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2015年8月

2015/08/30

『Stars in the Moonlight 月夜に煌めくエトワール ~Music & Ballet Concert~』9/1チケット発売

理想的なスタイルと類まれな芸術性をもつパリ・オペラ座バレエの人気エトワール エルヴェ・モローと、美しい容姿も兼ね備えた新進気鋭のメキシコ人ピアニスト ジョルジュ・ヴィラドムスが、昨年NYカーネギー・ホールにて行ったバレエと音楽の夕べ

これまでにない贅沢な音楽とバレエの共演で、カーネギー・ホールは歓喜の渦に包まれました。この企画がさらにパワーアップし、2016年1月、『Stars in the Moonlight 月夜に煌めくエトワール ~Music & Ballet Concert~』として日本に上陸します。

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(c) Ann Ray

公式サイトもオープンしています。
http://www.bunkamura.co.jp/orchard/lineup/16_stars/index.html

日本公演には、座長のモロー、ヴィラドムスに加え、オペラ座エトワールのマチュー・ガニオ、ドロテ・ジルベール、ヴァイオリニストの三浦文彰が出演。

実力はもちろん美しい容姿をも兼ね備える最高にゴージャスな5名がお贈りするのは、世界初演2作品と日本初演3作品を含むバレエと独奏で構成された計11作品。シューベルトを魅了した19世紀の詩人ザイドルによる『さすらい人が月に寄せる歌』からインスピレーションを得た“月、夜、旅人”をキーワードにした至極の作品群は、まさに5人の才能を味わい尽くすことができる贅沢なプログラムとなっています。

この公演のチケットが、9月1日(火)10:00からMy Bunkamuraにより先行<先着>販売開始されます。
エルヴェ・モローの直筆サイン色紙を、MY Bunkamuraにて本公演のチケットをご購入した方の中から抽選で3名に当たるプレゼントも実施されます。


エルヴェ・モローが日本のために企画した公演とは?
http://feature.madamefigaro.jp/culture/150806ballet/
(エルヴェ・モローが、フィガロ・ジャポンでこの公演にかける想いと、それぞれの演目について語ったインタビュー記事。これを読むと、どんな公演になりそうなのかがよくわかります)

また、最新のダンスマガジンでは、エルヴェ・モローが三浦雅士氏と対談し、今までの道のりと、アーティストとしての心構え、より演劇的な役を好むことについて語っています。映画や文学が好きで、作品を踊るときには原作を熟読するなどリサーチを欠かさないという彼だからこそ、ドラマティックな役柄に深みを持って演じることができるのですね。

公演日程
2016/1/10(日)18:00開演
2016/1/11(月・祝)15:00開演

会場
Bunkamuraオーチャードホール

【チケット発売日】
先行<先着>販売:2015年9月1日(火)10:00~9月4日(金)23:59
         一般発売:2015年9月5日(土)10:00~

曲目・演目

『LUNA』
音楽:セルゲイ・ラフマニノフ「ヴォカリーズ」
振付:エルヴェ・モロー
バレエ:エルヴェ・モロー
ヴァイオリン:三浦文彰
ピアノ:ジョルジュ・ヴィラドムス

リスト:『バラード 第2番 ロ短調』
ピアノ:ジョルジュ・ヴィラドムス

『瀕死の白鳥』
音楽:カミーユ・サン=サーンス「動物の謝肉祭」より第13曲「白鳥」
振付:ミハイル・フォーキン
バレエ:ドロテ・ジルベール
ヴァイオリン:三浦文彰
ピアノ:ジョルジュ・ヴィラドムス

サン=サーンス:『序奏とロンド・カプリチオーソ』
ヴァイオリン:三浦文彰
ピアノ:ジョルジュ・ヴィラドムス

『タイトル未定』
音楽:アルヴォ・ペルト「鏡の中の鏡」
振付:パトリック・ド・バナ
バレエ:エルヴェ・モロー&マチュー・ガニオ
ヴァイオリン:三浦文彰
ピアノ:ジョルジュ・ヴィラドムス

『月の光』
音楽:クロード・ドビュッシー
振付:イリ・ブベニチェク
バレエ:エルヴェ・モロー
ピアノ:ジョルジュ・ヴィラドムス

イザイ:『無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第3番 ニ短調“ バラード”』
ヴァイオリン:三浦文彰

『トリスタンとイゾルテ』よりパ・ド・ドゥ
音楽:リヒャルト・ワーグナー
振付:ジョルジオ・マンチーニ
バレエ:ドロテ・ジルベール&マチュー・ガニオ

『月の光のかたわらで』
音楽:フィリップ・グラス「エチュード第5番」
振付:バンジャマン・ミルピエ
バレエ:エルヴェ・モロー
ピアノ:ジョルジュ・ヴィラドムス

ポンセ:『メキシカン・バラード』
ピアノ:ジョルジュ・ヴィラドムス

『フィナーレ』
音楽:マヌエル・ポンセ
編曲:ギャスパール・グラウス「エストレリータ~小さな星~」
振付:エルヴェ・モロー

DANCE MAGAZINE (ダンスマガジン) 2015年 10 月号 世界バレフェスティバル全幕特別プロ「ドン・キホーテ」コジョカル&ムンタギロフDANCE MAGAZINE (ダンスマガジン) 2015年 10 月号 世界バレフェスティバル全幕特別プロ「ドン・キホーテ」コジョカル&ムンタギロフ

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ABTの元プリンシパル、ヨハン・レンヴァル死去

アメリカン・バレエ・シアターで1996年までプリンシパルとして活躍した、ヨハン・レンヴァルが死去しました。肝不全で55歳という若さでした。

http://www.nytimes.com/2015/08/30/arts/dance/johan-renvall-american-ballet-theater-principal-dies-at-55.html

ヨハン・レンヴァルはスウェーデン出身で、もともとはフィギュアスケートの選手として、スウェーデン選手権でメダルを獲得するほどでした。スウェーデン王立バレエに在籍中に、1978年にヴァルナ国際コンクールで銀賞を受賞し、ABTに移籍。1980年にソリストに、1987年にプリンシパルに昇進しました。1980年のナタリア・マカロワの「ラ・バヤデール」の初演で、ブロンズ・アイドルを踊ったことで知られています。

身長が高くなかったこともあり、王子より高度なテクニックを生かした役が得意でしたが、一方で、アンソニー・チューダーの作品などのドラマティックなバレエで、踊りを通しての演技力を発揮しました。他に、「海賊」のアリ、「コッペリア」のフランツ、「ラ・シルフィード」のジェームズ、「くるみ割り人形」の王子、グレン・テトリーの「春の祭典」などを踊っています。特に、現代作品の振付家に重用され、ファーストキャストに抜擢されることが多かったとのことです。

チューダー振付「「ダーク・エレジー(暗い悲歌)」

見事な跳躍力は、DVDになっている、ミハイル・バリシニコフとシンシア・ハーヴェイ主演の「ドン・キホーテ」の一幕、エスパーダのソロのところで観ることができます。

また、DVD「レ・シルフィード、シルヴィア、トライアド、パキータ」では、マクミラン振付「トライアド」に出演しています。同じくDVD「ベスト・オブ・アメリカン・バレエ・シアター「黒鳥のパ・ド・ドゥ」ほか」では、「ガチョーク賛歌」に出演。

こちらの映像でも、彼の踊りの素晴らしさを垣間見ることができます。

ダンサーとしての活動の傍ら、振付も手掛けたり、ABTの同僚と共に自身のツアーも行ったりしていました。そして引退後は、ABTのサマースクールの教師など、多方面でバレエ教師として活動して後進の指導に当たり、中には国際コンクールで受賞した教え子もいました。

ABTのFacebookでも、彼の死を悼んでいます。

ABT mourns the passing of former Principal Dancer Johan Renvall, who joined the Company in 1978. His 18-year career with...

Posted by American Ballet Theatre on 2015年8月26日

ご冥福をお祈りします。

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2015/08/29

「愛と哀しみのボレロ」デジタルりマスター版公開、ボーン「白鳥の湖3D」「眠れる森の美女」アンコール上映他、恵比寿ガーデンシネマでバレエ映画上映

今年の秋はバレエ映画が熱いですね。今日ドキュメンタリー映画「バレエ・ボーイズ」が公開となったほか、9月19日より、やはりドキュメンタリー映画「ボリショイ・バビロン」が公開されます。

そして、9月から10月にかけて、恵比寿ガーデンシネマで、バレエ映画やバレエ公演の映像収録が次々と劇場公開されます。

http://www.unitedcinemas.jp/yebisu/movie.php


一番の注目は、クロード・ルルーシュ監督の名作『愛と哀しみのボレロ』が初めてデジタル・リマスター版で劇場公開されること。

http://www.fashion-press.net/news/18737

ベルリン、モスクワ、パリ、ニューヨークを舞台に、ルドルフ・ヌレエフ(バレエダンサー)、エディット・ピアフ(歌手)、ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮者)、グレン・ミラー(音楽家)といった芸術家たちをモデルに作られた大作ですが、なんといってもラストでベジャールの「ボレロ」を15分間にわたって踊るジョルジュ・ドンが圧巻です。

2015年10月17日(土)〜11月13日(金)
恵比寿ガーデンシネマ(TEL 0570-783-715)


また、K-BALLET COMPANYの「シンデレラ」も劇場公開されます。こちらは、恵比寿ガーデンシネマだけでなく、ユナイテッド・シネマ、シネプレックス、他 全国21ヶ所の映画館で上映されます。
http://www.k-ballet.co.jp/news/view/1428
http://www.tbs.co.jp/kumakawa/special/

【キャスト】神戸里奈、井澤諒、浅川紫織、ルーク・ヘイドン ほか
【上映期間】9月26日(土)~10月9日(金)
ユナイテッド・シネマ豊洲 スクリーンNo.10では、9月26日(土)10:30~11:00(11:00~13:00本編上映)神戸里奈、井澤諒、宮尾俊太郎 ほかによる舞台挨拶も予定されています。

熊川哲也さん振付の「シンデレラ」は夢いっぱいの素敵なプロダクションです。


併せて、恵比寿ガーデンシネマでは、
10/11(日)~10/16(金)≪期間限定公開≫
熊川哲也 Kバレエ カンパニー15周年記念クライマックス 『海賊』in Cinema の上映もあります。今年5月に劇場公開された映像のアンコール上映です。


さらに、マシュー・ボーン関連作品2作品も、好評につきアンコール上映が決定しています。

(「白鳥の湖」3Dは、本日(8月29日)よりシネプレックス幕張でも上映されています。「眠れる森の美女」は宮城県のMOVIX利府でやはり8月29日より上映されます)

2015/10/13(火)~10/16(金)公開≪4日間限定公開≫
マシュー・ボーンの「白鳥の湖」3D  【好評につき、アンコール上映決定!】

2015/10/13(火)~10/16(金)公開≪4日間限定公開≫
マシュー・ボーンの「眠れる森の美女」  【好評につき、アンコール上映決定!】

マシュー・ボーンシネマ 公式サイト
http://matthewbournecinema.com/


なお、マシュー・ボーン「眠れる森の美女」は10月17日を皮切りにツアーが始まり、12月1日~1月24日にロンドンのサドラーズ・ウェルズ劇場での公演が行われます。来年には来日公演も予定されています。2016年4月までは、英国内のツアーが続いているようなので、来日はそれ以降でしょうね。
http://new-adventures.net/sleeping-beauty/tour-dates

2015/08/28

8/19 横浜バレエフェスティバル

2015年8月19日(水)6:30PM 神奈川県民ホール

http://yokohamaballetfes.com/

バレエコンクールのメダリストや、現在活躍中の若手ダンサーを集めた第一部「フレッシャーズ・ガラ」と、世界トップクラスのバレエダンサーが出演した第二部「ワールドプレミアム」の2部で構成された、日本人ダンサー中心の「横浜バレエフェスティバル」。

