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2015年9月

2015/09/29

ユニクロのCMにウェイン・マクレガーが出演

ユニクロのCM「アウターウェア アウターは、あなただ。篇B」に、振付家のウェイン・マクレガーが出演しています。

ウェイン・マクレガー本人が、あの独特の、まるで骨がないような動きを見せてくれるので楽しいですね。


そしてもう一つ、「アウターウェア アウターは、あなただ。篇D」には、ウェイン・マクレガーのカンパニー、ランダムダンスの高瀬譜希子さんが出演しています。「ロケットのように動く」とCM中でも言われていますね。

高瀬譜希子さんは、レイディオヘッドのトム・ヨークとAtoms For Peaceのプロモーションビデオで踊っています。(こちらも、ウェイン・マクレガー振付)

ユニクロは以前ポリーナ・セミオノワが大々的にジーンズのCMに出演したり、菅井円加さん、その前には藤井美帆さん、本島美和さんなども出演していたりしたので、クリエーターでバレエ/ダンス好きの方がいらっしゃるんでしょうね。

ウェイン・マクレガーがロイヤル・バレエに振付けた「レイヴン・ガール」の予告編もアップされています。サスペンス映画のような仕上がり。

2015/09/27

「ボリショイ・バビロン 華麗なるバレエの舞台裏」

ボリショイ・バレエで2013年に起こったセルゲイ・フィーリン芸術監督の硫酸襲撃事件と、その後の顛末を描いたドキュメンタリー映画。

http://bolshoi-babylon.jp/

この映画は、硫酸襲撃事件の真相については、ほとんど迫っていない。犯人として逮捕され現在服役中のパーヴェル・ドミトリチェンコについての扱いは小さいし、結局真実は闇の中、として放置されている。それよりも、この事件が起きた背景に何があったか、そして事件後ボリショイはどうなったか、ということが中心になっている。

衝撃的なのは、この事件の被害者であるセルゲイ・フィーリンについての同情的な描写はほぼないことである。ボリショイの大スターだったフィーリンは、引退後モスクワ音楽劇場バレエ団の芸術監督となり、そして数年後に古巣ボリショイに、芸術監督として帰ってくる。団員時代は親しくしていた元同僚たちが打って変わって冷淡になってしまったと語っていた。事件後、彼のために公演を捧げます、と舞台上でザハロワが宣言する場面はあったものの。

フィーリンの苦境に輪をかけたのが、モスクワ音楽劇場の総裁だったウラジーミル・ウリンがボリショイの総裁となったことである。襲撃事件による混乱の責任を取って、前任のイクサーノフが退任。ウリンは、クレムリンに呼び出されてプーチンとも会談するが、劇場への干渉はきっぱりと断るなど、非常に有能でやり手だ。その彼が、フィーリンとの関係は、「ビジネスだ」と2回、冷たく言い放つ。モスクワ音楽劇場時代に、フィーリンがバレエ団の芸術監督を退任してボリショイに移ってきたことを不快に思っていることも明言していた。

ボリショイは、魑魅魍魎うごめく魔界のようである。ウリンがボリショイの総裁を引き受けると話した時、彼の妻は一晩中泣いてやめてくださいと懇願したとのこと。政治家や評議員が何人も登場し、ボリショイ・バレエには政治の影が色濃く落ちている。

フィーリンが、なぜ団員の間からこんなにも疎まれてしまったのかの具体的な理由は、途中まで描かれていない。ABTから移籍したデヴィッド・ホールバーグと彼が話すシーンは挿入されていて、それとなく匂わされているのだが。ハンサムで日本でも人気が高い元スターダンサーに、何があったのか。

後半になって、マリーヤ・アラーシュがインタビューで明かす。フィーリンが外部から多くのダンサーたちを連れてきて重用したこと。「私たちより下手な人たちが優遇されるようになったのよ」と。アラーシュは、楽屋に飾った娘の写真を見ながら、ダンサーは厳しい職業なので、娘はダンサーにはしたくないと語る。(彼女の夫君も、ボリショイのキャラクター・ダンサー、アレクセイ・ロパーレヴィッチ)

一方で、ドミトリチェンコが犯人だとは思えないともアラーシュは語る。彼は労働組合のリーダーで、ダンサーの権利のために戦っていた立派な人だったと。彼の無実を訴える嘆願書には、100人以上のダンサーたちの署名が集まった。バレエ団内では、あきらかに、反フィーリン派と、親フィーリン派の二つに分断されていた。フィーリンは、そんなドミトリチェンコのことを、こんな卑劣な犯罪に手を染める彼は人間ではない、と断罪する。

フィーリンと対立していて、事件の黒幕ではないかと噂されていたニコライ・ツィスカリーゼ。事件後彼の契約は打ち切られる。「私が人を連れてバレエ団内を歩くと、彼らは驚く。歩くだけでみんな私に対して拍手するから」と誇らしげだ。ドミトリチェンコの恋人で、事件の引き金とも言われたアンジェリーナ・ヴォロンツォーワは、ツィスカリーゼの教え子だった。

そして決定的にフィーリンは団員たちの前で屈辱を味わう。ウリンが音楽監督の交代を発表し、団員たちと話し合いたいと語った時、フィーリンは、バレエ団内にピラティスの機械を導入することを提案する。だが、団員たちはその提案を一笑に付し、ウリンも、あからさまに彼の提案を無視する。フィーリンがピラティスの重要性を訴えても聴く耳を持たないで彼の言葉をさえぎるほどだ。
(※ピラティスは、けが予防及びリハビリに役立ち、英国ロイヤル・バレエを始め、実際には多くのバレエ団で取り入れられている)

フィーリンの最後の言葉が悲しい。「襲撃事件がなかったとしても、ボリショイの芸術監督は引き受けるべきではなかった」

そしてナレーションで、追い討ちのように「ボリショイはフィーリンとの契約を更新しないことを発表した」と締めくくられる。


*******
このように影の部分もある一方で、もちろん光もある。ロンドン公演の舞台上で、アキレス腱を切断する大怪我を負ってしまったマリーヤ・アレクサンドロワ。長い怪我からの復帰に向けて「白鳥の湖」のリハーサルを重ねるが、教師に酷評される始末。ボリショイを代表するスター・バレリーナの彼女でさえ、すっかり自信を失い、舞台に復帰するのが怖くて仕方ない。「一番怖いのは、踊れなくなること」勝気そうに見える彼女が弱音を吐く様子も見せる。しかし、彼女にとってボリショイとは、神であり、信仰である。事件があって劇場が揺らいでも、彼女はボリショイを信じている。「アパートメント」でようやく復帰を果たした時の晴れやかなガッツポーズには、胸が熱くなる。

ファースト・ソリストのアナスタシア・メシコーワは、離婚して一人で小さな息子を育てている。朝早く起きて息子を学校に送り出し、生活は楽ではない。一生懸命頑張っているのに、思うように役はつかない。子供時代からの夢だったボリショイ。ファンからの花束は届かない。息子の誕生日、彼を楽屋に呼ぶが会うのは一週間ぶり。「ロスト・イリュージョン」でスポットライトを浴びてグランフェッテを踊る母を舞台袖から観る息子、のはずだったけど現実には彼はスマホゲームに夢中で母の姿を観ていない。それでも、彼女は懸命に踊り続けるのだった。このようにダンサーの人間としての一面を描いたことは良かった。

バレエ団の根底を揺るがすような大事件が起きても、舞台は毎晩上演され続ける、そんな芸術の強さを描いた作品ではある。しかし、どうしても光よりも闇の部分が強調された編集となっており、特にフィーリンの独白で終わるので、後味は良くない。

また、取り上げられたインタビューでも、フィーリンに同情する言葉が一つも聴けなかったのは、ドキュメンタリーとしても片面的であって、詰めが甘いのではないかと感じた。フィーリンがほかのバレエ団から連れてきたダンサー、例えばホールバーグ、オブラスツォーワ、チュージンなどのインタビューがあればもっと良かったのではないかと感じた。とにかく深みがないドキュメンタリーである。ボリショイの舞台裏が覗けたり、アレクサンドロワの苦闘中から復帰までの姿が見られ、ダンサーやスタッフの率直な話が聴けるので大変興味深いのではあるが。

そして、何より、ボリショイの偉大な芸術の素晴らしさに対する敬意が足りない作品だと感じられてしまった。バレエのシーンやリハーサルのシーンも少ない。ロシア人がボリショイ・バレエに寄せる熱狂的な愛情は、こんなものではない。いかにも、ロシア人ではない、英国のドキュメンタリー作家が作った映画である。ウリンからも、ついぞボリショイの芸術を称えるような言葉も聞かれなくて、良くも悪くも彼はビジネスマンなのであり、政治家であることを実感させられた。

近日中に発表されるフィーリンの後任は、果たして誰になることだろうか。

マリーヤ・アレクサンドロワのインタビュー記事(朝日新聞)
http://www.asahi.com/articles/DA3S11982838.html

2015/09/26

オクサーナ・スコリクがマリインスキー・バレエのプリンシパルに昇進

マリインスキー・バレエは、現在、アメリカツアー中です。ツアーは、オレンジカウンティのコスタメサ、カリフォルニアのバークレー、そしてロサンゼルスの3都市です。

9月24日に始まったツアーの2日目、9月25日の「ライモンダ」の公演で主演したオクサーナ・スコリクがマリインスキー・バレエのプリンシパルへの昇進が舞台上で、ファテーエフによって発表されました。動画が興行主ArdaniのYouTubeチャンネルに上がっています。

マリインスキー・バレエの公式サイトでも、すでにプリンシパルのところに名前があります。
http://www.mariinsky.ru/en/company/ballet/troupe/

オクサーナ・スコリクは、マリインスキー・バレエの来日公演では、「白鳥の湖」でザンダー・パリッシュと共に主演します。
http://www.japanarts.co.jp/mb2015/swan.html

ドキュメンタリー「犠牲の先に夢がある 〜ロシア国立ペルミバレエ学校」で取り上げられて以来注目の存在だったスコリク。ついにプリンシパルの地位に上り詰めました。おめでとうございます。

2015/09/25

ロイ・フラーの伝記映画が製作、イザドラ・ダンカン役にリリー=ローズ・デップ

19世紀末から20世紀初頭に活躍したアメリカ人ダンサー/振付家のロイ・フラー。巨大なスカートを翻して、そのスカートの動きと電気の照明で魅せる独自の踊り「サーペンタイン・ダンス(蛇のダンス)」を生み出したロイ・フラーは、1900年のパリ万博でイザドラ・ダンカンに出会い、彼女に大きな影響を与えます。

このロイ・フラーの人生を、ダンカンとの関係を中心にして、フランスの若手映画監督Stephanie Di Giustoが映画化することになりました。「The Dancer」として製作が始まっています。Stephanie Di Giustoは、ブリジット・フォンテーンらのミュージックビデオを監督したり、ヴァネッサ・ブリュノ、クロエ、リーバイスといったファッションブランドのイメージビデオを撮影してきました。

製作会社Wild Bunchのサイトより
http://www.wildbunch.biz/movie/dancer-the/

この映画のキャストですが、ロイ・フラー役を演じるのは、フランス出身の歌手Soko (映画「博士と私の危険な関係Augustine」に主演してリュミエール賞にノミネート)。そして、イザドラ・ダンカン役を演じるのは、ジョニー・デップとヴァネッサ・パラディの娘、リリー・ローズ・デップです。また、人気俳優のギャスパー・ウリエルも出演します。

http://variety.com/2015/film/global/lily-rose-depp-to-star-as-isadora-duncan-in-the-dancer-1201601820/

ロイ・フラーは、偶然芝居に出演していて、「サーペンタイン・ダンス(蛇のダンス)」を生み出しました。ニューヨークからパリに渡った彼女は、トゥルーズ・ロートレック、リュミエール兄弟、ロダンといった人たちを魅了して一世を風靡しました。ロートレックが彼女を描いた作品もあります。 イザドラ・ダンカンについては、みなさんよくご存じですよね。

