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2016年1月

2016/01/31

ウェイン・マクレガーが振付けたケミカル・ブラザーズのPV/「スーパープレゼンテーション」再放送

1月27日に放映された、
NHK Eテレ スーパープレゼンテーション
ウェイン・マクレガー Wayne Mcgregor
「ダンス 振り付け師が明かす創作の秘密」ご覧になりましたか?

マクレガーが二人のダンサーと共に、実際に新しい作品を創作していくプロセスを観ることができて、とても面白かったです。非常に頭の回転の速い方ですよね。

http://www.nhk.or.jp/superpresentation/backnumber/160127.html

こちらで映像とスクリプト、吉田都さんのコメントも読むことができます。

再放送もあります。

2016年2月1日(月) 午前0:45~午前1:10(日曜深夜)


さて、ウェイン・マクレガーといえば、トム・ヨークのPVの振付をしていることでも知られていますが、今度はケミカル・ブラザーズのPVも振付けました。踊っているのは、ロイヤル・バレエスクール出身で元ドレスデン・バレエ、スコティッシュ・バレエ、現在はダンサーの傍らモデルや女優(今年のアカデミー賞にノミネートされている映画「エクス・マキナ」に出演)としても活躍している日英ハーフのSonoya Mizunoです。

The Chemical Brothers - Wide Open ft. Beck

2016/01/30

ローザンヌ国際コンクールがいよいよ始まります

第44回を迎えるローザンヌ国際コンクールが、いよいよ2月1日より始まります。

http://www.prixdelausanne.org/

プレスリリース

300人の応募者から選ばれた、19か国からの71人のセミファイナリストが参加します。2月5日金曜日に観客を前に準決勝が行われ、20人のファイナリストが選ばれます。そして2月6日土曜日に決勝が行われます。7人の入賞者が1年間のスカラシップを授与されます。

今年の審査委員長は、元ABTプリンシパルで、現在はウルグアイ国立バレエの芸術監督であるフリオ・ボッカです。

決勝戦の審査が行われている間、過去の受賞者や、コンクールのパートナーである組織に所属しているダンサーがパフォーマンスを行います。今年は、94年に受賞したディアナ・ヴィシニョーワが、マルコ・ゲッケの作品を踊り、こちらもネット中継されます。また、ローザンヌ国際コンクールのパートナーカンパニーであるオランダ国立バレエのジュニアカンパニーの12人のダンサーによる2作品のパフォーマンスも行われます。

またローザンヌ国際コンクールでは、毎日ダンス・ダイアローグという無料のイベントが行われ、一般の人も参加することができます。ここでは、ニコライ・ツィスカリーゼ、ヴィヴィアナ・デュランテ、ディアナ・ヴィシニョーワ、マルセル・ゴメスが自らのキャリアについて語り、ざっくばらんな形で質問に答えます。

今年も、ローザンヌ国際コンクールは毎日バックステージのイベントをネット生中継し、世界中のダンスファンにコンクールを内側から体験する機会を提供します。2月5日の準決勝と6日の決勝戦は、ローザンヌ国際コンクールのウェブサイトと、Arte Concertで生中継されます。


中継スケジュール

公式YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/user/PrixdeLausanne

2月1日(月)(ヨーロッパ時間16時-17時、日本時間24時―25時)
2月2日(火)(ヨーロッパ時間16時-17時、日本時間24時―25時)
2月3日(水)(ヨーロッパ時間16時-17時、日本時間24時―25時)
2月4日(木)(ヨーロッパ時間16時-17時、日本時間24時―25時)
2月5日(金) 準決勝
Girls A + Boys A (ヨーロッパ時間10時-13時、日本時間18時―21時)
Girls B + Boys B (ヨーロッパ時間14時30分-17時30分、日本時間22時30分―25時30分)
2月5日(金) 結果発表 (ヨーロッパ時18時30分-19時、日本時間26時30分―27時)
2月6日(土) 決勝 (ヨーロッパ時間15時-18時、日本時間23時―26時)

ローザンヌ国際バレエコンクール2016の出場者発表
http://dorianjesus.cocolog-nifty.com/pyon/2015/11/2016-350a.html

日本からは以下の皆さんが出場です。

赤名進太郎 Japan  K-BALLET SCHOOL
木村 楓音 Japan  Ayako Hattori Ballet Class
松本美奈  Japan  Kayoko Ono Ballet School
水原菜々花 Japan  Etoile Ballet School
増田 響 Japan  K.Classic Ballet Studio
村上莉菜 Japan  Reiko Yamamoto Ballet School
中村 淳之介 Japan  Acri-Horimoto Ballet Academy
中尾太亮 Japan  Staatliche Hochschule für Musik und Darstellende Kunst Mannheim
根岸美凪 Japan  Y's Dance Company
岡野祐女 Japan  John Cranko Schule
横山瑠華 Japan  National Conservatory Dance School
吉江絵璃奈 Japan  Ayako Hattori Ballet Class

出場者一覧
http://www.prixdelausanne.org/wp-content/uploads/2015/11/Selected-candidates-2016.pdf

2月1日の中継のアーカイヴはここで観られます。

一番最後に、ジョン・クランコスクールの岡野祐女さんが踊る「眠れる森の美女」の3幕ヴァリエーションが観られます。

Zarely オンライン バレエ・ガラ 1月31日に開催

Zarély Dance Wearというドイツのダンスウェアの会社が主催で、Online Gala of Starsというガラが開催されます。

https://www.facebook.com/zarelywear/

https://www.facebook.com/events/1702392676639496/

1月31日(日)の日本時間25時30分 (月曜の午前1時半)より、7時間にもわたって、世界のトップダンサーの踊りをインターネットで生中継するというものです。言ってみれば、「ワールド・バレエ・デー」のガラ公演版とでもいうべき試みですね。オンラインなので、ダンサーも世界中のどこからでも参加できるわけです。

中継サイトはこちらです。
https://www.zarely.co/


参加するダンサーは以下の予定。豪華な顔ぶれです。

IIana Salenko, Marian Walter ヤーナ・サレンコ、マリアン・ワルター (ベルリン国立バレエ)

Yuan Yuan Tan, Luke Ingham, Frances Chung and Taras Domitro ヤンヤン・タン、ルーク・インガム、フランシス・チュン、タラス・ドミトロ (サンフランシスコ・バレエ)

James Whiteside ジェームズ・ホワイトサイド (ABT)

Paulo Arrais パウロ・アライス (ボストン・バレエ)

Amber Scott and Ty King-Wall アンバー・スコット、タイ・キング・ウォール (オーストラリア・バレエ)

Lucia Lacarra and Marlon Dino ルシア・ラカッラ、マーロン・ディノ (ミュンヘン・バレエ)

Lauren Lovette and Gonzalo Garcia ローレン・ラヴェット、ゴンザロ・ガルシア (NYCB)

Ana Sophia Scheller アナ・ソフィア・シェラー (NYCB)

Joaquin de Luz ホアキン・デ・ルース (NYCB)

Denys Cherevychko and Kiyoka Hashimoto デニス・チェレヴェチコ、橋本清香 (ウィーン国立バレエ)

Artur Shesterikov and Maia Makhateli マイア・マッカテリ、アルトゥール・シェステリコフ (オランダ国立バレエ)

Sonia Rodriguez and Naoya Ebe ソニア・ロドリゲス、江部直哉 (ナショナル・バレエ・オブ・カナダ)

マイア・マッカテリが、このガラへの参加について告知したプレスリリース

http://agenda.ge/news/51328/eng

アメリカのDance Magazine誌の記事
http://dancemagazine.com/news/a-star-studded-international-gala-at-your-fingertips/


このイベントのFacebookサイトを見ていると、参加ダンサーがそれぞれの方法で参加を告知していて、なかなか楽しいですね。時差の関係で、なかなか日本からリアルタイムで視聴するのは難しそうですが。

2016/01/29

彩の国さいたま芸術劇場2016-7ラインアップ、アクラム・カーン&イスラエル・ガルバン、ピナ・バウシュなど

現在、インバル・ピント&アヴシャロム・ポラック ダンス・カンパニー の『DUST-ダスト』(森山未來出演)を上演中の
彩の国さいたま芸術劇場。
『DUST-ダスト』は、様々なイマジネーションを呼び覚まし、ファンタジックで壮大で切ない、とても美しく魅力的な舞台でした。31日まで上演中ですので、ぜひご覧になるのをお勧めします。

この、彩の国さいたま芸術劇場の2016-7ラインアップが発表されています。今年は大変充実しています。

さいたまアーツセンター通信
http://saf.or.jp/press/2016/061/


アクラム・カーン&イスラエル・ガルバン
『TOROBAKA-トロバカ』

http://www.saf.or.jp/arthall/stages/detail/3350

英国を代表する現代ダンスの振付家 アクラム・カーンと「フラメンコ界のニジンスキー」イスラエル・ガルバン。アクラム・カーンはシルヴィ・ギエムに振付けた「聖なる怪物たち」、そして「テクネ」の記憶も新しいですが、今年はイングリッシュ・ナショナル・バレエに全幕「ジゼル」も振付ける予定の鬼才です。一方、イスラエル・ガルバンは、今年の英国ナショナルダンス賞で特別賞を受賞し、フラメンコの革命児と呼ばれています。

新しい表現を模索する2人が出会い、ブレイクスルーを企んだ野心作。数々の表現者から未見の魅力を引き出すカーンが、野獣のように力強くしなやかな身体を持つガルバンをどう挑発するのかも必見です。なお、アクラム・カーンはダンサーとしては2018年に引退すると宣言していますので、振付家だけでなく、凄まじいダンス技術を持つ彼の踊りを日本で観る機会もこれが最後かもしれません。

2016年5月7日(土) 開演15:00
     5月8日(日) 開演15:00

振付・出演
アクラム・カーン、イスラエル・ガルバン

チケット (明日発売!)
S席 一般6000円、メンバーズ5400円 U-25 3500円
A席 一般4000円、メンバーズ3600円 U-25 2000円
【一般】2016年1月30日(土)
【メンバーズ】2016年1月24日(日)


コンドルズ 埼玉公演2016年新作

近藤良平率いるコンドルズの埼玉新作シリーズも今回で10回目。結成20周年を迎えるのだそうです。

構成・映像・振付 近藤良平 出演:コンドルズ

2016年6月18日(土) 開演14:00、19:00
     6月19日(日) 開演15:00

チケット
S席 一般5000円、U-25 3000円
A席 一般3500円、U-25 2000円

【一般】2016年3月5日(土)


フィリップ・ドゥクフレ カンパニーDCA
「CONTACT-コンタクト」

2014年のベスト・オブ・シーンを再構成した「パノラマ」も記憶に新しいフィリップ・ドゥクフレのカンパニーDCAの最新作が早くもやってきます。この春にはシルク・ドゥ・ソレイユで演出を手掛ける「Paramour」がブロードウェイで幕を開けるドゥクフレ。ゲーテの「ファウスト」にインスパイアされた「CONTACT-コンタクト」は、音楽、サーカス、コント、映像、そしてダンスが交錯し、ドゥクフレの”現在”が凝縮された摩訶不思議な世界です。

演出・振付 フィリップ・ドゥクフレ 出演 カンパニーDCA
2016年10月末 (詳細は四月以降発表)

チケット
S席 一般6000円、メンバーズ5400円 U-25 3500円
A席 一般4000円、メンバーズ3600円 U-25 2000円


ピナ・バウシュ ヴッタパール舞踊団
「NELKEN-カーネーション」

「カフェ・ミュラー」「春の祭典」「コンタクトホーフ」に並び伝説として語り継がれてきた「NELKEN-カーネーション」が27年ぶりに再来日します。必見の舞台

演出・振付 ピナ・バウシュ 出演 ヴッタパール舞踊団

2017年3月16日(木)19:00、17日(金)19:00、18日(土)15:00、19日(日)14:00

チケット
S席 一般11000円、U-25 7000円
A席 一般7000円、U-25 5000円
B席 一般5000円、U-25 3000円

【チケット取扱い】
■SAFチケットセンター
・電話 0570-064-939(彩の国さいたま芸術劇場休館日を除く10:00~19:00)
 ※一部携帯電話、PHS、IP電話からは、ご利用いただけません。
・SAFチケットオンライン https://www.ticket.ne.jp/saf/


■窓口
・彩の国さいたま芸術劇場(休館日を除く10:00~19:00) アクセス

■プレイガイド
・イープラス http://eplus.jp
・チケットぴあ http://t.pia.jp
 0570-02-9999(音声自動認識/Pコード:446-938)
・ローソンチケット http://l-tike.com/
 0570-000-407(オペレーター対応)
 0570-084-003(Lコード:36567)

【お問い合わせ先】
SAFチケットセンター 0570-064-939(彩の国さいたま芸術劇場休館日を除く10:00~19:00)
※一部携帯電話、PHS、IP電話からは、ご利用いただけません。

ミラノ・スカラ座の次期芸術監督はビゴンゼッテイ?

ミラノ・スカラ座バレエの芸術監督を務めていたマハール・ワジーエフが任期途中で、ボリショイ・バレエの芸術監督に就任することになり、3月16日より、ミラノ・スカラ座バレエの芸術監督の座が空席となってしまいます。

後継となる芸術監督が誰になるのか、近日中に発表されることになっていますが、振付家でアテルバレットの芸術監督であるマウロ・ビゴンゼッティが有力候補として名前が挙がっています。

Mauro Bigonzetti to be the new director of ballet at La Scala
http://www.gramilano.com/2016/01/mauro-bigonzetti-to-be-the-new-director-of-ballet-at-la-scala/

こちらの記事によると、 La Repubblica紙では、ビゴンゼッテイでほぼ決定だとしています。

公式発表はないものの、後任は明らかに決定されているとのことで、スカラ座の総裁であるアレクサンダー・ペレイラが、組合の代表と会談し、後任を伝えているそうです。

ミラノ・スカラ座はクラシック・バレエに基づいたカンパニーであるため、ビゴンゼッティという選択は多くの人を驚かせています。最近、スカラ座では、ビゴンゼッティが振付けた新作の「シンデレラ」が上演されましたが、非常に現代的な作品であり、ビゴンゼッティが芸術監督になったら、レパートリーもコンテンポラリー的になると考えられます。

ビゴンゼッティはアテルバレットの芸術監督であると同時に、ベルリン国立バレエなど数多くのカンパニーに作品を提供しているビゴンゼッティ。ただし、もともとはクラシックバレエ畑出身で、ローマ歌劇場バレエ学校出身で、ローマ歌劇場バレエで数年踊った経験があります。ただし、23歳の時にアルターバレットに入団し、現在に至ります。

スカラ座のダンサー数人は、 La Repubblica紙の記者にこう伝えました。

「ビゴンゼッティに対して、特に何か個人的な感情があるわけではありませんが、スカラ座のような大きなカンパニーを運営したことがある経験があって、クラシックバレエのバックグラウンドがある人を芸術監督に就任させた方が適切だと思っています。アテルバレットは40人以下の私立のカンパニーで、コンテンポラリー専門のカンパニーです。マリインスキー・バレエの芸術監督だったワジーエフですら、落ち着くまで困難がありました」


しかしながら、結論はもう出ているようです。10日前にワジーエフは、ボリショイ・バレエの芸術監督に就任するためにカンパニーを去り、現在芸術監督の座は空席となっています。ワジーエフの指揮の下でカンパニーのレベルは飛躍的に向上しました。コール・ド・バレエは特に今までになく高いレベルとなりました。しかしながら、最近のレパートリーの中には奇妙なものもありました。スカラ座の広い空間には似つかわしくない室内楽を使かった「チェロ組曲」、ヌレエフ版の「くるみ割り人形」をレパートリーから外して、ミニマリスト的なナチョ・ドゥアト版「くるみ割り人形」に差し替えました。さらに、ビゴンゼッティの「シンデレラ」は多くの批評家、ファン、そしてダンサーの一部にも不興を買いました。


本当にスカラ座の芸術監督はビゴンゼッティになるのか、近日中に発表されることになりそうです。

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2016/01/25

英国ナショナル・ダンス賞受賞者発表

英国で活躍したダンサーを批評家が投票して選ぶナショナル・ダンス・アワードが発表されました。


Emerging artist 新人賞
Matthew Ball, The Royal Ballet マシュー・ボール、ロイヤル・バレエ

Jane Attenborough dance UK award
Tamara McLorg

Best classical choreography クラシックバレエ振付賞
Wayne McGregor for Woolf Works, for the Royal Ballet ウェイン・マクレガー「ウルフ・ワークス」ロイヤル・バレエ

Best modern choreography 現代ダンス振付賞
Crystal Pite for Polaris, for Sadler’s Wells クリスタル・パイト「ポラリス」サドラーズ・ウェルズ

Outstanding female performance (classical) クラシックバレエにおける傑出したパフォーマンス賞(女性)
Laura Morera as Lise, in La Fille Mal Gardée, for the Royal Ballet ラウラ・モレーラ、「ラ・フィユ・マル・ガルデ」リーズ役 ロイヤル・バレエ

