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« 舞台美術家のヨランダ・ソナベンド逝去 | トップページ | マリインスキー・バレエ2015 来日記者会見 »

2015/11/14

ロイヤル・バレエ「ロミオとジュリエット」映画館上映

映画館で上映された、ロイヤル・バレエの「ロミオとジュリエット」を観に行きました。TOHOシネマズ日本橋は、平日の昼間ですが7割くらいは入っていたでしょうか。

http://roh2015jp.wix.com/cinemaseason

Juliet Sarah Lamb ジュリエット サラ・ラム

Romeo Steven McRae  ロミオ スティーヴン・マックレー

Mercutio Alexander Campbell  マキューシオ アレクサンダー・キャンベル

Tybalt Gary Avis  ティボルト ギャリー・エイヴィス

Benvolio Tristan Dyer ベンヴォーリオ トリスタン・ダイヤー

Paris Ryoichi Hirano  パリス 平野亮一

Lord Capulet Christopher Saunders  キャピュレット公 クリストファー・サウンダース

Lady Capulet Elizabeth McGorian  キャピュレット夫人 エリザベス・マクゴリアン

Escalus (Prince of Verona) Bennet Gartside  ヴェローナ大公 ベネット・ガートサイド

Rosaline Lara Turk ロザライン ララ・ターク

Nurse Genesia Rosato 乳母 ジェネシア・ロサート

Friar Laurence Alastair Marriott ローレンス神父 アラステア・マリオット

Lord Montague Alastair Marriott モンタギュー公 アラステア・マリオット

Lady Montague Sian Murphy モンタギュー夫人 シアン・マーフィー

Juliet’s Friends Elizabeth Harrod, Meaghan Grace Hinkis, Fumi Kaneko, Emma Maguire, Yasmine Naghdi, Romany Pajdak 
ジュリエットの友人 エリザベス・ハロッド、ミーガン・グレース・ヒンキス、金子扶生、エマ・マグワイア、ヤスミン・ナグディ、ロマニー・パジャック

Three Harlots Itziar Mendizabal, Olivia Cowley, Helen Crawford 
3人の娼婦 イツィアール・メンディザバル、オリヴィア・カウリー、ヘレン・クローフォード

Mandolin Dance James Hay, Luca Acri, Kevin Emerton, Paul Kay, Fernando Montaño, Marcelino Sambé 
マンドリン・ダンス ジェームズ・ヘイ、アクリ瑠嘉、ケヴィン・エマートン、ポール・ケイ、フェルナンド・モンナーニョ、マルセリーノ・サンベ

Ballroom Guests and Townspeople Artists of The Royal Ballet

本編上映前に流れるメイキング映像。その中で、サラ・ラムが語った言葉「シェイクスピアは、ジュリエットを最初のフェミニストとして描いたのかもしれない。彼女は、父親に従わないばかりか、社会のしきたり、社会を作り上げているルールやコンセンサスももすべて拒絶しているのだから」が非常に印象的だった。

サラ・ラムの知的なジュリエットが圧倒的に素晴らしかった。とても聡明で時には頑固、自分の運命を自分で選ぶ強さを持っていたジュリエット。取ってつけた演技ではなくて、自分なりのジュリエット像をそのまま生きているような感じで非常に自然。その自然な中で、恋する瞳、燃え上がる情熱、ひたむきさ、自分が選ぼうとしている運命に対する慄きながらの決意が感じられた。あっという間に人生を駆け抜けたジュリエットさながらに、ものすごい速さで大人の階段を駆け上がっていったジュリエット。まるで、封建的な社会に戦いを挑んでいるような、マララ・ユスフザイのような女の子。輝く金髪と、きらきらと光る瞳は、暗い時代に差し込むような一条の綺麗な光に見えた。キャピュレット家とモンタギュー家の対立だけでなくて、世界のあらゆる対立、憎しみ、そういった連鎖を断ち切りたいような強い意志が見えた。

でも、ジュリエットは14歳の少女。パリスとの結婚を強いられそうになって、強く拒絶しながらもおびえている彼女の姿に、おもわず落涙した。「泣いているだけの子じゃないの」と映像でサラが語っていたように、ジュリエットは泣いた後もしっかりと行動をするのだけど。ロミオが死んでいることに気が付いた時の声なき叫び、躊躇なく死を選ぶ決意。感情豊かで、本当に強くて賢くて美しい彼女が死ぬしかなかったという悲劇に胸をふさがれる。

マクミランの「ロミオとジュリエット」のジュリエットの演技では、何が何でもロミオと一緒になりたいという強い想いを持ったジュリエットが、ベッドの上で正面を見据え、微動だにしないでいるシーンが最も印象的。前を見ているだけなのに、その中で決意を固めて行って行動を起こすまでの感情の揺らぎが、大げさな表情を見せるわけでもないのに繊細に表現されていた。