付随して、木田真理子さん、児玉北斗さんによるワークショップを開催したり、オーディションで「フレッシャーズ・ガラ」の出演者を選んだりと、ダンサーの育成ということも目的にしているのが興味深かった。演目についても、なかなか観られないような作品が「ワールド・プレミアム」で上演されたりと、充実したガラだったといえる。


<第1部>フレッシャーズガラ
佐藤健作による和太鼓演奏とオープニング

オープニングとエンディングの演出がスタイリッシュでよかった。佐藤健作さんの迫力ある和太鼓から始まり、暗闇で一組一組がスポットライトで照らされて浮かび上がるように映し出されてポーズしたり踊ったり。日本で見ないような洗練具合だった。

「眠りの森の美女」第3幕よりオーロラ姫のヴァリエーション
川本真寧(横浜バレエフェスティバル2015出演者オーディション第1位)

11歳の川本さんは、金田・こうのバレエアカデミー所属で、今年のNBAバレエコンクール、バレエ部門小学生の部 3位の3に入賞。2015YAGP日本予選ではプリコンペティブ部門で3位だった。この年齢なのでまだ小さくて、非常に華奢なのだけど、オーロラらしい優雅さと輝きが感じられた。


「コッペリア」第3幕よりフランツのヴァリエーション
 五十嵐脩(横浜バレエフェスティバル2015出演者オーディション第2位、芸術監督・スーパーバイザー賞)

五十嵐脩さんは、去年ダンス・ツアーズの「ダンス・ツアーズ:未来の星」賞を受賞し、「ロイヤル・エレガンスの夕べ」で、ベアトリス・ポター物語を踊った子(志村昌宏・有子バレエスタジオ)。YAGP2015日本予選ではジュニアクラシック部門の4~6位で、13歳か14歳。フランツ役なので王子様役ではないけど、でもしっかり王子様。軸のしっかりしたピルエット、柔らかさもあって端正だしテクニックもある。


「タリスマン」よりニリチのヴァリエーション
 永久メイ(2013年YAGPファイナル ゴールドメダル1位)

モナコのプリンセス・グレース・アカデミーに留学中の永久さん。手脚が長くて容姿が美しい。魅せ方のうまさもプロ並みで、今後どんなバレリーナに育って行くのかが楽しみ。

YAGPファイナルのこの映像、8番目、3分27秒くらいからドルシネアのヴァリエーションを踊っている。


「コッペリア」第3幕よりスワニルダのヴァリエーション(ABTバリシニコフ版)
 相原舞(アメリカンバレエシアター)

相原舞さんは、顔小さく可愛らしく華奢で、スワルニダはロマンティックチュチュだったけど脚が非常に美しく、きれいにアンドゥオールしている。クリーンでクリアだけど柔らかくて綺麗。ABTのコール・ドですでに2年活躍していて、フレッシャーズの一部より二部に相応しいダンサーだけどこれからの飛躍も楽しみ。

相原舞さんのインタビュー
http://balletnavi.jp/article/pickup/20150804-3013/

「サタネラ」よりパ・ド・ドゥ
 畑戸利江子(2013年モスクワ国際バレエコンクール銅賞)
 二山治雄(2014年ローザンヌ国際バレエコンクール第1位)

二山さんの身体能力は抜きん出ていて、特にシソンヌの時の股関節の開き方が凄かった。ゴムまりのような跳躍力と実に柔らかくしなやかな身体。マネージュの時の前脚が高く上がって綺麗に伸びているのも印象的で、実に美しい踊りをする人だ。サンフランシスコ・バレエの研修生の契約をもらったけど、進路は未定とのこと。やはりせっかくの契約を生かしてサンフランシスコで研鑽を積んで、その素晴らしい実力を伸ばしてほしいと思った。パートナーリングも悪くはないけど、ソロがすごいだけに、カンパニーでその辺も磨かれれば鬼に金棒。畑戸さんは、ポワントの運び方が抜きんでて精緻だし、可愛らしい衣装も良く似合って作品の雰囲気にとても良く合っていた。


<第2部>ワールドプレミアム1

「horizontal episode」オセローより(振付:平山素子)
平山素子(ダンサー・振付家)
久保紘一(NBAバレエ団芸術監督、元コロラドバレエ団プリンシパル)
宮河愛一郎(元Noism団員)

「オテロ」をモチーフとした作品とのことで、舞台上に大きな白い紙が置いてあって、それが吊られて行き、最後にはその紙を切り取ったような小さな紙片が疑惑のハンカチのモチーフとして機能するという仕掛け。意欲的な作品だし、未だ衰えない久保紘一さんのテクニック、久保さん、宮河さんによるリフトなど魅力的なモチーフがあるのだけど、完成途上の作品という印象が否めなかった。照明もちょっと暗いのでわかりづらいところがあった。


「アルトロ・カントⅠ」よりパ・ド・ドゥ(振付:ジャン=クリストフ・マイヨー)
 小池ミモザ(モンテカルロバレエ団プリンシパル)
 加藤三希央(2014年ローザンヌバレエコンクール第6位、モンテカルロバレエ団)

モンテカルロ・バレエの来日公演でも踊られた作品。音楽はモンテヴェルディで、このバロック的な音楽と相俟ってほの暗い照明が官能的な雰囲気を醸し出す。加藤さんはスカートを着用していて、小池さんは加藤さんより長身なので倒錯的な要素もあり、小池さんが加藤さんを操るような振付もあってスリリングだ。マイヨーのおひざ元のダンサーたちによる踊りが観られるのはわくわくする。小池さんの研ぎ澄まされた鋭い動きによる支配力、カリスマ性は流石であり、ベルニス・コピエテルス引退後のモンテカルロ・バレエを代表するプリマとなったのが実感できた。


「ソワレ・ド・バレエ」(振付:深川秀夫)
米沢唯(新国立劇場バレエ団プリンシパル)
奥村康祐(新国立劇場バレエ団ファースト・ソリスト)

音楽はグラズノフの「四季」。星空がきらめくような背景のもと、パープルのグラデーションの美しいチュチュを着用した米沢さんが美しい。ネオクラシック的な作品で、方向転換を多用したフェッテアラベスクなど、これでもかという難しいテクニックが盛り込まれている。それを涼しい顔で易々と踊ってしまうのが米沢さんの凄いところで、コーダでのグランフェッテも3回転をさりげなく放り込んでいる。奥村さんも、マネージュの美しさ、エレガントさで魅せるとともに、トゥール・ザン・レールとピルエットの連続技もきれいに5番に着地しながら決めてくれた。


「excuse us」(振付:JAPON dance project )
青木尚哉(ダンサー、振付家)
児玉北斗(スウェーデン王立バレエ ファースト・ソリスト)
柳本雅寛(ダンサー、+81主催)

いきなりブルー・ハーツの「トレイン・トレイン」でぐるぐると舞台を走り回る3人。リフトに失敗した青木さんが凹んで、ダンスなんて辞めてやる、と言い出したところ残りの二人がなだめてなんとか続けさせようとする。すると、さっきの衣装のままの米沢さんと奥村さんが出てきて、なんと米沢さんは児玉さんと踊ってアラベスクでポーズするし、今までの出演者たちまで舞台に登場してぞろぞろと歩き回りながら「青木さん、頑張って」と青木さんを励ましていく。音楽は美空ひばりとなる。ついに青木さんはダンスを辞めることをやめると宣言する、という展開に。果たしてこれが「ダンス」と言えるのかという疑問が浮かび上がるものの、踊り続けることとミドルエイジクライシスを取り上げているということで、やはりこれは「ダンス」なのだろう。

オリジナリティもあってとても可笑しい作品だったのだが、惜しまれるのが、3人のセリフがちょっと聞き取りづらかったこと。神奈川県民ホールはかなり広い会場なので、マイクなどを取り入れるべきだったと思われる。


<第3部>ワールドプレミアム2

「半獣」牧神の午後よりパ・ド・ドゥ(振付:遠藤康行)

小池ミモザ(モンテカルロバレエ団プリンシパル)
遠藤康行(フランス国立マルセイユ・バレエ団ソリスト、振付家)

「牧神の午後」の音楽。最初遠藤さんしか見えないのだけど、背後に隠れるように小池ミモザさんがいて二人羽織のように腕だけが後ろから出ていて、この腕のしなやかな動きにまず目を奪われる。やがて二人が踊り出すけど、二人の衣装が腰のところでベルトで繋がれていて離れられない。離れようとしたりくっついたり、引っ張り合ってバランスを取ったりの不自由さの動きが官能的。離れた後の振付も独創的だった。舞台の後ろが白い紗幕のようになっていて、幕の裏へと行った遠藤さんの姿が影絵のようにになって小池さんと向き合って踊る。白い幕に映し出された波紋も美しい。最後は小池さんが転がってこの紗幕の後ろへと消えていく。この作品は、アイディアと美しさとエロスに満ちていて、思わず見入ってしまった。二人のダンサーの強い存在感もあり、この日の白眉と言える見事なパフォーマンスだった。


「ジゼル」第2幕よりパ・ド・ドゥ
高田茜(ロイヤルバレエ団ファーストソリスト)
高岸直樹(元東京バレエ団プリンシパル)

お墓が右側にあるという少し変則的な配置。高田茜さんは、細く長いラインがきれいで、ロシアでの教育のたまものである柔らかくしなやかなポールドブラが美しい。足の甲もよく出ており、ジゼルらしい空気をはらんだ幽玄な雰囲気があって彼女ならではのジゼル像がしっかり見えた。ロイヤル・バレエでもジゼル役で近々デビュー予定とのことなので、もしかしたら日本でも観られる機会があるかもしれない。高岸さんは、さすがにアルブレヒトのヴァリエーションは少し苦しそうなところもあったが、サポートは上手く、なによりもジゼルへの愛が感じられて良かった。こういうベテランならではの表現力やスピリットを若いダンサーに伝えていくというのも、ガラのコンセプトの中にあると感じた。


「眠りの森の美女」よりパ・ド・ドゥ(振付:マッツ・エック)
湯浅永麻(ネザーランド・ダンス・シアター)
Bastian Zorzetto(ネザーランド・ダンス・シアター)

マッツ・エック振付の「眠れる森の美女」をこのガラで上演できたのは、素晴らしい成果だ。オーロラの目覚めの美しい音楽が流れているのに、王子は死体袋のような大きな袋をずりずり引きずって舞台を何周もして、オーロラはこの中から現れる。湯浅永麻さん、奔放な動きがとってもかっこよく雄弁だった。二人がユニゾンで踊るところも揃っているし、エック作品をエックらしく大胆に切れ味鋭く踊っていて、楽しかった。いつか全幕が観たい。湯浅さんはopto dance projectでも踊っているけど、なかなか観る機会はないので、エックを踊る彼女が観られて本当に良かった。

このNDTの映像でも、湯浅さんがオーロラを踊っている。

「海賊」第2幕よりメドーラ、アリ、コンラッドのパ・ド・トロワ
小野絢子(新国立劇場バレエ団プリンシパル)
八幡顕光(新国立劇場バレエ団プリンシパル)
加藤三希央(2014年ローザンヌバレエコンクール第6位、モンテカルロバレエ団)

