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2015/07/01

ミスティ・コープランド、ステラ・アブレラがABTプリンシパルに、マリア・コチェトコワ、アルバン・レンドルフがABT移籍

アメリカン・バレエ・シアター(ABT)での昇進が、New York Timesで報じられました。

http://www.nytimes.com/2015/07/01/arts/dance/misty-copeland-is-promoted-to-principal-dancer-at-american-ballet-theater.html

ABTの発表
http://www.abt.org/insideabt/news_display.asp?News_ID=522

大きな話題となったのが、ミスティ・コープランドのプリンシパル昇進です。TIME誌の表紙を飾り、トニー賞授賞式ではプレゼンターとして登場し、アンダー・アーマーでのCM出演など話題に事欠かなかった彼女。先日メトロポリタン・オペラハウスで「白鳥の湖」に主演した時には、チケットはソールドアウトとなりました。ABT史上初のアフリカ系アメリカ人の女性プリンシパルが誕生しました。

ミスティ出演のアンダー・アーマーのCM映像は、800万回以上の再生回数を誇っています。

ソーシャルメディアなどでの宣伝が先行している、技術的には欠点があり「白鳥の湖」での主演の時にグラン・フェッテが32回回れず途中でフェアテに変更した、など批判もある彼女ですが、バレエも多様性の時代であることを物語っています。バレエ界にとどまらない知名度を持ち、アメリカでもっとも有名なバレリーナの一人であり、ティーンエイジャーに絶大な人気を誇っているのは間違いありません。

「白鳥の湖」主演後には、ものすごい人数の若い女性ファンたちがサインを求めて出待ちをしていたことが報じられました。この舞台では、バレエ・リュス・ド・モンテカルロの元プリンシパル、レイヴン・ウィルキンソンと、ヒューストン・バレエの元プリンシパル、ローレン・アンダーソンという二人の偉大なアフリカ系アメリカ人元バレリーナが、カーテンコールでミスティに花束を贈りました。

ミスティの昇進は、米国大統領カウンシルからも祝福されました。


賛否はありますが、歴史的なニュースであり、New York Timesではブレイキングニュース(号外)となり、全米のテレビでも芸能ニュースで大きく報道されるほどの事件でした。ミスティがプリンシパルとなったことで、今までバレエを観なかった層が劇場に足を運ぶようになるでしょうし、それはバレエにとっては素晴らしいことです。

CNNニュース

ABCニュース


怪我をしたポリーナ・セミオノワの代役で先日「ジゼル」を踊って高く評価され、ABTの通なファンの間で熱狂的な人気を誇るステラ・アブレラもプリンシパルに昇進しました。2001年にソリストに昇進して以来長いこと不遇だった彼女ですが、ロイヤル・ニュージーランド・バレエで「眠れる森の美女」、オーストラリア・バレエで「ジゼル」にゲスト出演。ベテラン実力派の彼女もついに報われる時が来ました。ステラは、映画「センターステージ」に出演した元ABTソリスト、サシャ・ラデツキー夫人でもあります。

ダニール・シムキンのTwitterより。ステラの嬉しそうな表情と周りの団員の祝福が素敵です。


また、ABTにもたびたびゲスト出演してきたマリア・コチェトコワがサンフランシスコ・バレエから移籍。Twitterのプロフィールで一足先に「ABTプリンシパル」とフライングしていたことから、彼女の移籍はすでに公然の噂となっていました。さらに、昨年ゲスト出演し、今年の世界バレエフェスティバルにも出演するアルバン・レンドルフは、デンマーク・ロイヤル・バレエから移籍します。2人とも、元のカンパニーにも在籍し続けるとのことです。

ソリストへの昇進と移籍も発表されました。スカイラー・ブラント、ルチアーナ・パリス、トーマス・フォースター、アーロン・スコットとカサンドラ・トレナリーがソリストに昇進します。また、ボストン・バレエのプリンシパルで、先週の「スター・ガラ2014」で来日していたジェフリー・シリオもソリストとして移籍します。