Outstanding male performance (classical)クラシックバレエにおける傑出したパフォーマンス賞(男性)
William Bracewell as Le Roi Soleil, in The King Dances, for Birmingham Royal Ballet ウィリアム・ブレイスウェル、「The King Dances王は踊る」太陽王役 バーミンガム・ロイヤル・バレエ

Outstanding male performance (modern)現代ダンスにおける傑出したパフォーマンス賞(男性)
Ben Duke in Paradise Lost [lies unopened beside me], for Lost Dog

Outstanding female performance (modern)現代ダンスにおける傑出したパフォーマンス賞(女性)
Zizi Strallen, as Lana in The Car Man, for New Adventures ジジ・ストラレン、「ザ・カー・マン」ニュー・アドベンチャーズ

Special award for exceptional artistry 傑出した芸術性に対する特別賞
Israel Galván イスラエル・ガルヴァン

Best independent company 最優秀独立系カンパニー賞
Rosie Kay Dance Company

Best female dancer 最優秀女性ダンサー賞
Alessandra Ferri アレッサンドラ・フェリ

Best male dancer 最優秀男性ダンサー賞
Vadim Muntagirov ワディム・ムンタギロフ

Outstanding company 最優秀カンパニー
New Adventures ニューアドベンチャーズ

De Valois awards for outstanding achievement 傑出した功績に対するド・ヴァロワ賞
Sylvie Guillem シルヴィ・ギエム
Caroline Miller カロリーヌ・ミラー


ロイヤル・バレエのダンサーが多数受賞していますが、一方でデヴィッド・ビントレー振付「王は踊る」に主演した若手ソリスト、ウィリアム・ブレイズウェルの受賞などもあります。

ロイヤルの若手で、「ロミオとジュリエット」に主演したマシュー・ボールが新人賞を受賞しました。

一方で奇跡の復活を遂げ、マクレガーの「ウルフ・ワークス」に主演したアレッサンドラ・フェリも最優秀女性ダンサー賞に輝きました。50代の女性ダンサーがこの賞を受賞したのは初めてのことだそうです。

最近、アクラム・カーンが女性という理由で女性振付家を優遇すべきではないとインタビューで語って物議を醸しましたが、女性振付家のクリスタル・パイトが今回受賞しています。

一方で、受賞者が全員白人だったのは、アカデミー賞でもノミネートされた人たちが全員白人であることがやはり物議を醸しているときに、タイミングが悪いと感じた人も多かった模様です。

ノミネートされながら受賞には至らなかったものの、大変評価が高かったフラメンコの革命児イスラエル・ガルヴァンが特別賞を受賞しました。イスラエル・ガルヴァンはアクラム・カーンとコラボレーションした公演TOROBAKAが、今年の5月にさいたま芸術劇場で上演されるほか、あいちトリエンナーレにも出演します。
TOROBAKA

また、昨年末に引退したシルヴィ・ギエムは、功績を讃えられて二ネット・ド・ヴァロワ賞を受賞しました。ギエムは受賞式には出席しなかったものの、喜びのコメントを寄せています。

2016/01/22

ロイヤル・バレエの来日公演キャスト→変更あります。

英国ロイヤル・バレエの来日公演、キャスト発表が遅れていましたが、バレエの祭典会員宛にキャストの案内が来ていました。

ロミオとジュリエット 注意:変更前のキャストです。正しくは、下の変更後のキャストをご覧ください
6/16(木)18:30 ローレン・カスバートソン、フェデリコ・ボネッリ
6/17(金)18:30 ナタリア・オシポワ、マシュー・ゴールディング
6/18(土)13:00 サラ・ラム、ワディム・ムンタギロフ
6/18(土)18:00 マリアネラ・ヌニェス、ティアゴ・ソアレス
6/19(日)13:00 ヤーナ・サレンコ、スティーヴン・マックレー

ジゼル
6/22(水)19:00 マリアネラ・ヌニェス、ワディム・ムンタギロフ
6/24(金)19:00 ナタリア・オシポワ、マシュー・ゴールディング
6/25(土)14:00 サラ・ラム、スティーヴン・マックレー
6/26(日)14:00 ローレン・カスバートソン、フェデリコ・ボネッリ

日替わりキャストで大変豪華です。どの日に行くか迷ってしまいますよね。

地方公演もありますが、チケット発売が始まっているのにキャストはまだのようですね。

英国ロイヤル・バレエ団〔福岡〕「ジゼル」
【公演期間】 2016/6/29(水)
【会場】 福岡サンパレス ホテル&ホール(福岡県)

英国ロイヤル・バレエ団「ロミオとジュリエット」
【公演期間】 2016/7/3(日)
【会場】 愛知県芸術劇場 大ホール(愛知県)

英国ロイヤル・バレエ団「ジゼル」
【公演期間】 2016/7/1(金)
【会場】 兵庫県立芸術文化センター KOBELCO 大ホール(兵庫県)

<追記>
「ロミオとジュリエット」はキャストが変更となっていますので、ご注意下さい。

<変更後>
ロミオとジュリエット
6月16日(木)6:30p.m. ローレン・カスバートソン&フェデリコ・ボネッリ
6月17日(金)6:30p.m. ヤーナ・サレンコ&スティーヴン・マックレー
6月18日(土)1:00p.m. サラ・ラム&ワディム・ムンタギロフ
6月18日(土)6:00p.m. ナターリヤ・オシポワ&マシュー・ゴールディング
6月19日(日)1:00p.m. マリアネラ・ヌニェス&ティアゴ・ソアレス

2016/01/20

ザンダー・パリッシュがマリインスキー・バレエのファーストソリストに昇進

マリインスキー・バレエの来日公演でも、「ロミオとジュリエット」、「白鳥の湖」に主演して活躍したザンダー・パリッシュが、1月17日の「ジゼル」でクリスティーナ・シャプランと主演した後、ファースト・ソリストに昇進しました。





http://www.mariinsky.ru/en/company/ballet/troupe/

http://www.mariinsky.ru/en/company/ballet/first_soloists/dancers2/parish1/

英国出身でロイヤル・バレエの団員だったものの芽が出なかった彼を、マリインスキー・バレエのユーリ・ファテーエフが見出して、2010年に入団させました。長身で美しい身体のラインの持ち主のザンダーは、ロシアという慣れない環境で苦労しながらも頭角を顕し、次々と主演するようになります。

まだサポートや演技面で課題はあるものの、容姿の美しさとエレガンスはまさに貴公子。英国では写真集まで出版されるほど注目されます。来日公演の際にはトークショーも行われましたが、真面目で努力家、人柄の良さもよく伝わりました。今後ますますの活躍が期待されますね。

英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン2015/16 「ヴィサラ/牧神の午後/チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ/カルメン」

英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン2015/16 「ヴィサラ/牧神の午後/チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ/カルメン」が、1月23日(土)より劇場公開されます。

http://roh2015jp.wix.com/cinemaseason

https://www.facebook.com/royaloperahouse.jp/

こちらの試写会に参加させていただいたので、ご報告しますね。

11月12日にロイヤル・オペラハウスで上演されたミックスビルの、映画館中継を劇場で公開するものです。この公演はまた、カルロス・アコスタがロイヤル・バレエのプリンシパルとしての最後の舞台となった公演でもありました。司会進行を務めたダーシー・バッセルが、引退公演を目前に控えたアコスタにインタビューする映像も流れました。ミックスプロを映画館中継するのは、ロイヤル・バレエでは初めてのことだそうです。

アコスタが1998年に入団したときは、凄い人が入ってきたと大評判になってたとダーシーが彼に言います。アコスタは、若いころから「ドン・キホーテ」など高いテクニックを求められる役が得意だったけど、必ずしも似合う役ではなかったり得意だと思われていない作品にも挑戦してきたと語りました。
バレエを始めたきっかけとしては、子供時代にサッカーをやっていてサッカーの方が楽しかったのだけど、バレエは父親にやれと言われて仕方なく始めたとのことです。バレエが自分を救ってくれたと語ってました。自分が夢見ていた以上の素晴らしい人生を送ることができたし、自分のさよなら公演に、まさか自分が振付けた「カルメン」を踊ることになるとは思わなかったよ、とアコスタは笑っていました。


「ヴィサラ」Viscera

本編前の映像で、振付のリアム・スカーレットのインタビュー。「ヴィサラ」とは内臓(guts)のことだそう。3パートに分かれた作品で、真ん中にパ・ド・ドゥがあり、最初と最後は群舞。「コール・ド・バレエというよりは塊として振付けた」とのこと。米国の作曲家、ローウェル・リーバーマンのピアノ協奏曲を使用したもので、2012年にマイアミ・シティ・バレエのために振付けられた。最初と最後のパートは非常に素早く、この素早い音楽を、メーンのラウラ・モレーラが実に見事に精確に、小気味よく踊っている。群舞ではあるものの目立つ場所でソロ・パートもある役に崔由姫さん。パ・ド・ドゥは一転してゆっくりとした曲調で、マリアネラ・ヌニェスと平野亮一さんが踊る。美しくエモーショナルな振付で、平野さんのサポートもとてもスムーズだ。長身の平野さんはここでは非常に魅力的な男性に見える。全編、このピアノコンチェルトに良く沿った実に音楽的な作品で、全体的な群舞のレベルも高く観ていて楽しかった。

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<振付>リアム・スカーレット
<出演>平野亮一/ラウラ・モレーラ/マリアネラ・ヌニェス/崔由姫
Laura Morera, Marianela Nuñez, Ryoichi Hirano
Yuhui Choe, Meaghan Grace Hinkis, Emma Maguire, Alexander Campbell, Tristan Dyer
Olivia Cowley, Elizabeth Harrod, Tierney Heap, Chisato Katsura, Yasmine Naghdi
Nicol Edmonds, Benjamin Ella, Kevin Emerton
Solo piano Robert Clark


「牧神の午後」 Afternoon of a Faun

こちらも本編前の映像で、振付指導のJean-Pierre Frohlich(ジャン=ピエール・フローリッヒ)が登場。NYCBのバレエマスターでロビンス作品の振付指導を行っている彼は、あのイザベル・ゲランの夫君でもある。3面を鏡で囲まれたスタジオが舞台というこの作品、第4の壁面=鏡は観客席。若い女性ダンサーと男性ダンサーは決してお互いを見つめ合わないけど、客席にあるはずの鏡を通してお互いの姿を見ているというのがわかる。

サラ・ラムとワディム・ムンタギロフという美しい二人で、ナルシスティックな視線のこの作品に、これ以上の適役はいないと思うほど。美しい幻のようでうっとりとしてしまう。サラ・ラムの瞳の表現力も素晴らしくて、一瞬だけの、ぞくりとするほどの色香がふっと漂った。

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<振付>ジェローム・ロビンス
<出演>サラ・ラム/ワディム・ムンタギロフ
Sarah Lamb and Vadim Muntagirov


「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」Tchaikovsky pas de deux

おなじみのチャイコフスキー・パ・ド・ドゥ、ダーシー・バッセルも現役時代に踊っていた作品で、軽やかに見えるけど本当に体力を使って大変なのよ、と語っていた。今回のペアは、去年の夏の世界バレエフェスティバルでも、チャイコフスキー・パ・ド・ドゥを踊ったサレンコとマックレー。二人とも技術的には申し分がなく上手いのだけど、どうも音楽性が合っていなくて、スピーディーで軽やか、というよりは少し重たく見えてしまう。サレンコの踊り方がロシア的に溜めを入れるものなので、ますます音に合っていないように見えてしまっているのかもしれない。二人の笑顔もいかにも作り物っぽい。コーダで女性が男性のところに飛び込むところは、バレエフェスの時よりは思い切りよく勢いをつけてやっていたので、ここはとても良かったと思う。

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<振付>ジョージ・バランシン
<出演>ヤーナ・サレンコ/スティーヴン・マックレー
Iana Salenko and Steven McRae


「カルメン」Carmen

カルロス・アコスタが、2013年の「ドン・キホーテ」に続き、振付を手掛けた作品。芸術監督ケヴィン・オヘアのインタビューの中で、「ドン・キホーテ」の初演が成功に終わった時に、アコスタが、今度は「カルメン」を振付けるよ、とオヘアに言ったという。アコスタも振付けるにあたってはいろいろと悩み苦労したと語っていた。しかしながら、こちらの作品、現地の批評家には酷評の嵐だった。やや怖いもの見たさという気持ちで観てみた。

そして、予想以上に突っ込みどころ満載の作品だった。あれもこれも入れたら収拾つかなくなった作品とでもいうべきか。冒頭の男性ダンサーたちのダンスはストリップですか?という失笑もの。ダンサーたちにモノトーンの衣装を着せて、ナハリンの「マイナス16」を思わせるような椅子を使ったダンス、フラメンコ(これはスタイリッシュで単品としては悪くなかった)、ミュージシャンを舞台に上げて演奏させる、オペラ歌手に舞台の上で歌わせる、といったいろんな趣向を凝らしてみたけれど、その結果、何とも統一感というかまとまりのない作品になってしまった。その上、カルメンとホセのパ・ド・ドゥも、カルメンとエスカミーリョのパ・ド・ドゥも振付的にいまひとつで、床の上で転がったり変化に乏しかった。ヌニェスはラテンの女らしい明るく情熱的なカルメンだったけど、キャラクターが明るすぎてファム・ファタルらしさに欠ける。アコスタは不器用なドン・ホセを好演し、ボネッリのエスカミーリョはソロが華やかでセクシーだったが、二人とも衣装が地味であまり冴えない。

失敗作ではあるけど、いろいろな要素を詰め込んでいるので、退屈はしないのが救いである。カルメンの不吉な運命を象徴する牛が登場するのだけど、これがジャミロクワイそっくりでマッチョで笑ってしまった。顔を塗っているのでよくわからなかったのだけど、マシュー・ゴールディングが演じていた。ほとんど踊ることのない役なのに。

「ヴィサラ」「牧神の午後」「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」と非常に洗練された3作品の後だけに、非常に泥臭い作品のように感じられた。バレエというよりはミュージカル的な作品だと感じられたので、いっそのこと、ミュージカル用に作り直した方が良いのかもしれない。


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<振付>カルロス・アコスタ
<出演>
マリアネラ・ヌニェス(カルメン)/カルロス・アコスタ(ドン・ホセ)
フェデリコ・ボネッリ(エスカミーリョ)
Carmen Marianela Nuñez
Don José Carlos Acosta
Escamillo Federico Bonelli
Fate Matthew Golding
Zuñiga Thomas Whitehead
Remendado Valentino Zucchetti
Dancaïre Tomas Mock
Frasquita Kristen McNally
Mercedes Lara Turk
Artists of The Royal Ballet
Fortune-Teller Fiona Kimm (Mezzo-soprano)
Royal Opera Extra Chorus

アコスタのフェアウェル公演なので、盛大なカーテンコールとなった。最初の幕前カーテンコールから客席より赤いガーベラの花が降り注ぎ(中にはアコスタを直撃する花も)、再びカーテンが開くと、通常のカーテンコールに続き、ケヴィン・オヘアや今度は出演していない団員らも舞台に。彼の小さな可愛い娘さんも出てきた。アコスタはダンサー仲間や観客だけでなく、カーテンの陰やオフィスにいるスタッフにも感謝の弁を述べた。あなた方のおかげだ、と。彼を入団させたアンソニー・ダウエル、そしてモニカ・メイソンにも。ケヴィン・オヘアは、彼はプリンシパルとしては引退するけれども、指導者としてロイヤル・バレエには帰ってきてもらうからと述べた。

そしてアコスタは、共演したバレリーナたちにも名前を挙げての謝辞を続けた。その中にはタマラ・ロホ、リアン・ベンジャミン、サラ・ラムらとともに吉田都さんの名前も。そして若い人たちにアドバイスしたい、と語った。「失敗を恐れるな、失敗というのは存在しない」と。カルメンが失敗作と言われているので、ちょっとだけ皮肉ではあるのだけど、でもアコスタの人柄の良さが伝わる温かいフェアウェルで、胸がじーんときた。

*******

ミックスプロのプログラムを映画館で上映するというのは珍しい機会だけど、多彩な作品を観ることができて非常に楽しい。最後にアコスタのフェアウェルの様子を見ることもできたのもとても良かった。臨場感のある映画館でのバレエ鑑賞は、生には及ばないまでも、それに近い体験をすることができるのでお勧めです。

上映時間:約3時間23分
上映劇場:TOHOシネマズ日本橋、TOHOシネマズららぽーと横浜、お台場シネマメディアージュTOHOシネマズ名古屋ベイシティ 大阪ステーションシティシネマ ほか
1月23日(土)より一週間限定公開

TOHOシネマズ日本橋  14:55-18:30。
TOHOシネマズららぽーと横浜  12:40-16:10、プレミアスクリーン。
お台場シネマメディアージュ 土日が16:20-19:55、平日 19:00-22:35。