小野さんのアダージオやヴァリエーションは揺るぎのない気品で輝いている。少しグランフェッテは苦手そうだったけど、きっちりまとめた。八幡さんはアリを踊るのがとても嬉しそうで、跳躍もびっくりするくらい高かったし2連続の540でキメてくれた。ひげをつけた加藤さんは、この二人より若いけど、迫力では負けることなく、美しいクラシックテクニックを披露。ガラの締めくくりにふさわしく盛り上げてくれた。新国立劇場バレエ団は、最近男性ダンサーも充実しているので、ぜひ「海賊」もレパートリーに加えてほしいと思う。

エンディングも、和太鼓の演奏に合わせて出演者が一組ずつ踊り、スタイリッシュに締めてくれた。ほとんど退屈する時間のない、あっというまの公演だった。

*******
特に「アルトロ・カント」、「半獣」、エックの「眠りの森の美女」と現代作品が、ダンスの”いま”を捉えたようなクオリティの高さで見ごたえがたっぷりあった。深川秀夫、遠藤康行と日本人振付家の作品も取り上げているし、「ジゼル」からバレエ・リュスへのオマージュもある「半獣」、そして現代的なエックの「眠りの森の美女」へと移り変わるバレエの歴史の流れも辿れるような構成は非常に興味深い。これも、遠藤康行さんが芸術監督としてしっかりとプロデュースして、きちんとしたコンセプトを持って作り上げた成果だと思われる。一方でこれから世界へと羽ばたく若いダンサーたちも見せてくれた。世界の第一線で活躍するダンサーたち、そして新しい作品を紹介したことは、ダンサーの卵たちにとっても大きな刺激となったことだろう。日本のダンサーたちは、今や世界全体でも非常に高いレベルにあるのが実感される。

とても良いガラだったが、課題はあると感じられた。まず、横浜で平日の6時半開演は勤め人にはつらい。行きたいけど開演に間に合わないから断念した友人がたくさんいた。せめて7時開演にするべきだったと思われる。また、告知が行き届かない部分もあった。内容も出演者も素晴らしいのだから、もっとお客さんが入ってほしかった。しかし、公演を行うのは初めての主催者であるのに、これだけ芸術性、クオリティの高いものを実現させたのは素晴らしい成果である。来年も開催する予定なので、非常に楽しみだ。

マッツ・エック振付「眠れる森の美女」

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2015/08/22

第14回世界バレエフェスティバル  Bプロ

遅くなりましたが、Bプロの感想です。8月9日と13日の2回観ていて、キャストや演目に変更がありました。

http://www.nbs.or.jp/stages/2015/wbf/

指揮:ワレリー・オブジャニコフ、ロベルタス・セルヴェニカス
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団  
ピアノ:フレデリック・ヴァイセ=クニッテル (「ノー・マンズ・ランド」、「椿姫」)
チェロ:遠藤真理、ハープ:田中資子(「瀕死の白鳥」)   
出演:矢島まい[東京バレエ団](「こうもり」)

第1部

「ディアナとアクテオン」
振付:アグリッピーナ・ワガノワ/音楽:チェーザレ・プーニ
ヴィエングセイ・ヴァルデス オシール・グネーオ

トップバッターとして客席を暖める役割を十分に果たしてくれた。ヴァルデスは、得意の長いバランスだけでなく、ここではグラン・フェッテでも魅せてくれた。一回4回転も入ったように見えたし、うまく説明できないのだけど腕の動きがまさに矢を繰り出すような感じで、今まで見たことがないようなものだった。後半は「ドン・キホーテ」でも見せた、両腕をア・ラ・スゴンドに広げて腕の力を使わないでの回転。最後のサポート付きピルエットでは、サポートを外しても回り続けるというスーパーテクニックを披露。技術がとてつもなく高いのに、気品を失っていなくてディアナらしさを見せてくれた。グネーオはやはりピルエットが凄い。速度も形も完璧にコントロールしていて、ピルエットのフィニッシュで足をアラベスクさせたりしている。また、片足をクー・ド・ピエの位置に下げてピルエットを続けるというのも難易度が高い。グネーオは褐色の肌が美しく、アクティオンの露出度の高い衣装も非常によく似合っていてまるでサラブレッドのようだった。


「シナトラ組曲」より"ワン・フォー・マイ・ベイビー"
振付:トワイラ・サープ/音楽:フランク・シナトラ
イーゴリ・ゼレンスキー

「シナトラ組曲」は私はマルセロ・ゴメスが踊っている印象が強いのだが、ゼレンスキーは大人の魅力。長身でプロポーションが良いのでタキシードがとてもよく似合う。オリジナルのミーシャと比較すると物足りないし、少し地味ではあるのだが、味わい深くスタイリッシュで素敵なソロだった。大スターなのにカーテンコールではちょっと恥ずかしそうにしているところも魅力的。


「ペール・ギュント」
振付:ジョン・ノイマイヤー/音楽:アルフレット・シュニトケ
アンナ・ラウデール エドウィン・レヴァツォフ

ノイマイヤー版の「ペール・ギュント」は未見。音楽は、グリュックではなく、ノイマイヤーがシュニトケに依頼したものとのこと。赤いオーバーオールのペール・ギュント(レヴァツォフ)、ピンクのヴェールで髪を覆ったソルヴェイ、おそらくここは最後に彼が息絶えるラストシーン。足場のようなセットが組まれ、レヴァツォフの手の上にラウデールが乗るという難しいリフトが登場する。全編で観たらとても面白い作品のように思えるけど、この一シーンを切り取って見せるのは少し難しかったかもしれない。レヴァツォフは非常に背が高くハンサムだが、少し背中が硬そうだ。ラウデールも長身で手脚が細長く美しい。


「悲しみのエチュード」より 4つのダンス (8月9日のみ)
振付マルセロ・ゴメス/音楽:フレデリック・ショパン
マルセロ・ゴメス

ゴメスはこの日の朝に日本に到着したとのことで、ヴィシニョーワと合わせる時間がなかったため、代わりに特別にこの日だけソロを踊った。ある意味、この日に来た人はラッキーだったと言える。朝に到着したばかりで、4曲もソロを踊ってしまう彼の体力に驚かされるとともに、彼の音楽性の豊かさも改めて実感。


「ライモンダ」より 幻想のアダージオ
振付:マリウス・プティパ/音楽:アレクサンドル・グラズノフ
ウリヤーナ・ロパートキナ ダニーラ・コルスンツェフ

二幕の幻想のシーンから。派手なところは一切ないけれども、どのシーンを切り取っても美しいことこの上ない、ロパートキナの動きは一切のよどみがなく流れるように滑らかで美の体現。ひたすらサポートに徹しているコルスンツェフの騎士ぶり、彼のサポートがあるからこそ、ロパートキナの完璧な美が実現するのだということも実感する。マントのたなびかせ方も見事。この二人が主演した「ライモンダ」が観たい。


「椿姫」より 第1幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイヤー/音楽:フレデリック・ショパン
マリア・アイシュヴァルト マライン・ラドマーカー (9日)
マリア・アイシュヴァルト アレクサンドル・リアブコ (13日)

マラインのアルマンは、デュマ・フィスの原作に出てくるアルマンそのもの。まっすぐで向こう見ずで、火傷しそうなほど情熱的で未熟。マルグリットにからかわれ、身をかわされてばったりと倒れこむところから、身を投げ出し足元にすがりつくところまで、完璧にアルマン。ノイマイヤー独特の複雑なリフトも流れるよう。年齢を重ねてもいつまでも初々しくて、病と老いにおびえていたマルグリットが心を許し希望を持ち始めるのも、思わず納得してしまう。また彼が踊る「椿姫」全幕を観たい。

残念ながら、2公演終わったところでマラインが膝を痛めたとのことで降板し、代役にアレクサンドル・リアブコ。アルマンを踊っているバレエフェス出演者はたくさんいたけれど、ノイマイヤーのカンパニーの、ベスト・アルマンが代役になってくれたのは良かった。リアブコは本当は決して若くないのに、とても初々しくて素直でストレートなアルマンを好演。急な代役で、初めて組むアイシュヴァルト相手だったのにリフトもとてもスムーズで、演技の呼吸もぴったり。恋に落ちた、優しいけど激しさも秘めた青年として非常にドラマティックに演じてくれた。

アイシュヴァルトは、シュツットガルト・バレエではあまりマルグリット役を踊っていないのに、それでもこれだけの完成度の高い、細やかな演技を見せてくれた。艶やかさの中に病の苦しみや不安を抱え、そんな中でも、こんな私だけど恋してもいいかもしれないと心が解けていく様子を見せてくれた。鏡の中のやつれた表情とは対照的な、アルマンに向ける華やかな艶笑の対比。スカートの裾がアルマンの顔にかかってしまうところを、よけてあげるなどの気配りも見せる。本当にバレエ界の至宝のような彼女を手放してしまって、シュツットガルト・バレエは何を考えているのか、と思ってしまう。(ミラノ・スカラ座へのゲスト出演を中心に、まだまだ頑張ってくれているのはうれしいが)


第2部

「眠れる森の美女」
振付:ルドルフ・ヌレエフ/音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
リュドミラ・コノヴァロワ マチアス・エイマン

ミリアム・ウルド=ブラムが怪我のために降板してしまい、ウィーン国立バレエのリュドミラ・コノヴァロワが代役。急な代役で、しかもウィーン国立バレエの「眠れる森の美女」はヌレエフ版ではなく、ピーター・ライト版なので大変だったのではないかと思う。しかし、ヌレエフ版「くるみ割り人形」のDVDで主演しているだけあって、コノヴァロワはう初々しさはないけれど実力派でテクニックが強い。ヌレエフ版の振付ってやはり非常に難しくて、王子のコーダなども、アン・ドゥダンのピルエットの連続て鬼、と思ったけどこれを難なく踊ることができるのは流石マチアス。ヴァリエーションのマネージュも足先まできれいに伸びてスピード感があって美しかった。


「ノー・マンズ・ランド」
振付:リアム・スカーレット/音楽:フランツ・リスト
アリーナ・コジョカル ヨハン・コボー

第一次世界大戦100周年を記念したENBのトリピルビル「Lest We Forget」の中のリアム・スカーレット振付作品。新しい振付家の作品が少ないこのガラで、スカーレット作品を取り上げてくれたのはよかった。

粗末な服に身を包んだコジョカルの後ろから、上半身裸のコボーが登場する。二人は目を合わすことはなくて、最初、コジョカルは彼の存在に気が付いていないようである。おそらくコボーは、戦争に行ったきり帰ってこなくて、死んでしまった恋人の幻なのだ。まるで、「ジゼル」の2幕のウィリとなったジゼルのように。二人のパ・ド・ドゥは複雑で高度なリフトが中心の激しいもので、コジョカルの強靭さと柔軟性には目を見張らされる。彼女の深くて激しい悲しみ、強い想いが伝わってきて、見ているうちに涙がにじんでくる。やがて彼女は彼の存在に気が付き、ここでやっとお互いの姿を目で捉える。しかし彼はまた舞台の後ろへと後ずさって消えていき、一人取り残される彼女。カーテンコールでは、コジョカルの目にも涙が光っていた。

振付を通して物語を語ることができるスカーレットの才能、表現者としてのコジョカルの圧倒的な力。この日の舞台の中でも、トップクラスのものだった。見事な作品であり、やはり非常に評価が高く英国ダンスアワードも受賞したアクラム・カーンの「Dust」と合わせて、このトリプルビルを観たいと強く思った。ENB、招聘してくれないでしょうかね。特に、戦争のことが他人事ではなくなった今の時代だからこそ、観られるべき作品なのだと思う。


「海賊」
振付:マリウス・プティパ/音楽:リッカルド・ドリゴ
サラ・ラム ワディム・ムンタギロフ

サラ・ラムの紫のチュチュは、タチアナ・テレホワに贈られたものだそう。お姫様度の高いメドーラだったけど、技術的なレベルは非常に高くて、グランフェッテも正確で、ダブルも入れながら安定していて美しかった。ムンタギロフのアリは、やはりアリを演じるには気品があってあまり奴隷らしくはないものの、長身であるにもかかわらずのスプリット跳躍、柔らかい着地、ダイナミックなマネージュで素晴らしい。ENBの「海賊」のDVDでは彼はコンラッド役なので本来の持ち味はそっちなのかもしれないけれど、正統派クラシックバレエを魅せてくれた。


「ヴァーティゴ」
振付:マウロ・ビゴンゼッティ/音楽:ドミートリイ・ショスタコーヴィチ
ディアナ・ヴィシニョーワ マルセロ・ゴメス

これは、シュツットガルト・バレエなどでもよく上演されている「カジミールの色」を改題して振付を少し変えて、衣装も変えたものだった。元の衣装は、マレーヴィッチの作品にインスパイアされた辛子色のものだったけど、今回は二人とも黒になったので、ずいぶんとシャープな雰囲気に仕上がった。そして、ヴィシニョーワの強靭で柔軟な動きをもってすると、やはり全く違った作品に見えてくる。猛獣使いのようなマルセロのサポートもお見事だけど、彼の魅力はヴィシニョーワの強烈さに食われている感じもする。ストーリー性はないのに実に雄弁でダイナミックで面白い。

Diana Vishneva / Marcelo Gomes / Vertigo from Dianavishnevaofficial on Vimeo.


