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« ボリショイ・バレエ in シネマSeason 2015 – 2016 上映決定 | トップページ | ボリショイ・バレエの芸術監督に、マハール・ワジーエフが就任決定 »

2015/10/25

10/24 カンパニー マリー・シュイナール 『春の祭典』『アンリ・ミショーのムーヴマン』

6年ぶりの来日公演となる、カナダはモントリオールを本拠地とするカンパニー マリー・シュイナール。「春の祭典」と「アンリ・ミショーのムーブマン」の2作品を引っ提げての公演。

http://www.kaat.jp/d/cmc


『春の祭典』  Le Sacre du printemps
http://www.mariechouinard.com/le-sacre-du-printemps-111.html

コンセプト・振付・芸術監督:Marie Chouinard
音楽:Igor Stravinsky, The Rite of Spring, 1913
照明:Marie Chouinard
衣装:Vandal
プロップ:Zaven Paré
メイク:Jacques-Lee Pelletier
ウィグ:Daniel Éthier

「春の祭典」は今までも様々な振付家によって創られている作品だが、シュイナールは、物語性を完全にはぎ取って、音楽の持つ衝動を振付にした。10人のダンサーが出演するが、ユニゾンとなった群舞はほとんどなく、暗い舞台の上でスポットライトの丸い光の中でソロを踊るダンサーたちの踊りが中心となる。群舞のシーンでも、一人一人のダンサーが異なった動きをしているので、荒々しい印象だ。

舞台の中心にスポットライトが当たり、そこに浮かびあがる女性ダンサー。上半身は乳房をむき出しにして、下半身は黒いショートパンツ。髪を、まるで角を思わせるようないくつかのお団子に結い、目の周りは赤く塗った独特のメイク。激しい動きで、非常に身体能力が高いのがわかる。左右に一つずつ、同じようにピンスポットが当たり、その中に一人ずつダンサーが。10人全員が舞台の上にいる時も、一人一人がこのピンスポットの円の中にいて、球形のカプセルに閉じ込められて踊っているように見える。

長いトゲトゲを思わせる板を手首、肘など身体にたくさん取りつけている女性ダンサーふたりの絡み合いは、妖艶だけど同時に闘争的にも見える。この長いトゲを全員が手首につけて踊るシーンでは、彼らはまるで牛の群れにも、鹿にも見える。(そういえば、ベジャールは鹿の交尾の映像を見て「春の祭典」を振付けたとのことだった) 

男性ダンサーのソロは、グランジュッテで舞台を横切ったり、何回も飛び上がってみたり。マッチョな男性が多い。地面を小刻みに踏みつけるダンサーたち。ペアになってお互いににらみ合い身をくねらせて対峙しながらポーズするダンサーたち。この力強い音楽に触発された動物たちの、解き放たれた野生の生命力、その鼓動を感じさせる。ダンサーたちはしっかりとしたクラシックの技術を持っているし、しなやかでよくコントロールされた動きを見せてくれる。だが、振付そのものは混沌としながらもほかの誰にも似ていないオリジナリティが感じられて、クラクラするほど刺激的だった。

『アンリ・ミショーのムーヴマン』HENRI MICHAUX : MOUVEMENTS
http://www.mariechouinard.com/henri-michaux-351.html

振付・芸術監督:Marie Chouinard

音楽:Louis Dufort
照明:Marie Chouinard
舞台美術:Marie Chouinard
音響:Edward Freedman
衣装: Marie Chouinard
ヘアスタイル:Marie Chouinard
声:Marcel Sabourin
テキスト・画:Henri Michaux Mouvements (Édition Gallimard, 1951)より

2011年8月、ウィーンのImPulsTanzフェスティバルで初演。シュイナールは、アンリ・ミショーの「ムーヴマン」という、黒インクで描かれた64ページにわたるデッサンと15ページの詩が書かれた本に触発されてこの作品を振付けた。このデッサンと詩の両方を合わせた振付として、背景に映写された一つ一つのデッサンを黒衣のダンサーが舞台の上で表現するという作品。