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2016/01/17

1/15 TOUCH OF THE OTHER ―他者の手―ジョナサン・M・ホール/川口隆夫

ロサンゼルス / 東京 国際共同プロジェクト
Jonathan M. Hall and Takao Kawaguchi
performance 青山スパイラルホール

http://www.kawaguchitakao.com/toto/

Touch_of_others

コンセプト
ジョナサン M. ホール

構成・演出
川口隆夫 ジョナサン M. ホール

ドラマトゥルク・アートディレクション
飯名尚人

振付・美術
川口隆夫

音 楽
恩田 晃

映 像
今泉浩一

衣 装
北村教子

出 演
芝崎健太 ドリュー・ウッズ マルコ・アレホス
斎藤栗子 佐藤ペチカ 川口隆夫

写 真
鷹野隆大

1960年代、公衆トイレにおける男性間の性行為について詳細かつ科学的に研究を行ったロード・ハンフリース。彼の研究論文をもとに、ジョナサン M. ホール (ロサンゼルス) と 川口隆夫 (東京) が国際共同プロジェクト「TOUCH OF THE OTHER」を立ち上げた。

ハッテン場(公衆トイレ)を模した舞台装置。壁は透明なアクリル板で作られていて、白いペンで落書きはされているけどポップな雰囲気。ここで、ロード・ハンフリースが60年代に行ったフィールドワークの事例を実演してみるというのが前半。ハンフリースは、公衆トイレに見張り役として立ってそこで行われていた行為や行動を詳細に記録していた。その記録にあった登場人物たちの役を最初は出演者たちが、次に観客で手を挙げた人たちが実演する。ハンフリース自身、この研究をしていた時にはヘテロセクシャルで家庭を持っていたし(のちにカミングアウトして離婚)、このハッテン場に集まって楽しんでいた人たちも、その多くは家庭を持っていて普通の生活を送っていたという。レポートの登場人物たちを演じた観客たちも、女性だったり、ヘテロらしき人達だったりで、それが同性愛者を舞台上で照れながら演じているところが何とも可笑しい。価値観の流動化を見るような気がする。

前半の最後には、こちらのフィールドワークを今度は現代の日本に舞台を移しつつ、川口さん他が演じた映像がスクリーンに映し出される。これはなかなかハードで強烈なものだが、ある種の美しさがある。むきだしの欲望、性愛の本質的なものを見せられて、とても切ない。

後半は、また川口さんが出演している映像から始まり、川口さんと5人のダンサーによるダンスが繰り広げられる。男装した女性ダンサー、セーラー服を着た外国人男性ダンサー、胸をあらわにした女性ダンサー。組んず解れつのダンスが繰り広げられ、川口さんは周辺部をのたうちまわるように這い回りながらソロを踊る。スクリーンには、現代から過去までさかのぼって、同性愛解放のためのスローガンが次々と投影される。シンバルにビー玉を投げて電子的に反響させたような音楽もインパクトがあった。

川口さんのダンスは強烈だった。体当たりでアヴァンギャルドでエネルギッシュで、自分のアイデンティティと向かい合い文字通り身体張っている。打ち捨てられてゴミの山にまみれた後、ラストの、筒状の金網を被って立ち尽くした姿は殉教者のようだった。「大野一雄について」でのパフォーマンスも思い出したけど、あれ以上に突き抜けているというか、表現者としての極北の姿を見せてくれた。

同性パートナーシップ条例が成立する自治体が出てきて、同性愛/LGBTもキレイでオシャレなものとして消費財的になってきたけれど、人間の愛の本質ってなんだろう、と。社会学的な研究を通して、人間の関係性を考え直すきっかけとなった。スクリーンに次々と映し出されているスローガンを見て、60年代や70年代の方LGBTムーブメントは過激で力を感じるものだったのも事実。そのころは、まだAIDSもない平和な時代だったのかもしれないが。

ドラマトゥルクが参加し、南カリフォルニア大学でのリサーチも行ったうえで練られたしっかりとしたコンセプト。アートディレクション、映像や音楽とクオリティも高く、メッセージ性が強くて心に残るパフォーマンスだった。表現したいものをしっかり持っている人は違う、と改めて感じた次第。

川口隆夫さん(振付・出演)、ジョナサン M. ホールさん(コンセプト)、飯名尚人さん(ドラマトゥルク)のインタビュー
http://allabout.co.jp/gm/gc/461423/

ロシア・バレエのテレビ番組、ビッグ・バレエの放映が始まりました

2012年にロシアの国営テレビKulturaで放映されて大きな話題を呼んだバレエ番組、ボリショイ(ビッグ)・バレエ。昨日(1月16日)に第2弾の放映が始まりました。これから数週にわたって放映されます。

http://tvkultura.ru/brand/show/brand_id/59616/

ロシアのトップバレエ団を代表したダンサーたちがテレビに出演して踊り、審査員、および視聴者の投票で順位を決めるものです。

ボリショイ・バレエからは、ダリア・ホフロワとイーゴリ・ツヴィルコ、
マリインスキー・バレエからはレナータ・シャキロワとキミン・キム、ナデージダ・バトーエワとエルンスト・ラティポフ。
ミハイロフスキー・バレエからはアナスタシア・ソボレワとヴィクトル・レベデフ、
クラスノヤルスク劇場バレエからは Ekaterina Bulgutova と Yuri Kudryavtsev
ペルミ・バレエからは Inna Bilash と Nikita Chetverikov
タタール・カザン・オペラ劇場バレエからは、寺田翠さん、大川航矢さん

以上6バレエ団、7組が出場することになります。司会はイルゼ・リエパ。

審査員も豪華で、スヴェトラーナ・ザハロワ、ファルフ・ルジマトフ、ブリジット・ルフェーヴルらが昨日の放送には出演していました。

こちらの番組ですが、生中継も観られますが、時差の関係で深夜になってしまいます。番組のサイトで、全部の演技のアーカイブを観ることができます。寺田翠さんと大川航矢さんは、「眠れる森の美女」のブルーバードのパ・ド・ドゥを踊っていて素晴らしいテクニックを見せてくれました。このほか、ミハイロフスキーバレエのアナスタシア・ソボレワとヴィクトル・レベデフは「白鳥の湖」の黒鳥のパ・ド・ドゥ、レナータ・シャキロワとキミン・キムは「タリスマン」のパ・ド・ドゥを踊っていました。ダリア・ホフロワとイーゴリ・ツヴィルコはマイヨーの「じゃじゃ馬馴らし」からビアンカとルーセンシオのパ・ド・ドゥです。

こちらが、アーカイブのリンクです。演技だけでなくて、ペアの紹介映像も観られます。
http://tvkultura.ru/video/show/brand_id/59616/episode_id/1264934/

再生回数も表示されていますが、ミハイロフスキー・バレエの来日公演でも大活躍した、アナスタシア・ソボレワとヴィクトル・レベデフが今のところ一番多く、次にレナータ・シャキロワとキミン・キムとなっています。

これがまた数週にわたって見られるかと思うと楽しみですね。

寺田翠さんのブログから、この番組について
http://ameblo.jp/midoriku24/entry-12114561349.html

ナタリア・クレメン・バレエ・スクールのワガノワ・サマーインテンシヴ

元モスクワ音楽劇場バレエ、イングリッシュ・ナショナル・バレエENB)のバレリーナ、ナタリア・クレメン。ボリショイ・アカデミーで学び、ガリーナ・クラピヴィーナ、ニーナ・ソロキンに師事してきました。Russian Academy of Dramatic Art – ロシア舞台芸術アカデミー(GITIS)を卒業し、ロシアのバレエ教師の資格を取得しています。

ロシアの映画に主演したり、英国のテレビドラマ”Mr Selfridges" でアンナ・パヴロワ役を演じたり、デビアス・ダイアモンドのイベントで踊るなど、大変美しい人です。

このナタリア・クレメンは、2012年にENBを退団後、ロンドンにナタリア・クレメン・バレエ・スクールを開校しました。ロシアのバレエ団でダンサーとして活躍していたロシアのバレエ教師資格を持つ教師陣、元ミュンヘン・バレエやENBの団員でRADの教師資格を持つ教師らによるロシア・バレエの教育を実践しています。2014年には、このスクールの生徒3人が、マリインスキー・バレエのロンドン公演のオーディションに合格し、ロイヤル・オペラハウスでのバランシン振付「真夏の夜の夢」に出演しました。

サマーインテンシヴクラスの案内を頂いたので掲載しますね。日本人の生徒も大歓迎だそうです。

http://www.nkballetschool.com/

https://www.facebook.com/Natalia-Kremen-Ballet-School-213478738721914/

サマー・インテンシヴのFBページ
https://www.facebook.com/NK-Summer-Intensive-Course-in-London-Based-on-Vaganova-method-1510962492516248/

1

毎年夏に、ナタリア・クレメン・バレエ・スクールは、「ワガノワメソッドに基づいたNKサマーインテンシヴコース・イン・ロンドン」を開催し、ゲスト教師や、ENB、ボリショイ・バレエ、ウィーン国立バレエのダンサーなどによる1週間の集中トレーニングを行っています。また、ロイヤル・バレエのプリンシパル、サラ・ラムと、ワディム・ムンタギロフの父で、ペルミ・バレエのバレエ・マスター、ロシア人民芸術家のアレクサンドル・ムンタギロフも教師陣に加わります、

Good morning ballet lovers! A video about NK Summer Intensive Course Based on Vaganova Method 2015. Check what we achieved during those 6 amazing days!

Posted by Natalia Kremen Ballet School on 2016年1月9日

2016年は、7月25日から30日に、ロンドンのサウスバンクエリアにある新しいランベール・スタジオで行われ、現在希望者を募集しています。小規模でのクラスのため、最大25人の募集となっています。申し込み締め切りは4月1日。

このサマーインテンシヴコースは、11歳から19歳までの、アドバンスド・レベルの生徒のために組まれたクラシック・バレエの6日間のプログラムです。世界的に有名なバレエ・マスターによる教育を受ける貴重な機会となり、世界中の劇場で踊った経験で得られた技術を教え、バレエのプロフェッショナルを目指すためのお手伝いをします。一人一人の生徒の強みと才能に集中することによって、才能を伸ばします。

2

シラバス

ワガノワのシラバスに基づいたクラシック基礎
女子、男子のヴァリエーション
シニア生徒のためのパ・ド・ドゥクラス
ポワント(2年以上のポワント経験のある生徒向け)
キャラクターダンス
ストレッチ、ピラティス、ボディ・コンディショニング
コンテンポラリー・クラス
バレエの歴史

クラスは生ピアノによる伴奏つき

7

サマーインテンシヴの教師陣

サラ・ラム (ロイヤル・バレエ プリンシパル)

ナタリア・クレメン (ナタリア・クレメン・バレエ・スクール設立者、ボリショイ・アカデミー出身、元モスクワ音楽劇場バレエソリスト、元ENB)

アレクサンドル・ムンタギロフ (ロシア人民芸術家、チェリビンスク国立バレエ元芸術監督、現 Hanti-Mansiysk University of Cultureの振付部門長、ロイヤル・バレエのプリンシパルであるワディム・ムンタギロフの父で最初の教師)

ANASTASIA VASILIEVA (ワガノワ・アカデミー バレエ・ミストレス)

TATIANA RAZAEVA (ペルミ・バレエ バレエミストレス)

KIRILL BURLOV (ラトヴィア国立バレエ元プリンシパル、元バレエ・ランベールソリスト、振付家)

ELISAVETA MURAVIEVA (元ボリショイ・バレエ、バレエ・マスター、受賞歴のある振付家)

NATALIA NEMYTKINA (ロシア国立サマラ劇場ファースト・ソリスト、モスクワ国立バレエゲストアーティスト)
.
追加の教師はサイトおよびFacebookページをご覧ください。

4

求められるレベル

ジュニア 11歳~14歳 基礎中級レベルもしくはRADのグレード5を学んでいること

シニア 14歳~19歳 生徒はRADのアドバンス1もしくは2を学んでいるか、同等のレベルであること、女子はポワント経験3年以上

なお、数枠のスカラシップも提供しています。スカラシップの審査はビデオのみによります。

7月30日、最終日には、保護者やそのゲストは、クラスの無料見学が可能です。


費用
事務費用 30ポンド
早割(1月31日までの支払い) 330ポンド
3月1日までの支払いで 355ポンド
3月1日から4月1日まで 400ポンド

教師による見学
全日程 100ポンド
1日 35ポンド
1クラス 30ポンド

宿泊施設の手配も相談できるとのことです。

お問い合わせはこちらまで
info@nkballetschool.com
電話 +44 (0) 20 7993 1102

2016/01/16

オルガ・スミルノワがボリショイ・バレエのプリンシパルに昇進

オルガ・スミルノワがボリショイ・バレエのプリンシパルに昇進していました。

http://www.bolshoi.ru/en/persons/ballet/1616/

1991年11月に生まれ、ワガノワ・アカデミーでリュドミラ・コワリョーワに師事していたスミルノワは、2011年に優秀な成績で卒業し、マリインスキー・バレエに入団するものと思われていましたが、ボリショイに入団しました。マリナ・コンドラチェワに師事し、入団してすぐ頭角を顕し、一年目に「白鳥の湖」のパ・ド・トロワ、ミルタ、ドリアードの女王、リラの精などを踊ります。

2012年には、ニキヤ、そして「ジュエルズ」のボリショイの初演でダイヤモンドを踊りました。さらに2013年には、ボリショイ・バレエでの「オネーギン」初演のタチヤーナ役のファーストキャストにも選ばれ、2014年にはABTの「ラ・バヤデール」にもニキヤ役でゲスト出演しました。ジャン・クリストフ・マイヨー振付の傑作「じゃじゃ馬馴らし」では、ビアンカ役の初演キャストとなり、黄金のマスク賞にもノミネートされました。ノイマイヤーの「椿姫」でもマルグリット役で好演しています。日本では、2013年の5月に「マラーホフの贈り物ファイナル」でセミョーン・チュージンと「白鳥の湖」「ダイヤモンド」を踊りました。

スミルノワは2014年に大きなけがに見舞われ、残念ながらかなり長期にわたって踊れませんでした。昨年のボリショイ・バレエの来日公演も、当初出演を予定していたものの、キャンセルとなってしまいした。2015年の秋にようやく復帰を果たし、その後、12月にはモンテカルロ・バレエの「くるみ割り人形カンパニー」にアルチョム・オフチャレンコとゲスト出演し、マイヨーは彼らのために振付を改訂しました。12月30日の「くるみ割り人形カンパニー」公演は、世界的な規模で映画館中継も行われました。

そして1月24日に行われる、「じゃじゃ馬馴らし」の映画館中継では、再びビアンカでスミルノワが登場します。この「じゃじゃ馬馴らし」は、日本でも、ボリショイ・バレエ・イン・シネマで、2月17日(水)に映画館で観ることができます。

まだ若い年齢の割に落ち着いて見えるスミルノワは、長い手脚と長い首というバレリーナ向きの体型をしており、ワガノワ育ちならではの美しく詩情あふれる動きは「ダイヤモンド」で観ることができました。「オネーギン」や「椿姫」のようなドラマチックバレエ向きの演技力を発揮する一方、「じゃじゃ馬馴らし」のビアンカ役のように高度な技術を要する役も得意としています。

セルゲイ・フィーリンに見込まれてボリショイ・バレエに入団したため、フィーリンが退任した後の彼女を心配する声もありますが(フィーリンの右腕的存在だった女性の息子とスミルノワは結婚)、怪我を乗り越え、実力でプリンシパルに昇進することができました。

スミルノワを撮影した短編ドキュメンタリー「The Prodigy」

「じゃじゃ馬馴らし」の予告編

2016/01/15

新国立劇場バレエ団2016/7 ラインアップ

新国立劇場バレエ団の2016/2017シーズン バレエ&ダンス ラインアップが発表されました。

http://www.nntt.jac.go.jp/release/detail/160115_007945.html

http://www.nntt.jac.go.jp/ballet/variety/#anc2016_17

<2016/2017シーズン バレエ ラインアップ>

ロメオとジュリエット (ケネス・マクミラン振付) 10月29日(土)・30日(日)・11月2日(水)~5日
 
シンデレラ (フレデリック・アシュトン振付)12月17日(土)~19日(月)・23日(金)~25日(日)
 
ヴァレンタイン・バレエ(テーマとヴァリエーション、パ・ド・ドゥ集、トロイ・ゲーム) 2月17日(金)・18日(土)

コッペリア (ローラン・プティ振付)2月24日(金)~26日(日)
 
眠れる森の美女(ウェイン・イーグリング振付) 5月5日(金)~7日(日)・12日(金)・13日(土)
 
ジゼル  6月24日(土)・25日(日)・30日(金)・7月1日(土)
 