「ギリシャの踊り」
振付:モーリス・ベジャール/音楽:ミキス・テオドラキス
オスカー・シャコン

オスカー・シャコンは実に美しいダンサー。褐色の肌、ウェーブのかかった長めの髪、引き締まって野性的で美しい肉体。この作品自体は少し古く感じられるところもあるけれど、でもやはりベジャールのダンサーが踊るベジャールというのは別格であり、よいアクセントになったと思う。ギリシャ的な音楽に寄り添うような音楽性が素敵で、若く美しい男性を讃える賛歌となっていた。


第3部

「ロミオとジュリエット」より 第1幕のパ・ド・ドゥ
振付:ケネス・マクミラン/音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
ヤーナ・サレンコ スティーヴン・マックレー

サレンコはマクミラン版ジュリエットは初役のはずだが、9月に始まるロイヤル・バレエの新シーズンでこの二人はペアを組む。マックレーのロミオはスピード感とキレがあってソロは本当に素晴らしく、ロミオのはやる気持ちが伝わってくる。サレンコは非常にうまいのだけど、ジュリエットを演じるには少し妖艶すぎたかもしれない。そしてやはりこの作品に取り組むのが初めてなので、パートナーリングは今一歩。特に、ロミオが跪いた状態でジュリエットをリフトするところは、もっと思いっきり持ち上げてほしいところだ。そしてもう少しマクミランらしい、オフバランス的な大胆さを見せてほしかった。二人の胸の高まりも伝わってこなくて、マクミランのロミオとジュリエットを観た感じはあまりせず。


「伝説」
振付:ジョン・クランコ/音楽:ヘンリク・ヴィエニャフスキ
アリシア・アマトリアン フリーデマン・フォーゲル

映画「愛と喝采の日々」でマリシア・ハイデとリチャード・クラガンが踊っていることで知られる作品。物語は特にないが、クランコ作品らしいダイナミックなリフトが見所。白い衣装でさらに華奢さが目立つアマトリアンの美しいパ・ド・ブレ、歌うような柔軟性と詩情が素敵で、リフトされた時の姿勢も美しく身体能力の高さをうかがわせる。フォーゲルは、「オネーギン」の時はリフト不調だったけど、ここでは、片手リフトなどは非常に良かった。彼はストーリーのないバレエの方がずっと良い。でもアマトリアンの音楽性豊かで繊細な踊りの印象の方が強い。


「椿姫」より 第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイヤー/音楽:フレデリック・ショパン
タマラ・ロホ アルバン・レンドルフ

この二人には「椿姫」は合わないというのが、多くの観客の意見だろう。豊満なタマラは、病人メイクをしたところでやはり病で命の火が今にも消えそうなマルグリットには似合わないし、繊細さにも欠けるので熱演すればするほど空回りしてしまう。まるでダース・ベーダーのような登場シーンの姿一つとっても、違和感があった。アルバン・レンドルフは、実は「椿姫」のアルマン役でブノワ賞を受賞しているのだが、ブノワ賞の選定基準は、彼のケースを除いても謎が多いのだ。彼はプロポーションが良くなくて、背が低い、脚が太い、顔も大き目なので、美青年が演じるアルマンを見慣れている日本の観客にとってはとてもつらい。タマラとのパートナーリングも良くなくて、3回続けてリフトするところでは、うまく持ち上がらず、息が上がっているのは上階の観客にも聞こえていたようだ。フレデリック・ヴァイセ=クニッテルのピアノも、ショパンのバラード1番という難曲にはかなり手こずっているようでミスタッチが目立った。レンドルフはテクニックはあるダンサーなので、もう少し別の演目で踊ればよかったのに、と思う。

「レ・ブルジョワ」
振付:ベン・ファン・コーウェンベルク /音楽:ジャック・ブレル
ダニール・シムキン

シムキンの「レ・ブルジョワ」なんてもう見飽きた、と思わないこともないけれども、さすがに演じ方については、だいぶ大人っぽくなったと感じられた。ダニールのお父さんのドミトリー・シムキンがこの作品の初演ダンサーなので、きっとお父さんにも特訓されたのだろう。今までは中学生が粋がっているようだったけど、20代の青年、眼鏡をかけているのでハリーポッターにも似ているけど成人には見えてきた。テクニックは相変わらず見事で、最後は2つ連続540を決めてくれた。でも、2003年の世界バレエフェスティバルでこの作品をかっこよく粋に踊ったフィリップ・バランキエヴィッチのことが懐かしくなってしまう。


「オールド・マン・アンド・ミー」(8月9日のみ)
振付:ハンス・ファン・マーネン/音楽:J.J.ケイル、イーゴリ・ストラヴィンスキー、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
ディアナ・ヴィシニョーワ ウラジーミル・マラーホフ

9日は、マルセロ・ゴメスとヴィシニョーワが合わせる時間がなかったので、Aプロと同じ演目。この作品、好きなので何回観られても良いのだが。前半のベンチの上でセクシーに身をくねらせるヴィシニョーワ、浮かぬ顔のマラーホフから転じて、「空気人形」のユーモラスなやり取り。そして最後の、モーツァルト23番をバックにベンチを媒介にし、フラッシュバックする光の中で近づいてみてはすれ違い、最後の誰もいないベンチでの切ない余韻と、味わい深い作品だ。


「マノン」より 第1幕のパ・ド・ドゥ 
振付:ケネス・マクミラン/音楽:ジュール・マスネ 
オレリー・デュポン エルヴェ・モロー 

エルヴェが「トゥゲザー・アローン」で負傷したために、実現しなかったオーレリーとエルヴェの「マノン」が、一部だけとはいえ東京で観られる贅沢。
手紙を書いているエルヴェ・モローの憂いに満ちた横顔の美しいこと。一途で情熱的な演技、長い脚で描くアラベスクはエレガントで長い腕の包容力もあり、理想的なデ・グリューだった。オーレリーも衣装がよく似合って非常に美しいのだけど、マノンを演じるには、ファム・ファタル性というか愛らしさの中にある魔性があまり感じられず、9日に観た時には少々クールさを感じてしまったのだが、彼女の理知的な美貌もそう感じさせてしまったのかもしれない。が、これがおそらく最後の二人で踊る「マノン」だった13日には、クライマックスに向けての気持ちの高まり愛を感じて、これが二人の「マノン」の見納めかと切ない気持ちになった。


第4部

「シンデレラ」
振付:ウラジーミル・マラーホフ/音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
ヤーナ・サレンコ ウラジーミル・マラーホフ

サレンコは今回、毎回2演目を踊って大活躍。こちらの「シンデレラ」もアダージオだけだったが、「ロミオとジュリエット」よりこちらのキラキラ輝くシンデレラがサレンコには似合っていた。マラーホフは持ち上げ係。ノースリーブでタイツには縦のラインが入っている異色の王子衣装だけど、マラーホフは少し体を絞っていて、まだ王子衣装が似合うと実感した。そしてシンデレラに向ける暖かい愛情が感じられて胸が熱くなった。彼の王子姿もこれで見納めなのかもしれない。


「瀕死の白鳥」
振付:ミハイル・フォーキン/音楽:カミーユ・サン=サーンス
ウリヤーナ・ロパートキナ

ロパートキナの十八番だけど、何回観ても毎回、違った感動と高い精神性を感じさせてくれる見事なパフォーマンス。床を滑るような滑らかなパドブレ。腕の動きは大きくゆったりとしていて、関節などどこにもないように見えるほど。白鳥という生き物ではなくて白鳥の精なのだろう、この動きは人間どころか鳥や動物にも見えないほどの静かな波のようなたおやかさ。そのエレガントな中でも、白鳥は生きるために戦っているし、強い気持ちで抗っている。ついに力尽きる時ですらも、凛としていて誇り高い。何回観ても、この短い時間の中で生と死のドラマを違った形で見せてくれる。


「シルヴィア」
振付:ジョン・ノイマイヤー/音楽:レオ・ドリーブ
シルヴィア・アッツォーニ アレクサンドル・リアブコ

シルヴィアとアミンタが年月を経て再会したシーン。スーツケースを下げたシルヴィア、二人ともすでに若くない。再会の戸惑いから始まり、かつての情熱を少しずつ取り戻すふたり。ノイマイヤーの作品は好きだけど、「シルヴィア」に出てくるフレックスの足先の多用や、ちょっと奇妙な感じの振付は私の好みではない。しかし、アッツオーニ、リアブコとノイマイヤー作品最大の伝道師である二人がこれを踊ると、この不思議な動きにも物語性が感じられて、二人の心境をこまやかに、的確に伝えてくれるのだ。愛を確かめ合ったものの、二人は再び別れてしまう運命。だけど、最後に去っていくアミンタをシルヴィアが捕まえるところで、深い愛を二人は感じさせてくれて、思わずじわ~と涙がにじんでくる。なんという素晴らしいペアだろう。


「こうもり」よりパ・ド・ドゥ
振付:ローラン・プティ/音楽:ヨハン・シュトラウス2世
イザベル・ゲラン マニュエル・ルグリ

実はウィーン国立バレエの沖縄公演も観に行っていて、ルグリの美しい高速シェネや鮮やかなステップを堪能してきたのだが、ベラ役にイザベル・ゲランを迎えてさらにパワーアップ。ルグリのウルリックには、ユーモラスな中にもエレガンスがある。好演したメイド役の矢島さんや、ゲランとの掛け合いは、セリフが聞こえてくるようだし、ベラが着替えている間の、ディアゴナルに進んでいくピルエットがどれもキレがあって美しい。相変わらず惚れ惚れするような足先で、まだまだ現役感がある。ゲランは、最初の白い服の時の欲求不満気味の演技は可愛らしく、そして変身した後の圧倒的な脚線美には驚かされた。プロポーションが今も美しいのは、Aプロの「フェアウェル・ワルツ」でもわかったけど、脚を完全に露出した状態での、すらりとしているだけでなく色気もたっぷりあって、それだけで語る脚というのは流石だ。その脚の動かし方のニュアンスも、プティ作品ならではのコケットリーがあってたまならい。今回の世界バレエフェスティバルの最大の収穫が、ゲランの復帰であることは、多くの観客も同意することだろう。