ロイ・フラーを描いた作品の数々
http://www.mucha.jp/4art.html

これは実際にはロイ・フラーの踊りではないのですが、「サーペンタイン・ダンス」

Stephanie Di Giustoが監督した、クロエの映像

なお、リリー=ローズ・デップはまだ16歳。しかし母の美貌を受け継ぎ、シャネルのサングラスの広告に抜擢されています。昨年映画デビューを飾ったばかりでの、大役への抜擢です。
http://www.elle.co.jp/culture/list/nm/Lily-Rose_Depp

オーストラリア・バレエの2016年シーズン

オーストラリア・バレエが、2016年のシーズンを発表しました。

http://dancelines.com.au/australian-ballets-2016-repertoire/

http://www.behindballet.com/our-2016-season-a-snapshot/

なんといっても注目は、ジョン・ノイマイヤー振付の傑作「ニジンスキー」が、ナショナル・バレエ・オブ・カナダに続いてオーストラリア・バレエでも上演されることが決まったことです。

メルボルンで9月に、アデレイドで10月に、そしてシドニーで11月に上演されます。

ハンブルグ・バレエは、2012年のオーストリア・ツアー(ブリスベン)でこの「ニジンスキー」を上演して大きな評判を呼びました。


また、新たにオーストラリア・バレエのレパートリーに入る2番目の作品は、クリストファー・ウィールドン振付の「DGV (ダンセ・ア・グランデ・ヴィテッセ)」です。TGVの開通を記念して作曲されたマイケル・ナイマンの曲に振付けられた作品です。「DGV」はトリプルビルの中の一作品で、同時上演されるのは、イリ・キリアン振付の「忘れられた土地」とフォーサイスの「イン・ザ・ミドル・サムホワット・エレヴェイテッド」です。このプログラムは、メルボルンで3月、シドニーで4月に上演されます。


他のレパートリー作品は、ラトマンスキー振付「シンデレラ」、スティーヴン・ベインズ振付「白鳥の湖」、バランシン振付「シンフォニー・イン・C」(若手振付家Alice Topp とRichard Houseの作品も同時上演)、ペギー・ヴァン・プラハ振付「コッペリア」です。


また、ヒューストン・バレエが、スタントン・ウェルチ振付「ロミオとジュリエット」を引っ提げてメルボルン公演を6月に行います。


オーストラリア・バレエは、現在、芸術監督デヴィッド・マカリスターが振付けた、新しい「眠れる森の美女」を上演中です。この「眠り」、衣装が非常に美しいのです。
http://www.stylingdirectory.com/#!The-Australian-BalletSleeping-Beautyarriving-this-September-A-sneak-peak-behind-the-scenes-of-all-the-amazing-ballet-costumes-designed-by-Gabriela-Tylesova/c23o3/55f14b510cf2db6dcfb1efca

10月1日の「ワールド・バレエ・デー」でも、この「眠れる森の美女」のリハーサルを見ることができる予定です。
http://worldballetday.com/session/australian-ballet/


2015/09/23

ミハイロフスキー・バレエ、ペレン事件続報

ミハイロフスキー・バレエからイリーナ・ペレンとマラト・シェミウノフが解雇されてしまった件は気にされている方が多いと思います。

正式な発表はまだ見つけられていませんが、ミハイロフスキー・バレエの公式サイトに、ペレンとシェミウノフの名前が復活していました。もしかしたら、解雇が撤回されて、カンパニーに復活できたのかもしれません。

http://mikhailovsky.ru/theatre/company/ballet/

バレエ界を舞台にしたドラマ「Flesh and Bone」の予告編

人気海外ドラマ「ブレイキング・バッド」のプロデューサーであり脚本家である Moira Walley-Beckettが、バレエ界を舞台にしたドラマシリーズを手掛けるとして話題になっているのが、「Flesh and Bone」です。

http://www.imdb.com/title/tt3507484/

こちらは、7月に行われた記者会見の模様
http://www.hollywoodreporter.com/live-feed/flesh-bone-stars-creator-want-812498

ペイチャンネルStarzで11月8日からスタートするこのシリーズ。ニューヨークのバレエ団に所属する、心に傷を抱えたバレリーナが直面する苦悩を描いているとのこと。主演するのは、ドレスデン・バレエのアメリカ人ダンサー(ドゥミ・ソリスト)サラ・ヘイ

他に、元ABTのサシャ・ラデツキー、イリーナ・ドヴォロヴェンコ、元マイアミ・シティ・バレエで「アメリカン・ダンス・アイドル」で活躍したアレックス・ウォン、そしてデンマーク・ロイヤル・バレエのカーリング・タルコットら、現役のバレエダンサー中心のキャストとなっています。芸術監督役を演じるベン・ダニエルズは、ローレンス・オリビエ賞にノミネートされたことがある俳優です。

振付を手掛けるのは、やはり元ABT(現ABT教師)のイーサン・スティーフェルとあって、本格的なバレエ・ドラマになっているようです。

インタビュー入りの予告編。サシャ・ラデツキー、イーサン・スティーフェルもインタビューされています。また、ラデツキー、イリーナ・ドヴォロヴェンコが出演している劇中のシーンも。かなりダークな雰囲気です。
http://tvline.com/2015/09/16/flesh-and-bone-video-ballet-sascha-radetsky/

こちらは、別カットの予告編
http://www.vanityfair.com/hollywood/2015/08/inside-flesh-and-bone-starz

サラ・ヘイにとって、この作品の脚本は、実際にダンサーとして経験したことにかなり沿っているとのことです。「私の毎日のダンサーとしての生活の真実を映しています。人に裏切られるということも、日常の一部としてあり得ます」

彼女を推薦したのが、イーサン・スティーフェルでした。彼女がABT付属ジャクリーン・ケネディ・オナシス・スクールで学んでいたところを彼は見ており、ドイツで踊っている彼女を追いかけて作品への出演を交渉したそうです。

Moira Walley-Becketは、多くの映画で描かれているダンスについて不満を持っていて、この番組はバレエカンパニーの中に迫りたいと語っていました。「多くのバレエ映画は、華やかで、美しい幻がバレエだと見せていますが、私たちはバレエからそれらをはぎ取って見せました」

残念ながら、このドラマは製作費が高くなりすぎたため、利益に結びつかないとの理由で放映前から、1シリーズのみの放映と決まってしまいました。しかしクオリティの高いバレエドラマが期待できそうです。


なお、イーサン・スティーフェルは、長年のフィアンセだったジリアン・マーフィ―と土曜日についに結婚しました。結婚式の模様は、ジリアン・マーフィはじめ、ABTの団員のインスタグラムにたくさんアップされています。本当に美しい花嫁です。

https://instagram.com/p/71H1dGyJTK/

https://instagram.com/p/76Y4cTHVav/

https://instagram.com/p/73aB56HVea/

2015/09/22

東京バレエ団 ブルメイステル版「白鳥の湖」初演

東京バレエ団が、来年2月にカンパニー初演するブルメイステル版「白鳥の湖」の概要が発表されていました。

http://www.thetokyoballet.com/news/post-150.html

東京バレエ団初演
ブルメイステル版「白鳥の湖」全4幕

◆公演日時
2016年
2月5日(金)6:30p.m.
2月6日(土)2:00p.m.
2月7日(日)2:00p.m.

◆会場:東京文化会館

◆予定される主な配役
2月5日(金)6:30p.m.
オデット/オディール:上野水香、ジークフリート王子:柄本 弾
2月6日(土)2:00p.m.
オデット/オディール:渡辺理恵、ジークフリート王子:秋元康臣
2月7日(日)2:00p.m.
オデット/オディール:川島麻実子、ジークフリート王子:岸本秀雄

◆入場料(税込):
S=¥12,000 A=¥10,000 B=¥8,000
C=¥6,000 D=¥4,000 E=¥3,000 
エコノミー券:¥2,000

◆NBS WEBチケット先行販売:10月14日(水)9:00p.m.~10月17日(土)6:00p.m.
 [座席選択・対象S~D席]

◆一斉前売開始:10月31日(土)10:00a.m.~

来日公演も記憶に新しいモスクワ音楽劇場バレエ、ミラノ・スカラ座バレエ、そして以前はパリ・オペラ座バレエでも上演されていた、非常にドラマティックな「白鳥の湖」です。音楽の使い方も、日本でよく上演されるセルゲイエフ版やなどとはかなり違っているし、特に畳みかけるような3幕の演出には見ごたえがあります。新しいプロダクションということで、舞台装置や衣装も一新され、素晴らしい舞台となることでしょう。

2日目、3日目には若手ダンサーを投入してきて、こちらも楽しみですね。K-Balletを経てロシアでも活躍してきた秋元さんが移籍して、早速の主演となります。また、伸び盛りの岸本さん、以前「白鳥の湖」若手公演で、その美しい脚や抒情的なオデットが印象的だった渡辺さんのオデット/オディールが観られるのも嬉しいことです。若手が育ってきているのは良いことですね。

しかし、このスケジュール、実は新国立劇場バレエ団の「ラ・シルフィード/Men Y Men」、そしてルンキナをゲストに迎えた牧阿佐美バレヱ団の「白鳥の湖」と丸被りなのですよね。大変悩ましいところです。

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岩田守弘さんが、9月26日放映のTBS「世界ふしぎ発見!」に登場

ボリショイ・バレエのファーストソリストを経て、現在はブリヤート共和国国立歌劇場バレエ団の芸術監督を務める岩田守弘さん。アデランスの素敵なCMにも出演中ですね。


その岩田さんが、
9月26日(土曜)21:00~放映
TBS系列「世界ふしぎ発見!」に出演されます。

「世界ふしぎ発見!」のテーマはバイカル湖。
ロシア連邦・ブリヤート共和国、ブリヤート共和国国立歌劇場、そして岩田守弘さんが登場するそうです。


和太鼓集団、鼓童のブログにも、この番組についての紹介がありました。

http://www.kodo.or.jp/blog/pub/20150921_7697.html
先日の「ロシア・日本 平和友好文化フェスティバル」にて鼓童が岩田守弘氏と初共演したバレエ作品「魂」の模様が一部紹介されるとのことです。


なお、毎日新聞のサイトで、先日岩田さんが率いるブリヤート共和国歌劇場バレエ団が「フジバレエ2015」で「白鳥の湖」を上演した時の映像を見ることができます。鮮やかな道化のソロを踊る岩田さんの踊りが観られます。

バレエダンサー岩田守弘さんが凱旋公演
http://mainichi.jp/select/news/20150921k0000m040014000c.html

http://mainichi.jp/movie/movie.html?id=898634803002

2015/09/21

9/11「ニーナ・アナニアシヴィリ 瀕死の白鳥inコンサート」みなとみらいホール

みなとみらいクラシック・クルーズ 特別公演
「ニーナ・アナニアシヴィリ 瀕死の白鳥inコンサート クラシック名曲で辿る20世紀バレエの世界」
9月11日19時開演
横浜みなとみらいホール

バレエ「薔薇の精」より
ウェーバー「舞踏への勧誘」

バレエ「レ・シルフィード」より
ショパン 「前奏曲・ワルツ・マズルカ・華麗なる大円舞曲」

(以上 ピアノ・ソロ、ピアノ 青柳晋)

ストラヴィンスキー バレエ「ペトルーシュカ」より
ドゥ-シキン編曲「ぺトル―シュカ」

ラヴェル「ツィガーヌ」

(以上 ヴァイオリンとピアノのデュオ、青柳晋と川久保賜紀)

バレエ「瀕死の白鳥」
サン=サーンス「白鳥」

ピアノ 青柳晋
ヴァイオリン 川久保賜紀
バレエ ニーナ・アナニアシヴィリ

バレエ・リュスを代表する「薔薇の精」「ショピニアーナ(レ・シルフィード)」、「ペトルーシュカ」、そして「瀕死の白鳥」の演奏と踊りを通して20世紀バレエをたどるというこの企画。1時間という短い上演時間だったけど、その分値段も安めの公演だった。

「レ・シルフィード」はジョージア国立バレエ(グルジア国立バレエ)の映像付きとのことだったけど、舞台情報のスクリーンではないところにぼんやりと映し出されるだけなので、雰囲気はあったけれども、映像上映という感じではなかった。せっかくなら、もう少しきちんとした映写にしてほしかったと思う。「ペトルーシュカ」はブノワによる舞台美術がやはり映写されていて、踊りはなかったけど、このような映写の仕方なら、舞台美術だけの方がスッキリして良いかもしれないと思った。