<2016/2017シーズン ダンス ラインアップ>

JAPON dance project 2016
 
新国立劇場バレエ団
DANCE to the Future 2016 Autumn
 
中村恩恵×新国立劇場バレエ団
「ベートーヴェン・ソナタ」
 
小野寺修二 カンパニーデラシネラ
「ふしぎの国のアリス」


*****

<バレエ>

ロミオとジュリエット
2016年10月29日(土)14:00 11月2日(水)13:00 11月4日(金)14:00
ジュリエット 小野絢子 ロメオ 福岡雄大

10月30日(日)14:00
ジュリエット 米沢 唯 ロメオ 井澤 駿

11月3日(木・祝)14:00 11月5日(土)14:00
ジュリエット 米沢 唯 ロメオ ワディム・ムンタギロフ


シンデレラ

2016年12月17日(土) 14:00
シンデレラ 小野絢子 王子 福岡雄大

12月19日(月) 13:00
シンデレラ 長田佳世 王子 菅野英男

12月23日(金・祝) 13:00
シンデレラ 米沢 唯 王子 井澤 駿

12月25日(日) 14:00
シンデレラ 未定 王子 奥村康祐

12月18日(日) 14:00、12月23日(金・祝) 18:00、12月24日(土) 14:00 未定


ヴァレンタイン・バレエ」 2017年2月17日(金)19:00、2月18日(土)14:00 

『第1部  テーマとヴァリエーション』

『第2部  パ・ド・ドゥ集』
「ドン・キホーテ」グラン・パ・ド・ドゥ(17日)
「白鳥の湖」第3幕より 黒鳥のパ・ド・ドゥ(18日)
「ソワレ・ド・バレエ」
(音楽 アレクサンドル・グラズノフ 振付 深川秀夫)
「タランテラ」

『第3部』
「トロイ・ゲーム」(振付 ロバート・ノース)

2017年2月17日(金) 19:00
「テーマとヴァリエーション」 米沢 唯、福岡雄大
「ドン・キホーテ」グラン・パ・ド・ドゥ 未定
「ソワレ・ド・バレエ」 未定
「タランテラ」 未定

2月18日(土) 14:00
「テーマとヴァリエーション」 小野絢子、奥村康祐
「ドン・キホーテ」グラン・パ・ド・ドゥ 未定
「ソワレ・ド・バレエ」 未定
「タランテラ」 未定

コッペリア

2016年2月24日(金) 19:00
スワニルダ 小野絢子 フランツ 福岡雄大

2月25日(土) 13:00
スワニルダ 米沢 唯 フランツ井澤 駿

2月25日(土) 18:00
スワニルダ 未定 フランツ 奥村康祐

2月26日(日) 14:00 未定

眠れる森の美女

2017年5月5日(金・祝)14:00 5月6日(土)14:00
オーロラ姫 米沢 唯 デジレ王子 ワディム・ムンタギロフ

5月13日(土)14:00
オーロラ姫 小野絢子 デジレ王子 福岡雄大

5月7日(日)14:00と 5月12日(金)未定 はキャスト未定


ジゼル
2017年6月24日(土) 13:00
ジゼル 米沢 唯 アルベルト 井澤 駿

6月24日(土) 18:00
ジゼル 小野絢子 アルベルト 福岡雄大

6月25日(日) 14:00 6月30日(金) 未定 7月1日(土) 14:00 はキャスト未定

<ダンス>

JAPON dance project 2016
2016年8月27日(土)14:00 
2016年8月28日(日)14:00 

【振付・出演】遠藤康行、小池ミモザ、柳本雅寛、青木尚哉、児玉北斗
【特別出演】小野絢子、八幡顕光、米沢 唯、島地保武、大宮大奨
【美術】針生 康
【照明】櫛田晃代

新国立劇場バレエ団
DANCE to the Future 2016 Autumn

2016年11月18日(金)19:00 
2016年11月19日(土)14:00 
2016年11月20日(日)14:00 

中村恩恵×新国立劇場バレエ団
「ベートーヴェン・ソナタ」
(新作)

2017年3月18日(土)14:00
2017年3月19日(日)14:00 

【音楽】ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
【振付】中村恩恵
【出演】首藤康之、新国立劇場バレエ団

小野寺修二 カンパニーデラシネラ
「ふしぎの国のアリス」

2017年6月3日(土)13:00
2017年6月4日(日)13:00 
2017年6月9日(金)19:00 
2017年6月10日(土)13:00 
2017年6月11日(日)13:00 


あと、上記サイトには案内がありませんが、新制作で、
こどものための「白鳥の湖」公演

2016年7/21(木) 11:30 / 15:00
22(金)11:30 / 15:00
23(土)11:30 / 15:00
24(日)11:30 / 15:00

詳しい説明はこちらにあります。
http://www.nntt.jac.go.jp/release/press/upload_files/lineup_ballet_dance_2016-2017.pdf

*****
新作どころか新制作もなしですか、と思ったら、中村恩恵さんの「ベートーヴェン・ソナタ」そして「こどものための「白鳥の湖」」が新制作でしたね。それにしても、20世紀バレエは「ロメオとジュリエット」「シンデレラ」「コッペリア」があるものの、基本的には古典バレエがベースで、何とも保守的なラインアップといえます。しかも上演回数も極めて少ない。(「バレエ」では全部で30公演にもなりません)

「ヴァレンタイン・バレエ」というガラには、バランシン、そして「トロイ・ゲーム」、深川秀夫さんの「ソワレ・ド・バレエ」はありますが、2公演のみでガラ形式。現代作品がほとんどありませんので、これでは完全に世界に後れを取ってしまっています。

今、世界の多くのバレエ団で人気の高い振付家は、ウィールドン、ラトマンスキー、マクレガー、スカーレット、ジャスティン・ペックといったあたりで、この辺の人達は、以前のラインアップ説明会でも話が出たように、数年先まで予定がぎっしりなのだそうです。このほかにも、アレクサンダー・エックマン、クリスタル・パイト、デミス・ヴォルピ、マルコ・ゲッケ、アクラム・カーンなども同じく相当先まで予定が入っていて、依頼するのは難しいと思われます。

ほかのバレエ団と同じことをする必要はないと言えばそれまでですが、今どきこんな博物館のような上演をしているバレエ団もほとんどないのではと思われます。数年前のビントレー時代に、ジェシカ・ラングに「暗やみから解き放たれて」という美しい新作を振付けてもらったのは、奇跡のような話です。

ダンスの方の範疇になりますが、中村恩恵さんが振付ける新作「ベートーヴェン・ソナタ」、そして団員の創作による「DANCE to the Future 2016 Autumn」があるのは良いことです。これがもう少し規模の大きな公演につながっていけばよいのですが。

東京シティ・バレエ団「L'heure bleue」イリ&オットー・ブベニチェク トークイベント

東京シティ・バレエ団は、『ダブル・ビル』として、ウヴェ・ショルツ振付の「ベートーヴェン交響曲7番」と、イリ・ブベニチェク振付「L'heure bleue」という2作品を1月30日、31日に新国立劇場 中劇場にて上演します。

http://www.tokyocityballet.org/schedule/schedule_000009.html

「L'heure bleue(ルール・ブルー)」は日本初演で、弦楽曲にのった美しいビジュアルと軽快でウィットに富んだダンスによる作品とのことです。東京シティ・バレエ団のために、初演より多くの追加振付を行ったバージョンとなっています。


振付指導のために12月中旬から来日しているイリ・ブベニチェクと、衣装、舞台装置、振付助手をしているオットー・ブベニチェクのトークイベントがありました(通訳は芸術監督の安達悦子さん)。

途中、東京シティ・バレエの5人のダンサー(土肥靖子さん、岡博美さん、清水愛恵さん、平田沙織さん、榎本文さん)による実演もありました。(イリによる指導も少し)

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日本とのつながり

イリ・ブベニチェク「16歳の時に初めて来日しました。チェコの振付家に頼まれて、振付のコンクールのための来日で、オットーと一緒でした。その時の審査員にジョン・ノイマイヤーがいて、私たちに興味を持ってくれたのです。キャリアのスタートを日本でできてとても感謝しています。今回が20回目の来日となります。ハンブルグ・バレエでの来日の時には、初めて来たときには6週間のツアーで、プリンシパルになる前でしたが「幻想 白鳥の湖のように」などたくさんの作品を踊りました。また、エトワール・ガラではバンジャマン・ペッシュに招かれて3回来日しています。自分たちの作品をこのガラで紹介できました。そして2013年には、自分たちの作品を踊る企画(「ブベニチェク・ニューイヤー・ガラ」)を開催し、振付家としての出発をすることもできました」


「L'heure bleue」について

「今回は、ゲストとしてではなく、日本のカンパニーに振付を行うという初めての経験で、重要な第一歩として重視しています。ローザンヌ国際コンクールの40周年の時に、芸術監督の安達悦子さんに初めて会って何回か意見交換を行いました。ちょうど、ショルツの「ベートーヴェン交響曲7番」を上演するというので、ダブル・ビルに作品を提供してくれないかと依頼されました。(安達さん「依頼したら快く引き受けてくださいました) いくつか作品を見せたところ、「L'heure bleue」に一番興味を示されたのです」

「L'heure bleue」は、2013年にアメリカのバレエ団(ノース・カロライナ・ダンス・シアター)のために振付けられた作品です。しかし今回は、東京シティ・バレエ団のための新しいクリエーションがほとんどで、もっと長くして、ここのダンサー向けに仕上げました。アメリカで初演した時には、2週間しかなかったので、長くすることができなくて、もっと長い作品にしたいと思っていたので嬉しかったです。12月21日に来日して、時間をかけて長い作品にすることができました。」

「L'heure bleue」とは、蒼い時間、という意味です。パリ・オペラ座バレエにゲスト出演して「椿姫」をオーレリー・デュポンと踊った時に出ていたアイディアです。この時、アニエス・ルテステュ、そしてデュポンと2回ずつ踊り、4週間パリに滞在しました。素敵な作品を思いつくのは、いつもパリなのです。ガルニエは迷宮のようで、いくつものスタジオがあり、小さなスタジオで振付のアイディアを浮かばせていました。また、パリには美術館などがたくさんあって、インスピレーションを得ることができました。この作品は、ギャラリー・ラファイエット(デパート)のショーウィンドーのフレームで、人が芝居している様子を見て浮かんだアイディアから作られたものです。その時音楽を探してみて、朝の4時にはアイディアがバレエになりました。オットーがWebサイトを作っていたりしてコンピューターに強いのです。すぐにオットーに連絡して、コスチュームのことなどを相談しました。」


「L'heure bleue」とは、昼と夜の境目の時間のことです。暗くもなく朝にもなりきらない時間で、愛の始まりでもあり終わりでもある。一生の終わりでもあり、始まりでもあるという意味があります。貴婦人が何かの瞬間に恋におちる(オットー「自分の心をコントロールできなくなる」)。そこには、どうにもならない、コントロールできない、恋したくなくても恋をしてしまうということです」


今後の予定

「この後は、ハノーヴァーに行き、そしてスロベニアのリュブリャナ(スロベニア国立リュブリャナ歌劇場バレエ)で「ドクトル・ジバゴ」を上演します。この作品は、ショスタコーヴィッチの音楽を使っているため、オーケストラの編成が大きくなっています。そのため、オーケストラを舞台の後ろに配置しました」(オットーのPCから、CGによる舞台プランの配置図などをスクリーンに映して見せてくれました)

ここで、東京シティ・バレエの3人のダンサー(土肥靖子さん、岡博美さん、榎本文さん)たちによる一部上演が行われました。クラシックをベースにしながらも、ちょっとひねりがあって官能も感じさせる振付です。

「東京シティ・バレエ団のダンサーたちは、それぞれが美しいキャラクターの持ち主なので、才能やキャラクターを大事にしたいし、怪我をしてほしくなくてこの5人で踊ってほしいので、ここで踊るのは少しだけにします」


作品のクリエイションについて

オット―・ブベニチェク
「イリは、伝統とモダンを結合させることを考えています。通常は劇場に合わせて作品を創るので、スタッフとともに劇場に行って照明を合わせ、プランを見ながら発展をさせていきます。新作を創るときに最初にやることはカンパニーへと足を運び、そして劇場に行ってインスピレーションを得ます。ドルトムントで振付けた「ピアノ・レッスン」(ジェーン・カンピオン監督作品のバレエ化)を創るのには1年かかりました。作品の舞台であるニュージーランドにも旅をしてリサーチをしました」

イリ
「まず物語があることが大切です。ストーリ―が語り掛けてくるかどうかが、です。今回の作品は内包したストーリーで大きく作ってはいません。大きな劇場で上演する時にはそれにあった作品を創ります。ジョン・ノイマイヤーは、物語を語るバレエを創るので有名な振付家でした。特にオットーは、ノイマイヤー率いるハンブルグ・バレエで23年間働いていたので影響を受けています。私は新しいムーブメントを創ることに興味があります。チェコでは、演劇の伝統があり、良い劇場も、演劇学校もあります」

「今回、チェコのテレビ局が日本にやってきて、私たちのドキュメンタリーを撮影しています。とても有名なプロデューサーで、1年前のプラハでの私たちの公演を観て魅せられたとのことで、1年間私たちを追ってきました。9月30日に、このドキュメンタリーを大きな映画祭に出品する予定です。監督は、イリ・キリアン、そして民主化されたチェコの初代大統領ハヴェルのドキュメンタリーも撮ってきた人です。私たちは、子供のころにチェコの伝統的な物語を子供向けに作った彼の作品を観ていて、影響を受けました。また、私たちの両親はサーカスでアクロバットをしていたのですが、この監督はサーカスについての作品も作っていて、その作品に子供時代の私たちも出演していたのです」

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<質疑応答>
Q 日本のバレエ団と仕事をしていかがでしたか。

イリ「日本では、人を助けてくれるという姿勢があると感じています。ヨーロッパでは、人に助けてもらおうという姿勢の人が多いですが。ここではみんな私を助けてくれて、歓迎してくれました。バレエ団ではダンサーたちは一生懸命にやってくれて、振付が終わると映像に撮って、次に会った時には振付をきちんと覚えています。このバレエ団のダンサーたちは才能のある人たちですが、クラシック寄りのバレエをやってきています。私の動きをやってみることで、ヨーロッパでの現代的なものが加えられていくと思うし、私の思いも汲んでくれていると思います」

オット―「カンパニーから私たちも学んでいます。今日も学んだことがありました」

Q お二人は一卵性双生児ですが、どのような違いがありますか。

オット―「生きていく中で私たちも変わっていきます。ノイマイヤーは、私には官能的だったりシリアスな役を与えることが多くて、ティボルトやロミオを演じました。イリにはマキューシオのようなハッピーが役が多かったのですが、彼も変わっていきます。踊りという面では、イリの方がシャープで、私の方がソフトです」

Q これからのキャリアについて

イリ 「ダンサーとしてはそろそろ引退します。踊ることと作品を創ることのバランスが難しいからです」

オット―「自分の限界を知ることは必要なことです。辞めることも大切なことです。私たちは41歳となり、自分たちのカンパニーを持つ夢があるので、今スタートしなければなりません。私たちの創作を世界に見せたいと思っています」

イリ 「ドレスデンで引退した3,4日後には振付をし始めました。2,3年先まで振付の予定はいっぱいになっています。ハノーヴァー、リュブリャナの仕事もありますし、この公演が終わったらサンフランシスコに行きます。また、『オルフェウス」を振付ける予定もあります。これは1時間の作品で、ダンサーは3人、自分たちと女性ダンサー、そしてチェコの俳優と音楽家が参加しています。良い作品だったら日本に持っていきたいです」

Q 日本の伝統文化に影響を受けましたか?

イリ「能からは影響を受けていると思います。また、日本の震災と原発事故には衝撃を受けて、チャリティガラを開催して日本に寄付をしました。日本からは多くの者を与えてもらったので。ドレスデンでは、60人のコンテンポラリーダンサーや俳優、ミュージシャンと共に、能にインスピレーションを得た作品を創って、4公演を行いました。美術館の中のいろんなところで動き回り、観客がダンサーの後をついて行くというものです。2日間で5000人の人が美術館を訪れ、美術館の方も喜んでいました。将来、日本の古い物語や歴史についての本を読んで、作品を創りたいと思います」

Q 作品を創るときに、先ほどはCGを見せてもらいましたが、模型を作ることはありますか?

オット―「模型を作ることはあります。その方が早いことがあるからです。PCでは、CGを使って物体の中に入っていくことができます。将来はコンピューターの中に入って踊ってみたいです。イリはこういうことに全く興味がないそうです」

イリ「オットーは自分でこれを全部独学で学んだんですよね」

オット― 「作品作りの他、自分たちのウェブサイトも作っていますし、Bbootiesというブーティ(バレエシューズの上に履く、足を覆うウォームアップ用のブーツ)のデザインをしていて、これは世界中のダンサーが履いています。美しいものに敏感なのです。壁の表面にも、そして美しい人間にもインスピレーションを与えられます。人のシンプルさや複雑さに興味があります。心の中を作り上げている人々が興味深いと感じています」

Q インスピレーションについて

イリ 「「L'heure bleue」ではギャラリー・ラファイエットでの大きなフレームにインスピレーションを与えられました。ダンサーからもらったアイディアを採用したところもあります。また、ルーヴル美術館にある古い絵にもインスピレーションを得ました。この作品はヨーロッパ的なものですが、日本にインスパイアされた新しい作品もいつか作ってみたいと思います。何か日本人の心に近いもので、バレエにするのに良いアイディアがあったら教えてください」
「「L'heure bleue」はプラハで思いついた時には3分の作品で、アメリカで初演された時には20分の作品となりました。そして日本でさらに膨らませることができた、いわば世界的な作品といえます。最初、プラハのガラで元となった作品を上演した時には、自分たち二人による作品で、アメリカでは、4人のダンサーとなり、そして今回は5人の男性ダンサーと5人の女性ダンサーによる作品となりました」

Q 二人はどうして上手くやっていくことができるのですか?

