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2015/10/07

「白鳥の湖」初演の失われていた資料が発見

1877年の「白鳥の湖」の初演(ボリショイ劇場)については、未だ謎に包まれている部分があります。しかし、火曜日にモスクワで行われたカンファレスで、最近になって発見された資料が、この初演についてのいくつかのヒントとなりそうです。

Discoveries Clear the Mists From the Original ‘Swan Lake’
http://artsbeat.blogs.nytimes.com/2015/10/06/discoveries-clear-the-mists-from-the-original-swan-lake/

現在多くの「白鳥の湖」は、1895年にマリインスキー劇場で初演された、プティパ/イワーノフ版に基づいています。この版は、チャイコフスキーが亡くなった後に振付けられたもので、リッカルド・ドリゴが編曲したものです。1877年ボリショイ劇場における初演は、ジュリウス・ライジンガーによって振付けられていますが、不評だったとのことで、まだ判明していない部分が多い作品です。

モスクワの芸術研究所のリサーチャーであるSergey Konaevは、この初演版「白鳥の湖」についてのいくつかの疑問を解くカギをいくつか発見しました。その中には、ドリゴ編曲によって変えられてしまったスコア、リブレット(台本)の著者、そしてキャスト、衣装についてのヒントがありました。

彼が発見した資料の中には、失われていたと思われていたヴァイオリンのリハーサルのスコア、それぞれのオーケストラ・リハーサルのメモが書かれたヴィオラのパート譜、そして劇場と製作部門の経理帳簿を含んだ重要な経理記録がありました。(この中で、「白鳥の湖」というタイトルは、チャイコフスキーが作曲する前の1875年に記述が現れています)

これらの発見によって、いくつかの問題とされてきた点が明確になったと、プリンストン大学の音楽教授であるサイモン・モリソンはメールで述べています。「これでシナリオの著者、初演を予定されていたバレリーナ、そしてオリジナルの衣装とデザインの特徴も判明しました。これらの事項は、今までは学者たちの推測に基づいていましたが、重要なソースは未入手だったのです」

これらの記録を分析した結果、この作品にかかわっていると考えられていたものの、裏付けがなかった、ボリショイ劇場の役員であったVladimir Begichevによってリブレットは書かれたことが証明されました。また、初演のバレリーナは、リハーサルには参加したものの降板したLydia Geitenであったこともわかりました。彼女は、チャイコフスキーのスコアに反対したために降板したようです。Konaev氏によれば、彼女はチャイコフスキーの音楽が退屈だったため、彼の最初のバレエを踊ることを拒否したという彼女の言明が、新しい資料によって証明されたそうです。また、今回の資料によって、1880年にボリショイ劇場で行われた改訂版にも光を当てたとのことです。

新しく発見された資料は、研究者、バレエファン、そしてチャイコフスキーのファンにとって大変興味深いものでしょう。長年、初演版は洪水で終わる悲劇的なものであったと知られています。Konaev氏によれば、今回発見された資料により、チャイコフスキーは最後の大嵐でのプロダクションの詳細部分に特に強い関心を持っていたとのことが判明したそうです。

********
様々なバージョンが生み出されてきた「白鳥の湖」。ロシアのクラスノヤルスクク国立オペラ・バレエ劇場では、昨年10月に、初演版に準拠した「白鳥の湖」が上演されました。(セルゲイ・ボブロフ振付)

また、近年、初演に準拠した「眠れる森の美女」や「パキータ」を再振付してきたアレクセイ・ラトマンスキーは、チューリッヒ・バレエにおいて、「白鳥の湖」の再振付を行います。(ミラノ・スカラ座バレエとの共同制作)初演は、2016年2月6日。

http://www.opernhaus.ch/en/activity/detail/-5a44b0b735/

Dance Magazineのラトマンスキーについての記事
http://dancemagazine.com/inside-dm/bringing-the-past-alive/
チューリッヒ・バレエでの「白鳥の湖」は、ステパノフの舞踊譜に基づくものになるそうです。

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バレエ(情報)」カテゴリの記事

コメント

naomiさん、こんにちは。

たいへん貴重な情報ありがとうございました。
この情報によって、ワールドバレエデイのボリショイの2時間28分
からのセルゲイ・コナエフへのインタヴュー映像が理解できました。
ここで紹介いただいたこととほぼ同じことが述べられていますね。

