2022年12月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

ブログパーツ

  • HMV検索
    検索する
無料ブログはココログ

« 『Stars in the Moonlight 月夜に煌めくエトワール ~Music & Ballet Concert~』9/1チケット発売 | トップページ | パリ・オペラ座の公式サイトリニューアル »

2015/09/01

8/29 Dance Dance Dance @ YOKOHAMA 2015 東京バレエ団 横浜ベイサイドバレエ

横浜市が、3年に一度のダンスの祭典として開催しているDance Dance Dance @ YOKOHAMA 2015のプログラム<横浜ベイサイドバレエ>

http://dance-yokohama.jp/eventprogram/dance/

実は私は野外でバレエを観たことがなかった。前の週に開催された「横浜ベイサイドステージ」が初めての野外ダンス鑑賞だったというわけである。この「ベイサイドステージ」も、蛯名健一(EBIKEN)、DAZZLE,HIDEBOH featuring AFRA, ARTE Y SOLERAというバラエティに富んだ豪華ラインアップで、とても楽しい舞台だった。

赤レンガ倉庫
11896257_10206573369165153_53649272

当日横浜は、雨の予報。3時に公演開催が発表され、開演時間は雨が降っていなくて一安心。8月にしては異例の気温の低さのため、防寒対策も呼びかけられていた。 象の鼻パーク 特設ステージ、舞台の向こうにはベイブリッジ。客席方面には黄昏ゆく、みなとみらいの夜景という美しいシチュエーションだ。


「タムタム」
振付 フェリックス・ブラスカ、音楽 ジャン=ピエール・ドゥルエ/ピエール・チェリザ
ソロ 岸本秀雄
パ・ド・ドゥ 吉川留衣、梅澤紘貴
パーカッション ヴァンサン・バウアー
トムトム アドリアーノ・ホセ・ドス・サントス・テノリオ

パーカッションとトムトムが舞台上での生演奏なのが嬉しい。アフリカンな印象のあるこの音楽は、野外公演にとても似合っている。まずは岸本さんのソロから。身体のラインの美しい岸本さんは、一つ一つのポジションが美しく、伸びやかでとても丁寧に踊っていた。彼はこの日3演目で出演と大活躍。トムトムの演奏に乗って、女性ダンサーたちが3人ずつ登場しての群舞、男性ダンサーたちも加わる。群舞の女性ダンサーたちは、音楽によく乗っていて、それでいて良く揃っていて美しくも躍動感あふれて楽しげな雰囲気を作り出してくれた。吉川さんと梅澤さんの美男美女によるパ・ド・ドゥ。吉川さんもほっそりとした身体のラインの美しさが際立つ。複雑なパートナーリングも見事にこなしていたけれど、少し組体操っぽい振付。そして再びトムトムの音楽によるクライマックスへ。ダンサーたちのリズムの乗り方は素晴らしいけど、ポワントを履いた踊りでクラシックバレエ的な生真面目さもある。ラストでの昂揚感で肌寒さも吹き飛んだ。

こちらの動画では、ソロは木村和夫さんが踊っている。


「ドン・キホーテ」第1幕より

キトリ 上野水香
バジル 木村和夫
ドン・キホーテ 安田峻介
サンチョ・パンサ 氷室友
ガマーシュ 岡崎隼也
メルセデス 奈良春夏
エスパーダ 森川茉央
二人のキトリの友人 乾友子、吉川留衣
ロレンツォ 永田雄大
東京バレエ団、東京バレエ学校

東京バレエ団のお家芸である「ドン・キホーテ」。決して広くはない舞台上に、子役を含めたたくさんのダンサーを載せて、非常に楽しく演じてくれた。舞台の上に立っている一人一人が細かく演技しているので、どこを見ていいのかわからなくなるほど。まずは木村さんが久しぶりにバジル役を演じてくれたのが嬉しい。綺麗に伸びたつま先、細かい足捌き、高く上がる脚、舞台上にいるほかの誰よりも美しい踊りを見せてくれた。片手リフトは回避してキトリを両手で上げていたけれども、ここは通常の劇場の舞台ではないのだし安全策で良いと思う。一見真面目そうなバジルだけど、しっかりとキトリの友人たちを口説いて見せたり、結構隅におけないプレイボーイだった。上野さんも、キトリはキャラクターに良く合っていて、細かいマイムも見せてくれたし、カスタネットのソロでのピッと高く上がるバットマン、柔軟性を生かした跳躍など見ごたえがあった。二人の間の会話が聞こえてきそうな演技も良かった。