オット―「二人とも同じ視点を持っているので親しいし、好みも似ています。でも時々は完璧に違っていて、喧嘩することもあります。お互い信じ合っているので一緒に働くことができます。振付やデザインで意見が分かれて喧嘩もしますが、一緒に働いてくれる兄弟がいるのは幸せです」

イリ「オットーがいるので早く振付けることができます。私は子供のように没頭するのが好きです。心配しないで振付けに没頭できます。彼が意見を言ってくれるので考えることができて助かります。でも、最後に決断を下すのは自分です。オットーは衣装や装置も作ってくれるので助かるし、いつも作品に合うものを作ってくれます。「L'heure bleue」は、クラシカルをベースにしているけど、コンテンポラリーのステップもあります。衣装も同じく、クラシックな衣装に現代風なところを加えています。二人の女性は男性用のジャケットを着ていますが、フェミニンな感じがあります。ショートパンツに生脚なので、官能的なのです」

非常に和気あいあいとした雰囲気で進んだトークショーでした。兄弟非常に仲が良いことが見て取れますが、時々オットーが主導権を持っているのかな、と感じさせるところがあったり、似ているようで趣味が違うところも見えたり、大変面白かったです。作品も、とても魅力的なものに感じられました。観るのが楽しみです。


米国のノース・カロライナ・ダンス・シアターでの上演の動画


演出・振付:イリ・ブベニチェク
音楽:J.S.バッハ「2つのヴァイオリンのための協奏曲」 L.R.ボッケリーニ「弦楽五重奏」ほか
振付助手:オットー・ブベニチェク
バレエミストレス:高木糸子 若林美和
舞台美術デザイン・照明プラン・衣裳デザイン:オットー・ブベニチェク
衣裳製作:工房いーち コスチュミエール
出演:土肥靖子 岡博美 清水愛恵 平田沙織 榎本文 黄凱 浅井永希 沖田貴士 長澤風海 三間貴範

2016年1月30日(土)18:00開演
2016年1月31日(日)15:00開演

新国立劇場 中劇場

SS席: 12,000円
S席:10,000円
A席:8,000円
B席:6,000円
学生席:3,000円
(高校生以上25歳以下の学生対象/要学生証提示)
※30日B席、31日SS席完売
※6歳よりご入場頂けます
東京シティ・バレエ団 >>
チケットぴあ >> (Pコード446-841)
ティアラこうとうチケットサービス >>

2016/01/14

オニール八菜さんとカール・パケットが、京都バレエ団「ドン・キホーテ」にゲスト出演

パリ・オペラ座バレエの11月の昇進試験でプルミエ・ダンス―ズに昇進したオニール八菜さん。オペラ座では、すでに「白鳥の湖」、「パキータ」、そして「ラ・バヤデール」のガムザッティなど主役級を踊っていますが、日本でも主演することになりました。

毎年夏にパリ・オペラ座から豪華ゲストを呼んでいる京都バレエ団の公演です。今月オープンしたロームシアター京都での公演です。
http://www.kyoto-ballet-academy.com/a_ballet.php

2016年7月24日(日)15:00
ロームシアター会館オープニング事業
京都バレエ団「ドン・キホーテ」全幕

オニール八菜(パリ・オペラ座バレエ団)
カール・パケット(パリ・オペラ座バレエ団)
シリル・アタナソフ(パリ・オペラ座バレエ団)
演奏:京都市交響楽団。
詳細が決まり次第、ホームページへ掲載


昨年の京都バレエ団の「ロミオとジュリエット」(エロイーズ・ブルドン、カール・パケット主演)は、東京でも公演が行われました。ぜひ東京でもオニールさんの主演を観たいですよね。

2016/01/13

KARAS APPARATUS no.29「ダンスソナタ 幻想 シューベルト」と、no.30「青い目の男」

勅使川原三郎さんのKARAS APPARATUSアップデートダンスシリーズに、去年からすっかりはまっています。昨年、UPDATE DANCEシリーズは、12作品94回もの上演がありました。私も、Vol.20の「ペレアスとメリザンド」を皮切りに、以降9作品を観に行って、それぞれに独創的で、小さな空間の中で美術や照明、音響も考え抜かれ、吸い寄せられてしまうような圧倒的な美しさを見せてもらいました。


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no.29「ダンスソナタ幻想 シューベルト」は、このアップデートダンスシリーズの今年最初の作品。リヒテルのピアノとオイストラフのヴァイオリンソナタで踊ります。地下に降りていくこの空間は、扉が閉じられると漆黒の闇に包まれ、そして最小限の光を浴びた勅使川原さんのソロで始まります。勅使川原さんの動きは重心が低くてゆっくりだけど、一度として止まることはなく完璧にコントロールされています。そして彼が浴びる照明、光と影の加減も計算しつくされていて、身体のどの部分に光が当てていくのかも見事に制御され、その陰影部分だけをとってもダンスといえます。舞台はあまり大きくありませんが、奥行きはあるため、ダンスにも立体感があり、照明の魔法でそれを感じられるのも面白いところです。

次に佐東利穂子さんのソロ。よどみなく柔軟で魔術師的な勅使川原さんに対して、佐東さんはもはや信じがたいほどの凄まじい回転、両腕で空間を切り裂く大きくしなやかで鋭い動きをノンストップで変幻自在に繰り広げて、まるで竜巻のよう。だけど、一つとして同じ動きの繰り返しはなく、とてつもなく激しいのに止まる瞬間はありません。荒い息遣いも、まるで音楽のようです。再び勅使川原さんの踊り、そして佐東さんの踊り。二度目の佐東さんのダンスは、最初はゆっくりと、しかしどんどんまたスピードを上げて行きます。緩急自在で今度はもっとコントロールされています。そして、最後にまた勅使川原さんが踊るのですが、このパートがとにかく凄かった。

勅使川原さんは、まるで魔術師のようで、その身体で音楽を創造するマエストロでした。音楽と共に踊るのではなくて、彼の動きで音楽が生まれる。音楽がこの世に生み出される瞬間を見ているようでスリリングでした。つくづく勅使川原さんも佐東さんもダンスの神様のような人たちだと思いました。一つ一つの音に向き合って、音楽と一体化しつつも、時には音楽をリードしたり、音楽が生まれる瞬間を見せてくれたり。閉じられた空間だけど、一方でこの空間は世界に通じている、なにか壮大な宇宙のような広がりも感じます。勅使川原さんも、佐東さんも、音楽としっかり対話して、そこから喚起されるイマジネーション、インスピレーションによってダンスを生み出している、その対話の結果として、ダンスから音楽が生まれるような逆転の錯覚を起こさせてくれているのだと感じました。


さて、この「ダンスソナタ幻想 シューベルト」に続き、No.30「青い目の男」が1 月16 日(土)より始まります。

勅使川原三郎さんはポーランドの作家ブルーノ シュルツの短編を基に、言葉と身体の新たな関係を追求する創作を3年余りにわたり、両国・シアターX で継続しています。昨年7 月にシアターXで上演された「青い目の男」は、短編「夢の共和国」から想を得て創作され、勅使川原さん自身が “2015 年の創作の中で一番自分の感情に近い部分にある作品” と語る作品とのことです。(私も観て、前半に繰り広げられる、鰐川枝里さんを加えた3人による激しいダンスの圧倒的なパワーと、後半の佐東さんの静寂の中での夢のような崇高な美しさに打ちのめされたのでした) 今回は、アパラタス版として新たに公演される作品となっています。

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アップデイトダンスシリーズNo.30「青い目の男」

【演出・構成】勅使川原三郎
【出 演】勅使川原三郎、佐東利穂子
【会 場】カラス・アパラタス B2 ホール 東京都杉並区荻窪5-11-15 F1/B1/B2
【公演日程】2016 年1 月16 日(土)~23 日(土) 20:00 開演
*1/17 (日),23 (日)は16:00 開演 *1/19(火)は休演日

【料 金】一般 / 予約2,500円[当日3,000円]学生 1,500円 *全席自由

【前売予約】updatedance@st-karas.com へ
[ご希望の日付・住所・氏名・一般または学生・当日連絡のつく電話番号]を送付
*メール予約受付は各回とも前日の24時まで
*学生の方は当日受付で学生証を提示 *開演後の途中入場不可
【問い合せ】カラス・アパラタス 03-6276-9136 http://www.st-karas.com/karas_apparatus/

勅使川原さんは、このアパラタスでの12作品94公演に加え、国内外のツアー公演やパフォーマンスは44公演で、合計138公演も行っています。アップデートダンスシリーズは再演作品もありますが、ほとんどは新作というわけで、彼のクリエイティブなエネルギーも、ダンスの技術も衰えるところを知りません。アップ―デートダンスという名前の通り、作品は日々アップデートされて全く同じ公演は一つもないとのことです。小さな親密な空間で、ダンスが生まれる瞬間のスリルを味わいに、ぜひ足を運ばれることをお勧めしたいと思います。また、毎回公演後、勅使川原さん、佐東さんによるトークもあり、こちらも毎回とてもインスピレーションを与えてくれます。


1月28日からは、 アップデイトダンスNo.31「静か 無音のダンス」も上演されます。

【演出・構成】勅使川原三郎
【出 演】勅使川原三郎、佐東利穂子
【公演日程】2016 年1 月28日(木)~2月4日(木) 20:00 開演
*1/30 (日))は16:00 開演 *1/31(日)は休演日

2016/01/12

1/9、10 新国立劇場バレエ団 ニューイヤー・バレエ

2015/2016シーズン
バレエ「ニューイヤー・バレエ」
http://www.nntt.jac.go.jp/ballet/performance/150109_006129.html

指揮:ポール・マーフィー
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

年明けを飾るニューイヤー・バレエ、2日間観てきました。


◆セレナーデ
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
振付:ジョージ・バランシン
ステージング:パトリシア・ニアリー
細田千晶、本島美和、寺田亜沙子、菅野英男、中家正博

川口藍、仙頭由貴、玉井るい、中田美里、広瀬碧、若生愛
朝枝尚子、飯野萌子、今村美由起、加藤朋子、小村美沙
柴田知世、関晶帆、成田遥、原田舞子、盆子原美奈、
益田裕子、山田歌子(交代出演)
中島駿野、林田翔平、福田紘也、宝満直也

2007年10月に新国立劇場の新国立劇場10周年記念ガラで上演された「セレナーデ」、久しぶりの上演。前回に引き続き、バランシン財団からパトリシア・ニアリーが指導。冒頭の薄闇の中、レオタードに長めのクラシックチュチュを着た女性ダンサーたちが右腕を高く掲げ、脚を6番ポジションから1番へと一斉に動かす印象的なシーンから始まる。コール・ド・バレエのプロポーションが美しく、動きも精確にそろえられている新国立劇場にぴったりと合った作品であり、ため息が出るほどの美しさ。ただ機械的に揃っていて音楽に合っていれば良いのではなくて、その中で詩情を醸し出して音楽を身体で奏でることが大切。ストーリーのないシンフォニック・バレエでありながらドラマを感じさせるところも、巧みに見せてくれた。

跳躍と回転の多いロシアンガールは、細田さん。軽やかで透明感があってひときわ美しい。稽古場に遅れたり、転んでしまうワルツは寺田さん。菅野さんとのパ・ド・ドゥにドラマを感じさせてくれた。ダークエンジェルの本島さんは、彼女らしい強い存在感と美しいアラベスクが印象的だった。「くるみ割り人形」が終わってから2週間足らずという短期間なのに、良く訓練されてクオリティの高い上演。新国立劇場バレエ団は、「テーマとヴァリエーション」「シンフォニー・イン・C」といい、バランシン作品の上演はいつも素晴らしいし、このあたりの作品はもっと上演頻度を上げて良いと思う。


◆フォリア
音楽:アルカンジェロ・コレッリ
振付:貝川鐵夫
丸尾孝子、玉井るい、益田裕子、輪島拓也、池田武志、中島駿野

2013年12月「Dance to the Future~Second Steps」で初演された、ファースト・ソリスト貝川さんの作品。古楽を用いて、ほの暗い照明の中始まる。玉井さんのソロから始まり、ダンサーが一人一人ソロを踊り、それがやがて3組のペアでの踊り、全体への踊りへと伝播していく。女性は長いスカートを着用して重心を低く置いた振付で、ナチョ・ドゥアトの影響を強く感じさせるものの、ダンサーそれぞれの多彩な表現力を見せてくれているし、振付言語にもオリジナリティがあって面白い。
新国立劇場の小劇場で初演された作品が、オペラパレスの大きな舞台で上演されたわけだが、広い劇場の後ろまでしっかり届くような、豊饒さを感じさせる魅力的な小品。クラシックバレエ中心のガラで、このようなコンテンポラリー作品、しかもバレエ団のダンサーによる振付の作品が上演された意義は大きい。それぞれのダンサーの魅力が発揮された作品だが、やはり海外カンパニーでの経験がある玉井さん、池田さんの表現力は抜きん出ていて、精神性までも見えてきたほどだった。輪島さんも大人の魅力が光った。


◆パリの炎 パ・ド・ドゥ
音楽:ボリス・アサフィエフ
振付:ワシリー・ワイノーネン
【1/9】
柴山紗帆、八幡顕光
【1/10】
奥田花純、福田圭吾

ガラ公演では超絶技巧でおなじみの演目。9日のペア、高いテクニックを誇る八幡さんにとても期待していたのに、丁寧におとなしくまとめていたのに驚いた。踊りは美しいのだが端正すぎて、八幡さんなら余裕で見せている540も、連続トゥールザンレールもない。柴山さんも、正確なのだが、地味の一言。ガラ公演なので、この手の作品を踊るなら、もっと自己主張して、やりすぎなくらいアピールしても罰は当たらないと思う。

10日は、福田圭吾さんは、見栄えのする派手な跳躍やトゥール・ザン・レールで盛り上げてくれた。奥田さんも優れた技術の持ち主で、けれんみのある、精緻でありながらスピーディなグランフェッテを見せてくれたけれども、ガラ公演なら、スポッティングを変えてのフェッテとか、もっと華やかさを見せてくれて良いと思う。これでは、この演目を得意とするシムキン、コチェトコワらには敵わない。


◆海賊 パ・ド・ドゥ
音楽:リッカルド・ドリーゴ
振付:マリウス・プティパ
【1/9】
木村優里、井澤 駿
【1/10】
長田佳世、奥村康祐

奴隷役のイメージがない、ほっそりとした王子様系ダンサー二人によるアリ。井澤さんは、背中が硬いのが難点だけど、跳躍は高く足先が伸びて美しい。木村さんは、長身で手足が長いのだけど、彼女の問題は右脚のアンドゥオールと、表現の幼さ、未熟さ。手脚のコントロールが効いていないのでポーズが美しくなく、グランフェッテは、トリプルも織り交ぜているので会場は沸くのだが、上げた脚がアン・ドゥオールしておらず、ロン・ドゥ・ジャンブをする位置がかなり前の方でア・ラ・スゴンドではないので、違和感が強い。教師がきちんとリハーサルを見て指導しているのだろうかと疑問を感じた。

10日の長田さんのメドーラは、これぞお手本というほどアカデミックで正確で、9日の100倍良かった。グランフェッテはシングルだが正しいポジションに入って非常に美しい。一つ一つの動きに気品があり、音楽によく乗っていてキラキラ輝いている。きっと長田さんはライモンダを踊ったら素晴らしいだろう。奥村さんのアリも、着地音がなくてマネージュは美しいし、長田さんと息がよく合っていて見た感じのバランスも良い。


◆タランテラ
音楽:ルイス・モロー・ゴットシャルク
振付:ジョージ・バランシン
ステージング:パトリシア・ニアリー
【1/9】
米沢 唯、奥村康祐
【1/10】
小野絢子、福岡雄大

「タランテラ」も世界の一流ダンサーがガラ公演で披露しているのでハードルの高い作品。パトリシア・ニアリーが振付指導。9日、米沢さんは、素早い振付を涼しい顔で余裕を感じさせながらこなしていたけれども、ちょっと音に合っていないところが見受けられた。テクニックの強い米沢さんにとっても、この作品はなかなか大変だということだろう。奥村さんははじけていてユーモラスで軽やかだった。
10日、小野さんは音楽性に優れている人なので、米沢さんより合っていたかもしれない。福岡さんは、軽やかに、とはいかないもののこちらも元気よく健闘。捌ける時にキスされる小野さんの茶目っ気ある表情がとてもかわいらしかった。いずれにしても、スピードがあってほぼノンストップで細かい足捌きが繰り広げられるこの作品、ものにするのは並大抵のことではないと実感。