「ドン・キホーテ」
振付:マリウス・プティパ/音楽:レオン・ミンクス
マリーヤ・アレクサンドロワ ウラディスラフ・ラントラートフ

お祭りガラならではのお遊びと愛情に満ちた、とても楽しい「ドン・キホーテ」。隙あらばマーシャにキスしてしまうラントラートフ。アダージオが終わってレベランスする前に、手を取ろうとすると、「その前にキスしてよ」と甘えるマーシャ。舞台袖に捌けていくときも、アティチュードで可愛くポーズしてからジュッテで去って行ってサービス満点。観客とのコミュニケーションもたっぷりとってくれた。アダージオでの片手リフトは、マーシャは片脚をルティレの位置まで上げていて、よりダイナミックさが増して見栄えがした。去年の来日公演では、まだ怪我から完全復帰していなかった彼女はグラン・フェッテしなくてピケで代用したけど、今回はしっかりと32回転決めてくれた。カーテンコールでは2人ともジュッテで飛び出し、二人の間の駆け引きややり取りもユーモラスで楽しかった。誰もが彼らのことを大好きになったことだろう。


Bプロの方が、古典と現代作品の演目のバランスが取れていて、より楽しめる良いプログラムになっていたように感じた。ノイマイヤー作品が4演目というのは、賛否が分かれるところもあるかもしれないが。今のコジョカルの最良の部分を伝えた、気鋭のリアム・スカーレット「ノーマンズ・ランド」、ノイマイヤーの神髄「シルヴィア」、ベテランの魅力が発揮された「こうもり」、至高のロパートキナ2作品と名演が続いた。


カーテンコール映像

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2015/08/19

ABTの2016 METシーズン、ラトマンスキーの「金鶏」北米初演

アメリカン・バレエ・シアターの2016 メトロポリタン・オペラハウスでのシーズンが発表されています。

http://mobile.nytimes.com/blogs/artsbeat/2015/08/18/american-ballet-theater-to-debut-ratmansky-work-next-spring/?ref=arts&_r=0&referrer=

注目は、常任振付家であるアレクセイ・ラトマンスキーがデンマーク・ロイヤル・バレエに2012年に振り付けた「金鶏」の北米初演。バレエ・リュス、ミハイル・フォーキンが振り付け、音楽はリムスキー=コルサコフ、ナタリア・ゴンチャロワが美術を担当した作品にインスピレーションを得ています。

そのほか、ショスタコーヴィチ三部作、ラトマンスキー版「眠れる森の美女」の再演、さらには、世界初演作品ひとつと、ラトマンスキー作品の割合がぐっと増えたシーズンとなりました。

メトシーズンの中心となる古典作品は、「白鳥の湖」「海賊」マクミラン「ロミオとジュリエット」と比較的少なめ。一方で、久しぶりにも戻ってくる「シルヴィア」「ラ・フィユ・マル・ガルデ」とアシュトン作品が二つ入りました。アルバン・レンドルフ、ジェフリー・シリオと小柄な男性ダンサーが移籍してきたので、「ラ・フィユ・マル・ガルデ」は打ってつけでしょう。

今回は、「白鳥の湖」は前からのマッケンジー版ですが、将来的にはこれも、ラトマンスキー版になるのかもしれません。来シーズン、ラトマンスキーはチューリッヒ・バレエのために新しい「白鳥の湖」を振り付けます。ミラノ・スカラ座との共同制作で、初演版の「白鳥の湖」に近い演出になるとのことです。

2016年ウィーン・フィルのニューイヤーコンサートの振付はイリ・ブベニチェク

毎年注目される、ウィーン・フィルのニューイヤーコンサートのバレエシーン。今までも、ジョン・ノイマイヤーなど名だたる振付家が手掛けてきましたが、2016年のバレエシーンの振付は、イリ・ブベニチェクに決定したとのことです。踊るのはウィーン国立バレエ。

http://www.danzaedanzaweb.com/articolo/749/prosit-neujahr-con-bubenicek

2016年のウィーン・フィルのニューイヤーコンサート、指揮はマリス・ヤンソンスに決定しています。

すでにイリの「ル・スフル・ド・レスプリ」もウィーン国立バレエのレパートリーになっているので、いずれ実現するかも、と思っていたのですが現実になったのですね。


ドレスデン・バレエを先日退団したイリ・ブベニチェクですが、ロベルト・ボッレ&フレンズのツアーにダンサーとして参加するとともに、振付家としての活動の幅は広がっています。来年1月30、31日には、東京シティバレエ団に、『L'heure Bleue(青い時間)』という新作を振り付けます。


また、来年1月の『Stars in the Moonlight 月夜に煌めくエトワール ~Music & Ballet Concert~』では、エルヴェ・モローが、イリ・ブベニチェク振付の「月の光」を踊ります。

「Stars in the Moonlight 月夜に煌めくエトワール ~Music & Ballet Concert~」については、フィガロ・ジャポンのWebサイトで素晴らしい記事が載っていますので、ご紹介しますね。

エルヴェ・モローが日本のために企画した公演とは?
http://feature.madamefigaro.jp/culture/150806ballet/

2015/08/18

ロイヤル・バレエのオフィシャル動画:金子扶生さんの森の女王

世界バレエフェスティバルも終わってしまいましたね。充実した公演を見られて楽しかったです。今Bプロの感想を書いているのですが、思っているより時間がかかってしまっていて。というわけで、更新が止まっている間に動画の紹介。

ロイヤル・バレエのYouTubeチャンネルでは、Ballet Evolvedと題して、バレエの技術の進化などを動画のお手本で見せてくれていてとても興味深く、勉強になります。その中で、ポワントワークをテーマとした動画では、ソリストの金子扶生さんが踊ってくれています(3分過ぎから)。動画の後半では、「ドン・キホーテ」の森の女王のソロを踊っています。脚を高く上げすぎないところがロイヤル風ですが、とても気品があって鷹揚で美しいイタリアンフェッテです。金子扶生さん、来シーズンの活躍も楽しみですね。

http://www.roh.org.uk/news/watch-exploring-the-evolution-of-ballet-pointe-work

元バレエ・ミストレスのウルスラ・ハゲリが解説するこのシリーズ、とても面白いです。現在動画は14本。
Ballet Evolved
https://www.youtube.com/watch?list=PLFEuShFvJzBww3lVbFABGB0HbIxNQ2TiA&v=auDNcfK0Wcs

2015/08/13

秋元康臣さん、宮川新大さんが東京バレエ団に入団

東京バレエ団の入団発表がありました。

http://www.thetokyoballet.com/news/post-148.html

8月3日付で以下3人が入団したとのことです。

秋元 康臣(プリンシパル)
宮川 新大(ソリスト)
井福俊太郎


秋元康臣さんは、NBAバレエ団、K-BALLET COMPANYを経てロシアのチェリャビンスク・バレエで活躍してきました。先日は井上バレエ団にゲスト出演して「シンデレラ」の王子を踊りました。ロシアでさらにテクニックに磨きをかけてきたようです。

宮川新大さんは、ジョン・クランコスクールを卒業後、セルゲイ・フィーリンに見出されてモスクワ音楽劇場バレエに入団。ビザの問題で退団後、イーサン・スティーフェル率いるロイヤル・ニュージーランド・バレエに入団して活躍していました。

国内外で活躍してきた2人、しかもロシアでも踊ってきた実力派が入団したことで、東京バレエ団も大幅なレベルアップが期待できますね。斎藤友佳里監督のロシアバレエ路線が強化されそうです。

新入団の3人の活躍が楽しみですね。

宮川新大さんのブログでの入団報告
http://ameblo.jp/arata0304/entry-12061606524.html

ルパート・ペネファーザーがロイヤル・バレエを退団

ロイヤル・バレエのプリンシパル、ルパート・ペネファーザーがロイヤル・バレエを退団することが発表されていました。

http://www.roh.org.uk/news/rupert-pennefather-to-leave-the-royal-ballet

1999年にロイヤル・バレエに入団したルパートは、今年で財団16年目。2008年にロミオを踊ってプリンシパルに昇進したものの、怪我に悩まされて出演できない期間が多くありました。金髪、長身でプロポーションの美しい彼は、「白鳥の湖」の王子や「ジゼル」のアルブレヒトなど貴公子役だけでなく、マクミラン作品、とりわけ「マノン」のデ・グリューや「マイヤリング」のルドルフ、そしてアシュトンの「田園の出来事」ベリャエフや「シルヴィア」のアミンタ役などドラマ性のある役が得意でした。

私も以前ロイヤル・オペラハウスでルパートが「マイヤリング」のルドルフを演じるのを見ましたが、非常に素晴らしい演技を見せてくれたものです。

来日公演では、2010年に怪我で降板したヨハン・コボーの代役として急遽アリーナ・コジョカル相手にロミオを踊ったことを覚えている方も多いかと思います。来シーズン、ロイヤル・バレエでは「ロミオとジュリエット」「くるみ割り人形」「ジゼル」に出演することは発表されていました。特に「ロミオとジュリエット」は映画館中継も予定されていただけに、ますます残念です。

ルパートは、特に退団の理由は挙げていませんが、他の場所での新しいチャンスに挑戦する時が来たというコメントを発表しています。ロイヤル・バレエは、新しいシーズンに入り、公演は9月からですがリハーサルはすでにスタートしています。

まだ30代前半と若く、容姿にも恵まれた彼が退団してしまうのは非常に残念です。バレエを続けるのかどうかはわかりませんが、新天地で活躍してほしいですね。

「マノン」のプロモーションビデオ

ダンヒルのCMに出演したこともあります。

2015/08/12

シルヴィ・ギエムのBBC「ハード・トーク」東京MXテレビで8/13に放映

東京ローカル放送になりますが、シルヴィ・ギエムがBBCの番組「ハード・トーク」に出演した様子に日本語字幕を付けた番組が、東京MXテレビ2で放映されます。

http://s.mxtv.jp/variety/bbc_hardtalk/

8月13日(木)朝6:30~7:00 東京MXテレビ2

シルヴィ・ギエムは30年以上にわたり一流のバレエ団で首席ダンサーを務め、新境地を切り開いてきた。しかし今年の終わりに引退公演を行うという。バレエ史上最高のダンサーの一人として記憶されることは間違いないが、その主張の強さから「マドモワゼル・ノン」の異名をとる。バレエ界での熾烈な競争や環境保護活動について聞く。

オリジナルのBBCの番組はこちらです。
http://www.bbc.co.uk/programmes/n3csy4rs

ギエムは、先週、ロンドン・コロシアムでの英国における最後の公演を終えたばかりです。

エジンバラ国際フェスティバルでの彼女のインタビュー番組も放映されました。インタビューするのは、元ロイヤル・バレエのデボラ・ブル。BBCのiPlayerで視聴可能です。(ジオブロックがかかっていますが、Holaなどで回避できます)
http://www.bbc.co.uk/iplayer/episode/p02yxkgb/bbc-at-the-edinburgh-festivals-2015-sylvie-guillem

2015/08/11

ディアナ・ヴィシニョーワのドキュメンタリー、Kickstarterで資金集め中

現在世界バレエフェスティバルで来日中のディアナ・ヴィシニョーワ。現代の女性ダンサーの中でもトップのスーパースターである彼女の姿を捉えたドキュメンタリーの企画が、Kickstarterで資金募集中です。

https://www.kickstarter.com/projects/pivotalpointe/diana-vishneva-pivotal-pointe

Diana Vishneva: Pivotal Pointeと題したこのドキュメンタリーは、アカデミー賞ドキュメンタリー映画賞にもノミネートされたことがあるバディ・スクワイアーズが監督。今までに、ウディ・アレン、ルネ・フレミング、ダライ・ラマなどの著名人のドキュメンタリーを撮影してきた実績があり、今年放映された、ABTの75周年記念ドキュメンタリーも撮影しています。