<ヴァイオリンのリハーサルのスコア>すなわち、当時の稽古の
ために使われたのは、現在のピアノではなくて、2本のヴァイオリン
によるレペテトゥア(レペテトゥール)であって、実際の鮮明な画像を
ボリショイの映像から確認することが出来ました。
最初は、レペテトゥアの最初のページ《イントロダクション》。
次に、写譜師が書いたとは思えないような、2幕のパダクシオン
(王子とオデットのグランパドドゥ)の木管とハープの序奏部分。
最後に(最も注目に値するものですが)、3幕の《パドシス?》の
コーダから次の《ハンガリーの踊り》です。
プティパ・イワノフ版では削除された《パドシス》が、レペテトゥアには
書かれていて、少なくとも初演の練習に使うことは可能だった
ということですね(実際に踊られたかどうかは別として)。

初演の指揮者リヤボフは指揮するときに、これを実際に
使ったんでしょうかねえ・・・・?

個人的な知識欲からは、《パドシス》の最初のページを映して
欲しかったです。というのは《パドシス》は最初名前がなかった
ということで、このレペテトゥアには書かれているかどうか
知りたかったのですが・・・

他に、ヴィオラのパート譜も映像に出てきますが、休符が多く
どの部分かじっくり見てみないと分かりません。

<初演版に準拠した「白鳥の湖」が上演されました。(セルゲイ・ボブロフ振付)>
ここでご紹介いただいた、ボブロフのインタヴュー記事や写真群によって
わかるように、あれは初演版に準拠したというようなものではなくて、
むしろ初演の形のイメージから彼自身が創り出したものと考えるべきですね。
もちろん、そのことによって彼の業績が損なわれることは全く無いですが・・・

<ラトマンスキーは、チューリッヒ・バレエにおいて、「白鳥の湖」の再振付を行います。>
ユーチューブで観れた、セミオノワが踊ったプロダクションを
変えるということですね。今回の成果などが反映されるのかしら?

本投稿、お読みいただきましたら個人的なメッセージなので削除いただいて結構です。お手数おかけいたします。

YMTTさん、こんにちは。

お知らせありがとうございます。お知らせいただいたサイト、拝見しましたが、私の個人的な考えとしてはこれくらいのことは目くじらを立てるようなものではないと思います。ネット上の情報は検索すれば出てくることですし、バレエスタジオの情報がメーンで、こういったバレエ界の話はサブのような感じで書かれていることなので、問題ないのではないかな、と。コピペをされているわけでもありませんので…。後でコメント、削除しますね。

早速ご確認いただきありがとうございます。さすがナオミさん、心が広いですね^_^ 私はどうしても職業柄、このようなレファレンス無しでの情報取得や掲示は違和感を感じてしまいますが、当事者が不快でないなら大丈夫ですね。お手数煩わせました、、

やすのぶさん、こんにちは。

ボリショイのワールド・バレエ・デーの該当部分、私も観たのですが、あ~楽譜だ、とおもっただけで、不勉強な私には楽譜を見ただけでどの楽器のパートか、とかどの曲なのかは全然わかりませんでした。研究をされている方にはわかるんですね。

ラトマンスキー振付の「白鳥の湖」はだいぶ前から準備にかかっているようなので、今回のことがどれくらい入ってくるかわかりません。「眠れる森の美女」や「パキータ」がそうであったように、ラトマンスキーは、別に初演版をそっくりそのまま復元しているわけではなくて、初演の資料などは参考にして、初演作品の雰囲気をうまく現代に移し替えているからです。

<研究をされている方にはわかるんですね>
ただ単に音楽やってるバレエファンなだけです。
ヴァイオリンの二重奏はメロディーラインで分かりましたが、
最初の「ミュゼット」と題されたピアノ譜や2つのパート譜は
何だかわかりませんでした。英語の説明もないですしね。

http://dorianjesus.cocolog-nifty.com/pyon/2015/03/abt-5c63.html#comments

ラトマンスキーに関してはnaomiさんの↑で詳しく報告されていましたね。
仰るように<初演作品の雰囲気をうまく現代に移し替える>ということで
「リコンストラクション」などとはコンセプトが違うというわけですね。
《白鳥の湖》も、ステパノフ舞踊譜を基にしているのなら、1877年の
モスクワ初演とは関係なく、プティパ=イワノフ版を現代風に再現
しようということなのでしょうね。また、新しい情報が入りましたらここで
報告していただければうれしいです。

ご存知とは思いますが、今年再演されたチリのサンチャゴバレエ
のハイデ版のリハーサル風景↓ を貼っておきますね。

https://www.youtube.com/watch?v=2LmYdlDY9kg

↓ こちらは古いハイデ版、オデットが素晴らしい。
それと、クランコの薫陶を受けてか、全員が演技をする
ということに配慮が行き届いています。
黒鳥パドドゥで、場面が暗くなるとみんなが固まる!