ピアノの青柳晋さんは、「マラーホフの贈り物ファイナル」で「椿姫」(ショパンのバラード)など素晴らしい演奏を聴かせてくれた方。バレエのことも少しわかっていながらの演奏であることを感じさせた。川久保賜紀さんのヴァイオリンとピアノが絡み合う「ペトルーシュカ」や「ツィガーヌ」は聴きごたえがあった。

そして、ニーナ・アナニアシヴィリが踊る「瀕死の白鳥」へ。「瀕死の白鳥」というと「白鳥の湖」のオデットのような白いチュチュで踊られるのが一般的だけど、今回、ニーナは、グレーと黒が混じっていて、前が短く後ろはロマンティックチュチュのように長い衣装だった。チュチュの下には、薄いグレーの長袖を着用。後のトークショーによれば、この衣装はニーナ自身の構想によるもので、ティアラは彼女が当日の朝4時までかかって手作りしたそう。

ニーナは細かいパ・ドブレを刻みながら、彼女の特徴でもある、波打つような柔らかい腕づかいで登場した。まるで腕だけが別の生き物のようにしなやかに動いている。彼女の動きはダイナミックで、生命力を感じさせ、悲劇的でありながら運命と戦う気高い白鳥だった。胴体はかなりしっかりとしているけれども、脚は相変わらずほっそりとしているし、強い意志を感じさせるドラマティックな動きは、ニーナならではのもの。前の方の列だったので脚元が見えづらかったのは少し残念だったが、ニーナの美しいオーラに短い時間だけど浸ることができた。

*****

さて、この公演の後に、ニーナ・アナニアシヴィリのトークショーもありました。ニーナが着替えるまでの間には、川久保さん、青柳さんのトーク。演奏家は一日のうち何時間練習しているのかとか。(一般の会社員が会社で働いている時間と同じくらいは練習しているとのこと)、ニーナの印象(本物の妖精のように美しくて同じ人間とは思えなかったと)、チャイコフスキー・コンクールで最高賞を受賞した川久保さんの、コンクールの時の思い出、青柳さんが「マラーホフの贈り物」に出演した時に、カーテンコールで緊張してぎこちなくなってしまったことなど、なかなか面白いお話が聴けました。

そしてニーナ登場。本当に50歳を過ぎているのか、と思うほどの可愛らしさ、美しさ。日本には数多く来ているものの、いつも仕事がびっしり入っていて、オフの日もインタビューなどが入るので未だに東京ディズニーランドにも行ったことがないとのことです。

「夜の公演と昼の公演と意識的に自分の解釈を変えています。いいピアニストとヴァイオリニストの音楽に乗って踊ることができました。オーケストラピットがないので観客との距離が近く、反応を見ることもできたのでいつもと違う踊りになりました。コンサートホールで踊るのはめったにありません。今までもユーリ・バシュメットらとの共演があったり、アンサンブルと踊ったことがあります。ライブでの音楽に乗って踊るのは、感情がこもるので気分が良いです。この衣装は皆さんを驚かせようと自分で考えました。」

ニーナが初めて「瀕死の白鳥」を踊ったのは9歳の時。フィギュアスケートの選手時代に、マイヤ・プリセツカヤを真似て「瀕死の白鳥」のプログラムを振付けてもらったそう。ジョージア(グルジア)のフィギュアスケートのチャンピオンだった彼女の滑りを見て、このプログラムの振付家によりバレエへの道を勧められたとのこと。10歳でバレエ学校に入学した。ボリショイに入団した当初はなかなか「瀕死の白鳥」を踊る機会はなく、初めて踊ったのは1988年。「結婚した年だったので覚えています。夫のためにたくさん踊りました」。

「フィギュアスケートとバレエは、似ているようで全然違う、むしろ正反対です」とニーナ。フィギュアスケートで身につけた、バレエ的には間違った動作を矯正するのに時間がかかってしまい、しばらくはどっちつかずで苦労したとのこと。中心を高くするか、低くするかの違いがあると、バレエとフィギュアスケートの違いをニーナは立ち上がって実演してくれました。反面、フィギュアスケートをやっていたことでジャンプ力があり、また男の子がやるような回転技もできるそうです。たとえば、バレエ学校で教えている時に、男子生徒ができないソ・ド・バスクをニーナは今でも軽々とできるし、ドゥーブル・アッサンブレですらできるとのことです。また、スポーツで精神力、根性が鍛えられて、コンクールなどで優勝できたのもそのおかげだそうです。

ニーナはジョージア(グルジア)でワイナリーを持っていて、ワインを造っています。「コンクールで私のワインが銀賞を獲った時、みんなは喜びましたが、私はバレエのコンクールでは金賞しか取っていないのでその結果には満足できませんでした。次のコンクールで、私のワインは金賞を取ることができました」 グルジアはワインの産地としても有名で、伝統がありますが、バレリーナでワインを造っているのは彼女だけだそうです。

また、家庭生活のことも話してくれました。娘さんは、ピアノ、そしてなんとカンフーも習っているそうです。娘さんが小さい時にはツアーに連れて行きましたが、今は学校があるので連れて行けないし、普段も娘さんは学校や習い事で忙しく帰宅するのが遅いので、家族団らんの時間がどうしても遅い時間になってしまうのが悩みだとのこと。

ニーナはジョージア(グルジア)では、バレエ団の他、付属のバレエ学校の運営もしています。バレエ学校は優秀な子は無償で学べるようにしていますが、経済が上手くいっていなくて、予算も少なくて苦労しているそうです。学校をインターナショナルな、海外に開かれた学校にしたいし、そのために全寮制の学校にするのが目標ですが、援助が十分ではなく資金が必要だそうです。日本人のファンからも援助をもらっているから、無償で勉強できる子たちがいて、とても感謝しているとのこと。現在日本人では、男の子3人、女の子2人の生徒がジョージアのバレエ学校で学んでいるそうです。

長くバレリーナとして活動できた理由としては、「きちんとしたスタイルを教えてくれる学校で学ぶことができて、良い先生に恵まれたからです。先生から子供の時に教わったことを今でも守っています。基礎を大事にして、スケジュールを着実にこなし、守っていくことが重要です。それが大変なのですが。性格も大事です」。

「私はお客さんのために踊っています。何らかのアートに触れることが大切です。一人一人のお客さんがバレエに来てくれるのは、彼らが芸術を支えてくれるスポンサーになっているということです。安くないチケットを買ってくれて観てくださり、拍手してくださることは、私にとって大きな財産ですし、心の支えです。お客さんに感謝していくことが必要です」

予定時間を大幅に上回って語ってくれたニーナ。飾らないチャーミングさ、ユーモアのセンスと人柄の暖かさが伝わってきました。まだまだ彼女の踊りを観たいと思いました。とりあえず、来年の夏、ジャパンアーツのオールスターガラへの出演が予定されています。

2015/09/19

デニス・マトヴィエンコがノヴォシビルスク劇場バレエの芸術監督に就任

キエフ・バレエの芸術監督を解任されてしまった後、マリインスキー・バレエのゲストプリンシパルなどで活躍してきたデニス・マトヴィエンコ。その彼が、ノヴォシビルスク劇場バレエの芸術監督に就任することが発表されました。

http://novat.nsk.ru/en/press/news/denis_matvienko_will_become_ballet_company_artistic_director/

現在、ノヴォシビルスク劇場バレエの芸術監督を務めているのはイーゴリ・ゼレンスキーですが、ゼレンスキーの契約が2016年3年に切れるのにあたり、マトヴィエンコが後任となります。

ゼレンスキーは、10年間ノヴォシビルスク劇場バレエの芸術監督を務めてきました。今年の秋よりミュンヘン・バレエの芸術監督に就任し、また引き続きモスクワ音楽劇場バレエの芸術監督の芸術監督の任にもついているため、3つの劇場の芸術監督を務めるという、大変多忙な毎日となっています。世界バレエフェスティバルにも先日出演しており、ダンサーとしても現役です。一つの仕事を後進に譲るのは予想されてきたことですね。なお、ノヴォシビルスク劇場の総裁は、ミハイロフスキー劇場の総裁でもあるウラジーミル・ケフマンです。

ゼレンスキーとマトヴィエンコのコメントも掲載されています。マトヴィエンコは、キエフ・バレエでの芸術監督としての経験を活かせると語っており、また、ミハイロフスキー・バレエに所属していた時には、ケフマンとルジマトフと働いた経験もあるとのことです。

ノヴォシビルスク劇場バレエは、ゼレンスキーの下で大きく成長しており、またゼレンスキーの愛弟子であるセルゲイ・ポルーニンもたびたび出演しています。マトヴィエンコの元でも、さらなる躍進が期待できそうですね。

2015/09/18

パリ・オペラ座バレエ学校のドキュメンタリーシリーズ

フランスのテレビ局France2が制作したパリ・オペラ座バレエ学校のドキュメンタリーReve D'Etoileが、Culture Boxで視聴可能です。

http://culturebox.francetvinfo.fr/danse/feuilleton-lecole-de-danse-de-paris-fabrique-des-reves-detoiles-219637

5分ほどのエピソードが5本アップされています。161人の生徒たちがナンテールの学校で学ぶ日常、学校公演に向けて準備する様子などが描かれています。また、アデュー公演「マノン」に向けてリハーサルするオーレリー・デュポンの様子も少し。


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2015/09/17

2016年2月 牧阿佐美バレヱ団の「白鳥の湖」にルンキナ、スクヴォルツォフ出演

2016年2月6日、7日に 牧阿佐美バレヱ団は「白鳥の湖」を上演しますが、スヴェトラーナ・ルンキナ(ナショナル・バレエ・オブ・カナダ)、ルスラン・スクヴォルツォフ(ボリショイ・バレエ)がゲストとして出演します。

http://www.ambt.jp/

60周年記念公演シリーズ第5弾
白鳥の湖
Swan Lake
2016年2月6日(土)、7日(日)
会場:文京シビックホール 大ホール(後楽園)
主演:スヴェトラーナ・ルンキナ
   (カナダ国立バレエ団 プリンシパル)
   ルスラン・スクヴォルツォフ
   (ボリショイ・バレエ プリンシパル)
チケット一般発売:10月29日(木)~

ルンキナは、ボリショイ・バレエ時代の来日公演「スパルタクス」以来、久しぶりの日本での舞台となります。今年の夏の世界バレエフェスティバルでは、デヴィッド・ホールバーグと共演する予定でしたが、ホールバーグの怪我の回復が遅れたため、彼女の出演もキャンセルとなってしまったのでした。

ルンキナのオデット/オディールの素晴らしさには定評があり、移籍先のナショナル・バレエ・オブ・カナダで踊った彼女のパフォーマンスも絶賛を浴びています。

なお、ホールバーグは怪我の回復がさらに遅れており、9月26日からのミラノ・スカラ座でのラトマンスキー振付「眠れる森の美女」への出演もキャンセルとなってしまいました。彼の代わりにザハロワと踊るのは、セルゲイ・ポルーニン。デヴィッド・ホールバーグの怪我の全快を祈っています。

http://www.gramilano.com/2015/09/sergei-polunin-replaces-david-hallberg-in-ratmanskys-sleeping-beauty-at-la-scala/

2015/09/15

パリ・オペラ座バレエのデジタル・プラットフォーム、3e Scène公開

パリ・オペラ座バレエの公式サイトに、様々な分野のアーティストが参加したデジタル・プラットフォーム、3e Scèneがオープンしました。

https://www.operadeparis.fr/3e-scene

目下のところ17本のショートビデオと、エトワール全員のプロモーション映像のダイジェスト、そして写真作品などもアップされています。まだ全部の作品を観切れていないのですが、中にはとても素晴らしい映像があります。