今年マリインスキー・バレエに入団して20周年を迎えたヴィシニョーワ。古典作品だけでなく、早くから現代作品にも挑戦してクリエーションを行い、若い振付家をフィーチャーした「Diana Vishneva Fest」というダンスフェスティバルも主催するなど、枠にはまらない活動をしています。身体能力は高いレベルを保っていますが、最近では古典作品への出演頻度が少なくなっている一方で、ジャン・クリストフ・マイヨー、マウロ・ビゴンゼッティ、ジョン・ノイマイヤーなどと組んでの現代作品プログラムを自らプロデュースしています。成熟期にある彼女のキャリアにとって重要な転換点となりそうなこの時を捉えたドキュメンタリーとなるとのことです。彼女の美しい姿だけでなく、加齢に伴う身体の限界や痛みなど、彼女の素顔をも見せるそうです。

上記Kickstarterサイトで観ることができる予告編では、「オネーギン」をマルセロ・ゴメスとリハーサルする映像や、マルセロのインタビューも収録。現在、撮影クルーが世界バレエフェスティバルに同行して日本での撮影を行っています(マルセロと踊る「ヴァーティゴ」も撮影するとのこと)。さらに今年10月のマリインスキー・バレエのカリフォルニアへのツアーの様子や、秋のマリインスキー劇場での撮影も予定されているとのこと。

このプロジェクトのInstagramアカウントでは、撮影の様子も見られます。動画もあります。
https://instagram.com/diana_vishneva_docu/

非常に魅力的なこのプロジェクト、実現すると素晴らしいですね。ファンの方は是非ご支援を。

マリインスキー劇場のYTアカウントより、ディアナ・ヴィシニョーワ20周年記念公演の「ジゼル」(私も観に行きました。成熟した彼女の姿が観られて、素晴らしかったです)

バディ・スクワイアーズが監督したABTのドキュメンタリー

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2015/08/10

ニュー・アドベンチャーズのジョナサン・オリヴィエが事故死

コメントでお知らせいただきましたが、ニュー・アドベンチャーズの来日公演「白鳥の湖」でザ・スワン/ザ・ストレンジャー役を演じたジョナサン・オリヴィエが8/9の朝に交通事故に遭い亡くなりました。38歳の若さでした。

サドラーズ・ウェルズ劇場で上演されていた「ザ・カー・マン」のルカ役で出演していた彼は、千秋楽の舞台に向かう途中、劇場の近くて車との衝突事故が起こり亡くなったとのことです。公演は中止とされました。

http://bbc.in/1IwezBr

Dancer killed in motorbike accident hours before he was due to perform
http://www.theguardian.com/uk-news/2015/aug/09/dancer-jonathan-ollivier-killed-motorbike-accident?CMP=twt_gu

カリスマ性の高いダンサーであるとともに、人柄も優れていて多くの人に愛された彼。ニュー・アドベンチャーズの同僚や多くの人々が彼の悲劇的な死を悼んでいます。

マルセロ・ゴメスのツイート
https://twitter.com/marcelogomes47/status/630579224924024832

「白鳥の湖」での彼のザ・スワンは、クラシックバレエの高い技術、美しい踊りとともに、父性を感じさせ包容力のあるキャラクターで素晴らしかったです。ザ・ストレンジャーには大人の男性のセクシーな魅力がありました。ニュー・アドベンチャーズには欠かせない、かけがえのないダンサーを失ってしまったのは悲しくてたまりません、ご冥福をお祈りいたします。

Some words from Matthew about our dear friend, colleague and company member, Jonny. http://new-adventures.net/news/jonathan-ollivier-1977--2015

Posted by Matthew Bourne's New Adventures on 2015年8月10日

朝日新聞にも記事が
バレエダンサーのジョナサン・オリビエさん、交通事故死
http://www.asahi.com/articles/ASH8B6J9MH8BUHBI01G.html

マシュー・ボーンからの弔辞
http://new-adventures.net/news/jonathan-ollivier-1977--2015

「昨夜、私たちの「スワン」と「カーマン」を失いました。ジョナサン・オリヴィエは、同世代のダンサーの中でも最もカリスマ性がありパワフルな一人でした。優しさと傷つきやすさを持った非常に男性的な存在感で、「ザ・スワン」、「プレイ・ウィズアウト・ワーズ」の謎めいたスペイト役、そして最後の役となった「ザ・カーマン」のルカ役など、ニュー・アドベンチャーズのレパートリーにおける輝かしい役柄には完璧に合ったダンサーでした。その「ザ・カーマン」のルカ役を、昨夜のサドラーズ・ウェルズ劇場での最終公演で彼は踊る予定でした。

温かくチャーミングなジョニーは、本物のジェントルマンで、同僚に愛され尊敬され、観客には舞台上での忘れがたいパフォーマンスだけでなく、楽屋口でのフレンドリーで誠実な人柄によって熱愛されました。彼の羨むべきテクニックと魔法のような舞台上での存在感に追いつくべく必死に働いた、様々な世代の若いダンサーにとってのインスピレーションであり、お手本となる存在でした。

昨日の出来事は、ニュー・アドベンチャーズのファミリーの心を引き裂きました。私たちは、ジョニーの家族と友人たちに心からのお悔やみを贈るために共に行動します。かけがえのないこのアーティストの死を悼む中で、私たちは、彼が残した記憶と遺産で心を癒すことにします」

マシュー・ボーン

韓国公演でのジョナサン・オリヴィエを取材した映像(舞台映像も少しですがあります)

なお、ニューアドベンチャーズは、ジョナサンの家族にお悔やみのメッセージを送りたい人は誰でも、メールか郵便で以下のアドレスに送ってくれれば届けるとのことです。

メール drew@new-adventures.net

郵便
New Adventures, c/o Sadler’s Wells Theatre, London, EC1R 4TN England

ジョナサンとクリストファー・マーニーの「白鳥の湖」

2015/08/09

吉田都さんの「アナザースカイ」番組公式YTで視聴可能/「恋するドライブ」に出演

吉田都さんを特集した日本テレビの番組「アナザースカイ」、素晴らしい番組でしたがご覧になれましたか?

万が一見逃した方に朗報です。番組公式のYouTubeチャンネルで、全編観ることができます。

https://youtu.be/n2piPwhd2wU

おそらく3週間くらいの期間限定公開だと思われますので、お早目に。オフィシャルで見逃し対応をしてくださるのはうれしいことですよね。


もう一つ、2015年8月12日(水)夜11:29~BS朝日で放送 の「恋するドライブ」にも都さんが出演されます。

http://www.bs-asahi.co.jp/drive/

今回のゲストは、バレリーナの吉田都さんです。今日は初めて高知県をドライブ。香南市にある桜づつみ公園を出発し、高知市の五台山展望台を目指します。 ゲストの吉田都さんは東京都出身。高校生の時にローザンヌ国際バレエコンクールにて注目を集め、イギリスに留学。22年間にわたって英国の2つのロイヤル・バレエ団でプリンシパルを務めた、日本を代表するバレリーナです。初対面の真理さんと吉田さんでしたが、同年代ということもありすぐに意気投合。車内では、吉田さんのバレエ人生について詳しく聞いちゃいます。

パリ・オペラ座バレエの男性ダンサーたちを撮影した写真集Les Danseurs

パリ・オペラ座バレエの男性ダンサーたちを撮影した写真集Les Danseursが発売されます。

http://edition.cnn.com/2015/08/04/world/cnnphotos-paris-ballet-dancers/

ニューヨークとパリで活動するマシュー・ブルックスという写真家によるこの写真集は、ダンサーたちを舞台の上ではなく、室内、そして屋外の自然光の下で撮影されたものです。純粋にダンサーというよりはアスリート的に扱い、ダンスというのはこんなに力強いものであるということを表現したそうです。そしてすべてモノクロの写真。

もともとファッションカメラマンで、スポーツも撮影してきたブルックスは、この写真集を手掛けるまでバレエのことはほとんど知らず、オペラ座のダンサーたちに会って、彼らがアスリートのように素晴らしい身体能力の持ち主であるアーティストであることに魅了されたそうです。一人一人に個性があり、そして人柄も親切で素晴らしいと。創造的で優しい人々であると語っています。舞台に立つ人間として批評されて分析される厳しい世界に生きているのに、お互いを褒め合い助け合っていることに感動したそうです。

このCNNにサイトを見ると、マチュー・ガニオ、ジョシュア・オファルト、アクセル・イボらが登場しています。また、巻頭言はマリ=アニエス・ジロが書いているとのことです。被写体としてオペラ座の男性ダンサーたちは美しくて申し分ない存在ですし、楽しみな一冊ですね。日本でも9月29日には買えるようになるようです。

Matthew Brookes: Les DanseursMatthew Brookes: Les Danseurs
Matthew Brookes

Damiani 2015-09-29
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2015/08/06

森下洋子さんが原爆の日を前に広島東洋カープで始球式

あの森下洋子さんが、広島東洋カープ対阪神タイガース戦(核兵器根絶と平和への思いを込めた「ピースナイター2015」)で8月5日に始球式を行いました。

バレーの森下洋子さん 生まれ育った広島へ思いこめて始球式 カープのユニフォーム着て
http://www.sankei.com/west/news/150805/wst1508050096-n1.html

原爆の日の6日を前に、マツダスタジアム(広島市南区)での広島東洋カープ対阪神タイガース戦で、5日始まった「ピースナイター2015」。同日の始球式でマウンドに立った同市出身の世界的バレリーナ、森下洋子さん(66)も被爆2世だ。被爆者の母や祖母への思いを胸に、故郷のマウンドを踏みしめた。

 森下さんは昭和23年に現在の広島市中区江波に生まれた。12歳でバレリーナを目指して単身上京し、49年にヴァルナ国際バレエコンクールで金賞を受賞した。国内外で高い評価を受けてきたバレエの陰には、被爆者である祖母、山根晴代さんの存在があった。

カザルスが反戦の思いを込めた名曲「鳥の歌」を踊る際に使用したチュチュとカープのユニフォームを着用して、投球前にはバレエのポーズを披露したとのことです。

世界的プリマ森下洋子「ピースナイター」で始球式
http://www.hochi.co.jp/entertainment/20150805-OHT1T50145.html

バレリーナ森下氏 平和祈り始球式
http://www.daily.co.jp/baseball/carp/2015/08/05/0008276698.shtml

とても66歳とは思えないプロポーションと可愛らしい笑顔の森下さん。今年の10月には、松山バレエ団の「眠れる森の美女」でオーロラを踊ります。この年齢で古典全幕を踊ることができるのは驚異的なこと。
http://www.matsuyama-ballet.com/newprogram/2015hokutopia_sleeping_beauty/

安保法制の強行採決など、非常にきな臭い世の中となってきました。安心してバレエを観ることができるような平和な日々が続くことを祈るとともに、70年前に投下された原爆の惨禍は決して忘れてはいけませんね。

 背番号は、名前の「洋子」にちなんで45番。「唯一の被爆国として、声を大にして平和の大切さを訴えなければいけない」と、白球に平和への祈りを込めた。
(上記 産経新聞より)

2015/08/04

8/1 第14回世界バレエフェスティバル Aプロ

長丁場なので、感想の方はさくっといきます。

Wbf20152

8月1日(土)14:00~ 東京文化会館

指揮:ワレリー・オブジャニコフ、ロベルタス・セルヴェニカス
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
ピアノ:フレデリック・ヴァイセ=クニッテル

