マリインスキー・バレエ2015 来日記者会見
マリインスキー・バレエの来日記者会見が11月25日に、文京シビックホールにて行われました。
http://www.japanarts.co.jp/blog/blog.php?id=1661
参加したのは、舞踊監督ユーリー・ファテーエフ、 ウリヤーナ・ロパートキナ、エカテリーナ・コンダウーロワ、クリスティーナ・シャプラン、マリーヤ・シリンキナ、ウラジミール・シクリャローフ、ティムール・アスケロフ、キミン・キム、ザンダー・パリッシュです。(リハーサルのためにロパートキナは途中退出し、入れ替わりにコンダウーロワが入りました)
朝のクラスレッスンに続き、リハーサルが行われており、リハーサルが終わった人たちから順番に入ってきたという感じです。リハーサル後なだけに、皆さん比較的ラフな服装。
ファテーエフ
「今回は日本で愛されている『白鳥の湖』や『ロミオとジュリエット』に加えて、バランシンの『ジュエルズ』、そしてマリインスキー・バレエとしては初めて日本で上演する『愛の伝説』の公演を行います。地方公演には出演できなかったテリョーシキナも、遅れてですが今日来日し、予定された公演を以降はすべて踊ります。また、コンダウーロワも怪我をしていたのが治り、当初予定されていた演目を踊ることになりました」
「ナタリア・マカロワが11月21日に75歳の誕生日を迎えました。記念すべきお祝いを日本で行ってほしい、とわざわざ来日することになりました。12月2日の『ロミオとジュリエット』公演で祝います」
ウリヤーナ・ロパートキナ
「日本で踊ることをとても嬉しく思います。日本では伸び伸び踊ることができます。特に今回初めて持ってくる『愛の伝説は最も好きな作品で、情熱的な女性を演じます。主人公が3人いる作品なので、3人で作っていきます。一人ではなくて、3人でやり取りできることもうれしいです。日本の皆さんの心に届くことを心から願っています」
クリスティーナ・シャプラン
「ワガノワアカデミーの『くるみ割り人形』で来日をしたことはありますが小さかったのであまり覚えていません。今回は初来日ではないものの、フレッシュな気持ちです。日本の文化は、いろんな色が見えて、とても惹かれます」
マリーヤ・シリンキナ
「来日は3回目ですが、『ロミオとジュリエット』『愛の伝説』と大きな演目の主役を演じることができるのは初めてです。日本の観客はバレエを愛しているし目も肥えています。観客の愛情を感じるので踊りがいがあります」
エカテリーナ・コンダウーロワ
「怪我から復帰して、今回がカムバック公演になります。大切な復帰の舞台が日本というのが嬉しいです。周りの人たちのサポートを強く感じ、嬉しいプレッシャーを日々感じています」
ウラジーミル・シクリャーロフ
「ツアー演目の中に『愛の伝説』が入っているのが嬉しいです。さらに、これが東京文化会館で上演されて、自分がその公演でフェルハド役を踊ることができるのが嬉しいです。マリインスキー・バレエでは13年間踊っていますが、『愛の伝説』が外に出たのは今回が初めてなのです。私が主役の日でも、そうではない日でも、大好きな演目なのでぜひ観てくださいね」
(『愛の伝説』は37年前にボリショイ・バレエが来日公演で上演していますが、マリインスキー・バレエでの日本公演は初めて。グリゴローヴィッチが、マリインスキー・バレエのために振付けた作品)
キミン・キム
ロシア語であいさつ。「3年前にマリンスキーに入団して、ツアーで初めて訪れた国が日本でした。『ロミオとジュリエット』のマキューシオ、『白鳥の湖』のジークフリート、そして『ジュエルズ』のルビーと好きな役を踊ることができるのはうれしいです」
ティムール・アスケロフ
「来日は5度目です。日本食が大好きで文化も大好きですし、観客も大好きです。コンダウーロワ、シャプランという素晴らしいバレリーナと踊るのでぜひお越しください。今回も心をこめて、全員が力を出してハイクラスのステージにします」
ザンダー・パリッシュ
(ロシア語であいさつするようにと言われロシア語で)「日本に最後に来たのは7年前、ロイヤル・バレエ時代のおことです。日本人はとてもバレエを愛してくれています。。今回はマリインスキー・バレエのメンバーとして来日し、『白鳥の湖』『ロミオとジュリエット』を踊ることができ、感激しています」
ここで質疑応答となりました。
Q 「ここ10年くらいで他のバレエ団に移籍してしまうダンサーや、ワガノワアカデミーを卒業しても他のバレエ団には行ってしまう人が増えていますが、マリインスキー劇場には何か問題があると思われていますか?」
ファテーエフ
「バレエ芸術はロシアに限らずちょっとした危機を迎えていて、それは世界中に蔓延しています。世界中のバレエ団において、今はロシアや旧ソ連出身の人が多くなっています。過去も今も、私たちは芸術のレベルを高く保ち続けたいと思っています。マリインスキーではコール・ド・バレエを踊っていたダンサーがヨーロッパに行けば主役級になっていますが、彼らがマリインスキー劇場に残っていたらそうはいかなかったでしょう。
ワガノワの卒業生については、確かにマリインスキーに入団しない人は増えています。まだ若くて方向性が見えていないということもあります。シャプランも、数年かけてマリンスキーに戻ってきました。彼女にとってもやはり行きつくところはマリインスキー劇場、自分が成長できるところなのが年齢を重ねるとわかってきたと思います