マックレーのロミオは、やはり映像で「少年少女の恋愛」と言っているように、非常に若々しい。彼のロミオはちょっとやんちゃで、2幕のソードファイトの前でも、何回もティボルトを挑発していたり、喧嘩っ早い印象。そういう意味で、聡明なジュリエットとは少しバランスが悪いのかもしれない。吉田都さんと日本公演で共演した時よりは成熟しているけど、疾走感のある動き、竜巻のような回転、目にも止まらないような高速シェネ、恋の高揚感は十分見せてくれている。ただ、このペアは、お互いソロを踊っている時の方が良いかもしれない。お互いの感情はもちろん行き来していて情感豊かなのだけど、1+1が3になるようなケミストリーまではなかった。相手を目立たさせて自分はサポートに入るような受けの演技はマックレー、上手いのだが。バルコニーシーンでの、ロミオが膝立ちになってジュリエットを持ち上げるリフトは、両腕だけでリフトしてくれたら嬉しいのだけど、それはやはり難しかったか。

非常に足捌きがクリアでテクニックのあるアレクサンダー・キャンベルのマキューシオ、ジュッテの時の伸びた脚が美しいトリスタン・ダイヤーのベンヴォーリオ。マックレーと身長も同じくらいで、3人が踊る「3バカトリオダンス」の時にも息が合っており、仲良し3人組なのが感じられてとても良かった。ひょうきんなキャンベル演じるマキューシオが愛嬌あるだけに、その死はロミオにとってはショックだっただろう。

そして「ロミオとジュリエット」に欠かせないのが、ギャリー・エイヴィスのティボルト。単なる卑怯者ではなく、たまらなく魅力的なセクシーな男で、キャピュレット夫人が想いを寄せるのも無理はない。ロミオに挑発されてもあまり手を出さない大人の部分もある。ソードファイトではあくまでも激しく、ロミオにとびかかるし、目を開けたままの堂々の死にっぷりもカッコいい。彼は死ぬつもりではなかったのだろう。

パリスを演じたのは平野さん。端正な貴公子ぶりで好男子なだけに、ジュリエットに拒絶されてしまうのが気の毒。少し鈍感に見えるところがあって、激しく彼女に拒絶されたところで気が付いて傷ついている様子を見るのはつらかった。

ロイヤル・バレエは、素晴らしいキャラクターアーティストに恵まれているので、このような演劇的な作品はとても見ごたえがある。さらに、ダンサーたちも一人一人のキャラクターとして存在して、それぞれの人生を生きているように見える。カメラがたまに脇役の姿を捉えるけれど、彼らも皆役に入り込んでいるのだ。

脇役の中でも、ジュリエットの友達の一人だった金子扶生さんの美しさは目を引いた。2幕の結婚式のシーンに出てくる花婿は注目のジュリアン・マッケイ、花嫁はカツラチサトさん、二人とも今年入団したばかりだ。

マクミラン版の「ロミオとジュリエット」を上演しているカンパニーの多くは、より簡素なピーター・ファーマーによる装置を使っているところが多いが、重厚なニコラス・ジョージアディスの装置や衣装を観ると、やはりここが本家だということを実感する。

休憩時間に流れた映像では、ダーシー・バッセルが、「ロミオとジュリエット」の初演でヌレエフらと役を分け合ったドナルド・マクリアリーと対談した。マクミランの「ロミオとジュリエット」は、初演されてから50年という記念の年だ。引退後もロイヤル・バレエでバレエ・マスターをつ解けていたというマクリアリ―は、非常に上品な老紳士。バルコニーシーンのロミオのヴァリエーションは非常にハード。あるダンサーが、どうしても途中で止まってしまうので、止まらないように、と指示したところ、彼は踊り終えた後ピアノの後ろに行って吐いた、というエピソードを披露した。
また、作曲をしたセルゲイ・プロコフィエフの孫も登場して、エピソードを披露した。プロコフィエフは、ボリショイでラヴロフスキーが振付けたロミオとジュリエットのために作曲したのだが、当初は、プーシキンの物語に曲をつける予定だったとのこと。

このように、インタビュー映像も非常に充実しているロイヤル・バレエの映画館上映は、大変よくできていて、世界中で上映されていて、ロイヤル・バレエの名前を高めている。

キャスト表、作品紹介、映像などたくさんの資料が収められているデジタルプログラムも、無料でアクセスできる。(プロモコードがあるのでそれを入力してアクセス)
http://www.roh.org.uk/about/bp-big-screens/free-digital-programmes