アンサンブルが非常に充実していて、夜空に舞う色とりどりの女性ダンサーたちの衣装が美しい。安田さんはもしかしたら初めてのドン・キホーテ役かもしれないけれども、キャラクテールの演技も笑わせてくれた。トランポリンで放り投げられるサンチョ・パンサの岡崎さんも、夜空に高く舞い上がりながらひねりも入れていてお見事。エスパーダの森川さんは、長身でかっこよいのだが、ちょっと膝がゆるいのと、マント捌きに少し難あり。舞台が狭くて思う存分に動けないところもあるかもしれないのだが。闘牛士の中で、岸本さん、松野さんはクラシカルで目を引く。キトリの友人役2人は実力派でレベルが高いし、女性コール・ドの艶やかさも印象的だった。子役たちも魚を振り回したり大活躍して、観る者を笑顔にするような素敵な舞台だった。


「ボレロ」
振付:モーリス・ベジャール
音楽:モーリス・ラヴェル

柄本 弾
杉山優一、岸本秀雄、森川茉央、永田雄大

「ドン・キホーテ」が終わって場面転換の間に、ポツポツと小雨が降り始めた。気温も下がっており、観客は雨具や防寒着を身につけ始めた。少し風もあり、悪条件の中での柄本さんのボレロ・デビュー。

スポットライトに手が照らされての始まりはなかなか良い感じだったけど、「ボレロ」はやはり難物。プリエが浅い、とかポーズのキメが足りない、といったところが見えて、振付をなぞっているようにも思えてしまった。そのうえ、雨で円卓の上は滑りやすそうな状態。いっぱいいっぱいだった。しかし柄本さんは、逞しい上半身がこの作品に似合っているし、一生懸命に作品と格闘しているように見えて、その青年らしいひたむきさは大変好ましく思えた。「ボレロ」は振付通りに美しく踊ればいいというのものではなくて、踊る人の精神性が見えてこなければ空虚な作品になってしまう。美しい踊りよりも、内面が見える踊り。

柄本さんの踊りには、東京バレエ団の中で積み重ねられ、受け継がれてきたベジャールのスピリットが、確かに存在しているのが見えた。そして、彼を支えるリズムの面々。仲間の晴れ舞台を支えようと、彼らが一丸となって力を振り絞っているところに心を打たれた。東京バレエ団の男性のレベルも上がってきていて、特にソリスト4人は、柄本さんとレベルの違いはほとんどない。ここでも、岸本さんの美しさに目を奪われた。メロディ役が突出しているのではなく、全員で一つの作品となっている。こういう未完成で未熟なボレロも、心を打つものがある。そして柄本さんのひたむきさは、いつか大きな花を咲かせるだろう。小雨が舞う中、なかなか忘れがたいような舞台に出会えたと感じた。

横浜のみなとみらい、象の鼻テラスという比較的アクセスが良く夜景の美しいで場所の野外バレエは、天気には恵まれなかったものの、とても素敵な体験だった。演目も、野外向けの楽しい作品をそろえてくれたし、東京バレエ団のパフォーマンスも素晴らしくて満足度が高かった。思ったより見づらさもなく、音響もちょうどよい音量だった。非常に良い企画だったと思う。事前に雨具や防寒着を用意していったので、思ったより大変ではなかった。ぜひとも、この企画は続けてほしいと思う。

Dance Dance Dance @ YOKOHAMA 2015は、約200プログラムという大規模なダンスの祭典。「横浜バレエフェスティバル」「横浜ベイサイドステージ」とすでにいくつかのプログラムに参加してきたけれども、10月4日までこの祭典は続く。まだまだこれからいくつもの公演を楽しむ予定。

« 『Stars in the Moonlight 月夜に煌めくエトワール ~Music & Ballet Concert~』9/1チケット発売 | トップページ | パリ・オペラ座の公式サイトリニューアル »

バレエ公演感想」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 『Stars in the Moonlight 月夜に煌めくエトワール ~Music & Ballet Concert~』9/1チケット発売 | トップページ | パリ・オペラ座の公式サイトリニューアル »