BlogPeople


2017年6月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  

ブログパーツ

  • HMV検索
    検索する
無料ブログはココログ

« 第14回世界バレエフェスティバル  Bプロ | トップページ | 「愛と哀しみのボレロ」デジタルりマスター版公開、ボーン「白鳥の湖3D」「眠れる森の美女」アンコール上映他、恵比寿ガーデンシネマでバレエ映画上映 »

2015/08/28

8/19 横浜バレエフェスティバル

2015年8月19日(水)6:30PM 神奈川県民ホール

http://yokohamaballetfes.com/

バレエコンクールのメダリストや、現在活躍中の若手ダンサーを集めた第一部「フレッシャーズ・ガラ」と、世界トップクラスのバレエダンサーが出演した第二部「ワールドプレミアム」の2部で構成された、日本人ダンサー中心の「横浜バレエフェスティバル」。

付随して、木田真理子さん、児玉北斗さんによるワークショップを開催したり、オーディションで「フレッシャーズ・ガラ」の出演者を選んだりと、ダンサーの育成ということも目的にしているのが興味深かった。演目についても、なかなか観られないような作品が「ワールド・プレミアム」で上演されたりと、充実したガラだったといえる。


<第1部>フレッシャーズガラ
佐藤健作による和太鼓演奏とオープニング

オープニングとエンディングの演出がスタイリッシュでよかった。佐藤健作さんの迫力ある和太鼓から始まり、暗闇で一組一組がスポットライトで照らされて浮かび上がるように映し出されてポーズしたり踊ったり。日本で見ないような洗練具合だった。

「眠りの森の美女」第3幕よりオーロラ姫のヴァリエーション
川本真寧(横浜バレエフェスティバル2015出演者オーディション第1位)

11歳の川本さんは、金田・こうのバレエアカデミー所属で、今年のNBAバレエコンクール、バレエ部門小学生の部 3位の3に入賞。2015YAGP日本予選ではプリコンペティブ部門で3位だった。この年齢なのでまだ小さくて、非常に華奢なのだけど、オーロラらしい優雅さと輝きが感じられた。


「コッペリア」第3幕よりフランツのヴァリエーション
 五十嵐脩(横浜バレエフェスティバル2015出演者オーディション第2位、芸術監督・スーパーバイザー賞)

五十嵐脩さんは、去年ダンス・ツアーズの「ダンス・ツアーズ:未来の星」賞を受賞し、「ロイヤル・エレガンスの夕べ」で、ベアトリス・ポター物語を踊った子(志村昌宏・有子バレエスタジオ)。YAGP2015日本予選ではジュニアクラシック部門の4~6位で、13歳か14歳。フランツ役なので王子様役ではないけど、でもしっかり王子様。軸のしっかりしたピルエット、柔らかさもあって端正だしテクニックもある。


「タリスマン」よりニリチのヴァリエーション
 永久メイ(2013年YAGPファイナル ゴールドメダル1位)

モナコのプリンセス・グレース・アカデミーに留学中の永久さん。手脚が長くて容姿が美しい。魅せ方のうまさもプロ並みで、今後どんなバレリーナに育って行くのかが楽しみ。

YAGPファイナルのこの映像、8番目、3分27秒くらいからドルシネアのヴァリエーションを踊っている。


「コッペリア」第3幕よりスワニルダのヴァリエーション(ABTバリシニコフ版)
 相原舞(アメリカンバレエシアター)

相原舞さんは、顔小さく可愛らしく華奢で、スワルニダはロマンティックチュチュだったけど脚が非常に美しく、きれいにアンドゥオールしている。クリーンでクリアだけど柔らかくて綺麗。ABTのコール・ドですでに2年活躍していて、フレッシャーズの一部より二部に相応しいダンサーだけどこれからの飛躍も楽しみ。

相原舞さんのインタビュー
http://balletnavi.jp/article/pickup/20150804-3013/

「サタネラ」よりパ・ド・ドゥ
 畑戸利江子(2013年モスクワ国際バレエコンクール銅賞)
 二山治雄(2014年ローザンヌ国際バレエコンクール第1位)

二山さんの身体能力は抜きん出ていて、特にシソンヌの時の股関節の開き方が凄かった。ゴムまりのような跳躍力と実に柔らかくしなやかな身体。マネージュの時の前脚が高く上がって綺麗に伸びているのも印象的で、実に美しい踊りをする人だ。サンフランシスコ・バレエの研修生の契約をもらったけど、進路は未定とのこと。やはりせっかくの契約を生かしてサンフランシスコで研鑽を積んで、その素晴らしい実力を伸ばしてほしいと思った。パートナーリングも悪くはないけど、ソロがすごいだけに、カンパニーでその辺も磨かれれば鬼に金棒。畑戸さんは、ポワントの運び方が抜きんでて精緻だし、可愛らしい衣装も良く似合って作品の雰囲気にとても良く合っていた。


<第2部>ワールドプレミアム1

「horizontal episode」オセローより(振付:平山素子)
平山素子(ダンサー・振付家)
久保紘一(NBAバレエ団芸術監督、元コロラドバレエ団プリンシパル)
宮河愛一郎(元Noism団員)