来年の来日公演も「ロミオとジュリエット」「ジゼル」が予定されているので、非常に楽しみ。

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バレエ公演感想」カテゴリの記事

コメント

いつも大変楽しく拝見させて頂いております。バルコニーでのリフトは、やはりボッカが1番なのでしょうか、、、久しぶりに映像で観たくなりました^ ^

naomi様
こんにちは。記事とは関係のない質問なのですが、今週末にシュツットガルトの『オネーギン』を観たいと考えています。
直前なので良席は難しいですが、どの公演もまだチケットは入手できそうな状況です。
そこでご相談なのですが…どのペアがオススメでしょうか。笑
主役だけ見ると、もちろん人気は初日のペアかと思いますが、フォーゲルはゲスト来日が多く、ガラでも何度か観ています。しかしアリシアの全幕は観てみたいです。
2日目の、ロマン•ノヴィツキーは今回ティボルト役で見ましたが、不思議な存在感に魅了され、オネーギンもきっと似合うと思いました。気になるのはスージーカンで、偉大なバレリーナですが、既にベテランなので、まだ魅せてくれるのか少し不安です…。
3日目のレイリーご夫妻は、今回のロミジュリの評判も良く、間違いないのかと思いますが、2人とも未見のため、あまり決めてがなく…。
長くなってしまいすみません。シュツットガルトを生で観るのは初めてなので、同バレエ団にお詳しいnaomi様のご意見を参考にさせて頂きたく、連絡いたしました。
お忙しいところ恐縮ですが、コメント頂けますと幸いです。

peneropeさん、こんにちは。

お返事が遅くなってしまってごめんなさい!

ボッカのバルコニーのリフトは素晴らしかったですね!私にとってのロミオとジュリエットマクミラン版は、やはりフェリとボッカが原点で、これでバレエにはまったんですよね。今踊っている人だと、やはりロベルト・ボッレが非常にリフトがうまいと思います。
ボッカとフェリの映像はABTの「スターの饗宴」というVHS(輸入盤はDVDもあり)ですよね。私はフェリとコレーラのスカラ座の映像も好きです。

ねこさん、こんにちは。

オネーギンは私は今回観ないのですが、やはりこの3組だと、ジェイソン&アンナ・オサチェンコが一押しです。ジェイソンのオネーギンは、2008年の来日公演でも観たのですが、やはり非常にかっこよくて魅力的だし、彼は演技も上手いし、ワイルドな容姿ですが実はバレエはとても美しいです。アンナ・オサチェンコのタチヤーナは観たことがないのですが、一昨年のロミジュリのジュリエットはとても繊細で素晴らしくて感動的だったし、彼女の脚がとにかく美しく、ドレスの裾から覗く足の甲も素晴らしいです。この二人は実生活でもカップルですからケミストリーがあるしね。

ロマン・ノヴィツキーは、今回が役デビューなので何とも言えませんが、彼はご覧の通りやはり演技派ですし、流石シュツットガルトのプリンシパルだけあって、長身脚長、とても良いダンサーなのでオネーギン役は似合うと思います。パートナーは、スージン・カンではなく(彼女は来日しない)、同じ韓国のヒョジュン・カンです。ヒョジュン・カンのタチヤーナは観たことがありますが、彼女も東洋人らしいたおやかさ、繊細さがあってこの役はとても似合います。

アリシア・アマトリアンのタチヤーナは言うまでもなく素晴らしいです。でも、フォーゲルは、形は美しくても演技はうまくないですし、甘すぎてオネーギンは向かないと思います。レンスキーははまり役でしたけどね。今回は、せっかくですから、あまり観る機会のないレイリー・オサチェンコ組か、ノヴィツキー・カン組が良いんじゃないかと思います。こっちの方がいい席で観られると思うし、本来のシュツットガルト・バレエらしいバレエが観られると思います。

naomi様
丁寧なご意見ありがとうございます。(色々と間違いがありお恥ずかしいです。)
ここ数年でシュツットガルトは世代交代したようですが、前の世代を見れなかったことが残念です。(バレエにハマるのが少し遅れまして。。)特にnaomi様の過去の記事を読んで、エヴァン•マッキーは特に観てみたかったなーと思います。
でも今回初めて見たシュツットガルト•バレエ団ですが、今のダンサー達も私には十分魅力的でした。(カマルゴのロミオを見ました。)オネーギンも期待して観てきます!ありがとうございました。

ねこさん、こんにちは。

ものすごくお返事が遅くなってしまってすみません。ちょっと海外に行っておりました。ダニエル・カマルゴのロミオ、私も観ましたよ~!若いロミオならではのフレッシュさ、情熱があって素敵なパフォーマンスでしたね。シュツットガルトはこの2年で20人ダンサーが退団したそうですが、たくさん辞めても下から新しい若いダンサーたちが出て来るというのは流石だと思います。過渡期で中堅~ベテランがいないとちょっとスカスカに感じられてしまう部分もありますが、それはまた少し経てば改善されることでしょう。芸術監督も2年後には新しい人になるし。

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