一番上にあって大きな話題となるであろう作品は、ストリート・ダンスのアーティストとして良く知られているリル・バックが出演した「 Étoiles, I see you」。Zambelli Rotundaというガルニエ最上階の有名なリハーサル室で踊りながら、ガルニエを飾るマリー・タリオーニらの肖像や彫刻などと表情やポーズを対比させるもの。ストリート・ダンスという全く違ったジャンルのダンサーでありながら、リル・バックの動きはしなやかでとても美しく、違和感を感じさせませんし、同時にユーモラスなところもあります。実は彼は、ニューヨークシティバレエにも作品を提供し出演したことがあったり、CMでミハイル・バリシニコフと共演したり、バレエ的な動きもできるという稀有なダンサーです。

また、カドリーユのローラ・バックマンをフィーチャーした「Laura」という作品は、一人の若いバレリーナの日常と苦悩を、短編映画のように描いていて鮮烈な印象を残します。彼女が、バレエ団を退団したいと葛藤し同僚に相談するという内容には少々驚かされます。この映像には、オニール八菜、レツィシア・ガローニ、ジュリエット・イレールらも出演。また、ローラがオペラ座学校に入ったばかりのころに日本のテレビに取り上げられた映像も登場します。ドキュメンタリー映画監督Arnaud Uyttenhoveの作品。

オニール八菜とジェルマン・ルーヴェという注目のペアが出演した「Ascension」は、二人がガルニエの地下、グラン・フォワイエ、そしてガルニエの屋根の上で踊り、二人の美しさが印象的です。地下から地上へと舞い上がるような感覚が伝わってきます。

「Nephtali」では、ディズニー作品「リトル・マーメイド」で有名なアニメーターのGlen Keaneが、コリフェのマリオン・バルボーにインスピレーションを得て、美しいアニメーション映像を作り上げました。シンプルな素描の線でバレリーナのドラマティックな動きを捉えていて、とても素敵です。


「Apollon Musagète」は、フランチェスカ・ズンボーら過去のダンサーと、ミリアム・ウルド=ブラム、ドロテ・ジルベールという現役のエトワールがバランシンの「アポロ」を踊る映像を対比させていて大変興味深いです。

16本の作品は様々な手法でオペラ座を切り取っていて、全部が全部素晴らしいわけではないのですが、いろいろな視点からバレエを観ることができるという意味では良い試みかと思います。予算は200万ユーロで、50%以上が民間のスポンサーシップによって賄われています。(メーンはヴァン・クリーフ&アーペル。一年に30作品を公開する予定とのことで. 今後も、どんどん作品は追加されていくようです。

Teleramaの紹介記事
http://www.telerama.fr/musique/la-3e-scene-nouvelle-maison-numerique-de-l-opera-de-paris,131333.php

ミルピエのインタビュー記事
http://www.vulture.com/2015/09/millepied-on-one-year-at-the-paris-opera-ballet.html

ただ、これらの作品をどうやって広めて、バレエを観たことがない人に劇場に足を運ばせるかが課題となることでしょう。オペラ座のサイトに載せて終わり、ではなくて、これをどうやってバイラルに仕掛けていくかという戦略が問われることになりそうです。リル・バックの「Étoiles, I see you」と、アニメーションの「Nephtali」以外は、ハイ・アート寄りなので敷居が高いイメージが依然として残っている印象があります。

2015/09/14

ミハイロフスキー・バレエ、ペレンとシェミウノフを解雇か?/9・22追記(解雇はされていなかったようです)

9月8日に、ミハイロフスキー・バレエでは、ミハイル・メッセレル振付の新版「海賊」が初演されました。

http://www.mikhailovsky.ru/en/afisha/performances/detail/672690/

プロダクションデザインはあまり評判は良くなかったものの、カンパニーのダンサーの踊りは素晴らしく、初日を飾ったエカテリーナ・ボルチェンコ、レオニード・サラファーノフはじめ、ビルバント役のカシャネンコ、ギュリナーラのソボレワなど、カンパニー全体のレベルの高さを表すものだったようです。

Партию Медоры в балете "Корсар" сегодня исполняет Ирина Перрен, в роли Конрада Иван ВасильевIrina Perren will play the...

Posted by The Mikhailovsky Theatre on 2015年9月11日

ガーディアン紙のレビュー
http://www.theguardian.com/stage/2015/sep/13/le-corsaire-mikhailovsky-ballet-review-st-petersburg-vladimir-kekhman

さて、この「海賊」、新版の初日をポリーナ・セミオノワが飾る予定でしたが、今年始めに骨折して治療に専念していた彼女の回復が遅れ、かなりぎりぎりになって出演をキャンセルしました。
http://www.mikhailovsky.ru/en/press/news/polina_semionova_recovering_after_injury/
また、中村祥子さんもゲスト出演する予定でしたが、セミオノワのキャンセルに伴い彼女の出演もなくなったようです。

そして、セミオノワの代役として予定されていたのがイリーナ・ペレンでした。上記ガーディアン紙のレビューも、写真はペレンのメドーラを使用しています。

ところが、ペレンは当初の出演予定が繰り上がり、9月12日の「海賊」に出演予定だったところ、出演せず、夫君のマラト・シェミウノフと共に12日、13日にモンテカルロで行われたガラに出演しました。
http://www.monaco-ru.com/event/zvezdyi-russkogo-baleta-na-stsene-grimaldi-foruma/

Les Etoiles de Ballets Russesと題されたこのガラ、ペレン、シェミウノフのほか、ボリショイのアナスタシア・スタシュケヴィチ、アンナ・チホミロワ、ミハイル・ロブーヒン、アルチョム・オフチャレンコ、マリインスキー・バレエのオレシア・ノヴィコワ、フィリップ・スチョーピン、そしてミハイロフスキーからはサラファーノフとサビーナ・ヤパーロワが出演予定となっていました。 実際のところは、サラファーノフは「海賊」出演のためにこちらには出演せず、ヤパーロワ、そして第三子の産休中であるノヴィコワも出演しなかったようです。

「海賊」に出演しないで、こちらのガラに出演したことを問題視され、ペレンとシェミウノフは解雇されてしまいました。(追記:実際には解雇はされていなかったとのことです)

詳しいことは、ロシアのバレエ・フォーラム、そしてダンソマニに記述があります。

http://forum.balletfriends.ru/viewtopic.php?t=7427&postdays=0&postorder=asc&start=90

http://www.forum-dansomanie.net/forum/viewtopic.php?t=4053&start=540&sid=c4b22857cb16c35d398a5f72215b6ddc

早くも、二人の名前はミハイロフスキーのオフィシャルサイトから削除され、過去の出演予定までも消されてしまいました。
http://www.mikhailovsky.ru/en/theatre/company/ballet/


プレスリリース(ロシア語)
http://www.mikhailovsky.ru/press/news/izmenenie_v_sostave/

本拠地公演に出演しなかったのが問題だったとはいえ、ペレンはミハイロフスキー・バレエの看板バレリーナであり、特に日本での人気は絶大なるプリマです。来年一月の来日公演でも主演予定があり、公演チラシでもメーンビジュアルに起用されています。持ち前の美しさに加えて最近表現力も増して絶好調の彼女、そしてサポート技術や演技力に定評があってロパートキナからもパートナーにも指名されているシェミウノフを失うのは劇場にとって大きな痛手であることは間違いありません。

上記ガーディアン紙のレビューにおいても、ミハイロフスキー劇場の総裁であるケフマンの強引なやり方についての記述があります。バナナ王と揶揄されるケフマンは、ノヴォシビルスク劇場の総裁にも就任しました。ケフマンと懇意のロシアの文化相メジンスキーは、ノヴォシビルスク劇場で上演された「タンホイザー」の演出が神を冒涜しているとして総裁を解雇し、ケフマンを送り込んだのです。ユダヤ人であるケフマンですが、最近のロシア正教会が力を増している現状、ナショナリズム的な動きを後押ししています。芸術の自由を抑圧するプーチン大統領とも懇意であるということが、この記事でも書かれています。ナチョ・ドゥアトが退任した後、バレエ団の芸術監督の地位は空位となっています。(メッセレルは、主席バレエマスター)

一方で、イリーナ・ペレンは現代作品における表現力でも高い評価を得ており、特に前芸術監督であるナチョ・ドゥアトに気に入られ、「眠れる森の美女」など古典の再振付だけでなく、「ホワイト・ダークネス」でも素晴らしいパフォーマンスを見せたようです。

今月末に次期芸術監督が決定するボリショイ劇場といい、ロシアバレエ界は揺れています。その中で、素晴らしい芸術性を持ち、日本でも人気が高いイリーナ・ペレンの踊りが引き続き観られるよう、多くのファンは願っています。


<追記>
ミハイロフスキー・バレエの公式サイトの団員一覧に、イリーナ・ペレン、マラト・シェミウノフの名前が復活しています。解雇が撤回されたのかもしれませんね。
http://mikhailovsky.ru/theatre/company/ballet/


<さらに追記>
結局解雇はされていなかったようで、ペレン、シュミウノフとも、普通に公演に出演していますし、来日公演にも無事来るとのことで、良かったです。

2015/09/13

英国ロイヤル・バレエ/ロイヤル・オペラ 2015/16 ライブシネマシーズン

英国ロイヤル・バレエの映画館上映、2015/16シーズンはなかなか決まりませんでしたが、ようやく発表になっています。

https://www.facebook.com/royaloperahouse.jp

仮のウェブサイトがこちらにできています。
http://roh2015jp.wix.com/cinemaseason


公開予定
 
ロイヤル・バレエ 「ロミオ&ジュリエット」
2015年11月7日公開(本国公演日:9/22)
 

ロイヤル・バレエ 「Viscera/牧神の午後/チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ/カルメン」 
2016年公開(本国公演日:11/12)
 
 
ロイヤル・バレエ 「くるみ割り人形」  
2016年公開(本国公演日:12/16)

ロイヤル・オペラ 「フィガロの結婚」 
2015年冬公開(本国公演日:10/5)

 
ロイヤル・オペラ 「椿姫」 
2016年公開(本国公演日:2/4)
 
  
2015秋より順次開幕!
 
TOHOシネマズ日本橋、TOHOシネマズららぽーと横浜、お台場シネマメディアージュ
TOHOシネマズ名古屋ベイシティ  大阪ステーションシティシネマ ほか


「ロミオとジュリエット」の映像収録日のキャストは、サラ・ラムのジュリエットとスティーヴン・マックレーのロミオです。
http://www.roh.org.uk/showings/romeo-and-juliet-live-2015


リアム・スカーレット振付「Vicera」、ロビンスの「牧神の午後」「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」と共に上演されるのは、注目のカルロス・アコスタ振付の新作「カルメン」です。
http://www.roh.org.uk/showings/carmenvisceraafternoon-of-a-fauntchaikovsky-pas-de-deux-live-2015
Viscera ラウラ・モレーラ、マリアネラ・ヌニエス、平野亮一
牧神の午後 サラ・ラム、未定
チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ ナタリア・オシポワ、スティーヴン・マックレー
カルメン マリアネラ・ヌニェス、カルロス・アコスタ、フェデリコ・ボネッリ


「くるみ割り人形」のキャストは、
http://www.roh.org.uk/showings/the-nutcracker-live-2015
金平糖の精 ローレン・カスバートソン
王子 マシュー・ゴールディング
ドロッセルマイヤー ギャリー・エイヴィス
クララ フランチェスカ・ヘイワード
ハンス・ピーター/くるみ割り人形 アレクサンダー・キャンベル


この後、「ジゼル」「二羽の鳩/ラプソディ」「フランケンシュタイン」が映画館中継作品となっていますが、日本での上映は今のところ不明です。
http://www.roh.org.uk/cinemas

今回は生中継ではなく、後日の上映ですが、その分、1日だけではなくもっと長く観られる可能性もありますね。とにかく映画館でロイヤル・バレエのパフォーマンスが観られることは嬉しいことです。

パリ・オペラ座バレエの「ラ・バヤデール」にマリインスキーのシャプラン、キムがゲスト出演/追記あり

ダンソマニによれば、パリ・オペラ座バレエの「ラ・バヤデール」にマリインスキー・バレエのクリスティーナ・シャプランキミン・キムがゲスト出演するそうです。

http://www.forum-dansomanie.net/forum/viewtopic.php?t=7198&start=30&sid=2fc62723ec4dc5d43a74754d3055aa3e