◆ライモンダ より第3幕
音楽:アレクサンドル・グラズノフ
振付:マリウス・プティパ
演出・改訂振付:牧 阿佐美
装置・衣裳:ルイザ・スピナテッリ
【1/9】
ライモンダ:小野絢子 ジャン・ド・ブリエンヌ:福岡雄大
【1/10】
ライモンダ:米沢 唯 ジャン・ド・ブリエンヌ:井澤 駿
チャルダッシュ 堀口純、マイレン・トレウバエフ
グラン・パ・クラシック
寺田亜沙子、奥田花純、柴山紗帆、細田千晶、丸尾孝子、若生愛、飯野萌子、原田舞子
江本拓、奥村康祐、中家正博、池田武志、木下嘉人、小柴富久修、清水裕三郎、原健太
ヴァリエーション
寺田亜沙子

「ライモンダ」は、2008/9シーズンでの全幕上演以来、久しぶり。グラン・パ・クラシックからの上演かと思ったら、チャルダッシュ、マズルカと3幕丸々やってくれて舞台装置や群舞も入ってゴージャスだった。王様に貝川さん、王妃に本島さんとキャストも豪華。チャルダッシュはトレウバエフにくぎ付け。キャラクターダンスに定評のある彼だけあって、非常に濃くて見ごたえたっぷり。ほかのみんなもこれくらい濃いといいのだが、ガラ公演なので贅沢は言うまい。

グラン・パ・クラシックは皆さん本当に美しく、一斉に男性ダンサーたちが女性をリフトするところは壮観。男性陣もプロポーションよく容姿が揃ってきた。4人の男性が連続アントルシャ・シス、そして一人ずつトゥールザンレールするところは、バレエ団の実力が出るのだがまずますの出来で、きっちり5番に降りることができるのは奥村さん位だったけど大きな破綻は無し(左から、奥村、中家、原、木下)。そして待ってました、の主役登場。

小野さんはもう完全に別格で、小柄なのに醸し出すプリマオーラの輝きが凄い。ライモンダというキャラクターを完全に理解しているし自信たっぷり。ヴァリエーションはしっかり音を立てて手を叩くスタイル。そしてコーダのパッセの繰り返しも揺るぎないしオフバランスも見事。福岡さんはダイナミックで正確で美しい。ただし、一回目のリフトでは少しだけヒヤリとする場面があった。

米沢さんも、もちろん技術は非常に高く、細かいパ・ド・ブレ、連続パッセのときの揺るぎないバランスとほぼ完ぺきな出来だったが、キャラクターとしては彼女はあまり姫キャラではないのが惜しい。井澤さんは、長い脚、小さな顔、容姿の美しさはまさに貴公子でヴァリエーションは見事なのだが、やはり彼の場合、課題はリフトで、難しいリフトを省略してしまったところがあった。それでも、日本人でこれだけ貴公子らしさがあるのは、井澤さんと奥村さんくらいなのでは、と思わせる華があるのは貴重。

ヴァリエーションは、当初予定されていた五月女さんが怪我で降板してしまったのが残念。寺田さんはちょっと溌剌さに欠けるところがあった。3人の女性によるヴァリエーションもあり、こちらは柴山さん、飯野さん、奥田さんの3人でこの3人が並ぶと奥田さんがダントツレベルが高いのだが、3人ともよくシンクロしていた。

非常に満足度の高い上演だったけど、せっかく豪華な舞台装置つきで三幕丸ごと上演なのだから、踊っていない人たちももう少し演技してくれたらいいなと感じた。「ライモンダ」はプロダクションデザインもとても美しいし、音楽も素晴らしい演目。小野、米沢、長田主演でぜひ全幕上演を近々実現してほしいと思う。

真ん中のクラシックヴァリエーションがちょっと発表会レベルのものがあった以外は充実して贅沢な公演だった。ダンサーに振付される「Dance to the Future」企画から生まれた貝川作品があったのも良かったし、「セレナーデ」と「ライモンダ」の上演レベルはさすがに高く、特に「セレナーデ」は世界に誇れる美しい上演だった。

カンパニーとしては、充実期にあるのが見て取れるが、何しろ公演回数が少なくて役を深められる機会が少ないのがこのバレエ団の残念なところ。今回のガラも、2公演のみだったためか、他のバレエ公演も集中しているこの連休にあってチケットが完売しているということは、もう一公演上演できたのではないかと思われる。

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2016/01/10

1/11 NHKニュース ウォッチ9でシルヴィ・ギエム特集放送

1月11日(祝・月)、NHKニュース ウォッチ9で、シルヴィ・ギエムの特集が放送されます。
インタビュー、神奈川県民ホールでのツアーラストステージなど、さまざまな側面からギエムのダンサーとしての最後の時間が紹介されます。

 ◆放送日時:1月11日(祝・月)21:00~22:00
 ◆番組名:ニュース ウォッチ9
 ◆放送局:NHK 総合

http://www.nbs.or.jp/blog/news/contents/media/nhk-9.html

ニュースウォッチのブログでも少し触れられています。(鈴木奈穂子アナ)
http://www9.nhk.or.jp/nw9-blog/

●「100年に一度の逸材」と言われたシルヴィ・ギエムさん。
2015年末、およそ40年のバレエキャリアに幕を閉じ、惜しまれながら引退しました。
彼女の引退公演の舞台となったのは日本。引退公演を前に、バレエへの思い、そして日本への思いを伺ってきました。
※1月11日(月)放送予定。

2016/01/09

愛知県芸術劇場2016年ラインアップ、「月夜に煌めくエトワール」公演、あいちトリエンナーレ2016

愛知県芸術劇場の2016年のラインアップが発表されています。

愛知県芸術劇場は、名古屋でのダンス/バレエ公演を多く行っている上に、この劇場でしか観られない独自企画の公演、さらに東京・大阪・横浜・埼玉等の劇場との共同企画など、非常にパフォーミングアーツに力を入れています。

さらに、2016年は3年に1度の国際芸術祭、あいちトリエンナーレ2016が開催されます。勅使川原三郎演出のオペラ「魔笛」、アクラム・カーンともコラボレーションしているフラメンコ界の異端児イスラエル・ガルバン、そして山田うんの新作などを観ることができます。

愛知だけでしか観られない素晴らしい公演もあります。幸い、劇場は交通の便の良いところにあり、夜公演でも東京にその日のうちに帰ることが可能です。
伝説のダンサー、H. アール. カオス 白河直子ソロ公演も、愛知でしか観ることはできません。


新年一回目の主催公演としては、「Stars in the Moonlight 月夜に煌めくエトワール」があります。エルヴェ・モローがピアニストのジュルジュ・ヴィラドムスと組み、さらにオペラ座からドロテ・ジルベールとマチュー・ガニオ、ヴァイオリニストの三浦文彰さんも参加します。モローが今公演のため、中村恩恵さんに振り付けを依頼した新作「ツクヨミ」など、贅沢なプログラムが観られます。(一部演目変更がありましたのでリンク先をご覧ください)

Bunkamuraオーチャードホールでの東京公演は、人気につきほぼソールドアウトですが、1月13日(水) 19時の愛知公演はまだよい席が残っているとのことです。しかも、愛知県芸術劇場コンサートホールという、かなり小さめの会場での上演なので、出演者を近くに感じながら観ることができます。

1月13日(水) 19時 愛知県芸術劇場コンサートホール
『Stars in the Moonlight 月夜に煌めくエトワール』(ダンスコンサート・シリーズ第1弾)
http://www.aac.pref.aichi.jp/syusai/etoile/

また、1000円という破格で観られるチャレンジシートが当日発売されます。
販売枚数:50枚程度
座席:3階席後方
※公演当日10:00から愛知芸術文化センター内プレイガイド窓口にて販売(予約不可)。
※おひとりにつき、2枚まで購入可能。
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<愛知県芸術劇場主催>

2月11日(木・祝) 15時、19時30分 愛知県芸術劇場小ホール  *愛知のみ
黒田育世レパートリーダンス公演『ラストパイ』『テトラヘドロン』より抜粋
出演:BATIK、オーディション選抜メンバー  演奏:松本じろ  衣裳:山口小夜子(『ラストパイ』)
http://www.aac.pref.aichi.jp/syusai/ws_kuroda/index2.html
国内外で高い評価を得る黒田育世が2005年にNoism05に振付委嘱した伝説的作品『ラストパイ』を、愛知のオーディションで選ばれたダンサーに完全振付。
2016年、愛知県芸術劇場でふたたびよみがえる!
黒田育世のダンスカンパニーBATIKが踊る作品も同時上演。


2月27日(土)14時、28日(日)17時  愛知県芸術劇場小ホール  *愛知のみ
サウンド・パフォーマンス・プラットフォーム2016
出演:27日 伊東篤宏、空間現代ほか 28日 Sachiko M、捩子ぴじんほか
http://www.aac.pref.aichi.jp/syusai/spp2016/index3.html
「コンサート」ではこぼれ落ちてしまう前衛的な音楽や、台詞や身体動作に伴う音の作品など、ひとくくりにはできない新たな音のパフォーマンスを一挙に紹介します。 ゲスト4組のアーティストに加えて、公募から選ばれた7組が2日間に分かれて登場。

3月26日(土)15時、27日(日)15時  愛知県芸術劇場小ホール  
マレビトの会『長崎を上演する』
http://www.aac.pref.aichi.jp/syusai/marebito/index.html
このプロジェクトは複数の作者が一つの都市をテーマに戯曲を書き、その上演を行う事を繰り返します。長崎、広島、福島をテーマに、現地取材、戯曲執筆、舞台上演を複数にまたがって継続して行うことで、被爆都市として語られる大文字の歴史ではなく、それぞれの年の日常に流れる時間や内在するドラマを戯曲として抽出し、舞台空間に立ち上げようとする試みです。
愛知公演ではドイツ・ライプツィヒから本プロジェクトに参加する新たな作者が長崎取材を経て書き起こした戯曲を加え、2日間に分けて上演します。海外からの視点を加えた本公演では新たな「長崎」が生成されることでしょう。


4月22 日(金)~ 24 日(日)愛知県芸術劇場小ホール  *愛知のみ
ダンスとラップ 島地保武× 環ROY 
出演・演出:島地保武、環ROY 振付:島地保武 音楽:環ROY 照明:渡辺敬之


7月1日(金)~ 3日(日)愛知県芸術劇場小ホール  *愛知のみ
H. アール. カオス 白河直子ソロ公演 
演出・振付:大島早紀子 ダンス:白河直子 


7月16日(土)愛知県芸術劇場大ホール
Noism1×Noism2 
劇的舞踊『ラ・バヤデール-東洋の幻』
(仮)
演出振付:金森穣  脚本:平田オリザ 
空間:田根剛(DORELL.GHOTMEH.TANE/ARCHTECTS)  衣裳:宮前義之(ISSEY MIYAKE)
出演:Noism1&Noism2、ゲスト俳優 (SPAC- 静岡県舞台芸術センター)
http://noism.jp/npe/la-bayadere_niigata/
金森穣演出振付による劇的舞踊第3弾

8月23日(火)、24日(水) 愛知県芸術劇場小ホール
ファミリープログラム『わかったさんのクッキー』
演出:岡田利規


10 月14 日(金)、15 日(土) 愛知県芸術劇場小ホール
Ver Te Dance『コレクション』
演出・振付:Jiri Havelka  音楽・演奏:クラリネット・ファクトリー・ライヴ


10月16日(日)、18日(火)、19日(水) 愛知県芸術劇場小ホール、大リハーサル室 *愛知のみ
パフォーミング・アーツ・セレクション

11 月6 日(日) 愛知県芸術劇場コンサートホール
白井剛&中川賢一&堀井哲史  (ダンスコンサート・シリーズ第2弾)
『ON-MYAKU 2016 -see/do/be tone-』

振付・構成・ダンス:白井剛 音楽構成・ピアノ: 中川賢一 映像演出: 堀井哲史( ライゾマティクス)


<あいちトリエンナーレ2016主催>
あいちトリエンナーレ2016 虹のキャラバンサライー創造する人間の旅
開催期間/8月11日(木・祝)~10月23日(日)

http://aichitriennale.jp/

9月17日(土)・19日(月祝)  愛知県芸術劇場大ホール   *愛知のみ
プロデュースオペラ モーツァルト作曲『魔笛』全2幕・ドイツ語上演
指揮: ガエタノ・デスピノーサ  演出: 勅使川原三郎

10月7日(金) ・8日(土)・9日(日) 愛知県芸術劇場小ホール  *愛知のみ
イスラエル・ガルバン『SOLO』

10月15日(土)・16日(日)  名古屋市芸術創造センター  *愛知のみ
イスラエル・ガルバン『FLA.CO.MEN』

10月15日(土)・16日(日) 愛知県芸術劇場大ホール
カンパニー DCA / フィリップ・ドゥクフレ『CONTACT』

10月22日(土)・23日(日) 名古屋市芸術創造センター  *愛知のみ
Co.山田うん 『花祭りに纏わる新作(タイトル未定) 』

10月23日(日) 名古屋市青少年文化センター (アートピア) *愛知のみ
青木涼子 『秘密の閨』

*あいちトリエンナーレ2016のすべてのラインナップは3月末の発表を予定しています。


2016/01/08

第16回マリインスキー国際フェスティバル/フィリップ・スチョーピン昇進

第16回マリインスキー国際フェスティバルの概要が発表されています。

http://www.mariinsky.ru/en/news1/news2/06_233jan/

プレイビル
http://www.mariinsky.ru/en/playbill/festivale/fest_2015_2016/ballet_fest_233/

3月31日のオープニングを飾るのは、新作「青銅の騎士」。1949年にロスティスラフ・ザハーロフが振付けた「青銅の騎士」を基にしながら(1980年のリバイバル上演に出演したダンサーたちのアドバイスを得て)、ユーリ・スメカロフが新しい振付を追加するものとなります。原作はアレクサンドル・プーシキン、音楽はレインゴリト・グリエールです。

ゲストカンパニーはペルミ劇場バレエで、マクミランの「三人姉妹」、アシュトンの「レ・パルティヌール」、そしてダグラス・リーがこのカンパニーのために振付けたSnow Was Falling を上演します。

4月1日には、「ディアナ・ヴィシニョーワの夕べ」プログラムがあり、カロリン・カールソンの「Woman in a Room」とハンス・ファン・マネンの「LIVE」が上演されます。

今回で四度目となりますが、若手振付家のためのクリエイティブ・ワークショップが開催され、カンパニー内外の若手振付家の作品が上演されます。このワークショップには、マリインスキー・バレエのダンサーだけでなく、ボリショイ、パリ・オペラ座のソリストも参加します。

「ジゼル」、「眠れる森の美女」、「白鳥の湖」、「ラ・バヤデール」が上演されますが、このうちのいくつかの作品にも、パリ・オペラ座のダンサーがゲスト出演するそうです。(まだ誰なのかは発表されていません)

マリインスキー国際フェスティバルの最後を締めくくるのは4月10日のガラ公演です。今年2月にパリ・オペラ座で初演される、バンジャマン・ミルピエ振付の「Appassionata」(マリインスキー・バレエとの共同制作)が上演され、アマンディーヌ・アルビッソンとエルヴェ・モローが、マリインスキー・バレエのダンサーたちともに出演する予定です。なお、この「Appassionata」は、ガルニエでも、5月にオペラ座ダンサーとマリインスキーのダンサーのミックスされたキャストで上演されます。


ちなみに、先日の来日公演では「ロミオとジュリエット」で、負傷したシクリャーロフの代わりにロミオ役を見事に務め、さらに「ロミオとジュリエット」の吟遊詩人役や、「白鳥の湖」のパ・ド・トロワなどで活躍したフィリップ・スチョーピンがこのたびファースト・ソリストに昇進しました。
http://www.mariinsky.ru/en/company/ballet/troupe/

身長は高くないものの容姿に恵まれ、正確な技術、端正な踊りを見せられるスチョーピンは、正統派マリインスキーの貴重な存在です。

2016/01/07

マッツ・エックの引退ツアー、そして引退後の作品封印/追記

シルヴィ・ギエムのさよならツアーLife in Progressで、彼女が踊ったマッツ・エック振付「Bye」に涙した方は多かったと思います。

数々の傑作を生みだしてきたマッツ・エック。そのエックが、70歳になったのを機に、振付家としての活動に終止符を打ち、それと同時に彼のすべての作品の上演権を各カンパニーから引き揚げ、封印することも宣言しました。この決断は2年前に下したそうです。

フィガロ紙の記事(フランス語)
http://www.lefigaro.fr/musique/2016/01/05/03006-20160105ARTFIG00175-mats-ek-le-choc-des-adieux.php

パリ・マッチの記事(フランス語)フィリップ・ノワゼット氏によるインタビュー。
http://www.parismatch.com/Culture/Spectacles/Chroregraphie-La-derniere-danse-de-Mats-Ek-890115

インタビューにはバイクに乗って颯爽と現れるなど若々しいエックですが、「50年間も踊ってきて、周りに引退しろと言われる前に辞めることを決断した。人生は作品よりも長い」と語っていました。