「オテロ」をモチーフとした作品とのことで、舞台上に大きな白い紙が置いてあって、それが吊られて行き、最後にはその紙を切り取ったような小さな紙片が疑惑のハンカチのモチーフとして機能するという仕掛け。意欲的な作品だし、未だ衰えない久保紘一さんのテクニック、久保さん、宮河さんによるリフトなど魅力的なモチーフがあるのだけど、完成途上の作品という印象が否めなかった。照明もちょっと暗いのでわかりづらいところがあった。


「アルトロ・カントⅠ」よりパ・ド・ドゥ(振付:ジャン=クリストフ・マイヨー)
 小池ミモザ(モンテカルロバレエ団プリンシパル)
 加藤三希央(2014年ローザンヌバレエコンクール第6位、モンテカルロバレエ団)

モンテカルロ・バレエの来日公演でも踊られた作品。音楽はモンテヴェルディで、このバロック的な音楽と相俟ってほの暗い照明が官能的な雰囲気を醸し出す。加藤さんはスカートを着用していて、小池さんは加藤さんより長身なので倒錯的な要素もあり、小池さんが加藤さんを操るような振付もあってスリリングだ。マイヨーのおひざ元のダンサーたちによる踊りが観られるのはわくわくする。小池さんの研ぎ澄まされた鋭い動きによる支配力、カリスマ性は流石であり、ベルニス・コピエテルス引退後のモンテカルロ・バレエを代表するプリマとなったのが実感できた。


「ソワレ・ド・バレエ」(振付:深川秀夫)
米沢唯(新国立劇場バレエ団プリンシパル)
奥村康祐(新国立劇場バレエ団ファースト・ソリスト)

音楽はグラズノフの「四季」。星空がきらめくような背景のもと、パープルのグラデーションの美しいチュチュを着用した米沢さんが美しい。ネオクラシック的な作品で、方向転換を多用したフェッテアラベスクなど、これでもかという難しいテクニックが盛り込まれている。それを涼しい顔で易々と踊ってしまうのが米沢さんの凄いところで、コーダでのグランフェッテも3回転をさりげなく放り込んでいる。奥村さんも、マネージュの美しさ、エレガントさで魅せるとともに、トゥール・ザン・レールとピルエットの連続技もきれいに5番に着地しながら決めてくれた。


「excuse us」(振付:JAPON dance project )
青木尚哉(ダンサー、振付家)
児玉北斗(スウェーデン王立バレエ ファースト・ソリスト)
柳本雅寛(ダンサー、+81主催)

いきなりブルー・ハーツの「トレイン・トレイン」でぐるぐると舞台を走り回る3人。リフトに失敗した青木さんが凹んで、ダンスなんて辞めてやる、と言い出したところ残りの二人がなだめてなんとか続けさせようとする。すると、さっきの衣装のままの米沢さんと奥村さんが出てきて、なんと米沢さんは児玉さんと踊ってアラベスクでポーズするし、今までの出演者たちまで舞台に登場してぞろぞろと歩き回りながら「青木さん、頑張って」と青木さんを励ましていく。音楽は美空ひばりとなる。ついに青木さんはダンスを辞めることをやめると宣言する、という展開に。果たしてこれが「ダンス」と言えるのかという疑問が浮かび上がるものの、踊り続けることとミドルエイジクライシスを取り上げているということで、やはりこれは「ダンス」なのだろう。

オリジナリティもあってとても可笑しい作品だったのだが、惜しまれるのが、3人のセリフがちょっと聞き取りづらかったこと。神奈川県民ホールはかなり広い会場なので、マイクなどを取り入れるべきだったと思われる。


<第3部>ワールドプレミアム2

「半獣」牧神の午後よりパ・ド・ドゥ(振付:遠藤康行)

小池ミモザ(モンテカルロバレエ団プリンシパル)
遠藤康行(フランス国立マルセイユ・バレエ団ソリスト、振付家)

「牧神の午後」の音楽。最初遠藤さんしか見えないのだけど、背後に隠れるように小池ミモザさんがいて二人羽織のように腕だけが後ろから出ていて、この腕のしなやかな動きにまず目を奪われる。やがて二人が踊り出すけど、二人の衣装が腰のところでベルトで繋がれていて離れられない。離れようとしたりくっついたり、引っ張り合ってバランスを取ったりの不自由さの動きが官能的。離れた後の振付も独創的だった。舞台の後ろが白い紗幕のようになっていて、幕の裏へと行った遠藤さんの姿が影絵のようにになって小池さんと向き合って踊る。白い幕に映し出された波紋も美しい。最後は小池さんが転がってこの紗幕の後ろへと消えていく。この作品は、アイディアと美しさとエロスに満ちていて、思わず見入ってしまった。二人のダンサーの強い存在感もあり、この日の白眉と言える見事なパフォーマンスだった。


「ジゼル」第2幕よりパ・ド・ドゥ
高田茜(ロイヤルバレエ団ファーストソリスト)
高岸直樹(元東京バレエ団プリンシパル)