現在、マリインスキー・バレエのバレエ監督であるユーリ・ファテーエフがゲスト教師としてパリ・オペラ座バレエで招かれて教えているので、その時に決まった話だと思われます。

バンジャマン・ミルピエにFacebookには、このファテーエフがクラスレッスン教えている動画もアップされています。

Mariinsky'Ballet Director teaching at Paris Opera Ballet

Posted by Benjamin Millepied on 2015年9月12日

キミン・キムはマリインスキーではもちろんのこと、ABT、そしてサンクトペテルブルグ・バレエ・シアターでもゲストでソロル役を踊っていますが、シャプランはモスクワ音楽劇場バレエ、ミハイロフスキー・バレエでニキヤ役を踊っているものの、まだマリインスキー・バレエではこの役は未経験です。

なお、パリ・オペラ座の公式サイトに、「ラ・バヤデール」の予定キャストが発表されていますが、今のところはまだ、ゲストの名前は出ていません。

https://www.operadeparis.fr/saison-15-16/ballet/la-bayadere

<9/21追記>
日ごとキャストも出ています。
https://www.operadeparis.fr/saison-15-16/ballet/la-bayadere/distribution#head
シャプランとキムの出演は12月18日と21日です。

なお、オニール八菜さんは、11月17日、初日のガムザッティ役です。ファーストキャストに抜擢されているのは素晴らしいですね。初日は、ニキヤにドロテ・ジルベール、ソロルにマチアス・エイマンです。

ニキヤ 
Amandine Albisson  アマンディーヌ・アルビッソン
Dorothée Gilbert  ドロテ・ジルベール
Laura Hecquet  ローラ・エケ
Myriam Ould-Braham  ミリアム・ウルド=ブラム
Ludmila Pagliero  リュドミラ・パリエロ
Héloïse Bourdon エロイーズ・ブルドン

ソロル
Mathias Heymann  マチアス・エイマン
Josua Hoffalt  ジョシュア・オファルト
François Alu  フランソワ・アリュ
Yannick Bittencourt ヤニック・ビットンクール

ガムザッティ
Valentine Colasante  ヴァランティーヌ・コラサント
Héloïse Bourdon  エロイーズ・ブルドン
Charline Giezendanner  シャルリーヌ・ジザンダネ
Hannah O'Neill  オニール八菜
Marion Barbeau  マリオン・バルボー
Ida Viikinkoski イダ・ヴィキンコスキ


なお、ダンソマニでのプレキャストによれば、
ニキヤ役の代役がエロイーズ・ブルドン、パク・セウン
ソロルの代役がヤニック・ビッテンクール、ユーゴ・マルシャン、ジェレミー・ル・ケール
ガムザッティの代役が エロイーズ・ブルドン、 シャルリーヌ・ジザンダネ、マリオン・バルボー、イダ・ヴィキンコスキ


ブロンズアイドル 
ピエール・アルチュール・ラヴォー、フランソワ・アリュ、エマニュエル・ティボー、代役はアリステル・マディン、ファビアン・レヴィヨン、Contat, Kirscher, Legasa

奴隷
オドリック・ベザール、フロリアン・マニュネ、ヤン・シャイヨー、ヤン・サイズ、Cyril Mitilian 代役 ミカエル・ラフォン、ジェレミー・ル・ケール

影のヴァリエーション 
第一 エヴ・グランツシュタイン、サラ・コラ・ダヤノヴァ、オニール八菜、マリオン・バルボー、オーバーヌ・フィルベール、代役 Roxane Stojanov

第二 メラニー・ユレル、シャルリーヌ・ジザンダネ、エレオノール・ゲリノー、Cristelle Sylvia-Saint-Martin、Pauline Verdusen 代役Leila Dilhac

第三 ヴァランティーヌ・コラサント、エロイーズ・ブルドン、サブリナ・マレム、ファニー・ゴルス、イダ・ヴィキンコスキ、代役Laure Adelaide Boucaud


なお、奴隷の他、大僧正およびラジャ役で出演予定のヤン・サイズが「ラ・バヤデール」で引退するとのことです。


ソロル役に、前回上演の時にソロルを踊ったステファン・ビュリヨン、カール・パケットが出演予定となっておらず、全体的に若手を前面に出したキャストになっています。

ガムザッティの代役に入っているイダ・ヴィキンコスキは、オペラ座初のフィンランド出身ダンサーで、16歳でオペラ座学校に転入し、2013年に入団、現在コリフェなので大抜擢と言えます。この記事によれば今年3月の時点でまだ19歳なので、今も20歳でしょうか。
(キャストが発表され、12月12日に彼女はガムザッティ役を踊ります)

なお、最新情報によればパク・セウンとエヴ・グランツシュタインは現在怪我をしているので、出演できるかどうかはまだはっきりしていません。パク・セウンはまだスジェであるにもかかわらず、マリインスキー・フェスティバルの「ラ・バヤデール」にニキヤ役でゲスト出演しています。

ガムザッティ役の正キャストに入っているオニール八菜さんの最新インタビュー(チャコットのダンスキューブより)
http://www.chacott-jp.com/magazine/interview-report/interview/post-106.html

9/12 アロリー・ゴエルジェ &アントワンヌ・ドゥフォール『GERMINAL ー ジェルミナル』

横浜を舞台にしているダンスフェスティバル、Dance Dance Dance@Yokohamaのプログラムの一環として上演された「ジェルミナル」。2012年のリヨン・ダンスビエンナーレで初演された作品なのだけど、いわゆる「ダンス」ではない。だけど、カテゴライズに囚われない、非常にユニークな作品だった。いわば「脳みそのダンス」というべき作品。

http://dance-yokohama.jp/eventprogram/germinal/

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会場:KAAT神奈川劇術劇場 <大スタジオ>
コンセプト:アロリー・ゴエルジェ&アントワンヌ・ドゥフォール
出演:ジャン-バティスト・ドラノワ、アロリー・ゴエルジェ、
ドゥニ・ロベール、ベアトリッツ・セティヤン・エレギー

(少しですがネタバレがあるのでこれからご覧になる方はご注意ください。観る前には事前に情報を極力仕入れない方が楽しめるかと思います)

暗闇から始まる。明るくなると、がらんとした舞台上の空間には3人の男性と1人の女性、計4人のパフォーマー。最初彼らは言葉を発さず、一人一人が操作盤を持っていて、セリフは字幕のように上部の2枚のスクリーンに映り、その文字で彼らは会話を交わす。そのうち操作盤を使わなくても、会話はスクリーンに映るようになることがわかる。しかし、4人が同時に会話すると、スクリーンに文字が映りきらなかったり、誰が発したセリフなのかがわからなくなったり。セリフの主を識別する方法を彼らは見つけ、そしてやがて、一人の人物が、他の人物の代わりに声を出して話すことができるようになり、さらに一人一人が話しできるように会話術を獲得していく。歌まで歌えるようになるし、日本語を話す人も。彼らが人間として、真っさrな状態から、コミュニケーション術を徐々に身につけてきている様子が寓話的に表現されている。

舞台上に穴を開けた人がいて、そこからマイク、そしてエレキギターが登場。マイクをたたいて「ポクポク」という音がするかしないかで、彼らは自分たちの小宇宙にあるあらゆるものをカテゴライズしようとする。カテゴライズに困った彼らは、ぐちゃぐちゃになった状況を解決すべく、初めて外部と接触し、アウトソーサーのコールセンターに電話する。「スターターパック」を推奨するオペレーター。そこで繰り広げられる、禅問答のような、時に科学的で哲学的な会話の数々の可笑しいことといったら!オペレーターの指示に従ってマニュアルを取り出して操作すると、コンピューターの壁紙のようなスクリーンが幕に映し出される…。

文明の起源、人類の進化、果ては宇宙の起源まで至る壮大な話なのに、四人の男女は、そんな壮大な世界観の中で、ミニマルな閉じた空間でまったりと終わらない日常を生きているのが面白い。メンバー間で恋愛が芽生えることもなければ大きな喧嘩もなく関係性は変化しない。まるでコンピューターゲームのキャラクターのようであるし、ロールプレイングゲームのようでもある。

哲学的なテーマと壮大な世界観がある作品なのに、大上段に構えずわかりやすくて、それでいて奇想天外な発想があちこちに登場する。セリフも大変多い作品であるのだけど、字幕やスクリーン上の表示がとても効果的なため、フランス語での上演であるにもかかわらず、手に取るようによくわかる。これは、字幕を担当した岡見さえさんの功績も大きい。観ている間、客席からは笑い声が絶えないほどの人を食ったようなユーモラスなやり取りがテンポよく続く。一見、特に大掛かりなセットもない簡素な舞台のようなのに、この舞台装置にも意外なアイディアが凝らされていて、驚きに満ちている。最後の収斂の巧みさには思わず舌を巻いた。

ダイジェスト動画

GERMINAL - TEASER ENGLISH SUBS from amicale de production on Vimeo.

これだけ刺激的で面白い舞台を観る機会はそうそうめったにあるものではない。


作・演出のアロリー・ゴエルジェによれば、初演の当日、劇場に観に来た劇場プログラムディレクターや批評家たちから、“この作品はこれから公演ツアーの申し込みが殺到するようになるだろう”と言われたとのこと。それも納得できるほどの、魅力的な作品だ。9月13日までだけど、初日を観た人の評判もありソールドアウト。チケットを買えた人は本当にラッキーだと思う。

アロリー・ゴエルジェの「ジェルミナル」についてのインタビュー記事
http://allabout.co.jp/gm/gc/458162/

2015/09/11

アレッサンドラ・フェリが9年ぶりにジュリエット役をABTで踊る

2007年に一度引退したものの、2013年に復帰して、精力的に活躍しているアレッサンドラ・フェリ。その彼女が、自身を代表していた役柄であるマクミランの「ロミオとジュリエット」を古巣のアメリカン・バレエ・シアターで再び踊ることが発表されました。来年の6月23日、メトロポリタン・オペラハウスで一公演のみで、エルマン・コルネホがパートナーです。

Alessandra Ferri to Return as Juliet for One Performance
http://nyti.ms/1Nk4aeZ

ABTのプレスリリース
http://www.abt.org/insideabt/news_display.asp?News_ID=530

フェリがジュリエットを初めて踊ったのは、1984年、ロイヤル・バレエにおいてでした。1985年にバリシニコフに招かれてABTに移籍した後も踊り続け、ABTでの引退公演もこの役でした。

現在、フェリは、来シーズンにハンブルグ・バレエで上演される、女優エレオノラ・デュースについての作品(ノイマイヤー振付)の準備のためにハンブルグに滞在中です。52歳のフェリは、引退したときにはこんな風に復帰するとは思っていなかったそうですが、様々なプロジェクトが次から次へとやってきたとのことです。

2013年にフェリは、The Piano Upstairsという作品を自ら振り付けて踊り復帰しました。同じ年の年末には、マーサ・クラークの「シェリ」(コレット原作)に主演して好評を博し、共演のエルマン・コルネホはブノワ賞を受賞。「シェリ」は今月、ロイヤル・オペラハウスでも上演されます。今年の5月には、ウェイン・マクレガー振付の「Woolf Works」でヴァージニア・ウルフ役を演じました。

今回のジュリエット役のオファーは、ABTの芸術監督ケヴィン・マッケンジーから来たそうで、大変驚いたものの、とてもエキサイティングで興味深い提案だと感じ、またコルネホと踊ることができることを喜んだとのことです。

14歳の少女というジュリエット役を53歳になるフェリが踊るのは挑戦ですが、様々な人生経験を経てきた彼女ならではの演技が観られることでしょう。一公演のみなので、チケットはきっと争奪戦になることでしょう。見逃せない公演となりますね。