エックは、「From Black to Blue」と題したツアーをパリのシャンゼリゼ劇場で1月6日よりスタートさせました。「She Was Black」はドレスデン・バレエによって、「Solo for Two」はリヨン・オペラ座バレエのDorothée Delabieと、スウェーデン王立バレエのOscar Salomonssonによって踊られます(シルヴィ・ギエムのために振付けられた「スモーク」のリメイク)。そして新作「Axe」は彼の長年のミューズ、アナ・ラグーナと Yvan Auzelyが踊ります。60代のダンサーふたりによる、自分自身の中に閉ざされ、相手に心を閉ざしたカップルを描いた愛と哀しみに満ちた作品だそうです。

作品を封印する理由として、エックは自分が完璧主義者なので、自分が振付指導にかかわっていない形での上演は認められられない、と語っています。今回のツアーは、「ジゼル」など一つの代表作を上演するのではなく、様々な年代に初演された作品を上演し、最後に、新作で締めくくりたい、それも30年間彼にインスピレーションを与えつづけたダンサーたちによる上演で、とのことです。


自分が振付指導にかかわっていない作品の上演を許したくないという振付家の気持ちはわかりますが、彼の素晴らしい作品が観られなくなるのは本当に残念です。上記インタビュアーも語っていますが、ダンス界にとっては大きな損失です。

東京バレエ団とシルヴィ・ギエムによる「カルメン」、ギエムの「Bye」、オペラ座の「アパルトマン」、昨年の横浜バレエフェスティバルで一部上演された「眠れる森の美女」など、実際にライブで観られた作品は少なかったのですが、貴重な体験でした。

エックの作品はいくつかDVD化されているので、これらを通して彼の世界に触れるしかなくなります。

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追記:
スウェーデン王立バレエの児玉北斗さんに教えていただいたことによりますと、まだ作品上演の契約が残っている作品については、すぐに封印されるわけではないとのことです。

スウェーデン王立バレエでは、木田真理子さんにブノワ賞をもたらした「ジュリエットとロミオ」を、3月にストックホルムで、6月にワシントンDCとオレンジカウンティで上演するとのことです。

ケネディセンターでの上演
http://www.kennedy-center.org/calendar/event/BQBSH


さらに追記
New York Timesに新しい記事が出ました。
Mats Ek, the Swedish Choreographer, Says His Goodbye Isn’t Quite a Farewell

この記事のインタビューでエックが語ったことによれば、これから2年間は公演を行わず、作品の権利を売ることもない。これは、何も予定がないという状態がどんなものなのか経験してみたいのでそうしたとのことです。「この2年が経った後で、舞台芸術の世界に戻ってきたいと思えばそうするし、そう思えなかったら辞める」と考えているそうです。

また、ダンスカンパニーから彼の作品を引き揚げるという決断は最終的なものではないと加えています。今までは世界中で上演される自分の作品をすべて見ようとしていたので、完全な休息がしたいとのことです。

上記スウェーデン王立バレエで「ジュリエットとロミオ」が上演されるほか、エック自身も、今後数か月の間に一度、ストックホルムでアナ・ラグーナと2つのパ・ド・ドゥを踊る予定があるそうです。

2015年のバレエ界の出来事

まだ自分の個人的な鑑賞記録を振り返る余裕がないのですが、2015年のバレエ界の出来事についてちょっと振り返ってみようと思います。

フランスのバレエ・サイトDanses Avec la Plumeでの情報をベースに、自分の収集した情報や考察を加えて行ければと思います。
http://www.dansesaveclaplume.com/en-coulisse/2015-bilan-dune-annee-danse/


2015年のバレエ界の2大ニュースといえば、マイヤ・プリセツカヤの逝去とシルヴィ・ギエムの引退だと思われます。どんな出来事があったか、振り返ってみましょう。

<引退>

最大のニュースの一つが、シルヴィ・ギエムの引退でした。50歳を区切りとして、大晦日に東急ジルベスタ―コンサートで最後のボレロを踊った姿は皆さんの記憶に新しいことでしょう。今年は世界文化賞も受賞し、そして世界中で引退ツアー「Life in Progress」を行い、新作中心の公演で最後まで前進し続ける姿を見せてくれました。バレリーナの新しい地平を切り開いた、革命的な存在でした。

また、大物の引退としては、5月18日に「マノン」でパリ・オペラ座に別れを告げたオーレリー・デュポンのアデューがありました。オペラ座の黄金時代を象徴する存在として、そしてその美しさで人気を博した彼女、最後の公演はテレビと映画館での生中継が行われるほどでした。オペラ座のダンサーを引退した後は、メートル・ド・バレエに就任する予定でしたが、結局就任はしませんでした。オペラ座公演のための振付指導などは、作品ごとに行っているようです。また、ダンサーとしての活動も続けるとのことです。来年は、バンジャマン・ペッシュが「イン・ザ・ナイト」で引退することが決まっています。

エトワールではありませんが、パリ・オペラ座のプルミエ・ダンスーズとして活躍し、「くるみ割り人形」ではクララ役で主演、また「水晶宮」でプリンシパルを踊ったりして、オペラ座らしいエレガンスの持ち主として定評のあったノルウェン・ダニエルは、「天井桟敷の人々」でオペラ座に別れを告げました。スジェで終わってしまったものの、端正な容姿で日本でも人気があったヤン・サイズは、大晦日の「ラ・バヤデール」のインドの踊りが最後の舞台となりました。サイズは、オペラ座学校の教師に就任するそうです。

ロイヤル・バレエでは、ゲスト・プリンシパルとして高い人気を誇り、ABT、ボリショイなど世界中のバレエ団でも活躍したカルロス・アコスタが、自身の振付けた「カルメン」で11月12日にロイヤル・バレエを去りました。この公演は、映画館中継が行われ、日本でも、1月23日より映画館で上映されます。アコスタは、1月8日より、ロイヤル・オペラハウスのリンバリー・スタジオでウィル・タケット振付の「エリザベス」をゼナイダ・ヤノウスキーと踊ります。5月には、「A Classical Farewell」と題した、クラシックバレエに別れを告げるツアーを英国内で行います。

また、ロイヤル・バレエの英国人プリンシパルだったルパート・ペネファーザーが、夏のシーズンオフに突然の退団を発表しました。まだ若いものの、怪我に悩まされてあまり活躍できずに残念でした。愛らしい役柄が得意で、K-Balletにも頻繁にゲスト出演したロベルタ・マルケスは、12月に退団が発表されました。来シーズンもロイヤル・バレエにゲスト出演し、正式なさよなら公演も行われる予定です。

ハンブルグ・バレエのプリンシパルとして活躍し、妖艶な持ち味のオットー・ブベニチェクは、6月に「ニジンスキー・ガラ」を最後に退団しました。彼の双子の兄弟で振付家としても活躍しているイリ・ブベニチェクは、11月に「マノン」のデ・グリュー役でドレスデン・バレエを退団しました。イリ・ブベニチェクは最近振付家として引っ張りだこで、今年のウィーン・フィルのニューイヤーコンサートのバレエの振付を行い、また彼の作品"L'Heure Bleue"は1月30、31日に東京シティ・バレエで上演されます。兄弟でのガラ公演などの活動も続けるとのことです。彼の同僚で「ブベニチェク・ニューイヤーガラ」で来日した、パリ・オペラ座バレエ出身のラファエル・クムズ・マルケも、6月にデヴィッド・ドーソン振付「ジゼル」で引退しました。

世代交代が進むABTでは、6月にジュリー・ケント(「ロミオとジュリエット」)、パロマ・ヘレーラ(「ジゼル」) シオマラ・レイエス(「ジゼル」)の3人の女性プリンシパルが引退しました。ジュリー・ケントはABTのスタジオ・カンパニーとジャクリーン・ケネディ・オナシススクールの教師となり、パロマ・ヘレーラは母国アルゼンチンで「ロミオとジュリエット」を踊っての盛大な引退公演を行いました。シオマラ・レイエスはバレエ・フェスティバルのディレクターを務めるとともに、ダンサーとしての活動は続けています。

アメリカのバレエ団では、NYCBのプリンシパルであったジェニー・ソモジ、ボストン・バレエのプリンシパルでゼナイダ・ヤノウスキーの兄でもあるユーリ・ヤノウスキー(昨年6月の「スター・ガラ」でも来日)、そしてパシフィック・ノースウェスト・バレエのカーラ・ケルブスが引退しました。

バレエカンパニーとしては、トリシャ・ブラウン・カンパニー、人気振付家エドゥアール・ロック率いるラララ・ヒューマンステップス、そしてセダ―レイク・コンテンポラリー・バレエが解散しました。


<続いてはおめでたい話、昇進です>

数ある昇進劇でも、やはり最も華やかなのはパリ・オペラ座バレエでのエトワールへの昇進です。素晴らしい才能を持っていながらなかなか昇進できなかったローラ・エケが、ついに3月23日に「白鳥の湖」でエトワールとなりました。

ロシアでは、マリインスキー・バレエにおいて、ティムール・アスケロフ、キミン・キム、オクサーナ・スコリクの3人がプリンシパルに昇進。超絶技巧の持ち主であるキミン・キムは、パリ・オペラ座バレエ「ラ・バヤデール」へのゲスト出演も大好評でした。オクサーナ・スコリクは、大変長くて美しい脚の持ち主で、来日公演の「白鳥の湖」オデット、オディールも評判が良かったようです。

ボリショイ・バレエでは、ザハロワのパートナーもよく務めるデニス・ロヂキン、愛らしい容姿で抒情的な役柄を持ち味とするアンナ・ニクーリナ、そしてテクニシャンのアナスタシア・スタシュケヴィッチがプリンシパルに昇進しました。

ウィーン国立バレエでは、7月の沖縄公演の「こうもり」でルグリ相手に好演したケテヴァン・パパヴァがプリンシパルになりました。グルジア出身の美しいダンサーです。バーミンガムロイヤル・バレエではマティアス・ディングマンがプリンシパルに。

ABTでは、フィリピン系で、遅咲きながらも美しいステラ・アブレラ、メディアへの露出も多く大センセーションを巻き起こしているミスティ・コープランドがプリンシパルに昇進しました。コープランドは、ABT初のアフリカ系アメリカ人女性プリンシパルです。

ナショナル・バレエ・オブ・カナダでは、江部直哉さんと、エレーナ・ロブサノワがプリンシパルに。江部さんはまだ若く、日本人男性では久しぶりのメジャーカンパニーでのプリンシパルです。「ジゼル」のアルブレヒトなど、貴公子役も似合い技術にも優れています。

昨年、パートナーの加治屋百合子さんとABTからヒューストン・バレエに移籍したジャレッド・マシューズ。加治屋さんは一昨年プリンシパルになりましたが、ジャレッドも「じゃじゃ馬馴らし」でプリンシパルに。昨年夏の、堀内元さんによる「Ballet to the Future」では、二人で素晴らしい「ドン・キホーテ」を見せてくれました。

また、オーストラリア・バレエでは、近藤亜香さんがプリンシパルに。男性ダンサーほど珍しくはないものの、このような大きなカンパニーで日本人女性がプリンシパルに昇進することは嬉しいことです。「ワールド・バレエ・デー」では、近藤さんはパートナーのチェン・グォンウーと「眠れる森の美女」の青い鳥パ・ド・ドゥと踊り、見事な技術を見せてくれました。


<トップの交代>
2014年に起きたボリショイ・バレエのセルゲイ・フィーリン襲撃事件。映画「ボリショイ・バビロン」が製作されたほどの衝撃的な出来事ですが、フィーリンの契約が更新されないことが明らかになり、後任が誰となるかは注目の的でした。結局、現在ミラノ・スカラ座の芸術監督を務めているマハール・ワジーエフ(元マリインスキー・バレエ芸術監督)が就任することになりました。スカラ座でのラトマンスキーらによる復元作品の成功などが評価されたようですが、ボリショイ劇場は魑魅魍魎蠢く世界なので、どうなることでしょう。

キエフ・バレエの芸術監督を務めていたものの、解雇されてしまったデニス・マトヴィエンコ。ボリショイやマリインスキーなどにゲスト出演していましたが、ノヴォシビルスク劇場バレエの芸術監督に就任することが発表されました。ノヴォシビルスク劇場の芸術監督はイーゴリ・ゼレンスキーですが、ゼレンスキーはモスクワ音楽劇場バレエに加え、ミュンヘン・バレエの芸術監督にも就任するなど3足の草鞋状態となってしまったので、そのうちの一つの職務がマトヴィエンコに降ってきたわけです。

日本でも「PLUTO」をクリエイションするなど、世界中で大活躍している振付家のシディ・ラルビ・シェルカウイ。彼は、ロイヤル・バレエ・オブ・フランダースの芸術監督に就任することになりました。ロイヤル・バレエ・オブ・フランダースは、かつては、フォーサイスカンパニー出身で彼の作品の振付指導に定評のあるキャサリン・ベネッツが芸術監督でした(東京バレエ団で初演された、「イン・ザ・ミドル・サムホワット・エレヴェイテッド」の振付指導も担当)。彼女が解雇されてしまった後、カンパニーはやや迷走状態でした。バレエ的な作品はほとんど作ってこなかったシェルカウイが、カンパニーをどのような方向に導いていくのか、注目されます。

パリ・オペラ座バレエのエトワールとして活躍してきたエレオノラ・アバニャートは、ローマ歌劇場バレエの芸術監督に就任しました。引き続きオペラ座でも踊っており、先日のピナ・バウシュ「春の祭典」にも出演していましたが、二足の草鞋を履いていることになります。ローマ歌劇場バレエは、他のイタリアの劇場同様、深刻な財政問題に苦しんでいますが、イタリアではセレブとして著名な彼女の手腕に期待したいところです。

また、日本では、東京バレエ団の芸術監督に、プリンシパルの齊藤友佳里さんが就任しました。ロシアでバレエ教師の資格を持ち大学院でも学んだ彼女は、早速、ブルメイステル版の「白鳥の湖」をレパートリーに入れることを発表し、2月に初演が実現します。


<移籍>
最近はダンサーがキャリアアップなどでカンパニーを移籍することが普通になってきました。

オランダ国立バレエからは、イザック・エルナンデスがイングリッシュ・ナショナル・バレエに、そしてユルギータ・ドロニナがナショナル・バレエ・オブ・カナダに移籍しました。イザック・エルナンデスは、ゲストダンサーとしても最近は大きな活躍を見せ、パリ・オペラ座バレエの「ラ・バヤデール」ではソロル役として高い評価を得ました。マリインスキー・バレエへの「ドン・キホーテ」でのゲスト出演も果たしました。ユルギータ・ドロニナは、ナショナル・バレエ・オブ・カナダの「冬物語」で主演して大評判となったほか、母国リトアニアで主催した、ワディム・ムンタギロフ、ジョシュア・オファルト、マリア・アイシュヴァルト、アシュリー・ボーダー、ウラディスラフ・ラントラートフなど世界的なスターを大勢招いたガラを成功させました。

ダンサーの流出が相次ぐシュツットガルト・バレエ。プリンシパルのアレクサンダー・ジョーンズはチューリッヒ・バレエに移籍しています。また、ソリストのラケーレ・ブリアッシはボストン・バレエに移籍しました。

パリ・オペラ座で何回も主演しながら、プルミエールにも昇進できなかったマチルド・フルステは、サバティカルを取って期間限定で移籍したサンフランシスコ・バレエで大活躍。2年目が終わった昨年、オペラ座には戻らずサンフランシスコ・バレエに完全移籍すると発表しました。期間限定移籍といえば、ロイヤル・バレエのファースト・ソリスト、メリッサ・ハミルトンは1年間、ドレスデン・バレエにプリンシパルとして移籍し、イリ・ブベニチェクの引退公演となった「マノン」でマノン役を演じました。

サンフランシスコ・バレエの看板プリンシパルの一人で、各地のガラ公演で活躍しているマリア・コチェトコワは、サンフランシスコ・バレエに籍を残しながらも、ABTにも入団しました。もう一人、デンマークロイヤル・バレエのプリンシパルで、世界バレエフェスティバルにも出演したアルバン・レンドルフ。彼も、デンマークに籍を残しながらABTにプリンシパルとして入団しました。ボストン・バレエのプリンシパルで、6月の「スター・ガラ」で倉永美沙さんの相手役を務めたジェフリー・シリオは、ソリストとしてABTに入団しました。


<訃報>
シルヴィ・ギエムと共に、20世紀を代表する偉大なバレリーナ、マイヤ・プリセツカヤが5月2日に亡くなりました。89歳でした。彼女の90歳の誕生日となるはずだった11月には、盛大な追悼公演が行われ、また今年の2月にも、マリインスキー・バレエがニューヨークのBAMで、ロパートキナ、ヴィシニョーワを中心とした彼女へのオマージュ公演を行います。

衝撃的だったのが、ニュー・アドベンチャーズの「白鳥の湖」で日本でもおなじみだったジョナサン・オリヴィエの交通事故死。主演していた「ザ・カーマン」の公演が行われる8月9日の朝に亡くなってしまいました。38歳の若さでした。サドラーズ・ウェルズ劇場では、マルセロ・ゴメスや、ニューアドベンチャーズのダンサーなどゆかりのダンサーたちが出演しての彼を追悼する公演「Mr. Wonderful」が1月18日に行われ、収益は彼の幼い二人の息子の教育費にあてられるとのことです。
http://new-adventures.net/mr-wonderful-a-celebration-of-jonathan-olliviers-life-in-dance/news/full-programme-announce-for-mr-wonderful