でも、クランコ版とは作りが全く違いますね。
ハイデは、クランコとやった時にダンサーとして
いろんなアイデアが浮かんだんでしょうね。
でも、クランコのもとにいなければ、決して
こういったものは創れなかったでしょう。
クランコはそういった面からも創造力の優れたすごい
振付家であったことが、この版からも窺えます。

https://www.youtube.com/watch?v=eEUd5yAHEBc

やすのぶさん、こんにちは。

ハイデ版の白鳥の紹介、お知らせいただき、ありがとうございます。

ボリショイで発見された資料については、本が出版されるようでして、その紹介の動画がボリショイのチャンネルにアップされていました。既にご覧になっているかもしれませんが、念のためにご紹介します。動画でもっと細かく譜面を紹介しているので、お分かりになることがありません。私はそこまでマニアではないので、これ以上追求はしませんが。
https://youtu.be/LRPOzyCkoMM
また、ニューヨークタイムズにも続報が載っています。
http://www.nytimes.com/2015/10/14/arts/dance/swan-lake-discoveries-allow-for-a-deeper-dive-into-its-history.html?ref=dance

ボリショイの動画の紹介ありがとうございました。初見です。
少しだけ二重奏の演奏が画面で見られましたね。

この動画で一番興味がそそられたのは、0分51秒からの
ポスターです。これはソベシチャンスカヤが最初に登場した
4月26日の4回目の上演のためのもので、是非見てみた
かったものです。謎の1つが解けてうれしかったです。

2分18秒には2月20日のカルパコワIが主演した初演の
ポスターも出ています。こちらは、いろんなところで見かけるし
渡辺真弓さんの本に和訳があります。レイアウトが同じなので、
ロシア語は出来ないですが、和訳を参考にすれば4月26日
の方もだいたいところは推測がつきます。

これらには20の舞踊単位ごとに、ダンサー名と曲名が
述べられているので、そこで何が行なわれたかの概略が
伝わってきます。そして、2つの上演ではほぼ同じものが
踊られたことが分ります。出演者もかなり同じ人たちです。
もちろん、カルパコワIとソベシチャンスカヤは入れ替わって
いますがね(笑)。

そこで問題なのは、舞踊単位14番です(小さい字左側の
一番下)。初演では、これはパドサンクになっていて、
カルパコワⅠを含めて5人のダンサー名が記されています。
ところが4回目の上演では、ソベシチャンスカヤと王子
(ギレルトII=初演と同じ)のパドドゥに変更されています。
有名な、謎の『ソベシチャンスカヤのパドドゥ』というやつ
ですね。

さらに、舞踊単位17番『ロシアの踊り』は、カルパコワⅠも
ソベシチャンスカヤも踊ることになっているので「彼女が
『ロシアの踊り』を拒否して『パドドゥ』に変えた」という説は
資料的には怪しいですね。

さて、2つの動画に見る2本のヴァイオリンの練習用編曲譜
(レペティトゥア)の手書き譜、印刷譜及び演奏のどの部分を
見ても、チャイコフスキーのスコアとポスターの舞踊単位との
間の矛盾を解き明かすような映像は少しも見ることは出来
ませんでした。それは偶然の結果なのか?
あるいは動画作成上で仕組まれたことなのか?
聴講者たちは疑問を感じなかったのでしょうかねえ・・・

やすのぶさん、詳しい解説をありがとうございます。

私では知識が不足していて、なんともお答えができなくて申し訳ありません。。。出版された本なので、入手することは可能なのではないかと思います。ロシア語ですが、いずれ英語での翻訳も出るかもしれません。

naomiさん こんばんは、

英文が出たらぜひ買ってみたいです。
そのときは、またご紹介くださいね。
よろしくお願いします。

とにかく、ソベシチャンスカヤのポスター
が見れたのはありがたかったです。
おかげで、僕のHP大々的に改稿しました↓。

これは、単なるお礼ですのでレスは要しません。

http://www.cwo.zaq.ne.jp/kawasaki/MusicPot/Pas%20de%20deux.htm

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