ABTは、今年パロマ・ヘレーラ、シオマラ・レイエス、ジュリー・ケントと3人の女性プリンシパルが引退しました。また、ポリーナ・セミオノワ、デヴィッド・ホールバーグが怪我をし、さらにゲストですがナタリア・オシポワも怪我をしたことで主演を踊る人がいなくなってしまって、代役探しに奔走したり、実力のないダンサーに代役をさせる大変な事態になってしまいました。これらの昇進と移籍により、もう少し状況は良くなるものと思われますが、引き続き、特に春のMETシーズンは綱渡り状態が続いてしまうことでしょう。かつての栄光の日々を取り戻すのは難しそうです。

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ABT(アメリカン・バレエ・シアター)」カテゴリの記事

コメント

いつもながら素早い更新ありがとうございます。

ミスティ・コープランドの昇進は規定路線として、ステラ・アブレラの昇進はうれしい驚きでした。
特別好きなダンサーではないのですが、彼女のように怪我を克服して、長年こつこつ積み上げてきたダンサーが報われるというのは、他のダンサーの励みにもなると思います。

それにしても、特に女性プリンシパルの弱さはなかなか解消されませんね。
コープランドだけでなく、今シーズン見た中では、ヒー・セオもイザベラ・ボイルストンも32フェッテはちゃんと回れていませんでした。
コンテンポラリーならともかく、クラシック作品になると見たいキャストがゲスト主演のものしかないというのが正直なところです。
男性も、マルセロ・ゴメスとエルマン・コルネホの年齢を考えると、若手が急成長しないと先が厳しいなと思います。

ちひろさん、こんにちは。

ステラの昇進は私もとても嬉しいです。ソリストになってから14年も、よくくじけずに今まで続けてきてくれたものだと思いました。おっしゃる通り、このように怪我を克服し、コツコツと頑張ってきた人が報われるのは、ダンサーにとってはモチベーションになるし、目標ともなるのでとても良いことだと思います。

あらら、ヒーセオもボイルストンもグランフェッテはダメでしたが…。この間私はK-Balletの「海賊」を観て、現在52歳のニーナ・アナニアシヴィリが余裕で綺麗に32回転したのを観たり、米沢唯さんや倉永美沙さんも涼しい表情でトリプルをたくさん入れたグランフェッテを回っているのを観たりしたので、そういうのが当たり前に感じてしまうので、そういうことになると「え!」と思いますよね。

今回は若手のダンサーもソリストに昇格しているので、彼ら、彼女たちに頑張ってほしいものですよね。マルセロ・ゴメスも35歳なので、いつまでも踊れるわけではないですし、もう「ラ・バヤデール」のソロル役は卒業したようなので、考えたくないけど、何とか若い人に育ってもらわないとというところがありますね。アルバン・レンドルフはテクニックはあるようですが、どうやら、背が低いらしいので、相手がまた限られてしまいますよね。

ミスティ・コープランド、最近の活躍ぶりからプリンシパルになるのでは、と思っていました。
技術面を指摘されたとはいえ、やはり、プリンシパルの華があるのでしょうね。
長年の努力が実ったステラ・アブレラの昇進は嬉しいですね。今後はプリンシパルとして、活躍して欲しいです。

delicious pieさん、こんばんは。

ミスティは技術を取ったらプリンシパルとしてはどうか、というところはありますが、バレエを今までだったら絶対に観なかったような観客を劇場に呼び込み、今までに考えられなかったようなメジャーなメディアでも取り上げられるほどだったので、昇進には大きな意味があるのかな、と思います。後は、その名声にふさわしい実力をつけて、名実ともにプリンシパルにふさわしい存在になって、歴史に残るバレリーナになってほしいと。

ステラはプロポーションなど本当に美しくて実力もあるバレリーナだし、怪我で大きなチャンスを逃してきてソリストで終わってしまうのかな、と思っていたので私もとても嬉しいです。彼女もフィリピン系アメリカ人なので、マイノリティの人種のダンサーが頑張っているのも喜ばしいことですよね。いろいろな主役を踊ってほしい、って思います。

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