Woolf Worksをリハーサルするアレッサンドラ・フェリ

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シルヴィ・ギエムが世界文化賞を受賞

9月10日、絵画、彫刻、建築、音楽、演劇・映像の各分野で、世界的に顕著な業績をあげた芸術家に授与される「高松宮殿下記念世界文化賞」の今年の受賞者が発表され、その演劇・映像部門にシルヴィ・ギエムが選ばれました。

http://www.nbs.or.jp/blog/news/contents/topmenu/27.html#002230

http://www.praemiumimperiale.org/ja/component/k2/item/327-guillem/327-guillem

1988年に創設された「高松宮殿下記念世界文化賞」は、国境や民族の壁を越えて全世界から、同時代の文化芸術の世界を代表する人物が選ばれます。過去には演劇・映像部門でモーリス・ベジャールやピナ・バウシュ、マース・カニングハムなどの振付家、マイヤ・プリセツカヤ、森下洋子などダンサーが受賞しています。

授賞式は10月21日、都内で行われ、ギエムも出席予定です。

第27回世界文化賞の受賞者
http://www.praemiumimperiale.org/ja/news/news/item/329-2015laureates

■ 絵画部門    横尾 忠則 (日本)
■ 彫刻部門    ヴォルフガング・ライプ (ドイツ)
■ 建築部門    ドミニク・ペロー(フランス)
■ 音楽部門    内田 光子 (イギリス)
■ 演劇・映像部門 シルヴィ・ギエム (フランス)

授賞式典は、日本美術協会 総裁の常陸宮殿下、同妃殿下ご出席のもと、10月21日(水)に東京・元赤坂の明治記念館で行われ、5部門の受賞者には、それぞれ顕彰メダルと感謝状、賞金1500万円が贈られます。

柔軟かつ強靱な肉体と美しい脚線、豊かな表現力で従来の女性ダンサーのイメージを一新、完璧な「6時のポーズ」(180度開脚)の先駆者でもある。十八番は『白鳥の湖』『ドン・キホーテ』『ジゼル』など。1989年、英国のロイヤル・バレエ団に移籍し、世界的な活動を開始。伝統に縛られない演技を貫き通し、ここ10年ほどはコンテンポラリー・ダンスにも取り組んでいる。来日30回以上という大の親日家で、2011年の東日本大震災時には被災者のためにチャリティー公演を実施。今年いっぱいでの引退を表明し、12月の最後の公演は日本で行う予定。

シルヴィ・ギエムのファイナル公演「ライフ・イン・プログレス」のNBS WEBチケット会員 座席選択先行予約は、本日(9月11日)夜9時より。
http://www.nbs.or.jp/stages/2015/guillem/index.html

シルヴィ・ギエム<ライフ・イン・プログレス>のプロモーション動画

「テクネ」(アクラム・カーン振付)、「ヒア・アンド・アフター」(ラッセル・マリファント振付)、2011年の公演でも大きな感動を残した「バイ」(マッツ・エック振付)、そして2人の男性ダンサーによる「デュオ」(ウィリアム・フォーサイス振付)のハイライトシーンです。

常に前を向いてきたギエムは、最後のツアーでも彼女が尊敬する振付家の新作に挑戦しています。

2015/09/10

9/11(日本時間は12日)にロイヤル・バレエの「ロミオとジュリエット」リハーサルのネット中継

ロイヤル・バレエの2015/16シーズンは、9月19日からの「ロミオとジュリエット」で明けます。

その「ロミオとジュリエット」のリハーサルを、ロイヤル・バレエは9月11日、現地時間19:15(日本時間は12日早朝3:15)よりネット中継します。ロイヤル・バレエのWebサイトと、ロイヤル・オペラハウスの公式YouTubeチャンネルにて。

http://www.roh.org.uk/news/romeo-and-juliet-rehearsal-to-be-live-streamed-on-11-september-2015

サラ・ラムと平野亮一さんの1幕と3幕のパ・ド・ドゥ、そしてアレクサンダー・キャンベルが踊るマキューシオ役のリハーサルで、指導するのはクリストファー・サウンダース。

サラ・ラムは開幕公演でジュリエット役を踊りますが、平野さんは、今のところはロミオ役は予定されていないようです。したがって、パリス役なのかもしれませんが、もしかしたら、ロミオ役のアンダースタディなのかもしれませんね。

生中継で日本から観るには、あまりにも深夜過ぎて難しいかもしれませんが、後日、YouTubeで観られるようにアップしてくれる可能性は高いと思います。10月1日の「ワールド・バレエ・デー」に先駆けての素敵なイベントですね。また、「ロミオとジュリエット」は来年のロイヤル・バレエの来日公演での上演も予定されています。


なお、平野亮一さんは、退団したルパート・ペネファーザーの代役として、来年3月28日に「ジゼル」のアルブレヒト役を踊ることが決まっています。ジゼル役は、サラ・ラムです。


こちらは、映画館中継された「ロミオとジュリエット」のバルコニー・シーン、ローレン・カスバートソンとフェデリコ・ボネッリです。


追記:後で削除されるかもしれませんが、この中継されたリハーサルの模様全編が、ロイヤル・バレエの公式YouTubeチャンネルにアップされています。やはり平野さんはパリス役でした。

2015/09/09

ニーナ・アナニアシヴィリのマスタークラス、聴講券発売

ニーナ・アナニアシヴィリが9月9日、10日に横浜赤レンガ倉庫にてマスタークラスを実施しています。

https://www.facebook.com/ananiashvili2015

こちらのマスタークラスですが、当日のレッスンの見学を受け付けています。

♪♪♪ニーナ・アナニアシヴィリ バレエ・マスタークラス♪♪♪
       聴講券当日販売のご案内 

10日(木)17時より横浜赤レンガ倉庫1号館3階ホール受付にてマスタークラスの聴講券を販売します。

中級クラス 17:30-19:00
上級クラス 19:30-21:00
1日券 大人1,000円 小学生以下500円
定員200名(先着)

会場:横浜赤レンガ倉庫1号館3階ホール
神奈川県横浜市中区新港1-1-1

※聴講券の事前予約はございません。
※当日販売のみとなりますので定員200名に達した時点で販売終了となります。予めご了承下さい。

【お問合せ】公益財団法人ジェスク音楽文化振興会
      03-3499-4530(10:00‐18:00 土日祝除く)

ニーナ・アナニアシヴィリが教えるマスタークラスを見学できるめったにないチャンスですね。直前のご案内になってしまいましたが、興味のある方はぜひ。マスタークラス自体もまだ少し空席があるかもしれません。


なお、9月11日には、「ニーナ・アナニアシヴィリ『瀕死の白鳥』in コンサート」という公演も、横浜みなとみらいホールにて行われます。チケットは少しですがまだ残っています。ダンスフェスティバル、Dance Dance Dance @ YOKOHAMA 2015の関連企画です。

http://www.yaf.or.jp/mmh/recommend/2015/09/-in-invitation-a-la-danse.php

2015年9月11日(金)
①12:10 ②19:00

出演者
ニーナ・アナニアシヴィリ(バレエ)
川久保賜紀(ヴァイオリン)、青柳晋(ピアノ)

プログラム
ウェーバー:舞踏への勧誘/ショパン:ワルツ、華麗なる大円舞曲/ストラヴィンスキー:ペトルーシュカ/ラヴェル:ツィガーヌ/サン=サーンス:「白鳥」/他
※ニーナ・アナニアシヴィリは「瀕死の白鳥」のみの出演となります。

お問い合わせ先
横浜みなとみらいホールチケットセンター:045-682-2000

20世紀バレエとクラシックの名曲がどのようにして出会ったのか、演奏を聴きながら20世紀バレエの夜明けを音楽で辿ります。ラストは、息をのむ4分間の奇跡。いよいよアナニアシヴィリの登場。ホールの舞台が青い湖となり、川久保・青柳の演奏にのせて、20世紀バレエの傑作「瀕死の白鳥」に出逢えます。

2015/09/08

10月1日、ワールド・バレエ・デーが帰ってくる

昨年の10月1日に、世界を代表する5つのバレエ団が時間差でリハーサルやクラスレッスン、インタビュー映像をたっぷりと届けてくれた「ワールド・バレエ・デー」。大好評につき、今年も開催されます。

http://worldballetday.com/

参加するのは、昨年と同じ、オーストラリア・バレエ、ボリショイ・バレエ、英国ロイヤル・バレエ、ナショナル・バレエ・オブ・カナダ、そしてサンフランシスコ・バレエです。


オーストラリア・バレエ (メルボルン)
日本時間 10月1日 朝11時~16時まで

クラス・レッスン

リハーサル:芸術監督デヴィッド・マカリスター振付の新作「眠れる森の美女」

舞台裏映像:
オーストラリア・バレエ学校
観客との接点プログラム
バレエ・フィランソロピー
衣装部門

バンガラ・ダンス・シアター、ロイヤル・ニュージーランド・バレエ、中国国立バレエも映像で参加します。


ボリショイ・バレエ (モスクワ)
日本時間 10月1日 16時~19時

クラスレッスン

新作:パクリタル振付「ハムレット」、ポソホフ振付「現代の英雄」

リハーサル

新しいシーズンのプレビュー 海外ツアー、プリセツカヤ追悼ガラなどの紹介

インタビュー:ウラジーミル・ウリン、セルゲイ・フィーリン、ユーリ・ポソホフ、ボリス・アキモフ、ブリジット・ルフェーブル、アザーリ・プリセツキー。
(ところで、今、ボリショイの次期芸術監督の有力候補としてルフェーブルの名前が挙がっているそうです。これはかなり怪しいですよね…)


英国ロイヤル・バレエ (ロンドン)
日本時間 10月1日 19時~24時

クラスレッスン

舞台裏映像 マクミラン振付「ロミオとジュリエット」 ローレン・カスバートソンとフェデリコ・ボネッリ

ディスカッション:バレエの未来 ロイヤル・バレエがホストし、バーミンガムロイヤル・バレエ、ENB、ノーザン・バレエ、スコティッシュ・バレエの映像も紹介


ナショナル・バレエ・オブ・カナダ (本来はトロントですが、モントリオール公演中)
日本時間 10月2日 0時~5時

クラスレッスン

リハーサル:クリストファー・ウィールドン振付「冬物語」

バックステージ映像:ツアー フォーサイス振付「セカンド・ディテール」、ゲッケ振付「薔薇の精」、マクレガー振付「クローマ」のドレスリハーサル

ボストン・バレエとレ・バレエ・ジャズ・ド・モントリオールからの映像もこちらの枠で放映されるとのことです。


サンフランシスコ・バレエ (サンフランシスコ)
日本時間 10月2日 朝5時~10時

クラスレッスン

リハーサル 新しいシーズンの作品と、中国へのツアー公演の作品のリハーサル

インタビュー 芸術監督ヘルギ・トマソン、振付家リアム・スカーレット(ロイヤル・バレエとサンフランシスコ・バレエとの共同制作作品「フランケンシュタイン」について語ります)、振付家ウィリアム・フォーサイス(北米で初演される「Pas/Parts」について語ります)


というわけで、今回も大変充実した内容です。

YouTubeでの生中継の他、今回は、5カンパニー以外のカンパニーも録画映像で参加。ABT、バンガラ・ダンス・シアター(オーストラリア)、バーミンガムロイヤル・バレエ、ボストン・バレエ、ENB、ハンブルグ・バレエ、ヒューストン・バレエ、レ・バレエ・ジャズ・ド・モントリール(カナダ)、中国国立バレエ、NDT、ノーザン・バレエ、パシフィック・ノースウェスト・バレエ、ロイヤル・ニュージーランド・バレエ、スコティッシュバレエです。

(日本のカンパニーの参加がないのは、非常に残念ですよね…)

詳しいプレスリリースはこちらにあります。

http://www.roh.org.uk/news/world-ballet-day-2015-to-take-place-on-1-october

http://balletnews.co.uk/world-ballet-day-live-returns-with-a-23-hour-live-stream/


ボリショイ・バレエは太っ腹にも、前回のワールド・バレエ・デーの生中継4時間分、丸ごと残していてくれているのですよね。生中継で観るのはつらい時間帯のカンパニーもあるので、できるだけ映像はYTに残しておいてほしいです)