一見単純な発想に思えるが、単に画像の形をなぞるのではなく、ポーズをとるだけではなくそのインクの染みのような形を一人一人のダンサーがダンスとして表現するし、それがスピーディーに次の画像に切り替わるので、ものすごい表現力と瞬発的な身体能力が必要となる。最初は、一人のダンサーがソロとして表現してかわるがわる次のダンサーが出てくるのだが、動きによってはそれが二人となって、スクリーンの上に映し出された、ロールシャハテストのような複雑な形状を模倣する。こんな風にこの形を再現するんだ!という新鮮な発見があって楽しい。白いスクリーンに黒い画像、白いリノリュームを貼っただけの舞台にぴったりとした黒衣のダンサーが踊るだけというモノクロームの舞台なのに、すごく多彩な感じだ。まさに床の上にも絵を描いていくという感じ。

激しくリズムを刻む、ノイズのような音楽がずっと続いているのだけど、途中で、一人の女性ダンサー(「春の祭典」でも最初のソロを踊ったキャロル・プリヤー)がリノリュームの下にマイクを持って潜り込み、まるで怒鳴るようにミショーの詩を朗読する。朗読の間も、ダンサーたちは画像模倣ダンスを続けている。そのうちこの詩朗読パートは終了し、画像模倣は続けられているけれども、これが群舞へと変化ていく。動きはユニゾンだが、しなやかでスピード感があり力強い。「そんなバカな!」と思えるような形もダンスで作っちゃうのだから、シュイナールという人は天才というか、変態というか。

最後のパートで舞台上は暗転し、真っ暗な舞台の上、ピンスポットの光の中で男女ペアがパ・ド・ドゥを踊っている間、ストロボが点滅し、残像を残しながら超高速で男性が女性をリフトして操っているように目の錯覚が起きる。このパ・ド・ドゥも、やがて3人となり、人数が増えていく。脳みそがシャッフルされるような、熱くて興奮させられるパフォーマンスだった。シンプルな発想の中から、誰にも真似できない独創性を発揮して、実に楽しいパフォーマンスだった。

今回、シュイナール本人は、この後に続く高知と金沢でのパフォーマンスで3時間にもわたるソロを踊るとのことで、その準備のために横浜公演には来られなかった。もともと、シュイナールはソロのダンサー/振付家として出発した人である。カンパニーと、シュイナールのソロの両方が観られる高知と金沢の観客が羨ましい。しかし、今回この公演が観られて本当に良かった。


高知公演
日程:2015年10月31日(土)開場18:30 開演19:00
*終演後アフタートーク有(モデレーター:石井達朗/舞踊評論家)
上演時間:100分(「春の祭典」35分、休憩20分、「アンリ・ミショーのムーブマン」35分)
会場:高知県立美術館ホール
http://www.kochi-bunkazaidan.or.jp/~museum/contents/hall/hall_event/hall_events2015/Marie/hall_event15marie.html

ソロ公演
「イン・ミュージアム」 IN MUSEUM
日程:2015年11月1日(日)開場13:00 開演13:30 (上演時間:180分)
会場:高知県立美術館1階 県民ギャラリー
入場無料/出入自由


金沢公演
【日時】2015年11月7日(土) 18:00開演(17:30開場)
【会場】金沢市文化ホール
【演目】『春の祭典』『アンリ・ミショーのムーヴマン』
    ※終演後にマリー・シュイナールによるアフタートークを行います。
http://www.kanazawa-arts.or.jp/event/2239

イン・ミュージアム IN MUSEUM / カンパニー マリー・シュイナール ソロ公演
2015年11月8日(日)13:00〜16:00
http://www.kanazawa21.jp/data_list.php?g=25&d=1784
会場:
金沢21世紀美術館 交流ゾーン
料金:無料


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