NYCBの元プリンシパルで、同バレエ団の教師を務めていたアルバート・エヴァンスも、46歳という若さで、6月22日に亡くなりました。珍しいアフリカ系アメリカ人のプリンシパルで美しい肉体の持ち主でした。ロイヤル・バレエの元プリンシパルで、ヌレエフのパートナーに若くして抜擢されたブライオニー・ブリンドも12月7日に55歳で、またABTの元プリンシパルで、「ロミオとジュリエット」のマキューシオ役が当たり役だったヨハン・レンヴァルも8月27日に55歳で亡くなっています。

ロイヤル・バレエでプリンシパル引退後も、キャラクテールとして長年活躍してきたデヴィッド・ドリューが10月16日に77歳で亡くなりました。ロイヤル・バレエの「ラ・バヤデール」「白鳥の湖」の衣装をデザインし、さらにK-Balletのほとんどの全幕作品の美術・衣装を手掛けてきたヨランダ・ソナベントは11月9日に80歳で亡くなりました。


日本では、早くから海外に出て活躍したのち、スターダンサーズバレエ団の設立にも関わり、のちには青山ダンシング・スクエアを主宰した小川亜矢子さんが1月7日に81歳で亡くなりました。比較的最近まで活躍されていました。戦前の日本のバレエ界の草創期から活躍し、谷桃子バレエ団を設立した谷桃子さんは、4月26日に94歳で亡くなりました。舞踏界の巨人として、「大駱駝艦」を立ち上げ、国際的に活躍してきた室伏鴻さんは、ブラジルのサンパウロなどでの公演を終えてドイツに向かう途中の乗り継ぎ地のメキシコで心筋梗塞に倒れ、6月18日に68歳で亡くなりました。

10月3日には、バレエ評論家の藤井修治さんが82歳で亡くなりました。 NHKのディレクターとして数多くのクラシック音楽や洋舞の番組を手掛けたのち、評論家となります。フリーで番組作りのかたわら、新聞や雑誌などに記事を書きつつ、芸術祭の審査委員や芸術選奨の選考委員をはじめ、舞踊関係の賞の選考委員やコンクールの審査員をつとめていました。ここに彼の素晴らしい連載コラムを読むことができます。


<新作>
ボリショイ・バレエでは、ユーリ・ポソホフ振付の「現代の英雄」、ロイヤル・バレエではウェイン・マクレガー振付の「ウルフ・ワークス」、パリ・オペラ座バレエではジョン・ノイマイヤー振付の「大地の歌」そしてABTではラトマンスキー振付の「眠れる森の美女」(ミラノ・スカラ座と共同制作)といった全幕の新作が振付けられました。中でも、マクレガーの「ウルフ・ワークス」では、アレッサンドラ・フェリが全公演で主演するなど、鮮やかな復活劇を見せ、作品の評価も非常に高くて人気を呼びました。


今年は、バレエ界において素晴らしい出来事がたくさん起きますように。

2016/01/02

年初のテレビ番組放映情報/追記

あらためまして、あけましておめでとうございます。皆様にとって幸せな一年になりますように。そして素晴らしい舞台との出会いがありますように。

年末、トロントに続きパリ、そして台北と旅行に行ってバタバタしてしまい、さらに右腕に原因不明のしびれがおきてしまって手が使いにくくなり、少しブログの更新ペースがゆっくりとなってしまいました。お正月休みが明けたら病院に行かなくてはなりません。(年賀状はまだこれからです)去年の舞台についても、まだまだ全然振り返ることができないでいます。


さて、お正月といえば、元旦のウィーンフィル・ニューイヤーコンサート。今年はイリ・ブベニチェク振付で、衣装もとても素敵だったし、物語仕立てで楽しめましたね。過去のバレエシーンの紹介として、ルグリやマラーホフが踊る姿を少し観られたのも良かったです。見逃した方には、再放送があります。
http://www4.nhk.or.jp/P2992/

BSプレミアムで1月11日(月・祝) 午前0:40~です。日曜日の深夜ですのでご注意くださいね。


1月3日には、恒例のNHKニューイヤーオペラコンサート。今年は、中村恩恵さん、首藤康之さんが出演して踊ります。鈴木優人さん演奏のオルガンで中村さん振付の新作デュエットを踊るとのことです。

1月3日(日) 午後7時~9時[Eテレ・FM](生放送)
https://pid.nhk.or.jp/event/PPG0268861/index.html


1月4日(月)0:00~4:52(3日(日)深夜)(アンコール放送)NHK BS プレミアム「プレミアムステージ」
(二本立て後半の放送となります。後半の放送時間は3:17~4:52)
「かがみのかなたはたなかのなかに」
作・演出:長塚圭史
振付: 近藤良平
出演: 近藤良平 首藤康之 長塚圭史 松たか子
http://www.nntt.jac.go.jp/play/news/detail/151221_007912.html


1月4日(月)には、「プロフェッショナル 仕事の流儀」の放送10周年スペシャルが放映されます。これまで出演したプロフェッショナルたちの「その後の挑戦」を新たに取材するということで、2007年4月24日放送 第49回登場と、2010年10月25日放送 スペシャルに登場した吉田都さんも出演します。

1月4日(月)夜22:00~48 NHK総合 
http://www.nhk.or.jp/professional/schedule/index.html#20160104


1月4日(月)の「国際報道」では、【新日本人①】 映画化された伝説のバレリーナ・西野麻衣子という特集があります。
この週の「ワールド・ラウンジ」は、様々な分野で世界をリードする「新日本人」をシリーズで伝える。第1回目は、ノルウェー国立バレエ団所属の日本人ダンサー・西野麻衣子さん(35)。同バレエ団の最高位であるプリンシパルを出産後も務める世界屈指のバレリーナだ。今年、西野さんのドキュメンタリー映画「Maiko ふたたびの白鳥」が公開され、世界的にも注目を集めている。出産を経て衰える身体を鍛えながら、世界と向き合う西野さんの原動力に迫る。


1月4日(月)夜22:00~50 NHK BS1 
http://www6.nhk.or.jp/kokusaihoudou/

以前もご紹介しましたが、1月 9日(土)は、WOWOWがバレエ特集を行います。
ロシア名門マリインスキー・バレエの世界> 

1月 9日(土)15:00 〜WOWOWライブ
<ロシア名門マリインスキー・バレエの世界>
「ラ・バヤデール」 (テリョーシキナ、シクリャーロフ主演)

1月 9日(土)17:15 〜
WOWOWライブ
<ロシア名門マリインスキー・バレエの世界>
「ロミオとジュリエット」 (ヴィシニョーワ、シクリャーロフ主演)

1月 9日(土)20:00 〜
WOWOWライブ
映画「ビリー・エリオット ミュージカルライブ/リトル・ダンサー」(2014年・英)

1月 9日(土)23:00 〜
WOWOWライブ
<ノンフィクションW>
祖国へ捧げるバレエ
“世界のプリマ”ニーナ・アナニアシヴィリの道
(再放送)


1月9日(土)21:00~
ドラマ「刑事バレリーノ」
「Hey! Say! JUMP」中島裕翔主演、堤幸彦監督のスペシャルドラマ。幼少時にバレリーノ(男性のバレエダンサー)を目指し将来を嘱望されていた経歴を持つ新人刑事が主人公。辻本知彦がバレエ指導を行っている。
http://www.ntv.co.jp/ballerino/


1月27日(水)22:25-22:50 NHK Eテレ
「ダンス 振り付け師が明かす創作の秘密」ウェイン・マクレガー、吉田都 
http://www.nhk.or.jp/superpresentation/topics/151216.html


1月30日(土)13:00 〜
WOWOWプライム
<ノンフィクションW>
ワガノワ名門バレエ学校の秘密〜くるみ割り人形への110日〜

<追記>
本当に残念ながら、1月31日のマリインスキー・バレエ「アンナ・カレーニナ」、サンクトペテルブルク白夜祭は、ブーレーズ追悼番組と差し替えになってしまいました。早いうちの放映を期待します。


1月31日(日)午前0:20~4:20(日曜深夜、月曜早朝)
プレミアムシアター
マリインスキー・バレエ「アンナ・カレーニナ」
ロパートキナ、エルマコフ主演

サンクトペテルブルク白夜祭2008
マリインスキー・バレエ「火の鳥」「春の祭典」「結婚」
ゲルギエフ指揮

http://www.nhk.or.jp/bs/lineup/pdf/bsp_thismonth.pdf

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12/30 シルヴィ・ギエム ファイナル

2015年12月30日(水) 神奈川県民ホール

http://www.nbs.or.jp/stages/2015/guillem_final/

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ついに迎えてしまったシルヴィ・ギエムのファイナル公演。大晦日のジルベスタ―コンサートでの最後の「ボレロ」があるとはいえ、彼女の公演としては、これが最後となった。

『イン・ザ・ミドル・サムホワット・エレヴェイテッド』『ドリーム・タイム』は、「ライフ・イン・プログレス」公演で同じキャストを観ている。

作品を何回も踊ることで、確実にダンサーたちの習熟度は上がっているものの、『イン・ザ・ミドル・サムホワット・エレヴェイテッド』は、やはりまだ大胆さが足りないように感じられた。それぞれのダンサーは大変優秀で上手いのだが、アンサンブルになると迫力が薄い。その中で、やはり異彩を放っているのが秋元さんで、音の取り方も的確だし、スピード感と不敵さもあって際立って魅力的だった。長身というわけではないのだが、腕が長くて身体に厚みがあるので、見栄えがする。

『ドリーム・タイム』は東洋的な美しさがこのバレエ団、特に吉岡さん、木村さんにはとても良くマッチしていたし、他の3人も健闘。今後カンパニーのレパートリーとして、若いダンサーたちにも踊り継いでほしい作品。

『TWO』
舞台に近い座席から観ると、闇が思ったほど漆黒ではなくて見えすぎるところがあるため、「TWO」の視覚効果もちょっと減ってしまったところがあった。少し離れて見たほうがきれいだっただろう。
初めてこの作品を踊るのを見てから時間が経っているのだが、彼女の変化というのを感じた。表現が、ナイフのような鋭さが息をひそめ、精神性の高さが伝わってきて、高速で動いている時ですら、まるで瞑想しているかのように感じられ、祈りにも似ている踊りとなっていた。もちろん身体能力の衰えは微塵も感じられないし、あの圧倒的に高い足の甲、まっすぐ天を突き刺すかのような6時のポーズも鮮烈だ。光の魔法で腕や脚の動きの残像が美しい軌跡を残す作品なのだが、今回の光の軌跡、とても儚いのだけど魂の光が浮かんでは消えていくようで、感慨深かった。

『ボレロ』
私は実は割とバレエ鑑賞歴が短くて最初にギエムのボレロを観たのってバレンボイム、CSOとの共演が初めてだと思う。2003年のこと。『ボレロ』って、シンプルに見えて、非常に難しいし奥深い作品なのだ。踊っている人の内面を恐ろしいまでに透けて見せる作品なので、いくら完璧な技術で美しく踊っても、語るべき中身のない人の『ボレロ』は恐ろしく空虚だ。それは、海外で、とある人気ダンサーの踊る『ボレロ』を見て実感した。当時のギエムも、もちろん形は美しかったけれども、心に残るものではなかった。

それから彼女の『ボレロ』はかなり変容を遂げていて、2005年の時は民衆を率いる自由の女神のような、周りを鼓舞する強いイメージだった。震災後のHOPE JAPANの時は祈りにも似た、優しくて勇気を与えてくれる踊りで、震災で傷ついた日本の人々に、私がついているから大丈夫、生きていていいのよ、希望を持っていこうというメッセージを内包していた。

今回は、もっと等身大というか、観客の方に降りてきたシルヴィだった。凄いのはもちろん凄いし、女王の風格も相変わらずなのだが、ひとりの普通の女性らしさがある。リズムのダンサー一人一人に、強い視線を送っていて、その強い視線が、そのダンサーの後ろで舞台を観ている自分にまで届いていて、メッセージを伝えようとしていたのがありありと見えた。いろんなことを若いダンサーたちに伝えていこうとしてるんだな、と思うとものすごく胸が熱くなった。そしてリズムのダンサーに語りかけていたように、観客の一人一人にも語りかけていて、同じ目線の高さで話しているようだった。「私が踊るのはもう最後だけど、後は頼みました、あなたたちに任せるので大丈夫よ」と慈愛に満ちた表情で。観客への惜しみない愛情も感じられて、それを思うとあふれる涙を抑えられなくなった。彼女は100年に一度の天才で大スターで女神様だけど、同時に一人の人間でもあり、同じ高さで接してくれる、私たちの間のスターなのだ。

そのシルヴィの姿は、『Bye』の中に登場するシルヴィとオーバーラップした。普通の年齢相応の女性だけど、靴とカーディガン脱ぐと踊りは凄くって奔放で美しくて強くて、でも最後にはまた靴を履いてカーディガン着て、扉の向こうの市井の人々の中に紛れて消えていく。それからも彼女の人生は続いていくけれども。

『ボレロ』が終わってカーテンコール、満ち足りた表情のシルヴィの笑顔が眩しいけど、涙も光っていた。そして、一度緞帳が下りると、「Bye」にも使われたベートーヴェンのピアノソナタが流れ、ホリゾントには、今までのシルヴィの踊った作品、バレエ学校時代の「二羽の鳩」から始まり、ヌレエフと踊った「白鳥の湖」、「マノン」、「ルナ」、「シシィ」、「ラシーヌ・キュービック」、「バクティ」、「眠れる森の美女」のオーロラ、オディール、「田園の出来事」、「マルグリットとアルマン」、ル=リッシュとの「椿姫」、「聖なる怪物たち」、「エオンナガタ」、エックの「カルメン」、そして「Bye」の写真が流れて行った。最後は、愛犬と戯れるシルヴィの素敵な笑顔の写真。入り口で来場者に配られたペンライトが客席で振られ、映像に見入っているギエムの後ろ姿は、体を震わせて泣いているかのようだった。客席から数えきれない数の花束が渡され、その花束は『ボレロ』のお盆の前に積み上げられる。東京バレエ団のメンバーが一人一人花を捧げに行った。このあたりの演出は、非常にうまくて、シルヴィにとっても、観客にとっても、とても心に残るフェアウェルとなった。

4演目、あっという間に終わってしまった。終わらないでほしいと思ったけど、すべてのものにはいつか終わりが来るもの。まだ最高の踊りを見せることができるうちに引退をすることを決めたシルヴィの決断は、私たちにとっては悲しいことだけど、彼女にとっては幸せなものだったと思う。自分で辞める時期を決めることができて、思い通りの幕引きをできたのだから。私は彼女の熱心なファンではなかったけれども、やはり芸術に対する真摯な姿勢、常に前進していく姿、ファンを大事にする様子、誠実さ、そしてもちろん50歳まで完璧な踊りを見せることができる高いプロ意識と強い意志。天才の影には、人には見せないけれどもとてつもない努力と芸術への献身があったことだろう。これほどの凄い女性ダンサーは100人に一人だったと言っても過言ではないし、その鮮烈な生き方は心の底から尊敬する。舞台にも映し出されていたけれども、これからの彼女の人生も素晴らしいものであることを祈らずにはいられない。きっと凄いことを成し遂げるのではないかと思う。

そしてこんなにも素晴らしいアーティストと同じ時代に生きることができたのは、自分も幸せだったのだと思う。最後の踊りも見届けることができたことも幸せだった。

(ところで、休憩時間にホワイエで、少しお太りになったニコライ・ツィスカリーゼを目撃。彼はシルヴィ・ギエムの大ファンらしい。まもなくワガノワ・アカデミーの来日公演が行われるので一足先に来ていたのだろうか)


『イン・ザ・ミドル・サムホワット・エレヴェイテッド』−東京バレエ団初演−
[振付]ウィリアム・フォーサイス
[音楽]トム・ウィレムス(レスリー・スタックとの共同制作)
[演出・照明・衣裳]ウィリアム・フォーサイス
[振付指導]キャサリン・ベネッツ
川島麻実子、渡辺理恵、秋元康臣
河合眞里、崔美実、高橋慈生、伝田陽美、松野乃知、吉川留衣

『TWO』
[振付]ラッセル・マリファント [音楽]アンディ・カウトン
[照明デザイン]マイケル・ハルズ
シルヴィ・ギエム

『ドリーム・タイム』
[振付・演出 ]イリ・キリアン [振付助手]エルケ・シェパース
[音楽]武満徹 オーケストラのための「夢の時」(1981)
[装置デザイン・衣裳デザイン]ジョン・F・マクファーレン
[照明デザイン]イリ・キリアン(コンセプト)、ヨープ・カボルト(製作)
[技術監督・装置照明改訂]ケース・チェッベス
吉岡美佳、乾友子、小川ふみ
木村和夫、梅澤紘貴

『ボレロ』
[振付]モーリス・ベジャール [音楽]モーリス・ラヴェル
シルヴィ・ギエム
森川茉央、杉山優一、永田雄大、岸本秀雄

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