マリインスキーは、出来あがったダンサーを買い取るということはしません。スターを自分たちで作っていくバレエ団です。パヴロワ、ヌレエフ、ニジンスキー、バリシニコフ、ウラノワなど歴史を見ていただければ、いかに素晴らしいスターを生み出してきたか、わかります。パリッシュはロイヤル・バレエではコール・ド・バレエでしたが、今や主役を踊るほど成長しました。キムは、すくすくと順調に育っていて素晴らしいです。マリインスキーでは、今日踊っている主役のさらに上を踊れなければ、主役にはなれないのです。マリインスキーの誇りとは、ここにいる全員が誇りなのです」
Q「愛の伝説」が海外で今まで上演されなかった理由、そして今回日本で上演されることになった理由を教えてください。
「『愛の伝説』は規模の大きなバレエで、『白鳥の湖』や『ロミオとジュリエット』よりも出演者が多いのです。それだけでなく、主役が4人もいます。その4人のほかに、コール・ド・バレエの果たす役割が男女とも大きい。グリゴローヴィッチの盛り込んだ主役を飾るのが重要なのです。マリインスキー・バレエは、女性のコール・ド・バレエの質の高さで知られていますが、男性のコール・ド・バレエの実力も高いのです。ジャパンアーツと話し合って、敢えて誇りを持って持ってきました」
「マリインスキー・バレエでは、主役を踊る層が厚い。どのキャストを観ても満足できると思います。今回は満を持しての公演です。日本では今回踊られませんが、『ライモンダ』も最近はアメリカやドイツの公演で上演するようになっているのは、踊ることができるダンサーが多いからです。『愛の伝説』も、日本を出発点として世界で上演していこうと思います」
Q 「今度WOWOWでマリインスキー・バレエ特集を行い、シクリャーロフが主役を務めている作品が多く放映されます。ところが最近、パリッシュが注目されていますが、シクリャーロフさんは焦っていませんか?」
シクリャーロフ
「ライバルがいることはとても大切です。アスケロフもキミンもいることはとても喜ばしいことですし、ザンダーも伸びてきたしもっと上に行くと思います。素晴らしいライバルがいることは、焦りというよりは大きな喜びです」
「マリインスキー・バレエのレパートリーはほとんど踊りました。何を踊るかというより、誰と踊るかということが大切だと思います。2人や3人で作っていくことが嬉しいですし、今回(夫人の)シリンキナと踊ることができるのも幸せです。どう表現していくのか、プロセスがとても面白いです。やってみたい演目は、これから初演される予定の2作品、クリストファー・ウィールドン振付の「不思議の国のアリス」と、「青銅の騎士」です。あと、マクミラン作品に興味があり、「マノン」「ロミオとジュリエット」「マイヤリング」を踊りたいと思っています」
ファテーエフ
「青銅の騎士」は、33年間踊られていなかった、ロスチスラフ・ザハロフ振付の作品で、このたび再上演されることになった作品です。マリインスキーのソリストでもある振付家で今回『愛の伝説』にも出演するユーリ・スメカロフが、オリジナル版に基づいてリニューアルします。デザインや衣装は新しくして、プーシキンの台本に基づき、ザハロフの振付を守りながら、新しいアイディアを入れて面白い作品にしていきます」
Q。「シャプランさんは、ワガノワアカデミーを卒業した後、モスクワのバレエ団などに所属していましたが、マリインスキー・バレエに戻ってきた感想はいかがですか?」
「今ここで踊ることができる状況にあるのは幸せです。ここはまず先生が素晴らしいし、レパートリーも魅力的です。劇場も素晴らしいです。素晴らしい劇場だと感じています。マリインスキー・バレエに入団するには、アルティナイ・アスィルムラートワ先生の助言を頂くことができました。先生と研さんを積むことができたのも、とても幸せだと思っています」
ダンサーたちは「ジュエルズ」のリハーサルに戻っていきました。今回はかなり若いダンサーが中心となり、ベテランはロパートキナくらいとフレッシュな顔ぶれです。さらに、キミン・キム、ザンダー・パリッシュと外国人の団員の活躍も見られるようになりました。マリインスキーの東京公演、26日の「ジュエルズ」から始まりますが楽しみですね。
来日公演概要
http://www.japanarts.co.jp/mb2015/index.html
「ジュエルズ」
11月26日(木) 18:30 文京シビックホール大ホール
「愛の伝説」
11月27日(金) 18:30 東京文化会館
11月28日(土) 13:00 東京文化会館
「ロミオとジュリエット」
11月30日(月) 18:30 東京文化会館
12月1日(火) 18:30 東京文化会館
12月2日(水) 13:00 東京文化会館(平日マチネ公演)
「白鳥の湖」
12月4日(金) 18:30 東京文化会館
12月5日(土) 12:30 東京文化会館
12月5日(土) 18:30 東京文化会館
12月6日(日) 13:00 東京文化会館
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