今年の予告編

2015/09/06

9/3 サンクトペテルブルグ・バレエ・シアター「白鳥の湖」

サンクトペテルブルグ・バレエ・シアター「白鳥の湖」日本公演
http://www.koransha.com/ballet/tachikin2015/

オデット/オディール:イリーナ・コレスニコヴァ
ジークフリート:ワディム・ムンタギロフ
ロットバルト:ドミトリー・アクリーニン

王妃:ナタリア・スミルノワ
家庭教師:ディムチク・サイケーエフ
道化:アンドレイ・フェドルコフ

パ・ド・トロワ:ミハイロ・トカチュク,直塚美穂,リュドミラ・ミジノワ
小さい白鳥:ヴァレリア・アンドロポワ,ラリッサ・ファブリクノワ,橋本有紗,直塚美穂
大きい白鳥:リュドミラ・ミジノワ,マリア・ベリカイア

イタリア(ナポリ):アントン・マリツェフ,橋本有紗
ハンガリー(チャルダッシュ):グレゴリー・イワノフ,エリザヴェータ・サヴィナ
ポーラント(マズルカ):イーナ・スヴェチニコヴァ,ゲルマン・シュナイダー

指揮:ティムール・ゴルコヴェンコ
管弦楽:東京ニューシティ管弦楽団


8月中旬から10日間のロンドン公演を終えて東京にやってきたサンクトペテルブルグ・バレエ・シアター。今年の夏は、ロンドンで恒例のマリインスキーまたはボリショイの引っ越し公演もなかったため、チケットの売れ行きも良く、急きょ追加公演まで行われたという。ロンドン公演にもゲスト出演していたワディム・ムンタギロフ(ロイヤル・バレエ)とデニス・ロヂキン(ボリショイ・バレエ)、さらにキエフ・バレエで最近ではABTとウィーン国立バレエにもゲスト出演しているデニス・ニェダクも出演した東京公演。

だが、日本のバレエファンは、夏の世界バレエフェスティバル他様々なバレエ公演でお金を使い果たしたらしく、チケットの売れ行きは芳しくなかった。バレエフェスにも出演して人気がさらに高まったムンタギロフをもってしても、この日は空席が目立った。

イリーナ・コレニスコヴァは、4年前の来日公演の時点で700回もオデット/オディールを踊っているという。ロンドン公演でも、ロヂキン相手に10回(「ラ・バヤデール」も含む)、ムンタギロフ相手に2回踊ったとのこと。マリインスキーでオデットを踊っているようなバレリーナのような、細身で手脚の長いタイプではないけれども、腕、背中の柔軟性が飛びぬけており、首の動かし方が絶妙で一つ一つの動きにゆらめく感情が感じられる。特に腕の繊細なのに雄弁な動かし方は、今までに見たことがないような独特の表現があって、ぞくぞくするほどドラマティックだった。再び白鳥の姿に変えられたところの動きなども、自然なのだけど、ここで白鳥に戻ったんだ、というのがよくわかる。

彼女のオデットは、白鳥というよりは人間の女性的なのだが、その中でも人ならざる存在の妖しさが感じられて、有無を言わせないような魅力がある。この濃い感情表現が苦手に思う人もいるかもしれないけれども、突出した個性があって惹きつけられた。なお、彼女を現在指導しているのは、往年のマリインスキーのプリマ、リュドフィ・クナコワである。

コレニスコヴァのオディールの高慢な悪女ぶりも鮮烈だった。ここの白鳥は、基本的にはセルゲイエフ版を踏襲しているのでヴァリエーションは一番ポピュラーなものだけど、アティチュードターンは3回転で技術の高さを見せてくれ、またグランフェッテも、最初と最後のトリプル以外は非常に速くて正確なシングルだった。アダージオで白鳥のふりをするところは一瞬で白鳥に変身していたのがすごい。そして王子が結婚を誓うところを見ている時の邪悪な微笑み。公演のイメージヴィジュアルもこのシーンを使っているけれども、このあたりの演技も非常に細かくて、心の底から楽しそうにじっくり嘲笑するところが、ますます悪い人って感じで楽しかった。最後に王子がロットバルトを倒して、人間に戻ってことが分かったことを表現するマイムなど演技は、人間に戻ることができた歓びが素直に表現されていた。

ワディム・ムンタギロフは、世界バレエフェスティバルが終わってから休む間もなくロンドンでの公演、そのまま日本公演と超多忙な中でも、クオリティの高いパフォーマンスを見せてくれた。ほぼセルゲイエフ版と同じこの「白鳥の湖」は、王子が踊るところが少ないのだけど、隅々まで行き届いた端正で美しい動き、大きな弧を描く跳躍、柔らかい着地。長い首の上に乗った小さな顔、非常に長くてラインの美しい脚と確かなサポート技術。王子様だというのがよくわかる気品。彼の演じた王子は非常に若くて、純真で素直でひたむきで、3幕でオディールの前で踊るヴァリエーションでの嬉しそうな表情と踊りも印象的だった。突然現れたオデットに熱烈に恋におち、一途にオデットを愛していて、果敢にロットバルトに立ち向かう。ムンタギロフの清潔感あふれる個性はやはりこのような貴公子的な役柄で光るものがある。

この素晴らしい主役二人を観ることができただけでも、入場料の元を取ったようなものだった。
(こんなに割引チケットが出回ると思わず、うっかり定価で買ってしまっていたのだけど)
二人の愛の物語であることがきちんと伝わってきたので、素直に感動できた。

サンクトペテルブルグ・バレエ・シアターのダンサーは、ワガノワ出身者もいれば、それ以外のノヴォシビルスク、サラトフ、キエフ、クラスノダールなどの学校出身者もいる。女性ダンサーたちは皆容姿が美しく、ロシア人らしい膝裏がまっすぐに伸びて顔の小さい人が多い。ただし、コール・ド・バレエはあまり揃っていなくて、白鳥のコール・ドも18人と少人数だった。(団員数も44人とやや小規模である) 

その中で、パ・ド・トロワ、4羽の小さな白鳥、花嫁候補、3幕の2羽の白鳥を踊った直塚美穂さんが素晴らしかった。塚本洋子バレエ団を経てワガノワ・アカデミーを卒業して2013年に入団、去年のバレエ・アステラスにも出演。埼玉全国舞踊コンクール2011 クラシックジュニア 第3位の2だったので、まだ非常に若いはず。ロシア人と並んでもプロポーションに遜色がなく、アラベスクの美しさ、柔らかい背中、正確なテクニック。日本だからたくさん踊ったというわけではなく、ロンドン公演の批評でも大変褒められていたのだけど、その絶賛も当然だろう。特に2羽の白鳥を踊った時のラインの美しさと抒情性は印象的だった。

4羽の小さな白鳥、ナポリを踊った橋本 有紗さんも非常に良かった。法村友井バレエ学校出身とのこと。全体的にあまり揃っていなかった白鳥のコール・ドだったけど、4羽は良く揃っていて良い出来だったと感じられた。

ロットバルトは最終幕では王子と対決し、たくさん跳躍を見せるなど活躍する。ほかの公演日では、デニス・ロヂキンやデニス・ニェダクも演じたこの役は、プリンシパルのドミトリー・アクリーニンが踊り、ダイナミックな跳躍を見せてくれた。最後のシーンは翼をもがれて転がっているロットバルトそのままのところなのでちょっとシュールな感じではあるけれども、基本的には正統派、王道のロシア的な「白鳥の湖」だったので良い幕切れ。

道化のアンドレイ・フェドルコフは1幕のグランドピルエットが見事だったり、テクニックのある良いダンサー。ただし、男性で他に良いと感じられるダンサーはいなかった。残念だったのは、3幕の民族舞踊のシーンが、スペイン以外はあまり冴えなくて、退屈に感じられてしまったこと。ロシアのカンパニーなのに、キャラクターダンスが弱いようだ。

当初予定されていた劇場専属のオーケストラの来日がキャンセルされてしまって、東京ニューシティ管弦楽団に代わってしまったのは残念。急きょの変更で、合わせる時間も十分ではなかったのか、ミスが目立ち、またダンサーが音に合わせるのに苦労していたようだった。舞台装置は重厚かつ華麗で美しく、衣装もきれいだったので、音楽面がそんなことになってしまったのは残念。

このように、問題点や欠点も多く見受けられた公演ではあったけれども、イリーナ・コレニスコヴァの素晴らしいオデット/オディール、ワディム・ムンタギロフの貴公子ぶり、これからが楽しみな直塚美穂さん、王道のロシア的演出と、これだけでも十分楽しめた。それだけに、お客さんの入りが悪かったのが残念である。

岩田守弘さん出演CMスペシャルサイトオープン

ボリショイ・バレエのファースト・ソリストとして長年活躍し、今はブリヤート共和国国立バレエ団の芸術監督として活動する岩田守弘さん。

9月3日には、ブリャート国立アカデミーオペラ・バレエ劇場で3日夜、日ロの平和を願う岩田さんが企画したイベント「ロシア・日本平和友好文化フェスティバル」が開催されました。岩田さんが演出、振り付けを手がけたバレエ作品「魂」を、ボリショイ・バレエのニーナ・カプツォーワを迎えて上演し、劇場では書道展が開かれたほか、十二単の着付けや太鼓芸能集団「鼓童」の演奏なども披露されたとのことです。

シベリアで日ロ平和フェス バレエや太鼓演奏披露
http://www.sankei.com/photo/daily/news/150904/dly1509040013-n1.html

シベリア抑留の地で日本人が追悼バレエ(映像あり)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150904/k10010215761000.html

その岩田さんが、アデランスのCMに出演しました。
http://mainichi.jp/select/news/20150821k0000m040080000c.html

http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000095.000010292.html

岩田守弘スペシャルサイトが開設され、CM映像、CMメイキング映像、インタビューや写真が掲載されています。

http://www.aderans.jp/morihiroiwata/

ブリヤート共和国ウラン・ウデで撮影されたCMと、2本のメイキング映像では、44歳の今も素晴らしいテクニックを発揮して踊り、髪も増量して若々しく自信に満ちた岩田さんの姿を観ることができます。ブリヤート共和国国立バレエ団を指導する様子も。サイトのつくりも非常にスタイリッシュですし、バレエダンサーにとってカツラを着用することは非常にポジティブだしかっこいいこと、というメッセージも伝わってきます。


なお、9月13日には、岩田さんはブリヤート共和国国立バレエ団を率いて、富士山を望む野外劇場「河口湖ステラシアター」にて「白鳥の湖」を上演します。9月10〜13日開催の祭典「フジバレエ」のプログラムの一つです。岩田さん自身も道化役で出演します。


Interview:岩田守弘 秀吉役で自演の舞台も シベリアのバレエ団率い凱旋
http://mainichi.jp/shimen/news/20150827dde012200002000c.html


10月11、12の両日には、振付家兼ダンサーとして自作「出会い−−信長」を国立劇場で上演します。ファルフ・ルジマトフを織田信長に見立て、自身は豊臣秀吉にふんする新作です。日本舞踊の藤間蘭黄が演出と、斎藤道三らの役を受け持ちます。
https://www.facebook.com/RUS.FES.NOBUNAGA

岩田さんが、様々な活動をロシア、そして日本で活発に行い、今も現役ダンサーとして見事なテクニックも維持して活躍している姿には胸を打たれますね。

2015/09/05

第43回レオニード・マシーン賞発表

ブノワ賞と並ぶ国際的に権威あるダンス賞であるレオニード・マシーン賞の受賞者が発表されました。授賞式は9月5日にイタリアのポジターノにて行われます。

http://www.positanopremialadanza.it/web/news/

特別功労賞 
Lutz Forster (ピナ・バウシュ ヴッパタール舞踊団芸術監督)

最優秀作品賞 
ロイヤル・バレエ、ウェイン・マクレガー振付「Woolf Works」

ブノワ・マシーン モスクワ・ポジターノ賞 
エドワード・ワトソン(ロイヤル・バレエ) ※受賞者はその年のブノワ賞受賞者から選ばれる。

国際的に活躍する最優秀(女性/男性)ダンサー賞 
エカテリーナ・クリサノワ(ボリショイ・バレエ)、マチアス・エイマン(パリ・オペラ座バレエ)

最優秀振付家 
リアム・スカーレット

国際的に活躍する最優秀新人(女性/男性)ダンサー賞 
ローラ・エケ(パリ・オペラ座バレエ)、イザック・エルナンデス(ENB)