「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」

振付:ジョージ・バランシン
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー

ヤーナ・サレンコ/スティーヴン・マックレー

サレンコが珍しくちょっと調子悪そうだった。コチェトコワの降板で急にシムキンとも踊らなくてはならなくなったので、こちらの方は合わせる時間がなかったのかも。もちろん彼女は実力派なので、不調と言っても、普通のダンサーよりはずっとレベルは高いのだが。あまりパートナーリングが上手くいってなくて、特に最後の見せ場のダイブを受け止めるところ、サレンコの飛び込みに勢いがなくて、この作品のシャンパンの泡のような爽快感を感じられなかった。マックレーはソロは、空中で静止するようなジュッテなど素晴らしかったのだが。


「3つのグノシエンヌ」

振付:ハンス・ファン・マーネン
音楽:エリック・サティ
ピアノ:フレデリック・ヴァイセ=クニッテル

マリア・アイシュヴァルト/マライン・ラドメーカー

ボリショイ・マリインスキー合同ガラでロパートキナも踊った作品で映像にもなっている(「Hans Van Manen Festival」(2008)。いかにもファン=マネンらしい、男女の心理的な駆け引きが官能的に繰り広げられる作品で、特にサポートされているアイシュヴァルトの強靭さと詩情、美しいムーヴメントが際立つ。ラドマーカーのサポートのうまさも特筆もの。少々地味な作品ではあるが、大人の魅力で魅せる。

ロパートキナ出演の映像


「お嬢さんとならず者」

振付:コンスタンティン・ボヤルスキー
音楽:ドミートリイ・ショスタコーヴィチ

この間のマリインスキー・バレエで行われた「Knights of Ballet」公演でダニーラ・コルスンツェエフが踊った作品。お嬢さんに恋をした、実は純情なならず者を演じるには、不器用そうなコルスンツェエフの方が似合っていた。音楽はショスタコーヴィチのジャズ組曲やさまざまなバレエ曲を使用。いかにも旧ソ連。ならず者が胸をはだけたところ、お嬢さんが思いっきり引いてしまうのには笑っちゃう。ゼレンスキーの踊りは年齢を感じさせない美しい跳躍もあるものだった。金髪に髪を染めていたボーダーはパワフルなグラン・ジュッテがいかにも昔のソ連風で、非常に上手いんだけど、このメンバーの中では逞しいのが目立つ。彼女のバランシンやロビンスは素晴らしいので、この作品でのパフォーマンスも良かったけど、そちらで観たかった気がする。


「白鳥の湖」より"黒鳥のパ・ド・ドゥ"

振付:マリウス・プティパ
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー

タマラ・ロホ/アルバン・レンドルフ

バランス技はすごいものの、ロホは精彩を欠いているのではないかと思っていたら、グランフェッテが凄かった。最初4回転で始まり、1-2-3回転パターンが後半まで続く。しかも音にもぴったり合わせて行っているので品格を崩さないし小気味よい。さすがの風格だった。ロホのパートナーは、来シーズンよりABTに移籍するアルバン・レンドルフ(デンマークロイヤル・バレエ、ENBではゲスト)。ハンサムだがやや小柄で脚短く太くがっしり体型。彼のバジルを観た友人によれば良かったらしいのだが、白鳥の王子ではどうなんだろう。サポートも苦戦。しかしコーダのピルエットは美しく、ヴァリエーションも高い跳躍で良かった。


「フェアウェル・ワルツ」

振付:パトリック・ド・バナ
音楽:フレデリック・ショパン、ウラジーミル・マルティノフ

イザベル・ゲラン/マニュエル・ルグリ

ショパンなのに生演奏じゃないのは残念。上手にベッドが置かれていて、男女の惜別を情感豊かに描いた作品。少し散漫なところもあるものの、バナ振付の特有のクセは弱めで、今のルグリとゲランにぴったりでとても素晴らしかった。現在54歳というゲランの詩情あふれる美しさと表現力には恐れ入った。特に背中や足先は下手な現役よりも美しい。ルグリの端正さも相変わらずで、円熟した味わいと余韻、年月を重ねた2人だけが見せられる絆の強さに酔いしれた。このペアの踊りが観られただけでも、今回の世界バレエフェスティバルには大きな価値があったと言える。


「アザー・ダンス」 

振付:ジェローム・ロビンズ
音楽:フレデリック・ショパン
ピアノ:フレデリック・ヴァイセ=クニッテル

アマンディーヌ・アルビッソン/マチュー・ガニオ

「アザーダンス」はとにかくマカロワとバリシニコフの映像がデフォルトになっているので、誰が踊るのを見ても辛い。今回は、ロビンス作品に定評のあるイザベル・ゲランが振付指導をしているはずなのだが。以前アシュレー・ボーダーが踊っているのを観たときは情感があり本当に素晴らしかったので、彼女が踊ればよかったのにと思った。今回の二人はソロは伸び伸びしていて良いのだが、パ・ド・ドゥでは何の感情も通い合っていなくて、退屈。アルビッソンも技術的には何の問題もないのだが、感情を想起させるところがまだまだだし、上半身の硬さを感じる。


「マンフレッド」

振付:ルドルフ・ヌレエフ
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー

マチアス・エイマン

パートナーのミリアム・ウルド=ブラムが怪我で降板のため、以前エイマンがヴィシニョーワ・ガラでも踊った「マンフレッド」に。ヌレエフの複雑な振付もものともせず、情熱がほとばしり、悲劇的で、ドラマティックで美しいソロ。去年のYAGPガラでも観たけどマチアスはますます進化していて切れ味鋭く伸びやかで、向かうところ敵なしの成熟ぶりだった。彼の踊りには物語を感じる。


「ジゼル」

振付:ジャン・コラーリ、ジュール・ペロー
音楽:アドルフ・アダン 

サラ・ラム/ワディム・ムンタギロフ

ラムのジゼルはミスキャストではないだろうか?衣装もロイヤル仕様なんでしょうがエアリーさがなくてジゼルらしくないし、美しい金髪も相まって幽玄さや儚さをあまり感じさせない。アラベスク・パンシェなどもジゼルらしくない。現代作品など、彼女の良さを見せるような作品にしてほしかった。ムンタギロフのアントルシャ・シス(ジゼルのこの場面でのアントルシャ・シスは異例)の高さは驚異的だしつま先も非常に美しい。アルブレヒトのヴァリエーションは少し変則的で、普通はカブリオールのところを、トゥール・ザン・レールで見せる。踊りそのものは本当にクオリティが高いのだが、アルブレヒトのヴァリエーションはディアゴナルに進む動きがミルタに操られている感じを出すので、違和感を感じた。


「ライモンダ」より第 3 幕のパ・ド・ドゥ

振付:ユーリー・グリゴローヴィチ(プティパに基づく)
音楽:アレクサンドル・グラズノフ

マリーヤ・アレクサンドロワ/ウラディスラフ・ラントラートフ

アレクサンドロワの衣装が爽やかなブルーと白であまりライモンダっぽくない不思議なもので、それなのにラントラートフはブルーのマント付きなので不思議さ倍増。が、踊りはさすがボリショイの貫録たっぷり、揺るぎない。2009年だったか、ガルニエでオペラ座にゲスト出演し、ヌレエフ版のライモンダを踊るアレクサンドロワの女王っぷりに心酔したものだったが、今回の彼女は押し出しの強さの中にも、かわいらしさも持ち合わせていた。ヴァリエーションは、ポワントでシャンジュマンをしながら前進していくのもので、これだけでも十分高度なテクニックなのだが、マリインスキーのノヴィコワはこれをアントルシャ・カトルでやって見せてそれは本当に凄かった、ラントラートフは、ボリショイならではのドゥーブルアッサンブレ一周も勇壮に決めていた。


失われた純情 「いにしえの祭り」

振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:リヒャルト・シュトラウス

アンナ・ラウデール/エドウィン・レヴァツォフ 
シルヴィア・アッツォーニ/アレクサンドル・リアブコ

しっかりセットが組み立てられていて、前半はレヴァツォフとラウデール、後半はリアブコとアッツオーニ。レヴァツォフは少し前にハンブルグのバレエ週間で演じた「タチアーナ」のオネーギン役のために頭が坊主。長身の彼は軍服がよく似合っていてこのペアも良かったのだが、アッツオーニとリアブコが凄すぎるので、ちょっと損な役回り。特にリアブコ、踊っている時間は短いけど尋常じゃないキレキレの跳躍を見せてくれて、この人は天才と狂気の紙一重のところに存在している人だと実感。アッツオーニの儚げな中に秘めた強靭さと、動きだけで物語性を感じるところも凄い。ガラに切り取るには難しい作品のようなので、全幕で観たい。(Rシュトラウスなので、これも生演奏でお願いしたかった)


「シンデレラ」

振付:フレデリック・アシュトン
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ

アリーナ・コジョカル/ヨハン・コボー

まさかのアダージオのみだった。コボーではヴァリエーションはもう無理なのか(その割にクラス・レッスンではよく動いていたけど)コジョカルのシンデレラは、これ以上似合うダンサーがいないのでは、というキラキラの可憐さで相変わらずのはにかんだ表情が愛らしい。王子の周りをまわるシェネや、回転しながらの空中をリフトされる姿勢の揺るぎなさに、芯の強さを感じさせる。


「オールド・マン・アンド・ミー」 

振付:ハンス・ファン・マーネン
音楽:J.J.ケイル、イーゴリ・ストラヴィンスキー、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト

この二人に宛書だと誤解されている方が多いようだけど、それは間違い。これは、ファン=マネンが、イリ・キリアンの妻でミューズのサビーネ・クップファーベルグの40歳の誕生日を祝って、彼女とNDTIIIにオマージュを捧げるために1996年に振付けられた。当時40歳のクプフェンブルグと59歳のジェラール・ルメートルが踊っており、DVD「Six Ballets by Hans van Manen」にも収録されている。最近では、ラリッサ・レジュニナの引退公演で彼女が踊っている。JJケイルの軽妙なジャズ/ブルース調の曲、ユーモラスなストラヴィンスキーの「サーカス・ポルカ」そしてモーツァルトのピアノコンチェルト23番(「ル・パルク」でおなじみの曲)を使用。最初は全く動かない男性。女性が浮かない顔の彼のためにあれこれやるも…。そしてバッタリ倒れた彼に空気を入れて膨らませようとする、という爆笑モノのシーンとなり、最後は照明の暗転が繰り返されて切ないデュエットへ。踊り盛りのヴィシニョーワには少々もったいないところもあるものの、彼女の抜群のコメディセンスと演技力、そしてマラーホフとの長年のパートナーシップ、時の流れを思い出させて、何とも言えない余韻を感じさせた。

現代作品が少ないこのガラの演目の中で、ハンス・ファン=マネンの傑作を2作品上演したことは評価されて良いと思う。

サビーネ・クップファーベルグ


「パリの炎」

振付:ワシリー・ワイノーネン
音楽:ボリス・アサフィエフ

ヤーナ・サレンコ/ダニール・シムキン

今日2演目目のサレンコと、シムキン。シムキンのパートナー予定のコチェトコワが降板したので急きょの出演のサレンコ、お疲れ様。こちらで彼女は調子を取り戻していて、スポッティングを90度ずつずらして、トリプルもさりげなく入れたフェッテ、勇壮な跳躍など、素晴らしかった。そしてシムキン、前回のバレエフェスでもこれを踊っていたけど、相変わらずの軽やかで力みのない清涼感ある踊りは健在。しかし彼はいつまでもこの路線だけで良いのだろうか、もう少し新機軸を打ち出した方が良いのではないかと、余計なお世話ではあるのだが少し心配になる。