お墓が右側にあるという少し変則的な配置。高田茜さんは、細く長いラインがきれいで、ロシアでの教育のたまものである柔らかくしなやかなポールドブラが美しい。足の甲もよく出ており、ジゼルらしい空気をはらんだ幽玄な雰囲気があって彼女ならではのジゼル像がしっかり見えた。ロイヤル・バレエでもジゼル役で近々デビュー予定とのことなので、もしかしたら日本でも観られる機会があるかもしれない。高岸さんは、さすがにアルブレヒトのヴァリエーションは少し苦しそうなところもあったが、サポートは上手く、なによりもジゼルへの愛が感じられて良かった。こういうベテランならではの表現力やスピリットを若いダンサーに伝えていくというのも、ガラのコンセプトの中にあると感じた。


「眠りの森の美女」よりパ・ド・ドゥ(振付:マッツ・エック)
湯浅永麻(ネザーランド・ダンス・シアター)
Bastian Zorzetto(ネザーランド・ダンス・シアター)

マッツ・エック振付の「眠れる森の美女」をこのガラで上演できたのは、素晴らしい成果だ。オーロラの目覚めの美しい音楽が流れているのに、王子は死体袋のような大きな袋をずりずり引きずって舞台を何周もして、オーロラはこの中から現れる。湯浅永麻さん、奔放な動きがとってもかっこよく雄弁だった。二人がユニゾンで踊るところも揃っているし、エック作品をエックらしく大胆に切れ味鋭く踊っていて、楽しかった。いつか全幕が観たい。湯浅さんはopto dance projectでも踊っているけど、なかなか観る機会はないので、エックを踊る彼女が観られて本当に良かった。

このNDTの映像でも、湯浅さんがオーロラを踊っている。

「海賊」第2幕よりメドーラ、アリ、コンラッドのパ・ド・トロワ
小野絢子(新国立劇場バレエ団プリンシパル)
八幡顕光(新国立劇場バレエ団プリンシパル)
加藤三希央(2014年ローザンヌバレエコンクール第6位、モンテカルロバレエ団)

小野さんのアダージオやヴァリエーションは揺るぎのない気品で輝いている。少しグランフェッテは苦手そうだったけど、きっちりまとめた。八幡さんはアリを踊るのがとても嬉しそうで、跳躍もびっくりするくらい高かったし2連続の540でキメてくれた。ひげをつけた加藤さんは、この二人より若いけど、迫力では負けることなく、美しいクラシックテクニックを披露。ガラの締めくくりにふさわしく盛り上げてくれた。新国立劇場バレエ団は、最近男性ダンサーも充実しているので、ぜひ「海賊」もレパートリーに加えてほしいと思う。

エンディングも、和太鼓の演奏に合わせて出演者が一組ずつ踊り、スタイリッシュに締めてくれた。ほとんど退屈する時間のない、あっというまの公演だった。

*******
特に「アルトロ・カント」、「半獣」、エックの「眠りの森の美女」と現代作品が、ダンスの”いま”を捉えたようなクオリティの高さで見ごたえがたっぷりあった。深川秀夫、遠藤康行と日本人振付家の作品も取り上げているし、「ジゼル」からバレエ・リュスへのオマージュもある「半獣」、そして現代的なエックの「眠りの森の美女」へと移り変わるバレエの歴史の流れも辿れるような構成は非常に興味深い。これも、遠藤康行さんが芸術監督としてしっかりとプロデュースして、きちんとしたコンセプトを持って作り上げた成果だと思われる。一方でこれから世界へと羽ばたく若いダンサーたちも見せてくれた。世界の第一線で活躍するダンサーたち、そして新しい作品を紹介したことは、ダンサーの卵たちにとっても大きな刺激となったことだろう。日本のダンサーたちは、今や世界全体でも非常に高いレベルにあるのが実感される。

とても良いガラだったが、課題はあると感じられた。まず、横浜で平日の6時半開演は勤め人にはつらい。行きたいけど開演に間に合わないから断念した友人がたくさんいた。せめて7時開演にするべきだったと思われる。また、告知が行き届かない部分もあった。内容も出演者も素晴らしいのだから、もっとお客さんが入ってほしかった。しかし、公演を行うのは初めての主催者であるのに、これだけ芸術性、クオリティの高いものを実現させたのは素晴らしい成果である。来年も開催する予定なので、非常に楽しみだ。

マッツ・エック振付「眠れる森の美女」

Sleeping Beauty [DVD] [Import]Sleeping Beauty [DVD] [Import]

Image Entertainment 2001-08-07
売り上げランキング : 95506

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

« 第14回世界バレエフェスティバル  Bプロ | トップページ | 「愛と哀しみのボレロ」デジタルりマスター版公開、ボーン「白鳥の湖3D」「眠れる森の美女」アンコール上映他、恵比寿ガーデンシネマでバレエ映画上映 »

バレエ公演感想」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 第14回世界バレエフェスティバル  Bプロ | トップページ | 「愛と哀しみのボレロ」デジタルりマスター版公開、ボーン「白鳥の湖3D」「眠れる森の美女」アンコール上映他、恵比寿ガーデンシネマでバレエ映画上映 »