最優秀コンテンポラリーダンサー賞 
Francesca Foscarini(フリー)、Brigel Giokaと Riley Watts(フォーサイス・カンパニー)

イタリアの最優秀ダンサー賞
ダヴィッド・ダト(ウィーン国立バレエ)

なお、このレオニード・マシーン賞の予告編映像には、昨年ブノワ・マシーン モスクワ・ポジターノ賞を受賞した木田真理子さんと、アナ・ラグーナの「ジュリアとロミオ」を踊る昨年の授賞式公演の様子も少し流れます。さらに、スティーヴン・マックレー、エレオノラ・アバニャート&バンジャマン・ペッシュ、ザンダー・パリッシュとオクサーナ・スコリクなどの映像も。

2015/09/03

ラ・ラ・ラ・ヒューマンステップスが解散

鬼才エドゥアール・ロック率いるカナダ・モントリオールのダンスカンパニー、ラ・ラ・ラ・ヒューマンステップス。

来日公演も何度もしており、デヴィッド・ボウイなどのミュージシャンとのコラボレーションでも知られています。エドゥアール・ロックのミューズでもあったカリスマ的な女性ダンサー、ルイーズ・ルカバリエが主演したスリリングな「ベラスケスの小さな美術館」は劇場公開され、また超高速のポワント技術を駆使した「アメリア」は大きな人気を呼びました。

そのラ・ラ・ラ・ヒューマンステップスが35年間の活動に終止符を打ち、解散することを発表しました。エドゥアール・ロックは、芸術監督と振付家を辞任し、カンパニーは消滅します。

http://www.lalalahumansteps.org/english-1980-2015/

最後に行ったツアーで大きな赤字を残してしまい、今後の財政的な支援の拡大も望めないことが、解散の大きな理由ということで、非常に残念なことです。

オフィシャルサイトで、エドゥアール・ロックは、カンパニーを支えてきたダンサーたち、スタッフ、そしてコラボレーションしたミュージシャン、照明、衣装などの舞台芸術家たち、モントリオール市やカナダのアーツカウンシル、そして公演を行った劇場への感謝の意を、一つ一つ名前を挙げて表明しています。日本では、びわ湖ホール、Bunkamura、さいたま芸術劇場、さらには会津、大分、高知などの劇場の名前が挙げられています。こんなにも世界中の多くの都市で公演してきたのかと驚きました。

クラシック・バレエとコンテンポラリーを融合させた斬新な振付、最先端のアーティストたちとのコラボレーション、抜群のビジュアルセンスなど、ラ・ラ・ラ・ヒューマンステップスは素晴らしい作品を残してきました。ダンサーたちも、美しくテクニックの高いアーティストばかりでした。解散が惜しまれます。

エドゥアール・ロックは、ラ・ラ・ラ・ヒューマンステップス以外でも、数々のカンパニーに振付を行っており、特にパリ・オペラ座バレエでは、代表作の一つ「アメリア」と、2002年に初演され、昨年リバイバル上演された「AndréAuria」など、3作品がレパートリーとして上演されています。また、2011年にはディアナ・ヴィシニョーワのために作品も創作しています。今後も振付家としての活動は続けます。

「アメリア」

「ベラスケスの小さな美術館」

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2015/09/02

パリ・オペラ座の公式サイトリニューアル

パリ・オペラ座の公式サイトがリニューアルされています。
https://www.operadeparis.fr/

演目ごとのチケット発売日なども載っているので、チケットも買いやすいのではないかと思われます。

https://www.operadeparis.fr/billetterie

そして、カドリーユに至るまで、ダンサー全員のプロフィールが、撮り下ろしのスタイリッシュなプロフィール写真と共にアップされ、エトワールについては動画もアップ。期間限定の契約団員も名前だけは載っています。

https://www.operadeparis.fr/artistes/ballet/ballet-compagnie

ただ、徹底的にシンプルでスタイリッシュなあまり、演目ごとの紹介も、トップ画像は舞台などの写真ではなくイメージ写真なので、ちょっとピンときにくいところもあるのではないかと感じました。

なお、9月15日には、新しい試み「 3e Scene 」が始まります。
https://www.operadeparis.fr/bande-annonce-3e-scene

作曲家、振付家、ビジュアルアーティスト、演出家、映画監督、作家などが劇場を離れたところでクリエーションできるデジタルプラットフォーム、とのことです。詳細はこの日に明らかにされることでしょう。


2015/09/01

8/29 Dance Dance Dance @ YOKOHAMA 2015 東京バレエ団 横浜ベイサイドバレエ

横浜市が、3年に一度のダンスの祭典として開催しているDance Dance Dance @ YOKOHAMA 2015のプログラム<横浜ベイサイドバレエ>

http://dance-yokohama.jp/eventprogram/dance/

実は私は野外でバレエを観たことがなかった。前の週に開催された「横浜ベイサイドステージ」が初めての野外ダンス鑑賞だったというわけである。この「ベイサイドステージ」も、蛯名健一(EBIKEN)、DAZZLE,HIDEBOH featuring AFRA, ARTE Y SOLERAというバラエティに富んだ豪華ラインアップで、とても楽しい舞台だった。

赤レンガ倉庫
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当日横浜は、雨の予報。3時に公演開催が発表され、開演時間は雨が降っていなくて一安心。8月にしては異例の気温の低さのため、防寒対策も呼びかけられていた。 象の鼻パーク 特設ステージ、舞台の向こうにはベイブリッジ。客席方面には黄昏ゆく、みなとみらいの夜景という美しいシチュエーションだ。


「タムタム」
振付 フェリックス・ブラスカ、音楽 ジャン=ピエール・ドゥルエ/ピエール・チェリザ
ソロ 岸本秀雄
パ・ド・ドゥ 吉川留衣、梅澤紘貴
パーカッション ヴァンサン・バウアー
トムトム アドリアーノ・ホセ・ドス・サントス・テノリオ

パーカッションとトムトムが舞台上での生演奏なのが嬉しい。アフリカンな印象のあるこの音楽は、野外公演にとても似合っている。まずは岸本さんのソロから。身体のラインの美しい岸本さんは、一つ一つのポジションが美しく、伸びやかでとても丁寧に踊っていた。彼はこの日3演目で出演と大活躍。トムトムの演奏に乗って、女性ダンサーたちが3人ずつ登場しての群舞、男性ダンサーたちも加わる。群舞の女性ダンサーたちは、音楽によく乗っていて、それでいて良く揃っていて美しくも躍動感あふれて楽しげな雰囲気を作り出してくれた。吉川さんと梅澤さんの美男美女によるパ・ド・ドゥ。吉川さんもほっそりとした身体のラインの美しさが際立つ。複雑なパートナーリングも見事にこなしていたけれど、少し組体操っぽい振付。そして再びトムトムの音楽によるクライマックスへ。ダンサーたちのリズムの乗り方は素晴らしいけど、ポワントを履いた踊りでクラシックバレエ的な生真面目さもある。ラストでの昂揚感で肌寒さも吹き飛んだ。

こちらの動画では、ソロは木村和夫さんが踊っている。


「ドン・キホーテ」第1幕より

キトリ 上野水香
バジル 木村和夫
ドン・キホーテ 安田峻介
サンチョ・パンサ 氷室友
ガマーシュ 岡崎隼也
メルセデス 奈良春夏
エスパーダ 森川茉央
二人のキトリの友人 乾友子、吉川留衣
ロレンツォ 永田雄大
東京バレエ団、東京バレエ学校

東京バレエ団のお家芸である「ドン・キホーテ」。決して広くはない舞台上に、子役を含めたたくさんのダンサーを載せて、非常に楽しく演じてくれた。舞台の上に立っている一人一人が細かく演技しているので、どこを見ていいのかわからなくなるほど。まずは木村さんが久しぶりにバジル役を演じてくれたのが嬉しい。綺麗に伸びたつま先、細かい足捌き、高く上がる脚、舞台上にいるほかの誰よりも美しい踊りを見せてくれた。片手リフトは回避してキトリを両手で上げていたけれども、ここは通常の劇場の舞台ではないのだし安全策で良いと思う。一見真面目そうなバジルだけど、しっかりとキトリの友人たちを口説いて見せたり、結構隅におけないプレイボーイだった。上野さんも、キトリはキャラクターに良く合っていて、細かいマイムも見せてくれたし、カスタネットのソロでのピッと高く上がるバットマン、柔軟性を生かした跳躍など見ごたえがあった。二人の間の会話が聞こえてきそうな演技も良かった。

アンサンブルが非常に充実していて、夜空に舞う色とりどりの女性ダンサーたちの衣装が美しい。安田さんはもしかしたら初めてのドン・キホーテ役かもしれないけれども、キャラクテールの演技も笑わせてくれた。トランポリンで放り投げられるサンチョ・パンサの岡崎さんも、夜空に高く舞い上がりながらひねりも入れていてお見事。エスパーダの森川さんは、長身でかっこよいのだが、ちょっと膝がゆるいのと、マント捌きに少し難あり。舞台が狭くて思う存分に動けないところもあるかもしれないのだが。闘牛士の中で、岸本さん、松野さんはクラシカルで目を引く。キトリの友人役2人は実力派でレベルが高いし、女性コール・ドの艶やかさも印象的だった。子役たちも魚を振り回したり大活躍して、観る者を笑顔にするような素敵な舞台だった。


「ボレロ」
振付:モーリス・ベジャール
音楽:モーリス・ラヴェル

柄本 弾
杉山優一、岸本秀雄、森川茉央、永田雄大

「ドン・キホーテ」が終わって場面転換の間に、ポツポツと小雨が降り始めた。気温も下がっており、観客は雨具や防寒着を身につけ始めた。少し風もあり、悪条件の中での柄本さんのボレロ・デビュー。

スポットライトに手が照らされての始まりはなかなか良い感じだったけど、「ボレロ」はやはり難物。プリエが浅い、とかポーズのキメが足りない、といったところが見えて、振付をなぞっているようにも思えてしまった。そのうえ、雨で円卓の上は滑りやすそうな状態。いっぱいいっぱいだった。しかし柄本さんは、逞しい上半身がこの作品に似合っているし、一生懸命に作品と格闘しているように見えて、その青年らしいひたむきさは大変好ましく思えた。「ボレロ」は振付通りに美しく踊ればいいというのものではなくて、踊る人の精神性が見えてこなければ空虚な作品になってしまう。美しい踊りよりも、内面が見える踊り。

柄本さんの踊りには、東京バレエ団の中で積み重ねられ、受け継がれてきたベジャールのスピリットが、確かに存在しているのが見えた。そして、彼を支えるリズムの面々。仲間の晴れ舞台を支えようと、彼らが一丸となって力を振り絞っているところに心を打たれた。東京バレエ団の男性のレベルも上がってきていて、特にソリスト4人は、柄本さんとレベルの違いはほとんどない。ここでも、岸本さんの美しさに目を奪われた。メロディ役が突出しているのではなく、全員で一つの作品となっている。こういう未完成で未熟なボレロも、心を打つものがある。そして柄本さんのひたむきさは、いつか大きな花を咲かせるだろう。小雨が舞う中、なかなか忘れがたいような舞台に出会えたと感じた。

横浜のみなとみらい、象の鼻テラスという比較的アクセスが良く夜景の美しいで場所の野外バレエは、天気には恵まれなかったものの、とても素敵な体験だった。演目も、野外向けの楽しい作品をそろえてくれたし、東京バレエ団のパフォーマンスも素晴らしくて満足度が高かった。思ったより見づらさもなく、音響もちょうどよい音量だった。非常に良い企画だったと思う。事前に雨具や防寒着を用意していったので、思ったより大変ではなかった。ぜひとも、この企画は続けてほしいと思う。

Dance Dance Dance @ YOKOHAMA 2015は、約200プログラムという大規模なダンスの祭典。「横浜バレエフェスティバル」「横浜ベイサイドステージ」とすでにいくつかのプログラムに参加してきたけれども、10月4日までこの祭典は続く。まだまだこれからいくつもの公演を楽しむ予定。

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