「白鳥の湖」第 2 幕より

振付:レフ・イワーノフ
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー

ウリヤーナ・ロパートキナ/ダニーラ・コルスンツェフ

まさに鉄板中の鉄板で、踊り手によっては退屈なこの場面が、この上なく至高の美しさ、深遠さを感じさせて深い感動を呼んた。湖の澄み渡って冷ややかな夜の空気が伝わってくるよう。コルスンツェフの愛情あふれるサポート、ロパートキナの神々しいまでのたおやかな腕の美しさとエレガントさ。ゆっくりした演奏も場面を盛り上げる。コール・ド抜きで彼らの生み出す神聖な世界だけに集中できたのも、良かった。別世界へと連れて行かれた、魔法のような時間。


「トゥギャザー・アローン」

振付:バンジャマン・ミルピエ
音楽:フィリップ・グラス
ピアノ:フレデリック・ヴァイセ=クニッテル

オレリー・デュポン/エルヴェ・モロー

ミルピエの振付は個性は乏しいけど悪くはない。サポートがかなり難易度が高く、この作品のリハーサルのためにモローは腕を負傷してしまい、「大地の歌」や「マノン」に出演できなかったが、今回の公演では怪我の後遺症は見られず、佇まいだけでなくムーヴメントにもドラマ性を感じさせてくれた。衣装が、白いレーサーバックのタンクトップにジーンズで、どう見ても普段着っぽいので振付に似合わなくて、情緒も何もあったものではないし作品の中にあるはずのドラマも感じにくかった。オーレリーはこんがり日焼けをしていたので、ますます普段着的な印象が強かった。オーレリーも踊りは精確で2人のパートナーシップも良かったが、衣装が作品をぶち壊しにしてしまった。ミルピエは「ダフニスとクロエ」といい、衣装のセンスが毎回あまりよくない。


「オネーギン」より第 1 幕のパ・ド・ドゥ 

振付:ジョン・クランコ
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー

アリシア・アマトリアン/フリーデマン・フォーゲル

アリシアのタチヤーナは、少女らしい恥じらいとときめき、大胆さ、女性としての目覚め。様々な感情を身体で的確に表現していて素晴らしい。サポートされているところの姿勢も非常に美しい、が、オネーギン、なんであんなにニヤニヤ笑っていて、しかもアリシアが軽いのによっこらしょって重そうに持ち上げるのだろうか。彼はレンスキー役がよく合っているのでレンスキーに専念したほうが良いと思われる。

「ドン・キホーテ」

振付:マリウス・プティパ
音楽:レオン・ミンクス

ヴィエングセイ・ヴァルデス/オシール・グネーオ

ヴァルデスは、以前のバレエフェスでも超絶技巧を見せて台風の目となったバレリーナ。今回は、アティチュードでバランスした後、ポワントのまま、このアティチュードの足をドゥヴァンまで持っていくという超絶技巧も。8小節分引っ張る長いバランス技は見せつつも、グランフェッテは以前よりも少し抑え目に、音に合わせて踊ることに気を配っていた。腕をアラスゴンド(真横)の状態のままフェッテするという変化球だったのだけど、日本人はそういうのより、曲芸のように3回転、4回転を入れたほうが喜ぶのだ。グネーオは最近ガラなどで引っ張りだこの人で、来シーズンはENBのゲスト・プリンシパルも務める。テクニックはものすごいのだけど、かなり余裕たっぷりな感じで、ピルエットは緩やかに減速しながらコントロールをきかせて音に合わせてピタッと止まる。足先を持ったりする、茶目っ気というか洒脱な感じが、ガラならではの遊び心を感じさせて楽しかった。やはりガラのトリは「ドン・キホーテ」でないとね。

シムキンのFacebookより。

Day 03 at the World Ballet Festival in Tokyo: Asere Osiel Gouneo still has it! #14thWBF #a_dancers_life #dontTryThisAtHome #CorazonCubano #ConMuchoGusto http://bit.ly/1fST6bI

Posted by Daniil Simkin on 2015年8月1日

4時間半の長丁場、猛暑、休憩時間が短くてお手洗いに立つ時間も少なくて、観る側にとっても持久戦だが、やはり大変楽しく贅沢な世界バレエフェスティバル。バレエ界の世代交代が順調に行っているのか不安はあるし、大きな発見もグネーオくらいなのだが、特にベテラン勢の名演が観られたのは嬉しかった。ゲラン&ルグリ、ヴィシニョーワ&マラーホフ、ロパートキナ&コルスンツェフ、アッツオーニ&リアブコ、ロホ、アレクサンドロワのパフォーマンスは特に素晴らしかったと感じた。若手がなかなかこれは、という人が出てこないのがつらいのだが、やはりこれはエイマン、ムンタギロフがもっとも輝ける新星なのだろう。

また、今回はピアノ演奏がフレデリック・ヴァイセ=クニッテルという、パリ・オペラ座の「椿姫」のDVDなどでも演奏している優れたピアニストによるものなのが良かったと感じた。演奏が良いと公演のクオリティはさらに引き上げられる。

引き続きBプロ、ガラもとても楽しみである。

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2015/08/03

7/29 世界バレエフェスティバル全幕特別プロ「ドン・キホーテ」

世界バレエフェスティバルの華やかな幕が開けました。

http://www.nbs.or.jp/stages/2015/wbf_pro/index.html

Donquixote

キトリ/ドゥルシネア姫:アリーナ・コジョカル
バジル:ワディム・ムンタギロフ
ドン・キホーテ:木村和夫
サンチョ・パンサ:岡崎隼也
ガマーシュ:梅澤紘貴
メルセデス:ヴィエングセイ・ヴァルデス(第1幕)/川島麻実子(第2幕)
エスパーダ:柄本 弾
ロレンツォ:永田雄大
キトリの友人:乾 友子、吉川留衣
若いジプシーの娘:奈良春夏
ドリアードの女王:渡辺理恵
キューピッド:松倉真玲

Wbf2015

今回の世界バレエフェスティバルは、全幕プロが一公演だけだったのが残念だったけど、コジョカルとムンタギロフという豪華ゲスト。「ドン・キホーテ」は東京バレエ団の鉄板演目で、この主役とこの版の上演で、公演の成功は約束されていたようなもの。

コジョカル、ムンタギロフとも、非常に好調な状態で公演に臨んでくれたようだった。コジョカルは、ほぼ理想的なクラシックラインを持ち、愛らしくも生き生きとしていておきゃんなキトリを好演。彼女の美点は、このようなゲスト出演の時でも、出演者たちにしっかりと目線を送り、物語の中に巻き込んでしまう稀有な能力にある。2幕のグラン・パ・ド・ドゥでもしっかりドン・キホーテのことを見ながら踊り、ガマーシュやロレンツォなどのキャラクターにもしっかり気を配る。バジル役ムンタギロフとのコミュニケーションも良く取れていて、ラブラブのカップルぶりが微笑ましい。特に少し恥ずかしそうにはにかむところの愛らしさには、誰もがとろけてしまうことだろう。

高い身体能力を持つ彼女のこと、ピンと高く上がる脚、強いポワント、浮かび上がるようなジュッテと、ともすればやりすぎに見えてしまうほどの強靭さが発揮されているのだけど、それも違和感を感じさせないところが彼女の演技力というべきだろうか。バランスは非常に安定していて、片手リストで持ち上げられている時にもびくともしないし、アカデミックで精密なライン、正確なテクニックには惚れ惚れする。一方でドルシネア役の時は軽やかで夢の世界の住民にふさわしい繊細な美しさも発揮した。

ムンタギロフは、バジル役には少し優雅すぎるところもあるが、エレガントで美しいバジル。若くて快活さもあるけれども、育ちの良さが隠せないようなところがある。ふわりとした跳躍と柔らかい着地。長い首と小さな顔、長身は王子さま的である。が、身長差のあるコジョカルとのパートナーシップは鉄壁で、サポートが非常にうまい。片手リフトはとても長いし、ダイビングするところのキャッチも力強い。そして2幕まで体力も温存していたようで、最後に大炸裂してくれた。美しい横開脚のジュッテ、非常に高いトゥール・ザン・レール、つま先まで伸びたマネージュ、お見事だった。欲を言えば狂言自殺の時の演技がもう少しコミカルだったら、もっと良かった。

メルセデス役の1幕に、特別ゲストのヴィエングセイ・ヴァルデス。キトリ役でバレエフェスで沸かせた彼女なので、メルセデス役は見せ場が少なくもったいない感じではあるけれども、華やかで鮮やかに魅せてくれた。

東京バレエ団の「ドン・キホーテ」がプロダクションとして定評があるのは、キャラクテールの演技のうまさに負うところも大きい。ドン・キホーテ役の木村さんは、気品があれども少し耄碌してしまった老人。だけどあくまでも上品なので、物語に説得力を与えることができる。サンチョ・パンサの岡崎さんはちょこまかよく動くし、ガマーシュの梅澤さんは、ハンサムながらもコミカルで抜けているガマーシュぶりで踊りもエレガント。エンディングでは、サンチョ・パンサやガマーシュがたくさん踊ってくれるしガマーシュにとってもハッピーエンドが用意されているので楽しい。

そして女性ソリストたちのクオリティも高かった。キトリの二人の友人乾さん、吉川さんは、特に2幕のヴァリエーションはクラシカルで非常にレベルが高い。ドリアードの女王の渡辺さんはとにかく脚が美しいし、優雅だ。この版はイタリアンフェッテがないので少し地味なのだけど、ポール・ド・ブラの腕の運び方もきれい。キューピッドの松倉さんは、小柄なれど脚がとても長く、グランジュッテもとても高くて身体能力が高い。若いジプシーの娘の奈良さん、情熱的で怨念のこもったような踊りが振り切れていて良かった。コール・ドも、特に夢のシーンでの揃い方が素晴らしかった。

女性ダンサーたちのレベルが非常に高いので、男性陣はもう少し頑張れ、と感じた。柄本さんのエスパーダは、もう少し足先や膝を伸ばしてほしいし、もっとキメキメにしてくれないと、他の主演キャストに対抗できない。特にバジルがムンタギロフという並外れて美しいプロポーションの持ち主なのだから。ほかにこの役に似つかわしいダンサーはこのバレエ団にいるのに、と感じてしまった。踊り以外のモブシーンの演技は非常にこなれていて、コジョカルの演劇性の高さも貢献しているにしても、自然にコミカルで明るい雰囲気が盛り上げられていた。

しかしいずれにしても、世界バレエフェスティバルのオープニングにふさわしい、楽しく華やかで質の高い公演で、会場にいた誰もを笑顔にすることができた良い公演だった。

2015/08/01

吉田都さんが、8/7日本テレビの「another sky」に出演

吉田都さんが、8月7日(金)の23:00~23:30、日本テレビの「another sky」に出演します。

http://www.blooming-net.com/news/7309/

吉田都さんならではのanother skyの下、これまでのバレエ人生を一挙に振り返るとのことです。

こちらには、もう少し詳しく番組の紹介、そして写真もあります。
http://tv.yahoo.co.jp/program/?sid=247

【見どころ】
英国ロイヤルバレエの最高位プリンシパルを15年間も務めた日本人バレリーナ。
ロイヤルオペラハウスの内部に潜入!
頂点を極めた者だけが知る苦悩と栄光とは?

【内容】
バレリーナ吉田都が英・ロンドンへ。
ロイヤルバレエの最高位プリンシパルを15年間も務めた世界の女王。
17歳で留学し過ごした場所で夢を追い続けたあの日を想い出す…行きつけの美食やトゥシューズ専門店を巡る。

希少映像!伝統と格式のロイヤルオペラハウス内部に潜入。
友人の英国ロイヤルバレエ現芸術監督や才能を見出してくれた恩師との再会で真実が明らかに。

彼女が世界の頂点に立ち続けられた理由とは?

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