トイレに見張り役として立ってそこで行われていた行為や行動を詳細に記録していた。その記録にあった登場人物たちの役を最初は出演者たちが、次に観客で手を挙げた人たちが実演する。ハンフリース自身、この研究をしていた時にはヘテロセクシャルで家庭を持っていたし(のちにカミングアウトして離婚)、このハッテン場に集まって楽しんでいた人たちも、その多くは家庭を持っていて普通の生活を送っていたという。レポートの登場人物たちを演じた観客たちも、女性だったり、ヘテロらしき人達だったりで、それが同性愛者を舞台上で照れながら演じているところが何とも可笑しい。価値観の流動化を見るような気がする。
前半の最後には、こちらのフィールドワークを今度は現代の日本に舞台を移しつつ、川口さん他が演じた映像がスクリーンに映し出される。これはなかなかハードで強烈なものだが、ある種の美しさがある。むきだしの欲望、性愛の本質的なものを見せられて、とても切ない。
後半は、また川口さんが出演している映像から始まり、川口さんと5人のダンサーによるダンスが繰り広げられる。男装した女性ダンサー、セーラー服を着た外国人男性ダンサー、胸をあらわにした女性ダンサー。組んず解れつのダンスが繰り広げられ、川口さんは周辺部をのたうちまわるように這い回りながらソロを踊る。スクリーンには、現代から過去までさかのぼって、同性愛解放のためのスローガンが次々と投影される。シンバルにビー玉を投げて電子的に反響させたような音楽もインパクトがあった。
川口さんのダンスは強烈だった。体当たりでアヴァンギャルドでエネルギッシュで、自分のアイデンティティと向かい合い文字通り身体張っている。打ち捨てられてゴミの山にまみれた後、ラストの、筒状の金網を被って立ち尽くした姿は殉教者のようだった。「大野一雄について」でのパフォーマンスも思い出したけど、あれ以上に突き抜けているというか、表現者としての極北の姿を見せてくれた。
同性パートナーシップ条例が成立する自治体が出てきて、同性愛/LGBTもキレイでオシャレなものとして消費財的になってきたけれど、人間の愛の本質ってなんだろう、と。社会学的な研究を通して、人間の関係性を考え直すきっかけとなった。スクリーンに次々と映し出されているスローガンを見て、60年代や70年代の方LGBTムーブメントは過激で力を感じるものだったのも事実。そのころは、まだAIDSもない平和な時代だったのかもしれないが。
ドラマトゥルクが参加し、南カリフォルニア大学でのリサーチも行ったうえで練られたしっかりとしたコンセプト。アートディレクション、映像や音楽とクオリティも高く、メッセージ性が強くて心に残るパフォーマンスだった。表現したいものをしっかり持っている人は違う、と改めて感じた次第。
川口隆夫さん(振付・出演)、ジョナサン M. ホールさん(コンセプト)、飯名尚人さん(ドラマトゥルク)のインタビュー
http://allabout.co.jp/gm/gc/461423/
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